JP6485022B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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本発明は、表面保護フィルム、並びにこれを用いた表示素子の前面板及び表示装置に関する。
液晶表示装置等の画像表示装置には、該表示装置の表面の傷つき防止、あるいは製造工程中に生じうる各種部材の傷つき防止等を目的として、表面保護フィルムが用いられている。表面保護フィルムは、例えば、各種画像表示装置の表示素子上に設置される前面板の表面保護の他、該前面板を構成する偏光子等の各種部材の表面を保護するフィルムとしても用いられる。該表面保護フィルムは、少なくとも基材とハードコート層等の表面保護層とを有しており、その要求性能に応じて、紫外線吸収能、防汚機能、反射防止等の各種機能を付与したものが開発されている。
このうち、紫外線カット機能を付与した表面保護フィルムとして、基材と、紫外線硬化性樹脂組成物からなる表面保護層とを有するフィルムが知られている。該フィルムは、画像表示装置及びこれを構成する各部材の表面保護目的の他、外光あるいは光源からの紫外線を吸収し、画像表示装置を構成する各部材の紫外線劣化を防止する目的で用いられている。
上記表面保護フィルムとしては、基材に紫外線吸収剤を添加するなどして基材側に紫外線カット機能を付与したものや(特許文献1、2)、表面保護層側に紫外線吸収剤を添加して紫外線カット機能を付与したものが知られている(特許文献3)。
特開2013−20114号公報 特開2012−72235号公報 特開2009−6513号公報
しかしながら、基材の種類によっては、紫外線吸収剤を添加することが難しい場合がある。また、基材と、ハードコート層をはじめとする表面保護層とを有する表面保護フィルムは、通常表面保護層が画像表示装置の表面側(観察者側)となるように設けられる。したがって、特許文献1、2に開示されたフィルムよりも、表面保護層側に紫外線カット機能を付与したフィルムの方が、外光紫外線からの保護の点からは有利である。
そこで、本発明者らは表面保護層側に紫外線カット機能を付与した表面保護フィルムの開発を行っている。紫外線カット機能の点からは、表面保護層の波長380nmにおける透過率が10%以下、好ましくは8%以下であることが望まれる。また、視認性の観点からは、表面保護フィルムは無色である(すなわち、可視光領域における吸収が少ない)ことが望ましいが、波長380nm付近に強い吸収を有する紫外線吸収剤を用いると表面保護層が黄色に着色する場合がある。特許文献3に開示されたハードコートフィルムは波長380nmにおける透過率は低いものの、着色の有無については言及されていない。
一方、可視光領域の吸収が少ない紫外線吸収剤は、波長380nm以下における紫外線吸収能も低い場合があり、これを補うために紫外線吸収剤の使用量を多くすると、表面保護層の硬度が低下する傾向がある。以上のように、紫外線カット機能、低着色性、及び高硬度というすべての特性を満たす表面保護フィルムを得ることは困難であった。
また、近年、スマートフォンを代表する携帯液晶端末、及びその他液晶表示装置には、タッチパネル機能が搭載されている。このようなタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置は、従来は液晶表示装置上にタッチパネルを取り付けた外付け型が主流であった。
外付け型は、液晶表示装置とタッチパネルとを別々に製造した後に一体化するため、いずれか一方に不良があっても片方は利用可能であり、歩留まりに優れるものであるが、厚みや重さが増えるという問題があった。
このような問題を解消するものとして、液晶表示装置の液晶素子と偏光板との間にタッチパネルを組み込んだ、いわゆるオンセル型の液晶表示装置が登場している。そして、さらに近年では、オンセル型よりもさらに厚みや重さを低減するものとして、タッチ機能を液晶素子の中に組み込んだ、いわゆるインセル型の液晶表示装置が開発され始めている。
インセル型の液晶表示装置は、全体構成のうち、タッチ機能を組み込んだ液晶素子の部分に関しては十分な薄型化が検討されている。しかし、液晶素子上に設置する前面板については、十分な薄型化は検討されていなかった。
インセル型の液晶表示装置は、タッチ機能を組み込んだ液晶素子上に、種々の機能を有するフィルム等を接着層を介して貼り合わせた前面板を設置した構成からなっている。種々の機能を有するフィルム等とは、例えば、位相差板、偏光子、偏光子の保護フィルム、及び表面保護部材が挙げられる。
偏光子の保護フィルムとしては、光学異方性のないトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。しかしながら、TACフィルムは偏光子を保護する目的でのみ用いられており、前面板の光学的機能の観点からはTACフィルムを省略してもよい。そこで、前述の表面保護部材が偏光子の保護フィルムを兼ねる構成とすることで、TACフィルム、及びこれを他の層と貼り合わせるための粘着層を削減し、前面板の薄型化を図る検討が行われている。
ここで、TACフィルムには通常紫外線吸収剤が添加されているため、TACフィルムよりも内側(液晶素子側)に設けられている偏光子等の紫外線劣化を防止するという機能も有している。したがってTACフィルムを削減するには、別途、偏光子よりも外側(観察者側)に設けられる他の層に、紫外線カット機能を付与する必要がある。
そこで、前記偏光子の保護フィルム及び表面保護部材を兼ね備えるフィルムとして、前述のような紫外線カット機能を有する表面保護フィルムを用いれば、TACフィルム及び粘着層を削減し、前面板及びこれを用いた表示装置を薄型化することが可能となる。
本発明は、高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ偏光子等の部材の表面を保護するのに十分な耐擦傷性を有する表面保護フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、基材フィルムと表面保護層とを有する表面保護フィルムにおいて、該表面保護層を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物に特定の紫外線吸収剤を組み合わせて用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、基材フィルムと表面保護層とを有する表面保護フィルムであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすことを特徴とする表面保護フィルムに関するものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
また、本発明は、偏光板と、上記表面保護フィルムとを有する表示素子の前面板、及び、該前面板を有する表示装置に関するものである。
本発明の表面保護フィルムは、高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ偏光子等の部材の表面を保護するのに十分な耐擦傷性を有しており、液晶表示装置等の画像表示装置の前面板を構成する部材として好適に用いられる。
また、本発明の表面保護フィルムは上記性能を有することから、表示素子上に設置される前面板に用いられる偏光子の保護フィルム及び表面保護部材としての機能を兼ね備える。したがって、本発明の表面保護フィルムを用いることで構成部材を削減し、前面板及び表示装置を薄型化することができる。特に、本発明の表面保護フィルムはインセルタッチパネル液晶表示装置をはじめとするインセル型の液晶表示装置に好適に用いられる。
本発明の表面保護フィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明の前面板の一実施形態を示す断面図である。
[表面保護フィルム]
本発明の表面保護フィルムは、基材フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
<基材フィルム>
本発明の表面保護フィルムに用いられる基材フィルムとしては、光透過性を有する基材フィルム(以下、「光透過性基材フィルム」ともいう。)が好ましい。光透過性基材フィルムとしては、従来公知の光学フィルムに用いられている樹脂基材等が挙げられる。光透過性基材フィルムの全光線透過率は通常70%以上であり、85%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率は、紫外可視分光光度計を用い、室温、大気中で測定することができる。
光透過性基材フィルムを構成する材料としては、アセチルセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。上記のうち、経済性及び加工性の観点から、アセチルセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。
上記基材フィルムは、光学異方性を有することがより好ましい(以下、光学異方性を有する基材フィルムを「光学異方性基材」ともいう)。光学異方性基材は偏光子から出射される直線偏光を乱す性質を有するので、偏光子から直線偏光が出射される構成を有する画像表示装置(例えば液晶表示装置)の場合、その表示画面を偏光サングラスで観察した際に、直線偏光と偏光サングラスの角度によって表示画面が視認できなくなることを防止できる。
光学異方性基材としては、リタデーション値3000〜30000nmのプラスチックフィルム(以下、「高リタデーションフィルム」ともいう)又は1/4波長位相差のプラスチックフィルム(以下、「1/4波長位相差フィルム」ともいう)等が挙げられる。光学異方性基材が高リタデーションフィルム又は1/4波長位相差フィルムであると、液晶画面等の表示画面を偏光サングラスで観察した際に、表示画面に色の異なるムラ(以下、「ニジムラ」ともいう)が生じることを防止し得る。ニジムラは表示画面を斜めから観察したときに特に目立つものであるが、基材フィルムとして上記フィルムを用いることにより、ニジムラを防止することができる。偏光子から出射された光が高リタデーションフィルムに入射すると、該フィルムを通る光は波長による位相差変動が極端に大きくなるため、表示画面を偏光サングラスを通して見た際のニジムラを視認し難くするという効果を奏する。また1/4波長位相差フィルムは、偏光子から出射された直線偏光を円偏光に変換する性質を有するためニジムラを防止できる。
