以下、添付図面を参照して本発明の第1の実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかるゲーミングマシンは、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。図1は本発明の第1の実施形態にかかるゲーミングマシン1の斜視図ある。図1に示すように、このゲーミングマシン1は、上部ディスプレイ21を備えた第1キャビネット20、下部ディスプレイ26を備えた第2キャビネット25、プレイヤートラッキングユニット57を収容した第3キャビネット30、および、コントロールパネル41を備えるとともに各部を制御する制御部50を収容した第4キャビネット40から構成された筐体10を有している。以下、各構成について説明する。
筐体10の上部には第1キャビネット20が設けられており、第1キャビネット20の下に第2キャビネット25が設けられている。第1キャビネット20に設けられた上部ディスプレイ21および第2キャビネット25に設けられた下部ディスプレイ26は、いずれも液晶表示装置や有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置であり、それぞれ制御部50に制御されることにより後述するゲーム画面をプレイヤーへ提供する表示部27として機能する。
第3キャビネット30は、第2キャビネット25の下に設けられている。第3キャビネット30の前面左右にはスピーカ31が設けられており、制御部50に制御されることによりサウンドをプレイヤーへ提供する。また、第3キャビネット30の前面中央には、プレイヤートラッキングユニット57が収容されている。プレイヤートラッキングユニット57は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダ81と、プレイヤーに情報を提示するディスプレイ82と、プレイヤーによる入力を受け付けるキーパッド83とを有している。このようなプレイヤートラッキングユニット57は、後述する制御部50または外部システムと協調動作することにより、プレイヤーがカードリーダ81に挿入したプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取って、当該情報または外部システムと通信することにより取得した情報をディスプレイ82に表示する。また、プレイヤーからの入力をキーパッド83で受け付け、入力に応じてディスプレイ82の表示を変化させ、必要に応じて外部システムとの通信を行う。
第4キャビネット40は、第3キャビネット30の下側に配置されている。第4キャビネット40には、一部がその前側に張り出すようにして、コントロールパネル41が設けられている。コントロールパネル41には、紙幣/チケット識別ユニット42、プリンタユニット43および操作部44が設けられている。
紙幣/チケット識別ユニット42は、紙幣またはチケットが挿入される挿入口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、挿入口の奥には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられ、第4キャビネット40内部の識別部出側には紙幣/チケット貯留部が設けられている。紙幣/チケット識別ユニット42は、ゲームを実行する対価としての遊技価値である紙幣、チケット(バウチャー、クーポンを含む)を受け付けて識別し、後述する制御部50へ通知する。
プリンタユニット43は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、チケット出力口の奥には印刷用紙に所定の情報を印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入側には印刷用紙を収容した収容部が設けられている。プリンタユニット43は、後述する制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報を用紙に印刷してチケットを出力する。出力されたチケットは、他のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニットに挿入することで払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末やカジノケージで換金することも可能である。
操作部44は、ゲーミングマシン1に対するプレイヤーの各種の指示を受け付けるボタン群である。操作部44は、例えば、スピンボタン45と、設定ボタン群46とを有している。スピンボタン45は、後述するゲームの開始(リールの回転開始)の指示を受け付ける。設定ボタン群46は、ベットボタン群、ライン指定ボタン群、マックスベットボタン、ペイアウトボタン等を含む。ベットボタン群は、ベットするクレジット量(ベット数)に関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ライン指定ボタン群は、後述するライン判定の対象とされるべきライン(以下、有効ラインと呼ぶ。)を指定する指示操作をプレイヤーから受け付ける。マックスベットボタンは、一度にベットすることができる最大クレジット量のベットに関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ペイアウトボタンは、ゲーミングマシン1に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作をプレイヤーから受け付ける。
また、第4キャビネット40の内部には、制御部50をなす中央処理装置(以下、CPUと略称する。)51、インタフェース部52、メモリ53およびストレージ54等を搭載した制御ボードが内蔵されている。制御ボードは、第1キャビネット20、第2キャビネット25、第3キャビネット30および第4キャビネット40に搭載された上記構成要素のそれぞれと、インタフェース部52を介して通信可能に構成され、CPU51でメモリ53またはストレージ54に記録されたプログラムを実行することで各部の動作を制御して、プレイヤーにゲームを提供する。
図2は本実施形態にかかるゲーミングマシン1の機能ブロック図を示している。ゲーミングマシン1は、制御部50を備えている。制御部50は、CPU51と、CPUに接続されてメモリバス、各種拡張バス、シリアル、USB、イーサネット(登録商標)等の通信機能を提供するチップセットを含んだインタフェース部52と、インタフェース部52を介してCPU51が参照可能なメモリ53およびストレージ54とを備えたコンピュータユニットとして構成されている。メモリ53は、揮発性の記憶媒体であるRAM、不揮発性の記憶媒体であるROM、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROMを含む構成とすることができる。ストレージ54は、外部記憶装置としての機能を制御部50に提供するものであり、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカード、光磁気ディスク等の読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
