以下、実施の形態1および2に係る照明装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の各実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の各実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
以下、実施の形態1および2に係る照明装置について各図を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、図1および図2を用いて、実施の形態1に係る照明装置の構成の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る照明装置100の分解斜視図である。
図1および図2に示すように、実施の形態1に係る照明装置100は、厚み方向(本実施の形態ではY軸方向)に対向する第一側面151および第二側面152を有する導光板150と、導光板150の第一端面153から光を入射する発光装置110と、導光板150の第一側面151に配置された側面反射部160と、第一端面153に対向する第二端面154に配置された端面反射部180とを備える。
側面反射部160は、導光板150から入射された光を反射することで、光を第二側面152から出射させることができる。
本実施の形態では、側面反射部160は、図1に示すように、第一側面151に沿って離散的に配置された複数の凸部161を有する。これにより、例えば、第一側面151に向かう光を効率よく導光板150から出射させることができる。
複数の凸部161の各々は、本実施の形態では半球状(ドーム状)の外形を有しており例えばマイクロプリズムまたはマイクロレンズと呼ばれる。また、第一側面151に沿って配置された複数の凸部161を有する側面反射部160は、例えばマイクロレンズアレイと呼ばれる。側面反射部160および凸部161の詳細については、図4を用いて後述する。
端面反射部180は、第二端面154に到達した光を、導光板150の厚み方向に対して少なくとも一部が傾いた反射面で反射する。これにより、第二端面154から第一端面153に向かう光(以下、「復路光」ともいう。)の側面反射部160への入射量が、第一端面153から第二端面154に向かう光(以下、「往路光」ともいう。)の側面反射部160への入射量よりも大きくされる。
より具体的には、照明装置100では、側面反射部160が、往路光の導光板150の外部への出射を抑制するための一つの特徴を有している。
つまり、照明装置100では、往路光の導光板150の外部への出射を抑制し、復路光を照明光として効率よく出射させる構造を有している。
その結果、照明装置100における光源側(発光装置110側、以下同じ)、つまり、本実施の形態におけるZ軸マイナス側が、導光板150から出射される光によって効率よく照らされる。
本実施の形態では、端面反射部180は、複数の凹凸が形成された反射面で、第二端面154に到達した光を拡散して反射する。なお、複数の凹凸が形成された反射面は、例えば、一般に流通する、光を拡散して反射する反射シートによって実現可能であるため、導光板150に端面反射部180を容易に設けることができる。
導光板150の内部における往路光および復路光の経路については、図5を用いて後述する。
発光装置110は、照明光を導光板150に入力する装置であり、本実施の形態では、少なくとも1つの光源、および、当該少なくとも1つの光源と第一端面153との間に配置された集光レンズ128を備える。
具体的には、発光装置110は、複数の光源(発光素子)を有する発光モジュール120と、発光モジュール120から出射される光の配光角を狭める集光レンズ128とを有する。
つまり、発光装置110は、少なくとも1つの光源と集光レンズ128とを備えることで、導光板150に、比較的に配光角の狭い光(狭角光)を入射することができる。このことは、第一端面153から第二端面154に向かう光の導光板150からの出射の抑制に寄与し、その結果、後述するように、光源側への光出力の効率が向上する。
発光モジュール120は、金属製のヒートシンク105に固定されており、発光モジュール120が発する熱は、ヒートシンク105によって効率よく放出される。
また、照明装置100はさらに、発光モジュール120に第一端面153を対向させた姿勢で導光板150を固定する固定部材108を備える。固定部材108は、導光板150の第一端面153を含む端部を、導光板150の厚み方向(本実施の形態ではY軸方向)に挟むことで、導光板150を固定する。
固定部材108、発光装置110、およびヒートシンク105は、カバー130に覆われる。カバー130には、端部が固定部材108に固定された導光板150を露出させるスリット131が設けられている。
