JP6527823B2 - ギア製造のためのデュアルハンドカッタヘッド - Google Patents

Description

本発明は、一般に、ベベルギアおよびハイポイドギアを切削するための切削工具を対象とする。詳細には、本発明は、ベベルギアを製造するためのカッタヘッドを対象とする。

本出願は、２０１２年１１月１３日出願の、米国特許仮出願第６１／７２５，５９４号明細書の利益を主張するものであり、その開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。

ベベルギアおよびハイポイドギアの製造において、利用される切削工具は、基本的には、正面フライスカッタまたは正面ホブカッタである。カッタは、全般的に、長さのあるバーストック材料（たとえば高速度鋼またはカーバイド）から形成され、基部またはシャンク部分と、基部またはシャンクの一方の端部または両方の端部に少なくとも１つの切れ刃を含む切削端部部分とを有する、切削ブレードを備える。複数の切削ブレードが、通常、ブレードの切削端部がカッタヘッドの面から突出する状態でカッタヘッドの周りに配置される。切削工具のそのようなタイプは、ギア製造の技術分野でよく知られている。

正面フライスカッタでは、複数の切削ブレードが、カッタヘッド内の円周りに配置され、それにより、１つの歯溝が、カッタの各々のプランジで形成され、次の歯溝を形成するために、カッタは後退され、工作物は、次の歯溝位置に割り出されなければならない（すなわち間欠的割り出し）。正面フライス削りカッタは、通常、歯溝の内側および外側の部分それぞれを切削する交互の内側および外側の切削ブレードを備える。正面フライスカッタはまた、歯溝全体からストック材料を除去する連続する切削ブレードを備えることもでき、そのようなものは、Ｇｌｅａｓｏｎの特許文献１、Ｗｉｌｄｈａｂｅｒの特許文献２またはＲｉｂｂｅｃｋの特許文献３に開示される。所望の場合、１つまたは複数の「底部」切削ブレードが、歯溝の底部または根元部分からストック材料を除去するために含まれ得る。

正面ホブ切りは、カッタの周りに、互いに直線上ではなく、通常、１グループあたり２つまたは３つの切削ブレードを備えたグループとして配置された切削ブレードを備える。Ｂｌａｋｅｓｌｅｙの特許文献４、Ｋｉｔｃｈｅｎらの特許文献５、およびＫｒｅｎｚｅｒの特許文献６に開示されるような２ブレードのグループでは、ブレードの対は、内部切削ブレードおよび外部切削ブレードを備える。Ｋｏｔｔｈａｕｓの特許文献７によって開示されるような３ブレードグループでは、「底部」切削ブレードが、内側および外側の切削ブレードと共に含まれる。すべての切削ブレードが、歯溝をその形成中に通り抜けるほとんどの正面フライス削りプロセスとは異なり、正面ホブ切りは、それぞれの連続する歯溝を通り抜ける切削ブレードの各々の連続するグループを備え、このときグループ内の各々のブレードは、歯溝の長手方向部分に沿って切削部を完璧に形成する。カッタおよび工作物は、互いにタイミングを合わせた関係で回転し、それによって工作物の断続的な割り出しおよびギアの各々の歯溝の断続的な形成を可能にする。故に、正面ホブ切りでは、切削工具の単一のプランジの結果、工作物のすべての歯溝が形成される（すなわち連続的な割り出し）。

切削ブレードは、（たとえば、Ｍ２、Ｍ４、Ｒｅｘ ４５、Ｒｅｘ ５４、Ｒｅｘ ７６、Ｔ１５、Ｒｅｘ １２１または他のものなどの）任意の合金組成の従来のまたはパワードメタル（ｐｏｗｅｒｅｄ ｍｅｔａｌ）硬化された高速度鋼（ＨＳＳ）などの任意の適切な工具材料から作製されてよく、またはＰおよびＫグレードなどの任意の合金組成のカーバイド硬化金属から作製されてよい。切削ブレードの摩耗表面は、たとえば、ＴｉＮ、ＴｉＣＮ、ＴｉＡｌＮ、ＡｌＴｉＮ、ＣｒＡｌＮ、ＺｒＮ、ＣｒＮおよび他のものなどの任意の市販の摩耗コーティングまたは摩耗コーティングの組み合わせからなるＰＶＤ単層または複層コーティングでコーティング（および歯付けの後で再コーティング）されてよい。ギア切削作動は、冷却剤または潤滑剤（すなわち湿式切削）を利用して実行されてよく、またはそのような冷却剤または潤滑剤が全く不在である状態で実施されてもよい（すなわち乾式切削）。乾式切削作動は、通常、カーバイド材料を備える切削ブレードを利用して実行される。

