以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る(本実施形態では、乗用自動車)空調装置1を示す。空調装置1は、図3に示す制御装置100によって制御される。この車両の制御装置100は、図1にも示す空調装置1と、上記車両のエンジンの点火装置4や燃料噴射装置5等を制御するエンジン制御ユニット3と、このエンジン制御ユニット3に対しエンジンの停止及び再始動信号を出力する車両制御ユニット6とを備えている。空調装置1は、当該空調装置1の作動を制御するエアコン制御ユニット2を含む。
上記空調装置1は、図2に示す、上記車両の車室の前端部に配設されたインストルメントパネルIP内に収容されている。このインストルメントパネルIPの車幅方向略中央部には、空調装置1の操作パネルBが配設されている。そして、インストルメントパネルIPの車両後方における車両右側には、運転席(図示せず)が配設され、車両左側には、助手席(図示せず)が配設されている。インストルメントパネルIP上面の前端部には、上記車室内におけるフロントウインド(図示せず)の内面に向けて、空調装置1で生成された調和空気が吹き出すデフロスタ口7が開口している。また、インストルメントパネルIP上面の車幅方向両端部には、上記車室内におけるサイドウインド(図示せず)の内面に向けて、上記調和空気が吹き出すデミスタ口8がそれぞれ開口している。さらに、インストルメントパネルIPの車幅方向略中央部には、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すセンタベント口9が開口しているとともに、インストルメントパネルIPの車幅方向両端部にも、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すサイドベント口10が開口している。
図1に示すように、上記空調装置1は、樹脂材を成形してなるケース20を備えている。このケース20には、空気導入部21と温度調節部22と調和空気分配部23とが設けられている。尚、ケース20は、例えば、空気導入部21と温度調節部22と調和空気分配部23とに3分割されたものや、空気導入部21と、温度調節部22及び調和空気分配部23とに2分割されたもの(送風ユニットと空調ユニットとに2分割されたもの)であってもよい。
上記空気導入部21には、上記車室内で開口し車室内の空気をケース20内に取り入れるための内気導入口25と、車室外に連通するダクト(図示せず)に接続されて車室外の空気をケース20内に取り入れるための外気導入口26とが形成されている。空気導入部21の内部には、上記内気導入口25及び外気導入口26の一方を開いて他方を閉じる内外気切替ドア27が設けられている。この内外気切替ドア27は、ケース20の外面に固定された内外気アクチュエータ28(図3参照)により動作して、内気導入口25及び外気導入口26の一方を開き他方を閉じるようになっている。この内外気アクチュエータ28は、サーボモータを内蔵した周知の構造のものである。この内外気アクチュエータ28により、空気の導入モードを、内気のみをケース20に導入する内気導入モードと、外気のみをケース20に導入する外気導入モードとに切り替えることができるようになっている。
上記空気導入部21内における内外気切替ドア27の近傍には、ケース20内に取り入れられた空気を濾過するためのエアフィルタ31が配設され、このエアフィルタ31よりもケース20内の奥側には、内気導入口25又は外気導入口26から空気をケース20の空気導入部21内に導入して、そこから該空気を温度調節部22及び調和空気分配部23へと流すための送風ファン32が配設されている。この送風ファン32は遠心式ファンであって、その回転軸が上下方向に延びるように配置されている。送風ファン32の下部には、該送風ファン32を回転駆動するためのブロアモータ33が配置されている。このブロアモータ33は、一部がケース20の外部に突出した状態で該ケース20に固定されている。以下、上記空気の流れ方向の上流側及び下流側をそれぞれ、単に上流側及び下流側という。
上記空気導入部21の下流側(図1の右側)に位置する温度調節部22内の上流部分には、冷却通路22aが形成されていて、この冷却通路22aには、ケース20内に導入された空気(つまり上記車室内への送風空気)を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ35が収容配置されている。このエバポレータ35と、上記エンジンにより駆動される補機としてのコンプレッサ36(図3参照)と、冷媒凝縮器(図示せず)と、膨張弁(図示せず)と、これらを接続するクーラ配管(図示せず)とで、周知の冷凍サイクル装置が構成されている。
エバポレータ35は、複数のチューブとフィン(共に図示せず)とを交互に並べて一体化したチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。エバポレータ35には、熱媒体としての冷媒がクーラパイプを介して給排され、この冷媒がチューブを流通するようになっている。エバポレータ35のフィン間を通過する空気が、コンプレッサ36から供給されてチューブを流通している冷媒と熱交換し、これによって該空気が冷却される。
