JP6531714B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射装置に関する。
従来、ハウジングが有する噴孔をニードルの往復移動によって開閉しハウジング内の燃料を外部に噴射する燃料噴射装置が知られている。特許文献1では、ニードルの移動量に応じて戻しばね力に格段の差を設けた戻しばね機構を設け、ソレノイドに流れる電流値を変更して燃料噴射率を制御する燃料噴射装置が記載されている。
特開平10−077922号公報
一般に、中速、高速のディーゼルエンジン等の圧縮着火機関の熱サイクルには、ディーゼルサイクルやサバテサイクルが用いられる。ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、定容加熱過程および定圧加熱過程を有し、優れた熱効率を有する。このため、ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、少ない燃料で多くの運動エネルギーが取り出され二酸化炭素排出量が少ないため、環境にやさしい。したがって、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を生成し、燃料噴射率を高精度に制御することが求められる。
一方、定容加熱過程において、一定の燃料噴射率を噴射する矩形噴射が用いられる。定容加熱過程後の定圧加熱過程において、内燃機関が上死点に位置する時の燃料噴射率に、矩形噴射を用いるとき、内燃機関の筒内圧力が増大して、内燃機関の耐久性が低下する虞がある。また、内燃機関が上死点に位置する時から矩形噴射を継続すると、燃焼が促進されないため、筒内の体積が膨張すると同時に、定圧加熱過程にもかかわらず、筒内圧力が低下する虞がある。
そこで、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を生成するため、内燃機関が上死点に位置する時の燃料噴射率を、時間に比例して燃料噴射率がゼロから増加するように噴射するデルタ形噴射に切り替える必要がある。
特許文献1に記載の燃料噴射装置では、ソレノイドに流れる電流値が大きいとき、電磁力が大きくなる。ニードルにかかる圧力が低下する速度とリフト速度とが大きくなり、燃料噴射率の変化量が大きくなる。燃料噴射率の変化量を大きくするには、大きな電流が必要であり、消費電力が増大する。消費電力が増大するとき、電力供給原であるバッテリの電圧が寒冷環境での使用や故障等により低下し、燃料噴射装置の制御が不安定になる虞がある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、定圧加熱過程を有する熱サイクルを用いる内燃機関において、燃料噴射率の制御性が向上し、安定した制御を可能にする燃料噴射装置を提供することにある。
本発明の燃料噴射装置は、ハウジング(10)、圧力制御弁(25)、ニードル(60)、コイル(30)、第1付勢部材(40)、第2付勢部材(50)および鍔部(252、257、258、259、352、452、552)を備える。
ハウジングは、有底筒状で、燃料が噴射される噴孔(12)を先端部に有し、内面(18)で区画形成され燃料が流入出可能な圧力制御室(20)を後端部に有する。
圧力制御弁は、圧力制御室に収容され、圧力制御室を開閉する方向に移動し、圧力制御室における燃料の流出量を制御し、圧力制御室内の圧力を制御可能である。
ニードルは、ハウジング内で往復摺動可能に収容され、圧力制御弁が開閉したとき、ハウジングの軸方向に摺動し、噴孔を開閉する。
コイルは、電力が供給されるとき、圧力制御弁を開方向に吸引するように磁界を生成する。
第1付勢部材は、圧力制御弁を閉方向に付勢する。
第2付勢部材は、ハウジングの内部から突出するように設けられており、圧力制御弁の側壁(251)に接触し、圧力制御弁の移動に伴い側壁に沿って摺動する接触面(53)を有し、圧力制御弁の径方向に圧力制御弁を付勢する。
鍔部は、少なくとも1つが側壁に設けられ、圧力制御弁の径方向内側から径方向外側に延びており、第2付勢部材に付勢されたとき、圧力制御弁が開閉する方向の力(Fs2_p)を圧力制御弁に作用する。
鍔部が第2付勢部材に接触したとき、圧力制御弁の開閉方向に働く力によって、圧力制御弁が開閉方向に移動しやすくなり、デルタ形噴射または矩形噴射がしやすくなる。矩形噴射からデルタ形噴射に切り替えて燃料噴射ができ、燃料噴射率の制御性が向上する。燃料噴射率の制御性が向上することによって、燃焼が促進され、筒内圧力の低下を抑制することができる。これにより、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態が生成可能になる。
鍔部が第2付勢部材に接触したとき、圧力制御弁の開方向に働く力によって、圧力制御弁が開方向に移動しやすくなる。このため、吸引力Fuを低減可能で、コイルに供給する電力を低減できる。したがって、寒冷環境での使用や故障等により電力供給原であるバッテリ等の電圧が低下した場合においても、燃料噴射率を安定して制御可能になる。
