JP6514849B2 - 低温における酵素活性を向上させた好熱菌由来酵素の改変体の取得方法、及び低温における酵素活性が向上しているサーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の改変体 - Google Patents

低温における酵素活性を向上させた好熱菌由来酵素の改変体の取得方法、及び低温における酵素活性が向上しているサーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の改変体 Download PDF

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Description

本発明は、低温における酵素活性を向上させた好熱菌由来酵素の改変体を効率的に取得する方法に関する。また、本発明は、低温における酵素活性が向上しているサーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の改変体に関する。
一般に至適生育温度が45℃以上の微生物は好熱菌と分類される。特に至適生育温度が80℃以上のものを超好熱菌とも呼ぶ。好熱菌から採取される酵素群は熱安定性の面で常温菌由来酵素に比べ優れている。他方、酵素活性に係る至適温度が常温よりも高いので常温以下における酵素活性が常温菌由来の同じ酵素に比べて著しく低い場合が多い。この点が好熱菌由来酵素群の産業利用における大きな課題である。
そこで、従来、好熱菌由来酵素の常温域における酵素活性を向上させるべく、好熱菌由来酵素の改変体の取得がなされている。例えば、特許文献1には、超好熱菌サーモプロテウス由来グルコースデヒドロゲナーゼの10℃以上37℃以下における酵素活性を向上させた例が開示されている。非特許文献1及び非特許文献2には、好熱菌サーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の30℃以下における酵素活性を向上させた例が開示されている。
しかしながら、従来、好熱菌由来酵素の改変体の取得方法では、専らランダム変異導入とスクリーニングを組み合わせた方法が採用されており、目的物となる改変体の取得効率が低いという欠点がある。更に、従来、好熱菌由来酵素の改変体の取得に際して、どの位置のアミノ酸残基をどのアミノ酸残基に変更すれば常温における酵素活性を向上させ得るかという情報は得られず、効率的に、低温における酵素活性を向上させた改変体を取得する手法が確立できていないのが現状である。
WO2010/137489
Protein Eng.14、p85、2001 J.Biochem.129、p477、2001
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、好熱菌から採取される酵素の常温以下における酵素活性を簡便に向上させる改変技術を提供することである。また、本発明の他の目的は、低温における酵素活性を向上させたサーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の改変体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、好熱菌由来の酵素において、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸残基に着目してアミノ酸変異を導入することによって、低温での酵素活性が向上した改変体を効率的に取得できることを見出した。より具体的には、下記工程1〜4を実施することによって、低温での酵素活性が向上した改変体を効率的に取得できることを見出した。
工程1:好熱菌由来の被改変酵素の立体構造を分析し、該被改変酵素の基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定する工程、
工程2:前記被変異酵素のアミノ酸配列と、前記被変異酵素と同種で常温菌由来の参照酵素のアミノ酸配列とをペアワイズアライメントにより分析し、前記工程1で特定されたアミノ酸配列部位と、前記参照酵素のアミノ酸配列においてペアワイズアライメント上で対応するアミノ酸配列部位を対比して、両者間でアミノ酸残基が一致していないアミノ酸配列部位を特定する工程、
工程3:前記被変異酵素に対して、前記工程2で特定されたアミノ酸配列部位の少なくとも1つにおいてアミノ酸の置換、欠失、又は挿入を行い、変異体を得る工程、及び
工程4:前記工程3で得られた変異体の中から、被変異酵素よりも低温での酵素活性が向上している変異体を選定する工程。
このように、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Å内に位置する特定のアミノ酸残基に限定して変異導入を施し、ランダム変異導入とスクリーニングに依らず、低温での酵素活性を向上させた改変体を簡便且つ効率的に取得できることは、本発明者らによって初めて明らかにされた知見である。
更に、本発明者らは、前記の方法に従って、サーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素において、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Å内に位置する特定のアミノ酸残基に変異を施すことによって、低温での酵素活性が向上した改変体を取得できた。
本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 好熱菌由来の被改変酵素を変異させることにより、低温での酵素活性が向上した改変体を取得する方法であって、
工程1:好熱菌由来の被改変酵素の立体構造を分析し、該被改変酵素の基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定する工程、
工程2:前記被変異酵素のアミノ酸配列と、前記被変異酵素と同種で常温菌由来の参照酵素のアミノ酸配列とをペアワイズアライメントにより分析し、前記工程1で特定されたアミノ酸配列部位と、前記参照酵素のアミノ酸配列においてペアワイズアライメント上で対応するアミノ酸配列部位を対比して、両者間でアミノ酸残基が一致していないアミノ酸配列部位を特定する工程、
工程3:前記被変異酵素に対して、前記工程2で特定されたアミノ酸配列部位の少なくとも1つにおいてアミノ酸の置換、欠失、又は挿入を行い、変異体を得る工程、及び
工程4:前記工程3で得られた変異体の中から、被変異酵素よりも低温での酵素活性が向上している変異体を選定する工程、
を含むことを特徴とする、改変体の取得方法。
項2. 前記工程3におけるアミノ酸の置換、欠失、又は挿入が、前記参照酵素のアミノ酸配列において対応する部位のアミノ酸残基と同一となるように行われる、項1に記載の改変体の取得方法。
項3. 好熱菌由来の被改変酵素が、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素である、項1又は2に記載の改変体の取得方法。
項4. 下記(A)〜(O)のいずれかに示すポリペプチド:
(A)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(C)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(D)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(E)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(F)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列において、78番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(G)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(H)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(I)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(J)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(K)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列において、78番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(L)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(M)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(N)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(O)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド。
項5. 項1に記載のポリペプチドをコードしているDNA。
項6. 項5に記載のDNAを含む組換えベクター。
項7. 項6に記載の組換えベクターにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
項8. 項7に記載の形質転換体を培養する工程を含む、項1に記載のポリペプチドの製造方法。
本発明の改変体の取得方法は、ランダム変異導入とスクリーニングを必要とせず、簡便且つ効率的に、好熱菌由来の酵素の低温における酵素活性を向上させた改変体を取得することができる。従って、本発明は、耐熱性が高く保存安定性の面で優位である好熱菌由来酵素を低温で高活性を発現するよう改変し、例えば体外診断薬用途などに利用することができる。
