JP6513893B1 - 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 - Google Patents

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Abstract

多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有する耐熱性多孔質層と、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、を備えた非水系二次電池用セパレータ。多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂及び無機粒子の少なくとも一方を含有する耐熱性多孔質層と、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、を備え、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mである、非水系二次電池用セパレータ。

Description

本発明は、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダ等の携帯型電子機器の電源として広く用いられている。また、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、電力貯蔵用や電動車両用の電池としての適用が検討されている。
非水系二次電池の普及にともない、安全性と安定した電池特性を確保することがますます求められている。安全性と安定した電池特性を確保するための具体的方策としては、セパレータの耐熱性を高めること、及び、電極とセパレータとの接着性を高めることが挙げられる。
耐熱性を高めたセパレータとして、無機粒子及び耐熱性樹脂の少なくとも一方を含有する耐熱性多孔質層を備えたセパレータが知られている。電極との接着性を高めたセパレータとして、電極に対する接着性を有する樹脂を含有する接着層を備えたセパレータが知られている。例えば、特許文献1〜6に開示されているセパレータは、耐熱性多孔質層と接着層とを両方備えている。
特許第5971662号公報 特許第5976015号公報 特許第5946257号公報 特許第6112115号公報 国際公開第2013/151144号 特開2013−20769号公報
セパレータの耐熱性は、耐熱性多孔質層における無機粒子の含有量が多いほど高いが、無機粒子の含有量が多いほど、耐熱性多孔質層が多孔質基材又は接着層から剥がれやすくなるし、また、耐熱性多孔質層は脆くなる。その場合、セパレータは、接着層と電極との間の接着が保たれていたとしても、耐熱性多孔質層と多孔質基材との間の界面破壊、耐熱性多孔質層と接着層との間の界面破壊、又は耐熱性多孔質層の凝集破壊が起こり、その結果、セパレータと電極との接着が保たれないことになる。このような事象を抑制する観点から、耐熱性多孔質層には、耐熱性のみならず、多孔質基材からの剥がれにくさ、接着層からの剥がれにくさ、及び靱性が求められる。同様に、接着層には、電極に対する接着性のみならず、接着層が接している耐熱性多孔質層又は多孔質基材からの剥がれにくさ、及び靱性が求められる。
本開示の実施形態は、上記状況のもとになされた。
本開示の実施形態は、耐熱性多孔質層と接着層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、電極との接着に優れる非水系二次電池用セパレータを提供することを目的とし、これを解決することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
[1] 多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有する耐熱性多孔質層と、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、を備えた非水系二次電池用セパレータ。
[2] 前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mである、[1]に記載の非水系二次電池用セパレータ。
[3] 前記耐熱性多孔質層がさらに無機粒子を含有し、前記耐熱性多孔質層に占める前記無機粒子の質量割合が50質量%〜90質量%である、[1]又は[2]に記載の非水系二次電池用セパレータ。
[4] 多孔質基材と、前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂及び無機粒子の少なくとも一方を含有する耐熱性多孔質層と、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、を備え、前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mである、非水系二次電池用セパレータ。
[5] 前記接着性樹脂粒子が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む第一の接着性樹脂粒子とアクリル系樹脂を含む第二の接着性樹脂粒子との混合物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[6] 前記非水系二次電池用セパレータのガーレ値と前記多孔質基材のガーレ値との差が20秒/100mL〜300秒/100mLである、[1]〜[5]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[7] 前記非水系二次電池用セパレータのMD方向の引張強度及びTD方向の引張強度の少なくとも一方が500kgf/cm〜3000kgf/cmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[8] 前記接着層の重量が前記積層体の片面あたり0.2g/m〜2.0g/mである、[1]〜[7]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[9] 前記多孔質基材がポリプロピレンを含有する微多孔膜である、[1]〜[8]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[10] 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された[1]〜[9]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
本開示によれば、耐熱性多孔質層と接着層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、電極との接着に優れる非水系二次電池用セパレータが提供される。
第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層に係る実施形態例の外面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜は全芳香族ポリアミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層及び多孔質基材に係る実施形態例の断面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜は全芳香族ポリアミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える接着層に係る実施形態例の表面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜は全芳香族ポリアミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層に係る実施形態例の外面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリアミドイミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層及び多孔質基材に係る実施形態例の断面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリアミドイミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える接着層に係る実施形態例の表面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリアミドイミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層に係る実施形態例の外面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリイミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層及び多孔質基材に係る実施形態例の断面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリイミドを含有する。 第一の非水系二次電池用セパレータが備える接着層に係る実施形態例の表面の電子顕微鏡画像である。本実施形態例において、耐熱性多孔質層が有する多孔性被膜はポリイミドを含有する。 第二の非水系二次電池用セパレータが備える接着層に係る実施形態例の表面の電子顕微鏡画像である。 第二の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層に係る実施形態例の外面の電子顕微鏡画像である。 第二の非水系二次電池用セパレータが備える耐熱性多孔質層及び多孔質基材に係る実施形態例の断面の電子顕微鏡画像である。 本開示の非水系二次電池用セパレータの実施形態例の模式的断面図である。 本開示の非水系二次電池用セパレータの実施形態例の模式的断面図である。 本開示の非水系二次電池用セパレータの実施形態例の模式的断面図である。 本開示の非水系二次電池用セパレータの実施形態例の模式的断面図である。
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「MD方向」とは、長尺状に製造される多孔質基材及びセパレータにおいて長尺方向を意味し、「TD方向」とは、「MD方向」に直交する方向を意味する。本開示において、「MD方向」を「機械方向」ともいい、「TD方向」を「幅方向」ともいう。
本開示において、セパレータを構成する各層の積層関係について「上」及び「下」で表現する場合、基材に対してより近い層について「下」といい、基材に対してより遠い層について「上」という。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本開示において「(メタ)アクリル」との表記は「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
本開示において耐熱性樹脂とは、融点が180℃以上の樹脂、又は、融点を有さず分解温度が180℃以上の樹脂を指す。つまり、本開示における耐熱性樹脂とは、180℃未満の温度領域で溶融及び分解を起こさない樹脂である。
本開示は、第一の非水系二次電池用セパレータと、第二の非水系二次電池用セパレータとを開示する。第一の非水系二次電池用セパレータは、第二の非水系二次電池用セパレータに常に該当するものではないが、第二の非水系二次電池用セパレータに該当することがある。第二の非水系二次電池用セパレータは、第一の非水系二次電池用セパレータに常に該当するものではないが、第一の非水系二次電池用セパレータに該当することがある。
本開示において第一の非水系二次電池用セパレータと第二の非水系二次電池用セパレータとに共通する事項については「本開示のセパレータ」と記載して説明する。
<第一の非水系二次電池用セパレータ>
第一の非水系二次電池用セパレータ(「第一のセパレータ」ともいう。)は、多孔質基材と、多孔質基材の片面又は両面に設けられた耐熱性多孔質層と、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられた接着層と、を備える。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有する。該多孔性被膜は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミド以外の成分を含有していてもよい。耐熱性多孔質層の形態例として、例えば、下記の形態(a)〜(d)が挙げられる。
形態(a):耐熱性多孔質層が、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜そのものである。
形態(b):耐熱性多孔質層が、多孔質基材上に形成された内層であって全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する内層と、この内層の外面を覆うように形成された多孔性被膜であって全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜とを備える。内層は、多孔性被膜よりも径の大きな多孔質構造である。耐熱性多孔質層は全体として、いわゆるスキン−コア構造を呈する。
形態(c):耐熱性多孔質層が、さらに無機粒子を含有しており、無機粒子が、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜によって結着され且つ覆われてなる層である。
形態(d):耐熱性多孔質層が、多孔質基材上に形成された内層であって全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種並びに無機粒子を含有する内層と、この内層の外面を覆うように形成された多孔性被膜であって全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜とを備える。内層は、無機粒子が全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種により結着されており、多孔性被膜よりも径の大きな多孔質構造である。耐熱性多孔質層は全体として、いわゆるスキン−コア構造を呈する。
図1A、図1B、図2A、図2B、図3A及び図3Bに、第一のセパレータが備える耐熱性多孔質層の実施形態例の走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)を示す。図1A、図1B、図2A、図2B、図3A及び図3Bに示す耐熱性多孔質層は、無機粒子をも含有する形態である。
図1A及び図1Bに示す耐熱性多孔質層は、多孔性被膜が全芳香族ポリアミドを含有する形態である。図1Aは、耐熱性多孔質層の外面(多孔質基材から遠い方の面)のSEM画像であり、図1Bは、耐熱性多孔質層及び多孔質基材の断面のSEM画像である。多孔性被膜は、耐熱性多孔質層の外面をなす被膜であり、微細孔を有する緻密な被膜である。
図2A及び図2Bに示す耐熱性多孔質層は、多孔性被膜がポリアミドイミドを含有する形態である。図2Aは、耐熱性多孔質層の外面(多孔質基材から遠い方の面)のSEM画像であり、図2Bは、耐熱性多孔質層及び多孔質基材の断面のSEM画像である。多孔性被膜は、耐熱性多孔質層の外面をなす被膜であり、微細孔を有する緻密な被膜である。
図3A及び図3Bに示す耐熱性多孔質層は、多孔性被膜がポリイミドを含有する形態である。図3Aは、耐熱性多孔質層の外面(多孔質基材から遠い方の面)のSEM画像であり、図3Bは、耐熱性多孔質層及び多孔質基材の断面のSEM画像である。多孔性被膜は、耐熱性多孔質層の外面をなす被膜であり、微細孔を有する緻密な被膜である。
第一のセパレータにおける接着層は、接着性樹脂粒子が、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に付着してなる層である。接着性樹脂粒子は、電極に対して接着性を有する粒子状の樹脂である。接着層は、接着性樹脂粒子が積層体の面上に互いに隣接して多数並んだ構造を有していてもよく、接着性樹脂粒子が積層体の面上に多数点在した構造を有していてもよい。また、接着層は、接着性樹脂粒子が厚さ方向に1層の構造を有していてもよいし、接着性樹脂粒子が厚さ方向に複数層重なった構造を有していてもよい。図1C、図2C及び図3Cに、第一のセパレータが備える接着層の実施形態例の走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)を示す。
