JP6488645B2 - 走行抵抗算出方法、走行抵抗計測方法、及び走行抵抗算出装置 - Google Patents
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Description
例えば、車両を定めた進入速度から惰行走行させ、定めた惰行下限速度までの経過時間に対する車両速度の時系列データをtan の関数に回帰させ、このときの関数に含まれる係数を用いて、走行抵抗の車両速度依存性を求める(非特許文献1)。
コンピュータが、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有する。
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定した全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する。
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングをする、ことが好ましい。
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測装置が出力するステップと、
コンピュータが、前記時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有する。
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定された全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて少なくとも前記走行抵抗を算出する。
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、ことが好ましい。
前記コンピュータは、前記温度データを取得し、
前記走行抵抗を算出するとき、前記走行抵抗のうち転がり抵抗を表す係数を算出し、算出した係数を前記温度データで補正することにより、所定の温度における転がり抵抗を算出する、ことが好ましい。
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する取得部と、
走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する部分であって各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、を有する。
図1は、本実施形態の走行抵抗算出装置を含む走行抵抗算出システム10のブロック構成図である。
走行抵抗算出システム10は、計測装置12、走行抵抗算出装置14と、出力装置20と、を有する。
上記計測装置12は、GPS(Global Positioning System)速度計や、車両の前面に設けられ、車両の走行による風圧、風が吹いている場合は、風を含んだ車両の走行による風圧を計測する差圧計等の公知のものを含む。
計測装置12は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを出力する。
このように、複数の速度条件で車両速度の時系列データを取得するのは、図2に示すように、車両が惰行走行するテストコースにおける直線状の路面Xは、数100m〜1km程度であり、惰行走行に必要な距離に比べて距離が短いからである。図2は、惰行走行する車両の走る直線状の路面を説明する図である。路面Xを、車両の進入速度と下限速度を定めた複数の速度条件にしたがって、計測装置12は、車両速度の時間変化を計測する。図3は、データ取得部16が取得した、4つの異なる速度条件における車両速度の時系列データの一例を示す図である。図3では、凡例において、路面Xに入るときの進入速度120km/h、100km/h、80km/h、及び60km/hで各時系列データを特定している。そして、下限速度はそれぞれ100km/h未満、80km/h未満、及び60km/h未満となっている。
すなわち、データ取得部16は、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面X上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する。
走行抵抗は車両速度vの関数式、例えば下記のような2次式で表される。ここで、mは、車両全体の質量であり、a,b,cは、値が未知の係数(パラメータ)である。また、この一般解は、下記式のように表される。
例えば、図3に示す例では、車両速度120km/hから40km/hまでの抗力係数Cdは、0.306と算出され、転がり抵抗は、2.8×v+95.7[N]と算出される。
このような算出結果は、ディスプレイやプリンタ等の公知の出力装置20に送られ、画面表示やプリント出力される。
図3に示す例において、4つの時系列データのそれぞれ別々に、上記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、パラメータの値を求めて抗力係数Cdを求めると、進入速度120km/hの時系列データでは0.332となり、進入速度100km/hの時系列データでは0.302となり、進入速度80km/hの時系列データでは0.383となり、進入速度60km/hの時系列データでは0.309となり、抗力係数Cdはばらつく。これに対して、本実施形態では、抗力係数等は1つ算出することができる。
なお、走行抵抗が車両速度vに依存する関数式は、車両速度vの2次の多項式であることが、より簡単な関数式を用いて、抗力係数Cd及び転がり抵抗を求めることができることから、好ましい。
さらに、複数の速度条件における車両速度範囲のうち、少なくとも1つの車両速度範囲がそれ以外の1つの速度範囲と部分的に重なるように、速度条件は定められることが、精度のよい一般解へのフィッティングができる点から好ましい。例えば、進入速度120km/hの速度条件における時系列データは、120km/hから例えば95km/hを下限速度とし、進入速度100km/hの速度条件における時系列データは、100km/hからとし、100km/h〜95km/hの範囲内で車両速度が重なっていることが、車両の走行抵抗をより精度良く算出することができる点から好ましい。このような車両速度の重なりは、すべての速度条件において定められていることがより好ましい。
