以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
最初にプリフォームの供給から成形部、殺菌部、充填部、バリアチャンバー及び出口チャンバーからなる無菌充填機の概要を図1により説明し、各部の詳細を図4、図5、図6、図7、図8及び図9により説明する。この実施の形態によれば、ボトルの底がペタロイド形状であっても、不安定な形状のボトルであっても、ボトルは転倒することなく、無菌ゾーンから非無菌ゾーンに高速で排出される。また、無菌ゾーンが菌等の侵入により汚染されることもない。
(無菌充填機及び無菌充填方法の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置5、プリフォーム1をボトル2に成形する成形部16、成形されたボトル2を殺菌する殺菌部30、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34及びエアリンスされたボトル2に殺菌された内容物を充填し、殺菌されたキャップ4により密封する充填部39を備えている。さらに、密封されたボトル2が通過する、殺菌剤を含有するエアが供給されるバリアチャンバー49、及びボトル2が排出コンベヤ62に載置され、非無菌ゾーンに排出される出口チャンバー61を備える。
成形部16は成形部チャンバー17、殺菌部30は殺菌部チャンバー33、エアリンス部34はエアリンス部チャンバー36及び充填部39と密封部44は充填部チャンバー41により各々遮蔽されている。殺菌部30で発生する殺菌剤のガス又はミストが成形部16に流入しないように、成形部16と殺菌部30の間には雰囲気遮断チャンバー27が設けられている。殺菌部30で発生する殺菌剤のガス又ミストは、雰囲気遮断チャンバーが排気されることで、成形部16に流入しない。
殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36及び充填部チャンバー41には、除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが供給され、その内部が陽圧に保持される。陽圧に保持する圧力は、充填部チャンバー41内が最も高く、エアリンス部チャンバー36、殺菌部チャンバー33と上流ほど低く設定される。雰囲気遮断チャンバー27は排気することで、その内部は大気圧とほぼ同一の圧力に保持される。
バリアチャンバー49には殺菌剤を含有するエアが供給されるが、バリアチャンバー49内の圧力は、充填部チャンバー41に殺菌剤を含有するエアが流入しないように、充填部チャンバー41よりも低くする。また、出口チャンバー61はバリアチャンバーに供給されるエアに含有される殺菌剤が外部に漏出しないように排気し、出口チャンバー61内の圧力は大気圧とほぼ同一又は大気圧以下に保持される。
(無菌充填機及び無菌充填方法の詳細)
まず、図4(A)に示すプリフォーム1が、図1に示すプリフォーム供給装置5から、プリフォーム搬送コンベヤ6により所望の速度で連続的に成形部16に搬送される。
本実施形態におけるプリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり、図4(D)に示したボトル2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又はボトル2はこのサポートリング1bを介してグリッパ22により把持され、無菌充填機内を走行する。プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレンービニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
成形部16に供給されたプリフォーム1は、一定ピッチで多数のグリッパ22が設けられたホイール7、8により搬送され、加熱炉搬送ホイール9に達する。ここで、図4(B)のようにグリッパ22から解放され、プリフォーム1の口部1aにスピンドル19が挿入され、加熱炉12に搬送される。
加熱炉12に入ったプリフォーム1は、図4(B)に示すように、赤外線ヒータ14又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。
なお、プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
また、プリフォーム1は図4(B)に示すように、口部1aにスピンドル19が挿入され、回転しながら、加熱炉12内を搬送される。スピンドル19は無端チェーン13に一定間隔で設けられている。無端チェーン13はプーリ10及び11により回転する。スピンドル19に代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することによって、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