エバポレータ35には、蓄冷剤を収容した蓄冷容器35aが設けられている。蓄冷容器35aは、フィンとフィンとの間に設けることもできるし、フィンとチューブとの間に設けることもできる。蓄冷剤は、従来から車両用空調装置に使用されているものであるため、詳細な説明は省略する。この蓄冷容器35aには、エバポレータ35のチューブを流れる冷媒の冷熱が伝わるように構成されている。これにより、蓄冷剤は、コンプレッサ36から供給される冷媒の冷熱を蓄えることができる。蓄冷剤の融解点は、氷点下以上であり、例えば8℃程度に設定されているが、これに限られるものではない。
エバポレータ35の直下流側には、エバポレータ35の温度状態を検出するためのエバセンサ37が配設されている。エバセンサ37は、エバポレータ35を通過した直後の空気の温度(エバポレータ35の表面温度と見做すことができる)を検出するための温度センサである。このエバセンサ37は、本発明の温度状態検出部を構成することになる。尚、温度状態検出部としては、エバポレータ35の表面温度を直接検出するものであってもよいし、冷媒の温度を検出するものであってもよい。
上記温度調節部22内における冷却通路22aの下流側には、冷却通路22aを流れてきた空気(エバポレータ35により冷却された空気)の一部又は全部が流れる加熱通路22bが形成されている。この加熱通路22bの上流端(加熱通路22bの入口)は、冷却通路22aの下流端に接続されている。加熱通路22bには、冷却通路22aを流れてきた空気(上記車室内への送風空気)を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア43が収容配置されている。
ヒータコア43は、エバポレータ35と同様のチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。ヒータコア43には、上記エンジンにより駆動される補機としてのウォーターポンプ(図示せず)から熱媒体としてのエンジン冷却水がヒータパイプ(図示せず)を介して給排されるようになっている。このヒータコア43を通過する空気がチューブを流通するエンジン冷却水と熱交換し、これによって該空気が加熱される。
ヒータコア43の直下流側には、ヒータコア43を通過した直後の空気の温度(ヒータコア43の温度と見做すことができる)を検出するための温度センサからなるヒータコアセンサ38が配設されている。このヒータコアセンサ38は、加熱用熱交換器の温度を検出する加熱用熱交換器温度検出手段を構成することになる。尚、加熱用熱交換器温度検出手段としては、ヒータコア43の表面温度を直接検出するものであってもよい。
加熱通路22bの側方には、冷却通路22aを流れてきた空気の一部又は全部を、加熱通路22b(ヒータコア43)をバイパスして流すためのバイパス通路44が形成されている。このバイパス通路44の上流端も冷却通路22aの下流端に接続されている。そして、冷却通路22aを流れてきた空気の一部が加熱通路22bへと流れた場合、その残りの空気がバイパス通路44を流れることになる。バイパス通路44は、冷却通路22aの一部と見做すことができ、この場合、加熱通路22bは、冷却通路22aにおけるエバポレータ35の下流側の部分から分岐したことになる。
上記加熱通路22b及びバイパス通路44(冷却通路22a)の下流端はエアミックス空間45に連通している。エアミックス空間45は、加熱通路22b及びバイパス通路44(冷却通路22a)からの流れてきた空気を混合して上記車室内へ送風される調和空気を生成するための空間である。このエアミックス空間45で混合されて得られた調和空気の温度は、バイパス通路44(冷却通路22a)を流れてきた空気と、加熱通路22bを流れてきた空気との流量割合で決まる。この流量割合は、加熱通路22bの入口に設けられ、かつ、加熱通路22bの入口の開度を変更するエアミックスドア46により調節することができる。すなわち、エアミックスドア46は、加熱通路22bの入口の開度を変更して、エバポレータ35及びヒータコア43を通過する空気量を変化させ、上記調和空気の温度を調整する。
エアミックスドア46は、ケース20の外面に固定されたエアミックスアクチュエータ48(図3参照)により動作するようになっている。エアミックスアクチュエータ48は、上記内外気アクチュエータ28と同様に構成されている。エアミックスアクチュエータ48を動作させてエアミックスドア46による加熱通路22b入口の開度(以下、エアミックスドア46の開度という)を変更することにより、バイパス通路44の空気流量と加熱通路22bの空気流量との割合が変更され、その結果、エアミックス空間45で混合されて得られる上記調和空気の温度が変更される。
エアミックスドア46が、空気をエバポレータ35に流し、かつ、ヒータコア43には流さないようにする状態がMAX COLD状態であり、本実施形態の説明では、エアミックスドア46の開度が0%(図5に示す)であるとする。このMAX COLD状態では、加熱通路22b入口が全閉とされて、冷却通路22aを流れてきた空気の全部がバイパス通路44へと流れる。一方、エアミックスドア46が、空気をエバポレータ35に流さないようにし、かつ、ヒータコア43に流すようにする状態がMAX HOT状態であり、本実施形態の説明では、エアミックスドア46の開度が100%(図5に示す)であるとする。このMAX HOT状態では、加熱通路22b入口が全開とされて、冷却通路22aを流れてきた空気の全部が加熱通路22bへと流れる。エアミックスドア46の開度は、0%〜100%の間で任意の値に設定することが可能である。
