JP6528390B2 - セルロース系材料、造形物製造用組成物セット、造形物、ダイアライザー、透析装置、透析方法および造形物の製造方法 - Google Patents

セルロース系材料、造形物製造用組成物セット、造形物、ダイアライザー、透析装置、透析方法および造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロース系材料、造形物製造用組成物セット、造形物、ダイアライザー、
透析装置、透析方法および造形物の製造方法に関する。
セルロースは、再生可能な資源で、地球上に莫大な蓄積量があるとともに、生体適合性
、分解性に優れ、環境にやさしい材料であることから、近年注目を浴び、その有効利用が
求められている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来においては、セルロースの用途としては、印刷用紙、段ボール紙等の紙製
品がほとんどで、そのほかに、繊維(セルロース繊維)等に利用されている程度で、セル
ロースが有する様々な特長を十分に生かしきれていないという問題があった。
一方で、微生物が生産するセルロースを用いて、人工血管を提供する試みがある(特許
文献1参照)。
しかしながら、このような技術では、セルロースやセルロースを用いた造形物である人
工血管の製造の効率が悪く、また、形状の制御も困難であるという問題があった。また、
人工血管等では、いったん欠陥が生じた場合に取り換え等が困難であり、より高い安全性
が要求されるが、従来の技術では、欠陥の発生を十分に防止することが困難であり、安全
性、信頼性に問題があった。
特開平3−272772号公報
本発明の目的は、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物の製造に用いることができる
セルロース系材料、造形物製造用組成物セットを提供すること、自己修復機能を有し高い
信頼性の造形物を提供すること、信頼性の高いダイアライザー、透析装置、透析方法を提
供すること、また、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を効率よく製造することがで
きる造形物の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセルロース系材料は、セルロース誘導体を含むセルロース系材料であって、
前記セルロース誘導体は、分子内にアミン構造を有するものであることを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物の製造に用いることができるセル
ロース系材料を提供することができる。
本発明のセルロース系材料では、前記セルロース誘導体のセルロース骨格構造に導入さ
れた繰り返し構造を有する高分子鎖の繰り返し単位に、前記アミン構造が導入されている
ことが好ましい。
これにより、造形物の強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自
己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたも
のとすることができる。また、セルロース系材料の構成成分としてのセルロース誘導体の
合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コスト
の低減にも寄与することができる。
本発明のセルロース系材料では、前記セルロース誘導体は、前記アミン構造として1級
アミンまたはその塩を有するものであることが好ましい。
これにより、造形物の強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自
己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたも
のとすることができる。
本発明のセルロース系材料では、前記セルロース誘導体は、ポリアリルアミン構造を有
するものであることが好ましい。
これにより、造形物の強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自
己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたも
のとすることができる。また、セルロース系材料の構成成分としてのセルロース誘導体の
合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コスト
の低減にも寄与することができる。
本発明のセルロース系材料では、前記アミン構造は、セルロースを構成するβ−グルコ
ースの6位の炭素に結合する水酸基に導入された置換基中に設けられたものであることが
好ましい。
これにより、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間のイオン間相互作用をより効
果的に発揮させることができ、造形物の強度をより優れたものとすることができるととも
に、造形物の自己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性
をより優れたものとすることができる。また、セルロース系材料の構成成分としてのセル
ロース誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材
)の生産コストの低減にも寄与することができる。
本発明の造形物製造用組成物セットは、本発明のセルロース系材料を含む第1の組成物
と、
2価以上のアニオン性化合物を含む第2の組成物とを備えることを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物の製造に用いることができる造形
物製造用組成物セットを提供することができる。
本発明の造形物製造用組成物セットでは、前記第1の組成物は、前記セルロース系材料
として、少なくとも表面を含む領域が前記セルロース誘導体で構成された粒子を含むもの
であることが好ましい。
これにより、製造される造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
また、寸法精度の高い造形物をより効率よく製造することができる。
本発明の造形物製造用組成物セットでは、前記第2の組成物は、液状をなすものである
ことが好ましい。
これにより、より高い寸法精度の造形物をより優れた生産性で製造することができる。
本発明の造形物は、本発明のセルロース系材料を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を提供することができる。
本発明の造形物は、本発明の造形物製造用組成物セットを用いて製造されたことを特徴
とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を提供することができる。
本発明の造形物は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体と、2価以上のアニ
オン性化合物とを含み、
前記アミン構造と、前記アニオン性化合物が有するアニオン性官能基との間で、イオン
結合が形成されていることを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を提供することができる。
本発明の造形物では、前記アニオン性化合物として、ポリリン酸を含むものであること
が好ましい。
これにより、造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる。また、自己
修復機能をより効果的に発揮させることができる。このようなことから、造形物の耐久性
、信頼性をより優れたものとすることができる。
本発明の造形物は、医療機器であることが好ましい。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性を有するという本発明の効果がより顕著に
発揮される。
本発明の造形物は、人工血管であることが好ましい。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性を有するという本発明の効果がより顕著に
発揮される。
本発明の造形物は、透析用部材であることが好ましい。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性を有するという本発明の効果がより顕著に
発揮される。
本発明のダイアライザーは、本発明の造形物を備えたことを特徴とする。
これにより、安全性、信頼性の高いダイアライザーを提供することができる。
本発明の透析装置は、本発明の造形物を備えたことを特徴とする。
これにより、安全性、信頼性の高い透析装置を提供することができる。
本発明の透析方法は、本発明の造形物を用いて、透析を行うことを特徴とする。
これにより、安全性、信頼性の高い透析方法を提供することができる。
本発明の造形物の製造方法は、粒子を含む粒子含有組成物を用いて、所定の厚さを有す
る層を形成する層形成工程と、
前記層のうち所定の領域に、結着液を付与する結着液付与工程とを有し、
これらの工程を順次繰り返し行うことにより、造形物を製造する方法であって、
前記粒子含有組成物は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体を含むものであ
り、
前記結着液は、2価以上のアニオン性化合物を含むものであることを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を効率よく製造することができる
造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造に用いる製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物としての透析用部材の好適な実施形態を模式的に示す側面図である。 本発明の透析装置の好適な実施形態を示す模式図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする
《セルロース系材料》
まず、本発明のセルロース系材料について詳細に説明する。
本発明のセルロース系材料は、セルロース誘導体を含むものである。
そして、前記セルロース誘導体は、分子内にアミン構造を有するものである。
このようなセルロース誘導体は、後に詳述するような2価以上のアニオン性化合物との
間で好適なイオン結合を形成するものである。このため、セルロース誘導体とアニオン性
化合物とを含む材料で構成された造形物において、セルロース誘導体とアニオン性化合物
とが好適に結合した状態をとることができる。より詳しく説明すると、セルロース誘導体
とアニオン性化合物との結合は、分子間力の一種であるイオン結合により結合しているが
、ファンデルワールス力、水素結合等の通常の分子間力に比べると結合力が大きいもので
ある。したがって、造形物の強度を十分に優れたものとすることができる。また、例えば
、外力によって、造形物に傷がついたり、比較的小さな破断が生じる等の欠陥を生じた場
合であっても、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間のイオン間相互作用(分子間
力)によって、上記のような欠陥が修復される自己修復機能が発揮される。したがって、
造形物は、信頼性、耐久性に優れたものとなる。
[セルロース誘導体]
前述したように、本発明のセルロース系材料は、分子内にアミン構造を有するセルロー
ス誘導体を含むものである。
セルロースはβ−グルコースがグリコシド結合により重合した化合物であるが、本発明
において、セルロース誘導体とは、セルロースから化学反応により誘導することができる
化合物であればよく、例えば、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の置換基
に変化させたもの(セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の化合物と縮合反応
させたもの等を含む)等が挙げられる。
なお、前記置換基は、すべての繰り返し単位(グルコース構造)について、同様に導入
されたものであってもよいし、繰り返し単位(グルコース構造)の一部にのみ導入された
ものであってもよい。また、繰り返し単位(グルコース構造)によって、前記置換基が導
入された部位が異なっていてもよい。
そして、本発明のセルロース系材料中に含まれるセルロース誘導体は、分子内にアミン
構造を有するものである。
アミン構造としては、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミンやこれらの塩、4
級アンモニウム等が挙げられる。また、本発明では、アミン構造は、ヘテロ原子として窒
素原子を含む芳香族複素環構造(例えば、ピリジン構造等)であってもよい。
上記の中でも、セルロース誘導体が有するアミン構造は、1級アミンまたはその塩であ
るのが好ましい。
これにより、セルロース誘導体とアニオン性化合物との結合力をより大きいものとする
ことができ、造形物の強度をより優れたものとすることができる。また、セルロース誘導
体とアニオン性化合物とを含む材料で構成された造形物の自己修復機能をより優れたもの
とすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたものとすることができる。
アミン構造は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよいが、
セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に導入された置換基
中に設けられたものであるのが好ましい。すなわち、下記式(2)のRにアミン構造が
導入されているのが好ましい。
Figure 0006528390
(式(2)中、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換
基を表す。ただし、少なくとも、分子内に少なくとも1つの前記アミン構造を含む官能基
が導入されている。)
これにより、アミン構造をセルロース誘導体の分子の外側に効率よく露出させることが
できる。その結果、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間のイオン間相互作用をよ
り効果的に発揮させることができ、造形物の強度をより優れたものとすることができると
ともに、造形物の自己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐
久性をより優れたものとすることができる。また、セルロース系材料の構成成分としての
セルロース誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系
部材)の生産コストの低減にも寄与することができる。また、後に詳述するような方法(
三次元造形法)を用いて造形物を製造する際に、セルロース誘導体とアニオン性化合物と
の間での強固なイオン結合の形成をより短時間で形成することができ、結合部(固化部)
の形成効率がより優れたものとなるため、造形物の生産性をより優れたものとすることが
できる。
アミン構造は、セルロース誘導体の分子内に少なくとも1つ導入されていればよいが、
セルロース誘導体の分子内には、複数個のアミン構造が導入されているのが好ましい。
これにより、前述したようなアミン構造を有することによる効果がより顕著に発揮され
、造形物の強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自己修復機能を
より優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたものとすること
ができる。
特に、複数個のアミン構造は、セルロース骨格構造(基本骨格)に導入された繰り返し
構造を有する高分子鎖(側鎖)の繰り返し単位に導入されているものであるのが好ましい
これにより、前述したようなアミン構造を有することによる効果がより顕著に発揮され
、造形物の強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自己修復機能を
より優れたものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたものとすること
ができる。また、セルロース系材料の構成成分としてのセルロース誘導体の合成を効率よ
