JP6490671B2 - 半導体ウェーハのバルク品質評価方法および装置 - Google Patents

半導体ウェーハのバルク品質評価方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイス製造用半導体ウェーハのバルク品質評価方法および装置に関する。
急拡大する電力用半導体の需要に対して、その製造に用いられる材料(半導体結晶ウェーハと半導体結晶インゴット)の究極までの品質向上と管理による電力変換器の性能、製造歩留りの向上さらに信頼性の向上が大きな課題となっている。現在3兆円といわれる電力用半導体のうち、高電圧大電流を担う素子、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やPiNダイオードの分野が、HEV(ハイブリッド電気自動車)の出現やエアコンのインバータ化などから急拡大してきており、まさにこの分野は材料品質およびその管理が電力変換器の性能や信頼性の向上に直結していることが知られている。
ところが従来は材料品質を高速で高精度に計測する機器がなかったため、材料の抜き取り検査、いわゆるサンプル検査のみが行われ、出荷時、納入時の全数検査は行われてこなかった。すなわち一つの半導体結晶インゴットから作られたすべてのウェーハについて、そのウェーハの取得部位(インゴットにおける部位)まで含めた品質データが完備・保存されているという管理体制での製造方式にはなっていなかった。このため、性能の悪い電力用半導体や故障が発生しても材料品質の点で、結晶インゴット製造までさかのぼって原因究明を行う(結晶起因なのか、あるいはその後の工程に起因するのか)というトレーサビリティーすら確保できない状況であった。
従来、ウェーハ品質に関する上述のような抜き取り検査に使われる方法として、レーザ光照射によって発生させたフリーキャリアが時間とともに消滅してゆく過程を、ウェーハ表層のフリーキャリアによるマイクロ波反射の時間減衰として捉える方法(μ−PCD法、例えば非特許文献1参照)がある。しかし、この方法では、その測定原理上、半導体ウェーハの内部品質(結晶性)を評価するには、表面再結合センターを消去するための特殊な表面処理が必要となり、そのための時間と手間が全体の評価速度を向上させる上で妨げになっている。また、その表面処理が安定して同一条件で行えないことなどに起因して、品質評価結果が大きくばらつくという欠点は今でも解消されていない。
更に、評価自体が照射したレーザ光の反射率の測定によるものであるため、高精度測定、すなわち品質判定の分解能を上げようとすると、ウェーハの一点に対する測定自体に長時間を要し、かつウェーハ全面のスキャン測定には、1枚当たり20分程度の時間を要する。この測定速度向上の解決に立ちはだかる測定原理上の問題のために、ウェーハの全数検査は事実上困難であった。
半導体ウェーハを評価する装置として、特許文献1には、第1のフォトンビームを発生し、かつ該第1フォトンビームがウェーハの或る領域に入射したときに、電荷キャリアの波が前記領域に発生しない程度に十分に低い周波数をもって変調された第1の強度を第1フォトンビームに与えるような第1のソースと、第2のフォトンビームを発生し、かつ該第2フォトンビームがウェーハの前記領域に入射したときに、無視し得る数を超えないような電荷キャリアが前記領域に発生する程度に、前記第1ビームのフォトンよりも十分に低いエネルギーを第2ビームのフォトンに与えるような第2のソースと、第2ビームの、前記領域により反射された後に前記周波数にて変調された部分の光路内に配置された光電性素子とを有し、光電性素子が、第1ビームの入射により前記領域内に形成された電荷キャリアの第1の濃度を表す第1の信号を発生する装置が開示されている。
また特許文献2には、波長が互いに異なる少なくとも2種類の光を、測定対象の半導体における互いに異なる第1および第2領域に照射する光照射部と、第1および第2領域のそれぞれに所定の測定波を照射する測定波照射部と、第1領域で反射された前記測定波の第1反射波または第1領域を透過した前記測定波の第1透過波と第2領域で反射された前記測定波の第2反射波または第2領域を透過した前記測定波の第2透過波との差である差測定波を、第1反射波または第1透過波のままで用いるとともに第2反射波または第2透過波のままで用いることによって生成する差測定波生成部と、差測定波生成部で生成された差測定波を検出する検出部と、検出部で検出された検出結果に基づいて測定対象の半導体におけるキャリア寿命を求める演算部とを備えた半導体キャリア寿命測定装置が開示されている。
特表2002−517915号公報 特開2011−233742号公報
「半導体プロセスにおける重金属汚染の検出−キャリアライフタイム測定装置−」、住江伸吾、高松弘行、神戸製鋼技報 Vol.52,No.2,pp.87−93(2002)
前掲の非特許文献1、特許文献1および2に開示された従来の半導体ウェーハの評価方法、装置では、いずれも、半導体ウェーハの表層部におけるフリーキャリアの状況を、反射波を観測することにより評価している。このような方法は、半導体ウェーハの表層部の結晶品質が問題となるLSI(Large Scale Integration)においては適用できるが、半導体ウェーハの内部の結晶品質が問われる半導体、例えばIGBTやPiNダイオードに対しては測定精度が悪く、正しい評価ができない。
そこで本発明は、半導体結晶インゴットから切り出して半導体ウェーハを製造する場合、すべての半導体ウェーハ内部のキャリア寿命を測定する、実用的で従来法に比べて測定速度と精度、装置操作などの点で大幅に改善されたウェーハ評価技術を確立することを目的とする。
本発明においては、バルク品質の評価に先立ち、ウェーハに前処理を施さないで、ウェーハ自身を評価装置にセットすれば評価準備が完了するという方法を実現する。
評価原理として、半導体ウェーハの表層のみからの応答を使うのではなく、ウェーハの内部からの応答を使う(内部の状態を反映する方法を使う)という手段を採用する。