本発明の第1実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 図1のII−II線断面図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の噴射時を示す断面図。 図1のIV部拡大図。 図4のV−V線断面図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置における鍔部の推進力の作用図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の鍔部の一端面が第2付勢部材に接触後、圧力制御弁が開方向に移動するときの図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置における鍔部の推進力の作用図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置における鍔部の推進力の作用図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の鍔部の他端面が第2付勢部材に接触後、圧力制御弁が閉方向に移動するときの図。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の作用を説明するためのタイムチャート。 本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の作用を説明するためのタイムチャート。 定圧加熱を有するサバテサイクルの熱サイクル図。 (a)本発明の第1実施形態による燃料噴射装置の燃料噴射率を表す図(b)本発明の第1実施形態による図13のXIVb部拡大図。 本発明の第2実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 本発明の第3実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 図16のXVII−XVII線断面図。 本発明の第4実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 その他実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 その他実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 その他実施形態による燃料噴射装置を示す断面図。 (a)比較例の燃料噴射率を表す図(b)比較例のサバテサイクルの定圧加熱過程の図。
本発明の実施形態による燃料噴射装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態の説明において、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明する。また、「本実施形態」という場合、第1から第4実施形態を包括する。この燃料噴射装置は、ディーゼルエンジンのような内燃機関に用いられる。
(第1実施形態)
燃料噴射装置1の構成について、図1から図5を参照して説明する。燃料噴射装置1は、内燃機関の各気筒に取り付けられ、コモンレール34の高圧状態で蓄えられた燃料を各気筒に噴射する。
図1に示すように、燃料噴射装置1は、ハウジング10、圧力制御弁25、コイル30、第1付勢部材40、第2付勢部材50およびニードル60を備える。
ハウジング10は、有底筒状に形成され、例えば、炭素鋼等の金属材料で形成されている。
ハウジング10は、先端側に、ノズル室11、噴孔12および弁座13を有する。
また、ハウジング10は、後端側に、燃料通路14〜17および圧力制御室20を有する。
ノズル室11は、ハウジング10の内側面101とニードル60の外側面601とによって区画形成され、燃料通路16と連通している。
噴孔12は、ハウジング10の周方向に所定の間隔で複数形成されている。
弁座13は、ハウジング10の内側における噴孔12の開口の周囲に形成され、底部の円錐状の底面に形成されている。
燃料通路14は、コモンレール34に接続されており、燃料通路15と燃料通路16とに連通しており、コモンレール34から燃料が供給される。
燃料通路15は、圧力制御室20に連通しており、燃料通路16は、ノズル室11に連通しており、燃料通路17は、圧力制御室20に連通している。燃料通路14〜17は、燃料が流れる方向に対して、径が一様に形成されている。
圧力制御室20は、ハウジング10の後端部における内面18で区画形成されており、コモンレール34から供給される燃料を流入出可能に形成されている。燃料通路15を介して燃料が圧力制御室20に流入し、燃料通路17を介して燃料が圧力制御室20から流出する。
圧力制御室20は、燃料通路15と燃料通路17との間に、中央通路21を有する。
中央通路21は、流路が絞られるように形成されている。中央通路21の流路面積をAc[mm2]とし、圧力制御室20側の燃料通路15の流路面積をAi[mm2]とし、圧力制御室20側とは反対側の燃料通路17の流路面積Aoとする。
中央通路21および燃料通路15、17は、以下関係式(1)を満たすように、流路径が調整されている。ここで、「=」は、常識的な誤差範囲を含む。以下、「=」、「等しく」、「等しい」は、同様に拡大解釈するものとする。
Ai≧Ac≧Ao ・・・(1)
圧力制御弁25は、軟磁性体で形成され、圧力制御室20に収容され、圧力制御室20を開閉する方向に移動し、圧力制御室20における燃料の流出量Qo[mm3/s]を制御し、圧力制御室20内の燃料圧力を制御可能である。
第1実施形態において、圧力制御室20を開閉する方向は、ハウジング10の軸方向および圧力制御弁25の軸方向に一致する。
後述のニードル60が弁座13に接触したとき、圧力制御弁25は燃料通路17を閉塞しており、燃料通路15を経由して中央通路21まで、燃料が流入している。
圧力制御弁25が開方向に移動したとき、圧力制御室20側の燃料通路17が開口し、燃料通路17を経由して燃料が流出する。
圧力制御室20側の燃料通路17が開口する面積を開口面積A[mm2]とする。
関係式(1)を満たすように流路径が調整されているため、開口面積Aによって、燃料の流出量Qoが決まる。
燃料の流出量Qoは、例えば、以下の関係式(2)で表される。ξは流量係数、ΔPyは圧力差[N/mm2]、ρは密度[g/mm3]を表す。流量係数ξは、構造に起因する係数で無次元数である。圧力差ΔPyは、供給される燃料圧力が一定であるため、定数とする。密度ρは、燃料は非圧縮性であるため、定数とする。
