JP6529706B1 - バラスト水処理方法 - Google Patents

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Abstract

バラスト水処理方法は、バラスト配管を通じてバラスト水をバラストタンクに取り込みながらバラスト配管に殺菌成分を供給する工程と、殺菌成分を供給した後のバラスト水中の殺菌成分の濃度を測定する第1測定工程と、循環配管を通じて、バラストタンクに貯留されたバラスト水をバラスト配管に戻す循環工程と、バラスト配管に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する第2測定工程と、第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合にバラスト配管2に殺菌成分を供給する工程と、を含む。第1供給工程では、第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が6mg/L以上となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給する。

Description

本発明は、バラスト水処理方法に関し、特に、バラスト水中の微生物が増殖しない程度に殺菌成分を追加で供給することができるバラスト水処理方法に関する。
鉱石や原油などの貨物を運搬する貨物船などの船舶は、貨物を積載しているときには海上でも安定している。しかし、空荷または積荷が少ない状態になると、船舶は、プロペラ没水深度を確保できなくなったり、安全航行を確保できなくなったりする。このため、空荷または積荷が少ない状態で船舶が出港する場合には、出港前にバラストタンクにバラスト水の注水を行う。これによりバラストタンクの重量が重くなる。逆に、港内で積荷をする場合には、バラストタンク内のバラスト水を排出する。これによりバラストタンクの重量が軽くなる。このようにバラストタンク内に貯留するバラスト水の量を調整することによって、船舶の重量バランスが取られている。
船舶が荷積み港と荷下し港との間を行き来する場合には、一般的に各港で水質環境が異なっている。このため、バラスト水に含まれる微生物の差異により海洋生態系に悪影響を及ぼすことが国際的に懸念されている。このような懸念に対し、国際海事機構(IMO)は、2004年にバラスト水管理条約を採択した。この条約では、船舶から排水するバラスト水に含まれる生物数の上限が規定されている。また、近年、バラスト水管理基準のガイドラインが厳しくなっているので、上記国際基準のみならず地域規制も定められつつある。また、実運用上では、港湾でバラスト水の水質検査を受ける際に、バラスト水の生物処理を確実に完了させることも要求されている。
従来のバラスト水の処理方法として、例えば、下記特許文献1には、バラスト水の濁度または色度をモニタリングする方法および画像解析によりバラスト水中の生物数を管理する方法が開示されている。
また、特許文献2に開示のバラスト水処理方法では、バラストタンクにバラスト水として取水する原水の吸光度または透過率を測定し、この測定結果に基づいて算出された酸化物濃度の酸化剤をバラスト水に供給している。このように算出された濃度の酸化剤をバラスト水に供給することにより、適した添加量の酸化剤をバラスト水に供給することができる。
特許文献1および2とは異なる試みとして、特許文献3に開示のバラスト水の制御方法が知られている。特許文献3では、バラストタンク内にバラスト水を漲水する時にはバラスト水に殺菌成分を導入せず、その後、バラスト水中の酸化物濃度の時間変化を測定しながらバラスト水に添加する殺菌成分の添加量を決定している。この方法によれば、バラスト水を取り込む水域が決まっている場合には、微生物の殺滅に適した添加量の殺菌成分を添加することができる。
特許文献4に開示のバラスト水の処理方法では、バラストタンクに貯留されたバラスト水を排水する時において、バラストタンクに貯留されたバラスト水が循環流路を介して元のバラストタンクに戻されるという、バラスト水の循環が行われる。このバラスト水の循環中に、バラスト水に中和剤が供給されることによって、バラスト水に含まれる殺菌成分が還元中和されて無害化される。
特許文献5に開示のバラスト水処理装置は、バラストタンク内に貯留されたバラスト水をバラスト配管に戻す循環配管と、バラスト配管に殺菌成分を導入する殺菌成分供給部とを有している。この殺菌成分供給部からバラスト配管に対して殺菌成分を導入することにより、バラスト水に含まれる細菌を死滅させることができる。
上記特許文献1に開示の方法で測定されるバラスト水の濁度および色度は、バラスト水中の微生物数と必ずしも相関するわけではなく、取水する海域のバラスト水に含まれる泥、有機物などの影響を受ける。しかも、上記画像解析によって得られる情報は、バラスト水全体のうちのごく一部に過ぎず、バラスト水全体の微生物数を把握することができるわけではない。しかも、そもそもバラスト水全体の中で微生物が一様に分布しているわけではない。このため、画像解析によって局所的にバラスト水の濁度および色度を把握できたところで、そのデータに基づいてバラスト水全体の処理量を決めるのは妥当ではない。
特許文献2に開示のバラスト水処理方法を用いる場合、泥などの無機粒子が原水の吸光度または透過率の測定に影響する。このため、原水の吸光度または透過率によって酸化物濃度の必要量を的確に把握することは困難である。
上記特許文献1および2の開示を纏めると、バラスト水の濁度、色度、吸光度または透過率等のパラメータを利用しても、バラスト水に投入すべき殺菌成分の分量を的確に把握することは困難と言える。
特許文献3に開示のバラスト水の制御方法は、バラスト水の漲水時にはバラスト水に塩素系活性物質を添加しないことが必須の条件になっている。しかしながら、バラスト水の漲水時にバラスト水に殺菌成分を添加しない場合、バラストタンクに貯留されたバラスト水中で微生物が増殖してしまう。このため、バラスト水中の微生物を死滅させるためには多量の塩素系活性物質が必要になる。
特許文献4には、バラスト水に含まれる活性成分を中和剤で中和することによってバラスト水を無害化することが開示されているのみで、バラストタンク内のバラスト水に殺菌成分を追加で供給することは言及されていない。
特許文献5には、バラスト水に対して殺菌成分を供給することによって細菌を殺滅させることは開示されているが、バラスト水中のプランクトン類を殺滅させることについては開示されていない。バラスト水の排水基準には、体長別のプランクトン数が決められているので、バラストタンクに貯留されたバラスト水を排水する前には、バラスト水中のプランクトンを死滅させる必要がある。
従来のバラスト水処理システムでは、バラストタンク内にバラスト水を保管している間に、バラスト水中に存在する溶存有機物およびアンモニア性物質が殺菌成分と化学反応を起こすことにより、殺菌成分が消費されてしまう。これにより殺菌成分の濃度が低くなる。そうなると、バラスト水中で仮死状態になったプランクトン類が復活することもある。またあるいは、殺菌成分が供給されたときにプランクトンが卵の状態である場合には、時間の経過によりバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が低くなったタイミングで卵状態のプランクトンが新たにふ化して成長することもある。このような事情があるため、漲水時にバラスト水を殺菌処理するだけでは、バラスト水の排水時までプランクトンを死滅させることは困難である。
特開2009−112978号公報 特開2016−064376号公報 国際公開第2015/075820号 特開2015−016761号公報 国際公開第2016/174890号
本発明の目的は、従来よりも少量の殺菌成分で、バラスト水中の微生物、すなわち細菌およびプランクトン類の両方を殺滅させることができるバラスト水処理方法を提供することである。
本発明者らはバラスト水に殺菌成分を供給するタイミングを漲水時だけに限定せずに、排水前にもバラスト水に殺菌成分を供給することが有効であることに着目した。このような着眼点に基づいて、本発明者らは、漲水時にはバラスト水中の微生物を確実に殺滅させるだけの殺菌成分をバラスト水に供給し、さらにバラスト水を排水する前にプランクトン類を殺滅させるだけの殺菌成分を追加でバラスト水に供給することを見出した。本発明者らがさらに検討を重ねたところ、プランクトンを殺滅するために必要な殺菌成分の供給量は、微生物を殺菌するために必要な殺菌成分の供給量に対する相対値によって定められることが明らかとなり、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一局面に係るバラスト水処理方法は、バラスト配管を通じてバラスト水をバラストタンクに取り込みながら前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第1供給工程と、前記殺菌成分を供給した後のバラスト水中の殺菌成分の濃度を測定する第1測定工程と、前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を排水する前に、前記バラストタンクに接続された循環配管を通じて前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を前記バラスト配管に戻す循環工程と、前記バラスト配管に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する第2測定工程と、前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合、前記バラスト配管を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第2供給工程と、を含み、前記第1供給工程は、前記第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が6mg/L以上となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する。
