JP6534554B2 - 焼成複合菓子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、焼成複合菓子に関する。より詳細には、たくさんの油脂を一度に摂取できるようにした焼成複合菓子であって、油脂含量が高くても、焼成したときの保型性がよく、サクミがあって、油っぽくなく、おいしい焼成複合菓子に関する。本発明はさらに、前記焼成複合菓子の製造方法にも関する。
クッキー、ビスケット、クラッカー等の焼き菓子に、チョコレート、クリーム等の油性菓子を組み合わせて製造した複合菓子は大変人気がある。このような複合菓子では、焼き菓子と油性菓子との接着性が良好であり、多少の衝撃では剥離しないことが好ましい。そこで、焼き菓子と油性菓子とが互いに剥離しないように、複合菓子のセンター(中心)にクリーム等の油性菓子を配置し、その外側全体を焼き菓子生地で覆うように成形した複合菓子も数多く存在している。このような形態の複合菓子を製造するに当たっては、従来、焼き菓子を焼成した後に注射器等でクリーム等を内包させる製造方法が採用されていたが、近年、耐熱性のクリームが開発され、クリーム等の外側全体を焼き菓子生地で覆ってから焼成する製造方法も採用されるようになってきている。このような製造方法が可能になったことで、生産効率は格別に向上した。このような耐熱性クリームの1つとして、例えば、可塑性油脂100重量部に、α−化架橋エーテル澱粉10〜200重量部を配合してなる油脂組成物が知られている(特許文献1)。
また、焼成複合菓子においては、内側の油性菓子の柔らかい食感の対比から、外側の焼き菓子は通常サクミの強いものが求められている。焼き菓子のサクミを向上させる方法としては種々の方法が知られているが、例えば、焼き菓子生地中の油脂含量を増加させる方法がある。しかしながら、焼き菓子生地中の油脂の含有量を高めると、焼成の過程で生地から油脂が溶け出てしまい、成形された生地も型崩れを起こし、保型性が損なわれるという問題が生じていた。そこで、従来技術では、焼成する手段として、過熱蒸気処理を用いることも検討されている(特許文献2)。しかしながら、過熱蒸気処理を行うためには特別な装置が必要である。そこで、より簡便な方法により、たくさんの油脂を含んでいても、サクミがあって、保型性に優れる、焼成複合菓子の製造方法が求められていた。
また近年、高齢者を中心に、蛋白質・エネルギー低栄養状態(Protein Energy Malnutrition;以下、「PEM」と略すことがある。)が、栄養上の重要な問題となっている(臨床栄養、94(3)、270、1999年)。PEM患者に対する治療方法の主なものとしては「栄養補給」が挙げられるが、PEM患者に「栄養補給」する場合、蛋白質・エネルギーの補給効率が高い飲食物が求められる。焼成複合菓子は、焼き菓子と油性菓子とを備えるものであり、高油分であるため、エネルギー補給率の高い食品であるといえる。しかしながら、エネルギー補給率を高めるためには、焼成複合菓子に含まれる油脂含量を高くする必要があり、油脂含量を高くすると、出来上がった焼成複合菓子の風味が油っぽくなり、おいしくなく、食べづらいという問題があった。そこで、たくさんの油脂を一度に摂取できるように、油脂含量を高くしても、おいしくて食べやすい焼成複合菓子を製造する方法が求められていた。
特許3422508号公報 特開2010−4806号公報
本発明の課題は、たくさんの油脂を一度に摂取できるようにした焼成複合菓子であって、油脂含量が高くても、焼成したときの保型性がよく、サクミがあり、油っぽくなくておいしい焼成複合菓子を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究をしたところ、驚くべきことに、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成すれば、油脂含量が高くても、焼成したときの保型性がよく、サクミがあり、油っぽくなくおいしい焼成複合菓子が得られることを見出し、本発明を完成させた、さらに、前述のような構成を採用することによって、甘味やコクを感じやすくて、香りが良く、しかも、おいしさが長期間持続する焼成複合菓子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様によれば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成した、焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記水中油型乳化物において、前記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを構成する中鎖脂肪酸の全量に占める、カプリン酸の含量が20質量%以上である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記水中油型乳化物において、前記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの全量に占める、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの含量が50質量%以上である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記水中油型乳化物において、前記油脂に占める、トリカプリンの含量が0.5〜35質量%である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記焼き菓子生地は、穀物粉、油脂、及び糖類を主原料として使用した焼き菓子生地であって、穀物粉に対し、油脂を60〜120質量%含有させるとともに、前記油脂には、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが前記油脂の50質量%以上含まれている、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記焼き菓子生地において、前記穀物粉が、強力粉、中力粉、薄力粉、小麦全粒粉、玄米粉、ライ麦、とうもろこし、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、及び米粉から選ばれる1種又は2種以上である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記焼き菓子生地において、前記油脂が、食用油、マーガリン、ファットスプレッド、及びショートニングから選ばれる1種又は2種以上である、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記焼成複合菓子において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが6g以上含まれている、上記焼成複合菓子を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記焼成複合菓子を使用してなる食品を提供することができる。
