JP6508080B2 - キャンロールと長尺体の処理装置および処理方法 - Google Patents

キャンロールと長尺体の処理装置および処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、長尺耐熱性樹脂フィルム等の長尺体を真空チャンバー内で搬送しながら連続してスパッタリング等熱負荷の掛かる処理を行う装置に適用されるキャンロールと、キャンロールを備えた処理装置および処理方法の改良に関するものである。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、フレキシブル配線基板が用いられている。フレキシブル配線基板は、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムから作製される。近年、フレキシブル配線基板に形成される配線パターンはますます微細化、高密度化しており、金属膜付耐熱性樹脂フィルム自体が皺等のない平滑なものであることがより一層重要になってきている。
この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造方法としては、接着剤により金属箔を耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法と称される)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法と称される)、乾式めっき法(真空成膜法)若しくは乾式めっき法(真空成膜法)と湿式めっき法との組み合わせにより耐熱性樹脂フィルムに金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法と称される)等が従来から知られている。また、メタライジング法における上記乾式めっき法(真空成膜法)には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
上記メタライジング法として、特許文献1には、ポリイミド絶縁層上にクロムをスパッタリングした後、銅をスパッタリングしてポリイミド絶縁層上に導体層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、ポリイミドフィルム上に、銅ニッケル合金をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第一の金属薄膜と、銅をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第二の金属薄膜の順に積層して形成されたフレキシブル回路基板用材料が開示されている。尚、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムに真空成膜を行う場合、スパッタリングウェブコータを用いることが一般的である。
ところで、上述した真空成膜法において、一般にスパッタリング法は密着力に優れる反面、真空蒸着法に較べて耐熱性樹脂フィルムに与える熱負荷が大きいといわれている。そして、成膜の際に耐熱性樹脂フィルムに大きな熱負荷が掛かるとフィルムに皺が発生し易くなることも知られている。この皺の発生を防ぐため、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置であるスパッタリングウェブコータでは、搬送される耐熱性樹脂フィルムをキャンロールにロールツーロールで巻き付けることによって、成膜中の耐熱性樹脂フィルムを裏面側から冷却する方式が採用されている。
特許文献3には、スパッタリングウェブコータの一例である巻出巻取式(ロールツーロール方式)の真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式の真空スパッタリング装置には上記キャンロールの役割を担うクーリングロールが具備されており、更にクーリングロールの少なくともフィルム搬入側若しくは搬出側に設けたサブロールによってフィルムをクーリングロールに密着する制御が行われている。
しかし、非特許文献1に記載されているように、キャンロールの外周面はミクロ的に見て平坦ではないため、キャンロールとその外周面に接触して搬送される耐熱性樹脂フィルムとの間には真空空間を介して離間する隙間(ギャップ部)が存在している。このため、スパッタリング等成膜の際に生じる耐熱性樹脂フィルムの熱はキャンロールに効率よく伝熱されているとはいえず、これがフィルムの皺発生の原因となっていた。
そこで、上記キャンロール外周面とフィルムとの間のギャップ部にキャンロール側からガスを導入し、ギャップ部の熱伝導率を真空に較べて高くする技術が提案されている。
尚、非特許文献2によれば、上記ギャップ部に導入するガスがアルゴンガスでかつ導入するガス圧力が500Paの場合、キャンロール外周面と耐熱性樹脂フィルムとのギャップ部の距離が約40μm以下の分子流領域のとき、ギャップ部の熱コンダクタンスは250(W/m2・K)であるとされる。
そして、上記ギャップ部にキャンロール側からガスを導入する具体的な方法として、特許文献4には、キャンロール外周面にガスの放出口となる多数の微細孔を設ける技術が開示され、また、キャンロール自体を多孔質体で構成しその多孔質体自身の微細孔をガス放出口とする方法も知られている。
キャンロール外周面にガスの放出口となる微細孔を設ける上記方法において、キャンロール外周面にフィルムが巻き付けられていない領域はフィルムが巻き付けられている領域に較べてガス放出口での抵抗が低くなるため、キャンロールに供給されるガスの大半がフィルムの巻き付けられていない領域のガス放出口から真空チャンバー空間へ放出されてしまう。この結果、キャンロール外周面とそこに巻き付けられているフィルムとの間のギャップ部に、本来、導入されるべき量のガスが供給されなくなって、上述した熱伝導率を高める効果が得られなくなることがあった。
この問題に対し、キャンロールの外周面から出没するバルブをガス放出口に設け、このバルブをフィルム面で押さえつけることによってガス放出口を開放する方法(特許文献5参照)や、上記キャンロール外周面の内、フィルムが搬出される搬出部を始点としフィルムが搬入される搬入部を終点とするフィルムが巻き付けられない領域(すなわち、キャンロール外周面にフィルムが接触しない非接触領域)にカバーを取り付け、非接触領域から真空チャンバー空間へガスが放出されるのを防止してキャンロール外周面とフィルム表面とのギャップ部に良好にガスを導入させる方法(特許文献6参照)等が提案されている。
