JP6492833B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、像が担持されるベルト状の像担持体に対し、これと対向配置された転写部材を接触させることで転写部となる転写ニップを形成し、当該転写ニップで記録材に像を転写する方式がある。このような方式の場合、転写ニップに搬送される記録材と像担持体とが転写ニップで接触すると電位差によって放電が誘発されることから、転写部材を記録材搬送方向上流側にオフセットして配置しているものがある(例えば特許文献1)。
しかし、転写部材を単に記録材搬送方向上流側にオフセットさせることで転写ニップ前の放電を抑制した場合、広がった転写ニップにおいて転写電流が流れ出し、トナーに過充電が発生し転写不良を起こす要因となることがある。この転写電流が流れ出す現象は記録材搬送方向上流側へのニップ拡大には留まらず、記録材搬送方向下流側へニップ幅を拡大した場合にも言えることである。
本発明は、転写部でのトナーの過充電による異常画像を防止することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、トナー像が担持されるベルト状の像担持体と、前記像担持体と対向配置された転写部材と、前記像担持体を介して前記転写部材に対向する対向部材と、前記像担持体を介して前記転写部材と前記対向部材とが接触する転写部で前記トナー像を記録材へ転写するために転写バイアスを出力する転写バイアス出力手段とを備え、前記転写部よりも上流側又は下流側の少なくとも一方において前記像担持体が前記転写部材の外周面に沿うように配置され、前記転写部に供給される転写バイアスは、少なくとも前記像担持体上のトナー像を前記記録材へ転写する際に、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、前記転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わって周期変動するものであり、前記転写バイアスの1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間を50%よりも大きくし、前記転写方向のバイアスと前記逆方向のバイアスとは、0Vを境にして互いに逆極性のバイアスであって、前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、前記転写バイアスが逆極性である時間であることを特徴としている。
本発明によれば、転写部でのトナーに対する過充電を防止でき、異常画像を防止することができる。
本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図。 図1に示す画像形成装置における画像形成ユニットの拡大構成図。 ベルト状の像担持体の構成を説明する図であり、(a)は、コート層を備えた弾性ベルトからなる像担持体の部分拡大断面図、(b)は粒子を備えた弾性ベルトからなる像担持体の部分拡大断面図、(c)は図3(b)の部分拡大平面図。 (a)、(b)は転写ニップ前での放電現象を説明する図。 (a)、(b)は転写ニップとプレニップを説明する図。 異なる材質のベルト状の像担持体に対して転写部材のオフセット量を変化させた場合のプレニップ放電の有無についての実験結果を示す図。 プレニップ量を説明する図。 (a)〜(d)はプレニップ量の特定方法を説明する図。 (a)、(b)はプレニップ量の別な特定方法を説明する図。 本発明に係る制御系の一実施形態を示すブロック図。 本発明に係る電源の電気回路の要部と、それに係る構成部材の一実施形態を示すブロック図。 (a)は本発明に係る電源から出力する理想的な高Dutyの出力波形の一形態を示す図、(b)は(a)で出力した高Dutyの実際の出力波形を示す図。 (a)〜(c)は、図12(b)の波形を模式的に記載して、Dutyを説明するための図である。 (a)〜(e)は、実験に用いた出力波形を示す図。 図14に示す出力波形を用いた実験結果の示す図。 画像面積率と二次転写バイアスの転写電流の関係を示すテーブル。 絶対湿度ごとの補正率を示す補正テーブル。 制御部で実行される抵抗値検出補正処理の一実施形態を示すフローチャート。 抵抗検出補正処理の結果に応じて選択される二次転写バイアスを区分してまとめた判定テーブル。 図19で判定された二次転写バイアスを補正するための補正率を区分した補正率テーブル。 本発明に係る画像形成装置の別な実施形態を示す概略構成図。 本発明に係る電源から出力する高Dutyの出力波形の別形態を示す図。
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。実施形態において、同一の機能や同一構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために部分的に省略する場合もある。なお、図中Y、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応した構成部材に付す添え字であり、適宜省略する。
本発明に係る画像形成装置としての電子写真方式のカラープリンタ(以下、「プリンタ」という)100の一実施形態について説明する。
プリンタ100の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。図1において、プリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)を備える。プリンタ100は、転写装置としての転写ユニット30、記録材Pを収納するカセット60、定着装置90、制御部200を備えている。
四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、粉体であり現像剤として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。つまり、四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、画像形成装置本体としてのプリンタ本体100Aに対して着脱自在に設けられていて、交換可能とされている。
図2は、四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)のうちの一つの拡大概略構成図である。四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、使用するトナーの色が異なる以外は、同様の構成を備えている。このため、図2では、使用するトナーの色を示す添え字(Y、M、C、K)は省略している。
画像形成ユニット1は、像担持体たるドラム状の感光体2、ドラムクリーニング装置3、除電装置、帯電装置6、現像装置8等を備えている。画像形成ユニット1は、これら複数の装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体100Aに対して一体的に脱着可能なプロセスカートリッジユニットを構成していて、ユニット単位で交換可能とされている。
感光体2は、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成されたドラム形状のものであって、モータ等の駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6は、帯電バイアスが印加される帯電部材となる帯電ローラ7を感光体2に接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7と感光体2との間に放電を発生させることで、感光体2の表面を一様帯電させている。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2に接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
帯電ローラ7で一様帯電された感光体2の表面は、光書込ユニット101から発せられるレーザー光などの露光光によって光走査されて各色用の静電潜像を担持する。この静電潜像は、各色のトナーを用いる現像装置8によって現像されて各色の像としてのトナー像になる。感光体2のトナー像は、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト31のおもて面31a上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3は、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2の表面に付着している転写残トナーを除去するものである。ドラムクリーニング装置3は、回転駆動されるクリーニングブラシローラ4、感光体2に当接するクリーニングブレード5などを有していて、クリーニングブラシローラ4で転写残トナーを感光体2の表面から掻き取り、クリーニングブレード5で転写残トナーを感光体2の表面から掻き落としてクリーニングする。除電装置は、ドラムクリーニング装置3によってクリーニングされた後の感光体2の残留電荷を除電する周知のものである。感光体2の表面は、この除電によって初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8は、現像剤担持体となる現像ローラ9を内包する現像部12と、現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13とを有している。現像剤搬送部13は、第一スクリュー部材10を収容する第一搬送室と、第二スクリュー部材11を収容する第二搬送室とを有している。第一スクリュー部材10及び第二スクリュー部材11は、現像装置8のケースなどに回転自在に支持されていて、回転駆動されることで、現像剤を循環させながら搬送して現像ローラ9に現像剤を供給している。
図1に示すように、画像形成ユニット1(Y、M、C、K)の上方には、潜像書込手段としての光書込ユニット101が配設されている。この光書込ユニット101は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像データに基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2(Y、M、C、K)を光走査する。この光走査により、感光体2(Y、M、C、K)上には、Y、M、C、K用の静電潜像がそれぞれ形成される。
画像形成ユニット1(Y、M、C、K)の下方には、中間転写ベルト31を張架しながら図中時計回り方向に無端移動(回転走行)せしめるベルトユニットであり転写装置である転写ユニット30が配設されている。中間転写ベルト31の回転移動方向をベルト移動方向aとする。
転写ユニット30は、ベルト状の像担持体であり中間転写体でもある中間転写ベルト31の他に、複数の回転支持部材としての駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34と、四つの一次転写ローラ35(Y、M、C、K)と、押し下げ部材としての転写前ローラ37とを備えている。転写ユニット30は、プリンタ本体100Aに対してユニットごと着脱自在(交換可能)とされている。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、四つの一次転写ローラ35(Y、M、C、K)及び転写前ローラ37に巻き掛けられて支持され張架されている。そして、駆動モータなどの駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動して搬送される。すなわち、転写ユニット30は、複数の回転体でベルト部材を巻き掛けて支持して搬送するものである。