更に、本発明のポリペプチドは、サーマス・サーモフィラス由来3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の所定部位にアミノ酸変異を施すことによって、低温での酵素活性が向上しており、その有用性が高められている。
サーマス・サーモフィラス由来IPMDH(TthIPMDH)と大腸菌由来IPMDH(EcoIPMDH)のペアワイズアライメント図を示す。TthIPMDHに示した下線部は、補酵素結合部位及び基質結合部位に位置するアミノ酸残基から8Å内に存在するアミノ酸残基を示す。 SOE(Splicing by overlap extension)−PCR法の概略図を示す。 各種改変体の25℃における比活性を比較した図を示す。本図では、TthIPMDH(野生型)の比活性の値を1.00としたときの相対比をグラフ化している。 各種改変体の25℃における比活性を比較した図示す。本図では、TthIPMDH(野生型)の比活性の値を1.00としたときの相対比をグラフ化している。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、配列表以外では、アミノ酸配列における20種類のアミノ酸残基は、一文字略記で表現している。即ち、グリシン(Gly)はG、アラニン(Ala)はA、バリン(Val)はV、ロイシン(Leu)はL、イソロイシン(Ile)はI、フェニルアラニン(Phe)はF、チロシン(Tyr)はY、トリプトファン(Trp)はW、セリン(Ser)はS、スレオニン(Thr)はT、システイン(Cys)はC、メチオニン(Met)はM、アスパラギン酸(Asp)はD、グルタミン酸(Glu)はE、アスパラギン(Asn)はN、グルタミン(Gln)はQ、リジン(Lys)はK、アルギニン(Arg)はR、ヒスチジン(His)はH、プロリン(Pro)はPである。
本明細書における「F45V」等の表現は、アミノ酸置換の表記法である。例えば、「F45V」とは、特定のアミノ酸配列におけるN末端側から45番目のアミノ酸Fが、アミノ酸Vに置換されていることを意味する。また、本明細書における「V272A/H273G」等の表現は、多重変異を意味している。例えば、「V272A/H273G」とは、V272A及びH273Gのアミノ酸置換を同時に導入していることを意味する。更に、本明細書における「326G(INSERTION)」等の表現は、特定のアミノ酸配列におけるN末端側から325番目と326番目のアミノ酸残基の間にアミノ酸Gが挿入されていることを意味する。
また、本明細書において、「非極性アミノ酸」には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプチファンが含まれる。また、「非電荷アミノ酸」には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが含まれる。また、「酸性アミノ酸」には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。また、「塩基性アミノ酸」には、リジン、アルギニン、及びヒスチジンが含まれる。
1.改変体の取得方法
本発明の改変体の取得方法は、好熱菌由来の酵素(被改変酵素)を変異させることにより、低温での酵素活性が向上した改変体を取得する方法である。以下、本発明の改変体の取得方法において、変異を導入する対象となる被改変酵素、変異導入部位を特定するために参照される参照酵素、各工程1〜4について詳述する。
被改変酵素
本発明の改変体の取得方法において、被改変酵素は、変異を導入される対象となる酵素であり、好熱菌由来の酵素が使用される。
本発明の改変体の取得方法は、被改変酵素の種類によらず、あらゆる酵素の改変体の取得に適用できるため、被改変酵素の種類については、低温での活性の向上が求められることを限度として、特に制限されない。本発明の改変体の取得方法において、被改変酵素の好適な例として、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADと表記することもある)を要求する酵素、好ましくは補酵素としてNADを要求する脱水素酵素が挙げられる。補酵素としてNADを要求する脱水素酵素として、具体的には、具体的には、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素等が挙げられる。これらの中でも、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素については、本発明において、より一層効率的に、低温での酵素活性が向上した改変体を取得することができるので、被改変酵素として好適に使用される。
また、被改変酵素の由来については、好熱菌であること限度として特に制限されず、被改変酵素の種類等に応じて適宜選定すればよい。本明細書において、「好熱菌」とは、至適生育温度が45℃以上の微生物であって、古細菌、グラム陽性真正細菌、又はグラム陰性真正細菌に属する微生物である。
被改変酵素の由来である好熱菌として、具体的には、Actinomadura属、Actinopolyspora属、Alicyclobacillus属、Amycolatopsis属、Anaerolinea属、Aneurinibacillus属、Archaeoglobus属、Bacillus属、Caldanaerobacter属、Calderihabitans属、Caldimonas属、Caldisericum属、Carboxydothermus属、Chlorobaculum属、Clostridium属、Deferribacter属、Deinococcus属、Desulfotomaculum属、Exilispira属、Fervidobacterium属、Geobacillus属、Georgenia属、Halobaculum属、Hydrogenobacter属、Hydrogenophilus属、Ignavibacterium属、Kosmotoga属、Kyrpidia属、Laceyella属、Lutispora属、Marinitoga属、Meiothermus属、Melghirimyces属、Metallosphaera属、Methanocaldococcus属、Methanopyrus属、Methanosaeta属、Methanothermobacter属、Natrialba属、Oceanithermus属、Petrotoga属、Picrophilus属、Polycladomyces属、Pseudonocardia属、Pseudoxanthomonas属、Pyrobaculum属、Pyrococcus属、Pyrodictium属、Roseiflexus属、Rubrobacter属、Saccharomonospora属、Saccharopolyspora属、Streptomyces属、Sulfolobus属、Sulfurihydrogenibium属、Sulfurisphaera属、Tepidanaerobacter属、Tepidimonas属、Thermanaeromonas属、Thermoactinomyces属、Thermobifida属、Thermobispora属、Thermococcus属、Thermocrispum属、Thermodesulfobium属、Thermoflavimicrobium属、Thermomonospora属、Thermoplasma属、Thermoproteus属、Thermosipho属、Thermosulfidibacter属、Thermotoga属、Thermus属、Vulcanisaeta属、Ureibacillus属等の好熱菌が挙げられる。これらの好熱菌の中でも、より一層効率的に、低温での酵素活性が向上した改変体を取得するという観点から、好ましくはThermus属、更に好ましくはThermus thermophilus(サーマス・サーモフィラス)が挙げられる。
本発明で使用される被改変酵素は、好熱菌に由来する野生型酵素であってもよく、また好熱菌に由来する野生型酵素に変異を導入させた変異型酵素であってもよい。
参照酵素
本発明の改変体の取得方法において、参照酵素は、前記被改変酵素に変異を導入させる部位、導入する変異の種類等を決定する上で参照される酵素である。
本発明において、参照酵素は、前記被改変酵素と同種のものが使用される。ここで、「前記被改変酵素と同種」であるとは、参照酵素が、被改変酵素と酵素活性が共通しており、酵素分類上、被改変酵素と同じファミリーに属していることを意味する。例えば、被改変酵素として3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素を採用する場合であれば、参照酵素も3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素が使用される。
また、参照酵素において、使用する被改変酵素に対するアミノ酸配列の同一性については、前記被改変酵素と同種であることを限度として特に制限されないが、例えば、20%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上が挙げられる。ここで、「アミノ酸配列の同一性」とは、BLAST PACKAGE〔sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from the National Center for Biotechnology Information [NCBI]〕のbl2seq program(Tatiana A.Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,247−250,1999)により得られる同一性の値を示す。パラメーターとしては、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