Qo=ξ×A×√(2ΔPy/ρ) ・・・(2)
コイル30は、支持部材32に収容され、電力供給源であるバッテリ33に接続されている。
支持部材32は、軟磁性体で形成され、ハウジング10の後端側に設けられる有底穴31を有する。また、圧力制御弁25が開方向に移動し続けたとき、支持部材32は、圧力制御弁25の開方向側の端面201と接触するように形成されている。
コイル30に電力Wが供給されるとき、コイル30の周囲に磁界を生成し、コイル30および圧力制御弁25に磁気回路が形成される。磁気回路が形成されるとき、圧力制御弁25がコイル30に向かって吸引され、圧力制御弁25が開方向に摺動する。
第1付勢部材40は、一端401が有底穴31の底に接続され、他端402が圧力制御弁25の後端側の端面201に接続されている。
また、第1付勢部材40は、スプリングで形成されており、圧力制御弁25を閉方向に付勢している。
第2付勢部材50は、接触部51とスプリング52とを有し、圧力制御弁25の径方向に圧力制御弁25を付勢する。
図2に示すように、接触部51は、圧力制御弁25の径方向の断面が長方形形状で、圧力制御弁25の軸方向の断面が円形形状で湾曲して形成されている。
接触部51は、半円柱形状に形成されており、圧力制御弁25の側壁251に線接触する接触面53を有する。
接触面53は、圧力制御弁25の開閉方向への移動に伴い、側壁251に沿って摺動する。
スプリング52は、一端521がハウジング10の内部に接続され、他端522が接触部51に接続されており、圧力制御弁25を径方向に付勢している。
ニードル60は、ハウジング10内で往復摺動可能に収容され、圧力制御弁25が開閉するとき、ハウジング10の軸方向に摺動し、噴孔12を開閉可能である。
また、ニードル60は、先端側の一端61が弁座13に接触したとき、噴孔12を閉塞し、一端61が弁座13から離間したとき、噴孔12を開放する。
ニードル60の先端部は、ノズル室11に面する受圧面63が設けられている。
受圧面63は、ノズル室11に流入する燃料から開方向に働く圧力を受ける。
ニードル60の後端部は、圧力制御室20に露出しており、圧力制御室20に面する背圧面64が設けられている。
背圧面64は、圧力制御室20内に流入している燃料から閉方向に働く圧力を受ける。
圧力制御室20内に設けられるニードルスプリング65がニードル60の後端部を閉方向に付勢している。
ニードルスプリング65は、一端651が背圧面64に対向するハウジング10の内壁に接続されており、他端652がニードル60に接続されている。
第1実施形態の燃料噴射装置1の作用について説明する。
初期状態では、コモンレール34から燃料通路14、15を経由して、燃料が圧力制御室20に供給されている。コモンレール34から燃料通路14、16を経由して、燃料がノズル室11に供給されている。また、圧力制御弁25は第1付勢部材40に付勢され、燃料通路17を閉塞している。
圧力制御室20の燃料が背圧面64に作用する付勢力をFpとし、ノズル室11の燃料が受圧面63に作用する付勢力をFbとし、ニードルスプリング65がニードルに作用する付勢力をFnとする。
初期状態では、以下関係式(3)が満たされており、ニードル60は、弁座13に当接し、噴孔12を閉塞している。
Fp+Fn>Fb ・・・(3)
図3に示すように、コイル30に電力Wが供給されるとき、圧力制御弁25はコイル30に吸引される。圧力制御弁25は開方向に移動し、圧力制御室20側の燃料通路17を開口する。開口した燃料通路17を経由して、圧力制御室20内の燃料が流出し、背圧面64が圧力制御室20内の燃料から閉方向に受ける圧力が低下する。
背圧面64が受ける圧力が低下したとき、付勢力Fpが低下し、以下関係式(4)が満たされる。関係式(4)が満たされ、ニードル60が弁座13から離間し、噴孔12が開放される。噴孔12を経由して燃料が外部に噴射される。単位時間当たりに燃料が外部に噴射される量を燃料噴射率Q[mm3/s]とし、単位時間あたりに変化する燃料噴射率Qの量である燃料噴射率変化量ΔQとする。
Fp+Fn<Fb ・・・(3)
コイル30に電力Wの供給を停止したとき、圧力制御弁25が第1付勢部材40に付勢され、閉方向に移動し、圧力制御室20側の燃料通路17が閉塞される。圧力制御室20内の燃料の流出が停止し、圧力制御室20に燃料が充填され、背圧面64が閉方向に受ける圧力が上昇する。
背圧面64が受ける圧力が上昇し、付勢力Fpが初期状態に戻り、以下関係式(3)が満たされ、ニードル60は、弁座13に接触し、噴孔12が閉塞される。噴孔12が閉塞され、燃料の噴射が停止する。
ところで、一般に、ディーゼルエンジン等の熱サイクルには、ディーゼルサイクルやサバテサイクルが用いられる。ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、内燃機関が上死点に位置する時から筒内圧力を一定にし、気筒内の体積が膨張する定圧加熱過程を有し、優れた熱効率を有する。このため、ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、少ない燃料で多くの運動エネルギーが取り出され二酸化炭素排出量が少ないため、環境にやさしい。したがって、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を生成し、燃料噴射率を高精度に制御することが求められる。
従来、定容加熱過程および定圧加熱過程において、内燃機関が上死点に位置する時の燃料噴射率に、一定の燃料噴射率を噴射する矩形噴射が用いられている。内燃機関の気筒内の圧力を筒内圧力Pとし、内燃機関の気筒内の体積を筒内体積Cとする。
図22(a)、(b)の比較例に示すように、定圧加熱過程において、矩形噴射を用いるとき、筒内圧力Pが増大して、内燃機関の耐久性が低下する虞があった。