第一のセパレータが備える耐熱性多孔質層は、耐熱性樹脂である、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有することにより、耐熱性を有しつつ、無機粒子が結着樹脂で結着されてなる耐熱性多孔質層に比べて多孔質基材から剥がれにくく且つ靱性に優れる。
また、第一のセパレータが備える接着層は、接着性樹脂粒子が耐熱性多孔質層の多孔性被膜又は多孔質基材に付着した構造を有することにより、耐熱性多孔質層又は多孔質基材から剥がれにくく且つ靱性に優れる。
したがって、第一のセパレータは、層間の界面破壊と各層の凝集破壊とが起りにくく、その結果、セパレータ全体として電極との接着強度が強いと推測される。
<第二の非水系二次電池用セパレータ>
第二の非水系二次電池用セパレータ(「第二のセパレータ」ともいう。)は、多孔質基材と、多孔質基材の片面又は両面に設けられた耐熱性多孔質層と、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられた接着層と、を備える。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂、及び/又は、無機粒子を含有する。これにより、耐熱性多孔質層は耐熱性を有する。
第二のセパレータにおける多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度は、5N/m〜75N/mである。第二のセパレータが多孔質基材の両面に耐熱性多孔質層を有する場合、多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度は、多孔質基材の両面において上記の範囲である。
第二のセパレータにおける接着層は、接着性樹脂粒子が、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に付着してなる層である。接着性樹脂粒子は、電極に対して接着性を有する粒子状の樹脂である。接着層は、接着性樹脂粒子が積層体の面上に互いに隣接して多数並んだ構造を有していてもよく、接着性樹脂粒子が積層体の面上に多数点在した構造を有していてもよい。また、接着層は、接着性樹脂粒子が厚さ方向に1層の構造を有していてもよいし、接着性樹脂粒子が厚さ方向に複数層重なった構造を有していてもよい。図4Aに、第二のセパレータが備える接着層の実施形態例の走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)を示す。
第二のセパレータは、多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mであり、耐熱性多孔質層が多孔質基材から剥がれにくい。
また、第二のセパレータが備える接着層は、接着性樹脂粒子が耐熱性多孔質層又は多孔質基材に付着した構造を有することにより、耐熱性多孔質層又は多孔質基材から剥がれにくい。
したがって、第二のセパレータは、層間の界面破壊が起りにくく、その結果、セパレータ全体として電極との接着強度が強いと推測される。
本開示のセパレータの層構成を、図面を参照して説明する。
図5A〜図5Dはそれぞれ、本開示のセパレータの実施形態例の模式的断面図である。図5A〜図5Dは、主に層の積層順を説明するための模式的断面図であって、各層の構造は捨象又は単純化している。図5A〜図5Dにおいて、同様の機能を有する層には同じ符号を付して説明する。
図5Aに示すセパレータ10Aは、多孔質基材20の両面に耐熱性多孔質層30が配置され、多孔質基材20と2つの耐熱性多孔質層30との積層体40の両面に接着層50が配置されたセパレータである。
図5Bに示すセパレータ10Bは、多孔質基材20の両面に耐熱性多孔質層30が配置され、多孔質基材20と2つの耐熱性多孔質層30との積層体40の片面に接着層50が配置されたセパレータである。
図5Cに示すセパレータ10Cは、多孔質基材20の片面に耐熱性多孔質層30が配置され、多孔質基材20と1つの耐熱性多孔質層30との積層体40の両面に接着層50が配置されたセパレータである。
図5Dに示すセパレータ10Dは、多孔質基材20の片面に耐熱性多孔質層30が配置され、多孔質基材20と1つの耐熱性多孔質層30との積層体40の片面に接着層50が配置されたセパレータである。セパレータ10Dにおいて、接着層50は、耐熱性多孔質層30の面上に配置されている。
耐熱性多孔質層30は、多孔質基材20の面上に配置された層である。耐熱性多孔質層30は、多孔質基材20の片面のみにあってもよく、多孔質基材20の両面にあってもよい。耐熱性多孔質層30が多孔質基材20の両面にあると、セパレータの耐熱性がより優れ、電池の安全性をより高めることができる。また、セパレータにカールが発生しにくく、電池製造時のハンドリング性に優れる。耐熱性多孔質層30が多孔質基材20の片面のみにあると、セパレータのイオン透過性がより優れる。また、セパレータ全体の厚さを抑えることができ、エネルギー密度のより高い電池を製造し得る。
接着層50は、多孔質基材20又は耐熱性多孔質層30の面上に配置された層であり、セパレータの最外層として存在する。接着層50は、積層体40の片面のみにあってもよく、積層体40の両面にあってもよい。接着層50が積層体40の片面のみにある場合、接着層50は耐熱性多孔質層30の面上に配置されていることが好ましい。接着層50は、電池の正極又は負極の組成又は表面性状に合せて、積層体40の片面に配置するか両面に配置するかを選択してよい。接着層50が積層体40の片面のみにある方が、セパレータ全体の厚さを抑えることができ、エネルギー密度のより高い電池を製造し得る。
接着層50は、接着性樹脂粒子52が積層体40の表面に付着してなる層である。セパレータ10A〜10Dにおいて接着層50は、接着性樹脂粒子52が積層体40の面上に互いに隣接して多数並んだ構造を有しており、また、接着性樹脂粒子52が厚さ方向に1層の構造を有している。ただし、接着層50の構造は上記構造に限定されず、接着性樹脂粒子52が積層体40の面上に多数点在した構造を有していてもよいし、接着性樹脂粒子52が厚さ方向に複数層重なった構造を有していてもよい。接着層50は、電極への接着性により優れる観点から、接着性樹脂粒子52が積層体40の面上に互いに隣接して多数並んだ構造を有していることが好ましく、電池のエネルギー密度を高める観点から、接着性樹脂粒子52が厚さ方向に1層の構造を有していることが好ましい。
以下、本開示のセパレータが有する多孔質基材、耐熱性多孔質層及び接着層の詳細を説明する。
[多孔質基材]
本開示において多孔質基材とは、内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。このような基材としては、微多孔膜;繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シート;などが挙げられる。本開示においては、セパレータの薄膜化及び強度の観点から、微多孔膜が好ましい。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。
多孔質基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料が好ましく、有機材料又は無機材料のいずれでもよい。
多孔質基材は、多孔質基材にシャットダウン機能を付与するため、熱可塑性樹脂を含むことが望ましい。シャットダウン機能とは、電池温度が高まった際に、構成材料が溶解して多孔質基材の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;などが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。
多孔質基材としては、ポリオレフィンを含む微多孔膜(「ポリオレフィン微多孔膜」という。)が好ましい。ポリオレフィン微多孔膜としては、例えば、従来の電池セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜が挙げられ、この中から十分な力学特性とイオン透過性を有するものを選択することが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能を発現する観点から、ポリエチレンを含む微多孔膜が好ましく、ポリエチレンの含有量としては、ポリオレフィン微多孔膜全体の質量に対して95質量%以上が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、高温に曝されたときに容易に破膜しない耐熱性を備える観点から、ポリプロピレンを含む微多孔膜が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能と、高温に曝されたときに容易に破膜しない耐熱性とを備える観点から、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。このようなポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレンとポリプロピレンが1つの層において混在している微多孔膜が挙げられる。該微多孔膜においては、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、95質量%以上のポリエチレンと5質量%以下のポリプロピレンとを含むことが好ましい。また、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点からは、2層以上の積層構造を備え、少なくとも1層はポリエチレンを含み、少なくとも1層はポリプロピレンを含む構造のポリオレフィン微多孔膜も好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィンとしては、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万のポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンのMwが10万以上であると、微多孔膜に十分な力学特性を付与できる。一方、ポリオレフィンのMwが500万以下であると、微多孔膜のシャットダウン特性が良好であるし、微多孔膜の成形がしやすい。
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出してシート化し、これを結晶化処理した後延伸し、次いで熱処理をして微多孔膜とする方法:流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出し、これを冷却してシート化し、延伸した後、可塑剤を抽出し熱処理をして微多孔膜とする方法;などが挙げられる。
繊維状物からなる多孔性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の耐熱性樹脂;セルロース;などの繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シートが挙げられる。
多孔質基材の表面には、耐熱性多孔質層を形成するための塗工液又は接着層を形成するための樹脂粒子分散液との濡れ性を向上させる目的で、多孔質基材の性質を損なわない範囲で、各種の表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
[多孔質基材の特性]
多孔質基材の厚さは、電池のエネルギー密度を高める観点から、10.0μm以下が好ましく、8.0μm以下がより好ましく、セパレータの製造歩留り及び電池の製造歩留りの観点から、3.0μm以上が好ましく、5.0μm以上がより好ましい。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、電池の短絡の抑制又は十分なイオン透過性を得る観点から、50秒/100mL〜400秒/100mLが好ましく、50秒/100mL〜200秒/100mLがより好ましい。
多孔質基材の空孔率は、適切な膜抵抗やシャットダウン機能を得る観点から、20%〜60%が好ましい。多孔質基材の空孔率は、下記の算出方法に従って求める。即ち、構成材料がa、b、c、…、nであり、各構成材料の質量がWa、Wb、Wc、…、Wn(g/cm)であり、各構成材料の真密度がda、db、dc、…、dn(g/cm)であり、膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求められる。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
多孔質基材の突刺強度は、セパレータの製造歩留り及び電池の製造歩留りの観点から、200g以上が好ましい。多孔質基材の突刺強度は、カトーテック社KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/秒の条件で突刺試験を行って測定する最大突刺荷重(g)を指す。
[第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層]
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有する。多孔性被膜は、多数の微細孔を有し、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった被膜である。多孔性被膜は、走査型電子顕微鏡により確認することができ、セパレータの断面を観察したり、耐熱性多孔質層の外面を面垂直方向から観察したりすれば、耐熱性多孔質層の外面を成す膜状に広がった樹脂部が観察され、当該樹脂部中に多数の空孔が形成されていることが観察できる。微細孔を有する緻密な多孔性被膜は、後述する湿式塗工法において、塗工液又は凝固液の組成を調整することにより多孔質基材上に形成できる。
耐熱性多孔質層が多孔性被膜を有していると、接着層が耐熱性多孔質層の面上に配置された形態において、多孔性被膜に接着性樹脂粒子が付着していることにより、耐熱性多孔質層と接着層との間の界面破壊が発生しにくい。また、耐熱性多孔質層が多孔性被膜を有していると、耐熱性多孔質層が靱性に優れ、耐熱性多孔質層の凝集破壊が発生しにくい。
多孔性被膜は、耐熱性多孔質層の外面をなす、微細孔を有する緻密な被膜である。多孔性被膜が有する微細孔の平均孔径は、接着性樹脂粒子が耐熱性多孔質層から剥がれにくい観点から、1000nm以下が好ましく、800nm以下がより好ましく、500nm以下が更に好ましく、イオン透過性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましい。
耐熱性多孔質層の外面における多孔質被膜の被覆率は、耐熱性多孔質層の平面視での面積に対して60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
全芳香族ポリアミドは、耐熱性樹脂の中でも耐久性の観点から耐熱性多孔質層に好適である。全芳香族ポリアミドは、メタ型でもパラ型でもよい。全芳香族ポリアミドの中でも、多孔質層を形成しやすい観点および電極反応において耐酸化還元性に優れる観点から、メタ型全芳香族ポリアミドが好ましい。全芳香族ポリアミドとしては、具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド又はポリパラフェニレンテレフタルアミドが好ましく、ポリメタフェニレンイソフタルアミドがより好ましい。耐熱性多孔質層に含まれる全芳香族ポリアミドの重量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましく、1×10〜1×10が更に好ましい。
ポリアミドイミドは、耐熱性樹脂の中でも耐熱性の観点から耐熱性多孔質層に好適である。耐熱性多孔質層に含まれるポリアミドイミドの重量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましく、1×10〜1×10が更に好ましい。