加熱されたプリフォーム1は、スピンドル19から解放され、グリッパ22に把持されて、ホイール15を経て、ブロー成形機の成形ホイール18に搬送される。成形ホイール18に備えられた金型20により、図4(C)に示すように、ボトル2にブロー成形される。金型20及びブローノズル21は、成形ホイール18の回りに複数個配置され、成形ホイール18の回転とともに成形ホイール18の周りを一定速度で旋回する。加熱されたプリフォーム1が到来すると、金型20はプリフォーム1を挟み込む。続いてブローノズル21がプリフォーム1に接合され、図示しない延伸ロッドがブローノズル21に設けられた孔に導かれ、プリフォーム1内に挿入され、ブローノズル21からプリフォーム1内に空気等の気体が吹きこまれることにより、金型20内でボトル2が成形される。成形されたボトル2は、図4(D)に示すように、金型20から取り出され、検査ホイール23に設けられたグリッパ22によりサポートリング1bを把持され、検査ホイール23に受け渡される。
本発明の実施形態に係る無菌充填機で成形されるボトル2は、図2に示すように底がペタロイド形状である。図3に示すような、底がほぼ平坦なボトル3のようなボトルに炭酸飲料を充填すると、充填直後の内圧の上昇により、底部が凸状に膨らんでしてしまうことがある。そのため、炭酸飲料を充填する場合は、図2に示すような、底部にペタロイド脚2aを有するペタロイド形状のボトル2が使用される。ペタロイド脚2aの本数は通常、5〜9本の範囲で任意に設定される。また、ペタロイド脚2aの谷部の深さは任意に設定される。本発明の実施形態に係る無菌充填機で成形されるボトルは、図3に示す、底がほぼ平坦な一般に使用されるボトル3のような形状でも構わない。特に、底部が平坦でも不安定なボトルには好適である。
成形されたボトル2は、検査ホイール23の周辺に備えられた検査機材24により、ボトル温度、ボトル胴部、サポートリング、ボトル口部天面、ボトル底部等が検査され、異常と判断された場合は、図示しない排出装置により、無菌充填機の外部に排出される。
ボトル温度検査は、ボトル2の表面温度を検査して、ボトル2の良否を判断する。温度センサは、例えば赤外線放射温度計であるが、他の温度計を使用することも可能である。ボトル成形時の余熱がボトル2に残存することが、ボトル2を適正に殺菌するために必要であり、温度センサにより検出される温度は50℃以上であることが望ましい。
また、ボトル胴部、サポートリング、ボトル口部天面、ボトル底部はカメラにより撮像され、各箇所の状態が検査される。撮像された画像は画像処理装置により処理され、傷、異物、変形、変色等の異常の存否について判断される。許容範囲を超えたボトル2は異常と判断される。
検査機材24による検査により異常と判断されなかったボトル2は、殺菌部30で発生する殺菌剤のガス又はミストが成形部16に流入しないように、成形部16と殺菌部30の間に向けられた雰囲気遮断チャンバー27のホイール25、26を経て、殺菌部30に搬送される。
殺菌部30に搬送されたボトル2は、ホイール28において殺菌される。殺菌剤ガス吹き付け工程を図5(E)に示す。ボトル2に殺菌剤のガスを吹き付けるため、殺菌剤ガス吹き付けノズル31が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は、その先端のノズル孔が直下を走行するボトル2の口部1aの開口に正対し得るように固定される。また、必要に応じて殺菌剤ガス吹き付けノズル31の下方にボトル2の走行路に沿って、図5(E)に示すように殺菌剤ガス吹き付けトンネル32が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は一本であっても複数本であっても構わない。ボトル2に吹き付けられた殺菌剤のガスがボトル2の内部に流入し、ボトル2の内面を殺菌する。このとき、ボトル2は殺菌剤ガス吹き付けトンネル32内を走行することで、殺菌剤のガス又はミストが、ボトル2の外面にも流れて、ボトル2の外面を殺菌する。
殺菌剤のミスト又はガスは、図6に示すように、殺菌剤ガス生成器51によりガス化される殺菌剤又はガス化された殺菌剤が凝結したミストである。殺菌剤ガス生成器51は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部52と、この殺菌剤供給部52から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部53とを備える。殺菌剤供給部52は、殺菌剤供給路52a及び圧縮空気供給路52bからそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して殺菌剤を気化部53内に噴霧するようになっている。気化部53は内外壁間にヒータ53aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。気化した殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズル31から気化部53外に噴出する。ヒータ53aに換えて誘電加熱により気化部53を加熱しても構わない。
殺菌剤供給部52の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa〜0.6MPaの範囲で調整される。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えても構わないし、供給量は自由に設定することができ、例えば1g/min.〜100g/min.の範囲で供給する。また、気化部53の内表面は140℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤が気化する。