本実施形態において、中間転写ベルト31は、図3(a)に示すように、少なくとも基層310、弾性層311、表面のコート層312の複数の層が積層された弾性を有する中間転写体である。基層310は、ある程度の屈曲性を有し且つ剛性の高い材料からなる無端ベルト状の部材である。弾性層311は、基層310のおもて面上に積層された柔軟性に優れた弾性材料から構成されている。
中間転写ベルト31の弾性層311に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられ、具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
弾性層311の厚さは、硬度及び層構成にもよるが、0.07〜0.8[mm]の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.5[mm]の範囲がよい。又、中間転写ベルト31の厚さが0.07[mm]以下と薄いと、二次転写ニップで中間転写ベルト31上のトナーに対する圧力が高くなり、転写中抜けが発生し易くなり、トナーの転写率も低下するので、弾性層311の厚さとしては適切ではない。
弾性層311の硬度は、10°≦HS≦65°(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト31の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じ易い。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また、長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
中間転写ベルト31の基層310は、伸びの少ない樹脂で構成している。具体的に、基層に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン等を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
伸びの大きなゴム材料などからなる弾性層311の伸びを防止するために、基層310と弾性層311との間に帆布などの材料で構成された芯体層を設けてもよい。
中間転写ベルト31のコート層312は、弾性層311の表面をコーティングするためのものであり、平滑性のよい層からなるものである。コート層312に用いられる材料としては、特に制限はないが、一般的に、中間転写ベルト31のおもて面31aへのトナーの付着カを小さくして二次転写性を高める材料が用いられる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上、又は、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素材脂、フッ素化合物等の粒子を1種類あるいは2種類以上、又は必要に応じて粒径を変えたものを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
また、必要に応じて、基層310、弾性層311又はコート層312は、抵抗を調整する目的で、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末や導電性金属酸化物等を用いることができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
中間転写ベルト31のおもて面31aには、使用するトナーや中間転写ベルトの材質、表面摩擦係数などの関係から、必要に応じて、ベルト表面を保護するために、潤滑剤塗布装置で潤滑剤を塗布するようにしてもよい。潤滑剤としてはステアリン酸亜鉛などが挙げられ、例えばステアリン酸亜鉛の塊などの固形潤滑剤を塗布部材として塗布ブラシローラで掻き取って得た潤滑剤粉末を中間転写ベルト31のおもて面31aに塗布するようにしてもよい。
中間転写ベルト31として、図3(b)に示すように、基層310、弾性層311を積層するとともに、弾性層311に多数の粒子313が分散されているものであってもよい。粒子313は自らの一部を弾性層311の表面から突出させた状態で、図3(c)に示すように、ベルト面方向に密集して並んでいる。それら複数の粒子313により、複数の凹凸がベルト面となるおもて面31aに形成されている。
弾性層311の弾性材料に分散せしめる粒子313としては、平均粒子径が100μm以下であり、真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶であり、且つ3%熱分解温度が200℃以上である樹脂粒子を用いる。粒子313の樹脂材料に特に制限はないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴムなどを例示することができる。これらの樹脂材料からなる粒子の母体表面を異種材料で表面処理してもよい。ゴムからなる球状の母体粒子の表面に硬い樹脂をコートしてもよい。また、母体粒子として、中空のものや、多孔質のものを用いてもよい。
これまで例示した樹脂材料の中でも、滑性、トナーに対しての離型性、耐磨耗性などに優れているという観点から、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。樹脂材料を重合法などによって球状の形状に仕上げた粒子であることが好ましく、真球に近いものほど好ましい。また、粒子313としては、体積平均粒径が1.0μm〜5.0μmであり、且つ単分散粒子であるものを用いることが望ましい。単分散粒子は、単一粒子径の粒子ではなく、粒度分布が極めてシャープな粒子である。具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅の粒子である。粒子313の粒径が1.0μm未満であると、粒子313による転写性能の促進効果が十分に得られなくなる。これに対し、粒径が5.0μmよりも大きいと、粒子間の隙間が大きくなってベルト表面粗さを大きくしてしまうことから、トナーを良好に転写できなくなったり、中間転写ベルト31のクリーニング不良を発生させ易くなったりする。更には、樹脂材料からなる粒子313は一般に絶縁性が高いことから、粒径が大きすぎると粒子313の電荷により、連続プリント時にこの電荷の蓄積による画像乱れを引き起こし易くなる。
粒子313としては、特別に合成したものを用いても良いし、市販品を用いてもよい。粒子313を弾性層311に直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。このようにすることで、粒子313同士のベルト厚み方向の重なり合いをほぼなくすことができる。複数の粒子313の弾性層311の表面方向における断面の径は、できるだけ均一であることが望ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅にすることが好ましい。このため、粒子313の粉末として、粒径分布の小さなものを用いることが好ましいが、特定の粒径の粒子313だけを選択的に弾性層311表面に塗布することを実現する方法を採用すれば、粒径分布の比較的大きな粉末を用いることも可能である。なお、粒子313を弾性層311表面に塗布するタイミングは特に限定されず、弾性層311の弾性材料の架橋前、架橋後の何れであってもよい。
粒子313が分散せしめられた弾性層311の表面方向において、粒子31が存在している部分と、弾性層311の表面が露出している部分との投影面積比については、粒子313が存在している部分の投影面積率を60%以上にすることが望ましい。60%に満たない場合には、トナーと弾性層311の無垢の表面とを直接接触させる機会を増加させて良好なトナー転写性が得られなくなったり、ベルト表面からのトナークリーニング性を低下させたり、ベルト表面の耐フィルミング性を低下させたりする。なお、中間転写ベルト31として、弾性層311に粒子313を分散させていないものを用いることも可能である。
四つの一次転写ローラ35(Y、M、C、K)は、無端移動される中間転写ベルト31を感光体2(Y、M、C、K)との間に挟み込んでいて、中間転写ベルト31の像担持面を成すおもて面31aと感光体2(Y、M、C、K)とが当接するY、M、C、K用の転写部となる一次転写ニップを形成している。一次転写ローラ35(Y、M、C、K)には、周知の転写バイアス電源よりそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2(Y、M、C、K)上のY、M、C、Kのトナー像と、一次転写ローラ35(Y、M、C、K)との間に転写電界が形成される。
イエロー用の感光体2Yの表面に形成されたYトナー像は、イエロー用の感光体2Yの回転に伴ってイエロー用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、イエロー用感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写された中間転写ベルト31は、その後、M、C、K用の一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2(M、C、K)上のM、C、Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には四色重ね合わせトナー像が形成される。一次転写部材として、一次転写ローラ35(Y、M、C、K)に代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。なお、ここまでの画像形成工程では、4色フルカラー画像を形成することを前提として説明したが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの何れかの単色トナー像、あるいは前記カラーの内の少なくとも2色のトナーを用いたトナー像を形成して中間転写ベルト31に転写することも可能である。
中間転写ベルト31のループ外側の周囲は、像担持体であり転写部材としての二次転写ベルト404を備えたベルト方式の二次転写ユニット41が配置されている。二次転写ユニット41は、ループ内側の二次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31を挟み込み、中間転写ベルト31のおもて面31aと、二次転写ベルト404とが当接する転写部であり転写ニップとなる二次転写ニップNを形成している。この実施形態では二次転写裏面ローラ33に転写バイアス出力手段としての電源39により二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ33と二次転写ベルト404との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側から二次転写ベルト404側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