上記温度調節部22(エアミックス空間45)の下流側には、エアミックス空間45における上記調和空気をデフロスタ口7やセンタベント口9等に分配する調和空気分配部23が位置している。調和空気分配部23の内部には、エアミックス空間45から分岐して延びるベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59が形成されている。ベント通路47の下流端は、ケース20の外面にベント吹出口50として開口し、ヒート通路49の下流端は、ケース20の外面にヒート吹出口51として開口し、デフロスタ通路59の下流端は、ケース20の外面にデフロスタ吹出口52として開口している。
ベント吹出口50には、インストルメントパネルIPのセンタベント口9及びサイドベント10に連通するベントダクト53の上流端が接続されている。また、ヒート吹出口51には、複数のヒートダクト54(図2にその一部を示す)の上流端が接続され、こられヒートダクト54の下流端(開口)は、前席乗員(運転席乗員及び助手席乗員)の足下及び後席乗員の足下近傍に位置している。また、デフロスタ吹出口52には、インストルメントパネルIPのデフロスタ口7及びデミスタ口8に連通するデフロスタダクト55の上流端が接続されている。上記ベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59は、調和空気分配部23の内部に配設されたベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58によりそれぞれ開閉されるようになっている。
上記ベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58は、図示しないが、リンク部材によって互いに連結されており、後述の吹出モードを切り替えるための吹出モードアクチュエータ60(図3参照)により互いに連動して動作するようになっている。上記吹出モードアクチュエータ60は、上記内外気アクチュエータ28と同様にサーボモータを内蔵した周知の構造のものであり、ケース20の外面に固定されている。
上記空調装置1は、図3に示すように、エンジン水温センサ64、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67を備えている。エンジン水温センサ64は、エンジン冷却水の温度を検出するための温度センサである。外気センサ65は、車両周囲(車室外)の温度を検出するための温度センサであって、フロントグリル(図示せず)近傍やドアミラー(図示せず)近傍等の車室外に配設されている。上記内気センサ66は、車室内温度を検出するための温度センサであって、インストルメントパネルIPの運転席側に配設されている(図2参照)。上記日射センサ67は、車室内に差し込んでくる太陽光の強さである日射量を検出するためのものであって、インストルメントパネルIPの前端部に配設されている(図2参照)。
上記インストルメントパネルIPの操作パネルBには、図3に示すように、温度設定スイッチ68、吹出モードスイッチ69、エアコンスイッチ70、内外気切替スイッチ71、ファンスイッチ72、エアコン優先スイッチ73、DEFスイッチ80及びオートスイッチ81が配設されている。
上記温度設定スイッチ68は、上記車両の乗員が車室内温度を所望の温度に設定するために操作するスイッチである。この温度設定スイッチ68は、上記車両の乗員の操作により設定された設定温度を検出する設定温度検出手段を構成している。
上記吹出モードスイッチ69は、上記調和空気の吹出モードを乗員が選択するために操作するスイッチである。この吹出モードとしては、センタベント口9及びサイドベント口10から調和空気が吹き出すベントモードと、センタベント口9及びサイドベント口10に加えて、ヒートダクト54の下流側開口からも調和空気が吹き出すバイレベルモードと、ヒートダクト54の下流側開口から調和空気が吹き出すヒートモードと、デフロスタ口7、デミスタ口8及びヒートダクト54の下流側開口から調和空気が吹き出すヒートデフモードと、デフロスタ口7及びデミスタ口8から調和空気が吹き出すデフロスタモードとがある。後述の自動空調モードでは、ヒートデフモード及びデフロスタモードになるのは、上記エンジン水温センサ64により検出されたエンジン冷却水の温度が所定値以下であるエンジン冷間時であり、エンジン冷却水の温度が上記所定値よりも高いエンジン温間時であるときには、ベントモード、バイレベルモード及びヒートモードのいずれかとなる(但し、DEFスイッチ80がONになったときには、デフロスタモードになる)。上記エンジン冷間時には、後述のエンジンの自動停止はなされない。このため、後に説明するエアコン制御ユニット2の制御では、エンジン温間時の制御について説明する。尚、エンジン温間時であっても、DEFスイッチ80がONであるとき等のように、アイドリング停止禁止と判定されたときにも、エンジンの自動停止はなされない。
上記エアコンスイッチ70は、上記車両の乗員が、冷凍サイクルのコンプレッサ36の動作モードを設定するために操作するスイッチであって、コンプレッサ36を通常運転させるA/Cモードを選択するためのA/Cポジションと、弱冷房でよい場合のエコノミーモード(ECOモード)を選択するためのECOポジションと、コンプレッサ36を運転させないOFFモードを選択するためのOFFポジションとを備えており、乗員が3つのポジションから任意の1つを選択できるようになっている。