ポリイミドは、耐熱性樹脂の中でも耐熱性の観点から耐熱性多孔質層に好適である。ポリイミドとしては、脂肪族ポリイミドでも芳香族ポリイミドでもよい。耐熱性多孔質層に含まれるポリイミドの重量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましく、1×10〜1×10が更に好ましい。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミド以外の耐熱性樹脂を含有していてもよい。全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミド以外の耐熱性樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、セルロース、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。これら耐熱性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミド以外の耐熱性樹脂の含有量は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド又はポリイミドの効果を維持するため、耐熱性多孔質層に含まれる全樹脂の総量に対して、0質量%〜50質量%が好ましく、0質量%〜40質量%がより好ましく、0質量%〜30質量%が更に好ましい。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層に含まれる全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドの合計量は、耐熱性多孔質層に含まれる全樹脂の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、耐熱性の観点から、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子は、例えば、多孔性被膜によって結着され且つ覆われた状態で耐熱性多孔質層に含まれる。
無機粒子としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化セリウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素等の金属水酸化物の粒子;シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム等の金属酸化物の粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩の粒子;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩の粒子;などが挙げられる。無機粒子としては、電解液に対する安定性及び電気化学的な安定性の観点から、金属水酸化物の粒子又は金属酸化物の粒子が好ましい。無機粒子は、シランカップリング剤等により表面修飾されたものでもよい。
無機粒子の粒子形状に限定はなく、球形、楕円形、板状、針状、不定形のいずれでもよい。耐熱性多孔質層に含まれる無機粒子は、電池の短絡抑制の観点から、板状の粒子や、凝集していない一次粒子であることが好ましい。
無機粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機粒子の体積平均粒径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。その下限値としては0.1μm以上がより好ましく、上限値としては5μm以下がより好ましい。
無機粒子の粒度分布は、0.1μm<d90−d10<3μmであることが好ましい。ここで、d10は、小粒子側から起算した体積基準の粒度分布における累積10%の粒径(μm)を表し、d90は、小粒子側から起算した体積基準の粒度分布における累積90%の粒径(μm)を表す。粒度分布の測定は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、シスメックス社、マスターサイザー2000)を用い、分散媒としては水を用い、分散剤として非イオン性界面活性剤Triton X−100を微量用いて行われる。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層が無機粒子を含有する場合、耐熱性多孔質層に占める無機粒子の質量割合は、耐熱性の観点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。耐熱性多孔質層に占める無機粒子の質量割合は、耐熱性多孔質が多孔質基材から剥がれにくい観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、有機フィラーを含有していてもよい。有機フィラーは、例えば、多孔性被膜によって結着され且つ覆われた状態で耐熱性多孔質層に含まれる。
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル、架橋ポリシリコーン、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等の架橋高分子からなる粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール等の耐熱性高分子からなる粒子;などが挙げられる。これら有機フィラーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第一のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。分散剤は、耐熱性多孔質層を形成するための塗工液に、分散性、塗工性又は保存安定性を向上させる目的で添加される。湿潤剤、消泡剤、pH調整剤は、耐熱性多孔質層を形成するための塗工液に、例えば、多孔質基材とのなじみをよくする目的、塗工液へのエア噛み込みを抑制する目的、又はpH調整の目的で添加される。
[第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層]
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂、及び/又は、無機粒子を含有する。耐熱性多孔質層は、多数の微細孔を有し、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。
本開示において、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂を「特定耐熱性樹脂」という。
耐熱性多孔質層における特定耐熱性樹脂は、フィブリル状又は多孔性被膜(詳細は後述する。)となって3次元の網目構造を形成していてもよく、無機粒子どうしを連結する結着樹脂として含まれていてもよい。耐熱性多孔質層における特定耐熱性樹脂は樹脂粒子でもよく、特定耐熱性樹脂の樹脂粒子どうしが連結して、又は、特定耐熱性樹脂の樹脂粒子と無機粒子とが連結して、耐熱性多孔質層を形成していてもよい。
特定耐熱性樹脂(分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂)としては、例えば、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
耐熱性多孔質層に含まれる特定耐熱性樹脂の重量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましく、1×10〜1×10が更に好ましい。
特定耐熱性樹脂の中でも、耐久性の観点から、全芳香族ポリアミドが好ましい。全芳香族ポリアミドは、メタ型でもパラ型でもよい。全芳香族ポリアミドの中でも、多孔質層を形成しやすい観点および電極反応において耐酸化還元性に優れる観点から、メタ型全芳香族ポリアミドが好ましい。全芳香族ポリアミドとしては、具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド又はポリパラフェニレンテレフタルアミドが好ましく、ポリメタフェニレンイソフタルアミドがより好ましい。耐熱性多孔質層に含まれる全芳香族ポリアミドの重量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましく、1×10〜1×10が更に好ましい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、特定耐熱性樹脂以外の耐熱性樹脂を含有していてもよい。特定耐熱性樹脂以外の耐熱性樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、セルロース、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。これら耐熱性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特定耐熱性樹脂以外の耐熱性樹脂の含有量は、特定耐熱性樹脂の効果を維持するため、耐熱性多孔質層に含まれる全樹脂の総量に対して、0質量%〜50質量%が好ましく、0質量%〜40質量%がより好ましく、0質量%〜30質量%が更に好ましい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層が特定耐熱性樹脂を含有する場合、耐熱性多孔質層に含まれる特定耐熱性樹脂の合計量は、耐熱性多孔質層に含まれる全樹脂の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、無機粒子を含有する場合、特定耐熱性樹脂を含有しなくてもよい。この場合、耐熱性多孔質層は、無機粒子と結着樹脂(例えばアクリル樹脂)とを含む。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、耐熱性の観点から、無機粒子を含有することが好ましい。
無機粒子としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化セリウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素等の金属水酸化物の粒子;シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム等の金属酸化物の粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩の粒子;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩の粒子;などが挙げられる。無機粒子としては、電解液に対する安定性及び電気化学的な安定性の観点から、金属水酸化物の粒子又は金属酸化物の粒子が好ましい。無機粒子は、シランカップリング剤等により表面修飾されたものでもよい。
無機粒子の粒子形状に限定はなく、球形、楕円形、板状、針状、不定形のいずれでもよい。耐熱性多孔質層に含まれる無機粒子は、電池の短絡抑制の観点から、板状の粒子や、凝集していない一次粒子であることが好ましい。
無機粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機粒子の体積平均粒径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。その下限値としては0.1μm以上がより好ましく、上限値としては5μm以下がより好ましい。
無機粒子の粒度分布は、0.1μm<d90−d10<3μmであることが好ましい。ここで、d10は、小粒子側から起算した体積基準の粒度分布における累積10%の粒径(μm)を表し、d90は、小粒子側から起算した体積基準の粒度分布における累積90%の粒径(μm)を表す。粒度分布の測定は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、シスメックス社、マスターサイザー2000)を用い、分散媒としては水を用い、分散剤として非イオン性界面活性剤Triton X−100を微量用いて行われる。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層が無機粒子を含有する場合、耐熱性多孔質層に占める無機粒子の質量割合は、耐熱性の観点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。耐熱性多孔質層に占める無機粒子の質量割合は、耐熱性多孔質が多孔質基材から剥がれにくい観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、少なくとも特定耐熱性樹脂を含有し、さらに無機粒子を含有することが好ましい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、特定耐熱性樹脂を含有する多孔性被膜を有することが好ましい。多孔性被膜は、多数の微細孔を有し、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった被膜である。多孔性被膜は、走査型電子顕微鏡により確認することができ、セパレータの断面を観察したり、耐熱性多孔質層の外面を面垂直方向から観察したりすれば、耐熱性多孔質層の外面を成す膜状に広がった樹脂部が観察され、当該樹脂部中に多数の空孔が形成されていることが観察できる。微細孔を有する緻密な多孔性被膜は、後述する湿式塗工法において、塗工液又は凝固液の組成を調整することにより多孔質基材上に形成できる。
多孔性被膜を有する耐熱性多孔質層の形態例として、例えば、下記の形態(a’)〜(d’)が挙げられる。形態(a’)〜(d’)における特定耐熱性樹脂及び無機粒子の好ましい態様(種類、分子量、大きさ、形状等)は前述したとおりである。
形態(a’):耐熱性多孔質層が、特定耐熱性樹脂を含有する多孔性被膜そのものである。
形態(b’):耐熱性多孔質層が、多孔質基材上に形成された特定耐熱性樹脂を含有する内層と、この内層の外面を覆うように形成された特定耐熱性樹脂を含有する多孔性被膜とを備える。内層は、多孔性被膜よりも径の大きな多孔質構造である。耐熱性多孔質層は全体として、いわゆるスキン−コア構造を呈する。
形態(c’):耐熱性多孔質層が、さらに無機粒子を含有しており、無機粒子が特定耐熱性樹脂を含有する多孔性被膜によって結着され且つ覆われてなる層である。
形態(d’):耐熱性多孔質層が、多孔質基材上に形成された特定耐熱性樹脂及び無機粒子を含有する内層と、この内層の外面を覆うように形成された特定耐熱性樹脂を含有する多孔性被膜とを備える。内層は、無機粒子が特定耐熱性樹脂により結着されており、多孔性被膜よりも径の大きな多孔質構造である。耐熱性多孔質層は全体として、いわゆるスキン−コア構造を呈する。
図4B及び図4Cに、第二のセパレータが備える耐熱性多孔質層の実施形態例の走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)を示す。図4B及び図4Cに示す耐熱性多孔質層は、特定耐熱性樹脂及び無機粒子を含有する形態である。図4Bは、耐熱性多孔質層の外面(多孔質基材から遠い方の面)のSEM画像であり、図4Cは、耐熱性多孔質層及び多孔質基材の断面のSEM画像である。多孔性被膜は、耐熱性多孔質層の外面をなす被膜であり、微細孔を有する緻密な被膜である。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層が多孔性被膜を有していると、接着層が耐熱性多孔質層の面上に配置された形態において、多孔性被膜に接着性樹脂粒子が付着していることにより、耐熱性多孔質層と接着層との間の界面破壊が発生しにくい。また、耐熱性多孔質層が多孔性被膜を有していると、耐熱性多孔質層が靱性に優れ、耐熱性多孔質層の凝集破壊が発生しにくい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、有機フィラーを含有していてもよい。有機フィラーは、例えば、特定耐熱性樹脂によって結着された状態、又は、多孔性被膜によって結着され且つ覆われた状態で耐熱性多孔質層に含まれる。