また、内燃機関が上死点に位置する時から矩形噴射を継続すると、燃焼が促進されないため、筒内体積Cが膨張すると同時に、定圧加熱過程にもかかわらず、筒内圧力Pが低下する虞があった。
そこで、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を作り出すため、内燃機関が上死点に位置する時の燃料噴射率Qを、時間に比例して燃料噴射率がゼロから増加するように噴射し、燃料噴射率Qを急速にゼロとするデルタ形噴射に切り替える必要がある。
また、特許文献1に記載のように、コイルに流れる電流値が大きいとき、電磁力が大きくなる。ニードルにかかる圧力が低下する速度とリフト速度とが大きくなり、燃料噴射率の変化量が大きくなる。燃料噴射率の変化量を大きくするには、大きな電流が必要であり、消費電力が増大する。消費電力が増大するとき、電力供給原であるバッテリの電圧が寒冷環境での使用や故障等により低下し、燃料噴射装置の制御が不安定になる虞がある。
そこで、本実施形態の燃料噴射装置1では、圧力制御弁25にある特徴が備えられることによって、定圧加熱過程を有する熱サイクルを用いる内燃機関において、燃料噴射率Qの制御性が向上し、安定した制御を可能にする。以下、燃料噴射装置1の特徴構成を記載する。
(特徴構成)
図4に示すように、圧力制御弁25は、第2付勢部材50よりも開方向側に位置する側壁251において、圧力制御弁25の径方向内側から径方向外側に延びる鍔部252を有する。
鍔部252は、圧力制御弁25は一体となって形成されており、圧力制御弁25の軸方向における鍔部252の外縁の断面形状が三角波形状に形成されている。
図5に示すように、鍔部252は、側壁251から突出するように形成され、圧力制御弁25の径方向の断面が長方形形状に形成されている。
また、鍔部252は、圧力制御弁25の径方向における鍔部252の長さが数μmから数mmとなるように形成されている。
さらに、鍔部252は、第2付勢部材50に付勢されるとき、開閉方向に対し、圧力制御弁25に推進力を作用する。
鍔部252の作用について説明する。
図4に戻って、初期状態では、圧力制御弁25は、燃料通路17を閉塞しており、第2付勢部材50と鍔部252は接触していない。また、第1付勢部材40が圧力制御弁25を閉方向に付勢する。第1付勢部材40が圧力制御弁25を閉方向に付勢する付勢力をFs1とする。
付勢力Fs1は、以下関係式(4)のように表される。Kは、第1付勢部材40のばね定数[N/mm]であり、Xは、初期状態から開方向に向かって圧力制御弁25とともに第1付勢部材が移動した変位[mm]である。X0は、初期状態における第1付勢部材40の変位[mm]である。圧力制御弁25の開方向を正方向とすると、付勢力Fs1は、負方向に働く力である。本実施形態では、圧力制御弁25の開方向を正方向とし、圧力制御弁25の閉方向を負方向とする。
Fs1=−K×(X+X0) ・・・(4)
図6に示すように、コイル30に電力Wが供給されるとき、圧力制御弁25がコイル30に吸引され、圧力制御弁25が開方向に移動し、圧力制御室20側の燃料通路17が開口する。このとき、開方向側の鍔部252の一端面254に第2付勢部材50が接触し、第2付勢部材50は鍔部252を付勢する。
一端面254に第2付勢部材50が接触したときの変位Xを変位X1とし、コイル30が開方向に圧力制御弁25を吸引する力を吸引力Fuとし、第2付勢部材50は鍔部252を付勢する力を付勢力Fs2とする。吸引力Fuは、付勢力Fs1より大きくなるようにコイル30および電力Wが調整されており、一定の力とする。
一端面254に第2付勢部材50が接触するとき、第2付勢部材50は、一端面254に対して垂直な方向に付勢力Fs2が鍔部252に作用する。
付勢力Fs2は、閉方向に向かう推進力Fs2_pと、圧力制御弁25の径方向外側から径方向内側に向かう力と、に分解することができる。推進力Fs2_pは、付勢力Fs2を用いて以下関係式(5)のように、表すことができる。鍔部252と第2付勢部材50との接触点または接触面の法線方向と圧力制御弁25の軸方向とでなす角度を法線角度θpとする。
Fs2_p=Fs2×cos(θp) ・・・(5)
一端面254に第2付勢部材50が接触したときの推進力Fs2_pによって、圧力制御弁25の移動速度Vが小さくなり、開口面積Aの増加量が小さくなる。このとき、圧力制御室20内の圧力の低下量が小さくなり、ニードル60の噴孔12を開方向の移動速度が小さくなり、燃料噴射率変化量ΔQが小さくなる。
第2付勢部材50が一端面254に接触するとき、鍔部252は閉方向に推進する力が働き、燃料噴射率Qを変更することができる。
図7に示すように、一端面254に第2付勢部材50が接触したときから、圧力制御弁25が開方向に移動するとき、鍔部252と第2付勢部材50との摩擦力Frが発生する。摩擦力Frによって圧力制御弁25が停止しないように、以下の関係式(6)および関係式(7)が満たされるように、鍔部252と第2付勢部材50とが調整されている。圧力制御弁25の開閉方向にかかる力を駆動力Fvとし、圧力制御弁25の径方向外側から径方向内側に第2付勢部材50が鍔部252を付勢する力を付勢力Fs2_dとする。また、鍔部252と第2付勢部材50との接触点または接触面の接線方向と圧力制御弁25の径方向とでなす角度を接線角度θcとする。
Fv×sin(θc)+Fs2_d×cos(θc)>μ×Fs2 ・・・(6)
Fr=−μ×Fs2 ・・・(7)
図8に示すように、コイル30に電力Wがさらに供給されるとき、圧力制御弁25がコイル30に吸引され、圧力制御弁25が開方向にさらに移動して、開口面積Aが増加し、鍔部252の頂点255に第2付勢部材50が接触する。鍔部252の頂点255に第2付勢部材50が接触したときの変位Xを変位X2とする。
