JP6501075B2 - 樹脂構造体とその構造体を用いた電子部品及び電子機器 - Google Patents

樹脂構造体とその構造体を用いた電子部品及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、発熱体の熱を熱放射により外部へ放熱させる樹脂構造体とその構造体を用いた電子部品及び電子機器に関する。
パワーデバイスや半導体パッケージの小型化・高密度化に伴い、機器の発熱密度が高くなっている。そのため、機器内に搭載された電子部品では、動作保証温度を超えないように、部品個々から発生する熱を効率良く放熱させる技術が必須になっている。
通常、商品の放熱手段として一般的に対流を利用したフィンや熱伝導を利用した熱伝導シートが用いられている。しかしながら、商品の放熱手段として従来の熱対策部材だけでは発熱デバイスの動作保証温度以下に放熱させることが困難となっている。
近年、スペースを確保せず放熱できる手段として、熱放射を利用した放熱塗料が注目されている。その中でも、水系塗料を用いた放熱塗料は、溶剤が水であるため取り扱い性に優れる。
図8は、従来の方法により作成された電子部品の構成を示す断面図である。電子部品は放熱部材57と金属基板9から構成される。放熱部材57は、金属基板51の表面に塗られ、金属基板51の熱を放熱する働きをするものである。放熱部材57は、水系塗料58とフィラー59から構成される。フィラー59は遠赤外線放射率が高く、水系塗料58と混合することで放熱効果に優れた膜が形成できる。
WO2014/175344号公報
しかしながら、上記の放熱部材57の構成では、放熱部材57の内部にフィラー59が存在しており、フィラー59の表面からの熱放射による放熱が阻害されている。その結果、フィラー59を高充填させても放熱部材57からの熱放射の効率は上がらない。
また、扱いが容易な水系塗料58を樹脂として使用しているが、放熱部材57と金属基板51との界面の密着性が十分でない。密着性が十分でない場合、放熱部材57と金属基板51との間で熱抵抗が大きくなるため、放熱性が低減してしまう。その結果、特許文献1の構成では、発熱デバイスの表面温度が200℃以上である場合や、発熱デバイスの発熱面積が大面積である場合など、優れた放熱効果が得られる条件が制約され、放熱性が十分でないと推測される。
本発明は、従来の課題を解決するものであって、高い放熱性を有し、放熱デバイスとの界面の密着性に優れた樹脂構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る樹脂構造体は、基体の上に設けられ、前記基体の熱を外部へ放熱させる樹脂構造体であって、
前記基体の上に設けられ、水系塗料と、平均粒径30μm以上150μm以下のフィラーと、を含む水系塗料層と、
前記水系塗料層の上に設けられ、熱硬化性樹脂を含む樹脂層と、
を含み、
前記フィラーは、遠赤外線放射率0.8以上であり、前記フィラーの重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下であって、
前記フィラーの全数のうち80%以上は、前記フィラーの重心を通る前記長軸が前記水系塗料層の前記水系塗料の厚さと前記樹脂層の前記熱硬化性樹脂の厚さとの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。
本発明に係る樹脂構造体では、フィラーの全数のうち80%以上は、フィラーの重心を通る長軸が水系塗料層の水系塗料の厚さ及び樹脂層の熱硬化性樹脂の厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。つまり、フィラーの全数のうち80%以上が水系塗料層及び樹脂層より外部に突出しているので、高い放熱性が得られる。また、水系塗料層の上にさらに樹脂層を設けているので、突出するフィラーを支持でき、樹脂構造体と発熱デバイスとの界面の密着性を十分に発揮することができる。
また、この樹脂構造体を発熱デバイスに設けることで、発熱デバイスから発生した熱を効率良く空気中に放射させることができる。これによって、発熱デバイスの熱エネルギーを減らし、発熱デバイスの温度上昇を抑制することが可能となる。
この樹脂構造体の上記構造により、電子部品にファンやヒートシンクを設置することなく、優れた昇温抑制効果が得られる。
(a−1)は、実施の形態1に係る樹脂構造体及び電子部品の断面構成を示す断面図であり、(a−2)は、実施の形態2に係る樹脂構造体及び電子部品の断面構成を示す断面図である。 (a)〜(c)は、フィラー8の形状を示す図である。 フィラー8の長軸方向がそろっていない場合の樹脂構造体の断面構成を示す断面図である。 実施の形態1に係る樹脂構造体を作製する際に用いる放熱性評価素子を示す概略図である。 実施例1〜4、比較例1、3〜5における放熱性評価ジグの断面構成を示す断面図である。 比較例2の放熱性評価ジグの断面構成を示す断面図である。 実施の形態1に係る電子機器の構成を示す概略斜視図である。 従来の電子部品の放熱部材の断面構成を示す断面図である。
第1の態様に係る樹脂構造体は、基体の上に設けられ、前記基体の熱を外部へ放熱させる樹脂構造体であって、
前記基体の上に設けられ、水系塗料と、平均粒径30μm以上150μm以下のフィラーと、を含む水系塗料層と、
