本発明は、ボツリヌス菌由来の神経毒素タンパク質の使用に関する。神経毒素タンパク質は、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型に由来し得る。ボツリヌス菌の1つ以上の血清型はA、B、C1、C2、D、E、F及び/またはGであり得る。いくつかの実施形態において、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型は、A、B、E及び/またはFであり得る。
本発明はまた、ボツリヌス菌、例えば、血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/またはGに由来する重鎖の神経毒素タンパク質の使用に関する。いくつかの実施形態において、重鎖の神経毒素タンパク質は、ボツリヌス菌の血清型A、B、E及び/またはFに由来し得る。これらのボツリヌス神経毒素(BoNT)重鎖(Hc)DNAワクチンは、体液性免疫反応を誘導し、ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する防御を提供する。これは、当該1価または3価及び2価のBoNT Hcワクチン構築物をそれぞれワクチン投与した後の致死的攻撃に対して、少なくとも50%の防御、好ましくは60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の防御、より好ましくは75%または100%の防御を示すものである。誘導された体液性免疫反応には、ボツリヌス菌血清型由来の神経毒素に反応する中和抗体の誘導が含まれる。さらに、本発明の1価、2価、3価及び4価の構築物のワクチンは、ヒト疾患の主たる原因であるボツリヌス毒素血清型A、B、E及び/またはFを対象にすることによって、血清型A及びBに対する効力しか示さない現在の試験的DNAワクチンよりも高い防御をもたらす。
1.定義
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的にしており、限定することを意図していない。特に定義していない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書が優先となる。本発明の実施または試験において、本明細書中に記載されたものと同様または同等の方法及び材料を用いることはできるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。記載が矛盾する場合には、用語の定義を含め本明細書が優先するものとする。尚、本明細書で開示した材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図していない。
本明細書で使用する「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain(s))」という用語、及びその変形は、付加的な行為あるいは構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、または単語であることを意図している。単数形である「a」、「an」、及び「the」は、文脈上例外が明記されていない限り、複数形の意味を持つこともある。本開示は、明示的に記載されているかどうかに関わらず、本明細書に示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から実質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
本明細書中の数値範囲の記述について、同程度の精度でその間に入る各数が明示的に企図される。例えば、6〜9という範囲の場合、6及び9に加えて7及び8という数が企図され、6.0〜7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図される。
本明細書で用いられる「アジュバント」は、本明細書の以下に記載されるDNAプラスミド及びコード核酸配列によりコードされる抗原の免疫原性を高めるために本明細書に記載のDNAプラスミドワクチンに添加される任意の分子を意味する。
本明細書で用いられる「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体(Fab、F(ab’)2、Fdを含む)、ならびにその一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体及び誘導体を意味する。抗体は、哺乳動物の血清サンプルから単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはこれらの混合物のうち、所望のエピトープもしくはそれに由来する配列に対する十分な結合特異性を示すものであり得る。
本明細書で使用する「コード配列」または「コード化核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸の投与先である個体または哺乳動物の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルをさらに含むことができる。
本明細書で使用する「相補体」または「相補的」は、ヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック(例えば、A−T/U及びC−G)またはフーグスティーン塩基対を意味する。
本明細書で用いられる「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、特定のBoNT Hc抗原の複数のサブタイプのアライメント分析に基づいたポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。タンパク質をコードするコンセンサス配列及び/または核酸分子からなるタンパク質を含むワクチンを用いて、特定の抗原の複数のサブタイプまたは血清型に対する幅広い免疫を誘導することができる。
本明細書で互換的に使用する「電気穿孔」、「電気透過処理」、「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味する。こうした微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、及び水などの生体分子が、細胞膜の片側から他方の側に通過することが可能になる。
本明細書で核酸配列に関して使用する「断片」は、完全長の野生型株抗原と交差反応する哺乳動物において免疫反応を誘発することができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載のタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列のうち少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、以下に記載の1つ以上の核酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、以下に記載の少なくとも1つの核酸配列の少なくとも20個以上のヌクレオチド、少なくとも30個以上のヌクレオチド、少なくとも40個以上のヌクレオチド、少なくとも50個以上のヌクレオチド、少なくとも60個以上のヌクレオチド、少なくとも70個以上のヌクレオチド、少なくとも80個以上のヌクレオチド、少なくとも90個以上のヌクレオチド、少なくとも100個以上のヌクレオチド、少なくとも150個以上のヌクレオチド、少なくとも200個以上のヌクレオチド、少なくとも250個以上のヌクレオチド、少なくとも300個以上のヌクレオチド、少なくとも350個以上のヌクレオチド、少なくとも400個以上のヌクレオチド、少なくとも450個以上のヌクレオチド、少なくとも500個以上のヌクレオチド、少なくとも550個以上のヌクレオチド、少なくとも600個以上のヌクレオチド、少なくとも650個以上のヌクレオチド、少なくとも700個以上のヌクレオチド、少なくとも750個以上のヌクレオチド、少なくとも800個以上のヌクレオチド、少なくとも850個以上のヌクレオチド、少なくとも900個以上のヌクレオチド、少なくとも950個以上のヌクレオチドまたは少なくとも1000個以上のヌクレオチドを含み得る。
ポリペプチド配列に関する「断片」または「免疫原性断片」は、完全長の野生型株抗原と交差反応する哺乳動物において免疫反応を誘発することができるポリペプチドを意味する。タンパク質またはコンセンサスタンパク質の断片は、タンパク質またはコンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、タンパク質またはコンセンサスタンパク質の断片は、以下に記載のタンパク質またはコンセンサスタンパク質の少なくとも20個以上のアミノ酸、少なくとも30個以上のアミノ酸、少なくとも40個以上のアミノ酸、少なくとも50個以上のアミノ酸、少なくとも60個以上のアミノ酸、少なくとも70個以上のアミノ酸、少なくとも80個以上のアミノ酸、少なくとも90個以上のアミノ酸、少なくとも100個以上のアミノ酸、少なくとも110個以上のアミノ酸、少なくとも120個以上のアミノ酸、少なくとも130個以上のアミノ酸、少なくとも140個以上のアミノ酸、少なくとも150個以上のアミノ酸、少なくとも160個以上のアミノ酸、少なくとも170個以上のアミノ酸、少なくとも180個以上のアミノ酸を含み得る。
本明細書で使用する場合、「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子の投与先である個体の細胞中の発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと機能的に連結した、開始及び終了シグナルを含む。本明細書で使用する場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞中に存在しているときにコード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列に機能的に連結している必要な調節エレメントを含んでいる遺伝子構築物を指す。
本明細書で使用する「相同」という用語は、相補の程度を指す。部分的相同も完全相同(すなわち、同一)もあり得る。完全に相補的な配列が標的核酸にハイブリダイズすることを少なくとも一部阻害する部分的に相補的な配列は、「実質的に相同の」という機能的用語を使用して呼ばれる。cDNAクローンまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用する「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用する「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖の核酸鋳型配列にハイブリダイズすることができる(すなわち、相補体である)プローブを指す。
本明細書において2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で使用する「同一」または「同一性」は、当該配列が指定領域に渡って指定の割合の同一残基を有することを意味する。この割合を計算するには、2つの配列を最適に整列させ、指定領域に渡って2つの配列を比較し、両配列の同一残基が発生する位置の数を確定して一致位置の数を得て、一致位置の数を指定領域の総位置数で割り、計算結果に100を掛けることにより、配列同一性のパーセント値が得られる。2つの配列の長さが異なるか、アライメントにより1つ以上の付着末端が生じ、指定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合には、単一配列の残基を計算の分母に含めるが、分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)を同等とみなすことができる。同一性の計算は、手作業で行うこともできるし、BLAST、BLAST2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを使用して行うこともできる。
本明細書で使用する「免疫反応」は、抗原の導入に反応して、宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系が活性化することを意味する。この免疫反応は、細胞性もしくは体液性の形態、またはその両方であり得る。
本明細書で使用する「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合している少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖を表現することにより、相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、表現される一本鎖の相補鎖も包含する。ある核酸の多くの変異体を、所与の核酸として同一目的で使用できる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸及びその相補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、二本鎖と一本鎖の両方の配列の一部分を含むこともできる。核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであってもよく、核酸はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組み合わせを含むことができ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含むことができる。核酸は、化学合成法または組み換え法により取得できる。
本明細書で使用する「機能的に連結」は、遺伝子と空間的に接続しているプロモーターの制御下で遺伝子が発現することを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置できる。プロモーターと遺伝子の間の距離は、プロモーターの派生元遺伝子において当該プロモーターが制御する遺伝子とプロモーターの間の距離とほぼ同一であり得る。当技術分野で知られているように、プロモーター機能を失うことなく、この距離の変化に適応することができる。
本明細書で核酸配列に関して使用する「最適化された」とは、コドン使用頻度及び対応するRNA転写産物について核酸配列を改変し、未修飾の核酸配列と比較して、コードしたタンパク質の発現を改善することを意味する。核酸配列の別の改変には、翻訳の効率を高めるためのKozak配列(例えば、GCC ACC)の付加、及び翻訳終結の効率を高めるための複数の終止コドン(例えば、TGA TGA)の付加を含み得る。
本明細書で使用する「ペプチド」、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸の結合配列を意味することができ、天然、合成、または天然及び合成の修飾あるいはその組み合わせであってもよい。
本明細書で使用する「プロモーター」は、核酸の細胞中発現を授与、活性化、または増強することのできる合成分子または天然由来分子を意味する。プロモーターは、発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現及び/またはその一時的発現を改変する目的で、1つ以上の特定の転写調節配列を含むことができる。プロモーターは遠位のエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントを含むこともでき、このエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントは、転写開始部位から数千塩基対も離れた場所に位置できる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が発生する細胞、組織、もしくは臓器に関して、もしくは発現が生じる発生段階に関して、恒常的もしくは差次的に遺伝子成分の発現を調節でき、または、例えば生理的ストレス、病原体、金属イオン、誘発剤等の外部刺激に反応して遺伝子成分の発現を調節できる。プロモーターの代表例として、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータープロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV−LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載の抗原タンパク質のアミノ末端に結合することができるアミノ酸配列を指す。一般に、シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用するシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質を産生する細胞からタンパク質を分泌し易くすることが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、タンパク質(しばしば成熟タンパク質と呼ばれる)の残余から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)に結合する。
本明細書で用いられる「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫を得ることを望むかまたは必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはネズミであり得る。
本明細書で使用する、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、例えば核酸の複合混合物において、第1の核酸配列(例えばプローブ)が第2の核酸配列(例えば標的)とハイブリダイズする際の条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列に依存するため、状況によって異なる。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHにおける特定の配列に対する融点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択することができる。Tmは、(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度下で)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度であり得る(標的配列は過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば約10〜50ヌクレオチド)では最低約30℃、長いプローブ(例えば約50ヌクレオチド超)では最低約60℃であり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミド等の不安定化剤の添加によって達成することもできる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍であり得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件例には、以下の条件が含まれる:50%ホルムアミド、5倍SSC、及び1%SDS、42℃でのインキュベートまたは、5倍SSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、0.2倍SSC、0.1%SDS中65℃での洗浄。
本明細書で使用する「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列が第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは、2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
本明細書で使用する「実質的に同一」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列と第2の配列が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは、核酸に関して、第1の配列が第2の配列の相補体と実質的に相補的である場合を意味する。
本明細書で使用する、「治療」または「治療する」は、疾患を予防するか、抑制するか、抑圧するかまたは完全に除去することで動物を疾患から防御することを意味することができる。疾患を予防することは、その疾患の発症前に動物に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑制することは、その疾患の誘導後でその疾患の臨床的出現前に、動物に本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後に、動物に本発明のワクチンを投与することを含む。
核酸に関して本明細書で使用する「変異体」は、(i)基準ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片;(ii)基準ヌクレオチド配列もしくはその一部分の相補体;(iii)基準核酸もしくはその相補体と実質的に同一の核酸;または(iv)ストリンジェントな条件下で、基準核酸、その相補体、もしくはその実質的に同一の配列とハイブリダイズする核酸を意味する。
ペプチドまたはポリペプチドに関して使用する「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が異なっているが、少なくとも1つの生物活性を保持しているものである。また、変異体は、基準タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を類似特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、及び分布)の別のアミノ酸に置換することは、当技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水性親水性指標(hydropathic index)を検討することにより部分的に特定できる。Kyteら,J.Mol.Biol.157:105−132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指標は、その疎水性と電荷の考察に基づく。類似の疎水性親水性指標を有するアミノ酸は置換可能であり、その後もタンパク質機能を維持することが当技術分野において公知である。一態様において、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物機能を保持したタンパク質となる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を検討することにより、そのペプチドの局所的な最大平均親水性を計算でき、抗原性及び免疫原性と良く相関すると報告されている有用な尺度となる。米国特許第4,554,101号(この文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。当技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸を置換すると、例えば免疫原性等の生物活性を保持したペプチドが得られる。親水性値が互いに±2以内のアミノ酸を用いて、置換を実施できる。アミノ酸の疎水性指標と親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。こうした知見と一致して、生物機能に適合するアミノ酸置換とは、アミノ酸の相対的類似性、特に当該アミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存するものと理解されており、この相対的類似性は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、その他の特性により明らかになる。
変異体は、完全遺伝子配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一な核酸配列であってもよい。核酸配列は、遺伝子配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。変異体は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一なアミノ酸配列であってもよい。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。
