JP6488611B2 - 車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラム - Google Patents

車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、車両の据え切り状態でキングピン軸周りに発生するタイヤの復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラムに関するものである。
自動車などの車両では、停車時にステアリングを操舵するいわゆる据え切り状態で、この操舵の反力としてキングピン軸周りにタイヤの復元モーメントが発生する。キングピン軸は、タイヤに操舵角を与える際の回転軸である。
車両の据え切り時に発生する復元モーメントは、実舵角によって変化する。据え切り時の実舵角とは、車両の停車時での直進方向と操舵によってタイヤの向く方向とが成す角度である。
従来、復元モーメントは、車両の据え切り時すなわち停車時の操舵に伴って発生するものでありながら、車両の移動時でタイヤが回転しているときのタイヤモデルを用いて解析されていた。しかし、このような車両の移動時のタイヤモデルを用いた解析では、据え切り時の復元モーメントを正確にシミュレートすることは困難である。
非特許文献1には、車両の据え切り時に発生するラックバー軸力を推定する方法が開示されている。ラックバー軸力とは、車幅方向に延びるラックバーの軸線方向に負荷される力をいう。ステアリングの操舵によってステアリングシャフトが回転すると、その回転運動がピニオンなどを介してラックバーの直線運動に変換される。ラックバー軸力が例えば左右のタイロッドに伝達され、これらタイロッドよってキングピン軸周りにタイヤが回転して、タイヤの転舵が行われる。
タイヤの復元モーメントは、車両の据え切り時に発生するラックバー軸力とのつりあいを考慮して算出できる。よって、非特許文献1の方法を用いることで、車両の据え切り時に発生するタイヤの復元モーメントを算出できると考えられる。
441−20102026 すえ切り時ラックバー軸力推定手段の開発(社団法人自動車技術会 学術講演会前刷集 No.92−10)
しかし、非特許文献1に記載の方法では、ラックバー軸力を求めるために、車両の据え切り時に時々刻々と変化するタイヤの接地面形状を算出する必要がある。この方法では、タイヤの接地面をメッシュ状に分割し、分割された微小領域のひきずり力の総和を求めることで、タイヤの接地面形状を算出している。
つまり、非特許文献1では、ラックバー軸力を求めるために、転舵時でのタイヤと路面との接地面積および形状の解析が不可欠である。このため、非特許文献1の方法を用いて車両の据え切り時に発生するタイヤの復元モーメントを算出しようとしても、タイヤの接地面積および形状の解析が複雑化し、信頼性の高いシミュレートが困難となる。
しかもこの方法では、据え切り状態でのタイヤの物理特性を示す特性値、すなわちタイヤの接地幅、接地長さ、接地圧分布、剛性値、摩擦係数などの値から復元モーメントを直接算出できない。このため、非特許文献1の方法では、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した復元モーメントをシミュレートできなかった。
本発明は、このような課題に鑑み、車両の据え切り状態でキングピン軸周りに発生するタイヤの復元モーメントについて、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した信頼性の高いシミュレートが可能な車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用モーメント解析装置の代表的な構成は、車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析装置において、車両の直進方向と操舵によってタイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定部と、タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定部と、実舵角ψおよび特性値から得られたタイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)およびタイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーション部とを備えることを特徴とする。
Figure 0006488611
ここで式(1)は、据え切り状態でタイヤの接地面に発生する弾性力と摩擦力との関係を考慮して、弾性力モーメントMz1(ψ)と摩擦力モーメントMz2(ψ)とを組み合わせたタイヤモデルとしての数式である。上記構成によれば、式(1)にタイヤの特性値を用いることで、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した信頼性の高い復元モーメントMz(ψ)をシミュレートできる。
上記のシミュレーション部は、タイヤの接地面の中心からの距離xおよび弾性力Fy1(ψ)を用いた式(2)によって、弾性力モーメントMz1(ψ)を算出し、距離xおよび摩擦力Fy2(ψ)を用いた式(3)によって、摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出するとよい。