米国特許第１，２３６，８３４号明細書 米国特許第１，６６７，２９９号明細書 米国特許出願公開第２００７／００１１８５５号明細書 米国特許第４，５７５，２８５号明細書 米国特許第４，６２１，９５４号明細書 米国特許第４，５２５，１０８号明細書 米国特許第３，７６０，４７６号明細書 米国特許第６，７１２，５６６号明細書

正面ホブ切りプロセスにおいて、およびたいていの正面フライス削りプロセスでは、（カッタの背面を見たとき、反時計周り方向に切削するブレードを有する）左側カッタが、左側ギアを切削するために利用される。ギアの「側」（左または右）は、１２時の位置にあるギア（リングギアまたはベベルギアセットのピニオン）の正面から見たときのギア歯の傾斜の方向である。故に、ギアセットの左側部材は、ギアセットの右側部材と対合するので、右側カッタは、ギアセットの右側部材を切削するために利用されることが分かる。したがって、ギアセットの両方の部材を切削するために、２つのカッタ（左側および右側）が、たいてい採用されている。

上記で述べられたように、正面ホブ切りカッタの切削ブレードは、ブレードグループとして配置され、このとき１つのグループのブレードは１つの溝を通り抜け、一方で後続のグループのブレードは、その部分の後続の溝を通り抜ける。この切削シーケンスは、１つのグループ内のブレードの（径方向場所および接線オフセットに関する）特定の配置を要求し、これは、各々のグループに対して繰り返す。左側カッタに対して、右側部分を切削するカッタは、１つのブレードグループ内の切削方向およびブレード配向に関して左側カッタの鏡像であることが理解され得る。たとえば、左側ピニオンは、右側ギアと対合し、これは、正面ホブ切りでは、ベベルギアセットの２つの対合部材（ピニオンおよびリングギア）を切削するために、カッタの対（１つの左側および１つの右側）を要求する。

本発明は、特に正面ホブ切りのための２つのカッタヘッドの必要性を解消する。単一のカッタヘッドが提案され、それによってギアセットの対合部材を生産する費用を低減させる。

本発明は、切削ブレード位置決め溝を有するカッタヘッドであって、位置決め溝の一部分は、右側切削のための切削ブレードを収容し、位置決め溝の別の部分は、左側切削のための切削ブレードを収容する、カッタヘッドを備える。

ギアを生産するための正面フライス削りプロセスを例示する図である。 ギアを生産するための正面ホブ切りプロセスを例示する図である。 左側および右側の切削ブレード位置溝および切削ブレードを備える本発明のカッタヘッドを示す図である。 図３に示すカッタヘッドの断面図である。

この明細書で使用される用語「発明」、「その発明」、および「本発明」は、この明細書および後のあらゆる特許請求項の主題のすべてを広く指し示すよう意図される。これらの用語を含む記述は、本明細書において説明される主題を限定する、または後のあらゆる特許請求項の意味または範囲を限定するように理解されてはならない。さらに、この明細書は、本出願の任意の特定の部分、段落、記述、または図において任意の特許請求項によって取り上げられる主題を説明または限定しようとするものではない。本主題は、明細書全体、すべての図および後の特許請求の範囲を参照することによって理解されなければならない。本発明は、他の構造を可能にし、さまざまな方法で実践されまたは実施されることを可能にする。また、本明細書において使用される表現および専門用語は、説明の目的のためであり、限定するとみなされてはならないことが理解される。

次に、本発明の詳細が、添付の図を参照して論じられ、この図は本発明を例としてのみ例示する。図においては、類似の特徴または構成要素は、同じ参照番号によって指し示される。

本明細書における「含む」、「有する」、および「備える」ならびにその変形形態の使用は、それ以後に挙げられる項目およびその等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。参照は、以下では、図を説明する際、上側、下側、上方向、下方向、後方向、底部、上部、正面、後部などの方向に対してなされ得るが、これらの参照は、便宜上（普通に見たときの）図に対してなされる。これらの方向は、いかなる形態においても本発明を文字通りにとるまたは限定するようには意図されない。加えて、本明細書において使用され得るような「第１」、「第２」、「第３」などの用語は、説明の目的のために使用され、明記されない限り、重要性または意義を示すまたは示唆するようには意図されない。