く行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コストの低減にも寄
与することができる。また、後に詳述するような方法(三次元造形法)を用いて造形物を
製造する際に、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間での強固なイオン結合の形成
をより短時間で形成することができ、結合部(固化部)の形成効率がより優れたものとな
るため、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
セルロース誘導体は、アミン構造として、ポリアリルアミン構造を有するものであるの
が好ましい。
これにより、セルロース誘導体とアニオン系化合物とを含む材料で構成された造形物の
強度をより優れたものとすることができるとともに、造形物の自己修復機能をより優れた
ものとすることができ、造形物の信頼性、耐久性をより優れたものとすることができる。
また、セルロース系材料の構成成分としてのセルロース誘導体の合成を効率よく行うこと
ができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コストの低減にも寄与すること
ができる。また、後に詳述するような方法(三次元造形法)を用いて造形物を製造する際
に、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間での強固なイオン結合の形成をより短時
間で形成することができ、結合部(固化部)の形成効率がより優れたものとなるため、造
形物の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、ポリアリルアミン構造としては、例えば、下記式(3)で表すものが挙げられる
Figure 0006528390
(式(3)中、nは、2以上の整数である。)
なお、式(3)で表されるポリアリルアミン構造は、1級アミンであるが、2級アミン
、3級アミンまたはこれらの塩や、4級アンモニウムであってもよい。
上記のような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の具体例としては、下記式(7
)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 0006528390
(式(7)中、n、mは、それぞれ独立に、2以上の整数であり、R、R、R、R
は、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(CHCO)である。)
また、セルロース誘導体は、セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させ
る官能基(反応性官能基)を有するものであってもよい。
このように、セルロース誘導体の分子同士を共有結合で結合することにより、分子間で
の分離等による強度の低下等を効果的に防止しつつ、セルロース系材料が本来有している
特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性、環境安全性等)をより効果的に発揮させるこ
とができる。また、最終的に得られる造形物の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れた
ものとすることができる。
このような官能基(反応性官能基)としては、セルロース誘導体の分子同士を直接結合
するものであってもよいし、他の原子(少なくとも1個の原子)を介して、結合するもの
であってもよい。
前記官能基(反応性官能基)としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸
基、カルボキシル基等が挙げられるが、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好まし
い。
これにより、セルロース誘導体の反応性を優れたものとすることができ、セルロース系
材料を用いて製造される造形物の生産性をより優れたものとすることができる。また、製
造される造形物中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含まれることを効果的に防
止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れた
ものとすることができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をより優
れたものとすることができる。また、セルロース誘導体と反応する化合物(セルロース誘
導体が有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、造形物の設計
の幅が広がる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基(反応性官能基)としては、例えば、ビニル基、(メ
タ)アクリロイル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これにより、セルロース誘導体の反応性をさらに優れたものとすることができ、造形物
の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的な造形物中に未反応のセ
ルロース誘導体が不本意に多く含まれることをより効果的に防止することができる。また
、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。
このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をさらに優れたものとすることがで
きる。また、セルロース誘導体と反応する化合物(セルロース誘導体が有する反応性官能
基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、造形物の設計の幅が広がる。
前記反応性官能基は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよ
いが、セルロース骨格構造(基本骨格構造)とは異なる前記セルロース誘導体の側鎖に導
入されたものであるのが好ましい。
これにより、本来セルロースが有している特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性、
環境安全性等)をより効果的に発揮させつつ、反応性官能基を有することによる効果を発
揮させることができる。また、セルロース誘導体の側鎖は、一般に、セルロース骨格構造
(基本骨格構造)に比べて反応性が高いため、反応性官能基が関与する反応をより効率よ
く進行させることができる。
特に、前記反応性官能基は、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合
する水酸基に化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、上記式(2
)のRに前記反応性官能基が導入されているのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の立体障害を小さいものとすること等から、セルロース
誘導体の反応性を優れたものとすることができ、造形物の生産性をより優れたものとする
ことができる。また、最終的な造形物中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含ま
れることを防止することができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性
をより優れたものとすることができる。また、セルロース系材料の構成成分としてのセル
ロース誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物の生産コストの低減
にも寄与することができる。
また、前記反応性官能基は、基本となるセルロース構造に、少なくとも1つの炭素−炭
素単結合を介してセルロース骨格に導入されたものであるのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の反応性をより優れたものとすることでき、造形物の生
産性等をより優れたものとすることができる。
セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させる反応は、紫外線の照射によ
り進行するものであるのが好ましい。
これにより、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、造形物の生産性
をより優れたものとすることができる。また、造形物の製造装置の構成の複雑化を防止し
、造形物の生産コストを抑制することができる。
セルロース誘導体(特に、前記反応性官能基が炭素−炭素二重結合を含むものであるセ
ルロース誘導体)は、分子内に2個以上のS−H結合を有するシロキサン化合物と反応す
るものであるのが好ましい。
これにより、前記共有結合の形成効率をより優れたものとすることができ、造形物の生
産性をより優れたものとすることができる。また、造形物中に未反応のセルロース誘導体
が不本意に多く含まれることを効果的に防止することができる。また、反応により形成さ
れる共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから
、造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたものとすることができる。また、加熱によ
り、前記共有結合を形成する化学反応を好適に行うことができる。
セルロース誘導体が反応するシロキサン化合物は、分子内に2個以上のS−H結合を有
するものであるのが好ましいが、分子内に3個以上のS−H結合を有するものであるのが
より好ましい。
これにより、前記共有結合を形成する化学反応によって、より複雑な網目構造を形成す
ることができ、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
また、セルロース誘導体が反応する前記シロキサン化合物は、鎖状化合物であってもよ
いが、環状化合物であるのが好ましい。
これにより、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
このような条件を満足するシロキサン化合物(セルロース誘導体と反応するシロキサン
化合物)としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006528390
また、セルロース誘導体(特に、前記反応性官能基が炭素−炭素二重結合を含むもので
あるセルロース誘導体)は、架橋剤と反応するものであってもよい。
これにより、例えば、前記共有結合を形成する化学反応によって、より複雑な網目構造
を形成することができ、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
また、例えば、紫外線等の光の照射により、前記共有結合を形成する化学反応を好適に行
うことができる。
架橋剤としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基を有す
る化合物等が挙げられる。
中でも、架橋剤としては、分子内に複数個の重合性官能基を有する化合物が好ましく、
アルキル鎖の両末端が重合性官能基で修飾された化合物がより好ましい。
このような架橋剤としては、例えば、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006528390
(式(5)中、nは、1以上の整数である。)
セルロース系材料中に含まれるセルロース誘導体の重量平均分子量は、特に限定されな
いが、5000以上10000000以下であるのが好ましく、10000以上7000
000以下であるのがより好ましい。
これにより、製造される造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたものとすることが
できる。
セルロース系材料中におけるセルロース誘導体の含有率は、特に限定されないが、50
質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以
上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したようなセルロース誘導体を含むことによる効果がより顕著に発揮
される。
[その他の成分]
また、セルロース系材料は、前述したセルロース誘導体(分子内にアミン構造を有する
セルロース誘導体)以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、前述したようなアミン構造を有さないセルロース誘
導体(その他のセルロース誘導体)や、化学修飾が施されていないセルロースが挙げられ
る。このような成分は、例えば、前述したセルロース誘導体(分子内にアミン構造を有す
るセルロース誘導体)の合成時に、未反応成分として残ったものであってもよいし、副反
応により生じたものであってもよい。
また、セルロース系材料が複数の粒子を含むものであり、粒子は、分子内にアミン構造
を有するセルロース誘導体以外の材料で構成された芯部と、その表面に設けられ、分子内
にアミン構造を有するセルロース誘導体を含む材料で構成された表面層とを備えるもので
あってもよい。
また、本発明のセルロース系材料は、原料由来の副成分(例えば、リグニン、ヘミセル
ロース等)を含むものであってもよい。
また、セルロース系材料は、前述したセルロース誘導体を保持する担体を含むものであ
ってもよい。例えば、セルロース系材料が、複数個の粒子を含むものである場合、当該粒
子は、セルロース誘導体を当該粒子の外表面付近に保持させるための母粒子(基部)を有
するものであってもよい。言い換えると、セルロース系材料は、担体としての母粒子と、
分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体で構成された表面層とを有する粒子を複数
個含むものであってもよい。
これにより、製造される造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
この場合、前記担体の構成材料は、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等
の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各
種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭
化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸
塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム
等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ
酸塩や、これらの複合化物等の無機材料、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチ
レンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリ
ウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリ
メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタ
クリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするク
ロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合
ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等の
有機材料、これらのうち2種以上を含む複合材料等が挙げられる。
《造形物の製造方法》
次に、本発明の造形物の製造方法について説明する。
本発明の造形物は、前述したような本発明のセルロース系材料を用いて製造されたもの
であればよく、その製造方法は、特に限定されない。