従来のマイクロ波PCD法(μ−PCD法)に比べて、ウェーハ(インゴット)の一点の品質評価時間を格段に短縮できる新規の評価原理を用いる。具体的には、精度向上に繰り返し測定(データ積算)が必要となる従来のシグナル強度測定の代わりに、単発の測定で精度が得られる原理を採用する。
すなわち本発明は、半導体ウェーハ内部のフリーキャリア(自由電子と自由正孔の総称)の寿命を評価する方法であって、評価対象とする
半導体のエネルギーバンドギャップよりも大きなエネルギーのフォトンを含む励起光を定常的に照射することによってフリーキャリアを生成(励起)し、生成された当該フリーキャリアの濃度が不均一分布しているウェーハの部分に、評価の対象とする物質のエネルギーバンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーの観測光を照射し、当該観測光がウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度を計測することを特徴とするものである。
ここで、「出射する角度を計測する」とは、直接角度を計測する以外に、観測光が励起光の影響を受けずに出射したときの到達点と、観測光が励起光の影響を受けて出射したときの到達点との距離を測定する場合も、この距離と角度とは比例の関係にあることから含まれる。
前記半導体ウェーハに照射していた前記励起光を不到達にして、前記観測光が、前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度の時間的な変化を計測すると、時間変化する様子の観測結果から、フリーキャリア寿命を算出・評価できる。
また、本発明は、半導体ウェーハ内部のフリーキャリアの寿命を評価する装置であって、評価対象とする半導体ウェーハのエネルギーバンドギャップよりも大きなエネルギーのフォトンを含む励起光を定常的に前記半導体ウェーハに照射することによって当該半導体ウェーハの内部にフリーキャリアを生成する励起光照射手段と、生成された当該フリーキャリアの濃度が不均一分布している前記半導体ウェーハの部分に、評価の対象とする物質のエネルギーバンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーをもつ観測光を照射する観測光照射手段と、当該観測光が前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度を計測する計測手段とを有することを特徴とするものである。
前記励起光照射手段は、前記励起光としてレーザ光、特にYAGレーザを用いることができる。
前記観測光照射手段は、前記観測光としてレーザ光、特に赤外光レーザを用いることができる。また、前記観測光照射手段をLEDにより形成することもできる。
前記励起光照射手段は、前記観測光に対して、前記励起光を、平行で逆向き、もしくは平行で同じ向きとなるように照射することができる。
前記励起光照射手段は、前記観測光に対して、前記励起光を平行となるように照射することができる。あるいは、前記励起光照射手段は、前記観測光に対して、前記励起光を傾斜するように照射することができる。
前記励起光照射手段と前記観測光照射手段とは、前記励起光と前記観測光とを、前記半導体ウェーハのおもて面もしくは裏面に対して45度の入射角をもって、前記半導体ウェーハに入射するように照射することができる。
前記励起光照射手段または前記観測光照射手段の少なくともいずれか一方は、前記励起光と前記観測光とが、前記半導体ウェーハの内部において、非交差状態から交差状態を経て、非交差状態となるように走査すると、フリーキャリアの半値幅を計測することができる。
前記励起光照射手段または前記観測光照射手段の少なくともいずれか一方は、前記励起光と前記観測光とが、前記半導体ウェーハの内部において、互いに平行で隔たった状態から、互いに一致した状態を経て、互いに平行で隔たった状態となるように走査することができる。
発明の直接的な効果は、半導体ウェーハの品質評価速度を従来技術に比べて格段に向上させることである。この評価速度の大幅向上によって、下記のような今までは不可能であった最高水準の品質保証とトラブルシューティングが可能となる。
パワー半導体の製造において、原材料である半導体ウェーハ(結晶インゴット)から最終製品製造までの工程のすべてにおいて良品・不良品の全数管理が可能となり、最終製品の品質保証が格段に向上する、また、最終製品で不良などが発生した場合に、製造工程を結晶インゴット(の部位)までさかのぼってテストデータを調査できるようになるため、不良原因の究明が迅速かつ正確にできるようになる。
さらに、このような製品レベルでごくまれに発生するトラブルの原因究明を通して、製品製造技術そのものを改善してゆく手掛かりが掴める。
本発明の実施の形態に係る半導体ウェーハのバルク品質評価装置の構成と動作を示す模式図である。 本発明における励起用レーザビームの照射位置の関数となる屈折量およびキャリア濃度の関係を示すグラフである。 本発明の予備実験で用いた半導体ウェーハのバルク品質評価装置の配置を示す図である。 励起用レーザビームと観測用レーザビームとを照射したときの反射光の状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Z軸に沿った方向から見た図である。 励起用レーザビームを照射したときの反射光の状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Y軸に沿った方向から見た図である。 励起用レーザビームと観測用レーザビームとを照射したときの反射光の状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Y軸に沿った方向から見た図である。 図3に示す半導体ウェーハのバルク品質評価の変形例の構成図である。 励起用レーザビームの照射を停止した状態と観測用レーザビームの屈折角との関係を示すグラフである。 レーザビームが平行となる配置の例を示すものであり、観測用レーザビームと励起用レーザビームとの関係を示す図である。 