しかし、キャンロール外周面から出没するバルブをフィルム面で押さえつけてガス放出口を開放させる特許文献5の方法は、バルブの接触によりフィルム面に僅かなキズや凹みを生じさせる恐れがあり、高い品質が要求される電子機器を用途とするフレキシブル配線基板の製造に採用することは難しかった。また、キャンロール外周面の内、フィルムが接触しない非接触領域にカバーを取り付ける特許文献6の方法は、高い真空度で成膜を行う処理装置においてカバーとキャンロール外周面との隙間からガスが漏れ易く、特許文献5の方法と同様、採用が困難であった。
そこでこの問題に対応するため、特許文献7には、フィルムが巻き付けられていないキャンロール外周面(すなわち、キャンロール外周面にフィルムが接触する角度範囲外におけるキャンロール外周面)へガスを供給しないガス導入機構(ガス供給制御手段)を設けることにより上記非接触領域からのガス放出を防止したキャンロール構造体が開示されている。
一方、フィルムに皺が生じる原因については、キャンロール外周面の上記平坦状態による原因以外に、フィルムに対してその長さ方向へ向け張力が印加された場合においてもフィルム中央部に皺が発生する。すなわち、図5(A)に示すようにフィルムに対してその長さ方向へ向け張力が印加されていない場合(張力開放状態)にはフィルムに弛みがなく平坦状であるが、フィルムに対してその長さ方向へ向け張力が印加されている場合(張力印加状態)には、図5(B)〜(C)に示すようにフィルム全体が伸びてフィルムの中央部に皺が発生する状態となる。
このため、フィルムに対してその長さ方向へ向け張力(搬送張力)が印加されると、図6に示すようにロール間に「トラフ皺」が発生し、このままの状態でキャンロール外周面にフィルムが巻き付くとフィルム中央部の張力は両端部より低くなり、フィルム中央部の抗力(=フィルム張力/キャンロール半径)が低下する。そして、フィルム中央部とキャンロール外周面とのギャップ部にガスが導入された場合、フィルム中央部の抗力が低下することからフィルム中央部とキャンロール外周面間の距離が広がり、上述した分子流領域のギャップ間距離を超えて熱伝導率が下がってしまい、かつ、ギャップ部からガスが抜け易くなり熱伝導率が更に下がり、図6に示すようにフィルム中央部において皺が発生する問題が存在した。
このような技術的背景の下、特許文献8には、上記ガス導入機構(ガス供給制御手段)が設けられた特許文献7に記載のキャンロールを改良し、ロール外周面をクラウン型形状(ロールの外径が回転軸方向中央部で最も長くかつ中央部から両端部に向けて次第に短くなる形状)に加工してフィルム中央部に皺が生じないようにしたキャンロールを開示している。
そして、クラウン型形状(ロールの外径が回転軸方向中央部で最も長くかつ中央部から両端部に向けて次第に短くなる形状)のキャンロールは、真空中において耐熱性樹脂フィルムとロールのグリップ力が強くかつフィルムの搬送速度が遅いときにフィルムの幅方向へ向けフィルムを引き延ばす作用を有するためフィルム中央部とキャンロール外周面間の距離が広がり難くなり、これにより上記ギャップ部間のガス圧が略一定に制御されてキャンロール外周面と耐熱性樹脂フィルムとのギャップ部全体において熱コンダクタンスが均一になり、耐熱性樹脂フィルムの温度を均一に維持して耐熱性樹脂フィルム等に発生するフィルム皺が防止されるとされていた。
特開平02−098994号公報 特開平06−097616号公報 特開昭62−247073号公報 国際公開第2005/001157号パンフレット 米国特許第3414048号明細書 国際公開第2002/070778号パンフレット 特開2012−132081号公報 特開2012−144798号公報 特開平06−017250号公報
"Vacuum Heat Transfer Models for Web Substrates: Review of Theory and Experimental Heat Transfer Data", 2000 Society of Vacuum Coaters, 43rd Annual Technical Conference Proceeding, Denver, April 15-20, 2000, p.335 "Improvement of Web Condition by the Deposition Drum Design", 2000 Society of Vacuum Coaters, 50thAnnual Technical Conference Proceeding (2007), p.749 "The Mechanics of Web Handling", David R. Roisum, Ph. D, TAPPI PRESS, (1998) p.83-84
ところで、クラウン型キャンロールにおける上記フィルムへの引き伸ばし作用は、真空中において耐熱性樹脂フィルムとロールのグリップ力が強くかつフィルムの搬送速度が遅いときには確かに有効であった。
しかし、キャンロール外周面と耐熱性樹脂フィルム間の上記ギャップ部にガスが導入されるクラウン型キャンロールにおいては、導入したガスが原因となって耐熱性樹脂フィルムとキャンロール周辺の雰囲気は必ずしも真空状態になっておらず、更に、スパッタリング等の成膜効率を高めるためにフィルムの搬送速度が速められた場合、クラウン型キャンロールのフィルムに対する上記引き伸ばし作用は必ずしも十分でなかった。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、フィルムの搬送速度を高めた場合でもフィルム皺の発生を十分に防止可能なキャンロールを提供し、併せてこのキャンロールを備えた処理装置および処理方法を提供することにある。
この課題を解決するため、本発明者は、大気中において耐熱性樹脂フィルムとロールのグリップ力が弱くかつフィルムの搬送速度が速いときにフィルムに対する引き伸ばし作用を有効に発揮する逆クラウン型形状(ロールの外径が回転軸方向中央部で最も短くかつ中央部から両端部に向けて次第に長くなる形状)のキャンロールの適用を試みた。
すなわち、真空中において上記引き伸ばし作用を発揮するクラウン型形状のキャンロールに代えて、特許文献9および非特許文献3に記載された逆クラウン型形状のキャンロールを適用した場合、図1に示すように外径の長い(大きい)キャンロール1端部において耐熱性樹脂フィルム2の速度が高く(速く)なり、この結果、耐熱性樹脂フィルム2がキャンロール1両端側に引き伸ばされて耐熱性樹脂フィルム2とキャンロール1の上記ギャップ部における抗力を略一定に制御できかつギャップ部間のガス圧力も略一定に制御できるため、ギャップ部全体において熱コンダクタンスを均一に揃えることができる効果が予測されるからである。