実施形態のバラスト水処理方法に用いるバラスト水処理装置の構成を示す概略図である。 上記バラスト水処理装置における殺菌制御部の入出力を説明するための模式図である。 上記バラスト水処理方法の各工程を説明するためのフローチャートである。 図1のバラスト水処理装置の変形例の概略図である。
以下、図1を参照して実施形態のバラスト水処理方法を実行するバラスト水処理装置1の構成について説明する。
<第1実施形態>
(バラスト水処理装置)
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、船内に配置されたバラストタンク60に取り込む海水(バラスト水)に対して殺菌成分を供給するときと、バラストタンク60内のバラスト水の殺菌成分の濃度を高めるときと、に用いられる。バラスト水処理装置1は、バラスト配管2と、バラストポンプ10と、フィルター20と、供給前濃度測定部41と、殺菌成分供給部40と、ミキサー50と、供給後濃度測定部42と、バラストタンク60と、殺菌制御部70と、循環配管80と、迂回配管90とを主に備えている。
バラスト配管2は、バラストタンク60に繋がれている。バラスト配管2は、船内に汲み上げられた海水をバラストタンク60へ導くための供給流路を構成している。バラスト配管2は、海水が流入する一方の配管口2Aと、バラストタンク60に繋がれた他方の配管口2Bと、を有している。海水は、一方の配管口2Aからバラスト配管2内に流入する。バラスト配管2内では、海水が、海水の流れ方向Dに沿って他方の配管口2Bに向かって流れる。これにより、海水は、バラストタンク60へ導かれて、バラストタンク60において、船体を安定化させるためのバラスト水として貯留される。
循環配管80は、バラストタンク60に貯留されたバラスト水の一部をバラスト配管2に戻すために用いられる。具体的には、循環配管80は、バラストタンク60に接続された一端と、バラスト配管2におけるバラストポンプ10よりも上流側に位置する第1の接続部分2Cにおいて、バラスト配管2に接続された他端とを有している。上述の位置に循環配管80が接続されることにより、バラストタンク60内のバラスト水の一部が循環配管80を経由してバラスト配管2内に戻されるとともにバラスト配管2内の流れ方向Dに沿ってバラストタンク60にバラスト水が流れる循環流路が形成される。
バラストポンプ10は、バラスト配管2を流れるバラスト水をバラストタンク60に供給するための駆動力を発生するためのものである。バラストタンク10は、上記第1の接続部分2Cよりもバラスト水の流れ方向の下流側においてバラスト配管2に設けられている。バラストポンプ10のポンプ圧により、海水がバラスト配管2内に流入し、バラストタンク60に供給される。またバラストポンプ10のポンプ圧により、バラストタンク60内のバラスト水が循環配管80を経由してバラスト配管2に流入するとともに、このバラスト水はバラスト配管2を流れてバラストタンク60に戻される。
フィルター20は、バラスト配管2において、バラストポンプ10よりもバラスト水の流れ方向Dの下流側(バラストタンク60側)に配置されている。バラストタンク60にバラスト水を取り込むときに、バラスト水がフィルター20を通過することにより、プランクトン類の中でも比較的大型の生物および浮遊物質をバラスト水から除去することができる。これによりバラスト配管2に供給すべき殺菌成分の分量を抑えることができる。
迂回配管90は、バラスト配管2を流れるバラスト水がフィルター20をバイパス(迂回)できるようにバラスト配管2に接続されている。具体的には、迂回配管90の一端が、バラスト配管2においてフィルター20の上流側に位置する第2の接続部分2Dに接続され、迂回配管90の他端が、バラスト配管2において、フィルター20の下流側に位置する第3の接続部分2Eに接続されている。バラストタンク60に貯留されたバラスト水が循環配管80を経由してバラスト配管2に戻され後でバラスト配管2を流れる場合、当該バラスト水が迂回配管90に通されることによりフィルター20を迂回することができる。これによりバラスト水がフィルター20を通過する場合と比べて、バラストタンク60に貯留されたバラスト水をより高速でバラスト配管2内に戻すことができる。なお、図示省略しているが、バラスト配管2には、第2の接続部分2Dと第3の接続部分2Eとの間に開閉弁が設けられている。そして、開閉弁が閉じられると、バラスト水はフィルター20を迂回するように迂回配管90を流れる。
殺菌成分供給部40は、バラスト配管2に殺菌成分を供給できるように、第3の接続部分2Eよりも下流側において、バラスト配管2に接続されている。殺菌成分供給部40からバラスト配管2への殺菌成分の供給量は、後述する殺菌制御部70によって制御されている。バラスト水をバラスト配管2に取り込む時に殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を供給することにより、バラスト水に殺菌成分が供給される。これにより、バラスト水中に存在する微生物(細菌やプランクトン類等)を撲滅させることができる。
殺菌成分供給部40は、バラストタンク60に貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を高めるときにも用いられる。すなわち、バラストタンク60に貯留されたバラスト水が循環配管80及びバラスト配管2に流れるときに、バラスト配管2を流れるバラスト水に対して、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分が供給される。これにより、殺菌成分が追加されたバラスト水がバラストタンク60に戻される。したがって、バラストタンク60内のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を高めることができる。
殺菌成分供給部40は、バラスト配管2を通過するバラスト水に殺菌成分を供給することができるものであればいかなるタイプのものを用いてもよい。このような殺菌成分供給部40としては、例えば、バラスト配管2に殺菌成分を直接注入する構成のもの、高濃度の殺菌成分を含む溶液をバラスト配管2に注入する構成のもの、オゾン発生器によって発生したオゾンをバラスト配管2に注入する構成のもの、海水を含むバラスト水を電気分解することによって次亜塩素酸を発生させる構成のもの等が挙げられる。これらの中でも、次亜塩素酸を発生させる成分を含む溶液をバラスト配管2に供給することが好ましい。これによりバラスト水処理を行う時に電力消費量を減らすことができる。
ここで、次亜塩素酸を発生させる殺菌成分としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩類、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸等の塩素化イソシアヌル酸塩等が挙げられる。このうち、次亜塩素酸塩類は、水溶液で塩基性を示すのに対し、塩素化イソシアヌル酸塩は水溶液で酸性を示す。次亜塩素酸の殺菌力は酸性の方が強いので、塩素化イソシアヌル酸塩を使用することが好ましく、より好ましくは、塩分を含まない水に塩素化イソシアヌル酸塩を溶解させることによって調整した殺菌成分を含む溶液を使用することである。塩素化イソシアヌル酸塩の中でもジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは、水への溶解性が高い点で好ましく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの二水和物は、固形状態であるため、保管、貯蔵および運搬を制限されにくいのでより好ましい。一方、トリクロロイソシアヌル酸は、水溶液の酸性が強く、有効塩素濃度が高いという利点がある。
供給前濃度測定部41は、バラストタンク60に貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定するためのものである。供給前濃度測定部41は、バラスト配管2において、バラスト水の流れ方向の第3の接続部分2Eよりも下流側であって、かつ殺菌成分供給部40よりも上流側の部位に接続されている。この位置に設けられた供給前濃度測定部41によってバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定することにより、バラストタンク60に貯留されたバラスト水の殺菌成分の濃度を把握することができる。ここで測定された測定結果は、殺菌制御部70に入力される。
本実施形態における供給前濃度測定部41は、第3の接続部分2Eと殺菌成分供給部40との間において、バラスト配管2に取り付けられている。しかしこの位置に限定されるものではない。すなわち、供給前濃度測定部41の取り付け位置は、バラストタンク60内のバラスト水の殺菌成分の濃度を測定できる位置である限り、特に限定されない。供給前濃度測定部41は、例えばバラストタンク60に取り付けられてもよいし、循環配管80に取り付けられてもよいし、迂回配管90に取り付けられてもよいし、第1の接続部分2Cおよび第2の接続部分2Dの間において、バラスト配管2に取り付けられてもよい。
ミキサー50は、バラスト配管2を流れるバラスト水を撹拌するものであり、バラスト配管2において殺菌成分供給部40よりも下流側の部位に接続されている。殺菌成分供給部40から供給された殺菌成分を含むバラスト水をミキサー50で撹拌することにより、バラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を均一化させることができる。
供給後濃度測定部42は、殺菌成分供給部40から殺菌成分が供給されてミキサー50で撹拌された後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定するものであり、バラスト配管2におけるミキサー50よりも下流側の部位に接続されている。供給後濃度測定部42がこの位置に設けられることにより、バラストタンク60に供給されるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を把握することができる。ここで測定された測定結果は、殺菌制御部70に入力される。
なお、供給前濃度測定部41および供給後濃度測定部42はいずれも、バラスト配管2を流れるバラスト水のTRO濃度を検知可能なものであれば、どのようなタイプの測定器でも特に限定することなく用いることができる。
