JP6485022B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
表面保護フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP6485022B2 JP6485022B2 JP2014246861A JP2014246861A JP6485022B2 JP 6485022 B2 JP6485022 B2 JP 6485022B2 JP 2014246861 A JP2014246861 A JP 2014246861A JP 2014246861 A JP2014246861 A JP 2014246861A JP 6485022 B2 JP6485022 B2 JP 6485022B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- surface protective
- film
- molecular weight
- layer
- ultraviolet absorber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Polarising Elements (AREA)
Description
このうち、紫外線カット機能を付与した表面保護フィルムとして、基材と、紫外線硬化性樹脂組成物からなる表面保護層とを有するフィルムが知られている。該フィルムは、画像表示装置及びこれを構成する各部材の表面保護目的の他、外光あるいは光源からの紫外線を吸収し、画像表示装置を構成する各部材の紫外線劣化を防止する目的で用いられている。
上記表面保護フィルムとしては、基材に紫外線吸収剤を添加するなどして基材側に紫外線カット機能を付与したものや(特許文献1、2)、表面保護層側に紫外線吸収剤を添加して紫外線カット機能を付与したものが知られている(特許文献3)。
そこで、本発明者らは表面保護層側に紫外線カット機能を付与した表面保護フィルムの開発を行っている。紫外線カット機能の点からは、表面保護層の波長380nmにおける透過率が10%以下、好ましくは8%以下であることが望まれる。また、視認性の観点からは、表面保護フィルムは無色である(すなわち、可視光領域における吸収が少ない)ことが望ましいが、波長380nm付近に強い吸収を有する紫外線吸収剤を用いると表面保護層が黄色に着色する場合がある。特許文献3に開示されたハードコートフィルムは波長380nmにおける透過率は低いものの、着色の有無については言及されていない。
一方、可視光領域の吸収が少ない紫外線吸収剤は、波長380nm以下における紫外線吸収能も低い場合があり、これを補うために紫外線吸収剤の使用量を多くすると、表面保護層の硬度が低下する傾向がある。以上のように、紫外線カット機能、低着色性、及び高硬度というすべての特性を満たす表面保護フィルムを得ることは困難であった。
外付け型は、液晶表示装置とタッチパネルとを別々に製造した後に一体化するため、いずれか一方に不良があっても片方は利用可能であり、歩留まりに優れるものであるが、厚みや重さが増えるという問題があった。
このような問題を解消するものとして、液晶表示装置の液晶素子と偏光板との間にタッチパネルを組み込んだ、いわゆるオンセル型の液晶表示装置が登場している。そして、さらに近年では、オンセル型よりもさらに厚みや重さを低減するものとして、タッチ機能を液晶素子の中に組み込んだ、いわゆるインセル型の液晶表示装置が開発され始めている。
インセル型の液晶表示装置は、タッチ機能を組み込んだ液晶素子上に、種々の機能を有するフィルム等を接着層を介して貼り合わせた前面板を設置した構成からなっている。種々の機能を有するフィルム等とは、例えば、位相差板、偏光子、偏光子の保護フィルム、及び表面保護部材が挙げられる。
偏光子の保護フィルムとしては、光学異方性のないトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。しかしながら、TACフィルムは偏光子を保護する目的でのみ用いられており、前面板の光学的機能の観点からはTACフィルムを省略してもよい。そこで、前述の表面保護部材が偏光子の保護フィルムを兼ねる構成とすることで、TACフィルム、及びこれを他の層と貼り合わせるための粘着層を削減し、前面板の薄型化を図る検討が行われている。
ここで、TACフィルムには通常紫外線吸収剤が添加されているため、TACフィルムよりも内側(液晶素子側)に設けられている偏光子等の紫外線劣化を防止するという機能も有している。したがってTACフィルムを削減するには、別途、偏光子よりも外側(観察者側)に設けられる他の層に、紫外線カット機能を付与する必要がある。
そこで、前記偏光子の保護フィルム及び表面保護部材を兼ね備えるフィルムとして、前述のような紫外線カット機能を有する表面保護フィルムを用いれば、TACフィルム及び粘着層を削減し、前面板及びこれを用いた表示装置を薄型化することが可能となる。
すなわち本発明は、基材フィルムと表面保護層とを有する表面保護フィルムであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすことを特徴とする表面保護フィルムに関するものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
また、本発明は、偏光板と、上記表面保護フィルムとを有する表示素子の前面板、及び、該前面板を有する表示装置に関するものである。
また、本発明の表面保護フィルムは上記性能を有することから、表示素子上に設置される前面板に用いられる偏光子の保護フィルム及び表面保護部材としての機能を兼ね備える。したがって、本発明の表面保護フィルムを用いることで構成部材を削減し、前面板及び表示装置を薄型化することができる。特に、本発明の表面保護フィルムはインセルタッチパネル液晶表示装置をはじめとするインセル型の液晶表示装置に好適に用いられる。
本発明の表面保護フィルムは、基材フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
本発明の表面保護フィルムに用いられる基材フィルムとしては、光透過性を有する基材フィルム(以下、「光透過性基材フィルム」ともいう。)が好ましい。光透過性基材フィルムとしては、従来公知の光学フィルムに用いられている樹脂基材等が挙げられる。光透過性基材フィルムの全光線透過率は通常70%以上であり、85%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率は、紫外可視分光光度計を用い、室温、大気中で測定することができる。
光透過性基材フィルムを構成する材料としては、アセチルセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。上記のうち、経済性及び加工性の観点から、アセチルセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。
