JP6488635B2 - シンチレータパネル及び放射線検出器 - Google Patents

シンチレータパネル及び放射線検出器 Download PDF

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Description

本発明は、パネル自体の反りや、蛍光体層のクラック発生が改善されたシンチレータパネル及びそれを用いた放射線検出器に関する。
近年、放射線源から被写体の撮影部位を透過した放射線を電荷に変換し、デジタル放射線画像を生成する放射線検出器が、医療現場において病状の診断に用いられている。これらの放射線検出器は、Gd22SやCsI等の蛍光体層によって放射線を可視光に変換後、光電変換素子(PD)により電荷へ変換するシンチレータ方式と、Seを代表とするX線検出素子によりX線を直接電荷へ変換する方式があり、シンチレータ方式への注目度が高い。
シンチレータ方式の放射線検出器としては、例えば、特開2005−114456号公報では、シンチレータパネルと、薄膜トランジスタ(TFT)及び電荷結合素子(CCD)による光電変換素子との組み合わせである放射線検出器を開示している。
このようなシンチレータパネルは、放射線検出器の小型化や軽量化、または品種の多様化といった市場要求を受け、部材の軽量化、薄膜化、加工性が求められる。このような要求を満たすために、蛍光体を支持する基板に樹脂基板を用いる技術が提案されている(特開2012−47487号公報)。
しかし、樹脂基板のようなフレキシブル性が高い材料を用いた場合、蛍光体と樹脂基板の線膨張率の違いから、製造プロセス及び使用環境における熱を受け、シンチレータパネルが反り光電変換素子と剥離したり、蛍光体にクラックが生じ画像品質が劣化する等の課題があった。
これらの課題を解決するために、蛍光体層の樹脂基板と対向する面に反り防止用の樹脂フィルムを貼り付けたり、シンチレータパネルを光電変換素子に配置したセンサ基板と、センサ基板と同様の材質の剛性版で挟んだりすることで、反りを防止する技術が開示されている(WO2011/010482、WO2010/140410など)が、シンチレータパネル単体で反りを制御する技術は開示されていなかった。
特開2005−114456号公報 特開2012−47487号公報 WO2011/010482 WO2010/140410
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、剛性板や、反り防止フィルム等を用いなくとも製造プロセスや使用環境でかかる熱による反り、蛍光体のクラック等を防ぎ、常に光電変換素子と一定距離で密着することができるシンチレータパネル及び放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明に係る上記課題は、以下に挙げる手段により解決される。
「1」 フレキシブル基板上に蛍光体を配置したシンチレータパネルにおいて、フレキシブル基板と蛍光体の間に熱膨張吸収層を設け、熱膨張吸収層の線膨張係数が蛍光体の熱膨張係数より大きく、熱膨張吸収層とフレキシブル基板の接する面は供に有機物を含む事を特徴とするシンチレータパネル。
「2」 前記蛍光体の光出射面及び側面、フレキシブル樹脂基板の側面と裏面の一部まで防湿保護層におおわれていることを特徴とする「1」のシンチレータパネル。
「3」 前記熱膨張吸収層の厚みが1μm以上100μm以下である「1」または「2」のシンチレータパネル。
「4」 前記熱膨張吸収層にフィラーが含有されている事を特徴とする「1」から「3」のいずれかに記載のシンチレータパネル。
「5」 蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤を原材料として、気相法により形成されたものであることを特徴とする「1」に記載のシンチレータパネル。
「6」 フレキシブル基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ、ポリアミドイミド、ビスマレイイミド、フッ素樹脂、アクリル、ポリウレタン、アラミド、ナイロン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーから選ばれる樹脂、炭素繊維強化樹脂から選ばれる少なくとも1種から構成されるものあるいは、薄膜ガラス表面が樹脂層でコートされたものであること「1」に記載のシンチレータパネル。
「7」 熱膨張吸収層が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含むことを特徴とする「1」に記載のシンチレータ―パネル。
「8」 前記シンチレータパネルがラインセンサに用いられることを特徴とする「1」から「7」いずれかに記載の放射線検出器。
「9」 前記シンチレータパネルと複数のセンサを組み合わせて使用する事を特徴とする「1」から「7」のいずれかに記載の放射線検出器。
本発明によれば、フレキシブル基板と蛍光体の間にフレキシブル基板と接着性の高い熱膨張吸収層を設けるとともに、該層の熱膨張率を、蛍光体の熱膨張率よりも大きくすることで、剛性板や反り防止フィルム等を用いることなく、熱による反り、剥離、蛍光体のクラック等を防ぎ、常に光電変換素子と一定距離で密着することが可能なシンチレータパネルが得られる。これは、柱状の蛍光体の根本を、線膨張率の大きい熱膨張吸収層で覆うことで、製造プロセスや環境の温度変動に伴う蛍光体の変動を防いでいると推測する。
本発明のシンチレータパネルは、これに対向して光電変換素子が2次元状に配された光検出パネルを設け、放射線検出器として好適に用いることができる。
本発明に係るシンチレータパネルの概略を示す断面図である。 蛍光体層形成に使用される装置の一態様の模式図である 保護層形成に使用される装置の一態様の模式断面図である。 放射線検出器の作製工程を示す模式図である。 レーザ断裁装置(YAG−UV)のの概略図である。
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、「シンチレータ」とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
図1は、本発明に係るシンチレータパネル10の概略を示す断面図である。
シンチレータパネル10は、フレキシブル基板を支持体12として用いる。支持体12の一面には蛍光体層13が蒸着により設けられ、蛍光体層面とされる。
なお蛍光体層に含まれるヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止するために保護層14を設けることが望ましい。防湿保護層14は、少なくとも蛍光体層13の表面および側面、裏面一部を覆うように設けられていることが望ましい。
支持体12の蛍光体が蒸着される面に反射層15を設けることが好ましい。反射層15を設けることによって、蛍光体の発光を非常に効率よく取り出すことが可能となり、輝度を飛躍的に向上させることができる。
