本発明の第1の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態における電気式操作装置を備えた油圧作業機械の一例としての油圧ショベルの外観図である。油圧ショベルは、下部走行体11と、上部旋回体12と、フロント作業装置13とを備えている。下部走行体11は、走行右油圧モータ3a(図2参照)及び走行左油圧モータ3bを駆動することにより走行する。
上部旋回体12には、エンジン15、油圧ポンプ装置2、旋回油圧モータ4、コントロールバルブ20等が搭載されている。また、上部旋回体12の前方左側に配置された運転室14には、走行右レバー1a、走行左レバー1b、操作右レバー装置1c、操作左レバー装置1d等の操作装置が設けられている。上部旋回体12は、旋回油圧モータ4を駆動することにより、下部走行体11に対して旋回する。コントロールバルブ20は、各操作装置1a,1b,1c,1dの操作に応じて、油圧ポンプ装置2の吐出油を各油圧アクチュエータ3a,3b,4,5,6,7に分配して供給し、各油圧アクチュエータ3a,3b,4,5,6,7を駆動する。
フロント作業装置13は、上部旋回体12に上下方向に回動可能に取り付けられたブーム8と、ブーム8の先端に回動可能に取り付けられたアーム9と、アーム9の先端に回動可能に取り付けられたバケット10とを有している。ブーム8はブームシリンダ5の伸縮により上下方向に回動し、アーム9はアームシリンダ6の伸縮により上下・前後方向に回動し、バケット10はバケットシリンダ7の伸縮により上下・前後方向に回動する。
図2は、図1に示す油圧ショベルに搭載された油圧駆動装置の構成図である。図2において、油圧駆動装置は、油圧ポンプ装置2と、複数の油圧アクチュエータ3a,3b,4〜7と、コントロールバルブ20と、複数の操作装置1a,1b,1c,1dと、メインコントローラ100と、第1制御弁コントローラ110と、第2制御弁コントローラ120と、電磁比例弁43〜54、及び油圧パイロット弁41,42とを備えている。
油圧ポンプ装置2は、第1油圧ポンプ2aと第2油圧ポンプ2bとパイロットポンプ2gとを備えている。第1,第2油圧ポンプ2a,2b及びパイロットポンプ2gは、エンジン15によって駆動され、それぞれ第1ポンプラインL1,第2ポンプラインL2(後述)及びパイロットポンプラインL4に圧油を吐出する。第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bは可変容量型の油圧ポンプであり、それぞれ第1レギュレータ2d,第2レギュレータ2fによって容量を調節することができる。パイロットポンプ2gの吐出圧は、パイロットポンプラインL4に設けられたパイロットリリーフ弁2hによって所定の圧力(以下、パイロット一次圧という)P0に設定される。パイロット一次圧P0は、パイロットポンプラインL4に設けられたゲートロック弁30を介して、パイロット弁41,42及び電磁比例弁43〜54に導かれる。ゲートロック弁30は、ロックレバー29によって切換操作される。
コントロールバルブ20には、第1ポンプラインL1と第2ポンプラインL2から圧油が供給され、第1ポンプラインL1には第1油圧ポンプ2aが、第2ポンプラインL2には第2油圧ポンプ2bがそれぞれ接続されている。第1ポンプラインL1には、走行右制御弁21、バケット制御弁22及びブーム1制御弁23,アーム2制御弁24が設けられており、各々を切換操作することにより、第1ポンプラインL1が走行右油圧モータ3a、バケットシリンダ7、ブームシリンダ5、アームシリンダ6と連通する。第2ポンプラインL2には、旋回制御弁25、アーム1制御弁26、ブーム2制御弁27及び走行左制御弁28が設けられており、各々を切換操作することにより、第2ポンプラインL2が旋回油圧モータ4、アームシリンダ6、ブームシリンダ5、走行左油圧モータ3bと連通する。
電磁比例弁43〜54は、第1制御弁コントローラ110又は第2制御弁コントローラ120から印加される駆動電流に応じてパイロット一次圧P0を減圧し、それぞれパイロット圧P5〜P16として出力する。パイロット圧P5,P6は、旋回制御弁25に導かれ、旋回制御弁25を切換操作する。パイロット圧P7,P8は、ブーム1制御弁23に導かれ、ブーム1制御弁23を切換操作する。パイロット圧P9,P10は、ブーム2制御弁27に導かれ、ブーム2制御弁27を切換操作する。パイロット圧P11,P12は、アーム1制御弁26に導かれ、アーム1制御弁26を切換操作する。パイロット圧P13,P14は、アーム2制御弁24に導かれ、アーム2制御弁24を切換操作する。パイロット圧P15,P16は、バケット制御弁22に導かれ、バケット制御弁22を切換操作する。パイロット圧P7〜P14は、パイロット圧センサS3〜S10によってそれぞれ検出され、それらの検出信号は第1制御弁コントローラ110又は第2制御弁コントローラ120に入力される。
走行右レバー1aに機械的に連結された走行右パイロット弁41は、走行右レバー1aの操作に応じてパイロット一次圧P0を減圧し、走行右前進パイロット圧P1又は走行右後進パイロット圧P2として出力する。パイロット圧P1,P2は、走行右制御弁21に導かれ、走行右制御弁21を切換操作する。これにより、第1ポンプラインL1が走行右油圧モータ3aに連通し、第1油圧ポンプ2aから供給される圧油によって走行右油圧モータ3aが駆動される。パイロット圧P1,P2は、最大圧を選択するシャトル弁31にも導かれており、シャトル弁31で選択された最大圧(走行右パイロット圧)は、走行右パイロット圧センサS1によって検出され、その検出信号はメインコントローラ100に入力される。
走行左レバー1bに機械的に連結された走行左パイロット弁42は、走行左レバー1bの操作に応じてパイロット一次圧P0を減圧し、走行左前進パイロット圧P3又は走行左後進パイロット圧P4として出力する。パイロット圧P3,P4は、走行左制御弁28に導かれ、走行右制御弁28を切換操作する。これにより、第2ポンプラインL2が走行左油圧モータ3bに連通し、第2油圧ポンプ2bから供給される圧油によって走行左油圧モータ3bが駆動される。パイロット圧P3,P4は、最大圧を選択するシャトル弁32にも導かれており、シャトル弁32で選択された最大圧(走行左パイロット圧)は、走行左パイロット圧センサS2によって検出され、その検出信号はメインコントローラ100に入力される。
操作右レバー装置1cは、前後左右方向に揺動可能に支持された操作レバーを有し、この操作レバーのレバー操作に応じてブーム操作信号及びバケット操作信号を出力する(以下、ブーム操作信号を生じさせるレバー操作をブームレバー操作といい、バケット操作信号を生じさせるレバー操作をバケットレバー操作という)。ブーム操作信号及びバケット操作信号は、メインコントローラ100に入力される。
