JP6528686B2 - 蓄熱シート、蓄熱積層体及び蓄熱シートの製造方法 - Google Patents

蓄熱シート、蓄熱積層体及び蓄熱シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種使用態様に応じた適温保持、省エネルギー化が可能な蓄熱シートに関する。特に、住宅等の居住空間や自動車等の室内の適温保持に有用な蓄熱シートに関する。
近年、住宅やオフィス等の居住空間において省エネルギー化の要請が高まっており、住宅等に使用される建築材料にも省エネルギー化に貢献する材料が求められている。一般的には、床、天井、壁面等に断熱材を用いて冷暖房の効率化が図られているが、さらなる省エネルギー化のために各種材料の検討がなされている。また、自動車や航空機等の閉空間や、冷蔵車等の冷蔵庫内においても同様に省エネルギー化の要請が高い。
このような材料としては、例えば、石膏ボードに潜熱蓄熱材をカプセル化したものを混ぜ合わせた材料が開示されている(特許文献1参照)。当該材料は壁面等に使用することで、壁面等の熱容量を増加させて省エネルギー化を図るものである。しかし、当該材料は石膏ボード中に蓄熱材が含有されており、柔軟性や取扱い性に乏しく、使用態様に制限があるものであった。
柔軟性のある材料を使用した蓄熱シートとしては、例えば、エラストマまたはゴムからなるシート状の基材に蓄熱材が充填された蓄熱シートが開示されている(特許文献2参照)。しかし、当該蓄熱シートの成形は、液状化したゴム等へ蓄熱材を混合し、ミキサー等による混練や押出成形等を経るため、蓄熱材が破壊され、得られた蓄熱材の染み出しが生じる場合があった。
特開2003−284939号公報 特開2009−123769号公報
本発明が解決しようとする課題は、蓄熱材の染み出しが生じにくい樹脂系の蓄熱シートを提供することにある。
より好適には、使用態様に応じた適温保持に貢献できる蓄熱性を有し、良好な柔軟性を有し、かつ蓄熱材の染み出しが生じにくい蓄熱シートを提供することにある。
本発明においては、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液のゾルキャスト膜からなる蓄熱シートにより、上記課題を解決した。
本発明の蓄熱シートは、塩化ビニル樹脂をマトリクス材とすることから、石膏ボード等の剛直な材料に比して柔軟性や取扱い性に優れる。また、蓄熱材の染み出しが生じにくいことから、染み出しを抑制するための保護層等が不要となり、当該蓄熱シート単体での流通や使用も可能である。さらに、ロール状とすることもできるため、化粧層や、熱伝導層等の他の機能層との積層加工も容易であり、切断性や加工性も良好であることから各種態様での使用が可能である。
このような本発明の蓄熱シートは、各種用途に使用でき、住宅等の居住空間の壁材や壁紙、自動車、電車、航空機、農業ハウス等の室内、さらには、冷蔵車や冷蔵設備の冷蔵庫内、航空機の庫内等の閉空間、パソコンのCPUや蓄電池などの熱を発生する電気部品に適用する材料等、各種用途において好適に省エネルギー化に貢献できる。
本発明の蓄熱シートは、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液のゾルキャスト膜からなる蓄熱シートである。
本発明に使用するビニルゾル塗工液は、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材が、可塑剤中や、可塑剤と溶剤中に分散、懸濁されたペースト状の塗工液である。
塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることが好ましい。塗工液中では、当該粒子が直接分散した状態でも、当該粒子を一次粒子として、球状の二次粒子に凝集した状態で分散した状態であってもよい。また、粒子径の異なる粒子が混合されて、粒度分布のピークが二以上あるものであってもよい。粒子径はレーザー法等により測定できる。
ビニルゾル塗工液に使用する塩化ビニル樹脂粒子の形状は、好適な流動性を得やすく、熟成粘度変化が小さいことから、略球形形状であることが好ましい。塩化ビニル樹脂粒子は、乳化重合、懸濁重合により製造されたものが、球形形状を得やすく、また、粒度分布を制御しやすいため好ましい。
使用する塩化ビニル樹脂の重合度としては、500〜4000であることが好ましく、600〜2000であることがより好ましい。
本発明に使用する塩化ビニル樹脂粒子は、市販されている塩化ビニル樹脂粒子を適宜使用でき、例えば、新第一塩ビ株式会社製ZEST PQ83,PWLT,PQ92,P24Z等や、株式会社カネカ製PSL−675,685等が挙げられる。
ビニルゾル塗工液中の塩化ビニル樹脂の含有量は、塗工液に含まれる固形分(溶媒以外の成分)中の10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。
本発明に使用する蓄熱材は、蓄熱性を有する材料であれば特に限定されないが、固体−液体の相変化による潜熱蓄熱材を使用する事が好ましい。