そこで、クラウン型キャンロールに代えて逆クラウン型キャンロールを適用しかつその効果を調べたところ、クラウン型キャンロールが適用された場合と比較して、フィルム皺の発生をより確実に防止できることが確認されるに至った。本発明はこのような技術的分析と技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
冷媒が循環する冷媒循環路を備え、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺体を外周面に巻き付けて冷却するキャンロールにおいて、
ロールの周方向に沿って略均等な間隔を開けかつ全周に亘り回転軸方向に沿って配設された複数のガス導入路を有し、該ガス導入路の各々はロールの回転軸方向に沿って略均等な間隔で外周面側に開口する複数のガス放出孔を有すると共に、ロールの外径が回転軸方向中央部で最も短くかつ中央部から両端部に向けて次第に長くなる逆クラウン形状の外周面を備え、かつ、上記中央部の外径と両端部の外径との差Yが、中央部と両端部までの距離Xmmに対して式1で示される範囲にあることを特徴とし、
0.05×X/375≦Y≦1.0×X/375 (式1)
第2の発明は、
第1の発明に記載のキャンロールにおいて、
上記ガス導入路のガス供給側に、長尺体がキャンロール外周面に接触する角度範囲外に位置しているガス導入路に対してガスの供給を遮断するガス供給制御手段を備えることを特徴とし、
また、第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のキャンロールにおいて、
上記逆クラウン形状の外周面は外径が略均一の曲率で変化していることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第4の発明は、
真空チャンバーと、該真空チャンバー内においてロールツーロールで長尺体を搬送する搬送機構と、外周面に長尺体を巻き付けて冷却するキャンロールと、キャンロールの外周面に巻き付けられた長尺体に対して熱負荷の掛かる処理を施す処理手段を備えた長尺体の処理装置において、
第1の発明〜第3の発明のいずれかに記載のキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴し、
第5の発明は、
第4の発明に記載の長尺体の処理装置において、
熱負荷の掛かる上記処理が、プラズマ処理、イオンビーム処理、真空成膜処理の少なくともいずれか1種であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る第6の発明は、
真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺体をキャンロールの外周面に巻き付けると共に、キャンロールに巻き付けられた長尺体に対し熱負荷の掛かる処理を施す長尺体の処理方法において、
第1の発明〜第3の発明のいずれかに記載のキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴とし、
第7の発明は、
第6の発明に記載の長尺体の処理方法において、
熱負荷の掛かる上記処理が、プラズマ処理、イオンビーム処理、真空成膜処理の少なくともいずれか1種であることを特徴とするものである。
本発明によれば、キャンロール外周面と耐熱性樹脂フィルム等長尺体との間にガスを導入して両者のギャップ間隔を略一定に維持することができるため、キャンロール外周面と長尺体とのギャップ部全体において熱コンダクタンスが均一になり、熱負荷の掛かる処理を施した際に耐熱性樹脂フィルム等長尺体の温度が均一に維持されてフィルム皺の発生を防止することができる。
従って、本発明に係るキャンロール、長尺体の処理装置および処理方法を用いることにより、金属膜をスパッタリング等で成膜する際、長尺体に対し負荷された熱を効率よくキャンロールへ伝導できるため、フィルム皺のない高品質の金属膜付耐熱性樹脂フィルムを高い歩留まりで作製し、液晶テレビ、携帯電話等のフレキシブル配線基板に適用できる効果を有する。
本発明に係るキャンロールの長尺体(耐熱性樹脂フィルム)に対する引き伸ばし作用を示す説明図。 本発明に係るキャンロールの概略構成断面図。 本発明に係るキャンロールが具備するロータリージョイントの概略分解斜視図。 本発明に係る長尺体の真空成膜装置(処理装置)の概略構成を示す説明図。 図5(A)は長尺体(耐熱性樹脂フィルム)に対してその長さ方向へ向け張力が印加されていない(張力開放状態)場合の長尺体表面を示す平面図、図5(B)は長尺体に対してその長さ方向へ向け張力が印加(張力印加状態)された場合に生じる長尺体の「フィルム皺」を示す平面図、図5(C)は図5(B)のA−A’面断面図。 従来例に係るキャンロールを適用した場合にフィルム中央部に皺が発生する弊害を示す説明図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて具体的に説明する。
(1)長尺体の処理装置(スパッタリングウェブコータ)
まず、処理装置の一例である長尺体の真空成膜装置について説明する。
尚、長尺体には、一例として長尺耐熱性樹脂フィルムを用いる場合について説明する。
また、長尺体に対して施される熱負荷の掛かる処理としてスパッタリング処理を例にとって説明する。
図4に示す長尺体の真空成膜装置(処理装置)はスパッタリングウェブコータと称される装置であり、ロールツーロールで搬送される長尺耐熱樹脂フィルム(以下、長尺樹脂フィルムと略称する)表面に連続的に効率よく成膜処理を施す場合に用いられる。
具体的に説明すると、ロールツーロールで搬送される長尺樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50は、真空チャンバー51内において巻出ロール52から巻き出された長尺樹脂フィルムFをモータでキャンロール56に巻き付けて搬送させながら、所定の成膜処理を行った後、巻取ロール64で巻き取るようになっている。巻出ロール52から巻取ロール64までの搬送経路の途中に配置されたキャンロール56はモータで回転駆動され、キャンロール56の内部には温調された冷媒が循環している。