本明細書で使用する、「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
2.ワクチン
本発明は、ボツリヌス菌神経毒素(BoNT)ワクチンに関する。BoNTは、哺乳動物においてボツリヌス中毒を引き起こすことがあり、100kDaの重鎖がジスルフィド結合を介して50kDaの軽鎖に結合した二本鎖のポリペプチドである。この重鎖は、コリン作動性の特異性(すなわち、特定の軸索または神経終末を標的にする)を持ち、シナプス前膜に毒素を結合させ、エンドソーム膜への軽鎖の移動を促す。神経毒素のエンドサイトーシス後、重鎖と軽鎖を結ぶジスルフィド結合が開裂し、これにより軽鎖が細胞質内に放出される。軽鎖は酵素(プロテアーゼ)であり、神経筋接合部に存在する融合タンパク質(例えば、SNAP−25、シンタキシンまたはシナプトブレビン)の1つを攻撃または切断し、小胞が膜に結合してアセチルコリンを放出しないようにする。アセチルコリンは、神経筋接合部に存在する主要な神経伝達物質であるが、自律神経節、副交感神経節後神経終末及び交感神経節後神経終末にも存在しており、BoNTは、これらの種のニューロンも標的にする。BoNTは、アセチルコリンの放出を阻害することで、BoNTに曝された哺乳動物において弛緩性麻痺を生じさせる。ボツリヌス菌の血清型A、B、E及びFに由来するBoNTは、アセチルコリンの放出に影響を与えるため、中毒または疾患(すなわち、ボツリヌス中毒)を引き起こし得る。これらの症状には、弛緩性麻痺、呼吸困難、呼吸不全及び運動機能障害が挙げられる。ボツリヌス菌の血清型C1、C2、D及びGも毒素を産出する。
したがって、BoNTワクチンは、ボツリヌス菌由来の1つ以上の神経毒素抗原を含む。神経毒素抗原は、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型に由来し得る。ボツリヌス菌の1つ以上の血清型はA、B、C1、C2、D、E、F及び/またはGであり得る。いくつかの実施形態において、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型は、A、B、E及び/またはFであり得る。
いくつかの実施形態において、神経毒素抗原は、ボツリヌス菌、例えば、血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/またはGに由来する重鎖の神経毒素タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、重鎖の神経毒素タンパク質は、ボツリヌス菌の血清型A、B、E及び/またはFに由来し得る。BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A、B、E及び/またはFの重鎖のポリペプチド配列に関し得る。
BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C1(BoNT−C1)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C2(BoNT−C2)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型D(BoNT−D)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型G(BoNT−G)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする核酸を含み得る。核酸は、異種核酸であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、ワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする核酸を含み得る。核酸は、異種核酸であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
他の実施形態において、BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C1(BoNT−C1)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C2(BoNT−C2)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型D(BoNT−D)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型G(BoNT−G)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする最適化核酸を含み得る。最適化核酸は、異種核酸であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする最適化核酸を含み得る。最適化核酸は、異種核酸であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
他の実施形態において、BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C1(BoNT−C1)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型C2(BoNT−C2)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型D(BoNT−D)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型G(BoNT−G)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする1つ以上の異種核酸を含み得る。
いくつかの実施形態において、BoNTワクチンは、ボツリヌス菌血清型A(BoNT−A)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型B(BoNT−B)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型E(BoNT−E)由来のBoNT抗原、ボツリヌス菌血清型F(BoNT−F)由来のBoNT抗原、またはこれらの組み合わせのうち1つ以上をコードする1つ以上の異種核酸を含み得る。
BoNT−A抗原は、複数のボツリヌス菌血清型AによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−B抗原は、複数のボツリヌス菌血清型BによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−C1抗原は、複数のボツリヌス菌血清型C1によるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−C2抗原は、複数のボツリヌス菌血清型C2によるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−D抗原は、複数のボツリヌス菌血清型DによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−E抗原は、複数のボツリヌス菌血清型EによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−F抗原は、複数のボツリヌス菌血清型FによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。BoNT−G抗原は、複数のボツリヌス菌血清型GによるBoNTの重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。
したがって、本発明のワクチンは、ボツリヌス菌の複数の血清型に交差反応を呈する免疫反応を引き起こすことができ、対象に対する多数の損傷要因、例えば、自然感染、食物媒介疾患及びバイオテロ攻撃などに直面する多くの人々にとって有用である。加えて、本発明のワクチンは、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F、BoNT−Gまたはこれらの組み合わせ、特に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E、BoNT−Fまたはこれらの組み合わせに関する1つ以上のアミノ酸配列をコードする特定の核酸に調整することができる。他の実施形態において、本発明のワクチンは、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F、BoNT−Gまたはこれらの組み合わせ、特に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E、BoNT−Fまたはこれらの組み合わせに関する1つ以上のコンセンサスに基づくアミノ酸配列をコードする特定の核酸に調整することができる。換言すれば、本発明のワクチンは、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型に由来する神経毒に対して広範な免疫性をもたらすための核酸すなわちDNA、または最適化核酸すなわちDNAプラットフォームを提供することを企図するものである。
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンについては、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号及び同第5,676,594号に開示されており、これらの開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。DNAワクチンは、当該ワクチンが染色体に組み込まれないようにするエレメントまたは試薬をさらに含み得る。
ワクチンは、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F、BoNT−Gまたはこれらの組み合わせのRNA、特に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E、BoNT−Fまたはこれらの組み合わせのRNAであり得る。RNAワクチンは、細胞内に導入することができる。
ワクチンは、体液性免疫反応を誘導し、ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する防御を提供し、1価構築物または多価構築物、例えば、限定するものではないが、以下に記載するような2価、3価または4価のBoNTワクチン構築物によるワクチン投与後の致死的攻撃に対して、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の防御を提供する。1価または3価のBoNTワクチン構築物は、以下に記載するワクチン投与後の致死的攻撃に対して、100%の防御を提供し得る。本発明のワクチンによって誘導された体液性免疫反応は、ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する防御を仲介する中和抗体の誘導を含む。
a.BoNT−A
本発明のワクチンは、血清型Aのボツリヌス菌(BoNT−A)に由来する抗原を含み得る。BoNT−Aは、(1)B細胞反応を介した体液性免疫、(2)細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応、及び(3)ヘルパーT細胞反応、またはクロスプレゼンテーションについては好ましくは上記の全てを誘導することによる免疫介在性反応にとって重要な標的である。BoNT−A抗原は、組織全体と神経系の両方において、抗原特異性T細胞及び高力価の抗体反応を誘導する。BoNT−A抗原は、致死量のボツリヌス菌神経毒素に対して防御能のある中和抗体を誘導する。これらの中和抗体は、ボツリヌス菌血清型Aに由来する致死量の神経毒素に対して防御能がある。
BoNT−A抗原は、抗BoNT−A免疫反応を誘導し得る免疫原としての有効性を高めるタンパク質エピトープを含み得る。BoNT−A抗原は、全長翻訳産物、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−A抗原は、BoNT−Aの重鎖、BoNT−Aの軽鎖、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−A抗原は、最適化核酸によってコードされ得、かつ/または以下でより詳細に記載するコンセンサスタンパク質を含み得る。したがって、いかなるユーザも、BoNT−A抗原またはBoNT−Aコンセンサス抗原(ワクチン中の核酸によってコードされ得るものの一方またはその両方)を含むように本発明のワクチンを設計して、ボツリヌス菌神経毒素血清型Aに対する広範な免疫性をもたらすことができる。このように、BoNT−A抗原をコードする核酸、BoNT−Aコンセンサス抗原をコードする核酸、BoNT−A抗原、BoNT−Aコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンによって、神経系への防御免疫反応が提供される。
(1)最適化BoNT−A
BoNT−A抗原は、最適化核酸配列によってコードされ得る。この最適化核酸配列は、異種核酸配列であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。BoNT−A抗原のN末端に、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列を位置させるか、結合させることができる。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列もコードし得る。他の実施形態において、BoNT−A抗原のN末端に、IgEリーダー配列を位置させなくても、結合させなくてもよい。したがって、最適化核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、BoNT−Aアミノ酸配列は、IgEリーダー配列及びHAタグに結合していてよい。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列及びHAタグもコードし得る。
最適化核酸の配列番号1は、BoNT−A抗原(配列番号2)をコードする。具体的には、配列番号1は、IgEリーダー配列に結合したBoNT−A抗原(配列番号2)をコードする。さらに、BoNT−Aタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2である。IgEリーダーに結合したBoNT−Aタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2である。IgEリーダーに結合したBoNT−Aタンパク質のアミノ酸配列はまた、HAタグに結合していてもよい。
いくつかの実施形態において、BoNT−Aをコードする核酸は、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。いくつかの実施形態において、BoNT−Aをコードする核酸は、配列番号1に記載の核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−A抗原をコードする核酸は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−A抗原は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−A抗原は、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号1の断片に関する。断片は、配列番号1の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であり得る。断片は、配列番号1の断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であり得る。断片は、配列番号1の断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列をコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態において、本明細書にて開示されるタンパク質のコード配列と相同である本明細書にて開示されるコード配列を有する核酸分子は、本明細書にて開示される相同のタンパク質配列をコードするコード配列の5’末端に結合したIgEリーダー配列をコードする配列を含む。
いくつかの実施形態は、BoNT−Aタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Aタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大95%の相同性、BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大97%の相同性、BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大98%の相同性、及びBoNT−Aアミノ酸配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Aタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Aタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Aタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Aアミノ酸配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Aタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、配列番号2と相同であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載のタンパク質配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載のタンパク質配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載のタンパク質配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載のタンパク質配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載のタンパク質配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態は、配列番号2と同一であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と80%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と85%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と90%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と91%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と92%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と93%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と94%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と95%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と96%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と97%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と98%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号2に記載の完全長アミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態において、タンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、タンパク質は、IgEリーダーを含まない。BoNT−Aタンパク質の断片は、BoNT−Aタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。配列番号2の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号2の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号2の免疫原性断片と相同のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号2と95%以上相同であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号2の免疫原性断片と同一のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供される。かかる免疫原性断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
タンパク質のN末端へのシグナルペプチドまたはリーダー配列の結合に関して本明細書で述べる場合、当該シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端メチオニンと置き代わる。N末端メチオニンは、シグナルペプチドのコード配列なしでタンパク質をコードする核酸配列の開始コドンによってコードされている。
(2)コンセンサスBoNT−A
BoNT−A抗原は、複数のボツリヌス菌血清型Aによる神経毒素の重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態は、BoNT−Aコンセンサスタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Aコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。コンセンサス配列に対して最大95%の相同性、コンセンサス配列に対して最大96%の相同性、コンセンサス配列に対して最大97%の相同性、コンセンサス配列に対して最大98%の相同性、及びコンセンサス配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Aコンセンサスタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Aコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Aコンセンサスタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Aコンセンサス配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Aタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態において、BoNT−Aコンセンサスタンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、BoNT−Aコンセンサスタンパク質は、IgEリーダーを含まない。他の実施形態において、BoNT−Aコンセンサスタンパク質は、リーダー配列、例えば、限定するものではないが、IgEリーダー配列を含み得る。BoNT−Aコンセンサスタンパク質に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するタンパク質もまた提供される。
BoNT−Aコンセンサスタンパク質の断片は、BoNT−Aコンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
b.BoNT−B