前記水系塗料層の上に設けられ、熱硬化性樹脂を含む樹脂層と、
を含み、
前記フィラーは、遠赤外線放射率0.8以上であり、前記フィラーの重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下であって、
前記フィラーの全数のうち80%以上は、前記フィラーの重心を通る前記長軸が前記水系塗料層の前記水系塗料の厚さと前記樹脂層の前記熱硬化性樹脂との厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。
第2の態様に係る樹脂構造体は、上記第1の態様において、前記フィラーは、球状、錐体または多面体の形状を有してもよい。
第3の態様に係る樹脂構造体は、上記第1又は第2の態様において、前記フィラーの全数のうち60%以上は、前記長軸の方向が前記基体に垂直な方向に配向していてもよい。
第4の態様に係る樹脂構造体は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記フィラーは、隣接する2つのフィラー間の間隔が前記フィラーの平均粒径以下となるように配置されていてもよい。
第5の態様に係る樹脂構造体は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記フィラーの含有率は、前記水系塗料層の組成中60体積%以上85体積%以下であってもよい。
第6の態様に係る樹脂構造体は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記水系塗料層及び前記樹脂層の合計厚さは、50μm以下であってもよい。
第7の態様に係る樹脂構造体付き電子部品は、前記基体は、電子部品の外面であって、上記第1から第6のいずれかの態様に係る樹脂構造体を、前記電子部品の外面に有する。
第8の態様に係る電子機器は、上記第7の態様に係る電子部品を備えている。
以下、実施の形態に係る樹脂構造体及び電子部品について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
(実施の形態1)
<樹脂構造体>
図1(a−1)は、実施の形態1に係る樹脂構造体1および電子部品2の断面構成を示す断面図である。樹脂構造体1は、発熱デバイス7の上に設けられた水系塗料層3と、水系塗料層3の上に設けられた樹脂層4と、を含む。水系塗料層3は、水系塗料5と、球状のフィラー6と、を含む。この球状のフィラー6は、水系塗料層3に少なくとも一部が存在し、フィラー6の全数のうち80%以上は、フィラー6の重心を通る長軸が水系塗料層3の水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有することを特徴とする。なお、このフィラー6は、遠赤外線放射率0.8以上であり、フィラー6の重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下である。つまり、この樹脂構造体1では、フィラー6が水系塗料層3及び樹脂層4より外部に突出している。
この樹脂構造体1によれば、フィラー6が水系塗料層3及び樹脂層4より外部に突出しているので、高い放熱性を得ることができる。また、水系塗料層3の上にさらに樹脂層4を設けているので、突出するフィラー6を支持できる。そこで、樹脂構造体1と発熱デバイス7との界面の密着性を十分に発揮することができる。
以下に、この樹脂構造体1を構成する構成部材について説明する。
<樹脂層4>
実施の形態1に係る樹脂構造体1に使用される樹脂層4は、樹脂構造体1と発熱デバイス7との界面の密着性を向上させるために水系塗料層3の上部に形成される。また、樹脂構造体1には外部からの機械的刺激(突く、削る、裂く等)が及ぶ場合がある。そのため、樹脂がゴムのような柔らかい場合は、薄い膜が壊れる等の問題が発生するため、強固な硬化物であることが望ましい。したがって樹脂層4は、剛性の高く、熱硬化性である樹脂、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などから選ばれる一種または複数の樹脂が望ましい。特に、液状エポキシ樹脂とイミダゾール硬化系は、薄い膜状の硬化物でも、高い剛性を有しているため、より好ましい。
<水系塗料層>
水系塗料層3は、発熱デバイス7の上に設けられる。なお、発熱デバイス7は、特許請求の範囲における「基体」に対応する。この水系塗料層3は、水系塗料5と、球状のフィラー6とを含む。
<水系塗料5>
実施の形態1において使用され得る水系塗料5は、フィラー6と混合し、硬化物として塗膜を形成させるため、水系塗料の中でも金属との密着性をもつ樹脂を使用することが望ましい。そのため、水系塗料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリシロキサン系、ウレタン系等から選ばれる一種または複数が望ましい。
<水系塗料5とフィラー6との量>
水系塗料5の量は、水系塗料層3の全体の体積に対しての15体積%以上40体積%以下の範囲とすることが好ましい。この時、フィラー6の量は、60体積%以上85体積%以下となる。上記範囲が好ましい理由は以下の通りである。