また、本発明において、参照酵素は、常温菌由来のものが使用される。本明細書において、「常温菌」とは、至適生育温度が45℃未満の微生物であって、古細菌、グラム陽性真正細菌、グラム陰性真正細菌、又は酵母やカビを含む真核生物に属する微生物である。
また、参照酵素の由来については、常温菌であること限度として特に制限されず、参照酵素の種類等に応じて適宜選定すればよい。参照酵素の由来として、具体的には、Aspergillus属、Bacillus属、Escherichia属、Mucor属、Penicillium属、Pseudomonas属、Streptomyces属等の常温菌が挙げられる。これらの常温菌の中でも、より一層効率的に、低温での酵素活性が向上した改変体を取得するという観点から、好ましくはEscherichia属、更に好ましくはEscherichia coli(大腸菌)が挙げられる。
本発明で使用される参照酵素は、常温菌に由来する野生型酵素であってもよく、また常温菌に由来する野生型酵素に変異を導入させた変異型酵素であってもよい。
工程1
工程1では、好熱菌由来の被改変酵素の立体構造を分析し、該被改変酵素の基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定する。
被改変酵素の基質結合部位及び/又は補酵素結合部位については、被改変酵素の種類毎に知られている。例えば、サーマス・サーモフィラス由来の3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素(配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド;以下、TthIPMDHと表記することもある)であれば、基質結合部位及び補酵素結合部位は配列番号1に示すアミノ酸配列における7〜12番目、15番目、41〜42番目、69番目〜78番目、85番目〜92番目、94番目、102番目、104番目、132番目〜134番目、139番目〜140番目、184番目〜188番目、196番目、213番目〜219番目、221番目〜222番目、225番目〜226番目、229番目、237〜238番目、240番目〜242番目、244番目〜245番目、248番目、253番目〜257番目、259番目、261番目、270番目〜280番目、284番目〜290番目、324番目〜327番目の領域に位置することが知られている。
また、タンパク質のアミノ酸配列からその立体構造情報を取得し、その立体構造を可視化して、当該タンパク質における任意の領域から指定の距離に存在するアミノ酸残基を特定する手法についても、公知である。従って、本工程1では、公知の手法に従って、被改変酵素のアミノ酸配列に基づいて、その立体構造情報を取得し、被改変酵素の立体構造を可視化して、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定すればよい。
被改変酵素のアミノ酸配列に基づいて、その立体構造情報を取得するには、具体的には、Protein Data Bank(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)を利用してPBDファイルを取得すればよい。例えば、TthIPMDHは、Protein Data BankにおいてID:4F7Iとタグ付けされており、この値を該データベースに対して検索することにより、TthIPMDHの立体構造情報をPDBファイル形式で取得することができる。
また、前記で得られた立体構造情報(PBDファイル)は、Swiss−Pdb Viewer Version4.1(http://spdbv.vital−it.ch/)等のソフトウェアにより出力させることにより、酵素の立体構造を可視化できる。また、該ソフトウェアを利用することにより、被改変酵素の立体構造における基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸残基を特定することができる。
本明細書において、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位とは、被改変酵素の立体構造において、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位を構成する少なくとも1つのアミノ酸残基のアミド結合部分(2つのアミド結合部分の内のいずれか一方)を起点として、主鎖を構成する部分(-NH-C-CO-;アミノ酸残基の側鎖を除いた部分)の全体が8Å以内の距離に含まれているアミノ酸残基の配列部位を意味する。
被改変酵素が酵素反応時に補酵素を要求しない場合には、本工程1において、被改変酵素の基質結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定すればよい。また、被改変酵素が酵素反応時に補酵素を要求する場合には、被改変酵素の基質結合部位又は補酵素結合部位のいずれか少なくとも一方の部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定すればよいが、より効率的に、低温での酵素活性が向上した改変体を取得するという観点から、基質結合部位と補酵素結合部位の双方の部位から8Åの距離に存在するアミノ酸配列部位を特定することが好ましい。
工程2
工程2では、前記被変異酵素のアミノ酸配列と、前記被変異酵素と同種で常温菌由来の参照酵素のアミノ酸配列とをペアワイズアライメントにより分析し、前記工程1で特定されたアミノ酸配列部位と、前記参照酵素のアミノ酸配列においてペアワイズアライメント上で対応するアミノ酸配列部位を対比して、両者間でアミノ酸残基が一致していないアミノ酸配列部位を特定する。
2つのタンパク質のアミノ酸配列のペアワイズアライメントを作成する方法については公知である。本工程2では、公知の手法に従って、前記被改変酵素のアミノ酸配列と前記参照酵素のアミノ酸配列のペアワイズアライメントを作成すればよい。ペアワイズアライメントを出力させるには、具体的には、DNA Data Bank of JapanホームページのClustalW Version2.1(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/)を使用すればよい。
本工程2では、ペアワイズアライメントを作成した後に、前記被改変酵素のアミノ酸配列における前記工程1で特定されたアミノ酸配列部位(以下、「被改変酵素8Å領域部位」と表記することもある)と、前記参照酵素のアミノ酸配列においてペアワイズアライメント上で対応する部位(以下、「参照酵素対応部位」と表記する)を対比し、両者間でアミノ酸残基が一致していないアミノ酸配列部位を特定する。
具体的には、(1)被改変酵素8Å領域部位のアミノ酸残基が、参照酵素対応部位のアミノ酸残基と異なっている場合、(2)被改変酵素8Å領域部位のアミノ酸残基が、参照酵素対応部位において欠失している場合、及び(3)参照酵素対応部位のアミノ酸残基が、被改変酵素8Å領域部位において欠失している場合は、被改変酵素8Å領域部位と参照酵素対応部位の間でアミノ酸残基が一致していないアミノ酸配列部位として特定される。
本工程2で特定されたアミノ酸部位は、前記被改変酵素に対して変異を施すことにより、低温での酵素活性が向上する可能性が高い部位として特定される。以下、本工程2で特定されたアミノ酸配列部位を「変異候補部位」と表記することもある。
工程3
工程3では、前記被改変酵素に対して、変異候補部位の少なくとも1つにおいてアミノ酸の置換、欠失、又は挿入を行い、改変体を得る。
本工程3では、変異候補部位が2以上ある場合、1つの変異酵素部位を選択して単変異を行ってもよく、また2つ以上の変異酵素部位を選択して多重変異を行ってもよい。具体的には、変異候補部位が2以上ある場合、導入する変異の数としては、変異候補部位の数、変異酵素の種類等によって異なるため一概に記載できないが、例えば1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個が挙げられる。
また、本工程3において、前記被改変酵素の変異候補部位に対して行われる変異は、アミノ酸の置換、欠失、又は挿入のいずれであってもよいが、低温での酵素活性が向上した改変体の取得効率を高めるという観点から、参照酵素対応部位のアミノ酸残基と同一になるように変異を導入することが好ましい。具体的には、好適な変異導入態様として、(1)変異候補部位のアミノ酸残基が、参照酵素対応部位のアミノ酸残基と異なっている場合であれば、変異候補部位のアミノ酸残基を参照酵素対応部位のアミノ酸残基に置換する、(2)変異候補部位のアミノ酸残基が、参照酵素対応部位において欠失している場合あれば、変異候補部位のアミノ酸残基を欠失させる、及び(3)参照酵素対応部位のアミノ酸残基が、変異候補部位において欠失している場合あれば、変異候補部位に参照酵素対応部位のアミノ酸残基を挿入する、等の態様が挙げられる。
また、タンパク質の特定部位のアミノ酸を置換、欠失、又は挿入する手法は公知であり、本工程3において、変異候補部位におけるアミノ酸の置換、欠失、又は挿入は、公知の手法に従って実施することができる。
工程4
工程4では、前記工程3で得られた改変体の中から、被改変酵素よりも低温での酵素活性が向上している改変体を選定する。
本明細書において、「被改変酵素よりも低温での酵素活性が向上している」とは、37℃以下、好ましくは37℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは10〜25℃の温度領域における酵素活性が、被改変酵素よりも高められていることをいう。
本工程4は、具体的には、前記工程3で得られた改変体と被改変酵素について、低温において酵素の比活性(酵素タンパク質重量あたりの酵素活性)を測定し、被改変酵素よりも低温での酵素の比活性が向上している改変体を選定すればよい。比活性を求める方法は、酵素の種類により異なるため、ここで一般化して記述できないが、例えば、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の場合であれば、後述する[IPMDH活性の測定]の項、および[IPMDH比活性の測定]の項に従って求めることができる。