上記前面板は、位相差板、偏光子、偏光子の保護フィルム、及び表面保護部材を有しており、偏光子の保護フィルムとしては通常TACフィルムが用いられている。しかしながらTACフィルムは光学異方性を有していないため、前述のような偏光サングラスを通しての視認性やニジムラを改善するためには、視認性等向上のための機能層を別途設ける必要がある。したがって、これにより前面板の厚みが増すことになる。
そこで、光学異方性を有する高リタデーションフィルム又は1/4波長位相差フィルムを表面保護フィルムの基材フィルムとして用い、これを前面板の表面保護部材として採用すると、インセルタッチパネル型液晶表示素子等に用いられる各種前面板において、表面保護特性を付与し、かつ別途視認性等の改善のための機能層を設ける必要がないため、従来の構成と比較して薄型化を図ることができるものである。
高リタデーションフィルムのリタデーション値は、6000〜30000nmであることが好ましい。
なお、上述したリタデーション値は、波長589.3nm前後の波長に対して満たしていることが好ましい。
リタデーション値(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーション値は、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長589.3nm)することができる。
あるいは、上記リタデーション値は、2枚の偏光板を用いて、基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率差計(株式会社アタゴ製、NAR−AT)によって求め、大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。このようにして求めた屈折率差(nx−ny)に、電気マイクロメータ(アンリツ株式会社製)を用いて測定した厚みを掛けて、リタデーション値が得られる。
なお、本発明では、上記nx−ny(以下、「Δn」という場合もある)は、0.05以上が好ましく、0.07以上がより好ましく、0.10以上が更に好ましい。Δnが0.05以上であれば、基材フィルムの厚みが薄くても高いリタデーション値を得ることができるので、前述のニジムラ抑制及び薄型化を両立することができる。
なお、正1/4波長位相差フィルムは、公知技術の範囲で延伸倍率や延伸温度、膜厚を適宜調整することにより得ることができる。正1/4波長位相差フィルムとしては、JSR株式会社製のアートン、株式会社日本ゼオン製のゼオノア、帝人化成株式会社製のピュアエースWR等が挙げられる。
略1/4波長位相差フィルムは、正1/4波長位相差フィルムの製造の応用により得ることができる。例えば、延伸倍率を上げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を大きくすること等により、550nmの位相差が大きくなる方向に動き、延伸倍率を下げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を小さくすること等により、550nmの位相差が小さくなる方向に動く。
なお、基材フィルムが高リタデーションフィルムである場合、厚みは60〜200μmが好ましく、60〜170μmがより好ましく、60〜135μmが更に好ましい。
また、基材フィルムが1/4波長位相差フィルムである場合、厚みは4〜200μmが好ましく、4〜135μmがより好ましく、4〜70μmが更に好ましい。
表面保護層は、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。すなわち、上記電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを少なくとも含むものである。電離放射線硬化性樹脂組成物は、後述するように電離放射線硬化性化合物以外の、熱可塑性樹脂等の樹脂成分を含んでいてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性化合物は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、重合性モノマーであることが好ましい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限はなく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。また、上記(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
これらの(メタ)アクリレート系モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレート系モノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6、更に好ましくは3〜6である。
多官能(メタ)アクリレート系モノマーの分子量は、表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、1,000未満が好ましく、200〜800がより好ましい。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく使用される。この(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜15,000であることがより好ましい。なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算により求めた値である。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を好ましく挙げられる。これらの樹脂は、非結晶性であり、かつ溶剤に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性などの観点から、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などが好ましく、(メタ)アクリル樹脂がより好ましく、ポリメチルメタクリレートが更に好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、分子中に反応性官能基を有さないことが好ましい。分子中に反応性官能基を有すると、硬化収縮量が大きくなり、表面保護層の基材フィルムへの接着性が低下するおそれがあるためである。なお、反応性基としては、アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する官能基、エポキシ環、オキセタン環等の環状エーテル基、ラクトン環等の開環重合基、ウレタンを形成するイソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの反応性官能基は、表面保護層の基材フィルムへの接着性を阻害しない程度であれば含まれていてもよい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アシルホスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物は、表面保護フィルムの表面保護層の着色を抑制しつつ、紫外線カット機能を付与するため、分子量1,000未満の紫外線吸収剤(以下「低分子型紫外線吸収剤」ともいう)と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤(以下「高分子型紫外線吸収剤」ともいう)とを含む。