水系塗料5の量とフィラー6の量との合計を100体積%とした際に、水系塗料5の量が15体積%より少なくなると、フィラー6の量は85体積%より多くなる。この場合には、水系塗料5に対してフィラー6の割合が多くなりすぎて、水系塗料層3中にフィラー6を保持することが困難となる。つまり、取り扱い性が悪くなる。一方、水系塗料5の量が40体積%より多いと、フィラー6の量が60体積%より少なくなる。この場合には、フィラー6が水系塗料層3及び樹脂層4より外部に突出する表面積が小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。そこで、フィラー6の量は、水系塗料層3の全体の体積に対しての60体積%以上85体積%以下が好ましい。
なお、水系塗料5とフィラー6との量的関係については、以下の実施例においてさらに説明する。
<フィラー6>
フィラー6は、例えば、遠赤外線放射率0.8以上で、平均粒径が30μm以上150μm以下の粒子を用いることが好ましい。また、フィラー6の重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下である。その形状は、球状、錐体、多面体等のいずれであってもよい。ここでは、フィラー6として、例えば、球状粒子を例として挙げる。
遠赤外線放射率が0.8以上であるフィラーであれば、フィラー6の組成について特に限定することなく用いることができる。樹脂の遠赤外線放射率は、例えば0.6以上0.8以下である。樹脂構造体1の表面となる樹脂層4とフィラー6では樹脂層4の遠赤外線放射率が大きく影響するため、フィラー6の遠赤外線放射率は0.8以上であることが好ましい。遠赤外線放射率が0.8より小さい場合、樹脂層4の遠赤外線放射率の影響を受け、樹脂層4の外部にフィラー6を突出させても、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8より小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。
球状のフィラー6としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタンなど酸化物系フィラーなどを使用することができる。
なお、フィラー6については、以下の実施例においてさらに説明する。
<フィラー6の粒径>
ここで、フィラー6の粒径とは、使用する全てのフィラー粒径が均一の大きさでなくても、平均粒径が上記の範囲であればよい。
フィラー6の平均粒径が150μmより大きい場合、突出させた状態でのフィラー6の間に大きな隙間ができてしまい、高充填できない。また、塗膜としての密着性が不十分となる。一方、フィラー6の平均粒径が30μmより小さい場合、寸法が小さいため、水系塗料層3の水系塗料5で構成される厚みを制御するのが困難である。そのため、水系塗料層3の形成時の作業性が悪くなる。
<フィラー6のアスペクト比>
フィラー6のアスペクト比は、フィラー6の重心を通る長軸と短軸との比(長軸/短軸)である。なお、フィラー6のアスペクト比は、各フィラーを直方体で近似した場合に、一番長い辺(最大辺:長辺)を一番短い辺(最小辺:短辺)で割った値(長辺/短辺)として求めてもよい。アスペクト比がおよそ1.2より小さい場合、フィラー6の形状は実質的に球状となる。アスペクト比12より大きい場合、同一の長軸長さの場合に突出する短軸長さに対応する表面積が小さくなってしまい、熱放射の効果は小さくなり、放熱性は低下する。
形状については、球状、錐体、多面体等のいずれであってもよい。後述するように、錐体であれば、円錐体、三角錐体、四角錐体、多角錐体を使用することが好ましい。多面体であれば、正四面体、正六面体、正十四面体を使用することが好ましい。
<フィラー6の突出>
フィラー6は、水系塗料層3に少なくとも一部が存在している。フィラー6の一部は発熱デバイス7と接していてもよい。フィラー6が発熱デバイス7と接していることによって、発熱デバイス7からの熱をより効率よく伝達できる。また、フィラー6の全数のうち80%以上は、フィラー6の重心を通る長軸が水系塗料層3の水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。この場合、水系塗料層3の水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さとは、フィラー6を含まない水系塗料5による厚さと熱硬化性樹脂による厚さを意味する。
また、フィラー6は、水系塗料層3と樹脂層4からなる2層を足した合計厚さに対して70%以上外部に突出させることが好ましい。フィラー6の外部への突出が水系塗料層3及び樹脂層4の合計厚さの70%よりも小さい場合、フィラー6が水系塗料層3と樹脂層4からなる2層の外部に突出する表面積が小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。
<フィラー6の整列>
ここで用いるフィラー6は球状であるため、フィラー6の向きは関係なく、隣接するフィラーとフィラーとの間隔がフィラー6の粒径より小さくなるように整列させることが好ましく、球状の場合には錐体や多面体に比べて取り扱い性が良い。
水系塗料層3と樹脂層4との2つの層から突出するフィラー6の数は、フィラー6の全数に対して80%以上であることが好ましい。水系塗料層3と樹脂層4の2つの層から突出するフィラー6の数が個数%で80%より小さい場合には、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8より小さくなり、熱放射が十分でない。
