JP6489887B2 - 液封式モータ、および、液封式モータの製造方法 - Google Patents

液封式モータ、および、液封式モータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体が封入される液封式モータに関する。
深井戸から飲料水等を取水する深井戸水中ポンプ等に用いられるモータ(いわゆる深井戸モータ)は、深い水深の井戸に設置されるので、モータには高い水圧が加わる。このため、従来から、深井戸モータとして、モータ内部に液体を封入する液封式モータが使用されている。このような液封式の深井戸モータは、3つのタイプに大別される。1つ目は油封式、2つめはキャンド式、3つ目は耐水絶縁電線式である。これらのいずれの方式においても、モータ内部に液体が封入され、ダイヤフラムと呼ばれる調圧機構によってモータ内外の圧力がほぼ等しく保たれる。また、これらのいずれの方式においても、モータ内部に封入される液体(以下、封入液とも呼ぶ)によって軸受が潤滑される。
油封式モータでは、ステータコアに巻かれる巻線に通常のエナメル線が使用される。エナメル線は水と長期に接触すると絶縁が破壊されてしまうので、封入液には、鉱油等の絶縁性を有する液体が使用される。キャンド式モータでは、金属の薄板によって形成されたキャンが、ロータ外周面とステータコア内周面との間に挿入される。ステータコアと巻線とを有するステータ、および、巻線に接続される口出線などの電圧がかかる部位をモータフレーム、側板およびキャンを用いて溶接密閉することによって、電圧がかかる部位にモータ内外部から水が浸入することが防止される。耐水絶縁電線式モータでは、巻線として耐水絶縁電線が使用される。この耐水絶縁電線では、通常のエナメル線の外皮に、耐水絶縁性能に優れるポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、または、ポリプロピレン等)が被覆されている。また、耐水絶縁電線式モータでは、電圧がかかる部位の全てを止水構造とするために、巻線、および、巻線と口出線との接続部がゴム材によってモールドされた構造が採られている。巻線の周囲を樹脂でモールドする技術は、例えば、下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開2002−78276号公報 特開2004−166414号公報 特開2001−231212号公報
しかしながら、油封式モータでは、封入液として鉱油等の絶縁性を有する液体を使用したとしても、モータ外部の井戸水が軸封部を通じてモータ内部に侵入すると、絶縁が低下してしまう。また、封入液の一部は、軸封部を介してモータ外部の井戸水中に流出するので、井戸水質の観点からは、封入液として、水またはプロピレングリコール水溶液のような無害な不凍液が使用されることが本来、望ましい。キャンド式モータおよび耐水絶縁電線式モータでは、このような無害な不凍液を使用することが可能である。一方、油封式モータでは、モータ内部に水または水溶液が侵入すると絶縁が低下するので、水または無害な不凍液を使用することは不可能である。
キャンド式モータでは、ステータからロータへ向けて発生する回転磁束が、それらの間に位置するキャンを通過するので、キャンには渦電流が発生し損失(キャン損と称される)が生じる。キャン損の発生によって、モータ効率が低下することになる。また、キャン
ド式モータでは、ステータ全体が溶接密閉されているので、長期の使用において巻線の巻替え修理ができない。このため、キャンド式モータは、使い捨てとなることが多く、リサイクル性も悪い。
耐水絶縁電線式モータでは、耐水耐電圧性能を維持するためのポリオレフィン被覆は、600V級電線の場合、通常、0.2〜0.4mmの被覆厚が必要である。つまり、耐水絶縁電線は、この被覆厚の分だけ、エナメル線よりも断面積が大きくなる。このため、同じスロット面積のステータコアに同じ巻数の巻線を挿入する場合、エナメル線の巻線と比べると、耐水絶縁電線中の導体断面積を小さくせざるを得ない。したがって、巻線抵抗が高くなり、結果として、ジュール熱損失が大きくなり、モータ効率が低下する。また、耐水絶縁電線は特殊な電線であり、自動巻線機による巻線作業が難しいので、巻線作業は手作業で行う必要がある。このこともコストの増大を招く。上述した種々の問題は、深井戸モータに限らず、種々の液封式モータに共通する。
このようなことから、モータ内部に液体を封入した液封式モータにおいて、前述した従来方式の欠点の少なくとも1つを改善することが求められる。例えば、液封式モータの内部に封入される液体は、無害であることが望ましい。あるいは、液封式モータは高効率であることが望ましい。あるいは、液封式モータはリサイクル性に優れていることが望ましい。あるいは、液封式モータは容易に、また、安価に製造できることが望ましい。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態によれば、液体が封入される液封式モータが提供される。この液封式モータは、ステータコアと、巻線と、を有するステータを備える。ステータのうちの液体と接触する部分の全ての外表面は、非電導性の熱可塑性樹脂で被膜されている。