なお、照明装置100は、上記説明された構成要素に加え、発光モジュール120に発光のための電力を供給する駆動回路および駆動回路と発光モジュール120とを接続するリード線等の他の要素も備えている。しかし、本実施の形態に係る照明装置100の特徴を明確に説明するために、これら他の要素の図示および説明は省略する。
次に、本実施の形態に係る照明装置100の、発光装置110および導光板150の位置関係等について図3Aおよび図3Bを用いて説明する。
図3Aは、実施の形態1に係る発光装置110および導光板150を、導光板150の第一側面151の側から見た場合の部分拡大図である。
図3Bは、実施の形態1に係る発光装置110および導光板150を、発光装置110の長手方向(本実施の形態ではX軸方向)から見た場合の概要図である。
なお、図3Aおよび図3Bにおいて、発光装置110と導光板150との位置関係等が明確になるように、カバー130等の図示は省略されている。このことは、後述する図9等でも同じである。
図3Aに示すように、発光装置110が有する発光モジュール120は、長尺状の基板121と、基板121に実装された複数の発光素子122とを有する。
複数の発光素子122のそれぞれは、例えば表面実装型(SMD:Surface Mount Device)のLED素子であり、基板121の長手方向に並んで配置されている。表面実装型のLED素子とは、樹脂成型されたキャビティの中にLEDチップを実装して当該キャビティ内に蛍光体含有樹脂を封入したパッケージ型のLED素子である。
例えば、青色LEDチップと黄色蛍光体含有樹脂との組み合わせにより白色光を放出する表面実装型LED素子が、発光素子122として採用される。
なお、発光モジュール120が有する複数の発光素子122のそれぞれは、LEDチップそのものであってもよい。つまり、発光モジュール120は、基板121上に複数のLEDチップが直接実装された、COB(Chip On Board)型の発光モジュールであってもよい。この場合、例えば、基板121上に並んで配置された複数の青色LEDチップを、黄色蛍光体含有樹脂で封止することで、発光モジュール120から白色光が放出される。
複数の発光素子122のそれぞれから放出された光は、集光レンズ128を介して導光板150の第一端面153から導光板150の内部に入射される。
導光板150は、透明度の高い板材であり、例えばアクリル樹脂によって形成されている。第一端面153から導光板150の内部に入射した光の一部は、第一端面153に対向する第二端面154(図3B参照)に配置された端面反射部180によって拡散反射される。端面反射部180によって拡散反射された光の一部は、側面反射部160によって反射され、第二側面152から出射される。
このような光路の形成に関与する側面反射部160の詳細について、図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態1に係る側面反射部160が有する凸部161の拡大図である。
側面反射部160が有する複数の凸部161は、所定の樹脂を用いて、印刷等の手法によって第一側面151に形成される。凸部161は平面視において円形であり、直径Dは、例えば30μmである。また、半径Rに対する高さの比率(H/R)は、例えば0.4である。
このような形状の凸部161が、厚みTが例えば4mmの導光板150の第一側面151上にマトリクス状に形成され、これにより、第一側面151に沿って配置された側面反射部160が形成される。
ここで、凸部161の素材として採用される所定の樹脂としては、アクリル変性シリコン樹脂およびフッ素変性シリコン樹脂などの透光性材料が例示される。また、導光板150の素材としては、上述のアクリル樹脂に加え、スチレン−メチルメタクリレート樹脂(MS樹脂)、およびポリカーボネートなどの透光性材料が例示される。
このように、本実施の形態では、導光板150と側面反射部160とは素材が互いに異なり、これにより、導光板150および側面反射部160の光の屈折率を異ならせている。
具体的には、側面反射部160は、導光板150を形成する透光性材料よりも光の屈折率が低い透光性材料で形成されている。
これにより、導光板150と側面反射部160との界面において、導光板150側から入射する光の全反射が発生し、当該界面において臨界角以上の入射角で入射する光をほぼ損失することなく第二端面154に到達させることができる。
例えば、アクリル樹脂を素材とする導光板150の屈折率は1.49であり、側面反射部160(複数の凸部161のそれぞれ)の屈折率が1.4である場合の臨界角は、約60°である。
また、導光板150の屈折率が1.49であり、側面反射部160の屈折率が1.3である場合、臨界角は約70°である。なお、導光板150の第二側面152における臨界角、つまり、屈折率が1.49である導光板150と、屈折率が約1である空気との界面における臨界角は、約42°である。