図１は、カッタヘッド（図示せず）上に互いに一直線上（たとえば円６上）に配置された内側切削ブレード２および外側切削ブレード４を備える交互ブレードタイプの正面フライス削りカッタの例を表す。例示的な目的のために、切削ブレード２、４の総数の一部分だけが示される。切削ブレード２、４は、矢印８の方向に回転されて１２で表される工作物の歯溝１０を形成する。内側切削ブレード２は、歯溝１０のそれぞれの内側フランク面１４を切削し、一方で外側切削ブレード４は、歯溝１０のそれぞれの外側フランク面１６を切削する。カッタのすべての切削ブレード２、４は、カッタ回転中に工作物の単一の溝を通り抜ける。切削ブレード２、４は、最終的な歯溝深さが到達されるまで、工作物１２に対して送られる。カッタは、次いで引き出され、工作物は、別の歯溝（たとえば１８）の位置に割り出しされ、切削が再開される。このシーケンスは、工作物のすべての歯溝が形成されるまで繰り返される。

図２は、ギア製造の正面ホブ切り方法の例を例示する。正面ホブ切りは、互いに一直線上ではなく、通常１グループあたり２つまたは３つの切削ブレードを備えたグループとしてカッタの周りに配置された切削ブレードを備える。図３では、１グループあたり２つの切削ブレード（外側切削ブレード２２および内側切削ブレード２４）が示される。例示する目的のために、切削ブレードグループの総数の一部分だけ（すなわち切削ブレード２２、２４）が、示される。すべての切削ブレードが、歯溝をその形成中に通り抜けるほとんどの正面フライス削りプロセスとは異なり、正面ホブ切りは、それぞれの連続する歯溝を通り抜ける切削ブレード２２、２４の各々の連続するグループを備え、このときグループ内の各々のブレードは、歯溝の長手方向部分に沿って切削部を完璧に形成する。図２では、たとえば、切削ブレード２２’および２４’のグループは、歯溝２６のそれぞれの外側表面２８および内側表面３０を切削し、一方で切削ブレード２２”および２４”の連続するグループは、次の歯溝３２内の対応する表面を切削する。カッタおよび工作物は、互いにタイミングを合わせた関係で回転し、それによって工作物の断続的な割り出しおよびギアの各々の歯溝の断続的な形成を可能にする。故に、正面ホブ切りでは、切削工具の単一のプランジの結果、工作物のすべての歯溝が形成される。

上記で論じられたように、ギアセットの両方の部材を切削するために、２つのカッタ（左側および右側）が、通常、採用される。これは、１つは左側ギア部材を切削するため、１つは右側ギア部材を切削するための２つのカッタヘッドが要求されることを意味する。本発明者は、右側および左側両方の切削のために単一のカッタヘッドを利用することによって大きな削減が実現され得ることを発見した。

図３は、軸Ａ（図４）の周りで回転可能な正面ホブ切りカッタヘッド４０であって、その正面から突出する切削ブレードを有する、正面ホブ切りカッタヘッド４０を備える本発明の実施形態を例示する。たとえば従来は、右側「ＲＨ」切削のための内側切削ブレード４２および外側切削ブレード４４だけを備えるカッタヘッド４０（図１では３つのブレードグループが示される）は、左側「ＬＨ」切削のための切削ブレードを収容するカッタヘッドブレード位置決め溝も含むように本発明によって改変されている。そのような左側切削ブレードは、内側切削ブレード４６および外側切削ブレード４８を備える。図３は、５角を有する切削ブレードを例示しているが、本発明はそれに限定されない。任意の切削ブレード断面形状（たとえば４角、円形、半円形など）が、本発明によって企図される。

図４は、図３のカッタヘッドの断面を示し、この場合、（１つが示される）切削ブレード位置決め溝５０は、右側切削に関して（特定のプロセスおよび／または切削されるギアに応じて）特定のフック角度η₁で配向され、一方で（１つが示される）左側切削のためのブレード装着溝５２は、（特定のプロセスおよび／または切削されるギアに応じて）特定のフック角度η₂に配向される。フック角度η₁およびη₂は、等しくても等しくなくてもよい。ゼロ度のフック角度もまた、特に、オフセットがカッタ軸とブレード溝の底部半径との間に存在する正面ホブ切りカッタヘッドにおいて、本発明によって企図されることに留意されたい。

図３および４は正面ホブ切りカッタを例示しているが、本発明は、内側および外側の切削ブレードを有する正面フライス削りカッタのもの、ならびに各々のブレードが歯溝の全幅を切削する切削ブレードを有する正面フライス削りカッタのものを含む正面フライス削りカッタにも同様に適用可能である。本発明の主な態様は、同じカッタヘッドが右側カッタとしておよび左側カッタとして利用され得るような適切なブレード位置決め溝を備えたカッタヘッドが提供されることである。

