JP6529853B2 - 残留応力評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料などで形成された凸状形状を有する被検体試料の表層に存在する残留応力を、当該被検体試料の表層を伝搬する超音波の音速値(伝搬時間)に基づいて評価する残留応力評価方法に関する。
機械部品や構造体の非破壊での残留応力の測定は、これら部品や構造体の劣化診断等において極めて重要である。従来から、非破壊での残留応力の測定(評価)には、主にX線回折法が用いられているが、X線回折法では、測定対象である被検体試体の表層のうち極めて浅い領域(〜数μm)しか評価できないといった制約がある。
そこで、これら制約や懸念を解消可能な超音波を用いた残留応力評価手段(音弾性法)として、特許文献1,2に開示される超音波式応力測定装置及び超音波式応力測定方法が提案されている。
特許文献1に開示の超音波式応力測定装置は、応力測定対象材料の内部を、縦波超音波と、振動方向が互いに直交する2つの横波超音波とが伝播した際に得られる超音波データを用いて、前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う超音波式応力測定装置であって、前記縦波超音波を送受信する縦波探触子P0を中心に配設し、この縦波探触子P0の水平方向両側に振動方向が水平方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の水平方向横波探触子P1,P2を配設すると共に、この縦波探触子P0の垂直方向両側に振動方向が垂直方向である横波超音波を送受信する第1及び第2の垂直方向横波探触子P3,P4を配設して成る探触子組立体と、前記探触子組立体の各探触子に対する超音波の送受信制御を行う超音波送受信制御部と、前記超音波送受信制御部から前記各探触子の超音波データを入力し、各超音波の音速度データを求めて前記応力測定対象材料の残留応力の解析を行う測定データ解析部と、を備えていることを特徴とする。
また、特許文献2に開示の超音波式応力測定装置は、応力測定対象材料の表面上に配置可能な縦波超音波探触子及び横波超音波探触子と、前記両探触子を前記材料の表面に沿って移動又は回転させることが可能な探触子駆動機構と、前記両探触子のうちの一方の探触子に前記材料の測定対象部位に対する超音波の発信・受信動作を行わせた後、前記探触子駆動機構に対する前記移動の制御により一方の探触子と他方の探触子との配置を切り換え、他方の探触子に同一測定対象部位に対する超音波の発信・受信動作を行わせるようにし、前記横波超音波探触子については180°/N(N:2以上の整数)の回転角度毎のN回の回転を行わせ、各回転位置において発信・受信動作を行わせる探触子制御手段と、前記両探触子の発信・受信動作により得られる弾性表面波の音速度データから表面組織音響異方性の定数を求め、この求めた定数に基づき応力測定対象材料の残留応力を演算する測定データ解析手段と、を備えていることを特徴とする。
特開2010−236892号公報 特開2008−76387号公報
特許文献1,2に開示の技術は、被検体試料(測定材料)を伝搬する伝搬超音波の音速が残留応力に応じて変化するという音弾性効果に基づいており、上述のX線による被曝の
問題は回避できる。しかし、一般に金属材料における音速の応力依存性(音弾性係数)は小さいため、残留応力の評価の精度を高めるには、被検体試料を伝搬する伝搬超音波の音速を高精度に且つ安定して測定しなくてはならないという課題がある。
そこで、特許文献1,2は、いずれも縦波超音波及び横波超音波を用いてこれら伝搬超音波の音速を測定し、測定された音速の値に基づいて被検体試料中の残留応力を評価することを目的としている。この特許文献1,2は、縦波と横波を併用することで、伝搬超音波の伝搬距離の不確定さに起因する誤差要因を低減して音速(残留応力)の測定精度を高めようと試みている。
しかしながら、特許文献1,2は、平板の被検体試料中の深さ方向の残留応力を評価する技術であるので、曲面形状を有する被検体試料の表層に存在する残留応力を評価することはできない。
理由としては、本願発明者らが、鋭意研究を重ねた結果、曲面形状、特に凸状(曲面の半径が小さい)形状を有する被検体試料の表層に存在する残留応力を評価する際に関しては、その表層を伝搬する伝搬超音波の伝搬時間に測定誤差が生じてしまうという課題が存在することを知見したからである。