潜熱蓄熱材は、相変化による溶融時の染み出し等の問題や、混入時の分散性を考慮して、有機マイクロカプセル中にパラフィンなどの潜熱蓄熱材料を含有した、マイクロカプセル化された蓄熱粒子が好ましい。この蓄熱粒子は、公知のものを用いればよい。蓄熱粒子の粒径は、限定される事はないが、10〜1000μm程度であることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。蓄熱粒子の粒子径は、その一次粒子の粒子径が上記範囲であることも好ましいが、一次粒子径が1〜50μm、好ましくは2〜10μmの粒子が凝集して二次粒子を形成し、当該二次粒子の粒径が上記範囲となった蓄熱粒子であることも好ましい。このような蓄熱粒子は、圧力やシェアにより破損しやすいが、本発明の構成によれば、当該蓄熱粒子の破損を好適に抑制でき、蓄熱材料の染み出しや漏れが生じにくくなる。特に、外殻が有機材料から形成される場合には温度による破損のおそれも生じるが、本発明の蓄熱シートは、このような潜熱蓄熱材を使用した場合にも蓄熱材料の染み出しや漏れを好適に抑制できる。なお、蓄熱シート中に使用する全蓄熱粒子の粒子径が上記範囲でなくともよく、蓄熱シート中の蓄熱粒子の80質量%以上が上記範囲の蓄熱粒子であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
潜熱蓄熱材は、特定の温度の融点において相変化する。すなわち、室温が融点を超えた場合は、固体から液体へ相変化し、室温が融点より下がった場合は、液体から固体へ相変化する。潜熱蓄熱材の融点は、その使用態様に応じて調整すればよく、−20℃〜120℃程度の温度範囲にて固/液相転移を示すものを適宜使用できる。例えば、住宅等の居住空間や、自動車、電車、航空機、農業ハウス等の室内等の適温維持し、省エネルギー化を図る場合には、この融点を日常生活に適した温度、具体的には10〜35℃、好ましくは15〜30℃に設計した潜熱蓄熱材を混入する事により、適温維持性能を発揮する事ができる。より詳細に冬季又は夏季の適温維持性能を調整する場合には、冬場の暖房効果を持続させる事を目的とすれば25〜28℃程度を融点とした潜熱蓄熱材を混入する。もしくは、夏場の冷房効率を持続させる事を目的とすれば20〜23℃程度を融点とした潜熱蓄熱材を混入する事ができる。両方の効果を発現するには融点設計の異なる2種類以上の潜熱蓄熱材を混入すればよい。また、冷蔵設備等の庫内の省エネルギー化を図る場合には、−10℃〜5℃程度の融点の潜熱蓄熱材を使用すればよい。
ビニルゾル塗工液中の蓄熱材の含有量は、塗工液に含まれる固形分中の15〜60質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
本発明に使用するビニルゾル塗工液は可塑剤を含有することが好ましく、当該可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、安息香酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、メタクリレート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤、脂肪族ジエステル系可塑剤等、汎用の可塑剤を適宜使用できる。また、2種類以上の可塑剤を適宜混合して使用しても良い。
なかでも、低温でゲル化できる可塑剤を好ましく使用でき、ゲル化終了温度が150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。上記例示した可塑剤のうち、安息香酸系可塑剤は、ゲル化終了温度を低く設定しやすいことから好ましく使用でき、特に安息香酸エステル系可塑剤を好ましく使用できる。安息香酸エステル系可塑剤としては、1,2−プロピレングリコールジベンゾエート、1,2−ブチレングリコールジベンゾエート、1,3−ブチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレートベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート等が挙げられる。ゲル化終了温度は、ゲル化膜の光透過性が一定となる温度をゲル化終了温度とできる。
本発明に使用する可塑剤は、25℃における粘度が1500mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましく、800mPa・s以下であることがさらに好ましく、500mPa・s以下であることが特に好ましい。当該範囲とすることで、ビニルゾル塗工液の粘度を低く抑えることができるため、蓄熱材の充填率が高めることができる。なお、可塑剤粘度測定の条件は後述実施例における条件にて測定できる。
本発明に使用する可塑剤は、その重量平均分子量が200〜3000であることが好ましく、300〜1000であることがより好ましい。当該範囲とすることで、可塑剤自身が染み出しにくく、且つビニルゾル塗工液の粘度を低く抑えることができるため、蓄熱材の充填率が高めることができる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPC測定は以下の条件にて測定できる。
[重量平均分子量の測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製ガードカラム「HLC−8330」
カラム:東ソー株式会社製「TSK SuperH−H」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.35mL/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−300」
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