また、支持体12と反射層15の密着性を向上させるために、支持体12と反射層15の間に中間層を設けることも一つの態様として挙げられる。
本発明では、支持体12と蛍光体層13との間に特定の線膨張係数を有する熱膨張吸収層17を設ける。図1に示す例では、熱膨張吸収層17は、支持体12表面に設けられ、その表面に反射層15が設けられているが、本発明はこの限りでない。
フレキシブル基板
本発明において基板とは、シンチレータパネルの構成要素において、蛍光体層を保持するために、支持体の役割を果たす部材を指す。
基板を構成する材料としては、例えば、(1)炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、(2)カーボン(アモルファスカーボン、木炭及び紙を炭化処理して固めたもの等)、(3)プラスチック、(4)ガラス、(5)金属、(6)上記(1)〜(5)の材料を薄く形成し発泡樹脂でサンドイッチしたもの等を使用することができる。これらは単独で用いても積層して用いてもよい。
本発明では、フレキシブル基板が用いられる。「フレキシブル基板」の弾性率は0.1〜20GPaであることが好ましい。本発明において弾性率とは、引張試験機を用い、JIS C 2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
基板の厚みは20μm以上、3mm以下であることが好ましい。
当該基板には、易接着層、反射層、光吸収層、導電層、反り防止層、平滑層等の機能層を設けてもよい。
本発明ではフレキシブル基板として樹脂フイルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムを用いることで、(1)反射層、導電層、易接着層等の機能層を、ロール・ツー・ロール(roll to roll)で加工することが出来る、(2)蛍光体を蒸着する前、もしくは蛍光体を蒸着した後に、製品サイズに容易に断裁することが出来る、(3)シンチレータパネルと平面受光素子をカップリングする際、柔軟性があるため平面受光素子との密着性に優れる、等のメリットがある。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ、ポリアミドイミド、ビスマレイイミド、フッ素樹脂、アクリル、ポリウレタンアラミド、ナイロン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、炭素繊維強化樹脂シート等が挙げられる。これらは単独で用いても積層して用いてもよい。
またフレキシブル基板として、薄膜ガラス表面が樹脂層でコートされたものを使用することも可能である。樹脂層としては、前記樹脂シートを構成する樹脂から構成される。
フレキシブル基板上に蛍光体を蒸着する際、熱によって支持体が変形しないよう、ガラス転移移点は100℃以上であることが好ましい。具体的には、ポリイミドを含有する樹脂フイルムが好適である。
フレキシブル基板の厚さとしては、好ましくは20〜1000μm、更に好ましくは50〜750μmである。支持体の厚さを50μm以上にすることで蛍光体層を形成した後のハンドリング性が良好となる。また、支持体の厚さを750μm以下にすることで、反射層、導電層、易接着層等の機能層を、ロール・ツー・ロール(roll to roll)で加工することが容易となり、生産性向上の観点より、非常に有用である。
<反射層>
フレキシブル基板の少なくとも蛍光体層が蒸着される面に反射層を有することが好ましい。反射層を設けることによって、蛍光体の発光を非常に効率よく取り出すことが出来、輝度が飛躍的に向上する。
反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
反射層を構成する材料としては、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレス等の金属材料を含有していることが好ましい。中でも反射率、耐食性の観点からアルミニウムもしくは銀を主成分としていることが特に好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。
金属を支持体上に被覆する方法としては、蒸着、スパッタ、あるいは、金属箔の貼り合わせ等、特に制約は無いが、密着性の観点からスパッタが最も好ましい。
支持体と反射層の密着性を向上させるために、支持体と反射層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層を構成する材料としては、一般的な易接着性のポリマーの他、反射層とは異なる異種金属層を設けても良い。異種金属層としては、例えば、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンの中から選ばれる少なくとも1種類の金属を用いることが好ましく、中でもニッケル、クロムを単独、もしくは混合して使用することがさらに好ましい。
これらの金属から構成される反射層の厚さは、0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
本発明では、反射率向上のため、SiO2、TiO2等の金属酸化物からなる増反射層を設けても良い。
本発明では反射層として、光散乱粒子をバインダーに分散させたものからなるものも採用可能である。このような反射層を塗布型反射層という。
光散乱粒子としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウム等の白色顔料を使用する事が出来る。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射し、屈折させることによりシンチレータの発光を容易に散乱し、得られる放射線像変換パネルの感度を顕著に向上させることができる。
その他の光散乱性粒子として、例えば、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、及び、中空部が粒子内に存在する中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、多孔質粒子等も使用する事ができる。
これらの粒子は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。
酸化チタンの結晶構造としては、ルチル型、アナターゼ型どちらでも使用できるが、樹脂の屈折率との比率が大きく、高輝度を達成できる点からルチル型が好ましい。
このような酸化チタン粒子としては、具体的には、例えば塩酸法で製造されたCR−50,CR−50−2,CR−57,CR−80,CR−90,CR−93,CR−95,CR−97,CR−60−2,CR−63,CR−67,CR−58,CR−58−2,CR−85,硫酸法で製造されたR−820,R−830,R−930,R−550,R−630,R−680,R−670,R−580,R−780,R−780−2,R−850,R−855,A−100,A−220,W−10(以上商品名:石原産業(株)社製)などが挙げられる。
