以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
図1〜図5を参照して、本発明の一実施の形態における手袋1の構成について説明する。図1および図2に示されるように、本実施の形態における手袋1は、打撃具2を把持する装着者の手に装着される手袋である。本実施の形態における手袋1としてゴルフ用手袋が例示されている。また、打撃具2としてゴルフクラブが例示されている。
手袋1は、装着者の一方の手を受け入れ可能に構成されている。この一方の手は、ゴルフクラブのグリップ21の根元側に位置する。装着者は、この一方の手に手袋1をはめた状態でゴルフクラブのグリップ21を把持する。この手袋1は、右打者用の手袋であって、右打者の左手に装着される左手用の手袋である。なお、本実施の形態における手袋1は右打者用の手袋に限定されず、左打者用の手袋であってもよい。左打者用の手袋は、右打者用の手袋とは鏡面対象となるように構成されている。また、本実施の形態における手袋1は、ゴルフ用手袋に限定されず、野球用手袋などのスポーツ用手袋であってもよい。
手袋1は、親指部11Aと、人差し指部11Bと、中指部11Cと、薬指部11Dと、小指部11Eと、手掌部12と、滑り止め部材20とを主に備えている。親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは、装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能に構成されている。
親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは、装着者の手の親指、人差し指、中指、薬指および小指のそれぞれの全体を収容するように構成されている。親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは互いに独立している。手掌部12は、装着者の手の手掌を受け入れ可能に構成されている。親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12の材料は、たとえば人工皮革または合成皮革である。
滑り止め部材20は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eならびに手掌部12の少なくともいずれかの表面に配置されている。図1および図3に示されるように、滑り止め部材20は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eならびに手掌部12の少なくともいずれかの表面から、表面に対して直交方向に突出するように構成されている。
滑り止め部材20は、手掌部12の表面に配置された第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dを含んでいる。なお、手掌部12の滑り止め部材20は、4つ以上の滑り止め部を含んでいてもよい。図3においては、滑り止め部材20の一例として、第1滑り止め部21aが示されている。第1滑り止め部21aの他の滑り止め部材20は、第1滑り止め部21aと同様に構成されていてもよい。図3および図4に示されるように、本実施の形態では、第1滑り止め部21aの幅方向の断面は、矩形状に構成されている。また矩形状の角部が面取りされた断面形状や、矩形の上辺が凸アール状に盛り上がった断面形状でもよい。
図1および図2に示されるように、第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bのそれぞれは、装着者が用具を握ったときに薬指部11Dおよび小指部11Eと対向する領域に配置されている。つまり、第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bのそれぞれは、装着者が用具を握ったときに薬指部11Dおよび小指部11Eによって覆われる。第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bのそれぞれは、装着者が用具を握ったときに人差し指部11Bおよび中指部11Cと対向する領域に配置されていない。つまり、第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bのそれぞれは、装着者が用具を握ったときに人差し指部11Bおよび中指部11Cによって覆われない。
第1滑り止め部21aは、薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向に沿って薬指部11D側から小指部11E側に向けて延在している。薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向は、装着者が手袋を装着したときの薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向を意味する。具体的には、薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向は、装着者が手袋を装着し、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eを閉じたときの薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向を意味する。第1滑り止め部21aは、手掌部12に配置された滑り止め部材20のうちで最も薬指部11Dおよび小指部11Eの近くに配置されている。