ビニルゾル塗工液中の可塑剤の含有量は、塗工液に含まれる塩化ビニル樹脂100質量部に対して、30〜150質量部であることが好ましく、30〜120質量部であることがより好ましく、40〜100質量部であることがさらに好ましい。
本発明に使用するビニルゾル塗工液中には、適宜溶媒を使用することもできる。当該溶媒としては、塩化ビニル樹脂のゾルキャスト法にて使用される溶媒を適宜使用でき、なかでも、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸ブチルなどのエステル類、グリコールエーテル類等を好ましく例示できる。これら溶媒は、常温で樹脂をわずかに膨潤して分散を助長しやすく、また、加熱工程で溶融ゲル化を促進しやすいため好ましい。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記溶媒と共に希釈溶媒を使用してもよい。希釈溶媒としては、樹脂を溶解せず、分散溶媒の膨潤性を抑制する溶媒を好ましく使用できる。このような希釈溶媒としては、例えば、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン系炭化水素などを使用できる。
ビニルゾル塗工液には、塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応を主とする分解劣化、着色を抑制するために熱安定剤を使用することも好ましい。熱安定剤としては、例えば、カルシウム/亜鉛系安定剤、オクチル錫系安定剤、バリウム/亜鉛系安定剤等を使用できる。熱安定剤の含有量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましい。
ビニルゾル塗工液には、上記以外の成分として、減粘剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を、必要に応じて適宜含有してもよい。これら添加剤の含有量は、各々、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましい。
ビニルゾル塗工液の塗工時の粘度は、所望のシートの厚みや、塗工条件等により適宜調整すればよいが、良好な塗工適正を得やすいことから、1000mPa・s以上が好ましく、3000mPa・s以上がより好ましく、5000mPa・s以上がさらに好ましく、7000mPa・s以上が特に好ましい。また、当該粘度の上限は40000mPa・s以下が好ましく、30000mPa・s以下がより好ましく、27000mPa・s以下がさらに好ましく、25000mPa・s以下が特に好ましい。なお、塗工液粘度測定の条件は後述実施例における条件にて測定できる。
本発明の蓄熱シートは、上記ビニルゾル塗工液のゾルキャスト膜からなる蓄熱シートであり、詳細には、以下の工程を有する製法にて得られるシートである。
(1)支持体上に、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液を塗布し、ビニルゾル塗工膜を得る工程、
(2)ビニルゾル塗工膜を加熱してゲル化膜からなる蓄熱シートを形成する工程
(1)の工程においては、支持体上に、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液を塗布し、ビニルゾル塗工膜を得る。ここで使用する支持体は、蓄熱シートを剥離して流通、使用等する場合には、得られる蓄熱シートを剥離可能で、加熱工程の温度での耐熱性を有するものを適宜使用できる。また、蓄熱シートを他の機能層や基材と積層して使用する場合には、当該他の機能層や基材を支持体としてもよい。
蓄熱シートを剥離する場合の支持体としては、例えば、各種の工程フィルムとして使用される樹脂フィルムを好ましく使用できる。当該樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム等のポリエステル樹脂フィルムなどが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは特に制限されないが、25〜100μm程度のものが取扱いや入手が容易である。
支持体として使用する樹脂フィルムは、表面が剥離処理されているものを好ましく使用できる。剥離処理に用いられる剥離処理剤としては、例えば、アルキッド系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
ビニルゾル塗工液を塗布するキャスト成膜の方法としては、ロールナイフコーター、リバースロールコーターなどの塗工機を使用できる。なかでも、支持体上にビニルゾル塗工液を送り出し、ドクターナイフ等により、一定の厚みの塗工膜を形成する方法を好ましく使用できる。
(2)の工程においては、(1)にて得られたビニルゾル塗工膜を加熱してゲル化させ、支持体上に当該ゲル化膜からなる蓄熱シートを形成する。加熱溶融のゲル化温度は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下が特に好ましい。加熱時間は、ゲル化速度等に応じて適宜調整すればよいが、10秒〜10分程度が通常である。
溶媒を使用する場合には、上記加熱工程においてゲル化と溶媒の除去を同時に行ってもよいが、上記ゲル化の加熱の前に、予備乾燥を行うことも好ましい。
上記にて形成された蓄熱シートは、蓄熱シートを支持体から剥離する工程により、蓄熱シートとして使用できる。当該剥離は、適宜好適な手法で剥離すればよい。また、各種加工や積層を行うにあたり、支持体上に積層した状態が好ましい場合には、支持体上に積層した状態で流通することもできる。