この成膜装置50では、スパッタリング成膜に際して、真空チャンバー51内を到達圧力10-4Pa程度まで減圧した後、スパッタリングガスの導入により0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素等のガスが添加される。真空チャンバー51の形状や材質については、減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。上記真空チャンバー51内の減圧状態を維持するため、真空チャンバー51には図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されている。
巻出ロール52からキャンロール56までの搬送経路には、長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール53と、長尺樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール54が配置されている。また、張力センサロール54から送り出されてキャンロール56に向かう長尺樹脂フィルムFは、キャンロール56の近傍に設けられたモータ駆動のフィードロール55によってキャンロール56の張力調整が行われ、これによりキャンロール56の外周面に長尺樹脂フィルムFを密着させて搬送することができる。
キャンロール56から巻取ロール64までの搬送経路にも、上記と同様、キャンロール56の周速度に対する調整を行うモータ駆動のフィードロール61、長尺樹脂フィルムFの張力測定を行う張力センサロール62および長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。
上記巻出ロール52および巻取ロール64では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって、長尺樹脂フィルムFの張力バランスが保たれている。また、キャンロール56の回転と、これに連動して回転するモータ駆動のフィードロール55、61により、巻出ロール52から長尺樹脂フィルムFが巻き出されて巻取ロール64に巻き取られるようになっている。
キャンロール56の近傍には、長尺樹脂フィルムFがキャンロール56の外周面上に巻き付けられる搬送経路(すなわち、図4の角度範囲A:キャンロール56の外周面のうち長尺樹脂フィルムFが接触する領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60が設けられている。
金属膜のスパッタリング成膜の場合には、図4に示すように板状のターゲットを使用することができるが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合には、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。
また、図4の長尺樹脂フィルムFの成膜装置50は、熱負荷の掛かる処理としてスパッタリング処理を想定したものであるため、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60が図示されているが、熱負荷の掛かる処理が蒸着処理等の他のものである場合は、板状ターゲットに代えて他の真空成膜手段が設けられる。尚、他の熱負荷の掛かる真空成膜処理として、CVD(化学蒸着)、真空蒸着等を用いることができる。
(2)ガス放出機構を有する逆クラウン型キャンロール
上記成膜装置等の長尺樹脂フィルムの処理装置で使用する本発明に係るキャンロールは、図2に示すようにロールの周方向に沿って略均等な間隔を開けかつ全周に亘り回転軸112、117の方向に沿って配設された複数のガス導入路113を有し、これ等ガス導入路113の各々はキャンロールの回転軸112、117の方向に沿って略均等な間隔で外周面側に開口する複数のガス放出孔114を有している。
更に、本発明に係るキャンロールでは、キャンロール外周面118の形状が逆クラウン型形状になっている。すなわち、キャンロールの外径が回転軸112、117方向中央部で最も短く(細く)、かつ、上記中央部から両端部に向けて次第に長く(太く)なっている。このような逆クラウン型形状のキャンロールは、公知の切削研磨加工により作製することができる。また、キャンロールを逆クラウン型形状とする加工は、ガス放出孔の穿設前でも穿設後でも適宜選択可能である。
上記逆クラウン型形状のキャンロール外周面118が長尺樹脂フィルムFの巻き付く搬送経路となる。外周面118の内面側には、冷却水等の冷媒が流通する冷却循環部110が形成されている。冷媒は装置外部に設けられた冷媒冷却装置(図示せず)と冷却水循環部110との間を循環できるようになっており、これによりキャンロールの温度調節が可能となっている。このような構造をジャケットロール構造と称している。また、キャンロールの回転軸112は冷却循環部110の二重冷却配管構造になっており、その内側配管が冷媒の導入管および外側配管が排出管となって、冷却水等の冷媒が循環している。
また、逆クラウン型形状のキャンロール外周面118には、ロールの周方向に沿って略均等な間隔を開けかつ全周に亘り回転軸112、117の方向に沿って複数のガス導入路113が配設されている。これ等のガス導入路113には、それぞれキャンロールの回転軸112、117方向に沿って略均等な間隔で逆クラウン形状をなす外周面118側に開口する複数のガス放出孔114が穿設されている。これ等のガス導入路113とガス放出孔114により、キャンロールの外周面118に巻き付けられる長尺樹脂フィルムFとの間のギャップ部(間隙)にガスを導入することができる。
これ等ガス導入路113の本数や各ガス導入路113が有するガス放出孔114の個数は、キャンロールの外周面118のうち長尺樹脂フィルムFが巻き付けられる領域の面積、長尺樹脂フィルムFの張力やガスの放出量等に応じて適宜定めることができる。各ガス放出孔114の直径は、キャンロール外周面118と長尺樹脂フィルムFとの間に形成されるギャップ部(隙間)に良好にガスを導入できる大きさであれば特に限定されない。しかし、ガス放出孔114の直径が1000μmを越えると付近の冷却効率が低下する原因となるため、一般的には30〜1000μm程度の直径が好ましい。
また、逆クラウン型形状のキャンロール外周面118側に開口するように各ガス導入路113に設ける複数のガス放出孔114については小さな直径を有するガス放出孔114を狭ピッチにして多数は配置することがキャンロール外周面118の全面に亘って熱伝導性を均一化できるという点において好ましい。しかし、小さな直径のガス放出孔114を狭ピッチで多数設ける加工技術は困難を伴うので、現実的には直径が150〜500μm程度のガス放出孔12を5〜10mmのピッチで配置することがより好ましい。
