JP6479287B1 - オーディオ再生のためのサブバンド空間クロストークキャンセル - Google Patents

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Abstract

本明細書の実施形態は、主として、拡張空間検知能及び低減されたクロストーク干渉を伴って音響を生成するためのシステム、方法、及び非一時的コンピュータ可読媒体の状況で説明される。オーディオ処理システムは、入力オーディオ信号を受信し、入力オーディオ信号に対してオーディオ処理を実行して、出力オーディオ信号を生成する。開示された実施形態の一態様では、オーディオ処理システムは入力オーディオ信号を異なる周波数バンドに分割し、各周波数バンドについて、入力オーディオ信号の空間成分を入力オーディオ信号の非空間成分に対して拡張する。

Description

本開示の実施形態は、概して、オーディオ信号処理の分野に関し、より詳細にはクロストーク干渉低減及び空間拡張に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている、2016年1月18日に出願した「Sub−Band Spatial and Cross−Talk Cancellation Algorithm for Audio Reproduction」という名称の同時係属の米国特許仮出願第62/280,119号、及び2016年1月29日に出願した「Sub−Band Spatial and Cross−Talk Cancellation Algorithm for Audio Reproduction」という名称の同時係属の米国特許仮出願第62/388,366号からの優先権を、米国特許法第119条(e)の下に主張するものである。
ステレオ音響再生は、音響場の空間特性を包含している信号を符号化すること、及び再生することを必要とする。ステレオ音響は、聴取者が音響場における空間感覚を知覚することを可能にする。
例えば、図1において、固定位置に配置された2つのラウドスピーカ(loudspeakers)110A及び110Bは、ステレオ信号を、聴取者120の方へ向けられる音波に変換して、様々な方向から聞こえる音響の印象をもたらす。図1に示されたものなど、従来の近接音響場スピーカ機構では、ラウドスピーカ110の両方によって生成された音波は、左耳125Lと右耳125Rの間のわずかな遅延と、聴取者120の頭部によってもたらされたフィルタリングとを伴って、聴取者120の左耳125Lと右耳125Rの両方で受け取られる。両方のスピーカによって生成された音波がクロストーク干渉をもたらし、これは、聴取者120が想像上の音源160の知覚された空間位置を決定するのを妨害する可能性がある。
オーディオ処理システムは、スピーカのパラメータと、スピーカに対する聴取者の位置とに基づいて、拡張空間の検知能及びクロストーク干渉の低減を伴う再生のための2つ以上の出力チャネルを適応的に生成する。オーディオ処理システムは、スピーカの物理的境界を超えて与えられるオーディオ信号の拡張音響場の範囲と、拡張音響場の範囲内の音響成分の位置及び強度とを、聴取者が知覚する具合に適応的に制御する複数のオーディオ処理パイプラインに対して、2チャネル入力オーディオ信号を印加する。オーディオ処理パイプラインは、2チャネル入力オーディオ信号(例えば、左チャネルスピーカ向けオーディオ信号及び右チャネルスピーカ向けオーディオ信号)を処理するための音響場拡張処理パイプライン及びクロストークキャンセル処理パイプラインを含む。
一実施形態では、音響場拡張処理パイプラインは、クロストークキャンセル処理を実行する前に、入力オーディオ信号を前処理して空間成分及び非空間成分を抽出する。前処理は、入力オーディオ信号の空間成分及び非空間成分におけるエネルギーの強度及びバランスを調節する。空間成分は、2つのチャネル間の非相関部分(「側方成分」)に対応し、非空間成分は、2つのチャネル間の相関部分(「中央成分」)に対応する。音響場拡張処理パイプラインは、入力オーディオ信号の空間成分及び非空間成分の音質及びスペクトル特性の制御も可能にする。
開示された実施形態の一態様では、音響場拡張処理パイプラインは、入力オーディオ信号の各チャネルを異なる周波数サブバンドに分割して各周波数サブバンドにおける空間成分及び非空間成分を抽出することにより、入力オーディオ信号に対するサブバンド空間拡張を実行する。次いで、音響場拡張処理パイプラインは、各周波数サブバンドにおける空間成分又は非空間成分のうち1つ又は複数のエネルギーを別個に調節し、空間成分及び非空間成分のうち1つ又は複数のスペクトルの特性を調節する。異なる周波数サブバンドに応じて入力オーディオ信号を分割して、各周波数サブバンドについて非空間成分に対する空間成分のエネルギーを調節することにより、サブバンド空間拡張オーディオ信号は、スピーカによって再生されたとき、より良好な空間位置認識を達成する。非空間成分に対して空間成分のエネルギーを調節することは、第1の利得係数によって空間成分を調節すること、第2の利得係数によって非空間成分を調節すること、又は両方によって実現され得る。
開示された実施形態の一態様では、クロストークキャンセル処理パイプラインは、音響場処理パイプラインからのサブバンド空間拡張オーディオ信号出力に対するクロストークキャンセルを実行する。聴取者の頭部の同じ側のスピーカによって出力されて聴取者のその側の耳によって受け取られた信号成分(例えば、118L、118R)は、本明細書では「同側音響成分」(例えば、左耳で受け取られる左チャネル信号成分、及び右耳で受け取られる右チャネル信号成分)と称され、聴取者の頭部の対側(opposite side)のスピーカによって出力された信号成分(例えば、112L、112R)は、本明細書では「対側音響成分」(例えば、右耳で受け取られる左チャネル信号成分、及び左耳で受け取られる右チャネル信号成分)と称される。対側音響成分がクロストーク干渉に寄与して、空間性の知覚を低下させる。クロストークキャンセル処理パイプラインは、対側音響成分を予測して、対側音響成分に寄与する入力オーディオ信号の信号成分を特定する。次いで、クロストークキャンセル処理パイプラインは、サブバンド空間拡張オーディオ信号の他のチャネルに対してチャネルの特定された信号成分の反転したものを加算することにより、サブバンド空間拡張オーディオ信号の各チャネルを修正して、音響を再生するための出力オーディオ信号を生成する。その結果、開示されたシステムは、クロストーク干渉に寄与する対側音響成分を低減して、音響出力の知覚される空間性を改善することができる。
開示された実施形態の一態様では、出力オーディオ信号は、入力オーディオ信号を、音響場拡張処理パイプラインによって適応的に処理し、次に、クロストークキャンセル処理パイプラインによって、聴取者に対するスピーカの位置に関するパラメータに従って処理することにより取得される。スピーカのパラメータの例は、聴取者とスピーカとの間の距離と、2つのスピーカによって聴取者に対して形成される角度とを含む。付加パラメータは、スピーカの周波数応答を含み、パイプライン処理以前に、又はパイプライン処理中にリアルタイムで測定され得る他のパラメータを含むことができる。クロストークキャンセルプロセスは、これらのパラメータを使用して実行される。例えば、クロストークキャンセルに関連する遮断周波数、遅延、及び利得は、スピーカのパラメータの関数として決定され得る。さらに、スピーカのパラメータに関連する、対応するクロストークキャンセルによる何らかのスペクトルの欠陥も推定され得る。その上、推定されたスペクトルの欠陥を補償するための、対応するクロストーク補償は、音響場拡張処理パイプラインによって1つ又は複数のサブバンドに対して実行され得る。
それゆえに、サブバンド空間拡張処理及びクロストーク補償などの音響場拡張処理は、後続のクロストークキャンセル処理の全体的な知覚される効果を改善する。その結果、聴取者は、音響がスピーカの位置に相当する空間の特定個所からではなく広い範囲から聴取者に向けられ、それによって聴取者に対してより実体験のように感じるリスニング体験を生成していることを、知覚することができる。