操作左レバー装置1dは、前後左右方向に揺動可能に支持された操作レバーを有し、この操作レバーのレバー操作に応じて旋回操作信号及びアーム操作信号を出力する(以下、旋回操作信号を生じさせるレバー操作を旋回レバー操作といい、アーム操作信号を生じさせるレバー操作をアームレバー操作という)。旋回操作信号及びアーム操作信号は、メインコントローラ100に入力される。
メインコントローラ100、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120は、それぞれ通信バス130に接続されていて、相互に通信バス130を介した情報の送受信を行う。
メインコントローラ100は、操作右レバー装置1c及び操作左レバー装置1dから入力される各操作信号に基づいて、電磁比例弁43〜54で駆動される制御弁22〜27の目標流量を、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120に送信する。また、メインコントローラ100は、第1制御弁コントローラ110または第2制御弁コントローラ120の故障を検出したときに、その故障情報を不図示の表示装置等に出力し、オペレータに通知する。
第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120は、メインコントローラ100から受信した制御弁22〜27の目標流量に基づいて、レギュレータ2d,2f及び電磁比例弁43〜54に制御信号を出力し、これらを制御する。
図2において、ブームシリンダ5の駆動に関わる制御弁23,27、電磁比例弁45〜48、メインコントローラ100、第1制御弁コントローラ110、及び第2制御弁コントローラ120は、ブームシリンダ5に適用した第1の実施形態における電気式操作装置200aを構成する。同様に、アームシリンダ6の駆動に関わる制御弁26,24、電磁比例弁49〜52、メインコントローラ100、第1制御弁コントローラ110、及び第2制御弁コントローラ120は、アームシリンダ6に適用した第1の実施形態における電気式操作装置200bを構成している。以下、第1の実施形態における電気式操作装置の詳細について図3を用いて説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態における電気式操作装置の構成図である。具体的には、ブームシリンダ5またはアームシリンダ6に適用した第1の実施形態における電気式操作装置の構成図である。
図3において、ブームシリンダ5に適用した電気式操作装置200aは、ブームシリンダ5に供給される圧油の方向及び流量をそれぞれ制御するブーム1制御弁23及びブーム2制御弁27と、制御弁23,27を切換操作する切換駆動装置としての電磁比例弁45〜48と、制御装置としてのメインコントローラ100、第1制御弁コントローラ110、及び第2制御弁コントローラ120とを備えている。
なお、ブームシリンダ5には、動作状態検出装置としてブームシリンダストローク信号を検出するブームシリンダストロークセンサS50が、アームシリンダ6には、動作状態検出装置としてアームシリンダストローク信号を検出するアームシリンダストロークセンサS60がそれぞれ敷設され、これらストロークセンサS50,S60が検出したブームシリンダストローク信号及びアームシリンダストローク信号は、メインコントローラ100に入力される。
電磁比例弁45〜48は、図2に示すパイロットポンプ2g及びパイロットリリーフ弁2h等で構成されたパイロット圧力源から入力されるパイロット一次圧P0を、それぞれ第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120から印加される駆動電流に応じて減圧し、パイロット圧P7〜P10として出力する。
ブーム1制御弁23が有するスプールの両端面には、電磁比例弁45(以下適宜「ブーム1上げ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P7(以下適宜「ブーム1上げパイロット圧」という)、及び電磁比例弁46(以下適宜「ブーム1下げ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P8(以下適宜「ブーム1下げパイロット圧」という)がそれぞれ導かれる。ブーム2制御弁27が有するスプールの両端面には、電磁比例弁47(以下適宜「ブーム2上げ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P9(以下適宜「ブーム2上げパイロット圧」という)、及び電磁比例弁48(以下適宜「ブーム2下げ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P10(以下適宜「ブーム2下げパイロット圧」という)が導かれる。
ブームシリンダ5を伸長方向(上げ方向)に駆動する場合は、第1制御弁コントローラ110からブーム1上げ電磁比例弁45を駆動してブーム1上げパイロット圧P7をスプールの図示左側の端面に作用させ、第1ポンプラインL1をブームシリンダ5のボトム側油室に連通させるとともに、第2制御弁コントローラ120からブーム2上げ電磁比例弁47を駆動してブーム2上げパイロット圧P9をスプールの図示右側の端面に作用させ、第2ポンプラインL2をブームシリンダ5のボトム側油室に連通させる。これにより、第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bの吐出油が合流してブームシリンダ5のボトム側油室に供給され、ブームシリンダ5が上げ方向に駆動される。
一方、ブームシリンダ5を縮小方向(下げ方向)に駆動する場合は、第1制御弁コントローラ110からブーム1下げ電磁比例弁46を駆動してブーム1下げパイロット圧P8をスプールの図示右側の端面に作用させ、第1ポンプラインL1をブームシリンダ5のロッド側油室に連通させるとともに、第2制御弁コントローラ120からブーム2下げ電磁比例弁48を駆動してブーム2下げパイロット圧P10をスプールの図示左側の端面に作用させ、第2ポンプラインL2をブームシリンダ5のロッド側油室に連通させる。これにより、第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bの吐出油が合流してブームシリンダ5のロッド側油室に供給され、ブームシリンダ5が下げ方向に駆動される。