レーザビームが平行となる配置の例を示すものであり、観測用レーザビームの屈折を示す図である。 レーザビームが平行となる配置の例を示すものであり、キャリアの濃度分布を示す図である。 立体交差ビーム配置の例を示すものであり、シリコンウェーハの断面方向から見た図である。 立体交差ビーム配置の例を示すものであり、シリコンウェーハの正面から見た図である。 反射法によって半導体ウェーハのバルク品質評価を実施した場合の装置の配置を示す図である。 励起用レーザビームを照射しない場合の観測用レーザビームの反射の状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Z軸に沿った方向から見た図である。 励起用レーザビームを照射しない場合の観測用レーザビームの反射の状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Y軸に沿った方向から見た図である。 励起用レーザビームを照射した場合の観測用レーザビームの反射光の屈折状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Z軸に沿った方向から見た図である。 励起用レーザビームを照射した場合の観測用レーザビームの反射光の屈折状態を示すシリコンウェーハの断面図であり、Y軸に沿った方向から見た図である。
1 観測用レーザ光光源
2 調光部
3 シリコンウェーハ
31 照射面
32 反射面
4 レーザビーム検出器
5 フリーキャリア生成(励起)用レーザ光源
6 調光部
7 反射部
8 XYZステージ
9 シャッタ装置
FD 濃度分布
R11 観測用レーザビーム
R12 屈折しない場合の透過したレーザビーム
R13 屈折した場合の透過したレーザビーム
R14 反射した場合のレーザビーム
R21 フリーキャリア生成(励起)用レーザビーム(励起用レーザビーム)
θ 屈折角
φ,φ’ 入射角
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の品質評価技術を、もっとも基本的な形でパワーデバイス用のMCZ(Magnetic field applied Czochralski法で製造)シリコンウェーハ(リンドープ、比抵抗=約20±3Ωcm)を評価対象として実施した場合の半導体ウェーハ(以下、単にウェーハと称することがある。)のバルク品質評価装置の構成とその動作説明の模式図である。
図1に示すように、観測用レーザ光光源1は、シリコンウェーハ3上の点Pcからの垂線上に位置している。この観測用レーザ光光源1から波長が1550nm(0.787eV)の赤外光の観測用レーザビームR11が観測光として出射される。観測用レーザビームR11は、集光レンズ、スリットないしアパーチャなどの調光部2で所望のビーム径に絞られ、評価対象のシリコンウェーハ3に照射される。
この観測用レーザビームR11はシリコンウェーハ3を容易にかつ真直ぐに透過し、計測手段として機能するレーザビーム検出器4に到達する。この観測用レーザビームR11が到達したレーザビーム検出器4上の到達点を点Paとする。レーザビーム検出器4としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。
図1においては、シリコンウェーハ3を透過したレーザビームR12が、レーザビーム検出器4の点Paに真っ直ぐ到達している状態において、励起光照射手段として機能するフリーキャリア生成(励起)用レーザ光光源5(波長1064nm:フォトンエネルギー1.165eV:出力1.3W)から、励起光として出射される励起用レーザビームR21を、観測用レーザビームR11がシリコンウェーハ3に到達する点Pc(図1参照)の近傍に、観測用レーザビームR11に対して傾斜した状態となるように照射する。
ここで、傾斜した状態とは、シリコンウェーハ3の厚みを見るような方向で、観測用レーザビームR11に対して、励起用レーザビームR21が三次元的に傾いている状態を示す。
このレーザ照射によって、シリコンウェーハ3上の点Pc近傍に自由電子と自由正孔(フリーキャリア)が生成され、このフリーキャリアがシリコンウェーハ3内部と周囲に向かって拡散する。以下、フリーキャリア生成(励起)用レーザ光光源5を、励起用レーザ光光源5と略す。
電子と正孔の濃度が大きくなる部分は、図1では、シリコンウェーハ3の濃い色で影付けをした部分(濃度分布FD)として示してある。この生成された電子と正孔は、拡散の最中に再結合を起こし消滅(対消滅)する。電子と正孔が生成されてから再結合消滅するまでの平均時間をキャリアの寿命と呼ぶが、これを決めているのが結晶品質である。
励起用レーザ光光源5からの励起用レーザ照射の定常状態においては、励起用レーザビームR21の照射によって自由電子と自由正孔、すなわちフリーキャリアが作られる速度と、再結合消滅の速度が釣り合って、図1のシリコンウェーハ3の中に描かれたような、時間に依存しないフリーキャリア濃度の分布が生じる。
この分布濃度FDの形状がシリコンウェーハの品質を反映する。例えば、結晶品質が良いほど分布濃度FDの分布曲線の広がり(半値幅)が大きくなる。そこで、分布濃度FDの分布曲線の広がり(半値幅)を測定することでシリコンウェーハの品質評価が可能となる。
この分布濃度FDの半値幅を測定するのには、光照射(レーザ照射)で生成されたフリーキャリアによって観測用レーザビームR11が屈折を受けるという原理を用いる。つまり、図1に示したように、観測用レーザビームR11がフリーキャリア濃度の分布濃度FDの傾斜部分(濃度勾配が存在する部分)を透過する際には、フリーキャリアの濃度勾配と濃度に応じて屈折する。このように、屈折して透過した観測用レーザビームを図1のR13で示している。屈折の大きさは、屈折角θや図1の点Paを基準にした時の点Pbまでの距離に対応する。
そこで、図1の、励起用レーザ光光源5以外の装置部分は固定しておいて、励起用レーザ光光源5の位置を、点Pcを基準に左から右(あるいはその逆)に移動させてゆくと、移動距離の関数として、点Paと点Pbの距離(言い換えれば屈折角θ)が変化する。この様子を、キャリア濃度の分布とともに描いたのが図2である。