ところで、キャンロール外周面の逆クラウン形状については、ロールの両端部よりも中央部が細くなり過ぎる(ロール外径の中央部と端部との差が大きくなり過ぎる)と、長尺樹脂フィルムの端部に無理な力が作用してスリ傷の原因になり、あるいは、フィルム走行が蛇行する原因となる。逆に、ロールの両端部と中央部の太さが接近し過ぎる(ロール外径の中央部と端部との差が小さくなり過ぎる)と、従来の円筒型キャンロールの外周面形状に近くなるため、本発明の効果がほとんど得られなくなる。
このため、本発明に係る逆クラウン型キャンロールについては、キャンロールの中央部の外径と両端部の外径との差Yが、中央部と両端部までの距離Xmmに対して下記数式1で示される範囲にあることが必要となる。
0.05×X/375≦Y≦1.0×X/375 (式1)
例えば、キャンロール片方の端部から他方の端部までの長さ、すなわち回転軸方向の長さが750mmであれば、その中央部から各端部までの距離は375mmであるから、上記数式1からキャンロール端部と中央部の外径の差Yは0.05〜1mmの範囲となる。
そして、このような外径の差Yで中央部が両端部より細くなるような曲率であれば、長尺樹脂フィルムとキャンロール外周面とのギャップ間隔は略均一になるからである。
また、フィルムに対する逆クラウン型キャンロールの引き伸ばし効果を検証するため、逆クラウン型キャンロールを製作することは容易ではない。そこで、フィルム端部が接触するキャンロール表面に耐熱性樹脂フィルムや金属箔等を巻き付けたり張り付けたりして代用することができ、一般的に「テープカラーロール」と呼ばれている。
尚、図2中、符号111と符号116はベアリング、符号120は内筒部、符号121はガス導入溝、符号123は側板をそれぞれ示している。
(3)ガス供給制御手段
複数のガス導入路113に供給するガスは、ガス供給源(図示せず)からパイプ等を経て複数のガス分配管122により各ガス導入路113に供給される。
各ガス導入路113のガス供給側には、回転しているキャンロール56(図4参照)の外周面に長尺樹脂フィルムFが接触する角度範囲A(図4参照)以外、すなわち、角度範囲B(図4参照)の内側に位置しているガス導入路113に対してガスの供給を遮断するガス供給制御手段を備えることが好ましい。
このような角度範囲B内のガス導入路113へのガスの供給を遮断するガス供給制御手段としては、邪魔板のような機械的にガス導入路113を閉鎖する手段のほか、電気的または電磁気的に弁等でガス導入路113を閉鎖する手段等がある。
好ましいガス供給制御手段として、図2〜図3に示すガスロータリージョイント115について説明する。ガスロータリージョイント115は、ガス導入側の固定リングユニット115aとガス放出側の回転リングユニット115bとで構成され、その中央開口部にキャンロールの回転軸117が挿入された状態で保持されている。具体的には、固定リングユニット115aは真空チャンバーの底部等に固定され、回転リングユニット115bはキャンロールの側面に固定されてキャンロールと共に回転するようになっている。
このように固定リングユニット115aと回転リングユニット115bは対向して配置され、互いに接した状態で摺動する構造となっている。従って、ガスロータリージョイント115からのガスのリークを防ぐため、固定リングユニット115aと回転リングユニット115bの摺動界面には公知のガスシール手段を配置することが好ましい。
ガス導入側の固定リングユニット115aは、ガス供給源から送られてきたガスのガス導入口119と、ガス導入口119に接続しているガス分配溝124とを備えている。ガス分配溝124はリング状ではなく、図3に示すように上部が欠けた略C型の形状になっている。また、固定リングユニット115a側におけるガス分配溝124のフィルム非ラップ部(図4の角度範囲Bに対応する)には、ガス圧力制御の安定化ガスを流さないようにテフロン(登録商標)パッキンが挿入してある。
一方、回転リングユニット115bは放射状に伸びる複数のガス分配管122を備えており、各ガス分配管122におけるガス導入側の端部はキャンロール外周面118の回転に伴って上記固定リングユニット115aのガス分配溝124に開口するようになっており、ガス放出側の他端はそれぞれキャンロールに設けた複数のガス導入路113に連通している。
尚、ガスロータリージョイントは、上記固定リングユニット115aと回転リングユニット115bが対向して摺動する構造に限定されるものではない。例えば、固定リングユニットの外周に回転リングユニットを設けてもよい。また、ガス導入路の数が非常に多く、それぞれガス分配管を通じてガスロータリージョイントに接続することが困難な場合には、隣接する数本のガス導入路をまとめてから、まとめた数本のガス導入路に接続するガス分配管をそれぞれガスロータリージョイントに接続してもよい。また、ガスロータリージョイントは片側だけでなく両側に取り付けることが望ましい。
(4)ガス放出機構を有する逆クラウン型キャンロールの作用
本発明に係るキャンロールは、外周面が逆クラウン形状であることが最大の特徴である。逆クラウン型キャンロールによる長尺体(フィルム)の幅方向における拡幅効果については下記式2で表すことができる(特許文献9の段落0021参照)。
拡幅長ΔX=(πθ/180)×[√(σ2+2rσ)] (式2)
ここで、θはフィルムラップ部角度(図4の角度範囲Aに対応する)、σは逆クラウン型キャンロール中央部の半径とフィルム端部が接触する位置における逆クラウン型キャンロール半径との差、rは逆クラウン型キャンロールの中央部における半径である。
θを270°、σを(800.05mm−800mm=0.05mm)=50μm、rを400mmとすると、拡幅長ΔXの計算値は30mmになる。
但し、フィルムはキャンロール外周面に完全に密着しているわけではないので、実際にはフィルムの片側が30mmも拡幅される訳ではない。
ところで、上述したようにフィルムに対してその長さ方向へ向け張力が印加されると、図6に示したようにロール間に「トラフ皺」が発生し、このままの状態でキャンロール外周面にフィルムが巻き付くとフィルム中央部の張力は両端部より低くなり、フィルム中央部の抗力(=フィルム張力/キャンロール半径)が低下する。そして、フィルム中央部とキャンロール外周面とのギャップ部にガスが導入された場合、フィルム中央部の抗力が低下することからフィルム中央部とキャンロール外周面間の距離が広がり、上述した分子流領域のギャップ間距離を超えて熱伝導率が下がってしまい、かつ、ギャップ部からガスが抜け易くなり熱伝導率が更に下がり、図6に示したようにフィルム中央部において皺が発生する問題が存在した。
