JP6492833B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、転写部でのトナーの過充電による異常画像を防止することを、その目的とする。
プリンタ100の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。図1において、プリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)を備える。プリンタ100は、転写装置としての転写ユニット30、記録材Pを収納するカセット60、定着装置90、制御部200を備えている。
四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、粉体であり現像剤として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。つまり、四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、画像形成装置本体としてのプリンタ本体100Aに対して着脱自在に設けられていて、交換可能とされている。
画像形成ユニット1は、像担持体たるドラム状の感光体2、ドラムクリーニング装置3、除電装置、帯電装置6、現像装置8等を備えている。画像形成ユニット1は、これら複数の装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体100Aに対して一体的に脱着可能なプロセスカートリッジユニットを構成していて、ユニット単位で交換可能とされている。
転写ユニット30は、ベルト状の像担持体であり中間転写体でもある中間転写ベルト31の他に、複数の回転支持部材としての駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34と、四つの一次転写ローラ35(Y、M、C、K)と、押し下げ部材としての転写前ローラ37とを備えている。転写ユニット30は、プリンタ本体100Aに対してユニットごと着脱自在(交換可能)とされている。
中間転写ベルト31の弾性層311に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられ、具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
弾性層311の硬度は、10°≦HS≦65°(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト31の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じ易い。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また、長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
伸びの大きなゴム材料などからなる弾性層311の伸びを防止するために、基層310と弾性層311との間に帆布などの材料で構成された芯体層を設けてもよい。
中間転写ベルト31として、図3(b)に示すように、基層310、弾性層311を積層するとともに、弾性層311に多数の粒子313が分散されているものであってもよい。粒子313は自らの一部を弾性層311の表面から突出させた状態で、図3(c)に示すように、ベルト面方向に密集して並んでいる。それら複数の粒子313により、複数の凹凸がベルト面となるおもて面31aに形成されている。
二次転写ユニット41は、支持ユニット40に着脱可能に支持されていて、ユニット単位で交換可能とされている。二次転写ユニット41は、二次転写裏面ローラ33と中間転写ベルト31を介して対向配置された回転体であり転写部材でもある二次転写ローラ36を備えている。二次転写ユニット41は、3つの回転体としてローラ401、402、403と、二次転写ローラ36及びローラ401、402、403に巻き掛けられた二次転写ベルト404とを備えている。つまり、二次転写ユニット41は、転写部材が無端状のベルト部材で構成された二次転写ベルト404であって、複数の回転体となる二次転写ローラ36及びローラ401、402、403で二次転写ベルト404を巻き掛けて支持して搬送するベルトユニットである。なお、二次転写ローラ36はニップ形成ローラともいう。
二次転写ベルト404としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂材質のベルト部材を選択して用いることができる。二次転写ベルト404としては、これら材質ではなく、弾性材質のベルト部材を用いても良い。本実施形態では、厚みが80μmのポリイミド製のベルト(PIベルト)を用いている。
二次転写ユニット41は、濃度検出手段としてのパターン検出センサ407がローラ402と対向する二次転写ベルト404の外側に配置されている。パターン検出センサ407は画像濃度調整に用いているものである。
ベルトト方式を用いた二次転写ユニット41においては、記録材Pが二次転写ニップNを通過した際、二次転写ベルト404に対しての吸着力が働き、これが中間転写ベルト31への吸着力よりも強いために、中間転写ベル31から確実に記録材Pを分離できるという利点を有しており、ベルト方式を採用することで、本実施形態では薄紙にも対応できる構成とされている。
本実施形態では、二次転写裏面ローラ33に、二次転写に用いるバイアス(二次転写バイアス)を電源39から印加するように構成しているが、二次転写ローラ36にバイアスを電源39から印加するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアス)を印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
本実施形態において、電源39は、二次転写ニップNでトナー像を記録材Pへ転写するために電圧である二次転写バイアスを出力するものである。電源39から二次転写裏面ローラ33に印加される電圧である二次転写バイアスは、直流成分である直流電流と、直流成分である直流電流に交流成分である交流電流を重畳した重畳バイアスの2種類がある。