斯して、前記工程3で得られた改変体の中から、被改変酵素よりも低温での酵素活性が向上している改変体を選定することにより、低温領域でも酵素活性を効果的に発現できる酵素の改変体を取得することができる。
2.ポリペプチド
本発明は、前記改変体の取得方法によって得られたポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、TthIPMDHの改変体であり、低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性がTthIPMDHよりも向上している3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素である。3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素とは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NAD+とも記述する)を補酵素とする酸化還元酵素であり、3−イソプロピルリンゴ酸とNAD+を基質とし、2−イソピル−3−オキソコハク酸とNADH、およびH+を生成する反応を触媒する、EC番号が1.1.1.85に分類される酵素である。
本発明のポリペプチドの一態様として、具体的には、下記(A)〜(D)に示すポ織ペプチドが挙げられる。
(A)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(C)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(D)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(E)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
前記(B)のポリペプチドにおいて、低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニンに置換、216番目がイソロイシンに置換、218番目がアスパラギンに置換、219番目がアラニンに置換、222番目がグルタミンに置換、225番目がリジンに置換、且つ229番目がグルタミンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。
前記(C)のポリペプチドにおいて、低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニンに置換、且つ273番目がグリシンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。
前記(D)のポリペプチドにおいて、低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニンに置換、325番目がスレオニンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。
前記(E)のポリペプチドにおいて、低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、に置換、273番目がグリシンに置換、324番目がアルギニンに置換、325番目がスレオニンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
また、本発明のポリペプチドの他の態様として、下記(F)〜(O)に示すポリペプチドが挙げられる。
(F)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列において、78番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(G)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(H)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(I)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(J)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(K)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(L)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(M)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目のアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(N)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
(O)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド。
以下、前記(F)及び(K)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目以外のアミノ酸部位を「任意改変部位」と表記することもある。また、前記(G)及び(L)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目以外のアミノ酸部位を「任意改変部位」と表記することもある。また、前記(H)及び(M)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目及び273番目以外のアミノ酸部位を「任意改変部位」と表記することもある。更に、前記(I)及び(N)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目及び325番目のアミノ酸部位並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸部位以外を「任意改変部位」と表記することもある。また、前記(J)及び(O)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸部位並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸部位以外を「任意改変部位」と表記することもある。
前記(F)〜(J)のポリペプチドの任意改変部位に導入されるアミノ酸の改変は、置換、付加、挿入、および欠失の中から1種類の改変(例えば置換)のみを含むものであってもよく、2種以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。前記(F)〜(J)のポリペプチドにおいて、任意改変部位に置換、付加、挿入又は欠失されるアミノ酸は、1個又は複数個若しくは数個であればよく、例えば1〜10個、好ましくは1〜7個、更に好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、特に好ましくは1又は2個或いは1個が挙げられる。
また、前記(K)〜(O)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列おいて特定のアミノ酸を除いた配列同一性は、80%以上であればよいが、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上が挙げられる。
ここで、前記(K)〜(O)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列おいて特定のアミノ酸を除いた配列同一性とは、配列番号1に示すアミノ酸配列から前記任意改変部位のみを抜き出して、当該任意改変部位のみを比較して算出される配列同一性である。また、「配列同一性」とは、BLAST PACKAGE[sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from National Center for Biotechnology Information(NCBI)]のbl2seq program(Tatiana A.Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,p247−250,1999)により得られるアミノ酸配列の同一性の値を示す。パラメーターは、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
また、前記(F)〜(O)のポリペプチドの任意改変部位に導入されるアミノ酸置換は、保存的置換であることが好ましい。即ち、前記任意改変部位における置換としては、例えば、置換前のアミノ酸が非極性アミノ酸であれば他の非極性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が非荷電性アミノ酸であれば他の非荷電性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が酸性アミノ酸であれば他の酸性アミノ酸への置換、及び置換前のアミノ酸が塩基性アミノ酸であれば他の塩基性アミノ酸への置換が挙げられる。