二次転写ユニット41は、支持ユニット40に着脱可能に支持されていて、ユニット単位で交換可能とされている。二次転写ユニット41は、二次転写裏面ローラ33と中間転写ベルト31を介して対向配置された回転体であり転写部材でもある二次転写ローラ36を備えている。二次転写ユニット41は、3つの回転体としてローラ401、402、403と、二次転写ローラ36及びローラ401、402、403に巻き掛けられた二次転写ベルト404とを備えている。つまり、二次転写ユニット41は、転写部材が無端状のベルト部材で構成された二次転写ベルト404であって、複数の回転体となる二次転写ローラ36及びローラ401、402、403で二次転写ベルト404を巻き掛けて支持して搬送するベルトユニットである。なお、二次転写ローラ36はニップ形成ローラともいう。
二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31のおもて面31aのトナー像を記録材Pに対して二次転写させるものである。すなわち、二次転写ローラ36は、二次転写ベルト404内に設けられていて、二次転写裏面ローラ33と対向配置されている。二次転写ローラ36は、二次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31と二次転写ベルト404を挟み込んでいる。二次転写ローラ36は、二次転写ベルト404に対して付勢されることで当接していて、中間転写ベルト31と二次転写ベルト404の間に二次転写ニップNを形成している。
二次転写ベルト404としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂材質のベルト部材を選択して用いることができる。二次転写ベルト404としては、これら材質ではなく、弾性材質のベルト部材を用いても良い。本実施形態では、厚みが80μmのポリイミド製のベルト(PIベルト)を用いている。
ローラ401は、静電吸着力によって二次転写ベルト404上に貼り付いた記録材Pを、ローラ401の曲率分離によって二次転写ベルト404上から剥離させるものである。ローラ403は、付勢手段としてのテンションバネ406によって二次転写ベルト404を内側から外側に付勢していてテンションローラを構成している。ローラ403と対向する二次転写ベルト404の外側には、クリーニング部材となるクリーニングブレード405が接触していて、二次転写ベルト404上に残留する紙粉やトナーを掻き取っている。つまり、ローラ403は、クリーニングブレード対向ローラとしても機能している。
二次転写ユニット41は、濃度検出手段としてのパターン検出センサ407がローラ402と対向する二次転写ベルト404の外側に配置されている。パターン検出センサ407は画像濃度調整に用いているものである。
ベルトト方式を用いた二次転写ユニット41においては、記録材Pが二次転写ニップNを通過した際、二次転写ベルト404に対しての吸着力が働き、これが中間転写ベルト31への吸着力よりも強いために、中間転写ベル31から確実に記録材Pを分離できるという利点を有しており、ベルト方式を採用することで、本実施形態では薄紙にも対応できる構成とされている。
本実施形態では、二次転写裏面ローラ33に、二次転写に用いるバイアス(二次転写バイアス)を電源39から印加するように構成しているが、二次転写ローラ36にバイアスを電源39から印加するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアス)を印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
本実施形態において、電源39は、二次転写ニップNでトナー像を記録材Pへ転写するために電圧である二次転写バイアスを出力するものである。電源39から二次転写裏面ローラ33に印加される電圧である二次転写バイアスは、直流成分である直流電流と、直流成分である直流電流に交流成分である交流電流を重畳した重畳バイアスの2種類がある。
つまり転写部に供給される電圧は、少なくとも像担持体上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆極性の戻し方向の電圧とが交互に切り替わるものであり、電圧の1周期中に占める戻し方向の電圧が印加される時間を50%よりも大きくなるように電源39から出力される二次転写バイアスである。二次転写バイアスについては、後段で詳細に説明する。
二次転写ユニット41の下方には、各種用紙や樹脂シートなどの記録材Pを複数枚重ねた束の状態で収容している収容部となるカセット60が配設されている。このカセット60は、束の一番上の記録材Pにローラ60aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録材Pをカセット60から二次転写ニップNの間に形成された搬送路65に向けて送り出す。搬送路65には、搬送ローラ対とレジストローラ対61と、下ガイド部材62が配設されている。このレジストローラ対61は、カセット60から送り出された記録材Pを二次転写ニップN内で中間転写ベルト31のおもて面31a上の四色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動して、記録材Pを二次転写ニップNに向けて送り出す。
二次転写ニップNで記録材Pに転写された中間転写ベルト31のおもて面31aの四色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録材P上に一括二次転写され、記録材Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。二次転写ニップNを通過した後の中間転写ベルト31には、記録材Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。転写残トナーは、中間転写ベルト31のおもて面31aに当接しているベルトクリーニング装置38によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置38によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
二次転写ニップNよりも記録材搬送方向bの下流側には、周知の定着装置90が配設されている。定着装置90には、トナー像が転写された記録材Pが送り込まれる。送り込まれた記録材Pは、熱源を内部に備えた定着ローラ91と加圧ローラ92とが接触する定着ニップに挟まれ、加熱と加圧によって、フルカラートナー像中のトナーが軟化して定着される。定着後の記録材Pは、定着装置90内から排出されて機外へと排出される。
本実施形態では、二次転写裏面ローラ33に、二次転写に用いるバイアス(二次転写バイアス)を電源39から印加するように構成している。このため、二次転写裏面ローラ33はバイアスが印加されるローラであり、負帯電のトナーに対して負極性の転写バイアスをかけることで、斥力で転写しているため、斥力ローラと呼ぶこともある
二次転写バイアスとしては、二次転写裏面ローラ33ではなく、二次転写ローラ36に電源39から印加供給するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアスを印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
記録材Pが二次転写ニップNに突入する際、二次転写バイアスが印加される二次転写裏面ローラ33に巻き付けられている中間転写ベルト31のおもて面31aと記録材Pとの間の空隙で放電が発生することをプレニップ放電と称している。たとえば図4(a)に示すように、二次転写ローラ36を二次転写裏面ローラ33との対向する位置から記録材搬送方向bの上流側(図中右方)にオフセットさせていない場合、二次転写ニップの入口側において中間転写ベルト31と記録材Pとの間に入口の空隙Sが形成され、放電が発生する。
一方、図4(b)に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットすると、記録材Pは二次転写ニップNより先に中間転写ベルト31に密着する。このため、二次転写バイアスが印加されて高電界となっている二次転写裏面ローラ33の領域(二次転写ニップN)に到達する時点では空隙Sは小さくなっており、放電を防ぐことができる。
プレニップ放電は、二次転写裏面ローラ33への電圧や中間転写ベルト31、二次転写裏面ローラ33、二次転写ローラ36や二次転写ベルト404の抵抗、材質、記録材Pの種類、搬送の状態などによって発生のしやすさが異なり、中間転写ベルト31が弾性ベルトの場合、特にプレニップ放電が発生し易いことが、本願発明者らによる実験によりわかった。したがって、記録材搬送方向bの上流側への二次転写ローラ36のオフセット量を増やすことで放電を防止することができることが知られている。
ここで、図5(a)、図5(b)を用いて、二次転写ニップNについて説明する。 図5(a)は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36を介して二次転写ベルト404とを一定圧で圧接させた状態で、オフセットしていない状態を示す。
図5(b)は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36を介して二次転写ベルト404とを一定圧で圧接させた状態で、矢印Zで示す記録材搬送方向の上流側へオフセットしたものである。
二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心間距離が同じであり、両ローラ及び二次転写ベルト404の潰れ方が同じだと仮定した場合、ニップ自体は幾何学的に決まる。図5(a)、図5(b)に示すように、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の2つのローラの間に挟まれている本ニップn1の領域の長さL1は共通である。オフセット方向Zにオフセットしている図5(b)の場合には、中間転写ベルト31が二次転写ベルト404を介して二次転写ローラ36の外周面36aにのみ巻き付いている長さL2のプレニップn2が存在する。
すなわち、プレニップn2があるかどうかの区別は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の軸心同士を結んだ一点鎖線で示す直線とニップ上流側において中間転写ベルト31が張られる方向との角度α1によって決まる。すなわち、(図5(a)に示すように、一点鎖線下側と上流側の中間転写ベルト31との成す角α1が90度以上ならばプレニップn2はなく、図5(b)に示すように、角度α1が90度より小さければプレニップn2は形成されて存在している。
なお、ここでは転写部材として二次転写ベルト404を用いているが、転写部材として二次転写ローラ36を単独で用いるローラ転写方式の場合は、中間転写ベルト31が二次転写ローラ36の外周面36aにのみ直接巻き付いている長さL2がプレニップn2となる。このため、図5(a)に示すようにオフセット無しの場合、二次転写ニップNの幅Lは本ニップn1の領域の長さL1となり、図5(b)に示すオフセット在りの場合、二次転写ニップNの幅Lは、本ニップn1の領域の長さL1+プレニップn2の長さL2となる。
