以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップなども含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、一実施の形態を説明するための各図面において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[一実施の形態]
一実施の形態における投射型映像表示装置について、図1〜図40を用いて説明する。
<投射型映像表示装置>
本実施の形態における投射型映像表示装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における投射型映像表示装置100の内部構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態における投射型映像表示装置100は、投射光学系101、表示素子102、表示素子駆動部103、照明光学系104、光源105、電源106、操作入力部107、不揮発性メモリ108、メモリ109、および制御部110を備える。さらに、本実施の形態における投射型映像表示装置100は、冷却部115、映像信号入力部/出力部131、通信部132、音声信号入力部/出力部133、スピーカー140、画像調整部160、およびストレージ部170を備える。照明光学系104は、可変絞り120を備える。
光源105は、映像投射用の光を発生するもので、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED光源、レーザー光源またはこれらの組み合わせなどを用いる。電源106は、外部から入力されるAC電流をDC電流に変換して、光源105に電力を供給する。さらに電源106は、その他各部にそれぞれ必要なDC電流を供給する。照明光学系104は、光源105で発生した光を集光し、より均一化して表示素子102に照射する。冷却部115は、光源105、電源106または表示素子102など、高温状態になる各部位を空冷方式や液冷方式で必要に応じて冷却する。
表示素子102は、照明光学系104からの光を透過または反射し、その際に光を変調して映像を生成する素子で、例えば、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、DMD(Digital Micromirror Device:登録商標)パネルなどを用いる。表示素子駆動部103は、表示素子102に対して映像信号に応じた駆動信号を送る。
投射光学系101は、映像を表示面200へ投射する拡大投射光学系で、レンズおよび/またはミラーを含む。
ここで、表示素子駆動部103が参照する映像信号は、映像信号入力部/出力部131を介して外部から入力される入力映像信号でもよく、当該入力映像信号に対して画像調整部160が画像調整を行った映像信号でもよく、これらの映像信号に不揮発性メモリ108やストレージ部170に格納された画像を用いて制御部110が生成するOSD画像信号を重畳した信号を参照してもよい。表示素子駆動部103がこれらの入力映像信号を参照して生成した駆動信号に応じて、表示素子102が光を変調して生成される光学像が投射光学系101により表示映像として表示面200へ投射される。
操作入力部107は、操作ボタンやリモコンの受光部であり、ユーザからの操作信号を入力する。
スピーカー140は、音声信号入力部/出力部133に入力された音声データに基づいた音声出力を行うことが可能である。また、スピーカー140は、内蔵の操作音やエラー警告音を出力してもよい。
次にインターフェース190について説明する。インターフェース190は、投射型映像表示装置100と外部機器400(例えば映像音声出力/入力装置、情報処理装置、または他の投射型映像表示装置)を接続し、両者間で各種データを送受信するインターフェースである。
図1では、投射型映像表示装置100がインターフェース190として、インターフェース190Aとインターフェース190Bの2つ有する例を示しており、それぞれ外部機器400A、外部機器400Bに接続されている。
映像信号入力部/出力部131Aは、インターフェース190Aの一部を構成する機能部であり、インターフェース190Aで接続された外部機器400Aから、投射型映像表示装置100に映像データを入力する。同一のインターフェースにおいて、映像データを出力する機能を有してもよい。すなわち、この映像信号入力部/出力部131Aは、別体または一体の機能部として、映像を入力する映像入力部として機能し、また、映像を出力する映像出力部として機能する。
音声信号入力部/出力部133Aは、同じくインターフェース190Aで接続される外部機器(例えば音声出力/入力装置や情報処理装置)400Aから音声データを入力する。同一のインターフェースにおいて、音声データを出力する機能を有してもよい。すなわち、この音声信号入力部/出力部133Aは、別体または一体の機能部として、音声を入力する音声入力部として機能し、また、音声を出力する音声出力部として機能する。
通信部132Aは、同じくインターフェース190Aで接続される外部機器400Aと各種の制御信号を入出力する。
このように、映像信号入力部/出力部131Aと音声信号入力部/出力部133Aと通信部132Aとは同一のインターフェース190Aとして構成されているが、それぞれ別インターフェースとして構成してもよい。
投射型映像表示装置100と外部機器400Bを接続する同じくインターフェース190Bおよびインターフェース190Bの一部を構成する映像信号入力部/出力部131Bと音声信号入力部/出力部133Bと通信部132Bの構成及び処理についても、上述したインターフェース190Aおよびインターフェース190Aの一部を構成する映像信号入力部/出力部131Aと音声信号入力部/出力部133Aと通信部132Aの構成及び処理と同様であるため、説明を省略する。なお、本図では、投射型映像表示装置100がインターフェース190として、インターフェース190Aとインターフェース190Bの2つ有する例を示したが、いずれか一つのみ有するように構成してもよく、同様の構成を有するインターフェースを3つ以上備えてもよい。その場合は、インターフェース190A、インターフェース190Bに加えて、インターフェース190C、インターフェース190D、…、インターフェース190Nと、設計上の必要に応じて増やしていけばよい。
不揮発性メモリ108は、プロジェクタ機能で用いる各種データを格納する。メモリ109は、投射する映像データや装置の制御用データを記憶する。GUI画像の生成に用いられる画像データを記憶しておいてもよい。制御部110は、接続される各部の動作を制御する。
画像調整部160は、映像信号入力部/出力部131で入力した映像データに対して画像処理を行うものである。当該画像処理としては、例えば、画像の拡大、縮小、変形などを行うスケーリング処理、輝度を変更するブライト調整処理、画像のコントラストカーブを変更するコントラスト調整処理、画像の階調特性を示すガンマカーブを変更するガンマ調整処理、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更するレティネックス処理などがある。
ストレージ部170は、映像、画像、音声、各種データなどを記録するものである。例えば、製品出荷時に予め映像、画像、音声、各種データなどを記録しておいてもよく、通信部132を介して外部機器や外部のサーバなどから取得した映像、画像、音声、各種データなどを記録してもよい。ストレージ部170に記録された映像、画像、各種データなどは、表示素子102と投射光学系101を介して投射映像として出力すればよい。ストレージ部170に記録された音声は、スピーカー140から音声として出力すればよい。
可変絞り120は、例えば、照明光学系104の光路の一部を遮光することが可能な可動遮光板を備える機構であり、制御部110の制御により、映像信号入力部/出力部131に入力される映像に基づいて算出された調光値(例えば、遮光率や絞りのステップ数)または通信部132から受信する制御信号に基づいて算出した調光値(例えば、遮光率や絞りのステップ数)に応じて、遮光板の位置や角度を変化(移動、回転)することにより、遮光量を可変する。遮光板の位置や角度の変化は、遮光板の駆動部に対する入力電圧値の変化や、遮光板の駆動部に入力するパルス数の変化により行えばよい。
以上説明したように、投射型映像表示装置100には様々な機能を載せることが可能である。
<入力映像連動可変調光機能>
次に、図1に示した投射型映像表示装置100の入力映像連動可変調光機能について説明する。投射型映像表示装置100には、投射映像の輝度を変更する手段が例えば3つある。一つ目は表示素子102である。二つ目は可変絞り120であり、上述の照明光学系104の光路における遮光量の変化により、調光を実現する。三つ目は、光源用の電源106である。電源106は、制御部110の制御により、映像信号入力部/出力部131に入力される映像に基づいて算出された調光値(例えば、遮光率や絞りのステップ数)または通信部132から受信する制御信号に基づいて算出した調光値(例えば、遮光率や絞りのステップ数)に応じて光源用の電圧を変化させることにより、光源105の輝度を変化させて調光を実現する。
入力映像に連動して調光量を制御する機能、いわゆる「入力映像連動可変調光機能」(単に可変調光機能とも呼ぶ)が必要となる。
そこで、本実施の形態における「入力映像連動可変調光機能」の概念には、表示素子102による光変調による投射映像の輝度変化自体は含まない。表示素子102による光変調以外の調光機能(例えば、可変絞り120の遮光調光や光源用の電源106の電圧可変調光)のうち、入力映像に由来する算出値に連動して調光量を変更する機能が「入力映像連動可変調光機能」の概念に含まれる。可変絞り120の遮光調光を実現する機能を、「可変アイリス機能」とも呼ぶ。光源用の電源106の電圧可変調光を実現する機能を、「ランプ調光機能」とも呼ぶ。
このように、表示素子102による光変調以外の機能により調光を行うことで、映像のダイナミックレンジを表示素子102の光変調のダイナミックレンジよりも拡大することができる。
また、投射型映像表示装置100を複数台備え、表示面に複数台の投射型映像表示装置100でそれぞれ映像を投影し、全体で連続した1つの入力映像を投影する使用形態(マルチ画面投影による使用形態)がある。このマルチ画面投影には、隣り合う映像が重ならないように表示面に投影する「重ねなし投影」と、隣り合う映像が重なるように表示面に投影する「重ねあり投影」とがある。なお、当該「重ねなし投影」の概念には、複数の映像が重ならないように隣接させる投影を含むが、隣り合う映像が厳密に一切重なっていないことを要求するものではなく、複数の映像の一部がわずかに重なっている状態を完全に排除する意味ではない。すなわち、本実施例の以下の説明において説明する「重ねあり投影」の「重畳部分」における複数の映像の輝度調整を行わずに、複数の映像をなるべく重ならないように隣接させて投影するものである。その意味では、本実施例の以下の説明におけるマルチ画面投影の種類のうち、「重ねなし投影」とは、「重畳部分の輝度調整なし投影」と表現してもよい。同様に、「重ねあり投影」とは、「重畳部分の輝度調整あり投影」と表現してもよい。このような使用形態では、複数台の投射型映像表示装置100のそれぞれにおいて、マルチ画面投影の際の映像の繋ぎ目が不自然にならないように留意する必要がある。