さらに、本発明の一態様によれば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物が内側であり、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地が外側となるように一体化する工程と、前記工程で一体化したものを焼成する工程とを含む、焼成複合菓子の製造方法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記一体化する工程において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物センターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、上記製造方法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、上記製造方法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、前記焼き菓子生地が、穀物粉、油脂、及び糖類を主原料として使用した焼き菓子生地であって、穀物粉に対し、油脂を60〜120質量%含有させるとともに、前記油脂には、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが前記油脂の50質量%以上含まれている、上記製造方法を提供することができる。
本発明によれば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成することによって、油脂含量が高くても、焼成したときの保型性がよく、サクミがあり、油っぽくなくおいしい焼成複合菓子を製造することができる。さらに、前述のような構成を採用することによって、甘味やコクを感じやすくて、香りが良く、しかも、おいしさが長期間持続する焼成複合菓子を製造することもできる。これにより、これまでの高油分の焼成複合菓子では満足できなかった人々の需要に応えることができる。また本発明では、水中油型乳化物(フィリング材)に耐熱性があり、通常のオーブン等で焼成するだけでいいので、上述のようなセンター入り焼成複合菓子を誰でも簡単に製造することができる。また、油脂含量が高いにも関わらず、油っぽくなくおいしいため、PEMの諸症状等を改善できる栄養補給用食品として好適に使用することができる。さらに、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを多く含むため、前記トリアシルグリセロール又は中鎖脂肪酸に由来する生理学的機能を発揮するための食品として好適に使用することができる。
焼成複合菓子の外観図(焼き菓子:中鎖、水中油型乳化物:中鎖) 焼成複合菓子の断面図(焼き菓子:中鎖、水中油型乳化物:中鎖) 焼成複合菓子の外観図(焼き菓子:長鎖、水中油型乳化物:長鎖) 焼成複合菓子の断面図(焼き菓子:長鎖、水中油型乳化物:長鎖) 焼成複合菓子の外観図(焼き菓子:中鎖、水中油型乳化物:長鎖) 焼成複合菓子の断面図(焼き菓子:中鎖、水中油型乳化物:長鎖) 焼成複合菓子の外観図(焼き菓子:長鎖、水中油型乳化物:中鎖) 焼成複合菓子の断面図(焼き菓子:長鎖、水中油型乳化物:中鎖) 焼成複合菓子における保型性と官能評価の相関図
以下、本発明の焼成複合菓子について順を追って記述する。
本発明の「焼成複合菓子」とは、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを一体化し焼成したものであれば特に制限されない。ここで、前述の「内側」「外側」とは、出来上がった焼成複合菓子からみた相対的な位置関係を示したものであり、外気に触れている面積の少ない方が「内側」となり、外気に触れている面積の大きい方が「外側」となる。このような態様の具体的な例としては、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地でサンドイッチし焼成したもの等が挙げられる。より詳細な好ましい態様としては、例えば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体を中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆い焼成したもの等が挙げられる。「センター」とは焼成複合菓子の中心であり、「覆う」とは水中油型乳化物が外気と触れないようにすることである。こうすることにより、焼成複合菓子において、前記水中油型乳化物の風味が長期間保たれるとともに、衝撃により水中油型乳化物(内側)が焼き菓子(外側)と分離してしまう可能性が低くなるので好ましい。なお、本発明の焼成複合菓子の形状は、喫食しやすい形状であればいずれでもよく、例えば、棒状、円柱状等が挙げられる。また、本発明の焼成複合菓子1個の重さが20〜40g、特に25〜35g程度にしておくことが、喫食性(食べやすさ)、摂取量の調整容易性、携帯性などの点から好ましい。
本発明の「焼成複合菓子」は油脂含量が高いものである。本発明において、油脂含量が高いとは、水中油型乳化物に油脂が25〜55質量%含まれ、焼き菓子生地に油脂が対粉ベースで60〜120質量%含まれることを意味する(当該生地に対しては約30〜50質量%である)。焼成複合菓子とした場合には、水中油型乳化物と焼き菓子生地とをそれぞれどのような割合で一体化するかにもよるが、焼成複合菓子の全質量に対して25〜55質量%の油脂含量を有するものが、高油分の焼成複合菓子となる。高油分の焼成複合菓子の油脂含量としては、20〜50質量%がより好ましく、25〜45質量%がさらに好ましい。
本発明の「焼成複合菓子を製造する方法」は、以下において詳述する製造方法によってそれぞれ製造された、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物と、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地とを用いる。まず、前者を内側に、後者を外側になるように一体化し、その後、前記で一体化された複合菓子を焼成することにより製造される。前記「一体化する工程」は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物と内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側として一体化する工程を含めば、特に制限されない。例えば、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体を中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆うようにすることが好ましい。このようにするため、例えば、2枚の短冊状に成形した焼き菓子生地を用意し、1枚目の生地の真ん中に前記水中油型乳化物を搾りだし、2枚目の生地をその上に載せ、2枚の生地の四方を指でつまんで重ね合わせ、真ん中にある前記水中油型乳化物の外側全体が前記焼き菓子生地で覆われるようい作成すればよい。このように、前記「一体化する工程」は、通常、手作業で行えば十分であるが、必要に応じて包餡機等の機械を用いることもできる。さらに、前記「焼成する工程」は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、オーブン等による焼成調理、電子レンジ等によるマイクロ波調理、過熱水蒸気調理等が挙げられる。焼成温度及び焼成時間は、生地に含まれる水分含量等を考慮の上、当業者が適宜設定できるものである。
次に、本発明の水中油型乳化物について詳しく説明する。
本発明の「水中油型乳化物」は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含むものであれば特に制限されないが、日持ちが良く、焼成時の耐熱保形性を有するためには、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含むことが好ましい。