供給前濃度測定部41および供給後濃度測定部42で測定されたバラスト水の殺菌成分の濃度の測定結果は、殺菌制御部70に入力される。殺菌制御部70は、この入力された測定結果に基づいて、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌成分の分量を調整するための制御を行う。以下、殺菌制御部70の構成について図2を参照して詳細に説明する。図2は、殺菌制御部70の入出力を示す模式図である。
殺菌制御部70は、図2に示すように、判定部70A、制御部70Bおよび記憶部70Cを含み、これらによって殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を供給する分量を電磁的に制御している。判定部70Aには、供給前濃度測定部41で測定されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度の測定結果が入力される。また記憶部70Cには、バラストタンク60への漲水時に供給後濃度測定部42によって測定された殺菌成分の濃度のデータが格納されている。判定部70Aは、供給前濃度測定部41から入力された測定結果と記憶部70Cに格納された殺菌成分の濃度との比較を行い、その比較結果に基づいて殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を導入する必要があるか否かを判定する。
制御部70Bは、判定部70Aによる上記判定結果が入力され、これに基づいて殺菌成分供給部40からバラスト配管2に導入する殺菌成分の分量を調整する。具体的には、判定部70Aによってバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を高める必要があると判定された場合には、制御部70Bは、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を供給するように殺菌成分供給部40を制御する。逆に、判定部70Aによりバラスト配管2に殺菌成分を導入する必要がないと判定された場合には、制御部70Bは、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を供給しないように殺菌成分供給部40を制御する。
このようにバラストタンク60に貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を供給前濃度測定部41で測定し、その結果を制御部70Bにフィードバックする。その結果、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌成分の供給量を調整することができる。具体的には、バラスト水の殺菌成分の濃度が漲水時に供給後濃度測定部42で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満の場合に、殺菌成分の濃度が漲水時に測定された時の0.2倍以上となるように、殺菌成分供給部40からバラスト配管2への殺菌成分の供給量が調整される。このようにして殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給する殺菌成分の分量を調整することにより、バラスト水の殺菌成分の濃度を適度に高めることができ、その結果、バラスト水中に存在する微生物等を殺滅させることができる。
以下に、上記バラスト水処理装置1を用いた本実施形態のバラスト水処理方法の各工程を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。図3は、本実施形態のバラスト水処理方法の各工程を示すフローチャートである。
<バラスト水処理方法>
本実施形態のバラスト水処理方法は、図3に示すように、第1供給工程S1と、第1測定工程S2と、循環工程S3と、第2測定工程S4と、第2供給工程S6とを含む。第1供給工程S1では、バラスト配管2を通じてバラスト水をバラストタンク60に取り込みながらバラスト配管2に殺菌成分を供給する。第1測定工程S2では、殺菌成分が供給された後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する。循環工程S3では、バラストタンク60に接続された循環配管80を通じて、バラストタンク60に貯留されたバラスト水をバラスト配管2に戻す。第2測定工程S4では、バラスト配管2に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する。第2供給工程S6では、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合(S5:No)、バラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給する。以下に本実施形態のバラスト水処理方法を構成する各工程を説明する。
(第1供給工程S1)
第1供給工程S1では、バラストポンプ10のポンプ圧力により海水(バラスト水)を船外からバラスト配管2内に取り込む。この取り込み時には循環配管80を用いない。そして、バラスト配管2に取り込んだバラスト水をフィルター20に通過させることによりバラスト水に含まれる微生物を除去する。フィルター20を通過したバラスト水に対して、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に殺菌成分を供給する。これによりバラスト水に含まれる細菌類を殺滅させることができる。
第1供給工程S1で殺菌成分が供給された後のバラスト水のTRO濃度は、バラスト水に含まれる溶存有機物およびアンモニア性物質の分量によって決められることが好ましい。例えば溶存有機物およびアンモニア性物質がバラスト水中に多く含まれる場合、当該バラスト水に供給する殺菌成分の分量を多くすることが好ましい。なぜなら、殺菌成分が溶存有機物およびアンモニア性物質と化学反応を起こすことにより、殺菌成分が短時間で消費されるからである。上記の殺菌成分を供給した後には、バラスト水をミキサー50等で撹拌することが好ましい。これによりバラスト水に含まれる殺菌成分を均一化することができる。
上記撹拌後のバラスト水のTRO濃度は6mg/L以上10mg/L以下とすることが好ましく、7mg/L以上9mg/L以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは7.5mg/L以上8.5mg/L以下である。TRO濃度を6mg/L以上とすることにより、殺菌作用を長時間持続させることができる。これによりバラスト水中の微生物を殺滅させることができる。また、漲水時のバラスト水のTRO濃度を比較的高濃度の6mg/L以上とすることにより、一般的な細菌(従属栄養細菌類など)よりも体長が大きいプランクトン等を死滅させるか死滅寸前にまで追い込むことができる。すなわち、TRO濃度が低い場合、水質によっては薬効成分が消費されることによりTRO濃度が低くなりすぎることがある。この場合、細菌は殺滅できてもプランクトン類を殺滅できないことがある。また、バラスト水処理においては、寄港地で漲水した海水などがバラストタンクに入ってくるが、複数の地点での取り入れられた処理水がバラストタンク内で混合された場合に、処理水が薄まって殺滅効果が低下する懸念もある。このため、薬効成分濃度は高い方が好ましい。後述の第2供給工程S6で確実に殺滅すべく、第1供給工程S1では、できるだけ高い薬効成分濃度で処理しておくことが望ましい。
一方、薬効成分を多量に注入すると、薬効成分によっては、バラストタンク及び配管に腐食が生じたり、薬剤の使用量が増えて材料コストが高くなったり、バラスト水の排水時に薬効成分の中和処理に多大な時間及び中和剤が必要となったり、等の問題が生じることがある。このため、TRO濃度を10mg/L以下とすることによりバラスト水に過剰の殺菌成分を供給することを抑制することができる。特に、殺菌成分として塩素系薬剤を用いる場合には、バラスト水のTRO濃度を10mg/L以下とすることにより、バラスト配管2およびバラストタンク60に腐食を生じることを抑制することができる。
(第1測定工程S2)
次に、第1測定工程S2において、上記殺菌成分が供給された後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が測定される。この測定は、供給後濃度測定部42によって行われる。ここで測定された殺菌成分の濃度(TRO濃度)は、殺菌制御部70の記憶部70Cに入力される。
(循環工程S3)
次に、循環工程S3では、バラストタンク60に貯留されたバラスト水が循環配管80を通じてバラスト配管2に戻される。そして、バラスト配管2に戻されたバラスト水は、バラストポンプ10のポンプ圧力によりバラスト配管2を通じてバラストタンク60に供給される。このようにしてバラストタンク60に貯留されたバラスト水は、循環配管80及びバラスト配管2を通じてバラストタンク60へと循環される。
ここで、循環工程S3で循環させるバラスト水の1時間あたりの循環量は、バラスト水処理装置に取り込まれた全バラスト水の体積の10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。このような割合のバラスト水を循環させることにより、船舶のバランスを良好に保つことができる。また、循環工程で循環させるバラスト水の1時間あたりの循環量は、バラストタンクの定格容量(設計上の最大可能貯蔵容量)に対して、1/2以下とすることが好ましく、1/3以下とすることがさらに好ましい。
(第2測定工程S4)
第2測定工程S4では、上記循環工程S3でバラスト配管2に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が測定される。この測定は供給前濃度測定部41によって行われる。これによりバラストタンク60に貯留されたバラスト水のTRO濃度を把握することができる。ここで測定された殺菌成分の濃度(TRO濃度)は、殺菌制御部70の判定部70Aに入力される。第2測定工程S4は、上記循環工程S3を行っている間において連続的に行ってもよいし、上記循環工程S3を行っている間において間欠的に行ってもよい。
