JP6481336B2 - 乳化重合用単量体組成物 - Google Patents

乳化重合用単量体組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6481336B2
JP6481336B2 JP2014227699A JP2014227699A JP6481336B2 JP 6481336 B2 JP6481336 B2 JP 6481336B2 JP 2014227699 A JP2014227699 A JP 2014227699A JP 2014227699 A JP2014227699 A JP 2014227699A JP 6481336 B2 JP6481336 B2 JP 6481336B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
polymerization
polymer
vinyl monomer
emulsion polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014227699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016089105A (ja
Inventor
邦宏 伊藤
邦宏 伊藤
慎吾 森保
慎吾 森保
正美 盛田
正美 盛田
誠之 佐藤
誠之 佐藤
西川 徹
徹 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2014227699A priority Critical patent/JP6481336B2/ja
Publication of JP2016089105A publication Critical patent/JP2016089105A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6481336B2 publication Critical patent/JP6481336B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、有機過酸化物を含有する乳化重合用単量体組成物に関する。詳しくは、重合後の残存モノマーが少なく、かつ多分散度が小さいポリマーを得ることができる、重合開始剤として使用可能な有機過酸化物を含む乳化重合用単量体組成物に関する。
近年、環境保全、安全衛生等の観点より、塗料、接着剤、粘着剤、紙加工剤等、各種被覆剤等の分野において無公害化、安全衛生化が強く求められ、各分野で種々の水性化製品が開発されている。これら水性化製品の多くは、種々のビニル単量体または2種類以上の混合体を乳化重合法により重合したエマルジョンから製造されており、重合開始剤には過硫酸塩が使用されている。
しかし、過硫酸塩を使用した乳化重合では、得られたラテックス中に未反応のビニル単量体(以下、残存モノマーと称する)が残存し、機械的物性値の低下や臭気の残存、環境問題等の問題を引き起こすことがある。そこで、残存モノマーを低減するための技術として、下記特許文献1が提案されている。
特許文献1には、ビニル単量体の一種であるアクリル酸エステルを乳化重合するにあたって、重合開始剤として水に対する溶解度が500ppm以上の有機過酸化物を使用することで、残存モノマーが少なく臭気の少ないアクリル樹脂ラテックスが得られると開示されている。
特開平11−35614号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている有機過酸化物であるt−ブチルハイドロパーオキサイドを用いて実際に重合評価を行ったところ、残存モノマーの低減には不十分であった。また、t−ブチルハイドロパーオキサイドから生成するt−ブトキシラジカルは、活性が高いために生成したポリマーから水素を引き抜いてしまい、得られるポリマーの多分散度が大きくなってしまうといった問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記問題を考慮し、重合後の残存モノマーが少なく、かつ多分散度が小さいポリマーを得ることができる、重合開始剤として使用可能な有機過酸化物を用いた乳化重合用単量体組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の有機過酸化物を用いることによって、本発明の目的を達成する乳化重合用単量体組成物を発明するに至った。
すなわち本発明は、(A)ビニル単量体、(B)乳化剤、(C)重合開始剤、(D)還元剤、及び(E)水を含む乳化重合用単量体組成物であって、(C)重合開始剤が3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドであることを特徴とする。
また、前記乳化重合用単量体組成物であって、(A)ビニル単量体は、(a−1)水酸基含有ビニル単量体、(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体、及びこれらと共重合可能な(a−3)重合性ビニル単量体からなってもよい。
本発明によれば、特定の有機過酸化物を乳化重合用単量体組成物の重合開始剤に使用することにより、得られるポリマーの物性値の低下や臭気の原因となる残存モノマーを低減することができる。具体的には、本発明の乳化重合用単量体組成物には、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドが重合開始剤として用いられている。3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドは、還元剤を併用することによりレドックス反応による活性ラジカルを生じる。したがって、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドを重合開始剤として使用することにより、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドから生じた活性ラジカルによりポリマーが生成する。
また、従来重合開始剤として使用されている過硫酸塩やt−ブチルハイドロパーオキサイドから生じる活性ラジカルは、酸素中心ラジカルである。この酸素中心ラジカルは極めて活性が高く、生成したポリマー鎖から水素を引き抜く反応が起こり、ポリマーラジカルが生成する。このポリマーラジカルはβ-開裂反応による分解や再結合反応による架橋を引き起こすため、多分散度が増大する傾向にある。一方、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドも過硫酸塩やt−ブチルハイドロパーオキサイドと同様に酸素中心ラジカルを生じる。しかし、これらの酸素ラジカルの多くはβ-開裂反応により炭素中心ラジカルへと変化する。炭素中心ラジカルは酸素ラジカルと比較して活性が低く、ポリマー鎖から水素を引き抜く反応が起こり難くなるため、上述したポリマーの分解や架橋が生じず、多分散度の小さいポリマーを得ることが可能となる。
<乳化重合用単量体組成物>
本発明の乳化重合用単量体組成物は、(A)ビニル単量体、(B)乳化剤、(C)重合開始剤、(D)還元剤、及び(E)水を含む。
<A.ビニル単量体>
ビニル単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミド系単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のスチレン系単量体類が挙げられ、これら1種または2種類以上の混合体が使用される。なお、使用されるビニル単量体は上記に限定されるものではない。
(A)ビニル単量体は、(a−1)水酸基含有ビニル単量体、(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体、及び(a−3)これらと共重合可能な重合性ビニル単量体からなることが好ましい。