光学異方性を有する高リタデーションフィルム又は1/4波長位相差フィルムは、偏光子から直線偏光が出射される画像表示装置の表面保護フィルムの基材フィルムとして好適である。これについて、インセルタッチパネル型液晶表示素子等に用いられる前面板を例として説明する。
上記前面板は、位相差板、偏光子、偏光子の保護フィルム、及び表面保護部材を有しており、偏光子の保護フィルムとしては通常TACフィルムが用いられている。しかしながらTACフィルムは光学異方性を有していないため、前述のような偏光サングラスを通しての視認性やニジムラを改善するためには、視認性等向上のための機能層を別途設ける必要がある。したがって、これにより前面板の厚みが増すことになる。
そこで、光学異方性を有する高リタデーションフィルム又は1/4波長位相差フィルムを表面保護フィルムの基材フィルムとして用い、これを前面板の表面保護部材として採用すると、インセルタッチパネル型液晶表示素子等に用いられる各種前面板において、表面保護特性を付与し、かつ別途視認性等の改善のための機能層を設ける必要がないため、従来の構成と比較して薄型化を図ることができるものである。
リタデーション値3000〜30000nmの高リタデーションフィルムは、リタデーション値を3000nm以上とすることにより、表示画面を偏光サングラスで観察した際に、表示画面にニジムラが生じることを防止できる。なお、リタデーション値を上げすぎてもニジムラ改善効果の向上が見られなくなるため、リタデーション値を30000nm以下とすることにより、膜厚を必要以上に厚くすることを防止できる。
高リタデーションフィルムのリタデーション値は、6000〜30000nmであることが好ましい。
なお、上述したリタデーション値は、波長589.3nm前後の波長に対して満たしていることが好ましい。
リタデーション値(nm)は、プラスチックフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、プラスチックフィルムの厚み(d)(nm)とにより、以下の式によって表されるものである。
リタデーション値(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーション値は、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長589.3nm)することができる。
あるいは、上記リタデーション値は、2枚の偏光板を用いて、基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率差計(株式会社アタゴ製、NAR−AT)によって求め、大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。このようにして求めた屈折率差(nx−ny)に、電気マイクロメータ(アンリツ株式会社製)を用いて測定した厚みを掛けて、リタデーション値が得られる。
なお、本発明では、上記nx−ny(以下、「Δn」という場合もある)は、0.05以上が好ましく、0.07以上がより好ましく、0.10以上が更に好ましい。Δnが0.05以上であれば、基材フィルムの厚みが薄くても高いリタデーション値を得ることができるので、前述のニジムラ抑制及び薄型化を両立することができる。
高リタデーションフィルムを構成する材料としては、前記光透過性基材フィルムとして例示したものを用いることができる。これらの中でもポリエステル系樹脂が好ましく、その中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましい。
高リタデーションフィルムは、例えば、上記PET等のポリエステル系樹脂からなる場合、材料のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施すことにより得ることができる。横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、3.0〜5.5倍がより好ましい。延伸倍率を2.5倍以上とすることにより、延伸張力を大きくでき、得られるフィルムの複屈折が大きくなり、リタデーション値を3000nm以上にすることができる。また、横延伸倍率を6.0倍以下とすることにより、フィルムの透明性の低下を防止することができる。
上述した方法で作製した高リタデーションフィルムのリタデーション値を3000nm以上に制御する方法としては、延伸倍率や延伸温度、作製する高リタデーションフィルムの膜厚を適宜設定する方法が挙げられる。具体的には、例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、また、膜厚が厚いほど、高いリタデーション値を得やすくなる。
光学異方性基材のうち、1/4波長位相差のプラスチックフィルムとしては、550nmの位相差が137.5nmである正1/4波長位相差フィルムを用いることができるが、550nmの位相差が80〜170nmである、略1/4波長位相差フィルムを用いることもできる。これら正1/4波長位相差フィルム及び略1/4波長位相差フィルムは、偏光サングラスで観察した際に、液晶表示装置の表示画像にニジムラが生じることを防止することができること、及び高リタデーションフィルムに比べて、膜厚を薄くできる点で好適である。
1/4波長位相差フィルムは、プラスチックフィルムを1軸や2軸等で延伸処理したり、プラスチックフィルム中あるいはプラスチックフィルム上に設ける層の中で、液晶材料を規則的に配列させたりすることにより形成することができる。プラスチックフィルムとしては例えば、ポリカーボネートやポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、酢酸セルロース系ポリマーポリアミド、シクロオレフィン系ポリマー等からなるものを用いることができる。これらの中でも、延伸工程で1/4波長位相差を与えられる製造工程の容易さの観点からプラスチックフィルムを延伸処理したものが好ましく、特にポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマーやポリエステルフィルムを延伸処理したものが好ましい。
なお、正1/4波長位相差フィルムは、公知技術の範囲で延伸倍率や延伸温度、膜厚を適宜調整することにより得ることができる。正1/4波長位相差フィルムとしては、JSR株式会社製のアートン、株式会社日本ゼオン製のゼオノア、帝人化成株式会社製のピュアエースWR等が挙げられる。
略1/4波長位相差フィルムは、正1/4波長位相差フィルムの製造の応用により得ることができる。例えば、延伸倍率を上げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を大きくすること等により、550nmの位相差が大きくなる方向に動き、延伸倍率を下げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を小さくすること等により、550nmの位相差が小さくなる方向に動く。
基材フィルムの厚みは、強度、加工適性、及び本発明の表面保護フィルムを用いる前面板及び表示装置の薄型化の観点から、4〜200μmの範囲が好ましく、4〜170μmがより好ましく、4〜135μmが更に好ましく、4〜100μmがより更に好ましい。
なお、基材フィルムが高リタデーションフィルムである場合、厚みは60〜200μmが好ましく、60〜170μmがより好ましく、60〜135μmが更に好ましい。
また、基材フィルムが1/4波長位相差フィルムである場合、厚みは4〜200μmが好ましく、4〜135μmがより好ましく、4〜70μmが更に好ましい。
本発明の表面保護フィルムの基材フィルムとして好ましく用いられるポリエステル系樹脂フィルムには、紫外線吸収剤を添加することが難しいという問題もある。そこで本発明の表面保護フィルムは、以下に記載する表面保護層に紫外線吸収剤を添加した構成としている。
<表面保護層>
表面保護層は、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。すなわち、上記電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを少なくとも含むものである。電離放射線硬化性樹脂組成物は、後述するように電離放射線硬化性化合物以外の、熱可塑性樹脂等の樹脂成分を含んでいてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
(電離放射線硬化性化合物)
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性化合物は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、重合性モノマーであることが好ましい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限はなく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。また、上記(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
これらの(メタ)アクリレート系モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレート系モノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6、更に好ましくは3〜6である。