インタフェース部52には、CPU51およびメモリ53およびストレージ54の他に、紙幣/チケット識別ユニット55、プリンタユニット56、プレイヤートラッキングユニット57、グラフィックコントローラ58、入力コントローラ84およびサウンドアンプ85が接続されている。なお、ゲーミングマシン1に装飾的な照明を提供するイルミネーションが設けられている場合には、インタフェース部52に、当該イルミネーションを制御部50の制御下で制御して装飾的な照明効果を提供するイルミネーションコントローラが接続されていてもよい。
以上のようなメモリ53およびストレージ54を有する制御部50は、メモリ53およびストレージ54に格納されたプログラムを実行することにより各部を制御して、プレイヤーにゲームを提供するものである。ここで、例えばメモリ53のEEPROMに制御部50の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムならびにデータを格納し、ストレージ54にゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータを格納する構成としても良い。このような構成によれば、ストレージ54を交換することでゲームの切り替えまたは更新を容易に行うことが可能である。なお、制御部50は複数のCPUを有するマルチプロセッサ構成としてもよい。
以下、制御部50に接続された各ブロックについて説明する。
紙幣/チケット識別ユニット55は、上述した紙幣/チケット識別ユニット42に対応し、紙幣またはチケットを挿入口で受け付けて紙幣種別またはクレジット払い出し処理に対応した情報を識別すると制御部50へ通知する部分である。紙幣/チケット識別ユニット55が制御部50へ上記情報を通知すると、制御部50は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット量を増加させる。プリンタユニット56は、上述したプリンタユニット43に対応し、上述した設定ボタン群46のペイアウトボタンの操作を受け付けた制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報が印刷されたチケットを印刷して出力する。
プレイヤートラッキングユニット57は、制御部50と協調動作して、プレイヤーの情報等をカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ58は、制御部50の制御下で、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御して各種グラフィックデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドアンプ85は、制御部50の制御下でスピーカ31を駆動し、アナウンス、効果音、BGM等の各種サウンドを提供する。
また、インタフェース部52は、ゲーミングマシン1の外部と通信を行うための各種通信インタフェースを有しており、例えばイーサネット86、87、シリアル出力88により外部ネットワークと通信を行うことが可能である。本実施形態では、一例として公知のサーバサイドゲーミングネットワーク(図2のServer Based Gaming)、G2Sネットワーク(図2のGame to System)、スロット情報システム(図2のSlot Data System)とそれぞれ通信を行う場合を示す。
図3は、本実施形態にかかるゲーミングマシン1が提供するゲーム画面を模式的に示した図である。このようなゲーム画面は、制御部50が所定のプログラムを実行することにより、表示部27(上部ディスプレイ21および/または下部ディスプレイ26)に表示される。本実施形態では、下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示される態様を示す。図3に示されるように、このゲーム画面はシンボルを表示するためのシンボル表示領域60を有している。このようなゲーム画面を使用して、本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の遊技価値を代償としてシンボル表示領域60に表示したシンボルを再表示することでゲーム結果を表示し、ゲーム結果に含まれるシンボルの入賞組合せに応じた配当を支払うスロットマシンとして動作する。
なお、図3では省略しているが、表示部27には、シンボル表示領域60以外に、クレジット量、ベット数、入賞により得られたクレジット量(WIN数)等を表示する領域、装飾領域も設けることができる。
シンボル表示領域60は、シンボルの停止位置である複数のセル64で構成されている。具体的には、シンボル表示領域60は3行5列の格子状に配置された15個のセルで構成されている。なお、以下においては、表示部27の横方向を行方向と、縦方向を列方向と呼ぶことがある。
シンボル表示領域60の各セル64には、図4に示すように仮想リールセット70をなす仮想リールストリップ71〜75のリール配列に基づいて、仮想リールストリップ71〜75それぞれのリール配列のシンボルが部分的に表示される。ここで、仮想リールストリップ71〜75とは、制御部50がメモリ53またはストレージ54に有するプログラムの使用するデータ構造であって、図4に示すように複数のシンボルが一列に並べられた状態を表現したものである。また、仮想リールセット70とは、このような仮想リールストリップ71〜75の総称である。各仮想リールストリップ71〜75は、図4の例では15個のシンボルで構成されており、それらのシンボルがリール毎に定義された順に並んでいる。本実施形態において、仮想リールストリップ71〜75は、それぞれ3個のシンボルがシンボル表示領域60に表示されている。
ゲームを開始した制御部50は、このような仮想リールストリップ71〜75のそれぞれについてランダムに停止位置を決定し、仮想リールストリップ71〜75が現在位置から移動して、停止位置で停止する動作を、表示部27(たとえば下部ディスプレイ26)を用いて表現する。これにより、シンボル表示領域60には、仮想リールストリップ71〜75に配置されたシンボルが縦方向に連続的に移動(スクロール)し、連続性を維持したまま一つのセル64に一つのシンボルが表示されるように停止する。
ここで、上記シンボルの停止の後に行われる本実施形態におけるシンボルの引き込み処理について、図4、6〜8を参照しつつ説明する。
図4に示すように、仮想リールストリップ72、73、75のリール配列は、ワイルドのスタックシンボル(連続する3つの「W」からなる連続シンボル群)を含んでいる。図4等において「W」で示すワイルドシンボルとは、後述する入賞判定の際に他のシンボルとして通用するシンボル(すなわち、他のシンボルとして代用されるシンボル)であり、不特定のシンボルと入賞組合せを構成することができる。ワイルドのスタックシンボルが、本実施形態における引き込み処理の対象となるシンボルであり、引き込み処理のトリガーシンボルである。すなわち、制御部50が、リールの停止位置を、スタックシンボルの一部(図6では、下段のワイルドシンボル)がシンボル表示領域60に表示されるような停止位置に決定したときには、その決定を引き込み処理のトリガー条件として、制御部50はスタックシンボルの全体をシンボル表示領域60に表示させる引き込み処理を実行する。