詳しくは、曲面形状を有する被検体試料の表層を伝搬する伝搬超音波が表面SH波の場合、曲面形状に沿って表層を伝搬する成分の他に、その被検体試料の曲面形状に沿わずに、内部を直線的に伝搬する成分(表面SH波のショートカット成分)がある(図2の下側の破線を参照)。これら異なった二つの経路を伝搬した表面SH波が重なることにより、伝搬信号に測定誤差が含まれることとなる。
図5に示すように、凸形状とされた測定試料の表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間(同図中のグレー色)には、ショートカット成分が含まれる(短絡成分が重畳されている)ので、平板の表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間(同図中の黒色)と比べてみてもわかるように、ショートカット成分の影響が大きく受けた波形となっていることが確認できる。すなわち、凸形状の測定試料における表面SH波の伝搬時間に測定誤差が生じていることがわかる。
上述の測定誤差により、表面SH波の伝搬時間が不確定なものとなるので、凸状形状を有する被検体試料の表層に存在する残留応力を高い精度で評価することが困難となる。
従って、曲面形状を有する被検体試料の表層に存在する残留応力を評価する際には、特許文献1,2を採用することはできない。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、曲面形状を有する被検体試料において、伝搬超音波のショートカット成分が含まれることで生じる伝搬時間の測定誤差を補正し、補正された伝搬超音波の伝搬時間に基づいて、被検体試料の表層に存在する残留応力を高い精度で評価することができる残留応力評価方法を提供する。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の残留応力評価方法は、凸形状とされた被検体試料の表層に存在する残留応力を、前記被検体試料の表層を伝搬する超音波の伝搬時間に基づいて評価する残留応力評価方法であって、前記被検体試料の表層に超音波を励振する送出ステップと、前記被検体試料の表層を伝搬した超音波を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信された前記超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出ステップと、前記伝搬時間算出ステップで算出された前記超音波の伝搬時間を補正する補正量を算出し、算出された補正量で前記超音波の伝搬時間を補正する補正ステップと、前記補正ステップで補正された前記超音波の補正伝搬時間に基づいて、前記被検体試料の表層に存在する残留応力を評価する評価ステップと、を有し、前記超音波は、表面SH波とレーリ波とであり、前記補正ステップは、前記伝搬時間算出ステップで算出された前記表面SH波の伝搬時間を補正する補正量を算出し、算出された補正量で前記表面SH波の伝搬時間を補正するものとされ、前記評価ステップは、前記補正ステップで補正された前記表面SH波の補正伝搬時間と、前記レーリ波との伝搬時間とに基づいて、前記被検体試料の表層に存在する残留応力を評価するものとされていることを特徴とする。
好ましくは、予め、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ平板とされた平板テストピースと、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ異なる半径の凸形状とされた複数の凸状テストピースとを用意しておき、前記補正ステップにおいては、前記表面SH波及びレーリ波の伝搬距離を一定とした上で、前記平板テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して基準伝搬時間とし、前記複数の凸状テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して各半径ごとの凸状伝搬時間としておき、前記被検体試料における凸形状の半径に対応する凸状伝搬時間と、前記基準伝搬時間との差として前記補正量を算出するとよい。