次に、複数台の投射型映像表示装置100によるマルチ画面投影の課題について、詳細に検討する。
<<「重ねなし投影」によるマルチ画面投影の例>>
まず、「重ねなし投影」によるマルチ画面投影の例について説明する。
映像1と映像2の[重ねなし投影]において、目標とするグラデーション映像を表示する例を図2を用いて説明する。
図2は、2つの投射型映像表示装置の映像の重ねなし投影において、元映像である入力映像を平均輝度値=50とした場合である。また、映像1は1000ピクセル分(0〜1000ピクセルの位置)であり、映像2は1000ピクセル分(1000〜2000ピクセルの位置)である。
この場合に、画面位置(pixel(ピクセル)の位置:0〜2000)と輝度値(0〜100)との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が100となり、直線的に増加する特性で表示することができれば、映像1と映像2との繋ぎ目が不自然となることはない。
<<「重ねあり投影」によるマルチ画面投影の例>>
次に、「重ねあり投影」によるマルチ画面投影の例について説明する。
映像1と映像2の[重ねあり投影]において、目標とするグラデーション映像を表示する例を図3を用いて説明する。
図3は、2つの投射型映像表示装置の映像の重ねあり投影において、元映像である入力映像を平均輝度値=50とした場合である。また、映像1は1200ピクセル分(0〜1200ピクセルの位置)であり、映像2は1200ピクセル分(800〜2000ピクセルの位置)である。映像1と映像2との重ね部分は400ピクセル分である。
この場合に、画面位置(pixel(ピクセル)の位置:0〜2000)と輝度値(0〜100)との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が100となり、直線的に増加する特性で表示することができれば、映像1と映像2との繋ぎ目が不自然となることはない。
次に、従来の投射型映像表示装置により、図2で説明した目標とするグラデーション映像の表示を試みる例を用いて説明する。
図4は従来の投射型映像表示装置90−1と90−2の2台によるマルチ画面投影を行う際のシステム構成例を示している。マルチ画面投影する際には、それぞれの投射型映像表示装置の入力映像は異なる。例えば図4では、外部機器である情報処理装置290から与えられる投射型映像表示装置90−1の入力映像1と、投射型映像表示装置90−2の入力映像2とは異なる。そのため、マルチ画面投影で表示面に表示される映像1と映像2との繋ぎ目の黒表示および白表示が近くなるように調整して、繋ぎ目の品位を向上させることが必要となる。
しかし、それぞれの投射型映像表示装置90−1、90−2の入力映像に応じた可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を行うと、それぞれの投射型映像表示装置90−1、90−2の黒輝度、白輝度が変わってしまい、繋ぎ目の輝度のつながりが不自然になるため、従来は入力映像連動可変調光機能をOFFにする必要があった。
以下に、従来の投射型映像表示装置でのマルチ画面投影で入力映像連動可変調光機能をONにする場合とOFFにする場合の例を対比しながら説明する。
<<[重ねなし投影+入力映像連動可変調光機能なし]>>
まず、[重ねなし投影+入力映像連動可変調光機能なし]の状態で、目標とするグラデーション表示を試みる例について、図5を用いて説明する。
図5は、投射型映像表示装置90−1の映像1と投射型映像表示装置90−2の映像2との重ねなし投影において、入力映像に連動する可変調光機能をOFFとした場合(もしくは当該機能がない場合)である。
この場合に、映像1の画面位置(0〜1000ピクセルの位置)と輝度値との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が1000ピクセルの位置では輝度値が50となり、直線的に増加する特性となる。
また、映像2の画面位置(1000〜2000ピクセルの位置)と輝度値との関係において、画面位置が1000ピクセルの位置では輝度値が50で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が100となり、直線的に増加する特性となる。
このように、可変調光機能をOFFとした場合もしくは当該機能がない場合は、目標とするグラデーション表示を再現でき、映像1と映像2との繋ぎ目を自然な状態とすることができる。
<<課題:[重ねなし投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]>>
次に、[重ねなし投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]の状態で目標とするグラデーション表示を試みる場合の課題について、図6を用いて説明する。
図6は、投射型映像表示装置90−1の映像1と投射型映像表示装置90−2の映像2との重ねなし投影において、従来技術の入力映像に連動する可変調光機能があって、当該機能がONの場合である。
ここで、従来技術の入力映像連動可変調光機能は、入力映像信号の平均輝度に連動して調光量を可変させる一般的な機能の例で説明する。説明を簡単にするために、入力映像の輝度値を0〜100の範囲とし、平均輝度が0なら調光量0%、平均輝度が100なら調光量100%とし、中間の調光量は平均輝度に比例するものとする。
また、映像1は1000ピクセル分(0〜1000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=25とする。映像2は1000ピクセル分(1000〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=75とする。映像全体(0〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=50とする。
この場合、投射型映像表示装置90−1に入力される入力平均輝度値=25なので、投射型映像表示装置90−1の可変調光機能による調光率は25%となる。よって、映像1の画面位置(0〜1000ピクセルの位置)と出力輝度値(調光機能なし×0.25)との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が1000ピクセルの位置では輝度値が12.5となり、直線的に増加する特性となる。
また、投射型映像表示装置90−2に入力される入力平均輝度値=75なので、投射型映像表示装置90−2の可変調光機能による調光率は75%となる。よって、映像2の画面位置(1000〜2000ピクセルの位置)と輝度値(調光機能なし×0.75)との関係において、画面位置が1000ピクセルの位置では輝度値が37.5で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が75となり、直線的に増加する特性となる。
そして、点線で示す本来の目標の輝度値(調光機能なし×0.5)は、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が50となり、直線的に増加する特性となるはずである。これに対し、図6の例における、映像1と映像2とを合成した場合の画面位置(0〜2000ピクセルの位置)と合成出力輝度値との関係において、画面位置が0〜1000ピクセルの位置および1000〜2000ピクセルの位置では直線的に増加する特性であるが、1000ピクセルの位置で合成出力輝度値が12.5から37.5に変化する特性となる。すなわち、合成出力輝度値が目標の輝度値と乖離し、かつ、画像の繋ぎ目である1000ピクセルの画面位置の輝度変化が不自然になっている。
<<[重ねあり投影+入力映像連動可変調光機能なし]>>
次に、[重ねあり投影+入力映像連動可変調光機能なし]の状態で、目標とするグラデーション表示を試みる例について、図7を用いて説明する。なお、システム構成例は図4と同様であるので説明を省略する。
図7は、投射型映像表示装置90−1の映像1と投射型映像表示装置90−2の映像2との重ねあり投影において、入力映像に連動する調光機能をOFFとした場合(もしくは当該機能がない場合)である。
この場合に、映像1の画面位置(0〜1200ピクセルの位置)と輝度値との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が800ピクセルの位置では輝度値が40で、画面位置が1200ピクセルの位置では輝度値が0となり、画面位置が0〜800ピクセルの範囲では直線的に増加する特性となり、画面位置が800〜1200ピクセルの範囲では直線的に減少する特性となる。
また、映像2の画面位置(800〜2000ピクセルの位置)と輝度値との関係において、画面位置が800ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が1200ピクセルの位置では輝度値が60で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が100となり、画面位置が800〜1200ピクセルの範囲では直線的に増加する特性となり、画面位置が1200〜2000ピクセルの範囲では直線的に増加する特性(800〜1200ピクセルの範囲よりも緩やかに増加する特性)となる。
ここで、図5の重ねなし投影と異なり、図7の重ねあり投影では、2つの映像の重畳部分(図7の例では800〜1200ピクセルの部分)では、両者の映像を自然に混合するために、両映像とも画面端に向かって出力輝度値をなだらかに低下させつつ、合成出力輝度値は目標のグラデーションとなるように出力輝度値を調整(重畳部分の輝度調整)して算出している。
このように、可変調光機能をOFFとした場合もしくは当該機能がない場合は、重ねあり投影でも目標とするグラデーション表示を再現でき、映像1と映像2との繋ぎ目を自然な状態とすることができる。
<<課題:[重ねあり投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]>>
次に、[重ねあり投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]の状態で目標とするグラデーション表示を試みる場合の課題について、図8を用いて説明する。
図8は、投射型映像表示装置90−1の映像1と投射型映像表示装置90−2の映像2との重ねあり投影に加えて、従来技術の入力映像に連動する調光機能があって、当該機能がONの場合である。
ここで例示する従来技術の入力映像連動可変調光機能は、図6で説明した従来技術の入力映像連動可変調光機能と同様であるとし、その再度の説明を省略する。