<樹脂構造体の製造方法>
この樹脂構造体は、以下の製造方法によって得られる。
1)平均粒径30μm以上150μm以下のフィラー6と水系塗料5とを、フィラー6が60体積%以上85体積%以下となるように混合して、発熱デバイス7上に塗布して水系塗料層3を形成する。
2)熱硬化性樹脂溶液を水系塗料層3の上に塗布して、樹脂層4を形成する。なお、熱硬化性樹脂溶液は、水系塗料層3の上面にそのまま塗布するのではなく、突出するフィラー6を覆わないように側方から供給してもよい。
以上によって、発熱デバイス7上に樹脂構造体1を形成できる。
<電子部品>
実施の形態1に係る電子部品2は、図1(a−1)に示すように、発熱デバイス7の上に上記樹脂構造体1が設けられている。上述のように上記樹脂構造体1によれば、高い放熱性を有し、樹脂構造体1と発熱デバイス7との界面の密着性を十分に発揮することができる。そこで、高い放熱性を有し、樹脂構造体1と発熱デバイス7との優れた界面の密着性を有する電子部品が得られる。
<電子機器>
図7は、実施の形態1に係る電子機器20の構成を示す概略斜視図である。この電子機器20は、図7に示すように、基板15と、基板15の上に設けられた発熱体14と、基板15及び発熱体14の上に設けられた樹脂構造体1と、全体を覆うタブレット筐体16とを含む。このように、上記樹脂構造体1は、タブレット筐体16の内側で、ファンやヒートシンクを設置することができない小型軽量で薄型のスマートフォンやタブレット端末における発熱体14の放熱用途にも適用できる。
(実施の形態2)
<樹脂構造体>
図1(a−2)は、実施の形態2に係る樹脂構造体1aおよび電子部品2aの構成を示す断面図である。この実施の形態2に係る樹脂構造体1aは、実施の形態1に係る樹脂構造体と対比すると、用いるフィラー8の形状が球状ではなく錐体である点で相違する。この樹脂構造体1aは、樹脂構造体1は、発熱デバイス7の上に設けられた水系塗料層3aと、水系塗料層3aの上に設けられた樹脂層4と、を含む。水系塗料層3aは、水系塗料5と、錐体又は多面体の形状のフィラー8と、を含む。この錐体又は多面体のフィラー8は、水系塗料層3に少なくとも一部が存在し、フィラー6の全数のうち80%以上は、フィラー6の重心を通る長軸が水系塗料層3の水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有することを特徴とする。なお、このフィラー6は、遠赤外線放射率0.8以上であり、フィラー6の重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下である。つまり、この樹脂構造体1では、フィラー6が水系塗料層3及び樹脂層4より外部に突出している。
この樹脂構造体1によれば、フィラー6が水系塗料層3及び樹脂層4より外部に突出しているので、高い放熱性を得ることができる。また、水系塗料層3の上にさらに樹脂層4を設けているので、突出するフィラー6を支持できる。そこで、樹脂構造体1と発熱デバイス7との界面の密着性を十分に発揮することができる。
以下に、この樹脂構造体1aを構成する構成部材について説明する。なお、実質的に実施の形態1と同様の構成である場合にはその説明を省略する。
<樹脂層4>
実施の形態2において使用され得る樹脂層4は、実施の形態1において使用される樹脂層と実質的に同様の構成及び特性を有するのでその説明を省略する。
<水系塗料層>
水系塗料層3aは、発熱デバイス7の上に設けられる。なお、発熱デバイス7は、特許請求の範囲における「基体」に対応する。この水系塗料層3aは、水系塗料5と、錐体又は多面体のフィラー8とを含む。
<水系塗料5>
実施の形態2において使用され得る水系塗料5は、実施の形態1において使用される水系塗料と実質的に同様の構成及び特性を有するのでその説明を省略する。
<水系塗料5とフィラー8の量>
水系塗料5の量は、水系塗料層3aの全体の体積に対しての15体積%以上40体積%以下の範囲とすることが好ましい。この時、フィラー8の量は、60体積%以上85体積%以下となる。上記範囲が好ましい理由は以下の通りである。
水系塗料5の量とフィラー8の量との合計を100体積%とした際に、水系塗料5の量が15体積%より少なくなると、フィラー8の量は85体積%より多くなる。この場合には、水系塗料5に対してフィラー8の割合が多くなりすぎて、水系塗料層3a中にフィラー8を保持することが困難となる。つまり、取り扱い性が悪くなる。一方、水系塗料5の量が40体積%より多いと、フィラー8の量が60体積%より少なくなる。この場合には、フィラー8が水系塗料層3a及び樹脂層4より外部に突出する表面積が小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。そこで、フィラー8の量は、水系塗料層3aの全体の体積に対しての60体積%以上85体積%以下が好ましい。
なお、水系塗料5とフィラー8との量的関係については、以下の実施例においてさらに説明する。
<フィラー8>
フィラー8は、例えば、遠赤外線放射率0.8以上で、平均粒径が30μm以上150μm以下の粒子を用いることが好ましい。また、フィラー8の重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下である。その形状は、球状、錐体、多面体等のいずれであってもよい。ここでは、フィラー8として、例えば、錐体又は多面体の粒子を例として挙げる。