つまり転写部に供給される電圧は、少なくとも像担持体上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆極性の戻し方向の電圧とが交互に切り替わるものであり、電圧の1周期中に占める戻し方向の電圧が印加される時間を50%よりも大きくなるように電源39から出力される二次転写バイアスである。二次転写バイアスについては、後段で詳細に説明する。
二次転写バイアスとしては、二次転写裏面ローラ33ではなく、二次転写ローラ36に電源39から印加供給するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアスを印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
一方、図4(b)に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットすると、記録材Pは二次転写ニップNより先に中間転写ベルト31に密着する。このため、二次転写バイアスが印加されて高電界となっている二次転写裏面ローラ33の領域(二次転写ニップN)に到達する時点では空隙Sは小さくなっており、放電を防ぐことができる。
プレニップ放電は、二次転写裏面ローラ33への電圧や中間転写ベルト31、二次転写裏面ローラ33、二次転写ローラ36や二次転写ベルト404の抵抗、材質、記録材Pの種類、搬送の状態などによって発生のしやすさが異なり、中間転写ベルト31が弾性ベルトの場合、特にプレニップ放電が発生し易いことが、本願発明者らによる実験によりわかった。したがって、記録材搬送方向bの上流側への二次転写ローラ36のオフセット量を増やすことで放電を防止することができることが知られている。
図5(b)は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36を介して二次転写ベルト404とを一定圧で圧接させた状態で、矢印Zで示す記録材搬送方向の上流側へオフセットしたものである。
二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心間距離が同じであり、両ローラ及び二次転写ベルト404の潰れ方が同じだと仮定した場合、ニップ自体は幾何学的に決まる。図5(a)、図5(b)に示すように、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の2つのローラの間に挟まれている本ニップn1の領域の長さL1は共通である。オフセット方向Zにオフセットしている図5(b)の場合には、中間転写ベルト31が二次転写ベルト404を介して二次転写ローラ36の外周面36aにのみ巻き付いている長さL2のプレニップn2が存在する。
すなわち、プレニップn2があるかどうかの区別は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の軸心同士を結んだ一点鎖線で示す直線とニップ上流側において中間転写ベルト31が張られる方向との角度α1によって決まる。すなわち、(図5(a)に示すように、一点鎖線下側と上流側の中間転写ベルト31との成す角α1が90度以上ならばプレニップn2はなく、図5(b)に示すように、角度α1が90度より小さければプレニップn2は形成されて存在している。
なお、ここでは転写部材として二次転写ベルト404を用いているが、転写部材として二次転写ローラ36を単独で用いるローラ転写方式の場合は、中間転写ベルト31が二次転写ローラ36の外周面36aにのみ直接巻き付いている長さL2がプレニップn2となる。このため、図5(a)に示すようにオフセット無しの場合、二次転写ニップNの幅Lは本ニップn1の領域の長さL1となり、図5(b)に示すオフセット在りの場合、二次転写ニップNの幅Lは、本ニップn1の領域の長さL1+プレニップn2の長さL2となる。
このようにプレニップn2を有する構成においては、記録紙Pが本ニップn1にあるときに、記録紙Pの裏面はプレニップn2で二次転写ローラ36の外周面36aに接しており、記録材Pの表面Paは本ニップn1で中間転写ベルト31を介して二次転写裏面ローラ33の外周面33aに接している。そのため、二次転写バイアスの転写電流が記録材P(界面)にて表面積方向にも広がりながら流れていく。このとき、オフセットしていない狭い二次転写ニップNの場合よりもトナーへの過充電が起こり易くなる。
なお、図6では、オフセットさせることでできる記録材Pと中間転写ベルト31とのニップ前での接触距離をプレニップ量と呼んでいる。オフセットさせることでプレニップは形成されるので、二次転写ローラ36の位置以外を固定すると、オフセット量とプレニップ量は一対一で対応する。すなわち、中間転写ベルト31のニップ前の軌跡やローラ径、硬度などを変えるとそれによってもプレニップ量は変わるので、ここを固定すると一対一で対応することになる。
ここで、本実験におけるプレニップ量について図7を用いて説明する。
図7は、二次転写裏面ローラ33、二次転写ローラ36、弾性ベルトで構成された中間転写ベルト31及転写前ローラ37を抜き出した図である。このとき、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心を結んだ破線と、二次転写ローラ36の中心から中間転写ベルト31への垂線とのなす角度をα[deg]としている。このときプレニップ量は、2π×(二次転写ローラ36の半径)×α/360°と定義する。すなわち、中間転写ベルト31のうち、二次転写ローラ36の外周面36aに対して巻きついている部分をプレニップと定義している。そのため、プレニップ量は、前述のように、二次転写ローラ36の径や中間転写ベルト31の軌跡などによって変化する。しかし、これら変動要素を固定して考えると、二次転写ローラ36のオフセット量で決まる。図6のプレニップ量と放電との関係は、このようにしてオフセット量を変化させてプレニップ量を変えている。