好ましくは、予め、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ平板とされた平板テストピースと、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ異なる半径の凸形状とされた複数の凸状テストピースとを用意しておき、前記補正ステップにおいては、前記表面SH波及びレーリ波の伝搬距離を複数のものとした上で、各伝搬距離ごとに、前記平板テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して基準伝搬時間とし、前記複数の凸状テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して各半径ごとの凸状伝搬時間としておき、前記被検体試料におけるレーリ波の伝搬時間を基に、実際の伝搬距離を算出し、算出した実際の伝搬距離に対応する凸状伝搬時間と前記被検体試料における表面SH波の伝搬時間とから、前記被検体試料の凸形状の半径を推定し、前記被検体試料における表面SH波の凸状伝搬時間と、推定された前記凸形状の半径に対応する前記基準伝搬時間との差として前記補正量を算出するとよい。
本発明によれば、曲面形状を有する被検体試料において、伝搬超音波のショートカット成分が含まれることで生じる伝搬時間の測定誤差を補正し、補正された伝搬超音波の伝搬時間に基づいて、被検体試料の表層に存在する残留応力を高い精度で評価することができる。
本発明の実施形態による残留応力評価装置の概略構成を示す図である。 本実施形態による残留応力評価装置の送信探触子及び受信探触子の概略構成を拡大して示す図である。 第1実施形態における、平板テストピース及び凸状テストピースの表面SH波の伝搬時間Tを測定方法の概略を示した図である。 第1実施形態における、平板テストピース及び凸状テストピースの表面SH波の伝搬時間Tの測定結果をまとめたグラフであり、且つ凸形状の被検体試料における表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正量ΔTを算出する方法を示した図である。 第2実施形態における、平板テストピース及び凸状テストピースの表面SH波の伝搬時間Tを測定方法の概略を示した図である。 第2実施形態における、平板テストピース及び凸状テストピースの表面SH波の伝搬時間Tの測定結果をまとめたグラフであり、且つ凸形状の被検体試料における表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正量ΔTを算出する方法を示した図である。 平板の表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間Tと、凸形状とされた被検体試料の表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間Tとを比較して示した図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に用いられる残留応力評価装置1の基本的な構成について、説明する。
なお、本発明は、例えば鋼材など金属材料であって、凸形状(曲面形状)に形成された被検体試料(測定試料)Wや、複数の部材で構成された機械部品や構造体などに形成されている凸形状の部位(被検体試料W)を評価対象とする。
残留応力評価装置1は、凸形状の測定試料W(以降、凸状測定試料と呼ぶ。)以降の表層に超音波を伝搬させて当該伝搬した超音波の伝搬時間を測定し、この超音波の伝搬時間に基づいて、凸状測定試料Wの表層に存在する残留応力を評価(測定)装置である。
ここで、表層とは、凸状測定試料Wの表面下(表面皮下)所定の深さ範囲の領域であり、例えば深さ数mmより浅い範囲の領域である。
図1に示すように、残留応力評価装置1は、送信探触子2と、受信探触子3と、パルス発生器4と、波形採取装置7とを備える。
図2に示すように、送信探触子2は、例えば平板状の圧電素子20が超音波伝搬媒体21の内部に装備された超音波プローブであり、凸状測定試料Wの表面上に配置される。送信探触子2は、パルス発生器4から圧電素子20に所定電圧のパルス電圧が加えられると、所定周波数の超音波を出力し、その超音波を凸状測定試料Wの表面へ送出する。
送信探触子2は、超音波として、横波の水平成分であるSH波を出力すると共に、SH波の振動方向に対して垂直方向に振動する横波の垂直成分であるSV波を出力する。出力されたSH波及びSV波は、凸状測定試料Wの表層に振動形態の異なる複数種類の超音波、すなわち表面SH波及びレーリ波を励振する。
一方、受信探触子3は、例えば平板状の圧電素子30が超音波伝搬媒体31の内部に装備された超音波プローブであり、凸状測定試料Wの表面上で送信探触子2と異なる位置に配置される。受信探触子3は、圧電素子30に入射した表面SH波及びレーリ波(伝搬超音波)を、振動形態の異なる複数種類の伝搬超音波として受信し、受信によって発生した電圧をレーリ波及び表面SH波の検出信号(伝搬信号)として外部に出力する。