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル、架橋ポリシリコーン、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等の架橋高分子からなる粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール等の耐熱性高分子からなる粒子;などが挙げられる。これら有機フィラーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第二のセパレータにおける耐熱性多孔質層は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。分散剤は、耐熱性多孔質層を形成するための塗工液に、分散性、塗工性又は保存安定性を向上させる目的で添加される。湿潤剤、消泡剤、pH調整剤は、耐熱性多孔質層を形成するための塗工液に、例えば、多孔質基材とのなじみをよくする目的、塗工液へのエア噛み込みを抑制する目的、又はpH調整の目的で添加される。
[耐熱性多孔質層の特性]
本開示のセパレータにおいて耐熱性多孔質層の厚さは、セパレータの耐熱性又はハンドリング性の観点から、片面0.5μm以上が好ましく、片面1.0μm以上がより好ましく、セパレータのハンドリング性又は電池のエネルギー密度の観点から、片面5.0μm以下が好ましく、片面4.0μm以下がより好ましい。耐熱性多孔質層の厚さは、耐熱性多孔質層が多孔質基材の片面のみにある場合でも両面にある場合でも、両面の合計として、1.0μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましく、10.0μm以下が好ましく、8.0μm以下がより好ましい。
本開示のセパレータにおいて耐熱性多孔質層の重量は、セパレータの耐熱性又はハンドリング性の観点から、両面の合計として、1.0g/m以上が好ましく、2.0g/m以上がより好ましく、セパレータのハンドリング性又は電池のエネルギー密度の観点から、10.0g/m以下が好ましく、8.0g/m以下がより好ましい。
本開示のセパレータにおいて耐熱性多孔質層の空孔率は、セパレータのイオン透過性の観点から、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、セパレータの熱寸法安定性の観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。耐熱性多孔質層の空孔率の求め方は、多孔質基材の空孔率の求め方と同様である。
本開示のセパレータにおいて多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度は、電極に対するセパレータの接着強度の観点から、5N/m以上が好ましく、10N/m以上がより好ましく、15N/m以上が更に好ましく、20N/m以上が更に好ましい。当該剥離強度は、イオン透過性の観点から、75N/m以下が好ましく、60N/m以下がより好ましく、50N/m以下が更に好ましい。本開示のセパレータが多孔質基材の両面に耐熱性多孔質層を有する場合、多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度は、多孔質基材の両面において上記の範囲であることが好ましい。
[接着層]
本開示のセパレータにおいて接着層は、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に、接着性樹脂粒子が付着した構造を有する。接着層は、接着性樹脂粒子どうしに存在する隙間によって、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。接着性樹脂粒子が付着した構造とは、完成したセパレータにおいて、樹脂が粒子形状を保持している態様はもちろんのこと、接着層の材料として樹脂粒子を用いて完成したセパレータにおいて熱処理又は乾燥処理により樹脂粒子が一部溶融して粒子形状を保持していない態様も含む。
接着層が、接着性樹脂粒子が耐熱性多孔質層又は多孔質基材に付着した構造であることにより、耐熱性多孔質層又は多孔質基材と接着層との間の界面破壊が発生しにくい。また、接着層が、接着性樹脂粒子どうしが互いに付着し連結した構造であることにより、接着層が靱性に優れ、接着層の凝集破壊が発生しにくい。
接着性樹脂粒子は、電池の電極に対して接着性を有する粒子状の樹脂である。接着性樹脂粒子は、正極又は負極の組成に合せて樹脂の種類を選択してよい。接着性樹脂粒子は、電解液に対して安定で電気化学的にも安定な樹脂粒子が好ましい。
接着性樹脂粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、フッ素系ゴム、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ビニルニトリル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)の単独重合体又は共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)、又はこれらの2種以上の混合物を含む粒子が挙げられる。中でも、耐酸化性に優れる観点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂を含む粒子が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(即ちポリフッ化ビニリデン);フッ化ビニリデンと他のモノマーとの共重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体);ポリフッ化ビニリデンとポリフッ化ビニリデン共重合体の混合物;が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロパーフルオロプロピルエーテル、エチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。これらモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着性樹脂粒子に含まれるポリフッ化ビニリデン共重合体は、電池製造時の加圧や加熱に耐え得る機械的強度を得る観点から、フッ化ビニリデン由来の構成単位を50モル%以上有する共重合体が好ましい。
接着性樹脂粒子に含まれるポリフッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、又はフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体が好ましく、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体がより好ましい。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体としては、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を0.1モル%〜10モル%(好ましくは0.5モル%〜5モル%)含む共重合体が好ましい。
接着性樹脂粒子に含まれるポリフッ化ビニリデン又はポリフッ化ビニリデン共重合体の重量平均分子量は、1000〜500万が好ましく、1万〜300万がより好ましく、5万〜200万が更に好ましい。
接着性樹脂粒子に含まれるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸塩、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、変性されたアクリル系樹脂でもよい。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。アクリル系樹脂は、ポリフッ化ビニリデンとアクリル系樹脂の混合物又はポリフッ化ビニリデン共重合体とアクリル系樹脂の混合物として用いてもよい。
接着性樹脂粒子としては、ポリフッ化ビニリデン粒子、ポリフッ化ビニリデン共重合体粒子、ポリフッ化ビニリデンとポリフッ化ビニリデン共重合体の混合物の粒子、ポリフッ化ビニリデンとアクリル系樹脂の混合物の粒子、又はポリフッ化ビニリデン共重合体とアクリル系樹脂の混合物の粒子が好ましい。ここで、ポリフッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、又はフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体が好ましい。
接着性樹脂粒子を構成するポリフッ化ビニリデンとアクリル系樹脂の混合物、又はポリフッ化ビニリデン共重合体とアクリル系樹脂の混合物は、耐酸化性の観点から、ポリフッ化ビニリデン又はポリフッ化ビニリデン共重合体を20質量%以上含むことが好ましい。
接着性樹脂粒子としては、2種以上の接着性樹脂粒子を組み合せて用いてもよい。接着層のイオン透過性、接着層の電極に対する接着性、接着層と耐熱性多孔質層との間の剥離強度、及び接着層のハンドリング性をバランスよく調整する観点からは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む第一の接着性樹脂粒子とアクリル系樹脂を含む第二の接着性樹脂粒子との混合物を用いることが好ましい。第一の接着性樹脂粒子(以下「樹脂粒子F」ともいう。)とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を全固形分量に対して50質量%超含む粒子である。第二の接着性樹脂粒子(以下「樹脂粒子A」ともいう。)とは、アクリル系樹脂を全固形分量に対して50質量%超含む粒子である。
樹脂粒子Fが含むポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデンとポリフッ化ビニリデン共重合体の混合物が挙げられ、これら重合体の好ましい態様は先述したとおりである。樹脂粒子Fには、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外のその他の樹脂が含まれていてもよい。
樹脂粒子Fに含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の量は、樹脂粒子Fの全固形分量に対して、50質量%超であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは100質量%である。
樹脂粒子Aが含むアクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸塩、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、変性されたアクリル系樹脂でもよい。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。樹脂粒子Aには、アクリル系樹脂以外のその他の樹脂が含まれていてもよい。
樹脂粒子Aに含まれるアクリル系樹脂の量は、樹脂粒子Aの全固形分量に対して、50質量%超であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは100質量%である。
接着層に樹脂粒子Fと樹脂粒子Aとの混合物が含まれる場合、接着層に含まれる樹脂粒子Fと樹脂粒子Aの質量比は、接着層に求める特性に応じて調整すればよい。接着層に含まれる樹脂粒子Fと樹脂粒子Aの質量比は、樹脂粒子F:樹脂粒子A=50:50〜90:10であることが好ましい。
樹脂粒子Fと樹脂粒子Aとの混合物は、接着層の製造に用いられる塗工液としては、分散媒に樹脂粒子F及び樹脂粒子Aが分散した分散液であることが好ましい。当該分散液の分散媒としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂及び耐熱性多孔質層を溶解しない分散媒であれば特に限定されないが、取り扱いの安全上、水が好ましい。つまり、当該分散液は、水に樹脂粒子F及び樹脂粒子Aが分散した水性分散液であることが好ましい。当該水性分散液に含まれる樹脂粒子Fと樹脂粒子Aの質量比は、接着層の製造に用いられる際において、樹脂粒子F:樹脂粒子A=50:50〜90:10であることが好ましい。
水に樹脂粒子F及び樹脂粒子Aが分散した水性分散液の代表的な市販品としては、例えば、アルケマ社製のAquatec FMA−12、Aquatec ARC、Aquatec CRX等;JSR社製のTRD202A等;が挙げられる。
水に樹脂粒子F及び樹脂粒子Aが分散した水性分散液は、樹脂粒子F及び樹脂粒子Aを水に分散させて調製してもよく、水に樹脂粒子Fが分散した水性分散液と水に樹脂粒子Aが分散した水性分散液とを混合して調製してもよい。
水に樹脂粒子Fが分散した水性分散液としては、市販品を含む公知の水性分散液を用いることができ、又は、市販品を含む公知の樹脂粒子Fを水に分散させて用いることができる。水に樹脂粒子Fが分散した水性分散液の代表的な市販品としては、例えば、アルケマ社製のLBG2200LX、LATEX32、KYNAR WATERBORNE RCシリーズ(RC−10246、RC−10278、RC−10280等);ソルベイスペシャルティーポリマーズ社製のXPH838シリーズ、XPH882シリーズ、XPH883シリーズ、XPH884シリーズ、XPH859シリーズ、XPH918シリーズ等;クレハ社製のPVDF水性分散液;などが挙げられる。
水に樹脂粒子Aが分散した水性分散液としては、市販品を含む公知の水性分散液を用いることができ、又は、市販品を含む公知の樹脂粒子Aを水に分散させて用いることができる。水に樹脂粒子Aが分散した水性分散液の代表的な市販品としては、例えば、日本ゼオン社製のBM−120S等;DIC社製のアクリル粒子水性分散液;などが挙げられる。
接着性樹脂粒子の体積平均粒径は、良好な多孔構造を形成する観点から、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更に好ましく、接着層の厚さを抑える観点から、1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.6μm以下が更に好ましい。
接着層は、本開示の効果を阻害しない範囲で、接着性樹脂粒子以外の成分を含んでいてもよい。該成分としては、接着層を形成するための樹脂粒子分散液に添加した添加剤が挙げられる。ただし、接着層は、層全量の90質量%以上を接着性樹脂粒子が占めることが好ましく、95質量%以上を接着性樹脂粒子が占めることがより好ましい。接着層は、実質的に接着性樹脂粒子のみを含有することが更に好ましい。
本開示のセパレータにおいて接着層は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。分散剤は、接着層を形成するための樹脂粒子分散液に、分散性、塗工性又は保存安定性を向上させる目的で添加される。湿潤剤、消泡剤、pH調整剤は、接着層を形成するための樹脂粒子分散液に、例えば、耐熱性多孔質層とのなじみをよくする目的、樹脂粒子分散液へのエア噛み込みを抑制する目的、又はpH調整の目的で添加される。
接着層を形成するための樹脂粒子分散液に含まれる界面活性剤としては、例えば、非反応性の、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;非反応性の、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;親水基と親油基とを有する界面活性剤の化学構造の中にエチレン性不飽和二重結合を導入した、いわゆる反応性界面活性剤;が挙げられる。
反応性界面活性剤であるアニオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸基、スルホネート基、硫酸エステル基及びこれらの塩から選ばれる基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、スルホン酸基又はそのアンモニウム塩若しくはアルカリ金属塩である基(即ちアンモニウムスルホネート基若しくはアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物であることが好ましい。具体的には、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩、アンモニウム=α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン、スチレンスルホン酸塩、α−〔2−〔(アリルオキシ)−1−(アルキルオキシメチル)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルの硫酸エステル塩が挙げられる。