(a−1)水酸基含有ビニル単量体の例としては、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーが挙げられ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、ブタル酸水素アクリロイルオキシエチル、β−ヒドリキシエチル−β−アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−ブテニルアルコール、エチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート等を用いることができる。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリレート」の語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を意味する総称である。
(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体の例としては、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等のカルボン酸類及びそれらの塩を用いることができる。
(a−3)重合性ビニル単量体としては、(a−1)水酸基含有ビニル単量体及び(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体と共重合可能なものであればよく、その例としてエチレン性不飽和モノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ラウリル等のエステル類、ビニルアルコールと酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸とのエステル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等のカルボン酸とのエステル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和炭化水素類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトナクリルアミド等のアミド類、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート又はメタクリレート等のポリオキシアルキレン誘導体、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等グリコール類のジアクリレート及びジメタクリレート等、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート等、アリルアルコール、メタリルアルコール等のアクリレート及びメタクリレート類を用いることができる。
<B.乳化剤>
乳化重合反応に用いる、乳化剤又は分散剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、反応性乳化剤等全ての界面活性剤が使用でき、いずれの界面活性剤も本発明の(B)乳化剤として用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェートもしくはカリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート、ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、ナトリウムスルホリシノエート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩もしくはスルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート、ナトリウムラウレートもしくはトリエタノールアミンオレエートもしくはトリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートもしくはアルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属塩サルフェート等のアルキルアリールスルホネート、高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルサルフェート塩、又はポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が使用できる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、又はエチレンオキサイドと脂肪酸アミンもしくはアミドもしくは酸との縮合生成物等が使用できる。
カチオン性界面活性剤としては、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、牛脂アルキルプロピレンジアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が使用できる。
両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、アクリルグリシン、アミドベタイン型、イミダゾリン型等が使用できる。
高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、又はこれらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体もしくは他の単量体との共重合体等が使用できる。また、クラウンエーテル類等の相関移動触媒等も、界面活性を示すものとして有用である。
反応性乳化剤としては、花王株式会社製のラテムルPDシリーズ、第一工業製薬株式会社製のアクアロンシリーズ、三洋化成工業株式会社製のエレミノールJSもしくはRS、日本乳化剤株式会社製のアントックスシリーズ、株式会社ADEKA製のアデカリアソープシリーズ、又は新中村化学工業株式会社製のNKエステルMシリーズ等が使用できる。
(B)乳化剤は、従来公知の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね、上記(A)ビニル単量体の総量100質量部に対して0.01〜35質量部、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部である。0.01質量部未満ではこの乳化に於いて安定な乳化状態が得られず、35質量部を超えると乳化に於いては過剰量となり、意味がないばかりか無駄なコスト増加を招く。なお、本明細書において、数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
<C.重合開始剤>
本発明の(C)重合開始剤は、有機過酸化物である3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドである。3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドは、従来公知の乳化重合用重合開始剤の通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね、上記(A)ビニル単量体の総量100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部が良い。
この有機過酸化物は、種々のビニル単量体を乳化重合する際の重合開始剤として有効に使用される。3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドは、還元剤を併用することによりレドックス反応による活性ラジカルを生じる。したがって、この有機過酸化物を重合開始剤として使用することにより、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドから生じた活性ラジカルによりポリマーが生成する。