かかる液封式モータによれば、ステータのうちの液体と接触する部分の全ての外表面が非電導性の熱可塑性樹脂で被膜されているので、封入液として水、または、無害な水溶液を使用した場合であっても、耐水絶縁性能が確保される。また、巻線に通常のエナメル線を使用できるので、耐水絶縁電線式と比べて巻線の導体断面積を大きくできる。さらに、キャンを使用する必要がないので、キャン損が生じることがない。さらに、油封式のように粘度の高い油ではなく、粘度の低い水または水溶液を封入することができるので、ロータの回転に伴う撹拌ロスが小さい。これらのことから、高効率な液封式モータを提供することができる。また、被膜は、熱可塑性樹脂であるから、その融点以上に加熱することによって、容易に除去することができる。したがって、キャンド式とは対照的に、巻線の巻替え作業を行うことができ、リサイクル性にも優れている。
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、液封式モータは、さらに、貫通穴が形成されたモータフレームであって、ステータが貫通穴に挿入されて、ステータがモータフレームに嵌合されるモータフレームを備える。外表面とモータフレームの内周面とは、熱可塑性樹脂で一体的に被膜されている。かかる形態によれば、後述する第6の形態と同様の効果を奏する。
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、液封式モータは、さらに、巻線に接続される口出線を備える。外表面と口出線とは、熱可塑性樹脂で一体的に被膜されている。かかる形態によれば、後述する第7の形態と同様の効果を奏する。
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、熱可塑性樹
脂は、100℃以上かつ170℃以下の融点を有するポリオレフィン系の熱可塑性樹脂であるか、または、当該ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を主剤として含有する。かかる形態によれば、十分な耐水絶縁性を得ることができる。特に、このポリオレフィン系の熱可塑性樹脂は、約100℃以上の融点を有しているので、モータの運転に伴って封入液の温度が上昇しても、その影響を受けることがない。
本発明の第5の形態によれば、液封式モータの製造方法が提供される。この液封式モータの製造方法は、溶融された非電導性の熱可塑性樹脂内に、ステータコアと巻線とを有するステータを浸漬して、ステータの外表面に熱可塑性樹脂の被膜を形成する浸漬工程を備える。かかる液封式モータの製造方法によれば、簡単な工程で第1の形態の液封式モータを製造することができる。
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、液封式モータの製造方法は、浸漬工程の前に、ステータをモータフレームに形成された貫通穴に挿入して、ステータをモータフレームに嵌合させる工程を備える。浸漬工程は、モータフレームに嵌合されたステータと、モータフレームと、を溶融された熱可塑性樹脂内に一緒に浸漬する工程を備える。かかる形態によれば、嵌合作業の後に被覆が施されるので、嵌合作業によって被覆が損傷を受けることがない。したがって、耐水絶縁性能の信頼性が向上する。
本発明の第7の形態によれば、第5または第6の形態において、液封式モータの製造方法は、浸漬工程の前に、巻線に口出線を接続する工程を備える。浸漬工程は、ステータおよび口出線を溶融された熱可塑性樹脂内に一緒に浸漬する工程を備える。かかる形態によれば、浸漬工程のみによって、ステータおよび口出線の両方、ならびに、それらの接続部に耐水絶縁性能を付与できるので、製造工程を簡略化できる。また、それによって、液封式モータを安価に製造することができる。
本発明の一実施例としての液封式モータの概略構成を示す部分断面図である。 図1のステータコアの拡大図である。 図1の巻線およびコネクタの拡大図である。
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としての液封式モータ20の概略構成を示す部分断面図である。液封式モータ20は、本実施例では、深井戸水中ポンプ等に用いられる深井戸モータである。ただし、液封式モータ20は、その内部に液体が封入される任意の液封式モータであってもよい。液封式モータ20は、深井戸水中ポンプ(図示省略)に連結され、当該ポンプの回転駆動源として使用される。図示するように液封式モータ20は、シャフト30と、ロータコア40と、ステータ50と、ステータフレーム60と、コネクタ80と、を備えている。シャフト30は、軸受31,32によって軸線ALを中心として回転可能に支承されている。