酸化チタン粒子の一次粒径は0.1〜0.5μmが好ましく、さらに0.2〜0.3μmがさらに好ましい。また、酸化チタンとしては、ポリマーとの親和性、分散性を向上させるため、あるいはポリマーの劣化を抑えるために、Al、Si、Zr、Znなどの酸化物で表面処理されたものが好ましい。
光散乱粒子と混合して反射層を構成するバインダーとしては、易接着性のポリマー、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールを使用することが好ましい。また、これらのバインダーは2種以上を混合して使用することもできる。
塗布型反射層は、少なくとも光散乱粒子、バインダー、溶剤を含有する組成物を、塗布、乾燥して形成する事が出来る。塗布方式については、特に制約は無いが、例えば、グラビア、ダイ、コンマ、バー、ディップ、スプレー、スピン等の一般的な方式を用いる事が出来る。
塗布型反射層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル、メトキシプロパノールプロピレングリコールモノメチルエーテル 、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
酸化チタンの分散性を向上させるために分散剤を使用しても良い。分散剤としては、例えば、多価アルコール、アミン類、シリコーン、あるいは界面活性剤を用いることができる。
以上のような塗布型反射層の膜厚は、10〜500μmであることが好ましい。反射層の膜厚が10μm以上で十分な輝度が得られ、また500μm以下で、反射層表面の平滑性が向上する。
酸化チタンは、塗布型反射層中に40〜95重量%含まれていることが好ましく、60〜90重量%含まれていることが特に好ましい。40重量%以上で輝度が向上し、95重量%以下で、支持体もしくは蛍光体との接着性が向上する。
<蛍光体層>
蛍光体層を形成する材料としては、種々の蛍光体材料が知られているが、ヨウ化セシウム(CsI)は、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、好ましい。
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとともに、ヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているような、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質をCsIとともに使用することも好ましい。
本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましく、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
本発明に係る一種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。例えば、沃化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、フッ化タリウム(TlF,TlF3)等が挙げられる。本発明において、好ましいタリウム化合物は、沃化タリウム(TlI)である。
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
本発明に係る蛍光体層において、賦活剤の蛍光体層における相対含有量は0.1〜5モル%が好ましい。
蛍光体の一定の面指数を有する面のX線回折スペクトルに基づく配向度は、層厚方向の位置に係わらず、80〜100%の範囲内であることが好ましい。例えば、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)における面指数は、(100)、(110)、(111)、(200)、(211)、(220)、(311)等のうちのいずれかであり得るが、(200)であることが好ましい(面指数については、X線解析入門(東京化学同人)42〜46頁参照)。
なお、本発明における「一定の面指数の面のX線回折スペクトルに基づく配向度」とは、ある面指数の強度Ixが他の面指数の面を含めた全体の総強度Iに占める割合のことを指す。例えば、X線回折スペクトルにおける(200)面の強度I200の配向度は、「配向度=I200/I」である。
配向度決定のための面指数その測定方法としては、例えばX線回折(XRD)が挙げられる。X線回折は、特定波長の固有X線を結晶性物質に照射し、Braggの式を満足する回折が起こることを利用して、物質の同定、結晶相の構造などに関する知見を得ることのできる汎用性の高い分析手法である。照射系のターゲットはCu、Fe、Coなどが用いられ、装置能力によるが、一般的に照射時の出力は0〜50mA、0〜50kV程度である。
蛍光体層は、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられる柱状結晶であることが好ましい。柱状結晶を形成する方法としては、気相堆積法が挙げられる。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
また、蛍光体層は蛍光体母体化合物と賦活剤とからなる蛍光体から構成され、そして基板(支持体)と蛍光体層との間に、蛍光体母体化合物と賦活剤からなり、空隙率が蛍光体層よりも高い値を示す下地層が設けられていることが好ましい。
なお、蛍光体柱状結晶を形成する過程において、蛍光体柱状結晶成長の膜厚50μm程度の成長までに形成された第一の蛍光体層とそれ以外の第二の蛍光体層とに分けられ、第一の蛍光体層を特に「下地層」ともいう。また、蛍光体層を形成する材料を「蛍光体材料」または単に「蛍光体」といい、蛍光体母体化合物のみ、または、蛍光体母体化合物と賦活剤との組成物をいう。
下地層における賦活剤の相対含有量は0.01〜1モル%が好ましく、0.1〜0.7モル%が更に好ましい。なお、賦活剤の相対含有量は、蛍光体母体化合物1モルに対する賦活剤のモル%で示される。特に、下地層には0.01モル%以上含有することが発光輝度向上及び保存性の点で重要である。本発明においては、下地層における賦活剤の相対含有量が蛍光体層における相対含有量よりも低いことが必要であり、蛍光体層における賦活剤の相対含有量に対する下地層における賦活剤の相対含有量の比((下地層における賦活剤の相対含有量)/(蛍光体層における相対含有量))は、0.1〜0.7であることが好ましい。
蛍光体層の厚さは、100〜800μmが好ましく、輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点から、120〜700μmがより好ましい。下地層の厚さは、高輝度・鮮鋭性維持の面から、0.1〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。