同様に、アームシリンダ6に適用した電気式操作装置200bは、アームシリンダ6に供給される圧油の方向及び流量をそれぞれ制御するアーム1制御弁26及びアーム2制御弁24と、制御弁26,24を切換操作する切換駆動装置としての電磁比例弁49〜52と、制御装置としてのメインコントローラ100、第1制御弁コントローラ110、及び第2制御弁コントローラ120とを備えている。
電磁比例弁49〜52は、図2に示すパイロットポンプ2g及びパイロットリリーフ弁2h等で構成されたパイロット圧力源から入力されるパイロット一次圧P0を、それぞれ第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120から印加される駆動電流に応じて減圧し、パイロット圧P11〜P14として出力する。
アーム1制御弁26が有するスプールの両端面には、電磁比例弁50(以下適宜「アーム1ダンプ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P12(以下適宜「アーム1ダンプパイロット圧」という)、及び電磁比例弁49(以下適宜「アーム1クラウド電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P11(以下適宜「アーム1クラウドパイロット圧」という)がそれぞれ導かれる。アーム2制御弁24が有するスプールの両端面には、電磁比例弁52(以下適宜「アーム2ダンプ電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P14(以下適宜「アーム2ダンプパイロット圧」という)、及び電磁比例弁51(以下適宜「アーム2クラウド電磁比例弁」という)から出力されるパイロット圧P13(以下適宜「アーム2クラウドパイロット圧」という)が導かれる。
アームシリンダ6を縮小方向(ダンプ方向)に駆動する場合は、第2制御弁コントローラ120からアーム1ダンプ電磁比例弁50を駆動してアーム1ダンプパイロット圧P12をスプールの図示左側の端面に作用させ、第2ポンプラインL2をアームシリンダ6のロッド側油室に連通させるとともに、第1制御弁コントローラ110からアーム2ダンプ電磁比例弁52を駆動してアーム2ダンプパイロット圧P14をスプールの図示右側の端面に作用させ、第1ポンプラインL1をアームシリンダ6のロッド側油室に連通させる。これにより、第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bの吐出油が合流してアームシリンダ6のロッド側油室に供給され、アームシリンダ6がダンプ方向に駆動される。
一方、アームシリンダ6を伸長方向(クラウド方向)に駆動する場合は、第2制御弁コントローラ120からアーム1クラウド電磁比例弁49を駆動してアーム1クラウドパイロット圧P11をスプールの図示右側の端面に作用させ、第2ポンプラインL2をアームシリンダ6のボトム側油室に連通させるとともに、第1制御弁コントローラ110からアーム2クラウド電磁比例弁51を駆動してアーム2クラウドパイロット圧P13をスプールの図示左側の端面に作用させ、第1ポンプラインL1をアームシリンダ6のボトム側油室に連通させる。これにより、第1油圧ポンプ2a及び第2油圧ポンプ2bの吐出油が合流してアームシリンダ6のボトム側油室に供給され、アームシリンダ6がクラウド方向に駆動される。
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるメインコントローラ100の機能ブロック図である。メインコントローラ(以下適宜「MCU」ともいう)100は、制御弁コントローラ故障判定部101と制御弁切換目標量決定部102と、制御弁コントローラ出力切換部103とで構成される。
制御弁切換目標量決定部102は、操作右レバー装置1c及び操作左レバー装置1dからそれぞれブーム操作信号、バケット操作信号、旋回操作信号及びアーム操作信号が入力され、後述する制御弁コントローラ故障判定部101から制御弁コントローラ故障判定結果が入力される。制御弁切換目標量決定部102は、これらの入力信号に基づいて、制御弁22〜27の制御弁切換目標量指令を決定し、それらの指令信号221,231,241,251,261,271を通信バス130を介して、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120に出力する。
制御弁コントローラ故障判定部101には、操作右レバー装置1c及び操作左レバー装置1dからそれぞれブーム操作信号及びアーム操作信号が入力され、ブームシリンダストロークセンサS50及びアームシリンダストロークセンサS60から、それぞれブームシリンダストローク信号及びアームシリンダストローク信号が入力される。制御弁コントローラ故障判定部101は、これらの入力信号に基づいて第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120の故障状態を判定し、それらの判定結果を制御弁切換目標量決定部102及び制御弁コントローラ出力切換部103に出力する。
制御弁コントローラ出力切換部103には、制御弁コントローラ故障判定部101から制御弁コントローラ故障判定結果が入力される。制御弁コントローラ出力切換部103は、故障判定結果に基づいて第1制御弁コントローラ110の出力切換部112(図5参照)及び第2制御弁コントローラ120の出力切換部122(図5参照)へ、出力遮断信号1121,1221を出力する。
図5は、本発明の第1の実施の形態における制御弁コントローラの機能ブロック図である。ここで、第1制御弁コントローラ(以下適宜「VCU1」ともいう)110を示しているが、第2制御弁コントローラ(以下適宜「VCU2」ともいう)120も同様の構成からなり、構成要素の符号をカッコで示す。
第1制御弁コントローラ110は、制御弁切換制御部111(121)と、出力切換部112(122)とで構成される。
制御弁切換制御部111には、メインコントローラ100から、通信バス130を介してブーム1制御弁切換目標量指令信号231と、アーム2制御弁切換目標量指令信号241と、バケット制御弁切換目標量指令信号221とが入力され、後述する出力切換部112から切換結果が入力される。制御弁切換制御部111は、これらの制御弁切換目標量に応じて制御弁のスプール両端にパイロット圧を供給するように、制御信号(駆動電流)を電磁比例弁45,46及び51〜54に出力する。なお、制御弁切換制御部(121)には、メインコントローラ100から、通信バス130を介してブーム2制御弁切換目標量指令信号271と、アーム1制御弁切換目標量指令信号261と、旋回制御弁切換目標量指令信号251とが入力され、後述する出力切換部(122)から切換結果が入力される。