第2滑り止め部21bは、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれから第1滑り止め部21aよりも離れて配置されている。具体的には、第2滑り止め部21bは、装着者が手袋1を装着して手を開いたとき、すなわち薬指部11Dおよび小指部11Eを伸ばしたときに、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれから第1滑り止め部21aよりも離れて配置されている。
第2滑り止め部21bは、薬指部11D側から小指部11E側に向けて第1滑り止め部21aとの間隔が広がるように延在している部分を含んでいる。つまり、第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとは、薬指部11D側から小指部11E側に向けて互いに間隔が広がるように配置されている。薬指部11D側の端部における第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとの間隔よりも小指部11E側の端部における第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとの間隔が広がっている。薬指部11D側の端部から小指部11E側の端部に至るまでの途中で第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとの間隔が部分的に狭くなっていても小指部11E側の端部における第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとの間隔が広がっていればよい。
第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれは、手掌部12において装着者の手掌の小指球に相当する位置に配置されている。第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれは、装着者が用具を握ったときに人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eと対向する領域に配置されていない。
第3滑り止め部21cは、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれから第2滑り止め部21bよりも離れて配置されている。第3滑り止め部21cは、薬指部11D側から小指部11E側に向けて第2滑り止め部21bとの間隔が広がるように延在している部分を含んでいる。
第4滑り止め部21dは、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれから第3滑り止め部21cよりも離れて配置されている。第4滑り止め部21dは、薬指部11D側から小指部11E側に向けて第3滑り止め部21cとの間隔が広がるように延在している部分を含んでいる。
第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの中心線と薬指部11Dの中心線とのなす角度は、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dの順に大きくなっている。
第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの中心線は、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの図心を通って長手方向に延在する中心線を意味する。
薬指部11Dの中心線は、装着者が手袋1を装着したときの薬指部11Dの中心線を意味する。具体的には、薬指部11Dの中心線は、装着者が手袋1を装着し、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eを閉じたときの薬指部11Dの中心線を意味する。
本実施の形態では、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれは、一方端と他方端とをつなぐ仮想の線に沿って長手方向を有している。第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの全長(長手方向の長さ)は、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dの順に長くなっていてもよい。
第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの太さは、それぞれ均一であってもよい。第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの太さは、同じであってもよい。また、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dのそれぞれの太さは、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dの順に太くなっていてもよい。