関連技術のステレオオーディオ再生システムを示す図である。 一実施形態による、低減されたクロストーク干渉で拡張音響場を再生するためのオーディオ処理システムの例を示す図である。 一実施形態による、図2Aに示されたオーディオ処理システムの詳細な実装形態を示す図である。 一実施形態による、オーディオ信号を処理してクロストーク干渉を低減するための例示の信号処理アルゴリズムを示す図である。 一実施形態によるサブバンド空間オーディオプロセッサの例示の図である。 一実施形態によるサブバンド空間拡張を実行するための例示のアルゴリズムを示す図である。 一実施形態によるクロストーク補償プロセッサの例示の図である。 一実施形態による、クロストークキャンセルのための補償を実行する例示の方法を示す図である。 一実施形態によるクロストークキャンセルプロセッサの例示の図である。 一実施形態による、クロストークキャンセルを実行する例示の方法を示す図である。 クロストークキャンセルによるスペクトルのアーチファクトを明示するための例示の周波数応答グラフである。 クロストークキャンセルによるスペクトルのアーチファクトを明示するための例示の周波数応答グラフである。 クロストーク補償の効果を明示するための例示の周波数応答グラフである。 クロストーク補償の効果を明示するための例示の周波数応答グラフである。 図8に示された周波数バンド分割器の折点周波数(changing corner frequencies)を変化させる効果を明示するための例示の周波数応答を示す図である。 図8に示された周波数バンド分割器の効果を明示するための例示の周波数応答を示す図である。 図8に示された周波数バンド分割器の効果を明示するための例示の周波数応答を示す図である。
本明細書で説明される特徴及び利点は全てを包括するものではなく、詳細には、多くの追加の特徴及び利点が、当業者には、図面、明細書、及び特許請求の範囲を考慮すれば明らかになるはずである。その上、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさ及び教育の目的のために選択されており、本発明の主題を輪郭づけるか又は限定するために選択されたものではないことに留意されたい。
図及び以下の説明は、解説のためにのみ、好ましい実施形態に関連するものである。以下の議論から、本明細書で開示された構造及び方法の代替的実施形態は、本発明の原理から逸脱することなく採用され得る実現可能な代替形態として容易に認識されるはずであることに留意されたい。
以下、本発明のいくつかの実施形態が詳細に参照され、それらの例が添付の図に示される。図において、実用的な場合はいつでも、同様又は類似の参照番号が使用されることがあり、同様又は類似の機能を指示し得ることが留意される。図は、実施形態を、解説のみのために表すものである。当業者なら、以下の説明から、本明細書で示された構造及び方法の代替的実施形態が、本明細書で説明された原理から逸脱することなく採用され得ることを容易に認識するはずである。
(例示のオーディオ処理システム)
図2Aは、一実施形態による、低減されたクロストーク干渉で拡張空間場を再生するためのオーディオ処理システム220の例を示す。オーディオ処理システム220は、2つの入力チャネルXL、XRを含む入力オーディオ信号Xを受信する。オーディオ処理システム220は、各入力チャネルにおいて、対側の信号成分をもたらすであろう信号成分を予測する。一態様では、オーディオ処理システム220は、スピーカのパラメータ280L、280Rを表す情報を取得し、スピーカのパラメータを表す情報に従って、対側の信号成分をもたらすであろう信号成分を推定する。オーディオ処理システム220は、推定された対側の信号成分を各入力チャネルから除去するために、他のチャネルに対して対側の信号成分をもたらすであろう信号成分の反転したものを各チャネルに加算することにより、2つの出力チャネルOL、ORを含む出力オーディオ信号Oを生成する。その上、オーディオ処理システム220は、出力チャネルOL、ORをラウドスピーカ280L、280Rなどの出力デバイスに結合してよい。
一実施形態では、オーディオ処理システム220は、音響場拡張処理パイプライン210、クロストークキャンセル処理パイプライン270、及びスピーカ設定検出器202を含む。オーディオ処理システム220の構成要素は電子回路で実現され得る。例えば、ハードウェア構成要素は、(例えばデジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用プロセッサとして)本明細書で開示された特定の動作を実行するように構成された専用回路又は論理回路を含み得る。
スピーカ設定検出器202は、スピーカ280のパラメータ204を決定する。スピーカのパラメータの例は、スピーカの数、聴取者とスピーカの間の距離、2つのスピーカによって聴取者に対して形成される、境界を定められた聴取角度(「スピーカ角度」)、スピーカの出力周波数、遮断周波数、及び、予め定められ得る、若しくはリアルタイムで測定され得る他の量を含む。スピーカ設定検出器202は、ユーザ入力又はシステム入力(例えば、ヘッドホンジャック検知イベント)から種類(例えば、電話の内蔵スピーカ、パーソナルコンピュータの内蔵スピーカ、携帯用スピーカ、大型の携帯用ステレオなど)を表す情報を取得して、スピーカ280のタイプ又はモデルに従ってスピーカのパラメータを決定してよい。或いは、スピーカ設定検出器202は、スピーカ280の各々に対して試験信号を出力して、内蔵マイクロフォン(図示せず)を使用してスピーカ出力をサンプリングすることができる。スピーカ設定検出器202は、それぞれのサンプリングされた出力から、スピーカ距離及び応答特性を決定することができる。スピーカ角度は、ユーザ(例えば、聴取者120又は別の人)によって角度量を選択することにより、又はスピーカタイプに基づいて提供され得る。その代わりに、又はそれに加えて、スピーカ角度は、マイクロフォン信号解析、スピーカの得られた画像のコンピュータビジョン解析(例えば、焦点距離を使用してスピーカ間の距離を推定し、次いでスピーカ間の距離の2分の1の焦点距離に対する比率の逆正接を使用してスピーカ角度の半分を取得する)、システムに組み込まれたジャイロスコープ又は加速度計のデータなど、ユーザ又はシステムによって生成されたセンサデータの、取り込まれて解釈されたものによって決定され得る。音響場拡張処理パイプライン210は、入力オーディオ信号Xを受信し、入力オーディオ信号Xに対して音響場拡張を実行して、チャネルTL及びTRを含む予め補償された信号を生成する。音響場拡張処理パイプライン210は、サブバンド空間拡張を使用して、また、スピーカ280のパラメータ204を使用し得て、音響場拡張を実行する。詳細には、音響場拡張処理パイプライン210は、適応的に、(i)1つ又は複数の周波数サブバンドについて、入力オーディオ信号Xに対するサブバンド空間拡張を実行して、入力オーディオ信号Xの空間情報を拡張し、(ii)スピーカ280のパラメータに従ってクロストーク補償を実行して、クロストークキャンセル処理パイプライン270による後続のクロストークキャンセルに起因する何らかのスペクトルの欠陥を補償する。音響場拡張処理パイプライン210の詳細な実装形態及び動作は、以下の図2B、図3〜図7を参照しながら提供される。
クロストークキャンセル処理パイプライン270は、予め補償された信号Tを受信し、予め補償された信号Tに対するクロストークキャンセルを実行して、出力信号Oを生成する。クロストークキャンセル処理パイプライン270は、パラメータ204に従ってクロストークキャンセルを適応的に実行してよい。クロストークキャンセル処理パイプライン270の詳細な実装形態及び動作は、以下の図3、及び図8〜図9を参照しながら提供される。
一実施形態では、音響場拡張処理パイプライン210及びクロストークキャンセル処理パイプライン270の設定(例えば、中心周波数又は遮断周波数、品質因子(Q)、利得、遅延など)は、スピーカ280のパラメータ204に従って決定される。一態様では、音響場拡張処理パイプライン210及びクロストークキャンセル処理パイプライン270の異なる設定は、1つ又は複数のルックアップテーブルとして記憶されてよく、スピーカパラメータ204に従ってアクセスされ得る。スピーカパラメータ204に基づく設定は、1つ又は複数のルックアップテーブルによって特定され得て、音響場拡張及びクロストークキャンセルを実行するために適用され得る。
一実施形態では、音響場拡張処理パイプライン210の設定は、スピーカパラメータ204と音響場拡張処理パイプライン210の対応する設定との間の関連性を表す第1のルックアップテーブルによって特定され得る。例えば、スピーカパラメータ204が聴取角度(又は範囲)を指定し、スピーカのタイプ(又は周波数応答範囲(例えば、携帯用スピーカについては350Hzと12kHz)をさらに指定する場合、音響場拡張処理パイプライン210の設定は、第1のルックアップテーブルによって決定され得る。第1のルックアップテーブルは、対応するスペクトルのアーチファクト(artifacts)を補償するために、様々な設定下で(例えば、クロストークキャンセルを実行するための遮断周波数、利得又は遅延を変化させて)クロストークキャンセルのスペクトルのアーチファクトをシミュレートして、音響場拡張の設定を事前に決めることによって生成され得る。その上、スピーカパラメータ204は、クロストークキャンセルに従って、音響場拡張処理パイプライン210の設定に対してマッピングされ得る。例えば、特定のクロストークキャンセルのスペクトルのアーチファクトを修正するための音響場拡張処理パイプライン210の設定は、クロストークキャンセルに関連したスピーカ280用の第1のルックアップテーブルに記憶されてよい。