出力切換部112には、メインコントローラ100から出力遮断の有無を指示する信号1121が入力される。出力切換部112は、入力した信号が出力遮断無を指示するものの場合は、制御弁切換制御部111の制御信号が電磁比例弁45,46及び51〜54に出力されるようになる切換信号を出力する。一方、入力した信号が出力遮断有を指示するものの場合は、制御弁切換制御部111の制御信号が電磁比例弁45,46及び51〜54へ出力されないように接続を切り換える信号を出力する。このことにより、制御弁切換目標量に係わらず制御弁のスプール両端へ供給されるパイロット圧が遮断される。
図3に戻り、第1制御弁コントローラ110において出力遮断された場合、電磁比例弁45、46、51、52への制御信号が遮断される。このことにより、ブーム1制御弁23が有するスプールの両端面とアーム2制御弁24が有するスプールの両端面へのパイロット圧は遮断される。この結果、これら制御弁のスプールは図示のように中立位置に配置される。これにより、第1油圧ポンプ2aの吐出油は、作動油タンク17へ戻される。
同様に、第2制御弁コントローラ120において出力遮断された場合、電磁比例弁47、48、49、50への制御信号が遮断される。このことにより、ブーム2制御弁27が有するスプールの両端面とアーム1制御弁26が有するスプールの両端面へのパイロット圧は遮断される。この結果、これら制御弁のスプールは図示のように中立位置に配置される。これにより、第2油圧ポンプ2bの吐出油は、作動油タンク17タンクへ戻される。
次に、ブーム操作信号に対するブーム1制御弁23の目標流量とブーム2制御弁27の目標流量とブームシリンダ5の目標速度との対応関係について、図6A〜Cを用いて説明する。図6Aは本発明の第1の実施の形態におけるブーム操作信号とブーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図6Bは本発明の第1の実施の形態におけるブーム操作信号とブーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図6Cは本発明の第1の実施の形態におけるブーム操作信号とブームシリンダ目標速度との対応関係を示す特性図である。
図6A,図6Bにおける実線部分は、操作右レバー装置1cがブーム単独操作を示す場合の対応関係(以下適宜「ブーム単独制御弁目標流量マップ」という)である。ブーム操作信号が上げ側を示す場合に、ブーム1制御弁23とブーム2制御弁27は、ブーム操作信号に対応する目標流量を合流してブームシリンダ5のボトム側油室に圧油を供給するよう駆動される。操作右レバー装置1cが中立付近を示すブーム操作信号の場合は、ブーム1制御弁目標流量とブーム2制御弁目標流量は、共にブームシリンダ5へ圧油を供給しない。操作レバー装置が中立付近よりもある程度(2つの制御弁の合流を切り換える操作量の閾値未満)操作されると、ブーム1制御弁23からのみブームシリンダ5へ圧油を供給する。さらに操作レバー装置の操作量が2つの制御弁の合流を切り換える閾値を超えて大きくなると、ブーム1制御弁23とブーム2制御弁27から供給される圧油が合流しブームシリンダ5へ供給される。
図6Cにおける実線部分は、操作右レバー装置1cがブーム単独操作を示す場合に、2つの制御弁からの圧油が合流してブームシリンダ5が動作した結果の目標速度(以下適宜「ブーム単独目標速度マップ」という)を示している。操作レバーが中立付近ではブームシリンダ5は静止し、ある程度の操作量ではブーム1制御弁23から供給される圧油に応じた動作速度となり、さらに操作レバーの操作量が閾値を超えて大きくなるとブーム1制御弁23とブーム2制御弁27から供給される圧油が合流しブームシリンダ5の動作速度が速くなることを示している。
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるブーム操作信号とブームシリンダ5の目標速度ならびにブームシリンダ5の測定速度との対応関係を示す特性図である。図7において、一点鎖線で示す特性線Sは、図6Cと同様のブーム操作信号とブームシリンダ目標速度との対応関係を示し、実線で示す特性線aがブーム操作信号とブームシリンダ測定速度との対応関係を示す。ここで、ブームシリンダ測定速度は、ブームシリンダ5の実際の速度をブームシリンダストロークセンサS50からの信号で測定したものである。
図7に示すブームシリンダ測定速度の特性線aは、操作レバーの操作量が2つの制御弁の合流を切り換える閾値を越えて大きくなった部分で、ブームシリンダ目標速度より遅い速度特性を示している。これは、何らかの理由でブーム2制御弁27から圧油がブームシリンダ5に供給されないことにより、ブームシリンダ目標速度とブームシリンダ測定速度の間に差が生じている場合を示している。本実施の形態においては、このような測定速度の特性と目標速度の特性との比較結果と、ブーム操作信号との関係とから、いずれの制御弁コントローラが故障しているかを判定する。
図8は、本発明の第1の実施の形態における制御弁コントローラ故障判定部101により周期的に実行される故障判定処理を示すフローチャート図である。以下、図8のフローを構成する各ステップについて順に説明する。
制御弁コントローラ故障判定部101は、ステップS10101にて、レバー操作から目標動作を演算する。具体的には、例えば図6Cに示すブーム単独目標速度マップを参照し、ブーム操作信号に応じたブームシリンダ目標速度を演算する。続くステップS10102にて、レバー操作が閾値を越えて変化したか否かを判断する。具体的には、2つの制御弁の合流を切り換える閾値を超えて、ブーム操作信号が変化したか否かを判定する。
ステップS10102でNO(ブーム操作信号の変化が閾値を越えていない)と判定した場合、ステップS10114へ進み、ステップS10114にて、以前の故障判定結果を踏襲し、故障、正常、保留のいずれかの故障判定結果を制御弁切換目標量決定部102及び制御弁コントローラ出力切換部103に出力する。また、制御弁コントローラ故障判定部110は次回の故障判定処理で参照するために、故障判定結果を保持した上で処理を終了する。
ステップS10102でYES(ブーム操作信号の変化が閾値を越えた)と判定した場合、ステップS10103にて、前回判定において第1制御弁コントローラ(VCU1)110が保留判定されているか否かを判定する。
ステップS10103でNO(前回の故障判定で保留とされていない)と判定した場合、続くステップS10104にて、前回判定において第2制御弁コントローラ(VCU2)120が保留判定されているか否かを判定する。