前記(F)〜(O)のポリペプチドにおいて、「TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上している」とは、25℃の温度条件にて3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の比活性を測定した場合に、TthIPMDHよりも比活性が高いことを意味する。より具体的には、25℃の温度条件にて3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の比活性を測定した場合、TthIPMDHに比べて比活性が3倍以上、好ましくは5倍以上、更に好ましくは10倍以上向上していることを指す。また、TthIPMDHの25℃の温度条件における比活性は3.1U/mgであるので、前記(F)〜(O)のポリペプチドの好適な例として、25℃の温度条件における3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性の比活性が9.3U/mg以上、好ましくは10U/mg以上、更に好ましくは30U/mg以上が挙げられる。なお、本発明において、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性は、具体的には、以下の条件にて測定される。
[3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性の測定]
3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性は下記試薬を用い、下記測定条件で測定する。
(試薬)
50mM HEPES−KOH緩衝液(pH8.0)、5mM 塩化マグネシウム、100mM 塩化カリウム、400μM 3−イソプロピルリンゴ酸、5mM NAD+を含有する水溶液
(測定方法)
試薬0.9mLを分光光度計用セルに入れ、25℃で5分間以上プレインキュベートする。測定対象となるポリペプチドを所定濃度に希釈した酵素溶液0.005mLを添加してよく混合し、分光光度計で340nmの吸光度変化を60秒間記録し、その間の吸光度変化(ΔOD)を測定する。ブランクは、酵素溶液の代わりに水を試薬に混合して上記のように吸光度変化(ΔODblank)を測定する。これらの値から、下記の計算式に従って活性値を求める。
なお、上記計算式の905は試薬と酵素溶液の液量、6.22はNAD+の分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、5は酵素溶液の液量、1.0は分光セルの光路長(cm)を示す。
[3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の比活性の測定]
3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素の比活性は、下記測定条件で測定する。上記方法に従い酵素溶液の活性(U/mL)を求め、更に測定に使用した酵素溶液のポリペプチド濃度(mg/ml)を求める。これらの値から、以下の計算式に従って、比活性を求める。
3.前記ポリペプチドをコードしているDNA
本発明のポリペプチドをコードしているDNA(以下、「本発明のDNA」と表記することもある)は、例えば、TthIPMDH(配列番号1)をコードしているDNAに前記アミノ酸変異を導入することにより得ることができる。また、本発明のDNAは、遺伝子の全合成法によって人工合成することもできる。
ここで、TthIPMDHをコードしているDNAは、例えば、配列表の配列番号2に示される塩基配列として知られており、サーマス・サーモフィラス(Thermus Thermophilus)HB8株のゲノムDNAからPCRを用いた定法により単離することができる。
塩基配列の特定の部位に特定の変異を導入する方法は公知であり、例えばDNAの部位特異的変異導入法等が利用できる。DNA中の塩基を変換する具体的な方法としては、例えば、市販のキット(QuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis kit:Stratagene製、KOD−Plus−Mutagenesis kit:東洋紡製など)の利用等が挙げられる。
このようにして塩基配列に変異を導入したDNAは、DNAシーケンサーを用いて塩基配列を確認することができる。得られた塩基配列については、例えば、DNASIS(日立ソフトエンジニアリング社製)又はGENETIX(ソフトウェア開発社製)等の塩基配列解析ソフトによる解析を行うことにより、DNA中のACS遺伝子のコード領域を特定することができる。
このようにして得られたDNAは、DNAシーケンサーを用いて塩基配列を確認することができる。得られた塩基配列については、DNASIS(日立ソフトエンジニアリング社製)およびGENETIX(ソフトウェア開発社製)等の塩基配列解析ソフトによる解析を行うことにより、DNA中の前記ペプチド(3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素)のコード領域を特定することができる。
一旦、塩基配列が確定されると、その後は化学合成、クローニングされたプローブを鋳型としたPCR、又は該塩基配列を有するDNA断片をプローブとするハイブリダイゼーションによって、前記ポリペプチドをコードするDNAを得ることができる。
更に、部位特異的突然変異誘発法等によって前記ポリペプチドをコードするDNAの変異型であって変異前と同等の機能を有するものを合成することができる。なお、前記ペプチドをコードするDNAに変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法、メガプライマーPCR法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。
前記ポリペプチドをコードするDNAと外来タンパク質又はペプチドをコードするDNAとを連結した融合タンパク質をコードするDNAを作製する場合には、前記ポリペプチドをコードするDNAに外来タンパク質又はペプチドをコードするDNAを連結すればよい。前記外来タンパク質又はペプチドとしては、例えば、タンパク質精製に使用されるタンパク質又はペプチド(グルタチオンS−トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、ストレプトアビジン結合ペプチドおよびヒスチジンタグ等)が挙げられる。前記ポリペプチドに対して外来タンパク質又はペプチドを連結する位置は、前記ポリペプチドと外来タンパク質又はペプチドとがそれぞれの機能又は活性を有するように適宜選択することができる。前記ポリペプチドをコードするDNAに外来タンパク質又はペプチドをコードするDNAを連結する方法は、それぞれ精製された前記ポリペプチドをコードするDNA及び外来タンパク質又はペプチドをコードするDNAを適当な制限酵素で切断して連結する方法が挙げられる。また、前記ポリペプチドをコードするDNAと外来タンパク質又はペプチドをコードするDNAのそれぞれ一部に相同な領域を持たせることにより、PCR等を用いたin vitro法又は酵母等を用いたin vivo法によって両者を連結する方法であってもよい。
また、本発明のDNAには、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチドをコードし、前記(A)〜(D)のポリペプチドをコードしているDNAと相補的な塩基配列を含むDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが包含される。
ここで、「ストリンジェントな条件下」とは、0.5%SDS、5×デンハルツ〔Denhartz’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400〕および100μg/mlサケ***DNAを含む6×SSC(1×SSCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、50℃〜65℃で4時間〜一晩保温する条件をいう。
ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、具体的には、以下の手法によって行われる。即ち、DNAライブラリー又はcDNAライブラリーを固定化したナイロン膜を作成し、6×SSC、0.5% SDS、5×デンハルツ、100μg/mlサケ***DNAを含むプレハイブリダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加えて、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC中、室温で10分間、0.1%SDSを含む2×SSC中、室温で10分間、0.1%SDSを含む0.2×SSC中、45℃で30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プローブと特異的にハイブリダイズしているDNAを検出することができる。
更に、本発明のDNAには、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、TthIPMDHと比較して低温での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチドをコードし、前記(A)〜(D)のポリペプチドをコードしているDNAに80%以上の相同性を有するDNAも包含される。当該相同性として、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上が挙げられる。
ここで、DNAの「相同性」とは、BLAST PACKAGE[sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from the National Center for Biotechnology Information(NCBI)]のbl2seq program(Tatiana A. Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,247−250,1999)により得られる同一性の値を示す。パラメーターは、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
