JP6522910B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、建築物等の合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、サーモクロミック性に優れ、かつ、見るものに不快な印象を与えず、美観に優れる合わせガラス用中間膜、並びに、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
二酸化バナジウム又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部を他の原子で置換した置換二酸化バナジウムは、特定の温度以上になると半導体から金属に相転移し、赤外線透過率を大きく減少させるサーモクロミック特性を有することが広く知られている(例えば、特許文献1)。即ち、例えばガラス上に二酸化バナジウム膜を形成すると、相転移温度未満では可視光線及び赤外線の透過率が高いが、相転移温度以上になると可視光線の透過率が高い状態で、赤外線の透過率が低下する性質を示す。
従来、二酸化バナジウムが有するサーモクロミック特性を利用した合わせガラス用中間膜の製造が試みられてきた(例えば、特許文献2)。
合わせガラス用中間膜中に二酸化バナジウムを微分散させることにより、二酸化バナジウムの相転移温度未満では可視光線及び赤外線の透過率が高いが、相転移温度以上になると可視光線の透過率が高い状態で、赤外線の透過率が低下する性質を示す合わせガラス用中間膜が得られることが期待される。
特開2000−233929号公報 特開2004−346260号公報
しかしながら、特許文献2に記載のようなサーモクロミック性を有する合わせガラス用中間膜では、微分散された二酸化バナジウム粒子が、400nmから500nmの波長領域の吸収は、それ以外の波長領域に比較して大きいため、このような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、黄緑みがかった色調を呈するという問題があった。そして、この黄緑みがかかった色調は、見るものに不快な印象を与え、該合わせガラスの美観を損ねていた。
本発明は、サーモクロミック性に優れ、かつ、見るものに不快な印象を与えず、美観に優れる合わせガラス用中間膜、並びに、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、サーモクロミック層と、色調補正樹脂層とを有し、前記サーモクロミック層は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子を含有し、前記色調補正樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有し、かつ、前記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色されており、更に、紫外線遮蔽層が積層されており、紫外線遮蔽剤を含有する合わせガラス用中間膜である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック層に加えて、サーモクロミック層の色調を補正するための色調補正樹脂層を有することで、優れたサーモクロミック性を有し、かつ、見るものに不快な印象を与える色調を生じさせることなく、美観に優れる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスとすることができることを見出し、本発明を完成した。
図1は、本発明の合わせガラス用中間膜の一例を模式的に示す部分切欠断面図である。
図1に示す中間膜1は、サーモクロミック層2と、サーモクロミック層2の一方の表面2a(第1の表面)側に配置された色調補正樹脂層3と、サーモクロミック層2の他方の表面2b(第2の表面)側に配置された紫外線遮蔽層4とを有する。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。なお、本発明において、紫外線遮蔽層4は必須の構成要件ではない。
サーモクロミック層2は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子5とを含有する。
色調補正樹脂層3は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有し、かつ、二酸化バナジウム粒子5の色調と補色に調色されている。これにより、色調補正樹脂層3は、サーモクロミック層2の不快な印象を与える色調を補正して、美観に優れる外観とすることが可能となる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック層を有する。
サーモクロミック層が、熱可塑性樹脂と二酸化バナジウム粒子とを含有することにより、サーモクロミック層として二酸化バナジウム薄膜を用いて作製された合わせガラスなどに比較して、美観及びサーモクロミック性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスが得られる。これは、以下のような理由によると推察される。
従来の二酸化バナジウム薄膜は、スパッタ等を用いて作製されるため、V等の不純物が生じやすく、不純物の色が混じりやすいという問題があった。二酸化バナジウムにVが混ざった場合は、黒色に近い色を呈することとなり、補色することが困難であった。また、Vが混ざることで、サーモクロミック性も低下するという問題もあった。
一方、本発明に係る合わせガラス用中間膜のサーモクロミック層は、熱可塑性樹脂と二酸化バナジウム粒子とを含有するため、用いる二酸化バナジウム粒子を適宜選択することで、サーモクロミック層の色目及びサーモクロミック性を調節することができ、美観及びサーモクロミック性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスが得られる。例えば、二酸化バナジウム粒子の色に、Vの色が混ざることが好ましくなければ、Vを含有しないか、或いは、Vの含有量が少ない二酸化バナジウム粒子を原料として用いることができ、逆に、意図的に二酸化バナジウム粒子の色に、Vの色を混ざった粒子を原料として用いることも出来る。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
なかでも、上記熱可塑性樹脂は、汎用性が高いことから、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、サーモクロミック層と色調補正樹脂層との密着性を高める観点からは、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
また、サーモクロミック層の長期安定性を高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等の他の熱可塑性樹脂に比較して、サーモクロミック層が含有する二酸化バナジウム粒子の劣化を抑制することができ、サーモクロミック層の長期安定性をより一層高めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に80〜99.8モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、より好ましい下限は500、好ましい上限は3,000、より好ましい上限は2,500である。上記重合度が200以上であることで、合わせガラスの耐貫通性を向上させることができる。上記重合度が3,000以下であることで、合わせガラス用中間膜の成形性が良好となる。