図2の上のグラフは、X軸を、シリコンウェーハ3における観測用レーザビームR11と励起用レーザビームR21との照射位置の距離(相対位置)とし、Y軸を屈折角θ(点Paに対する点Pbの変位)としている。
図2の下のグラフは、X軸を、シリコンウェーハ3における観測用レーザビームR1と励起用レーザビームR21との照射位置の距離(相対位置)とし、Y軸をキャリア濃度としている。そして、X軸上の原点0は、励起用レーザビームR21か、または観測用レーザビームR11のいずれか一方の照射位置を平行移動させて、走査したときに、それぞれの照射位置が一致した場所であることを示している。
図2に示したように、キャリア濃度の分布濃度FDの半値幅は、フリーキャリアの寿命に対応しており、フリーキャリアを生成するための励起用レーザビームR21の照射位置を変えた時に観測される点Paと点Pbの距離である。言い換えれば、分布濃度FDの半値幅は、屈折角θが最大値となる照射位置と最小値となる照射位置の間の間隔であり、シリコンウェーハ3を透過した後に出射する角度として求められる。
この屈折角θが最大値となる照射位置と最小値となる照射位置の間の間隔が広いシリコンウェーハ3が、フリーキャリアの寿命が長いことを示しているため、品質が良いと評価できる。
本発明のバルク品質評価方法の特徴は、
(1)フリーキャリア生成のために光照射(レーザ照射)を行うことと、
(2)生成されたフリーキャリア濃度の勾配によって観測用レーザビームが屈折透過することと、
(3)透過した観測用レーザビームの到達位置などをCCDのような二次元撮像素子を使って検知すること
の三つの要素を組み合わせていることである。
観測用レーザビームは、当然、ウェーハの内部に到達する(透過する)ため、評価対象となっているのは従来のマイクロ波反射減衰法(評価対象は表面近傍のフリーキャリア)と違って、ウェーハ内部の結晶性である。つまり、パワーデバイス用ウェーハで重要となる「バルクライフタイム」が計測されている。
一般にレーザビームなどの光ビームを使った評価方法では、評価量を光の強度として計量する方法(光吸収法、反射法、ルミネッセンス法)よりも、光線(ビーム)の方向変化としてとらえる方が、測定時間も短く、精度も上がる。それは、強度測定にたよる方法では、s/n(信号雑音比)向上などのために、シグナルの取得を多数回繰り返す必要があるためである。これに比べ、光線の進行方向を測定する方法(例えばX線回折など)では、短時間で測定を完了することができる。
更に、CCDをレーザビーム検出器4として用いることのメリットは非常に大きく、二次元画像の撮像とその画像解析の手法を組み合わせることで、評価精度の向上と時間短縮が可能となる。
ここで、この発明に至る予備実験で用いた半導体ウェーハのバルク品質評価装置の配置を図3に示す。以下、半導体ウェーハのバルク品質評価装置を、バルク品質評価装置と略す。
図3に示すバルク品質評価装置では、光源レンズ付きの観測用レーザ光光源1として赤外レーザを用いており、調光部2(第1の調光部)として集光レンズを用いている。また、バルク品質評価装置では、レーザビーム検出器4としてCCDを用いており、励起用レーザ光光源5として、YAGレーザを用いている。
更に、バルク品質評価装置には、観測用レーザビームを集光するための集光レンズだけでなく、シリコンウェーハ3を透過した観測用レーザビームR12,R13を集光するための調光部6(第2の調光部)としての集光レンズと、レーザビーム検出器4へ導光するための反射部7としてのシリコンウェーハとを備えている。また、励起用レーザ光光源5は、走査装置の一例であるXYZステージ8に搭載されている。
このXYZステージ8は、ステージ水平送り調整部(X軸方向,Y軸方向)と、ステージ高さ送り調整部(Z軸方向)とを備えている。これらの調整部により、励起用レーザ光光源5を、シリコンウェーハに対して、上下方向に平行移動したり、左右方向に平行移動したり、接近方向または離間方向に移動したりすることができる。このように励起用レーザ光光源5を精度よく移動させることで、シリコンウェーハ3への照射位置を調整することができる。
そして、バルク品質評価装置は、XYZステージ8の走査を制御すると共に、レーザビーム検出器4にて受光した観測用レーザビームR12,R13の位置からシリコンウェーハ3を透過した後に出射する角度として求め、キャリア濃度の分布濃度FDの半値幅を算出することで、シリコンウェーハ3の品質を評価する制御装置、例えば、コンピュータ(図示せず)を備えている。
制御装置により制御されるXYZステージ8により、励起用レーザ光光源5を移動させることで、励起用レーザビームR21が、観測用レーザビームR11に、非交差状態から交差状態を経て、非交差状態となるように走査する。
XYZステージ8により励起用レーザ光光源5を移動させて励起用レーザビームR21を走査して、観測用レーザビームR11が屈折したレーザビームR13をレーザビーム検出器4により測定することで、図2に示すシリコンウェーハ3の特性を得ることができる。
図3に示すバルク品質評価装置による評価のうちで特に有効であるシリコンウェーハへのレーザビームの照射例を、図4Aと図4Bとに示す。
図4Aから図4Cでは、直交座標系において、シリコンウェーハ3の厚み方向(左右方向)をX軸、奥行き方向をY軸、高さ方向(上下方向)をZ軸として、シリコンウェーハ3を図示している(図3参照)。
図4Aでは、観測用レーザ光光源1(図3参照)から、シリコンウェーハ3に照射される観測用レーザビームR11(赤外レーザ光)と、励起用レーザ光源5からシリコンウェーハ3に照射される励起用レーザビームR21との様子を示している。
観測用レーザビームR11は、例えば、シリコンウェーハ3のおもて面上の点Aに入射角φ=45°もって入射すると、その後、シリコンウェーハ3内部で、点Aから直線AB,直線BC、直線CD,直線DEおよび直線EFにて示される反射を繰り返すと共に、反射位置(例えば、点B,点D,点F)から、直線BP,直線DQおよび直線FRに示される外部へ出射する光路となる。