多官能(メタ)アクリレート系モノマーの分子量は、表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、1,000未満が好ましく、200〜800がより好ましい。
本発明では、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、電離放射線硬化性化合物として多官能の重合性モノマーを用いることが好ましく、前述の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを用いることがより好ましい。また、上記と同様の観点から、電離放射線硬化性化合物中の多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は50〜100質量%が好ましく、65〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%が更に好ましい。
電離放射線硬化性化合物は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、上記重合性モノマーのみで構成されることが好ましいが、重合性オリゴマーを併用してもよい。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく使用される。この(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性及び表面保護層の耐擦傷性を向上させる観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
また、多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜15,000であることがより好ましい。なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算により求めた値である。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、更にその他の樹脂成分として熱可塑性樹脂を含むこともできる。電子放射線硬化性化合物と熱可塑性樹脂を併用することにより、基材フィルム等との接着性の向上や塗布膜の欠陥を有効に防止できるためである。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を好ましく挙げられる。これらの樹脂は、非結晶性であり、かつ溶剤に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性などの観点から、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などが好ましく、(メタ)アクリル樹脂がより好ましく、ポリメチルメタクリレートが更に好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、分子中に反応性官能基を有さないことが好ましい。分子中に反応性官能基を有すると、硬化収縮量が大きくなり、表面保護層の基材フィルムへの接着性が低下するおそれがあるためである。なお、反応性基としては、アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する官能基、エポキシ環、オキセタン環等の環状エーテル基、ラクトン環等の開環重合基、ウレタンを形成するイソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの反応性官能基は、表面保護層の基材フィルムへの接着性を阻害しない程度であれば含まれていてもよい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アシルホスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(紫外線吸収剤)
本発明に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物は、表面保護フィルムの表面保護層の着色を抑制しつつ、紫外線カット機能を付与するため、分子量1,000未満の紫外線吸収剤(以下「低分子型紫外線吸収剤」ともいう)と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤(以下「高分子型紫外線吸収剤」ともいう)とを含む。
低分子型紫外線吸収剤は紫外線吸収能が高いため比較的使用量が少なくてよいが、可視光領域、特に波長390〜420nm付近にも強い吸収を有するものが多く、表面保護層が黄色に着色しやすい。これに対し高分子型紫外線吸収剤は着色が少ない反面、低分子型紫外線吸収剤よりも紫外線吸収能が低く、これを補うために多量に添加すると表面保護層の硬度が低下するという問題がある。本発明では、電離放射線硬化性樹脂組成物において低分子型紫外線吸収剤と高分子型紫外線吸収剤とを併用することで、高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ偏光子等の部材の表面を保護するのに十分な耐擦傷性を有する表面保護フィルムを得ることができる。
〔低分子型紫外線吸収剤〕
本発明に用いられる低分子型紫外線吸収剤は、分子量1,000未満であり、下記式(1)を満たすものである。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
上記式(1)で示される透過率比は、可視光領域と紫外光領域との境界付近における透過率のコントラストを表し、この値が大きいほど好ましい。すなわち、可視光領域の短波長側である波長390nmでは、透過率が高い方が視認可能な着色が少ないため好ましく、一方、紫外光領域の長波長側である波長380nmでは、透過率が低い方が紫外線吸収能が高いため好ましい。
低分子型紫外線吸収剤の上記式(1)で示される透過率比が1.40未満であると、得られる表面保護フィルムは、紫外線カット機能は高いが着色が著しいものか、着色は少ないが紫外線カット機能が低いものとなり、紫外線カット機能と低着色性とを両立できない。表面保護フィルムの紫外線カット機能と低着色性とを両立させる観点から、上記式(1)で示される透過率比は、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上である。
低分子型紫外線吸収剤の式(1)で示される透過率比は、以下のように測定できる。波長380〜750nm付近に吸収のない多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート)100質量部に対し、低分子型紫外線吸収剤を6質量部の濃度となるように溶解させ、さらに光重合開始剤を添加して、波長350〜750nm付近に吸収のないガラス基板等に塗布して乾燥厚み4〜5μmの塗膜を形成する。次いで、該塗膜に紫外線を照射して厚み4〜5μmの均一な硬化膜を形成し、得られたサンプルを用いて、紫外可視分光光度計で波長380nm及び390nmの透過率を測定する。該透過率比は、より具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
また、低分子型紫外線吸収剤は、低着色性の観点から、波長390nm超750nm以下の可視光領域における吸収が少ない方が好ましい。具体的には、低分子型紫外線吸収剤は、表面保護フィルムの紫外線カット機能と可視光領域での低着色性とを両立させる観点から、更に下記式(1a)を満たすものであることが好ましい。下記式(1a)で示される透過率比は、より好ましくは1.80以上、更に好ましくは2.00以上である。
(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.50 ・・・(1a)
低分子型紫外線吸収剤の式(1a)で示される透過率比は、前記式(1)の場合と同様の方法で波長380nm及び580nmの透過率を測定することにより求められる。
本発明に用いられる低分子型紫外線吸収剤は、少なくとも上記式(1)で示される透過率比を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾオキサジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。
中でも、紫外線吸収性の観点から、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上が好ましく、紫外線吸収性、電離放射線硬化性化合物への溶解性等の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明に用いられる好ましい低分子型紫外線吸収剤としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物や、下記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物が挙げられる。
(一般式(1)及び(2)中、R〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、水酸基又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよいベンジル基、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
(一般式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数1〜18のアルキルオキシ基を示す。)
上記のうち、ベンゾトリアゾール系化合物は、一般式(1)で表されるものがより好ましく、一般式(1)のR及びRがそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基であるものが更に好ましい。