低分子型紫外線吸収剤は紫外線吸収能が高いため比較的使用量が少なくてよいが、可視光領域、特に波長390〜420nm付近にも強い吸収を有するものが多く、表面保護層が黄色に着色しやすい。これに対し高分子型紫外線吸収剤は着色が少ない反面、低分子型紫外線吸収剤よりも紫外線吸収能が低く、これを補うために多量に添加すると表面保護層の硬度が低下するという問題がある。本発明では、電離放射線硬化性樹脂組成物において低分子型紫外線吸収剤と高分子型紫外線吸収剤とを併用することで、高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ偏光子等の部材の表面を保護するのに十分な耐擦傷性を有する表面保護フィルムを得ることができる。
本発明に用いられる低分子型紫外線吸収剤は、分子量1,000未満であり、下記式(1)を満たすものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
上記式(1)で示される透過率比は、可視光領域と紫外光領域との境界付近における透過率のコントラストを表し、この値が大きいほど好ましい。すなわち、可視光領域の短波長側である波長390nmでは、透過率が高い方が視認可能な着色が少ないため好ましく、一方、紫外光領域の長波長側である波長380nmでは、透過率が低い方が紫外線吸収能が高いため好ましい。
低分子型紫外線吸収剤の上記式(1)で示される透過率比が1.40未満であると、得られる表面保護フィルムは、紫外線カット機能は高いが着色が著しいものか、着色は少ないが紫外線カット機能が低いものとなり、紫外線カット機能と低着色性とを両立できない。表面保護フィルムの紫外線カット機能と低着色性とを両立させる観点から、上記式(1)で示される透過率比は、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上である。
低分子型紫外線吸収剤の式(1)で示される透過率比は、以下のように測定できる。波長380〜750nm付近に吸収のない多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート)100質量部に対し、低分子型紫外線吸収剤を6質量部の濃度となるように溶解させ、さらに光重合開始剤を添加して、波長350〜750nm付近に吸収のないガラス基板等に塗布して乾燥厚み4〜5μmの塗膜を形成する。次いで、該塗膜に紫外線を照射して厚み4〜5μmの均一な硬化膜を形成し、得られたサンプルを用いて、紫外可視分光光度計で波長380nm及び390nmの透過率を測定する。該透過率比は、より具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.50 ・・・(1a)
低分子型紫外線吸収剤の式(1a)で示される透過率比は、前記式(1)の場合と同様の方法で波長380nm及び580nmの透過率を測定することにより求められる。
中でも、紫外線吸収性の観点から、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上が好ましく、紫外線吸収性、電離放射線硬化性化合物への溶解性等の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明に用いられる高分子型紫外線吸収剤は重量平均分子量1,000以上であり、表面保護フィルムの紫外線カット機能と低着色性とを両立させる観点から、好ましくは下記式(2)を満たすものであり、下記式(2)及び(2a)を満たすものがより好ましい。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧2.00 ・・・(2)
(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧3.00 ・・・(2a)
上記式(2)で示される透過率比は、より好ましくは2.50以上、更に好ましくは3.00以上である。また、上記式(2a)で示される透過率比は、より好ましくは3.50以上、更に好ましくは4.00以上である。
高分子型紫外線吸収剤の式(2)及び(2a)で示される透過率比は、例えば、波長350〜750nm付近に吸収のないガラス基板等の上に高分子型紫外線吸収剤の乾燥厚み4〜5μmの塗膜を形成し、紫外可視分光光度計で波長380nm、390nm、580nmの透過率を測定することにより求められる。該透過率比は、より具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
また、高分子型紫外線吸収剤は、可視光領域での低着色性の観点から、波長390nm超750nm以下の可視光領域における吸収が少ない方が好ましい。より具体的には、前記式(2)で示される透過率比と同様の方法で測定した、波長390nm超750nm以下の範囲の透過率の最小値が厚み4〜5μm換算で50%以上であることが好ましい。
なお、紫外線吸収能の観点から、一般式(4)において、cは好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましい上限値は0.8である。
上記混合物中、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と高分子型紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、表面保護層としての十分な耐擦傷性を保持しながら、紫外線カット機能を付与できる。また、低分子型紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、紫外線カット機能を付与しつつ、着色の少ない表面保護層とすることができる。
上記混合物中、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分の含有量は、表面保護層の耐擦傷性及び紫外線カット機能の観点から、より好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは60〜80質量%、より更に好ましくは65〜80質量%である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の低分子型紫外線吸収剤の含有量は、上記混合物100質量部に対し、より好ましくは4〜8質量部、更に好ましくは5〜8質量部である。