ステップS10104でNO(前回の故障判定で保留とされていない)と判定した場合、続くステップS10105にて、測定動作と目標動作に誤差があるか否かを判定する。具体的には、ブームシリンダストロークセンサS50からの信号を参照して、ブームシリンダ目標速度とブームシリンダ測定速度との間に誤差があるか否かを判定する。
ステップS10105でNO(目標速度と測定速度との間に誤差がない)と判定した場合、続くステップS10106にて、第1制御弁コントローラ(VCU1)110及び第2制御弁コントローラ(VCU2)120共に正常と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10105にてYES(目標速度と測定速度の間に誤差がある)と判定した場合、ステップS10107にて操作レバー位置が閾値より低い方へ変化したか否かを判定する。
ステップS10107にてYES(操作レバー位置が閾値より低い方へ変化した)と判定した場合、ステップS10108にて測定速度が目標速度より遅いか否かを判定する。ステップS10108にてYES(測定動作が目標動作より遅い)と判定した場合、ステップS10109にて、第1制御弁コントローラ110を故障と判定し、第2制御弁コントローラ120を正常と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
一方、ステップS10108にてNO(測定動作が目標動作より速い)と判定した場合、ステップS10110にて、第1制御弁コントローラ110を正常と判定し、第2制御弁コントローラ120を保留と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10107にてNO(操作レバー位置が閾値より高い方へ変化した)と判定した場合、ステップS10111にて測定速度が目標速度より遅いか否かを判定する。ステップS10111にてYES(測定速度が目標速度より遅い)と判定した場合、ステップS10110及び続くステップS10114を実行した跡に処理を終了する。
一方、ステップS10111にてNO(測定速度が目標速度より速い)と判定した場合、ステップS10112にて、第1制御弁コントローラ110を保留と判定し、第2制御弁コントローラ120を正常と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10103にてYES(前回の故障判定で保留とされた)と判定した場合、ステップS10103aにて測定動作と目標動作に誤差があるか否かを判定する。
ステップS10103aにてNO(測定動作と目標動作に誤差がない)と判定した場合、続くステップS10103bにて、第1制御弁コントローラ110を正常と判定し、第2制御弁コントローラ120を保留と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10103aにてYES(測定動作と目標動作に誤差がある)と判定した場合、続くステップS10103cにて、第1制御弁コントローラ110を故障と判定し、第2制御弁コントローラ120を正常と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10104にてYES(前回の故障判定で保留とされた)と判定した場合、ステップS10104aにて測定動作と目標動作に誤差があるか否かを判定する。
ステップS10104aにてNO(測定動作と目標動作に誤差がない)と判定した場合、続くステップS10104bにて、第1制御弁コントローラ110を保留と判定し、第2制御弁コントローラ120を正常と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
ステップS10104aにてYES(測定動作と目標動作に誤差がある)と判定した場合、続くステップS10104cにて、第1制御弁コントローラ110を正常と判定し、第2制御弁コントローラ120を故障と判定し、ステップS10114を実行した後に処理を終了する。
図9は本発明の第1の実施の形態における制御弁切換目標量決定部102による周期的に実行される制御目標決定処理を示すフローチャート図である。以下、図9のフローを構成する各ステップについて順に説明する。
制御弁切換目標量決定部102は、ステップS10201にて、操作レバー装置1cからブーム操作信号を読み出し、続くステップS10202にて、制御弁コントローラ故障判定部101が出力する故障判定結果を読み出す。
ステップS10203にて、読み出した故障判定結果において第1制御弁コントローラ(VCU1)110が正常判定されているか否かを判定する。
ステップS10203にてYES(第1制御弁コントローラ110は正常)と判定された場合、ステップS10204にて、読み出した故障判定結果において第2制御弁コントローラ(VCU2)120が正常判定されているか否かを判定する。
ステップS10204にてYES(第2制御弁コントローラ120は正常)と判定された場合、続くステップS10205にて、ブーム単独制御弁目標流量マップを参照し、ブーム操作信号に対応するブーム1制御弁23及びブーム2制御弁27の目標流量を読み出す。
その後、ステップS10208にて、ブーム1制御弁23及びブーム2制御弁27の目標流量を、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120に出力し処理を終了する。
ステップS10204にてNO(第2制御弁コントローラ120は故障または保留)と判定された場合、ステップS10207にて、故障時ブーム1単独制御弁目標流量マップ(後述する)を参照し、ブーム操作信号に対応するブーム1制御弁23の目標流量を読み出す。またブーム2制御弁27の目標流量は0に設定した後、ステップS10208にて目標流量を出力し処理を終了する。
ステップS10203にてNO(第1制御弁コントローラ110は故障または保留)と判定された場合、ステップS10206にて,故障時ブーム2単独制御弁目標流量マップ(後述する)を参照し、ブーム操作信号に対応するブーム2制御弁27の目標流量を読み出す。またブーム1制御弁23の目標流量は0に設定した後、ステップS10208にて目標流量を出力し処理を終了する。
次に、第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120のいずれかが故障と判定された場合に参照する、故障時ブーム単独制御弁目標流量マップについて、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10Aは本発明の第1の実施の形態における故障時のブーム操作信号と故障時ブーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図10Bは本発明の第1の実施の形態における故障時のブーム操作信号と故障時ブーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図である。