波形採取装置7は、増幅器5,6から出力された表面SH波及びレーリ波の検出信号を受信して当該検出信号の波形を採取するものであり、トリガ信号の受信からレーリ波の検出信号の受信までの時間を計測してレーリ波の伝搬時間Tを算出すると共に、トリガ信号の受信から表面SH波の検出信号の受信までの時間を計測して表面SH波の伝搬時間Tを算出する。
さて、表面SH波及びレーリ波の伝搬距離L’は、送信探触子2と受信探触子3の距離Lに送信探触子2内の伝搬距離と受信探触子3内の伝搬距離を加えたものであり、表面SH波及びレーリ波の伝搬経路でもある。
上述した残留応力評価装置1を用いた残留応力評価方法について、図を基に説明する。
まず、平板(鋼材)の表層に存在する残留応力を評価するための基本的な考え方を説明し、その後に、本実施形態における、凸状測定試料Wの表層に存在する残留応力の評価の方法を説明する。
平板の表層に存在する残留応力σは、下の式(1)に例示するような、表面SH波の伝搬時間T、レーリ波の伝搬時間Tの関数を用いて表現することができる。
平板の表層に存在する残留応力σを評価するにあたっては、波形採取装置7から表面SH波の伝搬時間T及びレーリ波の伝搬時間Tを取得し、上述の式(1)などを用いて、平板の表層に存在する残留応力σを評価(測定)する。
ところが、凸状測定試料Wの表層に存在する残留応力σ’を、上の式(1)を用いて評価すると、残留応力σ’の存在を正確に評価することはできない。
図2に示すように、凸状測定試料Wの表層を伝搬する表面SH波には、凸状形状に沿って伝搬する表面SH波(同図中の上側破線)の他に、その凸状形状に沿わずに、凸状測定試料Wの内部を直線的に伝搬する表面SH波のショートカット成分(同図中の下側破線)がある。伝搬時間Tには、表面SH波のショートカット成分が含まれており、測定誤差が生じることになる。つまり、算出された伝搬時間T(実測値)は、不確定なものとなってしまう。
そこで、本発明においては、測定誤差となる表面SH波のショートカット成分が含まれた伝搬時間Tを補正し、補正された表面SH波の補正伝搬時間T’とレーリ波の伝搬時間Tに基づいて、凸状測定試料Wの表層に存在する残留応力σ’を評価することとしている。
なお、レーリ波については、測定対象となる試料が凸状(曲面)形状であっても、その凸状の表層を伝搬するレーリ波の伝搬時間Tの変化がほとんどない。
[第1実施形態]
本発明における残留応力評価方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態における残留応力評価方法は、送出ステップと、受信ステップと、伝搬時間算出ステップと、補正ステップと、評価ステップと、を有している。
上述の残留応力評価方法を各ステップに基づいて、詳細に説明する。
送出ステップでは、送信探触子2からSH波及びSV波を凸状測定試料Wの表面に対して送出する。凸状測定試料Wの表面へ送出されたSH波は、図2中破線で示す表面SH波を励振し、SV波は図2中実線で示すレーリ波を励振する。
受信ステップにおいては、凸状測定試料Wの表層を伝搬した表面SH波及びレーリ波を、受信探触子3で受信する。このとき、受信によって発生した電圧を、レーリ波及び表面SH波の検出信号として出力する。出力された検出信号は増幅器5,6で増幅され、増幅された検出信号は波形採取装置7へ出力される。
伝搬時間算出ステップでは、波形採取装置7において、表面SH波及びレーリ波の検出信号の波形が採取すると共に、パルス発生器4から出力されたトリガ信号を受信する。そして、トリガ信号の受信から表面SH波の検出信号の受信までの時間を計測して表面SH波の伝搬時間Tを算出すると共に、トリガ信号の受信からレーリ波の検出信号の受信までの時間を計測してレーリ波の伝搬時間Tを算出する。
補正ステップでは、表面SH波の伝搬時間T(実測値)を補正する補正量ΔTを、予め算出しておいた表面SH波の基準伝搬時間TS0と、伝搬時間算出ステップで算出された表面SH波の伝搬時間Tとから算出し、算出された補正量ΔTで表面SH波の伝搬時間Tを補正して、表面SH波の補正伝搬時間T’とする。
評価ステップでは、評価装置8において、補正ステップで算出された補正表面SH波の補正伝搬時間T’と、伝搬時間算出ステップで算出されたレーリ波との伝搬時間Tとに基づいて、下の式(2)などを用いて、凸状測定試料Wの表層に存在する残留応力σ’を評価する。
続いて、本実施形態の特徴である、表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正ステップについて、詳細に説明する。