また、当該樹脂成分中の電離放射線硬化性化合物の含有量は、表面保護層としての十分な耐擦傷性を保持する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、所望により、更に光反射性微粒子を含んでいてもよい。光反射性微粒子は紫外線を透過しないため、表面保護層が光反射性微粒子を含むものであると、紫外線カット機能が更に向上する。
このような光反射性微粒子としては特に限定されず、例えば、金属微粒子、金属酸化物微粒子、及び、コア微粒子の表面に光反射性被覆層を形成したコーティング微粒子等が好適に用いられる。
金属微粒子を構成する金属としては、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Fe、Ni、Pd、Pt等が挙げられる。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、フッ素化酸化スズ(FTO)、ZnO等が挙げられる。
コーティング微粒子としては、例えば、コア微粒子の表面に光反射性被覆層が形成された構成の従来公知の微粒子が挙げられる。コア微粒子としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ微粒子、酸化ケイ素微粒子等の無機微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等のポリマー微粒子、有機質無機質複合体粒子等の微粒子が挙げられる。また、光反射性被覆層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した金属又はこれらの合金や、上述した金属酸化物等が挙げられる。
このような導通微粒子としては特に限定されず、前記光反射性微粒子と同様のものを例示することができる。なお、帯電防止層等の他の導電層からの導通を良好にする観点から、導通微粒子は金メッキ微粒子であることが好ましい。
なお本明細書において、光反射性微粒子を含む表面保護層の場合の「表面保護層の厚み」とは、層から突出した微粒子を含まない部分の厚みを意味する(図1のx)。
(1)表面保護フィルムの断面を透過型子顕微鏡(TEM)又は走査型透過電子顕微鏡(STEM)で撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
表面保護層は、基材フィルム上に、硬化後に所望の厚みとなる量の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥を行った後、電離放射線を照射して硬化することにより形成することができる。基材フィルム上に後述する帯電防止層等の他の層を設ける場合には、該層の上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、同様に乾燥、硬化して表面保護層を形成すればよい。
次いで、該未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
本発明の表面保護フィルムは、少なくとも基材フィルムと表面保護層とを有していればよいが、特にインセルタッチパネルに用いる場合には、基材フィルムと表面保護層との間に、更に帯電防止層を有することが好ましい。
インセルタッチパネルにおいて、帯電防止層は、従来の外付け型やオンセル型において導電性部材として働いていたタッチパネルの代替的役割を有する。帯電防止層を有する表面保護フィルムを用いると、帯電防止層は液晶素子より観察者側に位置することになるので、タッチパネルにタッチした際に発生した静電気を逃がすことができ、該静電気により液晶画面が部分的に白濁することを防止できる。また、表面保護フィルム、偏光子及び位相差板を順に積層した前面板とした際に、導通性表面保護層及び帯電防止層が最表面に位置することから、導通性表面保護層又は帯電防止層表面へのアース処理を容易に行うことができる。
導電剤としては、第4級アンモニウム塩、リチウム塩等のイオン伝導型導電剤、金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボンナノチューブ、コーティング微粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン系粒子等の電子伝導型導電剤が挙げられ、湿度による影響を受けにくい電子伝導型の導電剤が好適に使用される。金属微粒子、金属酸化物微粒子、及びコーティング微粒子については、前述の導通微粒子と同様のものが用いられる。また、電子伝導型導電剤の中でも、長期保管、耐熱性、耐湿熱性、耐光性が良好であるという観点から、金属微粒子及び金属酸化物微粒子から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、アンチモン錫酸化物(ATO)がより好ましい。
(1)本発明の光学シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
なお、電子伝導型導電剤の含有量のより好ましい下限は150質量部であり、より好ましい上限は350質量部である。
熱可塑性樹脂は、分子中に反応性官能基を有さないことが好ましい。分子中に反応性官能基を有すると、該反応性官能基が反応して帯電防止層に硬化収縮が生じ、表面抵抗率が変化してしまうことがある。なお、反応性基としては、アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する官能基、エポキシ環、オキセタン環等の環状エーテル基、ラクトン環等の開環重合基、ウレタンを形成するイソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの反応性官能基は、帯電防止層に硬化収縮による表面抵抗率の変化を起こさせない程度であれば含まれていてもよい。
また、表面抵抗率の経時安定性の観点から、帯電防止層の厚みは前述の導通性表面保護層の厚みよりも薄くすることが好ましく、[導通性表面保護層の厚み]/[帯電防止層の厚み]の比が、1〜300であることが好ましく、1〜67であることがより好ましく、2〜33であることが更に好ましい。
帯電防止層の厚みは、表面保護層と同様の方法で測定することができる。
ここで、帯電防止層を有する表面保護フィルムについて、図1を用いて説明する。図1は本発明の表面保護フィルムの実施形態の一例を示す断面模式図である。図1に示す表面保護フィルム1は、基材フィルム2と表面保護層3とを有している。図1の表面保護層3は導通微粒子31を含む導通性表面保護層であり、該表面保護層は導通微粒子31を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。また、基材フィルム2と表面保護層3との間に、帯電防止層4を有する。
帯電防止層は面方向(X方向、Y方向)及び厚み方向(z方向)への導電性を有しているのに対して、導通性表面保護層は、厚み方向の導電性を有していれば足りる。したがって、導通性表面保護層は面方向の導電性は必ずしも必要ないという点で役割が相違する。