図10Aにおいて、一点鎖線で示す特性線は、図6Aで示した故障がない場合のブーム操作信号とブーム1制御弁の目標流量との対応関係を示し、実線で示す特性線は第2制御弁コントローラ120が故障と判定された場合のブーム操作信号とブーム1制御弁の目標流量との対応関係(「故障時ブーム単独制御弁目標流量マップ」)を示している。
また、図10Bにおいて、一点鎖線で示す特性線は、図6Bで示した故障がない場合のブーム操作信号とブーム2制御弁の目標流量との対応関係を示し、実線で示す特性線は第1制御弁コントローラ110が故障と判定された場合のブーム操作信号とブーム2制御弁の目標流量との対応関係(「故障時ブーム単独制御弁目標流量マップ」)を示している。
図10Aと図10Bで規定される故障時ブーム単独制御弁目標流量マップは、ブーム操作信号に対応する制御弁目標流量が多くなるように設定されているので、いずれかの制御弁コントローラが故障と判定された場合であっても、もう一方の制御弁コントローラで制御されるブーム制御弁単独で、合流時に近い圧油をブームシリンダ5に供給することができる。
図11は本発明の第1の実施の形態における制御弁コントローラ出力切換部103により周期的に実行される故障対応処理を示すフローチャート図である。以下、図11のフローを構成する各ステップについて順に説明する。
制御弁コントローラ出力切換部103は、ステップS10301にて、制御弁コントローラ故障判定部101が出力する故障判定結果を読み出す。続くステップS10302にて、故障判定結果において第1制御弁コントローラ(VCU1)110が正常判定されているか否かを判定する。
ステップS10302にてNO(第1制御弁コントローラ110は故障または保留)と判定された場合、ステップS10304にて、第1制御弁コントローラ110の出力切換部112へ出力遮断信号を出力して処理を終了する。
ステップS10302にてYES(第1制御弁コントローラ110は正常)と判定された場合、続くステップS10303にて、故障判定結果において第2制御弁コントローラ(VCU2)120が正常判定されているか否かを判定する。
ステップS10303にてNO(第2制御弁コントローラ120は故障または保留)と判定された場合、ステップS10305にて、第2制御弁コントローラ120の出力切換部122へ出力遮断信号を出力して処理を終了する。ステップS10303にてYES(第2制御弁コントローラ120は正常)と判定された場合は、そのまま処理を終了する。
以上のように構成した本実施の形態によれば、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120のいずれかが、電磁比例弁駆動回路の故障やソフトウェアの暴走によりメインコントローラ100が出力する制御弁目標流量通りに出力できない故障状態となった場合、メインコントローラ100にていずれの制御弁コントローラが故障しているかを判定し、故障していない方の制御弁コントローラにて、正常時に近い制御弁の切換制御を継続することができる。また故障した制御弁コントローラが、他方の制御弁コントローラによるブームシリンダ5の駆動に悪影響を及ぼさないように、故障した制御弁コントローラの出力は遮断される。
このように、本実施の形態によれば、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120のいずれかが故障した場合に、特別な判定装置や判定モードを設けることなく、ブームレバー操作量とブームシリンダ測定速度から、いずれの制御弁コントローラが故障しているか判定することができる。また、いずれかの制御弁コントローラが故障して、その制御弁コントローラから制御弁を駆動できない状態になっても、ブームシリンダ5の速度低下や操作感覚の変化を抑えることができる。
上述した本発明の油圧作業機械の電気式操作装置の第1の実施の形態によれば、共通の複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向及び流量を制御する複数の制御弁を切換駆動する複数の制御弁コントローラ110,120のいずれかが故障した場合でも、油圧アクチュエータの操作性を確保できる。
なお、本実施の形態においては、油圧アクチュエータの動作状態を検出する動作状態検出装置として、ブームシリンダストロークセンサS50とアームシリンダストロークセンサS60を使用した場合を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、ブーム8の基端部のリンク装置に敷設されたブーム角度センサとアーム9の基端部のリンク装置に敷設されたアーム角度センサが検出したそれぞれの角度から、動作状態を検出しても良い。
また、本実施の形態においては、ブーム8の単独操作時におけるブームシリンダ5に適用した電気式操作装置200aについて説明したが、これに限るものでない。アームシリンダ6に適用した電気式操作装置200bのアーム9の単独操作時であっても、同様の効果を得ることができる。また、2つの電気式操作装置200a、200bを備えていても良い。
以下、本発明の油圧作業機械の電気式操作装置の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。
第2の実施の形態を上述した第1の実施の形態と比較した場合の主な相違点は、電気式操作装置を、ブームシリンダ5に適用した電気式操作装置200aとアームシリンダ6に適用した電気式操作装置200bの2つで構成した点と、故障判定方法をブーム8単独操作時ではなく、ブーム8とアーム9の複合操作時に行う点である。
第1の実施の形態では、ブーム8の単独操作において、レバー操作装置の操作量が2つの制御弁の合流を切り換える閾値に満たない場合は、ブーム1制御弁23からのみブームシリンダ5に圧油を供給し、レバー操作装置の操作量が閾値を越える場合は、ブーム1制御弁23及びブーム2制御弁27からの圧油を合流してブームシリンダ5に供給するように制御して、ブーム操作量が閾値を越える時点で第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120の故障を判定する。