本発明のDNAは、コドン利用頻度を宿主に最適化したものが好ましく、コドン利用頻度を大腸菌に最適化させたDNAがより好ましい。
コドン利用頻度を表す指標として、各コドンの宿主最適コドン利用頻度の総計を採択すればよい。最適コドンとは、同じアミノ酸に対応するコドンのうち利用頻度が最も高いコドンと定義される。コドン利用頻度は、宿主に最適化したものであれば特に限定されないが、例えば、大腸菌の最適コドンの一例として以下のものが挙げられる。
F:フェニルアラニン(ttt)、L:ロイシン(ctg)、I:イソロイシン(att)、M:メチオニン(atg)、V:バリン(gtg)、Y:チロシン(tat)、終止コドン(taa)、H:ヒスチジン(cat)、Q:グルタミン(cag)、N:アスパラギン(aat)、K:リジン(aaa)、D:アスパラギン酸(gat)、E:グルタミン酸(gaa)、S:セリン(agc)、P:プロリン(ccg)、T:スレオニン(acc)、A:アラニン(gcg)、C:システイン(tgc)、W:トリプトファン(tgg)、R:アルギニン(cgc)、G:グリシン(ggc)。
4.組換えベクター
本発明のペプチドをコードするDNAを含む組換えベクター(以下、「本発明の組換えベクター」と表記することもある)は、発現ベクターに本発明のDNAを挿入することにより得ることができる。
本発明の組換えベクターには、本発明のDNAに作動可能に連結されたプロモーター等の制御因子が含まれる。制御因子としては、代表的にはプロモーターが挙げられるが、更に必要に応じてエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位等の転写要素が含まれていてもよい。また、作動可能に連結とは、本発明のDNAを調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の制御因子と本発明のDNAが、宿主中で作動し得る状態で連結されることをいう。
発現ベクターとしては、宿主内で自律的に増殖し得るファージまたはプラスミドから遺伝子組換え用として構築されたものが適している。
ファージとしては、例えば、後述する大腸菌を宿主とする場合には、Lambda gt10、Lambda gt11等が挙げられる。
プラスミドとしては、例えば、大腸菌を宿主とする場合には、pBR322、pUC18、pUC118、pUC19、pUC119、pTrc99A、pBluescript、pET21−c、及びコスミドであるSuper Cos I等が挙げられる。
宿主としてシュードモナスを用いる場合には、グラム陰性菌用広宿主域ベクターであるRSF1010、pBBR122、及びpCN51等が挙げられる。更に、レトロウイルス及びワクシニアウイルス等の動物ウイルス、並びにバキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
5.形質転換体
本発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換することによって形質転換体(以下、「本発明の形質転換体」と表記することもある)が得られる。
形質転換体の製造に使用される宿主としては、組換えベクターが安定であり、且つ自律増殖可能で外来性遺伝子の形質を発現できるのであれば特に制限されないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等に属する細菌;酵母;COS細胞等の動物細胞;Sf9等の昆虫細胞;アブラナ科等に属する植物体全体、植物器官(例えば、葉、花弁、茎、根及び種子等)、植物組織(例えば、表皮、師部、柔組織、木部および維管束等)、植物培養細胞等が挙げられる。これらの中でも大腸菌が好ましく、大腸菌DH5α、大腸菌BL21、大腸菌BL21(DE3)、大腸菌Rosetta2、大腸菌Rosetta2(DE3)、及び大腸菌JM109がより好ましい。
本発明の形質転換体は、宿主に本発明の組換えベクターを導入することによって得ることができ、宿主に組換えベクターを導入する条件は、宿主の種類等に応じて適宜設定すればよい。宿主が細菌の場合であれば、例えば、カルシウムイオン処理によるコンピテントセル用いる方法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。宿主が酵母の場合であれば、例えば、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、スフェロプラスト法及び酢酸リチウム法等が挙げられる。宿主が動物細胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法及びリポフェクション法等が挙げられる。宿主が昆虫細胞の場合であれば、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。宿主が植物胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法及びPEG法等が挙げられる。
本発明の組換えベクターが宿主に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法およびノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。
PCR法よって本発明の組換えベクターが宿主に組み込まれたか否かを確認する場合、例えば、形質転換体から組換えベクターを分離・精製すればよい。
組換えベクターの分離・精製は、例えば、宿主が細菌の場合、細菌を溶菌して得られる溶菌物に基づいて行われる。溶菌の方法としては、例えばリゾチームなどの溶菌酵素により処理が施され、必要に応じてプロテアーゼ及び他の酵素並びにラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤が併用される。
更に、凍結融解およびフレンチプレス処理のような物理的破砕方法を組み合わせてもよい。溶菌物からのDNAの分離・精製は、例えば、フェノール処理およびプロテアーゼ処理による除蛋白処理、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈殿処理並びに市販のキットを適宜組み合わせることにより行うことができる。
DNAの切断は、常法に従い、例えば制限酵素処理を用いて行うことができる。制限酵素としては、例えば特定のヌクレオチド配列に作用するII型制限酵素を用いる。DNAと発現ベクターとの結合は、例えばDNAリガーゼを用いて行う。
その後、分離・精製したDNAを鋳型として、本発明のDNAに特異的なプライマーを設計してPCRを行う。PCRにより得られた増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウムおよびSYBR Green液等により染色し、そして増幅産物をバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。
また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光および酵素反応等により増幅産物を確認する方法も採用してもよい。
6.ポリペプチドの製造
本発明のポリペプチドは、本発明の形質転換体を培養することによって製造することができる。
本発明の形質転換体の培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよいが、好ましくは液体培養が挙げられる。工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培地の栄養源としては、形質転換体の生育に必要とされるものが使用され得る。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸等が挙げられる。
窒素源としては、資化可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物が挙げられる。
炭素源及び窒素源の他に、例えば、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガンおよび亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸並びに特定のビタミンなどを必要に応じて使用してもよい。
培養温度は、本発明の形質転換体が生育可能であり、且つ本発明の形質転換体が本発明のポリペプチドを産生する範囲で適宜設定し得るが、好ましくは15〜37℃程度である。培養は、本発明のポリペプチドが最高収量に達する時期を見計らって適当時期に完了すればよく、通常は培養時間が12〜48時間程度である。
培地のpHは、宿主が発育し、宿主が変異型ACS
を産生する範囲で適宜変更し得るが、好ましくはpH5.0〜9.0程度の範囲である。
本発明の形質転換体を培養し、培養液を遠心分離などの方法により培養上清または菌体を回収し、菌体は超音波およびフレンチプレスといった機械的方法又はリゾチーム等の溶菌酵素により処理を施し、必要に応じてプロテアーゼ等の酵素やラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤を使用することにより可溶化し、本発明のポリペプチドを含む水溶性画分を得ることができる。
また、適当な発現ベクターと宿主を選択することにより、発現した本発明のポリペプチドを培養液中に分泌させることもできる。
上記のようにして得られた本発明のポリペプチドを含む水溶性画分は、そのまま精製処理に供してもよいが、該水溶性画分中の本発明のポリペプチドを濃縮した後に精製処理に供してもよい。
濃縮は、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、塩析処理、親水性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールおよびアセトン)による分別沈殿法等により行うことができる。