(測定データの判定工程S5)
次に、上記第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度(TRO濃度)が、第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度(TRO濃度)の0.2倍以上であるか否かを判定する。具体的には、殺菌制御部70の判定部70Aは、入力された測定データが第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.2倍以上であるか否かを判定し(判定工程S5)、当該判定結果が制御部70Bに入力される。制御部70Bは、第2測定工程S4で測定されたTRO濃度が、第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.2倍以上である場合(判定工程S5:Yes)、バラスト水に対して追加の殺菌成分を供給することは行わずにバラスト水の殺菌処理を終了する(エンド)。一方、第2測定工程S4で測定されたTRO濃度が、第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.2倍未満である場合(判定工程S5:NO)、以下の第2供給工程S6を実行する。
(第2供給工程S6)
第2供給工程S6では、供給後濃度測定部42で測定されたTRO濃度が、第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように、上記制御部70Bは、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給する殺菌成分の供給量を調整するための制御を行う。これによりバラストタンク60に貯留されるバラスト水のTRO濃度を高めることができ、バラストタンク60内のバラスト水でプランクトンが復活または卵の状態だったプランクトンが再増殖することを防ぐことができる。第2供給工程S6では、供給後濃度測定部42によって測定されるTRO濃度が第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.22倍以上0.4倍以下となるように、上記制御部70Bは、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給する殺菌成分の供給量を調整するための制御を行うことが好ましく、より好ましくは、上記制御部70Bは、0.25倍以上0.35倍以下となるように殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給する殺菌成分の供給量を調整するための制御を行う。
上記第2供給工程S6は、第1供給工程S1を実施した後であって且つ、バラスト水を外部に排出する前であれば、特に時期を限定することなく実施される。第2供給工程S6は、バラスト水の排水予定時刻から逆算して120時間以内に実施されることが好ましい。このようなタイミングで第2供給工程S6を実行することにより、バラスト水のTRO濃度が再び低下することを防止することができ、それにより、排水時に微生物が再増殖することを防止することができる。
第2供給工程S6を実行するタイミングは、微生物の再増殖をより確実に防止するという観点から、排水予定時刻の前の48時間以内であることが好ましく、より好ましくは排水予定時刻の前の24時間以内である。また排水予定時刻よりも6時間以上前に第2供給工程S6を実行することが好ましい。なぜなら、第2供給工程S6を開始してすぐにバラストタンク60内のバラスト水の殺菌成分の濃度を高めることができるわけではないし、殺菌成分の濃度を高めてから微生物が死滅するまでにも一定の時間が必要になるからである。
ここで、第2供給工程S6で供給される殺菌成分の供給量が第1供給工程S1で供給される殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下に設定される理由として、以下の2点が挙げられる。
(理由1)第1供給工程S1で供給された殺菌成分は、海水に含まれる溶存有機物およびアンモニア性物質と反応して消費される。このため、第1供給工程S1を終えた後のバラスト水の殺菌成分の濃度(TRO濃度)は、時間の経過によって低下しやすい。そして、第2供給工程S2では、溶存有機物およびアンモニア性物質は既に消費されてほとんど含まれない。このバラスト水に対して殺菌成分が供給されるので、第2供給工程S2を終えた後のバラスト水の殺菌成分の濃度(TRO濃度)は低下しにくい。このため、第2供給工程S6では、バラスト水に生存する微生物を殺滅するために必要な最小量の殺菌成分を供給するだけでよい。
(理由2)バラストタンク内は一般に光が届かない暗室であり、酸素が供給されることもない。このため、植物性プランクトンの生育には不利である。植物性プランクトンが少ないと、それを捕食する動物性プランクトンも減少する。また複数回海水をバラストタンク60に取り込む場合には、バラスト水の塩分や水温が微生物の生育の好適範囲から外れやすい。このため、プランクトンおよび細菌が生育しにくい。したがって、バラストタンク60内のバラスト水に存在するプランクトンおよび細菌は、バラストタンク60に海水を取り込むときに海水に存在するプランクトンおよび細菌と比べて死滅しやすいと考えられる。
上記の理由により、第2供給工程S6において微生物を殺滅するために必要な殺菌成分を供給量は、第1供給工程S1で必要な殺菌成分の供給量と比べて少なくすることができる。したがって、第2供給工程S6で殺菌成分を供給した後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度は2mg/L以上4mg/L以下であることが好ましい。第2供給工程S6を終えた後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を4mg/L以下とすることにより、殺菌成分の供給量を減らすことができるし、バラストタンク60およびバラスト配管2が腐食することを抑制することも可能となる。第2供給工程S6で殺菌成分を供給した後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度は、2.2mg/L以上3.8mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは2.5mg/L以上3.5mg/L以下である。
本実施形態のバラスト水処理方法のように、バラストタンク60に貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を供給前濃度測定部41によって測定し、当該測定結果を殺菌成分供給部40にフィードバックする。これによりバラスト水中の殺菌成分の濃度が低くなったタイミングで(具体的には漲水時の0.2倍未満)、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に適正な分量の殺菌成分を供給することができる。これにより、バラストタンク60内のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を適度に高めることができる。したがって、バラストタンク60内のバラスト水中のプランクトンの復活および再増殖を抑えることができる。
<第2実施形態>
上記実施形態1においては、第1測定工程S2を終えた後に循環工程S3を実施する場合を説明したが、第1測定工程S2を終えた後であって循環工程S3を行う前に、第1供給工程S1および第1測定工程S2をさらに1回以上繰り返す工程を含んでいてもよい。このように第1供給工程S1と第1測定工程S2とをそれぞれ1回以上繰り返すことにより、異なる複数の海水を異なる時期にバラスト水としてバラストタンク60に取り込むことができる。
バラスト水処理装置の実運用上は、1箇所の寄港地で海水をバラスト水としてバラストタンク60に取り込む場合に限られず、異なる2箇所以上の寄港地で海水をバラスト水としてバラストタンク60に取り込むことが多い。本実施形態のバラスト水処理方法によれば、2箇所以上の寄港地で海水をバラスト水としてバラストタンク60に取り込む場合でも、上記実施形態1の場合と同様に、適度なタイミングで殺菌成分を適量補うことができる。
本実施形態のように第1供給工程S1および第1測定工程S2をそれぞれ複数回実行する場合、複数の第1測定工程S2のうちから特定の第1測定工程S2を選択し、そこで選択された第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度に基づいて第2供給工程で供給すべき殺菌成分の分量を決めることが好ましい。以下では、複数の第1測定工程S2のうちのどの第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度に基づいて第2供給工程で供給すべき殺菌成分の分量を決めるかを説明する。
(1)最後の第1測定工程に基づく調整
第2供給工程S6では、複数回の第1測定工程のうちの最後の測定工程で測定された殺菌成分濃度に基づいて、供給する殺菌成分の濃度を調整してもよい。具体的には、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2のうちの最後の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に殺菌成分が供給される。このとき、第2供給工程S6において、当該最後の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように、殺菌成分供給部40は、バラスト配管2に殺菌成分を供給してもよい。
(2)取り込み量が最大のときの第1測定工程に基づく調整
第2供給工程S6では、複数回の第1測定工程のうち、バラスト水の取り込み量が最も多かったときの測定工程で測定された殺菌成分濃度に基づいて、供給する殺菌成分の濃度を調整してもよい。具体的には、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2のうちのバラスト水の取り込み量が最も多いときの第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に殺菌成分が供給される。このとき、第2供給工程S6において、当該取り込み量が最も多かったときの第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように、殺菌成分供給部40は、バラスト配管2に殺菌成分を供給してもよい。