噴出する殺菌剤のガスは、図5(E)に示すように殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2に吹き付けられる。殺菌剤のガス又はミストの吹き付け量は任意であるが、吹き付け量は、殺菌剤ガス生成器51に供給される殺菌剤の量と吹き付け時間により決まる。殺菌剤ガス生成器51は複数備えても構わない。吹き付け量はボトル2の大きさによっても変動する。
殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有することが好ましい。その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、低濃度となるために殺菌後の殺菌剤の残留量を低減できる。
殺菌剤を過酸化水素水とした場合、過酸化水素水のガスの吹き付け量は以下の通りとなる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31からボトル2の内面吹き付けられる過酸化水素水のガスにより、ボトル2の内面に付着する過酸化水素の量は、望ましくは過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水の量として、30μL/ボトル〜150μL/ボトルであり、より望ましくは50μL/ボトル〜100μL/ボトルである。また、ボトル2に吹き付けられる過酸化水素水のガスの過酸化水素濃度は、望ましくは2mg/L〜20mg/Lであり、より望ましくは5mg/L〜10mg/Lである。
また、殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル等の1種又は2種以上を含んでも構わない。
さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸、塩素化合物、オゾン等殺菌効果を有する化合物、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
殺菌部30で殺菌されたボトル2は図1に示すように、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送される。ボトル2は、図1に示すエアリンスホイール35において、図5(F)に示すようにエアリンスノズル38により無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは常温でも構わないが、加熱されることが好ましい。無菌エアは、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出し、残存する殺菌剤を分解してさらに殺菌効果を高め、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除する効果もある。
エアリンスノズル38は上下動可能として、無菌エアをボトル2内に吹き込んでも構わない。また、無菌エアではなく、無菌水をボトル2の内部に導入して、ボトル2の内部をリンスしても構わない。さらに無菌エアと無菌水を併用してボトル2をリンスしても構わない。
エアリンス部34でエアリンスされたボトル2は図1に示すように、ホイール37を経て、充填部39に搬送される。充填部39では、図1に示すホイール40にて、図5(G)に示す充填工程のように、充填ノズル42によりボトル2に内容物が充填される。内容物はあらかじめ殺菌されており、ボトル2と同期的に走行する充填ノズル42により、ボトル2内に一定量の飲料等の内容物が充填される。
内容物が充填されたボトル2は、図1に示すホイール43を経て密封部44に搬送される。密封部44に設けられた密封ホイール45では、図5(H)に示す密封工程のように、あらかじめ殺菌されたキャップ4が、密封ホイール45に設けられた図示しないキャッパーにより、ボトル2の口部1aに巻き締められ、ボトル2は密封される。
密封されたボトル2は、密封ホイール45のグリッパ22による把持から解放され、ホイール46の外周に多数備えられた図示しない胴部ポットガイドにより、ホイール46の周上を搬送される。図1に示すホイール46は胴部ポットガイドが周囲に一定間隔で設けられた搬送装置である。密封されたボトル2は、ホイール46を経て、胴部ポットガイドが設けられた搬送装置であるホイール47に受け渡され、バリアチャンバー49に搬送される。バリアチャンバー49は図7に示す殺菌剤含有エア供給装置50を備えており、バリアチャンバー49の内部には殺菌剤を含有するエアが供給されている。
殺菌剤含有エア供給装置50は、図7に示すように、ブロワ54、ブロワ54によるエアを無菌化するための除菌フィルタ55、さらに必要に応じて無菌化されたエアを加熱する加熱装置56、及び無菌エアに殺菌剤を供給する殺菌剤ガス生成器51からなる。
殺菌剤ガス生成器51は、ボトル2の殺菌に使用する殺菌剤ガス生成器51と同様のものが使用される。また、殺菌剤も同様のものが使用され、殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有していることが好まく、その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易である。