遠赤外線放射率が0.8以上であるフィラーであれば、フィラー8の組成について特に限定することなく用いることができる。樹脂の遠赤外線放射率は、例えば0.6以上0.8以下である。樹脂構造体1の表面となる樹脂層4とフィラー8では樹脂層4の遠赤外線放射率が大きく影響するため、フィラー8の遠赤外線放射率は0.8以上であることが好ましい。遠赤外線放射率が0.8より小さい場合、樹脂層4の遠赤外線放射率の影響を受け、樹脂層4の外部にフィラー8を突出させても、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8より小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。
錐体又は多面体のフィラー8としては、例えば、シリカを主成分としたタルクやカオリン、コージェライトなどの鉱物系フィラーを使用することができる。
<フィラー8の粒径>
ここで、フィラー8の粒径とは、各フィラー8を球状に近似した場合(同一体積の球体)の平均直径(平均粒径)である。
フィラー8の平均粒径が150μmより大きい場合、突出させた状態でのフィラー8の間に大きな隙間ができてしまい、高充填できない。また、塗膜としての密着性が不十分となる。一方、フィラー8の平均粒径が30μmより小さい場合、寸法が小さいため、水系塗料層3aの水系塗料5で構成される厚みを制御するのが困難である。そのため、水系塗料層3aの形成時の作業性が悪くなる。
<フィラー8のアスペクト比>
フィラー8のアスペクト比は、フィラー8の重心を通る長軸と短軸との比(長軸/短軸)である。なお、フィラー8のアスペクト比は、各フィラー8を直方体で近似した場合に、一番長い辺(最大辺:長辺)を一番短い辺(最小辺:短辺)で割った値(長辺/短辺)として求めてもよい。アスペクト比がおよそ1.2より小さい場合、フィラー6の形状は実質的に球状となる。アスペクト比12より大きい場合、同一の長軸長さの場合に突出する短軸長さに対応する表面積が小さくなってしまい、熱放射の効果は小さくなり、放熱性は低下する。
形状については、上記実施の形態1のフィラー6の場合には球状である。この実施の形態2のフィラー8では、錐体又は多面体である。錐体であれば、円錐体、三角錐体、四角錐体、多角錐体を使用することが好ましい。多面体であれば、正四面体、正六面体、正十四面体を使用することが好ましい。
<フィラー8の突出>
フィラー8は、水系塗料層3に少なくとも一部が存在している。フィラー8の一部は発熱デバイス7と接していてもよい。フィラー8が発熱デバイス7と接していることによって、発熱デバイス7からの熱をより効率よく伝達できる。また、フィラー8の全数のうち80%以上は、フィラー8の重心を通る長軸が水系塗料層3aの水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。この場合、水系塗料層3aの水系塗料5の厚さ及び樹脂層4の熱硬化性樹脂の厚さとは、フィラー8を含まない水系塗料5による厚さと熱硬化性樹脂による厚さを意味する。
また、フィラー8は、水系塗料層3aと樹脂層4からなる2層を足した合計厚さに対して70%以上外部に突出させることが好ましい。フィラー8の外部への突出が水系塗料層3a及び樹脂層4の合計厚さの70%よりも小さい場合、フィラー8が水系塗料層3aと樹脂層4からなる2層の外部に突出する表面積が小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。
<フィラー8の整列>
フィラー8を使用する場合、フィラー8の全数のうち60%以上のフィラーの長軸が、同一方向、つまり発熱デバイス7の表面に対する法線方向に沿って配列(配向)されていることが好ましい。フィラー8が錐体の場合には、長軸方向は底面から先端の尖った方向となる。また、隣接するフィラー8間の間隔がフィラー8の平均粒径以下となるように整列させることが好ましい。
図2(a)〜(c)は、各フィラー8の長軸方向を示す概略図である。ここで各フィラーの長軸方向とは、各フィラー8の重心を通る長軸の方向である。なお、長軸は、各フィラー8を直方体で近似した場合の長辺として表してもよい。図2では、長軸方向を、各フィラー8を直方体で近似した場合の長辺方向によって表している。フィラー8が錐体である場合には、例えば、長軸方向は底面から徐々に細くなっていく先端に向かう方向となる。フィラー8の長軸方向は、発熱デバイス7の表面に対して垂直方向に配列(配向)させることが好ましい。
なお、垂直方向に整列(配向)している場合とは、発熱デバイス7の表面についての法線方向に対してフィラー8の長軸方向が±20度以内にある場合をいう。つまり、長軸方向が法線方向を中心として20度傾斜した円錐内にあれば垂直方向に配列(配向)しているといえる。
フィラー8の全数のうち60%未満のフィラー8しか同一方向を向いていない場合、もしくは隣接するフィラー8とフィラー8との間隔がフィラーの平均粒径より大きい場合、図3に示すようにフィラー8が密に配列されず、熱放射としての放熱性が不十分となる。
なお、同一方向に配列させるフィラーの個数%としての60%の根拠は、以下の表1でも説明する。