蛍光体柱状結晶の形成方法としては、公知の方法を採用でき、基板の表面に、空隙率が蛍光体層よりも低い値を示す下地層を形成する工程、及び下地層の表面に蛍光体を気相堆積法により形成する工程を含む態様の製造方法であることが好ましい。
<熱膨張吸収層>
本発明では、フレキシブル基材から構成される支持体と蛍光体層との間に、熱膨張吸収層を設けられている。
熱膨張吸収層の線膨張係数は、蛍光体の熱膨張係数より大きく、熱膨張しやすい材料から構成され、かかる熱膨張吸収層は、蛍光体の柱状結晶の根元部を覆うように形成されている。このような熱膨張吸収層を形成することで、蛍光体のクラックが抑制される。その理由は明確でないものので、熱膨張吸収層の方が蛍光体よりも熱膨張しやすく、膨張時に、蛍光体柱状結晶の根元部を締め付けて、蛍光体のクラック発生を抑制するものと考えられる。
熱膨張吸収層構成する材料としては、基板と親和性・接着性が高いものが好ましく、基板と熱膨張吸収層が、このような有機材料から構成されると、シンチレータの熱による反りが改善され、また、蛍光体の剥離を抑制できる。
このような熱膨張吸収層を構成する樹脂材料としては、易接着性のポリマー、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールを使用することが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
これらの樹脂の中から、前記フレキシブル基板との接着性が高いものを選択して使用される。
また、熱膨張吸収層にはフィラーが含まれていてもよい。フィラーを加えることで、熱膨張吸収層の線膨張指数を調整することができる。
本発明に用いられるフィラーとしては、公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては例えば酸化チタン、窒化硼素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、石榴石、ガーネット、マイカ、珪石、窒化珪素、炭化珪素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば3次元架橋されたポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等の粉末を挙げることができる。これらの無機質粉末については表面処理されていてもよい。
フィラーとして使用される有機又は無機粉末の平均粒径は通常0.5〜8.0μmの範囲内であり、好ましくは1.0〜6.0μmの範囲内であり、より好ましくは2.0〜5.0μmの範囲内である。また、複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。目的の熱膨張係数に応じて、熱膨張吸収層の組成は調整される。また、2以上の積層体としてもよい。
本発明では、熱膨張吸収層の熱膨張係数は、蛍光体層よりも大きい。なお、本発明でフレキシブル基板の熱膨張係数は特に限定されないが、通常は熱膨張吸収層よりも小さい。
また、熱膨張吸収層の厚みは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上60μm以下がさらに好ましい。この範囲にあれば、熱がかかった時の反りに伴う応力を緩和できる。熱膨張吸収層には、蛍光体(シンチレータ)が発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有されても良い。
<防湿保護層>
前記蛍光体の光出射面及び側面、フレキシブル基板の側面と裏面一部が防湿保護層におおわれていることが好ましい。
防湿保護層は、単一材料から形成されていてもよいし、混合材料から形成されていてもよいし、材料の異なる複数の膜などが併用されて形成されていてもよい。
防湿保護層は、主に、蛍光体の保護を目的とするものである。具体的には、例えば、蛍光体がヨウ化セシウム(CsI)である場合、CsIは、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを目的として、防湿保護層が設けられる。また、この保護層は、シンチレータパネルの蛍光体から放出される物質(例えばハロゲンイオン)などを遮断し、シンチレータ層と受光素子の接触により生じる受光素子側の腐食を防止する機能も有する。
また、上記保護層は、シンチレータパネルの柱状蛍光体結晶から形成されるシンチレータ層と光電受光素子とを例えば接着剤や光学オイルなどにて接合する態様においては、接着剤や光学オイルが柱状蛍光体結晶間に浸透することを防止する浸透防止層の役割も担う。
この保護層は、種々の材料を用いて形成することができる。本発明においては、保護層はポリオレフィン系、ポリアセタール系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、ポリパラキシリレン系の材料を用いることができる。ポリパラキシリレン系はCVD法により形成可能であり、水蒸気およびガスの透過性も少ないという特徴もあり、もともと潮解性であるCsI:Tlの保護膜では好適である。ここでポリパラキシリレンはポリパラキシリレンの他、ポリモノクロロパラキシリレンポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等を含む。
ポリパラキシリレンからなる防湿保護層を形成する場合、その層厚は2μm以上15μm以下が好ましい。保護層を受光素子と接着する場合は、接着剤層が形成されるが、その接着剤層の厚みは接着力確保の観点から10μm以上が好ましく、さらに保護層の膜厚と接着剤層の厚みがトータルで20μm以下であることが好ましい。ポリパラキシレン膜厚と接着剤層の厚みとがトータルで20μm以下であると、保護層を受光素子と接着する場合に、平面受光素子とシンチレータパネルとの間隙での発光光の広がりが抑制され、鮮鋭性の低下を好適に防止できる。
また、保護層は蒸着法、スパッタリング法などにより、SiC、SiO2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成してもよい。
また、別の態様の保護層として、蛍光体層上にホットメルト樹脂も使用できる。ホットメルト樹脂はシンチレータパネルと平面受光素子面との接着も兼ねることができる。
本発明でいうホットメルト樹脂とは水や溶剤を含まず室温で固体であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂ある。樹脂温度が上昇すると溶融し、樹脂温度が低下すると固化する。また加熱溶融状態で接着性が有り、常温で固体状態となり接着性を持たないものである。光透過性の点から、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
ホットメルト樹脂はポリオレフィン系、ポリエステル系又はポリアミド系樹脂を主成分ものが好適であるがこれに限定されない。ホットメルト樹脂の厚みは20μm以下が好ましい。
