本実施形態に係る復水加熱システム及びその制御方法について、添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る復水加熱システムを説明する。
図1及び図2は、第1実施形態に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。図1は、発電プラントの定格運転状態における復水加熱システムの構成を示す。図2は、発電プラントの低負荷状態における復水加熱システムの構成を示す。
図1及び図2は、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)や加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)等の発電プラントに設置された、第1実施形態に係る復水加熱システム1を示す。
復水加熱システム1は、大きくは、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、制御部15、給水加熱器、ベント配管、開閉弁(ベント止め弁)、及び絞り機構を備える。なお、復水加熱システム1は、図示しないグランド蒸気復水器などの一般的な構成要素をさらに含むことが可能である。
蒸気タービン11は、蒸気を連続的に膨張させることによって、蒸気がもつ熱エネルギを速度エネルギに変え、タービンロータを介して機械的エネルギとして取り出す原動機である。
復水器12は、蒸気タービン11の排気蒸気を凝縮及び冷却して復水とする。
復水ポンプ13は、復水器12からの復水を昇圧する。
蒸気式空気抽出器14は、復水器12の真空度を維持するために内部に溜まった空気などの不凝縮ガスを抽出する複数段の空気抽出器、例えば2段の空気抽出器14a,14bと、空気抽出器14a,14bの間に設置され前段の空気抽出器14aで抽出された混合気体を冷却して蒸気を凝縮させる中間冷却器14cとを備える。
制御部15は、制御回路としてのCPU(central processing unit)、RAM(random access memory)等によって構成される。制御部15は、復水加熱システム1の構成要素の処理動作を統括的に制御する。制御部15は、負荷信号を受信して、発電プラント出力に応じた負荷状態を判断する。そして、制御部15は、負荷状態に応じて開閉弁の開閉を制御する。
給水加熱器は、蒸気タービン11からの抽気でボイラ給水を加熱する熱交換器である。復水加熱システム1は、1又は複数(m(m=1,2,…)個)の給水加熱器161〜16mを備える。mが「3」の場合、図1及び図2に示すように、復水加熱システム1は、3個の給水加熱器161〜163を備える。
ベント配管は、給水加熱器内の非凝縮ガスを抽出するために給水加熱器内のベント蒸気を排出する。ベント配管は、非凝縮ガスと共に給水加熱器内で凝縮に至らなかった抽気蒸気も随伴してベント蒸気を排出する。復水加熱システム1は、給水加熱器161〜16mにそれぞれ接続されるm個の主要ベント配管171〜17mと、主要ベント配管171〜17mと復水器12とをそれぞれ接続するm個の第1分岐ベント配管181〜18mと、主要ベント配管171〜17mと蒸気式空気抽出器14の中間冷却器14cとをそれぞれ接続するm個の第2分岐ベント配管191〜19mとを備える。
すなわち、ベント配管171〜17m,181〜18m,191〜19mは、各給水加熱器と復水器12とを接続するとともに、各給水加熱器と中間冷却器14cとを接続する。
mが「3」の場合、図1及び図2に示すように、復水加熱システム1は、3個の主要ベント配管171〜173と、3個の第1分岐ベント配管181〜183と、3個の第2分岐ベント配管191〜193とを備える。
開閉弁は、ベント配管に設けられ、給水加熱器内のベント蒸気の排出流路を開閉する弁である。復水加熱システム1は、第1分岐ベント配管181〜18mにそれぞれ設けられるm個の第1開閉弁201〜20mと、第2分岐ベント配管191〜19mにそれぞれ設けられるm個の第2開閉弁211〜21mとを備える。
mが「3」の場合、図1及び図2に示すように、復水加熱システム1は、3個の第1開閉弁201〜203と、3個の第2開閉弁211〜213とを備える。
絞り機構は、ベント配管に流れるベント蒸気の流量をそれぞれ制限する機構である。絞り機構としてオリフィスを用いる場合を図示するが、絞り機構として同様の機能を有するものであればオリフィスを用いる限定されるものではない。復水加熱システム1は、第1分岐ベント配管181〜18mにそれぞれ設けられるm個の第1絞り機構221〜22mと、第2分岐ベント配管191〜19mにそれぞれ設けられるm個の第2絞り機構231〜23mとを備える。
mが「3」の場合、図1及び図2に示すように、復水加熱システム1は、3個の第1絞り機構221〜223と、3個の第2絞り機構231〜233とを備える。
図1及び図2に示す系統構成により、全ての給水加熱器161〜163内のベント蒸気は、復水器12又は中間冷却器14cに排出される流路を持つことになる。