本発明の造形物を製造する製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形
等の各種成形方法や、バルク材に切削・研削・研磨等の機械加工を施す方法等が挙げられ
る。
また、本発明の造形物の製造方法としては、以下に説明するような三次元造形法(組成
物を用いて層を形成する層形成工程を複数回行い、前記層を積層し造形物(三次元造形物
)を製造する方法)を用いることができる。
これにより、高い寸法精度が求められる造形物や、複雑な形状の造形物であっても、十
分な寸法精度で効率よく製造することができる。また、形状・大きさが異なる複数種の造
形物の製造にも好適に対応することができる。
特に、三次元造形法において、前述した本発明のセルロース系材料を用いて前記層を形
成することにより、層の形状の安定性をより優れたものとすることができる。また、アニ
オン系化合物を含む組成物(第2の組成物)を付与した際に、当該組成物を速やかに吸収
することができ、当該組成物の不本意な濡れ広がり等を効果的に防止することができる。
その結果、最終的に得られる造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。ま
た、造形物の製造に用いる材料の構成成分としての揮発成分の量を全体として少ないもの
とすることができ、造形物の生産性をより優れたものとすることができるとともに、省資
源、環境への低負荷の観点からも好ましい。
以下、三次元造形法を適用した場合の造形物の製造方法の具体例について説明する。
図1、図2は、本発明の造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的
に示す断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の製造方法は、本発明のセルロース系材料を粒子
として含む粒子含有組成物(第1の組成物)P1’を用いて、側面支持部(枠体)45で
囲われた領域に、所定の厚さを有する層P1を形成する層形成工程(1a、1d)と、イ
ンクジェット法により、層P1に対し、2価以上のアニオン性化合物を含む液状組成物(
第2の組成物)P12を付与し、結合部P13を形成する液状組成物付与工程(1b、1
c、1e、1f)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1g)、さらに、その後
に、各層P1を構成する粒子のうち、結合剤(アニオン性化合物等)により結合していな
いものを除去する未結合粒子除去工程(1h)を有している。
以下、各工程について説明する。
<層形成工程>
層形成工程では、セルロース系材料で構成された粒子を含む粒子含有組成物(第1の組
成物)P1’を用いて、所定の厚さを有する層P1を形成する(1a、1d)。
このように、セルロース系材料を粒子として含む第1の組成物P1’を用いることによ
り、最終的に得られる造形物(三次元造形物)P10の寸法精度を優れたものとすること
ができる。また、造形物P10の耐熱性や機械的強度等をより優れたものとすることがで
きる。
なお、粒子含有組成物(第1の組成物)P1’については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段を用いて、層P1を表面が平坦化されたものとして形成する。
1回目の層形成工程では、ステージ41の表面に所定の厚さで層P1を形成する(1a
)。このとき、ステージ41の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となって
おり、ステージ41と側面支持部45との間から、第1の組成物P1’が落下することが
防止されている。
2回目以降の層形成工程では、先の工程で形成された層P1(第1の層)の表面に新た
な層P1(第2の層)を形成する(1d)。このとき、ステージ41の層P1(ステージ
41上に複数の層P1がある場合には、少なくとも最も上側に設けられた層P1)の側面
と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41とステージ41
上の層P1との間から、第1の組成物P1’が落下することが防止されている。
本工程においては、第1の組成物P1’を加熱してもよい。これにより、例えば、第1
の組成物P1’が溶融成分を含む場合において、第1の組成物P1’をより好適にペース
ト状のものとすることができる。
本工程における第1の組成物P1’の粘度は、500mPa・s以上1000000m
Pa・s以下であるのが好ましい。これにより、形成される層P1における不本意な膜厚
のばらつきの発生をより効果的に防止することができる。
なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISC
ONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
本工程で形成する層P1の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm以上500
μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましい。こ
れにより、造形物P10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される造形物P10
における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物P10の寸法精度をより優
れたものとすることができる。
<液状組成物付与工程(結着液付与工程)>
層形成工程で層P1を形成した後、インクジェット法により、当該層P1に対し、2価
以上のアニオン性化合物を含む液状組成物(第2の組成物)P12を結着液として付与す
る(1b、1e)。
第2の組成物P12中に含まれるアニオン性化合物は、層P1を構成するセルロース誘
導体(分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体)との間で、好適なイオン結合を形
成するものであるため、層P1のうち第2の組成物P12が付与された部位においては、
セルロース誘導体とアニオン性化合物とが結合し、結合部P13が形成される。この結合
部P13は、造形物P10において実体部を構成するものである。
なお、液状組成物(第2の組成物)P12については、後に詳述する。
本工程では、層P1のうち製造すべき造形物P10の実部(実体のある部位)に対応す
る部位にのみ、選択的に液状組成物P12を付与する。
これにより、層P1を構成するセルロース誘導体と液状組成物P12を構成するアニオ
ン性化合物とが結合し、所望の形状の結合部(実体部)P13を形成することができる。
本工程では、インクジェット法により液状組成物P12を付与するため、液状組成物P
12の付与パターンがより微細な形状のものであっても、より高い再現性で液状組成物P
12を付与することができる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度をよ
り高いものとすることができる。
また、第2の組成物P12に含まれるアニオン性化合物は、分子内にアミン構造を有す
るセルロース誘導体と接触すると、短時間で、前述したようなイオン結合を形成する(1
c、1f)。このため、層P1に第2の組成物P12を付与すると速やかに形状の安定性
に優れた結合部P13が形成される。したがって、造形物P10の生産性を優れたものと
することができるとともに、最終的に得られる造形物P10の寸法精度を優れたものとす
ることができる。
上記のように、第2の組成物P12を付与することにより、容易かつ確実に結合部P1
3を形成することができるが、結合部P13の結合力(最終的に得られる造形物P10の
強度等)等をより優れたものとするために、例えば、他の処理を行ってもよい。例えば、
セルロース誘導体が反応性官能基を有するものである場合や、第2の組成物P12’が硬
化性樹脂を含むものである場合等には、これらの化学反応を進行させるための処理を施し
てもよい。このような化学反応(例えば、共有結合を形成する反応)を行う場合、当該化
学反応は、例えば、加熱やエネルギー線(例えば、紫外線等の光線や、電子線、陽電子線
、中性子線、α線、イオンビーム等)の照射等により行うことができる。
特に、化学反応を加熱により進行させる場合、造形物P10の製造装置の構成を簡易な
ものとすることができる。また、造形物P10の原料が光透過性の低い材料であっても、
目的とする反応を好適に進行させることができる。
化学反応を加熱により進行させる場合、加熱温度は、50℃以上180℃以下であるの
が好ましく、60℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
また、化学反応を光の照射により進行させる場合、材料の不本意な変性・劣化等をより
効果的に防止しつつ、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
化学反応を光の照射により進行させる場合、当該光としては、例えば、紫外線、赤外線
、可視光線、X線、マイクロ波、ラジオ波等を用いることができるが、紫外線であるのが
好ましい。
これにより、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、造
形物P10の製造装置の構成の複雑化を防止し、造形物P10の生産コストを抑制するこ
とができる。
また、化学反応を紫外線の照射により進行させる場合、紫外線のピーク波長は、250
nm以上400nm以下であるのが好ましい。また、化学反応を進行させるべき各部位へ
の紫外線の照射時間は、30秒以上60秒以下であるのが好ましい。
また、例えば、液状組成物P12が揮発性成分(揮発性溶剤)を含むものである場合、
本工程では、揮発性成分を揮発させるための加熱処理や減圧処理を行うことができる。
<未結合粒子除去工程>
そして、前記のような工程を繰り返し行った後に、後処理工程として、各層P1を構成
する粒子のうち、液状組成物P12(アニオン性化合物)により結合していないもの(未
結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1h)を行う。これにより、造形物P10が
取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結
合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与す
る方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き
付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから
選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の
気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超
音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対
し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するの
が好ましい。
《造形物製造装置》
次に、本発明の造形物(三次元造形物)の製造に用いることのできる製造装置(造形物
製造装置)について説明する。
図3は、本発明の造形物の製造に用いる製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面
図である。
図3に示す造形物製造装置100は、本発明のセルロース系材料を粒子として含む粒子
含有組成物(第1の組成物)P1’を用いて、層P1を繰り返し成形し積層することによ
り、造形物P10を製造するものである。
図3に示すように、造形物製造装置100は、制御部2と、粒子含有組成物(第1の組
成物)P1’を供給する組成物供給部(粒子含有組成物供給部)3と、組成物供給部3か
ら供給された粒子含有組成物(第1の組成物)P1’を用いて層P1を形成する層形成部
4と、層P1に液状組成物(第2の組成物)P12を吐出する液状組成物吐出部(液状組
成物付与手段)5と、共有結合を結合する化学反応を進行させるためのエネルギー線を照
射するエネルギー線照射手段6とを有している。
制御部2は、コンピューター21と、駆動制御部22とを有している。
コンピューター21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コ
ンピューター等である。コンピューター21は、造形物(三次元造形物)P10の形状を
モデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られ
る断面データ(スライスデータ)を駆動制御部22に対して出力する。
駆動制御部22は、層形成部4、液状組成物吐出部5、エネルギー線照射手段6をそれ
ぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、液状組成物吐出部5によ
る液状組成物P12の吐出パターンや吐出量、組成物供給部3からの粒子含有組成物P1
’の供給量、ステージ41の下降量等を制御する。
組成物供給部3は、駆動制御部22からの指令により移動し、内部に収容された粒子含
有組成物P1’が、組成物仮置部(粒子含有組成物仮置部)44に供給されるように構成
されている。
層形成部4は、組成物供給部3から供給された粒子含有組成物P1’を一時的に保持す
る組成物仮置部44と、組成物仮置部44に保持された粒子含有組成物P1’を平坦化し
つつ層P1を形成するスキージー(平坦化手段)42と、スキージー42の動作を規制す
るガイドレール43と、形成された層P1を支持するステージ41と、ステージ41を取
り囲む側面支持部(枠体)45とを有している。
先に形成された層P1の上に、新たな層P1を形成するのに際して、先に形成された層
P1を、側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、新たに形成さ
れる層P1の厚さが規定される。
特に、本実施形態では、ステージ41は、先に形成された層P1の上に、新たな層P1
を形成するのに際して、駆動制御部22からの指令により所定量だけ順次下降する。この
ように、ステージ41がZ方向(上下方向)に移動可能に構成されていることにより、新
たな層P1の形成に際して、層P1の厚さを調整するために移動させるべき部材の数を減
らすことができるため、造形物製造装置100の構成をより単純なものとすることできる
ステージ41は、表面(粒子含有組成物P1’が付与される部位)が平坦なものである
これにより、厚さの均一性の高い層P1を容易かつ確実に形成することができる。また
、製造される造形物P10において、不本意な変形等が生じることを効果的に防止するこ
とができる。
ステージ41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージ41の
構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージ41の表面(粒子含有組成物P1’が付与される部位)には、表面処理
が施されていてもよい。これにより、例えば、粒子含有組成物P1’の構成材料や液状組
成物P12の構成材料がステージ41に付着してしまうことをより効果的に防止したり、
ステージ41の耐久性をより優れたものとし、造形物P10のより長期間にわたる安定的
な生産を図ったりすることができる。ステージ41の表面の表面処理に用いられる材料と
しては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
スキージー42は、Y方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った
刃状の形状を有するブレードを備えている。
ブレードのY方向の長さは、ステージ41(造形領域)の幅(Y方向の長さ)以上のも
のである。
なお、造形物製造装置100は、スキージー42による粒子含有組成物P1’の拡散が
円滑に行えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を
備えていてもよい。
側面支持部45は、ステージ41上に形成された層P1の側面を支持する機能を有する
。また、層P1の形成時には、層P1の面積を規定する機能も有している。