図9に示すように、頂点255に第2付勢部材50が接触後、コイル30に電力Wがさらに供給されるとき、閉方向側の鍔部252の他端面256に第2付勢部材50が当接する。他端面256に第2付勢部材50が接触したときの変位Xを変位X3とする。このとき、燃料通路17の開口面積Aが増加して流路面積Aoと一致し、ニードル60の開方向の移動量が大きくなり、燃料噴射率Qが大きくなる。
他端面256に第2付勢部材50が接触するとき、第2付勢部材50は、他端面256に対して垂直な方向に付勢力Fs2が鍔部252に作用する。
付勢力Fs2は、開方向に向かう推進力Fs2_pと、径方向外側から径方向内側に向かう力と、に分解することができる。
他端面256に第2付勢部材50が接触したときの推進力Fs2_pによって、圧力制御弁25の移動速度Vが大きくなり、開口面積Aの増加量が大きくなる。このとき、圧力制御室20内の圧力の低下量が大きくなり、ニードル60の噴孔12を開く方向の移動速度が大きくなり、燃料噴射率変化量ΔQが大きくなる。
第2付勢部材50が他端面256に接触するとき、鍔部252は開方向に推進する力が働き、燃料噴射率Qを変更することができる。
図10に示すように、他端面256に第2付勢部材50が接触したときから、圧力制御弁25が閉方向に移動するとき、摩擦力Frによって圧力制御弁25が停止しないように、以下関係式(8)および関係式(9)が満たされている。
Fs1×sin(θc)+Fs2_d×cos(θc)>μ×Fs2 ・・・(8)
Fr=μ×Fs2 ・・・(9)
図11および図12のタイムチャートを参照し、鍔部252の作用を詳細に説明する。図11および図12において、矢印の方向が正方向である。推進力Fs2_p、駆動力Fvおよび移動速度Vの正方向は、圧力制御弁25の開方向に対応し、付勢力Fs1、推進力Fs2_p、駆動力Fvおよび移動速度Vの負方向は、圧力制御弁25の閉方向に対応する。
図11では、初期状態から、圧力制御弁25が開方向に移動し、頂点255と第2付勢部材50とが接触後、圧力制御弁25が閉方向に移動し、初期状態に戻るまでを説明する。
時刻t0の時を初期状態とする。時刻t0に、コイル30に電力Wが供給され、吸引力Fuが圧力制御弁25に働く。
時刻t0では、変位Xはゼロで、関係式(4)より付勢力Fs1は、変位X0にばね定数Kを乗じた値で圧力制御弁25に働いている。また、時刻t0では、一端面254に第2付勢部材50が接触しないため、推進力Fs2_pはゼロである。ここで、「ゼロ」は、常識的な誤差範囲を含む。以下、「ゼロ」は、同様に拡大解釈するものとする。
以下関係式(10)に示すように、駆動力Fvは、吸引力Fuと付勢力Fs1と推進力Fs2_pとの和で表される。
時刻t0では、駆動力Fvは、関係式(10)のように、吸引力Fuから変位X0にばね定数Kを乗じた値を減算した値である。圧力制御弁25の移動速度Vはゼロであり、燃料噴射率Qはゼロである。
Fv=Fu+Fs1+Fs2_p ・・・(10)
Fv=Fu−K×X0 ・・・(11)
時刻t0から時刻t3まで、コイル30に電力Wは供給され、吸引力Fuが開方向に働いている。
時刻t0から時刻t1では、圧力制御弁25が開方向に移動し、変位Xは増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなる。
駆動力Fvは、吸引力Fuが付勢力Fs1よりも大きいため、駆動力Fvにより加速され、移動速度Vは増加する。
変位Xの増加に伴い、開口面積Aが増加して圧力制御室20内の圧力が低下する。圧力制御室20内の圧力によって、ニードル60が噴孔12を開き、燃料噴射率Qが増加する。
時刻t1に、変位Xが変位X1に到達し、付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X1を代入した値である。一端面254が第2付勢部材50に接触するため、推進力Fs2_pが閉方向に働く。
駆動力Fvは、付勢力Fs1と推進力Fs2_pとによって小さくなる。
時刻t1から時刻t2では、変位Xは、変位X1から増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなる。法線角度θpが小さくなるため、推進力Fs2_pの大きさは小さくなる。
駆動力Fvは、付勢力Fs1と推進力Fs2_pとによって小さくなる。駆動力Fvによって、移動速度Vは増加する。変位Xの増加に伴い、燃料噴射率Qは増加する。
時刻t2に駆動力Fvがゼロとなり、移動速度Vは最大速度V_maxとなる。
時刻t2から時刻t3では、時刻t1から時刻t2と同様に、変位Xは増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなり、推進力Fs2_pの大きさは小さくなる。
駆動力Fvは、付勢力Fs1と推進力Fs2_pとによって小さくなり、閉方向に働き、負方向に大きくなる。駆動力Fvが閉方向に働くため、移動速度Vは減速される。変位Xの増加に伴い、燃料噴射率は増加する。移動速度Vは減速されるため、時刻t1から時刻t2までと比較して、燃料噴射率変化量ΔQは減少する。
時刻t3に、コイル30への電力Wの供給を停止し、吸引力Fuがゼロになる。変位Xが変位X2に到達し、頂点255が第2付勢部材50に接触する。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X2を代入した値である。法線角度θpがゼロになるため、推進力Fs2_pはゼロである。
駆動力Fvは、付勢力Fs1によって閉方向に働く。駆動力Fvによって減速された移動速度Vはゼロである。移動速度Vがゼロのとき、燃料噴射率Qが最大となる。