本発明のワクチンは、血清型Bのボツリヌス菌(BoNT−B)に由来する抗原を含み得る。BoNT−Bは、(1)B細胞反応を介した体液性免疫、(2)細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応、及び(3)ヘルパーT細胞反応、またはクロスプレゼンテーションについては好ましくは上記の全てを誘導することによる免疫介在性反応にとって重要な標的である。BoNT−B抗原は、組織全体と神経系の両方において、抗原特異性T細胞及び高力価の抗体反応を誘導する。BoNT−B抗原は、致死量のボツリヌス菌神経毒素に対して防御能のある中和抗体を誘導する。これらの中和抗体は、ボツリヌス菌血清型Bに由来する致死量の神経毒素に対して防御能がある。
BoNT−B抗原は、抗BoNT−B免疫反応を誘導し得る免疫原としての有効性を高めるタンパク質エピトープを含み得る。BoNT−B抗原は、全長翻訳産物、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−B抗原は、BoNT−Bの重鎖、BoNT−Bの軽鎖、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−B抗原は、最適化核酸によってコードされ得、かつ/または以下でより詳細に記載するコンセンサスタンパク質を含み得る。したがって、いかなるユーザも、BoNT−B抗原またはBoNT−Bコンセンサス抗原(ワクチン中の核酸によってコードされ得るものの一方またはその両方)を含むように本発明のワクチンを設計して、ボツリヌス菌神経毒素血清型Bに対する広範な免疫性をもたらすことができる。このように、BoNT−B抗原をコードする核酸、BoNT−Bコンセンサス抗原をコードする核酸、BoNT−B抗原、BoNT−Bコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンによって、神経系への防御免疫反応が提供される。
(1)最適化BoNT−B
BoNT−B抗原は、最適化核酸配列によってコードされ得る。この最適化核酸配列は、異種核酸配列であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。BoNT−B抗原のN末端に、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列を位置させるか、結合させることができる。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列もコードし得る。他の実施形態において、BoNT−B抗原のN末端に、IgEリーダー配列を位置させなくても、結合させなくてもよい。したがって、最適化核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、BoNT−Bアミノ酸配列は、IgEリーダー配列及びHAタグに結合していてよい。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列及びHAタグもコードし得る。
最適化核酸の配列番号3は、BoNT−B抗原(配列番号4)をコードする。具体的には、配列番号3は、IgEリーダー配列に結合したBoNT−B抗原(配列番号4)をコードする。さらに、BoNT−Bタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4である。IgEリーダーに結合したBoNT−Bタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4である。IgEリーダーに結合したBoNT−Bタンパク質のアミノ酸配列はまた、HAタグに結合していてもよい。
いくつかの実施形態において、BoNT−Bをコードする核酸は、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。いくつかの実施形態において、BoNT−Bをコードする核酸は、配列番号3に記載の核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−B抗原をコードする核酸は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−B抗原は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−B抗原は、配列番号4に記載のアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号3の断片に関する。断片は、配列番号3の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であり得る。断片は、配列番号3の断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であり得る。断片は、配列番号3の断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列をコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態において、本明細書にて開示されるタンパク質のコード配列と相同である本明細書にて開示されるコード配列を有する核酸分子は、本明細書にて開示される相同のタンパク質配列をコードするコード配列の5’末端に結合したIgEリーダー配列をコードする配列を含む。
いくつかの実施形態は、BoNT−Bタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Bタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大95%の相同性、BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大97%の相同性、BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大98%の相同性、及びBoNT−Bアミノ酸配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Bタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Bタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Bタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Bアミノ酸配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Bタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、配列番号4と相同であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載のタンパク質配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載のタンパク質配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載のタンパク質配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載のタンパク質配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載のタンパク質配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態は、配列番号4と同一であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と80%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と85%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と90%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と91%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と92%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と93%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と94%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と95%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と96%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と97%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と98%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号4に記載の完全長アミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態において、タンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、タンパク質は、IgEリーダーを含まない。BoNT−Bタンパク質の断片は、BoNT−Bタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。配列番号4の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号4の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号4の免疫原性断片と相同のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号4と95%以上相同であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号4の免疫原性断片と同一のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供される。かかる免疫原性断片は、配列番号4に記載のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
タンパク質のN末端へのシグナルペプチドまたはリーダー配列の結合に関して本明細書で述べる場合、当該シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端メチオニンと置き代わる。N末端メチオニンは、シグナルペプチドのコード配列なしでタンパク質をコードする核酸配列の開始コドンによってコードされている。
(2)コンセンサスBoNT−B
BoNT−B抗原は、複数のボツリヌス菌血清型Bによる神経毒素の重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態は、BoNT−Bコンセンサスタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Bコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。コンセンサス配列に対して最大95%の相同性、コンセンサス配列に対して最大96%の相同性、コンセンサス配列に対して最大97%の相同性、コンセンサス配列に対して最大98%の相同性、及びコンセンサス配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Bコンセンサスタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Bコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Bコンセンサスタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大80%の同一性、完全長コンセンサス配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Bコンセンサス配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Bタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態において、BoNT−Bコンセンサスタンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、BoNT−Bコンセンサスタンパク質は、IgEリーダーを含まない。他の実施形態において、BoNT−Bコンセンサスタンパク質は、リーダー配列、例えば、限定するものではないが、IgEリーダー配列を含み得る。BoNT−Bコンセンサスタンパク質に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するタンパク質もまた提供される。
BoNT−Bコンセンサスタンパク質の断片は、BoNT−Bコンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
c.BoNT−E
本発明のワクチンは、血清型Eのボツリヌス菌(BoNT−E)に由来する抗原を含み得る。BoNT−Eは、(1)B細胞反応を介した体液性免疫、(2)細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応、及び(3)ヘルパーT細胞反応、またはクロスプレゼンテーションについては好ましくは上記の全てを誘導することによる免疫介在性反応にとって重要な標的である。BoNT−E抗原は、組織全体と神経系の両方において、抗原特異性T細胞及び高力価の抗体反応を誘導する。BoNT−E抗原は、致死量のボツリヌス菌神経毒素に対して防御能のある中和抗体を誘導する。これらの中和抗体は、ボツリヌス菌血清型Eに由来する致死量の神経毒素に対して防御能がある。
BoNT−E抗原は、抗BoNT−E免疫反応を誘導し得る免疫原としての有効性を高めるタンパク質エピトープを含み得る。BoNT−E抗原は、全長翻訳産物、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−E抗原は、BoNT−Eの重鎖、BoNT−Eの軽鎖、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−E抗原は、最適化核酸によってコードされ得、かつ/または以下でより詳細に記載するコンセンサスタンパク質を含み得る。したがって、いかなるユーザも、BoNT−E抗原またはBoNT−Eコンセンサス抗原(ワクチン中の核酸によってコードされ得るものの一方またはその両方)を含むように本発明のワクチンを設計して、ボツリヌス菌神経毒素血清型Eに対する広範な免疫性をもたらすことができる。このように、BoNT−E抗原をコードする核酸、BoNT−Eコンセンサス抗原をコードする核酸、BoNT−E抗原、BoNT−Eコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンによって、神経系への防御免疫反応が提供される。
(1)最適化BoNT−E
BoNT−E抗原は、最適化核酸配列によってコードされ得る。この最適化核酸配列は、異種核酸配列であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。BoNT−E抗原のN末端に、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列を位置させるか、結合させることができる。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列もコードし得る。他の実施形態において、BoNT−E抗原のN末端に、IgEリーダー配列を位置させなくても、結合させなくてもよい。したがって、最適化核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、BoNT−Eアミノ酸配列は、IgEリーダー配列及びHAタグに結合していてよい。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列及びHAタグもコードし得る。
最適化核酸の配列番号5は、BoNT−E抗原(配列番号6)をコードする。具体的には、配列番号5は、IgEリーダー配列に結合したBoNT−E抗原(配列番号6)をコードする。さらに、BoNT−Eタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号6である。IgEリーダーに結合したBoNT−Eタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号6である。IgEリーダーに結合したBoNT−Eタンパク質のアミノ酸配列はまた、HAタグに結合していてもよい。
いくつかの実施形態において、BoNT−Eをコードする核酸は、配列番号5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。いくつかの実施形態において、BoNT−Eをコードする核酸は、配列番号5に記載の核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−E抗原をコードする核酸は、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−E抗原は、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−E抗原は、配列番号6に記載のアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号5の断片に関する。断片は、配列番号5の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であり得る。断片は、配列番号5の断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であり得る。断片は、配列番号5の断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列をコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態において、本明細書にて開示されるタンパク質のコード配列と相同である本明細書にて開示されるコード配列を有する核酸分子は、本明細書にて開示される相同のタンパク質配列をコードするコード配列の5’末端に結合したIgEリーダー配列をコードする配列を含む。
いくつかの実施形態は、BoNT−Eタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Eタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大95%の相同性、BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大97%の相同性、BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大98%の相同性、及びBoNT−Eアミノ酸配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Eタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Eタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Eタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Eアミノ酸配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Eタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、配列番号6と相同であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載のタンパク質配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載のタンパク質配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載のタンパク質配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載のタンパク質配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載のタンパク質配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態は、配列番号6と同一であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と80%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と85%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と90%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と91%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と92%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と93%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と94%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と95%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と96%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と97%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と98%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号6に記載の完全長アミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態において、タンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、タンパク質は、IgEリーダーを含まない。BoNT−Eタンパク質の断片は、BoNT−Eタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。配列番号6の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号6の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号6の免疫原性断片と相同のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号6と95%以上相同であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号6の免疫原性断片と同一のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供される。かかる免疫原性断片は、配列番号6に記載のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
タンパク質のN末端へのシグナルペプチドまたはリーダー配列の結合に関して本明細書で述べる場合、当該シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端メチオニンと置き代わる。N末端メチオニンは、シグナルペプチドのコード配列なしでタンパク質をコードする核酸配列の開始コドンによってコードされている。
(2)コンセンサスBoNT−E