つまり、本実施の形態に係る照明装置100では、側面反射部160の屈折率が導光板150の屈折率よりも低いことにより、入射角が比較的に大きい光の導光板150から側面反射部160への入射が抑制される。これにより、往路光の導光板150からの出射が抑制され、また、復路光が効率よく導光板150から出射される。このことを、図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態1に係る導光板150内の往路光および復路光の経路の例を示す図である。具体的には、図5では、往路光の経路は実線の矢印で模式的に示され、復路光の経路は点線の矢印で模式的に示されている。このことは、後述する図10についても同じである。
図5に示すように、発光モジュール120から出射された光は、集光レンズ128を介して、第一端面153から導光板150の内部に入射される。第一端面153から入射され、導光板150と側面反射部160との界面に入射する光のうち、入射角が臨界角よりも大きい光は、当該界面で全反射される。
ここで、側面反射部160の屈折率が、導光板150の屈折率以上である場合、導光板150と側面反射部160との界面に入射する光の全反射は生じない。
一方、本実施の形態では、側面反射部160の屈折率が、導光板150の屈折率よりも小さいため、当該界面における全反射が発生し、これにより、往路光を効率よく第二端面154(端面反射部180)に導くことができる。
また、本実施の形態では、集光レンズ128によって配光角が比較的に狭い光(狭角光)が導光板150に入射されるため、往路光のうちの多くの光を、導光板150と側面反射部160との界面で全反射させることが可能である。このことによっても、往路光は効率よく端面反射部180に導かれる。
なお、第二側面152における臨界角は、上述のように、導光板150と側面反射部160との界面における臨界角よりも小さい。そのため、導光板150の第一端面153から入射され、第二側面152と外部空間(空気)との界面に入射する光の多くが全反射される。
このようにして、光源(発光装置110)とは反対側の第二端面154に到達した光は、複数の凹凸が形成された反射面を有する端面反射部180によって拡散して反射される。
なお、端面反射部180として用いる材料については、光を拡散反射できる材料であれば特に限定はない。例えば、微細発泡反射シート、および、光を拡散する処理がなされたアルミシート等が端面反射部180として用いられる。
つまり、本実施の形態では、端面反射部180は、第二端面154に取り付けられた、導光板150とは別体の部材で形成されている。そのため、例えば、端面反射部180として採用する材料を変更することで、光の拡散の度合い等を調整することが容易である。
また、端面反射部180自体が、微小な凹凸を持つのではなく、例えば、第二端面154をサンドブラスト等によって粗くし、かつ、アルミ等を材料とする端面反射部180によって光を反射することで、第二端面154に到達した光を拡散反射してもよい。この場合、第二端面154における粗面は、導光板150の厚み方向を結ぶ方向に対して少なくとも一部が傾いた反射面の一部を構成する。
第二端面154に到達した光が端面反射部180によって拡散して反射された結果、図5に示すように、第一端面153と第二端面154とを結ぶ方向(Z軸方向)に対する傾きが、往路光における当該傾きよりも大きくなる成分の光が復路光に含まれる。
その結果、復路光のうち、導光板150と側面反射部160(凸部161)との界面に入射する光の多くが、臨界角より小さな入射角となり、当該界面を越えて凸部161の内部に入射する。
凸部161の内部に入射した光のうち、凸部161と外部空間(空気)との界面への入射角が、当該界面における臨界角以上である光は、当該界面で全反射され、第二側面152から、導光板150の外部に出射される。また、入射角が当該臨界角より小さな光は、当該界面を越えて凸部161から外部に出射される。
また、端面反射部180に反射されて第二端面154から第一端面153に向かう復路光のうち、第二側面152と外部空間(空気)との界面に入射し、かつ、入射角が当該界面における臨界角より小さい光は、当該界面を越えて導光板150の外部に出射される。
このように、本実施の形態に係る照明装置100では、光源である発光装置110から出射され、光源とは反対側の第二端面154に向かう往路光の、導光板150からの出射が抑制される。
さらに、第二端面154に到達した往路光が端面反射部180に反射されることで得られる復路光は、効率よく導光板150の外部に取り出される。復路光は、第二端面154から第一端面153に向かう光であり、光源側に向かう成分を多く持つ。そのため、照明装置100は、光源側を効率よく照らすことができる。
上記効果を、実施の形態1に係る照明装置100の発光特性を示す、図6A、図6Bおよび図7、並びに、比較例における発光特性を示す図8を用いて説明する。なお、図6A〜図8に示される各種の発光特性は、光学シミュレーションによって求められたものである。このことは、後述する、図11〜図14についても同じである。