また、側面支持部45の表面(粒子含有組成物P1’と接触しうる部位)には、表面処
理が施されていてもよい。これにより、例えば、粒子含有組成物P1’の構成材料や液状
組成物P12の構成材料が側面支持部45に付着してしまうことをより効果的に防止した
り、側面支持部45の耐久性をより優れたものとし、造形物P10のより長期間にわたる
安定的な生産を図ったりすることができる。また、先に形成された層P1を側面支持部4
5に対して相対的に下方に移動させる際に、層P1に不本意な乱れが生じることを効果的
に防止することができる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度、信頼性
をより優れたものとすることができる。側面支持部45の表面の表面処理に用いられる材
料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
液状組成物付与手段(液状組成物吐出部)5は、層P1に液状組成物P12を付与する
ものである。
このような液状組成物付与手段5を備えることにより、造形物P10の機械的強度を容
易かつ確実に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、液状組成物付与手段5が、インクジェット法により液状組成物
P12を吐出する液状組成物吐出部である。
これにより、微細なパターンで液状組成物P12を付与することができ、微細な構造を
有する造形物P10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、液状組成物P12
を加熱して発生した泡(バブル)により液状組成物P12を吐出させる方式等を用いるこ
とができるが、液状組成物P12の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が
好ましい。
液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5は、駆動制御部22からの指令により、各
層P1において形成すべきパターン、層P1の各部において付与する液状組成物P12の
量が制御されている。液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5による液状組成物P1
2の吐出パターン、吐出量等は、スライスデータに基づいて決定される。
エネルギー線照射手段6は、液状組成物P12が付与された層P1にエネルギー線を照
射し、共有結合を結合する化学反応を進行させるものである。
特に、図示の構成では、液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5の走査方向(主走
査方向)の前後に、エネルギー線照射手段6が設けられている。
これにより、往路、復路のいずれにおいても、エネルギー線照射手段6による接合形成
を行うことができるため、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、前述した化学反応を進行させる必要がない場合(例えば、セルロース誘導体が前
述した反応性官能基を有さない場合、第2の組成物P12’が硬化性樹脂を含まない場合
等)には、エネルギー線照射手段6を有していなくてもよい。
《造形物製造用組成物セット》
次に、本発明の造形物製造用組成物セットについて説明する。
本発明の造形物製造用組成物セットは、前述した本発明のセルロース系材料を含む第1
の組成物と、2価以上のアニオン性化合物を含む第2の組成物とを備えるものである。
このような造形物製造用組成物セットは、高強度で自己修復機能を有し、信頼性、耐久
性に優れた造形物の製造に好適に用いることができる。
以下、前述した実施形態の造形物の製造方法、造形物製造装置で用いる粒子含有組成物
P1’、液状組成物(インク)P12を、それぞれ、第1の組成物、第2の組成物として
備える造形物製造用組成物セットについて中心的に説明する。
[第1の組成物]
<セルロース系材料>
第1の組成物は、少なくとも本発明のセルロース系材料(分子内にアミン構造を有する
セルロース誘導体を含むもの)を含むものである。
第1の組成物中において、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体は、固体状を
なすものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる造形物の強度、寸法精度をより優れたものとすることが
できる。また、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
特に、第1の組成物は、セルロース系材料として、少なくとも表面を含む領域が前記セ
ルロース誘導体(分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体)で構成された粒子を含
むものであるのが好ましい。
これにより、製造される造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
また、後に詳述するような方法(三次元造形法)を用いて造形物を製造する場合において
、粒子間の隙間に第2の組成物を好適に浸透させることができ、寸法精度の高い造形物を
より効率よく製造することができる。
この場合、粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるの
が好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、造形物の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造
される造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物の寸法精度を
より優れたものとすることができる。また、製造される造形物に適度な柔軟性を付与する
ことができ、例えば、後述するような人工血管や透析用部材等の医療機器等に、より好適
に適用することができる。また、複数個の当該粒子を含む粉末の流動性、当該粉末を含む
第1の組成物の流動性をより優れたものとし、造形物の生産性をより優れたものとするこ
とができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプ
ルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター
法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)
にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
前記粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30
μm以下であるのがより好ましい。これにより、造形物の機械的強度をより優れたものと
することができるとともに、製造される造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果
的に防止し、造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、複数個の当
該粒子を含む粉末の流動性、当該粉末を含む第1の組成物の流動性をより優れたものとし
、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
前記粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるの
が好ましい。これにより、複数個の当該粒子を含む粉末の流動性、当該粉末を含む第1の
組成物の流動性をより優れたものとし、造形物の生産性をより優れたものとすることがで
きるとともに、製造される造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、
造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。
第1の組成物は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体を複数種含むものであ
ってもよい。
第1の組成物(粒子含有組成物)が粒子状のセルロース系材料を含むものである場合、
第1の組成物(粒子含有組成物)中におけるセルロース系材料の含有率は、8質量%以上
95質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上75質量%以下であるのがより好ま
しい。これにより、第1の組成物(粒子含有組成物)の流動性を十分に優れたものとしつ
つ、最終的に得られる造形物の機械的強度をより優れたものとすることができる。
<その他の成分>
また、第1の組成物は、前述したセルロース系材料以外の成分(その他の成分)を含む
ものであってもよい。このような成分としては、例えば、セルロース系材料以外の材料で
構成された粒子;溶媒または分散媒として機能する液状媒体;バインダー;重合開始剤;
重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴
剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;顔料、染料等の各種
着色剤;各種蛍光材料;各種蓄光材料;各種燐光材料;赤外線吸収材料;分散剤;界面活
性剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
以下、第1の組成物を構成するその他の成分のいくつかについて、より具体的に説明す
る。
(セルロース系材料以外の材料で構成された粒子)
セルロース系材料以外の材料で構成された粒子を含むものである場合、当該粒子として
は、各種無機材料、各種有機材料、これらの複合材料で構成されたものを用いることがで
きる。
前記粒子(セルロース系材料以外の材料で構成された粒子)を構成する無機材料として
は、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリ
カ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタ
ン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カ
ルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物
;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の
各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リ
ン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の
各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
前記粒子(セルロース系材料以外の材料で構成された粒子)を構成する有機材料として
は、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;
ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイ
ミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アク
リルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モ
ノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステ
ルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン
12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;ゼラチン;デンプ
ン;キチン;キトサン等が挙げられる。
前記粒子は、疎水化処理、親水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
(液状媒体)
液状媒体は、第1の組成物中において、セルロース系材料を溶解または分散する機能を
有するものである。
このような液状媒体を含むことにより、例えば、第1の組成物の流動性をより優れたも
のとすることができる。また、例えば、第1の組成物が、セルロース系材料を粒子状のも
のとして含むものである場合、第1の組成物をペースト状のものとすることができ、造形
物の生産性をより優れたものとすることができる。
第1の組成物が後述するバインダーを含むものである場合、液状媒体は、当該バインダ
ーを溶解するものであるのが好ましい。これにより、第1の組成物の流動性をより良好な
ものとすることができ、例えば、前述したような方法を用いて造形物を製造する場合にお
いて、第1の組成物を用いて形成される層の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止
することができる。また、液状媒体が除去された状態の層を形成した際に、層全体にわた
って、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむ
らが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる造形
物の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ
、造形物の信頼性をより高いものとすることができる。
第1の組成物を構成する液状媒体としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤
、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の
グリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセター
ト、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテ
ルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ
、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、第1の組成物は、液状媒体として水系溶剤を含むものであるのが好ましく、水
を含むものであるのがより好ましい。
これにより、第1の組成物の流動性、第1の組成物を用いて形成される層の組成の均一
性をより優れたものとすることができる。また、水は層の形成後の除去が容易であるとと
もに、造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全
性、環境問題の観点等からも有利である。また、第1の組成物が後に詳述するバインダー
として水溶性樹脂を含む場合に、第1の組成物中において、当該水溶性樹脂をより好適な
溶解状態することができ、後に詳述するようなバインダー(水溶性樹脂)を含むことによ
る効果がより効果的に発揮される。
水系溶剤は、水に対する溶解性の高い溶剤であればよいが、具体的には、例えば、25
℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が30[g/100g水]
以上のものであるのが好ましく、50[g/100g水]以上のものであるのがより好ま
しい。
第1の組成物が液状媒体を含むものである場合、第1の組成物中における液状媒体の含
有率は、5質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上89質量%以
下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような液状媒体を含むことによる効果がより顕著に発揮されると
ともに、造形物の製造過程において液状媒体を短時間で容易に除去することができるため
、造形物の生産性向上の観点から有利である。
特に、第1の組成物が液状媒体として水を含むものである場合、第1の組成物中におけ
る水の含有率は、18質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、47質量%以上9
0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