このような光路の中で、観測用レーザビームR11が点Dからシリコンウェーハ3を出射して直線DQとなる光路がある。
この場合において、励起用レーザビームR21をZ軸方向から見れば点Cと一致する点(以後、この点も同じ記号Cを使って点Cと表す)から入射角φ′でシリコンウェーハ3内部に入射させる。但し、励起用レーザビームR21の直線UCは、観測用レーザビームR11の光路に沿う直線SAと直線ABでつくられる仮想平面(XY平面)、もしくはそれと平行な平面に乗っている状態で入射させ、入射角φ′は観測用レーザビームR11の入射角φ=45°と同じになるようにする。点Cからシリコンウェーハ3に入射した励起用レーザビームR21は、Z軸方向から見れば、直線CBに示される光路となる。
つまり、励起用レーザビームR21の光路である直線UC,直線CBが含まれる仮想平面(XY平面)は、観測用レーザビームR11の光路である直線SA,直線ABが含まれる仮想平面(XY平面)と、互いに平行で隔たった状態から、互いに一致した状態を経て、互いに平行で隔たった状態となるように走査される。この走査は、励起用レーザ光光源5のZ軸方向をXYZステージ8のZ軸の調節によって行う。
このような配置では、観測用レーザビームR11の直線BCにて示される光路部分が、励起用レーザビームR21の直線CBで示される光路部分と、完全に平行(向きは逆向き)になるようにすることができ、かつXYZステージ8のZ軸方向を調整することによって、相互の高さ(シリコンウェーハ3の板面の位置)関係を変えたり、完全に一致するようにしたりすることができる。
これは、シリコンウェーハ3の外側では互いに非平行な二つのレーザビームが、シリコンウェーハ3内部では、励起用レーザビームR21と観測用レーザビームの光路の一部(図4Aでは区間CBの光路)がZ軸方向から見れば完全に一致するという理想的な状況を実現することができるということを示している。このようにして、図3に示すバルク品質評価装置では、観測用レーザビームR11と励起用レーザビームR21とを平行ビーム配置することが可能である。
この場合には、図4Cに示すシリコンウェーハ3の側面図(Y軸方向から見た図)に示した通り、励起用レーザビームR21を照射した際に生成される電子・正孔の濃度分布FDによって、観測用レーザビームR11の直線BCで示される光路は、図4Cにおける下方に曲げられ、点Cで反射したのち、直線CDで示される光路を辿り、下方に屈折を受けた直線DQに示される光路となってシリコンウェーハ3の外部に出射する。
もちろん、図4Aにおいては、観測用レーザビームR11の入射角φ’=励起用レーザビームR21の入射角φの条件を満たせば、その入射角φおよび入射角φ’値が45°以外の角度であってもよい。
なお、本実施の形態では、励起用レーザ光光源5は、XYZステージ8により、励起用レーザビームR21の出射方向を決定しているが、市販の装置により励起用レーザ光光源5の出射方向を設定するようにしてもよい。しかし、市販の装置では、光学定盤のように対称性の良い角度、例えば、45度ごとしか設定できないものが多い。そのため、シリコンウェーハ3への入射角度に関しては、高い精度を保ちながら、安価な装置(定盤)加工で実現できるという点で、入射角φ’=入射角φ=45°の配置が有利である。
また、図4Aに示すように、入射角φ’=入射角φの条件を満たすビーム配置では、シリコンウェーハ3内での様々な反射の結果、励起用レーザビームR21の反射が観測用レーザビームR11と同じ(平行な)光路を辿り、屈折量計測用レーザビーム検出器4のCCDや、赤外レーザ光を照射する観測用レーザ光光源1に到達して、測定を阻害することがある。この対策として、光路上のレーザビーム検出器4と、観測用レーザ光光源1と前方(図4Aに示す直線SAに示すの光路の途中)にノッチフィルタを配置することで、励起用レーザビームR21がレーザビーム検出器4や観測用レーザ光光源1に到達するのを防止することができる。
図3に示すバルク品質評価装置では、観測用レーザ光光源1が固定で、励起用レーザ光光源5がXYZステージ8により走査される。しかし、観測用レーザ光光源1をXYZステージ8などの走査装置により走査するようにしてもよい。
上に挙げた実施の形態では、励起用レーザの照射によって生成されたフリーキャリアの不均一な濃度分布FD(ウェーハ内の位置の関数としての濃度の不均一)が時間によらず、一定になるように制御された条件下(以下、定常状態と呼ぶ)で行われるという、本評価原理を用いた評価法のうちでも、比較的単純かつ簡単な方法である。
この他にも、同じ原理に基づく以下のような有効な品質評価法の実施例を挙げることができる。
例えば、屈折ビーム(屈折したレーザビームR13)の時間変化を観測する評価法である。
励起用レーザビームR21の照射によって生成されたフリーキャリアの不均一な濃度分布FD(ウェーハ内の位置の関数としての濃度の不均一)が時間とともに変化(減衰)するという状態(以下、非定常状態と呼ぶ)を利用して、観測用レーザビームの到達点(図1の点Pb)が時間変化する様子の観測結果から、フリーキャリア寿命を算出・評価する。この非定常状態を使ってフリーキャリア寿命を算出・評価するバルク品質評価装置を図5に示す。なお、図5においては、図3と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図5に示すバルク品質評価装置は、励起用レーザ光光源5と、シリコンウェーハ3との間に、励起光である励起用レーザビームR21をシリコンウェーハ3へ不到達とする手段であるシャッタ装置9が配置されている。
このシャッタ装置9により励起用レーザビームR21を遮蔽すると、励起用レーザビームR21により生成されていたフリーキャリアの濃度が低下する。従って、図6に示すように定常状態から非定常状態となり、屈折角θが減衰して徐々に0に近づく。これをレーザビーム検出器4により測定して、図示しない制御装置にて、指数関数的な減衰(点Paから点Pbまでの距離の減少)の時定数からフリーキャリア寿命を算出・評価する。屈折角θが0になる時間が長いと、フリーキャリア寿命が長いことを示すので、シリコンウェーハ3が品質良いと評価できる。