図6によると、二次転写電流が高いほど二次転写電圧は高くなるため、放電に対して厳しい。そのため、より幅広い電流域で(高電流で)放電が出ないほど余裕がある。また、本実施形態では転写性の観点から設定電流(目標電流A1)として―120[μA]を用いているため、少なくともこの設定において放電が出ないことが必須である。この観点から見た場合、弾性ベルトではプレニップ量として4mm以上が必須であり、PIベルトでは2mm以上が必須である。
なお、この実験結果(の数値)は、本実施形態の構成においてのものであり、一般的にベルト膜厚やローラ径・硬度・プロセス線速など様々な要因により余裕は変わるので、必要なプレニップ量は画像形成装置毎に異なる。また、同じ構成であれば、中間転写ベル31としてPIベルトを用いる場合の方が、弾性ベルトを用いる場合に比べて放電への余裕度が大きくなる。なお、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36とに挟まれている図5で説明した本ニップn1の量(記録材搬送方向bへの幅)は一般に2mm〜5mm程度に設定されることが多い。
図7に示す構成において、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径は同一として、二次転写ローラ35の硬度は70HS(JIS A)、二次転写裏面ローラ33はゴム硬度AskerC50°としている。これは二次転写ローラ36が固い方が、弾性の中間転写ベルト31のゴム性を活かし易いためであるが、硬度の組み合わせ、大小関係は前述の数値・関係に限らず、様々なものを用いてよい。
また、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径の関係も異なる数値であっても、大小どちらの組み合わせでも本発明の効果は得られる。
本実施形態では、図7に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットさせることで、記録材Pを二次転写ニップNより手前側で中間転写ベルト31に密着させて運ぶため、ニップ前の中間転写ベルト31と記録材Pとの空隙S(図4(b))をなくすことで放電を防止している。また、電界分布から本実施形態の効果を説明すると、転写電界の分布としては二次転写ニップNが最も強い電界が働いており、徐々に手前側(搬送方向上流側)が弱くなっている。記録材Pが電界分布の強いところで中間転写ベルト31と接触すると、その過程で中間転写ベルト31と記録材Pとの間に空隙Sがあると、空隙で放電が起こる。そのため、電界の弱いニップ上流側(ニップ手前側)で中間転写ベルト31と記録材Pとを接触させることで放電を防ぐことが可能となる。
なお、本実施形態において、電源39から出力される二次転写バイアスは、定電流制御を用いている。これは、中間転写ベルト31と記録材Pの抵抗によらず、二次転写ニップNに対して一定の転写電圧(転写電界)を得られるようにするためである。
図8に示すプレニップ量の特定方法1では、
図8(a)に示すように、本ニップ幅を特定する。この本ニップ幅を特定するには、ニッタ株式会社製の面圧分布測定システムI-SCAN(商品名)にて圧がかかっている部分を推定する。具体的には、ここでは厚分布Aと圧分布Bとに示すような異なるハッチングパターンで示す圧分布が得られるので、予め決めた閾値以上の圧を本ニップ幅と定義する。
次に図8(b)に示すように、本ニップ+プレニップ幅を測定する。この測定には、中間転写ベルト31にある程度の幅(例えば10mm程度)のトナーを付着する。トナーを付着する領域は二次転写ニップNよりも十分広い領域とする。
次に図8(c)に示すように、この状態で中間転写ベルト31に対して二次転写部材の当接と離間の動作を何度も繰り返す。本実施形態では、二次転写ユニット41の当接離間動作を行うとともに、必要に応じて二次転写ユニット41を引き出して清掃した上で、再度当接と離間を繰り返す。二次転写ベルト404を用いずに転写部材としての次二次転写ローラ36を用いる場合には、二次転写ローラ36を当接離間動作させる。このような動作を行うと、中間転写ベルト31のトナーが薄くなった領域ができ、この領域が二次転写部材と中間転写ベルト31の接触領域(ニップ+プレニップ)となる。
図8(d)では、接触領域(本ニップ幅+プレニップ幅)の幅を計測し、この幅から本ニップ幅を引くことで、プレニップ幅(プレニップ量)がわかる。
図9(a)に示すように、 二次転写ローラ36、二次転写裏面ローラ33、中間転写ベルト31を上流側で張っている転写前ローラ37の3つの軸中心G1、G2、G3の座標を特定する。次に二次転写ローラ36と二次転写裏面ローラ33の外径と硬度を測定するとともに、転写前ローラ37の外径を測定する。
図9(b)に示すように、図9(a)で測定した測定結果より硬度の小さい側のみが潰れていると仮定して、3本のローラ位置をスケッチする。スケッチした結果から、二次転写ローラ36のみに巻きついている部分をプレニップn2とする。このような2つの特定方法を用いてプレニップn2を特定することができる。
なお、プレニップはローラ同士に挟まれていない領域で二次転写ローラ36の外周面36aや二次転写ベルト404の外周面にベルト状の像担持体(二次転写ベルト31)が巻き付いている範囲であり、この範囲の長さ(量)としては、概ね2〜5mmである。また、ローラ同士に挟まれて範囲であるニップ量(本ニップ量)は概ね2〜5mmである。
上述したように、プレニップn2を作ることで放電を防ぐことはできるが、このとき図5(b)に示すように、プレニップn2を増やすことで二次転写ニップNの総量としては増える。このため、転写電流が記録材Pの表面を伝ってから、アースされている二次転写ローラ36側へ流れやすくなる。これにより、トナーが過充電されて二次転写時に転写不良となる場合がある。
そこで、本実施形態では、電源39から二次転写裏面ローラ33に印加される二次転写バイアスとして、直流成分である直流電圧に交流成分である交流電圧を重畳した重畳バイアスを用いるとともに、高dutyの波形となるように電源39から二次転写バイアスを出力するように構成している。本実施形態において高dutyとは、50%よりも大きい状態を指す。