一実施形態では、クロストークキャンセル処理パイプライン270の設定は、様々なスピーカパラメータ204と、クロストークキャンセル処理パイプライン270の対応する設定(例えば、遮断周波数、中心周波数、Q、利得及び遅延)との間の関連性を表す第2のルックアップテーブルによって特定される。例えば、特定タイプのスピーカ280(例えば、携帯用スピーカ)が特定の角度に配置されていれば、スピーカ280のクロストークキャンセルを実行するためのクロストークキャンセル処理パイプライン270の設定は、第2のルックアップテーブルによって決定され得る。第2のルックアップテーブルは、様々なスピーカ280の様々な設定(例えば、距離、角度など)下で生成された音響を試験することにより、経験的実験によって生成されてよい。
図2Bは、一実施形態による、図2Aに示されたオーディオ処理システム220の詳細な実装形態を示す。一実施形態では、音響場拡張処理パイプライン210は、サブバンド空間(SBS)オーディオプロセッサ230、クロストーク補償プロセッサ240、及び合成器250を含み、クロストークキャンセル処理パイプライン270は、クロストークキャンセル(CTC)プロセッサ260を含む(この図にはスピーカ設定検出器202は示されていない)。いくつかの実施形態では、クロストーク補償プロセッサ240及び合成器250は、省略されるか又はSBSオーディオプロセッサ230に統合されてよい。SBSオーディオプロセッサ230は、左チャネルYL及び右チャネルYRなど2つのチャネルを含む空間拡張オーディオ信号Yを生成する。
図3は、オーディオ処理システム220によって実行されるであろう、オーディオ信号を処理してクロストーク干渉を低減するための、一実施形態による例示の信号処理アルゴリズムを示す。いくつかの実施形態では、オーディオ処理システム220は、ステップを並行して実行してよく、ステップを異なる順序で実行してよく、又は異なるステップを実行してもよい。
サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、370で左チャネルXL及び右チャネルXRなど2つのチャネルを含む入力オーディオ信号Xを受信し、372で入力オーディオ信号Xに対してサブバンド空間拡張を実行して、左チャネルYL及び右チャネルYRなど2つのチャネルを含む空間拡張オーディオ信号Yを生成する。一実施形態ではサブバンド空間拡張は、入力オーディオ信号Xの各チャネルを異なる入力サブバンド信号X(k)に分割する分割回路に対して左チャネルYL及び右チャネルYRを印加するステップを含む。分割回路は、図4に示された周波数バンド分割器410に関連して論じられるような様々な回路トポロジに配置された複数のフィルタを含む。分割回路の出力は、中央成分及び側方成分にマトリクス化される。中央成分及び側方成分に対して利得が適用され、各サブバンドの中央成分と側方成分の間のバランス又は比率を調節する。中央サブバンド成分及び側方サブバンド成分に対して適用されるそれぞれの利得及び遅延は、第1のルックアップテーブル又は関数に従って決定され得る。従って、入力サブバンド信号X(k)における各空間サブバンド成分Xs(k)のエネルギーが、入力サブバンド信号X(k)における各非空間サブバンド成分Xn(k)のエネルギーに対して調節されて、サブバンドk向けの拡張空間サブバンド成分Y(k)及び拡張非空間サブバンド成分Yn(k)を生成するサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、拡張サブバンド成分Ys(k)、Yn(k)に基づいて非マトリクス化演算を実行して、サブバンドk向けの空間拡張サブバンドオーディオ信号Y(k)の2つのチャネル(例えば左チャネルYL(k)及び右チャネルYR(k))を生成するサブバンド空間オーディオプロセッサは、2つの非マトリクス化されたチャネルに対して空間利得を適用してエネルギーを調節する。さらに、サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、各チャネルの空間拡張サブバンドオーディオ信号Y(k)を合成して、空間拡張オーディオ信号Yの対応するチャネルYL及びYRを生成する。周波数分割及びサブバンド空間拡張の詳細は、図4を参照しながら以下で説明される。
クロストーク補償プロセッサ240は、374でクロストーク補償を実行して、クロストークキャンセルに由来するアーチファクトを補償する。クロストークキャンセルプロセッサ260において、遅延して反転された対側音響成分に対してそれらの対応する同側音響成分を加算することに主として由来するこれらのアーチファクトは、最終的に与えられる結果に対して櫛形フィルタに似た周波数応答を導入する。クロストークキャンセルプロセッサ260において適用される特定の遅延、増幅、又はフィルタリングに基づいて、サブナイキスト櫛形フィルタのピーク及びトラフ(troughs)の量及び特性(例えば、中心周波数、利得、及びQ値)が周波数応答において上下にシフトし、スペクトルの特定領域におけるエネルギーの可変の増幅及び/又は減衰をもたらす。クロストーク補償は、クロストークキャンセルプロセッサ260によって実行されるクロストークキャンセルに先立って、スピーカ280の所与のパラメータに関して、特定の周波数バンドについて入力オーディオ信号Xを遅延させるか又は増幅することによる前処理ステップとして実行され得る。一実装形態では、サブバンド空間オーディオプロセッサ230によって実行されるサブバンド空間拡張と並行して、入力オーディオ信号Xに対してクロストーク補償が実行されてクロストーク補償信号Zを生成する。この実装形態では、合成器250は、376でクロストーク補償信号Zに2つのチャネルYL及びYRの各々を合成して、2つの予め補償されたチャネルTL及びTRを含む予め補償された信号Tを生成する。或いは、クロストーク補償は、サブバンド空間拡張の後、クロストークキャンセルの後に順次に実行されるか、又はサブバンド空間拡張に統合される。クロストーク補償の詳細は、図6を参照しながら以下で説明される。
クロストークキャンセルプロセッサ260は、378でクロストークキャンセルを実行して、出力チャネルOL及びORを生成する。より詳細には、クロストークキャンセルプロセッサ260は、合成器250から予め補償されたチャネルTL及びTRを受信し、予め補償されたチャネルTL及びTRに対するクロストークキャンセルを実行して、出力チャネルOL及びORを生成する。チャネル(L/R)について、クロストークキャンセルプロセッサ260は、予め補償されたチャネルT(L/R)による対側音響成分を推定して、スピーカパラメータ204に従って対側音響成分に寄与する予め補償されたチャネルT(L/R)の部分を特定する。クロストークキャンセルプロセッサ260は、予め補償されたチャネルT(L/R)の特定された部分の反転したものを他の予め補償されたチャネルT(R/L)に加算して、出力チャネルO(R/L)を生成する。この設定では、耳125(R/L)に到達した出力チャネルO(R/L)に従ってスピーカ280(R/L)によって出力される同側音響成分の波頭(wavefront)は、他のスピーカ280(L/R)による対側音響成分出力の波頭を出力チャネルO(L/R)に従ってキャンセルすることができ、それによって出力チャネルO(L/R)による対側音響成分を効果的に除去する。或いは、クロストークキャンセルプロセッサ260は、サブバンド空間オーディオプロセッサ230からの空間拡張オーディオ信号Yに対して、又は代わりに入力オーディオ信号Xに対して、クロストークキャンセルを実行してよい。クロストークキャンセルの詳細は、図8を参照しながら以下で説明される。
図4は、中央/側方処理手法を採用する、一実施形態によるサブバンド空間オーディオプロセッサ230の例示の図を示すサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、チャネルXL、XRを含む入力オーディオ信号を受信し、入力オーディオ信号に対してサブバンド空間拡張を実行して、チャネルYL、YRを含む空間拡張オーディオ信号を生成する。一実施形態では、サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、周波数バンド分割器410、左側/右側オーディオから中央/側方オーディオへのコンバータ420(k)(「L/R To M/Sコンバータ420(k)」)、中央/側方オーディオプロセッサ430(k)(「Mid/Sideプロセッサ430」(k)又は「サブバンドプロセッサ430」(k))、周波数サブバンドkのグループ用の中央/側方オーディオから左側/右側オーディオへのコンバータ440(k)(「M/S To L/Rコンバータ440(k)」又は「反転コンバータ440」(k))、及び周波数バンド合成器450を含む。いくつかの実施形態では、図4に示されたサブバンド空間オーディオプロセッサ230の構成要素は、異なる順序で配置されてよい。いくつかの実施形態ではサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、図4に示されたのとは異なる構成要素、追加の構成要素又はより少ない構成要素を含む。