本実施の形態では、滑り止め部材20は、薬指滑り止め部22aおよび小指滑り止め部22bを備えている。薬指滑り止め部22aは、薬指部11Dにおける腹側の表面において薬指部11Dの付け根から先端に向けて延在するように構成されている。薬指滑り止め部22aは薬指の第1関節および第2関節に相当する位置に跨って薬指の延在する方向に延在している。小指滑り止め部22bは、小指部11Eにおける腹側の表面において小指部11Eの付け根から先端に向けて延在するように構成されている。小指滑り止め部22bは小指の第1関節および第2関節に相当する位置に跨って小指の延在する方向に延在している。なお、滑り止め部材20は、薬指滑り止め部22aおよび小指滑り止め部22bの少なくともいずれかを備えていればよい。
また、本実施の形態では、滑り止め部材20は、親指滑り止め部23を備えている。親指滑り止め部23は、親指部11Aにおける腹側の表面において親指部11Aの幅方向に延在するように構成されている。複数の親指滑り止め部23は、親指の第1関節に相当する位置を跨って親指の延在する方向に並んで配置している。本実施の形態では、複数の親指滑り止め部23が設けられているが、親指滑り止め部23は1つであってもよい。
滑り止め部材20は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eならびに手掌部12の少なくともいずれかの表面の面内方向において波形に構成されている。つまり、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21cおよび第4滑り止め部21dは、手掌部12の表面の面内方向において波形に構成されている。薬指滑り止め部22a、小指滑り止め部22bおよび親指滑り止め部23のそれぞれは、薬指部11D、小指部11Eおよび親指部11Aのそれぞれの表面の面内において波形に構成されている。波の形状は正弦波や三角波とすることができる。
図2および図3に示されるように、滑り止め部材20は、装着者が打撃具を握ってスイングしたときに薬指部11D、小指部11Eおよび手掌部12表面に作用するせん断力の方向に対して交差する方向に延在している。つまり、滑り止め部材20は、せん断力の方向を横切る方向に配置されている。このせん断力は、スイングしたときに遠心力によってグリップに作用する力により表面の面内に沿って作用する力である。図2では、このせん断力の方向が矢印で示されている。このせん断力の方向は、各指部および手掌部12の全体におけるせん断力の方向を示している。この全体のせん断力は右回りとなる。なお、ここでは右打者の左手用の手袋に作用するせん断力の方向を示している。左打者の右手用の手袋であれば全体のせん断力の方向は逆向き、つまり左回りとなる。
図2および図5を参照して、滑り止め部材の配置について、装着者の左手101の骨との対応を用いて説明する。図5では、装着者の左手101を手掌101A側から見た場合の左手101の外観および骨格が示されている。
図5に示されるように、人差し指101B2、中指101B3、薬指101B4、小指101B5のそれぞれにおいては、指先側から順に末節骨111、中節骨112、基節骨113、中手骨114が配列されている。末節骨111と中節骨112とは互いに遠位指節間関節121を介して接続されている。中節骨112と基節骨113とは近位指節間関節122を介して接続されている。基節骨113と中手骨114とは中手指節関節123を介して接続されている。中手骨114の基節骨113側の端部には膨出部114Aが配置されている。親指101B1においては、指先側から順に末節骨111、基節骨113、中手骨114が配列されている。親指101B1においては、末節骨111と基節骨113とは第1指節間関節124を介して接続されており、基節骨113と中手骨114とは中手指節関節123を介して接続されている。
第1滑り止め部21aは手掌101A側において薬指101B4の中手骨114の膨出部114Aおよび小指101B5の中手骨114の膨出部114Aに跨って配置されている。第2滑り止め部21bは手掌101A側において薬指101B4の中手骨114の中央および小指101B5の中手骨114の中央に跨って配置されている。
第3滑り止め部21cは手掌101A側において中指101B3の中手骨114の根元部、薬指101B4の中手骨114の根元部および小指101B5の中手骨114の根元部に跨って配置されている。第4滑り止め部21dは手掌101A側において中指101B3の中手骨114の根元部および手根骨130に跨って配置されている。
薬指滑り止め部22aは薬指101B4における末節骨111の根元部から中節骨112を介して基節骨113の根元部に跨って配置されている。小指滑り止め部22bは小指101B5における末節骨111の根元部から中節骨112を介して基節骨113の根元部に跨って配置されている。親指滑り止め部23は親指101B1における末節骨111の先端から基節骨113の根元部に跨って配置されている。
滑り止め部材20は粘弾性体により構成されている。粘弾性体の材料は、たとえばシリコンなどである。粘弾性体の硬度は、たとえばJISA30程度である。滑り止め部材20の高さは、たとえば1.0mm以下であり、0.4mm〜0.6mmが好ましい。また高さは各部位毎に高さを変えて摩擦力を調整することができる。滑り止め部材20が配置された領域の全体の領域に対する占有割合は、たとえば5%以上50%以下である。