上記内外気切替スイッチ71は、上記車両の乗員が、空気の導入モードを内気導入モードと外気導入モードとに切り替えるために操作するスイッチである。
上記ファンスイッチ72は、上記車両の乗員が、空調装置1を作動状態にするか、又は非作動状態にするかを選択するために操作するスイッチである。ファンスイッチ72をONにすると、空調装置1が作動し、OFFにすると、空調装置1の作動が停止する。また、ファンスイッチ72は、ON状態であるときに、上記車両の乗員が操作することで、送風ファン32による送風量を多段階に増減させることも可能である。
上記エアコン優先スイッチ73は、上記車両の乗員が、空調装置1の作動を優先して上記エンジンを後述の如く自動停止させないようにする(エアコン優先モードにする)ために操作するスイッチである。すなわち、この車両においては、エアコン優先モードにすることで、エンジンの自動停止(アイドリング停止)機能を解除することができるようになっている。
上記DEFスイッチ80は、上記車両の乗員が、フロントウインドやサイドウインドが曇ったときにその曇を晴らすために操作するスイッチであって、該DEFスイッチ80をONにすると、吹出モードがデフロスタモードとなりかつ風量が増大されるようになっている。
上記オートスイッチ81は、上記車両の乗員が、自動空調モードと手動モードとの一方を選択するために操作するスイッチである。自動空調モードが選択されたときには、吹出モード、導入モード及び送風量が、車室の空調状態に応じて自動的に設定される。一方、手動モードが選択されたときには、吹出モード、導入モード及び送風量が、それぞれ、吹出モードスイッチ69、内外気切替スイッチ71及びファンスイッチ72により設定(選択)された吹出モード、導入モード及び送風量となる。
上記エアコン制御ユニット2は、図示しないが、中央演算処理装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、入出力ポート等を有しており、車載バッテリー(図示せず)から電力供給を受けて作動するようになっている。エアコン制御ユニット2の入出力ポートには、上記各スイッチ68〜73,80,81及び上記各センサ37,38,64〜67が信号線を介して接続されているとともに、ブロアモータ33及び各アクチュエータ28,48,60が信号線を介して接続されている。そして、エアコン制御ユニット2は、上記各スイッチ68〜73,80,81及び上記各センサ37,38,64〜67からの情報を入力して、該入力情報に基づいて、ブロアモータ33及び各アクチュエータ28,48,60の作動を制御する。
上記エンジン制御ユニット3には、点火装置4、燃料噴射装置5及びコンプレッサ36が信号線を介して接続されている。コンプレッサ36には、エンジンに対して機械的に連結したり非連結にしたりする電磁クラッチが設けられており、この電磁クラッチの断接制御がエンジン制御ユニット3により行われる。電磁クラッチが接続状態にあるときには、エンジンの動力がコンプレッサ36に伝達される一方、電磁クラッチが切断状態にあるときには、エンジンの動力がコンプレッサ36に伝達されないようになっている。
エアコン制御ユニット2とエンジン制御ユニット3とは、信号線を介して接続されている。エアコン制御ユニット2がコンプレッサ36を作動させる必要があると判断したときには、コンプレッサON信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサON信号を受けたエンジン制御ユニット3が、コンプレッサ36の電磁クラッチを接続状態にする一方、エアコン制御ユニット2がコンプレッサ36を作動させる必要がないと判断したときには、コンプレッサOFF信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサOFF信号を受けたエンジン制御ユニット3が、電磁クラッチを切断状態にするようになっている。
エアコン制御ユニット2は、オートスイッチ81により自動空調モードが選択されている場合には、所定のプログラムに従って、主として温度設定スイッチ68、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67からの入力情報に基づいて、エアミックスドア46の開度を決定して、この開度になるようにエアミックスアクチュエータ48を制御するとともに、該開度に対応して予め定められた吹出モードになるように吹出モードアクチュエータ60を制御する。尚、エアミックスドア46の開度の決定は、少なくとも温度設定スイッチ68からの入力情報に基づいて行えばよい(特に、手動モードでは、温度設定スイッチ68からの入力情報に基づいてエアミックスドア46の開度を決定すればよい)。
また、エアコン制御ユニット2は、後述の如くエンジンが自動停止されているときに、エバセンサ37及びヒータコアセンサ38並びに温度設定スイッチ68からの入力情報と、該自動停止前における吹出空気(上記調和空気)の予測温度とに基づいて、エンジンを再始動させるか否かを決定する。
上記車両制御ユニット6には、上記車両の車速を検出する車速センサ76及びブレーキペダルの踏み込み操作を検出するブレーキスイッチ77が信号線を介して接続されている。また、車両制御ユニット6と上記エアコン制御ユニット2とは信号線で接続されており、エアコン制御ユニット2からは、該エアコン制御ユニット2で生成されたアイドリング停止許可信号及び禁止信号のうちの一方の信号が出力されて車両制御ユニット6に入力されるようになっている。ファンスイッチ72がOFF状態では、アイドリング停止許可信号がエアコン制御ユニット2から車両制御ユニット6へ出力される。また、車両制御ユニット6からは、エンジンが自動停止しているか否かの判別信号がエアコン制御ユニット2に対し出力されるようになっている。