一方、図1〜図2に示すように逆クラウン型形状のキャンロールを採用した場合、フィルム中央部におけるフィルムの幅方向張力が両端部より低くならず、フィルム中央部の抗力(=フィルム張力/キャンロール半径)は低下しない。このため、ガス放出孔からキャンロール外周面とフィルム間のギャップ部にガスが導入された際、フィルムの幅方向中央部におけるギャップ間距離は広がらず、上述した分子流領域のギャップ間距離を超えて熱伝達効率が下がることはなく、更に、このギャップ部からガスが抜け難くなるためギャップ間圧力が低下することもない。従って、熱伝達効率が更に下がることがなくなるため、
スパッタリングの熱負荷に起因したフィルム皺の発生が防止されることになる。
更に、上記ガスロータリージョイントを具備するキャンロールによれば、ガスロータリージョイントにより、キャンロール外周面に長尺樹脂フィルムが接触するフィルムラップ部領域(図4の角度範囲Aに対応する領域)のキャンロール外周面と長尺樹脂フィルムにより形成される隙間(ギャップ部)にガスが放出され、フィルム非ラップ部領域(図4の角度範囲Bに対応する領域)のキャンロール外周面と長尺樹脂フィルムにより形成される隙間(ギャップ部)にガスが放出されることはない。従って、逆クラウン型形状に起因した効果によりフィルム幅方向に亘って抗力を均一に制御でき、かつ、均一な上記抗力に起因した効果によりガス漏れを起こすことなくキャンロール外周面と長尺樹脂フィルムとの間のギャップ部に導入したガスのほとんどを放出できるためギャップ間隔をほぼ一定に維持することが容易になり、キャンロール外周面と長尺樹脂フィルムとの隙間全体における熱伝達効率を均一にすることが可能となる。
尚、上記ギャップ部に放出されガスは真空成膜装置が備える真空ポンプで排気可能である。このため、ギャップ部に導入するガスをスパッタリング雰囲気のガスと同じにすれば、スパッタリング雰囲気を汚染させることもない。
(5)キャンロールを備えた処理装置
本発明に係るキャンロールは、上述の成膜装置(スパッタリングウェブコータ)以外のプラズマ処理やイオンビーム処理にも好適に使用することができる。
すなわち、プラズマ処理やイオンビーム処理は、長尺樹脂フィルムの表面改質を目的として真空チャンバー内の減圧雰囲気下で行われるが、長尺樹脂フィルムに熱負荷が掛かる処理であるためフィルム皺発生の原因となる。
このため、本発明に係るキャンロールを使用すれば、キャンロール外周面と樹脂フィルムとの間のギャップ間隔を略一定に維持することができ、熱コンダクタンスを簡単に均一にすることができるのでフィルム皺の発生をなくすことが可能となる。
尚、プラズマ処理とは、公知のプラズマ処理方法により、例えばアルゴンと酸素の混合ガスまたはアルゴンと窒素の混合ガスからなる減圧雰囲気下において放電を行うことにより、酸素プラズマまたは窒素プラズマを発生させて長尺樹脂フィルムを処理する方法である。また、イオンビーム処理とは、公知のイオンビーム源を用い、強い磁場を印加した磁場ギャップでプラズマ放電を発生させ、プラズマ中の陽イオンを陽極による電解でイオンビームとして照射することにより長尺樹脂フィルムを処理する方法である。
(6)長尺体
本発明に係る長尺体としては、上述した長尺樹脂フィルムに加えて長尺の金属箔や金属ストリップが対象に含まれる。
上記長尺樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂フィルムや、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムが挙げられる。長尺樹脂フィルムとして耐熱性樹脂フィルムを用い、金属膜をスパッタリング等により成膜することで、金属膜付耐熱性樹脂フィルムが得られる。具体的には、金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用いるメタライジング法により、フィルム皺のない金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムを製造することができる。
上記金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルムの表面にNi系合金等からなる膜とCu膜が積層された構造体が例示される。このような構造を有する金属膜付耐熱性樹脂フィルムは、サブトラクティブ法によりフレキシブル配線基板に加工される。ここで、サブトラクティブ法とは、レジストで覆われていない金属膜(例えば、上記Cu膜)をエッチングにより除去してフレキシブル配線基板を製造する方法である。
上記Ni合金等からなる膜はシード層と呼ばれ、Ni−Cr合金またはインコネル、コンズタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができるが、その組成は金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性に応じて選択される。また、金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの金属膜を更に厚くしたい場合は、湿式めっき法を用いて金属膜を形成することがある。尚、電気めっき処理のみで金属膜を形成する場合と、一次めっきとして無電解めっき処理を行い、二次めっきとして電解めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合もある。湿式めっき処理は、常法による湿式めっき法の諸条件を採用すればよい。
また、金属膜付耐熱性樹脂フィルムに用いる耐熱性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等が挙げられる。これ等の耐熱性樹脂フィルムは、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましいものである。