反応性界面活性剤であるノニオン性界面活性剤としては、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、α−〔2−〔(アリルオキシ)−1−(アルキルオキシメチル)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルが挙げられる。
界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本開示のセパレータの実施形態の一例は、接着層がさらに界面活性剤を含有する。接着層が含有する界面活性剤としては、非反応性のアニオン性界面活性剤、非反応性のノニオン性界面活性剤、反応性のアニオン性界面活性剤及び反応性のノニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。非反応性のアニオン性界面活性剤、非反応性のノニオン性界面活性剤、反応性のアニオン性界面活性剤及び反応性のノニオン性界面活性剤それぞれの具体例としては、接着層を形成するための樹脂粒子分散液に含まれる界面活性剤として先述した具体例が挙げられる。接着層がさらに界面活性剤を含有する場合、接着層の全質量に占める界面活性剤の質量割合は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜8質量%がより好ましい。
接着層の重量は、電極に対する接着性の観点から、片面あたり、0.2g/m以上が好ましく、0.25g/m以上がより好ましく、0.3g/m以上が更に好ましく、イオン透過性、セパレータのハンドリング性又は電池のエネルギー密度の観点から、片面あたり、2.0g/m以下が好ましく、1.8g/m以下がより好ましく、1.6g/m以下が更に好ましい。
接着層における接着性樹脂粒子の被覆率(粒子が平面を覆う面積割合)は、セパレータの平面視での面積に対して、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。接着層における接着性樹脂粒子の被覆率は、走査型電子顕微鏡によりセパレータの表面を面垂直方向から撮像し、正方形の領域を無作為に10点特定し、各領域の被覆率を求め、さらに10点の平均値を算出することで求める。
[セパレータの特性]
本開示のセパレータの厚さは、セパレータの機械的強度の観点から、8.0μm以上が好ましく、9.0μm以上がより好ましく、電池のエネルギー密度の観点から、20.0μm以下が好ましく、15.0μm以下がより好ましい。
本開示のセパレータの突刺強度は、セパレータの機械的強度又は電池の耐短絡性の観点から、150g〜1000gが好ましく、200g〜600gがより好ましい。セパレータの突刺強度の測定方法は、多孔質基材の突刺強度の測定方法と同様である。
本開示のセパレータの空孔率は、電極に対する接着性、セパレータのハンドリング性、イオン透過性又は機械的強度の観点から、30%〜60%が好ましい。
本開示のセパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性の観点から、0.5ohm・cm〜10ohm・cmが好ましく、1ohm・cm〜8ohm・cmがより好ましい。
本開示のセパレータのガーレ値(JIS P8117:2009)は、機械的強度とイオン透過性のバランスの観点から、50秒/100mL〜800秒/100mLが好ましく、80秒/100mL〜500秒/100mLがより好ましく、100秒/100mL〜400秒/100mLが更に好ましい。
本開示のセパレータは、イオン透過性の観点から、セパレータ(多孔質基材上に耐熱性多孔質層及び接着層を形成した状態)のガーレ値から多孔質基材のガーレ値を減算した値が、300秒/100mL以下が好ましく、200秒/100mL以下がより好ましく、150秒/100mL以下が更に好ましい。セパレータのガーレ値から多孔質基材のガーレ値を減算した値の下限は、電極への接着に十分な量の接着性樹脂粒子を備える観点から、20秒/100mL以上が好ましい。
本開示のセパレータのMD方向の引張強度は、セパレータの機械的強度又はハンドリング性(接着層の定着性)の観点から、500kgf/cm以上が好ましく、600kgf/cm以上がより好ましく、700kgf/cm以上が更に好ましい。上記の観点からは、MD方向の引張強度は高いほど好ましいが、通常は3000kgf/cm以下である。
本開示のセパレータのTD方向の引張強度は、セパレータの機械的強度又はハンドリング性(接着層の定着性)の観点から、500kgf/cm以上が好ましく、600kgf/cm以上がより好ましく、700kgf/cm以上が更に好ましい。上記の観点からは、TD方向の引張強度は高いほど好ましいが、通常は3000kgf/cm以下である。
本開示のセパレータの引張強度は、例えば、耐熱性多孔質層中の無機粒子の含有量、耐熱性多孔質層の厚さ、耐熱性多孔質層の空孔率、接着層の厚さ等によって制御し得る。
[セパレータの製造方法]
第一のセパレータは、例えば、下記の製造方法A又は製造方法Bによって製造される。製造方法Bは、下記の形態B−1〜B−4のいずれでもよい。製造方法A及びBにおいて、耐熱性多孔質層は湿式塗工法により多孔質基材上に形成する。
第二のセパレータは、例えば、下記の製造方法A又は製造方法Bによって製造される。製造方法A及びBにおいて、耐熱性多孔質層の形成方法は、湿式塗工法でもよく、乾式塗工法でもよい。製造方法Bは、下記の形態B−1〜B−7のいずれでもよい。形態B−1〜B−4は、耐熱性多孔質層を湿式塗工法によって形成する形態である。形態B−5〜B−7は、耐熱性多孔質層を乾式塗工法によって形成する形態である。
本開示において、湿式塗工法とは、塗工層を凝固液中で固化させる方法であり、乾式塗工法とは、塗工層を乾燥させて塗工層を固化させる方法である。
製造方法A(非連続的な製造方法):ロールから繰り出された多孔質基材上に耐熱性多孔質層を形成して、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体を得たのち、一旦、積層体を別のロールに巻き取る。次いで、ロールから繰り出された積層体上に接着層を形成してセパレータを得て、出来上がったセパレータを別のロールに巻き取る。
製造方法B(連続的な製造方法):ロールから繰り出された多孔質基材上に、耐熱性多孔質層と接着層とを連続的に又は同時に形成し、出来上がったセパレータを別のロールに巻き取る。
形態B−1:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液を塗工し、凝固液に浸漬して塗工層を固化させ、凝固液から引き揚げ水洗及び乾燥を行い、次いで、接着性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥を行う。
形態B−2:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液を塗工し、凝固液に浸漬して塗工層を固化させ、凝固液から引き揚げ水洗を行い、次いで、接着性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥を行う。
形態B−3:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液及び接着性樹脂粒子分散液を同時に二層塗工し、凝固液に浸漬して前者の塗工層を固化させ、凝固液から引き揚げ、水洗及び乾燥を行う。
形態B−4:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液を塗工し、凝固液に浸漬して塗工層を固化させ、凝固液から引き揚げ、接着性樹脂粒子を含む水浴を搬送することによって水洗及び接着性樹脂粒子の付着を行い、水浴から引き揚げ乾燥を行う。
形態B−5:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液を塗工し、乾燥を行い、次いで、接着性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥を行う。
形態B−6:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液を塗工し、次いで、接着性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥を行う。
形態B−7:多孔質基材上に耐熱性多孔質層形成用塗工液及び接着性樹脂粒子分散液を同時に二層塗工し、乾燥を行う。
以下に、形態B−1の製造方法Bを例に挙げて、製造方法に含まれる工程の詳細を説明する。
形態B−1の製造方法Bは、多孔質基材の少なくとも一方の面に耐熱性多孔質層を湿式塗工法によって形成して、多孔質基材と耐熱性多孔質層との積層体を得て、次いで、積層体の少なくとも一方の面に接着層を乾式塗工法によって形成する。形態B−1の製造方法Bは、下記の工程(1)〜(7)を含み、工程(1)〜(7)を順次行う。
工程(1):耐熱性多孔質層形成用塗工液の作製
第一のセパレータを製造する場合、耐熱性多孔質層形成用塗工液(以下、製造方法の説明において「塗工液」という。)は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を溶媒に溶解させて作製する。塗工液には、必要に応じて、無機粒子又はその他の成分を分散又は溶解させる。
第二のセパレータを製造する場合、耐熱性多孔質層形成用塗工液(以下、製造方法の説明において「塗工液」という。)は、特定耐熱性樹脂及び/又は無機粒子を溶媒に溶解又は分散させて作製する。塗工液には、必要に応じて、特定耐熱性樹脂以外のその他の樹脂、又は樹脂以外のその他の成分を溶解又は分散させる。
第一のセパレータを製造する場合、塗工液の調製に用いる溶媒は、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を溶解する溶媒(以下、「良溶媒」ともいう。)を含む。良溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が挙げられる。
第二のセパレータを製造する場合、塗工液の調製に用いる溶媒は、特定耐熱性樹脂及び/又はその他の樹脂を溶解する溶媒(以下、「良溶媒」ともいう。)を含む。良溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒は、良好な多孔構造を有する多孔質層を形成する観点から、相分離を誘発させる相分離剤を含むことが好ましい。したがって、塗工液の調製に用いる溶媒は、良溶媒と相分離剤との混合溶媒であることが好ましい。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲の量で良溶媒と混合することが好ましい。相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒としては、良好な多孔構造を形成する観点から、良溶媒と相分離剤との混合溶媒であって、良溶媒を60質量%以上含み、相分離剤を40質量%以下含む混合溶媒が好ましい。
第一のセパレータを製造する場合、塗工液における全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドを合わせた樹脂濃度は、良好な多孔構造を形成する観点から、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
第二のセパレータを製造する場合、塗工液の樹脂濃度は、良好な多孔構造を形成する観点から、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
工程(2):接着性樹脂粒子分散液の作製
接着性樹脂粒子分散液は、接着性樹脂粒子を水に分散させて作製する。接着性樹脂粒子分散液には、水への接着性樹脂粒子の分散性を高めるために界面活性剤を添加してもよい。接着性樹脂粒子分散液は、市販品又は市販品の希釈液でもよい。
接着性樹脂粒子分散液における接着性樹脂粒子の濃度は、塗工適性の観点から、1質量%〜60質量%であることが好ましい。
工程(3):塗工液の塗工
塗工液を多孔質基材の少なくとも一方の面に塗工し、多孔質基材上に塗工層を形成する。多孔質基材への塗工液の塗工方法としては、ナイフコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法等が挙げられる。耐熱性多孔質層を多孔質基材の両面に形成する場合、塗工液を両面同時に多孔質基材へ塗工することが生産性の観点から好ましい。
工程(4):塗工層の固化
第一のセパレータを製造する場合、塗工層を形成した多孔質基材を凝固液に浸漬し、塗工層において相分離を誘発しつつ全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を固化させ、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を形成する。これにより、多孔質基材と耐熱性多孔質層とからなる積層体を得る。
第二のセパレータを製造する場合、塗工層を形成した多孔質基材を凝固液に浸漬し、塗工層において相分離を誘発しつつ特定耐熱性樹脂及び/又はその他の樹脂を固化させ、耐熱性多孔質層を形成する。これにより、多孔質基材と耐熱性多孔質層とからなる積層体を得る。
凝固液は、塗工液の調製に用いた良溶媒及び相分離剤と、水とを含むことが一般的である。良溶媒と相分離剤の混合比は、塗工液の調製に用いた混合溶媒の混合比に合わせるのが生産上好ましい。凝固液中の水の含有量は40質量%〜90質量%であることが、多孔構造の形成および生産性の観点から好ましい。凝固液の温度は、例えば20℃〜50℃である。
工程(5):塗工層の水洗及び乾燥
積層体を凝固液から引き揚げ、水洗する。水洗することによって、積層体から凝固液を除去する。さらに、乾燥することによって、積層体から水を除去する。水洗は、例えば、水洗浴中に積層体を搬送することによって行う。乾燥は、例えば、高温環境中に積層体を搬送すること、積層体に風をあてること、積層体をヒートロールに接触させること等によって行う。乾燥温度は40℃〜80℃が好ましい。
工程(6):接着性樹脂粒子分散液の塗工
積層体の少なくとも一方の面に、接着性樹脂粒子分散液を塗工する。接着性樹脂粒子分散液を塗工する方法としては、ナイフコート法、グラビアコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法等が挙げられる。
工程(7):接着性樹脂粒子分散液の乾燥
積層体上の接着性樹脂粒子分散液を乾燥させ、接着性樹脂粒子を積層体の表面に付着させる。乾燥は、例えば、高温環境中に積層体を搬送すること、積層体に風をあてること等によって行う。乾燥温度は40℃〜100℃が好ましい。
第一のセパレータを製造するための製造方法A又は形態B−2〜形態B−4の製造方法Bは、上記の工程(1)〜(7)を一部省略したり変更したりすることで実施できる。
第二のセパレータを製造するための製造方法A又は形態B−2〜形態B−7の製造方法Bは、上記の工程(1)〜(7)を一部省略したり変更したりすることで実施できる。
<非水系二次電池>
本開示の非水系二次電池は、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であり、正極と、負極と、本開示の非水系二次電池用セパレータとを備える。ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
本開示の非水系二次電池は、例えば、負極と正極とがセパレータを介して対向した電池素子が電解液と共に外装材内に封入された構造を有する。本開示の非水系二次電池は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池に好適である。
本開示の非水系二次電池は、本開示のセパレータが電極との接着に優れることにより、電池の生産性および電池のサイクル特性(容量維持率)に優れる。
以下、本開示の非水系二次電池が備える正極、負極、電解液及び外装材の形態例を説明する。
正極の実施形態例としては、正極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、アルミ箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