蓄熱シート中の塩化ビニル樹脂の含有量は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。当該範囲とすることで、柔軟性を有するシート形成しやすくなる。蓄熱シート中の蓄熱材の含有量は10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。当該範囲とすることで、良好な蓄熱効果を得やすく、良好なシート形成性が得られやすくなる。また、蓄熱シート中の可塑剤の含有量は、5〜75質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。当該範囲とすることで、良好な塗工適性やシート形成性を得やすくなる。
本発明の蓄熱シートは、上記のとおりの塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液のゾルキャスト膜からなる蓄熱シートである。当該構成の蓄熱シートは、製造時に蓄熱材にシェアや圧力がかからないため蓄熱材の破壊が生じにくいことから、樹脂系の材料を使用しながらも蓄熱材の染み出しが生じにくい。また、当該蓄熱材による蓄熱性を有すると共に、良好な柔軟性を実現できる。さらに、容易に他の層との積層や加工も可能であることから各種用途や態様での使用が可能である。
本発明の蓄熱シートの厚みは、使用態様に応じて適宜調整すればよい。例えば、閉空間の壁面等へ適用する場合には、好適な蓄熱効果を得やすいことから50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以上がさらに好ましく、1mm以上が特に好ましい。また、好適な柔軟性を得やすく、ロール供給がしやすいことから6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましく、2mm以下が特に好ましい。
本発明の蓄熱シートは、蓄熱性をより向上させる為、これを積層して使用することも好ましい。また、各種の機能層と積層することも好ましい。例えば、不燃紙等の不燃層と積層することで、居住空間への適用おいて、難燃性を向上させることができる。また、例えば、熱拡散層や断熱層と積層することで、蓄熱性をより効果的に発現することもできる。また、居住空間の内壁等へ適用するために、化粧層や装飾層を設けることもできる。
不燃層と積層した構成としては、本発明の蓄熱シートの片面又は両面に不燃紙を積層した構成を例示できる。片面に不燃紙を積層した構成としては、本発明の蓄熱シートを不燃紙に貼り合せた構成であってもよいが、不燃紙上に直接本発明の蓄熱シートを形成するビニルゾル塗工液を塗布、ゲル化した構成とすると形成が容易であるため好ましい。また、両面に不燃紙を有する構成としては、本発明の蓄熱シートの両面に不燃紙を貼り合せた構成であってもよいが、不燃紙上にビニルゾル塗工液を塗布、ゲル化した不燃紙積層蓄熱シートの蓄熱シート面同士を貼り合せることで容易に形成できる。
当該不燃紙としては、不燃性を有するものであれば特に限定しないが、例えば、紙に難燃剤を塗布、含浸、内添しているものを使用できる。難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、ステファミン酸塩等の塩基性化合物、ガラス繊維等が例示できる。
熱拡散層を積層した構成として室内等の閉空間に適用した場合には、熱拡散層で室内の熱を均一化する効果を持たせるとともに、室内(本発明においては、住宅等の居住空間や、自動車、電車、航空機等の室内、さらには、冷蔵車の冷蔵庫内、航空機の庫内等の閉空間を総称して室内と称することがある。)からの熱を分散して熱抵抗が少なく蓄熱層へ伝える事ができる。蓄熱層では蓄熱粒子により室内の熱吸収及び室内への熱放出がなされ、室内の温度環境下を適温に制御できる。
熱拡散層としては、熱伝導率が5〜400W/m・Kの高い熱伝導率を有する層を好ましく使用できる。高い熱伝導率により、局所に集中した熱を拡散して蓄熱層へ伝えて熱効率を向上し、かつ室温を均一化できる。
熱拡散層の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、グラファイトなどが挙げられる。本発明では、特にアルミニウムを好適に用いることができる。アルミニウムが好適な理由として、放射熱の反射による断熱効果も発現することが挙げられる。特に、放射熱による暖房器具では、断熱効果により暖房効率を向上する事ができる。放射熱を主とした暖房器具としては、例えば、電気式床暖房、温水式床暖房、赤外線ヒーターなどが挙げられる。また、防災の視点からも難燃性能を向上させる事ができる。
熱拡散層の形態としては、上記材料のシートからなる層や、上記材料の蒸着層等の適宜な形態を使用できる。材料としてアルミニウムを使用する場合には、たとえば、アルミ箔、アルミ蒸着層などの湾曲性があるものを好ましく使用できる。
熱拡散層の層厚は、特に限定されないが、3〜500μm程度とすることで、好適な熱拡散性や取扱い性を確保しやすくなるため好ましい。
また、蓄熱層に断熱層を積層した構成とした場合には、蓄熱層の熱吸収及び熱放出が室内側と効果的になされ、室内の適温維持効果を特に好適に発揮することができる。また、室内の熱の流出を防ぐ、もしくは、外気からの熱の影響の軽減にも有効である。本発明の蓄熱積層体は、これら複合作用により、室内の温度変化を抑制し、室内を適温に保つ事ができる。また、エアコンや冷蔵設備等の空調機器を使用した場合に、その消費エネルギーを低減することもできる。これにより、好適に室内の省エネルギー化に貢献できる。