尚、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムとして、長尺耐熱性樹脂フィルムにNi-Cr合金やCu等の金属膜を積層した構造体を例示したが、上記金属膜以外に目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等を用いることも可能である。その場合にも、酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等の成膜に本発明に係るキャンロールおよび成膜装置や成膜方法を用いることができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明に係る技術的事項が以下の実施例に記載された構成に限定されるものではない。
図4に示す金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用いて長尺樹脂フィルム上にシード層であるNi−Cr膜を成膜し、その上にCu膜を成膜した。尚、長尺樹脂フィルムには、幅600mm、長さ800m、厚さ25μmの宇部興産株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「ユーピレックス(登録商標)」を使用した。
[実施例1]
図2に示すキャンロールとして、ロール中央部の高さが両端部よりも0.05mm(=50μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用し、上記長尺樹脂フィルム上にNi−Cr膜とCu膜を積層して成膜した。
このキャンロールは直径800mm、幅750mmのステンレス製で、ロール本体の逆クラウン型形状をなす外周面にハードクロムめっきが施されている。ジャケットロール構造のキャンロールの内部外周面側に直径4mmのガス導入路113を360本形成し、各ガス導入路113には10mm間隔で直径0.2mmのガス放出孔114を47個設けた。但し、樹脂フィルムの両端20mm付近にはガス放出孔は存在しない。
成膜装置のキャンロールに長尺樹脂フィルムを巻き付けて搬送するとき、長尺樹脂フィルムがキャンロールに接触しないフィルム非ラップ部領域(図4の角度範囲Bに対応する領域)は約90°であり、この角度範囲Bに対応するフィルム非ラップ部領域内に存在するガス導入路113は90本になる。従って、ガスロータリージョイント115における固定リングユニット115aのガス分配溝124は、上記フィルム非ラップ部領域の約90°を除き約270°のフィルムラップ部領域(図4の角度範囲Aに対応する領域)にのみ形成した。尚、360本のガス導入路113をガスロータリージョイント115に直接接続するのは困難なため、ガス導入管113を10本ごとにガス集合管に接続した後、そのガス集合管36本をガスロータリージョイント115における固定リングユニット115aに接続した。
上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺樹脂フィルム)にシード層であるNi−Cr膜とCu膜を積層して成膜するため、マグネトロンスパッタターゲットにはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲットにはCuターゲットを使用した。
また、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は5kWとした。更に、巻出ロールと巻取ロールの張力はパラメータ[表1における「600mm幅フィルム張力(N)」欄参照:実施例1は200N]とし、キャンロールは水冷により0℃に制御した。
そして、巻出ロールに上記耐熱性ポリイミドフィルム(長尺樹脂フィルム)をセットし、キャンロールを経由して耐熱性ポリイミドフィルムの先端部を巻取ロールに取り付けた。また、真空チャンバーを複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
次に、耐熱性ポリイミドフィルムの搬送速度を3m/分にした後、各マグネトロンスパッタカソードにアルゴンガスを導入して電力を印加し、キャンロールにはアルゴンガスを1000sccm導入して、Ni−Cr膜およびその上にCu膜の成膜を開始した。
そして、実施例に係る成膜中並びに成膜終了後、「熱負荷に起因するフィルム皺発生の有無」と「フィルムの蛇行あるいはフィルムのスリ傷の有無」を調べたところ、両者共、発生していないことが確認された。
この結果を以下の表1に示すと共に、「キャンロール中央部直径(mm)」「フィルム端部が接触する位置のキャンロール直径(mm)」「前記式2に基づく拡幅効果(フィルムの引き延ばし作用による拡幅効果)の計算値(mm)」「600mm幅フィルム張力(N)」「フィルム張力から求める抗力(Pa)」および「ギャップ間圧力(Pa)」も表1に示す。
尚、上記「ギャップ間圧力(Pa)」はガスロータリージョイント内のガス導入溝に真空計を取り付けて測定した。
[実施例2]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例3]
ロール中央部の高さが両端部よりも0.10mm(=100μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例4]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は実施例3と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例5]
ロール中央部の高さが両端部よりも0.20mm(=200μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例6]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は実施例5と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例7]
ロール中央部の高さが両端部よりも0.50mm(=500μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例8]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は実施例7と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例9]
ロール中央部の高さが両端部よりも1.00mm(=1000μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[実施例10]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は実施例9と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[比較例1]