図6Aは、実施の形態1における、発光装置110から導光板150に入射される光の配光特性を示す配光曲線図である。
図6Bは、実施の形態1における、端面反射部180により反射された光の配光特性を示す配光曲線図である。
なお、図6Aおよび図6Bにおける径方向の軸は、光度の大きさ(最大値に対する相対的な値)に対応する軸であり、原点から遠いほど光度が大きいことを示す軸である。このことは、後述する、図7、図8、図11〜図14についても同じである。
図6Aに示すように、本実施の形態に係る発光装置110は、配光角が、光軸方向(図6Aにおけるグラフにおける90°の方向)からプラスマイナス20°以下に収まる光を出射する。
このような配光特性を有する光は、本実施の形態では、LEDである発光素子122と、集光レンズ128とによって実現されている。
また、図6Aに示す配光特性を有する光が第一端面153から入射され、第二端面154に配置された端面反射部180に反射された光は、図6Bに示す配光特性を有する。
つまり、第二端面154に到達した光は、端面反射部180によって拡散反射され、光軸方向(図6Aにおけるグラフにおける−90°の方向)からプラスマイナス80°程度の比較的に配光角の広い光(広角光)に変換される。
このように、配光角が広げられた光は、上述のように、側面反射部160が有する複数の凸部161によって効率よく導光板150から外方に出射される。
図7は、実施の形態1における、導光板150から出射される光の配光特性を示す図である。具体的には、図7の(a)は、凸部161の屈折率が1.3である場合の配光特性を示す図であり、図7の(b)は、凸部161の屈折率が1.4である場合の配光特性を示す図である。また、いずれの場合も、導光板150の屈折率は1.49である。
図8は、比較例における配光特性を示す図である。具体的には、図8は、導光板150および凸部161の屈折率を、ともに1.49とした場合の、導光板150から出射される光の配光特性を示している。
また、当該比較例において、発光装置110から導光板150に入射される光の配光特性は図6Aに示すものと同じである。また、これら条件の下で、導光板150に第一端面153から入射された光が端面反射部180によって拡散反射される場合の配光特性を示している。
なお、図7および図8において、配光特性と、導光板150の姿勢との関係を分かり易く示すために、配光特性のグラフに、導光板150等の模式図が重ねて図示されている。つまり、図7および図8に示す配光特性において、左側が光源側であり、右側が反射面側(端面反射部180側、以下同じ。)である。このことは、後述する、図11〜図14についても同じである。
図7の(a)および(b)に示されるように、凸部161の屈折率が1.3である場合、および、凸部161の屈折率が1.4である場合のいずれにおいても、光源側への光出力の比率が高くなること(例えば50%以上であること)が分かる。なお、光源側の出力光の比率とは、導光板150から出射される全光束のうちの、導光板150の中央よりも光源側に出射される光束の占める割合である。つまり、光源側の出力光の比率と反射面側の出力光の比率との和は100%となる。
具体的には、凸部161の屈折率が1.3である場合、光源側の出力光の比率は67%であり、反射面側の出力光の比率は33%である。
また、凸部161の屈折率が1.4である場合、光源側の出力光の比率は64%であり、反射面側の出力光の比率は36%である。
一方で、導光板150および凸部161の屈折率が同一である場合、比較例である図8に示すように、光源側よりも反射面側の光出力が大きいことが分かる。
これは、導光板150および凸部161の屈折率が同一である場合、導光板150と凸部161との界面に入射する光の当該界面における全反射が生じないためである。すなわち、往路光のうちの、当該界面に入射する光のほぼ全ては、凸部161の内部に進入し、凸部161と外部空間との界面で反射して、または、凸部161と外部空間との界面を通過して、導光板150から外部に出射される。これにより、反射面側の出力光の比率が高くなる。
この点について、本実施の形態に係る照明装置100では、導光板150と凸部161との界面で全反射を生じさせている。さらに、照明装置100では、当該界面に入射する光の入射角が、往路光では臨界角以上となり、かつ、復路光では臨界角より小さくするための構造が採用されている。これにより、光源側への出力光の比率が高くなる。
以上、説明したように、本実施の形態に係る照明装置100は、導光板150と、導光板150の第一端面153から光を入射する発光装置110と、導光板150の第一側面151に配置された側面反射部160と、第二端面154に配置された端面反射部180とを備える。