第1の組成物が液状媒体を含むものである場合、前述したような方法を用いて造形物を
製造する場合において、当該液状媒体は、第2の組成物の付与前に、層中から除去される
ものであるのが好ましい。
これにより、層の形状の安定性が向上するとともに、前記液状媒体が第2の組成物の構
成材料との親和性が低いものであっても、層における第2の組成物の不本意なはじき等を
より効果的に防止することができ、より容易かつより確実に、所望のパターンで第2の組
成物を付与することができる。
なお、第1の組成物を構成する液状媒体を、第2の組成物の付与前に、層から除去する
場合、前記液状媒体は、層から完全に除去するものであってもよいし、その一部のみを除
去するものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が発揮され
る。
(バインダー)
第1の組成物は、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、前述したような方法を用いて造形物を製造する場合において、第1の組成
物を用いて形成された層(特に、液状媒体が除去された状態の層)において、複数個の粒
子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止するこ
とができる。これにより、作業者の安全や、製造される造形物の寸法精度のさらなる向上
を図ることができる。
第1の組成物がバインダーを含むものである場合、第1の組成物中において、バインダ
ーは液状媒体に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、第1の組成物の流動性をより良好なものとすることができ、第1の組成物
を用いて形成される層の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。
また、液状媒体が除去された状態の層を形成した際に、層全体にわたって、より高い均一
性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをよ
り効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる造形物の各部位での機械
的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、造形物の信頼性を
より高いものとすることができる。
バインダーとしては、第1の組成物を用いて形成された層(特に、液状媒体が除去され
た状態の層P1)において複数個の粒子を仮固定する機能を有するものであればよいが、
水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、第1の組成物が液状媒体として水系溶剤(特に、水)を
含む場合に、第1の組成物中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることがで
き、第1の組成物の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)をより優れたものとするこ
とができる。その結果、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
また、前述したような方法を用いて造形物を製造する場合において、層の第2の組成物
が付与されなかった部位を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率
よく除去することができる。その結果、造形物の生産性をより優れたものとすることがで
きる。また、層の除去されるべき部位が、最終的に得られた造形物に付着、残存すること
を容易かつ確実に防止することができるため、造形物の寸法精度をより優れたものとする
ことができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、
25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水
]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好
ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリド
ン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル
アミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキ
サイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンス
ターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の
天然ポリマー、でんぷん、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ
、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(
松谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニールピロリドン(東京化学社製、PVP
K−90)、メチルビニールエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット
社製、AN−139)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナ
イロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO
−1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド
とのランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸
ナトリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂
(住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、造形物の
機械的強度をより優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により
、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や第1の組成物の特性(例えば、粘度
、粒子の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な造形
物の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶
性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑
制しつつ、安定的な造形物の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポ
リビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、
水系溶剤(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することがで
きる。そのため、例えば、前述したような方法を用いて造形物を製造する場合において、
第1の組成物が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、隣接する層間の接着性の
低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポ
リビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これによ
り、第1の組成物が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、各層の機械的強度や
隣接する層間の接着性をより優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、
以下のような効果が得られる。すなわち、前述したような方法を用いて造形物を製造する
場合において、層のうち第2の組成物が付与されない部分の強度・形状の安定性をより優
れたものとし、最終的に得られる造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる
。また、ポリビニルピロリドンは、水に対して高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工
程(造形終了後)において、各層を構成する粒子のうち、第1の組成物(アニオン性化合
物等)により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビ
ニルピロリドンは、前述したようなセルロース系材料との親和性が適度なものであるため
、セルロース系材料で構成された粒子の表面に対する濡れ性は比較的高いものとなる。こ
のため、前述したような仮固定の機能をより効果的に発揮することができる。また、ポリ
ビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、液状組成物付与工程(第
2の組成物付与工程)において着色剤を含む第2の組成物を用いた場合に、着色剤が不本
意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。また、ペースト状の第1の組成
物がポリビニルピロリドンを含むものであると、第1の組成物中に泡が巻き込まれてしま
うことを効果的に防止することができ、層形成工程において、泡の巻き込みによる欠陥が
発生するのを効果的により防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポ
リビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが
好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
また、水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールである場合、第1の組成物を好適にペ
レット状とすることができ、粒子の不本意な飛散等をより効果的に防止することができ、
第1の組成物の取扱い性(取り扱いの容易性)が向上し、作業者の安全や、製造される造
形物の寸法精度の向上を図ることができるとともに、比較的低い温度で溶融させることが
できるため、造形物の生産に要するエネルギー・コストを抑制することができるとともに
、造形物の生産性を十分に優れたものとすることができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、
当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以
下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
第1の組成物中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、
溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、第1の組成物を用いて形成される層の厚さの均一性を、
より高いものとすることができる。
第1の組成物がバインダーを含むものである場合、第1の組成物中におけるバインダー
の含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上1
0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮される
とともに、第1の組成物中における粒子等の含有率を十分に高いものとすることができ、
製造される造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる。例えば、セルロ
ース誘導体の種類や含有率の異なる複数種の第1の組成物を用いてもよい。
造形物の製造には、例えば複数種の第1の組成物を用いてもよい。
[第2の組成物]
<アニオン性化合物>
アニオン性化合物は、価数が2以上(分子内のアニオン性原子の数が2以上)のもので
あればよいが、価数が3以上であるのが好ましい。
これにより、造形物中において、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間でのイオ
ン結合をより好適に形成することができ、造形物の強度をより優れたものとすることがで
きるとともに、自己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の耐久性、信頼
性をより優れたものとすることができる。
前記アニオン性化合物が有するアニオン性官能基を有するとしては、例えば、カルボキ
シル基、リン酸基、スルホ基(スルホン酸基)、フェノール性水酸基等が挙げられるが、
中でも、カルボキシル基、リン酸基が好ましく、リン酸基がより好ましい。
これにより、造形物中において、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間でのイオ
ン結合をより好適に形成することができ、造形物の強度をより優れたものとすることがで
きるとともに、自己修復機能をより優れたものとすることができ、造形物の耐久性、信頼
性をより優れたものとすることができる。また、リン酸基は、生体内にも多く含まれるも
のであり、高い安全性を有するものである。したがって、造形物の安全性、生体親和性等
をより優れたものとすることができ、例えば、造形物を医療機器等により好適に適用する
ことができる。
また、第2の組成物は、アニオン性化合物として、ポリリン酸を含むものであってもよ
い。
これにより、造形物中において、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間でのイオ
ン結合をさらに好適に形成することができ、造形物の強度をさらに優れたものとすること
ができるとともに、自己修復機能をさらに優れたものとすることができ、造形物の耐久性
、信頼性をさらに優れたものとすることができる。また、ポリリン酸構造は、生体内にも
多く含まれるものであり、高い安全性を有するものである。したがって、造形物の安全性
、生体親和性等をさらに優れたものとすることができ、例えば、造形物を医療機器等にさ
らに好適に適用することができる。
ポリリン酸構造としては、例えば、下記式(8)、下記式(9)で表されるもの等が挙
げられる。
Figure 0006528390
Figure 0006528390
第2の組成物は、2価以上のアニオン性化合物を複数種含むものであってもよい。
<その他の成分>
また、第2の組成物は、前述したアニオン性化合物以外の成分(その他の成分)を含む
ものであってもよい。このような成分としては、例えば、溶媒;浸透促進剤;湿潤剤(保
湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;顔料、染料等の各種着色剤;各種蛍光材
料;各種蓄光材料;各種燐光材料;赤外線吸収材料;分散剤;硬化性樹脂(重合性化合物
);重合開始剤;重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;紫外線吸収剤;キレート剤;
pH調整剤;界面活性剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
以下、第2の組成物を構成するその他の成分のいくつかについて、より具体的に説明す
る。
第2の組成物中における2価以上のアニオン性化合物の含有率は、特に限定されないが
、10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上95質量%以下であるのがより好
ましく、30質量%以上90質量%以下であるのがさらに好ましい。
(溶媒)
第2の組成物が溶媒を含むものであると、アニオン性化合物を電離させることができ、
セルロース誘導体と接触した際に、より速やかに、セルロース誘導体との間でのイオン結
合の形成を形成することができ、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、ジメチルスルホキシド(DM