シャフト30の周囲には、巻線が巻かれたロータコア40が軸線ALと同心に装着されている。ロータコア40の径方向外側には、軸線ALと同心にロータコア40を周方向に取り囲むようにステータ50が配置されている。ロータコア40とステータ50との間には、ロータコア40の回転時において、ロータコア40がステータ50と接触しないように、所定のクリアランスが設けられている。ステータ50は、ステータコア51と、巻線52と、スロット絶縁紙53と、を備えている。ステータコア51は、電磁鋼板(例えば、珪素鋼板)を積層して形成されている。ステータコア51の径方向内側には、周方向に沿って複数のスロット(図示省略)が形成されている。この各スロット内には、ステータ
コア51と巻線52との間にスロット絶縁紙53を介して、巻線52が巻かれている。巻線52は、外部電源と液封式モータ20とを電気的に接続するためのコネクタ80と電気的に接続されている(詳細は後述)。本実施例では、巻線52はエナメル線である。
ステータフレーム60は、軸線ALの方向に延在する略円筒形状を有している。ステータフレーム60の内部には、ステータフレーム60を軸線ALの方向に貫通する貫通穴65(図2参照)が形成されている。ステータ50は、この貫通穴65に挿入されることによって、ステータフレーム60に嵌合される。これによって、ステータフレーム60の内部にステータ50が収容される。軸線ALの方向におけるステータフレーム60の両端には、ステータフレーム60の内側に嵌合されるように、フレーム側板63,64が取り付けられている。
ステータフレーム60とフレーム側板63,64とによって取り囲まれる液封式モータ20の内部空間66には、液体(封入液)が封入されている。この封入液は、液封式モータ20の内部と外部との圧力を略等しくするために、内部空間66に封入されている。封入液の圧力は、調圧機構(図示省略)によって制御される。また、この封入液は、軸受31,32を潤滑する役割も有している。封入液には、例えば、任意の液体(例えば、プロピレングリコール、パラフィンオイルなど)を使用することができる。ただし、封入液には、水や、無害の水溶液を使用してもよい。こうすれば、液封入液が軸封部から液封式モータ20の外部に漏洩した場合でも、周辺環境に悪影響を与えることがない。
図2は、図1に示したステータ50の拡大図である。図2にいて、シャフト30およびロータコア40は、図示を省略している。図示するように、ステータ50(すなわち、ステータコア51、巻線52およびスロット絶縁紙53)のうちの封入液と接触する部分の全ての外表面には、被膜70が形成されている。図示されていないが、巻線52およびスロット絶縁紙53のうちの、ステータコア51に形成されたスロット内に収容された部分の外表面についても、同様に被膜70が形成されている。被膜70の厚みは、例えば、600V級の液封式モータ20において、最小で0.2mmであってもよく、最大で0.8mmであってもよい。
また、本実施例では、ステータフレーム60の内周面61にも被膜70が形成されている。ステータ50の外表面と内周面61とは、被膜70によって一体的に(つまり、連続的に)被膜されている。この被膜70は、ステータ50に止水構造(すなわち、耐水絶縁性能)を提供する。内周面61の表面に被膜70が形成されていることは、後述する液封式モータ20の製造方法に起因している。液封式モータ20の製造方法については後述する。なお、本実施例では、ステータフレーム60の外周面にも被膜70が形成されている(図示省略)。
被膜70は、非電導性の熱可塑性樹脂によって形成される。かかる熱可塑性樹脂として、下記の条件を考慮して任意の材料が選択されてもよい。
(1)耐水絶縁性能に優れていること。
(2)巻線52のエナメル被覆を化学的に犯さないこと。
(3)柔軟性があり、かつ、強度が高いこと
(4)モータ内に封入された液体は、運転中の液封式モータ20の発熱を吸収して、通常約60〜70℃程度となるので、被膜70は、この程度の温度の熱水にも耐えられること。
さらに、巻線52のエナメル層の耐熱温度は180℃程度であるので、液封式モータ20の製造段階において後述する製造方法によって液封式モータ20を製造する際に巻線52にダメージを与えないようにするために、熱可塑性樹脂は、少なくとも180℃未満で溶融状態となるものを選定することが望ましい。本実施例では、このような温度条件を考
慮して、被膜70の材料として、100℃以上かつ170℃以下の融点を有する熱可塑性樹脂が選定される。
こうした熱可塑性樹脂として、例えば、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を選定することができる。より具体的には、熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン(融点100〜140℃)、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン(融点160℃程度)などであってもよい。また、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を主剤とし、他の成分を含有するものであってもよい。他の成分としては、例えば、着色剤や、被膜70の柔軟性を高めるための別の種類の樹脂であってもよい。