断熱層としては、熱伝導率が0.1W/m・K未満の層を好ましく使用できる。当該断熱層は、蓄熱層から外気への熱の流出を防ぎ、かつ、外気の温度影響を低減させる効果を発揮するものである。断熱層は、熱伝導率が0.1W/m・K未満の層を形成できるものであれば特に限定されず、例えば、発泡樹脂シート、断熱材料を含有する樹脂シート等の断熱シートや、押出し法ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の断熱ボード等を適宜使用できる。なかでも、断熱シートは施工性を確保しやすいため好ましく、断熱材料を含有した樹脂シートである事が熱伝導率を低減できるためより好ましい。また、発泡シートは入手が容易であり、安価であるため好ましい。
断熱層はシート状とすることで施工性を確保しやすくなるが、なかでも、円筒形マンドレル屈曲試験機(JIS K 5600)による測定値が、マンドレル直径で2〜32mmであることが好ましい。
断熱層に使用する断熱材料は、蓄熱積層体の断熱性を高めるものであり、例えば、多孔質シリカ、多孔質アクリル、中空ガラスビーズ、真空ビーズ、中空ファイバーなどが挙げられる。この断熱材料5は、公知のものを用いればよい。本発明では、特に、多孔質アクリルを好適として用いる事ができる。断熱材料の粒径は、限定される事はないが、1〜300μm程度である事が好ましい。
断熱層として断熱材料を含有する樹脂シートを使用する場合には、断熱材料を、ベースとなる樹脂材料に混入してシート成形を行う。樹脂材料としては、前述と同様に、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂などが挙げられる。ポリエステルとしては、A−PET、PET−G等を使用できる。なかでも、火災時の低燃焼性の面から、自己消化性である塩化ビニル樹脂を好適に用いる事ができる。
シートの成形方法としては、例えば、塩化ビニル樹脂と可塑剤と断熱材料を、押出し成形、カレンダー成形などの成形機を用いてシートの成形を行う。
断熱層中の断熱材料の含有量は、断熱層中の20質量%以上であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましく、40〜80質量%であることが特に好ましい。断熱材の含有量を当該範囲とすることで、好適に断熱効果を発揮でき、また、断熱層を形成しやすくなる。
断熱層中には、必要に応じて、可塑剤、難燃材等の添加剤を配合してもよい。
断熱層の層厚は、特に限定されないが、厚みが増す程室内の保温性が上がる。シートとしての湾曲性や施工性を保有する為には、50〜3000μm程度である事が好ましい。
本発明の蓄熱シートは、主に建築物の内壁、天井、床などにおける内装材用途として好適に用いられるが、窓のサッシ枠の被服材や、車両等の内装材としても適用可能である。また、建築物の壁、床、天井に限らず、自動車、電車、飛行機などの室内に使用する事も可能である。また、冷蔵設備の低温保持材料や、パソコンのCPUや蓄電池など熱を発生する電気部品の低温維持材料としても使用することも可能である。また、面状発熱体等のヒーターを併用して、蓄熱による省エネルギー効果を発現しても良い。
(実施例1)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)40質量部、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−10)24.5質量部、熱安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.5質量部、その他添加剤として減粘剤(BYK製 減粘剤VISCOBYK−4041)3質量部及び分散剤(DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)2質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子径100〜300μm、融点26℃)28質量部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は10500mPa・sであった。これをPETフィルム上に1mmアプリケーターにて塗布した後、100℃3分間加熱しゲル化させ、厚さ0.7mmの蓄熱シートを形成した。
(実施例2)
加熱温度を170℃にしたこと以外は実施例1と同様にして蓄熱シートを形成した。
(比較例1)
ポリエステル系可塑剤55phr内添の塩ビ樹脂コンパウンド(リケンテクノス製 R−2857 10−0077)70質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(粒子径100〜300μm、融点26℃)30質量部を160℃プラストミルにて混合し、Tダイ押出成形にて厚さ0.7mmの蓄熱シートを形成した。
(参考例1)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)60質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−10)38質量部と、熱安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.5質量部と、脱泡剤(BYK製 BYK−3155)0.5質量部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は300mPa・sであった。これを実施例1と同様に成形し、厚さ0.7mmのシートを参考例1とした。