時刻t3から時刻t4では、閉方向に働く駆動力Fvによって、圧力制御弁25が閉方向に移動し、変位Xは減少する。変位Xの減少に伴い、付勢力Fs1の大きさは小さくなる。法線角度θpが大きくなり、推進力Fs2_pは閉方向に働き、推進力Fs2_pの大きさが大きくなる。
付勢力Fs1に推進力Fs2_pが加わり、駆動力Fvの大きさは、負方向に大きくなる。駆動力Fvが大きくなることによって、移動速度Vは、閉方向に加速され、燃料噴射率Qが急激に小さくなる。
時刻t4に、変位Xが変位X1に到達し、一端面254から第2付勢部材50が離れ始める。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X1を代入した値である。一端面254から第2付勢部材50が離れるため、推進力Fs2_pはゼロである。
駆動力Fvは、付勢力Fs1によって、閉方向に働いている。推進力Fs2_pがゼロであり、移動速度Vが最小速度V_minとなる。
時刻t4から時刻t5では、変位Xは減少する。変位Xの減少に伴い、付勢力Fs1の大きさは小さくなる。
付勢力Fs1の大きさが小さくなるに伴い、駆動力Fvの大きさが小さくなる。移動速度Vは、駆動力Fvによって加速されるが、駆動力Fvの大きさが小さくなるに伴い、移動速度Vの変化は小さくなる。変位Xの減少に伴い、燃料噴射率Qは小さくなる。
時刻t5に、変位Xは変位X0に到達し、圧力制御弁25がハウジング10内に接触する。付勢力Fs1は、変位X0にばね定数Kを乗じた値が圧力制御弁25に働く。
駆動力Fvおよび移動速度Vがゼロとなり、燃料噴射率Qがゼロとなり燃料の噴射が停止する。
燃料噴射装置1は、鍔部252によって、圧力制御弁25が閉方向に移動しやすくなり、デルタ形噴射がしやすくなる。
図12では、初期状態から、圧力制御弁25が開方向に移動し、頂点255と第2付勢部材50とが接触後、さらに圧力制御弁25が開方向に移動し、他端面256と第2付勢部材50とが接触する。他端面256と第2付勢部材50とが接触してから任意の時間が経過するまで圧力制御弁25は停止し、その後、圧力制御弁25が閉方向に移動し、初期状態に戻るまでを説明する。
時刻m0の時を初期状態とする。時刻m0に、コイル30に電力Wが供給され、吸引力Fuが圧力制御弁25に働き始める。
時刻m0では、変位Xはゼロで、関係式(4)より付勢力Fs1は、変位X0にばね定数Kを乗じた値で圧力制御弁25に働いている。
時刻m0から時刻m4で、コイル30に電力Wは供給され、吸引力Fuが開方向に働いている。
時刻m0から時刻m1では、圧力制御弁25が開方向に移動し、変位Xは増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなる。
駆動力Fvは、吸引力Fuが付勢力Fs1よりも大きいため、駆動力Fvにより加速され、移動速度Vは増加する。
変位Xの増加に伴い、開口面積Aが増加して圧力制御室20内の圧力が低下する。圧力制御室20内の圧力によって、ニードル60が噴孔12を開き、燃料噴射率Qが増加する。
時刻m1に、変位Xが変位X1に到達し、一端面254が第2付勢部材50に接触する。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X1を代入した値である。一端面254が第2付勢部材50に接触するため、推進力Fs2_pが閉方向に働く。
駆動力Fvの大きさは、付勢力Fs1と推進力Fs2_pとによって小さくなる。
時刻m1から時刻m2では、変位Xは、変位X1から増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなる。推進力Fs2_pの大きさは、法線角度θpが小さくなるため、小さくなる。
付勢力Fs1と推進力Fs2_pとによって、駆動力Fvの大きさは小さくなる。駆動力Fvによって、移動速度Vは増加する。変位Xの増加に伴い、燃料噴射率Qは増加する。
時刻m2に、変位Xが変位X2に到達し、頂点255が第2付勢部材50に接触する。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X2を代入した値である。法線角度θpになるため、推進力Fs2_pはゼロである。
時刻m2から時刻m3では、変位Xは、変位X2から増加する。変位Xの増加に伴い、付勢力Fs1の大きさは大きくなる。他端面256が第2付勢部材50に接触するため、推進力Fs2_pが開方向に働き、法線角度θpが大きくなり、推進力Fs2_pの大きさが大きくなる。
駆動力Fvは、吸引力Fuに推進力Fs2_pが加わって開方向に働き、駆動力Fvの大きさは大きくなる。駆動力Fvの大きさが大きくなることによって、移動速度Vは、開方向に加速され、燃料噴射率変化量ΔQが大きくなり、燃料噴射率Qが急激に大きくなる。
時刻m3に、変位Xが変位X3に到達する。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X3を代入した値である。圧力制御弁25が支持部材32に接触し、圧力制御弁25が移動速度Vはゼロとなり、圧力制御弁25は停止する。
時刻m3から任意の時間が経過した時刻m4まで、他端面256と第2付勢部材50とは接触したまま、圧力制御弁25が停止し、燃料噴射をし続ける。
時刻m4に、コイル30への電力Wの供給を停止し、吸引力Fuがゼロになる。
駆動力Fvは、付勢力Fs1が推進力Fs2_pを上回るため、閉方向に働き、移動速度Vが閉方向に加速され、燃料噴射率Qが小さくなる。
時刻m4から時刻m5では、変位Xは減少する。変位Xの減少に伴い、付勢力Fs1は減少する。他端面256と第2付勢部材50とが接触しており、推進力Fs2_pは開方向に働き、法線角度θpが小さくなるため、推進力Fs2_pの大きさは小さくなる。
駆動力Fvは、付勢力Fs1が推進力Fs2_pを上回るため、閉方向に働き、移動速度Vが閉方向に加速され、燃料噴射率Qが小さくなる。