SO)、アセトニトリル、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ア
セトン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒、蒸留水、RO水、イオン交換水、純
水、水道水等の水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリ
コール、グリセリン、アルコキシエタノール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン
酸等のカルボン酸類等のプロトン性溶媒等を挙げることができる。
中でも、水が好ましい。
(着色剤)
また、第2の組成物が着色剤を含むものであると、着色剤の色に対応する色に着色され
た造形物を好適に得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、第2の組成物、造形物の耐光性を良好な
ものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することがで
きる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラッ
ク、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化
鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートア
ゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノ
ン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料
、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸
性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ
顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられ、これらから選択される1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては
、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No
.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化
学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Ra
ven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 350
0、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Car
bon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、R
ega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 80
0、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、M
onarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以
上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black
FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Co
lor Black FW18、Color Black FW200、Color B
1ack S150、Color Black S160、Color Black S
170、Printex 35、Printex U、Printex V、Print
ex 140U、Special Black 6、Special Black 5、
Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ
(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、
21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3
、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、3
7、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98
、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、
129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、
180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、
21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、
48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、14
4、146、149、150、166、168、170、171、175、176、17
7、178、179、184、185、187、202、209、219、224、24
5、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、
43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、
15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25
、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C
.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2
,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙
げられる。
第2の組成物が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下で
あるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、
例えば、顔料の発色性をより優れたものとすることができる。また、第2の組成物中にお
ける顔料の分散安定性や第2の組成物の吐出安定性をより優れたものとすることができる
とともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等
が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44
,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289
、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,2
4,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,
24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイ
レクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー
1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクト
ブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアク
ティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,
4,35等が挙げられる。
(蛍光材料)
第2の組成物を構成する蛍光材料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 8
7、C.I.アシッドレッド 52、C.I.アシッドレッド 92、ブリリアントスル
ホフラビン、エオシン、ベーシックフラビン、アクリジンオレンジ、ローダミン6G、ロ
ーダミンB等が挙げられる。
(蓄光材料)
第2の組成物を構成する蓄光材料としては、例えば、亜鉛、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム等のアルカリ土類の硫化物やアルミン酸ストロンチウム等の蓄光材、あるい
は硫化亜鉛等に例示される各種の硫化物や酸化物等の無機蛍光材等が挙げられる。
(燐光材料)
第2の組成物を構成する燐光材料としては、例えば、イリジウム錯体、シクロメタル化
錯体等が挙げられる。
(赤外線吸収材料)
第2の組成物を構成する赤外線吸収材料としては、例えば、ITO、ATO微粒子等が
挙げられる。
(分散剤)
第2の組成物が顔料等の分散質を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、分散
質(例えば、顔料等)の分散性をより良好なものとすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製す
るのに慣用されている分散剤が挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリア
ミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー
、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とす
るもの等が挙げられる。
高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリ
ーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solspe
rse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディ
スパロンシリーズ等が挙げられる。
(硬化性樹脂)
第2の組成物が硬化性樹脂を含むものであると、造形物の機械的強度、信頼性等をより
優れたものとすることができる。また、造形時における形状の安定性を向上させ、製造さ
れる造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬
化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化
性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み
合わせて用いることができる。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生
じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体
を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、
アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチ
オン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有
する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少な
くとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物
、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステ
ル類、アミド類等が挙げられる。
多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物と
のエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族のアミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カ
ルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カル
ボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親
電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミ
ン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性
置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類ま
たはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化
合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能の
もの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ
)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニ
ル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(
メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジ
オールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシア
ヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソ
シアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロール
プロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ
)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼン
のアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、ク
ロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレ
ングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタン
ジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリト
ールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメ
チレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトール
テトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、
ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙
げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレン
グリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート
等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、脂肪族アルコール系エステル類や、芳香族系
骨格を有するもの、アミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては
、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−
ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド
、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリ
レンビスメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、シクロへキシレン構造を有する
もの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性
化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、1分子に2個以上のイソシア
ネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有す
るビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウ
レタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R1)COOCHCH(R2)OH (1)
(ただし、式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有
するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用い
ることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げら
れ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が好ましい。このような硬化性化合物として
は、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラク
トン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体等の環状イミノエーテル類、
ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエ
ーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能
グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられ
る。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル
類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジル
エーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールト
リグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、
四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシ
ジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキ
シ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−30
1、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセ
ル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチル
エーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合
成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環
式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重
結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキ
シド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ
化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−
エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、
ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3
−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオ
キサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で
使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグ
リシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用す
ることが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポ
キシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキ
シ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、
1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジル
エーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとし
ては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(
以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基
含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ビス(2,
4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリ
メチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等を用いることができる。
(界面活性剤)
第2の組成物が界面活性剤を含むものであると、造形物の耐擦性をより良好なものとす
ることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての
、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中
でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシ
ロキサンを用いるのが好ましい。
界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−U
V3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる
第2の組成物は、液状をなすものであるのが好ましい。
これにより、前述したような方法を用いて好適に造形物を製造することができ、より高
い寸法精度の造形物をより優れた生産性で製造することができる。
また、第2の組成物が液状をなすものである場合、第2の組成物の粘度は、2mPa・
s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下で
あるのがより好ましい。
これにより、例えば、インクジェット法による第2の組成物の吐出安定性をより優れた
ものとすることができる。
造形物の製造には、例えば複数種の第2の組成物を用いてもよい。
例えば、着色剤を含むインク(カラーインク)としての第2の組成物と、着色剤を含ま
ないインク(クリアインク)としての第2の組成物とを用いてもよい。これにより、例え
ば、造形物の外観上、色調に影響を与える領域に付与する第2の組成物として着色剤を含
む第2の組成物を用い、造形物の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する第2の組
成物として着色剤を含まない第2の組成物を用いることができる。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の第2の組成物を用いてもよい。これ
により、これらの第2の組成物の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものと
することができる。
複数種の第2の組成物(インク)を用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)のイン
ク、紅紫色(マゼンタ)のインクおよび黄色(イエロー)のインクを用いるのが好ましい
。これにより、これらの第2の組成物(インク)の組み合わせにより、表現できる色再現
領域をより広いものとすることができる。
《造形物》
次に、本発明の造形物(三次元造形物)について説明する。
本発明の造形物は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体と、2価以上のアニ
オン性化合物とを含み、前記アミン構造と、前記アニオン性化合物が有するアニオン性官
能基との間で、イオン結合が形成されていることを特徴とする。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性の造形物を提供することができる。
このような造形物は、前述したような本発明のセルロース系材料、造形物製造用組成物
セットを用いて好適に製造することができる。
本発明の造形物は、アニオン性化合物として、ポリリン酸を含むものであるのが好まし
い。
これにより、セルロース誘導体とアニオン性化合物との間でのイオン結合をより好適に
形成することができるため、造形物の機械的強度等をより優れたものとすることができる
。また、自己修復機能をより効果的に発揮させることができる。このようなことから、造
形物の耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
本発明の造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるも
のであってもよい。
本発明の造形物は、前述したような優れた特徴を有するため、様々な用途に適用するこ
とができる。
本発明の造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、
デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーション装置等の表示部を有する電
子機器の表示部等を保護する保護フィルム;人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;人口
血管、人工透析装置、インプラント等の医療機器;印刷用紙;レンズ(可変焦点レンズを
含む)、位相差フィルム、偏向板等の光学部材;各種細胞、各種細菌等の培養に用いる培
養足場材等のゲル材料;自転車等の乗り物;車椅子等の介護・看護用品等や、これらの構
成部品等が挙げられる。
特に、本発明では、より高い信頼性、安全性が求められる医療機器に適用されるもので
あるのが好ましい。
これにより、自己修復機能を有し高い信頼性を有するという本発明の効果がより顕著に
発揮される。
特に、人工血管は、いったん人体等に適用した後は、取り換え等が困難であり、より高
い安全性、信頼性が要求されるが、本発明ではこのような要求に応えることができるため
、人工血管に好適に適用することができる。
また、透析用部材は、一般に大きな表面積を有しており、そのうち一部であっても欠陥
を有していると、その機能が著しく低下することが知られている。特に、人工透析に用い
られる透析用部材に欠陥が生じていると、生命にかかわる問題を生じるためより深刻であ
る。一方、本発明では、上記のように、高い安全性、信頼性を有しており、特に、傷等が
生じても、自己修復機能により、初期の段階で修復することができ、造形物としての機能
を好適に保持することができる。したがって、本発明は、透析用部材に好適に適用するこ
とができる。
[透析用部材]
以下、本発明の造形物の一例としての透析用部材について、詳細に説明する。
図4は、本発明の造形物としての透析用部材の好適な実施形態を模式的に示す側面図で
ある。
図4に示すように、透析用部材(造形物)P100は、複数の管状の流路として、互い
に異なる流体が流れる第1の流路P21と第2の流路P22とを有している。
そして、これらの流路は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体と、2価以上
のアニオン性化合物とを含む材料で構成され、一体的に形成された壁部P23によって分
画されている。そして、壁部P23においては、前記アミン構造と前記アニオン性化合物
が有するアニオン性官能基との間で、イオン結合が形成されている。
このように、前記セルロース誘導体と前記アニオン性化合物とを含む材料で構成され、
前記アミン構造と前記アニオン性官能基との間でイオン結合が形成され、一体的に形成さ
れた壁部P23によって複数の流路(第1の流路P21、第2の流路P22)が分画され
ていることにより、透析用部材P100の強度、安全性、信頼性を優れたものとすること
ができる。
また、複数の中空糸を束ねて、筐体に組み込んだ従来の構造では、製造時や透析中に中
空糸が破損する危険性があるだけでなく、生産性が低いという問題があったが、透析用部
材P100ではこのような問題も解決することができる。また、微小な傷等が生じた場合
であっても、自己修復機能により、初期の段階で自己修復するため、透析用部材としての
機能を好適に維持することができる。
第1の流路P21を流れる第1の流体と、第2の流路P22を流れる第2の流体とは異
なるものである。
そして、壁部P23は、半透膜として機能するものである。
したがって、例えば、透析用部材P100を人工透析(血液透析療法)に用いる場合に
は、血液中の電解質、水分量を維持しつつ、血液中の老廃物を好適に除去することができ
る。
透析用部材P100を人工透析(血液透析療法)に用いる場合、例えば、第1の流路P
21には第1の流体としての血液を流通させ、第2の流路P22には第2の流体としての
透析液を流通させることができる。
以下の説明では、透析用部材P100が、第1の流路P21には第1の流体としての血
液を流通させ、第2の流路P22には第2の流体としての透析液を流通させることにより
、人工透析(血液透析療法)に用いるものである場合について代表的に説明する。
また、透析用部材P100において、第1の流路P21と第2の流路P22とでは、流
体が逆方向に流れるように構成されている。
これにより、透析の効率をより優れたものとすることができ、血液(第1の流体)中の
電解質を好適に維持しつつ、より効率よく老廃物を除去することができる。
また、透析用部材P100は、第1の流路P21および第2の流路P22を、それぞれ
、複数有している。
これにより、透析用部材P100の単位体積当たりの壁部P23の面積(半透膜として
機能する部位の面積)を大きいものとすることができ、透析の効率をより優れたものとす
ることができる。
また、流路の長手方向に沿って、第1の流路P21を取り囲むように、複数の第2の流
路P22が配されている。
これにより、血液(第1の流体)中に含まれる溶質としての老廃物の除去効率をより優
れたものとすることができる。
流路(第1の流路P21および第2の流路P22)の断面形状は特に限定されないが、
本実施形態では、流路(第1の流路P21および第2の流路P22)の長手方向に垂直な
方向での断面形状がハニカム状をなすもの、すなわち、各流路が六角形状をなすものであ
る。
これにより、透析用部材P100の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとしつ
つ、透析用部材P100の単位体積当たりの壁部の面積(半透膜として機能する部位の面
積)を大きいものとすることができ、透析の効率をより優れたものとすることができる。
特に、流路(第1の流路P21および第2の流路P22)の幅が比較的大きいもの(従来
の中空糸の中空部に比して大きいもの)である場合でも、透析用部材P100の機械的強
度、形状の安定性、透析の効率を優れたものとすることができる。したがって、透析用部