上記実施例1〜2、比較例1及び参考例1にて形成したシートにつき、以下の評価を行った。得られた結果を下表に示した。
<可塑剤粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計(東京計器株式会社製「DVM−B型」)
測定条件:温度25℃、No.2ロータ、30rpm
<塗工液粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計(トキメック株式会社製「BM型」)
測定条件:温度25℃、No.4ロータ、6rpm(参考例のみ30rpm)
<適温維持性評価試験>
実施例、比較例及び参考例にて作成したシートを幅50mm×長さ50mmのサイズにした試験体を2枚重ねに積層し、熱伝対をシート中央に挟んで設置した。環境試験機内で外気温を35℃で2時間保持した後、20分間で5℃まで下降させ、さらに1時間5℃を保持した。この際、シート内の温度が28℃〜20℃の温度を保持した時間を測定し、適温維持性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:保持時間が500秒以上
○:保持時間が300秒以上500秒未満
×:保持時間が300秒未満
<浸み出し評価試験1>
実施例、比較例及び参考例にて作成したシートを35℃で2時間保持した後、指触にて蓄熱材成分の浸み出しを評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ぬめり感なし
×:ぬめり感あり
<浸み出し評価試験2>
実施例、比較例及び参考例にて作成したシートを幅40mm×長さ40mmのサイズにし、同サイズのろ紙を挟んで積層した試験体を、荷重340g/cm、40℃50%RH環境下で15時間圧着し、シートから浸み出した蓄熱材成分をろ紙に移行させた。その後、ろ紙を取り出して細かく裁断し、THFに含浸させ10時間静置して溶出させ、GC測定を行い、C18アルカン量をヘキサン換算値で定量した。
Figure 0006528686
(実施例3)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)42.2質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−10:粘度80mPa・s)25.6質量部と、安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.3質量部と、その他添加剤(BYK製 減粘剤BYKVISCOBYK−4041、分散剤DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)あわせて5.6質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子径100〜300μm、融点26℃)25.3部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は7000mPa・sであった。これをPETフィルム上に3mmアプリケーターにて塗布した後、100℃5分間加熱しゲル化させた。その後、PETフィルムを剥がし厚さ2mmの蓄熱シートを形成した。
(実施例4)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)45.0質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−10:粘度80mPa・s)20.6質量部と、安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.4質量部と、その他添加剤(BYK製 減粘剤BYKVISCOBYK−4041、分散剤DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)あわせて6質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子径100〜300μm、融点26℃)27.0部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は21500mPa・sであった。これをPETフィルム上に3mmアプリケーターにて塗布した後、100℃5分間加熱しゲル化させた。その後、PETフィルムを剥がし厚さ2mmの蓄熱シートを形成した。
(実施例5)
可塑剤を、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−3A:粘度95mPa・s))にしたこと以外は実施例3と同様にして蓄熱シートを形成した。なお、塗工液の粘度は17500mPa・sであった。