またホットメルト樹脂の溶融開始温度は、TFTなどの平面受光素子での連続使用特性、接着剥がれ防止性などの面から、60℃以上、150℃以下が好ましい。ホットメルト樹脂の溶融開始温度は可塑剤添加により調整可能である。
ホットメルト樹脂による保護層の作成方法は例えば以下に示す方法がある。剥離剤がコーテングされた剥離シートを準備し、ホットメルト樹脂をこの剥離シートに塗設し、このホットメルト樹脂面をシンチレータパネルの蛍光体層面に配置し、加熱したローラーで加圧しながら張り合わせ、冷却後に剥離シートを取り除く。
あるいは、上記ホットメルト樹脂が塗設されたシートを蛍光体層面に配置した後、これらの上下に樹脂フイルムを設置し減圧下で上下のフイルムの周縁部をシールし密封した後、大気圧下で加熱する方法などある。
樹脂フイルムとしてはシーラントフイルムとポリエチレンテレフタレート(PET)のドライラミネートフィルムなどが好適であり、蛍光体層全面に大気圧による均一な接着圧が得られる為、より好ましい。
ポリパラキシリレンによりシンチレータ層(本発明の蛍光体層に該当する)の上部、側面及び支持体のシンチレータ層外周部を覆うことにより、高い防湿性が得られる。また、ホットメルト樹脂は防湿性だけでなく、シンチレータパネルと平面受光素子面との接着も兼ねることができる。
また、衝撃吸収という観点からは、ポリパラキシリレンまたはホットメルト樹脂のように、蛍光体柱状結晶間にある程度、入り込む樹脂層を形成する方が望ましい。また、鮮鋭性という観点からは、蛍光体柱状結晶間にあまり、入り込まない樹脂層を形成する方が望ましい。
また、別の態様の保護層として、蛍光体層上に高分子フィルム(保護フィルムともいう。)を設けることもできる。なお、高分子フィルムの材料としては、前記支持体(基板)材料としての高分子フィルムと同様のフィルムを用いることができる。
上記高分子フィルムの厚さは、空隙部の形成性、蛍光体層の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、120μm以下が好ましく、更には20μm以上、80μm以下が好ましい。
また、ヘイズ率が、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上40%以下が好ましく、更には3%以上、10%以下が好ましい。ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、蛍光体(シンチレータ)発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99%〜70%が好ましい。
保護フィルムの透湿度は、蛍光体層の保護性、潮解性等を考慮し50g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m2・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に、0.01g/m2・day(40℃・90%RH)以上、50g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m2・day(40℃・90%RH)以上、10g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
<光学補償層>
蛍光体の柱状結晶の先端を含む部分には、光学補償層が形成されていることが望ましい。
複数の光電変換素子等の部分には、それらによる表面の凹凸を平坦化するための平坦化層が、アクリル樹脂などの透明な樹脂等が塗布されて形成されている。
シンチレータの蛍光体が、かかる平坦化層表面に当接する。ここで、光学補償層が形成されていると、蛍光体の柱状結晶と光学補償層との屈折率の差、および光学補償層と平坦化層との屈折率の差が小さくなり、照射された放射線により蛍光体内で発光した光が蛍光体の柱状結晶と光学補償層との境界面や光学補償層と平坦化層との境界面で反射される度合が小さくなる。
そのため、シンチレータの蛍光体内で発光した光が面方向に反射される度合が低減されるため、当該蛍光体の直下の光電変換素子以外の光電変換素子で受光されることが抑制される。また、反射光が蛍光体等で吸収されることも的確に防止される。そのため、当該蛍光体の直下の光電変換素子に光のほとんどの量が的確に入射される状態になり、高感度でかつ鮮鋭性が高い放射線画像を得ることが可能となる。
光学補償層は、熱硬化性の樹脂で形成されている。熱硬化性の樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が好ましく用いられる。また、光学補償層を、硬化させた樹脂等の固体で形成する代わりに、透明な液体やゲル状物質で形成することも可能である。
光学補償層は、接着剤を用いて、形成されることが望ましい。接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系などの常温硬化型の接着剤が使用できる。特に弾力性を有する接着樹脂としてはゴム系の接着剤が使用しできる。
ゴム系の接着剤の樹脂としては、スチレン−イソプレン−スチレン等のブロックコポリマー系や、ポリブタジエン、ポリブチレン等の合成ゴム系接着剤、及び天然ゴム等を使用できる。市販されているゴム系接着剤の例としては一液型RTVゴムKE420(信越化学工業社製)などが好適に使用される。
<シンチレータパネルの製作方法>
本発明に係るシンチレータパネルは、上記支持体の表面に、熱膨張吸収層を設け、さらに蛍光体層を形成する。
熱膨張吸収層の形成方法としては、熱膨張吸収層を構成する高分子材料と必要に応じてフィラーなどを、溶剤に溶解又は分散した組成物を塗布、乾燥して形成する方法などが挙げられる。塗布方式については、特に制約は無いが、例えば、グラビア、ダイ、コンマ、バー、ディップ、スプレー、スピン等の一般的な方式を用いる事が出来る。
溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル、メトキシプロパノールプロピレングリコールモノメチルエーテル 、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
反射層を支持体上に形成する方法としては、蒸着、スパッタ、あるいは、金属箔の貼り合わせ等、特に制約は無いが、密着性の観点からスパッタが最も好ましい。本発明において塗布型反射層は、少なくとも光散乱粒子、バインダー、溶剤を含有する組成物を、塗布、乾燥して形成する事が出来る。塗布方式については、特に制約は無いが、例えば、グラビア、ダイ、コンマ、バー、ディップ、スプレー、スピン等の一般的な方式を用いる事が出来る。
本発明に係るシンチレータパネルの製造方法では、以上のようにして熱膨張吸収層などが形成されたフレキシブル基板を支持体として、熱真空容器内に蒸発源及び支持体回転機構を有する蒸着装置を用いて、前記支持体回転機構に設置して、当該支持体を回転しながら蛍光体材料を蒸着する工程を含む気相堆積法により、蛍光体層を形成する態様の製造方法が好ましい。
以下、本発明の実施の一形態について、図2を参照しながら説明する。