このようにプレニップn2を有する構成においては、記録紙Pが本ニップn1にあるときに、記録紙Pの裏面はプレニップn2で二次転写ローラ36の外周面36aに接しており、記録材Pの表面Paは本ニップn1で中間転写ベルト31を介して二次転写裏面ローラ33の外周面33aに接している。そのため、二次転写バイアスの転写電流が記録材P(界面)にて表面積方向にも広がりながら流れていく。このとき、オフセットしていない狭い二次転写ニップNの場合よりもトナーへの過充電が起こり易くなる。
二次転写ニップNよりも記録材搬送方向bの上流側での放電や、その余裕度も中間転写ベルト31の種類によって異なる場合がある。例えば、図6は、異なる材質の中間転写ベルトに対して、二次転写ローラ36のオフセット量を変化させた場合のプレニップ放電の有無についての実験結果である。
なお、図6では、オフセットさせることでできる記録材Pと中間転写ベルト31とのニップ前での接触距離をプレニップ量と呼んでいる。オフセットさせることでプレニップは形成されるので、二次転写ローラ36の位置以外を固定すると、オフセット量とプレニップ量は一対一で対応する。すなわち、中間転写ベルト31のニップ前の軌跡やローラ径、硬度などを変えるとそれによってもプレニップ量は変わるので、ここを固定すると一対一で対応することになる。
ここで、本実験におけるプレニップ量について図7を用いて説明する。
図7は、二次転写裏面ローラ33、二次転写ローラ36、弾性ベルトで構成された中間転写ベルト31及転写前ローラ37を抜き出した図である。このとき、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心を結んだ破線と、二次転写ローラ36の中心から中間転写ベルト31への垂線とのなす角度をα[deg]としている。このときプレニップ量は、2π×(二次転写ローラ36の半径)×α/360°と定義する。すなわち、中間転写ベルト31のうち、二次転写ローラ36の外周面36aに対して巻きついている部分をプレニップと定義している。そのため、プレニップ量は、前述のように、二次転写ローラ36の径や中間転写ベルト31の軌跡などによって変化する。しかし、これら変動要素を固定して考えると、二次転写ローラ36のオフセット量で決まる。図6のプレニップ量と放電との関係は、このようにしてオフセット量を変化させてプレニップ量を変えている。
図6は、中間転写ベル31トとして弾性ベルト・PIベルトの2種類を用意し、二次転写ローラ36を搬送方向上流側にオフセットすることでプレニップ量を変化させ、各構成における放電余裕度を普通紙と薄紙に対して、二次転写バイアスとして二次転写電流を変化させて確認した結果である。図6中○は放電の異常画像が出ないもの、△は良く見ると僅かながら発生している、×は異常が容易に見つかるとしている。
図6によると、二次転写電流が高いほど二次転写電圧は高くなるため、放電に対して厳しい。そのため、より幅広い電流域で(高電流で)放電が出ないほど余裕がある。また、本実施形態では転写性の観点から設定電流(目標電流A1)として―120[μA]を用いているため、少なくともこの設定において放電が出ないことが必須である。この観点から見た場合、弾性ベルトではプレニップ量として4mm以上が必須であり、PIベルトでは2mm以上が必須である。
なお、この実験結果(の数値)は、本実施形態の構成においてのものであり、一般的にベルト膜厚やローラ径・硬度・プロセス線速など様々な要因により余裕は変わるので、必要なプレニップ量は画像形成装置毎に異なる。また、同じ構成であれば、中間転写ベル31としてPIベルトを用いる場合の方が、弾性ベルトを用いる場合に比べて放電への余裕度が大きくなる。なお、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36とに挟まれている図5で説明した本ニップn1の量(記録材搬送方向bへの幅)は一般に2mm〜5mm程度に設定されることが多い。
さらに詳しく本実施形態について説明をする。
図7に示す構成において、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径は同一として、二次転写ローラ35の硬度は70HS(JIS A)、二次転写裏面ローラ33はゴム硬度AskerC50°としている。これは二次転写ローラ36が固い方が、弾性の中間転写ベルト31のゴム性を活かし易いためであるが、硬度の組み合わせ、大小関係は前述の数値・関係に限らず、様々なものを用いてよい。
また、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径の関係も異なる数値であっても、大小どちらの組み合わせでも本発明の効果は得られる。
本実施形態では、図7に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットさせることで、記録材Pを二次転写ニップNより手前側で中間転写ベルト31に密着させて運ぶため、ニップ前の中間転写ベルト31と記録材Pとの空隙S(図4(b))をなくすことで放電を防止している。また、電界分布から本実施形態の効果を説明すると、転写電界の分布としては二次転写ニップNが最も強い電界が働いており、徐々に手前側(搬送方向上流側)が弱くなっている。記録材Pが電界分布の強いところで中間転写ベルト31と接触すると、その過程で中間転写ベルト31と記録材Pとの間に空隙Sがあると、空隙で放電が起こる。そのため、電界の弱いニップ上流側(ニップ手前側)で中間転写ベルト31と記録材Pとを接触させることで放電を防ぐことが可能となる。
なお、本実施形態において、電源39から出力される二次転写バイアスは、定電流制御を用いている。これは、中間転写ベルト31と記録材Pの抵抗によらず、二次転写ニップNに対して一定の転写電圧(転写電界)を得られるようにするためである。
次に、プレニップ量の異なる特定方法について、図8、図9を用いて説明する。
図8に示すプレニップ量の特定方法1では、
図8(a)に示すように、本ニップ幅を特定する。この本ニップ幅を特定するには、ニッタ株式会社製の面圧分布測定システムI-SCAN(商品名)にて圧がかかっている部分を推定する。具体的には、ここでは厚分布Aと圧分布Bとに示すような異なるハッチングパターンで示す圧分布が得られるので、予め決めた閾値以上の圧を本ニップ幅と定義する。
次に図8(b)に示すように、本ニップ+プレニップ幅を測定する。この測定には、中間転写ベルト31にある程度の幅(例えば10mm程度)のトナーを付着する。トナーを付着する領域は二次転写ニップNよりも十分広い領域とする。
次に図8(c)に示すように、この状態で中間転写ベルト31に対して二次転写部材の当接と離間の動作を何度も繰り返す。本実施形態では、二次転写ユニット41の当接離間動作を行うとともに、必要に応じて二次転写ユニット41を引き出して清掃した上で、再度当接と離間を繰り返す。二次転写ベルト404を用いずに転写部材としての次二次転写ローラ36を用いる場合には、二次転写ローラ36を当接離間動作させる。このような動作を行うと、中間転写ベルト31のトナーが薄くなった領域ができ、この領域が二次転写部材と中間転写ベルト31の接触領域(ニップ+プレニップ)となる。
図8(d)では、接触領域(本ニップ幅+プレニップ幅)の幅を計測し、この幅から本ニップ幅を引くことで、プレニップ幅(プレニップ量)がわかる。
図9に示すようにプレニップ量の特定方法2では、
図9(a)に示すように、 二次転写ローラ36、二次転写裏面ローラ33、中間転写ベルト31を上流側で張っている転写前ローラ37の3つの軸中心G1、G2、G3の座標を特定する。次に二次転写ローラ36と二次転写裏面ローラ33の外径と硬度を測定するとともに、転写前ローラ37の外径を測定する。
図9(b)に示すように、図9(a)で測定した測定結果より硬度の小さい側のみが潰れていると仮定して、3本のローラ位置をスケッチする。スケッチした結果から、二次転写ローラ36のみに巻きついている部分をプレニップn2とする。このような2つの特定方法を用いてプレニップn2を特定することができる。
なお、プレニップはローラ同士に挟まれていない領域で二次転写ローラ36の外周面36aや二次転写ベルト404の外周面にベルト状の像担持体(二次転写ベルト31)が巻き付いている範囲であり、この範囲の長さ(量)としては、概ね2〜5mmである。また、ローラ同士に挟まれて範囲であるニップ量(本ニップ量)は概ね2〜5mmである。
(実施形態1)
上述したように、プレニップn2を作ることで放電を防ぐことはできるが、このとき図5(b)に示すように、プレニップn2を増やすことで二次転写ニップNの総量としては増える。このため、転写電流が記録材Pの表面を伝ってから、アースされている二次転写ローラ36側へ流れやすくなる。これにより、トナーが過充電されて二次転写時に転写不良となる場合がある。
そこで、本実施形態では、電源39から二次転写裏面ローラ33に印加される二次転写バイアスとして、直流成分である直流電圧に交流成分である交流電圧を重畳した重畳バイアスを用いるとともに、高dutyの波形となるように電源39から二次転写バイアスを出力するように構成している。本実施形態において高dutyとは、50%よりも大きい状態を指す。
この高dutyの波形では、図12(a)を参照すると、交流電圧の一周期のうち、中間転写ベルト31(像担持体)側から記録材P側へトナー像を移動させる転写方向へのピーク電圧Vtの持続時間Aを50%未満とし、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくはピーク電圧Vtと逆極への電圧のピーク電圧(Vr)(転写方向に対して逆方向のピーク電圧Vrという)の持続時間Cを50%よりも大きくしている。前者である記録材P側へトナー像を移動させる転写方向のピーク電圧Vtによりトナーを記録材Pへ転写させる機能を確保しつつ、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくは極性が逆のピーク電圧Vrをピーク電圧Vtよりも長い時間持続させることで、トナー像が二次転写ニップNを通過する際にトナーに対して過充電することを防止することができる。
次にプリンタ100の制御系の構成について図10、図11を用いて説明する。
図10に示すように、制御部300は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)301、不揮発性メモリたるROM(Read Only Memory)302、一時記憶手段たるRAM(Random Access Memory)303を有している。プリンタ全体の制御を司る制御部300には、様々な構成機器やセンサ類が通信可能に信号線を介して接続されているが、図10においては、本プリンタの特徴的な構成に関連する構成機器だけを示している。なお、図10においては、各形態で用いる構成やセンサ類を併記しており、各形態の制御部300として機能するものとして説明する。
制御部300の入力側には、電位検出センサ63、パターン検出センサ407、温湿度検出センサ408が信号線を介して接続されている。制御部300の出力側には、二次転写用の電源39、一次転写用の電源81(Y、M、C、K)、書込みユニットの駆動部304、画像形成ユニットの駆動部305、中間転写ユニットの駆動部306、二次転写ユニットの駆動部307が信号線を介して接続されている。
1次転写用の電源81(Y、M、C、K)は、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに印加するための1次転写バイアスを出力するものである。
電源39は、二次転写裏面ローラ33に印加するための二次転写バイアスを出力する。この電源39は、制御部300によってその出力が制御される。なお、ここでは、電源39の出力制御にプリンタ全体の動作を制御する制御部300を用いているが、制御部の形態としては、プリンタ全体の動作の制御部とは個別に、電源39の出力制御用の制御部300を設けた形態であっても良い。
プリンタ500は、画像濃度を調整する画像調整モードを制御部300に備えている。制御部300は、電位検出センサ63からの検出結果と予め設定された設定値と比較し、設定値に達していない場合には画像調整時期であると判定して画像調整モードを始動する。
本実施形態において、プリンタ100は、作像条件を調整するための画像調整モードを有している。プリンタ100は、画像調整モードにより作像条件を調整する場合、現像バイアスや帯電バイアスを変化させて濃度調整用パターンとなるテストパッチをトナーで作像し、そのテストパッチを二次転写ベルト404上に転写して、パターン検出センサ407で濃度を検出し、この検出値に基づいて作像条件の調整を行うように構成されている。この処理は制御部300によって行われる。本実施形態では、二次転写ベルト404上でテストパッチを検出しているが、中間転写ベルト31上で検出するようにしても良い。
制御部300は、画像調整モードが始動すると、各感光体上にテストパッチを形成するように、書込みユニットの駆動部304と画像形成ユニットの駆動部305を駆動する。次に制御部300は、テストパッチ(トナー像)を中間転写ベルト31上に転写するように、一次転写用の電源81(Y、M、C、K)と中間転写ユニットの駆動モータ306を駆動する。制御部300は、中間転写ベルト31上に転写されたテストパッチを二次転写ベルト36上に転写すべく、電源39と二次転写ユニットの駆動部307を駆動する。
図11は、二次転写用の電源39の電気回路の要部を、二次転写裏面ローラ33や二次転写ローラ36などとともに示すブロック図である。電源39は、直流電源110と、交流電源140を備えている。この電源39は、制御部300に接続されていて、制御部300からの指令によって、その出力が制御される。電源39に制御部3300と異なる制御部を備えるようにしても良い。
直流電源110は、中間転写ベルト31のおもて面31a上のトナーに対して二次転写ニップN内でベルト側から記録材Pに向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。直流電源110は、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221を備えている。
交流電源140は、二次転写ニップN内に交流電界を形成するための交流電圧を出力するための電源である。交流電源140は、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、出力異常検知部145、電気接続部242と電気接続部243を備えている。
直流出力制御部111には、制御部300から直流電圧の出力の大きさを制御するDC_PWM信号が入力されるとともに、直流出力検知部114によって検知された直流電圧用トランス113の出力値も入力される。直流出力制御部111は、入力されたDC_PWM信号のデューティ比及び直流電圧用トランス113の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、直流電圧用トランス113の出力値をDC_PWM信号で指示された出力値にするように、直流駆動部112を介して直流電圧用トランス113の駆動を制御する。
直流駆動部112は、直流出力制御部111からの制御に従って、直流電圧用トランス113を駆動する。直流電圧用トランス113は、直流駆動部112によって駆動され、負極性の直流の高電圧出力を行う。なお、交流電源140が接続されていない場合には、電気接続部221と二次転写裏面ローラ33とがハーネス251によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス251を介して二次転写裏面ローラ33に直流電圧を出力(印加)する。一方、交流電源140が接続されている場合、電気接続部221と電気接続部242とがハーネス252によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス252を介して交流電源140に直流電圧を出力する。
直流出力検知部114は、直流電圧用トランス113からの直流高電圧の出力値を検知し、直流出力制御部111に出力する。直流出力検知部114は、検知した出力値をFB_DC信号(フィートバック信号)として制御部300に出力する。これは、環境や負荷によって転写性が落ちないように、制御部300においてDC_PWM信号のデューティを制御させるためである。本プリンタでは、電源39の本体に対して交流電源140が着脱可能であるため、交流電源140が接続されている場合と接続されていない場合とで、高電圧出力の出力経路のインピーダンスが変化する。このため、直流電源110が定電圧制御を行って直流電圧を出力した場合、交流電源140の有無に応じて出力経路中のインピーダンスが変化することにより分圧比が変化する。更に、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧が変化してしまうので、交流電源140の有無に応じて転写性が変化してしまう。
そこで、本プリンタ100では、直流電源110が定電流制御を行って直流電圧を出力し、交流電源140の有無に応じて出力電圧を変化させるようになっている。これにより、出力経路中のインピーダンスが変化しても、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができ、交流電源140の有無によらず転写性を一定に保つことができる。更に、DC_PWM信号の値を変更せずに交流電源140を着脱することが可能になる。このように本プリンタ100では、直流電源110を定電流制御するようになっているが、次のような構成を採用してもよい。即ち、交流電源140の着脱時にDC_PWM信号の値を変更するなどして、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができれば、直流電源110を定電圧制御する構成を採用してもよい。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を制御部300に出力する。これにより、制御部300による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流出力制御部141には、制御部300から、交流電圧の出力の大きさを制御するAC_PWM信号、交流出力検知部144によって検知された交流電圧用トランス143の出力値が入力される。交流出力制御部141は、入力されたAC_PWM信号のデューティ比、及び交流電圧用トランス143の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、交流電圧用トランス143の出力値がAC_PWM信号で指示された出力値となるように、交流駆動部142を介して交流電圧用トランス143の駆動を制御する。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流電圧用トランス143は、交流駆動部142によって駆動されて交流電圧を生成し、生成した交流電圧と直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧とを重畳して重畳電圧を生成する。交流電源140が接続されている場合、即ち、電気接続部243と二次転写裏面ローラ33とがハーネス251で電気的に接続されている場合、交流電圧用トランス143は、生成した重畳電圧を、ハーネス251を介して二次転写裏面ローラ33に印加する。なお、交流電圧用トランス143は、交流電圧を生成しない場合には、直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧を、ハーネス251を介して二次転写裏面ローラ33に出力(印加)する。二次転写裏面ローラ33に出力された電圧(重畳電圧又は直流電圧)は、その後、二次転写ローラ36を介して直流電源110内に帰還する。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として制御部300に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、制御部300においてAC_PWM信号のデューティを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、本プリンタ100では、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
次に、本実施形態で用いる二次転写バイアスの特性についてより詳細に説明する。
図12(a)、図12(b)は、電源39から出力される二次転写バイアスの波形の一例である。トナー像を記録材Pに転写させるには、ある一定の大きさの電圧を二次転写ニップNに印加供給する必要がある。しかし、電圧を印加し続けると、ここまでに説明したように、トナーが過充電を起こし、転写不良が生じてしまう。
図12(a)は、二次転写に必要な大きさの電圧を印加するが、Dutyを50%よりも大きく設定することで印加時間を短くし、トナーの過充電を防ぐことで、ハーフトーン出力画像が転写する理想波形である。図12(a)中の記号は、Vr:正の電圧のピーク値(逆極性電圧のピーク値/戻し方向の電圧のピーク値)、Vt:負の電圧のピーク値(転写方向の電圧のピーク値)、Voff:(Vr+Vt)/2、Vpp:Vr−Vt、Vave:Vr×Duty/100+Vt×(1-Duty)/100、A:Vtの持続時間、B:電圧波形1周期の時間、Duty:(B−A)/B×100(%)、C:Vrの持続時間をそれぞれ示す。すなわち、Dutyとは、大まかにいうと、交流電圧の波形1周期の時間Bに対するVtの持続時間(印加時間)AとVrの持続時間(印加時間)Cの比率であるともにいえ、B−AあるいはA<Cが50%よりよりも大きく(高い)ものを高Dutyと呼ぶ。
図12(b)は、図12(a)の理想波形を狙って実際に出力された波形である。Vt:−4.8kV、Vr:1.2kV、Voff:−1.8kV、Vave:0.08kV、Vpp:6.0kV、Vtピークの持続時間A:0.10ms、波形の周期B:0.66ms、Duty:85%の波形の交流電圧を印加した。
つまり、二次転写バイアスがトナーの帯電極性とは逆のプラス極性におけるピーク値Vrとになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P川側へのトナーの静電移動が阻害される。二次転写バイアスがトナーの帯電極性と同じマイナス極性におけるピーク値Vtになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P側へのトナーの静電移動が促進される。
このような二次転写バイアスを採用すると、1周期A内において、トナーに対してその帯電極性とは逆のプラス極性の電荷を注入する可能性のある時間を短くすることから、二次転写ニップN内での電荷注入によるトナー帯電量の低下を抑えることが可能になる。これにより、トナー帯電量の低下に起因する二次転写性の低下による画像濃度不足の発生を抑えることができる。
今までの説明で、二次転写バイアスは、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わる周期変動する交流バイアスを含むものであり、二次転写バイアスの1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間をDutyとし、Dutyが50%よりも大きいものを高Dutyとして規定した。
図13(a)〜図13(c)は、図12(b)の波形を模式的に記載したものであり、この図を使ってDutyをより説明する。
二次転写バイアス中の交流成分である交流バイアスは、転写方向に向かうバイアスと、転写方向と逆方向に向かうバイアスである。本実施形態において、転写方向とは、マイナス極性に向かう事であり、逆方向とは+極性に向かうことである。このうち、転写方向のバイアスと逆方向のバイアスとは、極性切替基線Jとなる0Vを境にして互いに逆極性のバイアスであって、1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(a)に示すようにバイアスが0Vよりも逆極性であるプラス極性側である符号P1とP2で示す間の時間Caとすることができる。
1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(b)に示すように、バイアスが逆方向のピーク電圧Vrに達した時を示す符号P3から転写方向のピーク電圧Vtに向かって立ち下がり始めるまで範囲の時間であり、図13(b)では、P3とP4で示す間の時間Cbとすることができる。
また、1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(c)に示すように、逆方向のピーク電圧Vrから転写方向のピーク電圧Vtに向けて30%の値だけシフトさせた位置を基線J1としたとき、この基線J1よりも逆方向側となる時間であり、符号P5と符号P6で示す間の時間Ccとすることができる。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
実験条件は、環境:27℃/80%、記録材:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)、プロセス線速:630mm/s、出力画像:Bkハーフトーン、二次転写ニップの幅:4mmである。
コート紙の転写時に限らず、普通紙や再生紙の転写時に実施形態で説明した二次転写バイアスを用いても良い。
図14(a)〜図14(e)は、実験に用いた出力波形であって、図15は、実験結果の示す図である。
図14(a)〜図14(e)は、図12(a)の波形の条件で、Dutyを10%から90%までの間で変更した時の出力波形の画像である。これらの波形でハーフトーン画像を出力し、図15に示すように、官能評価のランク付けを行った。ランクは次のようにして評価した。評価ランクは1〜5までの5段階とし、ランクが高い程、高評価とした。
すなわち、十分なハーフトーンの濃度を得られている場合をランク5と評価した。ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている場合を、ランク4として評価した。ランク4に比べてさらに薄く、ユーザーに提供する画質としては問題となる場合をランク3として評価した。ランク3に比べてさらに薄い場合をランク2とし、全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い場合をランク1として評価した。ユーザーに提供できる画質の許容レベルとしては、ランク4以上である。
図15の評価結果によると、Dutyが90%と70%ではランク5であり、50%でランク3、30%と10%でランク1であった。
図14で説明したように、低Dutyの10%、30%では、負の電圧のピーク値Vtの電圧を印加する時間Aが長く、トナー像が過充電され、転写性が悪くなった。一方、高Dutyの70%、90%では、負の電圧のピーク値Vtの電圧を印加する時間Aが短く、過充電が防げ、転写性が良くなった。
また、波形において、VrとVtで極性を反転させると、過充電をより確実に防げる。その理由は、記録材Pが帯電している場合でも、0をまたぐことで充電を防ぐ向きに電界をつくるからである。
以上のように、本実施形態では、二次転写ニップNの幅が広くなるように、二次転写ローラ36を搬送方向上流側にオフセットさせるとともに、二次転写バイアスとして高Dutyの重畳バイアスを使用することで、プレ放電と転写不良の両方を防止して、良好な画像を提供することができる。高Dutyとは、少なくとも50%よりも大きく、より好ましくは70%以上となる。
中間転写ベルト31の弾性ベルトとしては、図3(b)、図3(c)に示した粒子312を備えた弾性ベルトを用いることもできる。このような最上層(弾性層311)の素材に粒子312を分散せしめた弾性ベルトを中間転写ベルト31に用いると、二次転写ニップN内におけるベルト表面とトナーとの接触面積が低減する。これにより、ベルト表面からのトナー離型性を向上させて、二次転写効率を高めることができる。
しかし、二次転写効率が高める反面、規則的に並ぶ絶縁性の粒子312の粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷が注入し易くなり、過充電となってしまうことがある。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子312を分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。
このような粒子312を備えた弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合には、高デューティ(50%よりも大きい)の二次転写バイアスを採用することで、粒子312による二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。
粒子312としては、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いることができる。本プリンタでは、正帯電性のメラミン樹脂からなる粒子などである。かかる構成では、粒子312の電荷により、粒子間で二次転写電流が集中する現象の発生を抑えて、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。
また、粒子312として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1をベースにさらに放電余裕度を上げるために、二次転写バイアスの制御に特徴を持たせている。
構成としては、実施形態1同様に弾性ベルトからなる中間転写ベルト31と、二次転写ベルト方式で二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットしている。この構成を用いることで、プレニップ放電に対する余裕度が向上することはすでに述べたが、プレニップ放電は当然ながら二次転写バイアスが大きいほど異常画像となり易い。仮に放電していたとしても、トナーの有する電荷量が大きければ、トナーが電荷を運ぶことで、あるいは放電を受けても十分に中間転写ベルト31に対して吸着することで異常画像となり難い。あるいは二色重ねなど、トナーの総量が多ければ、やはり放電に対して余裕がある。また、放電に対する余裕度は、トナーの特性にも依存しており、例えばトナーの抵抗が高ければ放電に対する余裕度は向上する。逆にいえば、トナーの抵抗が低い場合や、導電剤としてそのようなものを用いている場合には異常画像になり易い。例えば黒トナーの着色剤として、よくカーボンブラックが使用されるが、カーボンブラックは導電性を有しているため、抵抗が下がり易く、仮に抵抗が下がっていなくとも放電に対して他の色に比べて放電に対して余裕度が弱くなるという場合がある。
そこで、本実施形態では、実施形態1からさらに余裕度を向上させるために、二次転写バイアスの制御として、画像面積率Wに応じて二次転写バイアスを制御することでさらに余裕度を向上させるようにしている。
図16は、画像面積率Wと二次転写バイアスの転写電流の関係を示すテーブルである。本実施形態では、二次転写ニップでの画像面積率Wを制御部300のCPU301で演算して、それに応じて二次転写電流値を図16に示すテーブルに基づいて補正している。なお、二次転写電流とは、高Duty、重畳バイアスにおける直流成分のことを指している。以下、二次転写電流と記載した場合はこの直流成分を指す。
本実施形態において、電源39では、二次転写電流が制御部300によって定電流制御されている。電源39は、制御部300からPWM信号によりその目標電流を制御されることで、定電流制御される。このPWM信号を画像面積率Wに応じて変動させることで、定電流制御しながら目標電流を時々刻々と変化させている。
なお、本実施形態において、画像面積率Wの演算をする場合、副走査方向(ベルト回転方向)ごとに50mmの間隔で演算しており、それら演算結果ごとに図16のテーブルに基づいて転写電流制御を行なっている。図16に示すテーブルは、制御部300が備えているROM302に予め画像面積率Wの演算式とともに記憶されているものである。演算間隔は、狭いほど高い効果を得られるが、本実施形態のように50mm間隔でも十分に効果があり、さらに間隔が広くてもある程度の効果はある。
図16についてさらに説明する。画像面積率Wとは中間転写ベルト31のベルト幅方向への書き込み可能幅に対して定義しており、例えば書き込み可能幅全域に1色をベタ印字している場合を100%としている。例えば1ドットおきに印字すると50%となる。複数色重なった場合には、単純に各色の割合を足し算する。したがって、二色の全ベタであれば画像面積率Wは200%となる。
図16のテーブルに基づいて制御部300によって電源39に対する制御を行なうと、例えば単色の全ベタ画像を印字した際には100%相当の、転写電流の出力を行う。100%とは基準電流を目標電流A1としてそのまま出力するということである。例えば今回の場合、図6で述べた−120μAが目標電流A1となる。画像面積率Wが5%である場合は、図16によると、転写電流は40%となり、−120μA×40%=−48μAとなる。つまり補正後の転写電流(目標電流A1)は−48μAとなる。
すなわち、本実施形態において、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、定電流制御による目標電流A1が画像面積率に応じて調整可能とされている。具体的には画像面積率が増えると目標電流A1が高くなり、画像面積率が減少すると目標電流A1を低なるように補正され、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
このように電源39の出力制御を行うことで、転写性を確保しつつ、放電余裕度を実施形態1の場合よりもさらに向上させることができる。
なお図16に示す画像面積率Wと転写電流の関係は、画像形成装置毎の特徴にあわせて作成することが好ましく、この図16に記載した画像面積率Wと転写電流率の関係に限定されるものではない。
さらに単純な画像面積だけではなく、トナーの色に応じて転写電流の制御を変えたりしても良い。例えば、Bトナーは電流をあまり必要としないのであれば、画像面積率Wの計算に対して補正をかけて、全ベタで80%相当とする、といったことも更なる効果を得ることができる。