車両制御ユニット6は、所定のエンジン停止条件が成立したときにおいて、エアコン制御ユニット2からのアイドリング停止許可信号を入力している限り、上記エンジンを自動停止させる。上記所定のエンジン停止条件は、本実施形態では、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込み操作が検出され、かつ車速センサ76により検出された車速が0であるという条件であるが、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込み操作が検出され、かつ車速がごく低速になった場合も、所定のエンジン停止条件とすることができる。
尚、車両制御ユニット6がエンジンを自動停止させる場合には、エンジン制御ユニット3に対して停止信号を出力して、点火装置4や燃料噴射装置5を非作動状態にさせる。
また、車両制御ユニット6は、エンジンを自動停止させた後、例えばブレーキペダルの踏み込みが解放されたり、アクセルペダルが踏み込まれたりする等といった、車両のアクセルペダル又はブレーキペダルの操作に関する所定のエンジン再始動条件が成立したときには、自動停止させたエンジンを再始動させる。本実施形態では、所定のエンジン再始動条件は、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込みが解放されたという条件である。車両制御ユニット6は、所定のエンジン再始動条件が成立したときには、エンジン制御ユニット3に対して再始動信号を出力して、エンジンを再始動させる。
さらに、車両制御ユニット6は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中(ファンスイッチ72がON状態)において、エアコン制御ユニット2からエンジン自動停止禁止信号を入力したときには、上記所定のエンジン再始動条件が不成立であっても、エンジンを再始動させる(エンジン制御ユニット3に対して再始動信号を出力する)。一方、エンジンの自動停止中で、かつ空調装置1の作動中において、エアコン制御ユニット2からエンジン自動停止許可信号を入力したときには、そのままエンジンの自動停止を継続する。但し、エンジン自動停止許可信号に拘わらず、上記所定のエンジン再始動条件が成立したときには、エンジンを再始動させる。
また、図3に示すように、エアコン制御ユニット2は、車室内の冷房要求度合いを推定する冷房要求度推定部2aを備えている。冷房要求度推定部2aは、外気センサ65から出力される車室外の温度、内気センサ66から出力される車室内の温度、日射センサ67から出力される日射量及び温度設定スイッチ68の設定温度に基づいて、車室内の冷房要求度合いの高低を推定するように構成されている。すなわち、外気センサ65から出力される車室外の温度が、例えば30℃以上の高温である場合には、基本的には車室内の冷房要求度合いが高いと推定するが、内気センサ66から出力される車室内の温度が25℃程度であれば、外気センサ65から出力される車室外の温度が高くても冷房要求度合いは低いと推定する。また、日射センサ67から出力される日射量が真夏のように多ければ、基本的には車室内の冷房要求度合いが高いと推定するが、内気センサ66から出力される車室内の温度が25℃程度であれば、日射センサ67から出力される日射量が多くても冷房要求度合いは低いと推定する。また、温度設定スイッチ68の設定温度が20℃程度で低ければ、基本的には車室内の冷房要求度合いが高いと推定するが、内気センサ66から出力される車室内の温度と、温度設定スイッチ68の設定温度との差が小さければ、冷房要求度合いは低いと推定する。尚、冷房要求度推定部2aは、少なくとも車室外の温度及び車室内の温度に基づいて車室内の冷房の要求度合いを推定することができるし、他の条件(設定風量等)に基づいて車室内の冷房の要求度合いを推定するようにしてもよい。
次に、空調装置1の作動中におけるエアコン制御ユニット2の具体的な制御動作を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御は、所定時間(例えば数十ms)毎に繰り返し行われる。このフローチャートに示す制御は、イグニッションがONにされたらスタートし、OFFにされたら終了する。
イグニッションがONされてスタートした後のステップSA1では、基本的にエンジンが始動して運転状態とされる。ステップSA1に続くステップSA2では、上記所定のエンジン停止条件が成立しているか否か、つまり、エンジンの自動停止が許可されているか否かを判定する。ステップSA2においてNOと判定されてエンジンの自動停止が許可されていない場合には、ステップSA3に進み、通常空調制御を行う。
通常空調制御は、図6に示すフローチャートに従って行われる。図6に示すフローチャートのステップSB1では、エアコン制御ユニット2が、上記各センサ37,38,64〜67や上記各スイッチ68〜73,80,81からの信号を読み込む。