端面反射部180は、導光板150の厚み方向に対して少なくとも一部が傾いた反射面を有する。本実施の形態では、第二端面154に到達した光は、複数の凹凸が形成された反射面を有する端面反射部180によって拡散反射される。
また、側面反射部160の屈折率は、導光板150の屈折率よりも小さいため、側面反射部160と導光板150との界面に導光板150側から入射する光のうち、入射角が臨界角以上である光は全反射する。
そのため、第一端面153から第二端面154へ向かう往路光の、導光板150からの出射を抑制し、かつ、第二端面154から第一端面153へ向かう復路光を、側面反射部160を利用して効率よく導光板150から出射させることができる。その結果、照明装置100は、光源側を効率よく照らすことができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、第二端面154に到達した往路光を拡散反射することで、復路光の配光角を広げ、これにより、復路光が効率よく導光板150から出射させている。しかし、第二端面154において復路光の配光角を広げることは必須ではない。例えば、厚み方向(Y軸方向)に対して傾いた第二端面154に沿って配置された反射面で往路光を反射することで、復路光を効率よく導光板150から出射させることも可能である。
そこで、実施の形態2として、厚み方向(Y軸方向)に対して傾いた第二端面154aを有する導光板150を備える照明装置101について、実施の形態1との差分を中心に説明する。
図9は、実施の形態2に係る発光装置110および導光板150を、発光装置110の長手方向(本実施の形態ではX軸方向)から見た場合の概要図である。
図10は、実施の形態2に係る導光板150内の往路光および復路光の経路の例を示す図である。
図9および図10に示すように、実施の形態2に係る導光板150の第二端面154aは、厚み方向(Y軸方向)に対して傾いている。端面反射部181は、第二端面154aに到達した光を、導光板150の厚み方向に対して少なくとも一部が傾いた反射面で反射する。これにより、復路光の側面反射部160への入射量が、往路光の前記側面反射部への入射量よりも大きくされる。
本実施の形態では、端面反射部181は、厚み方向に対して傾いた第二端面154aに沿って配置された反射面、つまり、厚み方向に対して全体的に傾いた反射面で、第二端面154aに到達した光を反射する。
これにより、第二端面154aから第一端面153に向かう復路光による、光源側への光出力の効率が向上される。
具体的には、端面反射部181は、鏡面の反射面を有する部材であり、例えばアルミ製の反射テープである。従って、第一端面153から入射され、端面反射部181で反射された光(往路光)の配光角の大きさは理論上維持される。
しかし、端面反射部181の反射面が厚み方向に対して傾いているため、図10に示すように、復路光の、第一端面153と第二端面154aとを結ぶ方向(Z軸方向)に対する傾きは、往路光の当該傾きよりも大きくなる。
例えば、端面反射部181が、厚み方向(Y軸方向)に対して+20°(X軸を中心として時計回りをプラスの傾きとする、以下同じ)傾いており、かつ、Z軸方向に対して−10°の角度で進行する往路光が第二端面154aに到達した場合を想定する。
この場合、往路光が端面反射部181に反射されることで得られる復路光は、Z軸方向に対して+50°の角度で第一端面153の方向に向かう。
すなわち、復路光の、第一端面153と第二端面154aとを結ぶ方向に対する傾きの絶対値を、往路光の当該傾きの絶対値よりも大きくすることができる。
その結果、復路光のうち、導光板150と側面反射部160(凸部161)との界面に入射する光の多くが、入射角が臨界角より小さくなり、当該界面を越えて凸部161の内部に入射する。
これにより、実施の形態1において図5を用いて説明したように、凸部161で反射されて第二側面152から出射される光、凸部161を透過する光などが多く生じ、その結果、照明装置101は、光源側を効率よく照らすことができる。
上記効果を、実施の形態2に係る照明装置101の発光特性を示す、図11〜図14を用いていて説明する。
図11〜図14は、実施の形態2における、導光板150から出射される光の配光特性を示す第1〜第4の図である。
具体的には、図11の(a)は、第二端面154aの厚み方向に対する傾きが+10°の場合の配光特性を示す図であり、図11の(b)は、第二端面154aの当該傾きが+20°の場合の配光特性を示す図である。
以下、同様に、図12の(a)は、第二端面154aの当該傾きが+30°の場合の配光特性を示す図であり、図12の(b)は、第二端面154aの当該傾きが+40°の場合の配光特性を示す図である。
また、図13の(a)は、第二端面154aの当該傾きが−10°の場合の配光特性を示す図であり、図13の(b)は、第二端面154aの当該傾きが−20°の場合の配光特性を示す図である。