この高dutyの波形では、図12(a)を参照すると、交流電圧の一周期のうち、中間転写ベルト31(像担持体)側から記録材P側へトナー像を移動させる転写方向へのピーク電圧Vtの持続時間Aを50%未満とし、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくはピーク電圧Vtと逆極への電圧のピーク電圧(Vr)(転写方向に対して逆方向のピーク電圧Vrという)の持続時間Cを50%よりも大きくしている。前者である記録材P側へトナー像を移動させる転写方向のピーク電圧Vtによりトナーを記録材Pへ転写させる機能を確保しつつ、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくは極性が逆のピーク電圧Vrをピーク電圧Vtよりも長い時間持続させることで、トナー像が二次転写ニップNを通過する際にトナーに対して過充電することを防止することができる。
図10に示すように、制御部300は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)301、不揮発性メモリたるROM(Read Only Memory)302、一時記憶手段たるRAM(Random Access Memory)303を有している。プリンタ全体の制御を司る制御部300には、様々な構成機器やセンサ類が通信可能に信号線を介して接続されているが、図10においては、本プリンタの特徴的な構成に関連する構成機器だけを示している。なお、図10においては、各形態で用いる構成やセンサ類を併記しており、各形態の制御部300として機能するものとして説明する。
1次転写用の電源81(Y、M、C、K)は、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに印加するための1次転写バイアスを出力するものである。
電源39は、二次転写裏面ローラ33に印加するための二次転写バイアスを出力する。この電源39は、制御部300によってその出力が制御される。なお、ここでは、電源39の出力制御にプリンタ全体の動作を制御する制御部300を用いているが、制御部の形態としては、プリンタ全体の動作の制御部とは個別に、電源39の出力制御用の制御部300を設けた形態であっても良い。
本実施形態において、プリンタ100は、作像条件を調整するための画像調整モードを有している。プリンタ100は、画像調整モードにより作像条件を調整する場合、現像バイアスや帯電バイアスを変化させて濃度調整用パターンとなるテストパッチをトナーで作像し、そのテストパッチを二次転写ベルト404上に転写して、パターン検出センサ407で濃度を検出し、この検出値に基づいて作像条件の調整を行うように構成されている。この処理は制御部300によって行われる。本実施形態では、二次転写ベルト404上でテストパッチを検出しているが、中間転写ベルト31上で検出するようにしても良い。
制御部300は、画像調整モードが始動すると、各感光体上にテストパッチを形成するように、書込みユニットの駆動部304と画像形成ユニットの駆動部305を駆動する。次に制御部300は、テストパッチ(トナー像)を中間転写ベルト31上に転写するように、一次転写用の電源81(Y、M、C、K)と中間転写ユニットの駆動モータ306を駆動する。制御部300は、中間転写ベルト31上に転写されたテストパッチを二次転写ベルト36上に転写すべく、電源39と二次転写ユニットの駆動部307を駆動する。
直流電源110は、中間転写ベルト31のおもて面31a上のトナーに対して二次転写ニップN内でベルト側から記録材Pに向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。直流電源110は、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221を備えている。
交流電源140は、二次転写ニップN内に交流電界を形成するための交流電圧を出力するための電源である。交流電源140は、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、出力異常検知部145、電気接続部242と電気接続部243を備えている。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を制御部300に出力する。これにより、制御部300による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として制御部300に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、制御部300においてAC_PWM信号のデューティを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、本プリンタ100では、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
図12(a)、図12(b)は、電源39から出力される二次転写バイアスの波形の一例である。トナー像を記録材Pに転写させるには、ある一定の大きさの電圧を二次転写ニップNに印加供給する必要がある。しかし、電圧を印加し続けると、ここまでに説明したように、トナーが過充電を起こし、転写不良が生じてしまう。
図12(a)は、二次転写に必要な大きさの電圧を印加するが、Dutyを50%よりも大きく設定することで印加時間を短くし、トナーの過充電を防ぐことで、ハーフトーン出力画像が転写する理想波形である。図12(a)中の記号は、Vr:正の電圧のピーク値(逆極性電圧のピーク値/戻し方向の電圧のピーク値)、Vt:負の電圧のピーク値(転写方向の電圧のピーク値)、Voff:(Vr+Vt)/2、Vpp:Vr−Vt、Vave:Vr×Duty/100+Vt×(1-Duty)/100、A:Vtの持続時間、B:電圧波形1周期の時間、Duty:(B−A)/B×100(%)、C:Vrの持続時間をそれぞれ示す。すなわち、Dutyとは、大まかにいうと、交流電圧の波形1周期の時間Bに対するVtの持続時間(印加時間)AとVrの持続時間(印加時間)Cの比率であるともにいえ、B−AあるいはA<Cが50%よりよりも大きく(高い)ものを高Dutyと呼ぶ。