図3は、図1に示した巻線52およびコネクタ80の拡大図である。図示するように、コネクタ80は、端子台81と、コネクタピン82と、口出線83と、を備えている。コネクタ80は、液封式モータ20の内部と外部とを、液密に、電気的に接続するために設けられている。端子台81の一部分は、フレーム側板63に形成された貫通穴に挿入されており、端子台81とフレーム側板63との間はシールされている。コネクタピン82は、端子台81から液封式モータ20の外部に向けて突出している。このコネクタピン82には、外部電源に接続されたケーブルの端子が接続される。コネクタ80におけるコネクタピン82とは反対側、すなわち、液封式モータ20の内部側には、端子台81から口出線83が延出している。この口出線83は、巻線52に接続されている。深井戸モータでは、液封式モータ20の電源引き込み口から、外部電源が設置される地上までの距離が非常に長いので、液封式モータ20と外部電源とを接続するケーブルも長くなる。上述のようにコネクタ80を設けて、ケーブルを液封式モータ20から切り離し可能にすることによって、液封式モータ20の設置時の取り扱い性が向上する。
本実施例では、図3に示すように、被膜70は、ステータ50の外表面およびステータフレーム60の内周面61に加えて、コネクタ80のうちの、端子台81の一部分および口出線83(すなわち、内部空間66に配置される部分)の表面には、被膜70が形成されている。ステータ50の外表面と、内周面61と、コネクタ80の上記の内部空間66に配置される部分とは、被膜70によって一体的に(つまり、連続的に)被膜されている。
上述した液封式モータ20は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、ステータコア51にスロット絶縁紙53を介して巻線52が巻かれたステータ50が用意される。次に、用意されたステータ50の巻線52にコネクタ80の口出線83が接続される。この接続には、例えば、圧着端子が使用される。次に、用意されたステータ50を、ステータフレーム60の貫通穴65に挿入することによって、ステータ50がステータフレーム60に嵌合される。この際、ステータ50とステータフレーム60とは、焼き嵌め等の方法によって、互いに完全に固定される。これによって得られるステータ50、ステータフレーム60およびコネクタ80を以下ではサブアセンブリとも呼ぶ。次に、サブアセンブリが、ワニス処理されることなく、溶融された熱可塑性樹脂(ここでは、ポリオレフィン樹脂)が入った容器の中に浸漬される。ポリオレフィン樹脂の温度は、当該樹脂の融点以上、かつ、エナメル線の耐熱温度以下に維持されている。浸漬の際、端子台81の一部分およびコネクタピン82(すなわち、内部空間66に配置されない部分)は、溶融された樹脂が付着しないようにマスクされる。
容器内は、ポリオレフィン樹脂被覆、すなわち、被膜70にボイドが生じないように、サブアセンブリが収容された後に真空にされる。容器内を真空にすると、サブアセンブリの表面に付着していた空気が廃棄されるので、ポリオレフィン樹脂が一様に被覆される。気泡の発生がなくなるまで一定時間、容器の温度および真空度を保った後、容器が大気に開放され、サブアセンブリが容器から引揚げられる。サブアセンブリが容器から引揚げら
れると、サブアセンブリの外表面は、樹脂の表面張力によって、当該外表面の形状に追従してポリオレフィン樹脂で被覆される。このとき、溶融されたポリオレフィン樹脂の粘度によっては、巻線52の内部、すなわち、巻線52同士の隙間には、毛細管現象によって溶融されたポリオレフィン樹脂が入り込むことがある。しかし、入り込んだ樹脂の厚みは、巻線52同士の隙間に依存するので、最終的に得られる被膜70の厚みと比べて非常に小さい。その後、ポリオレフィン樹脂は、冷却されることで固化し、被膜70が形成されたステータ50、ステータフレーム60およびコネクタ80が得られる。
被膜70の厚みは、使用される樹脂の溶融温度および粘度に依存する。このため、上記の浸漬から乾燥に至る工程は、被膜70の目標被覆厚(例えば、600V級の場合、0.2mm以上、0.8mm以下)となるまで所定回数(例えば、2回)だけ繰り返される。このようにして被膜70が形成されたサブアセンブリは、他の部材とともに組み立てられ、液封式モータ20が完成する。