なお、図5に示すバルク品質評価装置では、シャッタ装置9により励起用レーザビームR21を遮蔽して、シリコンウェーハ3へ不到達となるようにしていたが、励起用レーザ光源5の電源を投入・切断したり、励起用レーザ光源5の内部で励起用レーザビームR21が出射しないようにしたりして不到達とすることができる。また、励起用レーザビームR21の出射方向を変更して不到達とすることもできる。
この場合、到達点の時間変化はマイクロ秒の時間スケールで起こる場合を想定する必要があるため、その様子を観測するためには、レーザビーム検出器4は、CCDよりも応答速度の速いフォトダイオードアレイやCMOSイメージセンサなどの高速度光電デバイスを用いる。
上述した図3および図5に示す実施の形態では、シリコンウェーハ3の表面に対してフリーキャリア生成(励起)用レーザビーム(以下、励起用レーザビームR21と称す。)を斜めから照射した例を示したが、この例は、基本的には、図7Aに示すレーザビームが平行となるように配置した場合(以下、このような配置でのレーザビームを平行ビームと称する。)と同様の作用効果を示す。すなわち、励起用レーザビームR21と観測用レーザビームR11をシリコンウェーハ3の表面に対して距離dだけ離れた平行ビームとして照射する。図7B,図7Cに示すように、シリコンウェーハ3の内部では、励起用レーザビームR21の光軸の回りにフリーキャリアの濃度分布FDが生じ、励起用レーザビームR21の光軸の近傍を観測用レーザビームR11が通過する際、濃度分布FDの傾きにより屈折が起こる。シリコンウェーハ3を透過したレーザビームR13は、フリーキャリアの濃度分布の傾きに応じた屈折角θでシリコンウェーハ3を透過し、レーザビーム検出器4で検知される。観測用レーザビームR11と励起用レーザビームR21の距離dを“+”(図7Cのように、観測用レーザビームR11の到達点が励起用レーザビームR21の到達点の右側となる状態)から“0”(二つのビームの到達点が重なる状態)を経て“−”(観測用レーザビームR11到達点が励起用レーザビームR21の到達点の左側となる状態)まで相対的に移動させつつ屈折角θを計測する。屈折角θが左側に最も大きくなる場合の距離dと、右側に最も大きくなる場合の距離dとを測定する。これらの距離dの値からシリコンウェーハ3の品質を評価することができる。
図8A,図8Bは、観測光と励起光とが立体交差した状態のビーム配置の例を示す。図5に示すバルク品質評価装置での平行ビーム配置では、励起用レーザビームR21と観測用レーザビームR11とが、シリコンウェーハ3に対して同じおもて面側から入射される。図9に示すバルク品質評価装置での立体交差ビーム配置では、シリコンウェーハ3のおもて面側から励起用レーザビームR21を照射し、シリコンウェーハ3の側部(厚み方向)から観測用レーザビームR11を照射するものである。
励起用レーザビームR21と観測用レーザビームR11とは、光軸が交わらない非交差状態から交差状態を経て、非交差状態となるようにし、励起用レーザビームR21の光軸の回りに生じたキャリア濃度分布によって屈折した観測用レーザビームR13の角度θで品質を評価するようにする。
この立体交差ビーム配置の例においても、励起用レーザビームR21と観測用レーザビームR11との光軸同士が非交差状態から交差状態に遷移し、そして非交差状態となるようにすれば、励起用レーザビームR21をシリコンウェーハ3の表面に対して必ずしも垂直に照射する必要はなく、傾斜するように照射してもよい。
図3に示すバルク品質評価装置では、観測用レーザビームR11に対してシリコンウェーハ3が直角になっていなくても、シリコンウェーハ3の高い面平行度のために、シリコンウェーハ3を透過してきたレーザビームR12は入射光ビームからわずかに平行移動するが、その進行方向は入射光の進行方向からずれることはない。つまり評価に当たり、観測用レーザビームR11の方向に対してシリコンウェーハ3の面の角度を正確にセットするという点に特別な注意を払う必要性がなく、ウェーハセッティングに手間や熟練を要する必要性は生じない。この点も、評価操作の簡単化による評価速度向上に寄与する。
図3におけるバルク品質評価装置では、シリコンウェーハ3を透過してきたレーザビームR12をレーザビーム検出器4にて計測していたが、図9に示す他の実施の形態に係るバルク品質評価装置では、シリコンウェーハ3を反射したレーザビームR14をレーザビーム検出器4にて計測することもできる。
ここで、図9に示すバルク品質評価装置を説明する。なお、図9においては、図3と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図9に示すバルク品質評価装置は、レーザビーム検出器4が、シリコンウェーハ3からの反射光(レーザビームR14)を計測する位置に配置されている。
このバルク品質評価装置においては、励起用レーザ光源5からの励起用レーザビームR21をシリコンウェーハ3にて反射させる。シリコンウェーハ3の照射面31は、励起用レーザビームR21や観測光レーザビームR11が入射できるが、照射面と反対側となる裏面は、レーザビームが出射できないように、鏡面加工が施されているため。鏡面加工は、例えば、シリコンウェーハ3の裏面に反射膜を設けるなどすることができる。この反射膜により反射面32が、シリコンウェーハ3の裏面に形成される。
観測用レーザビームR11がシリコンウェーハ3にて反射したレーザビームR14によりシリコンウェーハ3を評価する方法を図10A,図10Bおよび図11A,図11Bに基づいて説明する。
図10Aおよび図10Bでは、シリコンウェーハ3の厚み方向(左右方向)をX軸、高さ方向(上下方向)をY軸、奥行き方向をZ軸として、シリコンウェーハ3を図示している。