(3)殺菌成分の濃度の最大値に基づく調整
第2供給工程S6では、複数回の第1測定工程で測定された殺菌成分濃度の最高値に基づいて、供給する殺菌成分の濃度を調整してもよい。具体的には、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の最高値の0.2倍未満である場合に殺菌成分が供給される。このとき、第2供給工程S6において、バラスト配管2を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が当該最高値の0.2倍以上0.5倍以下となるように、殺菌成分供給部40は、バラスト配管2に殺菌成分を供給してもよい。
(4)殺菌成分の濃度の最小値に基づく調整
第2供給工程S6では、複数回の第1測定工程で測定された殺菌成分濃度の最低値に基づいて、供給する殺菌成分の濃度を調整してもよい。具体的には、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の最低値の0.2倍未満である場合に殺菌成分が供給される。このとき、第2供給工程S6において、バラスト配管2を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が、当該最低値の0.2倍以上0.5倍以下となるように、殺菌成分供給部40は、バラスト配管2に殺菌成分を供給してもよい。
(5)全ての殺菌成分濃度に基づく調整
第2供給工程S6では、複数回の第1測定工程で測定された全ての殺菌濃度に対して0.2倍以上0.5倍以下となるように殺菌成分を供給してもよい。具体的には、複数回の第1供給工程S1が行われる場合において、何れの第1供給工程S1においても、TRO濃度が6mg/以上10mg/L以下になるように殺菌成分の濃度が調整されている。このため、第2供給工程S6において、TRO濃度が2mg/L以上3mg/L以下になるように殺菌成分を供給すれば、第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となる。すなわち、第2供給工程S6では、複数回の第1供給工程S1において測定された全ての殺菌濃度に対して0.2倍以上0.5倍以下となるように殺菌成分が供給される。この場合、第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最低値や最高値をわざわざ管理しなくても、殺菌成分の濃度割合を所定範囲内に収めることができる。
<変形例>
実施形態1のバラスト水処理装置1においては、バラストタンク60が1つ設けられる。しかしながら、2つ以上のバラストタンク60が設けられてもよい。図4のバラスト水処理装置は、図1のバラスト水処理装置とは2つのバラストタンクが設けられる点で異なるが、その他は実施形態1のそれと同一である。
船舶に搭載される積み荷の位置および重量は船舶が寄港する度に変更されるので、積み荷の位置および重量に応じて、バラストタンク60に貯留されるバラスト水の重量を調整する必要がある。その点、図4の変形例に示すように、バラスト水処理装置において2つのバラストタンク(第1バラストタンク60a、第2バラストタンク60b)を設けることにより、積み荷の積載位置に応じて一方のバラストタンク(例えば第1バラストタンク60a)から他方のバラストタンク(例えば第2バラストタンク60b)にバラスト水を流入させることができ、これにより船体バランスを保つことができる。第1バラストタンク60a及び第2バラストタンク60bは、それぞれバラスト配管2に接続されている。そして、図示省略しているが、バラスト配管2を流れるバラスト水(海水)を第1バラストタンク60a及び第2バラストタンク60bの何れに流入させるかを切り換える切換機構が設けられている。
バラスト配管2は、バラストポンプ10、供給前濃度測定部41、殺菌成分供給部40及び供給後濃度測定部42が設けられたメイン管2fと、メイン管2fと第1バラストタンク60aとを繋ぐ第1枝管2gと、メイン管2fと第2バラストタンク60bとを繋ぐ第2枝管2hと、を備えている。そして、切換機構は、例えば、第1枝管2gに設けられた開閉弁と、第2枝管2hに設けられた開閉弁とを備えている。この変形例では、2つのバラストタンクを設ける場合が示されているが、バラストタンクを3つ以上設けてもよい。
この変形例では、各バラストタンク60a,60b毎に、前記実施形態と同様に殺菌成分濃度の調整が行われる。例えば、第1バラストタンク60aに貯留されたバラスト水の殺菌成分の濃度を調整する場合には、第1バラストタンク60aに貯留されたバラスト水をバラスト配管2との間で循環させて、前記実施形態と同様に、殺菌成分の濃度を調整する。このとき、第2バラストタンク60bに貯留されたバラスト水は循環させない。一方で、第2バラストタンク60bに貯留されたバラスト水の殺菌成分の濃度を調整する場合には、第2バラストタンク60bに貯留されたバラスト水をバラスト配管2との間で循環させて、前記実施形態と同様に、殺菌成分の濃度を調整する。
(実施例1)
本実施例1では、まず、図1に示されるバラスト水処理装置1を用いて異なる2つの海域で回収した2種の海水100mずつをバラスト水としてそれぞれ容量約300mのバラストタンク60に取り込んだ。
具体的には、バラストポンプ10のポンプ圧によりバラスト配管2の配管口2Aから100mの海水(以下「バラスト水」とも記す)を50m/時の流量でバラストタンク60に取り込んだ。このバラスト水をフィルター20に通過させることによりバラスト水中の大型の微生物(大型のプランクトンを含む)および粒子を除去した。
上記フィルター20で濾過した後のバラスト配管2を流れるバラスト水に対し、殺菌成分供給部40から6,500mg−TRO/L(Cl換算:以下同じ)の殺菌成分を含む溶液を1L/分の流量で注入した(第1供給工程S1)。ここでの殺菌成分を含む溶液は、清水に対して有効塩素濃度55%のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物を溶解させたものである。
次に、殺菌成分を含むバラスト水をミキサー50で攪拌することによりバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を均一にした。そして、ミキサー50を通過した後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度(TRO濃度)を供給後濃度測定部42で測定した。その結果(第1測定工程S2)、殺菌成分の濃度は平均6.5mg−TRO/Lであった。この供給後濃度測定部42として、DPD方式のクロリメーターII(HACH社製)を用いた。ここで測定されたTRO濃度の情報が殺菌制御部70に入力された。
上記バラストタンク60内の100mのバラスト水を120時間保管した後に、別の海域から調達した海水100mを、上記第1供給工程S1および上記第1測定工程S2と同様にしてバラストタンク60に漲水した。この2回目の第1測定工程S1で測定されたバラスト水のTRO濃度は平均6.2mg−TRO/Lであった。ここで測定されたTRO濃度の情報は殺菌制御部70に入力された。
上記バラスト水処理方法において、各第1供給工程S1の条件(処理流量および処理量)および各第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度をそれぞれ以下の表1に示す。上記バラストタンク60に貯留されたバラスト水を120時間保管した後、バラストタンク60からバラスト水をサンプリングした。
次に、バラストタンク60に貯留されたバラスト水を、10m/時の流量で循環配管80を経由してバラスト配管2に戻した。バラスト配管2に戻されたバラスト水は、迂回配管90を経由してフィルター20を迂回して迂回配管90からバラスト配管2に戻された(循環工程S3)。このバラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度(TRO濃度)を供給前濃度測定部41で測定した(第2測定工程S4)。その結果、バラスト水に含まれる殺菌成分の濃度の平均は0.2mg−TRO/Lであった。ここで測定されたTRO濃度の情報は殺菌制御部70に入力された。
殺菌制御部70は、上記供給前濃度測定部41および供給後濃度測定部42によって測定された各TRO濃度に基づいて、殺菌成分供給部40からバラスト配管2への殺菌成分を含む溶液の供給量を制御した(第2供給工程S6)。具体的には、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が2.0mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌成分の分量を1.8mg−TRO/L分に制御した。
殺菌成分を供給した後のバラスト水をミキサー50で撹拌した後に、供給後濃度測定部42によってバラスト水のTRO濃度が測定された。その結果、ミキサー50を通過した後のバラスト水のTRO濃度の平均は2.0mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.31倍に相当し、2回目の第1測定工程S2で測定されたTRO濃度の0.32倍に相当する。上記流量でバラスト水を20時間循環させることによってバラスト水に殺菌成分を供給した。この循環を終えた後のバラストタンク60に貯留されたバラスト水をサンプリングした。このサンプルを「第2供給工程後のサンプル」とする。上述の循環運転の間に船体のバランスが崩れることはなかった。
Figure 0006529706