表面保護フィルムの透過率は、紫外可視分光光度計等により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の表示素子の前面板は、偏光板と、本発明の表面保護フィルムとを少なくとも有する。偏光板は、少なくとも1層の位相差板と偏光子とから構成されている。図2は本発明の前面板100の一例の断面図であり、位相差板51、偏光子52、及び表面保護フィルム1を順に有する。このような構成を有することで、表示素子の前面板としての必要機能を付与しつつ、薄型化を図ることができる。
図2に示すように、本発明の表面保護フィルム1を偏光板5の偏光子52側と貼り合わせることで、該表面保護フィルムは前面板100の表面保護部材としての機能のほか、偏光子52の表面保護フィルムとしても機能する。ここで、従来、偏光子の保護目的のみで用いていたTACフィルムには通常、紫外線吸収剤が添加されており、TACフィルムよりも内側(表示素子側)に設けられている偏光子等の紫外線劣化を防止するという機能も有している。本発明の表面保護フィルムは紫外線カット機能も有するので、該表面保護フィルムを表示素子の前面板に用いることで、従来用いていたTACフィルム、及びこれを他の層と貼り合わせるのに用いていた粘着層を削減することができ、前面板及び表示装置を薄型化することが可能となる。
なお、本発明の前面板は、具体的には偏光板の偏光子側の面と、表面保護フィルムの基材フィルム側とを貼り合わせることで形成することができる。
位相差板は、少なくとも位相差層を有する構成からなる。位相差層としては、延伸ポリカーボネートフィルム、延伸ポリエステルフィルム、延伸環状オレフィンフィルム等の延伸フィルムの態様、屈折率異方性材料を含有する層の態様が挙げられる。前者と後者の態様では、リタデーションの制御及び薄型化の観点から、後者の態様が好ましい。
屈折率異方性材料を含有する層(以下、「異方性材料含有層」という場合もある)は、当該層の単独で位相差板を構成するものであっても、樹脂フィルム上に異方性材料含有層を有する構成であってもよい。
屈折率異方性材料としては、棒状化合物、円盤状化合物及び液晶分子等が挙げられる。
例えば、屈折率異方性材料の光軸が異方性材料含有層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を異方性材料含有層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。
また別の態様では、屈折率異方性材料の光軸が異方性材料含有層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を異方性材料含有層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。
またさらには、液晶分子の光軸を異方性材料含有層と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、異方性材料含有層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。
さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を異方性材料含有層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。
またさらに異方性材料含有層は、該層に対して斜めであってもよく、またはその角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
このような種々のタイプの位相差板は、例えば、特開2009−053371号公報に記載の方法により製造することができる。
なお、位相差板を二以上のプレートからなるものとする場合、薄型化の観点から、一つのプレートを延伸フィルムとして、当該延伸フィルム上に異方性材料含有層(他のプレート)を積層する態様が好ましい。
偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばPVA系フィルムなどを延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したPVA系偏光子、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系偏光子、コレステリック液晶を用いた反射型偏光子、薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられる。これらの中でも、水により接着性を発現し、別途接着層を設けることなく、位相差板や表面保護フィルムを接着することができる、PVA系偏光子が好適である。
PVA系フィルムを構成するPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化してなるものである。
偏光子の厚みは、2〜30μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。
インセルタッチパネル型液晶表示素子は、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。なお、インセルタッチパネル液晶素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。
インセルタッチパネル型液晶素子は、例えば、特開2011−76602号公報、特開2011−222009号公報に記載されている。
本発明の表示装置は、本発明の前面板を有するものであり、液晶表示装置等が挙げられる。例えば本発明の表示装置として好ましく挙げられるインセルタッチパネル液晶表示装置は、インセルタッチパネル型液晶素子上に、上述した本発明の前面板の位相差板側の面を貼り合わせてなるものである。
インセルタッチパネル型液晶素子と、前面板とは、例えば、接着層を介して貼り合わせることができる。接着層は、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、酢酸ビニル系、塩ビ・酢ビ共重合物、セルロース系等の接着剤を使用することができる。接着層の厚みは10〜25μm程度である。
このような本発明のインセルタッチパネル型液晶表示装置は、本発明の表面保護フィルムを有する前面板を用いることで、前述したように、前面板の構成部材である偏光子の保護及び外光紫外線による劣化防止、並びに、偏光サングラスにより観察した際のニジムラの防止、静電気発生による液晶表示画面の白濁の防止、等の各種の必要機能を満たしつつ、全体の薄型化が可能であるという点で、極めて有用なものである。
なお、実施例及び比較例の表面保護フィルムの評価は以下のようにして行った。
分子量1,000未満の紫外線吸収剤の透過率は以下のようにして測定した。ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)100質量部に対し、分子量1,000未満の紫外線吸収剤6質量部、及び光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)6質量部を添加して溶解させ、塗布液を調製した。これをガラス基板上に均一に塗布し、紫外線を300mJ/cm2照射して硬化させ、厚さ4.5μmの均一な硬化膜を形成した。次いで、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて、得られた硬化膜の波長380nm、390nm、及び580nmの透過率を測定した。