予め、凸状測定試料Wと同じ材質を有し、且つ平板とされた平板テストピースTaと、凸状測定試料Wと同じ材質を有し、且つ異なる半径rの凸状形状とされた複数(個数は任意)の凸状テストピースTbを用意しておく。
図3Aに示すように、まず、平板テストピースTaにおける表面SH波の伝搬時間TS0とレーリ波の伝搬時間TR0を算出する。ここで、平板テストピースTaにおける表面SH波の伝搬時間TS0を、補正ステップで用いる表面SH波の基準伝搬時間とする。
次いで、凸状テストピースTbにおける表面SH波の伝搬時間TSXと、レーリ波の伝搬時間TRX(X:任意数)を、各半径rごと(r〜r)に算出する。
例えば、凸状形状の半径がrの凸状テストピースTbの場合、表面SH波の伝搬時間TS1と、レーリ波の伝搬時間TR1が算出される。
図3Bに示すように、凸状形状の半径rごとに対応する、表面SH波の伝搬時間TSXをグラフなどにまとめておく。具体的には、横軸を凸状形状の半径r、縦軸を表面SH波の伝搬時間TSXとして、表面SH波の伝搬時間TSXの算出結果、すなわち各テストピースにおける表面SH波の伝搬時間TS0〜TS3をプロットする。伝搬時間TS0〜TS3がプロットされたグラフは、後ほど補正ステップにて、補正量ΔTを算出する際に用いられる補正グラフとして保存しておく。
なお、各テストピースにおける表面SH波の伝搬時間TS0〜TS3をまとめたものを、補正テーブルとして保存していてもよい。すなわち、各テストピースにおける表面SH波の伝搬時間TS0〜TS3を補正データとして保存しておく。
補正ステップでは、図3Bに示す各テストピースにおける表面SH波の伝搬時間TS0〜TS3などが保存されている補正グラフ(補正データ)を用意し、この補正グラフに基づいて、凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間Tの補正量ΔTを算出する。
例えば、実際の計測(被検体試料Wの計測)において、凸状形状の半径がrであって、凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間TS2と算出された場合、図3Bの補正グラフを参照すると、プロット点Cに該当することがわかる。このプロット点Cと表面SH波の基準伝搬時間TS0を示すプロット点Aとから、凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間Tには、表面SH波のショートカット成分による測定誤差が存在していることがわかる。
そこで、プロット点Aとプロット点Cとの差をとって、この差を凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間Tの補正量ΔTとして、算出する。
算出された補正量ΔTを、下の式(3)のように、実測した凸状測定試料Wにおける
表面SH波の伝搬時間Tに加えて、補正伝搬時間T’を算出する。
以上述べたように、事前に、各テストピースにおける表面SH波の伝搬時間TSXと算出して、その伝搬時間TSXをまとめて補正データとして用意しておくことで、評価対象となる凸状測定試料Wの表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正量ΔTを、容易且つ高精度に算出することが可能となる。
[第2実施形態]
本発明における残留応力評価方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態における残留応力評価方法は、補正ステップに特徴があり、この補正ステップのみに着目して詳細に説明する。なお、本実施形態における送出ステップ、受信ステップ、伝搬時間算出ステップ、評価ステップに関しては、第1実施形態で述べた手順と同じであるので、説明を省略する。
ところで、本実施形態においては、評価対象が第1実施形態と異なり、例えば構造体などに機械部品が接合されている接合部(溶接箇所)など、凸状形状の半径rが正確にわからない凸状測定試料Wを、残留応力σ’の評価対象としている。
それ故、本実施形態では、表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正量ΔTを算出する補正ステップが、第1実施形態の手順と異なる。
予め、凸状測定試料Wと同じ材質を有し、且つ平板とされた平板テストピースTaと、凸状測定試料Wと同じ材質を有し、且つ異なる半径rの凸状形状とされた複数(個数は任意)の凸状テストピースTbを用意しておく。