BoNT−E抗原は、複数のボツリヌス菌血清型Eによる神経毒素の重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態は、BoNT−Eコンセンサスタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Eコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。コンセンサス配列に対して最大95%の相同性、コンセンサス配列に対して最大96%の相同性、コンセンサス配列に対して最大97%の相同性、コンセンサス配列に対して最大98%の相同性、及びコンセンサス配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Eコンセンサスタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Eコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Eコンセンサスタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Eコンセンサス配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Eタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態において、BoNT−Eコンセンサスタンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、BoNT−Eコンセンサスタンパク質は、IgEリーダーを含まない。他の実施形態において、BoNT−Eコンセンサスタンパク質は、リーダー配列、例えば、限定するものではないが、IgEリーダー配列を含み得る。BoNT−Eコンセンサスタンパク質に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するタンパク質もまた提供される。
BoNT−Eコンセンサスタンパク質の断片は、BoNT−Eコンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
d.BoNT−F
本発明のワクチンは、血清型Fのボツリヌス菌(BoNT−F)に由来する抗原を含み得る。BoNT−Fは、(1)B細胞反応を介した体液性免疫、(2)細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応、及び(3)ヘルパーT細胞反応、またはクロスプレゼンテーションについては好ましくは上記の全てを誘導することによる免疫介在性反応にとって重要な標的である。BoNT−F抗原は、組織全体と神経系の両方において、抗原特異性T細胞及び高力価の抗体反応を誘導する。BoNT−F抗原は、致死量のボツリヌス菌神経毒素に対して防御能のある中和抗体を誘導する。これらの中和抗体は、ボツリヌス菌血清型Fに由来する致死量の神経毒素に対して防御能がある。
BoNT−F抗原は、抗BoNT−F免疫反応を誘導し得る免疫原としての有効性を高めるタンパク質エピトープを含み得る。BoNT−F抗原は、全長翻訳産物、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−F抗原は、BoNT−Fの重鎖、BoNT−Fの軽鎖、その変異体、その断片またはこれらの組み合わせを含み得る。BoNT−F抗原は、最適化核酸によってコードされ得、かつ/または以下でより詳細に記載するコンセンサスタンパク質を含み得る。したがって、いかなるユーザも、BoNT−F抗原またはBoNT−Fコンセンサス抗原(ワクチン中の核酸によってコードされ得るものの一方またはその両方)を含むように本発明のワクチンを設計して、ボツリヌス菌神経毒素血清型Fに対する広範な免疫性をもたらすことができる。このように、BoNT−F抗原をコードする核酸、BoNT−Fコンセンサス抗原をコードする核酸、BoNT−F抗原、BoNT−Fコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンによって、神経系への防御免疫反応が提供される。
(1)最適化BoNT−F
BoNT−F抗原は、最適化核酸配列によってコードされ得る。この最適化核酸配列は、異種核酸配列であり得、かつ/または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。BoNT−F抗原のN末端に、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列を位置させるか、結合させることができる。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列もコードし得る。他の実施形態において、BoNT−F抗原のN末端に、IgEリーダー配列を位置させなくても、結合させなくてもよい。したがって、最適化核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、BoNT−Fアミノ酸配列は、IgEリーダー配列及びHAタグに結合していてよい。これにより、最適化核酸は、IgEリーダー配列及びHAタグもコードし得る。
最適化核酸の配列番号7は、BoNT−F抗原(配列番号8)をコードする。具体的には、配列番号7は、IgEリーダー配列に結合したBoNT−F抗原(配列番号8)をコードする。さらに、BoNT−Fタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号8である。IgEリーダーに結合したBoNT−Fタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号8である。IgEリーダーに結合したBoNT−Fタンパク質のアミノ酸配列はまた、HAタグに結合していてもよい。
いくつかの実施形態において、BoNT−Fをコードする核酸は、配列番号7に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。いくつかの実施形態において、BoNT−Fをコードする核酸は、配列番号7に記載の核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−F抗原をコードする核酸は、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−F抗原は、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−F抗原は、配列番号8に記載のアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、配列番号7の断片に関する。断片は、配列番号7の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%であり得る。断片は、配列番号7の断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であり得る。断片は、配列番号7の断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列をコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態は、本明細書の核酸コード配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態において、本明細書にて開示されるタンパク質のコード配列と相同である本明細書にて開示されるコード配列を有する核酸分子は、本明細書にて開示される相同のタンパク質配列をコードするコード配列の5’末端に結合したIgEリーダー配列をコードする配列を含む。
いくつかの実施形態は、BoNT−Fタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Fタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大95%の相同性、BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大96%の相同性、BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大97%の相同性、BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大98%の相同性、及びBoNT−Fアミノ酸配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Fタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Fタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Fタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Fアミノ酸配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Fタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態は、配列番号8と相同であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載のタンパク質配列と95%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載のタンパク質配列と96%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載のタンパク質配列と97%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載のタンパク質配列と98%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載のタンパク質配列と99%の相同性を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態は、配列番号8と同一であるタンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と80%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と85%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と90%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と91%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と92%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と93%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と94%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と95%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と96%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と97%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と98%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、配列番号8に記載の完全長アミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を有する免疫原性タンパク質に関する。
いくつかの実施形態において、タンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、タンパク質は、IgEリーダーを含まない。BoNT−Fタンパク質の断片は、BoNT−Fタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。配列番号8の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号8の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号8の免疫原性断片と相同のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号8と95%以上相同であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
配列番号8の免疫原性断片と同一のアミノ酸配列を持つタンパク質の免疫原性断片が提供される。かかる免疫原性断片は、配列番号8に記載のアミノ酸配列と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
タンパク質のN末端へのシグナルペプチドまたはリーダー配列の結合に関して本明細書で述べる場合、当該シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端メチオニンと置き代わる。N末端メチオニンは、シグナルペプチドのコード配列なしでタンパク質をコードする核酸配列の開始コドンによってコードされている。
(2)コンセンサスBoNT−F
BoNT−F抗原は、複数のボツリヌス菌血清型Fによる神経毒素の重鎖のアミノ酸配列に由来するコンセンサスタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態は、BoNT−Fコンセンサスタンパク質と相同のタンパク質、BoNT−Fコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及び相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。コンセンサス配列に対して最大95%の相同性、コンセンサス配列に対して最大96%の相同性、コンセンサス配列に対して最大97%の相同性、コンセンサス配列に対して最大98%の相同性、及びコンセンサス配列に対して最大99%の相同性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のタンパク質と相同のタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態は、完全長BoNT−Fコンセンサスタンパク質に対して特定の割合の同一性を有するタンパク質、BoNT−Fコンセンサスタンパク質の免疫原性断片及びBoNT−Fコンセンサスタンパク質に対して同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大80%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大85%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大90%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大91%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大92%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大93%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大94%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大95%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大96%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大97%の同一性、完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大98%の同一性、及び完全長BoNT−Fコンセンサス配列に対して最大99%の同一性を有する免疫原性タンパク質をコードする核酸分子が提供され得る。同様に、本明細書に記載の免疫原性断片及び本明細書に記載のBoNT−Fタンパク質に対して上記の割合と類似の同一性を有するタンパク質の免疫原性断片をコードする核酸配列もまた提供される。
いくつかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。いくつかの実施形態において、核酸配列は、IgEリーダーをコードするコード配列を含まない。
いくつかの実施形態において、BoNT−Fコンセンサスタンパク質は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、BoNT−Fコンセンサスタンパク質は、IgEリーダーを含まない。他の実施形態において、BoNT−Fコンセンサスタンパク質は、リーダー配列、例えば、限定するものではないが、IgEリーダー配列を含み得る。BoNT−Fコンセンサスタンパク質に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するタンパク質もまた提供される。
BoNT−Fコンセンサスタンパク質の断片は、BoNT−Fコンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と96%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と97%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と98%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片と99%の同一性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。いくつかの実施形態において、断片は、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含まない。
3.BoNT抗原のワクチン組み合わせ
ワクチンは、上記のBoNT抗原のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、この組み合わせは、上記のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−G抗原のうちの1つ以上の組み合わせであり得る。BoNT抗原を組み合わせると、1つ以上のボツリヌス菌血清型、いくつかの実施形態では血清型A、B、E及び/またはFのうち1つ以上に対する免疫反応を哺乳動物において誘発することができる。ワクチンは、BoNT抗原の特定の組み合わせが得られるように設計または調整することができる。これにより、哺乳動物における免疫反応のレベルまたは強さを制御する能力がもたらされる。ワクチンを設計または調整することで、ワクチンによって誘導される中和抗体の反応性(すなわち、ボツリヌス菌の1つ以上の血清型に由来する神経毒素に対する反応)を制御する能力をユーザに提供することができる。
いくつかの実施形態において、組み合わせは、(1)BoNT−AとBoNT−B、(2)BoNT−AとBoNT−C1、(3)BoNT−AとBoNT−C2、(4)BoNT−AとBoNT−D、(5)BoNT−AとBoNT−E、(6)BoNT−AとBoNT−F、(7)BoNT−AとBoNT−G、(8)BoNT−BとBoNT−C1、(9)BoNT−BとBoNT−C2、(10)BoNT−BとBoNT−D、(11)BoNT−BとBoNT−E、(12)BoNT−BとBoNT−F、(13)BoNT−BとBoNT−G、(14)BoNT−C1とBoNT−C2、(15)BoNT−C1とBoNT−D、(16)BoNT−C1とBoNT−E、(17)BoNT−C1とBoNT−F、(18)BoNT−C1とBoNT−G、(19)BoNT−C2とBoNT−D、(20)BoNT−C2とBoNT−E、(21)BoNT−C2とBoNT−F、(22)BoNT−C2とBoNT−G、(23)BoNT−DとBoNT−E、(24)BoNT−EとBoNT−F、(25)BoNT−DとBoNT−G、(26)BoNT−EとBoNT−F、(27)BoNT−EとBoNT−G、及び(28)BoNT−FとBoNT−Gを任意の順序でコードする2つの核酸を含み得る。
代表的実施形態は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gのうち1つ以上を任意の順序でコードする1つ以上の核酸を含むワクチンに関する。また別の代表的実施形態は、1つ以上のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gを任意の順序でコードする1つ以上の核酸ならびにIL−12などのアジュバントを含むワクチンに関する。他の可能なアジュバントについては、以下でより詳細に説明する。
組み合わせワクチンはまた、1つ以上のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gタンパク質、1つ以上のコンセンサスBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gタンパク質、1つ以上のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gを含む1つ以上の不活化ウイルス粒子、1つ以上のコンセンサスBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gを含む1つ以上の不活化ウイルス粒子、1つ以上のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gを含む1つ以上の弱毒化ウイルス粒子、または1つ以上のコンセンサスBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gを含む1つ以上の弱毒化ウイルス粒子を含む。弱毒化ワクチンは、弱毒化生ワクチン、不活化ワクチンならびに1つ以上のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gタンパク質、または1つ以上のコンセンサスBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、Bo−NTD、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gタンパク質をコードする外来遺伝子を運搬する組み換えベクターを用いるワクチンであり得、サブユニットワクチン及び糖タンパク質ワクチンも含まれる。弱毒化生ワクチン、外来抗原を運搬する組み換えベクターを用いるワクチン、サブユニットワクチン及び糖タンパク質ワクチンの例は、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319及び同第6,589,529号に開示されており、当該開示の各々は、参考により本明細書に組み込まれる。
a.BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gの組み合わせまたはこれらの組み合わせ
組み合わせワクチンは、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードする1つ以上の核酸を含み得る。1つ以上の核酸は、最適化核酸配列であり得るか、最適化核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、異種核酸配列であり得るか、異種核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードする単一の発現ベクターまたはプラスミドであり得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、1つ目がBoNT−Aをコードし、2つ目がBoNT−Bをコードし、3つ目がBoNT−C1をコードし、4つ目がBoNT−C2をコードし、5つ目がBoNT−Dをコードし、6つ目がBoNT−Eをコードし、7つ目がBoNT−Fをコードし、8つ目がBoNT−Gをコードする8つの発現ベクターまたはプラスミドであり得る。さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、1つ以上(例えば、1、2、3、4またはそれ以上)の発現ベクターまたはプラスミドであり得、当該1つ以上の発現ベクターまたはプラスミドがBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをともにコードする。