Figure 0006488611
Figure 0006488611
これにより、据え切り状態でタイヤの接地面に発生する弾性力Fy1(ψ)および摩擦力Fy2に、接地面の中心からの距離xをそれぞれ乗じることで、弾性力モーメントMz1(ψ)および摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出できる。そして、これらのモーメントを上記の式(1)に代入することで、復元モーメントMz(ψ)を近似できる。
上記のシミュレーション部は、弾性力Fy1(ψ)を式(4)によって算出し、摩擦力Fy2(ψ)を式(5)によって算出するとよい。
Figure 0006488611
Figure 0006488611
(ただし、値Wはタイヤ接地幅、値Lはタイヤ接地長、値Lhはタイヤにすべりが発生する接地面の中心からの距離、値fyはタイヤの剛性値、値μはタイヤの摩擦係数、値pzはタイヤ接地圧分布であって、これらの値がタイヤの特性値に含まれる。)
これにより、タイヤの特性値を用いることで、据え切り状態での実舵角ψに対する弾性力Fy1(ψ)および摩擦力Fy2(ψ)を算出できる。よって、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)をタイヤの特性値との関係で捉えることができる。なお式(4)によれば、接地面の中心からLhまでの間でタイヤの剛性値fyを積分し、これにタイヤ接地幅Wを乗じることで弾性力Fy1(ψ)を算出できる。また式(5)によれば、値Lhからタイヤ接地長の半分であるL/2までの間でタイヤ接地圧分布pzを積分し、これにタイヤ接地幅Wおよびタイヤの摩擦係数μを乗じることで摩擦力Fy2(ψ)を算出できる。
上記のシミュレーション部は、タイヤの剛性値fy(x、ψ)を式(6)によって算出するとよい。
Figure 0006488611
(ただし、値Kyはタイヤのトレッド剛性またはサイドウォール剛性であって、タイヤの特性値に含まれる。)
これにより、実舵角ψに対するタイヤの剛性値fy(x、ψ)を、トレッド剛性またはサイドウォール剛性を考慮して算出できる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用モーメント解析方法の代表的な構成は、車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析方法において、車両の直進方向と操舵によってタイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定ステップと、タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定ステップと、実舵角ψおよび特性値から得られたタイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)およびタイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーションステップとを含むことを特徴とする。
Figure 0006488611
上述した車両用モーメント解析装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該車両用モーメント解析方法にも適用される。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用モーメント解析プログラムの代表的な構成は、車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートするための車両用モーメント解析プログラムにおいて、コンピュータに、車両の直進方向と操舵によってタイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定処理と、タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定処理と、実舵角ψおよび特性値から得られたタイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)およびタイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーション処理と、を実行させることを特徴とする。
Figure 0006488611
上述した車両用モーメント解析装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該車両用モーメント解析プログラムにも適用される。
本発明によれば、車両の据え切り状態でキングピン軸周りに発生するタイヤの復元モーメントについて、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した信頼性の高いシミュレートが可能な車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラムを提供することができる。
本実施形態における車両用モーメント解析装置が適用される車両を概略的に示す図である。 図1の車両の据え切り時での実舵角を説明する図である。 本実施形態における車両用モーメント解析装置の機能を示すブロック図である。 図3の車両用モーメント解析装置で用いられるタイヤモデルの概念図である。 図3の車両用モーメント解析装置の処理を示すフローチャートである。 図3の車両用モーメント解析装置によるシミュレート結果を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態における車両用モーメント解析装置が適用される車両を概略的に示す図である。車両用モーメント解析装置100(図3参照)は、車両102の停車時にステアリング104を操舵する据え切り状態で発生する復元モーメントMz(ψ)をシミュレートする装置である。復元モーメントMz(ψ)は、車両102の据え切り時にステアリング104の操舵の反力としてキングピン軸106周りに発生する。なお復元モーメントMz(ψ)は、セルフアライニングトルク(SAT)とも称される。
キングピン軸106は、タイヤ108に操舵角(以下、実舵角ψ)を与える際の回転軸となり、例えばサスペンションを支持するストラット110の軸線方向に沿っている。なお復元モーメントMz(ψ)は、右前輪であるタイヤ108のキングピン軸106周りに発生しているが、左前輪であるタイヤ112の不図示のキングピン軸周りにも発生する。図中では、車両102のうち、復元モーメントMz(ψ)の発生に関連するステアリング機構114を代表として示している。
ステアリング機構114では、電動式パワーステアリングシステムが採用されていて、ステアリングコラム116に取付けられたモータ118を有する。モータ118は、ステアリングシャフト120の回転に対して補助動力を与えている。ステアリングコラム116は、その内部にトーションバー122を含む。
トーションバー122は、ステアリングシャフト120の一部である入力軸124と出力軸126とを連結し、ステアリングシャフト120の回転に伴う入力軸124からのトルクを出力軸126に伝達する。出力軸126は、連結部128を介して中間軸130の一端に連結されている。中間軸130の他端は、連結部132を介してピニオンシャフト134に連結されている。
出力軸126に伝達されたトルクは、連結部128、中間軸130および連結部132を介してピニオンシャフト134に伝達される。ピニオンシャフト134には、ピニオンが形成されていて、ラックバー136のラックと噛み合っている。ラックバー136は、車幅方向に延びる部材であり、その両端にはタイロッド138、140が接続されている。
ステアリング機構114では、ステアリング104の操舵によってステアリングシャフト120が回転し、その回転運動がピニオンシャフト134のピニオンなどを介してラックバー136の直線運動に変換される。ラックバー136の直線運動に伴う力は、左右のタイロッド138、140に伝達される。車両102では、例えばタイロッド138、140によってキングピン軸106周りにタイヤ108、112が回転して、タイヤ108、112の転舵が行われる。
図2は、図1の車両102の据え切り時での実舵角ψを説明する図である。なお図中では、車両102を上方から見た状態でタイヤ108の実舵角ψを示している。実舵角ψは、図示のように、車両102の停車時の直進方向(鎖線142で示す方向)と、操舵によってタイヤ108が向く方向(鎖線144で示す方向)とが成す角度である。なお図中の矢印X、Yは、タイヤ108に対する車外側、車両102の車両前側をそれぞれ示している。
図3は、本実施形態における車両用モーメント解析装置100の機能を示すブロック図である。車両用モーメント解析装置100は、車両102の据え切り状態で発生する復元モーメントMz(ψ)をシミュレートする装置であって、例えば入力部150と、シミュレーション部152と、タイヤモデル格納部154と、表示部156とを備える。車両用モーメント解析装置100は、本実施形態では車両102とは別の独立した装置であるが、その設置場所は任意であり、車両102内に配置しても構わない。
入力部150は、実舵角測定部158およびタイヤ特性値測定部160を備える。実舵角測定部158は、車両102の据え切り時での図2に示すようなタイヤ108の実舵角ψを測定する。タイヤ特性値測定部160は、タイヤ108の物理特性を示す特性値(後述)を測定する。
シミュレーション部152は、本実施形態における車両用モーメント解析プログラムで作動するコンピュータで構成される。シミュレーション部152は、入力部150で測定された実舵角ψおよびタイヤの特性値を、タイヤモデル格納部154に格納されたタイヤモデルとしての式(1)〜(6)に代入し演算を行い、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)を近似する。
表示部156は、シミュレーション部152で近似された復元モーメントMz(ψ)をシミュレーション結果として表示する。
以下、シミュレーション部152による演算について具体的に説明する。式(1)は、タイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)およびタイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含んでいる。
Figure 0006488611
弾性力モーメントMz1(ψ)は、タイヤの接地面の中心からの距離xおよび弾性力Fy1(ψ)を用いた式(2)から算出される。摩擦力モーメントMz2(ψ)は、距離xおよび摩擦力Fy2(ψ)を用いた式(3)から算出される。
Figure 0006488611
Figure 0006488611
つまり、上記の式(1)は、据え切り状態でタイヤの接地面に発生する弾性力Fy1(ψ)と摩擦力Fy2(ψ)との関係を考慮して、弾性力モーメントMz1(ψ)と摩擦力モーメントMz2(ψ)とを組み合わせたタイヤモデルである。
また弾性力Fy1(ψ)は、式(4)から算出される。さらに摩擦力Fy2(ψ)は、式(5)から算出される。
Figure 0006488611
Figure 0006488611
ここで、上記の式(4)および式(5)に含まれる各値は、タイヤの特性値のひとつである。すなわち、値Wはタイヤ接地幅、値Lはタイヤ接地長、値Lhはタイヤにすべりが発生する接地面の中心からの距離、値fyはタイヤの剛性値、値μはタイヤの摩擦係数、値pzはタイヤ接地圧分布である。
タイヤ接地圧分布pzは、接地面全体における接地圧の分布であって、例えば空気圧、タイヤ荷重、タイヤの姿勢、さらにコーナリングフォースを発生させる横方向のスリップ、駆動力や制動力を発生させる前後方向のスリップの度合いによって、接地面の形とともに変化する。なおタイヤ接地圧分布pzは、車両の運動に必要な駆動力、制動力、コーナリングフォース、復元モーメントMz(ψ)の大きさやタイヤ摩耗性能にも影響を与える。
またタイヤの剛性値fy(x、ψ)は、式(6)によって算出される。
Figure 0006488611
ここで、値Kyはタイヤの単位面積あたりのトレッド剛性であって、タイヤの特性値のひとつである。このようにすれば、実舵角ψに対するタイヤの剛性値fy(x、ψ)を、トレッド剛性を考慮して算出できる。なお式(6)での値Kyは、トレッド剛性に代えてサイドウォール剛性であってもよい。
図4は、図3の車両用モーメント解析装置で用いられるタイヤモデルの概念図である。まず、図中に示す曲線がタイヤ接地圧分布pz(x)であり、その値はタイヤの接地面の中心Oで最大となり、タイヤ接地長Lの半分となるL/2すなわち接地面の端で最小となる。中心Oを通る直線は、タイヤの剛性値fy(x、ψ)であり、式(6)に示すように実舵角ψおよびトレッド剛性Kyで規定される。
本実施形態のタイヤモデルは、いわゆるブラッシュモデルの考え方に基づいている。ブラッシュモデルでは、タイヤ接地面を弾性体の集まり(ブラシ)と仮定し、踏み込み側からブラシが徐々に変形し、ブラシの変形に伴う弾性力が、接地圧(垂直圧)に接地面とのタイヤの摩擦係数μを乗じた摩擦力を超えると、タイヤにすべりが発生する、としている。
本実施形態のタイヤモデルでは、接地面の中心Oから値Lhまでは、タイヤにすべりが発生せず、値LhからL/2までの間にはタイヤにすべりが発生し、値Lhを境にして弾性力と摩擦力との大小関係が変化する。すなわち、このタイヤモデルでは、中心Oから値Lhまでは、弾性力より摩擦力の方が大きく、値LhからL/2までの間では摩擦力より弾性力の方が大きい。なお値Lhは、図中のタイヤの剛性値fy(x、ψ)を示す直線とタイヤ接地圧分布pz(x)を示す曲線との交点のx座標である。
したがって、このタイヤモデルでは、中心Oから値Lhまでの間では弾性力が復元力となる。このため、式(4)に示すように、接地面の中心OからLhまでの間でタイヤの剛性値fy(x、ψ)を積分し、これにタイヤ接地幅Wを乗じることで弾性力Fy1(ψ)を算出できる。
またタイヤモデルでは、値LhからL/2までの間では摩擦力が復元力となる。このため、式(5)に示すように、値LhからL/2までの間でタイヤ接地圧分布pz(x)を積分し、これにタイヤ接地幅Wおよびタイヤの摩擦係数μを乗じることで摩擦力Fy2(ψ)を算出できる。
そして式(2)、式(3)に示すように、据え切り状態でタイヤの接地面に発生する弾性力Fy1(ψ)および摩擦力Fy2に、接地面の中心からの距離xをそれぞれ乗じることで、弾性力モーメントMz1(ψ)および摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出できる。
本実施形態では、タイヤの接地面の中心OからL/2までの間の復元力を算出し、さらに中心Oを基準として復元力が対称に発生すると仮定している。よって、式(1)に示すように、タイヤの接地面の中心OからL/2までの間の復元力として、弾性力モーメントMz1(ψ)と摩擦力モーメントMz2(ψ)とを合計し、さらにこれを2倍とすることで、実舵角ψに対する復元モーメントMz(ψ)を近似できる。したがって、式(1)に示すタイヤモデルによれば、タイヤの特性値を用いることで、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した復元モーメントMz(ψ)をシミュレートできる。
図5は、図3の車両用モーメント解析装置100の処理を示すフローチャートである。まず、入力部150は、車両102の据え切り時でのタイヤの実舵角ψおよびタイヤ特性値を測定する(ステップS100)。つぎに、シミュレーション部152は、上記各式を含むタイヤモデルをタイヤモデル格納部154から読み出し、実舵角ψおよびタイヤ特性値をタイヤモデルに代入し、据え切り状態でのタイヤの物理特性を反映した信頼性の高い復元モーメントMz(ψ)を近似する(ステップS102)。
つぎに、シミュレーション部152は、シミュレーションを続行する場合には(ステップS104、Yes)、再度ステップS100の処理を行う。一方、ステップS104でシミュレーションを続行しない場合には(No)、シミュレーション部152は、近似された復元モーメントMz(ψ)をシミュレーション結果として表示部156に出力する。表示部156は、近似された復元モーメントMz(ψ)をグラフとして適宜表示してよい。
図6は、図3の車両用モーメント解析装置100によるシミュレート結果を示す図である。図中、横軸は実舵角ψ、縦軸は復元モーメントMzをそれぞれ示している。ここで、図中実線で示すグラフをベースモデルとし、このベースモデルに対してタイヤの特性値である接地幅W、接地長Lを変更してシミュレーションを行った。
図中、点線で示すグラフは、接地幅Wおよび接地長Lをいずれも0.8倍に変更したシミュレート結果を示している。また鎖線で示すグラフは、接地幅Wおよび接地長Lをいずれも1.2倍に変更したシミュレート結果を示している。
図中に示す剛性係数σおよびモーメントピーク係数μは、本実施形態のタイヤモデルには含まれていない係数であって、実タイヤを用いた例えばタイヤ試験機で測定された各荷重に基づいて算出する必要がある。ただし、剛性係数σおよびモーメントピーク係数μは、実タイヤを用いて測定しているため、復元モーメントMzを推定するための係数として信頼性が高い。
一例として鎖線で示すグラフにおいて、ステアリング104を操舵せず、復元モーメントMzが生じていない原点を通る傾きが剛性係数σとなり、復元モーメントMzのピークがモーメントピーク係数μとなっている。つまり、鎖線で示すグラフの概形は、剛性係数σおよびモーメントピーク係数μに依存していて、信頼性の高いシミュレート結果を示していると言える。
このため、本実施形態では、剛性係数σおよびモーメントピーク係数μを用いずに、タイヤの特性値を用いた上記のタイヤモデルによって、タイヤの物理特性を反映した信頼性の高い復元モーメントMzをシミュレートできる。さらに、本実施形態では、図中の3つのグラフに例示されるように、タイヤの物理特性の変化が、据え切り状態の復元モーメントMzにどのように影響するかという両者の関係を捉えることが可能となる。なお図中では、ベースモデルに対して、タイヤの特性値として接地幅Wおよび接地長Lを変化させたグラフを例示したが、これに限られず、接地圧分布やタイヤ剛性を変化させたグラフであってもよい。
上記実施形態のタイヤモデルは、タイヤのサイドウォールなどタイヤのボディ部を剛体としたブラッシュモデルに基づいているが、これに限定されない。一例として、上記の式(6)での値Kyにボディ剛性を考慮することで、上記実施形態のタイヤモデルは、タイヤのボディ部を弾性体としたモデル(Fialaモデル)についても適用可能とされる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車両の据え切り状態でキングピン軸周りに発生するタイヤの復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析装置、車両用モーメント解析方法および車両用モーメント解析プログラムに利用することができる。
100…車両用モーメント解析装置、102…車両、104…ステアリング、106…キングピン軸、108、112…タイヤ、110…ストラット、114…ステアリング機構、116…ステアリングコラム、118…モータ、120…ステアリングシャフト、122…トーションバー、124…入力軸、126…出力軸、128、132…連結部、130…中間軸、134…ピニオンシャフト、136…ラックバー、138、140…タイロッド、150…入力部、152…シミュレーション部、154…タイヤモデル格納部、156…表示部、158…実舵角測定部、160…タイヤ特性値測定部

Claims (4)

  1. 車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、該操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析装置において、
    前記車両の直進方向と操舵によって前記タイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定部と、
    前記タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定部と、
    前記実舵角ψおよび前記特性値から得られた前記タイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)および該タイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、前記実舵角ψに対する前記復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーション部とを備え
    前記シミュレーション部は、
    前記タイヤの接地面の中心からの距離xおよび弾性力Fy1(ψ)を用いた式(2)によって、前記弾性力モーメントMz1(ψ)を算出し、
    前記距離xおよび摩擦力Fy2(ψ)を用いた式(3)によって、前記摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出し、