その後、ステップSB2に進んで、エアミックスドア46の制御を行う。すなわち、温度設定スイッチ68による設定温度を含む空調状態(自動空調モードでは、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67による検出値を考慮する)に基づいて、目標車室内温度を演算して、この目標車室内温度からエアミックスドア46の開度を演算し、この開度になるようにエアミックスアクチュエータ48を作動させる。
しかる後、ステップSB3に進んで、吹出モード及び導入モード制御を行う。すなわち、自動空調モードでは、上記エアミックスドア46の開度に対応して予め定められた吹出モードになるように吹出モードアクチュエータ60を作動させる。また、外気温度や車室内温度を考慮して、導入モードを決定して、その決定した導入モードになるように内外気アクチュエータ28を作動させる。
例えば、夏場のように、外気センサ65により検出された外気温度が30℃以上と高くて強めの冷房が必要な場合には、吹出モードがベントモードとなり、導入モードが内気導入モードとなる。吹出モードをベントモードにすることで、冷風が乗員の上半身に向けて直接供給され、また、導入モードを内気導入モードとすることで、車室外の空気よりも目標車室内温度に近い車室内の空気をケース20に取り込むことができ、効率の良い冷房が可能になる。また、外気温度が約20℃であって比較的弱めの冷房でよい場合には、吹出モードがバイレベルモードとなり、導入モードが外気導入モードとなる。一方、冬場のように、外気センサ65により検出された外気温度が10℃以下の低温であって暖房が必要な場合には、吹出モードがヒートモードとなり、導入モードが外気導入モードとなる。導入モードを外気導入モードとすることで、乾燥した外気を車室に取り込んでウインドガラスの曇りを防止することができる。
次いで、ステップSB4に進み、送風ファンの制御を行う。すなわち、自動空調モードでは、内気センサ66により検出された車室内温度と上記目標車室内温度との差から送風量を演算し、この送風量となるように、ブロアモータ33に印加される電圧を変更する。上記送風量は、上記車室内温度と上記目標車室内温度との差が大きいほど、大きくされる。
そして、ステップSB5に進み、コンプレッサ36を作動させるか停止させるかを決定する。すなわち、エアコンスイッチ70により設定されたエアコンモードがA/Cモード又はECOモードとされているときにはコンプレッサ36を作動させ、OFFモードとされているときには、コンプレッサ36を停止させる。ステップSB5においてコンプレッサ36を作動させるとした場合には、コンプレッサON信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、このエンジン制御ユニット3によりコンプレッサ36の電磁クラッチが接続状態とされる。一方、コンプレッサ36を停止させるとした場合には、コンプレッサOFF信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力されて、電磁クラッチが切断状態となる。
エアコンモードがA/Cモード又はECOモードとされているとき、コンプレッサ36を常時作動させるのではなく、エバセンサ37で検出された温度に応じて、コンプレッサ36の作動(コンプレッサON信号の出力)と停止(コンプレッサOFF信号の出力)とを繰り返す。すなわち、コンプレッサON信号は、エバセンサ37による検出温度がON温度(第1の所定温度)以上となったときに出力され、コンプレッサOFF信号は、エバセンサ37による検出温度がON温度よりも低いOFF温度(第2の所定温度)に達したときに出力されるようになっている。通常空調制御におけるコンプレッサOFF温度は、Tof(℃)であり、例えば、2.5℃、7.0℃、11℃の3段階に変更可能となっている。11℃は蓄冷剤の融解点(8℃)よりも高い温度である。コンプレッサOFF温度Tof(℃)が高くなるほど、コンプレッサON温度に近づいていくのでコンプレッサ36の作動時間が短くなる。
この実施形態では、冷房要求度推定部2aによって車室内の冷房の要求度合いを3段階で推定し、推定された車室内の冷房要求度合いに基づいてコンプレッサOFF温度Tof(℃)を上述した3段階に変化させている。冷房要求度推定部2aにより推定された車室内の冷房要求度合いが低いほどコンプレッサOFF温度Tof(℃)を高くしてコンプレッサ36の作動時間を短くしている。車室内の冷房要求度合いが低い場合には、コンプレッサ36の作動時間を短くしても乗員の快適性には殆ど影響を及ぼすことなく、エンジンの負荷を軽減することができる。一方、車室内の冷房要求度合いが高いほど、コンプレッサOFF温度Tof(℃)を低くする。これにより、乗員の快適性が確保される。この制御を前提とすることで、冷房要求度推定部2aにより車室内の冷房要求度合いが低いと推定されるときには、冷房要求度合いが高いと推定されるときに比べてコンプレッサOFF温度Tof(℃)を蓄冷剤の融解点よりも高い11℃とすることができる。
図4に示すフローチャートのステップSA3の通常空調制御の後、ステップSA2の判定が行われ、ステップSA2においてNOと判定されてエンジンの自動停止が許可されていない場合には、ステップSA3に進み、通常空調制御を行う。つまり、エンジンの自動停止が許可されない間は通常空調制御が繰り返し行われる。
ステップSA2でYESと判定されてエンジンの自動停止が許可されている場合にはステップSA4に進む。ステップSA4ではエンジンを自動停止させる。そして、ステップSA5に進む。ステップSA5では、エンジンが自動停止した間の空調制御として、エンジン自動停止時空調制御を行う。エンジン自動停止時空調制御は、図7に示すフローチャートに従って行われる。