1つ以上の核酸は、転写及び翻訳の際に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gが単一のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるようにBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードするヌクレオチド配列を含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、転写及び翻訳の際に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gのそれぞれが個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるようにBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードするヌクレオチド配列を含み得る。1つ以上の核酸は、転写及び翻訳の際に、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gがともに(任意の組み合わせで)1つ以上(例えば、1、2、3、4またそれ以上)の個別のポリペプチド内に含まれるようにBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
1つ以上の核酸は、1つ以上のIgEリーダー配列を、IgEリーダー配列がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−G、またはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gのそれぞれ、またはこれらの組み合わせに結合するようにコードし得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を、フリン開裂部位がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの組み合わせをコードする個々のヌクレオチド配列の間に位置または配置するように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
いくつかの実施形態において、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードする1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードする対応する核酸配列に記載された核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gをコードする1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gを含む対応するアミノ酸配列に記載されたアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。
b.BoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせ
組み合わせワクチンは、BoNT−A及びBoNT−Bをコードする1つ以上の核酸を含み得る。1つ以上の核酸は、最適化核酸配列であり得るか、最適化核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、異種核酸配列であり得るか、異種核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A及びBoNT−Bをコードする単一の発現ベクターまたはプラスミドであり得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、2つの発現ベクターまたはプラスミドであり得、一方がBoNT−Aをコードし、他方がBoNT−Bをコードする。1つ以上の核酸は、BoNT−A及びBoNT−Bをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A及びBoNT−Bが単一のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、BoNT−A及びBoNT−Bをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A及びBoNT−Bがそれぞれ個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。
1つ以上の核酸は、1つ以上のIgEリーダー配列を、IgEリーダー配列がBoNT−A、BoNT−BまたはBoNT−AとBoNT−Bの両方に結合するようにコードし得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を、フリン開裂部位がBoNT−A及びBoNT−Bをコードする個々のヌクレオチド配列の間に位置または配置するように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
BoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせは、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする最適化核酸配列によってコードされ得る。配列番号9に記載のアミノ酸配列は、BoNT−Bのアミノ酸配列に連結したBoNT−Aのアミノ酸配列を含み得、フリン開裂部位がBoNT−AとBoNT−Bの各々のアミノ酸配列を分離している。フリンによる開裂後、BoNT−AとBoNT−Bのアミノ酸配列は、個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれる。
いくつかの実施形態において、BoNT−A及びBoNT−Bをコードする核酸は、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせをコードする核酸は、配列番号9に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−A抗原及びBoNT−B抗原の組み合わせは、配列番号9に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約805、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、提供され得る配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片に関する。断片は、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片と同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列と95%以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせをコードする核酸配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせをコードする核酸配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせをコードする核酸配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせをコードする核酸配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号9の断片が提供され得る。断片は、配列番号9の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも90%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号9の断片と同一性を有するアミノ酸配列を持つタンパク質の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号9と95%以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A及びBoNT−Bの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
c.BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせ
組み合わせワクチンは、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする1つ以上の核酸を含み得る。1つ以上の核酸は、最適化核酸配列であり得るか、最適化核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、異種核酸配列であり得るか、異種核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする単一の発現ベクターまたはプラスミドであり得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、2つの発現ベクターまたはプラスミドであり得、一方がBoNT−Eをコードし、他方がBoNT−Fをコードする。1つ以上の核酸は、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−E及びBoNT−Fが単一のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−E及びBoNT−Fがそれぞれ個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。
1つ以上の核酸は、1つ以上のIgEリーダー配列を、IgEリーダー配列がBoNT−E、BoNT−FまたはBoNT−EとBoNT−Fの両方に結合するようにコードし得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を、フリン開裂部位がBoNT−E及びBoNT−Fをコードする個々のヌクレオチド配列の間に位置または配置するように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせは、配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする最適化核酸配列によってコードされ得る。配列番号10に記載のアミノ酸配列は、BoNT−Fのアミノ酸配列に連結したBoNT−Eのアミノ酸配列を含み得、フリン開裂部位がBoNT−EとBoNT−Fの各々のアミノ酸配列を分離している。フリンによる開裂後、BoNT−EとBoNT−Fのアミノ酸配列は、個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれる。
いくつかの実施形態において、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする核酸は、配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸は、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−E抗原及びBoNT−F抗原の組み合わせは、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約805、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、提供され得る配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片に関する。断片は、配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片と同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列と95%以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号10の断片が提供され得る。断片は、配列番号10の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも90%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号10の断片と同一性を有するアミノ酸配列を持つタンパク質の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号10と95%以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
d.BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eの組み合わせ
組み合わせワクチンは、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードする1つ以上の核酸を含み得る。1つ以上の核酸は、最適化核酸配列であり得るか、最適化核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、異種核酸配列であり得るか、異種核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードする単一の発現ベクターまたはプラスミドであり得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、3つの発現ベクターまたはプラスミドであり得、1つ目がBoNT−Aをコードし、2つ目がBoNT−Bをコードし、3つ目がBoNT−Eをコードする。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、2つの発現ベクターまたはプラスミドであり得、一方がBoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eのうち2つをコードし、他方が残りのBoNTをコードする(例えば、1つ目のベクターまたはプラスミドでBoNT−A及びBoNT−Bをコードし、2つ目のベクターまたはプラスミドでBoNT−Eをコードするなど)。
1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eが単一のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eがそれぞれ個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A及びBoNT−Bが第1のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれ、BoNT−Eが第2のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A及びBoNT−Eが第1のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれ、BoNT−Bが第2のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−E及びBoNT−Bが第1のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれ、BoNT−Aが第2のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。
1つ以上の核酸は、1つ以上のIgEリーダー配列を、IgEリーダー配列がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−EまたはBoNT−A、BoNT−B及びBoNT−Eのそれぞれに結合するようにコードし得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を、フリン開裂部位がBoNT−A及びBoNT−Bをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−A及びBoNT−Eをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−B及びBoNT−Eをコードする個々のヌクレオチド配列、またはこれらの組み合わせの間に位置または配置するように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
e.BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせ
組み合わせワクチンは、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする1つ以上の核酸を含み得る。1つ以上の核酸は、最適化核酸配列であり得るか、最適化核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、異種核酸配列であり得るか、異種核酸配列を含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする単一の発現ベクターまたはプラスミドであり得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、4つの発現ベクターまたはプラスミドによってコードされ得、1つ目がBoNT−Aをコードし、2つ目がBoNT−Bをコードし、3つ目がBoNT−Eをコードし、4つ目がBoNT−Fをコードする。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、2つまたは3つの発現ベクターまたはプラスミドであり得、2つまたは3つの発現ベクターまたはプラスミドがBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをともにコードする。
1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fが単一のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fがそれぞれ個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれるように含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fがともに(任意の組み合わせで)3つの個別のポリペプチド内に含まれるように含み得る。1つ以上の核酸は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳の際にBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fがともに(任意の組み合わせで)2つの個別のポリペプチド内に含まれるように含み得る。
1つ以上の核酸は、1つ以上のIgEリーダー配列を、IgEリーダー配列がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E、BoNT−FまたはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fのそれぞれまたはこれらの組み合わせに結合するようにコードし得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。さらに他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を、フリン開裂部位がBoNT−A及びBoNT−Bをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−A及びBoNT−Eをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−A及びBoNT−Fをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−B及びBoNT−Eをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−B及びBoNT−Fをコードする個々のヌクレオチド配列、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする個々のヌクレオチド配列またはこれらの組み合わせの間に位置または配置するように含み得る。他の実施形態において、1つ以上の核酸は、フリン開裂部位をコードするヌクレオチド配列を含まないか、当該配列を有しない。
BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせは、配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする最適化核酸配列によってコードされ得る。配列番号11に記載のアミノ酸配列は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fが互いに結合した個々のアミノ酸配列を含み得、フリン開裂部位が各々のアミノ酸配列を分離している。フリンによる開裂後、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fのアミノ酸配列は、個別のポリペプチドまたはタンパク質内に含まれる。
いくつかの実施形態において、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fをコードする核酸は、配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態において、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸は、配列番号11に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。さらに他の実施形態において、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの抗原の組み合わせは、配列番号11に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約805、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
いくつかの実施形態は、提供され得る配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片に関する。断片は、配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片と同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列と95%以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせをコードする核酸配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
配列番号11の断片が提供され得る。断片は、配列番号11の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも90%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
配列番号11の断片と同一性を有するアミノ酸配列を持つタンパク質の断片が提供され得る。かかる断片は、配列番号11と95%以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書のBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fの組み合わせを含むタンパク質配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列などの免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
4.ワクチン構築物及びプラスミド
ワクチンは、上記のBoNT抗原をコードする核酸構築物またはプラスミドを含み得る。タンパク質配列、コンセンサスタンパク質配列、タンパク質配列またはコンセンサスタンパク質配列と相同の配列、タンパク質配列またはコンセンサスタンパク質配列の断片、及びタンパク質配列またはコンセンサスタンパク質配列の断片と相同の配列を含む、本明細書で開示されるBoNT抗原をコードする核酸配列を含み得る遺伝子構築物が本明細書にて提供される。遺伝子構築物は、機能性染色体外分子として細胞内に存在することができる。遺伝子構築物は、セントロメア、テロメアを含む線状ミニ染色体、プラスミドまたはコスミドであり得る。遺伝子構築物は、1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、遺伝子構築物は、BoNT抗原を発現する1価プラスミドの形態であり得る。他の実施形態において、遺伝子構築物は、複数のBoNT抗原を発現する多価プラスミド、例えば、限定するものではないが、2価プラスミド、3価プラスミド、4価プラスミド及び5価プラスミドの形態であり得る。さらに他の実施形態において、遺伝子構築物は、1価プラスミド及び/または多価プラスミドの組み合わせの形態であり得、したがって、本明細書に開示されるBoNT抗原のうち1、2、3、4つまたはそれ以上についてコードする単一のプラスミドまたは複数のプラスミドであり得る。