殺菌剤を含有するエアは、加熱装置56により加熱されることが望ましい。殺菌剤の濃度が高い場合や充填する内容物の液温が低い場合、ボトル2の表面に殺菌剤の成分が結露することがあり、これを防止することができる。殺菌剤を含有するエアの温度は40℃〜70℃とすることが望ましい。40℃未満では殺菌剤の成分がボトル2の表面に結露することを防止することができず、70℃を超えるとボトル2が変形することがある。
殺菌剤ガス吹き付けノズル31から殺菌剤含有エア供給装置50に導入される殺菌剤のガスは、無菌エアにより希釈された後にバリアチャンバー49に供給される。バリアチャンバー49に供給されるエアに含有される殺菌剤が過酸化水素水の場合、過酸化水素のガス濃度は0.1mg/L〜10mg/Lの範囲が適当である。0.1mg/L未満ではバリアチャンバー49の内部を無菌の保つには不十分であり、10mg/Lを超えると、バリアチャンバーの無菌性を維持するためには過剰である。
バリアチャンバー49は陽圧に保たれるが、無菌エアにより陽圧を保つ充填部チャンバー41よりも低い圧力に設定される。例えば、充填部チャンバー41の内部圧力が20Pa〜40Paの範囲にある場合、バリアチャンバー49の内部圧力は充填部チャンバーの内部よりも低い圧力であって、例えば、−30Pa〜30Paに設定される。好ましくは0Pa〜30Paである。
バリアチャンバー49に供給される殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス生成器51により生成されるものではなく、殺菌部チャンバー33から排気されるエアに含まれる殺菌剤のガスを使用しても構わない。図8に示すように、図7の殺菌剤含有エア供給装置50に、排気ガスブロワ58による殺菌部チャンバー33の排気と無菌エアを混合する排気ガス混合装置57を設けても構わない。ここで殺菌部チャンバー33の排気を使用しているが、図示していないキャップ4の殺菌部の排気を使用しても構わない。さらに、プリフォーム1の殺菌を行う場合には、プリフォーム殺菌部の排気を使用しても構わない。また、これらの排気と殺菌剤ガス生成器51により生成される殺菌剤のガスを組み合わせて、バリアチャンバー49に供給する殺菌剤を含有するエアとしても構わない。
密封されたボトル2は、胴部ポットガイドが設けられたホイール48により、出口チャンバー61に搬送される。出口チャンバー61は排気装置を備えており、バリアチャンバー49から流入する殺菌剤のガス又はミストを無菌充填機の外部に排出する。図示しないが、排気装置は排気するためのブロワと無菌充填機の外部に排出する前に、殺菌剤を無害化又は捕集する装置を備えている。出口チャンバー61は排気されているため、概略0Pa又はこれ以下の圧力となる。
出口チャンバー61に搬送されたボトル2はホイール48の胴部ポットガイドから、排出コンベヤ62に載置され、無菌充填機の外部に排出される。出口チャンバー61は非無菌ゾーンであり、出口チャンバー61の内部の排出コンベヤ62上で、ボトル2が転倒したとしても、作業員が起こすことができる。したがって、排出コンベヤ62で転倒することが生産阻害となることはない。
図9に示すように、出口チャンバー61の下流にラベル装着装置64を設けることもできる。ボトル2は出口チャンバー61に設けられたホイール65によりラベル装着装置64に受け渡される。ラベル装着装置64により、ボトル2にラベルが装着される。ラベルは巻きラベル、筒状のシュリンクラベル、シュリンク巻きラベル等どのような形態、形状でも構わない。ラベルが装着されたボトル2は排出コンベヤ62により無菌充填機の外部に排出され、必要に応じてボトル2は外部から加熱されることで、ラベルをシュリンクさせることもある。
出口チャンバー61にラベル装着装置64を連結することで、ラベル装着装置64にボトル2を受け渡すに際して、ボトル2を整列させる必要がなく、装置の簡素化と生産性を向上することができる。すなわち、出口チャンバー61からラベル装着装置64までのボトル2の搬送装置及びラベル装着装置64に受け渡すための整列装置が不要となる。また、その結果、搬送及び整列に要する時間も不要となる。
本発明の実施形態について、図1等に基づいて詳細に説明した。説明した実施形態ではプリフォーム1を成形して得られるボトル2を殺菌する無菌充填機であった。しかし、プリフォーム1を殺菌する無菌充填機であっても構わない。以下に他の実施形態としての、プリフォームを殺菌する殺菌部を備える無菌充填機について説明する。
図1に示すホイール7において図10に示すプリフォーム1の殺菌を行うこともできる。図10(I)に示すように、殺菌剤のガスが殺菌剤ガス吹き付けノズル31からプリフォーム1に吹き付けられる。殺菌剤のガスの生成には、ボトル2の殺菌に使用する殺菌剤ガス生成器51と同様のものが使用される。また、殺菌剤も同様のものが使用され、殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有していることが好ましく、その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易である。
殺菌剤のガスの吹き付け量は任意であるが、殺菌剤が過酸化水素水の場合、プリフォーム1への過酸化水素の付着量は、35質量%の過酸化水素を含む過酸化水素水の量として0.001μL/cm2〜0.5μL/cm2が好ましい。付着量が0.001μL/cm2よりも少ない場合は、十分な殺菌効果を得ることができない。また、この付着量が0.