上記表1における「1回〜3回」は処理回数を意味し、例えば実施例1では、2回目まで数値が記入されているので、第1供給工程S1および第1測定工程S2をそれぞれ2回ずつ実行したことを意味する。表1における「処理流量」は、第1供給工程S1においてバラスト水を取り込むときのバラスト水の流量であり、同表における「取り込み量」は第1供給工程S1でバラストタンクに取り込んだバラスト水の体積である。また表1における「第1測定工程」および「第2測定工程」の「殺菌成分の濃度」はそれぞれ、第1および第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度を意味する。表1における「第2測定工程/各第1測定工程の倍率」は、第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度を、各第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度で除して得られた倍率である。
(実施例2)
本実施例では、上記実施例1に対して以下の諸点を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を処理した。
第1供給工程では、バラストタンク60の容量を1000mに変更し、上記表1の「処理流量」および「取り込み量」に示す条件で第1供給工程と第1測定工程とをそれぞれ3回ずつ交互に実行することによって、海水(バラスト水)をバラストタンク60に3回取り込んだ。ここで、2回目の第1供給工程は、1回目の第1供給工程を終えてから20時間後に開始し、3回目の第1供給工程は、2回目の第1供給工程を終えてから54時間後に開始した。
第1測定工程および第2測定工程ではそれぞれ、上記表1の「第1測定工程」および「第2測定工程」の欄に示すTRO濃度が測定された。
第2供給工程では、殺菌制御部70が殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌溶液の供給量を0.9mg−TRO/L分に制御することにより、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が2.0mg−TRO/Lとなるようにした。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は2.0mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.31倍に相当し、2回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.27倍に相当し、3回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.25倍に相当する。この条件でバラスト水を9時間循環させた。これにより、供給前濃度測定部41で測定されたTRO濃度が平均2.0mg−TRO/Lとなった。
(実施例3)
実施例3では、上記実施例1に対して以下の諸点を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を処理した。
第1供給工程では、バラスト配管に供給する殺菌成分を含む溶液のTRO濃度を9.5mg−TRO/Lに変更した。
第1測定工程および第2測定工程ではそれぞれ、上記表1の「第1測定工程」および「第2測定工程」の欄に示すTRO濃度が測定された。
循環工程では、循環配管80を通じて200m/時の流量でバラスト水を循環させた。
第2供給工程では、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が3.0mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌溶液の供給量を2.4mg−TRO/L分に制御した。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は2.9mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.32倍に相当する。この条件でバラスト水を1時間循環させた。これにより、供給前濃度測定部41で測定されたTRO濃度が平均3.0mg−TRO/Lとなった。
(実施例4)
実施例4では、上記実施例1に対して第2供給工程で供給する殺菌成分の分量を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を殺菌処理した。つまり、実施例4の第2供給工程では、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が2.9mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌溶液の供給量を2.7mg−TRO/L分に制御した。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は2.9mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.45倍に相当し、2回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.47倍に相当する。この条件でバラスト水を9時間循環させた。これにより、供給前濃度測定部41で測定されたTRO濃度が平均2.9mg−TRO/Lとなった。
(比較例1)
比較例1では、上記実施例1に対して以下の諸点を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を殺菌処理した。
第1供給工程では、バラスト配管に供給する殺菌成分を含む溶液のTRO濃度を、6,500mg−TRO/Lから4,500mg−TRO/Lに変更した。
第1測定工程では、上記表1の「第1測定工程」の欄に示すTRO濃度が測定された。
第2測定工程では、バラストタンク60に貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度(TRO濃度)を測定できなかった。このことからバラストタンク60に貯留されたバラスト水のTRO濃度は0.1mg−TRO/L未満といえる。
第2供給工程では、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が2.8mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌成分の分量を3.0mg−TRO/L分に制御した。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は2.8mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.62倍に相当し、2回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.65倍に相当する。
(比較例2)
比較例2では、上記実施例1に対して第2供給工程で供給する殺菌成分の分量を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を処理した。つまり、比較例2の第2供給工程では、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が3.4mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌溶液の供給量を3.2mg−TRO/L分に制御した。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は3.4mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.52倍に相当し、2回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.54倍に相当する。この条件でバラスト水を9時間循環させた。これにより、供給前濃度測定部41で測定されたTRO濃度が平均3.4mg−TRO/Lとなった。
(比較例3)
比較例3では、上記実施例1に対して第2供給工程で供給する殺菌成分の分量を変更したことが異なるが、その他は、実施例1と同様にしてバラスト水を処理した。つまり、比較例3の第2供給工程では、供給後濃度測定部42で測定されるバラスト水のTRO濃度が1.3mg−TRO/Lとなるように、殺菌制御部70が、殺菌成分供給部40からバラスト配管2に供給される殺菌溶液の供給量を1.1mg−TRO/L分に制御した。その結果、供給後濃度測定部42によって測定されたTRO濃度の平均は1.3mg−TRO/Lであった。この濃度は、1回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.18倍に相当し、2回目の第1測定工程で測定されたTRO濃度の0.19倍に相当する。この条件でバラスト水を9時間循環させた。これにより、供給前濃度測定部41で測定されたTRO濃度が平均1.3mg−TRO/Lとなった。
(参考例)
実施例1と同一の条件で海水100mをバラストタンク60に取り込む場合に、バラストタンク60にバラスト水を取り込んでから240時間経過後でもバラスト水に最小径が10μm以上50μm未満の生物数が全く存在しないようにするためには、漲水時のバラスト水のTRO濃度を30mg/L以上にする必要があった。
一方、実施例1では、バラスト水に最小径が10μm以上50μm未満の生物数が全く存在しないようにするために、第1測定工程で測定されたバラスト水のTRO濃度を平均6.5mg/L、平均6.2mg/Lとし、第2供給工程の後のバラスト水のTRO濃度を2.1mg/Lとするのみで足りた。このことから、実施例1の処理方法は、参考例の処理方法と比べて、少量の殺菌成分の投入で細菌およびプランクトンを殺滅することができることが明らかとなった。
実施例1と参考例との対比から、漲水時のみに殺菌成分を投入するよりも漲水時以外に殺菌成分の濃度が低くなったタイミングで殺菌成分を追加で投入することにより、投入すべき殺菌成分の分量を減らしながら十分に細菌およびプランクトンを殺滅できることが明らかとなった。
(評価)
各実施例および比較例において、上記第2供給工程を行う前後のバラスト水のサンプルに含まれる生存生物(最小径が10μm以上50μm未満の微生物)の個体数をそれぞれ3回ずつ計測し、その平均値を算出した。また上記第2供給工程を行う前後のバラスト水のサンプルに含まれる従属栄養細菌数(海水培地)を測定した。これらの測定結果を下記の表2に示す。表2において、第2供給工程を行う前のバラスト水で確認された生存生物の過半数はふ化直後の個体であった。なお、比較例1の第2供給工程後のサンプルには、平均7個体、最大11個体の生存生物が生息していた。