いくつかの実施形態において、遺伝子構築物は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−FまたはBoNT−Gの抗原を発現する1価プラスミドの形態であり得る。遺伝子構築物は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gのうち任意の2つのBoNT抗原の組み合わせを発現する2価プラスミドの形態であり得る。1つの実施形態は、(1)BoNT−AとBoNT−B、(2)BoNT−AとBoNT−E、(3)BoNT−AとBoNT−F、(4)BoNT−BとBoNT−E、(5)BoNT−BとBoNT−F、及び(6)BoNT−EとBoNT−Fを任意の順序で含み得る。
遺伝子構築物は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及びBoNT−Gのうち任意の3つのBoNT抗原の組み合わせを発現する3価プラスミドの形態であり得る。1つの実施形態は、(1)BoNT−AとBoNT−BとBoNT−E、(2)BoNT−AとBoNT−BとBoNT−F、(3)BoNT−BとBoNT−EとBoNT−F、及び(4)BoNT−AとBoNT−EとBoNT−Fを任意の順序で含み得る。
遺伝子構築物は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/またはBoNT−Gのうち任意の4つのBoNT抗原の組み合わせを発現する4価プラスミドの形態であり得る。1つの実施形態は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及びBoNT−Fのコードを任意の順序で含み得る。
遺伝子構築物はまた、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルス及びワクシニアウイルスを含む、組み換えウイルスベクターのゲノムの一部であり得る。遺伝子構築物は、弱毒化した生きた微生物または細胞内で生存する組み換え微生物ベクター中の遺伝子物質の一部であり得る。
遺伝子構築物は、核酸のコード配列の遺伝子発現に関する調節エレメントを含み得る。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、終止コドンまたはポリアデニル化シグナルであり得る。
核酸配列は、ベクターであり得る遺伝子構築物を構成することができる。ベクターは、哺乳動物の細胞内において、当該哺乳動物の免疫反応を誘発するのに有効な量の抗原を発現することができる。ベクターは、組み換え型であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、プラスミドであり得る。ベクターは、BoNT抗原をコードする核酸で細胞をトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞を、抗原の発現が起こる条件下で培養し、維持する。
コード配列は、安定性と高発現性のために最適化され得る。場合によっては、分子内結合によって形成されるものなどのRNAの2次構造形成を抑えるように、コドンを選択する。
ベクターは、BoNT抗原をコードする異種核酸を含み得、抗原コード配列の上流にあり得る開始コドンと、抗原コード配列の下流にあり得る終止コドンとをさらに含み得る。開始コドン及び終止コドンは、BoNT抗原コード配列とインフレームであり得る。ベクターはまた、抗原コード配列に機能的に連結しているプロモーターも含み得る。抗原コード配列に機能的に連結しているプロモーターは、シミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV前初期プロモーター、エプステイン・バー・ウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子からのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターでよく、天然もしくは合成であり得る。かかるプロモーターの例は、米国特許公開公報US20040175727に記載され、その内容は全体として本明細書に組み入れられる。
ベクターはまた、ポリアデニル化シグナルを含み得、これは、抗原コード配列の下流であり得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
ベクターはまた、BoNT抗原配列の上流にエンハンサーを含み得る。エンハンサーは、DNA発現に必要な場合がある。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンもしくはCMV、HA、RSVまたはEBVなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及びWO94/016737に記載されており、それぞれの内容は参照により全体が組み入れられる。
ベクターはまた、ベクターを染色体外に維持し、かつ、細胞中でベクターの複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点も含み得る。ベクターは、インビトロジェン(サンディエゴ、カリフォルニア州)からのpVAX1、pCEP4、またはpREP4であり得、これらは、エプステイン・バー・ウイルスの複製起点と、核抗原EBNA−1のコード領域とを含み得、統合しないで高いコピーのエピソーム複製を生じることができる。ベクターは、pVAX1または本明細書に記載される変異プラスミドなどの変異を有するpVax1変異体であり得る。変異pVax1プラスミドは、バックボーンベクタープラスミドpVAX1(インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)の2998塩基対の変異体である。CMVプロモーターは、塩基137〜724に位置する。T7プロモーター/プライミングサイトは、塩基664〜683にある。マルチクローニングサイトは、塩基696〜811にある。ウシGHポリアデニル化シグナルは、塩基829〜1053にある。カナマイシン耐性遺伝子は、塩基1226〜2020にある。pUCオリジンは、塩基2320〜2993にある。
インビトロジェンから入手可能なpVAX1の配列に基づくと、本明細書に記載のプラスミド1〜6のバックボーンとして用いたpVAX1の配列に以下の変異が認められた。
C>G241 CMVプロモーター中
C>T 1942 バックボーン、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpolyA)の下流
A>− 2876 バックボーン、カナマイシン遺伝子の下流
C>T 3277 pUC複製起点(Ori)高コピー数変異中(Nucleic Acid Research 1985を参照)
G>C 3753 RNASeH部位の上流pUC Oriの末端中
塩基対2、3及び4は、CMVプロモーターの上流のバックボーン中でACTからCTGに変化している。
ベクターのバックボーンは、pAV0242であり得る。ベクターは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)ベクターであり得る。
ベクターは、調節配列も含んでもよく、これは、ベクターを投与された哺乳動物細胞またはヒト細胞中での遺伝子発現に十分に適し得る。コンセンサスコード配列は、宿主細胞内においてコード配列をより効率的に転写することができるコドンを含み得る。
ベクターは、pSE420(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であり得、それを大腸菌(E.Coli)中でのタンパク質産生のために用いることができる。ベクターは、pYES2(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であってもよく、それを酵母のサッカロマイセス・セレビシエ株でのタンパク質産生に用いることができる。ベクターは、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)のものであってもよく、それを昆虫細胞中でのタンパク質産生に用いることができる。ベクターは、pcDNA IまたはpcDNA3(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)であってもよく、それを哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中でのタンパク質産生に用いることができる。ベクターは、タンパク質を産出する発現ベクターまたは発現系であり得、参照により全体が本明細書に組み込まれるSambrookら、「Molecular Cloning and Laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbor(1989)をはじめとする通常の技術及び容易に入手できる出発材料を用いることができる。
いくつかの実施形態において、ベクターは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7の核酸配列、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードする核酸、配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードする核酸、及び/または配列番号11に記載のアミノ酸配列をコードする核酸うち1つ以上を含み得る。代表的なベクターを図1に示す。
5.ワクチンの医薬組成物
ワクチンは、医薬組成物の形態であり得る。医薬組成物は、ワクチンを含み得る。
医薬組成物は、約5ナノグラム〜約10mgのDNAを含み得る。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、約25ナノグラム〜約5mgのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約50ナノグラム〜約1mgのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1〜約350マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約5〜約250マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約10〜約200マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約15〜約150マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約20〜約100マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約25〜約75μgのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約30〜約50マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約35〜約40マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約100〜約200マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約10マイクログラム〜約100マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約20マイクログラム〜約80マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約25マイクログラム〜約60マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約30ナノグラム〜約50マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約35ナノグラム〜約45マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1〜約350マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約25〜約250マイクログラムのDNAを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約100〜約200マイクログラムのDNAを含む。
いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、ワクチンのDNAを少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ナノグラムを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ワクチンのDNAを少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95,100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995または1000マイクログラム含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ワクチンのDNAを1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10mgまたはそれ以上含み得る。
他の実施形態において、医薬組成物は、ワクチンのDNAを15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ナノグラム以下含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ワクチンのDNAを1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95,100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995または1000マイクログラム以下含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ワクチンのDNAを1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10mg以下含み得る。
医薬組成物は、用いられる投与様式に従って配合するための他の試薬をさらに含み得る。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、当該医薬組成物は、滅菌されたパイロジェンフリー及び微粒子フリーであってもよい。等張性配合剤が好ましくは用いられる。一般に、等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水などの等張性溶液が好ましい。安定化剤には、ゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態において、製剤には血管収縮剤が添加される。
ワクチンは、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容しうる賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤としての機能的分子であり得る。薬学的に許容し得る賦形剤は、界面活性剤を含み得るトランスフェクション促進剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤であり得る。
トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマートであり、より好ましくは、ポリ−L−グルタマートは、6mg/ml未満の濃度でワクチン中に存在する。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレン及びスクアレンなどの小胞を含み得、ヒアルロン酸を用いて、遺伝的構築物と一体化させて投与することもできる。いくつかの実施形態において、DNAベクターワクチンはまた、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、W09324640参照)などの当該技術分野で公知の他のリポソームをはじめとするリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知トランスフェクション促進剤も含み得る。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
薬学的に許容可能な賦形剤は、アジュバントであり得る。アジュバントは、別のプラスミドから発現される他の遺伝子であることが可能であり、または、ワクチン中に上記プラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される。アジュバントは、α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘因性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、CD86、欠失され、かつ、IgE由来のシグナルペプチドを任意に含むシグナル配列を有するIL−15からなる群から選択され得る。アジュバントは、IL−12、L−15、IL−28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、またはそれらの組み合わせであり得る。代表的実施形態において、アジュバントはIL−12である。
有用なアジュバントであり得る他の遺伝子としては、MCP−1、MIP−1a、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、変異体型IL−18、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮細胞増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン反応遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びその機能的断片をコードするものが挙げられる。
6.ワクチン投与方法
BoNT抗原であるBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含むBoNTの遺伝子構築物及びタンパク質をもたらすための医薬配合物を投与する方法が本明細書にて提供される。これらの抗原は、ボツリヌス菌血清型BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたは任意の組み合わせに由来する神経毒素に対する免疫反応を誘導し得る免疫原の有効性を高めるエピトープを含む。いくつかの実施形態において、投与する方法は、BoNT抗原であるBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fを含むBoNTの遺伝子構築物及びタンパク質を提供することを含み得る。これらの抗原は、ボツリヌス菌血清型A、B、E及び/またはFに由来する神経毒素に対する免疫反応を誘導し得る免疫原の有効性を高めるエピトープを含む。
治療的免疫反応及び/または予防的免疫反応を誘導するためのワクチンを投与する方法または当該ワクチンを接種する方法が提供され得る。ワクチン投与プロセスは、哺乳動物において、血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせを含む複数のボツリヌス菌血清型に対する免疫反応を引き起こすことができ、いくつかの実施形態では、血清型A、B、E及び/またはFに対する免疫反応を引き起こすことができる。
ワクチンは、哺乳動物の免疫系の活性を調節し、免疫反応を高めるために、個体にワクチンを投与することができる。ワクチンの投与は、細胞内で発現し、その上で免疫系が認識し、細胞性反応、体液性反応、または細胞性反応と体液性反応を誘導する細胞表面に投与される核酸分子としてのBoNTのトランスフェクションであり得る。本明細書に記載のワクチンを哺乳動物に投与することにより、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含む複数のBoNTに対する免疫反応、ならびにいくつかの実施形態においてはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fに対する免疫反応を哺乳動物内で誘導または誘発するために、ワクチンの投与を用いることができる。本明細書に記載のワクチンを哺乳動物に投与することにより、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含む複数のBoNTに対する中和抗体、ならびにいくつかの実施形態においてはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fに対する中和抗体を誘導または誘発するために、ワクチンの投与を用いることができる。
哺乳動物にワクチンを投与し、哺乳動物の細胞にベクターが取り込まれると、トランスフェクト細胞がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含むBoNT抗原、ならびにいくつかの実施形態においてはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fを含むBoNT抗原を発現し、分泌する。他の実施形態において、哺乳動物にワクチンを投与し、哺乳動物の細胞にベクターが取り込まれると、トランスフェクト細胞がBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含むBoNT抗原、ならびにいくつかの実施形態においてはBoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fを含むコンセンサスBoNT抗原を発現し、分泌する。これらの分泌タンパク質すなわち合成抗原は、免疫系によって異物として認識され、当該抗原に対して作られた抗体及び当該抗原に特異的なT細胞反応を含み得る免疫反応が開始される。
いくつかの実施例では、本明細書に記載のワクチンを投与した哺乳動物は、免疫系が活性化し、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含むBoNT抗原を用いて攻撃すると、活性化した免疫系は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせを含む後続のBoNTを、体液性(例えば、中和抗体)、細胞性またはその両方によって、迅速に除去することができるようになる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のワクチンを投与した哺乳動物は、免疫系が活性化し、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fを含むBoNT抗原を用いて攻撃すると、活性化した免疫系は、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−E及び/またはBoNT−Fを含む後続のBoNTを、体液性(例えば、中和抗体)、細胞性またはその両方によって、迅速に除去することができるようになる。ワクチンは、個人の免疫系の活性を調節して免疫反応を高めるために、個体に投与することができる。
ワクチンのDNAを投与する方法は、米国特許第4,945,050号及び同第5,036,006号に開示されており、両特許の全体を参照により本明細書に組み込む。
哺乳動物内で免疫反応を誘発するために、哺乳動物にワクチンを投与することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、水牛、ウシ属、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラットまたはニワトリであり得、好ましくは、ヒト、ウシ、ブタまたはニワトリである。