水系塗料層3a及び樹脂層4から突出するフィラー8の数は、フィラー全体に対して個数%で80%以上であることが好ましい。80%より小さい場合、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8より小さくなり、熱放射が十分でない。
また、フィラー8は、水系塗料層3aの水系塗料5の厚さと樹脂層4の厚さとの合計厚さに対して70%以上外部に突出させることが好ましい。70%よりも小さい場合、フィラー8が水系塗料層3a及び樹脂層4から外部に突出する表面積が小さくなり、熱放射の効率が不十分となる。
<他のフィラー>
なお、水系塗料層3aを作製する際に、フィラー6やフィラー8として使用するフィラー以外に熱伝導性の高いフィラーを水系塗料層3aに含有させることで水系塗料層3aの熱伝導率を上げ、熱伝導性および熱放射性の優れた放熱樹脂を構成してもよい。
以下に、本発明に係る樹脂構造体について、実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例)
表1は、各実施例と比較例における樹脂構造体を構成する水系塗料及びフィラー等の条件及び測定結果として得られた放熱特性を示している。放熱特性では、測定結果と判定内容およびフィラーの整列状態についてまとめている。これらについて、以下に詳細に説明する。
Figure 0006501075
まず、樹脂構造体1の放熱性を評価するために、図4に示す放熱性評価素子10を作製する。放熱性評価素子10は樹脂構造体1と金属基板9とからなる。
<樹脂構造体1>
樹脂構造体1の作製例として、実施例1について説明する。
<水系塗料層の作製>
1)フィラー6として、球状で粒径30μmの酸化マグネシウムを用い、水系塗料5としてエポキシ主剤EPICLON EXA−8150(DIC製)、エポキシ硬化剤WATERSOL S−695(DIC製)、エポキシ触媒BECKAMINE P−198(DIC製)を用いる。上記の材料を表1に示す所定量混合し、フィラー含有率85体積%の混合液を作製する。
2)次に、メタルマスクを用いて、金属基板9に混合液を膜厚10μmで塗布し、160℃20分で硬化させ、水系塗料層3を作製する。
この時、塗布後の水系塗料層3は、溶剤である水が揮発するため、水系塗料層3は膜厚8μmとなる。
<樹脂層の作製>
3)樹脂層4として、熱硬化性樹脂を用いる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ主剤HBE−100(新日本理化製)、エポキシ硬化剤TBN−40(新日本理化製)、硬化促進剤U−CAT 5003(サンアプロ製)を用い、主剤/硬化剤/硬化促進剤がそれぞれ15.6/84.2/0.2(質量%)となるように混合し、熱硬化性樹脂溶液を作製する。
4)ディスペンサーを用いて、水系塗料層3の上部に熱硬化性樹脂溶液を膜厚10μmで塗布する。なお、熱硬化性樹脂溶液は、水系塗料層3の上面にそのまま塗布するのではなく、突出するフィラー6を覆わないように側方から供給してもよい。これによって、熱硬化性樹脂によってフィラー6の表面を覆うことを抑制できる。その後、100℃10分で溶剤を乾燥させた後、150℃1〜2時間で硬化させる。
上記の手順で、金属基板9上に水系塗料層3と樹脂層4が搭載され、以下で使用する放熱性評価素子10が作製される。フィラー6またはフィラー8の底面は、一部、金属基板9の表面に接している。
<放熱性評価治具(ジグ)>
放熱性を評価するために、上記放熱性評価素子10を用いて、図5に示す放熱性評価ジグを作製した。図5は、放熱性評価治具(ジグ)の構成を示す断面図である。放熱性評価ジグは、放熱性評価素子10と、ヒーター11と、熱放射吸収部12とからなる。放熱性評価素子10は、上記方法により金属基板9に樹脂構造体1を塗布し作製したものである。
金属基板9として、60×60×1mm厚みのアルミニウム基板を用意した。放熱性評価素子10の裏面に熱電対埋込式のヒーター11として60×60×10mm厚みのヒーターをシリコーン放熱グリースにより接着させ搭載した。
熱放射吸収部12は、放熱性評価素子10と、水冷ヒートシンク13とからなる。熱放射吸収部12は放熱性評価素子10の裏面に水冷ヒートシンク13として60×60×10mm厚みの水冷ヒートシンクをシリコーン放熱グリースにより接着させ作製した。水冷ヒートシンク13にチラーを装着させ、25℃の水を循環させることにより、熱放射吸収部12は常時25℃一定とした。
(実施例1〜4)
上記<樹脂構造体1>で説明した手順および表1の条件で、放熱性評価素子10、放熱性評価ジグを作製した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と対比すると、樹脂層4を作製せず、水系塗料層3のみを金属基板9に作製する点で相違する。
また、フィラー6として多面体状で粒径1.7μmアスペクト比5のコージェライトを用い、水系塗料5として水系ポリウレタンのバイヒドロールUH2342(バイエル製)を用いた。上記の材料を表1に示す所定量混合し、フィラー含有率13体積%の混合液を作製する。次に、メタルマスクを用いて、金属基板9に混合液を膜厚10μmで塗布し、70℃30分で硬化させ、水系塗料層3を作製する。この時、塗布後の水系塗料層3は溶剤である水が揮発するため、水系塗料層3は膜厚8μmとなる。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と対比すると、樹脂構造体1を作製することなく、金属基板9のみの状態である点で相違する。比較例2に係る金属基板9のみの場合、図5に示す放熱性評価ジグは、図6のようになる。図6は、比較例1の時の放熱性評価ジグの断面図である。放熱性評価ジグは、金属基板9と、ヒーター11と、水冷ヒートシンク13とからなる。図5と同様に部材を使用した。