図7のフローチャートのステップSC1、SC2は、それぞれ図6に示すフローチャートのSB1、SB2と同じである。ステップSC3では、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数を数える、MAX COLDカウント制御を行う。すなわち、図5のタイムチャートに示すように、冷房時にエンジンが自動停止してコンプレッサ36も停止すると、エバポレータ35の温度が上昇していくので、エアミックスドア46の開度が次第に小さくなっていく。そして、エアミックスドア46がMAX COLD状態になるということは、冷房能力が要求に対して不足気味であるということであり、言い換えると、ステップSC3では、冷房能力が要求に対して不足気味となった回数を数えることができる。ステップSC3でカウントした回数は、MAX COLD状態になったときの時刻と共にエアコン制御ユニット2に記憶される。次回のフローにおいてステップSC3でMAX COLD状態になれば、その回数及びMAX COLD状態になったときの時刻が、前回のステップSC3でカウントされた回数及び時刻と共に記憶されていくようになっている。
図7に示すフローチャートのステップSC4、SC5、SC6は、それぞれ、図6に示すフローチャートのステップSB3、SB4、SB5と同じである。
図4に示すフローチャートのステップSA5のエンジン自動停止時空調制御の後、ステップSA6の判定が行われ、ステップSA6においてYESと判定されてエンジンの自動停止が継続して許可されている場合には、エンジン自動停止時空調制御が繰り返し行われる。
ステップSA6においてNOと判定されてエンジンの自動停止が許可されていない場合には、ステップSA7に進み、エンジンを再始動する。ステップSA7でエンジンを再始動した後、ステップSA8に進む。ステップSA8では、図7に示すフローチャートのステップSC6(図6に示すフローチャートのステップSB5と同じ制御内容)で設定されたコンプレッサOFF温度Tof(℃)が蓄冷剤の融解点よりも高いか否かを判定する。ステップSA8においてNOと判定されてコンプレッサOFF温度Tof(℃)が蓄冷剤の融解点以下の場合には、ステップSA3に進み、上述した通常空調制御を行う。この場合、通常空調制御では、コンプレッサOFF温度Tof(℃)が蓄冷剤の融解点以下であるため、蓄冷剤が融解点以下まで冷却可能となる。よって、エンジン再始動後において蓄冷剤に蓄えられる冷熱の量を多くすることができる。
ステップSA8においてYESと判定されてコンプレッサOFF温度Tof(℃)が蓄冷剤の融解点よりも高い場合には、ステップSA9に進む。ステップSA9では、所定時間T1の間に、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数が所定回数X1以上であるか否かを判定する。エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数は、図7に示すフローチャートのステップSC3でカウントした回数に基づいて得ることができ、所定時間T1内の累積回数である。
所定時間T1は例えば5分〜10分程度に設定することができる。また、所定回数X1は例えば2〜3回に設定することができる。これにより、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった頻度、即ち、空気をエバポレータ35に流し、かつ、ヒータコア43に流さないようにする状態となった頻度を検出することができる。
所定時間T1の間に、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数が所定回数X1以上であるということは、5分から10分程度の短い時間に、頻繁に車速が0になってコンプレッサ36が停止し、冷房を維持するためにエアミックスドア46がMAX COLD状態に2〜3回なったということである。従って、ステップSA9では自動車の走行状態が渋滞中であるか否かを推定することができる推定手段を構成できる。
ステップSA9でNOと判定されて所定時間T1の間に、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数が所定回数X1よりも少ない場合にはステップSA3に進み、上述した通常空調制御を行う。
ステップSA9でNOと判定されたということは、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった頻度が少ないということであり、自動車の走行状態が渋滞中でないと推定される。渋滞中でなければエンジンの自動停止の頻度が減ってコンプレッサ36の停止頻度も減るので、蓄冷剤に十分な量の冷熱を蓄えることができる。よって、通常空調制御でも燃費の向上と乗員の快適性を高い次元で実現できる。
一方、ステップSA9でYESと判定されて所定時間T1の間に、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった回数が所定回数X1以上の場合には、ステップSA10に進む。ステップSA9でYESと判定されたということは、エアミックスドア46がMAX COLD状態になった頻度が高く、自動車の走行状態が渋滞中であると推定される。この場合には、ステップSA10で、コンプレッサOFF温度Tof(℃)を蓄冷剤の融解点以下の温度Tof1(℃)に設定する。Tof1(℃)は、蓄冷剤の融解点以下であれば任意の温度に設定することができるが、例えば図5のタイムチャートにあるように5℃に設定してもよい。Tof1(℃)は、例えば、日射量や外気温度によって変化させてもよい。