上述した液封式モータ20によれば、ステータ50のうちの封入液と接触する部分の全ての外表面に、非電導性の熱可塑性樹脂の被膜70が形成されている。したがって、封入液として水、または、無害な水溶液を使用した場合であっても、耐水絶縁性能が確保される。積層構造を有するステータコア51の外表面にも被膜70が形成されているので、ステータコア51からスロット内に封入液が浸入することも防止できる。また、被膜70は、熱可塑性樹脂であるから、その融点以上に加熱することによって、容易に除去することができる。したがって、キャンド式とは対照的に、巻線52の巻替え作業を行うことができ、リサイクル性にも優れている。
また、巻線52にエナメル線を使用でき、巻線52の集合体の外表面に被膜70が形成されているので、巻線52の長さの全体に亘って被膜が形成されている必要はない。このため、同一の面積のスロット内に巻線を巻く場合において、巻線の長さの全体に亘って絶縁止水構造が適用される耐水絶縁電線式と比べて巻線の導体断面積を大きくできる。さらに、キャンを使用する必要がないので、キャン損が生じることがない。さらに、油封式のように粘度の高い油ではなく、粘度の低い水または水溶液を内部空間66に封入することができるので、シャフト30およびロータコア40の回転に伴う撹拌ロスが小さい。これらのことから、高効率な液封式モータ20を提供することができる。
さらに、被膜70によって耐水絶縁性能が維持されるので、巻線52にエナメル線を使用することができる。エナメル線は、自動巻線機を使用してステータコア51に巻くことができるので、製造工程が容易かつ安価となる。
また、上述した液封式モータ20の製造方法によれば、簡単な工程で被膜70を形成することができる。また、この製造方法によれば、ステータ50がステータフレーム60に嵌合され、固定された後に被膜70が形成されるので、嵌合・固定作業によって被膜70が損傷を受けることがない。したがって、液封式モータ20の耐水絶縁性能の信頼性が向上する。
また、この製造方法によれば、浸漬工程のみによって、ステータ50およびコネクタ80(端子第81の一部分および口出線83)の両方に耐水絶縁性能を付与できるので、製造工程を簡略化できる。換言すれば、従来のように、巻線52と口出線83とを接続した後に、これらに熱収縮チューブ等を被せて絶縁構造とする必要がない。また、それによって、液封式モータ20を安価に製造することができる。
さらに、上述した液封式モータ20は、上記の特許文献1に対して、大きな利点を有している。具体的には、特許文献1は、キャンによる密閉構造や耐水絶縁電線を使用するこ
となく、巻線および口出線の周囲にモールド樹脂を注型することによって絶縁を可能にした液中モータを開示している。この液中モータは、モールド樹脂層の上に防液塗装層が形成された2重絶縁構造を採用している。1層目のモールド樹脂層の成型には下部受け治具およびマンドレルを組み込む必要があり、さらに、治具には取り外しのために離型剤の塗布が必要である。また、モールド樹脂として電気絶縁性の良いシリコーンゴムが使用されるが、シリコーンゴムは、高価であり、しかも、ステータ巻線全体が埋まる様に注型されるので、シリコーンゴムの使用量も多くなり、割高となってしまう。その上、モールド樹脂の肉厚が薄いと、当該樹脂に封入水が浸透して絶縁低下を引き起こすので、2層目の防液塗装を形成する必要がある。
これに対して、上述した液封式モータ20によれば、シリコーンゴムよりも安価なポリオレフィン系樹脂が被膜70の材料として採用される。また、従来技術のように治具を取り付けて巻線52全体を樹脂で埋没させる注型方式とは異なり、本実施例では、上記のサブアセンブリに対して真空浸漬処理を実施することで、巻線52や口出線83などの電圧がかかる部位に被膜70が形成される。このため、熱可塑性樹脂の使用量が少なくて済む。また、熱可塑性樹脂の使用量が少ない分だけ、コストを低減でき、省資源化にも優れる。また、被膜70の形成には、注型方式のような治具の取り付け、離型剤の塗布、および、治具の取り外しが必要ないので、液封式モータ20は、作業性やコストの面で従来技術よりもはるかに優れた構造を有している。また、ポリオレフィン系樹脂は耐水性および絶縁性に優れているので、被膜70が、例えば、0.8mm以下の薄膜として形成されても、従来技術のような2層目の防液塗装を必要としない。したがって、作業工数が従来技術よりも少なくて済み、コストの低減に寄与することが可能である。
B.変形例:
B−1.変形例1:
液封式モータ20の製造工程において、ステータ50、ステータフレーム60およびコネクタ80のサブアセンブリを溶融された熱可塑性樹脂に浸漬する方法に代えて、ステータ50のみ、または、ステータ50とコネクタ80とのサブアセンブリのみが浸漬されてもよい。例えば、ステータ50とコネクタ80とのサブアセンブリが浸漬され、ステータ50と、コネクタ80(口出線83を含む)の一部分と、に被膜70が形成された後に、当該ステータ50およびコネクタ80がステータフレーム60に取り付けられてもよい。この場合、製造された液封式モータ20において、内周面61上には被膜70は形成されない。あるいは、ステータ50が単独で浸漬され、ステータ50の外表面に被膜70が形成された後に、当該ステータ50がステータフレーム60に取り付けられてもよい。この場合も、内周面61上には被膜70は形成されない。また、この場合、従来のように、巻線52と口出線83とを接続した後に、これらに熱収縮チューブ等を被せて絶縁構造が形成されてもよい。