上記では、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eが、装着者の親指、人差し指、中指、薬指および小指のそれぞれの全体を収容するように構成されている場合について説明した。しかしながら、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eは、装着者の親指、人差し指、中指、薬指および小指のそれぞれの少なくとも根元部を収容していればよい。
次に、本実施の形態における手袋1の作用効果について説明する。
本実施の形態の手袋1によれば、第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bのそれぞれは、装着者がグリップ21を握ったときに薬指部11Dおよび小指部11Eと対向する領域に配置されており、かつ人差し指部11Bおよび中指部11Cと対向する領域に配置されていない。これにより、装着者がグリップ21を握ったときに第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bによって装着者が感じる違和感を小さくすることができる。また、第1滑り止め部21aは、薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向に沿って薬指部11D側から小指部11E側に向けて延在している。第2滑り止め部21bは、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれから第1滑り止め部21aよりも離れて配置されており、かつ薬指部11D側から小指部11E側に向けて第1滑り止め部21aとの間隔が広がるように延在している部分を含んでいる。このため、装着者がグリップ21を握ってスイングしたときに手掌部12の表面に作用するせん断力に垂直に第1滑り止め部21aおよび第2滑り止め部21bをそれぞれ配置することができる。これにより、大きな滑り止め効果を得ることができる。
本実施の形態の手袋1においては、滑り止め部材20は、薬指滑り止め部22aおよび小指滑り止め部22bの少なくともいずれかを含んでいる。このため、装着者がグリップ21を握ってスイングしたときに薬指部11Dおよび小指部11Eの表面に作用するせん断力に垂直に薬指滑り止め部22aおよび小指滑り止め部22bの少なくともいずれかを配置することができる。これにより、大きな滑り止め効果を得ることができる。
本実施の形態の手袋1においては、滑り止め部材20は、親指滑り止め部23を含んでいる。このため、装着者がグリップ21を握ってスイングしたときに親指部11Aの表面に作用するせん断力に垂直に親指滑り止め部23を配置することができる。これにより、大きな滑り止め効果を得ることができる。
本実施の形態の手袋1においては、滑り止め部材20は、装着者がグリップ21を握ってスイングしたときに各指部および手掌部12の表面に作用するせん断力の方向に対して交差する方向に延在している。このため、当該せん断力に垂直に滑り止め部材20を配置することができる。
本実施の形態の手袋1においては、滑り止め部材20は、各指部および手掌部12の表面の面内方向において波形に構成されている。このため、装着者がグリップ21を握ってスイングしたときに各指部および手掌部12の表面に作用するせん断力に垂直に滑り止め部材を配置することが容易である。
次に、本実施の形態の各変形例について説明する。なお、特に言及しない限り、各変形例の手袋1は上記の本実施の形態の手袋1と同様の構成を備えている。
図6を参照して、本実施の形態の変形例1における手袋1について説明する。図6に示されるように、本実施の形態の変形例1における手袋1は、図1に示される上記の本実施の形態の手袋1に比べて、プリント部30を備えている点で異なっている。
手袋1は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの腹ならびに手掌部12に設けられたプリント部30を備えている。プリント部30は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの腹ならびに手掌部12の表面から、表面に直交する方向に突出するように構成されている。滑り止め部材20はプリント部30に重ねられるように配置されていてもよい。また滑り止め部材20はプリント部30に重ならないように配置されていてもよい。プリント部30の表面からの高さは、滑り止め部材20の表面からの高さよりも低くなっている。
プリント部30は、親指部11A、人差し指部11B、中指部11C、薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの腹ならびに手掌部12の全面に亘って設けられている。プリント部30は格子状に構成されている。各格子は略正方形状に構成されている。
本実施の形態の変形例1における手袋1においては、プリント部30によって摩擦力を向上させることができる。これにより、さらに大きな滑り止め効果を得ることができる。