また、図14の(a)は、第二端面154aの当該傾きが−30°の場合の配光特性を示す図であり、図13の(b)は、第二端面154aの当該傾きが−40°の場合の配光特性を示す図である。
なお、いずれの場合も、導光板150の屈折率は1.49であり、側面反射部160(凸部161)の屈折率は1.3である。また、発光装置110から導光板150に入射される光の配光特性は、実施の形態1と同じ(図6A参照)である。
これら図11〜図14に示されるように、第二端面154aを、導光板150の厚み方向に対して傾けた場合(本実施の形態では、絶対値で10°〜40°)、光源側への光出力が大きくなることが分かる。
具体的には、光源側と、光源とは反対側の反射面側の出力光の比率は、第二端面154aの厚み方向に対する傾き角(以下、「第二端面154aの傾き角」という。)に応じて、表1に示される値となる。
これらの出力光の比率の値、および、図11〜図14に示す各傾き角に対応する配光特性とからわかるように、本実施の形態に係る照明装置101は、上記実施の形態1に係る照明装置100と同じく、光源側を効率よく照らすことができる。
また、本願発明者らは、表1に示される出力光の比率の値、および、図11〜図14に示す各傾き角に対応する配光特性等を検討した結果、第二端面154aの、厚み方向に対する傾き角について以下の知見を得た。
すなわち、第二端面154aの傾き角の絶対値が30°を越えた場合、例えば、第二端面154aの傾き角の絶対値が40°である場合、表1に示されるように、光源側の出力光の比率は、反射面側の出力光の比率よりも大きい。
しかし、図12の(b)および図14の(b)に示されるように、導光板150から出射される光の向きが、第二端面154aの傾き角の絶対値が30°以下である場合より、反射面側に近づいていることがわかる。
従って、第二端面154aの、厚み方向に対する傾き角の絶対値は30°以下であることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る照明装置101は、端面反射部181が、厚み方向に対して傾いた第二端面154aに沿って配置された反射面で、第二端面154aに到達した光を反射する。この点において、本実施の形態に係る照明装置101は、上記実施の形態1に係る照明装置100とは異なる特徴を有する。
これにより、照明装置101は、上記表1および図11〜図14に示すように、光源側を効率よく照らすことができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る照明装置について、上記実施の形態1および2に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1では、側面反射部160が有する複数の凸部161は、所定の樹脂を用いて、印刷等の手法によって第一側面151に形成されるとした。
つまり、複数の凸部161は、導光板150の第一側面151に、所定の樹脂が塗布、滴下または吐出等されることで形成することができる。この場合、導光板150の第一側面151に、当該所定の樹脂の濡れ広がりを制御するための薄膜層が形成されてもよい。
図15は、第一側面151に薄膜層162が形成された導光板150の概要を示す図である。
図15に示す、側面反射部160は、第一側面151上に形成された薄膜層162を有する。より詳細には、複数の凸部161と第一側面151との間に薄膜層162が形成されている。
これにより、上述のように、複数の凸部161を形成する所定の樹脂の濡れ広がりを制御することができるため、例えば、複数の凸部161を精度よく形成させることができる。
このような薄膜層162は、例えば表面処理剤と呼ばれる物質によって形成される。
なお、側面反射部160が、薄膜層162を有する場合、薄膜層162は、導光板150を形成する透光性材料よりも光の屈折率が低い透光性材料で形成することが好ましい。
また、この場合、側面反射部160は、複数の凸部161を有しなくてもよい。側面反射部160が、複数の凸部161を有しない場合であっても、薄膜層162の屈折率が導光板150の屈折率よりも低いことで、側面反射部160と導光板150との界面で往路光を全反射し、復路光の当該界面の通過を許容することは可能である。つまり、実施の形態1および2で説明したように、光源側を効率よく照らす照明装置100(101)を得ることは可能である。
また、上記実施の形態1では、発光装置110は、複数の発光素子122として複数のLEDを有する発光モジュール120を有し、発光モジュール120から出射される光を、集光レンズ128を用いることで狭角光にするとした。
しかしながら、発光装置110は、1以上の発光素子122と、集光レンズ128との組み合わせ以外によって狭角光を出射してもよい。
例えば、光源である発光素子122自体が集光等を目的としたレンズを有してもよい。発光モジュール120は、発光素子122として、例えば、砲弾型LEDと呼ばれる、砲弾型のレンズを有するLEDを有してもよい。つまり、発光装置110は、少なくとも1つの光源である、レンズを有する光源を有してもよい。