(実施例6)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)45.0質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 ポリサイザーW−83:粘度641mPa・s)27.3質量部と、安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.4質量部と、その他添加剤(BYK製 減粘剤BYKVISCOBYK−4041、分散剤DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)あわせて6質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子径100〜300μm、融点26℃)20.3部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は27000mPa・sであった。これをPETフィルム上に3mmアプリケーターにて塗布した後、100℃5分間加熱しゲル化させた。その後、PETフィルムを剥がし、厚さ2mmの蓄熱シートを形成した。
(実施例7)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)45.0質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 ポリサイザーW−83:粘度641mPa・s15.5質量部と、トリメチルペンタニルジイソブチレート(イーストマンケミカル製 TXIB:粘度10mPa・s)5.1質量部と、安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.4質量部と、その他添加剤(BYK製 減粘剤BYKVISCOBYK−4041、分散剤DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)あわせて6質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子系100〜300μm、融点26℃)27.0質量部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は24500mPa・sであった。これをPETフィルム上に3mmアプリケーターにて塗布した後、120℃5分間加熱しゲル化させた。その後、PETフィルムを剥がし厚さ2mmの蓄熱シートを形成した。
(実施例8)
不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した積層体であること以外は実施例3と同様にして、厚さ2mmの不燃紙との積層蓄熱シートを形成した。
(実施例9)
不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した積層体であること以外は実施例4と同様にして、厚さ2mmの不燃紙との積層蓄熱シートを形成した。
(実施例10)
不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した積層体であること以外は実施例5と同様にして、厚さ2mmの不燃紙との積層蓄熱シートを形成した。
(実施例11)
不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した積層体であること以外は実施例6と同様にして、厚さ2mmの不燃紙との積層蓄熱シートを形成した。
(実施例12)
不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した積層体であること以外は実施例7と同様にして、厚さ2mmの不燃紙との積層蓄熱シートを形成した。
(実施例13)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ製 ZEST PQ92)42.0質量部と、安息香酸エステル系可塑剤(DIC製 モノサイザーPB−10:粘度80mPa・s)25.2質量部と、安定剤(日辰貿易製 グレックML−610A)1.3質量部と、その他添加剤(BYK製 減粘剤BYKVISCOBYK−4041、分散剤DISPERPLAST−1142、脱泡剤BYK−3155)あわせて5.4質量部と、パラフィンをマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材(BASF製 ミクロナール5001X:粒子径100〜300μm、融点26℃)26.1部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。塗工液の粘度は8000mPa・sであった。これを不燃紙(リンテック社製 セラフォームW150)に塗布した後、135℃8分間加熱しゲル化させ、厚さ2mmの蓄熱シートを形成した。このシートの引張最大荷重は161.5N、シート伸び率は281%であった。
(実施例14)
塗布後の加熱温度を160℃8分間にしたこと以外は実施例13と同様にして蓄熱シートを形成した。このシートの引張最大荷重は173.0N、シート伸び率は320%であった。
(実施例15)
可塑剤を、フタル酸系可塑剤(新日本理化製 サンソサイザーDINP:粘度65mPa・s)にしたこと以外は実施例14と同様にして蓄熱シートを形成した。なお、塗工液の粘度は5500mPa・sであった。このシートの引張最大荷重は91.5N、シート伸び率は134%であった。
上記実施例3〜15にて形成したシートにつき、以下の評価を行った。得られた結果を下表に示した。
<可塑剤粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計(東京計器株式会社製「DVM−B型」)
測定条件:温度25℃、No.2ロータ、30rpm