図7を参照して、本実施の形態の変形例2における手袋1について説明する。図7に示されるように、本実施の形態の変形例2における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、プリント部30の構成および滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例2における手袋1のプリント部30は、本実施の形態の変形例1における手袋1のプリント部30に比べて各格子が大きくなっている。たとえば、本実施の形態の変形例2における各格子の大きさは、本実施の形態の変形例1における各格子の大きさの120%である。このため、本実施の形態の変形例2におけるプリント部30の量は、本実施の形態1の変形例1におけるプリント部30の量よりも減少している。
滑り止め部材20は、長手方向において太さが変化するように構成されている。滑り止め部材20の長手方向において、滑り止め部材20の中央部の太さは滑り止め部材20の両端部の太さよりも太くなっている。
図8を参照して、本実施の形態の変形例3における手袋1について説明する。図8に示されるように、本実施の形態の変形例3における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例3における手袋1の滑り止め部材20のうち薬指滑り止め部22a、小指滑り止め部22bおよび親指滑り止め部23のそれぞれは、各表面の面内方向において全体として波形となるように互いに間隔をあけて配置された複数の構成部分20Xを含んでいる。
構成部分20Xは、薬指部11Dの幅方向の中央および小指部11Eの幅方向の中央のそれぞれには配置されていない。薬指部11Dの幅方向は薬指部11Dの延在する方向に直交する方向である。小指部11Eの幅方向は小指部11Eの延在する方向に直交する方向である。つまり、薬指部11Dの幅方向および小指部11Eの幅方向はそれぞれ薬指部11Dと小指部11Eとが並ぶ方向である。また、構成部分20Xは、親指部11Aの幅方向の中央には配置されていない。親指部11Aの幅方向は親指部11Aの延在する方向に直交する方向である。
本実施の形態の変形例3における手袋1においては、構成部分20Xは、薬指部11Dの幅方向の中央および小指部11Eの幅方向の中央のそれぞれには配置されていない。薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの幅方向の中央は両側に比べて腹側に突出しているため摩擦力が高くなる。構成部分20Xが薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの幅方向の中央に配置されていないため、装着者が感じる違和感を小さくすることができる。また、構成部分20Xが薬指部11Dおよび小指部11Eのそれぞれの幅方向の中央に配置されていないため、薬指部11Dの幅方向および小指部11Eの幅方向のそれぞれにおいて摩擦力を均一化することができる。
構成部分20Xは、親指部11Aの幅方向の中央には配置されていないため、装着者が感じる違和感を小さくすることができる。また、構成部分20Xが親指部11Aの幅方向の中央に配置されていないため、親指部11Aの幅方向のそれぞれにおいて摩擦力を均一化することができる。
図9を参照して、本実施の形態の変形例4における手袋1について説明する。図9に示されるように、本実施の形態の変形例4における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例4における手袋1の滑り止め部材20は、装着者の手の節を外して配置されている。薬指滑り止め部22aは、薬指部11Dにおける薬指の第1関節および第2関節に相当する位置を外して配置されている。小指滑り止め部22bは、小指部11Eにおける小指の第1関節および第2関節に相当する位置を外して配置されている。親指滑り止め部23は、親指部11Aにおける親指の第1関節に相当する位置を外して配置されている。
本実施の形態の変形例4における手袋1においては、滑り止め部材20が装着者の手の節を外して配置されているため、装着者がグリップ21を握ったときに薬指滑り止め部22a、小指滑り止め部22bおよび親指滑り止め部23によって装着者が感じる違和感を小さくすることができる。
図10を参照して、本実施の形態の変形例5における手袋1について説明する。図10に示されるように、本実施の形態の変形例5における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。本実施の形態の変形例5における滑り止め部材20の波形形状の波長は、実施の形態の変形例1における滑り止め部材20の波形形状の波長よりも大きくなっている。
図11を参照して、本実施の形態の変形例6における手袋1について説明する。図11に示されるように、本実施の形態の変形例6における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。本実施の形態の変形例6における滑り止め部材20の波形形状の振幅は、実施の形態1の変形例1における滑り止め部材20の波形形状の振幅よりも小さくなっている。
図12を参照して、本実施の形態の変形例7における手袋1について説明する。図12に示されるように、本実施の形態の変形例7における手袋1は、図6に示される上記の本実施の形態の変形例1における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。本実施の形態の変形例7における滑り止め部材20においては、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21c、第4滑り止め部21d、薬指滑り止め部22a、小指滑り止め部22bおよび親指滑り止め部23のそれぞれは線状の滑り止め部分が複数並列して配置されている。図12では当該部分が3本で1組となるように構成されている。当該部分は2本で1組となるように構成されていてもよく、4本以上で1組となるように構成されていてもよい。