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層に対するサーモクロミック層の接着力をより一層高める観点から、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、15〜40モル%の範囲内であることが好ましい。上記水酸基の含有率のより好ましい下限は18モル%、より好ましい上限は35モル%であり、更に好ましい上限は30モル%以下であり、特に好ましい上限は24モル%以下である。上記水酸基が15モル%以上であると、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層に対するサーモクロミック層の接着力を高めることができる。また、上記水酸基が40モル%以下であると、合わせガラス用中間膜の柔軟性が高まり、取扱いが良好となり、また、二酸化バナジウム粒子を分散させた場合の二酸化バナジウム粒子の長期安定性がより一層高まる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.3モル%、さらに好ましい下限は0.5モル%、特に好ましい下限は1モル%、最も好ましい下限は5モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は25モル%、さらに好ましい上限は20モル%である。
上記アセチル化度が0.1モル%以上であると、上記ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性を高めることができ、また、二酸化バナジウム粒子を分散させた場合の二酸化バナジウム粒子の長期安定性がより一層高まる。上記アセチル化度が30モル%以下であると、中間膜の耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)の好ましい下限は60モル%、より好ましい下限は63モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は75モル%、さらに好ましい上限は70モル%である。
上記アセタール化度が60モル%以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなり、また、二酸化バナジウム粒子を分散させた場合の二酸化バナジウム粒子の長期安定性がより一層高まる。上記アセタール化度が85モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間を短縮することができる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル化度(アセチル基量)と水酸基の含有率(ビニルアルコール量)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、ついで、100モル%からアセチル化度と水酸基の含有率とを差し引くことにより算出され得る。
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度(アセチル基量)は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアルキレンナフタレート樹脂等が挙げられる。上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。なかでも、化学的に安定であり、且つ、二酸化バナジウム粒子を分散させた場合の二酸化バナジウム粒子の長期安定性がより一層高まることから、上記ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
上記ポリアルキレンナフタレート樹脂としては、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
上記サーモクロミック層は、二酸化バナジウム粒子を含有する。
上記二酸化バナジウム粒子は、サーモクロミック特性を有することから、本発明の合わせガラス用中間膜や合わせガラスに優れたサーモクロミック性を付与することができる。
即ち、可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質にいったん吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記二酸化バナジウム粒子の使用により、上記二酸化バナジウムの相転移温度以上の条件で、赤外線(熱線)を効果的に遮断でき、上記二酸化バナジウムの相転移温度未満の条件で、赤外線(熱線)を効果的に透過できる。
上記二酸化バナジウム粒子は、純度100%の二酸化バナジウム粒子であってもよく、又は、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をバナジウム以外の金属原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子であってもよい。
また、上記二酸化バナジウム粒子は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、V、V及びVO等の二酸化バナジウム以外のバナジウム酸化物を含んでいても良い。上記二酸化バナジウム以外のバナジウム酸化物の含有量は、XRD測定を行い、リートベルト解析を行うことによって、二酸化バナジウムの含有量をモル%で求め、100モル%から求めた二酸化バナジウムの含有量を引くことにより、求めることができる。上記二酸化バナジウム以外のバナジウム酸化物の含有量は、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0%、すなわち含有しないことが更に好ましい。上記二酸化バナジウム以外のバナジウム酸化物の含有量が、上記好ましい範囲であれば、補色が容易となることから、美観及びサーモクロミック性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスが得られる。
上記置換二酸化バナジウム粒子において、上記バナジウム以外の金属原子としては、特に限定されないが、例えば、タングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタル等が挙げられる。上記バナジウム以外の金属原子は、タングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、単斜晶結晶と正方晶結晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。その相転移温度は約68℃である。上記相転移温度は、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をバナジウム以外の金属原子で置換することにより調整することができる。従って、二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子を適宜選択したり、置換二酸化バナジウム粒子において置換する原子種や置換率を適宜選択したりすることにより、得られる合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性を制御することができる。