本発明の水中油型乳化物に用いられる油脂は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上であることが好ましい。本発明における中鎖脂肪酸は、炭素数6〜10の脂肪酸であり、飽和の直鎖脂肪酸であることが好ましい。より具体的には、n−ヘキサン酸(カプロン酸)、n−オクタン酸(カプリル酸)、n−デカン酸(カプリン酸)、n−ドデカン酸(ラウリン酸)であることが好ましく、n−ヘキサン酸(カプロン酸)、n−オクタン酸(カプリル酸)、n−デカン酸(カプリン酸)であることがより好ましく、n−オクタン酸(カプリル酸)、n−デカン酸(カプリン酸)であることがさらに好ましい。
本発明における上記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(以下、MTGとも表す)は、上記中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリアシルグリセロールである。構成脂肪酸の全部が中鎖脂肪酸であるトリアシルグリセロールは、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、MCTとも表す)であり、MTGの中にMCTは含まれる。なお、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、LCTとも表す)は、構成脂肪酸の全部が長鎖脂肪酸であるトリアシルグリセロールである。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MTG)は、全MTGに構成脂肪酸として含まれる中鎖脂肪酸中のカプリン酸含量が20質量%以上であることが好ましく、25〜80質量%であることがより好ましく、28〜68質量%であることがさらに好ましい。また、全MTGに構成脂肪酸として含まれる中鎖脂肪酸中のカプロン酸含量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。全MTGに構成脂肪酸として含まれる中鎖脂肪酸中のカプリン酸含量及びカプロン酸含量が上記範囲程度であると、水中油型乳化物の風味と口どけがより良くなるので好ましい。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの中鎖脂肪酸以外の脂肪酸は、長鎖脂肪酸であることが好ましい。長鎖脂肪酸とは炭素数が14以上、好ましくは14〜22の飽和および不飽和脂肪酸を言い、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが長鎖脂肪酸を含む場合(以下MLCTとも表す)、中鎖脂肪酸をM、長鎖脂肪酸をLとすると、そのトリアシルグリセロールが、MLL、LML、LLM、MML、MLM、LMMの構造を有するものを意味する。また、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの構造は、MMMである。なお、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの構造は、LLLである。中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール等の分析及び計算方法は、当技術分野に周知の方法を用いることができ、詳しくは、R.J.VANDER WALの総説(Jarnal of American Oil Chemists' Society 40, 242−247 (1963))等を参照できる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、油脂加工において通常行われるエステル交換及び/又はエステル化により得られる。例えば、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)の場合、常法に従って、中鎖脂肪酸とグリセロールとを、触媒下、好ましくは無触媒下で、また、好ましくは減圧下で、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。反応後必要に応じて、触媒の除去、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが長鎖脂肪酸を含む場合、例えば、MCTと、菜種油、パーム油等の構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上の油脂とを、質量比で好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20で混合した混合油脂をエステル交換することにより得ることができる。エステル交換の方法としては、特に制限はなく、化学的エステル交換、酵素的エステル交換のどちらの方法でもよい。なお、化学的エステル交換は、触媒としてナトリウムメチラート等の化学触媒を用いて行われるものであり、反応は位置選択性の低い非選択的エステル交換となる。
なお、天然油脂には、例えばヤシ油やパーム核油等のようにMTGを含有するものがあり、それら及びそれらを混合、硬化、分別、エステル交換処理等から選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂も、本発明のMTGの全部乃至一部として利用することができる。
化学的エステル交換は、例えば、常法に従って、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗にて触媒を洗い流した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、触媒としてリパーゼ製剤を用いて行われるものであり、リパーゼ製剤の選択により、1,3位選択性のあるエステル交換が可能である。酵素的エステル交換は、例えば、常法に従って、原料油脂にリパーゼ製剤を対油脂0.01〜5質量%添加した後、30〜70℃で、1〜40時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過によりリパーゼ製剤を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
本発明の水中油型乳化物は、上記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MTG)を油脂中に50質量%以上含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましい。また、本発明の水中油型乳化物は、油脂中に、MCTの一種であるトリカプリンを0.5〜35質量%含有することが好ましく、9〜31質量%含有することがより好ましい。また、本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MTG)は、MTG中のMCT含量が50質量%以上であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましい。本発明の水中油型乳化物の油脂中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量及び構成が上記範囲にあると、水中油型乳化物の風味と口どけがより良くなるので好ましい。
本発明の水中油型乳化物に使用される油脂は、油脂中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上であれば、本発明の特徴を損なわない限り、通常食用に供される油脂を使用できる。例えばパーム油、カカオ脂、サル脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、ゴマ油、オリーブ油、グレープシード油、落花生油、亜麻仁油、乳脂、ラード、牛脂、魚油等の動植物油脂、これら動植物油脂の分別油、水素添加油、エステル交換油、及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。また、本発明の水中油型乳化物の油脂含量は、25〜50質量%であることが好ましく、28〜50質量%であることがより好ましく、31〜47質量%であることが更に好ましい。また、本発明の水中油型乳化物のトランス脂肪酸含量は5質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることが最も好ましい。