また、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤の透過率は、該紫外線吸収剤をガラス基板上に厚さ4.5μmとなるように均一に塗布した後、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて、波長380nm、390nm、及び580nmの透過率を測定した。
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの波長380nmにおける透過率を紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて測定した。
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの着色性(黄色度)は、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて透過法でb*を測定し、評価した。評価基準は以下のとおりである。b*の値が小さいほど、黄色味が少なく良好な結果であることを示す。
○;透過色相b*≧1.0
×;透過色相b*<1.0
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの表面保護層に対し、スチールウール(日本スチールウール(株)製、Bon Star #0)を用いて荷重150gfで10回往復した後の外観を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;表面に全く傷が認められず、表面保護層の剥離や白化はなかった。
○;表面に10本未満のキズはあるが、表面保護層の剥離や白化はなかった。
×;表面に著しい傷があり、表面保護層の剥離や白化が見られた。
[電離放射線硬化性樹脂組成物の調製]
電離放射線硬化性化合物であるペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、PET−30)、重量平均分子量40,000〜60,000のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(新中村化学工業(株)製、UVA−5080)、及び分子量630のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF製、Tinuvin460)を、前記3成分の固形分が順に70質量部、30質量部、6質量部となるようにメチルイソブチルケトン中に添加して攪拌し、溶液aを得た。
次いで、溶液aの固形分100質量部に対して、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)7質量部、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(BASF製、ルシリンTPO)1.5質量部を添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が40質量%の溶液bを調製した。
次いで、溶液bの固形分100質量部に対し、レベリング剤(DIC(株)製、メガファックRS71)を固形分比で0.4質量部添加して撹拌した。更に、この溶液の固形分100質量部に対し、光反射性微粒子として金メッキ粒子の分散液(DNPファインケミカル(株)製、ブライト分散液、金メッキ粒子の平均粒子径4.6μm、固形分25%)を固形分で2.5質量部添加して攪拌を行い、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100上に、上記電離放射線硬化性樹脂組成物をスリットリバースコートにより、乾燥後の厚みが4.5μmとなるよう塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜を80℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量300mJ/cm2で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み4.5μmの表面保護層を形成して表面保護フィルムを得た。
得られた表面保護フィルムについて、前記評価を行った。評価結果を表1に示す。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性化合物の配合量、及び紫外線吸収剤の種類及び配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製し、前記評価を行った。評価結果を表1に示す。
・電離放射線硬化性化合物
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA);日本化薬(株)製、PET−30
・紫外線吸収剤(A−1)
ベンゾトリアゾール系高分子型紫外線吸収剤;新中村化学工業(株)製、UVA−5080、重量平均分子量40,000〜60,000、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)3.50、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)4.61
・紫外線吸収剤(A−2)
ベンゾトリアゾール系高分子型紫外線吸収剤;BASF製、UVA1935LH、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)4.89、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)7.14
・紫外線吸収剤(B−1)
トリアジン系紫外線吸収剤;BASF製、Tinuvin460、分子量630、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)2.06、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)3.04
・紫外線吸収剤(B−2)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;城北化学工業(株)製、JF−80、分子量352、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.60、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)2.01
・紫外線吸収剤(b−1)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;城北化学工業(株)製、JAST−500、分子量500、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.30、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.46