上記置換二酸化バナジウム粒子を用いる場合、金属原子の置換率の好ましい下限は0.1原子%、好ましい上限は10原子%である。置換率が0.1原子%以上であると、上記置換二酸化バナジウム粒子の相転移温度を容易に調整することができ、10原子%以下であると、優れたサーモクロミック性を得ることができる。
なお、置換率とは、バナジウム原子数と置換された原子数との合計に占める、置換された原子数の割合を百分率で示した値である。
上記二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子は、実質的に二酸化バナジウム又は置換二酸化バナジウムのみで構成された粒子であってもよく、コア粒子の表面に二酸化バナジウム又は置換二酸化バナジウムが付着した粒子であってもよい。
上記コア粒子として、例えば、酸化ケイ素、シリカゲル、酸化チタン、ガラス、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト化合物、ハイドロタルサイト化合物の焼成物、及び、炭酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。
上記二酸化バナジウム粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.01μm、より好ましい下限は0.02μm、好ましい上限は100μm、より好ましい上限は0.1μmである。上記平均粒子径が上記好ましい下限以上であれば、サーモクロミック性を充分に高めることができる。平均粒子径が上記好ましい上限以下であれば、二酸化バナジウム粒子の分散性を高めることができる。
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
上記サーモクロミック層における上記二酸化バナジウム粒子の含有量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、上記二酸化バナジウム粒子の含有量の好ましい下限は0.01質量部、より好ましい下限は0.1質量部、好ましい上限は3質量部、より好ましい上限は2質量部である。上記サーモクロミック層における二酸化バナジウム粒子の含有量が上記好ましい範囲内であると、サーモクロミック性を充分に高めることができる。
また、上記サーモクロミック層100質量%中、二酸化バナジウム粒子の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3.5質量%以下、最も好ましくは3.0質量%以下である。上記サーモクロミック層における二酸化バナジウム粒子の含有量が上記好ましい範囲内であると、サーモクロミック性を充分に高めることができる。
上記サーモクロミック層は、上記二酸化バナジウム粒子の分散性を向上させる目的で、グリセリンエステル、ポリカルボン酸等の分散剤を含有してもよい。
上記グリセリンエステルは特に限定されず、例えば、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンデカステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンジステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセロールモノステアレート、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリンペンタオレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、グリセロールモノオレエート、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、カプリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ミリスチン酸トリグリセライド、デカグリセリンモノカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリル酸エステル、カプリル酸トリグリセライド、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンヘプタベヘニン酸エステル、デカグリセリンドデカベヘニン酸エステル、ポリグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル、テトラグリセリン縮合リシノール酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
上記グリセリンエステルのうち市販品としては、例えば、SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業社製、縮合リシノール酸ポリグリセリン酸エステル)、SYグリスターPO−5S(阪本薬品工業社製、オレイン酸ヘキサグリセリンペンタエステル)等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸は特に限定されず、例えば、主鎖骨格にカルボキシル基を有するポリマーにポリオキシアルキレンをグラフトしたポリカルボン酸重合体等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸のうち市販品としては、例えば、日油社製マリアリムシリーズ(AFB−0561、AKM−0531、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851、AKM−1511−60等)等が挙げられる。
サーモクロミック層における上記分散剤の含有量は、サーモクロミック層が含有する上記二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、好ましい下限は1質量部、好ましい上限は10000質量部、より好ましい下限は10質量部、より好ましい上限は1000質量部、更に好ましい下限は30質量部、更に好ましい上限は300質量部である。上記分散剤の含有量が上記下限以上であると、上記二酸化バナジウム粒子の分散性が向上するため、サーモクロミック層の透明性が向上し、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記分散剤の含有量が上記上限以下であると、上記分散剤の析出を抑制できるため、サーモクロミック層の透明性が向上し、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、色調補正樹脂層を有する。
上記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色された色調補正樹脂層は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック層が呈する黄緑色の色調に対して補色となる紫色を有することが好ましい。例えば、色調補正樹脂層に着色剤として、青色着色剤と赤色着色剤とを添加することや、紫色着色剤を添加することで、上記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色することができる。また、上記サーモクロミック層は、着色剤を含有していても良い。