本発明の水中油型乳化物には、澱粉が使用される。本発明の水中油型乳化物に使用される澱粉は、馬鈴薯、甘藷、片栗、サゴ、タピオカ、コーン、米、小麦、豆等から得られる澱粉あるいはそれらの加工澱粉等を使用できる。特に、α化澱粉が含まれていることが好ましく、α化澱粉であるリン酸架橋澱粉やオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを使用すると、澱粉の使用量を減らしても離水を防止でき、糊的な食感を低減できるので好ましい。また、酢酸澱粉を使用すると、油脂含量が高いにも係らず、フィリング材として使用する場合の充填適性が向上するので好ましい。
本発明の水中油型乳化物には、澱粉が0.5〜6質量%使用されることが好ましく、0.5〜5質量%使用されることがより好ましい。また、α化澱粉が0.3〜2.5質量%使用されることが好ましく、0.3〜2.2質量%使用されることがより好ましく、0.5〜2.0質量%使用されることが最も好ましい。α化澱粉としては特に、リン酸架橋澱粉とオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムとを用いることが好ましい。また酢酸澱粉が1〜5質量%使用されることが好ましく、2〜4質量%使用されることがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物に使用される澱粉を除く糖類としては、例として、ブドウ糖、マルトース、蔗糖、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、テトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、澱粉加水分解物及びこれらを還元した糖アルコール、それらの混合物、各種液糖が挙げられる。これらのうち甘さの点からBrix60〜80の液糖が好ましく、特に液糖は糖アルコールを含むものが好ましく、また、糖アルコールが澱粉を除く糖類中に50〜100質量%含まれると加熱調理時の焦げ付きを防止できるので好ましい。液糖のBrixは65〜75であることがより好ましく、70〜75であることが更に好ましい。また、本発明の水中油型乳化物の澱粉を除く糖類含量は、28〜42質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。なお、液糖等の糖類水溶液を使用する場合、糖類含量は水分を除いた固形分として扱う。
本発明の水中油型乳化物に使用される水は、水、液糖等の糖類水溶液の形で供給されることが好ましく、本発明の水中油型乳化物の水含量は、8〜22質量%であることが好ましく、11〜19質量%であることがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物は、本発明の効果を損なわない程度において、通常、水中油型乳化物に使用されるその他の副素材を使用してもよい。例えば、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、CMC、ローカストビーンガム、ジェランガム等の増粘多糖類、全脂粉乳、バターミルク、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、生クリーム、カゼインナトリウム、乳ホエー等の乳製品、大豆タンパク、大豆タンパク分解物、大豆ホエー濃縮物、乾燥卵白、加糖卵黄、小麦グルテン、小麦グルテン分解物等の蛋白関連製品、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤、フレーバー、着色料、酸化防止剤等を使用することができる。
本発明の水中油型乳化物は、高油分ではあるが、通常のフラワーペーストと同様の方法により製造することができる。特に、製造工程において減圧による脱泡処理を行なうことが好ましい。例えば、澱粉及び澱粉を除く糖類を、分散及び/又は溶解させた水相に、油脂(油相)を加え、ホモミキサーを用いて水中油型に乳化した(乳化工程)後、さらに必要に応じて練乳や加糖卵黄等の副素材を投入して、減圧による脱泡処理を行いながら、70〜100℃に加熱保持した(加熱工程)後、冷却して香料等を分散させる(冷却工程)ことにより製造することができる。減圧による脱泡処理は、乳化工程、加熱工程、冷却工程の少なくとも何れか1つの工程で行なうことが好ましく、加熱工程と冷却工程で行なうことがより好ましい。減圧は0〜0.08MPaで行なうことが好ましく、0.008〜0.062MPaで行なうことがより好ましい。減圧による脱泡処理を行なうことにより、水中油型乳化物中の気泡が少なくなり、はっきりとした色調を呈するとともに、焼成時の焼きムラが少なくなるので好ましい。
次に、本発明の焼き菓子生地について詳しく説明する。
本発明の「焼き菓子生地」は、穀物粉、油脂、糖類を主原料とするものである。これらの原料はいずれも市販品で構わない。本発明の「焼き菓子」は、穀物粉、油脂、糖類を主原料とする生地を焼成して得られるものであれば特に限定されない。例えば、クッキー(ロータリーモールドクッキー、ワイヤーカットクッキー、絞りクッキー等)、ビスケット、クラッカー、サブレ、パイ、ウエハース、スナック菓子等が挙げられる。その中でも、油脂を多く含むことができる、クッキー、サブレ、パイなどが好ましい。
本発明の「穀物粉」としては、強力粉、中力粉、薄力粉、小麦全粒粉、玄米粉、ライ麦粉、とうもろこし粉、及び米粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができるが、焼き菓子本来の自然なサクミを持たせるためには、食物繊維含量が4質量%より少ない穀物粉、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉などが好ましい。
焼き菓子原料中の穀物粉の量は、好ましくは1〜70質量%であり、より好ましくは20〜60質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。
本発明の「油脂」としては、食用油、マーガリン、ファットスプレッド、及びショートニングが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。焼き菓子原料中の油脂の量は、穀物粉に対して60〜120質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、65〜90質量%であることがさらに好ましい。
そして、高油分でも保型性を有し、サクミを有するためには、当該焼き菓子原料中の油脂の50質量%以上が、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールでなくてはならない。また、上記焼き菓子原料中の油脂に対して、上記トリアシルグリセロールが70質量%以上であることが好ましく、また80質量%以上であることがより好ましく、さらに90質量%以上であることがより好ましい。また、本発明の焼き菓子に含まれる油脂のすべて(100質量%)が、上記トリアシルグリセロールであることが最も好ましい。