Figure 0006529706
表2において「プランクトン数」とは、バラスト水1mLあたりに含まれる最小径が10μm以上50μm未満のプランクトンの個体数である。
(結果)
上記表2の「第2供給工程前」および「第2供給工程後」のプランクトン数および細菌数のデータの対比から、第1供給工程で殺菌成分が供給された後のバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が6mg/Lであって、かつバラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給することにより、バラスト水中のプランクトン数および細菌数を顕著に減少させることができることが明らかとなった。また、バラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給することにより、従来よりも少量の殺菌成分でバラスト水中のプランクトンが復活したり再増殖したりすることを防止できることが明らかとなった。
比較例2では、バラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.5倍を超えていた。第2供給工程後のプランクトン数および細菌数は実施例4と同レベルであった。その一方、比較例2では、バラスト水を排水するときの殺菌成分の濃度が過剰に高くなっていて、バラスト水に含まれる殺菌成分を中和する中和剤の必要量が増えた。
比較例3では、バラスト配管2を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満であったため、バラスト水に含まれる殺菌成分の分量が不足していた。このため、バラストタンクに貯留されたバラスト水中でプランクトンが再増殖した。
比較例1では、第1供給工程で供給された殺菌成分の濃度が6mg/L未満であったため、バラスト水中のプランクトン数および細菌数を減少させることができなかった。
実施例1および2では、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2のうちの最後の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満であった。このため、第2供給工程S6において、当該最後の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給した。実施例1および2のように、最後の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中のプランクトンおよび細菌をより効果的に死滅させることができた。しかも中和剤が過度に必要になることもなかった。
実施例1および2では、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程S2のうちのバラスト水の取り込み量が最も多いときの第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満であった。このため、第2供給工程S6において、当該第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給した。
実施例1および2のように、バラスト水の取り込み量が最も多いときの第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中のプランクトンおよび細菌をより効果的に死滅させることができた。
実施例1および2では、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の最高値の0.2倍未満であった。このため、第2供給工程S6において、バラスト配管2を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が当該最高値の0.2倍以上0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給した。
実施例1および2のように、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度のうちの最高値に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中のプランクトンおよび細菌をより効果的に死滅させることができた。
実施例1および2では、第2測定工程S4で測定された殺菌成分の濃度が、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度の最低値の0.2倍未満であった。このため、第2供給工程S6において、バラスト配管2を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が当該最低値の0.2倍以上0.5倍以下となるようにバラスト配管2に殺菌成分を供給した。
実施例1および2のように、複数の第1測定工程S2で測定された殺菌成分の濃度のうちの最低値に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中のプランクトンおよび細菌をより効果的に死滅させることができた。
以上の結果から、バラストタンク60内のバラスト水を循環配管80経由でバラスト配管2に戻し、かつ殺菌成分供給部40から殺菌成分を追加で適量だけ供給することにより、より少量の殺菌成分でバラスト水中のプランクトンおよび微生物の両方を殺滅させることができる。また、プランクトン数を測定して管理しなくとも、殺菌成分の濃度のみで運転管理が可能である。さらに、第1測定工程で測定される初期投入された殺菌成分の濃度測定値に対する第2測定工程で測定される殺菌処理後の殺菌成分の濃度測定値の比率に基づいて、殺菌成分の追加投入が判断される制御方式をとることにより、殺菌成分を追加投入する量やタイミングを効率的に制御できる。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
ここで、前記実施形態について概説する。
(1)前記実施形態に係るバラスト水処理方法は、バラスト配管を通じてバラスト水をバラストタンクに取り込みながら前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第1供給工程と、前記殺菌成分を供給した後のバラスト水中の殺菌成分の濃度を測定する第1測定工程と、前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を排水する前に、前記バラストタンクに接続された循環配管を通じて、前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を前記バラスト配管に戻す循環工程と、前記バラスト配管に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する第2測定工程と、前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記バラスト配管を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第2供給工程と、を含む。前記第1供給工程では、前記第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が6mg/L以上となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する。
前記実施形態のバラスト水処理方法によれば、第1供給工程で殺菌成分の濃度が6mg/L以上となるようにバラスト配管に殺菌成分が供給される。ここで、上記殺菌成分の濃度として、バラスト水中の残留オキシダント濃度(TRO:Total Residual Oxidant)を利用することが好ましい。TRO濃度の測定法として、DPD(N,N−ジエチルパラフェニレンジアミン)試薬を用いた比色法を原理とした測定法などを利用することができる。上記の濃度で殺菌成分がバラスト水に供給されることにより、バラスト水中に存在する微生物を効果的に死滅させることができる。
前記実施形態のバラスト水処理方法では、循環工程でバラスト配管に戻したバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、バラスト水を取り込んだときのバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度(以下「漲水時の殺菌成分の濃度」とも記す)の0.2倍未満になったときに、第1測定工程での濃度の0.2倍以上0.5倍以下とされることが肝要である。漲水時にバラスト水に殺菌成分が供給されることによりバラスト水中の微生物を殺滅させることに加えて、バラスト水中のプランクトンが生存しにくい環境を作ることができる。この環境下にプランクトンが晒されることにより、プランクトンを弱らせることができる。そして、バラスト水を排水する前に、バラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を、漲水時の殺菌成分の濃度の0.2倍以上とすることにより、第1供給工程で供給された殺菌成分では完全に死滅せずに仮死状態となっていたプランクトンを死滅させることができるし、第1供給工程時には卵の状態であったものがふ化して成長したプランクトンを殺滅させることもできる。一方、漲水時の殺菌成分の濃度の0.5倍以下とすることにより、過剰量の殺菌成分がバラスト水に投入されることを抑制できる。これにより無駄な殺菌成分の使用を減らすことができるし、バラストタンクからバラスト水を排水するときにバラスト水に含まれる殺菌成分を中和する中和剤の必要量が過大になることを防止することができる。