時刻m5に、時刻m2と同様で、変位Xが変位X2に到達し、頂点255が第2付勢部材50に接触する。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X2を代入した値である。法線角度θpがゼロになるため、推進力Fs2_pはゼロである。
時刻m5から時刻m6では、変位Xは、変位X2から減少する。変位Xの減少に伴い、付勢力Fs1の大きさは小さくなる。一端面254が第2付勢部材50に接触するため、推進力Fs2_pが閉方向に働き、法線角度θpが大きくなり、推進力Fs2_pの大きさが大きくなる。
付勢力Fs1に推進力Fs2_pが加わり、駆動力Fvは閉方向に働き、駆動力Fvの大きさは大きくなる。駆動力Fvの大きさが大きくなることによって、移動速度Vは、閉方向に加速され、燃料噴射率Qが急激に小さくなる。
時刻m6に、変位Xが変位X1に到達し、一端面254から第2付勢部材50が離れ始める。付勢力Fs1は、関係式(4)の変位Xに変位X1を代入した値である。一端面254から第2付勢部材50が離れるため、推進力Fs2_pはゼロである。
時刻m6から時刻m7では、変位Xは減少し、変位Xの減少に伴い、付勢力Fs1の大きさは小さくなる。
付勢力Fs1の大きさが小さくなるに伴い、駆動力Fvの大きさが小さくなる。移動速度Vは、駆動力Fvによって加速され、駆動力Fvの大きさが小さくなるに伴い、移動速度Vの変化は小さくなる。変位Xの減少に伴い、燃料噴射率Qは小さくなる。
時刻m7に、変位Xは変位X0に到達し、圧力制御弁25がハウジング10内に接触する。付勢力Fs1は、変位X0にばね定数Kを乗じた値が圧力制御弁25に働く。
駆動力Fvおよび移動速度Vがゼロとなり、燃料噴射率Qがゼロとなり燃料の噴射が停止する。
燃料噴射装置1は、鍔部252によって、圧力制御弁25が開方向に移動しやすくなり、一定量の燃料噴射率Qにするまでの時間である時定数を大きくすることができ、矩形噴射がしやすくなる。
(効果)
[1]本実施形態では、鍔部252が第2付勢部材50に接触したとき、鍔部252が開閉方向に働く推進力Fs2_pによって、圧力制御弁25が開閉方向に移動しやすくなり、デルタ形噴射または矩形噴射がしやすくなる。
図13を参照して、定圧加熱過程を有するサバテサイクルについて説明する。
サバテサイクルは、過程点S1から過程点S2の断熱圧縮過程、過程点S2から過程点S3の定容加熱過程、過程点S3から過程点S4の定圧加熱過程、過程点S4から過程点S5の断熱膨張過程、過程点S5から過程点S1の定容冷却過程の5つからなる。燃料噴射に関する過程は、過程点S3から過程点S4の定圧加熱過程である。
定容加熱過程とは、燃料噴射装置1から燃料を高圧で高温高圧の圧縮空気中へ直接噴射すると燃料が自然に着火燃焼し、この熱エネルギーを一定筒内体積下で燃焼室へ投入する過程である。
定圧加熱過程とは、燃料噴射装置1から燃料を高圧で高温高圧の圧縮空気中へ直接噴射すると燃料が自然に着火燃焼し、この熱エネルギーを一定筒内圧力下で燃焼室へ投入する過程である。
図14(a)、(b)に示すように、定容加熱過程において矩形噴射を行い、定圧加熱過程において、矩形噴射からデルタ形噴射に切り替えて燃料噴射をすることを燃料噴射装置1は可能にする。このため、燃料噴射装置1は、燃料噴射率Qの制御性が向上する。また、矩形噴射からデルタ形噴射に切り替えることによって、燃焼が促進され、筒内圧力Pの低下を抑制することができ、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態が生成可能になる。
[2]また、他端面256が第2付勢部材50に接触したとき、開方向に働く推進力Fs2_pによって、圧力制御弁25が開方向に移動しやすくなる。このため、吸引力Fuを低減可能で、コイルに供給する電力Wを低減できる。したがって、寒冷環境での使用や故障等によりバッテリ33の電圧が低下した場合においても、燃料噴射率Qを安定して制御可能になる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、複数の鍔部の配置が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。
図15に示すように、燃料噴射装置2の鍔部352は、圧力制御弁25の軸方向に、2つ並列して、側壁251に設けられている。鍔部352の数は2つ以上設けてもよい。
複数の鍔部352は、圧力制御弁25と一体となって形成されており、圧力制御弁25の軸方向における鍔部352の外縁の断面が、三角波形状に形成されている。
第2実施形態において、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、鍔部352が複数設けられているため、圧力制御弁25の開閉方向の移動がしやすくなり、燃料噴射率Qの制御性が向上する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、鍔部の形態が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。
図16および図17に示すように、燃料噴射装置3の鍔部452は、環状の1つである円環形状に径方向の断面が形成されており、圧力制御弁25とは別部材で形成されている。
鍔部452は、圧入方法によって圧力制御弁25が挿入され、嵌合されている。
第3実施形態において、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、鍔部452と圧力制御弁25とが圧入方法によって嵌合できるため、鍔部452と係合部材74との接合力が向上する。
(第4実施形態)
第4実施形態では、鍔部の形態が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。