また、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドは分子内に水酸基を有している。一般に有機過酸化物を用いた重合では、有機過酸化物から生じた活性ラジカルから重合が進行するため、ポリマーの末端に重合開始剤の一部が導入される。したがって、この有機過酸化物を重合開始剤として使用して得られるポリマーの末端には、重合開始剤由来の水酸基が導入される。水酸基を含むポリマーは、塗料、粘接着剤、ウレタンフォーム、ゲルコート剤、各種成型材料、床材等の用途に用いることができる。例えば、2液型(反応型)の塗料や粘接着剤などにおいて、水酸基を含むポリマーとイソシアネート基を含むポリマーとの反応によりウレタン結合などを形成することにより、3次元的な架橋構造をとることで塗膜の硬化(強度向上)や接着を可能とすることができる。
<D.還元剤>
(D)還元剤としては、L−アスコルビン酸、ロンガリット、グルコース、ホルマリン、硫酸第一鉄、硫酸銅、重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。その使用量としては、使用される3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドと同一モル数が好ましいが、0.2〜2倍モル数の範囲で適宜使用量を加減することができる。
<E.水>
本発明の乳化重合用単量体組成物中に占める(E)水の量は20〜90重量%、好ましくは25〜85重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。90重量%を越えると重合体の製造効率が低下し、また、20重量%未満では安定な乳化状態が得られなくなる傾向にある。
<添加剤>
本発明の乳化重合用単量体組成物には、必要に応じて一般的な添加剤を加えることもできる。その例としては、増粘剤、成膜助剤、顔料分散剤、顔料、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
<ビニル単量体の重合方法>
3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドを重合開始剤に用いて乳化重合用単量体組成物中のビニル単量体を乳化重合するにあたっては、その方法に特に制限はなく従来公知の乳化重合方法が採用される。ビニル単量体の重合系への添加方法においては、初期に全ビニル単量体を一括して添加する方法、ビニル単量体の一部を添加して重合を開始した後残りのビニル単量体を逐次的にあるいは間欠的に添加する方法、ビニル単量体と分散安定剤水溶液をあらかじめ乳化しておきそれを添加する方法等が挙げられる。
本発明の乳化重合用単量体組成物を重合させることによって、(A)ビニル単量体である(a−1)水酸基含有ビニル単量体、(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体、及び(a−3)重合性ビニル重合体が(B)乳化剤と反応してポリオールエマルジョンを形成する。カルボキシル基含有ビニル単量体は、ポリオールエマルションの酸価を付与するために用いられる。
なお、本発明の乳化重合用単量体組成物の重合物の被塗物としては特に限定されないが、例えば、無機窯業基材、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属基材、ガラス基材、紙基材等に使用可能である。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中に記載される「部」は、全て質量基準である。
<乳化重合物の製造>
(実施例1)
攪拌機、原料投入口、窒素吹き込み口を備えた500mlフラスコ内で、水140質量部、乳化剤としてジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム4.0質量部、還元剤としてL−アスコルビン酸(和光純薬製)0.42質量部を混合し、窒素置換を行いながら攪拌した。反応容器内を60℃に昇温した後に、メタクリル酸メチル34質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル24質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸2質量部および重合開始剤として3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシド(日油製:パーヘキシルGH)0.30質量部を混合した単量体溶液を4時間かけて滴下し、反応温度を60℃に保ちながら1時間攪拌して乳化重合物を得た。
(実施例2〜10)
重合に使用した単量体、乳化剤、還元剤、重合開始剤及び反応温度を下記表1に記載する種類、配合量及び温度に変更した以外は、実施例1と同様にして乳化重合物を得た。
(比較例1)
攪拌機、原料投入口、窒素吹き込み口を備えた500mlフラスコ内で、水140質量部、乳化剤としてジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム4.0質量部を混合し、窒素置換を行いながら攪拌した。反応容器内を60℃に昇温した後に重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.30質量部を混合した後、メタクリル酸メチル34質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル24質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸2質量部を混合した単量体溶液を4時間かけて滴下し、反応温度を60℃に保ちながら1時間攪拌して乳化重合物を得た。
(比較例2)
重合時の反応温度を80℃に変更した以外は、比較例1と同様にして乳化重合物を得た。
<評価方法>
各実施例及び比較例で得られた乳化重合物を、下記試験法によって評価した。得られた評価結果を下記表1に示す。
(重合転化率)
スクリュー管瓶中に乳化重合物を1g入れた後、メタノール10mlを加えポリマーを析出させた。次に、n−ノナン(内部標準物質)0.25gをメタノール50mlで希釈した溶液2mlを加え、0.45μlのメンブランフィルターで濾過した後、残存する単量体量を測定した。単量体量を基に重合転化率を算出した。検量線は各単量体と内部標準物質n−ノナンをメタノールで希釈し3点で求めた。
<分析条件>
GC :SHIMADZU GC−2014
カラム :HR−1、信和化工社製、15m、内径0.53mm、膜厚1.0μm
カラム温度:40℃で10分間保持→250℃まで毎分10℃の昇温
INJ :100℃
DET :250℃
(重量平均分子量及び多分散度)
スクリュー管瓶中に乳化重合物を3g入れた後、メタノール100mlを加えポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、150℃の乾燥機で重量が恒量するまで乾燥した。乾燥したポリマー0.05〜0.08gをスクリュー管瓶に計り取り、テトラヒドロフラン約25mlを加えて完全に溶解させ、0.20μlのメンブランフィルターで濾過した後、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)にて測定した。
<分析条件>
GPC装置:TOSOH HLC−8320GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super Multipore Hz−M、15cm、4.6mID、2本
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン、0.35ml/min
Figure 0006481336