なお、本発明では、配合する油脂以外の含油原料に由来する油脂は、上記焼き菓子生地に含まれる油脂含量には含めない。例えば、カカオマスの油脂(ココアバター)含量は約55質量%であり、ココアパウダーの油脂(ココアバター)含量は約11質量%であり、全脂粉乳の油脂(乳脂)含量は約25質量%であるから、チョコレートを焼き菓子生地に配合した場合、チョコレート全量の約30質量%に相当する油脂が焼き菓子生地に含まれることになるが、本発明では、これら含油原料に由来する油脂は、計算上、上記焼き菓子生地に含まれる油脂含量には含めない。
上述のとおり、本発明の焼き菓子生地の油脂中には、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが含まれるが、この中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの定義は、上記水中油型乳化物で定義したとおりである。すなわち、本発明における中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、上記中鎖脂肪酸を構成脂肪酸の一部もしくは全部とするトリアシルグリセロールであり、そのうち、構成脂肪酸の全部が中鎖脂肪酸であるトリアシルグリセロールは、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールと称されるものである。
本発明の焼き菓子生地は、焼き菓子生地中の油脂含量および中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール含量が上記特定の範囲を満たしている限り、他にどのような食用油を併用してもよい。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、これらの水素添加油、分別油、及びエステル交換油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の焼き菓子生地には、油脂として、マーガリンが好適に用いられる。マーガリンは、精製した油脂に発酵乳や食塩、ビタミン類を加えて乳化し、練り合わせて得られる加工食品であり、油脂の以外に水や調味料等を含んでいる。計算を簡略化するため、本発明におけるマーガリンの油脂含量は、マーガリンに含まれる水や発酵乳、調味料等の副材料をプラスしたものとして計算される。原料油脂は、常温で固体化するために、通常はその製造工程において水素添加もされるが、バターとの違いは、バターの主原料が牛乳であるのに対し、マーガリンの主原料が植物性あるいは動物性の油脂であることである。日本のJAS規格によれば、油脂含有率が80%を超えるものがマーガリンであり、80%未満のものがファットスプレッドである。
さらに、マーガリン又はファットスプレッドには、油相成分として水添植物油脂やエステル交換油脂が良く使用されているが、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含ませたものが好適に使用できる。例えば、そのようなものとして、日清オイリオグループ(株)製の商品:リセッタソフトが挙げられる。
本発明の焼き菓子生地には、油脂として、ショートニングも好適に用いられる。ショートニングとは、元来、「さっくり」や「パリッ」という食感を表す用語であり、焼き菓子に配合するショートニングは、大豆油、とうもろこし油等の植物油脂や動物油脂を原料とした練り込み用の常温で半固形(クリーム状)の油脂であり、そもそもラードの代用品として開発されたものである。ショートニングは、マーガリンやバターなどの乳化製品と異なり、白色の無味無臭のものであって、水や乳成分を含まず、ほぼ100%が油脂成分である。
本発明の焼き菓子生地に含まれる「糖類」としては、任意のものを用いることができる。その性状から大別すると、粉末状糖類と液状糖類の2種類がある。そして、粉末状糖類としては、例えば、果糖、ブドウ糖等の粉末状単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖等の粉末状二糖類、粉末トレハロース及び粉末状糖アルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、液状糖類としては、例えば、液状ソルビトール、液状マルチトール、還元水あめ等の液状糖アルコールや、ブドウ糖液糖、果糖・ブドウ糖液糖、及びブドウ糖・果糖液糖等の転化型液糖、ショ糖型液糖、並びに液状トレハロース等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。これらの糖類は市販品を使用することができる。
焼き菓子生地中の糖類の量は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは10〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。
本発明の焼き菓子生地に含まれる「その他の原料」としては、例えば、ココアパウダー、チョコレート、チョコチップ、キャラメル、チーズ、ナッツ類、及びはちみつ並びにこれらの加工品、コーン澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉及び各種加工澱粉等の澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド及び有機酸モノグリセリド等の乳化剤、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE及びビタミンC等のビタミン類、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳パウダー、クリーミングパウダー、デキストリン、オリザノール、鉄分、カルシウム、レシチン、コエンザイムQ、酵母エキス、アミノ酸、卵殻パウダー、レモン砂糖洋酒漬け等の各種果実、乾燥果実、乾燥野菜、フライ果実、フライ野菜、食塩やシーズニング等の各種調味料、増粘多糖類、香料、水、牛乳、豆乳、果汁、及び野菜汁等を配合することができる。
本発明の焼き菓子生地の製造方法は、従来公知の焼き菓子生地の製造方法に、上記で定義した中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む油脂を配合することを含むものである。従来公知の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、シュガーバッター法が用いられる。シュガーバッター法では、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む油脂と液状糖などの親水性物質とをミキサーボールに測り取り、ミキサー等で十分に撹拌混合した後、最後に小麦粉等を加えて軽く混合撹拌し、焼き菓子生地を製造する。なお、得られた焼き菓子生地は、上述した水中油型乳化物と一体化するのに適した形状となるように成形される。
本発明は、上記で説明した焼成複合菓子を使用してなる食品にも関する。例えば、焼成複合菓子の表面又は裏面に、チョコレート、砂糖、卵白、醤油、油脂等を塗布し、もしくはこれらによって被覆して味のコンビネーションを持たせたもの等が挙げられる。ここで、塗布もしくは被覆する方法は従来公知の方法でよく、特に制限されない。