1つの構成では、周波数バンド分割器410すなわちフィルタバンクは、直列、並列、又は派生(derived)など、様々な回路トポロジのうち任意のものに配置された複数のフィルタを含む分割回路である。分割回路に含まれる例示のフィルタタイプは、無限インパルス応答(IIR)又は有限インパルス応答(FIR)のバンドパスフィルタ、IIRピーキング及びシェルビングフィルタ、Linkwitz−Riley、又はオーディオ信号処理技術の当業者に既知の他のフィルタタイプを含む。これらのフィルタは、各周波数サブバンドkについて、左側入力チャネルXLを左側サブバンド成分XL(k)に分割し、右側入力チャネルXRを右側サブバンド成分XR(k)に分割する。1つの手法では、人間の耳の臨界帯域を近似するために、4つのバンドパスフィルタ、或いは、ローパスフィルタと、バンドパスフィルタと、ハイパスフィルタとの任意の組合せが採用される。臨界帯域は、第2のトーンが既存の第1のトーンをマスクすることができる範囲の帯域幅に対応するものである。例えば、周波数サブバンドの各々が、人間の聴覚の臨界帯域を模倣するように、統合されたバーク尺度に対応してよい。例えば、周波数バンド分割器410は、対応する周波数バンドについて、左側入力チャネルXLを、それぞれ0から300Hz、300から510Hz、510から2700Hz、及び2700Hzからナイキスト周波数に対応する4つの左側サブバンド成分XL(k)に分割し、同様に、右側入力チャネルXRを右側サブバンド成分XR(k)に分割する。臨界帯域の統合された組を決定するプロセスは、多種多様な音楽ジャンルからのオーディオサンプルのコーパスを使用して、サンプルから、24のバーク尺度臨界帯域(Bark scale critical bands)にわたって、中央成分と側方成分との長期平均エネルギーの比率を決定するステップを含む。次いで、同様の長期平均比率を伴う連続した周波数バンドがグループ化されて、臨界帯域の組を形成する。他の実装形態では、フィルタは、左側入力チャネル及び右側入力チャネルを、4つよりも少数又は多数のサブバンドに分離する。周波数バンドの範囲は調節可能でよい。周波数バンド分割器410は、左側サブバンド成分XL(k)と右側サブバンド成分XR(k)の対を、対応するL/R To M/Sコンバータ420(k)に出力する。
各周波数サブバンドkにおけるL/R To M/Sコンバータ420(k)、中央/側方プロセッサ430(k)、及びM/S To L/Rコンバータ440(k)は、一緒に動作して、空間サブバンド成分Xs(k)(「側方サブバンド成分」とも称される)を、そのそれぞれの周波数サブバンドkにおける非空間サブバンド成分Xn(k)(「中央サブバンド成分」とも称される)に対して拡張する。具体的には、それぞれのL/R To M/Sコンバータ420(k)は、所与の周波数サブバンドkについて、サブバンド成分XL(k)とXR(k)の対を受信し、これらの入力を中央サブバンド成分及び側方サブバンド成分に変換する。一実施形態では、非空間サブバンド成分Xn(k)は、左側サブバンド成分XL(k)と右側サブバンド成分XR(k)の間の相関部分に対応し、故に非空間情報を含む。その上、空間サブバンド成分Xs(k)は、左側サブバンド成分XL(k)と右側サブバンド成分XR(k)との間の非相関部分に対応し、故に空間情報を含む。非空間サブバンド成分Xn(k)は、左側サブバンド成分XL(k)と右側サブバンド成分XR(k)の和として計算されてよく、空間サブバンド成分Xs(k)は、左側サブバンド成分XL(k)と右側サブバンド成分XR(k)との間の差として計算されてよい。一例では、L/R To M/Sコンバータ420は、周波数バンドの空間サブバンド成分Xs(k)及び非空間サブバンド成分Xn(k)を以下の式に従って取得する。
サブバンドkについて、Xs(k)=XL(k)−XR(k) …式(1)
サブバンドkについて、Xn(k)=XL(k)+XR(k) …式(2)
それぞれの中央/側方プロセッサ430(k)は、サブバンドkについて、受信した空間サブバンド成分Xs(k)を、受信した非空間サブバンド成分Xn(k)に対して拡張して、拡張空間サブバンド成分Ys(k)及び拡張非空間サブバンド成分Yn(k)を生成する。一実施形態では、中央/側方プロセッサ430(k)は、非空間サブバンド成分Xn(k)を対応する利得係数Gn(k)だけ調節し、増幅された非空間サブバンド成分Gn(k)*Xn(k)を対応する遅延関数D[]によって遅延させて、拡張非空間サブバンド成分Yn(k)を生成する。同様に、中央/側方プロセッサ430(k)は、受信した空間サブバンド成分Xs(k)を対応する利得係数Gs(k)だけ調節し、増幅された空間サブバンド成分Gs(k)*Xs(k)を対応する遅延関数Dによって遅延させて、拡張空間サブバンド成分Y(k)を生成する。利得係数及び遅延量は調節可能であり得る。利得係数及び遅延量は、スピーカパラメータ204に従って決定されてよく、又はパラメータ値の想定される組用に固定されてよい。それぞれの中央/側方プロセッサ430(k)は、非空間サブバンド成分Xn(k)及び空間サブバンド成分Xs(k)を、対応するそれぞれの周波数サブバンドkのM/S To L/Rコンバータ440(k)に出力する。周波数サブバンドkの中央/側方プロセッサ430(k)は、拡張非空間サブバンド成分Yn(k)及び拡張空間サブバンド成分Ys(k)を以下の式に従って生成する。
サブバンドkについて、Yn(k)=Gn(k)*D[Xn(k),k] …式(3)
サブバンドkについて、Ys(k)=Gs(k)*D[Xs(k),k] …式(4)
利得係数及び遅延係数の例は、次の表1に列挙される。
Figure 0006479287

それぞれのM/S To L/Rコンバータ440(k)は、拡張非空間成分Yn(k)及び拡張空間成分Ys(k)を受信して、それらを拡張左側サブバンド成分YL(k)及び拡張右側サブバンド成分YR(k)に変換する。L/R To M/Sコンバータ420(k)が上記の式(1)及び式(2)に従って非空間サブバンド成分Xn(k)及び空間サブバンド成分Xs(k)を生成すると想定して、M/S To L/Rコンバータ440(k)は、周波数サブバンドkの拡張左側サブバンド成分YL(k)及び拡張右側サブバンド成分YR(k)を以下の式に従って生成する。
サブバンドkについて、YL(k)=(Yn(k)+Ys(k))/2 …式(5)
サブバンドkについて、YR(k)=(Yn(k)−Ys(k))/2 …式(6)
一実施形態では、式(1)及び式(2)におけるXL(k)とXR(k)は交換されてよく、その場合、式(5)及び式(6)におけるYL(k)とYR(k)も同様に交換される。
周波数バンド合成器450は、以下の式に従って、M/S To L/Rコンバータ440からの異なる周波数バンドにおける拡張左側サブバンド成分を合成して空間拡張左側オーディオチャネルYLを生成し、M/S To L/Rコンバータ440からの異なる周波数バンドにおける拡張右側サブバンド成分を合成して空間拡張右側オーディオチャネルYRを生成する。
L=ΣYL(k) …式(7)
R=ΣYR(k) …式(8)
図4の実施形態では入力チャネルXL、XRは4つの周波数サブバンドに分割されているが、他の実施形態では、入力チャネルXL、XRは、上記で説明されたように、別の数の周波数サブバンドに分割され得る。
図5は、一実施形態によりサブバンド空間オーディオプロセッサ230によって実行されるであろうサブバンド空間拡張を実行するための例示のアルゴリズムを示す。いくつかの実施形態ではサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、ステップを並行して実行してよく、ステップを異なる順序で実行してよく、又は異なるステップを実行してもよい。
サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、入力チャネルXL、XRを含む入力信号を受信する。サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、510で、k個(例えば、k=4)の周波数サブバンドに従って、入力チャネルXLを、サブバンド成分XL(k)、例えば、XL(1)、XL(2)、XL(3)、XL(4)に分割し、入力チャネルXRを、サブバンド成分XR(k)、例えば、XR(1)、XR(2)、XR(3)、XR(4)に分割し、例えば、サブバンドは、それぞれ0から300Hz、300から510Hz、510から2700Hz、及び2700Hzからナイキスト周波数をXL包含する。
サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、各周波数サブバンドkについて、サブバンド成分に対するサブバンド空間拡張を実行する。具体的にはサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、515で、それぞれのサブバンドkについて、例えば、上記の式(1)及び式(2)に従って、空間サブバンド成分Xs(k)及び非空間サブバンド成分Xn(k)に基づいてサブバンド成分XL(k)、XR(k)を生成する。加えてサブバンド空間オーディオプロセッサ230は、520で、サブバンドkについて、例えば、上記の式(3)及び式(4)に従って、空間サブバンド成分Xs(k)及び非空間サブバンド成分Xn(k)に基づいて、拡張空間成分Ys(k)及び拡張非空間成分Yn(k)を生成する。その上、サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、525で、サブバンドkについて、例えば、上記の式(5)及び式(6)に従って、拡張空間成分Ys(k)及び拡張非空間成分Yn(k)に基づいて、拡張サブバンド成分YL(k)、YR(k)を生成する。
サブバンド空間オーディオプロセッサ230は、530で、全ての拡張サブバンド成分YL(k)を合成することにより、空間拡張チャネルYLを生成し、全ての拡張サブバンド成分YR(k)を合成することにより、空間拡張チャネルYRを生成する。
図6は、一実施形態によるクロストーク補償プロセッサ240の例示の図を示す。クロストーク補償プロセッサ240は、入力チャネルXL及びXRを受信し、クロストークキャンセルプロセッサ260によって実行される後続のクロストークキャンセルにおける何らかのアーチファクトを予め補償するための前処理を実行する。一実施形態では、クロストーク補償プロセッサ240は、左側信号及び右側信号の合成器610(「L&R合成器610」とも称される)、及び非空間成分プロセッサ620を含む。
L&R合成器610は、左側入力オーディオチンネルXL及び右側入力オーディオチャネルXRを受信して、入力チャネルXL、XRの非空間成分Xnを生成する。開示された実施形態の一態様では、非空間成分Xnは、左側入力チャネルXLと右側入力チャネルXRとの間の相関部分に対応する。L&R合成器610は、左側入力チャネルXLと右側入力チャネルXRとを加算して、次式で示されるように入力オーディオチャネルXL、XRの非空間成分Xnに対応する相関部分を生成してよい。
n=XL+XR …式(9)
非空間成分プロセッサ620は、非空間成分Xnを受信し、非空間成分Xnに対して非空間拡張を実行してクロストーク補償信号Zを生成する。開示された実施形態の一態様では、非空間成分プロセッサ620は、入力チャネルXL、XRの非空間成分Xnに対する前処理を実行して、後続のクロストークキャンセルにおける何らかのアーチファクトを補償する。後続のクロストークキャンセルの非空間信号成分の周波数応答グラフは、シミュレーションによって取得され得る。加えて、周波数応答グラフを解析することにより、クロストークキャンセルのアーチファクトとして生じる、周波数応答グラフにおいて所定の閾値(例えば、10dB)を上回るピーク又はトラフなどの何らかのスペクトルの欠陥が推定され得る。クロストークキャンセルプロセッサ260において、遅延して反転された対側の信号に対してそれらの対応する同側の信号を加算することに主として由来するこれらのアーチファクトは、それによって、最終的に与えられる結果に対して櫛形フィルタに似た周波数応答を効果的に導入する。クロストーク補償信号Zは、推定されたピーク又はトラフを補償するために非空間成分プロセッサ620によって生成され得る。具体的には、クロストークキャンセルプロセッサ260において適用される特定の遅延、フィルタリング周波数、及び利得に基づいて、ピーク及びトラフは周波数応答において上下にシフトし、スペクトルの特定領域においてエネルギーの可変の増幅及び/又は減衰をもたらす。
一実装形態では、非空間成分プロセッサ620は、クロストークキャンセルの推定されるスペクトルの欠陥を補償するために、クロストーク補償信号Zを生成するための増幅器660、フィルタ670及び遅延器680を含む。1つの例示的実装形態では、増幅器660は、非空間成分Xnを利得係数Gnだけ増幅し、フィルタ670は、増幅された非空間成分Gn*Xnに対して2次のピーキングEQフィルタF[]を実行する。フィルタ670の出力は、遅延器680により、遅延機能Dによって遅延され得る。フィルタ、増幅器、及び遅延器は、任意の順番でカスケードに配置されてよい。フィルタ、増幅器、及び遅延器は、調節可能な構成(例えば、中心周波数、遮断周波数、利得係数、遅延量など)を伴って実施されてよい。一例では、非空間成分プロセッサ620は次式に従ってクロストーク補償信号Zを生成する。
Z=D[F[Gn*Xn]] …式(10)
上記の図2Aを参照しながら上記で説明されたように、クロストークキャンセルを補償する構成は、例えば第1のルックアップテーブルとして以下の表2及び表3に従って、スピーカパラメータ204によって決定され得る。
Figure 0006479287

Figure 0006479287

一例では、スピーカの特定タイプ(小さい/携帯用のスピーカ又は大きなスピーカ)について、フィルタ670のフィルタ中心周波数、フィルタ利得及び品質因子は、2つのスピーカ280の間で聴取者に対して形成された角度に従って決定され得る。いくつかの実施形態では、スピーカ角度の間の値が、他の値を補間するために使用される。
いくつかの実施形態では、非空間成分プロセッサ620はサブバンド空間オーディオプロセッサ230(例えば、中央/側方プロセッサ430)に統合されてよく、1つ又は複数の周波数サブバンドについて、後続のクロストークキャンセルのスペクトルのアーチファクトを補償する。
図7は、一実施形態による、クロストーク補償プロセッサ240によって実行されるであろうクロストークキャンセルのための補償を実行する例示の方法を示す。いくつかの実施形態では、クロストーク補償プロセッサ240は、ステップを並行して実行してよく、ステップを異なる順序で実行してよく、又は異なるステップを実行してもよい。
クロストーク補償プロセッサ240は、入力チャネルXL及びXRを含む入力オーディオ信号を受信する。クロストーク補償プロセッサ240は、710で、例えば、上記の式(9)に従って、入力チャネルXLとXRとの間の非空間成分Xnを生成する。
クロストーク補償プロセッサ240は、720で、上記の図6を参照しながら上記で説明されたように、クロストーク補償を実行するための設定(例えば、フィルタパラメータ)を決定する。クロストーク補償プロセッサ240は、730で、クロストーク補償信号Zを生成して、入力信号XL及びXRに適用される後続のクロストークキャンセルの周波数応答において推定されるスペクトルの欠陥を補償する。
図8は、一実施形態によるクロストークキャンセルプロセッサ260の例示の図を示す。クロストークキャンセルプロセッサ260は、入力チャネルTL、TRを含む入力オーディオ信号Tを受信し、チャネルTL、TRに対するクロストークキャンセルを実行して、出力チャネルOL、OR(例えば、左チャネル及び右チャネル)を含む出力オーディオ信号Oを生成する。入力オーディオ信号Tは、図2Bの合成器250から出力されてよい。或いは、入力オーディオ信号Tは、サブバンド空間オーディオプロセッサ230からの空間拡張オーディオ信号Yでよい。一実施形態では、クロストークキャンセルプロセッサ260は、周波数バンド分割器810、インバータ820A、820B、対側推定器825A、825B、及び周波数バンド合成器840を含む。1つの手法では、これらの構成要素は一緒に動作して、入力チャネルTL、TRをバンド内成分とバンド外成分に分割し、バンド内成分に対してクロストークキャンセルを実行して出力チャネルOL、ORを生成する。
入力オーディオ信号Tを別々の周波数バンド成分に分割して、選択的成分(例えば、バンド内成分)に対してクロストークキャンセルを実行することにより、他の周波数バンドにおける劣化を回避しながら特定の周波数バンドに対してクロストークキャンセルが実行され得る。入力オーディオ信号Tを別々の周波数バンドに分割せずにクロストークキャンセルが実行されると、そのようなクロストークキャンセルの後のオーディオ信号は、低周波数(例えば350Hz未満)、高周波数(例えば12000Hz超)、又は両方の、非空間成分及び空間成分における、著しい減衰又は増幅を示す可能性がある。影響力の強い空間キュー(spatial cues)の大部分が存在するバンド内(例えば、250Hzと14000Hzの間)に対してクロストークキャンセルを選択的に実行することにより、バランスのとれた全体的なエネルギーが、特に非空間成分において混合のスペクトルにわたって保持され得る。