図13を参照して、本実施の形態の変形例8における手袋1について説明する。図13に示されるように、本実施の形態の変形例8における手袋1は、図12に示される上記の本実施の形態の変形例7における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。本実施の形態の変形例8における滑り止め部材20においては、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21c、第4滑り止め部21d、薬指滑り止め部22a、小指滑り止め部22bおよび親指滑り止め部23のそれぞれにおいて、1組の3本の滑り止め部材20は当該部分の波形形状の位相が互いにずれるように構成されている。
図14を参照して、本実施の形態の変形例9における手袋1について説明する。図14に示されるように、本実施の形態の変形例9における手袋1は、図4に示される上記の本実施の形態における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例9における手袋1においては、滑り止め部材20の材料が2段に重ねられている。下段の滑り止め部材20の幅は上段の滑り止め部材20の幅よりも多くなるように構成されている。このため、滑り止め部材20の材料を2回に分けて塗布することにより、2段の滑り止め部材20を形成することができる。これにより、滑り止め部材20の形成が容易となる。なお、滑り止め部材20の厚みを増す場合は、たとえば4〜6回に分けて滑り止め部材20の材料を塗布すればよい。
図15および図16を参照して、本実施の形態の変形例10における手袋1について説明する。図15および図16に示されるように、本実施の形態の変形例10における手袋1は、図3および図4に示される上記の本実施の形態における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。本実施の形態の変形例10における手袋1では、第1滑り止め部21aの幅方向の断面は、扇形状に構成されている。
図2および図16に示されるように、滑り止め部材20は、せん断力の方向に対向する方向に向かうにつれて高さが高くなるように構成されている。つまり、滑り止め部材20は、せん断力が向かってくる側の高さが高くなるように構成されている。言い換えれば、滑り止め部材20は、せん断力の方向に沿って高さが低くなるように構成されている。
本実施の形態の変形例10における手袋1においては、滑り止め部材20は、せん断力の方向に対向する方向に向かうにつれて高さが高くなるように構成されている。このため、せん断力の方向に対向して滑り止め部材20の摩擦力を大きくすることができる。これにより、大きな滑り止め効果を得ることができる。
図17を参照して、本実施の形態の変形例11における手袋1について説明する。図17に示されるように、本実施の形態の変形例11における手袋1は、図7に示される上記の本実施の形態の変形例2における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例11における手袋1においては、滑り止め部材20は、人差し指滑り止め部24aおよび中指滑り止め部24bを含んでいる。人差し指滑り止め部24aは人差し指部11Bにおける腹側の表面において人差し指部11Bの付け根に配置されている。人差し指部11Bの付け根は人差し指部11Bの根元から第2関節に至るまでの部分である。人差し指滑り止め部24aは人差し指の第3関節に相当する位置に配置されている。なお、人差し指滑り止め部24aは人差し指の第3関節から第2関節に跨って配置されていてもよい。中指滑り止め部24bは中指部11Cにおける腹側の表面において中指部11Cの付け根に配置されている。中指部11Cの付け根は中指部11Cの根元から第2関節に至るまでの部分である。中指滑り止め部24bは中指の第3関節に相当する位置に配置されている。なお、中指滑り止め部24bは中指の第3関節から第2関節に跨って配置されていてもよい。
本実施の形態の変形例11における手袋1においては、人差し指滑り止め部24aおよび中指滑り止め部24bによって滑り止め効果を向上させることができる。
図18を参照して、本実施の形態の変形例12における手袋1について説明する。図18に示されるように、本実施の形態の変形例12における手袋1は、図7に示される上記の本実施の形態の変形例2における手袋1に比べて、滑り止め部材20の構成が異なっている。
本実施の形態の変形例12における手袋1においては、本実施の形態の変形例2における手袋1に比べて、手掌部12に設けられた滑り止め部材20の個数が多くなっている。本実施の形態の変形例12における手袋1においては、第1滑り止め部21aと第2滑り止め部21bとの間に第5滑り止め部21eが配置されている。第2滑り止め部21bと第3滑り止め部21cとの間に第6滑り止め部21fが配置されている。第3滑り止め部21cと第4滑り止め部21dとの間に第7滑り止め部21gが配置されている。第4滑り止め部21dに対して第7滑り止め部21gと反対側に第8滑り止め部21hが配置されている。第8滑り止め部21hに対して第4滑り止め部21dと反対側に第9滑り止め部21iが配置されている。