低分子型紫外線吸収剤の分子量は、紫外線吸収能の観点から1,000未満であり、紫外線吸収能及び樹脂組成物への溶解性の観点から、分子量は200〜900が好ましく、300〜800がより好ましい。上記分子量範囲の紫外線吸収剤は高い紫外線吸収能を有するため、使用量が少なくても十分な紫外線吸収性を発現する。したがって、低分子型紫外線吸収剤を用いることにより、耐擦傷性を損なうことなく、紫外線カット効果に優れる表面保護フィルムを得ることができる。
本発明に用いられる好ましい低分子型紫外線吸収剤の市販品としては、KEMISORB71D(ケミプロ化成株式会社製、下記構造式(1−1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物)、JF−80(城北化学工業株式会社製、下記構造式(2−1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物)、Tinuvin477(BASF社製、一般式(3)の範囲に含まれるトリアジン系化合物)、Tinuvin460(BASF社製、下記構造式(3−1)で示されるトリアジン系化合物)等が挙げられる。これらはいずれも上記式(1)で示される透過率比を満たすものである。
〔高分子型紫外線吸収剤〕
本発明に用いられる高分子型紫外線吸収剤は重量平均分子量1,000以上であり、表面保護フィルムの紫外線カット機能と低着色性とを両立させる観点から、好ましくは下記式(2)を満たすものであり、下記式(2)及び(2a)を満たすものがより好ましい。
(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧2.00 ・・・(2)
(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧3.00 ・・・(2a)
上記式(2)で示される透過率比は、より好ましくは2.50以上、更に好ましくは3.00以上である。また、上記式(2a)で示される透過率比は、より好ましくは3.50以上、更に好ましくは4.00以上である。
高分子型紫外線吸収剤の式(2)及び(2a)で示される透過率比は、例えば、波長350〜750nm付近に吸収のないガラス基板等の上に高分子型紫外線吸収剤の乾燥厚み4〜5μmの塗膜を形成し、紫外可視分光光度計で波長380nm、390nm、580nmの透過率を測定することにより求められる。該透過率比は、より具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
また、高分子型紫外線吸収剤は、可視光領域での低着色性の観点から、波長390nm超750nm以下の可視光領域における吸収が少ない方が好ましい。より具体的には、前記式(2)で示される透過率比と同様の方法で測定した、波長390nm超750nm以下の範囲の透過率の最小値が厚み4〜5μm換算で50%以上であることが好ましい。
高分子型紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性基を有するポリマーが挙げられ、例えば、紫外線吸収性単量体と、その他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。上記紫外線吸収性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、ベンゾオキサジン骨格などを含有する化合物が挙げられる。また、上記その他の単量体としては、上記紫外線吸収性単量体と共重合可能な単量体であればよく、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる高分子型紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール基を有する紫外線吸収剤が好ましい。該紫外線吸収剤としては、例えば、下記一般式(4)で表される紫外線吸収剤が挙げられる。
(一般式(4)中、R10〜R12はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R13は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ベンジル基、又はアリール基を示す。R14及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。a、b、cはいずれも一般式(4)に示される各構成単位のモル比を示し、a+b+c=1である。a及びbは0以上の数を示し、cは0以外の数を示す。)
なお、紫外線吸収能の観点から、一般式(4)において、cは好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましい上限値は0.8である。
本発明に用いられる高分子型紫外線吸収剤は重量平均分子量1,000以上であり、紫外線吸収能及び樹脂組成物への溶解性の観点から、重量平均分子量は150,000以下が好ましく、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000が更に好ましい。上記分子量範囲の紫外線吸収剤は着色が少ないため、紫外線カット機能を付与するために使用量を多くしても、着色の少ない表面保護フィルムを得ることができる。重量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算により求めた値である。
本発明に用いられる好ましい高分子型紫外線吸収剤の市販品としては、バナレジンUVA−5080(新中村化学工業(株)製)、UVA1935LH(BASF製)等(いずれもベンゾトリアゾール基を有する)が挙げられる。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分及び紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分50〜90質量%と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤10〜50質量%とからなる混合物100質量部に対し、分子量1,000未満の紫外線吸収剤を3〜9質量部含むことが好ましい。ここでいう「樹脂成分」には、電離放射線硬化性化合物の他、紫外線吸収剤以外の樹脂(前述した熱可塑性樹脂等)も含まれる。
上記混合物中、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と高分子型紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、表面保護層としての十分な耐擦傷性を保持しながら、紫外線カット機能を付与できる。また、低分子型紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、紫外線カット機能を付与しつつ、着色の少ない表面保護層とすることができる。
上記混合物中、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分の含有量は、表面保護層の耐擦傷性及び紫外線カット機能の観点から、より好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは60〜80質量%、より更に好ましくは65〜80質量%である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の低分子型紫外線吸収剤の含有量は、上記混合物100質量部に対し、より好ましくは4〜8質量部、更に好ましくは5〜8質量部である。
また、当該樹脂成分中の電離放射線硬化性化合物の含有量は、表面保護層としての十分な耐擦傷性を保持する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
(光反射性微粒子)
電離放射線硬化性樹脂組成物は、所望により、更に光反射性微粒子を含んでいてもよい。光反射性微粒子は紫外線を透過しないため、表面保護層が光反射性微粒子を含むものであると、紫外線カット機能が更に向上する。
このような光反射性微粒子としては特に限定されず、例えば、金属微粒子、金属酸化物微粒子、及び、コア微粒子の表面に光反射性被覆層を形成したコーティング微粒子等が好適に用いられる。
金属微粒子を構成する金属としては、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Fe、Ni、Pd、Pt等が挙げられる。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化錫(SnO)、酸化アンチモン(Sb)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、フッ素化酸化スズ(FTO)、ZnO等が挙げられる。
コーティング微粒子としては、例えば、コア微粒子の表面に光反射性被覆層が形成された構成の従来公知の微粒子が挙げられる。コア微粒子としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ微粒子、酸化ケイ素微粒子等の無機微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等のポリマー微粒子、有機質無機質複合体粒子等の微粒子が挙げられる。また、光反射性被覆層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した金属又はこれらの合金や、上述した金属酸化物等が挙げられる。
本発明に用いられる光反射性微粒子は、導通性を有する導通微粒子であってもよい。導通微粒子とは、該導通微粒子を含む表面保護層と、他の導電層との間の導通を取る役割を果たす微粒子をいう。「他の導電層」としては、後述する帯電防止層等が挙げられる。すなわち、導通微粒子を含む表面保護層(以下、「導通性表面保護層」ともいう)は、基材フィルムと表面保護層との間に後述する帯電防止層を有する場合に好ましく設けられる。
このような導通微粒子としては特に限定されず、前記光反射性微粒子と同様のものを例示することができる。なお、帯電防止層等の他の導電層からの導通を良好にする観点から、導通微粒子は金メッキ微粒子であることが好ましい。