車両速度vの時系列データを風速のデータで補正するとは、風が車両の走行方向前方から後方に向かって流れる向かい風の場合、車両速度vに風速の速度を加算し、風が車両の走行方向後方から前方に向かって流れる追い風の場合、車両速度vから風速の速度を減算する。また、風が、車両走行方向に対して斜め方向に流れる風の場合、風速のデータのうち、車両走行方向に沿った風の速度成分が上述した加算あるいは減算に用いられる。
風速の計測を行なう場合、路面に沿って複数の風速計を配置し、車両が各風速計を通過するときの風速データを取得することが、精度の高い走行抵抗を算出する点から好ましい。勿論、路面の一箇所で風速を計測し、この計測結果を用いて、車両速度vの時系列データを補正してもよい。
なお、車両前方に固定した差圧計や風速計で車両速度vを計測する場合、差圧計や風速計から出力される車両速度vの時系列データには、風速のデータも含まれているので、風の速度を考慮するための上記補正をする必要がない。この点で、差圧計や風速計で車両速度vを計測することが、上記補正をしない点から好ましい。
12 計測装置
14 走行抵抗算出装置
16 データ取得部
18 走行抵抗算出部
20 出力装置
Claims (11)
- コンピュータを用いて、車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出方法であって、
コンピュータが、車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有し、
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定した全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、ことを特徴とする走行抵抗算出方法。 - 前記走行抵抗を算出するとき、前記パラメータの値から、車両の抗力係数及び転がり抵抗の少なくとも1つを算出する、請求項1に記載の走行抵抗算出方法。
- 前記関数式は、車両速度の2次の多項式である、請求項1または2に記載の走行抵抗算出方法。
- 前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行抵抗算出方法。
- 前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングをする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行抵抗算出方法。 - 車両の走行抵抗計測方法であって、
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを計測装置が出力するステップと、
コンピュータが、前記時系列データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出するステップと、を有し、
前記走行抵抗を算出するとき、各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、設定された全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて少なくとも前記走行抵抗を算出する、ことを特徴とする走行抵抗計測方法。 - 前記複数の速度条件における前記走行速度範囲のうち、少なくとも1つの走行速度範囲がそれ以外の1つの走行速度範囲と部分的に重なるように、前記速度条件は定められる、請求項6に記載の走行抵抗計測方法。
- 前記車両速度は、車両の路面に対する相対速度であり、
前記コンピュータは、前記車両の走行時の風速のデータを取得し、
前記コンピュータは、前記時系列データを前記風速のデータで補正した結果を用いて、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する、請求項6または7に記載の走行抵抗計測方法。 - 前記計測装置は、車両の走行中のタイヤ温度、車両の走行中の路面温度、あるいは、車両の走行中の気温の少なくとも1つを温度データとして出力し、
前記コンピュータは、前記温度データを取得し、
前記走行抵抗を算出するとき、前記走行抵抗のうち転がり抵抗を表す係数を算出し、算出した係数を前記温度データで補正することにより、所定の温度における転がり抵抗を算出する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の走行抵抗計測方法。 - 前記車両に装着されるタイヤが異なる複数の車両に関する条件で、前記走行抵抗を算出する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の走行抵抗計測方法。
- 車両の走行抵抗を算出する走行抵抗算出装置であって、
車両の進入速度と下限速度から定まる走行速度範囲が互いに異なる複数の速度条件にしたがって、同じ路面上に車両を惰行走行させたときの惰行走行経過時間に対する車両速度の時系列データを取得する取得部と、
走行中の前記車両に作用する外力が車両速度の関数式で表された車両の運動方程式を用いて、各速度条件の時系列データから、少なくとも車両の走行抵抗を算出する部分であって各速度条件下の時系列データを1つの時系列データに纏めるために前記惰行走行経過時間をシフトする時間シフト量と、前記関数式中の係数と、を値が未知であるパラメータとして、全ての速度条件における前記車両速度の時系列データを、前記運動方程式の車両速度の一般解へフィッティングすることにより、前記パラメータの値を求めて前記走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、を有することを特徴とする走行抵抗算出装置。
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