また、映像1は1200ピクセル分(0〜1200ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=30とする。映像2は1200ピクセル分(800〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=70とする。映像全体(0〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=50とする。
この場合に、投射型映像表示装置90−1に入力される入力平均輝度値=30なので、投射型映像表示装置90−1の可変調光機能による調光率は30%となる。よって、映像1の画面位置(0〜1200ピクセルの位置)と輝度値(調光機能なし×0.3)との関係において、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が800ピクセルの位置では輝度値が15で、画面位置が1200ピクセルの位置では輝度値が0となり、画面位置が0〜800ピクセルの範囲では直線的に増加する特性となり、画面位置が800〜1200ピクセルの範囲では直線的に減少する特性となる。
また、投射型映像表示装置90−2に入力される入力平均輝度値=70なので、投射型映像表示装置90−2の可変調光機能による調光率は70%となる。よって、映像2の画面位置(800〜2000ピクセルの位置)と輝度値(調光機能なし×0.7)との関係において、画面位置が800ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が1200ピクセルの位置では輝度値が52.5で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が70となり、画面位置が800〜1200ピクセルの範囲では直線的に増加する特性となり、画面位置が1200〜2000ピクセルの範囲では直線的に増加する特性(800〜1200ピクセルの範囲よりも緩やかに増加する特性)となる。
そして、点線で示す本来の目標の輝度値(調光機能なし×0.5)は、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が50となり、直線的に増加する特性となるはずである。これに対し、図8の例における、映像1と映像2とを合成した場合の画面位置(0〜2000ピクセルの位置)と合成出力輝度値との関係において、画面位置が0〜800ピクセルの位置および1200〜2000ピクセルの位置では直線的に増加する特性であるが、重ね部分の800〜1200ピクセルの位置で合成出力輝度値が15から52.5に直線的に急激に増加する特性となる。すなわち、合成出力輝度値が目標の輝度値と乖離し、かつ、画像の繋ぎ目である重ね部分800〜1200ピクセルの部分周辺の輝度変化が不自然になっている。
以上説明したとおり、従来の投射型映像表示装置では、マルチ画面投影を行う際に、入力映像連動可変調光機能をONにすると繋ぎ目周辺の輝度変化が不自然になるため、当該入力映像連動可変調光機能をOFFにする必要があった。このため、マルチ画面投影においては、入力映像連動可変調光機能による映像のダイナミックレンジ拡大の効果を得るのは容易ではなかった。
<マルチ画面投影の課題の解決手段>
次に、上述マルチ画面投影の課題を解決する解決手段について説明する。上述した、従来の投射型映像表示装置によるマルチ画面投影では、映像1と映像2との繋ぎ目が不自然になるという課題があり、本実施の形態では以下のようにして解決する。
本実施の形態においては、マルチ画面投影時に、分割映像単位の調光ではなく、分割映像単位より大きな範囲の映像部分(例えば、入力映像全体)に基づいたパラメータを用いて共通調光値を設定し、当該共通調光値を複数台の投射型映像表示装置で共通に用いることにより、複数台の投射型映像表示装置間の調光率をより近づけることができ、調光機能を動作させてもマルチ画面投影の境界部分(繋ぎ目、境目)を目立たなくすることができる。具体的には、以下の通りである。
<<解決手段:[重ねなし投影+本実施の形態の入力映像連動可変調光機能]>>
従来の課題を解決する[重ねなし投影+本実施の形態の入力映像連動可変調光機能]の動作概念について、図9を用いて説明する。
図9には、上述した図6で示した<<課題:グラデーション表示の場合の[重ねなし投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]>>における課題を解決可能な動作例が示されている。
図9における本実施の形態の入力映像連動可変調光機能は、例えば、図1の説明において述べた「入力映像連動可変調光機能」の構成、すなわち、可変絞り120の遮光調光を実現する機能(可変アイリス機能)、または光源用の電源106の電圧可変調光を実現する機能(ランプ調光機能)を適用するものである。
本実施の形態の入力映像連動可変調光機能では、映像1と映像2との両者にそれぞれの映像より大きな映像(例:全体映像)の入力平均輝度値を共通に使う。これにより、合成出力輝度値が目標の輝度値に近づくようにする。
図9において、映像1は1000ピクセル分(0〜1000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=25とする。映像2は1000ピクセル分(1000〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=75とする。映像全体(0〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=50とする。
この場合に、映像1と映像2とを合成した場合の画面位置(0〜2000ピクセルの位置)と合成出力輝度値との関係において、従来技術の入力映像連動可変調光機能では、破線で示すように、1000ピクセルの位置で合成出力輝度値が12.5から37.5に変化する特性であるため、合成出力輝度値が目標の輝度値と乖離し、かつ、1000ピクセルの画面位置の繋ぎ目が不自然になっていた。
これに対し、本実施の形態の入力映像連動可変調光機能では、映像1(入力平均輝度値=25)と映像2(入力平均輝度値=75)のそれぞれの入力平均輝度値に基づいて算出する調光値(図6の例では、25%と75%)を、別々に適用せず、映像1、映像2より大きな映像全体の入力平均輝度値=50に基づいて算出する調光値(50%)を映像1および映像2の両者に共通に使う。これにより、実線で示すように、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が50となり、直線的に増加する特性となる。これにより、合成出力輝度値が目標の輝度値に近づき、かつ、画面の繋ぎ目である1000ピクセルの画面位置付近の輝度変化がより自然になる。
<<解決手段:[重ねあり投影+本実施の形態の入力映像連動可変調光機能]>>
次に、[重ねあり投影]についても、従来の課題を解決する[重ねあり投影+本実施の形態の入力映像連動可変調光機能]の動作概念について、図10を用いて説明する。
図10には、上述した図8で示した<<課題:グラデーション表示の場合の[重ねあり投影+従来技術の入力映像連動可変調光機能]>>における課題を解決可能な動作例が示されている。
図10における本実施の形態の入力映像連動可変調光機能も、図9の例と同様、例えば、図1の説明において述べた「入力映像連動可変調光機能」の構成、すなわち、可変絞り120の遮光調光を実現する機能(可変アイリス機能)、または光源用の電源106の電圧可変調光を実現する機能(ランプ調光機能)を適用するものである。
本実施の形態の入力映像連動可変調光機能でも、映像1と映像2との両者にそれぞれの映像より大きな映像(例:全体映像)の入力平均輝度値を共通に使う。これにより、合成出力輝度値が目標の輝度値に近づくようにする。
図10において、映像1は1200ピクセル分(0〜1200ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=30とする。映像2は1200ピクセル分(800〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=70とする。映像全体(0〜2000ピクセルの位置)で、入力平均輝度値=50とする。
この場合に、映像1と映像2とを合成した場合の画面位置(0〜2000ピクセルの位置)と合成出力輝度値との関係において、従来技術の入力映像連動可変調光機能では、破線で示すように、重ね部分の800〜1200ピクセルの位置で合成出力輝度値が15から52.5に直線的に急激に増加する特性であるため、合成出力輝度値が目標の輝度値と乖離し、かつ、重ね部分の800〜1200ピクセルの画面位置の繋ぎ目が不自然になっていた。
これに対し、本実施の形態の入力映像連動可変調光機能では、映像1(入力平均輝度値=30)と映像2(入力平均輝度値=70)のそれぞれの入力平均輝度値に基づいて算出する調光値(図6の例では、30%と70%)を、別々に適用せず、映像1、映像2より大きな映像全体の入力平均輝度値=50に基づいて算出する調光値(50%)を映像1および映像2の両者に共通に使う。これにより、実線で示すように、画面位置が0ピクセルの位置では輝度値が0で、画面位置が2000ピクセルの位置では輝度値が50となり、直線的に増加する特性となる。これにより、合成出力輝度値が目標の輝度値(調光機能なし×0.5)に近づき、かつ、画面の繋ぎ目である重ね部分の800〜1200ピクセルの画面位置付近の輝度変化がより自然になる。
以上説明した<マルチ画面投影の課題の解決手段>を適用した、<基本例>、<変形例1>、<変形例2>、<変形例3>、<変形例4>、<変形例5>、<変形例6>、<変形例7>について、以下において順に説明する。なお、これらの基本例および変形例は、上述の[重ねなし投影]および[重ねあり投影]のいずれにも適用可能である。
<基本例>
基本例について、図11〜図14を用いて説明する。図11は、基本例の構成を説明するための図である。
図11に示すように、基本例の構成として、複数台の投射型映像表示装置としての投射型映像表示装置100−1および100−2と、外部機器としての情報処理装置300aと、を有する例を説明する。投射型映像表示装置100−1および100−2は、上述した図1に示すような内部構成の投射型映像表示装置100である。情報処理装置300aは、上述した図1に示した映像信号入力部/出力部131に接続される外部機器300の一例である。
なお、図11および以降の図面で説明する投射型映像表示装置と情報処理装置との接続及び複数の投射型映像表示装置間の接続はいずれも、例えば図1で説明したインターフェース190による接続を用いればよい。このようにすれば、各接続において、映像の送受信だけでなく制御情報の送受信を行うこともできる。
情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1、100−2の両方でマルチ画面投影する入力映像0に基づいて、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2で表示する入力映像1、2を生成する。また、情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1、100−2で表示する入力映像1、2のそれぞれの範囲よりも広い範囲である入力映像0全体を用いた演算により調光量を決定し、この調光量を指定する情報(調光制御情報)も生成する。