1つの構成では、周波数バンド分割器810すなわちフィルタバンクは、入力チャネルTL、TRを、それぞれバンド内チャネルTL,In、TR,Inとバンド外チャネルTL,Out、TR,Outとに分割する。詳細には、周波数バンド分割器810は、左側入力チャネルTLを、左側バンド内チャネルTL,Inと左側バンド外チャネルTL,Outとに分割する。同様に、周波数バンド分割器810は、右側入力チャネルTRを、右側バンド内チャネルTR,Inと右側バンド外チャネルTR,Outとに分割する。それぞれのバンド内チャネルは、例えば250Hzから14kHzを含む周波数範囲に対応するそれぞれの入力チャネルの部分を包含し得る。周波数バンドの範囲は、例えば、スピーカパラメータ204に従って調節可能であり得る。
インバータ820A及び対側推定器825Aは、左側バンド内チャネルTL,Inによる対側音響成分を補償するために、一緒に動作して対側のキャンセル成分SLを生成する。同様に、インバータ820B及び対側推定器825Bは、右側バンド内チャネルTR,Inによる対側音響成分を補償するために、一緒に動作して対側のキャンセル成分SRを生成する。
1つの手法では、インバータ820Aは、バンド内チャネルTL,Inを受信し、受信されたバンド内チャネルTL,Inの極性を反転して、反転したバンド内チャネルTL,In’を生成する。対側推定器825Aは、反転したバンド内チャネルを受信してフィルタリングすることにより、対側音響成分に対応する、反転したバンド内チャネルTL,In’の部分を抽出する。反転したバンド内チャネルに対してフィルタリングが実行されるため、対側推定器825Aによって抽出される部分は、対側音響成分に起因するバンド内チャネルTL,Inの部分を反転したものになる。それゆえに、対側推定器825Aによって抽出される部分は対側のキャンセル成分SLになり、これが対応部分のバンド内チャネルTR,Inに加算され得て、バンド内チャネルTL,Inによる対側音響成分を低減する。いくつかの実施形態では、インバータ820A及び対側推定器825Aは異なるシーケンスにおいて実装される。
インバータ820B及び対側推定器825Bは、バンド内チャネルTR,Inに対して同様の動作を実行して、対側のキャンセル成分SRを生成する。従って、その詳細な説明は、本明細書では簡潔さのために省略される。
1つの例示的実装形態では、対側推定器825Aは、フィルタ852A、増幅器854A、及び遅延器856Aを含む。フィルタ852Aは、反転した入力チャネルTL,In’を受信し、フィルタリング関数Fによって、対側音響成分に対応する、反転したバンド内チャネルTL,In’の部分を抽出する。例示のフィルタ実装形態は、5000Hzと10000Hzの間で選択された中心周波数及び0.5と1.0との間で選択されたQ値を有するノッチフィルタ又はハイシェルフフィルタ(Highshelf filter)である。デシベルで表された利得(GdB)は次式から導出され得る。
dB=−3.0−log1.333(D) …式(11)
ここで、Dは、例えば48kHzのサンプリングレートにおける遅延器856A/Bによるサンプルの遅延量である。代替的実装形態は、5000Hzと10000Hzとの間で選択された折点周波数及び0.5と1.0との間で選択されたQ値を有するローパスフィルタである。その上、増幅器854Aが、抽出された部分を、対応する利得係数GL,Inだけ増幅し、遅延器856Aが増幅器854Aからの増幅出力を遅延関数Dに従って遅延させて、対側のキャンセル成分SLを生成する。対側推定器825Bが、反転したバンド内チャネルTR,In’に対して同様の動作を実行して、対側のキャンセル成分SRを生成する。一例では、対側推定器825A、825Bは、以下の式に従って対側のキャンセル成分SL、SRを生成する。
L=D[GL,In*F[TL,In’]] …式(12)
R=D[GL,In*F[TR,In’]] …式(13)
上記の図2Aを参照しながら上記で説明されたように、クロストークキャンセルの構成は、例えば第2のルックアップテーブルとして以下の表4に従って、スピーカパラメータ204によって決定され得る。
Figure 0006479287

一例では、フィルタ中心周波数、遅延量、増幅器利得、及びフィルタ利得は、2つのスピーカ280の間で聴取者に対して形成された角度に従って決定され得る。いくつかの実施形態では、スピーカ角度の間の値が、他の値を補間するために使用される。
合成器830Aが対側のキャンセル成分SRを左側バンド内チャネルTL,Inと合成して左側バンド内の補償されたチャネルCLを生成し、合成器830Bが対側のキャンセル成分SLを右側バンド内チャネルTR,Inと合成して右側バンド内の補償されたチャネルCRを生成する。周波数バンド合成器840が、バンド内の補償されたチャネルCL、CRを、それぞれバンド外チャネルTL,Out、TR,Outと合成して、オーディオチャネルOL、ORを生成する。
それゆえに、出力オーディオチャネルOLは、対側の音響に起因するバンド内チャネルTR,Inの部分の反転したものに対応する対側のキャンセル成分SRを含み、出力オーディオチャネルORは、対側の音響に起因するバンド内チャネルTL,Inの部分の反転したものに対応する対側のキャンセル成分SLを含む。この構成では、右耳に到達した出力チャネルORに従ってスピーカ280Rによって出力された同側音響成分の波頭は、出力チャネルOLに従ってスピーカ280Lによって出力された対側音響成分の波頭をキャンセルすることができる。同様に、左耳に到達した出力チャネルOLに従ってスピーカ280Lによって出力された同側音響成分の波頭は、出力チャネルORに従ってスピーカ280Rによって出力された対側音響成分の波頭をキャンセルすることができる。従って、空間検知能を強化するために、対側音響成分が低減され得る。
図9は、一実施形態による、クロストークキャンセルプロセッサ260によって実行されるであろうクロストークキャンセルを実行する例示の方法を示す。いくつかの実施形態では、クロストークキャンセルプロセッサ260は、ステップを並行して実行してよく、ステップを異なる順序で実行してよく、又は異なるステップを実行してもよい。
クロストークキャンセルプロセッサ260は、入力チャネルTL、TRを含む入力信号を受信する。入力信号は合成器250からの出力TL、TRでよい。クロストークキャンセルプロセッサ260は、910で、入力チャネルTLをバンド内チャネルTL,Inとバンド外チャネルTL,Outに分割する。同様に、クロストークキャンセルプロセッサ260は、915で、入力チャネルTRをバンド内チャネルTR,Inとバンド外チャネルTR,Outに分割する。入力チャネルTL、TRは、上記の図8を参照しながら上記で説明されたように、周波数バンド分割器810によってバンド内チャネルとバンド外チャネルとに分割され得る。
クロストークキャンセルプロセッサ260は、925で、表4及び上記の式(12)に従って、例えば対側音響成分に寄与するバンド内チャネルTL,Inの部分に基づいて、クロストークキャンセル成分SLを生成する。同様に、クロストークキャンセルプロセッサ260は、935で、表4及び式(13)に従って、例えば、対側音響成分に寄与するバンド内チャネルTR,Inの特定された部分に基づいて、クロストークキャンセル成分SRを生成する。
クロストークキャンセルプロセッサ260は、940で、バンド内チャネルTL,Inと、クロストークキャンセル成分SRと、バンド外チャネルTL,Outとを合成することにより、出力オーディオチャネルOLを生成する。同様に、クロストークキャンセルプロセッサ260は、945で、バンド内チャネルTR,Inと、クロストークキャンセル成分SLと、バンド外チャネルTR,Outとを合成することにより、出力オーディオチャネルORを生成する。
出力チャネルOL、ORは、それぞれのスピーカに提供され得て、低減されたクロストーク及び改善された空間検知能を伴ってステレオ音を再生する。
図10及び図11は、クロストークキャンセルによるスペクトルのアーチファクトを明示するための例示の周波数応答グラフを示す。一態様では、クロストークキャンセルの周波数応答は、櫛形フィルタアーチファクトを示す。これらの櫛形フィルタアーチファクトは、信号の空間成分と非空間成分において反転した応答を示す。図10は、48kHzのサンプリングレートにおいて1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルに由来するアーチファクトを示し、図11は、48kHzのサンプリングレートにおいて6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルに由来するアーチファクトを示す。グラフ1010は、ホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1020は、1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1030は、1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの空間(非相関)成分の周波数応答である。グラフ1110はホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1120は、6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1130は、6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの空間(非相関)成分の周波数応答である。クロストーク補償の遅延を変化させることにより、ナイキスト周波数未満で生じるピーク及びトラフの、数及び中心周波数を変化させることができる。
図12及び図13は、クロストーク補償の効果を明示するための例示の周波数応答グラフを示す。グラフ1210は、ホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1220は、1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの、クロストーク補償無しの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1230は、1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの、クロストーク補償有りの非空間(相関)成分の周波数応答である。グラフ1310は、ホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1320は、6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの、クロストーク補償無しの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1330は、6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの、クロストーク補償有りの非空間(相関)成分の周波数応答である。一例では、クロストーク補償プロセッサ240は、トラフを伴う周波数範囲にわたって非空間成分に対してピーキングフィルタを適用し、別の周波数範囲のピークを伴う周波数範囲にわたって非空間成分に対してノッチフィルタを適用して、グラフ1230及び1330に示されるように周波数応答を平坦化する。その結果、中央にパンした(center-panned)音楽的要素のより安定した知覚プレゼンスが創造され得る。クロストークキャンセルの中心周波数、利得、及びQ値など他のパラメータは、スピーカパラメータ204に従って第2のルックアップテーブル(例えば、上記の表4)によって決定されてよい。
図14は、図8に示された周波数バンド分割器の折点周波数を変化させる効果を明示するための例示の周波数応答を示す。グラフ1410は、ホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1420は、350〜12000Hzのバンド内折点周波数を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1430は、200〜14000Hzのバンド内折点周波数を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答である。図14に示されるように、図8の周波数バンド分割器810の遮断周波数を変化させるとクロストークキャンセルの周波数応答に影響を及ぼす。
図15及び図16は、図8に示された周波数バンド分割器810の効果を明示するための例示の周波数応答を示す。グラフ1510はホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1520は、48kHzのサンプリングレートにおける1つのサンプル遅延と350から12000Hzのバンド内周波数範囲とを採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1530は、周波数バンド分割器810無しで、全体の周波数について48kHzのサンプリングレートにおける1つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答である。グラフ1610はホワイトノイズ入力信号の周波数応答であり、グラフ1620は、48kHzのサンプリングレートにおける6つのサンプル遅延と250から14000Hzのバンド内周波数範囲とを採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答であり、グラフ1630は、周波数バンド分割器810無しで、全体の周波数について48kHzのサンプリングレートにおける6つのサンプル遅延を採用するクロストークキャンセルの非空間(相関)成分の周波数応答である。周波数バンド分割器810無しでクロストークキャンセルを適用することにより、グラフ1530は、1000Hz未満の大幅な抑制と、10000Hzの上のリップルとを示す。同様に、グラフ1630は、400Hz未満の大幅な抑制と、1000Hzの上のリップル(ripples)とを示す。周波数バンド分割器810を実施し、選択された周波数バンドに対してクロストークキャンセルを選択的に行うことにより、グラフ1520及び1620に示されるように、低周波数領域(例えば1000Hz未満)における抑制と高周波領域(例えば、10000Hz超)におけるリップルとが低減され得る。
当業者なら、この開示を読み取れば、本明細書で開示された原理を通じてさらに追加の代替的実施形態を理解するはずである。従って、特定の実施形態及び用途が示されて説明されてきたが、開示された実施形態は、本明細書で開示された正確な構造や構成要素に限定されるものではないことを理解されたい。本明細書で説明された範囲から逸脱することなく、当業者には明らかなはずの様々な修正形態、変更形態及び変形形態が、本明細書で開示された方法及び装置の配置、動作及び詳細において作製され得る。
本明細書で説明されたステップ、動作、又はプロセスのうちいかなるものも、1つ又は複数のハードウェアモジュール又はソフトウェアモジュールを、単独で用いて、又は他のデバイスと合成して用いて、実行され得、又は実施され得る。一実施形態では、ソフトウェアモジュールは、説明されたステップ、動作、若しくはプロセスのいずれか又は全てを実行するためにコンピュータプロセッサによって実行され得るコンピュータプログラムコードを包含しているコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)を含むコンピュータプログラム製品を用いて実施される。

Claims (21)

  1. 第1の音響及び第2の音響を生成する方法であって、
    第1の入力チャネル及び第2の入力チャネルを含む入力オーディオ信号を受信するステップと、
    前記第1の入力チャネルを第1のサブバンド成分に分割するステップであって、前記第1のサブバンド成分の各々が周波数バンドのグループからの1つの周波数バンドに対応するステップと、
    前記第2の入力チャネルを第2のサブバンド成分に分割するステップであって、前記第2のサブバンド成分の各々が周波数バンドの前記グループからの1つの周波数バンドに対応するステップと、
    前記周波数バンドの各々について、対応する第1のサブバンド成分と対応する第2のサブバンド成分の間の相関部分を生成するステップと、
    前記周波数バンドの各々について、前記対応する第1のサブバンド成分と前記対応する第2のサブバンド成分の間の非相関部分を生成するステップと、
    前記周波数バンドの各々について、前記非相関部分に対して前記相関部分を増幅して、拡張空間成分及び拡張非空間成分を取得するステップと、
    前記周波数バンドの各々について、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の和を取得することにより、拡張された第1のサブバンド成分を生成するステップと、
    前記周波数バンドの各々について、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の間の差を取得することにより、拡張された第2のサブバンド成分を生成するステップと、