本発明のポリペプチドの精製処理は、例えば、ゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の方法を適宜組み合わせることによって行うことができる。
前記精製処理は既に公知であり、適当な文献、雑誌および教科書等を参照することで進めることができる。このようにして精製された本発明のポリペプチは、必要に応じて、凍結乾燥、真空乾燥、スプレードライ等により粉末化して市場に流通させることができる。
次に、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
1.被改変酵素と参照酵素の同定
本実施例では、被改変酵素としてTthIPMDを使用し、参照酵素として大腸菌由来のIPMDH(以下、EcoIPMDHとも表記する)を使用した。
TthIPMDHのアミノ酸配列、及びTthIPMDHをコードするDNAの塩基配列はすでに公知であり、その配列情報はNCBIホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih。gov/)より取得することができる。TthIPMDHのアミノ酸配列を配列表の配列番号1に、該アミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を配列表の配列番号2に示す。また、EcoIPMDHのアミノ酸配列も公知であり、上述のとおり、その配列情報を取得することができる。EcoIPMDHのアミノ酸配列を配列表の配列番号3に示す。
2.被改変酵素(TthIPMDH)の遺伝子の単離
サーマス・サーモフィラス HB8株を培養し定法により抽出したゲノムDNAを鋳型に、配列番号4と配列番号5のオリゴヌクレオチドを用いてPCRにより野生型TthIPMDHのDNAを増幅させた。エタノール沈殿により精製した該DNAとプラスミドpET21cを夫々制限酵素NdeIとHindIIIで切断し、切断された夫々のDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供し、ゲルからDNAを精製した。精製されたTthIPMDHのDNA断片とpET21c断片を混合してLigation High(東洋紡製)を使用してライゲーションさせ、大腸菌JM109を形質転換して培養し、単一コロニーからプラスミドを精製し、DNAシーケンスにより配列番号2に示す塩基配列からなるDNAをクローニングされたことが確認された。該塩基配列から、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるTthIPMDHをコードしていることも確認された。
3.被改変酵素(TthIPMDH)への変異導入部位の決定
補酵素NAD+及び基質3−イソプロピルリンゴ酸と複合体を形成したTthIPMDHの立体構造情報(PDB ID:4F7I)をPDBホームページより取得し、該構造をSwiss−PdbViewerにより可視化した。補酵素NAD+及び基質3−イソプロピルリンゴ酸と結合するアミノ酸残基から8Å内に存在するアミノ酸残基を抽出した。同時に、配列番号1に示されるTthIPMDHのアミノ酸配列と、配列番号3に示されるEcoIPMDHのアミノ酸配列を用いてClustalWによりペアワイズアライメント図を作成し、前記8Å内に存在するアミノ酸残基をマークした。結果を図1に示す。図1においては、TthIPMDHのアミノ酸配列における前記8Å内に存在するアミノ酸残基にアンダーバーを付している。この中で、TthIPMDHとEcoIPMDHの間でアミノ酸残基が異なる部分を白抜き四角でマークした。
例えば、図1において、TthIPMDHのアミノ酸配列におけるN末端から7残基目〜12残基目(「PGDGIG」)は該8Å内に存在する。一方、EcoIPMDHのアミノ酸配列において、これと対応する部位はTthIPMDHと同一(「PGDGIG」)であり、この領域には変異導入部位を設計しなかった。
また、図1において、TthIPMDHのアミノ酸配列におけるN末端から41残基目〜42残基目(「FG」)は該8Å内に存在する。一方、EcoIPMDHのアミノ酸配列において、これと対応する部位は「VG」であり、41番目の残基が異なっていた。従って、41番目のフェニルアラニン(F41)をバリン(V)に変更する変異(F41V)を導入することに決定した。
更に、図1において、TthIPMDHのアミノ酸配列におけるN末端から324残基目〜327残基目(「PP−DL」)は該8Å内に存在する。一方、EcoIPMDHのアミノ酸配列において、これと対応する部位は「RTGDL」であり、324番目と325番目のアミノ酸残基、及び325番目と326番目に挿入が入る形で異なっていた。従って、324番目のプロリン(P)をアルギニン(R)、325番目のプロリンをスレオニン(T)、325番目と326番目にグリシン(G)を挿入する変異(P324R/P325T/326G(INSERTION))を導入することに決定した。
他の領域についても同様に検討し、変異導入部位を決定した。
上記の検討の結果、表1に示す変異導入を夫々施すことに決定した。
4.被改変酵素(TthIPMDH)の遺伝子への部位特異的変異導入
TthIPMDH遺伝子への部位特異的変異導入は、前記表1に併記した配列番号6〜27に示す変異導入用オリゴヌクレオチドと、配列番号28及び配列番号29に示す増幅用オリゴヌクレオチド、前記TthIPMDH遺伝子をクローニングしたpET21cベクター(以下、pET21c−TthIPMDHとも記述する)を利用した。
変異導入はSOE(Splicing by overlap extension)−PCR法により実施した。方法の概略を図2に示す。
即ち、表1におけるmut1遺伝子の合成は図2に示すように以下の(1)〜(3)の手順で行なった。
(1)PCR#1
図2におけるプライマーaは、pET21c配列上に設計されたT7 promoter primerであり、配列番号28に示されるオリゴヌクレオチドである。プライマーdは、配列表の配列番号7に示されるオリゴヌクレオチドである。該オリゴヌクレオチドは、F41Vの変異を導入するように設計されている。表2に示すPCR反応溶液を準備し、98℃:30秒、53℃:30秒、72℃:120秒の反応を25サイクル実施した。増幅されたプライマーa〜d間のDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供し、ゲルから該DNA断片を精製した。
(2)PCR#2
図2におけるプライマーbは、pET21c配列上に設計されたT7 terminator primerであり、配列番号29に示されるオリゴヌクレオチドである。プライマーcは、配列番号6に示されるオリゴヌクレオチドである。該オリゴヌクレオチドは、F41Vの変異を導入するように設計されている。表3に示すPCR反応溶液を準備し、98℃:30秒、53℃:30秒、72℃:120秒の反応を25サイクル実施した。増幅されたプライマーc〜b間のDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供し、ゲルから該DNA断片を精製した。
(3)PCR#3
PCR#1およびPCR#2で得られたDNA断片を鋳型に、プライマーaとプライマーbを用いて表4に示すPCR反応溶液を準備し、98℃:30秒、53℃:30秒、72℃:120秒の反応を25サイクル実施した。増幅されたプライマーc〜b間のDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供し、ゲルから該DNA断片を精製した。
mut2〜mut11の部位特異的変異導入を施したTthIPMDHについても、表1に示す所定の変異導入用オリゴヌクレオチドを使用し、上記(1)〜(3)の手順に従って合成した。
得られたmut1〜mut11遺伝子を、夫々表5に示す組成の溶液にて制限酵素処理し、アガロースゲル電気泳動に供し、ゲルから精製した。
NdeI、HindIIIで切断処理したmut1〜mut11遺伝子を夫々表6に示す組成の溶液にてライゲーション処理し、該反応溶液を大腸菌JM109コンピテントセルに添加して形質転換させ、LB寒天培地上(1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1.0%塩化ナトリウム、1.5%寒天、0.1g/mlアンピシリン)で、37℃、18時間培養して形質転換体のコロニーを出現させた。単一コロニーをLB培地に植菌し、一晩培養した後、アルカリ−SDS法によりプラスミドを精製し、シーケンスにより所望の変異が導入され、且つPCR反応による予期しない突然変異が導入されていないことを確認した。
5.TthIPMDH及びその改変体の遺伝子の組換え発現と精製
実施例1で取得した野生型TthIPMDH及びmut1〜mut11のプラスミドを用いて大腸菌Rosetta2(DE3)を形質転換し、LB寒天培地上(1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1.0%塩化ナトリウム、1.5%寒天、0.1g/mlアンピシリン)で、37℃、16時間培養して形質転換体のコロニーを出現させた。
単一コロニーを100mlのLB培地に植菌し、37℃で24時間培養してTthIPMDH、及びTthIPMDHの改変体を発現させた。遠心分離により形質転換体を集菌し、−80℃で一度凍結した後、0.5mM EDTAを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.6)で懸濁した。懸濁した形質転換体を超音破砕機により破砕し、遠心分離(30,000rpm、20分)して破砕液の上清を回収し、70℃、15分間の熱処理に供して大腸菌由来のタンパク質を熱変性させ、さらに遠心分離して変性タンパク質を除去した上清を回収した。