また最近になって、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが、アルツハイマー病に治療及び予防に有用であると考えられるようになってきた。例えば、アルツハイマー病患者約55名を対象に、毎日20gの中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを摂取させたところ、約80%の患者に何らかの改善が見られたことが報告されている(Neuropsychiatric Disease and Treatment,2013, Vol.9, pp.1619-1627)。このようにアルツハイマー病の治療又は予防には、1日に当たり20gの中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MTG)を摂取することが必要であると推測される。そこで、朝昼晩の3回の食事で1回ずつ摂取することを前提におくと、1回につき約6g(≒20÷3)程度の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを摂取できるように設計した食品を用意することが望ましいと考えられる。なお、後述するように、本発明の焼成複合菓子は、それ自体で、6g以上の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを摂取できるように設計できているので、アルツハイマー病に対する治療食及び予防食としても好適に用いることができる。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<分析方法>
トリアシルグリセロール含量は、AOCS Ce5−86に準じて測定した。
各脂肪酸含量は、AOCS Ce1f−96に準じて測定した。
<使用油脂>
〔MCT1〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn−オクタン酸(炭素数8)とn−デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が30:70であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製)をMCT1とした(中鎖脂肪酸含量は92.8質量%)。
〔植物油脂1〕:ヤシ硬化油(日清オイリオグループ株式会社製、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量12.3質量%(内訳:n−オクタン酸含量8.0質量%、n−デカン酸含量4.3質量%)、MTG含量53.2質量%、MCT含量0質量%)を植物油脂1とした。
〔植物油脂2〕:ハイエルシン菜種極度硬化油(横関油脂工業株式会社製、MTG含量0質量%)を植物油脂2とした。
〔植物油脂3〕:菜種油(日清オイリオグループ株式会社製、MTG含量0質量%)を植物油脂3とした。
〔植物油脂4〕:パーム中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製、MTG含量0質量%)を植物油脂4とした。
〔エステル交換油1〕:パームステアリン極度硬化油50質量部とパーム核オレイン極度硬化油50質量部との混合油を化学的エステル交換したエステル交換油(トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量3.2質量%(内訳:n−オクタン酸2.0質量%、n−デカン酸含量1.2質量%)、MTG含量13.2質量%、MCT含量0質量%)をエステル交換油1とした。
〔エステル交換油2〕:パームオレインを化学的エステル交換したエステル交換油(MTG含量0質量%)をエステル交換油2とした。
<マーガリンの調製>
表1の配合に従って、油相と水相とを調製し、常法に従って、コンビネーターにより急冷可塑化することにより、中鎖マーガリンと長鎖マーガリンを調製した。油脂中のMTG含量について表1に示した。以下、実施例ではこれらのマーガリンを用いた。
Figure 0006534554
[実施例1]焼成複合菓子(カスタード風味)の製造
<焼き菓子生地の調製>
下記表2の配合に従って、まず、中鎖・焼き菓子生地と長鎖・焼き菓子生地を、公知のシュガーバッター法に従って製造した。具体的には、まず、下記に示された配合の中鎖又は長鎖マーガリンに香料を加えた。次に、グラニュー糖、液状糖類及び水を加えて、良く混合した。これに、強力粉、薄力粉、オート麦ファイバー、ベーキングパウダーを加えて軽く混合し、焼き菓子生地を調製した。
Figure 0006534554
*1:株式会社Fiニュートリション製、商品名:ビタセルHF101
*2:株式会社林原製、商品名:マイルドシロップ
<水中油型乳化物の調製>
次に、表3の配合に従って、中鎖・水中油型乳化物と長鎖・水中油型乳化物を、乳化に続く加熱と冷却の工程を減圧下(0.048MPa)で行なう以外は、常法に従って調製した。すなわち、ホモミキサーに糖アルコール液を投入し、澱粉、蛋白等の粉類を投入して分散/溶解させた後、85℃に加温した油脂を投入して攪拌により乳化した。80℃まで乳化物を加温し、時々攪拌しながら減圧下(0.048MPa)で保持した。さらに減圧下(0.048MPa)で冷却を行い、ペースト状の水中油型乳化物を調製した。
Figure 0006534554
*1:三菱商事フードテック株式会社製、商品名:PO−500(Brix71)
*2:松谷化学株式会社製、商品名:ききょう
*3:松谷化学株式会社製、商品名:パセリP
*4:王子コーンスターチ株式会社製、商品名:トレコメックストウェルブ02
<焼成複合菓子の製造>
上記で調製された中鎖・焼き菓子生地と長鎖・焼き菓子生地と、上記で調製された中鎖・水中油型乳化物と長鎖・水中油型乳化物とを用いて、以下の表4にあるとおりに、実施例1、比較例1〜3の焼成複合菓子を製造した。
まず、上記で調製された中鎖・焼き菓子生地と長鎖・焼き菓子生地(焼成複合菓子の外側であるので、以下「皮」ともいう。)をリバースシートで4.5mmの厚さに伸ばし、2.5cm×10cmの短冊状の生地(14g/枚)となるように成形した。次に、この生地を2枚1組とし、2枚の生地の間に、上記で調製された中鎖・水中油型乳化物と長鎖・水中油型乳化物(焼成複合菓子の内側であるので、以下「餡」ともいう。)を5gずつ絞り込み、生地の形を整えて、前記水中油型乳化物がセンターとなり、その外側全体が前記焼き菓子生地で覆われてなる、複合菓子(焼成前)を得た。さらに、これを天板に載せて、上火170℃、下火150℃で25分間、オーブンで焼成し、上記焼成複合菓子を製造した。
なお、実施例1は、皮も餡も中鎖脂肪酸(M−M)でできており、比較例1は、皮も餡も長鎖脂肪酸(L−L)でできており、比較例2は、皮は中鎖脂肪酸であるが餡は長鎖脂肪酸でできており(M−L)、比較例3は、皮は長鎖脂肪酸であるが餡は中鎖脂肪酸でできている(L−M)ものである。
また、実施例1、比較例1〜3の焼成複合菓子について、下記のとおり、焼成直後の外観・形状及び官能評価を行った。その結果も合わせて表4に示した。
Figure 0006534554
<焼成複合菓子の評価>
上記で製造した、実施例1及び比較例1〜3の焼成複合菓子の保型性、食感、風味等について、以下の評価方法に従って評価した。
<焼成複合菓子の評価方法>
(1)保型性の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、目視により、総合的に評価した。
○:焼成中に型崩れせず、表面がきれいである
△:焼成中にやや型崩れし、表面にかすかなひび割れが見られる
×:焼成中に型崩れし、表面にひび割れが見られる
(2)空洞率の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、目視により、総合的に評価した。
○:中の水中油型乳化物に見られる空洞が小さく数が少ない
△:中の水中油型乳化物に見られる空洞がやや大きく数もある程度ある
×:中の水中油型乳化物に見られる空洞が大きく数が多い
