JP6534890B2 - ポリカーボネート樹脂共重合体および成形品 - Google Patents
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その為、低吸水率、耐候性、耐熱性、耐衝撃性、鉛筆硬度の全てをバランスよく有する樹脂および成形体は未だ提供されていなかった。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
2.ガラス転移温度が80℃〜145℃である前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
3.20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.15〜1.5である前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
4.単位(A)が下記式(A−1)で表される単位(A−1)である前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
7.飽和吸水率が1.7%以下である前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
8.単位(A−1)を誘導する原料として使用されるモノマー成分である2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンのモノマー純度が90%以上である前項4記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
9.前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体を素材とする成形品。
10.前項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体を素材とするフィルム。
<ポリカーボネート樹脂共重合体>
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、繰り返し単位(A)を含むカーボネート単位から構成される。
本発明において、繰り返し単位(A)は下記式(A)に示したように、ビスシクロヘキサン環を有するカーボネート単位である。
本発明において、単位(A)以外の共重合構成単位を構成する繰り返し単位として、各種ジオール化合物から誘導される繰り返し単位が挙げられる。
かかるジオール化合物としては、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
なかでも、下記繰り返し単位(B)が共重合構成単位として特に好ましい。
本発明における単位(B)は下記式(B)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(B)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(B1)、(B2)および(B3)が例示される。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、繰り返し単位(A)を含み、ポリカーボネート全体の繰り返し単位に占めるモル比は1〜50モル%である。モル比が1モル%以上50モル%以下では、低吸水性に優れ、耐候性が高く、耐衝撃性および鉛筆硬度が良好になるため好ましい。ポリカーボネート全体の繰り返し単位に占めるモル比は2〜40モル%がより好ましく、3〜35モル%がさらに好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。
なお、モル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80℃以上145℃以下、より好ましくは100℃以上135℃以下である。Tgが下限以上であると、光学成形体として使用した際に、耐熱安定性が良好とであり好ましい。またTgが上限以下では、成形性が良好であり好ましい。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体の飽和吸水率は、好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下である。吸水率が1.7%以下であると成形品において吸水による寸法変化や反りが低減でき好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体の比粘度(ηSP)としては、0.15以上1.50以下であることが好ましい。比粘度が下限以上では強度等が向上し、上限以下では成形加工特性が優れる。より好ましくは0.20以上1.00以下であり、さらに好ましくは0.25以上0.70以下であり、特に好ましくは0.30以上0.50以下である。また、本発明のポリカーボネート樹脂共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してよい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂共重合体0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂共重合体は、鉛筆硬度が好ましくはHB以上である。耐傷性に優れるという点で、F以上がより好ましく、H以上がさらに好ましい。鉛筆硬度は全繰り返し単位を基準として繰り返し単位(B)の組成を増加させることで硬くすることができる。本発明において、鉛筆硬度とは、本発明の樹脂を特定の鉛筆硬度を有する鉛筆で樹脂を擦過した場合に擦過しても擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K−5600に従って測定できる塗膜の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とする。鉛筆硬度は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bの順で柔らかくなり、最も硬いものが9H、最も軟らかいものが6Bである。
本発明で使用される繰り返し単位(A−1)のモノマー成分である2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンのモノマー純度は90%以上が好まく、95%以上がより好ましい。90%未満であると、耐候性が悪化する場合がある。モノマー純度を90%以上とする方法としては、特に限定されるものではないが、溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す)を行う方法や蒸留、再結晶等の手法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体を用いてなる成形品は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形される。本発明のポリカーボネート樹脂共重合体は、成形性および耐熱性に優れているので種々の成形品として利用することができる。殊に光学レンズ、光学ディスク、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレイなどの光学部品の構造材料、パソコンや携帯電話の外装や前面板などの電気電子部品、自動車のヘッドランプや窓などの自動車用途、または機能材料用途に適した成形品として有利に使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂共重合体を用いてなるフィルムは、具体的には、表面保護フィルム、加飾用フィルム、前面板、位相差フィルム、プラセル基板フィルム、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、輝度上昇フィルム、光ディスクの保護フィルム、拡散フィルム等の用途が挙げられる。
光学フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押出法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。なかでも、溶液キャスト法、溶融押出法が好ましく、特に生産性の点から溶融押出法が好ましい。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂共重合体0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ポリカーボネート樹脂共重合体8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
吸水率は、ポリカーボネート樹脂共重合体ペレットを塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた厚み200μmのキャストフィルムを用い、100℃12時間乾燥後、25℃48時間水中に浸漬した後の重量増加を測定し、次式によって吸水率を求めた。
吸水率(%)={(吸水後の樹脂重量−吸水前の樹脂重量)/吸水前の樹脂重量}×100
JIS B7753に準拠してスガ試験機社製サンシャインウェザオメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、500時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。その試験前後の試験片に対して、日本電色工業社製分光式色差計SE−2000を用いて色差ΔEを測定した。ΔEが小さいほど、変色が小さいことを示している。
厚さ2mm厚角板を高速衝撃試験機 島津HYDROSHOTHITS−P10(島津製作所)を使用して、試験温度23℃、試験速度7m/sec、ストライカー径1/2インチ、受け径1インチにて10回試験を実施し、そのときの脆性破壊となった確率と最大衝撃エネルギー(平均値)を評価した。
得られたポリカーボネート樹脂共重合体を100℃で24時間真空乾燥した後、JSW(株)製75ton成形機(JSW J−75EIII)を用いて、厚さ2mm厚角板を成形し、その成形試験片を用いて、JIS K5600の鉛筆硬度試験方法によって測定した。
試料100mgを1mlのクロロホルムに溶解させ、4倍量の水酸化テトラメチルアンモニウムでメチル化してAgilent Technology社製5975シリーズガスクロマトグラフ/質量検出器にて600℃にて反応熱分解を実施した。得られたピーク面積比からモノマー純度を算出した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
イソソルビド(以下ISSと略す)409部、純度97.1%の2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン(以下HBPEと略す)172部、ジフェニルカーボネート750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。各種評価結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS358部、純度97.1%のHBPE344部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS460部、純度97.1%のHBPE115部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS358部、純度97.1%のHBPE172部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDM)76部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISSの代わりにビスフェノールA678部に変更した他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
純度89.8%の2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン(以下HBPEと略す)172部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS501部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS435部、ヘキサンジオール(以下HD)60部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
<ポリカーボネート樹脂共重合体の製造>
ISS358部、CHDM151部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製 パンライトL1225)を使用して、各種評価結果を表1に記載した。
ポリアクリル樹脂(三菱レイヨン製 アクリペットMF)を使用して、各種評価結果を表1に記載した。
Claims (10)
- 繰り返し単位が下記式(A)で表される単位(A)を全繰り返し単位中1〜50モル%含むポリカーボネート樹脂共重合体。
- ガラス転移温度が80℃〜145℃である請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- 20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.15〜1.5である請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- JIS K5600−5−4に準拠して測定した鉛筆硬度がF以上である請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- 飽和吸水率が1.7%以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- 単位(A−1)を誘導する原料として使用されるモノマー成分である2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンのモノマー純度が90%以上である請求項4記載のポリカーボネート樹脂共重合体。
- 請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体を素材とする成形品。
- 請求項1記載のポリカーボネート樹脂共重合体を素材とするフィルム。
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