図12(b)は、図12(a)の理想波形を狙って実際に出力された波形である。Vt:−4.8kV、Vr:1.2kV、Voff:−1.8kV、Vave:0.08kV、Vpp:6.0kV、Vtピークの持続時間A:0.10ms、波形の周期B:0.66ms、Duty:85%の波形の交流電圧を印加した。
つまり、二次転写バイアスがトナーの帯電極性とは逆のプラス極性におけるピーク値Vrとになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P川側へのトナーの静電移動が阻害される。二次転写バイアスがトナーの帯電極性と同じマイナス極性におけるピーク値Vtになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P側へのトナーの静電移動が促進される。
このような二次転写バイアスを採用すると、1周期A内において、トナーに対してその帯電極性とは逆のプラス極性の電荷を注入する可能性のある時間を短くすることから、二次転写ニップN内での電荷注入によるトナー帯電量の低下を抑えることが可能になる。これにより、トナー帯電量の低下に起因する二次転写性の低下による画像濃度不足の発生を抑えることができる。
図13(a)〜図13(c)は、図12(b)の波形を模式的に記載したものであり、この図を使ってDutyをより説明する。
二次転写バイアス中の交流成分である交流バイアスは、転写方向に向かうバイアスと、転写方向と逆方向に向かうバイアスである。本実施形態において、転写方向とは、マイナス極性に向かう事であり、逆方向とは+極性に向かうことである。このうち、転写方向のバイアスと逆方向のバイアスとは、極性切替基線Jとなる0Vを境にして互いに逆極性のバイアスであって、1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(a)に示すようにバイアスが0Vよりも逆極性であるプラス極性側である符号P1とP2で示す間の時間Caとすることができる。
1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(b)に示すように、バイアスが逆方向のピーク電圧Vrに達した時を示す符号P3から転写方向のピーク電圧Vtに向かって立ち下がり始めるまで範囲の時間であり、図13(b)では、P3とP4で示す間の時間Cbとすることができる。
また、1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図13(c)に示すように、逆方向のピーク電圧Vrから転写方向のピーク電圧Vtに向けて30%の値だけシフトさせた位置を基線J1としたとき、この基線J1よりも逆方向側となる時間であり、符号P5と符号P6で示す間の時間Ccとすることができる。
実験条件は、環境:27℃/80%、記録材:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)、プロセス線速:630mm/s、出力画像:Bkハーフトーン、二次転写ニップの幅:4mmである。
コート紙の転写時に限らず、普通紙や再生紙の転写時に実施形態で説明した二次転写バイアスを用いても良い。
図14(a)〜図14(e)は、図12(a)の波形の条件で、Dutyを10%から90%までの間で変更した時の出力波形の画像である。これらの波形でハーフトーン画像を出力し、図15に示すように、官能評価のランク付けを行った。ランクは次のようにして評価した。評価ランクは1〜5までの5段階とし、ランクが高い程、高評価とした。
すなわち、十分なハーフトーンの濃度を得られている場合をランク5と評価した。ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている場合を、ランク4として評価した。ランク4に比べてさらに薄く、ユーザーに提供する画質としては問題となる場合をランク3として評価した。ランク3に比べてさらに薄い場合をランク2とし、全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い場合をランク1として評価した。ユーザーに提供できる画質の許容レベルとしては、ランク4以上である。
図15の評価結果によると、Dutyが90%と70%ではランク5であり、50%でランク3、30%と10%でランク1であった。
また、波形において、VrとVtで極性を反転させると、過充電をより確実に防げる。その理由は、記録材Pが帯電している場合でも、0をまたぐことで充電を防ぐ向きに電界をつくるからである。
以上のように、本実施形態では、二次転写ニップNの幅が広くなるように、二次転写ローラ36を搬送方向上流側にオフセットさせるとともに、二次転写バイアスとして高Dutyの重畳バイアスを使用することで、プレ放電と転写不良の両方を防止して、良好な画像を提供することができる。高Dutyとは、少なくとも50%よりも大きく、より好ましくは70%以上となる。
しかし、二次転写効率が高める反面、規則的に並ぶ絶縁性の粒子312の粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷が注入し易くなり、過充電となってしまうことがある。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子312を分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。
このような粒子312を備えた弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合には、高デューティ(50%よりも大きい)の二次転写バイアスを採用することで、粒子312による二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。
また、粒子312として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1をベースにさらに放電余裕度を上げるために、二次転写バイアスの制御に特徴を持たせている。