5μL/cm2を超えると、プリフォーム1をボトル2にブロー成形した場合に、ボトル
に白化、斑点、皺、変形の成形不良が発生したり、ボトル2の過酸化水素の残留が多くなる。
殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズル31からプリフォーム1に向かって吹き付けられるが、図10(I)に示すように、殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル31内で二手に分かれて流れ、その一方がノズル31aからプリフォーム1の内部に向かって吹き付けられ、他方がプリフォーム1の外面に向かってノズル31bに設けられた吹き出し口から吹き付けられてもかまわない。殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル31から出た後、ガス状態のままで若しくはガスが凝結したミストとなって又はそれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に吹き付けられる。
なお、殺菌剤ガス吹き付けノズル31、ノズル31a,31bには、これらの途中から、無菌エアであるホットエアを供給することにより、ノズル31a、31bでの殺菌剤の結露を防止するようにしてもよい。
また、プリフォーム1の内部に向かって吹き付けられる殺菌剤のガスの周辺は、傘状部材59で覆われる。プリフォーム1内に流入した殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物はプリフォーム1の口部1aから溢れ出るが、この溢れ出たガス等の流れは傘状部材59に衝突し、傘状部材59の内面に設けられた環状溝59aに案内されて、プリフォーム1の外面へと向かって流れを変え、プリフォーム1の外面に吹き付けられようにしても構わない。
このように殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1の内外面に吹き付けられることにより、プリフォーム1の表面に付着した菌等が殺菌される。
なお、図10(I)に示したプリフォーム1への殺菌剤のガスの吹き付けの直前に、プリフォーム1に熱風を吹き付ける等してプリフォームを予備加熱してもよい。この予備加熱によりプリフォーム1の殺菌効果をさらに高めることができる。
また、殺菌剤ガス吹き付けノズル31は一個のみならず、複数個をプリフォーム1の走行路に沿って配置し、これら殺菌剤ガス吹き付けノズル31から殺菌剤のガスをプリフォーム1に向かって吹き付けるようにしてもよい。
殺菌剤のガスが吹き付けられたれたプリフォーム1は、図10(J)に示すように、グリッパ22により把持され、搬送されつつエア吹き付けノズル60によって無菌エアが吹き付けられても構わない。殺菌剤の種類や量により、無菌エアの吹き付けは行わなくても構わない。
無菌エアの吹き付けにより、プリフォーム1の表面に付着した殺菌剤が活性化され、プリフォーム1内外面の菌等が殺菌される。また、無菌エアの吹き付けによってプリフォーム1に付着した殺菌剤はプリフォーム1の表面から速やかに除去される。プリフォーム1に付着した殺菌剤は、加熱炉12内に入る以前に無菌エアの吹き付けによりプリフォーム1から除去される。
無菌エアは常温でも構わないが、加熱されて無菌ホットエアとすることで、殺菌効果が高まり、殺菌剤が過酸化水素を含有する場合は、過酸化水素のプリフォーム1への残留も減小する。無菌エアの加熱は、プリフォーム1に吹き付けられる無菌ホットエアの温度が40℃から140℃となるようにすることが望ましい。40℃未満では加熱による効果が少なく、プリフォーム1の温度が70℃を超えるとプリフォーム1の口部1aの変形などの不都合を生じるため、無菌ホットエアの温度は140℃を超えないことが好適である。
図10(J)に示すように、エアはエア吹き付けノズル60の主体をなす箱状のマニホルド60bに形成したスリット状の吹出口60aから吹き出すようになっている。
図10(I)に示す殺菌剤のガスのプリフォーム1への吹き付けと図10(J)に示すプリフォーム1への無菌エアの吹き付けは図1のホイール7で行うが、ホイール7を覆うプリフォーム殺菌チャンバー63は殺菌剤が成形部16に流入することを防止するために排気される。バリアチャンバー49に殺菌剤を含むエアを供給する排気ガス混合装置57に、この排気を導入しても構わない。
本発明の実施形態において、殺菌はプリフォーム1に対して行っても、ボトル2に対して行っても、また、プリフォーム1とボトル2の両方に対して行っても構わない。プリフォーム1に対してだけ殺菌を行う場合、雰囲気遮断チャンバー27、ボトル殺菌を行う殺菌部30は不要である。エアリンス部34は設けなくても構わない。
また、本発明の実施形態の図1に示すホイール46に、排出コンベヤ62を設けても構わない。この排出コンベヤ上で転倒することがないボトルについては、バリアチャンバー49及び出口チャンバー61を稼働することなく、ホイール46に接続して設けた排出コンベヤ62により搬送して無菌充填機の外部に排出しても構わない。当該排出コンベヤ62を使用しない場合は、排出端に設けたシャッターを閉じることで、充填部チャンバー41の無菌性が損なわれることはない。
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨内において種々変更可能である。