光反射性微粒子の平均粒子径は、1〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましく、2〜8μmであることが更に好ましい。平均粒子径が1μm以上であれば表面保護層の耐擦傷性を低下させることがなく、15μm以下であれば、表面保護層の厚みを薄くし、薄型化を図ることができる。
なお本明細書において、光反射性微粒子を含む表面保護層の場合の「表面保護層の厚み」とは、層から突出した微粒子を含まない部分の厚みを意味する(図1のx)。
光反射性微粒子が導通微粒子である場合には、その平均粒子径は、導通性表面保護層の表面と帯電防止層等の他の導電層との間の導通を取るため、表面保護層の厚みと同等か、これを超える大きさであることが好ましい。具体的には、導通微粒子の平均粒子径は、表面保護層の厚みに対し50〜150%であることが好ましく、70〜120%であることがより好ましく、85〜115%であることが更に好ましい。表面保護層の厚みに対する導通微粒子の平均粒子径を50%以上とすることにより帯電防止層からの導通を良好にすることができ、150%以下とすることにより導通微粒子が表面保護層から脱落することを防止できる。
光反射性微粒子は、表面保護層中で非凝集粒子、凝集粒子のいずれの状態で存在していてもよい。ここで、光反射性微粒子の平均粒子径は、以下の(1)〜(3)の作業により算出できる。
(1)表面保護フィルムの断面を透過型子顕微鏡(TEM)又は走査型透過電子顕微鏡(STEM)で撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
光反射性微粒子の含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分及び重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤の合計量100質量部に対して、0.5〜4.0質量部であることが好ましく、0.5〜3.0質量部であることがより好ましい。光反射性微粒子の含有量を0.5質量部以上とすることにより紫外線カット機能を付与することができ、光反射性微粒子が導通微粒子である場合には、後述する帯電防止層等の導電層からの導通を良好にすることができる。また、該含有量を4.0質量部以下とすることにより表面保護層の被膜性及び耐擦傷性の低下を防止できる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、その他の各種添加成分として、耐摩耗剤、艶消剤、耐傷フィラー等の充填剤、離型剤、分散剤、レベリング剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)等を含有させることができる。
(表面保護層の形成方法)
表面保護層は、基材フィルム上に、硬化後に所望の厚みとなる量の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥を行った後、電離放射線を照射して硬化することにより形成することができる。基材フィルム上に後述する帯電防止層等の他の層を設ける場合には、該層の上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、同様に乾燥、硬化して表面保護層を形成すればよい。
例えば、前記の電離放射線硬化性化合物、紫外線吸収剤、及び必要に応じ用いられる光反射性微粒子、その他の各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。このようにして調製された塗工液を、基材フィルム上又は基材フィルム上に設けられた層上に、ダイコート、バーコート、ロールコート、スリットコート、スリットリバースコート、リバースロールコート、グラビアコート等により塗布し、必要に応じて乾燥させて未硬化樹脂層を形成する。
次いで、該未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
表面保護層の厚みは、表面保護フィルムの用途や要求特性に応じて適宜選択できるが、耐擦傷性、加工適性、及び本発明の表面保護フィルムを用いる表示装置の薄型化の観点からは、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましく、2〜10μmが更に好ましい。表面保護層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kVとすることが好ましく、STEMの観察倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
<帯電防止層>
本発明の表面保護フィルムは、少なくとも基材フィルムと表面保護層とを有していればよいが、特にインセルタッチパネルに用いる場合には、基材フィルムと表面保護層との間に、更に帯電防止層を有することが好ましい。
インセルタッチパネルにおいて、帯電防止層は、従来の外付け型やオンセル型において導電性部材として働いていたタッチパネルの代替的役割を有する。帯電防止層を有する表面保護フィルムを用いると、帯電防止層は液晶素子より観察者側に位置することになるので、タッチパネルにタッチした際に発生した静電気を逃がすことができ、該静電気により液晶画面が部分的に白濁することを防止できる。また、表面保護フィルム、偏光子及び位相差板を順に積層した前面板とした際に、導通性表面保護層及び帯電防止層が最表面に位置することから、導通性表面保護層又は帯電防止層表面へのアース処理を容易に行うことができる。
帯電防止層は、導電剤及び必要に応じて使用されるバインダー樹脂や希釈溶剤を含む帯電防止層形成用樹脂組成物から形成されてなるものである。
導電剤としては、第4級アンモニウム塩、リチウム塩等のイオン伝導型導電剤、金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボンナノチューブ、コーティング微粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン系粒子等の電子伝導型導電剤が挙げられ、湿度による影響を受けにくい電子伝導型の導電剤が好適に使用される。金属微粒子、金属酸化物微粒子、及びコーティング微粒子については、前述の導通微粒子と同様のものが用いられる。また、電子伝導型導電剤の中でも、長期保管、耐熱性、耐湿熱性、耐光性が良好であるという観点から、金属微粒子及び金属酸化物微粒子から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、アンチモン錫酸化物(ATO)がより好ましい。
電子伝導型導電剤は、平均粒子径が6〜40nmであることが好ましい。6nm以上とすることにより、電子伝導型導電剤どうしが帯電防止層中で接触しやすくなるため、十分な導電性を付与するための導電剤の添加量を抑えることができ、40nm以下とすることにより、透明性やその他の層との間の密着性が損なわれることを防止することができる。電子伝導型導電剤の平均粒子径のより好ましい下限は7nm、より好ましい上限は20nmである。なお、電子伝導型導電剤の平均粒子径は、以下の(1)〜(3)の作業により算出できる。
(1)本発明の光学シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
電子伝導型導電剤は、鎖状又は針状であることが好ましい。このような形状の電子伝導型導電剤は、帯電防止層に変形(硬化収縮あるいは温湿度による伸縮)が多少生じた場合であっても、帯電防止層の表面抵抗率の変動を少なくすることができる。
帯電防止層における電子伝導型導電剤の含有量は、使用する電子伝導型導電剤の種類、形状及び大きさ等に応じて適宜調整されるが、例えば、後述するバインダー樹脂100質量部に対して、100〜400質量部であることが好ましい。100質量部以上とすることにより、帯電防止層の表面抵抗率を2.0×10Ω/□以下にしやすくでき、400質量部以下とすることにより、帯電防止層の表面抵抗率を1.0×10Ω/□以上にしやすくできる。
なお、電子伝導型導電剤の含有量のより好ましい下限は150質量部であり、より好ましい上限は350質量部である。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂が挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いることができる。バインダー樹脂は接着性を有するものであってもよく、接着性を有する場合、別途接着層を形成することなく、インセルタッチパネル液晶素子に貼り合わせることができる。バインダー樹脂の中でも熱可塑性樹脂は、帯電防止層の変形(硬化収縮あるいは温湿度による伸縮)を原因とする表面抵抗率の変化を起こりづらくでき、帯電防止層の表面抵抗率に経時安定性を付与できる点で好適である。
熱可塑性樹脂は、分子中に反応性官能基を有さないことが好ましい。分子中に反応性官能基を有すると、該反応性官能基が反応して帯電防止層に硬化収縮が生じ、表面抵抗率が変化してしまうことがある。なお、反応性基としては、アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する官能基、エポキシ環、オキセタン環等の環状エーテル基、ラクトン環等の開環重合基、ウレタンを形成するイソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの反応性官能基は、帯電防止層に硬化収縮による表面抵抗率の変化を起こさせない程度であれば含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂は、側鎖を有するものであることが好ましい。側鎖を有する熱可塑性樹脂は、該側鎖が立体障害となって帯電防止層中で動き難くなり、表面抵抗率の経時安定性に優れたものとすることができる。側鎖は、任意の構造を有するものでよいが、分子中に上述した反応性官能基を有さないことが好ましい。
熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80〜120℃であることが好ましい。ガラス転移温度を80℃以上とすることにより、熱可塑性樹脂が柔らかいことを原因とする表面抵抗率の不安定化を防止でき、ガラス転移温度を120℃以下とすることにより、熱可塑性樹脂が硬くなることによるほかの部材との密着性の低下を防止できる。ガラス転移温度のより好ましい下限は90℃、より好ましい上限は110℃である。
熱可塑性樹脂としては、具体的には、電子伝導型導電剤のブリードアウトを防止しやすいといった特性を有することから、ポリメチルメタクリレートが好適に用いられる。
帯電防止層は、2層以上の構成からなるものであってもよい。また、帯電防止層を設ける場合には、表面保護層が前述の導通性表面保護層であることが好ましい。帯電防止層を2層構造とするか、帯電防止層と導通性表面保護層とを有することにより、表面抵抗率が経時的に安定しやすくなる点で好適である。
帯電防止層の表面抵抗率は、1.0×10〜2.0×10Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上であれば、静電容量式タッチパネルに用いた場合、その動作性に悪影響を及ぼすことがない。また、表面抵抗率が2.0×10Ω/□以下であれば、インセルタッチパネルに用いた際に、前述した液晶画面の白濁を効果的に防止することができる。なお、表面保護フィルムが帯電防止層と導通性表面保護層とを有する場合には、導通性表面保護層上で測定した表面抵抗率が上記範囲であることが好ましい。
帯電防止層の厚みは0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.3〜1μmであることが更に好ましい。
また、表面抵抗率の経時安定性の観点から、帯電防止層の厚みは前述の導通性表面保護層の厚みよりも薄くすることが好ましく、[導通性表面保護層の厚み]/[帯電防止層の厚み]の比が、1〜300であることが好ましく、1〜67であることがより好ましく、2〜33であることが更に好ましい。
帯電防止層の厚みは、表面保護層と同様の方法で測定することができる。
帯電防止層は、帯電防止層を構成する組成物及び必要に応じて添加する溶媒等からなる帯電防止層形成用組成物を基材フィルム上に塗布、乾燥し、必要に応じて硬化して形成することができる。
<表面保護フィルムの構成及び特性>
ここで、帯電防止層を有する表面保護フィルムについて、図1を用いて説明する。図1は本発明の表面保護フィルムの実施形態の一例を示す断面模式図である。図1に示す表面保護フィルム1は、基材フィルム2と表面保護層3とを有している。図1の表面保護層3は導通微粒子31を含む導通性表面保護層であり、該表面保護層は導通微粒子31を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。また、基材フィルム2と表面保護層3との間に、帯電防止層4を有する。
図1の構成を有する表面保護フィルムは、特にインセルタッチパネルにおいて好適に用いられる。前述のように、インセルタッチパネルでは、タッチパネルにタッチした際に発生する静電気により、液晶画面が白濁するという現象が起こる。したがってこれを防止するために、上記静電気を逃がす目的で、インセル液晶素子の前面板の任意の位置に帯電防止層を設けることが好ましい。そこで、インセル液晶素子の前面板に図1の表面保護フィルムを用いれば、該前面板に表面保護特性を付与しつつ、帯電防止機能を付与し、静電気に起因する液晶画面の白濁を防止することができる。
この場合、帯電防止層4を有する表面保護フィルムの表面保護層が導通性表面保護層3であると、導通性表面保護層3中の導通微粒子31が、導通性表面保護層3の表面と帯電防止層4との間の導通を取り、帯電防止層に達した静電気を更に厚み方向に流して、表面保護層の表面側(操作者側)に所望の表面抵抗率を付与することができる。
帯電防止層は面方向(X方向、Y方向)及び厚み方向(z方向)への導電性を有しているのに対して、導通性表面保護層は、厚み方向の導電性を有していれば足りる。したがって、導通性表面保護層は面方向の導電性は必ずしも必要ないという点で役割が相違する。
また、帯電防止層4を有する表面保護フィルムにおいては、表面保護層3が紫外線カット機能を有することにより、帯電防止層4の外光紫外線による劣化も防止することができる点で有利である。
表面保護フィルムは、基材フィルムとは反対側の面に、更に機能層を有していてもよい。機能層としては、反射防止層、防眩層、耐指紋層、防汚層、耐擦傷性層、抗菌層等が挙げられる。また、これら機能層は、熱硬化型樹脂組成物又は電離放射線硬化型樹脂組成物から形成されてなるものが好ましく、電離放射線硬化型樹脂組成物から形成されてなるものがより好ましい。
本発明の表面保護フィルムは、波長200〜380nmの紫外光領域において波長380nmにおける透過率が最大であり、かつ波長380nmにおける透過率が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。波長380nmにおける透過率が10%以下であれば紫外線カット機能が良好である。
表面保護フィルムの透過率は、紫外可視分光光度計等により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
[前面板]
本発明の表示素子の前面板は、偏光板と、本発明の表面保護フィルムとを少なくとも有する。偏光板は、少なくとも1層の位相差板と偏光子とから構成されている。図2は本発明の前面板100の一例の断面図であり、位相差板51、偏光子52、及び表面保護フィルム1を順に有する。このような構成を有することで、表示素子の前面板としての必要機能を付与しつつ、薄型化を図ることができる。
図2に示すように、本発明の表面保護フィルム1を偏光板5の偏光子52側と貼り合わせることで、該表面保護フィルムは前面板100の表面保護部材としての機能のほか、偏光子52の表面保護フィルムとしても機能する。ここで、従来、偏光子の保護目的のみで用いていたTACフィルムには通常、紫外線吸収剤が添加されており、TACフィルムよりも内側(表示素子側)に設けられている偏光子等の紫外線劣化を防止するという機能も有している。本発明の表面保護フィルムは紫外線カット機能も有するので、該表面保護フィルムを表示素子の前面板に用いることで、従来用いていたTACフィルム、及びこれを他の層と貼り合わせるのに用いていた粘着層を削減することができ、前面板及び表示装置を薄型化することが可能となる。
なお、本発明の前面板は、具体的には偏光板の偏光子側の面と、表面保護フィルムの基材フィルム側とを貼り合わせることで形成することができる。
<位相差板>
位相差板は、少なくとも位相差層を有する構成からなる。位相差層としては、延伸ポリカーボネートフィルム、延伸ポリエステルフィルム、延伸環状オレフィンフィルム等の延伸フィルムの態様、屈折率異方性材料を含有する層の態様が挙げられる。前者と後者の態様では、リタデーションの制御及び薄型化の観点から、後者の態様が好ましい。
屈折率異方性材料を含有する層(以下、「異方性材料含有層」という場合もある)は、当該層の単独で位相差板を構成するものであっても、樹脂フィルム上に異方性材料含有層を有する構成であってもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、寸法安定性及び光学的安定性の観点から、シクロオレフィン系樹脂が好ましい。
屈折率異方性材料としては、棒状化合物、円盤状化合物及び液晶分子等が挙げられる。
屈折率異方性材料を用いる場合、屈折率異方性材料の配向方向により、種々のタイプの位相差板とすることができる。
例えば、屈折率異方性材料の光軸が異方性材料含有層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を異方性材料含有層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。
また別の態様では、屈折率異方性材料の光軸が異方性材料含有層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を異方性材料含有層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。
またさらには、液晶分子の光軸を異方性材料含有層と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、異方性材料含有層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。
さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を異方性材料含有層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。
またさらに異方性材料含有層は、該層に対して斜めであってもよく、またはその角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
このような種々のタイプの位相差板は、例えば、特開2009−053371号公報に記載の方法により製造することができる。
位相差板は、上述した正もしくは負のCプレートやAプレート、またはハイブリッド配向プレートのいずれか一つのプレートからなるものであってもよいが、これらの1種又は2種以上を組み合わせた二以上のプレートからなるものであってもよい。例えば、インセルタッチパネルの液晶素子がVA方式の場合、正のAプレートと負のCプレートを組み合わせて用いることが好ましく、IPS方式の場合、正のCプレートと正のAプレートや2軸プレートを組み合わせて用いることが好ましいが、視野角を補償できるものであればどの組み合わせでも良く、様々な組み合わせが考えられ、適宜選択することができる。
なお、位相差板を二以上のプレートからなるものとする場合、薄型化の観点から、一つのプレートを延伸フィルムとして、当該延伸フィルム上に異方性材料含有層(他のプレート)を積層する態様が好ましい。