構成としては、実施形態1同様に弾性ベルトからなる中間転写ベルト31と、二次転写ベルト方式で二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットしている。この構成を用いることで、プレニップ放電に対する余裕度が向上することはすでに述べたが、プレニップ放電は当然ながら二次転写バイアスが大きいほど異常画像となり易い。仮に放電していたとしても、トナーの有する電荷量が大きければ、トナーが電荷を運ぶことで、あるいは放電を受けても十分に中間転写ベルト31に対して吸着することで異常画像となり難い。あるいは二色重ねなど、トナーの総量が多ければ、やはり放電に対して余裕がある。また、放電に対する余裕度は、トナーの特性にも依存しており、例えばトナーの抵抗が高ければ放電に対する余裕度は向上する。逆にいえば、トナーの抵抗が低い場合や、導電剤としてそのようなものを用いている場合には異常画像になり易い。例えば黒トナーの着色剤として、よくカーボンブラックが使用されるが、カーボンブラックは導電性を有しているため、抵抗が下がり易く、仮に抵抗が下がっていなくとも放電に対して他の色に比べて放電に対して余裕度が弱くなるという場合がある。
図16は、画像面積率Wと二次転写バイアスの転写電流の関係を示すテーブルである。本実施形態では、二次転写ニップでの画像面積率Wを制御部300のCPU301で演算して、それに応じて二次転写電流値を図16に示すテーブルに基づいて補正している。なお、二次転写電流とは、高Duty、重畳バイアスにおける直流成分のことを指している。以下、二次転写電流と記載した場合はこの直流成分を指す。
本実施形態において、電源39では、二次転写電流が制御部300によって定電流制御されている。電源39は、制御部300からPWM信号によりその目標電流を制御されることで、定電流制御される。このPWM信号を画像面積率Wに応じて変動させることで、定電流制御しながら目標電流を時々刻々と変化させている。
なお、本実施形態において、画像面積率Wの演算をする場合、副走査方向(ベルト回転方向)ごとに50mmの間隔で演算しており、それら演算結果ごとに図16のテーブルに基づいて転写電流制御を行なっている。図16に示すテーブルは、制御部300が備えているROM302に予め画像面積率Wの演算式とともに記憶されているものである。演算間隔は、狭いほど高い効果を得られるが、本実施形態のように50mm間隔でも十分に効果があり、さらに間隔が広くてもある程度の効果はある。
図16のテーブルに基づいて制御部300によって電源39に対する制御を行なうと、例えば単色の全ベタ画像を印字した際には100%相当の、転写電流の出力を行う。100%とは基準電流を目標電流A1としてそのまま出力するということである。例えば今回の場合、図6で述べた−120μAが目標電流A1となる。画像面積率Wが5%である場合は、図16によると、転写電流は40%となり、−120μA×40%=−48μAとなる。つまり補正後の転写電流(目標電流A1)は−48μAとなる。
すなわち、本実施形態において、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、定電流制御による目標電流A1が画像面積率に応じて調整可能とされている。具体的には画像面積率が増えると目標電流A1が高くなり、画像面積率が減少すると目標電流A1を低なるように補正され、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
このように電源39の出力制御を行うことで、転写性を確保しつつ、放電余裕度を実施形態1の場合よりもさらに向上させることができる。
なお図16に示す画像面積率Wと転写電流の関係は、画像形成装置毎の特徴にあわせて作成することが好ましく、この図16に記載した画像面積率Wと転写電流率の関係に限定されるものではない。
さらに単純な画像面積だけではなく、トナーの色に応じて転写電流の制御を変えたりしても良い。例えば、Bトナーは電流をあまり必要としないのであれば、画像面積率Wの計算に対して補正をかけて、全ベタで80%相当とする、といったことも更なる効果を得ることができる。
本実施形態では、実施形態2をベースに、放電余裕度は確保しつつ転写性の観点から最適化できるように、環境条件となる温湿度の検出結果により、転写電流を補正するようにしている。
図17は、補正用のテーブルを示す。このテーブルは、制御部300のROM302に式の数1に示す式とともに予め記憶されている。図17は、絶対湿度ごとの補正率を表している。本実施形態では、図10に示す環境情報検出手段として温湿度検出センサ408を備えていて、制御部300と信号線を介して接続されている。制御部300では、温湿度検出センサ408から出力される検出値から温度と湿度をそれぞれ検出し、以下の数1に基づいて絶対湿度Xを算出する。(Tetensの式)
すなわち、本実施形態では、温湿度情報を検出する温湿度検出センサ408を有し、転写バイアスは直流バイアス成分を含み、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、温湿度検出センサ408から出力される検出値の高くなるほど、目標電流A1を小さくし、温湿度検出センサ408から出力される検出値が低減するほど目標電流A1を大きくするように補正して調整可能に構成されていて、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
ただし、この補正テーブルは画像形成装置の特徴に合わせて作るのが好ましく、各絶対湿度Xごとの補正率もこの限りではない。ちなみに図17において絶対湿度Xが18以上と高い場合にも出力を90%に補正しているが、これは放電が原因ではなく転写性からである。このように、放電のみならず転写性の観点からも補正することで、本実施形態の効果(幅広い記録材Pへの対応)をさらに得ることができる。
本実施形態では実施形態3をベースとしているが、二次転写ニップNでの抵抗値の検出を行ない、その検出結果に応じて二次転写バイアスを補正することで、さらに放電余裕度を向上させている。このため本実施形態では、図10に示す抵抗検出手段409によって二次転写ニップNでの抵抗値を検出している。
