JP6489599B2 - 風力発電設備 - Google Patents

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Description

本発明は、風力発電設備に関する。
特許文献1に、図6および図7に示されるような風力発電設備が開示されている。
この風力発電設備912は、支柱914と、該支柱914に対して旋回自在に組み付けられたナセル916と、ブレード917と、を備えている。ナセル916は支柱914に滑り軸受918を介して旋回可能に組み付けられている。支柱914には、旋回歯車920が設けられ、ナセル916には、旋回歯車920と噛合する旋回ピニオン922を有するヨーユニット924が組み込まれている。ヨーユニット924は、この特許文献1に係る風力発電設備912では、4台設けられている。
各ヨーユニット924はモータ930、減速機932および制動機構934を有し、減速機932の出力軸933に前記旋回ピニオン922が設けられている。旋回ピニオン922を駆動すると、該旋回ピニオン922は、旋回歯車920から噛合反力を受けて旋回歯車920の軸心C920(=支柱914の軸心C914)の周りを公転する。これにより、ヨーユニット924全体が旋回歯車920の軸心C920の周りを公転するため、ナセル916は、支柱914に対して旋回することができる。
また、各ヨーユニット924の制動機構934を作動させて旋回ピニオン922の回転を制動することにより、旋回歯車920を介して支柱914に対するナセル916の旋回を制動できる。
一方、支柱914に対してナセル916を旋回可能に支持する構成として、特許文献1では、転がり軸受(図示略)を用いた構成と、滑り軸受918を用いた構成を開示している。このうち、滑り軸受918を用いた構成(図7参照)では、該滑り軸受918に、ナセル916の支持と同時に、ナセル916の旋回に対して制動を与える制動機能を合わせて持たせるようにしている。具体的には、この制動機能付きの滑り軸受918は、支柱914側に固定された軸受板919を取り囲むように第1〜第3滑り軸受材921A〜921Cが設けられており、(該滑り軸受918の滑り抵抗の設定により)所定の制動力が得られるように構成されている。
特許文献1では、強風下の停電時には、ヨーユニット924の制動力を弱めて、ナセル916が旋回できるように構成している。
特開2011−127551号公報(図1〜図4)
特許文献1では、強風下の停電時には、制動力を弱めて、ナセルが旋回できるように構成している。しかしながら、なお、ヨーユニットの破損を十分に防止できず、ときに破損に至ってしまうことがある、というのが実情であった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、ヨーユニットの破損を、より低減することのできる風力発電設備を提供することをその課題としている。
本発明は、支柱と、該支柱に対して旋回するナセルと、前記支柱に設けられた旋回歯車と、該旋回歯車を介さずに前記ナセルの旋回を制動する第1制動装置と、前記旋回歯車に噛合する旋回ピニオンを有し当該旋回ピニオンの回転を制動することによって前記旋回歯車を介して前記ナセルの旋回を制動する複数の第2制動装置と、を備えた風力発電設備であって、前記複数の第2制動装置のうちの少なくとも一部の第2制動装置は、前記ナセルを旋回駆動する制動機能付きのヨーユニットであり前記ヨーユニットは、モータと、減速装置と、を有し、前記第2制動装置は、前記ヨーユニットによって旋回駆動された前記ナセルの旋回を制動するときに作動される制動機構を有し、前記ナセルを旋回させようとする外力の想定最大値をA、前記第1制動装置の制動力をBとしたときに、前記複数の第2制動装置のうちの1台の第2制動装置の制動力が、(A−B)よりも大きく設定され、前記外力の想定最大値Aは、前記モータの定格出力トルクと前記減速装置の減速比との積を全てのヨーユニットについて合算した合算値であり、前記第1制動装置は、前記支柱と前記ナセルとの間に配置される滑り軸受であり、制動力を調整する調整機構を有し、該調整機構により制動力が調整された後は、旋回時、制動時を問わず当該調整された制動力が作用することにより、上記課題を解決したものである。



本発明者らは、実際にヨーユニットの破損のメカニズムを吟味・検証した結果、これまでの設計思想では対応できない(従来の設計概念とは異なる)新たな知見を得た。上記構成は、この知見に基づくものである(後に詳述)。
本発明は、この知見に基づき、旋回歯車を介した制動を行う第2制動装置として、ナセルを旋回駆動するヨーユニットを含み、かつ、ナセルを旋回させようとする外力の想定最大値をA、旋回歯車を介さずにナセルの旋回を制動する第1制動装置の制動力をB、(全部ではなく)一部の第2制動装置の制動力の合算値をCとしたときに、(A−B)<Cが成立するように構成する。
また、本発明では、前記複数の第2制動装置のうち、少なくとも1台の第2制動装置の制動力を、他の第2制動装置よりも大きく設定してもよい。
これにより、従来の発想では対応し切れないヨーユニットの破損をより低減することができるようになる。
本発明によれば、ヨーユニットの破損を、より低減することのできる風力発電設備を得ることができる。
本発明の実施形態の一例に係る風力発電設備の要部の概略平面図 図1の実施形態におけるヨーユニットの構成例を示す断面図 図1の実施形態におけるブレーキユニットの構成例を示す断面図 大容量のヨーユニットの構成例を示す断面図 本発明の他の実施形態の構成例の概略平面図 従来の風力発電設備の全体を示す側面図 従来の風力発電設備のヨーユニットと旋回歯車の近傍の構成を示す要部概略断面図
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
既に述べたように、本発明は、実際にヨーユニットの破損のメカニズムを吟味・検証した結果、新たに得られた知見に基づいている。
この知見は、纏めると、概略以下のようになる。
[知見1]各ヨーユニットが、それぞれのモータの駆動力によってそれぞれの旋回ピニオンを駆動し、ナセルを旋回させるときには、各ヨーユニットの旋回ピニオンが旋回歯車に対してトルクを付与する方向は一致している。各ヨーユニットの該トルクのばらつきも小さく、各ヨーユニットは、共同してナセルの旋回に寄与する。
[知見2]しかしながら、モータが停止してヨーユニットが制動状態に入ると、各ヨーユニットの荷重バランス(各ヨーユニットが負担する負荷)は、ナセルを旋回させているときと比べて、より大きくばらつく傾向がある。ただし、静止している限り、極端に大きな荷重の発生は見られない。
[知見3]ヨーユニットの制動機構が、外力に耐えきれず、滑り出した「後」は、非常に大きな荷重のアンバランスが発生する(各ヨーユニットが負担する負荷が大きくばらつく)。それだけではなく、滑り出した後では、もはやそれぞれのヨーユニットの受ける荷重の方向さえ、ばらばらになる。
この[知見3]は、従来の知見の概念とは全く逆の概念である。
従来は、例えばヨーユニットの制動力を非常に強くして、強い外力が掛かってもあくまで滑り出さないように静止状態を維持させておくことは、ヨーユニットの破損に繋がると考えられていた。そのため、上記特許文献1に見られるように、例えば、強風下の停電時に制動力を弱めて、敢えてナセルを旋回させる(ヨーユニットの各部材を回転させる)ように構成するのは、当該ヨーユニットを破損から守るための「セーフティー機構」として機能すると考えられていた。
しかしながら、本発明者らが、実際のヨーユニットの破損のメカニズムを吟味・検証したところ、この従来の知見は妥当とは言えず、むしろ、ヨーユニットの破損を招きやすい、ということが判明した。
この理由は、必ずしも明らかではないが、巨大な質量を有するナセルが、支柱の最上部で、制動装置の制動力を超えるような強い風に煽られながら「旋回する」ときは、ナセルの支持機構のがたつき、つまり支柱の軸心とナセルの軸心のずれや、両軸心の傾きの影響が顕在化するためではないかと推察される。すなわち、このがたつきの影響を、支柱側に設けられている旋回歯車を介して、ナセル側に設けられている旋回ピニオンが直接的に受けるようになってしまうため、ヨーユニットに極端に大きな荷重が発生したり、荷重の掛かる方向がばらばらになってしまうのではないかと解される。
そして、吟味・検証の結果によれば、このような制動機構の滑り出しが生じるような強風時は、多くの場合、ヨーユニットには瞬間的な極めて大きな外力が頻繁に掛かっており、滑りが生じて各部材が高速に回転するまでの時間が極めて短いことも確認された。これは、この状況に対してトルクリミッタ的な対策を講じるのは、時間的に間に合わず、現実には不可能に近いことを意味する。
このようなことから、本発明者らは、「制動時においてはナセルに想定し得る最大の外力が掛かったときでも、該ナセルが静止状態を維持する」という設計思想の方が、むしろ破損に至り難い、という知見に至ったものである。
そこで、本発明の実施形態の一例に係る風力発電設備では、この知見に基づき、以下のような構成を採用している。
先ず、この風力発電設備12の概略構成から説明する。図1、図2を参照して、この実施形態に係る風力発電設備12は、支柱14と、該支柱14に対して旋回自在に組み付けられたナセル16と、を備えている。ナセル16は支柱14に制動機能を有する滑り軸受18を介して旋回可能に組み付けられている。
この滑り軸受18が、本実施形態の「第1制動装置Br1」に相当している。ここで、第1制動装置Br1とは、旋回歯車20を介さずにナセル16の旋回を制動する制動装置を意味している。
第1制動装置Br1として、「制動機能を有する滑り軸受18」を採用する場合、具体的には例えば、図7を用いて既に説明した特許文献1に記載の構成を採用できる。発生される制動力は、軸受板(919)や第1〜第3滑り軸受材(921A〜921C)の素材の選定等によって調整可能である。後に触れるように、例えば、ばねの圧縮量を調整することで、滑り軸受材の軸受板に対する押付力を調整し、制動力を可変とする機構を設けてもよい。滑り軸受18によって発生される制動力は、ナセル16の旋回時、制動時(静止時)を問わず、常時作用することになる。
支柱14には、旋回歯車20が設けられ、ナセル16には、図2に示されるようなヨーユニット100が組み込まれている。ヨーユニット100は、旋回歯車20と噛合する旋回ピニオン122を有している。図1に示されるように、ヨーユニット100は、この実施形態に係る風力発電設備12では、4台設けられている。
各ヨーユニット100は、それぞれこの実施形態の「第2制動装置Br2」に相当している。ここで、第2制動装置Br2とは、「旋回ピニオン122の回転を制動することによって旋回歯車20を介してナセル16を制動する制動装置」を意味している。そして、この実施形態では、さらに、第2制動装置Br2として、図3に示されるような制動専用のブレーキユニット200が備えられている。該ブレーキユニット200の旋回ピニオン222も、旋回歯車20と噛合している。
図1において、紙面の上側が、ブレード(図6の符号917参照)のある側に相当している。図1に示されるように、4台のヨーユニット100は、周方向に等間隔ではなく、ブレード(917)のある側の間隔が狭く、反ブレード側の間隔が広く設けられている。ブレーキユニット200は、反ブレード側の2台のヨーユニット100の中央に配置されている。もっとも、このヨーユニット100とブレーキユニット200の配置は、必ずしもこの図1の配置には限定されない。例えば、ヨーユニット100同士の周方向の間隔が同一となるように配置したり、あるいは、ブレーキユニット200を含めて、全ユニット100、200の周方向の間隔が同一となるように配置してもよい。さらには、ヨーユニット100やブレーキユニット200の台数も、図1の例に限定されない。例えば、ヨーユニット100が3台以下、あるいは5台以上であってもよいし、ブレーキユニット200が2台以上であってもよい。
図2のヨーユニット100の構成を説明する。
ヨーユニット100は、モータ130、減速装置132、旋回ピニオン122、および制動機構134を備えている。減速装置132は、入力側偏心揺動減速機150、および出力側偏心揺動減速機152を備えている。入力側偏心揺動減速機150は、センタクランクタイプと称される偏心揺動減速機で、モータ軸151と一体化された入力軸154と、該入力軸154と一体的に回転する偏心体156と、該偏心体156の外周に揺動回転可能に組み込まれた外歯歯車158と、該外歯歯車158が内接噛合する内歯歯車160と、を有している。内歯歯車160の歯数は、外歯歯車158よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
減速装置132においては、入力軸154の回転によって偏心体156を介して外歯歯車158が揺動回転すると、該外歯歯車158は、内歯歯車160に対してゆっくりと自転する。この自転を、外歯歯車158を貫通しているピン部材162、キャリヤ164を介して出力軸165から取り出している。
出力側偏心揺動減速機152も、センタクランクタイプの偏心揺動減速機で、容量が入力側偏心揺動減速機150よりも大きくなっているが、基本的な減速機構は入力側偏心揺動減速機150と同一である。したがって、入力側偏心揺動減速機150と同一または類似する機能を有する部位に、図中で添え字Aを付した同一の符号を付し、重複説明を省略する。出力側偏心揺動減速機152の出力軸165Aに、スプラインおよびボルト170を介して前記旋回ピニオン122が固定されている。
図3に、同じく第2制動装置Br2を構成するブレーキユニット200の構成例が示されている。
このブレーキユニット200は、減速装置232、旋回ピニオン222、および制動機構234を備えている。モータは備えられていない。つまり、ブレーキユニット200は、ナセル16を旋回駆動する機能を有していない。ブレーキユニット200の減速装置232は、センタクランクタイプの入力側偏心揺動減速機250と、振り分けタイプと称される出力側偏心揺動減速機252を備える。
入力側偏心揺動減速機250は、ヨーユニット100の入力側偏心揺動減速機150と同様の減速機構を有するため、図3中において、ヨーユニット100の入力側偏心揺動減速機150と機能的に類似する部位に、下2桁が同一の符号を付すことで重複説明を省略する。
出力側偏心揺動減速機252は、入力側偏心揺動減速機250の出力軸265と一体化された入力軸272と、該入力軸272に一体的に形成された入力ピニオン274と、該入力ピニオン274と同時に噛合する3個の振り分け歯車(1個のみ図示)276を備えている。各振り分け歯車276は、入力軸272の軸心C272からオフセットされた位置に配置された3本のクランク軸(1本のみ図示)278と連結されている。各クランク軸278には、偏心体280が一体的に形成されており、該偏心体280に外歯歯車282が揺動回転可能に組み込まれている。外歯歯車282は、内歯歯車284に内接噛合している。内歯歯車284の歯数は、外歯歯車282の歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
この出力側偏心揺動減速機252においては、入力軸272が回転すると、入力ピニオン274および振り分け歯車276を介して3本のクランク軸278が同一の回転速度で同一方向に回転し、各クランク軸278に設けられた偏心体280が同期して回転する。これにより、外歯歯車282が揺動しながら内歯歯車284に対してゆっくりと自転するため、この自転を、クランク軸278の公転として負荷側のキャリヤ286を介して出力軸288から取り出している。出力軸288は、スプライン290およびボルト292を介して前記旋回ピニオン222と一体化されている。
ヨーユニット100のモータ130の定格出力トルクは、Rp130、制動機構134の制動力は、Bp134、減速装置132の減速比は、Sr132である。したがって、ヨーユニット100の旋回ピニオン122での制動力は、制動機構134の制動力Bp134に減速装置132の減速比Sr132が掛け合わされたBp100(=Bp134×Sr132)である。
ブレーキユニット200の制動機構234の制動力は、Bp234、減速装置232の減速比は、Sr232である。したがって、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222での制動力は、制動機構234の制動力Bp234に減速装置232の減速比Sr232が掛け合わされたBp200(=Bp234×Sr232)である。
そして、ヨーユニット100の制動機構134の制動力Bp134より、ブレーキユニット200の制動機構234の制動力Bp234の方が大きい(Bp134<Bp234)。また、ヨーユニット100の減速装置132の減速比Sr132より、ブレーキユニット200の減速装置232の減速比Sr232の方が大きい(Sr132<Sr232)。したがって、ヨーユニット100の旋回ピニオン122での制動力Bp100(=Bp134×Sr132)よりブレーキユニット200の旋回ピニオン222での制動力Bp200(=Bp234×Sr232)の方が大幅に大きい(Bp100≪Bp200)。
なお、ヨーユニット100の旋回ピニオン122のピッチ円径Pc122より、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222のピッチ円径Pc222の方が大きい(Pc122<Pc222)。一方、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222とヨーユニット100の旋回ピニオン122のモジュールは、同一の旋回歯車20と噛合する必要があるため、同一に設定されている。ただし、この実施形態では、ヨーユニット100の旋回ピニオン122の旋回歯車20に対するバックラッシよりも、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222の旋回歯車20に対するバックラッシの方が小さく設定されている。バックラッシを小さくするには、具体的には、例えば、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222のピッチ円上の歯厚を、ヨーユニット100の旋回ピニオン122のピッチ円上の歯厚よりも大きく設定すればよい。あるいは、ナセル16にブレーキユニット200を組み付けるときに、該ブレーキユニット200の旋回ピニオン222の軸心を旋回歯車20側により寄せるようにして組み込むという手法によっても、バックラッシを小さく設定することができる。
なお、ここでの減速比は、速度比の分母の値である。減速比は、旋回ピニオン122、222の側から見ると増速比となる。
以上、要するならば、この実施形態では、風力発電設備12のナセル16の旋回の制動を、単に、ヨーユニット100の役目として捉えるのではなく、風力発電設備12全体で捉えるようにしている。すなわち、本実施形態では、ナセル16の旋回の制動を、旋回歯車20を介さないで行う制動機能付きの滑り軸受18(第1制動装置Br1)と、旋回ピニオン122、222の回転を制動することによって旋回歯車20を介して行う4台のヨーユニット100およびブレーキユニット200(複数の第2制動装置Br2)と、の組み合わせによって実現している。
そして、ナセル16を旋回させようとする外力の想定最大値をA、第1制動装置Br1の制動力をB、一部の第2制動装置Br2の制動力の合算値をC、としたときに、(A−B)<Cが成立する構成とする。なお、ここでの「第2制動装置Br2の制動力」とは、旋回ピニオン122、222における制動力Bp100、Bp200のことである。
具体的には第1制動装置Br1の制動力Bは、この実施形態では滑り軸受18の滑り抵抗を指している。換言するならば、この制動力Bは、ナセル16を静止した状態から、旋回させるのに必要な力に相当する。また、一部の第2制動装置Br2の制動力の合算値Cは、本実施形態においては、ブレーキユニット200のみの制動力Bp200が(A−B)よりも大きいため、該ブレーキユニット200の制動力Bp200を指している。
以下、この(A−B)<Cという数式の技術的意義について詳細に説明する。
前記知見1〜知見3に基づき、本実施形態が、「制動時においてはナセルに想定し得る最大の外力が掛かったときでも、該ナセルが静止状態を維持する」という設計思想に立脚していることは既に述べた。この設計思想を実現するためには、何らかの形で外力の想定最大値Aを確定しなければならない。しかし、この外力の想定最大値Aは、有限の値ではあるが、自然環境下の風の力によるものであるため、もともと特定の値に定まっているものではない。
そこで、本実施形態では、この外力の想定最大値Aを、「組み込んでいる各ヨーユニット100のモータ130の定格出力トルクRp130×減速装置132の減速比Sr132の合算値」と定義する。
なお、本実施形態では全てのヨーユニット100は同一の構成を有しているので、該想定最大値Aは、(Rp130×Sr132×4)となるが、もし、異なる定格出力トルクのモータや異なる減速比の減速装置を有するヨーユニットが混在するときは、それぞれのヨーユニットの合算値となる。
すなわち、ヨーユニット100のモータ130は強い風が吹く状況であっても風に抗して数10秒掛けてナセル16を一周させる能力があるように選定される。つまり、(約1秒程度の起動出力トルクではなく)継続的な定格出力トルクRp130で風に抗してナセル16を旋回させるだけの駆動力を備えている。
これをベースにして、「ナセル駆動時は、概ね各ヨーユニットは共同してナセルを駆動する」という前記知見1を考慮すると、「当該風力発電設備12は、外力の想定最大値Aを、ヨーユニット100のモータ130の定格出力トルクRp130×減速装置132の減速比Sr132の合算値と捉えたが故に、当該定格出力トルクRp130のモータ130および減速比Sr132の減速装置132を有するヨーユニット100を選定した」とも言い得る。この定義に従うことより、本実施形態における外力の想定最大値Aは、一意に特定され得る概念となる。
次に、(A−B)という数式の技術的意義、つまり、外力の想定最大値Aから、(旋回歯車20を介することなく)ナセル16の旋回を直接制動する第1制動装置Br1の制動力Bを差し引く、という技術的意義を説明する。
ナセル16が支柱14に対して静止しているときは、ナセル16の支持機構(滑り軸受18)には、必ず旋回抵抗(すなわち制動力B)があるため、旋回歯車20を介した制動を行う第2制動装置Br2は、想定最大値Aから当該支持機構の旋回抵抗相当の制動力Bを差し引いた(A−B)の制動力を提供できれば足りる。これが(A−B)という数式の第1の意義である。
このほか、(A−B)という数式には、さらに別の技術的意義がある。制動力が掛かった状態で、第2制動装置Br2が滑り出すと、前記知見3から、各第2制動装置Br2の受ける荷重は、ばらばらに急増する。これは、「巨大な質量を有するナセルの支持機構のがたつき(支柱の軸心とナセルの軸心のずれや、両軸心の傾き)の影響が顕在化するため」と推察できることを、既に述べた。
この状況に対応するには、ナセル16の旋回の制動は、単に旋回歯車20を介した制動だけでなく、旋回歯車20を介することなく、支柱14に対してナセル16を直接制動する構造を積極的に併用する(制動力Bをより積極的に増大させる)のが好ましい。これにより、強風下でナセル16の支持機構のがたつきの影響が顕在化するのを、より低減できるようになる。なお、本実施形態では、制動力Bは、ナセル16が支柱14に対して静止しているときに常時発生されているため、制動静止中のがたつきの影響をより低減できるようにもなる。これが(A−B)という数式の第2の意義である。
この観点で、第1制動装置Br1の制動力Bは、例えば、転がり軸受のように旋回抵抗を意図的に小さくしたものではなく、少なくとも滑り軸受が有する旋回抵抗以上、すなわち、「制動力」として機能し得る程大きな値であることが好ましい。勿論、後述するように、第1制動装置Br1は、より積極的にナセル16を制動する構成を備えたものであってもよい。
次に(A−B)<Cという数式における合算値Cが、「全ての」第2制動装置の制動力の合算値ではなく、「一部の」第2制動装置の制動力の合算値である、という技術的意義について説明する。
前記知見2によれば、ナセル16が制動・静止状態に入ると、各ヨーユニット100の荷重バランスは、(ナセル16を旋回させているときと比べて)より大きくばらつく傾向がある。例えば、ある時点での制動静止中において、たまたま特定のヨーユニット100の旋回ピニオン122と旋回歯車20との間にバックラッシがあった場合、その特定のヨーユニット100の制動機構134は、旋回ピニオン122の回転は制動できても、それによって旋回歯車20の回転を制動することはできないということになる。この場合は、この特定のヨーユニット100を除いた第2制動装置Br2の制動力で旋回歯車20を制動ができなければならない。これは、換言するならば、ナセル16が制動・静止している状態では、ナセル16に掛け得る制動力は、必ずしも「全ての」ヨーユニット100の制動力の単純な合算値ではない、ということである。つまり、計算上、全てのヨーユニット100の制動力の合算値では、(A−B)を上回っていても、現に発生し得る制動力は、(A−B)を下回っている可能性がある。しかし、それではナセル16が動いてしまう可能性がそれだけ高くなってしまう。
また、例えば、特定のヨーユニット100に過大な外力が掛かると、このヨーユニット100が破損してしまうこともある。この場合、残ったヨーユニット100でナセル16を静止させ得る制動力を分担できなければ、次々に連鎖的な破損が生じ、結果としてナセル16の静止を維持できなくなってしまう虞がある。しかし、この点でも、一部の第2制動装置Br2だけで、制動力が(A−B)を上回っていれば、全第2制動装置Br2が連鎖的に破損してナセル16が旋回を開始してしまう虞をより低減できる。
これが、(A−B)<Cという数式における合算値Cとして、全ての第2制動装置Br2の制動力の合算値ではなく、「一部の」第2制動装置Br2の合算値を採用する理由である。
この点に鑑み、より具体的には、「一部の第2制動装置Br2」とは、全第2制動装置Br2の総数の半数以下の第2制動装置Br2(例えば、第2制動装置Br2の総数が5台なら2台以下の第2制動装置Br2)であることが好ましい。更には、複数の第2制動装置Br2のうちの1台の制動力が、前記(A−B)よりも大きく設定されるのが、より好ましい。また、全ての第2制動装置Br2の制動力が(A−B)よりも大きく設定されるのも好ましい。
本実施形態では、ブレーキユニット200の1台のみ、すなわち1台の第2制動装置Br2のみで制動力Bp200が(A−B)を上回るように構成されている。したがって、たとえ他のヨーユニット100が、例えばバックラッシの存在により旋回歯車20の制動に関与できなかったり、あるいはずるずると滑り出して本来の制動力を供与できないような制動状況であったとしても、当該1台の第2制動装置Br2(ブレーキユニット200)のみで、(A−B)を上回る制動力を提供できる。そのため、ナセル16が滑り出すのを非常に高い確率で防止できる。
以下、具体的数値を例示するならば、本実施形態では、モータ130の定格出力トルクRp130が、2.145kgmのヨーユニット100を4台用いており、それぞれのヨーユニット100の減速装置132の減速比Sr132が1, 075(入力側偏心揺動減速機150の減速比43×出力側偏心揺動減速機152の減速比25)である。よって、外力の想定最大値Aは、2.145×1,075×4=9,223kgmである。
また、第1制動装置Br1(滑り軸受18)の制動力Bは、5,000kgmである。よって、(A−B)=9,223−5,000=4,223kgmである。そして、1台(一部の第2制動装置Br2)で4,223kgmを超える制動力Bp200(Bp234×Sr232=4,500Kgm=C)を提供し得るブレーキユニット200を備えている。よって、本実施形態に係る風力発電設備は、(A−B)<Cの数式を満足していることになる。
次に、本実施形態に係る風力発電設備の作用を説明する。
各ヨーユニット100のモータ130を回転させ、旋回ピニオン122を駆動すると、旋回ピニオン122は、旋回歯車20から噛合反力を受けて旋回歯車20の軸心C20(支柱14の軸心C14)の周りを公転する(図1参照)。これにより、ヨーユニット100全体が旋回歯車20の軸心C20の周りを公転するため、ナセル16は、支柱14に対して旋回することができる。
なお、このとき、ブレーキユニット200は、無負荷で連れ廻ることになる。ブレーキユニット200は、モータを有していないので、減速比Sr232や旋回ピニオン222のピッチ円径Pc222(歯数)をどのように設定しても、他のヨーユニット100と干渉しないので、設計の自由度が極めて高い。
ナセル16の旋回を制動するときは、各ヨーユニット100の制動機構134を作動させて旋回ピニオン122の回転を制動することにより、旋回歯車20を介して支柱14に対するナセル16の旋回を制動する。そして、これと同時に、ブレーキユニット200の制動機構234を作動させて該ブレーキユニット200の旋回ピニオン222の回転を制動することによっても、旋回歯車20を介して支柱14に対するナセル16の旋回を制動できる。
また、本実施形態では、ナセル16の旋回を旋回歯車20を介することなく直接制動する第1制動装置Br1(具体的には滑り軸受18)を設けるようにしたため、この制動力Bの分、第2制動装置Br2の受け持つ制動力を低減できる(第2制動装置Br2の制動力を同一とするならば、それだけ余裕のあるナセル16の制動力を確保できる)。
また、制動時あるいは、制動時にナセル16が旋回し始めたようなときにナセル16が支柱14に対してがたつくことを、より抑制でき、その分、ヨーユニット100に過大な荷重が掛かるのを低減できる。
そして、本実施形態では、ナセル16を旋回させようとする外力の想定最大値をA、第1制動装置Br1の制動力をB、一部の第2制動装置の制動力の合算値をC、としたときに、(A−B)<Cが成立する構成としてあるため、風による外力が想定内である限り、ナセル16は、静止しており、制動が掛かった状態で滑り出すことがない。そのため、知見3で得られたような強い荷重が無秩序に発生するという状況となるのが未然に防止され、ヨーユニット100が破損に至るのをより回避することができる。
とりわけ、この実施形態では、第1制動装置Br1を、支柱14とナセル16との間に配置される滑り軸受18で構成している。このため、支柱14とナセル16との間に制動トルクを常時発生させることができる。つまり、第1制動装置Br1の制動力を、モータ130によって積極的にナセル16を旋回させるときにも作用させることができる。このため、制動時だけでなく、通常発電時を含め、ナセルの不要なふらつきを低減するという効果が得られる。何よりも低コストであり、故障もしにくい。そして、この第1制動装置Br1の制動力Bの分、第2制動装置Br2の受け持つ制動力を低減できる。
また、本実施形態では、複数の第2制動装置Br2のうち、少なくとも1台の第2制動装置Br2(ブレーキユニット200)の制動力が、他の第2制動装置(ヨーユニット100)よりも大きく設定されている。このため、他の(制動力が大きくない)第2制動装置Br2が、容量不足で(あるいはバックラッシの存在等により)旋回歯車20を支えることができなくても、制動力の大きく設定された第2制動装置Br2が該旋回歯車20を支えることができる可能性が高くなる(もし、第2制動装置Br2を、同じ大きさの制動力を有するものだけで構成した場合には、特定の第2制動装置Br2が、何らかの理由で旋回歯車20を支えることができない場合、これを補って旋回歯車20を支えることができず、結局、旋回歯車20の静止状態を維持できなくなる可能性が高い)。
また、本実施形態では、この制動力Bp200が大きくされた第2制動装置Br2(ブレーキユニット200)は、旋回ピニオン222側から見て、ヨーユニット100の増速比Sr132よりも大きい増速比Sr232の増速機構を有している。このため、ブレーキユニット200の制動機構234の制動力Bp234自体がヨーユニット100の制動機構134の制動力Bp134よりも強いことと相まって、(掛け合わせにより)ヨーユニット100の旋回ピニオン122での制動力Bp100(=Bp134×Sr132)よりも非常に強力な制動力Bp200(=Bp234×Sr232)を、旋回ピニオン222を介して旋回歯車20に付与することができる。
また、本実施形態では、複数の第2制動装置Br2のうちの1台(ブレーキユニット200)の制動力Bp200が、前記(A−B)よりも大きく設定されている。そのため、外力の想定最大値Aが想定外に高くない限り、他の第2制動装置Br2の制動状況の如何に関わらず、ブレーキユニット200は、単独で旋回歯車20が旋回を始めてしまうのを防止することができる。
また、本実施形態では、制動力Bp200が前記(A−B)よりも大きくされた第2制動装置Br2(ブレーキユニット200)の旋回ピニオン222のピッチ円径Pc222は、他の第2制動装置Br2(ヨーユニット100)の旋回ピニオン122のピッチ円径Pc122よりも、大きい。したがって、制動力が大きくても、旋回ピニオン222の面圧をより低めることができ、該旋回ピニオン222の強度(あるいは耐久性)をより高めることができる。
さらに、本実施形態では、ヨーユニット100の旋回ピニオン122の旋回歯車20に対するバックラッシよりも、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222の旋回歯車20に対するバックラッシの方が小さく設定されている。これにより、制動時に、ヨーユニット100の旋回ピニオン122よりも、ブレーキユニット200の旋回ピニオン222の方が、先に旋回歯車20の制動に寄与する(先に荷重を負担する)ことができる確率をより高めることができる。そのため、ナセル16が外力によって旋回させられそうな環境下において、該ナセル16の静止状態をより早期に安定させることができる。なお、もし、ブレーキユニット200より特定のヨーユニット100の方が先にバックラッシが詰まり、かつ該特定のヨーユニット100だけでは旋回歯車の旋回を制動できない場合、旋回歯車20は、ブレーキユニット200のバックラッシが詰まって該ブレーキユニット200の制動力Bp200が旋回歯車20に作用するまで若干動くことになる。しかし、旋回歯車20が連続的に動き出さなければ、制動力Bが動摩擦に変わることはない。したがって、(A−B)<Cの関係が崩れることはなく、バックラッシが詰まって作用できるようになったブレーキユニット200の制動力Bp200により、旋回歯車20を確実に静止状態に維持することができる。なお、ブレーキユニット200は、ヨーユニット100のモータ130によってナセル16を旋回駆動しているときには、無負荷の状態で連れ廻るだけであるため、該ブレーキユニット200のバックラッシが小さく設定されていても、悪影響は殆ど生じない。
なお、本実施形態では、第1制動装置として、滑り軸受自体の制動機能を活用するようにしていた。しかしながら、本発明に係る第1制動装置の構成は、要は、支柱に対してナセルの旋回を制動できる構成であればよく、この構成に限定されるものではない。例えば、前述したように、滑り軸受の抵抗(すなわち制動力)をボルト等の締付け手段で積極的に調整できるものは、本発明の第1制動装置として、より有効である。
また、当然に、第1制動装置を滑り軸受で代用するのではなく、専用の制動装置として備えるようにしてもよい。例えば、ナセルの台座の一部に、支柱の軸心と同軸で回転する円筒部(や円板部)を形成し、この円筒部に、支柱側に設けたブレーキシュー部材をばね等の付勢力で押し当て、摩擦力によってナセルの旋回を制動する構成を採用してもよい。
なお、回転と制動は相対的な関係にあるため、支柱側に円筒部や円板部を設け、ナセル側にブレーキシュー部材を設ける構成とすることも可能である。
このような専用の第1制動装置を設けることにより、ナセルの支持機構のがたつきの影響を一層確実に低減することができるようになる。
さらには、第1制動装置として、例えば、前記ブレーキシュー部材の押圧力を得るために、油圧制御機構を利用した制動装置を採用することもできる。油圧制御機構を利用した制動装置は、高コストではあるものの、ナセルを積極的に旋回させるときには、第1制動装置の制動力を「オフ」とすることができるため、旋回駆動時のロスを低減できる。また、第1制動装置による制動トルクを、上記常時制動タイプよりも高めに設定することができるという利点も得られる。
また、上記実施形態においては、第2制動装置として、4台のヨーユニットに、1台の大容量の制動専用のブレーキユニットを加える構成を採用していたが、本発明は、必ずしもこの構成に限定されない。
例えば、複数の第2制動装置のうち、少なくとも1台の第2制動装置の制動力が、他の第2制動装置の制動力よりも大きい、という構成であってもよい。すなわち、例えば、2台以上の第2制動装置の制動力が、他の第2制動装置よりも大きく設定されていてもよい。逆に、制動力が大きく設定された第2制動装置が1台もない(つまり全ての第2制動装置の制動力が同一)に設定されていてもよい。この場合でも、例えば、ヨーユニットのほかに、制動専用の第2制動装置を有していれば、外力の想定最大値をA、第1制動装置の制動力をB、一部の第2制動装置の制動力の合算値をCとしたときに、(A−B)<Cを成立させることは可能であり、本発明の効果を得ることができる。また、制動専用の第2制動装置を有していなくても、つまり、全ての第2制動装置が同一構成のヨーユニットであってもよい。例えば、全てのヨーユニットが(A−B)よりも大きい制動力Cを有していてもよい。
また、上記実施形態においては、制動力Bp200が大きくされた第2制動装置は、旋回ピニオン側から見て、ヨーユニットの増速比よりも大きい増速比の増速機構(減速装置232)を有していたが、制動力が大きくされた第2制動装置は、必ずしも増速比が大きい増速機構を有する必要はなく、例えば、モータの有無のみが異なるヨーユニットとブレーキユニットで第2制動装置が構成されていてもよい。
勿論、例えば、第2制動装置の制動機構の制動力は、全て同一であり、旋回ピニオン側から見てヨーユニットの増速比よりも大きい増速比の増速機構を有することによって、旋回ピニオンでの制動力の異なる第2制動装置が構成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、ナセル制動時の各第2制動装置の制動状態の如何に関わらず、より確実にナセルの制動を維持するべく、複数の第2制動装置のうちの1台の制動力で、前記(A−B)よりも大きい制動力が確保できるように設定していたが、一部の第2制動装置の制動力である限り、本発明の作用効果を相応に得ることができる。したがって、2台以上の第2制動装置の制動力の合算値が、上記(A−B)より大きい、という構成でもよい。
また、上記実施形態においては、制動力が前記(A−B)よりも大きくされた第2制動装置(ブレーキユニット200)の旋回ピニオン222のピッチ円径Pc222は、他の第2制動装置(ヨーユニット100)の旋回ピニオン122のピッチ円径Pc122よりも、大きく設定され、特に旋回ピニオン222の歯部のより高い強度が確保されていた。しかし、本発明は、必ずしもこのような構成とする必要はなく、例えば、旋回ピニオンのピッチ円径は全て同一でもよい。
また、上記実施形態においては、第2制動装置として、旋回歯車の駆動に寄与しない制動専用のブレーキユニットが配備されていたが、本発明では、第2制動装置をヨーユニットのみで構成するようにしてもよい。例えば、図5に示されるように、3台の小容量のヨーユニット100と、1台の大容量のヨーユニット300とを、備え、結果として計4台の第2制動装置Br2を備えるような構成としてもよい。具体的には、図2に示されるヨーユニット100と、図4に示されるような、ヨーユニット300を用いればよい。ヨーユニット300は、ブレーキユニット200にモータ330を付設したものである。そのため、ブレーキユニット200と同様な部位に下2桁が同一の符号を付し、重複説明を省略する。
この構成では、大容量のヨーユニット300に前記ブレーキユニット200の機能を兼ねさせることができ、狭いナセル16内で第2制動装置Br2の総数を増やさなくてもよい点で優れる。ただし、制動専用のブレーキユニット200と異なり、ヨーユニット300は、小容量のヨーユニット100と同期して旋回歯車20を駆動する必要があるため、小容量のヨーユニット100の旋回ピニオン122のピッチ円での接線速度と、大容量のヨーユニット300の旋回ピニオン322のピッチ円での接線速度が同一となるように旋回ピニオン322のピッチ円径Pc322や減速装置332の減速比Sr332等を設定する必要がある。
なお、上記「複数の第2制動装置のうち、少なくとも1台の第2制動装置の制動力が、他の第2制動装置の制動力よりも大きい」という構成、「制動力が大きくされた第2制動装置は、他の第2制動装置よりも旋回ピニオン側から見て増速比が大きい増速機構を有する」という構成、あるいは、「制動力が大きくされた第2制動装置の旋回ピニオンのピッチ円径は、他の第2制動装置の旋回ピニオンのピッチ円径よりも大きい」という構成は、外力の最大想定値Aの概念と切り離しても、技術的意義がある構成である。それは、これらの構成は、前記知見2や知見3に鑑みるに、制動時の旋回歯車の旋回を、より回避し得る構成と捉えることができるためである。
また、上記実施形態における外力の最大想定値Aの決め方は、一例であり、他の決め方を排除するものではない。例えば、一定期間(例えば1年間)に亘って計測された風速等のデータ、ナセル、支柱、ヨーユニットの破損状況や変形量等の実測データに基づいて、例えば、当該風力発電設備において実際に測定された最大外力を若干超える外力を、「外力の最大想定値A」として決定するのは、合理的である。この手法は、当該風力発電設備が現に設置されている土地特有の地理的事情をより考慮できる点で優れる。
12…風力発電設備
14…支柱
16…ナセル
18…滑り軸受(第1制動装置)
20…旋回歯車
122…旋回ピニオン
100…ヨーユニット(第2制動装置)
200…ブレーキユニット(第2制動装置)
A…外力の想定最大値
B…第1制動装置の制動力
C…一部の第2制動装置の制動力の合算値

Claims (4)

  1. 支柱と、該支柱に対して旋回するナセルと、前記支柱に設けられた旋回歯車と、該旋回歯車を介さずに前記ナセルの旋回を制動する第1制動装置と、前記旋回歯車に噛合する旋回ピニオンを有し当該旋回ピニオンの回転を制動することによって前記旋回歯車を介して前記ナセルの旋回を制動する複数の第2制動装置と、を備えた風力発電設備であって、
    前記複数の第2制動装置のうちの少なくとも一部の第2制動装置は、前記ナセルを旋回駆動する制動機能付きのヨーユニットであり
    前記ヨーユニットは、モータと、減速装置と、を有し、
    前記第2制動装置は、前記ヨーユニットによって旋回駆動された前記ナセルの旋回を制動するときに作動される制動機構を有し、
    前記ナセルを旋回させようとする外力の想定最大値をA、前記第1制動装置の制動力をBとしたときに、前記複数の第2制動装置のうちの1台の第2制動装置の制動力が、(A−B)よりも大きく設定され、
    前記外力の想定最大値Aは、前記モータの定格出力トルクと前記減速装置の減速比との積を全てのヨーユニットについて合算した合算値であり、
    前記第1制動装置は、前記支柱と前記ナセルとの間に配置される滑り軸受であり、制動力を調整する調整機構を有し、該調整機構により制動力が調整された後は、旋回時、制動時を問わず当該調整された制動力が作用することを特徴とする風力発電設備。
  2. 請求項1において、
    前記複数の第2制動装置のうち、少なくとも1台の第2制動装置の制動力が、他の第2制動装置よりも大きいことを特徴とする風力発電設備。
  3. 請求項2において、
    前記第2制動装置は、該第2制動装置の制動機構と前記旋回ピニオンとの間に、該制動機構での回転を前記旋回ピニオンの回転より速める増速機構を有し、
    前記制動力が大きくされた第2制動装置は、前記ヨーユニット以外の制動装置であって、
    該制動力が大きくされた第2制動装置の増速機構の増速比は、前記ヨーユニットの増速機構の増速比よりも大きいことを特徴とする風力発電設備。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記制動力が前記(A−B)よりも大きくされた第2制動装置は、他の第2制動装置よりも前記旋回ピニオンのピッチ円径が大きいことを特徴とする風力発電設備。
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