なお、本実施形態においては、図4Aに示すように、それぞれのテストピースにおいて、表面SH波及びレーリ波の伝搬距離L’が異なるように、送信探触子2と受信探触子3の配置をする。例えば、伝搬距離L’を50mm、100mm、200mmの3種類に設定して、各伝搬距離L’ごとに、それぞれのテストピースにおける表面SH波の伝搬時間TSXとレーリ波の伝搬時間TRXを算出する。
具体的には、平板テストピースTaを用意して、伝搬距離L’を50mmと設定する。そして、伝搬距離L’=50mmにおける平板テストピースTaの表面SH波の伝搬時間TS0(50)とレーリ波の伝搬時間TR0(50)を算出する。ここで、算出された平板テストピースTaの表面SH波の伝搬時間TS0(50)を、伝搬距離L’=50mmにおける表面SH波の基準伝搬時間とする。
続いて、凸状形状の半径がrの凸状テストピースTbを用意して、伝搬距離L’を50mmと設定する。伝搬距離L’=50mmにおける凸状形状の半径がrとされた凸状テストピースTbの表面SH波の伝搬時間TS1(50)とレーリ波の伝搬時間TR1(50)を算出する。このように、伝搬距離L’=50mmに設定した上で、凸状形状の半径がrの凸状テストピースTb、凸状形状の半径がrの凸状テストピースTb、それぞれの表面SH波の伝搬時間TS2(50),TS3(50)と、レーリ波の伝搬時間TR2(50),TR2(50)を算出する。
さらに、各伝搬距離L’(L’=100mm、200mm)をそれぞれ設定した上で、平板テストピースTaと凸状テストピースTbとを用いて、表面SH波の伝搬時間とレーリ波の伝搬時間を求める。すなわち、TS0(100)〜TS3(100)とTR0(100)〜TR3(100)、及びTS0(200)〜TS3(200)とTR0(200)〜TR3(200)を求める。
その上で、図4Bに示すように、各伝搬距離L’(L’=50mm〜200mm)で且つ凸状形状の半径r(r〜r)ごとに対応する、表面SH波の伝搬時間TSXとレーリ波の伝搬時間TRXをグラフなどにまとめて、補正グラフ(補正データ)として保存しておく。図4Bにおいては、L’=50mmの場合が×印のグラフで表され、L’=100mmの場合が△印のグラフで表され、L’=200mmの場合が□印のグラフで表されている。
図4Bに示す補正グラフに基づいて、凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間Tの補正量ΔTを算出する。
具体的には、実際の計測(凸状測定試料Wの計測)において、凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間Tと、レーリ波の伝搬時間Tが算出されたとする。
まず、表面SH波の伝搬時間Tを、図4Bの補正グラフに当てはめて参照すると、プロット点E(△印のグラフ)、プロット点F(□印のグラフ)の2点に該当することが判る。
次に、算出されたレーリ波の伝搬時間Tを、図4Bの補正グラフに当てはめて参照すると、△印のグラフが対応することが判る。このグラフは伝搬距離L’が100mmのものであるため、凸状測定試料Wの測定では、L’=100mmと推定される。
このように、図4Bの補正グラフを参照すると、表面SH波において、伝搬時間Tが同じとなる複数の伝搬距離Lが存在したとしても、レーリ波の伝搬時間Tの値から伝搬距離Lが一意に決まる。すなわち、図4Bの補正グラフを用いることで、伝搬距離Lを一義的に絞り込むことができるともいえる。
以降、図4Bの補正グラフにおいては、△印のグラフに着目することになる。
△印のグラフに対して、算出された表面SH波の伝搬時間Tを当てはめて参照して、凸状測定試料Wにおける凸状形状の半径がr’(プロット点E)であると推定する。
この推定された半径がr’における表面SH波の伝搬時間T(100)を示すプロット点Eと、伝搬距離L’ =100mmにおける表面SH波の基準伝搬時間TS0(1
00)を示すプロット点Gとの差をとって、この差を凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間T(100)の補正量ΔTとして、算出する。
算出された補正量ΔTを、式(3)のように、実測した凸状測定試料Wにおける表面SH波の伝搬時間T(100)に加えて、補正伝搬時間T’(100)を算出する。
以上述べたように、事前に、各伝搬距離L’ごとに、各テストピースの表面SH波の伝搬時間TSXと、レーリ波の伝搬時間TRXを算出して、その各伝搬時間TSX,TRXをまとめて補正データとして用意しておいた上で、凸状形状の半径rの大きさによって変わる表面SH波の伝搬時間Tと、凸状形状の半径rの大きさ拘わらずほとんど変化しないレーリ波の伝搬時間Tとを利用することで、凸状形状の半径rの値が不明である凸状測定試料Wの表層を伝搬する表面SH波の伝搬時間Tを補正する補正量ΔTを、容易且つ高精度に算出することが可能となる。