そして、ステップSA11に進んで蓄冷空調制御を行う。蓄冷空調制御は、図8に示すフローチャートに従って行われる。図8のフローチャートのステップSD1、SD2、SD3、SD4は、それぞれ図6に示すフローチャートのSB1、SB2、SB3、SB4と同じである。
ステップSD5ではコンプレッサ制御が行われる。図6に示すフローチャートのSB5の制御内容と基本的には同じであるが、エバセンサ37による検出温度が蓄冷剤の融解点よりも低い温度であるTof1(℃)になったときに、コンプレッサOFF信号が出力される。つまり、エアコン制御ユニット2は、エンジン再始動後、冷房要求度推定部2aによる冷房要求度の推定結果に関わらず、コンプレッサOFF温度を蓄冷剤の融解点以下に設定する制御を行う。
これにより、エバセンサ37から出力される温度が蓄冷剤の融解点よりも低いTof1(℃)になるまでコンプレッサ36が作動するので、蓄冷剤は融解点以下の温度になるまで冷熱を蓄える。よって、蓄冷剤に蓄えられる冷熱の量が十分に多くなる。
その後、図4に示すフローチャートのステップSA12に進む。ステップSA12では、ステップSA10でコンプレッサOFF温度Tof(℃)を蓄冷剤の融解点以下の温度Tof1(℃)に設定してから経過した時間が所定時間T2を超えたか否かを判定し、所定時間T2を超えた場合にはステップSA3に進む一方、所定時間T2を超えない場合にはステップSA11の蓄冷空調制御を繰り返して行う。
ステップSA12の所定時間T2は、図5のタイムチャートではn秒間としており、この秒数は固定された値にすることもできるし、例えば日射量や外気温度等によって任意に変更することもできる。例えば日射量が多いほど所定時間T2を長くすることや、外気温度が高いほど所定時間T2を長くすることが可能である。反対に、日射量が少ないほど所定時間T2を短くすることや、外気温度が低いほど所定時間T2を短くすることが可能である。つまり、冷房時における空調負荷が大きいほど所定時間T2を長くするのが好ましい。
所定時間T2は、所定時間T1よりも短い時間が好ましく、例えば30秒から1分程度に設定することができる。すなわち、コンプレッサOFF温度Tof(℃)を蓄冷剤の融解点以下の温度Tof1(℃)に設定して図6のフローチャートのコンプレッサ制御を行うことで、蓄冷剤に蓄えられる冷熱の量を多くすることができる反面、燃費については不利になることが考えられるが、この実施形態では、所定時間T2の間だけ、コンプレッサOFF温度Tof(℃)を温度Tof1(℃)に設定して図6のフローチャートのコンプレッサ制御を行い、その後は、ステップSA3に進んで通常空調制御を行うようにしているので、燃費が不利になるのは所定時間T2の間だけで済む。
以上説明したように、この実施形態に係る車両の制御装置100によれば、基本的に、エバセンサ37で検出された温度がコンプレッサ36のON温度以上になったときにコンプレッサ36が作動し始めるので、低温の冷媒がエバポレータ35に供給されるとともに、その冷媒の冷熱が蓄冷剤に蓄えられる。そして、エバセンサ37で検出された温度がコンプレッサOFF温度Tof(℃)に達したらコンプレッサ36が停止する。蓄冷剤に冷熱が蓄えられているので、エンジンが自動停止しても冷熱を放出することで車室内の冷房を行うことが可能になる。
また、冷房要求度推定部2aにより車室内の冷房の冷房要求度合いが低いと推定されるときには、冷房要求度合いが高いと推定されるときに比べて、コンプレッサ36を停止させる際の温度、即ちコンプレッサOFF温度Tof(℃)が高くなるので、コンプレッサ36の作動時間が短くなる。これにより、エンジンにかかる負荷が軽減される。このとき、コンプレッサ36を停止させる際の温度が蓄冷剤の融解点よりも高まるので、コンプレッサ36の作動時間をより一層短くすることが可能になる。
そして、自動停止していたエンジンが再始動したら、冷房要求度推定部2aにより推定された冷房要求度に関わらず、コンプレッサ36を停止させる際の温度を蓄冷剤の融解点以下にすることができる。エンジンが再始動した直後は、それまでコンプレッサ36も停止していたので、蓄冷剤に蓄えられる冷熱の量が大きく低下していて、蓄冷が必要な状況にあると考えられるが、この場合に、コンプレッサ36を停止させる際の温度を蓄冷剤の融解点以下にすることで、十分な量の冷熱が蓄冷剤に蓄えられることになり、その後、エンジンが自動停止しても車室内の冷房を行うことが可能になる。コンプレッサ36を停止させる際の温度を蓄冷剤の融解点以下にする期間は、ステップSA12の所定時間T2だけであるため、所定時間T2経過後は、上述したように、車室内の冷房の冷房要求度合いが低いと推定されるときにはコンプレッサOFF温度Tof(℃)が高くなり、よって、全体としてコンプレッサ36の作動時間が短くなり、エンジンにかかる負荷が軽減される。したがって、蓄冷が必要な状況では蓄冷剤に十分に冷熱を蓄えることができるようにして蓄冷剤を設けたことによる効果を高めることができるとともに、エンジンの自動停止時間を長時間化して燃費を向上させることができる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。