<塗工液粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計(トキメック株式会社製「BM型」)
測定条件:温度25℃、No.4ロータ、6rpm
<引張最大荷重及びシート伸び率の測定条件>
上記実施例13〜15で形成したシートの引張最大荷重及びシート伸び率の測定条件は下記のとおりである。
測定装置:株式会社エーアンドエー「テンシロン万能試験機RTC−1250A」
測定方法:幅25mm長さ70mmの試験片を引張試験機にて引っ張り、最大荷重及び試験片が切断したときの伸びを測定した。
引張条件:つかみ間隔30mm、引張速度200±20mm/分
<適温維持性評価試験>
実施例3〜15にて作成したシートを幅50mm×長さ50mmのサイズにした試験体を2枚重ねに積層し、熱伝対をシート中央に挟んで設置した。環境試験機内で外気温を35℃で2時間保持した後、50分間で5℃まで下降させ、さらに1時間5℃を保持した。この際、シート内の温度が28℃〜20℃の温度を保持した時間を測定し、外気温の28℃〜20℃保持時間(800秒)からどのくらい適温維持時間が延びたかを計算して、適温維持性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:保持時間が+200秒以上
○:保持時間が+50秒以上200秒未満
×:保持時間が+50秒未満
<浸み出し評価試験>
実施例3〜7にて作成したシートを幅40mm×長さ40mmのサイズにし、同サイズのろ紙を挟んで積層した試験体を、荷重340g/cm、40℃50%RH環境下で15時間圧着し、シートから浸み出した蓄熱材成分をろ紙に移行させた。その後、ろ紙を取り出して細かく裁断し、THFに含浸させ10時間静置して溶出させ、GC測定を行い、C18アルカン量をヘキサン換算値で定量した。
◎:不検出または0.05mg未満
○:0.05mg以上0.2mg未満
×:0.2mg以上
<紙積層時の可塑剤浸透>
実施例8〜15にて作成した不燃紙積層シートの不燃紙側について、目視及び指触にて可塑剤の浸み出しを評価した。評価基準は以下の通りである。
○:裏面まで到達する可塑剤の浸透なし
×:裏面まで到達する可塑剤の浸透あり
<難燃性評価試験>
実施例8〜15にて作成したシートを幅50mm×横200mmのサイズにした試験体に、試験体の端から19mm(A)、38mm(B)、138mm(C)の位置に標線を表示した。試験体を水平に設置し、炎の高さを38mmに調整したガスバーナーの出炎管の中心が標線Aの中心となるように設置して15秒間炎にさらして着火させた。燃焼が標線Bに到達した時間から標線Cに到達した時間(分)、または燃焼の進行が停止した時間と距離を測定した。以上より、標線Bから標線C間の燃焼速度(mm/分)を計算し、難燃性を評価した。評価の基準は以下の通りである。
◎:燃焼速度50mm/分以下または、標線Cまで燃焼せずに自己消火
○:燃焼速度50mm/分から100mm/分
△:燃焼速度100mm/分から500mm/分
×:燃焼速度500mm/分以上
Figure 0006528686
Figure 0006528686
Figure 0006528686
上記表から明らかなとおり、本発明の蓄熱シートは、柔軟な樹脂系のシートでありながら、蓄熱材の染み出しが生じにくいものであった。また、低温でも好適に成形が可能であり、得られた蓄熱シートは良好な蓄熱性を有し、適温保持に優れるものであった。さらに、不燃紙を積層した実施例8〜15の蓄熱シートは、好適な難燃性を有するものであった。一方、比較例1の樹脂シートは、指触により確認できるほどの顕著な蓄熱材の染み出しが生じるものであった。

Claims (9)

  1. 塩化ビニル樹脂粒子、安息香酸系可塑剤及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液のゾルキャスト膜からなることを特徴とする蓄熱シート。
  2. 蓄熱材の含有量が15〜60質量%である請求項1に記載の蓄熱シート。
  3. 塩化ビニル樹脂の含有量が10〜80質量%である請求項1又は2に記載の蓄熱シート。
  4. 前記蓄熱材が、−20℃〜120℃の温度範囲で固/液相転移を示す潜熱蓄熱材料を含有するマイクロカプセル粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の蓄熱シート。
  5. 前記ゾルキャスト膜のゲル化温度が130℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の蓄熱シート。
  6. 前記ビニルゾル塗工液が可塑剤を含有し、前記可塑剤の含有量が塗工液に含まれる塩化ビニル樹脂100質量部に対して30〜150質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の蓄熱シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の蓄熱シートに、熱拡散層及び断熱層の少なくとも一種が積層された蓄熱積層体。
  8. (1)支持体上に、塩化ビニル樹脂粒子及び蓄熱材を含有するビニルゾル塗工液を塗布し、ビニルゾル塗工膜を得る工程、
    (2)ビニルゾル塗工膜を加熱してゲル化膜からなる蓄熱シートを形成する工程、を有することを特徴とする蓄熱シートの製造方法。
  9. 前記加熱温度が130℃以下である請求項に記載の蓄熱シートの製造方法。
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