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態2をベースに、放電余裕度は確保しつつ転写性の観点から最適化できるように、環境条件となる温湿度の検出結果により、転写電流を補正するようにしている。
図17は、補正用のテーブルを示す。このテーブルは、制御部300のROM302に式の数1に示す式とともに予め記憶されている。図17は、絶対湿度ごとの補正率を表している。本実施形態では、図10に示す環境情報検出手段として温湿度検出センサ408を備えていて、制御部300と信号線を介して接続されている。制御部300では、温湿度検出センサ408から出力される検出値から温度と湿度をそれぞれ検出し、以下の数1に基づいて絶対湿度Xを算出する。(Tetensの式)
Figure 0006492833
そして絶対湿度X毎に補正率をかけることで、二次転写バイアスを温度や湿度などの環境条件に応じた値にすることで、転写性を確保している。本実施形態では、実施形態2における抵抗補正と組み合わさって計算されるため、予めそれを考慮して図17は作成されている。なお、本実施形態では環境による補正と抵抗による補正を組み合わせて使用しているが、どちらか一方でも効果は得られるが、双方を組み合わせた方が効果は大きい。
本実施形態では、図17に示す補正テーブルのように絶対湿度Xが大きいほど電源39からの二次転写バイアスの出力値(目標電流A1)を低くしている。これは湿度が高くなるとトナーの帯電量が低下することにより必要電流が小さくなることに加えて、転写電流が大きいとトナーへ充電され易くなり、これにより転写不良を起こし易くなるためである。従って、本実施形態では図17のような補正テーブルを使用している。
すなわち、本実施形態では、温湿度情報を検出する温湿度検出センサ408を有し、転写バイアスは直流バイアス成分を含み、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、温湿度検出センサ408から出力される検出値の高くなるほど、目標電流A1を小さくし、温湿度検出センサ408から出力される検出値が低減するほど目標電流A1を大きくするように補正して調整可能に構成されていて、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
ただし、この補正テーブルは画像形成装置の特徴に合わせて作るのが好ましく、各絶対湿度Xごとの補正率もこの限りではない。ちなみに図17において絶対湿度Xが18以上と高い場合にも出力を90%に補正しているが、これは放電が原因ではなく転写性からである。このように、放電のみならず転写性の観点からも補正することで、本実施形態の効果(幅広い記録材Pへの対応)をさらに得ることができる。
(実施形態4)
本実施形態では実施形態3をベースとしているが、二次転写ニップNでの抵抗値の検出を行ない、その検出結果に応じて二次転写バイアスを補正することで、さらに放電余裕度を向上させている。このため本実施形態では、図10に示す抵抗検出手段409によって二次転写ニップNでの抵抗値を検出している。
図18は、制御部300による抵抗値検出補正処理の一形態を示し、図19は、抵抗検出結果に応じた判定テーブルを示す。この判定テーブルは、抵抗値(電圧)毎に区分1〜区分5に分けられる。図19に記す判定テーブルは、絶対湿度X毎の判定テーブルとなっている。これは、環境によって部材の抵抗が変るため、どの環境で検出したかによって、条件を変えている。検出電流は、直流電流であったが、当然条件を変える対象は、二次転写バイアス(重畳バイアス)における直流成分である。図20は、図18の処理によって求められた抵抗値から選択された区分(電圧区分)に応じた補正率を設定した補正率テーブルである。これら図19に示す判定テーブルと、図20に示す補正率テーブルとは、制御部300のROM302に予め記憶して設定されている。
次に制御部300による抵抗値検出処理と補正区分の判定について説明する。これら抵抗値検出処理と補正区分の判定処理は、制御部300によって実行される。制御部300は、ステップST1で、プリンタ100の駆動源を作動する。ここでは、少なくとも中間転写ユニット30の駆動部306と二次転写ユニット41の駆動部307が回転駆動していればよい。制御部300は、回転動作が安定した後、ステップST2において電源39を駆動してテスト電流を二次転写裏面ローラ33に印加する。このテスト電流は予め決めてある抵抗検出用の電流(以下「テスト電流」)であり、どのような数値でも良い。また、検出しやすいように環境や他の要因によりテスト電流を都度変えても良い。テスト電流としては、交流バイアスでも直流バイアスでもどちらでも良いが、交流バイアスの場合は電流の実効値とインピーダンスを計算するようなシーケンスが必要である。一方、直流バイアスであれば、単純に電圧をフィートバックすることで、出力電流で割れば抵抗が出てくるため容易である。このため、本実施形態では、テスト電流として直流電流を二次転写裏面ローラ33に印加するようにしている。また、テスト電流の値として120μAを全ての環境で共通して使用する。
制御部300は、テスト電流の印加後、所定時間、例えば200msec経過後ステップST3に進む。ここで所定時間の経過を待つのはテスト電流が安定するのを待つためである。制御部300は、ステップST3において、電圧を検出する。例えば200msecほど電圧をサンプリングする。サンプリング周期は20msecで例えば21サンプルを取得する。この21サンプルを平均して、その平均値を平均電圧とする。そして平均電圧と出力電流から二次転写ニップでの抵抗値を算出する。
制御部300は、ステップST4において、算出された抵抗値に基づいて図19に示す判定テーブルから区分を選択する。各区分には、絶対湿度Xに応じた基本となる二次転写バイアスの値(目標電流A1)が設定されているので、制御部300は、ステップST4で区分を選択した時、当該区分の絶対湿度Xの判定基準に基づいて二次転写バイアス(目標電流A1)を制御する。
なお、図18に示す抵抗検出補正処理は、例えばプリンタ100の電源オン時の準備動作中や作像開始時の回転時に実施することで、動作時間の短縮も可能である。ここでは、平均電圧から抵抗値を求めているが、テスト電流は一定値であるため、電圧情報とテスト電流値とから予め区分1〜区分5を設定しておき、抵抗値を求めずに区分を図18の判定テーブルから選択するようにしても良い。
制御部300は、ステップST4で求めた区分から、図20に示す補正率テーブルから該当する補正率を選択し、区分と絶対湿度Xで選択される基本となる二次転写バイアス(目標電流A1)に対して補正率を乗じた値を最終的な目標電流A1として二次転写バイアスとして二次転写裏面ローラ33に電源39を制御して印加する。
例えば、抵抗検出処理にて区分4が選択された場合、区分4の補正率90%を目標電流A1に対してかける。そのため、例えば10℃・15%RH環境において、画像面積率5%の画像を印字した場合、目標電流A1に対して画像面積補正率、環境補正、抵抗補正の3つを掛け合わせたものが最終的な電源39からの出力(目標電流A1)となり、−120uA×40%(画像面積補正)×80%(環境補正)×90%(抵抗補正)=−34.6μAを出力値(目標電流A1)とする。
すなわち、本実施形態では、二次手転写ニップNの抵抗を検出する抵抗検出手段409を備え、二次転写バイアスは直流バイアス成分を含み、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、抵抗検出手段409による検出値に応じて調整される値が増えるほど目標電流A1を小さくし、抵抗検出手段409による検出値の値が低減するほど目標電流A1を大きくするように補正することで調整可能に構成されていて、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
本実施形態では、このように画像面積・環境条件・抵抗値の3つに対して補正をかけることで、さらに放電余裕度が向上するので、幅広い記録材Pに対して対向する対応力が高まる。本実施形態では、パラメータである画像面積・環境条件・抵抗値の3つに対して補正をかけているが、何れか1つのパラメータを用い、当該パラメータに対応した補正値を目標電圧にかけて補正し、補正後の電圧を二次転写バイアスとして電源39から出力するようにしても良い。
(実施形態5)
本実施形態は、実施形態1をより詳細に説明するためのものである。記録材Pとして凹凸紙の転写性を確保するために中間転写ベルト31として弾性ベルトを用いている。各色のトナーは、中間転写ベルト31に重ね合わせられる一次転写工程の後に、二次転写ニップNにおいて記録材Pに一括転写する二次転写工程を行なう。この中間転写ベルト31は、例えば、図3(a)に示すように、内側の層(にポリイミドやポリアミドイミドの50μm〜100μm程度の基層310を有しており、その上にアクリルゴムなどを用いた弾性層311を積層され、さらに表層に離形性を付与するためのコーティング312などが施されている。弾性層311は100μm〜1mm程度のものが一般的である。この中間転写ベルト31のゴム性に応じて、二次転写では必要な圧を付与することで凹凸を有する記録材Pに対して、凹部にもトナーを良好に転写することができる。
このような構成の弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合、弾性層310に対して十分な転写圧を与える必要があることから、二次転写に対してはある程度高い転写圧が必要とされる。そのため、例えば二次転写圧力付与手段として加圧機構を複数用意して、記録材Pの種類(凹凸度合や紙厚等)に応じて転写圧を変えるといった構成を用いてもよい。
しかし、何れにしても転写するために必要な転写圧をかけることで、記録材Pは中間転写ベルト31に対して高い密着性を持ち、二次転写ニップNを出ても記録材Pが中間転写ベルト31から分離されずに分離不良を起こすことがある。これは、二次転写ローラ36を用いたようなローラ方式において顕著である。そのため、実施形態1のように二次転写ベルト方式の二次転写ユニット41と組み合わせることで、高い分離性と記録材Pへの転写性を両立させることができるので好ましい。
中間転写ベルト31に弾性ベルトを用いる場合、中間転写ベルト31にPIベルトを用いる場合よりもプレ放電に対して弱いことが実験からわかっている。
従って、本実施形態のように、弾性ベルトからなる中間転写ベルト31を用いる場合、プレニップはPIベルトを用いる場合よりも広くする必要がある。このため、本実施形態では、実施形態1−4の構成で設定しているプレニップの長さよりも長い、5.2mmとした。この長さとは、記録材搬送方向bに対するものである。
このように、弾性ベルトを中間転写ベルト31に用いる場合、プレニップが大きくなるので、二次転写ニップNの長さも大きくなり、トナーに対して過充電しやすくなる。このため、弾性ベルトを二次転写ベルト31に用いる場合に、二次転写バイアスとしては高Duty(50%よりも大きい)の重畳バイアスを用いることで、PIベルトを中間転写ベルト31に用いる場合よりも、高い分離性と記録材Pへの転写性を確保しながら、トナーの過充電による異常画像の発生を防止できるので好ましい。