(3)サクミの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に官能評価した。
○:サクサクしている
△:ややサクミにかける
×:サクミはなく、くちゃついた食感になる
(4)油っぽさの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に官能評価した。
○:後味に油っぽさがない
△:後味がやや油っぽい
×:後味が油っぽい
(5)甘味・コクの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に官能評価した。
○:甘味・コクがありおいしい
△:甘味・コクがやや少ない
×:甘味・コクが消えている
(6)香りの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に官能評価した。
○:甘い香りがする
△:甘い香りがやや弱い
×:甘い香りがない
表4から明らかであるように、皮及び餡において中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた実施例1の方が、皮及び/又は餡に長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた比較例1〜3よりも、保型性、空洞率、サクミ、油っぽさ、甘味・コク、香りの全ての点で、同等もしくは優れていた。
まず、保型性については、皮に長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた比較例1及び3では、表面にひび割れが見られ、焼成時の保型性に問題があることが確認できた。この理由は、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた生地は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた生地よりも、生地の伸展性が悪く、可塑性が低いためであると考えられる。なお、生地の伸展性は、生地に配合される水溶性成分との相性に由来する。すなわち、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは水溶性成分との相性がよく、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールよりも水溶性成分と馴染みやすいため、伸展性が比較的良くなっているのではないかと推測する。さらに、保型性については、餡に中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた比較例3の方が、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた比較例1よりもひび割れが少なかった。これについては、焼成時に長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた餡が膨張している可能性が考えられる。実際、実施例1、比較例1〜3の焼成複合菓子の断面図をみると、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた餡は空洞が小さく数も少ないのに対して、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた餡は空洞が大きく数も多いこともわかっている(図2、4、6、8)。これは長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた餡が焼成時に膨張していることを裏付けるものと理解する。なお、大きい空洞を写真で撮ると影となり、小さい空洞よりも黒く見える(図4、6)。このような空洞は、見た目にも良くなく、食感にも悪い影響を与える可能性があるので、できるだけ小さく少ない方が好ましい。
次に、官能評価については、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた皮を有する焼成複合菓子(実施例1と比較例2)は、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた皮を有する焼成複合菓子(比較例1と3)よりも、サクミが優れていた。また、油っぽさは、焼成複合菓子中の長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの含量に比例していた。すなわち、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールが最も多い比較例1が最も油っぽく、それが最も少ない実施例1が最も油っぽくなかった。その中間にある、比較例2と3では、長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール含量の多い比較例3の方が、比較例2と比べて若干油っぽく感じたが、互いに後味にやや油っぽさが残る点では同様であり、これらを同等の評価とした。また、甘味・コクについては、焼成複合菓子中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量に比例して、強く感じられた。中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが最も多い実施例1が最も強く、それが最も少ない比較例1で最も弱かった。その中間にある比較例2及び3については、実施例1と比較すると、やや甘味・コクに劣るため、これらを同等の評価とした。最後に、甘い香りについては、比較的どれも感じることができたが、実施例1の香りが最も強く、比較例1〜3のものはそれよりも劣るため、これらを同等の評価とした。
以上まとめると、保型性、空隙率、サクミ、油っぽさ、甘味・コク、香りのいずれの評価指標においても、実施例1が最高の評価となり、焼成複合菓子において、皮と餡の両方に、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いることの有用性が確認できた。
<長期保存安定性>
次に、上記実施例1の焼成複合菓子について、製造から2日後の水分活性値を測定した。その結果を表5に示す。なお、水分活性値は、SiberHegner社製:thermoconstanter novasiaを用いて測定した。
Figure 0006534554
表5から明らかであるように、餡(水中油型乳化物)の水分活性値は0.425であり、皮(焼き菓子)の0.345であった。焼成複合菓子全体(平均)の水分活性値は0.385となり、0.50よりも下回っているので、微生物の生育は阻止されており、本発明の焼成複合菓子は長期保存性に適しているといえる。
次に、上記実施例1及び比較例1〜3で製造された焼成複合菓子の長期保存安定性を検討するため、製造日から20日後に再び、上記評価方法(保型性、空洞率を除く)に従って、官能評価を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0006534554
表6から明らかであるように、皮も餡も中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた実施例1の方が、皮及び餡のいずれか又は両方に長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた比較例1〜3よりも、長期間(20日)に渡って、サクミがあり、油っぽくなく、甘味・コクを有し、甘い香りもよく保存していた。したがって、皮と餡の両方に中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いることで、長期保存性のある、おいしい焼成複合菓子が得られることが確認された。