なお、表1中の略称は以下の通りである。
KPS:過硫酸カリウム
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
MA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸n−ブチル
St:スチレン
表1に示されるように、実施例1〜10は高い重合転化率と小さい多分散度を示した。一方KPSを重合開始剤として用いた比較例1では、実施例1〜10と比べて重合転化率が低いことから、残存モノマーが多く残っていることが推測され、また、多分散度も大きかった。KPSを重合開始剤として用いており、反応温度を80℃にした比較例2は、反応温度60℃の比較例1と比べて重合転化率は向上されたものの、多分散度は大きいままであった。

Claims (1)

  1. (A)ビニル単量体、(B)乳化剤、(C)重合開始剤、(D)還元剤、及び(E)水を含む乳化重合用単量体組成物であって、(C)重合開始剤が3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシドであり、
    (A)ビニル単量体が、(a−1)水酸基含有ビニル単量体、(a−2)カルボキシル基含有ビニル単量体、及びこれらと共重合可能な(a−3)重合性ビニル単量体からなる乳化重合用単量体組成物。
JP2014227699A 2014-11-10 2014-11-10 乳化重合用単量体組成物 Active JP6481336B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014227699A JP6481336B2 (ja) 2014-11-10 2014-11-10 乳化重合用単量体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014227699A JP6481336B2 (ja) 2014-11-10 2014-11-10 乳化重合用単量体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016089105A JP2016089105A (ja) 2016-05-23
JP6481336B2 true JP6481336B2 (ja) 2019-03-13

Family

ID=56018854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014227699A Active JP6481336B2 (ja) 2014-11-10 2014-11-10 乳化重合用単量体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6481336B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2960300B2 (ja) * 1994-06-06 1999-10-06 花王株式会社 エマルジョン型粘着剤組成物の製造方法
JPH1135614A (ja) * 1997-07-18 1999-02-09 Kayaku Akzo Kk 有機過酸化物を用いたアクリル樹脂ラテックスの製造方法
JP2000026506A (ja) * 1998-07-13 2000-01-25 Toyo Ink Mfg Co Ltd エチレン性不飽和単量体の重合方法及びその利用
FR2813607B1 (fr) * 2000-09-07 2002-10-18 Atofina Dispersions aqueuses a base de (co)polymeres acryliques de masses moleculaires elevees et procede d'obtention
FR2820740B1 (fr) * 2001-02-13 2003-04-25 Atofina Procede de preparation d'un peroxyester

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016089105A (ja) 2016-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI778251B (zh) 聚乙烯醇組成物及其用途、以及乙烯系樹脂之製造方法
JP6478577B2 (ja) 水性エマルション、接着剤組成物、及び水性エマルションの製造方法
CN110312738A (zh) 乙烯基系聚合物的制备方法
KR20140122758A (ko) 스티렌 플루오로중합체의 제조 방법
WO2020009178A1 (ja) 変性ビニルアルコール系重合体及びその製造方法、並びに懸濁重合用分散安定剤及びビニル系重合体の製造方法
JP2002167403A (ja) ビニルエステル系樹脂エマルジョンの製法
EP3853316A1 (en) Contact adhesives
JPH07228612A (ja) 水分散型アクリル系ポリマ―とその製造法および上記ポリマ―を用いた感圧性接着剤
JPH06336579A (ja) ポリクロロプレンラテックス及びその組成物
JP2010132723A (ja) 不飽和カルボン酸系架橋重合体およびこの重合体の製造方法
JP6481336B2 (ja) 乳化重合用単量体組成物
JPWO2019198764A1 (ja) ポリビニルアルコール組成物及びその用途、並びにビニル系樹脂の製造方法
JP2003171423A (ja) ポリビニルアルコール系樹脂およびその用途
JP6273855B2 (ja) 有機過酸化物組成物及びこれを用いたビニルモノマーの重合方法
JP2003105007A (ja) アクリル系エマルジョンの製造方法
JP2004300193A (ja) 水性エマルジョン
JP2004217724A (ja) 水性エマルジョンの製造方法
JP6380048B2 (ja) 乳化重合用単量体組成物
JPWO2019244967A1 (ja) ビニル系重合体の製造方法
JP2019099768A (ja) 樹脂組成物、その製造方法及びその用途
RU2494115C1 (ru) Способ получения поливинилацетатной дисперсии
JP6798435B2 (ja) ラテックスの製造方法、並びに前記ラテックスを含む被覆材及び微粒子の製造方法
JP2017078116A (ja) アクリルアミド重合用組成物
JP6404052B2 (ja) 水系分散液用ポリビニルアセタール系微粒子
JP4748347B2 (ja) 水性粘着剤組成物、その製造方法及び粘着製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6481336

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250