そして、情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1に対して、投射型映像表示装置100−1で表示する入力映像1と調光制御情報とを出力する。これを入力として、投射型映像表示装置100−1は、調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら映像1を表示する。同様に、情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−2に対して、投射型映像表示装置100−2で表示する入力映像2と調光制御情報とを出力する。これを入力として、投射型映像表示装置100−2は、調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら映像2を表示する。投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2に送信される調光制御情報には、共有の調光値が格納されており、これが投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2の両者に共通に用いられる。
基本例の構成における効果は、マルチ画面投影時に、投射型映像表示装置100−1が表示する映像1と投射型映像表示装置100−2が表示する映像2との繋ぎ目の目立ち難さと、映像1と映像2とのマルチ画面投影映像全体の高ダイナミックレンジとを両立することができる。
<<基本例における投射型映像表示装置>>
基本例における投射型映像表示装置について、図12を用いて説明する。図12は、基本例における投射型映像表示装置を説明するための図である。
図12に示すように、基本例における投射型映像表示装置として、投射型映像表示装置100−1を例に説明する。投射型映像表示装置100−1は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能の入力映像連動可変調光機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードを、投射映像に重畳して表示するメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、情報処理装置300aから入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に応じて調光量を変更しながら入力映像1を表示する第1の表示モードがある。すなわち、第1の表示モードでは、入力される調光制御情報に従って調光量が可変される。この第1の表示モードは、上述したマルチ画面投影時に用いられる表示モード(マルチ画面投影モード)である。
さらに、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1単独投影で用いるために、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像1に応じて調光量を変更しながら入力映像1を表示する第2の表示モードがある。すなわち、第2の表示モードでの調光量算出の演算対象は、図12に示すように投射型映像表示装置100−1への入力映像である。この第2の表示モードは、投射型映像表示装置100−1を単独で使用する時の表示モード(単独表示モード)である。
<<基本例におけるメニュー画面>>
基本例におけるメニュー画面について、図13を用いて説明する。図13は、基本例におけるメニュー画面を説明するための図である。
図13に示すように、基本例におけるメニュー画面としての入力映像連動可変調光機能モードメニューには、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モードと、第2の表示モードとしての単独表示モードとがある。さらに、入力映像連動可変調光機能モードメニューには、入力映像連動可変調光機能をOFFにするモードも設けられている。これらのモードは、操作入力部107へ入力される操作入力に基づいてカーソルの移動などで択一的に選択できるように構成すればよい。
この基本例の構成では、画質調整機能として、後述する<変形例5>の画質制御連動機能、<変形例6>の局所画質調整禁止機能が追加可能である。例えば、第1の表示モードでは、入力映像の全体に均一に影響する第1の画質調整処理(<変形例5>の画質制御連動機能)の実行は許可し、入力映像に対する画質調整が局所的に異なる第2の画質調整処理(<変形例6>の局所画質調整禁止機能)は禁止する状態としてもよい。また、第2の表示モードまたは入力映像連動可変調光機能がOFFのモードでは、第1の画質調整処理および第2の画質調整処理の実行のいずれも許可する状態としてもよい。
また、この基本例の構成では、光源105の個体差により入力映像連動可変調光機能をOFFした場合でも、複数の投射型映像表示装置100−1、100−2の明るさが不均一な場合への対応として、後述する<変形例7>の機能が追加可能である。例えば、投射型映像表示装置100−1、100−2は、入力映像連動可変調光機能(<変形例7>の第2の制御)に用いる調光手段とは異なる調光手段により調光量を変更可能な第2の可変調光機能(<変形例7>の第1の制御)を有する。この第2の可変調光機能は、投射型映像表示装置100−1と他の投射型映像表示装置100−2とを用いて、関連する映像を両者で同時に表示するときに可変調光機能をOFFにした場合の両者の投射映像の境目を目立たなくするために用いられる可変調光機能である。そして、可変調光機能に用いる調光手段は、第2の可変調光機能には用いられない。
これらの<変形例5>、<変形例6>および<変形例7>の追加機能は、<基本例>に限らず、後述する<変形例1>、<変形例2>、<変形例3>、<変形例4>の構成においても同様に追加可能である。
<<基本例におけるn台接続例>>
基本例におけるn台接続例について、図14を用いて説明する。図14は、基本例におけるn台接続例を説明するための図である。
図14に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、情報処理装置300aが、投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nのそれぞれで表示する入力映像1、2、…、nを生成する。また、情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nに共通の調光量を指定する調光制御情報も生成する。そして、情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nのそれぞれに対して、入力映像1、2、…、nと調光制御情報とを出力する。これを入力として、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nは、いずれの装置においても共通の調光値を指定する調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら映像1、2、…、nを表示する。
このようにして、n台の投射型映像表示装置100−1〜100nをマルチ画面投影する際に、投射型映像表示装置100−1が表示する映像1と投射型映像表示装置100−2が表示する映像2との繋ぎ目、投射型映像表示装置100−2が表示する映像2と投射型映像表示装置100−3が表示する映像3との繋ぎ目、…、投射型映像表示装置100−(n−1)が表示する映像n−1と投射型映像表示装置100−nが表示する映像nとの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
以下、複数の変形例について説明するが、いずれの変形例でも基本例で説明した動作や処理と同様の部分については説明の重複を避けるため、説明を省略する。
<変形例1>
変形例1について、図15〜図18を用いて説明する。図15は、変形例1の構成を説明するための図である。
図15に示すように、変形例1の構成として、複数台の投射型映像表示装置としての投射型映像表示装置100−1および100−2と、外部機器としての情報処理装置300aと、を有する例を説明する。
情報処理装置300aは、投射型映像表示装置100−1、100−2の両方でマルチ画面投影する入力映像0を、投射型映像表示装置100−1、100−2に対して出力する。
これを入力として、投射型映像表示装置100−1、100−2は、入力映像0全体に応じて調光量を決定するが、入力映像0のうち、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2で設定される一部のトリミング映像1、2(入力映像0からトリミングした映像1、2)を表示する。すなわち、マルチ画面投影モードでは、投射型映像表示装置100−1、100−2で表示する範囲よりも広い範囲である入力映像0全体を用いた演算により調光量を決定し、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで同じ演算を用いる。この際、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで同じ映像(入力映像0)を対象とした演算を行うので、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで調光値が共通化される。よって、マルチ画面投影モードでのこれらの装置の投射映像の繋ぎ目の品位を向上させることができる。
なお、画質などその他の設定を共通化するために、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2との間に通信線を接続して通信するように構成してもよい。
<<変形例1における投射型映像表示装置>>
変形例1における投射型映像表示装置について、図16を用いて説明する。図16は、変形例1における投射型映像表示装置を説明するための図である。
図16に示すように、変形例1における投射型映像表示装置として、投射型映像表示装置100−1を例に説明する。投射型映像表示装置100−1は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モードがある。すなわち、第1の表示モードでは、図16に示すように、表示対象が入力映像0からトリミングした映像1であり、演算対象は入力映像0全体である。この第1の表示モードは、マルチ画面投影モードである。
また、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0またはこれをスケーリングした映像Xを対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0をスケーリングした映像Xを表示する第2の表示モードがある。図16では、入力映像0をスケーリング(縮小)した映像Xを演算対象にしている。この第2の表示モードは、単独表示モードである。