これに対して、第2の実施形態では、ブーム8とアーム9の複合操作において、ブームシリンダ5へは第1制御弁コントローラ110が制御するブーム1制御弁23からのみ圧油を供給し、アームシリンダ6へは第2制御弁コントローラ120が制御するアーム1制御弁26からのみ圧油を供給するように制御して、静止及び単独操作と複合操作との切り換わりの時点で、各アクチュエータの動作と操作信号とを比較することで、第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120の故障を判定する。具体的には、第1制御弁コントローラ110はブーム1制御弁23とアーム2制御弁24を制御し、第2制御弁コントローラ120はアーム1制御弁26とブーム2制御弁27を制御している。
また、第1制御弁コントローラ110が制御するアーム2制御弁24のスプールを中立位置に保持し、第2制御弁コントローラ120が制御するブーム2制御弁27のスプールも中立位置に保持する。このことにより、第1油圧ポンプ2aからは、ブームシリンダ5のみへ圧油が供給され、第2油圧ポンプ2bからは、アームシリンダ6のみへ圧油が供給されている。
次に、ブーム8とアーム9の複合操作を行う場合の、ブーム操作信号とブーム1制御弁目標流量と、ブーム2制御弁目標流量と、ブームシリンダ目標速度との対応関係と、アーム操作信号とアーム1制御弁26の目標流量と、アーム2制御弁24の目標流量と、アームシリンダ6の目標速度との対応関係について、図12A〜Fを用いて説明する。図12Aは本発明の第2の実施の形態におけるブーム操作信号とブーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図12Bは本発明の第2の実施の形態におけるブーム操作信号とブーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図12Cは本発明の第2の実施の形態におけるブーム操作信号とブームシリンダ目標速度との対応関係を示す特性図、図12Dは本発明の第2の実施の形態におけるアーム操作信号とアーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図12Eは本発明の第2の実施の形態におけるアーム操作信号とアーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図12Fは本発明の第2の実施の形態におけるアーム操作信号とアームシリンダ目標速度との対応関係を示す特性図である。
図12A,図12Bにおける実線部分は、操作右レバー装置1cと操作左レバー装置1dがブーム8及びアーム9の複合操作を示す場合の対応関係(以下適宜「ブーム複合制御弁目標流量マップ」という)である。同様に、図12D,図12Eにおける実線部分は、操作右レバー装置1cと操作左レバー装置1dがブーム8及びアーム9の複合操作を示す場合の対応関係(以下適宜「アーム複合制御弁目標流量マップ」という)である。
ブーム操作信号が上げ側を示す場合に、第1制御弁コントローラ110に制御されるブーム1制御弁23は、ブーム操作信号に対応する圧油の目標流量をブームシリンダ5のボトム側油室に供給するよう駆動され、ブーム操作信号が下げ側を示す場合に、ブーム1制御弁23は、ブーム操作信号に対応する圧油の目標流量をブームシリンダ5のロッド側油室に供給するよう駆動される。
アーム操作信号がクラウド側を示す場合に、第2制御弁コントローラ120に制御されるアーム1制御弁26は、アーム操作信号に対応する圧油の目標流量をアームシリンダ6のボトム側油室に供給するよう駆動され、アーム操作信号がダンプ側を示す場合に、アーム1制御弁26は、アーム操作信号に対応する圧油の目標流量をアームシリンダ6のロッド側油室に圧油を供給するよう駆動される。また、ブーム2制御弁27及びアーム2制御弁24からは操作量によらず圧油が供給されない。
図12C及び図12Fにおける実線部分は、操作右レバー装置1cと操作左レバー装置1dがブーム8及びアーム9の複合操作を示す場合に、ブーム1制御弁制御弁23及びブーム2制御弁27からの圧油が合流してブームシリンダ5が動作した結果の目標速度(以下適宜「ブーム複合目標速度マップ」という)と、アーム2制御弁24及びアーム1制御弁26からの圧油が合流してアームシリンダ6が動作した結果の目標速度(以下適宜「アーム複合目標速度マップ」という)を示している。
図13は本発明の第2の実施の形態における制御弁コントローラ故障判定部による故障判定処理を示すフローチャート図である。以下、図13のフローを構成する各ステップについて順に説明する。
制御弁コントローラ故障判定部101は、ステップS10102aにて、操作レバー装置の操作内容を読み出す。続くステップS10103aにて、停止及び単独操作からブーム8及びアーム9複合操作に変化したか否かを判定する。
ステップS10103aでYES(レバー操作が複合操作に変化した)と判定した場合は、ステップS10104aにて、ブーム8が動作しないか否かを判定する。具体的には、ブームストロークセンサS50が検出した信号を読み出して、ブームシリンダ5が動作しないか否かを判定する。
ステップS10104aでYES(ブームシリンダ5が動作しない)と判定した場合は、ステップS10105aにて、第1制御弁コントローラ110を故障、第2制御弁コントローラ120を正常と判定して、続くステップS10115aにて、故障判定結果を制御弁切換目標量決定部102及び制御弁コントローラ出力切換部103に出力し、処理を終了する。
ステップS10104aでNO(ブームシリンダ5が動作する)と判定した場合は、ステップS10106aにて、アーム9が動作しないか否かを判定する。具体的には、アームストロークセンサS60が検出した信号を読み出して、アームシリンダ6が動作しないか否かを判定する。
ステップS10106aでYES(アームシリンダ6が動作しない)と判定した場合は、ステップS10107aにて、第1制御弁コントローラ110を正常、第2制御弁コントローラ120を故障と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10106aでNO(アームシリンダ6が動作する)と判定した場合は、ステップS10114aにて、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120を共に正常と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10103aでNO(レバー操作が複合操作に変化してない)と判定した場合は、ステップS10108aにて、レバー操作が複合操作からブーム操作の停止に変化したか否かを判定する。