この場合、例えば、発光モジュール120とは別体の集光レンズ128を用いることなく、発光モジュール120から、所望の配光角の光を得ることが可能である。
また、例えば、発光装置110は、第一端面153から第二端面154または154aに向けてレーザ光を出射してもよい。
これにより、例えば、側面反射部160の屈折率を、導光板150の屈折率よりも低くしない場合であっても、第一端面153から入射された光(レーザ光)を、効率よく第二端面154または154aに到達させることができる。
つまり、例えば側面反射部160が有する複数の凸部161と導光板150とを同一の透光性材料で形成した場合であっても、往路光の導光板150からの出射を抑制し、かつ、復路光を効率よく導光板150から出射させることも可能である。
図16は、実施の形態1に係る照明装置100におけるレーザ光の光路の例を示す図である。
図17は、実施の形態2に係る照明装置101におけるレーザ光の光路の例を示す図である。
図16に示す照明装置100および図17に示す照明装置101は、ともに、レーザ装置125を有する発光装置110を備える。
図16に示す照明装置100では、レーザ装置125から出射された指向性の高いレーザ光は、導光板150の第一端面153から第二端面154に向けて直進し、第二端面154に到達する。つまり、第一端面153から第二端面154に向かう往路光は、ほぼ照明光として消費されることなく第二端面154に到達する。
第二端面154に到達したレーザ光は、例えば複数の凹凸が形成された反射面を有する端面反射部180によって拡散反射され、その結果、側面反射部160が有する凸部161に入射する。凸部161に入射した光は、例えば、凸部161と外部空間(空気)との界面で反射され、第二側面152から出射される。
また、図17に示す照明装置101でも同様に、第一端面153から第二端面154に向かう往路光は、ほぼ照明光として消費されることなく第二端面154aに到達する。
第二端面154aに到達した光は、例えば鏡面の反射面を有する端面反射部181によって反射され、第一端面153と第二端面154とを結ぶ方向(Z軸方向)に対して傾いた方向に向かう。その結果、端面反射部181で反射された光(復路光)は、側面反射部160が有する凸部161に入射する。凸部161に入射した光は、例えば、凸部161と外部空間(空気)との界面で反射され、第二側面152から出射される。
このように、発光装置110が、第一端面153から第二端面154または154aに向けてレーザ光を出射した場合であっても、往路光の導光板150からの出射の抑制と、復路光の導光板150からの出力効率の向上とを実現することができる。これにより、光源側を効率よく照らす照明装置100または101を得ることができる。
また、上述のように、側面反射部160および導光板150を同一の透光性材料で形成することができるため、例えば、側面反射部160(複数の凸部161)を備える導光板150を、樹脂の一体成形によって作製することも可能である。
また、図1および図2では、照明装置100は、発光装置110等を覆うカバー130が下で、導光板150が上となる姿勢で図示されているが、照明装置100の使用時における姿勢に特に限定はない。
例えば、照明装置100(101)を、カバー130が壁面側であり、かつ、導光板150が、壁面に対して交差する方向に起立する姿勢で、壁面に設置してもよい。
この場合、壁面における、照明装置100(101)の設置位置の付近を明るく照らすことが可能である。例えば、絵画の上に、当該姿勢で照明装置100(101)を設置することで、当該絵画および当該絵画を鑑賞する人の足元を、照明装置100(101)で照らすことも可能である。
また、上記実施の形態1において、発光モジュール120が有する発光素子122は、表面実装型LED素子またはLEDチップであるとした。しかし、発光装置110が有する発光素子122の種類は、LEDに限定されない。発光モジュール120は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)または無機EL等の発光素子を有してもよい。
また、発光装置110が有する光源は、半導体発光素子でなくてもよい。発光装置110は、光源として1以上の蛍光管を有してもよい。つまり、発光装置110は、1以上の蛍光管から放出される光を導光板150に入射してもよい。
その他、上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、および、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態および変形例における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。