該上清を、予め0.5mM EDTAを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.6)で平衡化したHiTrapQ(GEヘルスケア製)カラムへ流してTthIPMDH又はその改変体を吸着させ、0Mから1Mの塩化カリウムの濃度勾配によりTthIPMDH又はその改変体を溶出させた。TthIPMDH又はその改変体の溶出画分を回収して20%飽和となるよう硫酸アンモニウムを添加し、あらかじめ20%飽和硫安および0.5mM EDTAを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.6)で平衡化したButyl−toyopearlカラムへ流してIPMDHを吸着させ、20%飽和硫安から0%硫安の濃度勾配により、精製されたTthIPMDH又はその改変体を溶出させた。
精製されたTthIPMDH及びその改変体を夫々0.5mM EDTAを含む20mM リン酸緩衝液(pH8.0)で透析し、以下の活性測定に使用する精製標品を取得した。
5.各TthIPMDH改変体の25℃における活性の比較
TthIPMDHの改変体の低温活性を、変異を導入していないTthIPMDHと比較するため、25℃における活性測定を行った。測定条件は、前述する通りである。
得られた結果を図3に示す。mut2、mut6、mut7を除く8つの改変体は、25℃において、TthIPMDH(野生型)と同程度あるいは高い比活性を示した。特に、TthIPMDH(野生型)に比べて、mut3は3.40倍、mut5は3.16倍、mut9は10.86倍、mut11は7.20倍高い比活性を示した。
TthIPMDHを被改変酵素としたモデル実験によって、11種類の改変体から4種類もの改変体、即ち実に36%もの効率で、低温における酵素活性が格段に向上した改変体の取得に成功した。広く一般に利用されるランダム変異導入とスクリーニングを組み合わせた方法では、1,000〜30,000個の改変体から有望改変体を探索することが必要であるため、これほど高効率に有望改変体を取得できることは従来技術から想定されず、本発明が産業用酵素の改変方法としてきわめて優れていると結論できる。
6.変異の組合せによる25℃における活性の更なる向上
25℃における活性が大幅に向上したmut9とmut11の変異を組み合わせたmut9/11改変体酵素を、実施例1〜2に記載の方法により作製し、実施例3と同様に25℃における比活性を、TthIPMDH(野生型)、mut9、およびmut11と比較した。
得られた結果を図4に示す。mut9/11の比活性は、25℃において、TthIPMDH(野生型)に比べて12.0倍向上しており、mut9及びmut11に比べても比活性が向上していた。
以上のように、被改変酵素(TthIPMDH)において、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸残基に着目し、参照酵素(EcoIPMDH)の対応する部位のアミノ酸配列を参考にして、アミノ酸変異を導入することによって、低温での酵素活性が向上した改変体を効率的に取得することができた。以上の試験では、被改変酵素としてTthIPMDHを使用した例を示しているが、以下述べる理由から、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素以外の種類の酵素についても、TthIPMDHと同様に、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸残基に着目して、変異を導入することによって、低温での酵素活性が向上した改変体を効率的に取得することができると考えられる。
好熱菌由来の酵素は、耐熱性を備えており、構造を安定化させるために、常温菌由来の酵素に比べて分子内の疎水性相互作用及びイオン結合が強く、この傾向は酵素/補酵素/基質複合体の形成時においても同様である。常温付近において、この強固な酵素/補酵素/基質複合体は、代謝回転(酵素1分子が1秒間に基質を触媒する速度)を低下させる。故に、好熱菌由来の酵素は、常温菌由来の酵素に比べ、常温付近における比活性が低くなる。一方、好熱菌由来の酵素において、酵素と補酵素及び基質結合部位に係る(及びその周辺8Åの)アミノ酸残基を常温菌由来のアミノ酸に置換することにより、常温付近における上記の酵素/補酵素/基質複合体が不安定化され、不安定化されることが代謝回転の上昇に寄与すると考えられる。このことが、該変異法が、好熱菌由来酵素を低温活性化させるメカニズムと類推される。それ故、基質結合部位及び/又は補酵素結合部位から8Åの距離に存在するアミノ酸残基に着目して、変異を導入する方法は、好熱菌由来の酵素であって、補酵素(好ましくはNAD)を要求し、立体構造が明らかで、且つ常温菌由来の酵素の配列を比較することさえできれば、その酵素の種類によらず、低温における比活性を向上させることができると考えられる。勿論、本発明は、ここで述べたメカニズム等に限定して解釈されるものではない。

Claims (5)

  1. 下記(A)〜(O)のいずれかに示すポリペプチド:
    (A)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (B)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (C)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (D)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (E)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (F)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列において、78番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (G)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (H)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (I)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (J)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (K)配列番号1に示すアミノ酸配列における78番目がグルタミン酸に置換されたアミノ酸配列において、78番目のアミノ酸を除いた配列同一性が90%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (L)配列番号1に示すアミノ酸配列における214番目がメチオニン、グリシン又はアラニンに置換、216番目がイソロイシン、ロイシン又はバリンに置換、218番目がアスパラギン、セリン又はグルタミンに置換、219番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、222番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換、225番目がリジン又はヒスチジンに置換、且つ229番目がグルタミン、アスパラギン又はセリンに置換されたアミノ酸配列において、214番目、216番目、218番目、219番目、222番目、225番目、及び229番目のアミノ酸を除いた配列同一性が90%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (M)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、且つ273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換されたアミノ酸配列において、272番目及び273番目のアミノ酸を除いた配列同一性が90%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (N)配列番号1に示すアミノ酸配列における324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が90%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド、
    (O)配列番号1に示すアミノ酸配列における272番目がアラニン、メチオニン又はグリシンに置換、273番目がグリシン、アラニン又はメチオニンに置換、324番目がアルギニン、リジン又はヒスチジンに置換、325番目がスレオニン、グルタミン又はアスパラギンに置換、且つ325番目と326番目の間にグリシン、アラニン又はメチオニンが挿入されてなるアミノ酸配列において、272番目、273番目、324番目及び325番目のアミノ酸並びに325番目と326番目の間に挿入されるアミノ酸を除いた配列同一性が90%以上であり、且つ、3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素と比較して25℃での3−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が向上しているポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドをコードしているDNA。
  3. 請求項2に記載のDNAを含む組換えベクター。
  4. 請求項3に記載の組換えベクターにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
  5. 請求項4に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項1に記載のポリペプチドの製造方法。
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