(比較例3〜6)
比較例3〜6に係る樹脂構造体1の作製は、実施例1と同じ工程によって作製し、図5に示す放熱性評価ジグを作製した。
次に、表1に示す条件から構成される放熱性評価素子の遠赤外線放射率および昇温抑制温度変化の測定を行った。それぞれの評価方法は下記の通りである。
<遠赤外線放射率測定>
比較例2を除く上記の実施例および比較例の工程で得られた放熱性評価素子10に簡易型放射率測定装置(品番:TSS−5X、ジャパンセンサー製)を用いて、各サンプルの遠赤外線放射率を測定する。ここで、遠赤外線放射率は、波長域2〜22μmでの分光遠赤外線放射率を平均化した値である。
サンプルの遠赤外線放射率が0.8以上を満たすものは○、満たさないものは×と判定し、表1に示した。ただし、以下の昇温抑制率が10%以上のものであれば、総合判定として合格とする。
<昇温抑制温度変化測定>
上記の実施例および比較例の工程で得られた放熱性評価素子10を含む図5の放熱性評価ジグを25℃に保った恒温槽に設置し、無風状態で、ヒーター11に電流を流す。
電圧を上げていき、比較例2に示したヒーター11の温度が85℃に達した場合と、比較例2を除くヒーター11の温度との差ΔTを以下の式1で求めた。
ΔT=〔85℃−ヒーター11の温度〕・・・・(式1)
実施例1に示した樹脂構造体1を金属基板9に塗布することで、85℃での昇温抑制の温度差(ΔT)は、13℃となる。
ここで、昇温抑制率を以下の式2によって規定した。
昇温抑制率=(ΔT)÷85℃・・・・(式2)
◎○×の判断基準としては、水系塗料を用いた放熱塗料の多くが昇温抑制率10%前後であるため、昇温抑制率が、10%より小さいものを×、10%以上15%未満を○、15%以上を◎と判定した。
昇温抑制率は、より大きいほうが好ましいが、10%以上を合格範囲とした。また使う用途にもよるが、昇温抑制率が10%より小さい場合は、ペースト塗布等のコストを考慮すると有効な手段とはいえない。
<放熱性の総合判定>
本願発明での放熱性の合格基準として、遠赤外線放射率測定、昇温抑制温度変化測定のそれぞれで、両方○の判定で、総合判定として◎と判定した。両測定の判定のどちらか一方に×がある場合、総合判定として×と判定した。それ以外は総合判定として○と判定した。
<フィラーの整列>
実施例および比較例に係る樹脂構造体1について、フィラー6またはフィラー8が同一方向に整列している割合(%)を表1に示す。ここで同一方向に整列(配向)している割合(%)とは、放熱性評価素子10について断面観察を行った際、断面に存在するフィラー全てのうち金属基板9に対して垂直方向に整列(配向)しているフィラーの個数割合のことである。但し、フィラー6の場合、球状であるため、個数割合は100%とする。
なお、垂直方向に整列(配向)している場合とは、金属基板9の表面についての法線方向に対してフィラーの長軸方向が±20度以内にある場合をいう。実施例および比較例に係る樹脂構造体1について、樹脂層4から外部に突出しているフィラー6またはフィラー8の割合(%)を表1に示す。ここで割合(%)とは放熱性評価素子10について断面観察を行った際、断面に存在するフィラー全てのうち樹脂層4の表面より突出しているフィラー6、8の個数割合と、全てのフィラーの表面積に対して樹脂層4の表面より突出しているフィラーの表面積の割合のことである。
樹脂構造体1の表面でフィラーが整列することで生じる凹凸、つまり、樹脂構造体1の表面積が大きくなることで、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は大きくなる。
<表1の考察>
表1からの結果からも明らかなように、実施例に係る樹脂構造体1は、比較例に係る樹脂構造体よりも遠赤外線放射率が高く、放熱性に優れている。
<フィラー含有量>
実施例1〜4よりフィラー含有量は、60体積%以上85体積%以下がよい。
<フィラー8のアスペクト比>
実施例3〜4と比較例4を比較すると、比較例4で使用したグラファイトは板状のものでありアスペクト比が12より大きくなる。アスペクト比が大きいため、同一の長軸長さの場合に突出する短軸長さに対応する表面積が小さくなってしまい、熱放射の効果は小さくなり、放熱性は低下する。
以上の結果から、フィラー8の平均アスペクト比は1以上12以下がよいことがわかる。
<フィラーの整列>
[突出しているフィラーの割合(個数%)]
実施例1〜4と比較例1を比較すると、実施例1〜4についてはフィラーが80%以上樹脂層4の表面から突出しているのに対し、比較例1では、フィラーは水系塗料層から全く突出しておらず、熱放射性および昇温抑制性ともに不十分となった。
また、実施例1〜4と比較例3を比較すると、実施例1〜4についてはフィラーが80%以上樹脂層4の表面から突出しているのに対し、比較例3では樹脂層から突出するフィラーの個数%が80%未満であるため、樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8未満になり熱放射の効率が不十分となった。