本開示の非水系二次電池においては、本開示のセパレータの接着層にポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有させた場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が耐酸化性に優れるため、接着層を非水系二次電池の正極側に配置することで、正極活物質として、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3等を適用しやすい。
負極の実施形態例としては、負極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質としては、リチウムを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、具体的には例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;ウッド合金;などが挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを質量比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)20:80〜40:60で混合し、リチウム塩を0.5mol/L〜1.5mol/Lの範囲にて溶解した溶液が好適である。
外装材としては、金属缶、アルミラミネートフィルム製パック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本開示のセパレータはいずれの形状にも好適である。
本開示の非水系二次電池の製造方法としては、セパレータに電解液を含浸させて熱プレス処理(本開示において「ウェットヒートプレス」という。)を行って電極に接着させることを含む製造方法;セパレータに電解液を含浸させずに熱プレス処理(本開示において「ドライヒートプレス」という。)を行って電極に接着させることを含む製造方法;が挙げられる。
本開示の非水系二次電池は、正極と負極との間に本開示のセパレータを配置し、長さ方向に巻き回して巻回体を製造した後、この巻回体を用いて、例えば下記の製造方法1〜3により製造できる。巻回体の代わりに、正極、セパレータ、負極をこの順に少なくとも1層ずつ積層する方式(所謂スタック方式)によって製造した素子を用いる場合も同様である。
製造方法1:巻回体にドライヒートプレスして電極とセパレータとを接着した後、外装材(例えばアルミラミネートフィルム製パック。以下同じ)に収容し、そこに電解液を注入し、外装材の上からさらに巻回体をウェットヒートプレスし、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
製造方法2:巻回体を外装材に収容し、そこに電解液を注入し、外装材の上から巻回体をウェットヒートプレスし、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
製造方法3:巻回体にドライヒートプレスして電極とセパレータとを接着した後、外装材に収容し、そこに電解液を注入し、外装材の封止を行う。
上記製造方法1〜3における熱プレスの条件としては、ドライヒートプレス及びウェットヒートプレスそれぞれ、プレス温度は60℃〜120℃が好ましく、70℃〜100℃がより好ましく、プレス圧は、電極1cm当たりの荷重として、0.5kg〜90kgが好ましい。プレス時間は、プレス温度及びプレス圧に応じて調節することが好ましく、例えば0.1分間〜60分間の範囲で調節する。
上記製造方法1又は3においては、ドライヒートプレスする前に巻回体に常温プレス(常温下での加圧)を施して、巻回体を仮接着してもよい。上記製造方法2においては、巻回体を外装材に収容する前に常温プレスして、巻回体を仮接着してもよい。
以下に実施例を挙げて、本開示のセパレータ及び非水系二次電池をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本開示のセパレータ及び非水系二次電池の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
<測定方法、評価方法>
実施例及び比較例で適用した測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
[無機粒子の体積平均粒径]
無機粒子を、非イオン性界面活性剤であるTriton X−100を含有する水に分散し、レーザー回折式粒度分布測定装置(シスメックス社、マスターサイザー2000)を用いて粒度分布を測定した。体積基準の粒度分布において、小径側から累積50%となる粒径(D50)を無機粒子の体積平均粒径(μm)とした。
[多孔質基材及びセパレータの厚さ]
多孔質基材及びセパレータの厚さ(μm)は、接触式の厚み計(ミツトヨ社、LITEMATIC VL−50)にて20点を測定し、これを平均することで求めた。測定端子は直径5mmの円柱状の端子を用い、測定中に0.01Nの荷重が印加されるように調整した。
[目付]
目付(1m当たりの質量、g/m)は、サンプルを10cm×30cmに切り出し、質量を測定し、質量を面積で除算して求めた。
[各層の塗工量]
各層の塗工量(g/m)は、層形成後の目付(g/m)から層形成前の目付(g/m)を減算して求めた。
[ガーレ値]
多孔質基材及びセパレータのガーレ値(秒/100mL)は、JIS P8117:2009に従い、ガーレ式デンソメータ(東洋精機社、G−B2C)を用いて測定した。
[MD方向/TD方向の引張強度]
セパレータを10mm×100mmに切り出し、引張試験機(A&D社、RTC−1225A)を用い、ロードセル荷重5kgf、チャック間距離50mmの条件で測定した。
[熱収縮率]
セパレータをMD方向180mm×TD方向60mmに切り出し、試験片とした。試験片の一端をクリップで把持し、150℃のオーブン中にMD方向が重力方向となるように試験片をつるし、無張力の状態で30分間放置した。熱処理前後のMD方向の長さを測定し、以下の式から熱収縮率を算出し、さらに試験片3枚の熱収縮率を平均した。
熱収縮率(%)={(熱処理前のMD方向の長さ−熱処理後のMD方向の長さ)÷熱処理前のMD方向の長さ}×100
[多孔質基材と耐熱性多孔質層との間の剥離強度]
セパレータにT字剥離試験を行った。具体的には、セパレータの一方の表面に粘着テープ(3M社(韓国)、製品番号550、幅12mm)を貼り(貼る際に、粘着テープの長さ方向をセパレータのMD方向に一致させた。)、セパレータを粘着テープごと、TD方向12mm、MD方向70mmに切り出した。粘着テープを直下の接着層及び耐熱性多孔質層と共に少し剥がし、2つに分離した端部をテンシロン(オリエンテック社、RTC−1210A)に把持させてT字剥離試験を行った。なお、粘着テープは、接着層及び耐熱性多孔質層を多孔質基材から剥がすための支持体として用いたものである。T字剥離試験の引張速度は20mm/分とし、測定開始後10mmから40mmまでの荷重(N)を0.4mm間隔で採取し、その平均を算出し、幅10mmあたりの荷重(N/10mm)に換算した。さらに試験片3枚の荷重を平均し、この平均値(N/10mm)を100倍して、剥離強度(N/m)とした。
[電極とセパレータの接着強度]
正極活物質であるコバルト酸リチウム97g、導電助剤であるアセチレンブラック1.5g、バインダであるポリフッ化ビニリデン1.5g、及び適量のN−メチル−ピロリドンを双腕式混合機にて攪拌混合し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を有する正極(片面塗工)を得た。
上記で得た正極を幅15mm、長さ70mmに切り出し、セパレータをTD方向18mm、MD方向75mmに切り出し、厚さ20μmのアルミ箔を幅15mm、長さ70mmに切り出した。正極/セパレータ/アルミ箔の順に重ねて積層体を作製し、この積層体をアルミラミネートフィルム製パック中に収容した。次に、真空シーラーを用いてパック内を真空状態にし、熱プレス機を用いてパックごと積層体を熱プレス(温度85℃、荷重1MPa、プレス時間15秒間)して、正極とセパレータとの接着を行った。その後、パックを開封し、積層体を取り出し、積層体からアルミ箔を取り除いたものを試験片とした。
試験片のセパレータをテンシロン(エー・アンド・デイ社、STB−1225S)の下部チャックに固定した。この際、試験片の長さ方向(即ちセパレータのMD方向)が重力方向になるように、セパレータをテンシロンに固定した。正極を下部の端から2cm程度セパレータから剥がして、その端部を上部チャックに固定し、180°剥離試験を行った。180°剥離試験の引張速度は100mm/分とし、測定開始後10mmから40mmまでの荷重(N)を0.4mm間隔で採取し、その平均を算出した。さらに試験片3枚の荷重を平均して、電極とセパレータの接着強度(N/15mm)とした。表2には、比較例A1のセパレータの接着強度を基準値100とし、実施例及び比較例の各セパレータの接着強度を百分率で示す。表4には、比較例B1のセパレータの接着強度を基準値100とし、実施例及び比較例の各セパレータの接着強度を百分率で示す。表6には、比較例C1のセパレータの接着強度を基準値100とし、実施例及び比較例の各セパレータの接着強度を百分率で示す。表8には、比較例D1のセパレータの接着強度を基準値100とし、実施例及び比較例の各セパレータの接着強度を百分率で示す。
[製造歩留り]
上記[電極とセパレータの接着強度]における正極作製と同様にして正極(片面塗工)を作製した。
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含有する水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌混合し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を有する負極(片面塗工)を得た。
セパレータ(幅108mm)を2枚用意して重ね、MD方向の一端をステンレス製の巻芯に巻きつけた。2枚のセパレータの間に、リードタブを溶接した正極(幅106.5mm)をはさみ、一方のセパレータ上に、リードタブを溶接した負極(幅107mm)を配置し、巻回して、巻回体を連続的に50個作製した。得られた巻回体を常温プレス(荷重1MPa、プレス時間30秒間)し、次いで熱プレス(温度85℃、荷重1MPa、プレス時間30秒間)して、平板状の電池素子を得た。
熱プレス直後と熱プレスから1時間経過後において、平板状の電池素子の厚さを測定し、厚さの変化が3%以下の場合を合格と判定し、厚さの変化が3%超の場合を不合格と判定した。合格した電池素子の個数割合(%)を算出し、下記のとおり分類した。
A:合格した個数割合が100%(不合格が0個)。
B:合格した個数割合が95%以上、100%未満(不合格が1個又は2個)。
C:合格した個数割合が90%以上、95%未満(不合格が3個〜5個)。
D:合格した個数割合が90%未満(不合格が6個以上)。
[電池膨れ]
上記[製造歩留り]と同様にして電池素子を50個作製した。この電池素子をアルミラミネートフィルム製パック中に収容し電解液を浸み込ませ、真空シーラーを用いて封入した。電解液としては、1mol/L LiPF−エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート(質量比3:7)を用いた。その後、電池素子及び電解液を収容したアルミラミネートフィルム製パックを熱プレス機により熱プレス(温度85℃、荷重1MPa、プレス時間10秒間)して、試験用の二次電池50個を得た。
温度25℃下、試験用二次電池50個に100サイクルの充放電を行った。充電は0.7C且つ4.2Vの定電流定電圧充電とし、放電は0.5C且つ2.75Vカットオフの定電流放電とした。
充放電前と100サイクルの充放電後において、試験用二次電池の厚さを測定し、厚さの変化が8%以下の場合を合格と判定し、厚さの変化が8%超の場合を不合格と判定した。合格した電池素子の個数割合(%)を算出し、下記のとおり分類した。
A:合格した個数割合が100%(不合格が0個)。
B:合格した個数割合が95%以上、100%未満(不合格が1個又は2個)。
C:合格した個数割合が95%未満(不合格が3個以上)。
<第一のセパレータの作製:耐熱性多孔質層が全芳香族ポリアミドを含有する多孔性被膜を有する形態>
[実施例A1]
メタ型アラミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド、帝人、コーネックス)と、水酸化マグネシウム(協和化学社、キスマ5P、体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)とを、両者の質量比が20:80で、メタ型アラミド濃度が4質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)の混合溶媒(DMAc:TPG=80:20[質量比])に攪拌混合し、塗工液(A1)を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)が水に分散したPVDF粒子分散液(固形分濃度7質量%)を用意した。
一対のマイヤーバーに塗工液(A1)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(厚さ6μm、空孔率40%、ガーレ値100秒/100mL)をマイヤーバー間に通して、塗工液(A1)を両面に等量塗工した。これを、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[実施例A2]
PVDF粒子分散液を、アクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)が水に分散したアクリル樹脂粒子分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A3]
メタ型アラミドを、下記のパラ型アラミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
フラスコに4200gのN−メチル−ピロリドン(NMP)を仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウム272.65gを添加して100℃に昇温した。塩化カルシウムが完全に溶解した後、液温を室温に戻して、パラフェニレンジアミン132.91gを添加し完全に溶解させた。この溶液を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド243.32gを10分割して約5分おきに添加した。次いで、溶液を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、気泡を抜くため減圧下30分間攪拌した。次いで、この重合液100gにNMP溶液を徐々に添加し、ポリパラフェニレンテレフタルアミド濃度を2質量%とした。
[実施例A4〜A10]
耐熱性多孔質層又は接着層の塗工量を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A11〜A14]
水酸化マグネシウムの含有量を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A15]
塗工液(A1)を、下記の塗工液(A15)に変更し、凝固液の温度を20℃に変更し、水洗槽の水温を20℃に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
メタ型アラミド(実施例A1において使用したものと同じ)と、水酸化マグネシウム(実施例A1において使用したものと同じ)とを、両者の質量比が20:80で、メタ型アラミド濃度が5質量%となるように、DMAcとTPGの混合溶媒(DMAc:TPG=90:10[質量比])に攪拌混合し、塗工液(A15)を得た。
[実施例A16]