なお、図1及び図2においては、mが「3」、すなわち、復水加熱システム1が3個の給水加熱器161〜163と、3個の主要ベント配管171〜173と、3個の第1分岐ベント配管181〜183と、3個の第2分岐ベント配管191〜193と、3個の第1開閉弁201〜203と、3個の第2開閉弁211〜213と、3個の第1絞り機構221〜223と、3個の第2絞り機構231〜233とを備える場合について説明する。しかしながら、mは「3」の場合に限定されるものではない。
ここで、従来技術に係る復水加熱システムについて説明する。
図3は、従来技術に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。
図3は、従来技術に係る復水加熱システム101を示す。復水加熱システム101は、大きくは、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、3個の給水加熱器E1〜E3、3個のベント配管F1〜F3、3個の絞り機構G1〜G3を備える。
3個の給水加熱器E1〜E3は、蒸気タービン11からの抽気でボイラ給水を加熱する熱交換器である。給水加熱器E1〜E3内のベント蒸気を排出するため、給水加熱器E1〜E3には、3個のベント配管F1〜F3がそれぞれ接続される。
3個のベント配管F1〜F3は、中間冷却器14cと、3個の給水加熱器E1〜E3とをそれぞれ接続し、給水加熱器E1〜E3内の非凝縮ガスを抽出するために給水加熱器E1〜E3内のベント蒸気をそれぞれ排出する。
3個の絞り機構G1〜G3は、ベント配管F1〜F3にそれぞれ設けられる。絞り機構G1〜G3は、ベント配管F1〜F3に流れるベント蒸気の流量をそれぞれ制限する機構である。
図3の構成に示すように、復水加熱システム101において、給水加熱器E1〜E3からのベント蒸気は、ベント配管F1〜F3を介して常に復水器12に排出されることになる。
図1及び図2の説明に戻って、復水加熱システム1は、第1開閉弁201〜203を閉止とし第2開閉弁211〜213を開放とする状態(図1に図示)と、第1開閉弁201〜203を開放とし第2開閉弁211〜213を閉止とする状態(図2に図示)とを切り替えることができる。つまり、復水加熱システム1は、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を、中間冷却器14c又は復水器12に切り替えることができる。
給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先の切り替えは、発電プラントの運転状態に従えばよい。制御部15は、発電プラントの負荷がある閾値以上であることを検知すると、図1に示すように、第1開閉弁201〜203を閉止とし第2開閉弁211〜213を開放とするように開閉弁をそれぞれ制御する。この場合、給水加熱器161〜163内のベント蒸気は、主要ベント配管171〜173から第2分岐ベント配管191〜193を介して中間冷却器14cにそれぞれ排出される。
一方で、図1に示す復水加熱システム1では、第2開閉弁211〜213のみが解放されているので、中間冷却器14cには、給水加熱器161〜163から主要ベント配管171〜173と、第2分岐ベント配管191〜193とを介してベント蒸気が導入される。同時に、図1に示す復水加熱システム1では、中間冷却器14cには、空気抽出器14aを介して復水器12内の非凝縮ガスや、復水器12で抽気凝縮に至らなかった蒸気や、空気抽出器14aの作動蒸気が導入される。また、中間冷却器14cは、中間冷却器14cに流入する抽気蒸気を、中間冷却器14c内に設置された伝熱管を介して復水と熱交換する。中間冷却器14c内に残存した非凝縮ガスや凝縮に至らなかった抽気蒸気は、空気抽出器15bを介して発電サイクル系外に排出される。
続いて、発電プラントの負荷が下がってくると、給水加熱器161〜163と中間冷却器14cとの圧力差が小さくなるため、給水加熱器161〜163からのベント蒸気の流量が減少する。そして、発電プラントの負荷が給水加熱器161〜163内の非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量が不十分となる時の負荷以下の低負荷状態となると、給水加熱器161〜163内の非凝縮ガスの量が増加する。給水加熱器161〜163の非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量を維持するためには、中間冷却器14cよりも圧力の低い復水器12にベント蒸気を排出する必要がある。
そこで、制御部15は、発電プラントの負荷が閾値以下となる状態を検知すると、図2に示すように、第1開閉弁201〜203を開放とし第2開閉弁211〜213を閉止とするように開閉弁をそれぞれ制御する。この場合、給水加熱器161〜163内のベント蒸気は、主要ベント配管171〜173から第1分岐ベント配管181〜183を介して復水器12にそれぞれ排出される。