図18は、制御部300による抵抗値検出補正処理の一形態を示し、図19は、抵抗検出結果に応じた判定テーブルを示す。この判定テーブルは、抵抗値(電圧)毎に区分1〜区分5に分けられる。図19に記す判定テーブルは、絶対湿度X毎の判定テーブルとなっている。これは、環境によって部材の抵抗が変るため、どの環境で検出したかによって、条件を変えている。検出電流は、直流電流であったが、当然条件を変える対象は、二次転写バイアス(重畳バイアス)における直流成分である。図20は、図18の処理によって求められた抵抗値から選択された区分(電圧区分)に応じた補正率を設定した補正率テーブルである。これら図19に示す判定テーブルと、図20に示す補正率テーブルとは、制御部300のROM302に予め記憶して設定されている。
制御部300は、ステップST4において、算出された抵抗値に基づいて図19に示す判定テーブルから区分を選択する。各区分には、絶対湿度Xに応じた基本となる二次転写バイアスの値(目標電流A1)が設定されているので、制御部300は、ステップST4で区分を選択した時、当該区分の絶対湿度Xの判定基準に基づいて二次転写バイアス(目標電流A1)を制御する。
なお、図18に示す抵抗検出補正処理は、例えばプリンタ100の電源オン時の準備動作中や作像開始時の回転時に実施することで、動作時間の短縮も可能である。ここでは、平均電圧から抵抗値を求めているが、テスト電流は一定値であるため、電圧情報とテスト電流値とから予め区分1〜区分5を設定しておき、抵抗値を求めずに区分を図18の判定テーブルから選択するようにしても良い。
例えば、抵抗検出処理にて区分4が選択された場合、区分4の補正率90%を目標電流A1に対してかける。そのため、例えば10℃・15%RH環境において、画像面積率5%の画像を印字した場合、目標電流A1に対して画像面積補正率、環境補正、抵抗補正の3つを掛け合わせたものが最終的な電源39からの出力(目標電流A1)となり、−120uA×40%(画像面積補正)×80%(環境補正)×90%(抵抗補正)=−34.6μAを出力値(目標電流A1)とする。
すなわち、本実施形態では、二次手転写ニップNの抵抗を検出する抵抗検出手段409を備え、二次転写バイアスは直流バイアス成分を含み、直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、抵抗検出手段409による検出値に応じて調整される値が増えるほど目標電流A1を小さくし、抵抗検出手段409による検出値の値が低減するほど目標電流A1を大きくするように補正することで調整可能に構成されていて、この補正された目標電流A1を二次転写バイアスとして出力するように構成されている。
本実施形態では、このように画像面積・環境条件・抵抗値の3つに対して補正をかけることで、さらに放電余裕度が向上するので、幅広い記録材Pに対して対向する対応力が高まる。本実施形態では、パラメータである画像面積・環境条件・抵抗値の3つに対して補正をかけているが、何れか1つのパラメータを用い、当該パラメータに対応した補正値を目標電圧にかけて補正し、補正後の電圧を二次転写バイアスとして電源39から出力するようにしても良い。
本実施形態は、実施形態1をより詳細に説明するためのものである。記録材Pとして凹凸紙の転写性を確保するために中間転写ベルト31として弾性ベルトを用いている。各色のトナーは、中間転写ベルト31に重ね合わせられる一次転写工程の後に、二次転写ニップNにおいて記録材Pに一括転写する二次転写工程を行なう。この中間転写ベルト31は、例えば、図3(a)に示すように、内側の層(にポリイミドやポリアミドイミドの50μm〜100μm程度の基層310を有しており、その上にアクリルゴムなどを用いた弾性層311を積層され、さらに表層に離形性を付与するためのコーティング312などが施されている。弾性層311は100μm〜1mm程度のものが一般的である。この中間転写ベルト31のゴム性に応じて、二次転写では必要な圧を付与することで凹凸を有する記録材Pに対して、凹部にもトナーを良好に転写することができる。
しかし、何れにしても転写するために必要な転写圧をかけることで、記録材Pは中間転写ベルト31に対して高い密着性を持ち、二次転写ニップNを出ても記録材Pが中間転写ベルト31から分離されずに分離不良を起こすことがある。これは、二次転写ローラ36を用いたようなローラ方式において顕著である。そのため、実施形態1のように二次転写ベルト方式の二次転写ユニット41と組み合わせることで、高い分離性と記録材Pへの転写性を両立させることができるので好ましい。
従って、本実施形態のように、弾性ベルトからなる中間転写ベルト31を用いる場合、プレニップはPIベルトを用いる場合よりも広くする必要がある。このため、本実施形態では、実施形態1−4の構成で設定しているプレニップの長さよりも長い、5.2mmとした。この長さとは、記録材搬送方向bに対するものである。
このように、弾性ベルトを中間転写ベルト31に用いる場合、プレニップが大きくなるので、二次転写ニップNの長さも大きくなり、トナーに対して過充電しやすくなる。このため、弾性ベルトを二次転写ベルト31に用いる場合に、二次転写バイアスとしては高Duty(50%よりも大きい)の重畳バイアスを用いることで、PIベルトを中間転写ベルト31に用いる場合よりも、高い分離性と記録材Pへの転写性を確保しながら、トナーの過充電による異常画像の発生を防止できるので好ましい。
しかし、二次転写効率が高める反面、規則的に並ぶ絶縁性の粒子312の粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷が注入し易くなり、過充電となってしまうことがある。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子312を分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。
このような粒子312を備えた弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合には、高デューティ(50%よりも大きい)の二次転写バイアスを採用することで、粒子312による二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。