位相差板の厚みは、25〜60μmが好ましく、25〜30μmがより好ましい。なお、位相差板を二以上のプレートからなるものとする場合、一つのプレートを延伸フィルムとして、当該延伸フィルム上に異方性材料含有層(他のプレート)を積層する態様とすることにより、上記厚み範囲内にしやすくできる。
<偏光子>
偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばPVA系フィルムなどを延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したPVA系偏光子、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系偏光子、コレステリック液晶を用いた反射型偏光子、薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられる。これらの中でも、水により接着性を発現し、別途接着層を設けることなく、位相差板や表面保護フィルムを接着することができる、PVA系偏光子が好適である。
PVA系偏光子としては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらの中でも、接着性の観点から、PVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。
PVA系フィルムを構成するPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化してなるものである。
偏光子の厚みは、2〜30μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。
本発明の前面板100は、表面保護フィルム1側に、カバーガラスや、珪素含有膜を有する表面保護フィルム等の表面保護材を有していてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外のフィルムや層を有していてもよい。ただし、薄型化や透明性の観点からは、位相差板、偏光子及び表面保護フィルムは、他の層を介さず積層されていることが好ましい。なお、ここでいう「他の層を介さず積層」とは、完全に他の層の介在を排除する趣旨ではない。例えば、基材フィルムに予め設けられている易接着層のようなごく薄い層までを排除する趣旨ではない。
本発明の前面板の厚みは、用いられる表示装置や層構成により適宜選択できる。インセルタッチパネル液晶表示素子用の前面板の場合は、90〜800μmであることが好ましく、90〜500μmであることがより好ましく、90〜350μmであることが更に好ましい。
前述の構成を有する本発明の前面板は、各種表示素子の前面板として用いることができる。中でも、液晶表示素子の前面板として好適であり、インセルタッチパネル型液晶表示素子の前面板として用いることが好ましい。
インセルタッチパネル型液晶表示素子は、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。なお、インセルタッチパネル液晶素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。
インセルタッチパネル型液晶素子は、例えば、特開2011−76602号公報、特開2011−222009号公報に記載されている。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の前面板を有するものであり、液晶表示装置等が挙げられる。例えば本発明の表示装置として好ましく挙げられるインセルタッチパネル液晶表示装置は、インセルタッチパネル型液晶素子上に、上述した本発明の前面板の位相差板側の面を貼り合わせてなるものである。
インセルタッチパネル型液晶素子と、前面板とは、例えば、接着層を介して貼り合わせることができる。接着層は、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、酢酸ビニル系、塩ビ・酢ビ共重合物、セルロース系等の接着剤を使用することができる。接着層の厚みは10〜25μm程度である。
このような本発明のインセルタッチパネル型液晶表示装置は、本発明の表面保護フィルムを有する前面板を用いることで、前述したように、前面板の構成部材である偏光子の保護及び外光紫外線による劣化防止、並びに、偏光サングラスにより観察した際のニジムラの防止、静電気発生による液晶表示画面の白濁の防止、等の各種の必要機能を満たしつつ、全体の薄型化が可能であるという点で、極めて有用なものである。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例の表面保護フィルムの評価は以下のようにして行った。
[紫外線吸収剤の透過率]
分子量1,000未満の紫外線吸収剤の透過率は以下のようにして測定した。ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)100質量部に対し、分子量1,000未満の紫外線吸収剤6質量部、及び光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)6質量部を添加して溶解させ、塗布液を調製した。これをガラス基板上に均一に塗布し、紫外線を300mJ/cm照射して硬化させ、厚さ4.5μmの均一な硬化膜を形成した。次いで、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて、得られた硬化膜の波長380nm、390nm、及び580nmの透過率を測定した。
また、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤の透過率は、該紫外線吸収剤をガラス基板上に厚さ4.5μmとなるように均一に塗布した後、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて、波長380nm、390nm、及び580nmの透過率を測定した。
[表面保護フィルムの透過率]
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの波長380nmにおける透過率を紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて測定した。
[着色性]
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの着色性(黄色度)は、紫外可視分光光度計「UVPC−2450」((株)島津製作所製)を用いて透過法でb*を測定し、評価した。評価基準は以下のとおりである。b*の値が小さいほど、黄色味が少なく良好な結果であることを示す。
○;透過色相b*≧1.0
×;透過色相b*<1.0
[耐擦傷性]
実施例及び比較例で作製した表面保護フィルムの表面保護層に対し、スチールウール(日本スチールウール(株)製、Bon Star #0)を用いて荷重150gfで10回往復した後の外観を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;表面に全く傷が認められず、表面保護層の剥離や白化はなかった。
○;表面に10本未満のキズはあるが、表面保護層の剥離や白化はなかった。
×;表面に著しい傷があり、表面保護層の剥離や白化が見られた。
実施例1(表面保護フィルムの作製)
[電離放射線硬化性樹脂組成物の調製]
電離放射線硬化性化合物であるペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、PET−30)、重量平均分子量40,000〜60,000のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(新中村化学工業(株)製、UVA−5080)、及び分子量630のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF製、Tinuvin460)を、前記3成分の固形分が順に70質量部、30質量部、6質量部となるようにメチルイソブチルケトン中に添加して攪拌し、溶液aを得た。
次いで、溶液aの固形分100質量部に対して、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(BASF製、イルガキュア184)7質量部、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(BASF製、ルシリンTPO)1.5質量部を添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が40質量%の溶液bを調製した。
次いで、溶液bの固形分100質量部に対し、レベリング剤(DIC(株)製、メガファックRS71)を固形分比で0.4質量部添加して撹拌した。更に、この溶液の固形分100質量部に対し、光反射性微粒子として金メッキ粒子の分散液(DNPファインケミカル(株)製、ブライト分散液、金メッキ粒子の平均粒子径4.6μm、固形分25%)を固形分で2.5質量部添加して攪拌を行い、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
[表面保護層の形成]
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100上に、上記電離放射線硬化性樹脂組成物をスリットリバースコートにより、乾燥後の厚みが4.5μmとなるよう塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜を80℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量300mJ/cmで紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み4.5μmの表面保護層を形成して表面保護フィルムを得た。