変形例1における投射型映像表示装置100−1では、他の投射型映像表示装置100−2への出力は必ずある必要はなく、該出力がなくてもよい。
<<変形例1におけるメニュー画面>>
変形例1におけるメニュー画面について、図17を用いて説明する。図17は、変形例1におけるメニュー画面を説明するための図である。
図17に示すように、変形例1におけるメニュー画面としての入力映像連動可変調光機能モードメニューには、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モードと、第2の表示モードとしての単独表示モードとがある。さらに、入力映像連動可変調光機能モードメニューには、入力映像連動可変調光機能をOFFにするモードも設けられている。
<<変形例1におけるn台接続例>>
変形例1におけるn台接続例について、図18を用いて説明する。図18は、変形例1におけるn台接続例を説明するための図である。
図18に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、情報処理装置300aが、投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nのそれぞれに対して、入力映像0を出力する。これを入力として、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nは、入力映像0全体に応じて調光量を決定するが、入力映像0のうち、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nで設定される一部のトリミング映像1、2、…、n、すなわち入力映像0からトリミングした映像1、2、…、nを表示する。
このようにして、n台の投射型映像表示装置100−1〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
このように変形例1では、本例にかかる複数の投射型映像表示装置側の処理によって、当該複数の投射型映像表示装置間で共通の調光値を算出することができ、当該共通の調光値を用いた可変調光機能を実現できる。そのため、変形例1では、情報処理装置300aには、調光制御情報を生成する機能を搭載する必要がなく単なる映像出力装置であってもよい。すなわち、変形例1では、情報処理装置300aが単なる映像出力装置であってもマルチ画面投影モードでの投射映像の繋ぎ目の品位の向上を実現できる。
<変形例2>
変形例2について、図19〜図24を用いて説明する。図19は、変形例2の構成を説明するための図である。
図19に示すように、変形例2の構成として、複数台の投射型映像表示装置としての投射型映像表示装置100−1および100−2と、外部機器としての情報処理装置300aと、を有する例を説明する。
1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2をスレーブとする。情報処理装置300aは、入力映像0(マルチ画面投影の表示映像全体を含む映像)を、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して出力する。
マスターの投射型映像表示装置100−1において、入力映像0を入力し、映像1、映像2のトリミングを指定し、そして、映像2をスレーブの投射型映像表示装置100−2に出力するとともに、入力映像0に基づく演算(平均輝度、ヒストグラム、最大輝度)などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2に出力する。この調光制御情報は、投射型映像表示装置100−2の調光状態を投射型映像表示装置100−1の調光状態に近づかせるため(調光値を共通化するため)に、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報である。この際、投射型映像表示装置100−2は、当該調光制御情報にしたがって調光を行うので、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで調光値が共通化される。よって、マルチ画面投影モードでのこれらの装置の投射映像の繋ぎ目の品位を向上させることができる。
<<変形例2におけるマスターの投射型映像表示装置>>
変形例2におけるマスターの投射型映像表示装置について、図20を用いて説明する。図20は、変形例2におけるマスターの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図20に示すように、変形例2におけるマスターの投射型映像表示装置100−1は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
さらに、第1の表示モードでは、スレーブの投射型映像表示装置100−2に対して、入力映像0を対象にした演算に応じて算出した、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報と、映像1とは異なる、入力映像0からトリミングした映像2を出力する。
また、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0またはこれをスケーリングした映像Xを対象にした演算に応じて調光量を変更しながら、入力映像0をスケーリングした映像Xを表示する第2の表示モード(単独表示モード)がある。
変形例2におけるマスターの投射型映像表示装置100−1のように、スレーブの投射型映像表示装置100−2に対して、映像2と調光制御情報との送信処理は、映像信号入力部/出力部131と通信部132との一体型インターフェースであるインターフェース190において、例えば、図21のようなデータフォーマットのデータを送信することで実現することができる。図21は、データフォーマットの一例を説明するための図である。
図21に示すように、データフォーマットには、1フレームのデータに、フレームヘッダまたはフレーム単位のユーザデータの領域と、ペイロードの領域とがある。ペイロードの領域には映像の情報が含まれ、フレームヘッダまたはフレーム単位のユーザデータの領域には調光制御情報が含まれている。このようなデータフォーマットでの送信を行うことにより、送信先の投射型映像表示装置においてフレーム単位での調光制御を実現できる。当該データフォーマットは、本実施例の基本例、他の複数の変形例のいずれにおいても、映像データと調光制御情報とをともに送信する場合に適用しても構わない。
<<変形例2におけるスレーブの投射型映像表示装置>>
変形例2におけるスレーブの投射型映像表示装置について、図22を用いて説明する。図22は、変形例2におけるスレーブの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図22に示すように、変形例2におけるスレーブの投射型映像表示装置100−2は、前述した基本例の投射型映像表示装置100−2と同じ構成であり、入力映像から演算した調光値で可変調光を実現するのではなく、調光制御情報にしたがって可変調光機能を実現する。この可変調光機能を用いた表示モード(スレーブ調光量可変表示モード)は、マスターの投射型映像表示装置100−1から出力されてスレーブの投射型映像表示装置100−2に入力される調光制御情報に応じて調光量を変更しながら、入力映像0からトリミングされた入力映像である入力映像2を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード)である。
<<変形例2におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置>>
変形例2におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置は、上述したマスターの投射型映像表示装置100−1とスレーブの投射型映像表示装置100−2との両者の機能を備え、機能を切り替え可能な投射型映像表示装置であり、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
さらに、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に応じて調光量を変更しながら投射型映像表示装置に入力される入力映像2を表示する第3の表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
変形例2におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置では、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モードをマスターモードと呼び、第3の表示モードとしてのマルチ画面投影モードをスレーブモードと呼ぶ。すなわち、複数種類のマルチ画面投影モードを有する。
<<変形例2におけるメニュー画面>>
変形例2におけるメニュー画面について、図23を用いて説明する。図23は、変形例2におけるメニュー画面を説明するための図である。図23では、マスター兼スレーブの投射型映像表示装置の例を示す。
図23に示すように、変形例2におけるメニュー画面としての入力映像連動可変調光機能モードメニューには、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(マスターモード)と、第3の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(スレーブモード)と、第2の表示モードとしての単独表示モードとがある。さらに、入力映像連動可変調光機能モードメニューには、入力映像連動可変調光機能をOFFにするモードも設けられている。
よって、変形例2のマスター兼スレーブの投射型映像表示装置では、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モードであるマスターモードと、第3の表示モードとしてのマルチ画面投影モードであるスレーブモードとの、複数種類のマルチ画面投影モードを有する。
<<変形例2におけるn台接続例>>
変形例2におけるn台接続例について、図24を用いて説明する。図24は、変形例2におけるn台接続例を説明するための図である。
図24に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2〜100−nをスレーブとする。
情報処理装置300aが、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して、入力映像0を出力する。これを入力として、マスターの投射型映像表示装置100−1は、映像1、2〜nのトリミングを指定し、そして、映像2〜nをスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力するとともに、入力映像0に基づく演算などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力する。そして、マスターの投射型映像表示装置100−1、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nは、映像1、2〜nを表示する。
このようにして、マスターの投射型映像表示装置100−1およびスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
このように変形例2では、本例にかかる複数の投射型映像表示装置側の処理によって、当該複数の投射型映像表示装置間で共通の調光値を算出することができ、当該共通の調光値を用いた可変調光機能を実現できる。そのため、変形例2では、情報処理装置300aには、調光制御情報を生成する機能を搭載する必要がなく単なる映像出力装置であってもよい。さらに、情報処理装置300aは、マスターとなる投射映像表示装置のみに接続すればよいので、情報処理装置300aの映像出力部が1系統のみしかない場合でも上述の効果を得ることができる。すなわち、変形例2では、情報処理装置300aが単なる映像出力装置であって映像出力が1系統のみしかない場合でも、マルチ画面投影モードでの投射映像の繋ぎ目の品位の向上を実現できる。
また、変形例2では、各投射型映像表示装置の映像のトリミングは、マスター投射型映像表示装置が行うので、スレーブ投射型映像表示装置ではトリミング処理が不要となる。
<変形例3>
変形例3について、図25〜図30を用いて説明する。図25は、変形例3の構成を説明するための図である。
図25に示すように、変形例3の構成として、複数台の投射型映像表示装置としての投射型映像表示装置100−1および100−2と、外部機器としての情報処理装置300aと、を有する例を説明する。
1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2をスレーブとする。情報処理装置300aは、入力映像0(マルチ画面投影の表示映像全体を含む映像)を、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して出力する。
マスターの投射型映像表示装置100−1において、入力映像0を入力し、映像1のトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2に出力するとともに、入力映像0に基づく演算(平均輝度、ヒストグラム、最大輝度)などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2に出力する。この調光制御情報は、投射型映像表示装置100−2の調光状態を投射型映像表示装置100−1の調光状態に近づかせるために、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報である。この際、投射型映像表示装置100−2は、当該調光制御情報にしたがって調光を行うので、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで調光値が共通化される。よって、マルチ画面投影モードでのこれらの装置の投射映像の繋ぎ目の品位を向上させることができる。また、投射型映像表示装置100−2は、投射型映像表示装置100−1から出力された入力映像0から映像2へのトリミングを行う。
<<変形例3におけるマスターの投射型映像表示装置>>
変形例3におけるマスターの投射型映像表示装置について、図26を用いて説明する。図26は、変形例3におけるマスターの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図26に示すように、変形例3におけるマスターの投射型映像表示装置100−1は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
さらに、第1の表示モードでは、スレーブの投射型映像表示装置100−2に対して、入力映像0を対象にした演算に応じて算出した、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報と、入力映像0を出力する。
また、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0またはこれをスケーリングした映像Xを対象にした演算に応じて調光量を変更しながら、入力映像0をスケーリングした映像Xを表示する第2の表示モード(単独表示モード)がある。
<<変形例3におけるスレーブの投射型映像表示装置>>
変形例3におけるスレーブの投射型映像表示装置について、図27を用いて説明する。図27は、変形例3におけるスレーブの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図27に示すように、変形例3におけるスレーブの投射型映像表示装置100−2は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、スレーブの投射型映像表示装置100−2に入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら、スレーブの投射型映像表示装置100−2に入力される入力映像0にトリミングを行って生成した映像2を表示する表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
<<変形例3におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置>>
変形例3におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置は、上述したマスターの投射型映像表示装置100−1とスレーブの投射型映像表示装置100−2とを兼ねた投射型映像表示装置であり、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード=マスターモード)がある。
さらに、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら投射型映像表示装置に入力される入力映像0をトリミングした映像2を表示する第3の表示モード(マルチ画面投影モード=スレーブモード)がある。
<<変形例3におけるメニュー画面>>
変形例3におけるメニュー画面について、図28を用いて説明する。図28は、変形例3におけるメニュー画面を説明するための図である。図28では、マスター兼スレーブの投射型映像表示装置の例を示す。
図28に示すように、変形例3におけるメニュー画面としての入力映像連動可変調光機能モードメニューには、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(マスターモード)と、第3の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(スレーブモード)と、第2の表示モードとしての単独表示モードとがある。さらに、入力映像連動可変調光機能モードメニューには、入力映像連動可変調光機能をOFFにするモードも設けられている。
<<変形例3におけるn台接続例1>>
変形例3におけるn台接続例1について、図29を用いて説明する。図29は、変形例3におけるn台接続例1を説明するための図である。
図29に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2〜100−nをスレーブとする。
情報処理装置300aが、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して、入力映像0を出力する。これを入力として、マスターの投射型映像表示装置100−1は、映像1のトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力するとともに、入力映像0に基づく演算などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力する。そして、マスターの投射型映像表示装置100−1、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nは、映像1、2〜nを表示する。
このようにして、マスターの投射型映像表示装置100−1およびスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
<<変形例3におけるn台接続例2(デイジーチェーン)>>
変形例3におけるn台接続例2(デイジーチェーン)について、図30を用いて説明する。図30は、変形例3におけるn台接続例2(デイジーチェーン)を説明するための図である。
図30に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2〜100−nをスレーブとする。
情報処理装置300aが、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して、入力映像0を出力する。これを入力として、マスターの投射型映像表示装置100−1は、映像1のトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2に出力するとともに、入力映像0に基づく演算などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2に出力する。以降順に、スレーブの投射型映像表示装置100−2は、入力映像0と調光制御情報とをスレーブの投射型映像表示装置100−3に出力し、…、スレーブの投射型映像表示装置100−(n−1)は、入力映像0と調光制御情報とをスレーブの投射型映像表示装置100−nに出力する。そして、マスターの投射型映像表示装置100−1、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nは、映像1、2〜nを表示する。
このようにして、マスターの投射型映像表示装置100−1およびスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
このように変形例3では、本例にかかる複数の投射型映像表示装置側の処理によって、当該複数の投射型映像表示装置間で共通の調光値を算出することができ、当該共通の調光値を用いた可変調光機能を実現できる。そのため、変形例3では、情報処理装置300aには、調光制御情報を生成する機能を搭載する必要がなく単なる映像出力装置であってもよい。さらに、情報処理装置300aは、マスターとなる投射映像表示装置のみに接続すればよいので、情報処理装置300aの映像出力部が1系統のみしかない場合でも上述の効果を得ることができる。すなわち、変形例3では、情報処理装置300aが単なる映像出力装置であって映像出力が1系統のみしかない場合でも、マルチ画面投影モードでの投射映像の繋ぎ目の品位の向上を実現できる。
また、変形例3では、各投射型映像表示装置は入力映像0をそのまま出力し、後段の投射型映像表示装置でそれぞれ映像のトリミングをおこなうので、マスター投射型映像表示装置では、後段のスレーブ投射型映像表示装置のためのトリミング処理が不要となる。また、デイジーチェーン接続でも上記効果を得ることができる。
<変形例4>
変形例4について、図31〜図36を用いて説明する。図31は、変形例4の構成を説明するための図である。
図31に示すように、変形例4の構成として、複数台の投射型映像表示装置としての投射型映像表示装置100−1および100−2と、外部機器としての情報処理装置300aと、を有する例を説明する。
1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2をスレーブとする。情報処理装置300aは、入力映像0(マルチ画面投影の表示映像全体を含む映像)を、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して出力する。
マスターの投射型映像表示装置100−1において、入力映像0を入力し、映像1、映像2のトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2に出力するとともに、映像2のトリミング範囲を指定する情報であるトリミング範囲指定情報2と、入力映像0に基づく演算(平均輝度、ヒストグラム、最大輝度)などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2に出力する。この調光制御情報は、投射型映像表示装置100−2の調光状態を投射型映像表示装置100−1の調光状態に近づかせるために、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報である。この際、投射型映像表示装置100−2は、当該調光制御情報にしたがって調光を行うので、投射型映像表示装置100−1と投射型映像表示装置100−2とで調光値が共通化される。よって、マルチ画面投影モードでのこれらの装置の投射映像の繋ぎ目の品位を向上させることができる。
<<変形例4におけるマスターの投射型映像表示装置>>
変形例4におけるマスターの投射型映像表示装置について、図32を用いて説明する。図32は、変形例4におけるマスターの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図32に示すように、変形例4におけるマスターの投射型映像表示装置100−1は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
さらに、第1の表示モードでは、スレーブの投射型映像表示装置100−2に対して、入力映像0を対象にした演算に応じて算出した、投射映像の1フレーム単位で投射型映像表示装置100−2の有する可変調光機能を制御可能な調光制御情報と、入力映像0と、入力映像0をトリミングするためのトリミング範囲指定情報とを出力する。このとき、マスターの投射型映像表示装置100−1では、操作入力部107に入力される操作入力に応じて、マスターの投射型映像表示装置100−1で表示する映像1とスレーブの投射型映像表示装置100−2で表示する映像2のそれぞれについて、入力映像0からトリミングして表示するトリミング範囲を設定することが可能であり、そのうち、スレーブの投射型映像表示装置100−2で表示する映像2についてのトリミング範囲に関する情報であるトリミング範囲指定情報を出力する。
また、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置100−1に入力される入力映像0またはこれをスケーリングした映像Xを対象にした演算に応じて調光量を変更しながら、入力映像0をスケーリングした映像Xを表示する第2の表示モード(単独表示モード)がある。
<<変形例4におけるスレーブの投射型映像表示装置>>
変形例4におけるスレーブの投射型映像表示装置について、図33を用いて説明する。図33は、変形例4におけるスレーブの投射型映像表示装置を説明するための図である。
図33に示すように、変形例4におけるスレーブの投射型映像表示装置100−2は、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、スレーブの投射型映像表示装置100−2に入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら、スレーブの投射型映像表示装置100−2に入力される入力映像0を投射型映像表示装置100−2に入力されるトリミング範囲指定情報を用いてトリミングした映像2を表示する表示モード(マルチ画面投影モード)がある。
<<変形例4におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置>>
変形例4におけるマスター兼スレーブの投射型映像表示装置は、上述したマスターの投射型映像表示装置100−1とスレーブの投射型映像表示装置100−2とを兼ねた投射型映像表示装置であり、可変調光機能(ランプ調光機能、可変アイリス機能)を有し、可変調光機能を用いた表示モードを複数備え、複数の表示モードのうち一つの表示モードをメニュー画面から選択可能である。
そして、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される入力映像0を対象にした演算に応じて調光量を変更しながら入力映像0からトリミングした映像1を表示する第1の表示モード(マルチ画面投影モード=マスターモード)がある。
さらに、可変調光機能を用いた表示モードには、投射型映像表示装置に入力される、投射映像の1フレーム単位で可変調光機能を制御可能な調光制御情報に基づいて調光量を変更しながら投射型映像表示装置に入力される入力映像0を投射型映像表示装置に入力されるトリミング範囲指定情報を用いてトリミングした映像2を表示する第3の表示モード(マルチ画面投影モード=スレーブモード)がある。
<<変形例4におけるメニュー画面>>
変形例4におけるメニュー画面について、図34を用いて説明する。図34は、変形例4におけるメニュー画面を説明するための図である。図34では、マスター兼スレーブの投射型映像表示装置の例を示す。
図34に示すように、変形例4におけるメニュー画面としての入力映像連動可変調光機能モードメニューには、第1の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(マスターモード)と、第3の表示モードとしてのマルチ画面投影モード(スレーブモード)と、第2の表示モードとしての単独表示モードとがある。さらに、入力映像連動可変調光機能モードメニューには、入力映像連動可変調光機能をOFFにするモードも設けられている。
<<変形例4におけるn台接続例1>>
変形例4におけるn台接続例1について、図35を用いて説明する。図35は、変形例4におけるn台接続例1を説明するための図である。
図35に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2〜100−nをスレーブとする。
情報処理装置300aが、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して、入力映像0を出力する。これを入力として、マスターの投射型映像表示装置100−1は、操作入力部107に入力される操作入力に応じて映像1および映像2〜nのトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力するとともに、映像2〜nについてのトリミング範囲を指定するトリミング範囲指定情報2〜nと、入力映像0に基づく演算などにより算出した調光制御情報もそれぞれ投射型映像表示装置100−2〜100−nに出力する。そして、マスターの投射型映像表示装置100−1、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nは、映像1、2〜nを表示する。
このようにして、マスターの投射型映像表示装置100−1およびスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
<<変形例4におけるn台接続例2(デイジーチェーン)>>
変形例4におけるn台接続例2(デイジーチェーン)について、図36を用いて説明する。図36は、変形例4におけるn台接続例2(デイジーチェーン)を説明するための図である。
図36に示すように、n台の投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nと、情報処理装置300aと、を接続する例では、1台目の投射型映像表示装置100−1をマスターとし、他の投射型映像表示装置100−2〜100−nをスレーブとする。
情報処理装置300aが、マスターの投射型映像表示装置100−1に対して、入力映像0を出力する。これを入力として、マスターの投射型映像表示装置100−1は、操作入力部107に入力される操作入力に応じて映像1〜nのトリミングを指定し、さらに、入力映像0をスレーブの投射型映像表示装置100−2に出力するとともに、映像1以外の映像2〜nのトリミング範囲を指定する情報のリストであるトリミング範囲指定リストと、入力映像0に基づく演算などにより算出した調光制御情報も投射型映像表示装置100−2に出力する。すなわち、トリミング範囲指定リストは、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nの複数台の投射型映像表示装置における映像2〜nのトリミング範囲を指定するトリミング範囲指定情報を含む一連の情報を含むリストであり、それぞれの投射型映像表示装置でトリミング処理を行う際に、それぞれ対応するトリミング範囲指定情報を用いることができる。以降順に、スレーブの投射型映像表示装置100−2は、入力映像0とトリミング範囲指定リストと調光制御情報とをスレーブの投射型映像表示装置100−3に出力し、…、スレーブの投射型映像表示装置100−(n−1)は、入力映像0とトリミング範囲指定リストと調光制御情報とをスレーブの投射型映像表示装置100−nに出力する。そして、マスターの投射型映像表示装置100−1、スレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nは、映像1、2〜nを表示する。
このようにして、マスターの投射型映像表示装置100−1およびスレーブの投射型映像表示装置100−2〜100−nをマルチ画面投影する際に、それぞれの投射型映像表示装置100−1、100−2、…、100−nが表示する映像1、2、…、nの繋ぎ目の品位を向上させることができる。
このように変形例4では、本例にかかる複数の投射型映像表示装置側の処理によって、当該複数の投射型映像表示装置間で共通の調光値を算出することができ、当該共通の調光値を用いた可変調光機能を実現できる。そのため、変形例4では、情報処理装置300aには、調光制御情報を生成する機能を搭載する必要がなく単なる映像出力装置であってもよい。さらに、情報処理装置300aは、マスターとなる投射映像表示装置のみに接続すればよいので、情報処理装置300aの映像出力部が1系統のみしかない場合でも上述の効果を得ることができる。すなわち、変形例4では、情報処理装置300aが単なる映像出力装置であって映像出力が1系統のみしかない場合でも、マルチ画面投影モードでの投射映像の繋ぎ目の品位の向上を実現できる。