図9Aに示すように、Z軸方向から見ると、直線SAにて示される観測用レーザビームR11は、点Aにて入射すると共に、入射角と同じ反射角で、直線ATで示される方向へ反射する。シリコンウェーハ3内へ入射した観測用レーザビームR11は、反射面32と照射面31との間で、直線AB、直線BC、直線CD、直線DEおよび直線EFで示される反射を繰り返しながら、反射光として進行する。この状態を図10Bに示すように、Y軸方向から見ると、入射光、反射光および出射光は全て一つの直線に重なる。
この状態で、図11A,図11Bに示すように、点Cに励起用レーザビームR11を、XY平面に平行に照射する。
この励起用レーザビームR11の照射によって、フリーキャリアの濃度分布FDが生じる。このとき、励起用レーザビームR11の入射角を調整して、シリコンウェーハ3内部で反射した直線BCにて示されるレーザビームが、濃度分布FDの中心から一側(図11Bにおいては濃度分布FDの中心から上側)を通過するようにする。
この励起用レーザビームR11の照射により、反射面32の点Bで反射したレーザビームは、濃度分布FDを通過する際に、曲線BC’で示すように電子・正孔濃度が高い濃度分布FDの中心側(図11Bにおいては濃度分布FDの中心から下側)に屈折させられ、点C’に到達する。
シリコンウェーハ3の照射面31に到達したレーザビームは、一部が直線C’Uで示される方向に反射して出射する。残余のレーザビームは、照射面31にて反射して、直線C’Dで示されるレーザビームとなってシリコンウェーハ3に戻る。
シリコンウェーハ3の照射面31から出射した直線C’Uで示されるレーザビームは、フリーキャリアの濃度分布FDの影響を受け屈折しているため、シリコンウェーハ3から垂直に出射せずに、XY平面からずれる。
このように、シリコンウェーハ3内で反射した観測用レーザビームR11に影響を与える励起用レーザビームR11の照射位置を、観測用レーザビームR11と、非交差状態から交差状態を経て、非交差状態となるように走査する。
まず、励起用レーザビームR21の照射位置が、観測用レーザビームR11の反射光の位置と十分に離れている場合には、観測用レーザビームR11の反射光が濃度分布FDの影響を受けないため、図10A,図10Bと同様な光路となる。
次に、励起用レーザビームR21を走査して、観測用レーザビームR11の反射光が濃度分布FDの影響範囲(濃度分布FDの中心から一側)に入ると、図11A,図11Bに示すように濃度分布FDの影響を受け屈折し始める。
次に、励起用レーザビームR21が観測用レーザビームR11の反射光と交差する位置、すなわち、観測用レーザビームR11の反射光が濃度分布のピークの位置と一致する状態では、濃度勾配がゼロであるため屈折は起こらないため、図10A,図10Bと同様な光路となる。
次に、励起用レーザビームR21を走査して、観測用レーザビームR11の反射光が濃度分布FDの中心から他側に移ると、反射光は図11A,図11Bに示す屈折の方向とは反対側に屈折し始める。
更に、励起用レーザビームR21の照射位置が、観測用レーザビームR11の反射光の位置と十分に離れ、その影響が反射光に及ばない状態になると、反射光はシリコンウェーハ3から外部に出射するときに、シリコンウェーハ3に直角になり、元々の光路に戻る。
このように励起用レーザビームR21して、反射光の屈折をレーザビーム検出器4にて順次、受光し、その位置から分布濃度FDの半値幅を計測することで、シリコンウェーハ3のキャリア寿命を知ることができ、品質を評価することができる。
上述した本発明の実施の形態においては、励起用レーザ光源5として、波長635nm:フォトンエネルギー1.95eVの励起用レーザビームを用いた例を示したが、フリーキャリア生成(励起)用レーザ光源5としては、シリコンウェーハの内部までキャリア生成が可能な、例えば、波長1064nmのYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザを用いることができる。
半導体や絶縁体に光を照射すると、価電子バンドの電子が電導バンドに励起されるために光の吸収が起こる。多くの結晶固体では、このような電子の励起のみによっておこる光の吸収は、価電子バンドにいた(始状態の)電子の波数ベクトルと励起された後の電導バンドにいる(終状態の)電子の波数ベクトルが等しい場合に限られる(これを垂直遷移則と呼ぶ)。
この規則をシリコンにおける光吸収の場合に当てはめてみると、価電子バンドの最高エネルギー状態にいる電子が同じ波数ベクトルの電導バンドに励起されることによって強い光吸収が起こる。この励起エネルギーを直接遷移吸収端と呼ぶ。
しかし、実際のシリコンの光吸収は、この直接遷移吸収端よりも低いところから起こる。これは、シリコンにおけるバンド間光遷移が、電子の励起のみによっておこるのではなく、格子振動(フォノン)が電子の励起過程に関与するためである。
つまり、光の吸収と同時にフォノンを発射(生成)をともなってバンド間遷移が起こり得る。このような場合の光による電子の励起は、垂直遷移則にとらわれず、価電子バンドの最高エネルギー状態と電導バンドの最低エネルギー状態の間、すなわちバンドギャップの間で起こることが可能になる。このような励起のエネルギーを間接遷移吸収端という。
従って、エネルギーを増加させながらシリコンのバンド間光遷移(による光吸収)を考えると、まずバンドギャップエネルギー(1.14eV)に対応する間接遷移吸収端から弱い吸収が始まり、直接遷移吸収端に達すると急激に強い吸収が始まるという振る舞いを示す。従って、光吸収の強度の観点からは、間接遷移吸収端と直接遷移吸収端の間では吸収(よって電子の励起)は起こるが非常に弱い。直接遷移吸収端以上のエネルギーの光に対しては、金属と同様な光学物性を示し、光はほとんど反射されて、結晶内部には到達しない。
フリーキャリア生成(励起)用レーザ光源5であるYAGレーザが発する光のエネルギーは、ちょうど間接遷移吸収端と直接遷移吸収端の間に入り、適度に電子を励起しながら結晶内部に侵入することができる。定量的には、シリコン結晶の中では、0.5mmの光の侵入(進行)長さ当たり強度(フォトン数)は約50%に低下する。
本発明ではバルクライフタイムの評価を目的としているため、評価対象になっているシリコンウェーハの内部まで電子(よって正孔も)を励起(生成)することが必要とされるが、YAGレーザを用いることによってこの目的を達成することができる。