上記青色着色剤としては、例えば、フタロシアニン系青色着色剤、インダンスレン系青色着色剤、アンスラキノン系青色着色剤等が挙げられ、上記赤色着色剤としては、例えば、ペリレン系赤色着色剤、アンスラキノン系赤色着色剤等が挙げられ、上記紫色着色剤としては、例えば、ジオキサジン系紫色着色剤、アンスラキノン系紫色着色剤、ジクロロキナクリドン系紫色着色剤等が挙げられる。
上記色調補正樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する。上記ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体は、色調補正樹脂層とサーモクロミック層との密着性向上の観点から好ましい。
上記二酸化バナジウム粒子の色調に対して補色となる着色剤の配合量としては、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.0005〜0.05質量部が好ましい。配合量が0.0005質量部以上であると、補色作用が充分に発揮することができ、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの美観を向上させることが可能となる。配合量が0.05質量部以下であると、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの透明性が向上し、ヘイズ値を低下させることができる。
青色着色剤と赤色着色剤とを添加することで、二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色する場合、本発明に係る合わせガラス用中間膜が含有する二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、青色着色剤の含有量が10〜1000質量部であり、赤色着色剤の含有量が10〜1000質量部であることが好ましい。青色着色剤及び赤色着色剤の含有量が、上記好ましい下限以上であると、補色作用を充分に発揮することができ、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの美観を向上させることが可能となる。青色着色剤及び赤色着色剤の含有量が、上記好ましい上限以下であると、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの透明性が向上し、ヘイズ値を低下させることができる。
紫色着色剤を添加することで、二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色する場合、本発明に係る合わせガラス用中間膜が含有する二酸化バナジウム粒子100質量部に対して、紫色着色剤の含有量が10〜1000質量部であることが好ましい。紫色着色剤の含有量が、上記好ましい下限以上であると、補色作用を充分に発揮することができ、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの美観を向上させることが可能となる。紫色着色剤の含有量が、上記好ましい上限以下であると、得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの透明性が向上し、ヘイズ値を低下させることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、更に、紫外線遮蔽層が積層されていることが好ましい。
上記紫外線遮蔽層が積層されていることで、紫外線の透過が効果的に抑制され、上記サーモクロミック層のサーモクロミック性が低下することを防止できる。その結果、優れたサーモクロミック性を長期間にわたり維持することができる。
上記紫外線遮蔽層は、紫外線遮蔽剤を含有することが好ましい。上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。従来広く知られている一般的な紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤、金属酸化物系紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤、ベンゾエート系紫外線遮蔽剤、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤及びシュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤等が挙げられる。
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。紫外線遮蔽剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤として、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等のベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤はハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製、「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製、「tinuvin120」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、例えば、マロン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル(クラリアントジャパン社製、Hostavin PR−25)等が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−エチル2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製、Sanduvor V SU)等が挙げられる。
本発明では、上記サーモクロミック層が紫外線遮蔽剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。サーモクロミック性の長期安定性をより一層高める観点からは、上記サーモクロミック層は、紫外線遮蔽剤を含有することが好ましい。
上記紫外線遮蔽層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、上記サーモクロミック層と同様のものを使用することができる。なお、上記紫外線遮蔽層に使用される熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
上記サーモクロミック層及び紫外線遮蔽層における紫外線遮蔽剤の含有量は特に限定されない。初期及び経時後のサーモクロミック性をより一層高める観点からは、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、紫外線遮蔽剤の含有量の好ましい下限は0.2質量部、より好ましい下限は0.4質量部、さらに好ましい下限は0.5質量部、好ましい上限は3質量部、より好ましい上限は2.5質量部、さらに好ましい上限は1質量部である。