また、変形例4では、各投射型映像表示装置は入力映像0をそのまま出力し、後段の投射型映像表示装置でそれぞれ映像のトリミングをおこなうので、マスター投射型映像表示装置では、後段のスレーブ投射型映像表示装置のためのトリミング処理が不要となる。ただし、トリミング範囲の指定は、マスター投射型映像表示装置で行うので、ユーザはそれぞれのスレーブの投射型映像表示装置でトリミングの設定を行う必要が無いためシステム全体としての操作が容易になる。また、デイジーチェーン接続でも上記効果を得ることができる。
<変形例3および変形例4のさらなる変形例>
上述の変形例3および変形例4では、システム前段にある投射型映像表示装置からその後段にある投射型映像表示装置に対して、入力映像0とマスター投射型映像表示装置で算出した調光制御情報をともに出力する構成を説明した。
しかしながらシステムを構成する投射型映像表示装置において全て共通の調光値算出制御を行うことが可能である場合は、システム前段にある投射型映像表示装置からその後段にある投射型映像表示装置に対して調光制御情報を送らないように構成してもよい。
すなわち、システム後段にある投射型映像表示装置が入力映像0から算出する調光値がシステム前段にある投射型映像表示装置と同じ調光値であれば上述の変形例3および変形例4と同様の効果を得ることができる。
これを実現するためには、上述の変形例3および変形例4において、システム前段にある投射型映像表示装置が調光制御情報を出力せず、システム後段にある投射型映像表示装置が、調光制御情報に従う調光処理に変えて、入力映像0全体に基づいて算出した調光値(結果的に前段の投射型映像表示装置と同じ調光値になる)を用いた調光処理を行えばよい。
<変形例5>
変形例5について説明する。変形例5は、上述した、<基本例>、<変形例1>、<変形例2>、<変形例3>、<変形例4>に、画質制御連動機能を追加した例である。
画質制御連動機能は、マスター投射型映像表示装置の図1に示した画像調整部160が行い、映像を全体的に制御する画面全体画質制御の機能である。この機能には、画面全体へのガンマ調整、ブライト調整、コントラスト調整がある。ガンマ調整は、画像の階調特性を示すガンマカーブを変更する処理である。ブライト調整は、輝度を変更する処理である。コントラスト調整は、画像のコントラストカーブを変更する処理である。
マルチ画面投影モードでは、画面全体画質制御の調整パラメータについては、マスター投射型映像表示装置が、調光制御情報の生成時に、同時に生成して他の投射型映像表示装置に画質調整指定情報として出力し、他の投射型映像表示装置は、個々の投射型映像表示装置における画質制御に替えて、またはこれに加えてマスター投射型映像表示装置が生成した当該画質調整指定情報に基づく画面全体画質制御を行う。
<変形例6>
変形例6について説明する。変形例6は、上述した、<基本例>、<変形例1>、<変形例2>、<変形例3>、<変形例4>に、局所画質調整禁止機能を追加した例である。
局所画質調整機能とは、各投射型映像表示装置の図1に示した画像調整部160が行う映像の局所毎に画質を調整する局所画質調整機能であり、局所画質調整禁止機能とは当該局所画質調整を禁止する機能である。局所画質調整機能には、部分コントラスト制御やレティネックス(Retinex)制御などがある。部分コントラスト制御は、部分的に画像のコントラストカーブを変更する処理である。レティネックス制御は、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更する処理である。
局所画質調整禁止機能は、マスター投射型映像表示装置及びスレーブ投射型映像表示装置のそれぞれの画像調整部160において、マルチ画面投影による表示モード中は例えば局所画質調整機能を強制的にOFFにするように構成するものである。(なお、単独表示モードでは、当該局所画質調整機能がユーザが設定メニューからON、OFFを切り替えられるように構成すればよい。)
なお、局所画質調整禁止機能は必須ではなく、映像の局所毎の制御によっては、当該画質調整をONにしても、映像の表示範囲が異なる投射型映像表示装置でも実質的に繋ぎ目が目立たない場合もあるので、強制的にOFFにしない構成にしてもよい。
<変形例7>
変形例7について、図37〜図40を用いて説明する。変形例7は、上述した、<基本例>、<変形例1>、<変形例2>、<変形例3>、<変形例4>に、複数の投射型映像表示装置の明るさが、各光源などの個体差によりもともと不均一な場合(入力映像連動可変調光機能をOFFで同一映像信号を入力しても明るさが不均一な場合)への対応を追加した例である。
図37は、変形例7における不揮発性メモリの構成を説明するための図である。図37に示すように、図1に示した不揮発性メモリ108(またはストレージ部170)には、表示素子102の駆動制御を行う表示素子駆動制御プログラム108a、光源105の調光制御(ランプ調光機能)を行う光源調光制御プログラム108b、可変絞り120の調光制御(可変アイリス機能)を行う可変絞り調光制御プログラム108cを格納する領域が設けられている。変形例7においては、3つのプログラムのうち、少なくとも2つが格納されており、制御部110は、これらのプログラムをメモリ109に展開して、協働で各種制御を行うことができる。
これにより、制御部110は、いずれも投射映像光の明るさを可変できる制御として、表示素子102の駆動制御、光源105の調光制御、可変絞り120の調光制御のうち、少なくとも2つの制御を実現する。
図38は、変形例7における制御部110による制御を説明するための図である。図38に示すように、制御部110は、入力映像連動可変調光機能がOFF時で同一映像信号を入力した場合の複数の投射型映像表示装置間の投射光の明るさを近づけるための第1の制御を行い(S1)、その後、複数の投射型映像表示装置連動の入力映像連動可変調光機能がONの時の当該入力映像連動可変調光を行う第2の制御を行う(S2)。この場合に、制御部110は、第1の制御と第2の制御とで、明るさの調整に用いる制御の組み合わせを異ならせる。さらに、第2の制御で用いる調光機能を第1の制御で使用しない。
図39は、図38で説明した変形例7における第1の制御と第2の制御の組み合わせの具体例を説明するための図である。図39に示すように、例えば、例1は、第1の制御が光源105の調光制御であり、第2の制御が可変絞り120の調光制御である。この例1のメリットは、中輝度における投射型映像表示装置間のバラツキを小さくし、表示素子102のレンジを大きくすることができる。例2は、例1と逆で、第1の制御が可変絞り120の調光制御、第2の制御が光源105の調光制御であり、例1と同様のメリットがある。
例3は、第1の制御が表示素子102の駆動制御(画面全体)であり、第2の制御が可変絞り120の調光制御である。この例3のメリットは、中輝度における投射型映像表示装置間のバラツキを小さくし、光源105の調光制御を不要にすることができる。例4は、第1の制御が表示素子102の駆動制御(画面全体)で、第2の制御が光源105の調光制御の場合であり、可変絞り120の調光制御を不要にすることができる。
例5は、第1の制御が表示素子102の駆動制御(画面全体または重ね領域)と光源105の調光制御との組み合わせであり、第2の制御が可変絞り120の調光制御である。この例5のメリットは、中輝度における投射型映像表示装置間のバラツキを小さくすることができる。例6は、第1の制御が表示素子102の駆動制御(画面全体または重ね領域)と可変絞り120の調光制御との組み合わせで、第2の制御が光源105の調光制御の場合であり、例5と同様のメリットがある。
例7は、第1の制御が表示素子102の駆動制御(画面全体または重ね領域)であり、第2の制御が可変絞り120の調光制御と光源105の調光制御との組み合わせである。この例7では、第2の制御を可変絞り120の調光制御と光源105の調光制御との両方で行ってもよいが、複数の投射型映像表示装置の可変絞り調光間で同じ第1の調光制御情報を使用し、複数の投射型映像表示装置の光源調光間で同じ第2の調光制御情報を使用することが必要である。
図40は、変形例7における可変絞り120の調光特性を説明するための図である。図40に示すように、可変絞り120の調光特性は、表示素子102への照射照度が調光制御信号(可変絞り120の駆動電圧またはステップ数)に対してリニアではない。この特性は、光学系の設計と、可変絞り120の遮光板の移動機構の構造やモータ特性により異なる。
調光特性が同じ同一モデルの投射型映像表示装置を複数用意して、同じ調光制御信号を与えれば、容易に複数の投射型映像表示装置において近い照度を得ることができる。これに対し、所望の照射照度を得るための調光制御信号を演算で求めることは困難である。照度センサを備えるなどすれば可能な場合があるが、高コストになる。
また、図示は省略するが、同様に、光源105の調光も電圧などの制御信号に対する照度の特性はリニアにはならない。光源105の種類や電源回路の構成により異なるので、上記と同様である。
変形例7において、第1の制御は、投射型映像表示装置間の照射光のばらつきを低減する制御であるので、積極的に調光機能の制御信号を異ならせる技術である。これに対し、第2の制御は、投射型映像表示装置間の調光機能をなるべく同じ特性になるようにする制御である。ここで、第2の制御に用いる調光制御を第1の制御に用いてしまうと、第2の制御に用いる調光制御レンジ(例えば図40の横軸の調光制御信号の範囲)が複数の投射型映像表示装置間で異なってしまう。図40で説明したように、可変絞り120の調光特性や光源105の調光特性はリニアではないので、第1の制御により複数の投射型映像表示装置間でばらついてしまった調光制御レンジの影響が第2の制御において照度ばらつきとして生じてしまうことになる。
したがって、図39で例示した本発明の実施例7における第1の制御及び第2の制御の組合せのように、第2の制御で用いる調光機能を第1の制御で用いる調光機能と異ならせることにより、複数の投射型映像表示装置間での第2の制御での照度ばらつきの発生をより低減することができる。
以上説明した本発明の各実施例において1フレーム単位での調光値算出による調光制御について説明したが、フレーム単位であれば、必ずしも1フレーム毎に調光値変更制御を行う必要はない。数フレーム毎に調光値変更制御を行っても構わない。
以上説明したように、本発明の一実施の形態における投射型映像表示装置100によれば、より好適にマルチ画面投影の繋ぎ目の品位を向上させることができる。
また、本実施の形態における投射型映像表示装置100によれば、より好適にマルチ画面投影による映像の高ダイナミックレンジを実現することができる。
この結果、本実施の形態における投射型映像表示装置100によれば、マルチ画面投影時に、映像の繋ぎ目の目立ち難さと、映像の高ダイナミックレンジとをより好適に両立することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
また、上記実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施の形態の構成(基本例、各変形例)の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。