ポリエチレン微多孔膜を、多層構造の微多孔膜(ポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層、厚さ12μm、空孔率44%、ガーレ値242秒/100mL)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A17]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比90:10にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A18]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比70:30にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例A19]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比50:50にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例A1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、重量平均分子量113万、ヘキサフルオロプロピレン含有量5.4質量%)を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂濃度が5質量%となるように、DMAc:TPG=90:10[質量比]の混合溶媒に攪拌混合し、接着層形成用塗工液を得た。
実施例A1と同様にして、塗工液(A1)をポリエチレン微多孔膜(実施例A1において使用したものと同じ)の両面に等量塗工し、凝固液に浸漬し塗工層を固化させ、洗浄及び乾燥した。次いで、これを、接着層形成用塗工液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、接着層形成用塗工液を両面に等量塗工し、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例A2]
アルミナ粒子(住友化学社、AKP−3000、体積平均粒径0.45μm、テトラポッド状粒子)と、粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社、D1200、エーテル化度0.8〜1.0)と、結着樹脂としてアクリル樹脂(DIC社、DICNAL LSE−16AD4)と、非イオン性界面活性剤(サンノプコ社、SNウェット366)とを質量比94.6:3.8:1.4:0.2にて混合し、水を添加して分散させ、固形分濃度40質量%の塗工液(AC2)を作製した。
一対のマイヤーバーに塗工液(AC2)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例A1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(AC2)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液(実施例A1において使用したものと同じ)を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例A3]
塗工液を作製する溶媒を、DMAc:TPG=60:40[質量比]の混合溶媒に変更した以外は、実施例A1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例A1〜A19及び比較例A1〜A3の各セパレータの構成、物性及び評価結果を表1〜表2に示す。表1中、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、アラミドは全芳香族ポリアミド、PVDFはポリフッ化ビニリデン、PVDF−HFPはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をそれぞれ意味する。
耐熱性多孔質層を形成後にその表面を走査型電子顕微鏡で観察した。実施例A1〜A19及び比較例A1においては、多孔性被膜が形成されていた。実施例A1〜A13、A15〜A19及び比較例A1においては、無機粒子が多孔性被膜によって結着され且つ覆われていた。比較例A2〜A3においては、フィブリル状の樹脂により無機粒子が結着されていたが、多孔性被膜は形成されていなかった。
<第一のセパレータの作製:耐熱性多孔質層がポリアミドイミドを含有する多孔性被膜を有する形態>
[実施例B1]
ポリアミドイミド(Solvay社、Torlon4000TF)と、水酸化マグネシウム(協和化学社、キスマ5P、体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)とを、両者の質量比が20:80で、ポリアミドイミド濃度が8質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)の混合溶媒(DMAc:TPG=90:10[質量比])に攪拌混合し、塗工液(B1)を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)が水に分散したPVDF粒子分散液(固形分濃度7質量%)を用意した。
一対のマイヤーバーに塗工液(B1)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(厚さ6μm、空孔率40%、ガーレ値100秒/100mL)をマイヤーバー間に通して、塗工液(B1)を両面に等量塗工した。これを、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[実施例B2]
PVDF粒子分散液を、アクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)が水に分散したアクリル樹脂粒子分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B3]
ポリアミドイミド(Solvay社、Torlon4000TF)を、高分子量ポリアミドイミド(Solvay社、Torlon4000T HV)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B4〜B10]
耐熱性多孔質層又は接着層の塗工量を表3に記載のとおりに変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B11〜B14]
水酸化マグネシウムの含有量を表3に記載のとおりに変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B15]
塗工液(B1)を、下記の塗工液(B15)に変更し、凝固液の温度を20℃に変更し、水洗槽の水温を20℃に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
ポリアミドイミド(実施例B1において使用したものと同じ)と、水酸化マグネシウム(実施例B1において使用したものと同じ)とを、両者の質量比が20:80で、ポリアミドイミド濃度が9質量%となるようにDMAcに攪拌混合し、塗工液(B15)を得た。
[実施例B16]
ポリエチレン微多孔膜を、多層構造の微多孔膜(ポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層、厚さ12μm、空孔率44%、ガーレ値242秒/100mL)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B17]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比90:10にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B18]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比70:30にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例B19]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比50:50にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例B1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、重量平均分子量113万、ヘキサフルオロプロピレン含有量5.4質量%)を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂濃度が5質量%となるように、DMAc:TPG=90:10[質量比]の混合溶媒に攪拌混合し、接着層形成用塗工液を得た。
実施例B1と同様にして、塗工液(B1)をポリエチレン微多孔膜(実施例B1において使用したものと同じ)の両面に等量塗工し、凝固液に浸漬し塗工層を固化させ、洗浄及び乾燥した。次いで、これを、接着層形成用塗工液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、接着層形成用塗工液を両面に等量塗工し、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例B2]
アルミナ粒子(住友化学社、AKP−3000、体積平均粒径0.45μm、テトラポッド状粒子)と、粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社、D1200、エーテル化度0.8〜1.0)と、結着樹脂としてアクリル樹脂(DIC社、DICNAL LSE−16AD4)と、非イオン性界面活性剤(サンノプコ社、SNウェット366)とを質量比94.6:3.8:1.4:0.2にて混合し、水を添加して分散させ、固形分濃度40質量%の塗工液(BC2)を作製した。
一対のマイヤーバーに塗工液(BC2)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例B1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(BC2)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液(実施例B1において使用したものと同じ)を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例B3]
塗工液を作製する溶媒を、DMAc:TPG=60:40[質量比]の混合溶媒に変更した以外は、実施例B1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例B1〜B19及び比較例B1〜B3の各セパレータの構成、物性及び評価結果を表3〜表4に示す。表3中、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PAIはポリアミドイミド、PVDFはポリフッ化ビニリデン、PVDF−HFPはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をそれぞれ意味する。
耐熱性多孔質層を形成後にその表面を走査型電子顕微鏡で観察した。実施例B1〜B19及び比較例B1においては、多孔性被膜が形成されていた。実施例B1〜B13、B15〜B19及び比較例B1においては、無機粒子が多孔性被膜によって結着され且つ覆われていた。比較例B2〜B3においては、フィブリル状の樹脂により無機粒子が結着されていたが、多孔性被膜は形成されていなかった。
<第一のセパレータの作製:耐熱性多孔質層がポリイミドを含有する多孔性被膜を有する形態>
[実施例C1]
ポリイミド(PI技術研究所、Q−VR−X1444)と、水酸化マグネシウム(協和化学社、キスマ5P、体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)とを、両者の質量比が20:80で、ポリイミド濃度が6質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)の混合溶媒(DMAc:TPG=90:10[質量比])に攪拌混合し、塗工液(C1)を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)が水に分散したPVDF粒子分散液(固形分濃度7質量%)を用意した。
一対のマイヤーバーに塗工液(C1)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(厚さ6μm、空孔率40%、ガーレ値100秒/100mL)をマイヤーバー間に通して、塗工液(C1)を両面に等量塗工した。これを、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[実施例C2]
PVDF粒子分散液を、アクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)が水に分散したアクリル樹脂粒子分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C3〜C9]
耐熱性多孔質層又は接着層の塗工量を表5に記載のとおりに変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C10〜C13]
水酸化マグネシウムの含有量を表5に記載のとおりに変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C14]
塗工液(C1)のポリイミド濃度を8質量%に変更し、凝固液の温度を20℃に変更し、水洗槽の水温を20℃に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C15]
ポリエチレン微多孔膜を多層構造の微多孔膜(ポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層、厚さ12μm、空孔率44%、ガーレ値242秒/100mL)に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C16]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比90:10にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C17]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比70:30にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例C18]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比50:50にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例C1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、重量平均分子量113万、ヘキサフルオロプロピレン含有量5.4質量%)を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂濃度が5質量%となるように、DMAc:TPG=90:10[質量比]の混合溶媒に攪拌混合し、接着層形成用塗工液を得た。
実施例C1と同様にして、塗工液(C1)をポリエチレン微多孔膜(実施例C1において使用したものと同じ)の両面に等量塗工し、凝固液に浸漬し塗工層を固化させ、洗浄及び乾燥した。次いで、これを、接着層形成用塗工液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、接着層形成用塗工液を両面に等量塗工し、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例C2]
アルミナ粒子(住友化学社、AKP−3000、体積平均粒径0.45μm、テトラポッド状粒子)と、粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社、D1200、エーテル化度0.8〜1.0)と、結着樹脂としてアクリル樹脂(DIC社、DICNAL LSE−16AD4)と、非イオン性界面活性剤(サンノプコ社、SNウェット366)とを質量比94.6:3.8:1.4:0.2にて混合し、水を添加して分散させ、固形分濃度40質量%の塗工液(CC2)を作製した。