ステップS10108aでYES(複合操作からブーム8を停止させた)と判定した場合は、ステップS10109aにて、ブーム8が動作を継続しているか否かを判定する。具体的には、ブームストロークセンサS50が検出した信号を読み出して、ブームシリンダ5が動作継続しているか否かを判定する。
ステップS10109aでYES(ブームシリンダ5の動作が継続している)と判定した場合は、ステップS10110aにて、第1制御弁コントローラ110を正常、第2制御弁コントローラ120を故障と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10109aでNO(ブームシリンダ5の動作が停止している)と判定した場合は、ステップS10114aにて、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120を共に正常と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10108aでNO(複合操作でブーム操作を継続)と判定した場合は、ステップS10111aにて、レバー操作が複合操作からアーム操作の停止に変化したか否かを判定する。
ステップS10111aでYES(複合操作からアーム9を停止させた)と判定した場合は、ステップS10112aにて、アーム9が動作を継続しているか否かを判定する。具体的には、アームストロークセンサS60が検出した信号を読み出して、アームシリンダ6が動作継続しているか否かを判定する。
ステップS10112aでYES(アームシリンダ6の動作が継続している)と判定した場合は、ステップS10113aにて、第1制御弁コントローラ110を故障、第2制御弁コントローラ120を正常と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10112aでNO(アームシリンダ6の動作が停止している)と判定した場合は、ステップS10114aにて、第1制御弁コントローラ110及び第2制御弁コントローラ120を共に正常と判定して、続くステップS10115aにて故障判定結果を出力し、処理を終了する。
ステップS10111aでNO(複合操作からアーム9を停止させていない)と判定した場合は、ステップS10115aへ進み、ステップS10115aにて、以前の故障判定結果を踏襲し、故障、正常、保留のいずれかの故障判定結果を出力し、処理を終了する。
次に、第1制御弁コントローラ110と第2制御弁コントローラ120のいずれかが故障と判定された場合に参照する、故障時制御弁目標流量マップについて、図14A乃至図14Dを用いて説明する。図14Aは本発明の第2の実施の形態における故障時のブーム操作信号と故障時ブーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図14Bは本発明の第2の実施の形態における故障時のブーム操作信号と故障時ブーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図14Cは本発明の第2の実施の形態における故障時のアーム操作信号と故障時アーム2制御弁目標流量との対応関係を示す特性図、図14Dは本発明の第2の実施の形態における故障時のアーム操作信号と故障時アーム1制御弁目標流量との対応関係を示す特性図である。
図14A及び図14Cは、第2制御弁コントローラ120が故障と判定された場合における、ブーム操作信号とブーム1制御弁の目標流量との対応関係と、アーム操作信号とアーム2制御弁の目標流量との対応関係を示す図である。
図14B及び図14Dは、第1制御弁コントローラ110が故障と判定された場合における、ブーム操作信号とブーム2制御弁の目標流量との対応関係と、アーム操作信号とアーム1制御弁の目標流量との対応関係を示す図である。
図14Aにおいて、一点鎖線で示す特性線は、図12Aで示した故障がない場合の複合操作時のブーム操作信号とブーム1制御弁の目標流量との対応関係を示し、実線で示す特性線は第2制御弁コントローラ120が故障と判定された場合の複合操作時のブーム操作信号とブーム1制御弁の目標流量との対応関係(「故障時ブーム複合制御弁目標流量マップ」)を示している。また図14Cにおいて、実線で示す特性線は第2制御弁コントローラ120が故障と判定された場合の複合操作時のアーム操作信号とアーム2制御弁の目標流量との対応関係(「故障時アーム複合制御弁目標流量マップ」)を示している。
図14Dにおいて、一点鎖線で示す特性線は、図12Eで示した故障がない場合の複合操作時のアーム操作信号とアーム1制御弁の目標流量との対応関係を示し、実線で示す特性線は第1制御弁コントローラ110が故障と判定された場合の複合操作時のアーム操作信号とアーム1制御弁の目標流量との対応関係(「故障時アーム複合制御弁目標流量マップ」)を示している。また図14Bにおいて、実線で示す特性線は第1制御弁コントローラ110が故障と判定された場合の複合操作時のブーム操作信号とブーム2制御弁の目標流量との対応関係(「故障時ブーム複合制御弁目標流量マップ」)を示している。
これらの複合制御弁目標流量マップは、いずれかの制御弁コントローラが故障と判定された場合において、他方の制御弁コントローラで制御される制御弁から圧油をブームシリンダ5及びアームシリンダ6に供給することを目的として、故障時ブーム複合制御弁目標流量マップ及び故障時アーム複合制御弁目標流量マップとして、ブーム操作信号及びアーム操作信号に対応する制御弁目標流量が設定されている。
上述した本発明の油圧作業機械の電気式操作装置の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した本発明の油圧作業機械の電気式操作装置の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態における電気式操作装置が、ブームシリンダ単独目標速度マップと、ブームシリンダストロークセンサS50を用いて検出したブームシリンダ測定速度とを比較して制御弁コントローラの故障状態を判定するのに対し、停止及び単独操作と複合操作の切り換わりと、ブーム及びアームシリンダの動作の有無との比較で制御弁コントローラの故障を判定するため、第1の実施形態よりも構成が簡便になるという利点がある。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態では、ブームシリンダ5及びアームシリンダ6に本発明を適用した例を説明したが、複数の制御弁を介して圧油を供給するように構成された油圧アクチュエータであれば、これらに限らず適用可能である。
さらに、上記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。