    前記弾性力Fy1(ψ)を式(4)によって算出し、
    前記摩擦力Fy2(ψ)を式(5)によって算出することを特徴とする車両用モーメント解析装置。
    Figure 0006488611
    Figure 0006488611
    Figure 0006488611
    Figure 0006488611
    Figure 0006488611
    (ただし、値Wはタイヤ接地幅、値Lはタイヤ接地長、値Lhはタイヤにすべりが発生する接地面の中心からの距離、値fyはタイヤの剛性値、値μはタイヤの摩擦係数、値pzはタイヤ接地圧分布であって、これらの値がタイヤの特性値に含まれる。)
  2. 前記シミュレーション部は、前記タイヤの剛性値fy(x、ψ)を式(6)によって算出することを特徴とする請求項に記載の車両用モーメント解析装置。
    Figure 0006488611
    (ただし、値Kyはタイヤのトレッド剛性またはサイドウォール剛性であって、前記タイヤの特性値に含まれる。)
  3. 車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、該操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートする車両用モーメント解析方法において、
    前記車両の直進方向と操舵によって前記タイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定ステップと、
    前記タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定ステップと、
    前記実舵角ψおよび前記特性値から得られた前記タイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)および該タイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、前記実舵角ψに対する前記復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーションステップとを含み、
    前記シミュレーションステップは、
    前記タイヤの接地面の中心からの距離xおよび弾性力Fy1(ψ)を用いた式(2)によって、前記弾性力モーメントMz1(ψ)を算出し、
    前記距離xおよび摩擦力Fy2(ψ)を用いた式(3)によって、前記摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出し、
    前記弾性力Fy1(ψ)を式(4)によって算出し、
    前記摩擦力Fy2(ψ)を式(5)によって算出することを特徴とする車両用モーメント解析方法。
    Figure 0006488611
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    Figure 0006488611
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    (ただし、値Wはタイヤ接地幅、値Lはタイヤ接地長、値Lhはタイヤにすべりが発生する接地面の中心からの距離、値fyはタイヤの剛性値、値μはタイヤの摩擦係数、値pzはタイヤ接地圧分布であって、これらの値がタイヤの特性値に含まれる。)
  4. 車両の停車時にステアリングを操舵する据え切り状態で、該操舵の反力としてキングピン軸周りに発生する復元モーメントをシミュレートするための車両用モーメント解析プログラムにおいて、コンピュータに、
    前記車両の直進方向と操舵によって前記タイヤの向く方向とがなす実舵角ψを測定する実舵角測定処理と、
    前記タイヤの特性値を測定するタイヤ特性値測定処理と、
    前記実舵角ψおよび前記特性値から得られた前記タイヤの剛性特性に基づく弾性力モーメントMz1(ψ)および該タイヤの摩擦特性に基づく摩擦力モーメントMz2(ψ)を含む式(1)を用いて、前記実舵角ψに対する前記復元モーメントMz(ψ)を近似するシミュレーション処理と、を実行させ
    前記シミュレーション処理は、
    前記タイヤの接地面の中心からの距離xおよび弾性力Fy1(ψ)を用いた式(2)によって、前記弾性力モーメントMz1(ψ)を算出し、
    前記距離xおよび摩擦力Fy2(ψ)を用いた式(3)によって、前記摩擦力モーメントMz2(ψ)を算出し、
    前記弾性力Fy1(ψ)を式(4)によって算出し、
    前記摩擦力Fy2(ψ)を式(5)によって算出することを特徴とする車両用モーメント解析プログラム。
    Figure 0006488611
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    (ただし、値Wはタイヤ接地幅、値Lはタイヤ接地長、値Lhはタイヤにすべりが発生する接地面の中心からの距離、値fyはタイヤの剛性値、値μはタイヤの摩擦係数、値pzはタイヤ接地圧分布であって、これらの値がタイヤの特性値に含まれる。)
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