なお、皮に長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを用いた比較例1及び比較例3では、空気による酸化のためか、時間の経過とともに油臭が強くなっており、そのため、甘味・コクが減っていると感じられ、甘い香りも感じにくくなっていた。それ以外の点では、あまり大きな差異は認められなかった。
以上のとおり、皮及び餡に中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを用いた、本発明の焼成複合菓子は、おいしさが長期間にわたって持続することが確認されたので、例えば、常温、常湿で長期に流通できる可能性も示された。

Claims (20)

  1. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成した、焼成複合菓子であって、該水中油型乳化物において、該中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを構成する中鎖脂肪酸の全量に占める、カプリン酸の含量が20質量%以上である、焼成複合菓子。
  2. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、請求項1に記載の焼成複合菓子。
  3. 前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、請求項1又は2に記載の焼成複合菓子
  4. 前記水中油型乳化物において、前記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの全量に占める、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの含量が50質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1に記載の焼成複合菓子。
  5. 前記水中油型乳化物において、前記油脂に占める、トリカプリンの含量が0.5〜35質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  6. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成した、焼成複合菓子であって、該水中油型乳化物において、該中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの全量に占める、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの含量が50質量%以上である、焼成複合菓子。
  7. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、請求項6に記載の焼成複合菓子。
  8. 前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、請求項6又は7に記載の焼成複合菓子。
  9. 前記水中油型乳化物において、前記油脂に占める、トリカプリンの含量が0.5〜35質量%である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  10. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物を内側とし、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地を外側としたものを焼成した、焼成複合菓子であって、該水中油型乳化物において、該油脂に占める、トリカプリンの含量が0.5〜35質量%である、焼成複合菓子。
  11. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物をセンターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、請求項10に記載の焼成複合菓子。
  12. 前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、請求項10又は11に記載の焼成複合菓子。
  13. 前記焼き菓子生地は、穀物粉、油脂、及び糖類を主原料として使用した焼き菓子生地であって、穀物粉に対し、油脂を60〜120質量%含有させるとともに、前記油脂には、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが前記油脂の50質量%以上含まれている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  14. 前記焼き菓子生地において、前記穀物粉が、強力粉、中力粉、薄力粉、小麦全粒粉、玄米粉、ライ麦、とうもろこし、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、及び米粉から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  15. 前記焼き菓子生地において、前記油脂が、食用油、マーガリン、ファットスプレッド、及びショートニングから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  16. 前記焼成複合菓子において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが6g以上含まれている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の焼成複合菓子。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の焼成複合菓子を使用してなる食品。
  18. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物が内側であり、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地が外側となるように一体化する工程と、前記工程で一体化したものを焼成する工程とを含む、焼成複合菓子の製造方法であって、該焼き菓子生地が、穀物粉、油脂、及び糖類を主原料として使用した焼き菓子生地であって、穀物粉に対し、油脂を60〜120質量%含有させるとともに、該油脂には、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが該油脂の50質量%以上含まれている、焼成複合菓子の製造方法。
  19. 前記一体化する工程において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む水中油型乳化物センターとし、その外側全体が中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含む焼き菓子生地で覆われてなる、請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記水中油型乳化物が、油脂を25〜55質量%、澱粉を0.3〜8質量%、澱粉を除く糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含み、前記油脂に占める中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量が30質量%以上である、請求項18又は19に記載の製造方法。
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