得られた表面保護フィルムについて、前記評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2〜6、比較例1〜4
電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性化合物の配合量、及び紫外線吸収剤の種類及び配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製し、前記評価を行った。評価結果を表1に示す。
なお、表1に示す各成分は下記のとおりである。表1に示す質量部は、純分換算での質量部である。
・電離放射線硬化性化合物
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA);日本化薬(株)製、PET−30
・紫外線吸収剤(A−1)
ベンゾトリアゾール系高分子型紫外線吸収剤;新中村化学工業(株)製、UVA−5080、重量平均分子量40,000〜60,000、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)3.50、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)4.61
・紫外線吸収剤(A−2)
ベンゾトリアゾール系高分子型紫外線吸収剤;BASF製、UVA1935LH、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)4.89、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)7.14
・紫外線吸収剤(B−1)
トリアジン系紫外線吸収剤;BASF製、Tinuvin460、分子量630、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)2.06、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)3.04
・紫外線吸収剤(B−2)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;城北化学工業(株)製、JF−80、分子量352、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.60、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)2.01
・紫外線吸収剤(b−1)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;城北化学工業(株)製、JAST−500、分子量500、(波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.30、(波長580nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)1.46
・導通微粒子
金メッキ粒子;DNPファインケミカル(株)製、ブライト分散液、金メッキ粒子の平均粒子径4.6μm、固形分25%
表1から明らかなように、実施例1〜6の表面保護フィルムは、いずれも高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ表面保護層として十分な耐擦傷性を有するものであった。
実施例7(帯電防止層を有する表面保護フィルムの作製)
[帯電防止層形成用組成物の調製]
DNPファインケミカル(株)製の熱可塑性樹脂(HRAGアクリル(25)MIBK、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃)をメチルイソブチルケトン中に溶解させ、さらに日揮触媒化成(株)製のV3560(ATO分散液、ATO平均粒子径8nm)を添加して攪拌し、最終固形分10質量%、熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:300(質量比)となるよう調整し、帯電防止層形成用組成物を得た。
[帯電防止層の形成]
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100)上に、上記帯電防止層形成用組成物を、スリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが1μmとなるように塗布、乾燥し、ポリエステルフィルム上に帯電防止層を形成した。
[表面保護層の形成]
上記帯電防止層上に、実施例1で調製した電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして表面保護層を形成し、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムについて前記評価を行ったところ、波長380nmにおける表面保護フィルムの透過率は7.25%であり、着色性及び耐擦傷性はいずれも良好であった。
本発明の表面保護フィルムは、高い紫外線カット機能を有し、着色が少なく、かつ偏光子等の部材の表面を保護するのに十分な耐擦傷性を有しており、液晶表示装置等の画像表示装置の前面板を構成する部材として好適に用いられる。
また、本発明の表面保護フィルムは上記性能を有することから、表示素子上に設置される前面板に用いられる偏光子の保護フィルム及び表面保護部材としての機能を兼ね備える。したがって、本発明の表面保護フィルムを用いることで構成部材を削減し、前面板及び表示装置を薄型化することができる。特に、本発明の表面保護フィルムはインセルタッチパネル液晶表示装置をはじめとするインセル型の液晶表示装置に好適に用いられる。
1 表面保護フィルム
2 基材フィルム
3 表面保護層
31 導通微粒子
4 帯電防止層
5 偏光板
51 位相差板
52 偏光子
100 前面板

Claims (17)

  1. 基材フィルムと表面保護層とを有する表面保護フィルムであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分と、分子量1,000未満の紫外線吸収剤と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
    前記分子量1,000未満の紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれる1種以上であり、
    前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール基を有する紫外線吸収剤であり、
    分子量1,000未満の紫外線吸収剤が、下記式(1)を満たすことを特徴とする表面保護フィルム。
    (波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧1.40 ・・・(1)
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性化合物を含む樹脂成分50〜90質量%と、重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤10〜50質量%とからなる混合物100質量部に対し、分子量1,000未満の紫外線吸収剤を3〜9質量部含む、請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤が下記式(2)を満たす、請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。
    (波長390nmにおける透過率/波長380nmにおける透過率)≧2.00 ・・・(2)
  4. 前記表面保護層が光反射性微粒子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  5. 前記光反射性微粒子が導通微粒子である、請求項4に記載の表面保護フィルム。
  6. 前記基材フィルムと前記表面保護層との間に、更に帯電防止層を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  7. 前記帯電防止層が金属微粒子及び金属酸化物微粒子から選ばれる1種以上を含む、請求項6に記載表面保護フィルム。
  8. 前記表面保護層の厚みが1〜30μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  9. 前記導通微粒子の平均粒子径が前記表面保護層の厚みに対し50〜150%である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  10. 前記重量平均分子量1,000以上の紫外線吸収剤が重量平均分子量3,000〜100,000である、請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  11. 前記基材フィルムが光学異方性を有するフィルムである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  12. 前記電離放射線硬化性化合物が分子量1,000未満の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  13. 波長380nmにおける透過率が10%以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  14. 偏光板と、請求項1〜13のいずれか1項に記載の表面保護フィルムとを有する、表示素子の前面板。
  15. 前記表示素子が液晶表示素子である、請求項14記載の表示素子の前面板。
  16. 前記液晶表示素子がインセルタッチパネル型液晶表示素子である、請求項15記載の表示素子の前面板。
  17. 請求項13〜16のいずれか1項に記載の前面板を有する、表示装置。
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