ワクチンの用量は、1μg〜10mg成分/kg体重/時間であり得、20μg〜10mg成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30または31日おきに投与することができる。効果的な治療のためのワクチンの投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上であり得る。
a.ワクチンを用いて免疫反応を引き起こす方法
ワクチンは、哺乳動物において、治療的免疫反応または予防的免疫反応を含む免疫反応を引き起こすために使用することができる。この免疫反応により、BoNT抗原であるBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせに対する抗体(例えば、中和抗体)及び/またはキラーT細胞が生じ得る。このような抗体及びT細胞は単離することができる。免疫反応により、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせに反応する中和抗体が産生され得る。
いくつかの実施形態は、BoNT抗原であるBoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−D、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gまたはこれらの任意の組み合わせに対する免疫反応を引き起こす方法を提供するものであり、当該方法はワクチンを個人に投与することを含む。いくつかの実施形態は、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの任意の組み合わせによる感染に対して、個人に予防的にワクチン投与する方法を提供するものであり、当該方法はワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、ボツリヌス菌の血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの任意の組み合わせに由来する1つ以上の神経毒素による神経毒素に対して、個人に予防的にワクチン投与する方法を提供するものであり、当該方法はワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、ボツリヌス菌の血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの任意の組み合わせに感染した個人に治療的にワクチン投与する方法を提供するものであり、当該方法はワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、ボツリヌス菌の血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの任意の組み合わせに由来する神経毒素に曝された個人に治療的にワクチン投与する方法を提供するものであり、当該方法はワクチンを投与することを含む。ワクチン投与の前のボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGもしくはこれらの任意の組み合わせによる感染、または血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGもしくはこれらの任意の組み合わせに由来する神経毒素への曝露に関する診断は、通常通り行うことができる。
ワクチンは、体液性免疫反応を誘導し、ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する防御を提供し、上記の1価、2価、3価または4価のBoNTワクチン構築物によるワクチン投与後の致死的攻撃に対して、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の防御を提供する。誘導された体液性免疫反応は、ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する防御を促進する中和抗体を含み得る。
b.ワクチンを用いた治療方法
ワクチンは、神経毒症状及び弛緩性麻痺に対する防御である免疫反応を哺乳動物において引き起こすために用いることができる。ワクチンはまた、呼吸困難、弛緩性麻痺、呼吸不全及び運動機能障害の症状を含む疾患(すなわち、中毒症状)に対する防御である免疫反応を哺乳動物において引き起こすために用いることができる。この免疫反応により、脳または神経系への損傷または炎症を起こすことなく、抗原特異的CTL反応が引き起され得る。いくつかの実施形態において、ワクチンは、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺または他の中毒症状を引き起こすことなく、神経系を標的にする抗原特異的免疫反応を確立し、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせを除去または排除するために、末梢に送達することができる。他の実施形態において、ワクチンは、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺または他の中毒症状を引き起こすことなく、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせに由来する神経毒素に反応する中和抗体を確立するために、末梢に送達することができる。
いくつかの実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺を引き起こすことなく、神経系を標的にする抗原特異的免疫反応を確立し、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせを除去または排除するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gの抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。いくつかの実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺を引き起こすことなく、神経系を標的にする抗原特異的免疫反応を確立し、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせに由来する神経毒素を除去または排除するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gの抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。他の実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺または他の中毒症状を引き起こすことなく、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせに由来する神経毒素に反応する中和抗体を確立するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gの抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。
他の実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺を引き起こすことなく、神経系を標的にする抗原特異的免疫反応を確立し、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせを除去または排除するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gのコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。他の実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺を引き起こすことなく、神経系を標的にする抗原特異的免疫反応を確立し、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせに由来する神経毒素を除去または排除するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gのコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。他の実施形態において、治療は、損傷を与えたり、神経毒症状及び弛緩性麻痺または他の中毒症状を引き起こすことなく、ボツリヌス菌血清型A、B、C1、C2、D、E、F及び/もしくはGまたはこれらの組み合わせに由来する神経毒素に反応する中和抗体を確立するために、BoNT−A、BoNT−B、BoNT−C1、BoNT−C2、BoNT−E、BoNT−F及び/もしくはBoNT−Gのコンセンサス抗原またはこれらの組み合わせを含むワクチンを末梢に送達することを含み得る。
7.投与経路
ワクチンまたは医薬組成物を、経口、非経口、舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻内、髄腔内、及び関節内、またはそれらの組み合わせをはじめとする異なる経路で投与することができる。獣医学的使用では、通常の獣医学的実践に従い、当該組成物を適切に許容しうる配合剤として投与することができる。獣医は、特定の動物に最も適した投与レジメン及び投与経路を、容易に決定することができる。ワクチンは、伝統的なシリンジ、針なし注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃」、または他の物理的方法、例えば電気穿孔法(「EP」)、「水力学的方法」、または超音波により投与することができる。
in vivo電気穿孔法、リポソーム介在法、ナノ粒子促進法、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルス及び組み換えワクシニアウイルスなどの組み換えベクターを用いる、及び用いないDNA注入(DNAワクチン投与とも称される)を含むいくつかの周知の技術により哺乳動物にワクチンのベクターを投与することができる。DNA注入により、in vivo電気穿孔法と共に抗原を送達することができる。
a.電気穿孔法
ワクチンまたは医薬組成物は、電気穿孔法により投与することができる。電気穿孔によるワクチンの投与は、細胞膜に可逆的な孔を形成させるのに効果的なエネルギーパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔装置を用いて達成され得、好ましくは、エネルギーパルスは、ユーザにより入力されたプリセット電流に近い定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素及び電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含み得る。電気穿孔構成要素は、制御器、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力要素、ステータス報告要素、コミュニケーションポート、メモリー成分、電源、及び電源スイッチをはじめとする電気穿孔装置の1種以上の様々な要素を含み、それらを組み込むことができる。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易化するin vivo電気穿孔装置、例えばCELLECTRA(登録商標)EPシステム(イノビオファーマシューティカルズ社製、ペンシルベニア州ブルーベル)またはElgenエレクトロポレーター(イノビオファーマシューティカルズ社製)を用いて達成され得る。
本発明のDNAワクチンの送達を促進し得る電気穿孔装置及び電気穿孔法の例としては、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられた、Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されたそれらのものが挙げられる。DNAワクチンの送達を促進するのに用いられ得る他の電気穿孔装置及び電気穿孔法としては、その全てが全体として参照により本明細書に組み入れられた、2006年10月17日出願の米国特許仮出願第60/852,149号及び2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対して35USC119(e)による利益を主張する、2007年10月17日出願の同時係属中及び共有の米国特許出願第11/874072号に提供されたものが挙げられる。
Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子の導入を促進するためのモジュラー電極システム及びその使用が記載されている。モジュラー電極システムは、複数の針電極;皮下注射針;プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクター;及び電源を含み得る。操作者は、支持構造に搭載される複数の針状電極を握り、生体または植物の選択された組織の中へそれをしっかりと挿入することができる。その後、皮下注射針を介して、生体分子を選択された組織へ送達する。プログラム可能な定電流パルス制御器が活性化され、複数の針状電極に定電流の電気パルスが印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間での細胞への生体分子導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子導入を効果的に促進するために用いられ得る電気穿孔装置が記載されている。該電気穿孔装置は、操作がソフトウエアまたはファームウエアに特定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、ユーザ制御に基づく一列の電極とパルスパラメータ入力との間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの保存及び取得を可能にする。電気穿孔装置は、針電極、注射針用の中央注入チャネル、及び取り外し可能なガイドディスクのアレイを有する交換可能な電極ディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/0052630号に記載された電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または臓器にも深く浸透させるように適合され得る。電極アレイの形態によって、注射針(選択された生体分子を送達する)が、標的臓器にも完全に挿入され、電極によってあらかじめ描かれた領域の標的組織に垂直に注射投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/005263号に記載された電極は、好ましくは20mm長及び21ゲージである。
加えて、電気穿孔装置及びその使用を組み込んだいくつかの実施形態で予期される通り、以下の特許:1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の同第6,261,281号、2005年10月25日発行の同第6,958,060号、及び2005年9月6日発行の米国特許第6,939,862号に記載された電気穿孔装置が存在する。さらに、様々な装置のいずれかを用いたDNAの送達に関係する2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、及びDNA注入の方法が注目された2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号に提供された主題を含む特許が、本明細書で企図される。先の特許は、全体として参照により組み入れられる。
8.ワクチンの調製方法
本明細書に記載したワクチンを含むDNAプラスミドを調製する方法が本明細書にて提供される。DNAプラスミドを、哺乳動物発現プラスミドにサブクローニング最終的なステップの後、当該技術分野で公知の方法を用いて、大規模発酵タンクで細胞培養物に接種するのに用いることができる。
EP装置で用いられる本発明のDNAプラスミドは、公知の装置及び技術の組み合わせを利用して配合または製造することができるが、好ましくはそれらは、2007年5月23日に出願された米国公開出願第20090004716号に記載された最適化プラスミド製造技術を用いて製造される。いくつかの例において、これらの研究で用いたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で配合させることができる。その製造技術は、米国特許出願第60/939792号に記載されたものに加えて、2007年7月3日発行の許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されたものをはじめとする、当業者に概ね公知の様々な装置及びプロトコルも含み、組み入れている。先に参照された出願及び特許である、米国特許出願第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号は、それぞれ全体が本明細書に組み入れられる。
9.実施例
以下の実施例を参照することによって、前述の事項をより一層理解できるであろう。以下の実施例は例示を目的にするものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。
実施例1
発現ベクター
A、B、E及びFは、ボツリヌス菌の4つの血清型にそれぞれ由来するボツリヌス神経毒素(BoNT)である。神経毒素A、B、E及びFのそれぞれの非毒性重鎖(Hc)をコードする核酸配列をコドン最適化及びRNA最適化し、さらに、BoNT重鎖の分泌を増大させるIgEリーダー配列についてもコードするように合成した。
配列番号1は、神経毒素Aの非毒性重鎖及びIgEリーダー配列をコードする最適化核酸配列に相当する。配列番号3は、神経毒素Bの非毒性重鎖及びIgEリーダー配列をコードする最適化核酸配列に相当する。配列番号5は、神経毒素Eの非毒性重鎖及びIgEリーダー配列をコードする最適化核酸配列に相当する。配列番号7は、神経毒素Fの非毒性重鎖及びIgEリーダー配列をコードする最適化核酸配列に相当する。
最適化核酸配列をpUC57ベクターに挿入し、翻訳終了のためにポリAテールを付加した。その後、挿入物をpVax1発現ベクターのBamHI部位とNot1部位の間にクローニングするか移行した(図1A)。pVax1発現ベクターのCMVプロモーター、BGHポリAシグナル、カナマイシン耐性遺伝子及びpUCオリジンも図1に示す。得られるベクターは、1価の発現ベクターであり、言い換えれば、(1)IgEリーダー配列を有する神経毒素Aの重鎖(配列番号2)、(2)IgEリーダー配列を有する神経毒素Bの重鎖(配列番号4)、(3)IgEリーダー配列を有する神経毒素Eの重鎖(配列番号6)または(4)IgEリーダー配列を有する神経毒素Fの重鎖(配列番号8)のタンパク質のうちの1つの発現を起こさせるものである。
さらに、BoNTの重鎖A、B、EまたはF(例えば、配列番号1、3、5及び7)のうち2つをコードする最適化核酸配列をpVax1発現ベクターのBamHI部位とNot1部位の間に挿入した2価の発現ベクターを生成した(図1B)。2つのBoNT重鎖は、フリン開裂部位で分離して、個々のBoNT重鎖がそれぞれ分泌されるようにした。
神経毒素A、B、E及びF(例えば、配列番号1、3、5及び7)の重鎖をコードする最適化核酸配列をpVax1発現ベクターのBamHI部位とNot1部位の間に配置することで、図1Cに示すような4価の発現ベクターを生成した。4価の発現ベクターは、4つの重鎖の発現を起こさせるためにデュアルプロモーターを持たせた。4価の発現ベクターはまた、図13に示すように構築した。
実施例2
1価発現ベクターのin vitro発現
上記実施例1に記載した図1Aに示す1価BoNT/Hc構築物をヒト横紋筋肉腫(RD)細胞にトランスフェクトすることによって、神経毒素A、B、E及びFの重鎖の発現を確認した。各々の1価BoNT/Hc構築物には、個々の重鎖に結合した赤血球凝集素(HA)配列も含め、重鎖の検出ができるようにした。トランスフェクトした細胞の免疫蛍光分析を図2に示す。神経毒素A、B、E及びFの重鎖のin vitro発現が確認された。図2中の横棒は160μmに等しい。具体的には、DAPIを細胞核の染色に用い、FITC染色を各重鎖の検出に用いた。合成パネルは、DAPIとFITCのそれぞれの染色の重ね合わせを示す。
実施例3
BoNT Hcワクチンに対する体液性免疫反応
上記実施例1に記載した図1に示す構築物を分析して、当該構築物が有効なワクチンであるかどうかを評価した。具体的には、Balb/cマウスを1価BoNT/Hc構築物(すなわち、ワクチン)または2価BoNT/Hcワクチンのいずれかで免疫にすることによって、Balb/cマウスにおける体液性免疫反応を調べた。
3つのグループのBalb/cマウスを以下に記載するように免疫にした。BoNT/Hcワクチンによって誘導された体液性反応の程度は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて検出した。ELISAによって、それぞれのBoNT重鎖に特異的な抗体を検出した。
グループ1は、BoNT/Hc/A1価ワクチンで免疫にしたマウス5匹と対照マウス5匹(すなわち、ナイーブ)とした。血清中の抗ボツリヌス神経毒素AのIgG反応を図3Aに示す。色のない丸はナイーブマウスを示し、塗りつぶされた四角はBoNT/Hc/A免疫化マウスを示す。
グループ2は、BoNT/Hc/B1価ワクチンで免疫にしたマウス5匹と対照マウス5匹(すなわち、ナイーブ)とした。血清中の抗ボツリヌス神経毒素BのIgG反応を図3Bに示す。色のない丸はナイーブマウスを示し、半分塗りつぶされた四角はBoNT/Hc/B免疫化マウスを示す。
グループ3は、BoNT/Hc/AB2価ワクチンで免疫にしたマウス5匹と対照マウス5匹(すなわち、ナイーブ)とした。血清中の抗ボツリヌス神経毒素A及びBのIgG反応を図3Cに示す。色のない丸はナイーブマウスを示す。BoNT/Hc/AB2価ワクチンで免疫にしたマウスは、神経毒素A(すなわち、塗りつぶされた四角)と神経毒素B(すなわち、半分塗りつぶされた四角)の重鎖に対する抗原を産生した。
上記のデータにより、BoNT/Hc/A1価ワクチン及びBoNT/Hc/B1価ワクチンが神経毒素A及び神経毒素Bの重鎖に対してそれぞれ特異な抗体を産生したことが示された。また、上記のデータにより、BoNT/Hc/AB2価ワクチンが神経毒素A及びBの重鎖に対して特異な抗体を産生したことも示された。したがって、当該1価及び2価のワクチンは、ボツリヌス神経毒素に対する特異的体液性反応を誘導することができた。
実施例4
ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃
上記実施例1に記載した図1に示す構築物をさらに分析して、当該構築物が有効なワクチンであるかどうかを評価した。具体的には、1価BoNT/Hc構築物(すなわち、ワクチン)または2価BoNT/Hcワクチンのいずれかで免疫にしたBalb/cマウスについて、それぞれ致死量のボツリヌス神経毒素で攻撃して、当該ワクチンが免疫化したBalb/cマウスにおいて疾患(すなわち、死亡)を防ぐかどうかを評価した。
3つのグループのマウスを以下に記載するように免疫にした。免疫付与スケジュールの終了後、各グループのマウスにボツリヌス菌の各血清型の102 LD50を腹腔内(i.p.)投与すなわち攻撃した。BoNT/Hcワクチンの防御能を、攻撃後に生存したマウスの割合として測定した。
グループ1は、3つの種類のマウスとした。(a)神経毒素Aによる攻撃の前に最適投薬量のBoNT/Hc/A1価ワクチンで免疫化したマウス(すなわち、図4Aの塗りつぶされた三角)、(b)神経毒素Aで攻撃した非免疫化マウス(すなわち、ナイーブ)(すなわち、図4Aの白抜きの丸)、(c)神経毒素希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を与え、攻撃しなかった陰性対照としてのマウス(すなわち、図4Aの白抜きの四角)。図4Aに示す通り、免疫化したマウスの100%が致死量の神経毒素Aの攻撃後も生存したが、攻撃を受けたナイーブマウスは6時間のうちに死亡した。