真空容器32の内部の底面付近には、支持体34に垂直な中心線を中心とした円の円周上の互いに向かい合う位置に蒸発源38a,38bが配置されている。この場合において、支持体34と蒸発源38a,38bとの間隔は100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。また、支持体34に垂直な中心線と蒸発源38a,38bとの間隔は100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。
なお、前記製造装置においては3個以上の多数(8個、16個、24個等)の蒸発源を設けることも可能であり、各々の蒸発源は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。また、支持体34に垂直な中心線を中心とした円の半径は任意に定めることができる。
蒸発源38a,38bは、前記蛍光体を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のるつぼから構成しても良いし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成しても良い。また、前記蛍光体を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でも良いが、本発明では比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から直接電流を流し抵抗加熱する方法や、周りのヒータでるつぼを間接的に抵抗加熱する方法が好ましい。また、蒸発源38a,38bは分子源エピタキシャル法による分子線源でも良い。
以上の製造方法によれば、複数の蒸発源38a,38bを設けることによって蒸発源38a,38bの蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体34の表面に蒸着する前記蛍光体の結晶性を均一にすることができる。このとき、多数の蒸発源を設けるほど多くの箇所で蒸気流が整流化されるため、より広範囲において前記蛍光体の結晶性を均一にすることができる。また、蒸発源38a,38bを支持体34に垂直な中心線を中心とした円の円周上に配置することによって、蒸気流の整流化によって結晶性が均一になるという作用を、支持体34の表面において等方的に得ることができる。
支持体ホルダ35は、支持体34のうち前記蛍光体層を形成する面が真空容器32の底面に対向し、かつ、真空容器32の底面と平行となるように支持体34を保持する構成となっている。
また、支持体ホルダ35には、支持体34を加熱する加熱ヒータ(図示せず)を備えることが好ましい。この加熱ヒータで支持体34を加熱することによって、支持体34の支持体ホルダ35に対する密着性の強化や、前記蛍光体層の膜質調整を行う。また、支持体34の表面の吸着物を離脱・除去し、支持体34の表面と前記蛍光体との間に不純物層が発生することを防止する。
また、加熱手段として温媒又は熱媒を循環させるための機構(図示せず)を有していてもよい。この手段は蛍光体の蒸着時における支持体34の温度を50〜150℃といった比較的低温に保持して蒸着する場合に適している。
また、加熱手段としてハロゲンランプ(図示せず)を有していてもよい。この手段は蛍光体の蒸着時における支持体34の温度を150℃以上といった比較的高温に保持して蒸着する場合に適している。
さらに、支持体ホルダ35には、支持体34を水平方向に回転させる支持体回転機構36が設けられている。支持体回転機構36は、支持体ホルダ35を支持すると共に支持体34を回転させる支持体回転軸37及び真空容器32の外部に配置されて支持体回転軸37の駆動源となるモータ(図示せず)から構成されている。
蒸着装置には、上記構成の他に、真空容器に真空ポンプが配されている。真空ポンプは、真空容器の内部に存在する気体の排気を行うもので、高真空領域まで排気するために、作動圧力領域の異なる真空ポンプを2種類もしくはそれ以上配置してもよい。真空ポンプとしては、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、ディフュージョンポンプ、メカニカルブースタ等を用いることができる。
チャンバー内の圧力を調整するために、真空容器内にガスを導入できる機構が設けられている。導入するガスは、一般的には例えばNe、Ar、Kr等の不活性ガスが用いられる。真空容器内の圧力は、真空容器内を真空ポンプで排気しながら導入するガス量で調整してもよいし、所望の圧力よりも高真空となるまで真空排気行った後に真空排気を停止して、その後所望の圧力となるまでガスを導入することにより調整してもよい。また、真空容器と真空ポンプの間に圧力制御弁を設ける等によりポンプの排気量を調整して真空容器内の圧力を制御してもよい。
また、蒸発源38a,38bと支持体34との間には、蒸発源38a,38bから支持体34に至る空間を遮断するシャッタ39が水平方向に開閉自在に設けられており、このシャッタ39によって、蒸発源38a,38bにおいて前記蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、支持体34に付着するのを防ぐことができるようになっている。
上記製造装置31を用いた本発明のシンチレータパネルの製造方法についてさらに説明する。
まず、支持体ホルダ35に支持体34を取付ける。また、真空容器32の底面付近において、支持体34に垂直な中心線を中心とした円の円周上に蒸発源38a,38bを配置する。次に、るつぼやボート等に、2つ以上の蛍光体母体化合物(CsI:賦活剤なし)と、賦活剤(TlI)を充填し、蒸発源にセットする。
充填した蛍光体母材および賦活剤の中の不純物を蒸着前に除去するため、予備加熱を行ってもよい。予備加熱は使用する材料の融点以下であることが望ましい。例えばCsIの場合、予備加熱温度は50〜550℃が好ましく、100〜500℃がより好ましい。TlIの場合、50〜500℃が好ましく、100〜500℃がより好ましい。
蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して真空度を調整した後、基板を回転させる。基板回転は装置の大きさにもよるが2〜15回転/分が好ましく、4〜10回転/分がより好ましい。次いで、蛍光体母体化合物(CsI:賦活剤なし)のるつぼを加熱して蛍光体を蒸着し、下地層(第1の蛍光体層)を形成する。この時基板温度は5〜100℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。下地層の厚さは、結晶径や蛍光体層の厚さにもよるが、0.1〜50μmであることが好ましい。次に基板の加熱を開始し、基板温度を150〜250℃に加熱し、残りの蛍光体母体化合物(CsI:賦活剤なし)と賦活剤(TlI)のるつぼの蒸発を開始する。この時、蛍光体母体化合物は、生産性を考慮して、下地層よりも早い蒸着速度で蒸発をすることが好ましい。下地層や蛍光体層の厚さにもよるが、下地層蒸着時よりも5〜100倍の速度で蒸着することが好ましく、10〜50倍で蒸着することがより好ましい。賦活剤の蒸発方法は、賦活剤単体を蒸発させてもよいが、CsIとTlIを混合した蒸発源を作成し、CsIは蒸発せずTlIのみが蒸発する温度(例えば500℃)に加熱して蒸発させてもよい。