このように、制御部15は、発電プラントが低負荷状態に移行したことを検知すると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を図1に示す中間冷却器14cから図2に示す復水器12に切り替える。一方で、制御部15は、発電プラントが低負荷状態からある閾値以上の負荷へ上昇したことを検知すると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を図2に示す復水器12から図1に示す中間冷却器14cに切り替える。ここで、ベント蒸気の排出先の切り替えは、給水加熱器161〜163で段階的に行なわれてもよいし、また、同時に行なわれてもよい。どちらの場合でも、同等の作用及び効果が得られる。
なお、給水加熱器161〜163のうち、ボイラ給水流れ方向の下流側に備えられた給水加熱器であるほど加熱蒸気の圧力が高くベント蒸気の持つ熱量は大きいため、発電プラント効率に寄与する割合は大きい。加熱蒸気の圧力は、給水加熱器161より給水加熱器162の方が高く、給水加熱器162より給水加熱器163の方が高い。
また、図1及び図2に示す復水加熱システム1において、給水加熱器は1系列(直列の給水加熱器161〜163を一列)として示しているが、複数系列(直列の給水加熱器161〜163を複数列)であってもよい。その場合、各系列を図1に示す構成とすることができる。
第1実施形態に係る復水加熱システム1によると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気を中間冷却器14cに排出する構成を備えることで、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の持つ熱量をプラント効率に寄与させることができ熱の有効利用を図ることができる。
加えて、第1実施形態に係る復水加熱システム1によると、復水器12への非凝縮ガスの量を低減できるので、復水器12内に設置された伝熱管と蒸気の熱交換を効率的に行なうことができる。
また、第1実施形態に係る復水加熱システム1によると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気をグランド蒸気復水器(図示しない)に排出しないので、沸騰水型原子炉に設置される蒸気タービンプラントにおいても放射性物質の大気放出を防止できる。
さらに、第1実施形態に係る復水加熱システム1によると、発電プラントの負荷状態に応じて給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を決めるので、給水加熱器161〜163内の熱交換を効率的に行なうことができる。
(第2実施形態)
図4を用いて、第2実施形態に係る復水加熱システムを説明する。なお、図4において、図1、図2、及び図3に示す復水加熱システムと同一部材には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図4は、第2実施形態に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。
図4は、沸騰水型原子炉や加圧水型原子炉等の発電プラントに設置された、第2実施形態に係る復水加熱システム1Aを示す。復水加熱システム1Aは、大きくは、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、制御部15、給水加熱器、ベント配管、開閉弁、及び絞り機構を備える。なお、復水加熱システム1Aは、図示しないグランド蒸気復水器などの一般的な構成要素をさらに含むことが可能である。
給水加熱器は、蒸気タービン11からの抽気でボイラ給水を加熱する熱交換器である。復水加熱システム1Aは、複数の給水加熱器(ボイラ給水流れ方向の上流側のp(p=1,2,…)個の給水加熱器E1〜Epと、ボイラ給水流れ方向の下流側のq(q=1,2,…)個の給水加熱器161〜16q)とを備える。pが「1」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、上流側の1個の給水加熱器E1を備える。qが「2」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、下流側の2個の給水加熱器161,162を備える。ここで、給水加熱器の上流及び下流とは、ボイラ給水流れ方向から見たものであり、以降の説明においても同様の定義として用いる。
ベント配管は、給水加熱器内の非凝縮ガスを抽出するために給水加熱器内のベント蒸気を排出する。ベント配管は、非凝縮ガスと共に給水加熱器内で凝縮に至らなかった抽気蒸気も随伴してベント蒸気を排出する。復水加熱システム1Aは、給水加熱器E1〜Epと復水器12とをそれぞれ接続するp個のベント配管F1〜Fpと、給水加熱器161〜16qにそれぞれ接続されるq個の主要ベント配管171〜17qと、主要ベント配管171〜17qと復水器12とをそれぞれ接続するq個の第1分岐ベント配管181〜18qと、主要ベント配管171〜17qと蒸気式空気抽出器14の中間冷却器14cとをそれぞれ接続するq個の第2分岐ベント配管191〜19qとを備える。