さらに、レーザ光以外にも、エネルギー、波長によっては、非コヒーレント光であるLED光を励起光、観測光とすることもできる。シリコンウェーハの中に電子および\または正孔を励起するために使われる光源に要求されるのは、バンドギャップエネルギー(1.14eV)以上で、直接遷移吸収端のエネルギー(約2eV)以下というエネルギー範囲に入るフォトンを発生することと、発する光を集光レンズなどで集光できることである。特に、レーザビームのような可干渉性(コヒーレント性)は必須ではない。LEDとして、この条件を満たすものは存在するし、更に最適なものを現在の技術で作り出すこともできる。
本発明は、実用的で従来法に比べて測定速度と精度、装置操作などの点で大幅に改善されたウェーハ評価技術として、電子デバイス製造用半導体ウェーハの製造および、電子デバイス製造の技術分野に好適に利用することができる。

Claims (13)

  1. 評価対象とする半導体ウェーハのエネルギーバンドギャップよりも大きなエネルギーのフォトンを含む励起光を前記半導体ウェーハに定常的に照射することによって当該半導体ウェーハの内部にフリーキャリアを生成する工程と、
    生成された当該フリーキャリアの濃度が不均一分布している前記半導体ウェーハの部分に、評価の対象とする物質のエネルギーバンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーをもつ観測光を照射する工程と、
    当該観測光が前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度を計測する工程と
    を有する半導体ウェーハのバルク品質評価方法。
  2. 前記半導体ウェーハに照射していた前記励起光を不到達にする工程と、
    前記観測光が、前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度の時間的な変化を計測する工程と
    を有する請求項1記載の半導体ウェーハのバルク品質評価方法。
  3. 評価対象とする半導体ウェーハのエネルギーバンドギャップよりも大きなエネルギーのフォトンを含む励起光を前記半導体ウェーハに定常的に照射することによって当該半導体ウェーハの内部にフリーキャリアを生成する励起光照射手段と、
    生成された当該フリーキャリアの濃度が不均一分布している前記半導体ウェーハの部分に、評価の対象とする物質のエネルギーバンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーをもつ観測光を照射する観測光照射手段と、
    当該観測光が前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度を計測する計測手段と
    を有する半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  4. 前記励起光照射手段からの前記半導体ウェーハに対する励起光を不到達にする手段と、
    前記観測光が、前記半導体ウェーハを透過あるいは反射した後に出射する角度の時間的な変化を計測する手段とを備えた請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  5. 前記励起光照射手段は、前記励起光として、レーザ光を照射する請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  6. 前記レーザ光はYAGレーザである請求項5記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  7. 前記観測光照射手段は、前記観測光として、レーザ光を照射する請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  8. 前記励起光照射手段は、前記観測光に対して、前記励起光を平行で逆向き、もしくは平行で同じ向きとなるように照射する請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  9. 前記励起光照射手段および前記観測光照射手段は、前記励起光と前記観測光とを、前記半導体ウェーハの外部では互いに非平行であり、前記半導体ウェーハの内部では、平行で逆向き、または平行で同じ向き、となるように照射する請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  10. 前記励起光照射手段と前記観測光照射手段とは、前記励起光と前記観測光とを、前記半導体ウェーハのおもて面もしくは裏面に対して45度の入射角をもって、前記半導体ウェーハに入射するように照射する請求項9記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  11. 前記励起光照射手段は、前記観測光に対して、前記励起光を傾斜するように照射する請求項3記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  12. 前記励起光照射手段または前記観測光照射手段の少なくともいずれか一方は、前記励起光と前記観測光とが、前記半導体ウェーハの内部において、非交差状態から交差状態を経て、非交差状態となるように走査する請求項3から9のいずれかの項に記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
  13. 前記励起光照射手段または前記観測光照射手段の少なくともいずれか一方は、前記励起光と前記観測光とが、前記半導体ウェーハの内部において、互いに平行で隔たった状態から、互いに一致した状態を経て、互いに平行で隔たった状態となるように走査する請求項12記載の半導体ウェーハのバルク品質評価装置。
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