・導通微粒子
金メッキ粒子;DNPファインケミカル(株)製、ブライト分散液、金メッキ粒子の平均粒子径4.6μm、固形分25%
[帯電防止層形成用組成物の調製]
DNPファインケミカル(株)製の熱可塑性樹脂(HRAGアクリル(25)MIBK、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃)をメチルイソブチルケトン中に溶解させ、さらに日揮触媒化成(株)製のV3560(ATO分散液、ATO平均粒子径8nm)を添加して攪拌し、最終固形分10質量%、熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:300(質量比)となるよう調整し、帯電防止層形成用組成物を得た。
[帯電防止層の形成]
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100)上に、上記帯電防止層形成用組成物を、スリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが1μmとなるように塗布、乾燥し、ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成した。
[表面保護層の形成]
上記帯電防止層上に、実施例1で調製した電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして表面保護層を形成し、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムについて前記評価を行ったところ、波長380nmにおける表面保護フィルムの透過率は7.25%であり、着色性及び耐擦傷性はいずれも良好であった。
また、本発明の表面保護フィルムは上記性能を有することから、表示素子上に設置される前面板に用いられる偏光子の保護フィルム及び表面保護部材としての機能を兼ね備える。したがって、本発明の表面保護フィルムを用いることで構成部材を削減し、前面板及び表示装置を薄型化することができる。特に、本発明の表面保護フィルムはインセルタッチパネル液晶表示装置をはじめとするインセル型の液晶表示装置に好適に用いられる。
2 基材フィルム
3 表面保護層
31 導通微粒子
4 帯電防止層
5 偏光板
51 位相差板
52 偏光子
100 前面板
Claims (17)
- 基材フィルムと表面保護層とを有する表面保護フィルムであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
前記分子量1,000未満の紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上であり、
前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール基を有する紫外線吸収剤であり、
分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすことを特徴とする表面保護フィルム。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1) - 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分50〜90質量%と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤10〜50質量%とからなる混合物100質量部に対し、分子量1,000未満の紫外線吸収剤を3〜9質量部含む、請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤が下記式(2)を満たす、請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧2.00 ・・・(2) - 前記表面保護層が光反射性微粒子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記光反射性微粒子が導通微粒子である、請求項4に記載の表面保護フィルム。
- 前記基材フィルムと前記表面保護層との間に、更に帯電防止層を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記帯電防止層が金属微粒子及び金属酸化物微粒子から選ばれる1種以上を含む、請求項6に記載表面保護フィルム。
- 前記表面保護層の厚みが1〜30μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記導通微粒子の平均粒子径が前記表面保護層の厚みに対し50〜150%である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤が重量平均分子量3,000〜100,000である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記基材フィルムが光学異方性を有するフィルムである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記電離放射線硬化性化合物が分子量1,000未満の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 波長380nmにおける透過率が10%以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 偏光板と、請求項1〜13のいずれか1項に記載の表面保護フィルムとを有する、表示素子の前面板。
- 前記表示素子が液晶表示素子である、請求項14記載の表示素子の前面板。
- 前記液晶表示素子がインセルタッチパネル型液晶表示素子である、請求項15記載の表示素子の前面板。
- 請求項13〜16のいずれか1項に記載の前面板を有する、表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014246861A JP6485022B2 (ja) | 2014-12-05 | 2014-12-05 | 表面保護フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014246861A JP6485022B2 (ja) | 2014-12-05 | 2014-12-05 | 表面保護フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016107498A JP2016107498A (ja) | 2016-06-20 |
JP6485022B2 true JP6485022B2 (ja) | 2019-03-20 |
Family
ID=56121625