初期及び経時後のサーモクロミック性をより一層高める観点からは、紫外線遮蔽層100質量%中、紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下である。特に、紫外線遮蔽層100質量%中、紫外線遮蔽剤の含有量が0.2質量%以上であることにより、合わせガラスの経時後のサーモクロミック性の低下を顕著に抑制できる。
初期及び経時後のサーモクロミック性をより一層高める観点からは、サーモクロミック層100質量%中、紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下である。特に、サーモクロミック層100質量%中、紫外線遮蔽剤の含有量が0.3質量%以上であることにより、合わせガラスの経時後のサーモクロミック性の低下を顕著に抑制できる。
本発明では、各層の接着力をより一層高める観点から、サーモクロミック層、色調補正樹脂層、紫外線遮蔽層には、可塑剤を含有することが好ましい。サーモクロミック層に含まれている熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合は、特に可塑剤を含むことが好ましい。
上記可塑剤としては特に限定されず、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも一種であることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
上記サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層における上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、上記可塑剤の含有量の好ましい下限は25質量部、より好ましい下限は30質量部、好ましい上限は80質量部、より好ましい上限は60質量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、合わせガラス用中間膜の透明性をより一層高めることができる。
上記サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層における上記可塑剤の含有量はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層の内の少なくとも一層の上記可塑剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して55質量部以上である場合、合わせガラスの遮音性を高めることができる。
上記サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層は、それぞれ、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層とは異なる他の層をさらに備えていてもよい。さらに、上記サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層の各層間に、サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層とは異なる他の層が挟み込まれていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜の厚みは特に限定されない。上記合わせガラス用中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、該合わせガラス用中間膜の厚みは、サーモクロミック層、色調補正樹脂層及び紫外線遮蔽層の合計の厚みを示す。実用面の観点、並びにサーモクロミック性を充分に高める観点からは、本発明の合わせガラス用中間膜の厚みの好ましい下限は0.1mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。上記中間膜の厚みが薄すぎると、合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向がある。
実用面の観点、並びにサーモクロミック性を充分に高める観点からは、サーモクロミック層の厚みの好ましい下限は0.001mm、より好ましい下限は0.05mm、好ましい上限は0.8mm、より好ましい上限は0.6mmである。
また、実用面の観点、並びに美観を高める観点からは、色調補正樹脂層の厚みの好ましい下限は0.01mm、より好ましい下限は0.05mm、好ましい上限は0.8mm、より好ましい上限は0.6mmである。
更に、実用面の観点、並びに長期間にわたりサーモクロミック性を充分に維持する観点からは、紫外線遮蔽層の厚みの好ましい下限は0.001mm、より好ましい下限は0.2mm、好ましい上限は0.8mm、より好ましい上限は0.6mmである。
本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法は特に限定されない。例えば、サーモクロミック層及び色調補正樹脂層、必要に応じて紫外線遮蔽層を個別に製造した後、積層及びプレスする事によって本発明の合わせガラス用中間膜を製造することができる。他にも、サーモクロミック層を形成するための組成物、色調補正樹脂層を形成するための組成物及び紫外線遮蔽層を形成するための組成物を作製後、共押出することによって本発明の合わせガラス用中間膜を製造することができる。
上記サーモクロミック層の製造方法としては、熱可塑性樹脂及び二酸化バナジウム粒子と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によってサーモクロミック層を製造する方法や、二酸化バナジウム粒子を分散させた分散液と、熱可塑性樹脂と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によってサーモクロミック層を製造する方法が挙げられる。上記混合物を作製する方法として、ビーズミル、ミキシングロール、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。
上記分散液は、上記二酸化バナジウム粒子、上記分散剤及び有機溶媒を含有することが好ましい。上記分散液中における上記二酸化バナジウム粒子の体積平均粒子径の好ましい上限は100μmである。上記体積平均粒子径が100μm以下であると、透明性に優れる合わせガラス用中間膜を製造することができる。上記体積平均粒子径のより好ましい上限は10μmである。上記体積平均粒子径の下限については特に限定されないが、実質的には10nmが限界であると考えられる。なお、本明細書において上記体積平均粒子径とは、粒子をある粒子径から2つに分けたときに、大きい側と小さい側が等量となる粒子径のことを意味する。
上記色調補正樹脂層の製造方法としては、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体と、上記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色するための着色剤との混合物を、押出又はプレスする事によって色調補正樹脂層を製造する方法や、着色剤を分散させた分散液と、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によって色調補正樹脂層を製造する方法が挙げられる。
上記紫外線遮蔽層の製造方法としては、熱可塑性樹脂及び紫外線遮蔽剤と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によって紫外線遮蔽層を製造する方法や、紫外線遮蔽剤を分散させた分散液と、熱可塑性樹脂と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によって紫外線遮蔽層を製造する方法が挙げられる。
別の態様の本発明は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子を含有し、かつ、前記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色されている色調補正サーモクロミック層を有し、更に、紫外線遮蔽剤を含有する合わせガラス用中間膜である。この場合の二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色する方法として、例えば、色調補正サーモクロミック層に着色剤として、青色着色剤と赤色着色剤とを添加することや、紫色着色剤を添加することで、上記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色することができる。
別の態様の本発明では、このような色調補正サーモクロミック層を有することで、単層であっても、美観に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得ることができる。
なお、別の態様の本発明における熱可塑性樹脂、二酸化バナジウム粒子としては、本発明の合わせガラス用中間膜と同様のものを使用することができる。また、紫外線遮蔽層の構成や、可塑剤、分散剤等についても本発明の合わせガラス用中間膜と同様のものを使用することができる。
別の態様の本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法として、例えば、上記色調補正サーモクロミック層の製造方法としては、熱可塑性樹脂、二酸化バナジウム粒子、上記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色するための着色剤と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によって色調補正サーモクロミック層を製造する方法や、二酸化バナジウム粒子を分散させた分散液と、熱可塑性樹脂、着色剤と必要に応じて配合する添加剤との混合物を、押出又はプレスする事によってサーモクロミック層を製造する方法が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、合わせガラスを得るために用いられる。例えば、合わせガラス部材の間に、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持することで合わせガラスが得られる。
図2に、本発明の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す部分切欠断面図である。
図2に示す合わせガラス11は、中間膜1と、合わせガラス部材12、13とを備える。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、合わせガラス部材12、13の間に挟み込まれている。従って、合わせガラス11は、合わせガラス部材12と、中間膜1と、合わせガラス部材13とがこの順で積層されて構成されている。合わせガラス部材12は、色調補正樹脂層3の外側の表面3aに積層されている。合わせガラス部材13は、紫外線遮蔽層4の外側の表面4aに積層されている。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板含有積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。サーモクロミック性が高いことから、上記無機ガラスは熱線吸収板ガラスであることが好ましい。なお、熱線吸収板ガラスに関しては、JIS R3208に規定されている。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜を、JIS R3202に準拠した、厚さ2mmの2枚のフロートガラスの間に挟み込むことにより得られた合わせガラスの可視光線透過率は20%以上であることが好ましい。
本発明の合わせガラスの100℃における赤外線透過率は、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下である。合わせガラスの赤外線透過率は、JIS R3106(1998)に準拠して測定できる。本発明の合わせガラス用中間膜を、JIS R3202に準拠した、厚さ2mmの2枚のフロートガラスの間に挟み込むことにより得られた合わせガラスの100℃における赤外線透過率は70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
本発明の合わせガラスのヘイズ値は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。本発明の合わせガラス用中間膜は、サーモクロミック層と色調補正樹脂層とを有するため、合わせガラスのヘイズ値を低くすることができる。合わせガラスのヘイズ値は、JIS K6714に準拠して測定できる。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、一対の合わせガラス部材の間に、本発明の合わせガラス用中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、一対の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
本発明の合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。サーモクロミック性が高く、赤外線透過率が低いので、本発明の合わせガラスは、建築物に好適に用いられる。
本発明によれば、サーモクロミック性に優れ、かつ、見るものに不快な印象を与えず、美観に優れる合わせガラス用中間膜、並びに、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することができる。
図1は、本発明の合わせガラス用中間膜の一例を模式的に示す部分切欠断面図である。 図2は、本発明の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す部分切欠断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)サーモクロミック層の作製
二酸化バナジウム粒子(新興化学工業社製、平均粒子径77μm)0.1質量部、分散剤としてポリカルボン酸(AFB−0561、日油社製)0.5質量部を、可塑剤である28質量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)中に添加し、水平型のマイクロビーズミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液を得た。分散液中の二酸化バナジウム粒子の体積平均粒子径は132nmであった。なお、上記二酸化バナジウム粒子分散液に添加する前の二酸化バナジウム粒子について、放射光施設内でXRD測定(波長0.5Å、露光時間10分間)を行い、得られたXRDパターンについて解析ソフト(リガク社製PDXL)を用いてリートベルト解析することによって、上記二酸化バナジウム粒子中の二酸化バナジウムの含有量を算出した。上記二酸化バナジウム粒子中の二酸化バナジウムの含有量は100モル%であり、上記二酸化バナジウム以外のバナジウム酸化物の含有量は0モル%であった。
得られた二酸化バナジウム粒子分散液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68.5モル%)72質量部に加え、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ100μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ100μmのサーモクロミック層を得た。
(2)色調補正樹脂層の作製
ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100質量部に、可塑剤である40質量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)と、上記サーモクロミック層が含有する二酸化バナジウム粒子の黄緑みがかった色と補色となる色調に調整するための着色剤として、青色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−5A1083N」)0.15質量部と赤色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−100N」)0.04質量部を加え、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、ポリテトラフルオロエチレンシートに挟み、厚さ380μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ380μmの色調補正樹脂層を得た。
(3)紫外線遮蔽層の作製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40質量部に、紫外線遮蔽剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、Tinuvin326)0.1質量部を溶解して溶液を調製した。得られた溶液の全量と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100質量部とをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレンシートに挟み、厚さ380μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ380μmの紫外線遮蔽層を得た。
(4)合わせガラス用中間膜の作製
色調補正樹脂層/サーモクロミック層/紫外線遮蔽層の順に厚み方向に重ね、150℃で5分間プレスすることにより3層構造を有する厚み860μmの合わせガラス用中間膜を得た。
(5)合わせガラスの作製
得られた中間膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切断した。次に、JIS R3202に準拠した2枚のフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚み2mm)を用意した。この2枚のフロートガラスの間に、得られた中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、合わせガラスを得た。
参考例2)
紫外線遮蔽層を用いず、色調補正樹脂層/サーモクロミック層の順に厚み方向に重ね、150℃で5分間プレスすることにより2層構造を有する厚み480μmの合わせガラス用中間膜を作製したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(実施例3)
実施例1の「(1)サーモクロミック層の作製」において、二酸化バナジウム粒子(新興化学工業社製)に代えて、タングステン置換型二酸化バナジウム粒子((WO)2原子%(VO)98原子%、NanoAmor社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(実施例4)
(1)サーモクロミック層の作製
ポリエチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.1質量部の二酸化バナジウム粒子を添加し、樹脂を溶融混練して二酸化バナジウム粒子を樹脂中に均一に分散させた。得られた混練物をT型ダイを備えた溶融押出機を用いて押出し、厚さ100μmのサーモクロミック層を得た。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
得られたサーモクロミック層を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(実施例5)
実施例4の「(1)サーモクロミック層の作製」において、二酸化バナジウム粒子(新興化学工業社製)に代えて、タングステン置換型二酸化バナジウム粒子((WO)2原子%(VO)98原子%、NanoAmor社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
参考例6)
(1)サーモクロミック層の製造
二酸化バナジウム粒子(新興化学工業株式会社製、平均粒子径77μm)0.1質量部、分散剤としてポリカルボン酸(AFB−0561、日油社製)0.5質量部、青色着色剤として青色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−5A1083N」)0.15質量部、赤色着色剤として赤色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−100N」)0.04質量部を加え、28質量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)中に添加し、ビーズミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液を得た。
得られた二酸化バナジウム粒子分散液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)72質量部に加え、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、ポリテトラフルオロエチレンシートに挟み、厚さ100μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ100μmのサーモクロミック層を得た。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの作製
得られたサーモクロミック層を合わせガラス用中間膜として用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