図３は、内側および外側の切削ブレード（右側および左側）の３つのセットを有するカッタを例示しているが、任意の数の切削ブレードセット（または溝全幅の切削の場合は単一の切削ブレード）が、カッタヘッドのサイズおよび強度、ならびに切削される特定のギアの特性および外形に応じて存在することができる。たとえば、８００ｍｍまたはこれより小さい直径を有するベベルギアを切削するように設計されたものなどの特定の正面ホブ切りカッタヘッドは、通常、切削ブレード（右側または左側のどちらか）の５つのセットを有することができ、これは、十分なカッタヘッド空間が、通常「他方の」側のカッタブレードの追加の５つのセットを含むように利用可能であるためであり、それによって、右側および左側両方の切削が、切削を実行するのに十分な強度のカッタヘッドを依然として有しながら、同じカッタヘッドによって実行され得る。好まれるとはいえ、右側ブレード位置決め溝の数および左側ブレード位置決め溝の数は、等しくある必要はないことに留意されたい。

図３は、個々のブレードに基づいた交互の右側および左側ブレード配置（たとえば、外側ＲＨ切削ブレード４４の後に外側ＬＨ切削ブレード４８）を示しているが、本発明はまた、切削ブレードの交互の対、たとえば、内側および外側の右側切削ブレードの後に内側および外側の左側切削ブレード、または他の組み合わせまたは右側および左側の切削ブレードの順序も企図する。さらに、本発明は、切削ブレード間の等しい空間に限定されず、カッタ回転のいずれかの側または両方の側の個々の切削ブレード間または切削ブレードのグループ間に等しくない空間も包含する。

右側および左側の両方の切削のための切削ブレードは、カッタヘッド内に同時に存在することができるが、これは必要ではない。たとえば、右側切削プロセスが実行されている場合、左側切削ブレードは、カッタヘッド内の後退された位置に位置することができ、それにより、これらは、右側切削中、工作物と接触することはない。左側切削になったとき、右側切削ブレードは、後退された位置に「押し戻され」、左側切削ブレードは、工作物上で実行される左側切削のためのその適正な位置まで前進される。あるいは、切削の特定の側に使用されていない切削ブレード位置決め溝のものは、空のままにされてよく、または切削プロセスの副産物による汚染を防止するために塞がれてもよい。

十分な空間が、特定のギア切削機械（たとえば特許文献８）上に存在する場合、切削ブレードを切削の一方の側から他方に移行するように再配置することが、カッタヘッドが機械の工具主軸に固定されたままである間に行われ得る。あるいは、カッタヘッドは、機械から取り外されて、切削ブレードを再配置し、次いで、戻されて機械上に位置決めしてよい。

本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本発明が、その詳細事項に限定されないことが理解されるものとする。本発明は、付属の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本主題が関係する当業者に明白になるであろう改変形態を含むように意図される。

Claims (11)

1. 全体的にディスク形状であり、軸の周りで回転可能である、ベベルギア及びハイポイドギア用のギア切削工具のカッタヘッドであって、前記カッタヘッドが、
   前記カッタヘッドの表面内に配置された複数の切削ブレード位置決め溝を備え、前記複数の切削ブレード位置決め溝のそれぞれが、前記カッタヘッドを通り、前記表面から前記カッタヘッドの対向表面まで延在し、
   前記複数のブレード位置決め溝の第１の部分が、切削ブレードを収容するように配向され、それによって前記カッタヘッドは、右側切削するように作動可能であり、前記複数の切削ブレード位置溝の第２の部分が、切削ブレードを収容するように配向され、それにより、前記カッタヘッドは、左側切削するように作動可能であり、
   前記ブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドが内側切削ブレードおよび外側切削ブレードと共に作動できるように配置されることを特徴とするギア切削工具のカッタヘッド。
2. ブレード位置決め溝の前記第１の部分は、前記カッタヘッドの回転軸に対するフック角度を有して配向されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
3. ブレード位置決め溝の前記第２の部分は、前記カッタヘッドの回転軸に対するフック角度を有して配向されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
4. 前記ブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドが正面フライス削りできるように配置されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
5. 前記ブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドが正面ホブ切りできるように配置されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
6. 前記ブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドが溝全幅切削ブレードと共に作動できるように配置されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
7. 前記ブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドの周りで等しく離間されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
8. 右側切削のためのブレード位置決め溝の数および左側切削のためのブレード位置決め溝の数は、等しいことを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
9. 右側切削のためのブレード位置決め溝および左側切削のためのブレード位置決め溝は、前記カッタヘッドの周りに交互に配置されることを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
10. 前記ブレード位置決め溝は、４角または５角の断面形状を有する切削ブレードを収容することを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。
11. 前記ブレード位置決め溝は、円形または半円形の断面形状を有する切削ブレードを収容することを特徴とする請求項１に記載のカッタヘッド。