一例として、図6に示すように、制御部50が、リールの停止位置を、スタックシンボルの下段のワイルドシンボルのみがシンボル表示領域60に表示されるような位置に決定したときには、制御部50は、その決定した停止位置にリールを仮停止させた後、リールをシンボル2つ分(すなわち、セル2つ分)だけ下側の新たな停止位置まで移動させて、図7に示すように、スタックシンボル全体をシンボル表示領域60に表示させる。また、一例として、図8に示すように、制御部50が、リールの停止位置を、スタックシンボルの上段および中段のワイルドシンボルのみがシンボル表示領域60に表示されるような位置に決定したときには、制御部50は、その決定した停止位置にリールを仮停止させた後、リールをシンボル1つ分(すなわち、セル1つ分)だけ上側の新たな停止位置まで移動させて、図7に示すように、スタックシンボル全体をシンボル表示領域60に表示させる。このようにリールをある停止位置で仮停止した後に別の停止位置まで移動させる引き込み処理は、ナッジとも呼ばれる。
以下では、説明の便宜上、リールを下側へ移動させる引き込み処理をプラスの引き込み処理と定義し、逆に、リールを上側へ移動させる引き込み処理をマイナスの引き込み処理と定義する。その上で、引き込み処理のプラス/マイナスに引き込み距離(すなわち移動したシンボル数)を組み合わせた引き込み量を、「+2」(図6の位置から図7の位置への引き込み処理)や、「−1」(図8の位置から図7の位置への引き込み処理)と表す。また、制御部50が、スタックシンボル全体がシンボル表示領域60に表示されるような停止位置(図7の停止位置)に決定したときの引き込み量を「0」と表す。つまり、本実施形態では、引き込み量として、「+2」、「+1」、「0」、「−1」、「−2」の5通りがあり得る。
シンボル表示領域60には、入賞を判定する際に使用するペイラインが設定されている。ペイラインは、左端の列のセルから右端の列のセルに跨るように設定され、入賞判定の対象となる複数のセル64を組み合わせたラインである。設定されているペイラインのうち有効なラインの数は、プレイヤーによる操作部44の設定ボタン群46に含まれるライン指定ボタン群の操作によって選択される。制御部50は、ゲーム結果であるシンボル配列について、例えば設定されたペイライン上に同一シンボルが所定の数を超えて並んでいる場合に入賞したと判定し、シンボルの種類および数に応じた配当をプレイヤーに支払う。本実施形態のゲーミングマシン1においては、シンボル表示領域60の5行3列のセルについて所定数のペイライン(LINE1〜40)が設定されている(図5参照)。入賞判定の方式は、左端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよいし、右端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよく、所定のペイライン上の隣接する列のいずれかに所定数の同一シンボルが並んでいる場合を入賞と判定するものであっても構わない。
本実施形態のゲーミングマシン1においては、制御部50は、上述した引き込み処理を行ったときには、引き込み処理後のシンボル配列について入賞判定し、その判定結果に応じた配当を支払う。ただし、制御部50は、引き込み処理の前の仮停止させたときのシンボル配列についても入賞判定して、その判定結果に応じた配当の支払いを追加的に行ってもよい。
なお、セル64の境界線は、プレイヤーが視覚を通じて把握できる態様で表示部27上に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。すなわち、セル64はシンボル停止位置としてゲーミングマシン1の内部で論理的に、あるいは観念的に規定されていれば足り、それらの境界が視認できることは必ずしも必要とされない。
本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の条件を満たしていない場合に提供される通常ゲーム(メインゲーム、プライムゲームとも称される。)と、所定の条件を満たした場合に提供される特別ゲーム(ボーナスゲーム、フィーチャーゲームとも称され、遊技対価を消費することなく提供されるフリーゲームを含む。)との二種類のゲームを提供する。通常ゲームおよび特別ゲームにおいては、ゲーム結果であるシンボル配列のうちシンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞判定の対象となる。
次に、本実施形態にかかるゲーミングマシン1の動作について図9を参照しながら説明する。図9は、以上のように構成された本実施形態にかかるゲーミングマシン1の状態遷移図を示すものである。図9に示される通り、ゲーミングマシン1は、停止状態、入力待ち状態、クレジット払い出し状態、クレジット蓄積状態、アトラクト動作状態、ゲーム提供状態の各状態をとる。以下各状態について説明する。
停止状態とはゲーミングマシン1が起動されていない状態のことである。停止状態のゲーミングマシン1は、所定の起動操作を受け付けると起動および初期化され、所定のプログラムが制御部50により実行されて下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示され、入力待ち状態となる。
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、紙幣/チケット識別ユニット55が紙幣またはチケットを識別すると、対応するクレジットの情報をゲーミングマシン1内に蓄積するクレジット蓄積状態へ移行し、クレジットの蓄積が終了すると入力待ち状態に復帰する。また、入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットの情報が蓄積された状態でペイアウトボタンの操作を受け付けると、蓄積されたクレジットの払い出し処理を行うクレジット払い出し状態へ移行し、クレジット払い出し処理に対応した情報を印刷したチケットをプリンタユニット56から出力するとともに、ゲーミングマシン1内に蓄積されたクレジットをゼロに戻す。これらの処理を終えたゲーミングマシン1は、入力待ち状態へ復帰する。
入力待ち状態にあるゲーミングマシン1は、所定時間操作されなかった場合に、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26にアトラクト画面を表示するアトラクト動作状態へ移行する。アトラクト動作状態にあるゲーミングマシン1は、何らかの操作を受け付けると入力待ち状態へ復帰する。なお、アトラクト画面とは、カジノ内の顧客に対してゲーミングマシン1の存在をアピールする画面であり、所定の画像および/または動画からなるものである。
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットが内部に蓄積された状態でライン選択ボタン、ベット数選択ボタンまたはマックスベットボタンの操作を受け付けることによりゲームのライン数およびベット数を設定し、スタートボタンの操作を受け付けることにより設定されたライン数×クレジット量だけクレジット量を減少させるとともにゲーム提供状態へ移行する。ゲーム提供状態においては、図10に示すフローチャートに従ってゲームを提供する。
以下、ゲーミングマシン1の制御方法として、ゲーム提供状態における動作を、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
入力待ち状態でライン数およびベット数を設定され、スタートボタンの操作を受け付けることによりゲーム提供状態に移行したゲーミングマシン1は、制御部50で上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御することにより、通常ゲームを開始する。
まず、S16では、シンボル表示領域60に表示されているリール(1)〜リール(5)のスピンを開始する。より具体的には、シンボル表示領域60に表示されているシンボルの列を、それぞれ対応する仮想リールストリップ71〜75に規定された順番でスクロールさせて、リールが回転している状態を仮想的に表示する。続いてS18の処理では、制御部50が初期処理としてパラメーターであるn=1を設定する。
次にS20の処理では、制御部50が乱数を取得する。制御部50が乱数を取得する方法はゲーミングマシン1が設置される地域の規定に従うものであればよく、特定の方法には限定されない。乱数の取得後には、S22へと処理が進められる。S22の処理では、S20の処理で取得された乱数に基づいて、制御部50がリール(n)の停止位置を決定する。ここでリール(n)の停止位置は、対応する仮想リールストリップ71〜75の停止位置に相当する。したがって、その停止位置は、例えば仮想リールストリップ71〜75のシンボルのそれぞれに数値または数値範囲を関連付けて規定し、取得した乱数を含む数値または数値範囲が関連付けられたシンボルの位置として決定することができる。この場合に、各シンボルに関連付けられた数値または数値範囲を不均一に規定することにより、停止位置となる確率に勾配または偏りを設けることもできる。リール(n)の停止位置を決定した後、S24へと処理が進められる。
S24の処理では、制御部50がn=n+1とする。設定後、S26へと処理が進められる。S26の処理では、制御部50がn>5を満たすか否かを判定する。n>5を満たさない場合には、S20へと処理が進められる。これにより、n>5を満たすまで、S20〜S26の処理が繰り返し実行される。これによりリール(1)からリール(5)について停止位置が決定される。S26でn>5を満たす場合には、リール(1)からリール(5)の全てについて停止位置が決定したことを意味するため、S28へと処理が進められる。
S28の処理では、S22の処理で決定された各仮想リールストリップ71〜75の停止位置に基づいて、制御部50がリール(1)〜リール(5)を停止させる。より具体的には、シンボル表示領域60においてスクロール表示されているシンボルの列を、それぞれの仮想リールストリップ71〜75について決定された停止位置で停止する。なお、S22において、リールの停止位置をスタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示されるような位置に決定されたリールに関しては、制御部50は、S28において、S22の処理で決定された停止位置に仮停止させる。
S28の処理に続くS29の処理では、制御部50は、リールの停止位置をスタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示されるような位置に決定されたリールに関して、スタックシンボル全体が表示される引き込み量を決定する。引き込み量の決定は、シンボルの停止位置と引き込み量とが関連付けられたテーブルを用いたり、引き込み量を算出するプログラムを用いたりすることができる。そして、制御部50は、決定した引き込み量をメモリ53またはストレージ54に記憶する。さらに、制御部50は、上述した引き込み処理として、S28において仮停止させたリールを、決定した引き込み量だけ移動させて、スタックシンボル全体がシンボル表示領域60に表示される停止位置にリールを最終停止させる。
S29の処理の後、S30の処理では、制御部50はシンボル表示領域60の表示されたシンボルが特別ゲームを提供する所定の条件を満たしているかを判定する。特別ゲームの当選条件としては、例えば、ペイライン上に所定のシンボルの入賞組合せが成立したこと(ライン判定)、および/または、シンボル表示領域60内に所定数以上の特定シンボル(スキャッタシンボル)が出現したこと(スキャッタ判定)を挙げることができる。
S30で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合には、S31で特別ゲーム提供フラグZがZ=1にセットされる。S31でフラグをセットした後、S32では特別ゲームが提供されることを上部ディスプレイ21または下部ディスプレイ26に予告表示する。
S30で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合にはS32の後で、満たしていると判定されなかった場合はS30の後に、S33において制御部50はシンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞しているかを判定する。例えば、上記ライン判定および/またはスキャッタ判定が特別ゲームを提供する所定の条件とは別の条件で適用され、入賞しているか否かが判定される。入賞していると判定された場合には、S34の処理で、後述する手順に従って所定の遊技価値(クレジット)である配当が算出され、算出された配当をプレイヤーへ付与するために、その配当に相当するクレジットがゲーミングマシン1に蓄積されているクレジットに加算される。
S33で入賞していると判定された場合にはS34の後で、入賞していると判定されなかった場合にはS33の後に、続いてS35の処理でフラグZがZ=1にセットされているかが判定され、Z=1に設定されていると判定されている場合には、S36へと処理が進められて、制御部50が特別ゲームを提供する。本実施形態においては、特別ゲームとして、遊技価値を消費しないフリーゲームを所定回数提供する。フリーゲーム中に所定の条件を満たしている場合、特別ゲームを提供することに替えて、別の所定の条件を満たしている場合にフリーゲームの回数を追加する等の修正を加えて処理を進める。
所定回数のフリーゲームが終了すると、S36に続くS37でフラグZをZ=0にリセットし、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。また、S35でフラグZがZ=1にセットされていないと判定された場合も、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。以上でゲーム提供状態における動作は終了する。
ここで、S34において配当を算出する手順について、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。
制御部50は、配当を算出する際、まずは、S341において、シンボル表示領域60のペイライン上に成立しているシンボルの入賞組合せから入賞種別を決定する。S341では、制御部50は、S22においてシンボル表示領域60にスタックシンボルの一部が表示される停止位置が決定された場合には、S29の引き込み処理により停止位置を変更した後のシンボル配列の入賞組合せについて、入賞種別を決定する。S342では、制御部50は、S29においてカウントしてメモリ53またはストレージ54に記憶させたリール毎の引き込み量(すなわち、−2、−1、0、+1、+2のいずれか)を読み出して取得する。なお、S341の処理およびS342の処理は、どちらの処理を先に実行してもよく、上記とは逆の順で実行してもよい。
S341およびS342の処理が終わると、S343において、制御部50は、引き込み量の絶対値に応じた倍数を決定する。たとえば、引き込み量が0のときの倍数を「5」に決定し、引き込み量が−1または+1のときの倍数を「3」に決定し、引き込み量が−2または+2のときの倍数を「2」に決定する。
そして、S344では、制御部50は、スタックシンボルを構成する各ワイルドシンボルに、S343で決定した倍数を適用するとともに、倍数が適用されたワイルドシンボルを用いてプレイヤーに付与する配当を算出する。
以下では、倍数が適用されたワイルドシンボルを用いた配当の算出について、図12〜14を参照しつつ説明する。
図12には、シンボル表示領域60の中段に一直線に延びるペイライン(図5のLINE1)上に、仮想リールストリップ71、72、74、75の4つの通常シンボルと、仮想リールストリップ73の1つのワイルドシンボルとで入賞組合せが構成されたシンボル配列が示されている。このとき、仮想リールストリップ73のワイルドのスタックシンボルが、引き込み処理なしに図12の位置に停止した場合には、各ワイルドシンボルに倍数「5」が適用される。引き込み量が−1または+1のときには各ワイルドシンボルに倍数「3」が適用され、引き込み量が−2または+2のときには各ワイルドシンボルに倍数「2」が適用される。このように、倍数が適用されたワイルドシンボルは、マルチプライヤワイルドシンボルとも呼ばれる。
なお、ワイルドシンボルに所定の倍数が適用されてマルチプライヤワイルドシンボルになったことをプレイヤーに明示的に示すために、ワイルドシンボルの図柄を倍数を示す図柄に変更したり、ワイルドシンボルに適用する倍数をゲーム画面内に表示したりすることが可能である。
ワイルドシンボルは、上述したとおり、入賞判定の際に他のシンボルとして代用されるシンボルであるため、制御部50は、図12に示した仮想リールストリップ73の中段のワイルドシンボルを、他の仮想リールストリップ71、72、74、75の中段の通常シンボルと同種のシンボルとみなし、通常シンボルがペイラインLINE1上に5つ揃ったときの入賞配当の額を算出する。そして、制御部50は、その算出された入賞配当の額に、入賞組合せを構成するワイルドシンボルに適用された倍数を乗算する。一例として、図12の仮想リールストリップ73の中段のワイルドシンボルに倍数「3」が適用さている場合には、制御部50は、通常シンボルがペイラインLINE1上に5つ揃ったときの入賞配当の額「30」に倍数「3」を乗じた額「90」を、プレイヤーに付与される最終的な配当とする。
図12の例のように、ワイルドシンボルが、入賞組合せに自己を含む場合、その配当に、ワイルドシンボルに適用された倍数が乗算される。
なお、シンボル表示領域60に、他の入賞組合せが形成されている場合には、その分の入賞配当の額が合算される。シンボル表示領域60に他の入賞組合せが形成されている場合にも、上述と同様にして、適宜ワイルドシンボルの倍数を乗算した上で配当が決定される。
図13には、シンボル表示領域60の右側に、斜め上方向に延びるペイライン(図5のLINE4、35、39のいずれか)上に、仮想リールストリップ71〜73の3つの通常シンボルと、仮想リールストリップ75に1つのワイルドシンボルが表示されたシンボル配列が示されている。図12の例とは異なり、図13の例では、仮想リールストリップ74には、仮想リールストリップ71〜73と同種の通常シンボルが存在しないため、仮想リールストリップ75のワイルドシンボルは、ライン判定における入賞種別である通常シンボルの連続並び(斜め並び)には関与していない。このように、シンボル表示領域60にワイルドシンボルが表示されているものの、そのワイルドシンボルが入賞組合せに含まれていない場合にも、制御部50は、そのワイルドシンボルにS343で決定した倍数を適用するとともに、倍数が適用されたワイルドシンボルを用いてプレイヤーに付与する配当を算出してもよい。
この場合、制御部50は、まず、通常シンボルがペイライン上に3つ並んだときの入賞配当の額を算出する。そして、制御部50は、その算出した入賞配当の額に、シンボル表示領域60に表示されているワイルドシンボルに適用された倍数を乗算する。一例として、図13の仮想リールストリップ75の各ワイルドシンボルに倍数「2」が適用さている場合には、制御部50は、その倍数「2」を、通常シンボルがペイライン上に3つ並んだときの入賞配当の額「10」に乗じた額「20」を、プレイヤーに付与される最終的な配当とする。
なお、図13の例において、シンボル表示領域60に他の入賞組合せが形成されている場合、全ての入賞組合せの配当額を合算した上で、ワイルドシンボルに適用された倍数を乗算し、その額をプレイヤーに付与される最終的な配当とする。
図14には、引き込み処理が複数のリール(すなわち、3つのリール72、73、75)で行われるときの例を示している。図14に示す例では、リール72の引き込み量は「+2」、リール73の引き込み量は「−2」、リール75の引き込み量は「+1」となっている。そのため、リール72、リール73、リール75のワイルドシンボルに適用する倍数はそれぞれ「2」、「2」、「3」となる。この場合、シンボル表示領域60内の全ての入賞配当の合算額に乗算する倍数は「2」、「2」、「3」の和(すなわち、「7」)であってもよく、積(すなわち、「12」)であってもよい。
以上において説明した第1の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、リールの停止位置が、スタックシンボルの一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、該停止位置にリールを仮停止させた後、リールの停止位置をスタックシンボルの全体が表示部27のシンボル表示領域60に表示される停止位置に変更する引き込み処理を行うとともに、停止位置を変更した後のシンボル配列についての配当を停止位置の変更量(すなわち、引き込み量)に応じて変化させている。
したがって、引き込み処理によってリールの停止位置が変更されたときに、その引き込み量に応じた配当が支払われる。
なお、本実施形態では、リールが停止したときに、スタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に停止表示された場合には、必ず引き込み処理が行われる。そして、その引き込み量に応じた所定の倍数が、入賞配当に乗算される。そのため、プレイヤーは、スタックシンボルが一部でもシンボル表示領域60に停止表示されると、その時点で、高額配当につながる入賞配当の乗算が行われることを認識する。その上、引き込みシンボル群が、ワイルドのスタックシンボルであるため、入賞組合せが構成されやすく、プレイヤーの高額配当の期待が高まる。
スタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示されてから、引き込み処理が行われ、入賞配当額の決定および付与が行われるまで間、ゲーミングマシン1は、プレイヤーに対して期待感と緊張感とを比較的長時間にわたって与え続けることで、優れたエクスペリエンスを提供することが可能である。
なお、上述した実施形態では、引き込み量の絶対値が大きくなるほどワイルドシンボルに適用する倍数が小さくなる例を示したが、反対に、引き込み量の絶対値が大きくなるほどワイルドシンボルに適用する倍数が大きくしてもよい。引き込み量と倍数との大小関係や倍数の値は、ゲームの種類や内容に応じて、適宜に設定することができる。
また、上述した実施形態では、制御部50が、S343において、引き込み量の絶対値に応じてマルチプライヤ−ワイルドシンボルの倍数を決定する際に、1つの引き込み量の絶対値につき1つの倍数が一意に決定される例を示したが、1つの引き込み量の絶対値につき複数の倍数のいずれかが選択的に決定されてもよい。たとえば、制御部50は、以下に示す表1のように、1つの引き込み量の絶対値につき、3つの倍数のいずれかを、所定の確率分布での抽選で決定するようにしてもよい。
表1の例では、引き込み量の絶対値が0の場合、制御部50は、90%の確率で倍数「10」を決定し、10%の確率で倍数「5」を決定する。また、引き込み量の絶対値が1の場合、制御部50は、80%の確率で倍数「5」を決定し、それぞれ10%の確率で倍数「10」または「2」を決定する。さらに、引き込み量の絶対値が2の場合、制御部50は、90%の確率で倍数「2」を決定し、10%の確率で倍数「5」を決定する。制御部50による上記抽選は、たとえば、メモリ53またはストレージ54に予め記憶させた抽選テーブル(すなわち、引き込み量の絶対値と倍数の確率分布とを関連付けたテーブル)により実現することができる。
上述した例のように、1つの引き込み量の絶対値につき、複数の倍数のいずれかが選択的に決定される場合には、シンボル表示領域60に全く同じシンボル配列が仮停止したとしても、最終的な配当が必ずしも同額になるとは限らない。なぜなら、上記確率分布のために、決定される倍数がゲーム毎に異なり得るためである。そのため、プレイヤーは、最終的な配当の額を予測することができず、プレイヤーのゲーム結果に対する興味がより一層持続されるようになる。
以下、添付図面を参照して本発明の第2の実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。本実施形態にかかるゲーミングマシンは、第1の実施形態にかかるゲーミングマシンと同様に、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。本実施形態にかかるゲーミングマシンの主要なハードウェア構成は第1の実施形態にかかるゲーミングマシン1と同様であるため、図示およびハードウェア構成に関する説明は省略する。制御部の構成および状態遷移についても同様であるが、ゲームを提供するアプリケーションプログラムは相違しており、ゲーム提供状態における動作も相違する。以下では、これらの相違点を中心に説明する。
本実施形態では、上述した第1の実施形態とは、プレイヤーに付与する配当を決定して付与する処理が相違する。図15は、本実施形態にかかるゲーミングマシンにおける遊技価値の付与処理を示したフローチャートである。この処理は、図10に示したフローチャートのS34において、第1の実施形態の図11に示した処理に代えて行われる処理である。
第2の実施形態の遊技価値の付与処理でも、まずは、第1の実施形態の遊技価値の付与処理と同様のS341およびS342が行われる。S342において引き込み量が取得されると、第2の実施形態では、S342に続くS343Aにおいて、制御部50は、引き込み量の絶対値に応じたボーナスの額を決定する。たとえば、引き込み処理がないときのボーナス額を「100」に決定し、−1または+1のときのボーナス額を「500」に決定し、引き込み量が−2または+2のときの倍数を「1000」に決定する。すなわち、ボーナス額は、S341で決定された入賞種別に応じた入賞配当とは無関係に決定される。
そして、S344Aでは、制御部50は、S341で決定された入賞種別に応じた入賞配当に、S344Aで決定したボーナス額を特典として加算して、プレイヤーに付与する配当を算出する。
なお、図14に示したように、引き込み処理が複数のリールで行われたときには、各リールの引き込み量の絶対値の和(図14の例では「7」)や、積(図14の例では「12」)に応じて、ボーナス額を決定してもよい。この場合もやはり、ボーナス額は、S341で決定された入賞種別に応じた入賞配当とは無関係に決定される。
なお、制御部50は、S343Aにおいて、ボーナス額を決定する代わりに、引き込み量を基にプログレッシブジャックポット当選を決定してもよい。たとえば、引き込み処理が複数のリールで行われたときに、各リールの引き込み量の絶対値の和がある閾値(たとえば、「6」)以上となったときには、制御部50は、プログレッシブジャックポット当選のフラグを立てるとともに、S343Aより後の所定のタイミングで、その当選にかかる払い出しをおこなう。
以上において説明した第2の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、リールの停止位置が、スタックシンボルの一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、リールの停止位置を変化させてスタックシンボルの全体を表示部27のシンボル表示領域60に表示する引き込み処理を行うとともに、入賞配当とは無関係に付与されるボーナスやプログレッシブジャックポット等の特典の内容を、引き込み量に応じて変化させている。
したがって、引き込み処理によってリールの停止位置が変更されたときに、その引き込み量に応じた内容の特典が提供される。
なお、第2の実施形態でも、第1の実施形態同様、リールが停止したときに、スタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示された場合には、必ず引き込み処理が行われる。そして、第2の実施形態では、その引き込み量に応じた所定のボーナス額が、入賞配当に加算される。そのため、スタックシンボルが一部でもシンボル表示領域60に仮停止された時点で、ボーナス額の加算が確定する。したがって、プレイヤーは、スタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示された比較的早い段階で、高額であるボーナス額の配当が確約され、そのゲームが終了するまでプレイヤーは高額配当が得られる高揚感を持ち続けることで、優れたエクスペリエンスを提供することが可能である。その他、本実施形態は、第1の実施形態において説明した種々の作用効果を適宜に実現するものである。
なお、上述した実施形態では、引き込み量の絶対値が大きくなるほどボーナス額が多くなる例を示したが、反対に、引き込み量の絶対値が大きくなるほどボーナス額が少なくしてもよい。引き込み量とボーナス額との大小関係やボーナス額の値は、ゲームの種類や内容に応じて、適宜に設定することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の第3の実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。本実施形態にかかるゲーミングマシンは、第1の実施形態および第2の実施形態にかかるゲーミングマシンと同様に、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。本実施形態にかかるゲーミングマシンの主要なハードウェア構成は第1の実施形態および第2の実施形態にかかるゲーミングマシン1と同様であるため、図示およびハードウェア構成に関する説明は省略する。制御部の構成および状態遷移についても同様であるが、ゲームを提供するアプリケーションプログラムは相違しており、ゲーム提供状態における動作も相違する。以下では、これらの相違点を中心に説明する。
本実施形態では、上述した第1の実施形態とは、特別ゲームの当選を判定する処理が相違する。図16は、本実施形態にかかるゲーミングマシンにおける特別ゲームの当選判定処理を示したフローチャートである。この処理は、図10に示したフローチャートのS30において行われる。
第3の実施形態の特別ゲームの当選判定処理では、S301として、制御部50は、S29においてカウントしてメモリ53またはストレージ54に記憶させたリール毎の引き込み量を読み出して取得する。すなわち、制御部50は、S301として、上述したS342と同様の処理をおこなう。
S301において引き込み量が取得されると、制御部50は、各リールの引き込み量の絶対値を合計するとともに、その合計が、予め定められた閾値P(たとえば、「5」)以上であるか否かを判定する。そして、合計が閾値P以上である場合には、特別ゲームが当選したと判定し、図10のフローチャートに示したS31に進む。合計が閾値P未満である場合には、特別ゲームが当選しなかったと判定し、図10のフローチャートに示したS33に進む。
すなわち、各リールの引き込み量の絶対値の合計に基づいて、特別ゲームの判定が行われる。
なお、第3の実施形態では、S34の遊技価値の付与処理の際に、第1の実施形態のように引き込み処理の引き込み量に応じた入賞配当の乗算をおこなったり、第2の実施形態のように引き込み処理の引き込み量に応じた入賞配当の加算をおこなったりしてもよい。なお、第3の実施形態では、S34の遊技価値の付与処理の際に、引き込み処理の引き込み量に応じた入賞配当の乗算や加算をおこなわなくてもよい。
以上において説明した第3の実施形態にかかるゲーミングマシンおよびそのゲーム提供方法によれば、リールの停止位置が、スタックシンボルの一部を表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、制御部50は、リールの停止位置を変化させてスタックシンボルの全体を表示部27のシンボル表示領域60に表示する引き込み処理を行い、引き込み処理後のシンボル配列について配当を支払う。また、制御部50は、引き込み量に応じて特別ゲームを提供して、特別ゲームの配当も支払う。
第3の実施形態では、リールが停止したときにスタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示された場合に、引き込み処理が行われ、その引き込み量が特別ゲームの当選判定に用いられる。そのため、各リールのスタックシンボルがシンボル表示領域60に順次仮停止されると、特別ゲームが当選する可能性がプレイヤーに対して視覚的に示され、それによりプレイヤーの特別ゲーム当選への期待が高まっていく。したがって、プレイヤーは、各リールのスタックシンボルがシンボル表示領域60に表示されると、次第に、高額配当につながる特別ゲームの当選を期待するようになり、ゲーミングマシンは、スタックシンボルがシンボル表示領域60に表示された比較的早い段階から、プレイヤーに高額配当が得られる高揚感を持ち続けさせることで、優れたエクスペリエンスを提供することが可能である。その他、本実施形態は、第1の実施形態において説明した種々の作用効果を適宜に実現するものである。
なお、上述したゲーミングマシン1の制御部50の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。すなわち、1又は複数のコンピュータを、上述した制御部50と同様に機能させるプログラムが作成可能である。このようなプログラムを実行させることにより実現される機能は、上述した制御部50と同様であり、すなわち、リールの停止位置が、スタックシンボルの一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、該停止位置にリールを仮停止させた後、リールの停止位置をスタックシンボルの全体が表示部27のシンボル表示領域60に表示される停止位置に変更し、停止位置を変更した後のシンボル配列について、停止位置の変更量に応じて配当を決定する機能が実現される。または、リールの停止位置が、スタックシンボルの一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、該停止位置にリールを仮停止させた後、リールの停止位置をスタックシンボルの全体が表示部27のシンボル表示領域60に表示される停止位置に変更し、停止位置を変更した後のシンボル配列について配当を決定するとともに、停止位置の変更量に応じて特別ゲームを提供する機能が実現される。
上記プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。
上述したとおり、本発明の第1の実施形態にかかるゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、それぞれ一連のシンボルを有する複数のリールを部分的に表示する表示部と、操作部および表示部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じて複数のリールを回転および停止させ、停止した複数のリールが表示部に形成したシンボル配列について配当を支払う制御部とを備え、複数のリールのうち少なくとも一つのリールは、特定シンボルが連続して配置された連続シンボル群を有し、制御部は、リールの停止位置が連続シンボル群の一部のみを表示部に表示する停止位置である場合には、該停止位置にリールを仮停止させた後、リールの停止位置を連続シンボル群の全体が表示部に表示される停止位置に変更し、停止位置を変更した後のシンボル配列について、停止位置の変更量に応じて配当を決定する。
このようなゲーミングマシンにおいては、リールの停止位置が、スタックシンボル等の連続シンボル群の一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、リールの停止位置を変化させてスタックシンボルの全体を表示部27のシンボル表示領域60に表示する引き込み処理を行うとともに、停止位置を変更した後のシンボル配列についての配当を、停止位置の変更量(すなわち、引き込み量)に応じて変化させている。第1の実施形態においては、引き込み量に応じて、上記特定のシンボルであるワイルドシンボルに所定の倍数を乗算している。第2の実施形態においては、引き込み量に応じて、所定のボーナス額を加算している。したがって、引き込み処理によってリールの停止位置が変更されたときに、その引き込み量に応じた配当が支払われる。
また、プレイヤーは、連続シンボル群が一部でもシンボル表示領域60に停止表示されると、その時点で、高額配当につながる入賞配当の乗算が行われることを認識することができる。そのため、スタックシンボルの一部がシンボル表示領域60に表示されてから、引き込み処理が行われ、入賞配当額の決定および付与が行われるまで間、ゲーミングマシン1は、プレイヤーに対して期待感と緊張感とを比較的長時間にわたって与え続けることで、優れたエクスペリエンスを提供することが可能である。
また、連続シンボル群の特定シンボルが、入賞判定の際に他のシンボルとして代用されるワイルドシンボルであってもよい。この場合、引き込み処理により、ワイルドシンボルがシンボル表示領域60に移動されるため、入賞組合せが構成されやすく、プレイヤーの高額配当の期待が高まる。
また、連続シンボル群の特定シンボルは、自己を含むシンボルの入賞組合せの配当に所定の倍数を乗算する態様であってもよく、また、連続シンボル群が表示部に表示されている場合に全ての入賞組み合わせの配当に対して所定の倍数を乗算する態様であってもよい。配当に倍数を乗算するやり方は、ゲームの種類や内容に応じて、適宜変更することができる。
また、停止位置の変更量が大きいほど特定シンボルの倍数が小さい態様であっても、停止位置の変更量が大きいほど特定シンボルの倍数が大きい態様であってもよい。停止位置と倍数との関係も、ゲームの種類や内容に応じて、適宜変更することができる。
また、制御部は、停止位置の変更量に応じて配当に追加配当を加える態様であってもよい。このとき、停止位置の変更量が大きいほど追加配当が小さい態様であっても、停止位置の変更量が大きいほど追加配当が大きい態様であってもよい。停止位置と追加配当との関係も、ゲームの種類や内容に応じて、適宜変更することができる。
また、本発明の第3の実施形態にかかるゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、それぞれ一連のシンボルを有する複数のリールを部分的に表示する表示部と、操作部および表示部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じて複数のリールを回転および停止させ、停止した複数のリールが表示部に形成したシンボル配列について配当を支払う制御部とを備えたゲーミングマシンであって、複数のリールのうち少なくとも一つのリールは、特定シンボルが連続して配置された連続シンボル群を有し、制御部は、リールの停止位置が連続シンボル群の一部のみを表示部に表示する停止位置である場合には、該停止位置にリールを仮停止させた後、リールの停止位置を連続シンボル群の全体が表示部に表示される停止位置に変更し、停止位置を変更した後のシンボル配列について配当を決定するとともに、停止位置の変更量に応じて特別ゲームを提供する。
このようなゲーミングマシンにおいては、リールの停止位置が、スタックシンボル等の連続シンボル群の一部のみを表示部27のシンボル表示領域60に表示する停止位置である場合には、リールの停止位置を変化させてスタックシンボルの全体を表示部27のシンボル表示領域60に表示する引き込み処理を行い、引き込み処理後のシンボル配列について配当を支払う。また、制御部は、引き込み量に応じて特別ゲームを提供して、特別ゲームの配当も支払う。そのため、プレイヤーは、各リールのスタックシンボルがシンボル表示領域60に表示されると、次第に、高額配当につながる特別ゲームの当選を期待するようになり、ゲーミングマシン1は、スタックシンボルがシンボル表示領域60に表示された比較的早い段階から、高額配当が得られる高揚感を持ち続けることで、優れたエクスペリエンスを提供することが可能である。
本発明は上記第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態に限られるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施形態ではスロットマシンの態様でゲームを提供するゲーミングマシンについて説明したが、これに限られるものではなく、ポーカー、ブラックジャックといったビデオカードゲーム、ビンゴ、キノ、ホイールゲーム等の態様でゲームを提供してもよい。また、本発明をパチンコ機やパチスロ機に適用することも可能である。また、各実施形態における動作についても種々変形が可能であり、例えば予め必要な数の乱数を取得してリール停止位置を決定し、特別ゲーム当選および入賞有無の判定を済ませてから、それらの内容をディスプレイ上に順次表示する態様であっても構わない。
また、連続シンボル群は、同種のシンボルからなるスタックシンボルに限らず、異種のシンボルからなるシンボル群であってもよい。さらに、連続シンボル群を構成する特定シンボルの数とシンボル表示領域のセルの数(段数)とは、必ずしも同じである必要はなく、異なっていてもよい。たとえば、連続シンボル群を構成する特定シンボルの数が、シンボル表示領域のセルの数より多くてもよい。この場合、シンボル表示領域に連続シンボル群の全体が表示されることはないが、連続シンボル群の特定シンボルがシンボル表示領域の全てのセルに表示された場合に、連続シンボル群の全体がシンボル表示領域に表示されたものとみなす。この場合、リールの変更前の停止位置と変更後の停止位置との関係は、任意に定めてもよい。たとえば、連続シンボル群の最下段の特定シンボルを基準にして、停止位置の変更により、最下段の特定シンボルがシンボル表示領域の最下段のセルに表示されるように移動するように定めたり、または、連続シンボル群の最上段の特定シンボルを基準にして、停止位置の変更により、最上段の特定シンボルがシンボル表示領域の最上段のセルに表示されるように移動するように定めたりしてもよい。若しくは、連続シンボル群の中段の特定シンボルを基準にして、停止位置の変更により、中段の特定シンボルがシンボル表示領域の中段のセルに表示されるように移動するように定めてもよい。
さらに、連続シンボル群は、仮想リールセットの少なくとも一つのリールに設けられていればよく、一つのリールにのみ設けられた態様や、全てのリールに設けられた態様であってもよい。
また、上記実施形態では、遊技価値として紙幣またはチケットを示し、これらを紙幣/チケット識別装置で受け付けて、プリンタユニットでチケットを出力する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。遊技価値は、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケット等の有体物、又はこれらと同等の価値を有する電子データを含む概念である。例えば、コインアクセプターでコインを受け付けて、コインホッパーからコインを支払う態様であっても構わない。プレイヤーを識別してサーバ上のアカウントに蓄積されたクレジットを使用し、アカウントへクレジットを払い出す態様であってもよく、磁気カード、ICカード等の記憶媒体に記録されたクレジットの情報を読み取って使用し、記憶媒体へ書き込むことでクレジットを払い出す態様であってもよい。
また、上記実施形態では特別ゲームとしてフリーゲームを提供する場合を示したが、通常ゲームとは異なる仮想リールストリップを使用したボーナスゲームを提供してもよい。また、通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて提供されるフィーチャーゲームとすることもできる。
また、特別ゲームを提供する所定の条件についても、スキャッタ判定またはライン判定に限られるものではなく、例えばベット数が所定の値を超えている場合に特別ゲームを提供する構成としてもよい。通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて特別ゲームを提供する構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では特別ゲームとして所定回数のフリーゲームを提供する態様を示したが、回数を限定することなく特別ゲームを提供してもよい。この場合には、特定シンボルの組み合わせ、特別ゲーム中に取得された乱数の値等を特別ゲームの終了条件とし、終了条件を満たすまで特別ゲームを提供する構成とすることができる。