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体
積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 残留応力評価装置
2 送信探触子
3 受信探触子
4 パルス発生器
5,6 増幅器
7 波形採取装置
8 評価装置
20,30 圧電素子
21,31 超音波伝搬媒体
W 凸状測定試料(凸形状とされた被検体試料)
Ta 平板テストピース
Tb 凸状テストピース

Claims (3)

  1. 凸形状とされた被検体試料の表層に存在する残留応力を、前記被検体試料の表層を伝搬する超音波の伝搬時間に基づいて評価する残留応力評価方法であって、
    前記被検体試料の表層に超音波を励振する送出ステップと、
    前記被検体試料の表層を伝搬した超音波を受信する受信ステップと、
    前記受信ステップで受信された前記超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出ステップと、
    前記伝搬時間算出ステップで算出された前記超音波の伝搬時間を補正する補正量を算出し、算出された補正量で前記超音波の伝搬時間を補正する補正ステップと、
    前記補正ステップで補正された前記超音波の補正伝搬時間に基づいて、前記被検体試料の表層に存在する残留応力を評価する評価ステップと、
    を有し、
    前記超音波は、表面SH波とレーリ波とであり、
    前記補正ステップは、前記伝搬時間算出ステップで算出された前記表面SH波の伝搬時間を補正する補正量を算出し、算出された補正量で前記表面SH波の伝搬時間を補正するものとされ、
    前記評価ステップは、前記補正ステップで補正された前記表面SH波の補正伝搬時間と、前記レーリ波との伝搬時間とに基づいて、前記被検体試料の表層に存在する残留応力を評価するものとされている
    ことを特徴とする残留応力評価方法。
  2. 予め、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ平板とされた平板テストピースと、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ異なる半径の凸形状とされた複数の凸状テストピースとを用意しておき、
    前記補正ステップにおいては、
    前記表面SH波及びレーリ波の伝搬距離を一定とした上で、前記平板テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して基準伝搬時間とし、前記複数の凸状テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して各半径ごとの凸状伝搬時間としておき、
    前記被検体試料における凸形状の半径に対応する凸状伝搬時間と、前記基準伝搬時間との差として前記補正量を算出する
    ことを特徴とする請求項に記載の残留応力評価方法。
  3. 予め、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ平板とされた平板テストピースと、前記被検体試料と同じ材質を有し且つ異なる半径の凸形状とされた複数の凸状テストピースとを用意しておき、
    前記補正ステップにおいては、
    前記表面SH波及びレーリ波の伝搬距離を複数のものとした上で、各伝搬距離ごとに、前記平板テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して基準伝搬時間とし、前記複数の凸状テストピースにおける表面SH波の伝搬時間を算出して各半径ごとの凸状伝搬時間としておき、
    前記被検体試料におけるレーリ波の伝搬時間を基に、実際の伝搬距離を算出し、
    算出した実際の伝搬距離に対応する凸状伝搬時間と前記被検体試料における表面SH波の伝搬時間とから、前記被検体試料の凸形状の半径を推定し、
    前記被検体試料における表面SH波の凸状伝搬時間と、推定された前記凸形状の半径に対応する前記基準伝搬時間との差として前記補正量を算出する
    ことを特徴とする請求項に記載の残留応力評価方法。
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