すなわち、ベント配管171〜17q,181〜18q,191〜19qは、下流側の各給水加熱器と復水器12とを接続するとともに、下流側の各給水加熱器と中間冷却器14cとを接続する。
pが「1」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、1個のベント配管F1を備える。qが「2」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、2個の主要ベント配管171,172と、2個の第1分岐ベント配管181,182と、2個の第2分岐ベント配管191,192とを備える。
開閉弁は、ベント配管に設けられ、給水加熱器内のベント蒸気の流路を開閉する弁である。復水加熱システム1Aは、第1分岐ベント配管181〜18qにそれぞれ設けられるq個の第1開閉弁201〜20qと、第2分岐ベント配管191〜19qにそれぞれ設けられるq個の第2開閉弁211〜21qとを備える。
qが「2」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、2個の第1開閉弁201,202と、2個の第2開閉弁211,212とを備える。
絞り機構は、ベント配管に流れるベント蒸気の流量をそれぞれ制限する機構である。復水加熱システム1Aは、ベント配管F1〜Fpにそれぞれ設けられるp個の絞り機構G1〜Gpと、第1分岐ベント配管181〜18qにそれぞれ設けられるq個の第1絞り機構221〜22qと、第2分岐ベント配管191〜19qにそれぞれ設けられるq個の第2絞り機構231〜23qとを備える。
pが「1」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、1個の絞り機構G1を備える。qが「2」の場合、図4に示すように、復水加熱システム1Aは、2個の第1絞り機構221,222と、2個の第2絞り機構231,232とを備える。
図4に示す系統構成により、上流側の給水加熱器E1内のベント蒸気は、復水器12に排出される流路を持つことになり、下流側の給水加熱器161,162内のベント蒸気は、中間冷却器14c又は復水器12に排出される流路を持つことになる。給水加熱器161,162内のベント蒸気の排出先は、中間冷却器14c又は復水器12に切り替えられる。
なお、図4においては、pが「1」、すなわち、復水加熱システム1Aの上流側の1個の給水加熱器E1と、1個の主要ベント配管F1と、1個の絞り機構G1とを備える。しかしながら、pは「1」の場合に限定されるものではない。
また、図4においては、qが「2」、すなわち、復水加熱システム1Aの下流側の2個の給水加熱器161,162と、2個の主要ベント配管171,172と、2個の第1分岐ベント配管181,182と、2個の第2分岐ベント配管191,192と、2個の第1開閉弁201,202と、2個の第2開閉弁211,212と、2個の第1絞り機構221,222と、2個の第2絞り機構231,232とを備える。しかしながら、qは「2」の場合に限定されるものではない。
図4に示す復水加熱システム1Aにおいて、図1及び図2に示す復水加熱システム1と異なる構成は、給水加熱器のうち、圧力が比較的低い上流側の給水加熱器E1のベント蒸気の排出先を、従来技術のように復水器12のみとしていることである。発電プラントの定格運転状態において、相対的に圧力が低い給水加熱器E1と中間冷却器14cとの圧力差では、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量を達成できない場合、低圧力の給水加熱器E1のベント蒸気は常に復水器12に排出することが好適である。
一方で、上流側の給水加熱器E1と比較して下流側の給水加熱器161,162の方がベント蒸気の持つ熱量が大きい。そのため、給水加熱器のうち、圧力が比較的高い下流側の給水加熱器161,162のベント上記の排出先を、復水器12又は中間冷却器14cに切り替える構成とする。
第2実施形態に係る復水加熱システム1Aによると、下流側の給水加熱器161,162内のベント蒸気を中間冷却器14cに排出する構成を備えることで、給水加熱器161,162内のベント蒸気の持つ熱量をプラント効率に寄与させることができ熱の有効利用を図ることができる。
加えて、第2実施形態に係る復水加熱システム1Aによると、復水器12への非凝縮ガスの量を低減できるので、復水器12内に設置された伝熱管と蒸気の熱交換を効率的に行なうことができる。
また、第2実施形態に係る復水加熱システム1Aによると、給水加熱器E1,161,162内のベント蒸気をグランド蒸気復水器(図示しない)に排出しないので、沸騰水型原子炉に設置される蒸気タービンプラントにおいても放射性物質の大気放出を防止できる。
さらに、第2実施形態に係る復水加熱システム1Aによると、発電プラントの負荷状態に応じて給水加熱器161,162内のベント蒸気の排出先を決めるので、給水加熱器161,162内の熱交換を効率的に行なうことができる。
(第3実施形態)
図5を用いて、第3実施形態に係る復水加熱システムを説明する。なお、図5において、図1、図2、及び図3に示す復水加熱システムと同一部材には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図5は、第3実施形態に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。
図5は、沸騰水型原子炉や加圧水型原子炉等の発電プラントに設置された、第3実施形態に係る復水加熱システム1Bを示す。復水加熱システム1Bは、大きくは、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、制御部15、給水加熱器、ベント配管、開閉弁、及び絞り機構を備える。なお、復水加熱システム1Bは、図示しないグランド蒸気復水器などの一般的な構成要素をさらに含むことが可能である。
給水加熱器は、蒸気タービン11からの抽気でボイラ給水を加熱する熱交換器である。復水加熱システム1Bは、複数の給水加熱器(ボイラ給水流れ方向の上流側のs(s=1,2,…)個の給水加熱器161〜16sと、ボイラ給水流れ方向の下流側のt(t=1,2,…)個の給水加熱器261〜26t)とを備える。sが「1」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、上流側の1個の給水加熱器161を備える。tが「2」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、下流側の2個の給水加熱器261,262を備える。
ベント配管は、給水加熱器内の非凝縮ガスを抽出するために給水加熱器内のベント蒸気を排出する。ベント配管は、非凝縮ガスと共に給水加熱器内で凝縮に至らなかった抽気蒸気も随伴してベント蒸気を排出する。復水加熱システム1Bは、給水加熱器161〜16sにそれぞれ接続されるs個の主要ベント配管171〜17sと、主要ベント配管171〜17sと復水器12とをそれぞれ接続するs個の第1分岐ベント配管181〜18sと、主要ベント配管171〜17sと蒸気式空気抽出器14の中間冷却器14cとをそれぞれ接続するs個の第2分岐ベント配管191〜19sとを備える。
すなわち、ベント配管171〜17s,181〜18s,191〜19sは、上流側の各給水加熱器と復水器12とを接続するとともに、上流側の各給水加熱器と中間冷却器14cとを接続する。
また、復水加熱システム1Bは、給水加熱器261〜26tにそれぞれ接続されるt個の主要ベント配管271〜27tと、主要ベント配管271〜27tと復水器12とをそれぞれ接続するt個の第1分岐ベント配管281〜28tと、主要ベント配管171〜17tと前段の給水加熱器とをそれぞれ接続するt個の第2分岐ベント配管291〜29tとを備える。
すなわち、ベント配管271〜27t,281〜28t,291〜29tは、下流側の各給水加熱器と復水器12とを接続するとともに、下流側の各給水加熱器と前段の給水加熱器とを接続する。
sが「1」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、1個の主要ベント配管171と、1個の第1分岐ベント配管181と、1個の第2分岐ベント配管191とを備える。tが「2」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、2個の主要ベント配管271,272と、2個の第1分岐ベント配管281,282と、2個の第2分岐ベント配管291,292とを備える。
開閉弁は、ベント配管に設けられ、給水加熱器内のベント蒸気の流路を開閉する弁である。復水加熱システム1Bは、第1分岐ベント配管181〜18sにそれぞれ設けられるs個の第1開閉弁201〜20sと、第2分岐ベント配管191〜19sにそれぞれ設けられるs個の第2開閉弁211〜21sとを備える。
また、復水加熱システム1Bは、第1分岐ベント配管281〜28tにそれぞれ設けられるt個の第1開閉弁301〜30tと、第2分岐ベント配管291〜29tにそれぞれ設けられるt個の第2開閉弁311〜31tとを備える。
sが「1」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、1個の第1開閉弁201と、1個の第2開閉弁211とを備える。tが「2」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、2個の第1開閉弁301,302と、2個の第2開閉弁311,312とを備える。
絞り機構は、ベント配管に流れるベント蒸気の流量をそれぞれ制限する機構である。復水加熱システム1Bは、第1分岐ベント配管181〜18sにそれぞれ設けられるs個の第1絞り機構221〜22sと、第2分岐ベント配管191〜19sにそれぞれ設けられるs個の第2絞り機構231〜23sとを備える。
また、復水加熱システム1Bは、第1分岐ベント配管281〜28sにそれぞれ設けられるt個の第1絞り機構321〜32tと、第2分岐ベント配管291〜29tにそれぞれ設けられるt個の第2絞り機構331〜33tとを備える。
sが「1」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、1個の第1絞り機構221と、1個の第2絞り機構231とを備える。tが「2」の場合、図5に示すように、復水加熱システム1Bは、2個の第1絞り機構321,322と、2個の第2絞り機構331,332とを備える。
図5に示す系統構成により、上流側の給水加熱器161内のベント蒸気は、中間冷却器14c又は復水器12に排出される流路を持つことになり、下流側の給水加熱器261,262内のベント蒸気は、前段の給水加熱器又は復水器12に排出される流路を持つことになる。給水加熱器161内のベント蒸気の排出先は、中間冷却器14c又は復水器12に切り替えられ、給水加熱器261,262内のベント蒸気の排出先は、前段の給水加熱器又は復水器12に切り替えられる。
なお、図5においては、sが「1」、すなわち、復水加熱システム1Bの上流側の1個の給水加熱器161と、1個の主要ベント配管171と、1個の第1分岐ベント配管181と、1個の第2分岐ベント配管191と、1個の第1開閉弁201と、1個の第2開閉弁211と、1個の第1絞り機構221と、1個の第2絞り機構231とを備える。しかしながら、sは「1」の場合に限定されるものではない。
また、図5においては、tが「2」、すなわち、復水加熱システム1Bの下流側の2個の給水加熱器261,262と、2個の主要ベント配管271,272と、2個の第1分岐ベント配管281,282と、2個の第2分岐ベント配管291,292と、2個の第1開閉弁301,302と、2個の第2開閉弁311,312と、2個の第1絞り機構321,322と、2個の第2絞り機構331,332とを備える。しかしながら、tは「2」の場合に限定されるものではない。
復水加熱システム1Bにおいて、図1及び図2に示す復水加熱システム1と異なる構成は、下流側の給水加熱器261,262のベント蒸気が前段の給水加熱器に段階的に排出され、排出先の給水加熱器にてベント蒸気の持つ熱量を回収されていることである。図5の構成とすることにより、給水加熱器から中間冷却器14cに至る配管が給水加熱器161〜16sからのs本(図5では1本)になるため、配管物量が低減できる。
なお、復水加熱システム1Bを、図4に示す復水加熱システム1Aに適用してみても、復水加熱システム1Bと同等の効果が得られる。
第3実施形態に係る復水加熱システム1Bによると、上流側の給水加熱器161内のベント蒸気を中間冷却器14cに排出する構成を備え、ボイラ給水流れ方向の下流側の給水加熱器261,262内のベント蒸気を前段の給水加熱器に排出する構成を備えることで、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の持つ熱量をプラント効率に寄与させることができ熱の有効利用を図ることができる。
加えて、第3実施形態に係る復水加熱システム1Bによると、復水器12への非凝縮ガスの量を低減できるので、復水器12内に設置された伝熱管と蒸気の熱交換を効率的に行なうことができる。
また、第3実施形態に係る復水加熱システム1Bによると、給水加熱器161,261,262内のベント蒸気をグランド蒸気復水器(図示しない)に排出しないので、沸騰水型原子炉に設置される蒸気タービンプラントにおいても放射性物質の大気放出を防止できる。
さらに、第3実施形態に係る復水加熱システム1Bによると、発電プラントの負荷状態に応じて給水加熱器161,261,262内のベント蒸気の排出先を決めるので、給水加熱器161,261,262内の熱交換を効率的に行なうことができる。
(第4実施形態)
図6を用いて、第4実施形態に係る復水加熱システムを説明する。なお、図6において、図1及び図2に示す復水加熱システム1と同一部材には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図6は、第4実施形態に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。
図6は、沸騰水型原子炉や加圧水型原子炉等の発電プラントに設置された、第4実施形態に係る復水加熱システム1Cを示す。復水加熱システム1Cは、図1及び図2に示す復水加熱システム1と同様に、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、制御部15、給水加熱器、ベント配管、開閉弁、及び絞り機構を備える。なお、復水加熱システム1Cは、図示しないグランド蒸気復水器などの一般的な構成要素をさらに含むことが可能である。
また、復水加熱システム1Cは、第1圧力検出器35と、第2圧力検出器36とを備える。第1圧力検出器35は、第2絞り機構231における流れ方向の上流圧力を検出するために、第2絞り機構231の上流側、例えば給水加熱器161に設置される。なお、図6では、第1圧力検出器35が給水加熱器161に設置される場合を例示するが、給水加熱器161の器内圧力の検出に限定するものではなく、第2絞り機構231よりも上流側の配管に設置されてもよい。
第2圧力検出器36は、第2絞り機構231における流れ方向の下流圧力を検出するために、第2絞り機構231の下流側、例えば中間冷却器14cに設置される。なお、図6では、第2圧力検出器36は中間冷却器14cに設置される場合を例示するが、中間冷却器14cの器内圧力の検出に限定するものではなく、第2絞り機構231よりも下流側の配管に設置されてもよい。
復水加熱システム1Cにおいて、図1及び図2に示す復水加熱システム1と異なる構成は、第2絞り機構231における流れ方向の上流圧力を検出するために、圧力検出器35,36が設置される点である。第1圧力検出器35で検出された圧力値と、第2圧力検出器36で検出された圧力値とはそれぞれ制御部15に出力される。
制御部15は、発電プラントの負荷ではなく、検出された圧力値の圧力差により、第1開閉弁201〜203と、第2開閉弁211〜213の開閉を制御する。具体的には、制御部15は、圧力差に基づいて、第2絞り機構231に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量以上となる場合、図6に示すように、第1開閉弁201〜203を閉止とし、第2開閉弁211〜213を開放となるように制御する。
一方で、制御部15は、圧力差に基づいて、第2絞り機構231に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量未満となる場合、第1開閉弁201〜203を開放とし、第2開閉弁211〜213を閉止となるように制御する。このように、復水加熱システム1Cでは、圧力差によって、ベント蒸気の排出先を復水器12又は中間冷却器14cに自動で切り替える作用を有し、発電プラントの負荷状態に係らず、給水加熱器161〜163からベント蒸気を安定的に抽出することが可能となる。
なお、復水加熱システム1Cを、図4に示す復水加熱システム1Aや、図5に示す復水加熱システム1Bに適用してみても、復水加熱システム1Cと同等の効果が得られる。
第4実施形態に係る復水加熱システム1Cによると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気を中間冷却器14cに排出する構成を備えることで、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の持つ熱量をプラント効率に寄与させることができ熱の有効利用を図ることができる。
加えて、第4実施形態に係る復水加熱システム1Cによると、復水器12への非凝縮ガスの量を低減できるので、復水器12内に設置された伝熱管と蒸気の熱交換を効率的に行なうことができる。
また、第4実施形態に係る復水加熱システム1Cによると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気をグランド蒸気復水器(図示しない)に排出しないので、沸騰水型原子炉に設置される蒸気タービンプラントにおいても放射性物質の大気放出を防止できる。
さらに、第4実施形態に係る復水加熱システム1Cによると、圧力差に応じて給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を決めるので、給水加熱器161〜163内の熱交換を効率的に行なうことができる。
(第5実施形態)
図7を用いて、第5実施形態に係る復水加熱システムを説明する。なお、図7において、図1及び図2に示す復水加熱システム1、又は、図6に示す復水加熱システム1Cと同一部材には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図7は、第5実施形態に係る復水加熱システムの構成を示す概略図である。
図7は、沸騰水型原子炉や加圧水型原子炉等の発電プラントに設置された、第5実施形態に係る復水加熱システム1Dを示す。復水加熱システム1Dは、図1及び図2に示す復水加熱システム1と同様に、蒸気タービン11、復水器12、復水ポンプ13、蒸気式空気抽出器14、制御部15、給水加熱器、ベント配管、開閉弁、及び絞り機構を備える。なお、復水加熱システム1Dは、図示しないグランド蒸気復水器などの一般的な構成要素をさらに含むことが可能である。
また、復水加熱システム1Dは、m個の第1圧力検出器351〜35mと、第2圧力検出器36とを備える。mが「3」の場合、図7に示すように、復水加熱システム1Dは、3個の第1圧力検出器351〜353を備える。
第1圧力検出器351〜353は、第2絞り機構231〜233における流れ方向の上流圧力をそれぞれ検出するために、第2絞り機構231〜233の上流側、例えば給水加熱器161〜163に設置される。なお、図7では、第1圧力検出器351〜353が給水加熱器161〜163にそれぞれ設置される場合を例示するが、給水加熱器161〜163の器内圧力の検出に限定するものではなく、第2絞り機構231〜233よりも上流側の配管にそれぞれ設置されてもよい。