ロール中央部の高さと両端部の高さが同一である円筒型キャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
そして、成膜中並びに成膜終了後、「熱負荷に起因するフィルム皺発生の有無」を調べたところ「有」の結果が、また、「フィルムの蛇行あるいはフィルムのスリ傷の有無」を調べたところ「無」の結果が確認された。
この結果も以下の表1に示す。
[比較例2]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は比較例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[比較例3]
ロール中央部の高さが両端部よりも2.00mm(=2000μm)小さい逆クラウン型形状のキャンロールを適用した以外は実施例1と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
そして、成膜中並びに成膜終了後、「熱負荷に起因するフィルム皺発生の有無」を調べたところ「無」の結果が、また、「フィルムの蛇行あるいはフィルムのスリ傷の有無」を調べたところ「有」の結果が確認された。
この結果も以下の表1に示す。
[比較例4]
上記パラメータである巻出ロールと巻取ロールの張力を200Nから300Nに変更した以外は比較例3と同様にしてNi−Cr膜とCu膜のスパッタリング成膜を行った。
この結果も以下の表1に示す。
[確 認]
表1に示された結果から、直径800mm程度の逆クラウン型キャンロールが適用された場合、ロール中央部の直径とフィルム端部が接触する位置におけるロール端部の直径差(すなわち、キャンロール直径差)は0.05mm(=50μm)〜1.00mm(=1000μm)の範囲に設定する必要があることが確認された。
そして、ガス放出機構を有する実施例に係る逆クラウン型キャンロールを適用することにより、熱負荷に起因したフィルム皺の発生を防止できかつフィルムの蛇行あるいはフィルムのスリ傷等も回避できることが確認された。
ガス放出機構を有する本発明に係る逆クラウン型キャンロールが適用された場合、スパッタリング成膜等の熱負荷に起因したフィルム皺の発生を防止できるため、液晶テレビ、携帯電話等のフレキシブル配線基板に用いられる銅張積層樹脂フィルム(金属膜付耐熱性樹脂フィルム)の製造装置並びに製造方法として適用される産業上の利用可能性を有している。
1 キャンロール
2 耐熱性樹脂フィルム
F 長尺耐熱性樹脂フィルム(長尺樹脂フィルム)
50 成膜装置(スパッタリングウェブコータ)
51 真空チャンバー
52 巻出ロール
53 フリーロール
54 フィードロール
55 張力センサロール
56 キャンロール
57 マグネトロンスパッタリングカソード
58 マグネトロンスパッタリングカソード
59 マグネトロンスパッタリングカソード
60 マグネトロンスパッタリングカソード
61 フィードロール
62 張力センサロール
63 フリーロール
64 巻取ロール
110 冷却循環部
111 ベアリング
112 回転軸
113 ガス導入路
114 ガス放出孔
115 ガスロータリージョイント
115a 固定リングユニット
115b 回転リングユニット
116 ベアリング
117 回転軸
118 外周面
119 ガス導入口
120 内筒部
121 ガス導入溝
122 ガス分配管
123 側板
124 ガス分配溝

Claims (7)

  1. 冷媒が循環する冷媒循環路を備え、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺体を外周面に巻き付けて冷却するキャンロールにおいて、
    ロールの周方向に沿って略均等な間隔を開けかつ全周に亘り回転軸方向に沿って配設された複数のガス導入路を有し、該ガス導入路の各々はロールの回転軸方向に沿って略均等な間隔で外周面側に開口する複数のガス放出孔を有すると共に、ロールの外径が回転軸方向中央部で最も短くかつ中央部から両端部に向けて次第に長くなる逆クラウン形状の外周面を備え、かつ、上記中央部の外径と両端部の外径との差Yが、中央部と両端部までの距離Xmmに対して式1で示される範囲にあることを特徴とするキャンロール。
    0.05×X/375≦Y≦1.0×X/375 (式1)
  2. 上記ガス導入路のガス供給側に、長尺体がキャンロール外周面に接触する角度範囲外に位置しているガス導入路に対してガスの供給を遮断するガス供給制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のキャンロール。
  3. 上記逆クラウン形状の外周面は外径が略均一の曲率で変化していることを特徴とする、請求項1または2に記載のキャンロール。
  4. 真空チャンバーと、該真空チャンバー内においてロールツーロールで長尺体を搬送する搬送機構と、外周面に長尺体を巻き付けて冷却するキャンロールと、キャンロールの外周面に巻き付けられた長尺体に対して熱負荷の掛かる処理を施す処理手段を備えた長尺体の処理装置において、
    請求項1〜3のいずれかに記載のキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴とする長尺体の処理装置。
  5. 熱負荷の掛かる上記処理が、プラズマ処理、イオンビーム処理、真空成膜処理の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項4に記載の長尺体の処理装置。
  6. 真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺体をキャンロールの外周面に巻き付けると共に、キャンロールに巻き付けられた長尺体に対し熱負荷の掛かる処理を施す長尺体の処理方法において、
    請求項1〜3のいずれかに記載のキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴とする長尺体の処理方法。
  7. 熱負荷の掛かる上記処理が、プラズマ処理、イオンビーム処理、真空成膜処理の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項6に記載の長尺体の処理方法。
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