[同方向に整列している割合(%)]
実施例1〜4と比較例3とを比較すると、実施例1〜4については個数%で60%以上のフィラーが同一方向、つまり金属基板の表面に垂直方向を向いていた。これに対して、比較例3では同一方向、つまり金属基板の表面に垂直方向を向いているフィラーが個数%で60%未満であった。このため、比較例3では樹脂構造体1の遠赤外線放射率は0.8未満となり熱放射の効率が不十分となった。
つまり、フィラー8は、個数%で60%以上が同一方向、つまり金属基板の表面に垂直方向を向いていることが好ましい。
[突出しているフィラーの厚さ(水系塗料層3の厚さと樹脂層4の厚さとの合計厚さに対する倍数)]
実施例1〜4と比較例5とを比較すると、実施例1〜4については、水系塗料層3の厚さと樹脂層4の厚さとの合計厚さに対してフィラーの厚さ(フィラーの長軸の長さ)が1.7倍以上である。これによって、フィラーの全数のうち80%以上が水系塗料層及び樹脂層より外部に突出している。これに対して、比較例5では水系塗料層3及び樹脂層4から外部に突出しているフィラーの個数は50%以下であるため、樹脂構造体1の樹脂構造体1の遠赤外線放射率が0.8未満になり、熱放射の効率が不十分であった。
したがって、フィラー6またはフィラー8は、フィラーの長軸の長さを水系塗料層3の厚さと樹脂層4の厚さとの合計厚さに対して1.7倍以上として、水系塗料層3及び樹脂層4から外部に50%以上を突出させることが好ましい。
<全体のまとめ>
以上、説明したように、本発明に係る樹脂構造体では、フィラーの全数に対して個数%で80%以上のフィラーが、フィラーの重心を通る長軸が水系塗料層の水系塗料の厚さと樹脂層の熱硬化性樹脂の厚さとの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する。そこで、フィラーの全数のうち80%以上が水系塗料層及び樹脂層より外部に突出しているので、高い放熱性が得られる。また、水系塗料層の上にさらに樹脂層を設けているので、突出するフィラーを支持でき、樹脂構造体と発熱デバイスとの界面の密着性を十分に発揮することができる。
また、本発明に係る樹脂構造体は、遠赤外線放射率0.8以上、粒径30μm以上150μm以下、アスペクト比1以上12以下のフィラーを用いている。これによって、この樹脂構造体は、熱放射効率を高くでき、発熱デバイスの熱を熱放射により外部へ放熱し、温度上昇を抑制することができる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る樹脂構造体は、高い放熱性を有し、放熱デバイスとの界面の密着性に優れるので、電子部品の放熱用の樹脂構造体として有用である。
1、1a 樹脂構造体
2、2a 電子部品
3、3a 水系塗料層
4 水系塗料
5 樹脂層
6 フィラー
7 発熱デバイス
8 フィラー
9 金属基板
10 放熱性評価素子
11 ヒーター
12 熱放射吸収部
13 水冷ヒートシンク
14 発熱体
15 基板
16 タブレット筐体
51 金属基板
57 放熱部材
58 樹脂
59 フィラー

Claims (8)

  1. 基体の上に設けられ、前記基体の熱を外部へ放熱させる樹脂構造体であって、
    前記基体の上に設けられ、水系塗料と、平均粒径30μm以上150μm以下のフィラーと、を含む水系塗料層と、
    前記水系塗料層の上に設けられ、熱硬化性樹脂を含む樹脂層と、
    を含み、
    前記フィラーは、遠赤外線放射率0.8以上であり、前記フィラーの重心を通る長軸と短軸との平均アスペクト比が1以上12以下であって、
    前記フィラーの全数のうち80%以上は、前記フィラーの重心を通る前記長軸が前記水系塗料層の前記水系塗料の厚さと前記樹脂層の前記熱硬化性樹脂の厚さとの合計厚さの1.7倍以上の長さを有する、樹脂構造体。
  2. 前記フィラーは、球状、錐体または多面体の形状を有する、請求項1に記載の樹脂構造体。
  3. 前記フィラーの全数のうち60%以上は、前記長軸の方向が前記基体に垂直な方向に配向している、請求項1又は2に記載の樹脂構造体。
  4. 前記フィラーは、隣接する2つのフィラー間の間隔が前記フィラーの平均粒径以下となるように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂構造体。
  5. 前記フィラーの含有率は、前記水系塗料層の組成中60体積%以上85体積%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂構造体。
  6. 前記水系塗料層及び前記樹脂層の合計厚さは、50μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂構造体。
  7. 前記基体は、電子部品の外面であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂構造体を、前記電子部品の外面に有する、樹脂構造体付き電子部品。
  8. 請求項7に記載の電子部品を備えた電子機器。
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