グループ2は、3つの種類のマウスとした。(a)神経毒素Bによる攻撃の前に最適投薬量のBoNT/Hc/B1価ワクチンで免疫化したマウス(すなわち、図4Bの塗りつぶされた三角)、(b)神経毒素Bで攻撃した非免疫化マウス(すなわち、ナイーブ)(すなわち、図4Bの白抜きの丸)、(c)神経毒素希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を与え、攻撃しなかった陰性対照としてのマウス(すなわち、図4Bの白抜きの四角)。図4Bに示す通り、免疫化したマウスの100%が致死量の神経毒素Bの攻撃後も生存したが、攻撃を受けたナイーブマウスは24時間のうちに死亡した。
グループ3は、4つの種類のマウスとした。(a)神経毒素A及びBによる攻撃の前に最適投薬量のBoNT/Hc/AB2価ワクチンで免疫化したマウス(すなわち、図4Cの塗りつぶされた三角)、(b)神経毒素Aで攻撃した非免疫化マウス(すなわち、ナイーブ)(すなわち、図4Cの横方向に半分塗りつぶされた丸)、(c)神経毒素Bで攻撃した非免疫化マウス(すなわち、ナイーブ)(すなわち、図4Cの縦方向に半分塗りつぶされた丸)、(d)神経毒素希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を与え、攻撃しなかった陰性対照としてのマウス(すなわち、図4Cの白抜きの四角)。図4Cに示す通り、免疫化したマウスの約75%が致死量の神経毒素A及びBの攻撃後も生存した。神経毒素Aによる攻撃を受けたナイーブマウスは6時間のうちに死亡し、神経毒素Bによる攻撃を受けたナイーブマウスは24時間のうちに死亡した。
上記のデータにより、BoNT/Hc/A1価ワクチン及びBoNT/Hc/B1価ワクチンがそれぞれ致死量の神経毒素A及び神経毒素Bを介する死亡からBalb/cマウスを防御したことが示された。特に、1価ワクチンは、免疫化マウスにおける各神経毒素に対して、100%の防御(すなわち、死亡なし)をもたらした。また、上記のデータにより、BoNT/Hc/AB2価ワクチンが致死量の神経毒素A及びBを介する死亡からBalb/cマウスを防御したことも示された。したがって、当該1価及び2価のワクチンは、免疫化マウスを疾患から防御できた。
実施例5
実施例6〜9の免疫原性試験及び攻撃試験の方法
上記実施例1に記載した図1Aに示す構築物をさらに分析して、これらの構築物による免疫付与の結果として誘導された免疫反応及び神経毒素攻撃に対する防御を評価した。具体的には、以下に記載する図5に示したスキームを用いて、1価ワクチン及び3価ワクチンの構築物を試験した。
1価ワクチン。本試験には、6つのグループのBalb/cマウスを含めた。各グループは、5匹のマウスで構成した。6つのグループを免疫原性試験に用いた。別の6つのグループのマウスをボツリヌス菌由来の神経毒素でマウスを攻撃する試験に用いた。
グループ1のマウスはワクチン投与せず(すなわち、ナイーブまたは対照マウス)、グループ2のマウスはBoNT/Hc/A1価ワクチンを2回投与した。ワクチン投与はそれぞれ、10μgのBoNT/Hc/A構築物を筋肉内投与するもので、ワクチン投与には3週間の間を空けた。
グループ3のマウスはワクチン投与せず(すなわち、ナイーブまたは対照マウス)、グループ4のマウスはBoNT/Hc/B1価ワクチンを2回投与した。ワクチン投与はそれぞれ、10μgのBoNT/Hc/B構築物を筋肉内投与するもので、ワクチン投与には3週間の間を空けた。
グループ5のマウスはワクチン投与せず(すなわち、ナイーブまたは対照マウス)、グループ6のマウスはBoNT/Hc/E1価ワクチンを2回投与した。ワクチン投与はそれぞれ、10μgのBoNT/Hc/E構築物を筋肉内投与するもので、ワクチン投与には3週間の間を空けた。
それぞれのグループについて、各ワクチン投与の前に各マウスから血清を採取した(すなわち、図5の0週及び3週)。免疫原性試験の終了時点で、各屠殺マウスから組織に加えて血清を再び採取した(すなわち、図5の6週(最終免疫付与後3週間))。
神経毒素攻撃試験では、最終免疫付与から4週後に動物を各神経毒素により攻撃した(すなわち、図5の7週)。神経毒素は、腹腔内(i.p.)投与した。攻撃後、中毒の症状、すなわち、身体活動低下、運動機能障害、呼吸困難、弛緩性麻痺及び呼吸不全についてマウスを観察し、それぞれの症状に対して5を最高スコアとする1〜5の臨床スコアを付けた。
具体的には、グループ1及び2の動物は、102 LD50の血清型A由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。グループ3及び4の動物は、102 LD50の血清型B由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。グループ5及び6の動物は、102 LD50の血清型E由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。神経毒素攻撃試験の終了時点(すなわち、図5の8週(攻撃後1週間))で、動物を屠殺した。
3価ワクチン。3価ワクチンは、BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eの構築物の混合物である(図10A)。本試験には、6つのグループのBalb/cマウスを含めた。各グループは、5匹のマウスで構成した。6つのグループを免疫原性試験に用いた。別の6つのグループのマウスをボツリヌス菌由来の神経毒素でマウスを攻撃する試験に用いた。
グループ1、3及び5のマウスはワクチン投与せず(すなわち、ナイーブまたは対照マウス)、グループ2、4及び6のマウスは3価ワクチンを2回投与した。ワクチン投与はそれぞれ、30μgの3価ワクチン(すなわち、10μgのBoNT/Hc/A構築物、10μgのBoNT/Hc/B構築物及び10μgのBoNT/Hc/E構築物)を筋肉内投与するもので、ワクチン投与には3週間の間を空けた。
それぞれのグループについて、各ワクチン投与の前に各マウスから血清を採取した(すなわち、図5の0週及び3週)。免疫原性試験の終了時点で、各屠殺マウスから組織に加えて血清を再び採取した(すなわち、図5の6週(最終免疫付与後3週間))。
神経毒素攻撃試験では、グループ1及び2の動物は、102 LD50の血清型A由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。グループ3及び4の動物は、102 LD50の血清型B由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。グループ5及び6の動物は、102 LD50の血清型E由来の神経毒素を用いてそれぞれ攻撃した。具体的には、最終免疫付与から4週後に動物を各神経毒素により攻撃した(すなわち、図5の7週)。神経毒素は、腹腔内(i.p.)投与した。攻撃後、中毒の症状、すなわち、身体活動低下、運動機能障害、呼吸困難、弛緩性麻痺及び呼吸不全についてマウスを観察し、それぞれの症状に対して5を最高スコアとする1〜5の臨床スコアを付けた。神経毒素攻撃試験の終了時点(すなわち、図5の8週(攻撃後1週間))で、動物を屠殺した。
実施例6
1価ワクチンによって誘導される体液性免疫反応
BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/BまたはBoNT/Hc/Eの構築物を含有する1価ワクチンを用いて、免疫原性試験を実施した。1価ワクチンによる免疫付与は、上記実施例6に記載した図5に示す1価ワクチンの場合と同様に行った。免疫原性試験により、採取した血清中のボツリヌス菌神経毒素に反応する抗体の力価を調べた。
免疫付与後、試験終了時点(すなわち、最終免疫付与後3週間)で採取した血清中の免疫グロブリンG(IgG)の力価を酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した。具体的には、各神経毒素に反応したIgG抗体の力価をELISAで測定した。
図6A、6B及び6Cの各図において、丸は各マウスから採取した血清で測定した力価を示し、横線は各グループの平均力価を示す。図6Aに示すように、BoNT/Hc/A構築物を含有する1価ワクチンを投与したマウスは、ナイーブマウスと比較して、血清型A由来の神経毒素に反応したIgG抗体の力価が高かった。BoNT/Hc/B構築物を含有する1価ワクチンを投与したマウスは、ナイーブマウスと比較して、血清型B由来の神経毒素に反応したIgG抗体の力価が高かった(図6B)。BoNT/Hc/E構築物を含有する1価ワクチンを投与したマウスは、ナイーブマウスと比較して、血清型E由来の神経毒素に反応したIgG抗体の力価が高かった(図6C)。これらのデータから、各1価ワクチンがそれぞれの神経毒素血清型に反応する強い体液性免疫反応を誘導したことが示された。
実施例7
ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する1価ワクチンの防御
BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/BまたはBoNT/Hc/Eの構築物を含有する1価ワクチンを用いて試験を行い、当該1価ワクチンがボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃を防御するかどうかを確認した。1価ワクチンによる免疫付与は、上記実施例6に記載した図5に示す1価ワクチンの場合と同様に行った。攻撃試験では、致死的攻撃に対する生存率ならびに中毒症状、すなわち、身体活動低下、運動機能障害、呼吸困難、弛緩性麻痺及び呼吸不全についての臨床スコアを調べた。
上記実施例6に記載した1価ワクチンの場合と同様に、免疫付与後、グループ1〜6にそれぞれ致死量の神経毒素を投与した。さらに、神経毒素で攻撃しないBalb/cマウスには、対照として、神経毒素の希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を投与し、いかなる影響も希釈液に帰することができるようにした。
図7A、8A及び9Aは、カプラン・マイヤー生存曲線を用いた分析による生存率の結果を示す。図7B、8B及び9Bは、グループ1〜6の各動物についての中毒症状の臨床スコアによる結果を示す。図7A、7B、8A、8B、9A及び9Bに示すデータは、3つの独立した試験の平均結果である。
図7Aに示す通り、BoNT/Hc/A構築物をワクチン投与したマウス(三角)では100%が致死量の血清型A由来の神経毒素による攻撃後も生存したが、ナイーブマウス(四角)では100%が致死量の付与から14時間以内に死亡した。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図7Aの丸)。さらに、ナイーブマウスでは中毒症状のスコアが高かったのに対し、BoNT/Hc/A構築物でワクチン投与したマウスでは中毒の症状がほとんどあるいはまったくみられなかった(図7B)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/A構築物を含有する1価ワクチンによる免疫付与が、中毒の症状をほとんどあるいはまったく伴わずに、ボツリヌス菌血清型A由来の神経毒素に対する完全な防御(すなわち、生存率100%または死亡なし)をもたらすことが示された。
図8Aに示す通り、BoNT/Hc/B構築物をワクチン投与したマウス(三角)では100%が致死量の血清型B由来の神経毒素による攻撃後も生存したが、ナイーブマウス(四角)では100%が致死量の付与から14時間以内に死亡した。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図8Aの丸)。さらに、ナイーブマウスでは中毒症状のスコアが高かったのに対し、BoNT/Hc/B構築物でワクチン投与したマウスでは中毒の症状がほとんどあるいはまったくみられなかった(図8B)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/B構築物を含有する1価ワクチンによる免疫付与が、中毒の症状をほとんどあるいはまったく伴わずに、ボツリヌス菌血清型B由来の神経毒素に対する完全な防御(すなわち、生存率100%または死亡なし)をもたらすことが示された。
図9Aに示す通り、BoNT/Hc/E構築物をワクチン投与したマウス(三角)では100%が致死量の血清型C由来の神経毒素による攻撃後も生存したが、ナイーブマウス(四角)では100%が致死量の付与から14時間以内に死亡した。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図9Aの丸)。さらに、ナイーブマウスでは中毒症状のスコアが高かったのに対し、BoNT/Hc/E構築物でワクチン投与したマウスでは中毒の症状がほとんどあるいはまったくみられなかった(図9B)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/E構築物を含有する1価ワクチンによる免疫付与が、中毒の症状をほとんどあるいはまったく伴わずに、ボツリヌス菌血清型E由来の神経毒素に対する完全な防御(すなわち、生存率100%または死亡なし)をもたらすことが示された。
要するに、BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/BまたはBoNT/Hc/Eの構築物を含有する1価ワクチンは、ボツリヌス菌血清型A、BまたはEのそれぞれに由来する致死量の神経毒素への曝露に対して、100%の生存率をもたらした。
実施例8
3価ワクチンによって誘導される体液性免疫反応
BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eの構築物を含有する3価ワクチンを用いて、免疫原性試験を実施した。3価ワクチンによる免疫付与は、上記実施例6に記載した図5に示す3価ワクチンの場合と同様に行った。免疫原性試験により、採取した血清中のボツリヌス菌神経毒素に反応する抗体の力価を調べた。
免疫付与後、試験終了時点(すなわち、最終免疫付与後3週間)で採取した血清中のIgGの力価をELISAによって測定した。具体的には、血清型A、BまたはEに由来する神経毒素に反応したIgG抗体の力価をELISAで測定した。
図10B、10C及び10Dの各図において、丸は各マウスから採取した血清で測定した力価を示し、横線は各グループの平均力価を示す。図10B、10C及び10Dに示す通り、BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eの構築物を含有する3価ワクチンを投与したマウスでは、血清型A、B及びEに由来する神経毒素に反応したIgG抗体の力価が高かった。これらにより、当該3価ワクチンが神経毒素のサブタイプA、B及びEに反応する強い体液性免疫反応を誘導したことが示された。したがって、当該3価ワクチンは、ボツリヌス菌の複数の血清型、すなわち、血清型A、B及びEに由来する神経毒素に反応する免疫反応を誘導した。
実施例9
ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する3価ワクチンの防御
BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eの構築物を含有する3価ワクチンについてさらに試験し、当該3価ワクチンがボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃を防御するかどうかを確認した。3価ワクチンによる免疫付与は、上記実施例6に記載した図5に示す3価ワクチンの場合と同様に行った。攻撃試験では、致死的攻撃に対する生存率ならびに中毒症状、すなわち、身体活動低下、運動機能障害、呼吸困難、弛緩性麻痺及び呼吸不全についての臨床スコアを調べた。
上記実施例6に記載した3価ワクチンの場合と同様に、免疫付与後、グループ1〜6にボツリヌス菌血清型A、BまたはEに由来する致死量の神経毒素を投与した。さらに、神経毒素で攻撃しないBalb/cマウスには、対照として、神経毒素の希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を投与し、いかなる影響も希釈液に帰することができるようにした。
図11A、11C及び11Eは、カプラン・マイヤー生存曲線を用いた分析による生存率の結果を示す。図11B、11D及び11Fは、グループ1〜6の各動物についての中毒症状の臨床スコアによる結果を示す。
図11A、11C及び11Eに示す通り、3価ワクチンを投与したマウス(すなわち、BoNT/Hc/ABE、三角)では100%が血清型A、B及びEのそれぞれに由来する致死量の神経毒素による攻撃後も生存したが、ナイーブマウス(四角)では100%が致死量の付与から14時間以内に死亡した。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図11A、11C及び11Eの丸)。さらに、ナイーブマウスでは中毒症状のスコアが高かったのに対し、3価ワクチン(すなわち、BoNT/Hc/ABE)を投与したマウスでは中毒の症状がほとんどあるいはまったくみられなかった(図11B、11D及び11F)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eの構築物を含有する3価ワクチンによる免疫付与が、中毒症状をほとんどあるいはまったく伴わずに、ボツリヌス菌血清型A、B及びEに由来する神経毒素に対する完全な防御(すなわち、生存率100%または死亡なし)をもたらすことが示された。さらに、3価ワクチンは、血清型A、B及びEに由来する神経毒素に対して、一様に効果的な防御をもたらした(すなわち、生存率100%)。
実施例10
ボツリヌス菌神経毒素による致死的攻撃に対する1価ワクチンの防御によって誘導された抗体
上記実施例1に記載した図1Aに示す構築物をさらに試験して、1価ワクチンによって中和抗体が誘導されたかどうかを確認した。Balb/cマウスを本試験に用いた。具体的には、ナイーブマウス(すなわち、1価ワクチンを投与しなかったマウス)、BoNT/Hc/A構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウス、BoNT/Hc/B構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウス、及びBoNT/Hc/E構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウスから血清を採取した。その後、血清とそれぞれの神経毒素とを混合した。すなわち、BoNT/Hc/A、BoNT/Hc/B及びBoNT/Hc/Eをワクチン投与したマウスから得た600μlの血清と、ボツリヌス菌血清型A、B及びEに由来する神経毒素102 LD50とをそれぞれ1:1で混合した(図12A)。ナイーブマウスから得た血清は、血清型A、B及びEに由来する神経毒素と個別に1:1で混合した。血清−毒素混合物を摂氏37度で1時間インキュベートした。
その後、200μlの血清−毒素混合物の各々をナイーブマウス(すなわち、1価ワクチンを投与しなかったマウス)の各グループに腹腔内(i.p.)投与した。各グループは、マウス5匹とした。生存率ならびに疾患(すなわち、中毒)の臨床症状、すなわち、呼吸不全、弛緩性麻痺、呼吸困難、運動機能障害及び身体活動低下について、マウスを7日間観察した。具体的には、臨床症状ごとに5を最高スコアとする1〜5のスコアを付けた。さらに、対照として、血清−毒素混合物の代わりに神経毒素の希釈液(すなわち、Gel−NaH2PO4)を投与した別グループのマウスを試験に含め、いかなる影響も希釈液に帰することができるようにした。
図12B、12C及び12Dは、カプラン・マイヤー生存曲線を用いた生存率の結果を示す。図12E、12F及び12Gは、マウスごとの疾患症状に関する臨床スコアの結果を示す。
血清型A由来の神経毒素とBoNT/Hc/A構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウスから得た血清との混合物を与えたマウスの100%が生存した(図12Bの三角)。これらのマウスは、中毒の症状をほとんどあるいはまったく示さなかった(図12E)。対照的に、血清型A由来の神経毒素とナイーブマウスから得た血清との混合物を与えたマウスでは、100%が混合物付与後6時間以内に死亡した(図12Bの四角)。これらのマウスはまた、中毒症状のスコアが高かった(図12E)。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図12B)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/A構築物で免疫付与したマウスから得た血清中に存在する抗体が血清型A由来の神経毒素を中和し、これにより動物が神経毒素による攻撃後も生存できたことが示された。このように、BoNT/Hc/A構築物を含有する1価ワクチンは、高い力価の抗体を誘導し(上記実施例6及び図6Aに記載した通り)、これらの抗体が血清型A由来の神経毒素を中和した。この1価ワクチンは、神経毒素に反応する中和抗体を誘導する強い体液性免疫反応の誘導を介して、ボツリヌス菌血清型Aに由来する致死量の神経毒素に対する生存をもたらした。
血清型B由来の神経毒素とBoNT/Hc/B構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウスから得た血清との混合物を与えたマウスの100%が生存した(図12Cの三角)。これらのマウスは、中毒の症状をほとんどあるいはまったく示さなかった(図12F)。対照的に、血清型B由来の神経毒素とナイーブマウスから得た血清との混合物を与えたマウスでは、100%が混合物付与後6時間以内に死亡した(図12Cの四角)。これらのマウスはまた、中毒症状のスコアが高かった(図12F)。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図12C)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/B構築物で免疫付与したマウスから得た血清中に存在する抗体が血清型B由来の神経毒素を中和し、これにより動物が神経毒素による攻撃後も生存できたことが示された。このように、BoNT/Hc/B構築物を含有する1価ワクチンは、高い力価の抗体を誘導し(上記実施例6及び図6Bに記載した通り)、これらの抗体が血清型B由来の神経毒素を中和した。この1価ワクチンは、神経毒素に反応する中和抗体を誘導する強い体液性免疫反応の誘導を介して、ボツリヌス菌血清型Bに由来する致死量の神経毒素に対する生存をもたらした。
血清型E由来の神経毒素とBoNT/Hc/E構築物を含有する1価ワクチンで免疫付与したマウスから得た血清との混合物を与えたマウスの100%が生存した(図12Dの三角)。これらのマウスは、中毒の症状をほとんどあるいはまったく示さなかった(図12G)。対照的に、血清型A由来の神経毒素とナイーブマウスから得た血清との混合物を与えたマウスでは、100%が混合物付与後6時間以内に死亡した(図12Dの四角)。これらのマウスはまた、中毒症状のスコアが高かった(図12G)。希釈液を与えたマウスも100%が実験後も生存した。これは、希釈液が生存に影響を与えなかったことを示している(図12D)。したがって、これらのデータから、BoNT/Hc/E構築物で免疫付与したマウスから得た血清中に存在する抗体が血清型E由来の神経毒素を中和し、これにより動物が神経毒素による攻撃後も生存できたことが示された。このように、BoNT/Hc/E構築物を含有する1価ワクチンは、高い力価の抗体を誘導し(上記実施例6及び図6Cに記載した通り)、これらの抗体が血清型E由来の神経毒素を中和した。この1価ワクチンは、神経毒素に反応する中和抗体を誘導する強い体液性免疫反応の誘導を介して、ボツリヌス菌血清型Eに由来する致死量の神経毒素に対する生存をもたらした。
要するに、上記実施例におけるデータにより、当該ワクチンがボツリヌス菌由来の神経毒素に反応する高い力価の抗体を誘導し、これらの抗体が神経毒素を中和することによって、中毒症状をほとんどあるいはまったく伴わずに、致死量の神経毒素に対する著しい防御(すなわち、75〜100%の生存率)をもたらすことが示された。さらに、2価及び3価のワクチンも同じく、ボツリヌス菌の異なる血清型に由来する神経毒素に対する著しい防御(すなわち、それぞれ75%と100%の生存率)をもたらした。
前述の詳細な説明及び添付の実施例は単に例証であり、添付された特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲の限定としてみなすべきではないことが理解される。
開示された実施形態に対する、様々な変更及び修正は当業者に明白であろう。そのような変更及び修正は、本発明の化学構造、代替物、派生物、中間体、合成物、製剤及び/または使用の方法に関するものを限定することなく含み、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。