一対のマイヤーバーに塗工液(CC2)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例C1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(CC2)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液(実施例C1において使用したものと同じ)を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例C3]
塗工液を作製する溶媒を、DMAc:TPG=60:40[質量比]の混合溶媒に変更した以外は、実施例C1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例C1〜C18及び比較例C1〜C3の各セパレータの構成、物性及び評価結果を表5〜表6に示す。表5中、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PIはポリイミド、PVDFはポリフッ化ビニリデン、PVDF−HFPはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をそれぞれ意味する。
耐熱性多孔質層を形成後にその表面を走査型電子顕微鏡で観察した。実施例C1〜C18及び比較例C1においては、多孔性被膜が形成されていた。実施例C1〜C12、C14〜C18及び比較例C1においては、無機粒子が多孔性被膜によって結着され且つ覆われていた。比較例C2〜C3においては、フィブリル状の樹脂により無機粒子が結着されていたが、多孔性被膜は形成されていなかった。
<第二のセパレータの作製>
[実施例D1]
メタ型アラミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド、帝人、コーネックス)と、水酸化マグネシウム(協和化学社、キスマ5P、体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)とを、両者の質量比が20:80で、メタ型アラミド濃度が4質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)の混合溶媒(DMAc:TPG=80:20[質量比])に攪拌混合し、塗工液(D1)を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)が水に分散したPVDF粒子分散液(固形分濃度7質量%)を用意した。
一対のマイヤーバーに塗工液(D1)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(厚さ6μm、空孔率40%、ガーレ値100秒/100mL)をマイヤーバー間に通して、塗工液(D1)を両面に等量塗工した。これを、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[実施例D2]
PVDF粒子分散液を、アクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)が水に分散したアクリル樹脂粒子分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D3]
メタ型アラミドを、下記のパラ型アラミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
フラスコに4200gのN−メチル−ピロリドン(NMP)を仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウム272.65gを添加して100℃に昇温した。塩化カルシウムが完全に溶解した後、液温を室温に戻して、パラフェニレンジアミン132.91gを添加し完全に溶解させた。この溶液を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド243.32gを10分割して約5分おきに添加した。次いで、溶液を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、気泡を抜くため減圧下30分間攪拌した。次いで、この重合液100gにNMP溶液を徐々に添加し、ポリパラフェニレンテレフタルアミド濃度を2質量%とした。
[実施例D4]
メタ型アラミドを、ポリエーテルイミド(SABIC社、ウルテム)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D5〜D11]
耐熱性多孔質層又は接着層の塗工量を表7に記載のとおりに変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D12〜D15]
水酸化マグネシウムの含有量を表7に記載のとおりに変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D16]
塗工液(D1)を、下記の塗工液(D16)に変更し、凝固液の温度を20℃に変更し、水洗槽の水温を20℃に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
メタ型アラミド(実施例D1において使用したものと同じ)と、水酸化マグネシウム(実施例D1において使用したものと同じ)とを、両者の質量比が20:80で、メタ型アラミド濃度が5質量%となるように、DMAcとTPGの混合溶媒(DMAc:TPG=90:10[質量比])に攪拌混合し、塗工液(D16)を得た。
[実施例D17]
アルミナ粒子(住友化学社、AKP−3000、体積平均粒径0.45μm、テトラポッド状粒子)と、粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社、D1200、エーテル化度0.8〜1.0)と、結着樹脂としてアクリル樹脂(DIC社、DICNAL LSE−16AD4)と、非イオン性界面活性剤(サンノプコ社、SNウェット366)とを質量比85:3.8:11:0.2にて混合し、水を添加して分散させ、固形分濃度40質量%の塗工液(D17)を作製した。
一対のマイヤーバーに塗工液(D17)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例D1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(D17)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液(実施例D1において使用したものと同じ)を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[実施例D18]
ポリエチレン微多孔膜を、多層構造の微多孔膜(ポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層、厚さ12μm、空孔率44%、ガーレ値242秒/100mL)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D19]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比90:10にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D20]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比70:30にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例D21]
PVDF粒子分散液を、ポリフッ化ビニリデン樹脂粒子(融点140℃、体積平均粒径0.2μm)とアクリル樹脂粒子(ガラス転移温度59℃、体積平均粒径0.5μm)とが質量比50:50にて水に分散した水性分散液(固形分濃度7質量%)に変更した以外は、実施例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例D1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、重量平均分子量113万、ヘキサフルオロプロピレン含有量5.4質量%)を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂濃度が5質量%となるように、DMAc:TPG=90:10[質量比]の混合溶媒に攪拌混合し、接着層形成用塗工液を得た。
実施例D1と同様にして、塗工液(D1)をポリエチレン微多孔膜(実施例D1において使用したものと同じ)の両面に等量塗工し、凝固液に浸漬し塗工層を固化させ、洗浄及び乾燥した。次いで、これを、接着層形成用塗工液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、接着層形成用塗工液を両面に等量塗工し、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例D2]
メタ型アラミドを、実施例D4で使用したポリエーテルイミドに変更した以外は、比較例D1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例D3]
実施例D17で作製した塗工液(D17)と、比較例D1で作製した接着層形成用塗工液を用意した。
一対のマイヤーバーに塗工液(D17)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例D1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(D17)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、接着層形成用塗工液を適量のせた一対のバーコータ間に通して、接着層形成用塗工液を両面に等量塗工し、凝固液(DMAc:TPG:水=30:8:62[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
[比較例D4]
アルミナ粒子(住友化学社、AKP−3000、体積平均粒径0.45μm、テトラポッド状粒子)と、粘度調整剤であるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社、D1200、エーテル化度0.8〜1.0)と、結着樹脂としてアクリル樹脂(DIC社、DICNAL LSE−16AD4)と、非イオン性界面活性剤(サンノプコ社、SNウェット366)とを質量比94.6:3.8:1.4:0.2にて混合し、水を添加して分散させ、固形分濃度40質量%の塗工液(DC4)を作製した。
一対のマイヤーバーに塗工液(DC4)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(実施例D1において使用したものと同じ)をマイヤーバー間に通して、塗工液(DC4)を両面に等量塗工し、乾燥した。次いで、これを、PVDF粒子分散液(実施例D1において使用したものと同じ)を適量のせた一対のバーコータ間に通して、PVDF粒子分散液を両面に等量塗工し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層及び接着層が形成されたセパレータを得た。
実施例D1〜D21及び比較例D1〜D4の各セパレータの構成、物性及び評価結果を表7〜表8に示す。表7中、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、アラミドは全芳香族ポリアミド、PVDFはポリフッ化ビニリデン、PVDF−HFPはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体をそれぞれ意味する。
耐熱性多孔質層を形成後にその表面を走査型電子顕微鏡で観察した。実施例D1〜D16、D18〜D21及び比較例D1〜D2においては、多孔性被膜が形成されていた。実施例D1〜D14、D16、D18〜D21及び比較例D1〜D2においては、無機粒子が多孔性被膜によって結着され且つ覆われていた。実施例D17及び比較例D3〜D4においては、フィブリル状の樹脂により無機粒子が結着されていたが、多孔性被膜は形成されていなかった。
2017年12月27日に出願された日本国出願番号第2017−252241号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
2017年12月27日に出願された日本国出願番号第2017−252242号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
2017年12月27日に出願された日本国出願番号第2017−252243号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
2017年12月27日に出願された日本国出願番号第2017−252244号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10A、10B、10C、10D セパレータ
20 多孔質基材
30 耐熱性多孔質層
40 積層体
50 接着層
52 接着性樹脂粒子

Claims (10)

  1. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する多孔性被膜を有する耐熱性多孔質層と、
    前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、
    を備えた非水系二次電池用セパレータ。
  2. 前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mである、請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 前記耐熱性多孔質層がさらに無機粒子を含有し、前記耐熱性多孔質層に占める前記無機粒子の質量割合が50質量%〜90質量%である、請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  4. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、分子中にアミド結合及びイミド結合の少なくとも一方を有する耐熱性樹脂及び無機粒子の少なくとも一方を含有する耐熱性多孔質層と、
    前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との積層体の片面又は両面に設けられ、接着性樹脂粒子が前記積層体に付着してなる接着層と、を備え、
    前記多孔質基材と前記耐熱性多孔質層との間の剥離強度が5N/m〜75N/mである、非水系二次電池用セパレータ。
  5. 前記接着性樹脂粒子が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む第一の接着性樹脂粒子とアクリル系樹脂を含む第二の接着性樹脂粒子との混合物を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  6. 前記非水系二次電池用セパレータのガーレ値と前記多孔質基材のガーレ値との差が20秒/100mL〜300秒/100mLである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  7. 前記非水系二次電池用セパレータのMD方向の引張強度及びTD方向の引張強度の少なくとも一方が500kgf/cm〜3000kgf/cmである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  8. 前記接着層の重量が前記積層体の片面あたり0.2g/m〜2.0g/mである、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  9. 前記多孔質基材がポリプロピレンを含有する微多孔膜である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  10. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
JP2019507959A 2017-12-27 2018-11-30 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 Active JP6513893B1 (ja)

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