材P100の製造をより容易に行いつつ、製造される透析用部材P100の特性を優れた
ものとすることができる。
流路(第1の流路P21および第2の流路P22)の幅は、300μm以上500μm
以下であるのが好ましく、350μm以上450μm以下であるのがより好ましい。
これにより、容易に流体の流量を大きいものとすることができ、透析の効率をより優れ
たものとすることができる。また、透析に要する時間(治療時間)を短いものとすること
ができ、患者の負担を軽減することができる。また、流体を流通させる際に加える圧力を
比較的小さいものとした場合であっても、十分な流量を確保することができるため、透析
の効率を優れたものとしつつ、圧力によって流体にダメージが及ぶことを効果的に防止す
ることができる。より具体的には、第1の流体である血液を構成する成分(例えば、血球
等)がダメージを受けることを効果的に防止することができる。また、透析用部材P10
0の製造をより容易に行うことができる。
なお、流路の幅としては、例えば、流路の長手方向に対して垂直な断面での断面形状が
、円形である場合にはその直径の値を採用することができ、非円形である場合にはその断
面積と同一の面積を有する円の直径の値を採用することができる。
なお、透析用部材を構成する複数の流路で(例えば、第1の流路P21と第2の流路P
22とで)、断面形状、断面積は、互いに異なるものであってもよいが、同一であるもの
が好ましい。これにより、これらの流路を高密度で配することができ、透析用部材P10
0の機械的強度等をより確実に優れたものとすることができる。また、透析用部材P10
0の製造も容易なものとなる。
壁部P23の厚さは、10μm以上100μm以下であるのが好ましく、20μm以上
80μm以下であるのがより好ましい。
これにより、透析用部材P100の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとしつ
つ、透析の効率をより優れたものとすることができる。また、透析用部材P100の製造
も容易なものとなる。
壁部P23により分画された流路(第1の流路P21および第2の流路P22)の数は
、5000以上50000以下であるのが好ましく、8000以上30000以下である
のがより好ましい。
これにより、透析用部材P100の大型化を防止しつつ、透析の効率をより優れたもの
とすることができる。また、透析用部材P100の機械的強度、形状の安定性等もより優
れたものとなる。
また、透析用部材P100を構成する各流路(第1の流路P21および第2の流路P2
2)は、らせん状をなすものである。
これにより、透析用部材P100の大型化を防止しつつ、透析用部材P100の単位体
積当たりの壁部P23の面積(半透膜として機能する部位の面積)を大きいものとするこ
とができ、また、流体をより確実に円滑に流通させることができるため、透析の効率をよ
り優れたものとすることができる。
《ダイアライザー》
次に、本発明のダイアライザーについて説明する。
本発明のダイアライザーは、前述したような本発明の造形物(透析用部材)を備えたも
のである。
これにより、安全性、信頼性の高いダイアライザーを提供することができる。
本発明のダイアライザーは、少なくとも前述したような本発明の造形物(透析用部材)
を備えたものであればよいが、通常、本発明の透析用部材を収容する筐体を備えており、
当該筐体には、第1の流路P21に接続され、第1の流路P21に選択的に第1の流体を
供給する第1の流体流入口と、第1の流路P21に接続され、第1の流路P21を流通し
た第1の流体を選択的に外部に流出させる第1の流体流出口と、第2の流路P22に接続
され、第2の流路P22に選択的に第2の流体を供給する第2の流体流入口と、第2の流
路P22に接続され、第2の流路P22を流通した第2の流体を選択的に外部に流出させ
る第2の流体流出口とを有している。
筐体の構成材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種金属材料等が挙げられ
る。
筐体を構成するプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、
ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ
メチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリ
アセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる
筐体を構成する金属材料としては、例えば、Al、Tiやこれらを含む合金、ステンレ
ス鋼等が挙げられる。
《透析装置》
次に、本発明の透析装置について説明する。
以下、透析装置の具体例として、血液透析療法に用いるものについて代表的に説明する
図5は、本発明の透析装置の好適な実施形態を示す模式図である。
本実施形態の透析装置D100は、前述した本発明の透析用部材(造形物)P100を
含むダイアライザーD1、ダイアライザーD1へ透析液(第2の流体)を供給する新鮮透
析液回路D2およびダイアライザーD1から戻る透析液(第2の流体)が流れる使用済透
析液回路D3からなる透析液回路D4、透析患者D10から血液(第1の流体)をダイア
ライザーD1に導く動脈側体外循環血液回路D5およびダイアライザーD1から透析患者
D10に透析後の血液(第1の流体)をもどす静脈側体外循環血液回路D6からなる体外
循環回路D7、および透析機器D8を含むものである。
透析機器D8は、任意に、血中水分量測定手段、透析液の温度の監視および調整を行う
温度センサーを含む温度設定機構、ダイアライザーD1に流入させる透析液の流量の制御
手段、ダイアライザーD1内の血液と透析液との間に圧力差を生じさせて、血液内の水分
を透析液側に移行させる除水機構(ビスカスチャンバー方式、除水ポンプを利用したもの
等)、体外循環血液回路内に血液を流すための血液ポンプ、除水機構及び血液ポンプ等を
制御するための制御部D9を備える。
これにより、安全性、信頼性の高い透析装置を提供することができる。
《透析方法》
次に、本発明の透析方法について説明する。
本発明の透析方法は、前述した本発明の造形物(透析用部材)を用いて、透析を行うこ
とを特徴とする。
より具体的には、前述した本発明の透析用部材において、第1の流路に第1の流体を流
通させるとともに、第2の流路に第2の流体を流通させることにより、透析を行う。
これにより、安全性、信頼性の高い透析方法を提供することができる。
このような透析方法は、本発明の造形物(透析用部材)を備える本発明のダイアライザ
ー、本発明の透析装置を用いることにより、より好適に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるも
のではない。
例えば、前述した実施形態では、平坦化手段として、スキージーを用いる場合について
中心的に説明したが、その代わりに、ローラー等を用いてもよい。
また、本発明の造形物の製造に用いる製造装置は、組成物供給部から供給された組成物
のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備える
ものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の組成物が蓄積されることを防止しつ
つ、十分な量の組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的
に防止しつつ、より安定的に造形物を製造することができる。また、回収した組成物を、
再度、造形物の製造に用いることができるため、造形物の製造コストの低減に寄与するこ
とができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、本発明の造形物の製造に用いる製造装置は、未結合粒子除去工程で除去された組
成物を回収するための回収機構を備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、結合部(実体部)を形成するものと
して説明したが、結合部(実体部)が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステ
ージの直上に形成された層に対して、結合部(実体部)を形成しないものとし、犠牲層と
して機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、液状組成物付与工程をインクジェット法により行う場合
について中心的に説明したが、液状組成物付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)
を用いて行うものであってもよい。
また、本発明においては、造形物の実体部の少なくとも一部の形成に、前述したような
セルロース誘導体を含むセルロース系材料を用いればよく、セルロース誘導体を含むセル
ロース系材料を用いないで形成された部位を有するものであってもよい。
また、本発明の造形物の製造においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、
後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
中間処理工程としては、例えば、粒子含有組成物がペレット状をなすものである場合、
層形成工程と液状組成物付与工程との間に、加熱を中止等する工程(バインダー固化工程
)を有していてもよい。これにより、ペレットを構成するバインダーが固体状態となり、
層を粒子同士の結合力がより強いものとして得ることができる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、
被覆層形成工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、平坦化手段がステージ上を移動するものとして説明した
が、ステージが移動することにより、ステージとスキージーとの位置関係が変化し、平坦
化がなされるものであってもよい。
また、本発明の造形物の製造時には、前述した以外の化学反応を行ってもよい。例えば
、セルロース系材料に含まれるセルロース誘導体がアセチル化された水酸基を有するもの
である場合、造形物の製造時において、アセチル基を脱離する反応(脱アセチル化)を行
ってもよい。
また、本発明の造形物の製造において、液状組成物は、インクジェット法以外の方法(
例えば、他の印刷方法)で付与するものであってもよい。
また、本発明の造形物は、前述したような方法、装置を用いて製造されたものでなくて
もよい。
例えば、前述した実施形態では、粒子状のセルロース系材料を含む粒子含有組成物(第
1の組成物)と、アニオン系化合物を含む液状組成物(第2の組成物)とを用いて造形物
を製造する場合について代表的に説明したが、本発明では、液状のセルロース系材料を含
む組成物を用いて造形物を製造してもよい。より具体的には、例えば、アミン構造を有す
るセルロース誘導体を含み実体部の形成に用いる液状組成物としての実体部形成用インク
と、実体部を支持する支持部の形成に用いる支持部形成用インク(液状組成物)とを、イ
ンクジェット法により、所定のパターンで吐出し実体部および支持部を形成する工程を順
次繰り返し行い仮成形体を得、その後に、支持部を除去する工程(支持部除去工程)を有
する方法を用いて製造してもよい。
また、前述した実施形態では、透析用部材が人工透析(血液透析療法)に用いられるも
のである場合について代表的に説明したが、本発明において、透析用部材(造形物)、こ
れを備えるダイアライザーおよび透析装置は、人工透析(血液透析療法)以外に用いられ
るものであってもよい。
P10…造形物(三次元造形物)
P1’…粒子含有組成物(第1の組成物)
P1…層
P12…液状組成物(第2の組成物、インク)
P13…結合部(実体部)
P100…透析用部材(造形物)
P21…第1の流路
P22…第2の流路
P23…壁部
100…造形物製造装置
2…制御部
21…コンピューター
22…駆動制御部
3…組成物供給部(粒子含有組成物供給部)
4…層形成部
41…ステージ
42…スキージー(平坦化手段)
43…ガイドレール
44…組成物仮置部(粒子含有組成物仮置部)
45…側面支持部(枠体)
5…液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)
6…エネルギー線照射手段
D100…透析装置
D1…ダイアライザー
D2…新鮮透析液回路
D3…使用済透析液回路
D4…透析液回路
D5…動脈側体外循環血液回路
D6…静脈側体外循環血液回路
D7…体外循環回路
D8…透析機器
D9…制御部
D10…透析患者

Claims (19)

  1. 分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体を含む第1の組成物と、
    2価以上のアニオン性化合物を含む第2の組成物と、を備えることを特徴とする造形物製造用組成物セット。
  2. 前記セルロース誘導体のセルロース骨格構造に導入された繰り返し構造を有する高分子鎖の繰り返し単位に、前記アミン構造が導入されている請求項1に記載の造形物製造用組成物セット。
  3. 前記セルロース誘導体は、前記アミン構造として1級アミンまたはその塩を有するものである請求項1または2に記載の造形物製造用組成物セット。
  4. 前記セルロース誘導体は、ポリアリルアミン構造を有するものである請求項3に記載の造形物製造用組成物セット。
  5. 前記アミン構造は、セルロースを構成するβ− グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に導入された置換基中に設けられたものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の造形物製造用組成物セット。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記第1の組成物は、分子内に2個以上のS−H結合を有するシロキサン化合物を含むことを特徴とする造形物製造用組成物セット。
  7. 前記第1の組成物は、少なくとも表面を含む領域が前記セルロース誘導体で構成された粒子を含むものである請求項1ないしのいずれか1項に記載の造形物製造用組成物セット。
  8. 前記第2の組成物は、液状をなすものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の造形物製造用組成物セット。
  9. 前記第2の組成物は、ポリリン酸を含むものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の造形物製造用組成物セット。
  10. 前記第2の組成物は、溶媒を含むものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の造形物製造用組成物セット。
  11. 分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体と、2価以上のアニオン性化合物とを含み、
    前記アミン構造と、前記アニオン性化合物が有するアニオン性官能基との間で、イオン結合が形成されていることを特徴とする造形物。
  12. 前記アニオン性化合物として、ポリリン酸を含むものである請求項11に記載の造形物。
  13. 造形物は、医療機器である請求項11または12のいずれか1項に記載の造形物。
  14. 造形物は、人工血管である請求項13に記載の造形物。
  15. 造形物は、透析用部材である請求項13に記載の造形物。
  16. 請求項15に記載の造形物を備えたことを特徴とするダイアライザー。
  17. 請求項15に記載の造形物を備えたことを特徴とする透析装置。
  18. 請求項15に記載の造形物を用いて、透析を行うことを特徴とする透析方法。
  19. 粒子を含む粒子含有組成物を用いて、所定の厚さを有する層を形成する層形成工程と、
    前記層のうち所定の領域に、結着液を付与する結着液付与工程とを有し、
    これらの工程を順次繰り返し行うことにより、造形物を製造する方法であって、
    前記粒子含有組成物は、分子内にアミン構造を有するセルロース誘導体を含むものであり、
    前記結着液は、2価以上のアニオン性化合物を含むものであることを特徴とする造形物の製造方法。
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