中間転写ベルト31の弾性ベルトとしては、図3(b)、図3(c)に示した粒子312を備えた弾性ベルトを用いることもできる。このような最上層(弾性層311)の素材に粒子312を分散せしめた弾性ベルトを用いると、二次転写ニップN内におけるベルト表面とトナーとの接触面積が低減する。これにより、ベルト表面からのトナー離型性を向上させて、二次転写効率を高めることができる。
しかし、二次転写効率が高める反面、規則的に並ぶ絶縁性の粒子312の粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷が注入し易くなり、過充電となってしまうことがある。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子312を分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。
このような粒子312を備えた弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合には、高デューティ(50%よりも大きい)の二次転写バイアスを採用することで、粒子312による二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。
粒子312としては、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いることができる。本プリンタでは、正帯電性のメラミン樹脂からなる粒子などである。かかる構成では、粒子312の電荷により、粒子間で二次転写電流が集中する現象の発生を抑えて、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。
また、粒子312として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
上記各実施形態では、転写部材となる二次転写ローラ36と二次転写ベルト404とを備えた二次転写ベルトユニット41を用いているが、ベルト方式ではなく、図21に示すように、二次転写ローラ36を直接中間転写ベルト31に接離させるローラ方式を用いても良い。この場合、二次転写ローラ36は二次転写対向ローラともいう。二次転写ローラ36は、二次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31を挟み込み、中間転写ベルト31のおもて面31aと当接する転写部であり転写ニップとなる二次転写ニップNを形成することになる。この場合でも電源39から出力される二次転写バイアスは二次転写裏面ローラ33に印加することとする。これに対し二次転写ローラ36は接地されている。これにより、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36との間である二次転写ニップNに、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側から二次転写ローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。無論二次転写ローラ36に印加しても良い。また、二次転写ローラ36と定着装置90の間に搬送装置50を配置することで、二次転写を終えた記録材Pを定着装置90に安定して搬送することができる。
上記各実施形態において、電源39から二次転写バイアスを出力する際の波形として、図12、図14に示すように、交流波形が、正の電圧のピーク値Vr側と負の電圧のピーク値Vt側とに0Vを挟んで行き来する波形を例示したが、波形の形態としては、このような0Vを挟んで行き来する波形に限定するものではない。例えば、図22に示すように、戻り方向のバイアスのピーク値Vrを0Vよりも転写方向側(負のバイアス側)に設定し、0V側よりも負の電圧の領域においてVr側とVt側とに行き来する交流波形の形態であっても良い。この場合においてもDutyは50%よりも大きくすることで、トナーへの過充電による異常画像を防止することができる。
ベルト転写の場合、薄紙を分離しやすい。しかし薄紙は放電しやすいので、二次転写ローラ36を記録材搬送方向上流側にオフセットすることは、記録材Pとして薄紙を用いる場合にも有効である。
すなわち、中間転写ベルト31上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を中間転写ベルト31側から記録材P側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆方向である戻し方向の電圧とが交互に電圧切り替わる二次転写バイアスを出力する波形は、転写方向の電圧をVr、戻し方向の電圧をVtとしたとき、両者が0Vよりも戻し方向側の極性において、転写方向側と戻し方向側に出力が切り替わる波形であっても良い。
上記実施形態では、転写部として二次転写ニップNを例示し、二次転写ニップNが記録材搬送方向bの上流側に向かってプレニップによって増大している例を用いて説明した。しかし、二次転写ニップNの拡大によるトナーに対する過電流の影響は、記録材搬送方向bの下流側に二次転写ニップNを拡大した場合でも発生する。このため、転写バイアス(二次転写バイアス)のDutyを50%よりも大きくして印加することは、転写部よりも下流側において拡張(増大)されて中間転写ベルト31が転写部材となる二次転写ローラ36の外周面36aや二次転写ベルト404の外周面404aに沿うように配置されたこと構成にも適用しても、トナーに対する過電流を防止することができ、異常画像を防止するという作用効果を得ることができる。
上記実施形態では中間転写ベルト31から記録材Pへ画像を転写する装置(いわゆる中間転写方式の画像形成装置)を説明したが、これに換えて、感光体ドラムや感光体ベルト等の像担持体から記録材Pへ画像を直接転写する装置(いわゆる直接転写方式の画像形成装置)にも本発明は適用することができる。また、転写部は、転写ニップを形成しない方式の転写装置(チャージャ方式の転写チャージャ)を用いてもよい。
上記実施形態では、画像形成装置として、転写部(二次転写ニップN)で記録材Pを水平方向に搬送するものを用いて説明したが、転写部で記録材Pを上方、下方、斜め上方向あるいは斜め下方向などへ搬送する構成の画像形成装置に本発明は適用することもできる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
T トナー像
31 ベルト状の像担持体
33 対向部材
36 転写部材、中間転写体、二次転写ローラ
39 転写バイアス出力手段
36a、404a 転写部材の外周面
100 画像形成装置
300 制御部
310,311,312 複数の層
404 転写部材、中間転写体、二次転写ベルト
408 温湿度検出手段
409 抵抗検出手段
A 転写バイアスの1周期
A1 目標電流
b 記録材搬送方向
C、Ca、Cb、Cc 逆方向へのバイアスが印加される時間
J 極性切替基線
J1 基線
N 転写部
P 記録材
W 画像面積率
X 絶対湿度
特許第3554225号公報

Claims (10)

  1. トナー像が担持されるベルト状の像担持体と、
    前記像担持体と対向配置された転写部材と、
    前記像担持体を介して前記転写部材に対向する対向部材と、
    前記像担持体を介して前記転写部材と前記対向部材とが接触する転写部で前記トナー像を記録材へ転写するために転写バイアスを出力する転写バイアス出力手段とを備え、
    前記転写部よりも上流側又は下流側の少なくとも一方において前記像担持体が前記転写部材の外周面に沿うように配置され、
    前記転写部に供給される転写バイアスは、少なくとも前記像担持体上のトナー像を前記記録材へ転写する際に、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、前記転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わって周期変動するものであり、
    前記転写バイアスの1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間を50%よりも大きくし
    前記転写方向のバイアスと前記逆方向のバイアスとは、0Vを境にして互いに逆極性のバイアスであって、
    前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、前記転写バイアスが逆極性である時間である画像形成装置。
  2. 前記ベルト状の像担持体は、複数の層が積層された中間転写体である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記ベルト状の像担持体は、弾性を有する中間転写体である請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
    前記直流バイアス成分は定電流制御によって供給され、定電流制御による目標電流が画像面積率に応じて調整可能な請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段を備え、
    前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
    前記直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、
    前記抵抗検出手段による検出値の値が増えるほど目標電流を小さくし、前記抵抗検出手段による検出値の値が低減するほど前記目標電流を大きくするように調整可能な請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記抵抗検出手段は、前記転写部へ供給される直流バイアス成分から算出する請求項に記載の画像形成装置。
  7. 温湿度情報を検出する温湿度検出手段を有し、
    前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
    前記直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、
    前記温湿度検出手段の検出値が高くなるほど目標電流を小さくし、前記温湿度検出手段の検出値が低減するほど前記目標電流を大きくするように調整可能な請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記転写部材は、複数の回転体に巻き掛けられて回転移動可能に支持されて、前記像担持体に接触する二次転写ベルトである請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記転写部材は、前記像担持体に接触する二次転写ローラである請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記転写バイアス出力手段を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記転写バイアスの1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間を50%よりも大きくなるように前記転写バイアス出力手段を制御する請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
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