また、粒子312として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
ベルト転写の場合、薄紙を分離しやすい。しかし薄紙は放電しやすいので、二次転写ローラ36を記録材搬送方向上流側にオフセットすることは、記録材Pとして薄紙を用いる場合にも有効である。
すなわち、中間転写ベルト31上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を中間転写ベルト31側から記録材P側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆方向である戻し方向の電圧とが交互に電圧切り替わる二次転写バイアスを出力する波形は、転写方向の電圧をVr、戻し方向の電圧をVtとしたとき、両者が0Vよりも戻し方向側の極性において、転写方向側と戻し方向側に出力が切り替わる波形であっても良い。
上記実施形態では、画像形成装置として、転写部(二次転写ニップN)で記録材Pを水平方向に搬送するものを用いて説明したが、転写部で記録材Pを上方、下方、斜め上方向あるいは斜め下方向などへ搬送する構成の画像形成装置に本発明は適用することもできる。
31 ベルト状の像担持体
33 対向部材
36 転写部材、中間転写体、二次転写ローラ
39 転写バイアス出力手段
36a、404a 転写部材の外周面
100 画像形成装置
300 制御部
310,311,312 複数の層
404 転写部材、中間転写体、二次転写ベルト
408 温湿度検出手段
409 抵抗検出手段
A 転写バイアスの1周期
A1 目標電流
b 記録材搬送方向
C、Ca、Cb、Cc 逆方向へのバイアスが印加される時間
J 極性切替基線
J1 基線
N 転写部
P 記録材
W 画像面積率
X 絶対湿度
Claims (10)
- トナー像が担持されるベルト状の像担持体と、
前記像担持体と対向配置された転写部材と、
前記像担持体を介して前記転写部材に対向する対向部材と、
前記像担持体を介して前記転写部材と前記対向部材とが接触する転写部で前記トナー像を記録材へ転写するために転写バイアスを出力する転写バイアス出力手段とを備え、
前記転写部よりも上流側又は下流側の少なくとも一方において前記像担持体が前記転写部材の外周面に沿うように配置され、
前記転写部に供給される転写バイアスは、少なくとも前記像担持体上のトナー像を前記記録材へ転写する際に、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、前記転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わって周期変動するものであり、
前記転写バイアスの1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間を50%よりも大きくし、
前記転写方向のバイアスと前記逆方向のバイアスとは、0Vを境にして互いに逆極性のバイアスであって、
前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、前記転写バイアスが逆極性である時間である画像形成装置。 - 前記ベルト状の像担持体は、複数の層が積層された中間転写体である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記ベルト状の像担持体は、弾性を有する中間転写体である請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
前記直流バイアス成分は定電流制御によって供給され、定電流制御による目標電流が画像面積率に応じて調整可能な請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段を備え、
前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
前記直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、
前記抵抗検出手段による検出値の値が増えるほど目標電流を小さくし、前記抵抗検出手段による検出値の値が低減するほど前記目標電流を大きくするように調整可能な請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。 - 前記抵抗検出手段は、前記転写部へ供給される直流バイアス成分から算出する請求項5に記載の画像形成装置。
- 温湿度情報を検出する温湿度検出手段を有し、
前記転写バイアスは直流バイアス成分を含み、
前記直流バイアス成分は、定電流制御によって供給され、
前記温湿度検出手段の検出値が高くなるほど目標電流を小さくし、前記温湿度検出手段の検出値が低減するほど前記目標電流を大きくするように調整可能な請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部材は、複数の回転体に巻き掛けられて回転移動可能に支持されて、前記像担持体に接触する二次転写ベルトである請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記転写部材は、前記像担持体に接触する二次転写ローラである請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記転写バイアス出力手段を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記転写バイアスの1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間を50%よりも大きくなるように前記転写バイアス出力手段を制御する請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像形成装置。
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