第2圧力検出器36は、第2絞り機構231〜233における流れ方向の下流圧力をそれぞれ検出するために、第2絞り機構231〜233の下流側、例えば中間冷却器14cに設置される。なお、図7では、第2圧力検出器36は中間冷却器14cに設置される場合を例示するが、中間冷却器14cの器内圧力の検出に限定するものではなく、第2絞り機構231〜233よりも下流側の配管にそれぞれ設置されてもよい。
復水加熱システム1Dにおいて、図6に示す復水加熱システム1Cと異なる構成は、第2絞り機構231〜233に、上流圧力値を検出するための第1圧力検出器351〜353がそれぞれ設けられていることである。第1圧力検出器351〜353でそれぞれ検出された圧力値と、第2圧力検出器36で検出された圧力値とはそれぞれ制御部15に出力される。
第1圧力検出器351で検出された圧力値をP1とし、第1圧力検出器352で検出される圧力値をP2、第1圧力検出器353で検出される圧力値をP3とし、第2圧力検出器36で検出される圧力値をP0とする。圧力値P1〜P3は、第2絞り機構231〜233における流れ方向の上流圧力の検出値である。
制御部15は、発電プラントの負荷ではなく、検出された圧力値の圧力差により、第1開閉弁201〜203と、第2開閉弁211〜213の開閉を制御する。具体的には、制御部15は、圧力差(P1−P0)に基づいて、第2絞り機構231に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量以上となる場合、図7に示すように、第1開閉弁201を閉止とし、第2開閉弁211を開放となるように制御する。
同様に、制御部15は、圧力差(P2−P0)に基づいて、第2絞り機構232に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量以上となる場合、図7に示すように、第1開閉弁202を閉止とし、第2開閉弁212を開放となるように制御する。同様に、制御部15は、圧力差(P3−P0)に基づいて、第2絞り機構233に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量以上となる場合、図7に示すように、第1開閉弁203を閉止とし、第2開閉弁213を開放となるように制御する。
一方で、制御部15は、圧力差(P1−P0)に基づいて、第2絞り機構231に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量未満となる場合、第1開閉弁201を開放とし、第2開閉弁211を閉止となるように制御する。同様に、制御部15は、圧力差(P2−P0)に基づいて、第2絞り機構232に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量未満となる場合、第1開閉弁202を開放とし、第2開閉弁212を閉止となるように制御する。同様に、制御部15は、圧力差(P3−P0)に基づいて、第2絞り機構233に流れるベント蒸気の流量を判断し、非凝縮ガスの抽出に必要なベント蒸気の流量未満となる場合、第1開閉弁203を開放とし、第2開閉弁213を閉止となるように制御する。
このように、復水加熱システム1Dでは、圧力差によって、ベント蒸気の排出先を復水器12又は中間冷却器14cに自動で切り替える作用を有し、発電プラントの負荷状態に係らず、給水加熱器161〜163からベント蒸気を安定的に抽出することが可能となる。
なお、復水加熱システム1Dを、図4に示す復水加熱システム1Aや、図5に示す復水加熱システム1Bに適用してみても、復水加熱システム1Dと同等の効果が得られる。
第5実施形態に係る復水加熱システム1Dによると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気を中間冷却器14cに排出する構成を備えることで、給水加熱器161〜163内のベント蒸気の持つ熱量をプラント効率に寄与させることができ熱の有効利用を図ることができる。
加えて、第5実施形態に係る復水加熱システム1Dによると、復水器12への非凝縮ガスの量を低減できるので、復水器12内に設置された伝熱管と蒸気の熱交換を効率的に行なうことができる。
また、第5実施形態に係る復水加熱システム1Dによると、給水加熱器161〜163内のベント蒸気をグランド蒸気復水器(図示しない)に排出しないので、沸騰水型原子炉に設置される蒸気タービンプラントにおいても放射性物質の大気放出を防止できる。
さらに、第5実施形態に係る復水加熱システム1Dによると、圧力差に応じて給水加熱器161〜163内のベント蒸気の排出先を決めるので、給水加熱器161〜163内の熱交換を効率的に行なうことができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。