(実施例7)
実施例1の「(1)サーモクロミック層の作製」において、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)を、ポリビニルブチラール樹脂(PVB2)(平均重合度2300、水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、ブチラール化度65モル%)に変更した以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(実施例8)
実施例1の「(1)サーモクロミック層の作製」において、ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)を、ポリビニルブチラール樹脂(PVB2)に変更し、二酸化バナジウム粒子(新興化学工業社製)に代えて、タングステン置換型二酸化バナジウム粒子((WO)2原子%(VO)98原子%、NanoAmor社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例1)
実施例1の「(2)色調補正樹脂層の作製」において、青色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−5A1083N」)、及び、赤色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−100N」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例2)
実施例1の「(2)色調補正樹脂層の作製」において、赤色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−100N」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例3)
実施例1の「(2)色調補正樹脂層の作製」において、青色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−5A1083N」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例4)
実施例4において、赤色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−100N」)を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例5)
実施例4において、青色の顔料トナー(住化カラー社製の商品名「SG−5A1083N」)を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
(評価方法)
得られた合わせガラスの性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
(1)赤外線透過率(Tir(780〜2500nm))の測定
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製「V−670」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、実施例1、3〜5、7、8、参考例2、6及び比較例1〜5で得られた合わせガラスの10℃及び100℃における波長780〜2500nmでの赤外線透過率Tirを求めた。
(2)外観評価(可視光線透過率の差)
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠した方法で、実施例1、3〜5、7、8、参考例2、6及び比較例1〜5で得られた合わせガラスの「波長480nmの透過率Tb」、「波長530nmの透過率Tg」及び「波長680nmの透過率Tr」を測定した。次いで、得られた測定値から「TbとTgの差」、「TgとTrの差」及び「TbとTrの差」を算出した。「TbとTgの差」、「TgとTrの差」及び「TbとTrの差」の絶対値が、それぞれ10未満である場合を○、10以上である場合を×と評価した。
(3)外観評価
試験者の顔面より1000mmの距離に、視線が合わせガラスの面に直交するように実施例1、3〜5、7、8、参考例2、6及び比較例1〜5で得られた合わせガラスを配置した状態で、試験者が試験者から25mの距離にある光源を5秒間観測した。上記光源として、高圧水銀灯(日本技術センター製、S−LIGHT SA160)を使用した。また、実施例1、3〜5、7、8、参考例2、6及び比較例1〜5で得られた合わせガラスの場合、色調補正樹脂層が試験者の手前側に来るように配置した。20人の試験者が観察し、不快な印象を受ける人の人数によって、外観を下記に示す基準で評価した。
○ 不快な印象を受ける人が6人以下
× 不快な印象を受ける人が7人以上
Figure 0006522910
本発明によれば、サーモクロミック性に優れ、かつ、見るものに不快な印象を与えず、美観に優れる合わせガラス用中間膜、並びに、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することができる。
1…合わせガラス用中間膜
2…サーモクロミック層
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…色調補正樹脂層
3a…外側の表面
4…紫外線遮蔽層
4a…外側の表面
5…二酸化バナジウム粒子
11…合わせガラス
12…合わせガラス部材
13…合わせガラス部材

Claims (7)

  1. サーモクロミック層と、色調補正樹脂層とを有し、
    前記サーモクロミック層は、熱可塑性樹脂と、二酸化バナジウム粒子を含有し、
    前記色調補正樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有し、かつ、前記二酸化バナジウム粒子の色調と補色に調色されており、
    更に、紫外線遮蔽層が積層されており、
    紫外線遮蔽剤を含有する
    ことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. 熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2記載の合わせガラス用中間膜。
  4. ポリエステル樹脂は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項3記載の合わせガラス用中間膜。
  5. サーモクロミック層に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項2記載の合わせガラス用中間膜。
  6. サーモクロミック層に含まれるポリビニルアセタール樹脂は、水酸基の含有率が30モル%以下であり、アセチル基量が5モル%以上であることを特徴とする請求項5記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 合わせガラス部材の間に、請求項1〜のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を有することを特徴とする合わせガラス。
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