前記実施形態のバラスト水処理方法によれば、バラストタンクに貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、漲水時の殺菌成分の濃度の0.2倍未満となったときにバラスト水に殺菌成分が供給される。このため、バラスト水の漲水時に殺菌成分を一括で供給する場合と比べて、バラスト水に供給すべき殺菌成分の全体量を減らしながらバラスト水中のプランクトンおよび細菌を効果的に死滅させることができる。
前記実施形態のバラスト水処理方法は、従来のバラスト水処理方法と比べて、バラストタンクに循環配管を新たに設けるだけの簡素な設備の追加のみによって実施することができる。このため、設置スペースを確保しにくい船舶においても上記バラスト水処理方法を容易に採用することができる。
(2)前記実施形態の方法は、1つの港の海域でバラスト水を漲水する場合に限られず、複数の港でバラスト水を漲水する場合にも適用することができる。すなわち、前記実施形態の方法は、前記第1測定工程を終えた後で、前記循環工程を行う前に、前記第1供給工程および前記第1測定工程をさらに1回以上行なってもよい。第1供給工程および第1測定工程を複数回行なうことにより、複数の海域でバラスト水を取り込むことができる。このように複数の海域でバラストタンクにバラスト水を取り込む場合にも、各バラスト水の取り込み量に応じて適切な分量の殺菌成分を供給することができる。
(3)前記実施形態の方法において、前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程のうちの最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給してもよい。
上記複数の第1測定工程のうちの最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度は、バラストタンクに貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度に影響しやすいと考えられる。このため、最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中の微生物をより効果的に死滅させることができる。
(4)前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程のうちのバラスト水の取り込み量が最も多いときの前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト水の取り込み量が最も多いときの前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給してもよい。
上記複数の第1測定工程のうちのバラスト水の取り込み量が最も多いときの第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度は、バラストタンクに貯留されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度に影響しやすいと考えられる。このため、バラスト水の取り込み量が最も多いときの第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中の微生物をより効果的に死滅させることができる。
(5)前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最高値の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト配管を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が前記最高値の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給してもよい。
上記複数の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度のうちの最高値は、バラストタンク内のバラスト水の殺菌成分の濃度に影響を与えやすいと考えられる。このため、複数の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度のうちの最高値に基づいて、追加で供給すべき殺菌成分の分量を設定することにより、バラスト水中の微生物をより効果的に死滅させることができる。
(6)前記第1供給工程では、前記第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が10mg/L以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給してもよい。この場合、前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最低値の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト配管を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が、前記複数の前記第1測定工程で測定された全ての殺菌濃度に対して0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給してもよい。
第1供給工程では、殺菌成分の濃度が6〜10mg/Lとなるように殺菌成分が供給される。このため、第2供給工程において、2〜3mg/Lとなるように殺菌成分を供給することにより、第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下にすることができる。すなわち、第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最低値や最高値を管理しなくても、第2供給工程において2〜3mg/Lとなるように殺菌成分を供給することにより、確実に0.2倍以上0.5倍以下に調整することができる。したがって、殺菌成分の濃度調整にかかる手間を軽減することができる。
前記実施形態によれば、従来よりも少量の殺菌成分で、バラスト水中の微生物である、細菌およびプランクトン類の両方を殺滅させることができるバラスト水処理方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. バラスト配管を通じてバラスト水をバラストタンクに取り込みながら前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第1供給工程と、
    前記殺菌成分を供給した後のバラスト水中の殺菌成分の濃度を測定する第1測定工程と、
    前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を排水する前に、前記バラストタンクに接続された循環配管を通じて、前記バラストタンクに貯留されたバラスト水を前記バラスト配管に戻す循環工程と、
    前記バラスト配管に戻されたバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度を測定する第2測定工程と、
    前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記バラスト配管を流れるバラスト水に含まれる殺菌成分の濃度が、当該第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する第2供給工程と、を含み、
    前記第1供給工程では、前記第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が6mg/L以上となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する、バラスト水処理方法。
  2. 前記第1測定工程を終えた後で前記循環工程を行なう前に、前記第1供給工程および前記第1測定工程をさらに1回以上行なう請求項1に記載のバラスト水処理方法。
  3. 前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程のうちの最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記最後の第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する請求項2に記載のバラスト水処理方法。
  4. 前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程のうちのバラスト水の取り込み量が最も多いときの前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト水の取り込み量が最も多いときの前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する請求項2に記載のバラスト水処理方法。
  5. 前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最高値の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト配管を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が前記最高値の0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する請求項2に記載のバラスト水処理方法。
  6. 前記第1供給工程では、前記第1測定工程で測定される殺菌成分の濃度が10mg/L以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給し、
    前記第2測定工程で測定された殺菌成分の濃度が、複数の前記第1測定工程で測定された殺菌成分の濃度の最低値の0.2倍未満である場合に、前記第2供給工程では、前記バラスト配管を流れるバラスト水の殺菌成分の濃度が、前記複数の前記第1測定工程で測定された全ての殺菌濃度に対して0.2倍以上0.5倍以下となるように前記バラスト配管に殺菌成分を供給する請求項2に記載のバラスト水処理方法。
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