図18に示すように、燃料噴射装置4の鍔部552は、コーティングで成膜されている。図18において、鍔部552は、他の実施形態と区別するため、鍔部552の箇所をドット柄で記載する。
鍔部552は、スパッタ法やイオンビーム蒸着法等の物理蒸着法で成膜されている。または、RFプラズマ、表面波励起プラズマ等のプラズマCVD法で成膜されている。
また、鍔部552は、膜厚が数μmから数十μmとなるように成膜されており、コーティング材料として、DLCや窒化炭素が用いられている。DLCは、Diamond Like Carbonの略で、炭素から成るアモルファスの硬質膜である。DLCや窒化炭素は、低摩擦で耐摩耗性に優れたコーティングとして知られている。
第4実施形態において、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、鍔部552がコーティングによって成膜されていることによって、数μmから数十μmの比較的小さい寸法形状の製造が可能である。また、鍔部552と第2付勢部材50とが接触したとき、DLCや窒化炭素は比較的硬度が大きいため、鍔部552は摩耗しにくく、鍔部552の寿命が長くなる。
(その他実施形態)
(i)第1実施形態の思想を共有する他の実施形態では、図19に示すように、燃料噴射装置5の鍔部257は、圧力制御弁25の軸方向の断面が半円形形状となるように形成してもよい。
図20に示すように、燃料噴射装置6の鍔部258は、圧力制御弁25の軸方向の断面が三角形形状となるように形成してもよい。燃料噴射装置6の第2付勢部材150の接触部51は、圧力制御弁25の軸方向の断面が多角形形状の1つである三角形形状となるように形成してもよい。
図21に示すように、燃料噴射装置7の鍔部259は、圧力制御弁25の軸方向の断面が台形形状となるように形成してもよい。
(ii)第4実施形態の思想を共有する他の実施形態では、コーティングで形成される鍔部は、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、炭窒素化チタン(TiCN)もしくは窒化アルミニウムクロムシリコン(AlCrSiN)等の金属窒化物で成膜されてもよい。
また、炭化チタン(TiC)もしくは炭化タングステン(WC)等の金属炭化物で成膜されてもよい。
さらに、溶射を用いて成膜されてもよい。アルミナ(Al23)もしくはチタニア(TiO2)等の金属酸化物で成膜されてもよい。
(iii)本実施形態が適用される熱サイクルは、サバテサイクルに限定されず、ディーゼルサイクル、エリクソンサイクルおよびガスタービンサイクルといった定圧加熱過程を有する熱サイクルにおいて、適用可能である。
(iv)本実施形態の燃料噴射装置は、燃料噴射率Qの制御性を向上させる目的で、オットーサイクルを有するガソリンエンジンに適用してもよい。
(v)本実施形態の燃料噴射装置における第2付勢部材の接触部は、圧力制御弁の径方向の断面が円形形状に形成されており、接触面と側壁とが点接触してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
10 ・・・ハウジング、
12 ・・・噴孔、
18 ・・・内面、
20 ・・・圧力制御室、
25 ・・・圧力制御弁、 251 ・・・側壁、
40 ・・・第1付勢部材、
50 ・・・第2付勢部材、 53 ・・・接触面、
60 ・・・ニードル、
252、257、258、259、352、452、552 ・・・鍔部。

Claims (5)

  1. 有底筒状で、燃料が噴射される噴孔(12)を先端部に有し、内面(18)で区画形成され燃料が流入出可能な圧力制御室(20)を後端部に有するハウジング(10)と、
    前記圧力制御室に収容され、前記圧力制御室を開閉する方向に移動し、前記圧力制御室における燃料の流出量を制御し、前記圧力制御室内の圧力を制御可能な圧力制御弁(25)と、
    前記ハウジング内で往復摺動可能に収容され、前記圧力制御弁が開閉したとき、前記ハウジングの軸方向に摺動し、前記噴孔を開閉するニードル(60)と、
    電力が供給されるとき、前記圧力制御弁を開方向に吸引するように磁界を生成するコイル(30)と、
    前記圧力制御弁を閉方向に付勢する第1付勢部材(40)と、
    前記ハウジングの内部から突出するように設けられており、前記圧力制御弁の側壁(251)に接触し、前記圧力制御弁の移動に伴い前記側壁に沿って摺動する接触面(53)を有し、前記圧力制御弁の径方向に前記圧力制御弁を付勢する第2付勢部材(50)と、
    前記側壁に設けられ、前記圧力制御弁の径方向内側から径方向外側に延びており、前記第2付勢部材に付勢されたとき、前記圧力制御弁が開閉する方向の力(Fs2_p)を前記圧力制御弁に作用する少なくとも1つの鍔部(252、257、258、259、352、452、552)と、
    を備える燃料噴射装置。
  2. 前記圧力制御弁の軸方向における前記鍔部(252、257)の外縁の断面形状が湾曲している請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記鍔部(258、259)は、前記圧力制御弁の軸方向の断面が多角形形状である請求項1または2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記鍔部(352)は、前記圧力制御弁の軸方向に複数設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記鍔部(452)は、前記圧力制御弁の径方向の断面が環状で、前記圧力制御弁とは別部材である請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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