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014246861A Active JP6485022B2 (ja) | 2014-12-05 | 2014-12-05 | 表面保護フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6485022B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102617273B1 (ko) | 2016-10-31 | 2023-12-21 | 엘지디스플레이 주식회사 | 인셀 터치 표시 장치 |
TWI761293B (zh) | 2017-03-28 | 2022-04-11 | 日商日東電工股份有限公司 | 附黏著劑層之偏光薄膜 |
KR20240042201A (ko) * | 2017-03-28 | 2024-04-01 | 닛토덴코 가부시키가이샤 | 인셀형 액정 패널에 사용하는 점착제층을 구비한 편광 필름 |
JP2019045612A (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-22 | 凸版印刷株式会社 | 調光フィルム、及びそれを用いた調光装置 |
KR102131995B1 (ko) | 2018-06-29 | 2020-07-08 | 주식회사 엘지화학 | 자외선 차단 필름 |
JP2020012994A (ja) | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 三菱電機株式会社 | 保護板および表示装置 |
JP6792660B2 (ja) * | 2019-03-04 | 2020-11-25 | 住友化学株式会社 | 光学積層体及びその製造方法 |
JPWO2023276310A1 (ja) * | 2021-06-29 | 2023-01-05 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH115271A (ja) * | 1997-04-24 | 1999-01-12 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 耐候性樹脂被覆金属板 |
JP2002121307A (ja) * | 2000-10-16 | 2002-04-23 | Asahi Glass Co Ltd | ハードコート層を有する芳香族ポリエステル樹脂成形体 |
JP5672473B2 (ja) * | 2010-04-09 | 2015-02-18 | 三菱レイヨン株式会社 | 活性エネルギー線硬化性被覆材組成物及び積層体 |
KR101563794B1 (ko) * | 2010-11-15 | 2015-10-27 | 코니카 미놀타 가부시키가이샤 | 하드 코트 필름 및 화상 표시 장치 |
JP5779939B2 (ja) * | 2011-03-29 | 2015-09-16 | 大日本印刷株式会社 | ハードコートフィルム及びそれを用いたハードコート樹脂成型体 |
JP2014089269A (ja) * | 2012-10-29 | 2014-05-15 | Dainippon Printing Co Ltd | インセルタッチパネル液晶素子の前面用の光学積層体及びインセルタッチパネル液晶表示装置、並びにそれらの製造方法 |
-
2014
- 2014-12-05 JP JP2014246861A patent/JP6485022B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016107498A (ja) | 2016-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6485022B2 (ja) | 表面保護フィルム | |
JP7251573B2 (ja) | 光学積層体及びその製造方法、前面板、並びに画像表示装置 | |
JP5471249B2 (ja) | 偏光板保護フィルム、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP6617985B2 (ja) | 偏光板、画像表示装置、および画像表示装置における明所コントラストの改善方法 | |
JP6136526B2 (ja) | インセルタッチパネル液晶素子の前面用の光学積層体及びこれを用いたインセルタッチパネル型液晶表示装置 | |
JP6136527B2 (ja) | インセルタッチパネル液晶素子の前面用の光学積層体及びこれを用いたインセルタッチパネル型液晶表示装置 | |
JP6127447B2 (ja) | 光学積層体、並びにこれを用いた表示素子の前面板、表示装置、抵抗膜式タッチパネル及び静電容量式タッチパネル | |
JP2011028245A (ja) | 偏光板、複合偏光板および液晶表示装置 | |
KR20150034631A (ko) | 편광판, 화상 표시 장치, 및 화상 표시 장치에 있어서의 명소 콘트라스트의 개선 방법 | |
KR20210143822A (ko) | 반사 방지용 원편광판 및 그것을 이용한 화상 표시 장치 | |
JP6874406B2 (ja) | 光学積層体、これを有する前面板及び画像表示装置 | |
JP7385380B2 (ja) | 位相差層およびハードコート層付偏光板の製造方法 | |
JP6521007B2 (ja) | 偏光板、画像表示装置、および画像表示装置における明所コントラストの改善方法 | |
KR20220012288A (ko) | 화상 표시 장치의 제조 방법 및 편광자 전사용 적층체 | |
JP7046127B6 (ja) | 光学積層体および該光学積層体の位相差層付偏光板を含む画像表示装置 | |
KR102678226B1 (ko) | 광학 적층체 및 그의 제조 방법, 전면판, 그리고 화상 표시 장치 | |
KR20240107352A (ko) | 광학 적층체 및 그의 제조 방법, 전면판, 그리고 화상 표시 장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171030 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180622 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180703 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180822 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190204 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6485022 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |