JP6480422B2 - 歯科材料用ペン型ディスペンサー - Google Patents

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Description

本発明は、歯科材料用ディスペンサー、特にカートリッジ及びカートリッジから歯科材料を分配するためのスクリュープランジャ(screw plunger)を有するディスペンサーに関する。
多くの場合、歯科用複合充填材は、主要量のフィラー(石英など)と比較的少量の流動性モノマーとを含有する複合材料である。このような複合材料は、通常、光エネルギーによってモノマーを重合させることができる光開始剤を更に含有する。そのため、患者の歯の窩洞に歯科用複合充填材を塗布して、患者の歯への塗布後に光硬化することができる。
通常このような歯科用複合充填材は、比較的高粘性を示すため、通常は分配装置からの分配時に強い力を必要とする。歯科用複合充填材を分配するための分配装置は、例えば米国特許第7,128,246 B2号に開示されている。このような装置は、歯科用複合充填材の一部を格納し、その材料を装置内のピストンを変位させることにより、押し出すことができる。装置を手持ち式分配ガンと連結すると、手操作可能なてこの作用を介してピストンを変位するための比較的強い力を付与できる。代替的な歯科用複合充填材用の分配装置は、米国意匠特許第419,236号に開示されている。
WO 2006/108085 A2には、注射器の送達開口部を通って高粘性材料を分配するための注射器送達システムが開示されている。このシステムは、送達開口部を有する注射器外筒、送達開口部を通って粘性材料を選択的に分配するために注射器外筒と噛合可能に係合されたねじ式シャフトを備えるプランジャ、及びプランジャと把持により連通するプランジャ把持部材であって、異物による汚染を防止するようにプランジャのねじ式シャフトを封止する手段を備えるプランジャ把持部材を具備する。注射器は、プランジャのねじ式シャフトを覆う外装を有し、その外装下にプランジャが遮蔽されている。この外装により、封止された環境が得られ、ねじ式シャフトは異物の進入又は異物による汚染から保護される。
歯科用複合充填材のための種々のディスペンサーが提供されているが、歯科学上の衛生条件を考慮し、その中に格納された歯科材料の貯蔵寿命を最大化できる、操作しやすいディスペンサーが依然として求められている。
本発明は、歯科材料を分配するためのディスペンサー、特に歯科材料を分配するためのペン型ディスペンサーに関する。ディスペンサーはハンドルとカバーとを具備する。ハンドルとカバーは、ディスペンサーの長手方向軸を中心として互いに相対して回転可能である。カバーは開口部を有する。ディスペンサーは、歯科材料を収容するためのカートリッジを更に含む。カートリッジは、歯科材料の分配口を有する。ディスペンサーは、螺合作用によってカートリッジから歯科材料を押し出すためのスクリュープランジャを更に含む。これに関して、用語「螺合作用」とは、スクリュープランジャをカートリッジにねじ込むことを指す。
カートリッジ及びカバーが組み合わされて回転すべり弁を形成する。回転すべり弁は、長手方向軸を中心とした(カバーとハンドルとの互いに相対する)回転により、格納位置と分配位置との間を作動可能である。格納位置では、カバーによってカートリッジの分配口が閉じられ、対する分配位置では、カバーの開口によってカートリッジの分配口が開かれる。したがって、格納位置では、カバーの開口部と分配口とがずらされ、互いに重なり合わないことが好ましい。少なくとも開口部のカバーは、カバー開口部の少なくとも一部を区切る鋭利な切断縁部を含んでよい。切断縁部は、回転すべり弁が分配位置から格納位置へと回転するとき、カートリッジから押し出され、分配口から突き出ている歯科材料を切断縁部が貫通するように配置されていることが好ましい。切断縁部は、カバー開口部の円周上の一部又は全体にわたって延び、カバー開口部に向かって先細になったくさび形状を有してもよい。一実施例では、切断縁部は、開口部に向かって先細になり、面取り角(切断縁部を形成する2つの壁面間の夾角)が約5°〜約30°である面取り部によって形成される。別の実施例では、切断縁部は、約0.05mm〜2mm、好ましくは0.05mm〜0.5mm、最も好ましくは0.05mm〜0.2mmの壁厚を有する壁により形成される。
カートリッジは、カートリッジ出口の周上に、カートリッジとカバーとの間の間隙を封止するための出口シールを含んでよい。格納位置では、出口シールは、歯科材料をカートリッジ内に封入するのに有効であり、対する分配位置では、出口シールは、カートリッジとカバーとの間での歯科材料の流動を阻止する。出口シールは、カートリッジ出口に隣接する封止リップ、カバー上に配設された封止リップ、又は独立した密封環などの別の適切なシールによって形成してよい。
ディスペンサーは、長手方向軸を中心としたスクリュープランジャとハンドルとの間の相対回転を制限又は抑止するように適合される。更にディスペンサーは、長手方向軸を中心としたカートリッジとカバーとの間の相対回転を予め定められた回転角度内において有効にし、それ以外の角度では制限又は抑止するように適合される。
本ディスペンサーは、歯科材料(特に歯科用複合充填材)を予め処方された用量で分配できるという点で有利である。したがって、ディスペンサーから歯科用複合充填材の一部を取り分ける(例えば、切り取る又は掻き取る)ために別の器具を使用する必要がない。更に、ディスペンサーは、精密に制御された方法で歯科材料の分配ができ、特に分配の一時停止後の歯科用複合充填材のアフターフロー(又はランオン)を最小限にできることが好ましい。予め処方された用量を取るために別の器具を使用する場合であっても、器具とディスペンサーとの間の過度の干渉(切る、擦る、こするなど)を最小限にできる。そのため、ディスペンサーと歯科器具との間の干渉によって、ディスペンサーから剥離された又は切り取られた微量物質が歯科用複合充填材に混入することも防止できる。更に、ディスペンサーは、簡便な取り扱い、歯科材料の正確な用量調整及び衛生貯蔵を可能にする点でも有利である。
回転すべり弁は、長手方向軸を中心として第1の方向に、カートリッジとカバーとが互いに相対して回転することにより、格納位置から分配位置に作動可能であることが好ましい。更に好ましくは、回転すべり弁は、長手方向軸を中心として、第2の方向、つまり第1の方向の反対側に、カートリッジとカバーとが互いに相対して回転することにより、分配位置から格納位置に作動可能である。
本明細書の目的上、2つの部品が回転する文脈において、用語「方向」(「第1の方向」及び「第2の方向」など)は、2つの部品を互いに相対して回転することを指す。当業者は、例えば、第1部品を所定位置に保持したまま、第2部品を時計回りに回転させること、又は第2部品を所定位置に保持したまま、第1部品を反時計回りに回転させること、又は第1部品を反時計回りに回転させ、第2部品を時計回りに回転させることによって達成される2つの部品間の相対回転の方向は同じであることを理解されよう。
更に、ディスペンサーは、分配位置にあるとき、ハンドルとカバーとの長手方向軸を中心とした第1の方向への相対回転によって、スクリュープランジャとカートリッジとが互いに相対して回転することにより、歯科材料が押し出されるように適合されることが好ましい。これは、分配位置において、カバーとカートリッジは互いに相対して第1の方向へ更に回転することを抑止され、かつハンドルとスクリュープランジャは互いに相対する回転を一般に抑止されるからである。したがって、分配位置では、ハンドルとカバーとが長手方向軸を中心として第1の方向へ相対回転すると、その結果、スクリュープランジャとカートリッジも長手方向軸を中心として第1の方向へ相対回転する。
更にディスペンサーは、格納位置にあるとき(又は格納位置から開始するとき)、長手方向軸を中心とする第1の方向へのハンドルとカバーとの相対回転により、回転すべり弁の位置が分配位置の状態になるように適合されることが好ましい。これは、格納位置にあるとき、カートリッジとカバーは、長手方向軸を中心として第1の方向に互いに相対して回転可能であることが好ましいためである。これは、格納位置において、カートリッジとカバーが、長手方向軸を中心として互いに相対して第2の方向へ更に回転することが抑止されることとは関係しない。
更にディスペンサーは、分配位置にあるとき(又は分配位置から開始するとき)、第2の方向へのハンドルとカバーとの相対回転により、回転すべり弁の位置が格納位置の状態になるように適合されることが好ましい。これは、分配位置において、カートリッジとカバーは、長手方向軸を中心として第2の方向に互いに相対して回転可能であることが好ましいためである。これは、分配位置において、カートリッジとカバーが、長手方向軸を中心として互いに相対して第1の方向へ更に回転することが抑止されることとは関係しない。
一実施形態では、ハンドルとカバーは嵌合され、組み合わされてハウジングを形成するカバーの開口部は、好ましくはハウジング内部への唯一の開口部となる。カバーとハンドルとが嵌合される領域では、カバーとハンドルそれぞれが開口端を有してよいが、このような開口端は、カバーとハンドルとの嵌合により閉じられるため、ハウジングには一切開口部は形成されない。
ハンドルとカバーはそれぞれ略カップ状でよい。特に、ハンドルとカバーはそれぞれ、長手方向軸に沿って延びる筒状側壁を有してよい。側壁の一端は、端部壁によって閉じられ、反対側にある側壁の他端は開かれていることが好ましい。ハンドルとカバーは、双方の開口端で嵌合されることが好ましい。ハンドルに関して、本明細書では更に「ハンドル側壁」及び「ハンドル端部壁」のように称する。カバーに関して、本明細書では更に「カバー側壁」及び「カバー端部壁」のように称する。
ハンドル側壁は、好ましくは、長手方向軸に沿って非一様の内側断面が延びる、ハンドル内側壁面を形成する。したがって、一実施形態において、ハンドルの内側には、その長さの少なくとも一部にわたって、実質的に均一な非環状の内側断面が延びている。これに関して、ハンドルの長さとは、ディスペンサーの長手方向軸と平行な寸法を指す。更に、ハンドルは一体物から形成されてよく、例えばハンドル側壁とハンドル端部壁が一体成形又は一体構造で形成されていてよい。
スクリュープランジャは、好ましくは、ハンドルの内側断面と係合する形状である外側断面を備える。例えば、スクリュープランジャはねじ部を有してよく、ねじ部に関しては、ハンドルの内側断面と係合する外側断面を形成するきのこ状部であってよい。したがって、ディスペンサーは、長手方向軸を中心としたスクリュープランジャとハンドルとの間の相対回転は制限されるが、長手方向軸に沿った移動は可能であるように適合される。したがって、ハンドルとスクリュープランジャは、長手方向軸を中心とする第1及び第2の方向への互いに相対する回転を好ましくは抑止又は実質的に抑止される。ただし、ハンドルとスクリュープランジャとは、長手方向軸に沿った互いに相対する軸線方向の変位が可能であることが好ましい。
更なる実施形態では、ディスペンサーは、カバー及びカートリッジを格納位置へと弾性的に付勢する復帰バネを備える。これにより、ディスペンサーは、カバー及びカートリッジをバネ力によって分配位置から格納位置へと自動的に復帰又はリセットするように好ましくは適合される。復帰バネは、カバー及びカートリッジを復帰させ、加えて、それによって分配口を通って押し出されている歯科材料を切り離し、バネ力によって開口部を覆うだけの十分な力を与えるように構成されていてよい。これにより、歯科材料の押し出された部分を自動的に切り離すようにディスペンサーを適合できる。復帰バネは、カートリッジ又はカバーのいずれかと一体構造を形成してもよく、独立部品として提供されてもよい。
更なる実施形態では、カートリッジとカバーとの間に、長手方向軸を中心として、カートリッジ周上の少なくとも一部にわたり間隙が設けられる。そのため、間隙に存在する空気が、カートリッジ壁を通じて浸透することにより、歯科材料と連通できる。したがって、歯科材料内に存在するモノマーがいわゆる嫌気性重合されるのを防止することができる。カートリッジは略カップ状でよい。特に、カートリッジは、長手方向軸に沿って延びる筒状側壁を有してよい。カートリッジ側壁の一端は、端部壁によって閉じられ、カートリッジ側壁の反対側の他端は開かれていることが好ましい。カートリッジは、その中にねじ付きナットを受容できる拡幅区画(例えば環状フランジ)を(筒状側壁の末端にある)開口端に有してよい。拡幅区画は、好ましくは、筒状区画と比較して直径(又は断面積)が広い。特に、拡幅区画の内径(又は内側断面積)は、筒状区画の内径(又は内側断面積)より大きいことが好ましい。ねじ付きナットは、好ましくは、スクリュープランジャのねじ山と係合するためのねじ山を有する。ねじ付きナットは更に、例えば、ねじによる結合、溶接若しくは接着剤による結合、又はその他の適切な結合によって、カートリッジの拡幅区画内の軸線方向及び回転方向に固定又は取り付けされてよい。
カートリッジの筒状側壁の内側断面積と、分配口の内側断面積との比率は、好ましくは30:1〜2:1の範囲内、より好ましくは3:1〜2:1の範囲内、好ましくは約2.4:1である。更に、カートリッジの筒状側壁の内側断面積は、約30mm〜約40mm、例えば約36mmであり、分配口の内側断面積は、約13mm〜約15mm、例えば約14mmでよい。
ディスペンサーの容量は、好ましくは約1mL〜約20mLであり、より具体的には容器内に格納可能な歯科材料は約2mL〜約5mLである。更なる実施形態では、カートリッジ側壁は、実質的に均一な断面で長手方向軸に沿って延びる。側壁は更に、実質的に均一な厚みを有することが好ましい。カートリッジの側壁は、長手方向軸に沿って概ね環状に延びていることが好ましい。カートリッジは更に好ましくは、プラスチック材料、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。カートリッジがポリプロピレンから作製されている場合、カートリッジ側壁の壁厚は、好ましくは0.6mm〜2mmである。より具体的には、カートリッジは、好ましくは380nm〜750nm(可視光)の範囲内、より好ましくは450nm〜495nm(青色光)の範囲内の波長光を概ね遮断する材料から作製される。このように、カートリッジは、格納時に可視光、特に青色光への曝露から歯科材料を保護することが好ましい。したがって、通常は可視光又は青色光スペクトル内の光に露光されて硬化する光硬化性材料が、硬化の早発を引き起こすのを防止できる。
更なる実施形態では、カバーは、好ましくは380nm〜750nm(可視光)の範囲内、より好ましくは450nm〜495nm(青色光)の範囲内の波長光を概ね遮断する材料から作製されるか、又はその材料を含む。特に、少なくともカバーがカートリッジの分配口を閉じる領域では、カバーがこのような遮光特性を示すとよい。こうして、カバーは、少なくともカバーがカートリッジの分配口を閉じる領域では、貯蔵中に可視光又は特に青色光から歯科材料を保護することが好ましい。したがって、通常は可視光又は青色光スペクトル内の光に露光されて硬化する光硬化性材料が、硬化の早発を引き起こすのを防止できる。
遮光効果は、カートリッジ及び/又はカバーを作製する材料に混合される、不透明性及び/又は遮光性の特徴を有する充填剤及び/又は添加剤によって付与されてよい。このような充填剤の例として、カーボンブラック及びオレンジ顔料が挙げられる。更に、コーティング、例えば金属蒸着コーティング又はニスなどにより、遮光効果を付与してよい。
なお更なる実施形態では、スクリュープランジャ及び/又はピストンは、380nm〜750nm(可視光)の範囲内、より好ましくは450nm〜495nm(青色光)の範囲内の波長光を概ね遮断する材料から作製されるか、又はその材料を含む。これにより、特定の波長範囲の光がカートリッジの開口端からカートリッジに進入することを防止できる。
更なる実施形態では、カバー側壁及びカートリッジ側壁が組み合わされて筒状の二重壁を形成する。このとき、カートリッジ側壁はカバー側壁内に(例えば、概ね同心円状に)、ただしカートリッジ側壁とカバー側壁との間に空間を残した状態で配設される。カートリッジ側壁は、カートリッジ側壁を通って十分な空気が浸透するように、厚みが寸法設定されていることが好ましい。このように寸法設定されたカートリッジ側壁は、歯科材料の分配に使用する際、カートリッジ内で生成される圧力に起因して弾性的に変形し得る。したがって、カートリッジは、加圧時にカートリッジ側壁とカバー側壁との間の空間がなくなるまで弾性的に膨潤できる。カートリッジ側壁とカバー側壁との間の空間がなくなった段階で、カバー側壁はカートリッジ側壁を支持し、カートリッジの更なる膨潤を阻止する。言い換えると、カートリッジの膨潤はカバーによって制限される。したがって、圧力解放時のカートリッジの縮小又は収縮も、初期寸法内に制限される。それにより、カートリッジの収縮に起因した、分配後の歯科材料のアフターフロー(又はランオン)が制限又は最小化され得る。
一実施形態では、カートリッジとカバーとの間の空間を確保するために、カートリッジ側壁の外側に1つ以上のスペーサーを有してよい。このようなスペーサーは、カートリッジの外側表面にわたって環状に分散された1つ以上の膨出部によって形成されてよい。あるいは、カートリッジとカバーとの間の空間を確保するために、カバー側壁の内側に1つ以上のスペーサーを有してもよい。スペーサーは、カートリッジの外側表面にわたって環状に分散された1つ以上の膨出部によって形成されてよい。膨出部の代わりに、あるいは膨出部に加えて、カートリッジ又はカバーのいずれかに1つ以上の延伸された***部を付与してもよい。このような***部は、例えば長手方向軸に沿って線状に又は螺旋状に延びていてよい。
一実施形態では、ディスペンサーは充填レベル表示器を備える。充填レベル表示器は、好ましくはハンドル内に収容又は格納される。ハンドルは、好ましくは半透明又は透明の壁部分を備える。更に、充填レベル表示器は、好ましくは半透明又は透明の壁部分の後部に配設される。これにより、充填レベル表示器が、半透明又は透明の壁部分を通して可視となることが好ましい。更にハンドルは、全て又は実質的に全てが半透明又は透明の材料から構成されてよい。
更なる実施形態では、ハンドルは異なる充填レベルを示すスケールを備えてよい。このスケールは、好ましくは、スケールが表す充填レベルが充填表示器に表示されるように配設される。更に、この充填レベルが、カートリッジ内に収容又は残存する押出可能な歯科材料の量と対応していることが好ましい。スケールは、ハンドルに取り付けられたラベル上に設けられてよい。それにより、ディスペンサーの製造中、カートリッジに充填される材料の実際量に合わせてスケールを正確に調整できる。したがって、充填許容範囲はカートリッジの最小必要量に対する追加量として既定され、ラベルはそれに応じた実際の追加量に相当すると位置付けできる。
更なる実施形態では、半透明又は透明の壁部分は着色される。この色は特定のクラスの材料を示し得る。これにより、ハンドルの色を材料のクラス符号と対応させることができる。材料のクラスは、例えばクラスI〜Vの1種以上の充填用の種々の歯科用複合充填材、並びに切縁、象牙質、ボディ、又はエナメル質の充填用の種々の歯科用複合充填材など、歯科材料に適した適用と関連し得る。更に、材料のクラスは、材料の種類、例えば歯科用複合充填材の化学組成と関連し得る。
更に、ディスペンサーは、ディスペンサーに収容された歯科材料の色とほぼ対応する歯色を示す歯色の符号を含んでいてよい。歯色の符号は、特定の材料のクラス符号と関連し得る。ディスペンサーは、歯色の符号と材料のクラス符号の両方を含んでよい。一実施例では、歯色の符号は、いわゆるVITAシェードガイドの符号と対応する。VITAシェードガイドは、符号によって一定の歯の色調を既定したもので、例えばB1、A1、B2、D2、A2、C1、C2、D4、A3、D3、B3、A3.5、B4、C3、A4、C4などの符号があり、それぞれが特定の歯色を表している。
カートリッジは、好ましくは実質的に球状の端部壁を有する。好ましくは、分配口は、その端部壁を通り、長手方向軸に対して偏心関係となるように延びる。特に好ましくは、分配口は、端部壁を通り、長手方向軸に対して傾斜した次元に沿って延びる。球状をしたカートリッジ端部壁は、概ね均一な壁厚を有してよく、それにより球状の外側正面と球状の内側正面を示し得る。
一実施形態において、ディスペンサーはピストンを備える。ピストンは、好ましくはスクリュープランジャに取り付けられる。ピストンは、回転可能に、特に長手方向軸を中心として回転するように、スクリュープランジャに配設されてよい。したがって、カートリッジと相対するスクリュープランジャの回転には、必ずしもピストンの回転を必要としない。そのため、カートリッジと相対するピストンの回転に要する力が最小限になり得る。このような力は、ピストンとカートリッジとの間の摩擦によって個別に生じることがある。ただし、ピストンはスクリュープランジャと回り止め係止されることが好ましい。それにより、長手方向軸を中心とするスクリュープランジャの回転によってピストンも回転する。その結果、ピストンの位置がカートリッジ出口に近接したときに、ピストンを更に回転させると、歯科材料がピストンから剥がれ、カートリッジ出口の外へ流動することが見出された。それにより、ディスペンサーは実質的に完全に空になり、歯科材料の残留量が最小化され得る。カートリッジ、ピストン、及びスクリュープランジャの少なくともいずれかは、潤滑剤を含む材料から作製されてよく、例えば潤滑剤は、カートリッジ、ピストン、及びスクリュープランジャのいずれか又は複数を作製する材料内に分散されていてよい。このような実施形態では、ピストン及びスクリュープランジャは、互いに相対して回り止め係止されていても、互いに一体物として作製されていてもよい。ピストンは、好ましくは、カートリッジの端部壁又は内側正面に一致するような実質的に球状の正面を有する。これは、ディスペンサーの歯科材料を実質的に完全に空にする上でも有効である。
スクリュープランジャのねじ部の長手方向軸に沿った寸法は、ピストンがカートリッジ出口のカートリッジに接触したとき又はその直前にナットから係合離脱するような長さを有してよい。例えば、ねじ部には、ナットのねじが窪みにより係合離脱されるような凹部が設けられていてよい。したがって、スクリュープランジャは、ピストンがカートリッジ出口でカートリッジに接触又はほとんど接触する位置までは自由に回転可能であるため、スクリュープランジャが自由に回転する間に、歯科材料はピストンから剥がれ、カートリッジ出口の外へと流動され得る。
更に、ピストンは、長手方向軸に沿った次元内で気体又は空気を透過可能であってよいが、同一次元内でピストンを通って歯科材料が浸透しないように適合される。空気透過性は、ピストンを通る通路によってもたらされる場合がある。通路の断面積は、空気又は気体は通路内を通過できるが、歯科材料が通路を通過することは妨げるように、寸法設定されることが好ましい。そうすることで、ハンドル内部と歯科材料との間の通気がピストンによって確立できる。それによって歯科材料の嫌気性重合を最小限にできる。
更なる実施形態では、カバーは実質的に球状の端部壁を有する。好ましくは、カバーの開口部は、その端部壁を通り、長手方向軸に対して偏心関係となるように延びる。特に、球状をしたカバー端部壁は、概ね均一な壁厚を有してよく、それにより球状の外側正面と球状の内側正面を示し得る。カバー内側の球状正面は、カートリッジ外側の球状正面に実質的に相当するサイズ及び形状であってよい。更に、カバー開口部は、カートリッジ及びカバーの長手方向軸を中心とする回転によって分配口と揃い、カートリッジの外側正面とカバーの内側正面が互いに接触するように配設されるのが好ましい。
更なる実施形態では、長手方向軸に沿った次元において、カートリッジはカバーの逆方向に付勢される。特に、カートリッジは、カートリッジの外側正面とカバーの内側正面との相互接触により付勢されるように、カバーから付勢され得る。よって、カートリッジ端部壁とカバー端部壁との間で形成される回転すべり弁が、カートリッジとカバーとの間での歯科材料の流動を阻止することが好ましい。特に格納位置では、カートリッジに格納された材料が、カートリッジからカートリッジとカバーとの間の領域へと逃げないようにできる。それでもなお、カバー及びカートリッジの端部壁以外の領域に、カートリッジとカバーとの間の間隙が存在する場合があるので注意を要する。更に、例えばスナップロック又は他の適切な接続具により、カバーと相対する長手方向軸に沿った軸線方向の動きに抗して、カートリッジを係止できる。
更なる実施形態では、カバーとハンドルは互いに直接スナップ嵌めされる。スナップ嵌めは、好ましくは、ハンドルとカバーとの係合構造がなす係合によって提供される。スナップ嵌めは更に、ハンドルとカバーとが長手方向軸に分離しないように互いを係止するが、スナップ嵌めされたハンドル及びカバーが第1及び第2の方向に(好ましくは自由に)回転可能であるように構成される。更に、係合構造以外に、カバーとハンドルと間の間隙を封止するためのシールが付与されるのが好ましい。ゆえに、スナップ嵌めとシールは、好ましくは別々の領域に形成される。したがって、スナップ嵌めを構成すれば、ハンドルとカバーとを分離させる強い力に耐えることができる一方、シールがこのような強い力を受けることがないため、寿命が最大化され得る。
一実施形態では、ディスペンサー10はラチェット機構を有する。ラチェット機構は、歯止め及び歯止めと協働するためのカム構造によって形成されていてよい。カム構造はハンドルの正面に形成されてよく、歯止めはカートリッジの後方正面に形成されていてよい。組み立てられたステージでは、ハンドルの正面とカートリッジの後方正面が互いに向かい合い、係合することが好ましい。ラチェット機構は、好ましくはカートリッジとハンドルとが、長手方向軸Aを中心として互いに相対して360°完全に回転できるように構成される。カム構造は、好ましくは長手方向軸を中心として円周方向に交互に配設された複数の第1タペットと複数の第2タペットを有する。第1及び第2のタペットは、それぞれカムベースから突出し、互いに離間していることが好ましい。ラチェット機構は、好ましくは、歯止めが第1及び第2のタペットのいずれかの上を摺動し、カムベースと係合復帰するときにクリック音を提供するように適合される。第1のタペットは、好ましくは、カートリッジとハンドルとが第1の方向及び第2の方向に互いに相対して回転したとき、歯止めの摺動を可能にするように構成される。ただし、第2のタペットは、カートリッジとハンドルとが第1の方向に互いに相対して回転したときのみ歯止めの摺動を可能にするように構成されることが好ましい一方、カートリッジとハンドルとが第2の方向に回転するときは歯止めを抑止するように更に構成されることが好ましい。
更なる実施形態では、カバーとハンドルは、カートリッジの一部が露出するように互いに離間される。本実施形態では、ディスペンサーは、カートリッジとカバーをユーザーが握って、分配口の開閉又はその一方ができるように構成される。更に本実施形態のディスペンサーは、カートリッジとハンドルをユーザーが握って、歯科材料を分配できるように構成される。ゆえに、ディスペンサーの開閉機能又はその一方の機能は、ディスペンサーの分配機能から分離される。一実施形態では、カバーは、カバーの内側表面からカートリッジの外側表面に向かって突出している環状リップシールを有する。このリップシールは、好ましくは、カバー開口部を包囲し、カートリッジの外側表面と封止をなす。リップシールは、好ましくは、カバーとカートリッジとの間で予張力を受けて圧縮される。
本発明のディスペンサーは、好ましくは歯科材料、特に歯科用複合充填材、より具体的には光硬化性歯科用複合充填材を収容する。歯科用複合充填材は、通常、以下の少なくとも1つ又は全ての機能を特徴とする。
a)放射線硬化性(特に、可視光域内、具体的には青色光域内)、
b)1成分系組成物として配合(使用直前にベースペーストと触媒ペーストとが混合される、2成分系組成物として配合される歯科用印象材などと対照的)、
c)高粘性、
d)弱粘着性、例えば指で触ったとき、べたつき感がある、
e)「切断可能」、例えば歯科器具又はナイフ(メス)を用いて小片に切り離しできる、
f)「硬い」、例えば手の力を加えることで成形できるが、このような力を少なくとも約5分以上の間、加えない限りは、一般に自己支持型である。場合によって、機能(a)、(b)、(c)、及び(d)を併せ持つことが好ましい。
歯科複合材料は、通常、硬化性成分を含有する硬化性樹脂マトリックス、樹脂マトリックス内に含有された硬化性成分を硬化させる反応開始剤系、及びフィラーを含む。フィラーの含有量は、通常、歯科複合材料の重量に対して、約50、60、又は70重量%以上である。通常の範囲として、約50〜約90重量%又は約60〜約80重量%が挙げられる。硬化性成分は、通常、(メタ)アクリレート部分のような不飽和部分(炭素−炭素不飽和結合)を含む。架橋可能にするためには、硬化性成分は、通常、少なくとも約2つの不飽和部分を含む。
複合材料は、1種のみのフィラーを含んでも、種類の異なる複数のフィラーを含んでもよい。好適なフィラーとして、フュームドシリカ、石英、粉末ガラス、CaFなどの疎水性フッ化物、ケイ酸などのシリカゲル、特に発熱性ケイ酸及びその粒状体、クリストバライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、分子ふるいを含むゼオライト、硫酸バリウム、及び/又はフッ化イットリウムが挙げられる。好適なフュームドシリカとしては、例えば、Aerosil(商標)シリーズOX−50、−130、−150、及び−200の商標名で販売されている製品、Degussa AG(ドイツ、ハーナウ)から入手可能なAerosil R8200、Cabot Corp(イリノイ州、タスコラ)から入手可能なCAB−O−SILTM M5、並びにWackerから入手可能なHDK−H 2000、HDK H15、HDK H18、HDK H20、及びHDK H30などのHDKタイプが挙げられる。シリカ粒子の平均表面積は、好ましくは約15m/g超、より好ましくは約30m/g超である。
「硬化性成分又は材料」あるいは「重合性成分」とは、放射線によって誘発される重合などにより、硬化又は固化され得る成分である。硬化性成分は、1つのみ、2つ、3つ、又はそれ以上の重合性基を含有してよい。重合性基の典型例としては、中でも(メチル)アクリレート基中に存在するビニル基のような、不飽和炭素基が挙げられる。
「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す短縮語である。例えば、「(メタ)アクリルオキシ」基は、アクリルオキシ基(すなわちCH2=CH−C(O)−O−)及び/又はメタクリルオキシ基(すなわちCH2=C(CH3)−C(O)−O−)を指す短縮語である。
「硬化(curing、hardening、又はsetting)反応」は互換的に使用され、個々の成分間の化学反応によって、組成物の粘度及び硬度などの物理的性質が経時的に変化する反応を指す。
「光硬化性」とは、光による放射エネルギーの適用、好ましくは周囲条件下(例えば摂氏約23±10℃)にて可視光スペクトル内の波長光を妥当な期間内(例えば約15、10、又は5分以内)照射することにより、組成物が硬化され得ることを意味するものとする。
用語「可視光」は、約380〜約750ナノメートル(nm)の波長を有する光を指すために使用される。
本発明は更に、歯科用複合充填材を分配する方法に関する。この方法は、以下の工程を含む。
−本発明のディスペンサーを提供する工程であって、該ディスペンサーが、ディスペンサーの長手方向軸を中心として互いに相対して回転可能であるハンドル及びカバーを有する工程、
−ハンドルとカバーとを長手方向軸を中心とする第1の方向に回転させ、それによって歯科用複合充填材の一部を押し出す工程、
−ハンドルとカバーとを長手方向軸を中心として、第1の方向と逆になる第2の方向に回転させ、それによって歯科用複合充填材の一部を切り取る工程、及び
−歯科用複合充填材の切り取られた部分を除去する工程。
この方法は、ハンドルとカバーとを長手方向軸を中心として第1の方向に回転させ、それによってディスペンサーを格納位置から分配位置に移動させる工程を更に含んでよい。歯科用複合充填材の切り取られた部分を除去する工程が実施されるとき、歯科器具による切り離し又は掻き取りは不要又は実質的に不要であってよい。したがって、ディスペンサーから切り取られた微量物質によって歯科材料が汚染されるリスクを最小限にできる。更に、ディスペンサーが格納位置へと向かう動作によって歯科材料が切り取られるため、使用時に歯科材料を取るときには、ディスペンサーは通常閉じられている。したがって、歯科材料を取るために用いられる器具が、ディスペンサー内にまだ格納されている歯科材料と接触することが防止される。したがって、同一のディスペンサーを用いて治療された2人の患者間での相互感染のリスクが最小化される。更に、器具とディスペンサー間の接触が必須ではないため、それによるディスペンサーの汚染も回避できる。したがって、本発明により、ディスペンサーを使用した歯科治療において最大限の衛生を維持できる。
本発明の一実施形態によるディスペンサーの側面図である。 図1に示したディスペンサーを手で保持している図である。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの断面図である。 図2の部分拡大図である。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの操作を示している。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの操作を示している。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの操作を示している。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの操作を示している。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの操作を示している。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの仮想切取図を含む側面図である。 図9の部分拡大図である。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの部分分解図である。 本発明の一実施形態によるディスペンサーの部分断面図である。 本発明の更なる実施形態によるディスペンサーの部分断面図である。
図1は、本発明によるディスペンサー10を示す。ディスペンサーは、カバー12及びハンドル13により形成されたハウジング11を有する。ディスペンサー10は、長手方向軸Aに沿って略直線状に延びている。本実施例の長手方向軸Aは、ディスペンサー10の対称軸も形成する。カバー12は、歯科材料を分配するための開口部14(本明細書で「カバー開口部」と呼ばれることもある)を有する。図の実施例では、開口部14は閉じられている。ハンドル13とカバー12とは、ハンドル13とカバー12とが、長手方向軸Aを中心として互いに相対して回転できるように互いに回転可能に相互接続されている。したがって、ハンドル13とカバー12とを互いに相対して回転させることにより、ディスペンサーから歯科材料を分配できる。特に、ディスペンサーは、ハンドル13とカバー12とを第1の方向に互いに相対して回転させることにより、開口部14を作動でき、加えて同一方向に更に回転させることにより、歯科材料が分配されるように適合される。ディスペンサーは、ハンドル13とカバー12とを第1の方向と逆の第2の方向に回転させることにより、開口部14が閉じられ、それによって開口部14を通って延びる歯科材料の一部を切り取るように更に適合される。
ハンドル13とカバー12との間の相互接続面は、好ましくは、ディスペンサー中心から長手方向軸A沿いにずれた位置にある。特に、ハンドル13とカバー12との間の相互接続は、中心からハンドル13側にずれているのが好ましい。言い換えると、ハンドル13の長さはカバー12より短いことが好ましい。これに関して、ディスペンサーの「長さ」とは、ディスペンサーの長手方向軸と平行な寸法サイズを指す。それによって、ディスペンサーは、例えば指3本でカバー12を保持し、親指と人差し指でハンドル13を回転させて作動できるように適合される。これにより、ディスペンサーを比較的利便に作動できることが見出された。
したがって、ディスペンサー10は、図1aに示したように、ユーザーの手に保持できるような形状となる。ディスペンサー10の最大径は、10mm〜15mmの範囲内であればよい。それにより、ディスペンサー10を手で都合よく保持し、ディスペンサー10を利便に作動させることができる。ディスペンサー10は、長手方向軸Aと平行な次元に沿って延びる、1つ以上の溝若しくはリブ、又はハンドル13及び/又はカバー12の外周に分散する突起など、外部の把持構造を更に有してよい。本実施例でのカバーは、長手方向軸Aと平行な次元に沿って延び、カバー12の円周上に均一に分散するリブ15の形態で、外部の把持構造を有する。図示されていないが、類似の又は他の適切な把持構造が、ハンドル13に設けられていてよい。
更にハンドル13は、実施例ではハンドル13の球状端部の外側表面上に配設されている歯色の符号33を呈する。球状であることによって、長手方向軸Aに相対する軸方向の視点から見たとき(例えば、ハンドル13を上向きにしてディスペンサーをスタンドに保管しているとき)も、径方向の視点から見たとき(例えばディスペンサーを引き出しに保管しているとき)にも、歯色の符号33を識別できる。
図2は、ディスペンサー10の詳細な断面図を示す。ディスペンサー10は、歯科材料(図示せず)を格納するためのカートリッジ16を有する。カートリッジ16は、内側及び外側断面が略環状の状態で長手方向軸Aに沿って延びる。よって、カートリッジは略円筒の外形と略円筒の内形を持つ筒状の区画を有する。カートリッジ16は、歯科材料を収容するチャンバ17を更に形成する。カートリッジ16は、歯科材料の分配口19を有する。分配口19は、カートリッジ16の端部壁20を貫いて形成される。端部壁20は、内側及び外側が実質的に球状であるため、略均一な壁厚を有する。更に分配口19は、カートリッジ16の端部壁20を通り、長手方向軸Aに対して偏心関係に配設される。カートリッジ16は、カバー12内に受容される。
カバー12も、少なくとも概ね環状の内側断面の状態で長手方向軸Aに沿って延び、本質的に環状の外側断面を有してよい。したがって、カバー12は、少なくとも内側形状が略円筒である筒状の区画を有する。カバー12の筒状の区画は、図1に示すような把持構造を有してよいが、把持構造の領域以外では、実質的に円筒の外側形状を尚も有し得る。カバー12は、少なくとも内側が実質的に球状である端部壁18を更に有する。更に、端部壁18の内側は、カートリッジ16の端部壁20の外側と概ね一致する形状である。端部壁18は、好ましくは内側及び外側が実質的に球状であり、概ね均一な壁厚を有することが好ましい。更に、開口部14は、カバー12の端部壁18を通り、好ましくは長手方向軸Aに対して偏心関係に配設される。特に、分配口19及びカバー開口部14は、カートリッジ16及びカバー12が互いに嵌合される状況において、互いの位置が揃うように配設される。これに関して、用語「嵌合される」は、カートリッジ16の端部壁20の外側がカバー12の端部壁18の内側と接触するように、カートリッジ16がカバー12内に受容されることを指す。
カバー12の筒状区画の内径は、カートリッジ16の筒状区画の外径より大きい。それにより、カートリッジ16の筒状区画とカバー12の筒状区画との間に間隙が設けられる。他方では、カバー12及びカートリッジ16、特にカバー12及びカートリッジ16の筒状区画は、その間隙が予め定められた最大サイズを有するようにサイズ設定される。間隙の最大サイズは、好ましくは、分配のためカートリッジ内に収容された歯科材料に加わる圧力によって生じるカートリッジ16の膨張又は膨潤がカバー12内に限定されるように予め定められる。言い換えると、歯科材料の分配中には、カバー12が膨張に抗してカートリッジ16を支持するが、格納時には間隙が存在するように、カバー12及びカートリッジ16をサイズ設定する。更に、カバー12の壁とカートリッジ16の壁によって設けられる、このような二重壁構造によって、カバー12が加圧されたカートリッジを機械的に補助又は支持し、加圧されたカートリッジの破断を回避できるので、カートリッジの壁厚を最小化できる。その結果、本発明では、歯科材料の貯蔵中に、間隙からカートリッジ壁を通じて適切な空気透過が可能となる。カートリッジ壁を通じて空気を透過できることで、例えば歯科用複合充填材などのある種の歯科材料には望ましくない嫌気性重合を回避できるようになる。更に本発明によって、比較的高圧で歯科材料を分配できる。このような高圧は、特に高粘性の歯科用複合充填材の分配に必要となる場合がある。膨張力が制限されることにより、圧力がカートリッジから解放された後のカートリッジの後退も制限されることが更に見出された。主としてカートリッジの弾性的な後退によって生じ、歯科材料の意図しない更なる押し出しの原因ともなるアフターフロー又はランオンを、これによって回避できる。カートリッジ16は、更に長手方向軸に沿ったカバー12と相対する動きに抗して軸線方向に係止されるため、歯科材料の分配中の長手方向軸の次元への膨張も制限され、その結果、同一次元での後退によって生じるランオンが制限され得る。
カートリッジ16は後端21に、ねじ付きスクリュープランジャ24と係合するねじ付きナット23を収容するフランジ22を有する。カートリッジフランジ22、ねじ付きナット23、及びスクリュープランジャ24の一部の拡大図を図3に示す。実施例では、ねじ付きナット23は、スクリュープランジャ24の外側ねじ山と係合するためのねじ山を内側に有する。ねじ付きナット23は更に、カートリッジフランジ22の内側ねじ山と係合するためのねじ山を外側に有する。当業者は、ねじ付きナット23は、これ以外の方法でカートリッジに保持されてよいことを理解されよう。例えば、ねじ付きナット23は、カートリッジのフランジ22内にスナップ嵌め、プレス嵌め、溶接、又は接着されてよい。更に、ナット23をカートリッジ16と一体成形(例えば一体構造)にすることも可能であり得る。このようにして、ディスペンサー10は、スクリュープランジャ24がカートリッジ16にねじ込まれると、分配口19に向かって歯科材料が前進できるように適合される。スクリュープランジャ24の外側ねじ山のピッチとナット23の内側ねじ山のピッチとを最小化すると、歯科材料を分配する力を最大化できる。好適な実施形態では、ねじ山のピッチは0.5mm〜2mmの範囲であり、好ましくは約1mmである。別の実施例(図示せず)では、2つ又はそれ以上の環状セグメントでナットを形成し、(螺合作用によってではなく)スクリュープランジャへの側方配置により、スクリュープランジャにナットを組み付けしてよい。例えば、ナットは環状の2つの半割部分で形成されていてよい。これは、一方で互いに蝶着され、他方で半割部分同士を相互に噛合させてナットを閉じた形態にするための保持要素を有する。
分配口19は、実施例に示すようにカバー12によって閉じることができる。図示された状況に関して、カートリッジ16及びカバー12は、分配口19が開口部14(カバー開口部14は図1に示す)と揃うように長手方向軸Aを中心として更に回転してよい。したがって、カートリッジ16及びカバー12が組み合わされて回転すべり弁を形成する。これは、カバー12がカートリッジの分配口19を閉じた状態にある格納位置と、カバー12内の開口部19がカートリッジの分配口19を開いた状態にある分配位置との間を作動可能である。
スクリュープランジャ24は、ハンドル13内に受容される。特に、ハンドル13内のスクリュープランジャ24は、軸線方向に変位可能に配設されるが、ハンドル13と相対する回転に抗して係止される。したがって、長手方向軸Aを中心とするスクリュープランジャ24とハンドル13との間の相対回転は制限される。実施例では、スクリュープランジャ24の非環状ヘッド25が、ハンドル13の対応する形状の内部側面と係合することにより、回転止め係止部が配される。図示されていないが、当業者は、例えばスクリュープランジャ内の溝とハンドル中の爪との係合、又はスクリュープランジャ内の1つ以上の長手方向平面とハンドル内の対応する側面など、他の回転止め機構について理解されよう。
更に、カバー12内のカートリッジ16は、予め定めた限度内でのみ、カバー12に相対して回転可能であり、このような限度を超えると回転が抑止される。そのため、ディスペンサー10は、長手方向軸Aを中心としたカートリッジ16とカバー12との間の相対回転を予め定められた回転角度内において有効にし、それ以外の角度では制限するように適合される。それに伴い、ディスペンサーは、ハンドル13とカバー12との互いに相対する回転によって、スクリュープランジャ24とカートリッジ16も互いに相対して回転できるように適合される。それによって、カートリッジ16とスクリュープランジャ24は、カートリッジ16とカバー12が互いに相対して回転可能である所定の制限内では、互いに相対して回転できないが、回転位置がカートリッジ16とカバー12との間の回転が抑止される範囲内に達すると互いに相対して回転できる。その結果、第1の方向にカバー12とハンドル13を互いに相対して回転させるとディスペンサーが自動的に開き、その開かれた状態のディスペンサー10のカバー12とハンドル13を第1の方向に更に回転させると、歯科材料が分配されるディスペンサーが提供される。更に、カバー12とハンドル13を第2の方向に互いに相対して回転させると、ディスペンサーは自動的に閉じられる。
ディスペンサー10は、カバー12とハンドル13が第2の方向に互いに相対して回転している間、スクリュープランジャ24とハンドル13との間の係合を一時解除するラチェット機構を有してよい。ディスペンサー10は更に、カバー12とハンドル13が第2の方向に互いに相対して回転している間、カートリッジ16とスクリュープランジャ24との間の回転を抑止又は制限するラチェット機構を有してよい。これにより、スクリュープランジャ24の後退と、カートリッジ16への空気の進入が回避される。ラチェット機構は、記載された係合の一時解除と回転抑止とを組み合わせても、その両方を備えたラチェット機構に置き換えてもよい。
更にディスペンサー10は、好ましくは、カバー12とハンドル13とが、予め定めた回転角分、互いに相対して回転するごとにクリック音を提供するよう適合される。それによって、ディスペンサー10のユーザーが、クリック音を聞いて、歯科材料の分配量を容易に計量できる。好ましくはラチェット機構は、カートリッジ16とスクリュープランジャ24との間の第2の方向への互いに相対する回転を、予め定められた角度の(好ましくは短い)移動に対して許可するように適合される。それにより、ハンドル13とカバー12とが格納位置に向けて回転しているとき、スクリュープランジャ24は、好ましくは制限された角度にわたり第2の方向に互いに相対して回転し、それによってスクリュープランジャ24(及びピストン)が短い距離を後退する。このような少しの後退によって、歯科材料にかかる残留圧力が解放され、それにより歯科材料のアフターフロー又はランオンが回避されることが好ましい。そのように適合されたラチェット機構は、アンダーカットを有する歯と、歯と係合したときのみアンダーカットに進入できる歯止めとを有する噛合部を含んでよい。これにより、カートリッジ16とスクリュープランジャ24とが第1の方向に互いに相対して回転すると、歯止めは歯と係合し、一旦、歯と係合した後、歯止めは、カートリッジ16とスクリュープランジャ24との互いに相対する第2の方向への回転により、アンダーカットに向かって移動可能となり得る。
ディスペンサー10は更にシール26を有し、これはハンドル13とカバー12との間に配設される。特に、ハンドル13とカバー12は、重ね継手を用いて相互に嵌合するように適合され、シール26はカバー12とハンドル13との重なり合う部分にできる間隙を封止するように配設される。実施例では、ハンドル13は、継手の雄型部を形成する第1の継手部材29を有し、カバー12は、継手の雌型部を形成する第2の継手部材30を有する。第1及び第2の継手部材、29と30は嵌合したとき互いに重なり合うように互いが嵌合するよう適合される。カバー12及びハンドル13は更に、好ましくは互いに直接スナップ嵌めされる。スナップ嵌めは、ハンドル13とカバー12に設けられた係合構造がなす係合によって提供される。実施例では、第1の継手部材29内に第1の係合構造として窪み27が設けられ、第2の継手部材30内に第2の係合構造としてリテーナ28が設けられている。窪み27とリテーナ28とは、互いに係合するよう適合されている。そのため、一旦ハンドル13とカバー12がお互いにスナップ嵌めされ、窪み27とリテーナ28も互いに係合した後は、ハンドル13とカバー12は、長手方向軸Aと平行な次元に沿って互いが分離しないように係止される。更に実施例では、窪み27は円周状の溝として形成され、リテーナ28は円周状の膨出部として形成されるのが好ましい。したがって、一旦ハンドル13とカバー12がお互いにスナップ嵌めされ、窪み27とリテーナ28も互いに係合した後は、ハンドル13とカバー12が、長手方向軸Aを中心として互いに回転可能となる。シール26は、係合構造とは別に設けられることが好ましい。特に、実施例のシール26は、係合構造から離間して配される。更に係合構造は、シール26によって封止された内部の外側に位置する。
図4〜図8は、ディスペンサー10の操作を示す。図4は、格納位置のディスペンサー10を示し、その中のカートリッジ16の分配口19(図5に参照番号を示す)はカバー12によって閉じられている。カートリッジ16の一部は、カバー12の開口部14内で露出されている。図5は、分配位置のディスペンサーを示す。分配位置には、ハンドル13とカバー12とが、第1の方向D1に長手方向軸Aを中心として互いに相対して回転することにより達する。(矢印は、カバー12を回転させずに、ハンドル13をカバー12に相対して回転させる実施例での第1の方向D1を示す)ディスペンサー10を格納位置から分配位置へと動かすための回転角は、好ましくは180°以下、特に約90°である。分配位置では、分配口19とカバー開口部14は、互いの位置が揃っている。図6は、使用位置のディスペンサー10を示し、いくらかの歯科材料100がカートリッジ16から押し出された結果、分配口19から突出している。使用位置でも、分配口19とカバー開口部14は、互いの位置が揃っている。分配位置と比較して、使用位置には、分配位置を起点として、ハンドル13とカバー12とを第1の方向D1に長手方向軸Aを中心として互いに相対して更に回転させることにより達することができる。カートリッジ16から押し出される歯科材料の量は、ハンドル13とカバー12とを互いに回転させることによって生じる回転角と比例する。ディスペンサー10は、予め定められた回転角周りを回転するごとに、クリック音、及び所望によりクリック感をディスペンサー10のユーザーに提供するよう適合してよい。例えば、ディスペンサー10は、ハンドル13とカバー12とが、回転時、予め定められた互いに相対する回転位置で停止したことを可聴及び/又は触知できるように適合されてよい。図7は、格納位置に戻ったディスペンサー10を示しており、これは図4に示す段階に相当する。ただし、図7に示す格納位置では、歯科材料100がディスペンサー上に配置されている。ハンドル13とカバー12とを、第2の方向D2(第1の方向D1の逆)に長手方向軸Aを中心として互いに相対して回転させることにより、使用位置から格納位置に達することができる。それにより、カバー12とカートリッジ16とが互いに相対して回転し、カバー開口部14と分配口19ともまた、互いに相対して移動する。具体的には、カバー開口部14と分配口19は互いに離れる。それに応じて、開口部14及び出口19から延びる歯科材料の一部は、カートリッジ16の端部壁20及びカバー12の端部壁18付近で切り離される。実施例の歯科材料100は、カバー12及び/又はカートリッジ16(カバー12の開口部14を通じて露出)に弱く付着する。したがって、図8に示すように、歯科材料100の切り離された部分をユーザーが取り除き、直ちに利用できる。歯科材料の切り離された部分は、例えばHeidemannスパチュラなどの任意の適切な歯科器具によって取り除いてよい。したがって、例えば歯科材料のバルク又はストランドから、歯科材料を掻き取り又は切り取ることを回避できる。更に、ディスペンサーと器具とを接触させず、又は穏やかな接触のみで、予め切り離された歯科材料部分を器具を用いて取ることができるため、ディスペンサーから微量物質が掻き落とされるリスクを最小化できる。
図9は、カートリッジ16に配設されているバネ31が見えるように、カバー12が仮想的に切り取られたディスペンサー10を示す。更に、円周状の噛合部32が、ハンドル13の第1の継手部材29に部分的に示されている。このバネ31及び噛合部32を含む仮想の切取図は、図10に拡大表示されている。バネ32は、カバー12及びカートリッジ16が格納位置に向かって付勢されるように配設される。これは、図に示す格納位置では、バネ31が無負荷状態又は所定の第1の初張力下にあることを意味する。カバー12及びカートリッジ16は、バネ31の力に抗してのみ分配位置方向に回転させることができるため、分配位置では、バネが(第2の強い初張力方向への)荷重を受け、カバー12及びカートリッジ16が格納位置の方向へ戻るように付勢される。実施例では、バネ31は、カバー12内部の突起部と係合するために配設される板バネである。ただし、当業者は、カバー12及びカートリッジ16を格納位置へと弾性的に付勢するための他の機構について理解されよう。特に、バネはカバー12の一部品であっても、別の部品であってもよく、カートリッジ16及び/又はカバー12に突起部又は他の手段が存在してもよい。
ハンドル13の噛合部32は、カバー12内部で好ましくは可撓性の歯止め(詳細は図示せず)と係合することが好ましい。実施例の噛合部32は、円周部にわたって均一なピッチを有する。したがって、ハンドル13とカバー12とが互いに相対して回転するたび、歯止めと噛合部32は、互いに係合と係合離脱とを繰り返す。これに関して、用語「係合」は、歯止めが噛合部の2つの歯部間で噛み合うことを指し、対して用語「係合離脱」は、歯止めが歯部のヘッド上を摺動することを指す。それについて、噛合部及び歯止めは、ユーザーがハンドル13及びカバー12を回転させると、クリック音又はクリック感を生じさせることが好ましい。
図11は、ディスペンサー10の一部の分解組立図を示す。ディスペンサー10は、カバー12及びハンドル13により形成されたハウジング11を有する。歯科材料を格納するためのカートリッジ16は、ハウジング11内で受容される。図11の実施例に示すディスペンサー10は、歯止め161と、歯止め161と連動するためのカム構造131とから形成されるラチェット機構を有する以外、図1〜3に示す実施形態と、ディスペンサー10の構成及びディスペンサーを構成する部品が同一である。特に、カム構造131はハンドル13の正面に形成され、歯止め161はカートリッジ16の後方正面に形成される。組み立てられたステージでは、ハンドル13の正面とカートリッジ16の後方正面とが互いに向かい合い、互いに連動するように配設される。ラチェット機構は、カートリッジ16とハンドル13とが、長手方向軸Aを中心として互いに相対して360°完全に回転できるように構成される。カム構造131は、円周方向に交互方式に配設された複数の第1タペット131aと複数の第2タペット131bを有する。第1及び第2のタペット、131a、131bは、それぞれカムベース131cから突出し、互いに離間している。カートリッジ16及びハンドル13が第1の方向に互いに相対して回転することにより、歯止め161は第1及び第2のタペット、131a、131bのいずれかの上を摺動し、カムベース131cに嵌合復帰し、第1及び第2のタペット、131a、131bのいずれか他方の上を摺動して、カムベース131cに嵌合復帰することを繰り返す。歯止め161がカムベース131cと嵌合復帰するたびに、ラチェット機構によりクリック音が得られる。このようなクリックは、カートリッジ16とハンドル13とが、ある所定の角度分だけ回転されたことをユーザーに示し、更にそれによりディスペンサー10から所定の量の歯科材料が分配されたことを示す。第1のタペット131aは、カートリッジ16とハンドル13とが第1の方向及び第2の方向に回転したとき、歯止め161の摺動を可能にするように構成される。ただし、第2のタペット131は、カートリッジ16とハンドル13とが第1の方向に回転したときのみ歯止め161の摺動を可能にするように構成され、それに対してカートリッジ16とハンドル13とが第2の方向に回転するときは歯止め161を抑止するように、第2のタペット131が構成される。第1のタペット131aは、カムベース131cと鈍角をなす2つの向かい合うフランクを有し、対して第2のタペット131bは、カムベース131cと鈍角をなす1フランクと、カムベース131cと鋭角をなす、向かい合うもう1フランクとを有する。カムベース131cと鋭角をなすフランクは、歯止め161が第2のタペット131b上を摺動するのを抑止するために設けられ、対してカムベース131cと鈍角をなすフランクは、対応するタペット131a/131b上の摺動を可能にする。ラチェット機構は、カートリッジ16とハンドル13との第2の方向への回転を、予め定められた第1の角度で制限された範囲内のみ許可する。この第1の角度は360°未満、例えば180°、120°、90°、又はその他の妥当な角度である。したがって、ラチェット機構は、第2の方向への回転を第1の角度内に制限するように適合される。更にその一方、ラチェット機構は、第1の角度より小さい第2の角度周りの回転を音で表すように適合される。それにより、ディスペンサー10は、少量の歯科材料でも比較的正確に分配することが可能であり、加えて逆回転の係止も提供する。第2のタペット131bのフランクの鈍角は、第1のタペット131aの相当するフランク(同一回転方向で配向するフランク)の鈍角より大きいことが好ましい。それにより、歯止め161が第2のタペット131b上を摺動する方が、歯止め161が第1のタペット131a上を摺動するよりも、ハンドル13とカートリッジとを第1の方向に互いに相対して回転させるために必要となるトルクが低くなる。したがって、ユーザーはハンドル13とカートリッジ16の回転位置を感知できる。歯止め161は、カートリッジ16の残部と一体成形(例えば射出成形)されるのが好ましい。それにより、ディスペンサーを組み立てるための労力とコストを最小化できる。
図12は、カバー12が、カバー12の内側表面からカートリッジ16の方向に突出する環状のリップシール121を有するディスペンサー10を示す。このリップシール121は、カバー開口部14を包囲し、カートリッジ16の外側表面と封止をなす。したがって、リップシールは、好ましくは、カバー12とカートリッジ16との間に予張力で圧縮される。特に、分配位置では、リップシール121はカートリッジ16の分配口(図示せず)を更に包囲する。リップシール121は、好ましくは自由端に向かって先細になり、更にリップシール121の断面形状も自由端に向かって先細になっている。それにより、カートリッジから分配される材料が、カバー12とカートリッジ16との間に流出することが防止される。更にリップシール121は、分配口から突出している材料を正確に切り離すために提供される。
図13は、ピストン241がプランジャ24と一体構造を形成しているスクリュープランジャ24を有するディスペンサー10を示す。ピストン241の歯科材料と接する側は、貫通孔242を有し、これは歯科材料の通過を十分に阻止できるほど小さいが、空気は透過可能であるように適合される。貫通孔241は、好ましくは、ハンドル内の中空と流体連通し、それにより多量の残留空気と連通する。これにより、歯科材料が十分な量の空気に触れ、長期にわたる貯蔵中に嫌気性重合を回避できる。

Claims (14)

  1. 歯科材料を分配するためのペン型ディスペンサーであって、
    ディスペンサーの長手方向軸を中心として互いに相対的に回転可能なハンドル及びカバーを備え、前記カバーは開口部を有し、前記カバーと前記ハンドルは、互いに直接スナップ嵌めされ、前記スナップ嵌めがハンドルとカバーとの係合構造がなす係合によって提供され、
    前記ディスペンサーは、さらに、
    前記カバーと前記ハンドルとの間の間隙を封止するためのシールと、
    歯科材料を保持し、前記歯科材料のための分配口を有するカートリッジと、
    螺合作用によって前記カートリッジから前記歯科材料を押し出すためのスクリュープランジャと、を含み、
    前記カートリッジ及び前記カバーが組み合わされて、前記カバーが前記カートリッジの分配口を閉じる状態にある格納位置と、前記カバー内の開口部が前記カートリッジの分配口を開く状態にある分配位置との間を、前記長手方向軸を中心とする回転により動作可能である回転すべり弁を形成し、
    前記ディスペンサーは、長手方向軸を中心とした前記スクリュープランジャと前記ハンドルとの間の相対回転を、前進及び後退方向の両方向に制限するように適合されており、
    さらに、前記長手方向軸を中心とした前記カートリッジと前記カバーとの間の相対回転を予め定められた回転角度内において有効にし、それ以外の角度では制限するように適合されている、歯科材料を分配するためのペン型ディスペンサー。
  2. 前記ハンドルの内側に、その長さの少なくとも一部にわたって、実質的に均一な非環状の内側断面が延び、前記スクリュープランジャが、前記ハンドルの内側断面と係合する形状である外側断面を備え、それにより前記スクリュープランジャと前記ハンドルとの間の相対回転が制限されるが、長手方向軸に沿った移動は可能である、請求項1に記載のディスペンサー。
  3. 前記カバー及び前記カートリッジを格納位置へと弾性的に付勢して、前記カバー及び前記カートリッジをバネ力によって前記分配位置から前記格納位置へと自動的に復帰させる復帰バネを更に含む、請求項1又は2に記載のディスペンサー。
  4. 前記復帰バネが、前記カバー及び前記カートリッジを復帰させ、その結果、開いた回転すべり弁を通って押し出されている歯科材料をバネ力によって切り離すために足る力を与えるように構成される、請求項3に記載のディスペンサー。
  5. 前記カートリッジと前記カバーとの間に、前記長手方向軸を中心としたカートリッジ周上の少なくとも一部にわたって間隙が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  6. 前記ハンドル内に収容された充填レベル表示器を備え、前記ハンドルが半透明又は透明の壁部分を含み、前記充填レベル表示器が、前記半透明又は透明の壁部分の後方に可視となるように配設される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  7. 前記半透明又は透明の壁部分が、特定のクラスの材料を示す色を有する、請求項6に記載のディスペンサー。
  8. 前記ディスペンサーに収容された前記歯科材料の色とほぼ対応する歯色を示す歯色の符号を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  9. 前記カートリッジが、実質的に球状の端部壁を有し、それを通って前記分配口が前記長手方向軸に対して偏心関係となるように延びる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  10. 前記スクリュープランジャに回転可能に配設されているピストンを更に含む、請求項9に記載のディスペンサー。
  11. 前記ピストンが、前記カートリッジの端部壁に一致するような実質的に球状の正面を有する、請求項10に記載のディスペンサー。
  12. 前記ピストンが、前記長手方向軸に沿った次元内で気体又は空気を透過可能であるが、同一次元内で前記ピストンを通って前記歯科材料が浸透しないように適合される、請求項9〜11のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  13. 前記カートリッジが、実質的に均一な断面で前記長手方向軸に沿って延びる側壁を有し、かつ前記側壁が実質的に均一な厚みを有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のディスペンサー。
  14. 前記カバー及び前記ハンドルが、前記カートリッジの一部が露出するように互いに離間される、請求項1〜1のいずれか一項に記載のディスペンサー。
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