蒸着時に加熱を行っていた支持体は、高温のため、取り出すために冷却を行う必要がある。蛍光体層を80℃まで冷却する工程での平均冷却速度を0.5℃〜10℃/分の範囲内とすることで、基板にダメージなく冷却することができる。例えば支持体に厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルム等の比較的薄い基板を用いた場合に特に有効である。この冷却工程は、真空度1×10-5Pa〜0.1Paの雰囲気下で行われることが特に好ましい。また、冷却工程時に、蒸着装置の真空容器内にArやHe等不活性ガスを導入する手段を講じてもよい。なお、ここでいう平均冷却速度とは、冷却開始(蒸着終了時)から80℃まで冷却する間の時間と温度を連続的に測定し、この間の1分間あたりの冷却速度を求めたものである。
蒸着終了後、前記蛍光体層を加熱処理しても良い。また、蒸着法においては必要に応じてO2、H2などのガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行っても良い。
シンチレータパネルの製造において、蛍光体層が形成された支持体は、製品サイズよりも大きい支持体に製品サイズよりも大きい蛍光体層を形成した後、支持体と共に製品サイズに断裁されることが好ましい。蛍光体層を形成した支持体から、複数枚の蛍光体層付支持体ごとに切り出すことで、生産性の向上を図ることができる。
上記複数枚の蛍光体層付支持体の断裁方法としては、例えば、打ち抜き刃、押し切りカッター、カッターナイフ、ハサミ、レーザ光等を用いた方法が挙げられる。
本発明に係る保護層は前記した通りであり、蛍光体層の柱状結晶の結晶割れなどの損傷を防止する損傷防止性や、防湿性をより高めるための層である。
この保護層は、フィルムを添付したり、また、スパッタリングなどで無機物質を積層して形成してもよい。
図3は、保護層形成に用いられる、装置の一態様の模式断面図であり、シンチレータパネル42の蛍光体層122表面にポリパラキシリレン膜からなる保護層を形成する例である。
CVD蒸着装置45は、ポリパラキシリレンの原料であるジパラキシリレンを挿入し気化させる気化室51、気化したジパラキシリレンを加熱昇温してラジカル化する熱分解室52、ラジカル化された状態のジパラキシリレンをシンチレータが形成された支持体121の上の蛍光体層122に蒸着させる蒸着室53、防臭、冷却を行う冷却室54および真空ポンプを有する排気系55を備えて構成されている。ここで、蒸着室53は、図3に示すように熱分解室52においてラジカル化されたポリパラキシリレンを導入する導入口53aおよび余分なポリパラキシリレンを排出する排出口53bを有すると共に、ポリパラキシリレン膜の蒸着を行う試料を支持するターンテーブル(蒸着台)53cを有する。
まず、蒸着室53のターンテーブル53c上にシンチレータパネル42の蛍光体層122を上向きにして設置する。
次に、気化室51において175℃に加熱して気化させ、熱分解室52において690℃に加熱昇温してラジカル化したジパラキシリレンを、導入口53aから蒸着室53に導入して、蛍光体層122上に保護層(ポリパラキシリレン膜)123を3μmの厚さで蒸着する、この場合に、蒸着室53内は真空度13Paに維持されている。又、ターンテーブル53cは、4rpmの速度で回転させている。また、余分なポリパラキシリレンは、排出口53bから排出され、防臭、冷却を行う冷却室54および真空ポンプを有する排気系55に導かれる。
あるいは剥離剤がコーテングされた剥離シートに、ホットメルト樹脂を塗設後、ホットメルト樹脂面をシンチレータパネルの蛍光体層面に配置し、120℃に加熱したローラーで加圧しながら張り合わせることで保護層123を形成する。平面受光素子面との接着に接着剤を使用する場合は保護層と接着剤層の厚みのトータルが20μm以下になるように保護層の厚みを調整する。保護層の形成はシンチレータパネルの断裁後に実施することもできる。
放射線検出器
本発明に係る放射線検出器は、前記したシンチレータパネルを、ラインセンサとして用いたものである。このような放射線検出器は、入射した放射線を光に変換するシンチレータと、シンチレータが変換した光を電気信号に変換する光検出器を備える。かかる放射線検出器は、被検査物を透過した所定の放射線を検出する装置である。このような放射線検出器によれば、放射線像を取得でき、放射線像に基づいて、所定の処理(例えば、重み付け減算や重ね合せ等)が施された処理画像を作成することで、ベルトコンベア等で搬送される被検査物の非破壊検査(すなわち、インラインでの非破壊検査)において、異物の検出、成分分布の計測、重量の計測等を高い精度で実現することができる。
放射線検出器は、たとえば図4のようにして作製される。まず、シンチレータ5の光出力面又は光を電気信号に変換する光電変換パネル4の受光面のいずれかに透明接着剤6を塗布する。
透明接着剤が硬化剤を添加する2液混合タイプの場合や、塗布厚みを制御するのにスペーサーを混合させた場合には、混合した際に生じた気泡を除去することが望ましい。
塗布前に真空脱泡処理を行う必要があり、脱泡時の真空圧は、後記する真空貼りあわせの雰囲気より低い圧力で行うことが望ましい。
接着剤の塗布方法としてスピンコート、スクリーン印刷、ディスペンサーによる手段が挙げられる。シンチレータを貼り合せた時に大きな気泡ができることが懸念されるが真空下での貼り合せを行えば気泡は大気開放したときに小さくできる。
また、ディスペンサーは、正確な量、塗布形状を実現するにはニードルと塗布基板の間隔が小さいほうが良い。透明接着剤6を塗布するのは、シンチレータ5及び光電変換パネル4のいずれでもいいが、光電変換素子部1にニードルが接触して半導体層を破壊してしまうこともあるので、図4(a)のように透明接着剤6をディスペンサー24でシンチレータ5上に塗布することが望ましい。
あらかじめ所定の厚みになるように、透明接着剤6の量を決めて塗布しているが、透明接着剤6が流れやすいように上下基板にプレス圧をかけることが望ましい。シンチレータ5にCsIを用いた場合は、CsIの強度は比較的弱く、耐圧性が低いので低い圧力でプレスすることが望ましい。
低圧プレスで貼り合わせるため、透明接着剤6は粘度が低いほうが良く、50P以下が好ましい。接着にあたっては接着剤が固化するまで10〜500g/cm2の圧力で加圧する。保護層としてホットメルト樹脂を使用した場合は10〜500g/cm2の圧力で加圧しながら、外周雰囲気を大気圧P0(1.2×105Pa)からP(Pa)まで減圧する。