B−2.変形例2:
液封式モータ20は、コネクタ80を備えていなくてもよい。この場合、外部電源に接続されるケーブルが液密に液封式モータ20の内部に挿入され、その先端に形成された口出線が被膜70に接続されていてもよい。この場合、液封式モータ20の製造工程では、従来のように、巻線52と口出線とを接続した後に、これらに熱収縮チューブ等を被せて絶縁構造が形成されてもよい。
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許
請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
20…液封式モータ
30…シャフト
31,32…軸受
40…ロータコア
50…ステータ
51…ステータコア
52…巻線
53…スロット絶縁紙
60…ステータフレーム
61…内周面
63,64…フレーム側板
65…貫通穴
66…内部空間
70…被膜
80…コネクタ
81…端子台
82…コネクタピン
83…口出線
AL…軸線

Claims (10)

  1. 液体が封入される液封式モータであって、
    ステータコアと、エナメル線からなる巻線と、を有するステータを備え、
    前記ステータのうちの前記液体と接触する部分の全ての外表面は、溶融された非電導性の熱可塑性樹脂への浸漬工程により形成された被膜によって被膜されており、前記溶融の温度は、前記巻線のエナメル層の耐熱温度未満である、
    液封式モータ。
  2. 請求項1に記載の液封式モータであって、
    前記外表面は、当該外表面の形状に追従して前記熱可塑性樹脂の被覆で覆われている、
    液封式モータ。
  3. 請求項1または2に記載の液封式モータであって、
    前記浸漬工程は真空浸漬処理である
    液封式モータ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液封式モータであって、
    さらに、貫通穴が形成されたモータフレームであって、前記ステータが前記貫通穴に挿入されて、前記ステータが前記モータフレームに嵌合されるモータフレームを備え、
    前記外表面と前記モータフレームの内周面とは、前記熱可塑性樹脂で一体的に被膜されている
    液封式モータ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液封式モータであって、
    さらに、前記巻線に接続される口出線を備え、
    前記外表面と前記口出線とは、前記熱可塑性樹脂で一体的に被膜されている
    液封式モータ。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液封式モータであって、
    前記熱可塑性樹脂は、100℃以上かつ170℃以下の融点を有するポリオレフィン系の熱可塑性樹脂であるか、または、該ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を主剤として含有する
    液封式モータ。
  7. 液封式モータの製造方法であって、
    溶融された非電導性の熱可塑性樹脂内に、ステータコアと、エナメル線からなる巻線とを有するステータを浸漬して、該ステータの外表面に前記熱可塑性樹脂の被膜を形成する浸漬工程を備え
    前記熱可塑性樹脂は、前記巻線のエナメル層の耐熱温度未満で溶融される、
    液封式モータの製造方法。
  8. 請求項7に記載の液封式モータの製造方法であって、
    前記浸漬工程は、前記ステータが浸漬された容器内を真空にする工程を含む、
    液封式モータの製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の液封式モータの製造方法であって、
    前記浸漬工程の前に、前記ステータをモータフレームに形成された貫通穴に挿入して、前記ステータを前記モータフレームに嵌合させる工程を備え、
    前記浸漬工程は、前記モータフレームに嵌合された前記ステータと、前記モータフレームと、を前記溶融された熱可塑性樹脂内に一緒に浸漬する工程を備える
    液封式モータの製造方法。
  10. 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の液封式モータの製造方法であって、
    前記浸漬工程の前に、前記巻線に口出線を接続する工程を備え、
    前記浸漬工程は、前記ステータおよび前記口出線を前記溶融された熱可塑性樹脂内に一緒に浸漬する工程を備える
    液封式モータの製造方法。
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