第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21c、第4滑り止め部21d、第5滑り止め部21e、第6滑り止め部21f、第7滑り止め部21g、第8滑り止め部21hおよび第9滑り止め部21iのそれぞれの中心線と薬指部11Dの中心線とのなす角度は、第1滑り止め部21a、第2滑り止め部21b、第3滑り止め部21c、第4滑り止め部21d、第5滑り止め部21e、第6滑り止め部21f、第7滑り止め部21g、第8滑り止め部21hおよび第9滑り止め部21iの順に大きくなっている。
薬指滑り止め部22aは薬指の幅方向に延在している。複数の薬指滑り止め部22aは、薬指の付け根から先端に相当する位置を跨って薬指の延在する方向に並んで配置している。
小指滑り止め部22bは小指の幅方向に延在している。複数の小指滑り止め部22bは、小指の付け根から先端に相当する位置を跨って小指の延在する方向に並んで配置している。
本実施の形態の変形例12における手袋1においては、本実施の形態の変形例2における手袋1に比べて、親指滑り止め部23の個数が多くなっている。
なお、上記の本実施の形態および各変形例は適宜組み合わせることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明による手袋を構成するにあたり、以下の実験を実施した。
(実験1)
スイング中に手にかかるせん断力を計測した。具体的には、1人の被験者がゴルフクラブを握ってスイングしたときに手袋とグリップの間にかかるせん断力を計測した。ゴルフクラブは、美津濃株式会社製JPX E3ドライバーを用いた。被験者は、右打者である。ヘッドスピードは40.0m/sであった。平均スイング時間は1.245s(秒)であった。平均ダウンスイング時間は0.334s(秒)であった。
計測センサは、タッチエンス株式会社製3軸触覚センサ(TSSI OD10 C10)を用いた。定格荷重は圧力40Nおよびせん断力±8Nとした。3軸触覚センサをPC(パーソナルコンピュータ)に接続して、XYZ方向の時系列データを計測した。サンプリング時間は1/100秒とした。XYZ方向のうちXY方向の時系列データからせん断力を計測した。またXYZ方向のうちZ方向の時系列データから圧力を計測した。左手袋に3軸触覚センサを貼り付けてスイングしたときに手袋とグリップの間にかかるせん断力および圧力を計測した。データには10Hzのバターワースフィルターを適用した。せん断力および圧力は図19に示す16点で計測した。図19では、各点におけるせん断力の向きおよび大きさが矢印の向きおよび大きさで示されている。
図19に示されるように、ゴルフのスイングの際に必要とされる薬指および小指から手掌の小指球に向けて大きなせん断力が作用することがわかった。また、薬指および小指から手掌の小指球に向けて右回りにせん断力が作用することがわかった。さらに、親指の付け根から先端に向けて大きさなせん断力が作用することがわかった。また、人差し指および中指の付け根に小指側に向けてせん断力が作用することがわかった。
また、手掌の薬指および小指側の先端部において圧力が大きくなることがわかった。さらに親指の先端部において圧力が大きくなることがわかった。
(実験2)
本発明の実施例として、図1に示される手袋と同様の構成を備えた手袋を準備した。比較例1として、実施例とは滑り止め部材が設けられていない点で異なる手袋を準備した。つまり、比較例1の手袋は、各指部および手掌部に滑り止め部材が設けられていない。また、比較例2として、実施例とは滑り止め部材が設けられていない点およびプリント部が設けられている点で異なる手袋を準備した。つまり、比較例2の手袋は各指部および手掌部に滑り止め部材が設けられていない。さらに、比較例2の手袋は各指部の腹および手掌部の全面に亘って格子状のプリント部が設けられている。
5人の被験者が実施例、比較例1および比較例2のそれぞれの手袋を装着してゴルフクラブを握ってスイングしたときの滑りにくさを評価した。滑りにくさは、比較例1の手袋の滑りにくさを基準として、比較例1よりも滑りやすいか、または、滑りにくいかを評価した。具体的には、比較例1の滑りにくさを3とし、比較例1よりも滑りやすいと感じると2とし、比較例1よりも滑りにくいと感じると4とした。数値は0.5刻みで評価した。ゴルフクラブは、美津濃株式会社製JPX E3ドライバーを用いた。
表1を参照して、5人の被験者はいずれも実施例の手袋が比較例1および比較例2の手袋よりも滑りにくいと評価した。これにより、実施例の滑り止め部材が設けられている手袋は、比較例1の滑り止め部材が設けられていない手袋よりも滑りにくくなることがわかった。したがって、滑り止め部材により大きな滑り止め効果が得られることがわかった。また、実施例の滑り止め部材が設けられている手袋は、比較例2のプリント部が設けられている手袋よりも滑りにくくなることがわかった。したがって、滑り止め部材によりプリント部よりも大きな滑り止め効果が得られることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。