本発明の放射線検出器は、前記シンチレータパネルと複数のセンサとを組みあわせたものも好ましい態様である。たとえば、特開2014-142292号公報、特開2014-142217号公報に記載のように、複数の放射線検出素子が二次元状に配列され、前記複数の放射線検出素子を被覆する平坦化層が形成されたセンサ基板と放射線を光に変換するシンチレータが形成され、前記シンチレータと前記複数の放射線検出素子とが対向する状態で配置されたシンチレータ基板と、前記複数の放射線検出素子および前記シンチレータの周囲の部分に配置され、前記センサ基板と前記シンチレータ基板とを接着する接着剤から構成される放射線検出器などが一態様例として挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1>
(熱膨張吸収層を有する支持体の作製)
厚さ125μm、幅1m、長さ100mのポリイミドフィルム(宇部興産製ユーピレックス-125S、線膨張係数 20ppm/K)の上に、グラビアコーターを用いて、メチルエチルケトンに溶解したポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン200)溶液を塗布、乾燥することにより熱膨張吸収層3.0μm(乾燥膜厚)を設けた。その後、断裁することにより熱膨張吸収層が形成された支持体を作製した。この熱膨張吸収層の線膨張係数は130 ppm/Kであった。
(蛍光体層の形成)
熱膨張吸収層を有する支持体表面に蛍光体(CsI:0.003Tl、CsI1モルに対し、0.003モルのTl)を、蒸着装置を使用して蒸着させ、蛍光体層を形成した。すなわち、この蛍光体原料(CsIとTlI)を蒸着材料として抵抗加熱ルツボ(ボート)に充填し、また回転する基板ホルダの金属製の枠に第一の支持体を設置し、支持体と蒸発源との間隔を400mmに調節した。
続いて、蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板を回転しながら支持体温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボ(ボート)を加熱して蛍光体を蒸着し、厚さが350μmとなったところで蒸着を終了させ、蛍光体層が形成されたシンチレータパネルを得た。この蛍光体層の線膨張係数は45ppm/Kであった。
(断裁および吸着)
シンチレータパネルを図5に示したレーザ断裁装置(YAG−UV)の支持台上に支持体を上にして設置し、20mm×200mmのサイズに断裁し、短冊状のシンチレータパネルを形成した。
(保護膜の作製)
上記短冊状のシンチレータパネルを配置したポリカーボネートをCVD装置の蒸着室に入れ、ポリパラキシリレンの原料が昇華した蒸気中に露出させておくことにより、短冊状シンチレータパネルに10μmの厚さのポリパラキシリレンからなる防湿保護層を形成した。
<実施例2>
実施例1の(熱膨張吸収層を有する支持体の作製)において、厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX−125S)上に下記の手順にて熱膨張吸収層にフィラーを添加した。
平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン40質量部、ポリエステル樹脂を10質量部(バイロン630:東洋紡社製)、溶剤としてトルエン25質量部とメチルエチルケトン(MEK)25質量部を添加した後、サンドミルにて分散してフィラー分散塗料を作製した。これをポリイミドフィルム基板上に塗工、乾燥し、膜厚50μmのフィラー入り熱膨張吸収層を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のシンチレータパネルを得た。 この熱膨張吸収層の線膨張係数は80 ppm/Kであった。
<実施例3>
実施例2の(フィラー入り熱膨張吸収層を有する支持体の作製)において、フィラー入り熱膨張吸収層の上層にさらに実施例1のポリエステル樹脂による熱膨張吸収層を塗布により形成し、積層させた熱膨張吸収層を作製した以外は、実施例1と同様にして本発明のシンチレータパネルを形成した。この積層熱膨張吸収層の線膨張係数は100 ppm/Kであった。
<比較例1>
熱膨張吸収層を形成することなく、実施例1で使用したポリイミドフィルム(宇部興産製ユーピレックス-125S、線膨張係数 20ppm/K)を支持体をとして使用した以外は実施例1と同様にして本発明のシンチレータパネルを得た。
(評価)
得られた、シンチレータパネルについて、反り、クラックの発生を確認した。
反りは平面に短冊状のシンチレータパネルを平滑板上に置いたときの端部の浮きの平均値を測定した。
クラックは、反射膜の状態を目視で観察し、実用に耐えないを×、耐えるが性能に影響を及ぼすを△、実用上問題ないを○とした。
結果を、あわせて表1に示す。
Figure 0006488635
蛍光体より線膨張係数の低いポリイミドに蛍光体を蒸着した比較例1に関してはシンチレータパネルの反りによる蛍光体の基板からの剥離や、蛍光体自身のクラックが多く確認され、生産レベルの収率は得られなかったが、実施例1は収率80%、実施例2は収率87%、実施例3では収率90%と熱膨張吸収層による反り抑制効果が得られた。
10 シンチレータパネル
12 支持体
13 蛍光体層
14 保護層
15 反射層
17 熱膨張吸収層

Claims (7)

  1. フレキシブル基板上に蛍光体を配置したシンチレータパネルにおいて、ポリイミド樹脂フィルムから構成されるフレキシブル基板と、ヨウ化セシウムを含む蛍光体の間にポリエステル樹脂から構成される熱膨張吸収層を設け、熱膨張吸収層の線膨張係数が蛍光体の熱膨張係数より大きく、熱膨張吸収層とフレキシブル基板の接する面はともに有機材料から構成されることを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記蛍光体の光出射面及び側面、フレキシブル樹脂基板の側面と裏面一部が防湿保護層におおわれていることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記熱膨張吸収層の厚みが1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記熱膨張吸収層にフィラーが含有されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシンチレータパネル。
  5. 蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウム化合物を含む添加剤を原材料とする、柱状結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のシンチレータパネルを、ラインセンサとして用いたことを特徴とする放射線検出器。
  7. 前記シンチレータパネルと複数のセンサを組み合わせて使用することを特徴とする請求項に記載の放射線検出器。
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