    前記周波数バンドの各々の生成された前記拡張された第1のサブバンド成分を合成することにより、第1の空間拡張チャネルを生成するステップと、
    前記周波数バンドの各々の生成された前記拡張された第2のサブバンド成分を合成することにより、第2の空間拡張チャネルを生成するステップと
    を含む、方法。
  2. 周波数バンドの第1のサブバンド成分と第2のサブバンド成分の間の相関部分は、前記周波数バンドの非空間情報を含み、前記周波数バンドの前記第1のサブバンド成分と前記第2のサブバンド成分の間の非相関部分は、前記周波数バンドの空間情報を含む
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の相関部分を生成するステップと、
    前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の前記相関部分に基づいてクロストーク補償信号を生成するステップと、
    前記クロストーク補償信号を前記第1の空間拡張チャネルに加算して第1の予め補償されたチャネルを生成するステップと、
    前記クロストーク補償信号を前記第2の空間拡張チャネルに加算して第2の予め補償されたチャネルを生成するステップとをさらに含む
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記クロストーク補償信号を生成するステップは、
    前記クロストーク補償信号を生成して、後続のクロストークキャンセルの周波数応答において推定されるスペクトルの欠陥を除去するステップを含む
    請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の予め補償されたチャネルを、バンド内周波数に対応する第1のバンド内チャネルとバンド外周波数に対応する第1のバンド外チャネルとに分割するステップと、
    前記第2の予め補償されたチャネルを、前記バンド内周波数に対応する第2のバンド内チャネルと前記バンド外周波数に対応する第2のバンド外チャネルとに分割するステップと、
    第1のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第1のバンド内チャネルによって寄与される第1の対側音響成分を補償するステップと、
    第2のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第2のバンド内チャネルによって寄与される第2の対側音響成分を補償するステップと、
    前記第1のバンド内チャネルと、前記第2のクロストークキャンセル成分と、前記第1のバンド外チャネルとを合成して、第1の補償されたチャネルを生成するステップと、
    前記第2のバンド内チャネルと、前記第1のクロストークキャンセル成分と、前記第2のバンド外チャネルとを合成して、第2の補償されたチャネルを生成するステップとをさらに含む
    請求項3に記載の方法。
  6. 前記第1のクロストークキャンセル成分を生成ステップは、
    前記第1のバンド内チャネルによって寄与される前記第1の対側音響成分を推定するステップと、
    前記推定された第1の対側音響成分の反転したものから、前記第1のクロストークキャンセル成分を生成するステップと
    を備え、
    前記第2のクロストークキャンセル成分を生成ステップは、
    前記第2のバンド内チャネルによって寄与される前記第2の対側音響成分を推定するステップと、
    前記推定された第2の対側音響成分の反転したものから、前記第2のクロストークキャンセル成分を生成するステップとを含む
    請求項5に記載の方法。
  7. サブバンド空間オーディオプロセッサを含むシステムであって、
    前記サブバンド空間オーディオプロセッサは、
    第1の入力チャネル及び第2の入力チャネルを含む入力オーディオ信号を受信し、前記第1の入力チャネルを、各々が周波数バンドのグループからの1つの周波数バンドに対応する第1のサブバンド成分に分割し、前記第2の入力チャネルを、各々が周波数バンドの前記グループからの1つの周波数バンドに対応する第2のサブバンド成分に分割するように構成された周波数バンド分割器と、
    前記周波数バンド分割器に結合されたコンバータであって、各コンバータが、周波数バンドの前記グループからの対応する周波数バンド向けに、対応する第1のサブバンド成分と対応する第2のサブバンド成分の間の相関部分を生成し、前記対応する周波数バンド向けに、前記対応する第1のサブバンド成分と前記対応する第2のサブバンド成分の間の非相関部分を生成するように構成されたコンバータと、
    サブバンドプロセッサであって、各サブバンドプロセッサが、対応する周波数バンド用のコンバータに結合されており、前記対応する周波数バンドについて、前記非相関部分に対して前記相関部分を増幅して、拡張空間成分及び拡張非空間成分を取得するように構成されたサブバンドプロセッサと、
    反転コンバータであって、各反転コンバータが、対応するサブバンドプロセッサに結合されており、対応する周波数バンドについて、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の和を取得することにより、拡張された第1のサブバンド成分を生成し、前記対応する周波数バンドについて、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の間の差を取得することにより、拡張された第2のサブバンド成分を生成するように構成された反転コンバータと、
    前記反転コンバータに結合された周波数バンド合成器であって、前記周波数バンドの拡張された第1のサブバンド成分を合成することにより、第1の空間拡張チャネルを生成し、前記周波数バンドの拡張された第2のサブバンド成分を合成することにより、第2の空間拡張チャネルを生成するように構成された周波数バンド合成器と
    を含む、システム。
  8. 周波数バンドの第1のサブバンド成分と第2のサブバンド成分の間の相関部分は、前記周波数バンドの非空間情報を含み、前記周波数バンドの前記第1のサブバンド成分と前記第2のサブバンド成分の間の非相関部分は、前記周波数バンドの空間情報を含む
    請求項7に記載のシステム。
  9. 前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の相関部分を生成し、
    前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の前記相関部分に基づいてクロストーク補償信号を生成するように構成された非空間オーディオプロセッサをさらに含む
    請求項7に記載のシステム。
  10. ロストーク補償信号は、後続のクロストークキャンセルの周波数応答において推定されるスペクトルの欠陥を除去するために用いられる
    請求項9に記載のシステム。
  11. 前記サブバンド空間オーディオプロセッサ及び前記非空間オーディオプロセッサに結合された合成器であって、
    前記クロストーク補償信号を前記第1の空間拡張チャネルに加算して第1の予め補償されたチャネルを生成し、
    前記クロストーク補償信号を前記第2の空間拡張チャネルに加算して第2の予め補償されたチャネルを生成するように構成された合成器をさらに含む
    請求項10に記載のシステム。
  12. 前記合成器に結合されたクロストークキャンセルプロセッサであって、
    前記第1の予め補償されたチャネルを、バンド内周波数に対応する第1のバンド内チャネルとバンド外周波数に対応する第1のバンド外チャネルとに分割し、
    前記第2の予め補償されたチャネルを、前記バンド内周波数に対応する第2のバンド内チャネルと前記バンド外周波数に対応する第2のバンド外チャネルとに分割し、
    第1のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第1のバンド内チャネルによって寄与される第1の対側音響成分を補償し、
    第2のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第2のバンド内チャネルによって寄与される第2の対側音響成分を補償し、
    前記第1のバンド内チャネルと、前記第2のクロストークキャンセル成分と、前記第1のバンド外チャネルとを合成して、第1の補償されたチャネルを生成し、
    前記第2のバンド内チャネルと、前記第1のクロストークキャンセル成分と、前記第2のバンド外チャネルとを合成して、第2の補償されたチャネルを生成するように構成されたクロストークキャンセルプロセッサをさらに含む
    請求項11に記載のシステム。
  13. 前記クロストークキャンセルプロセッサに結合された第1のスピーカであって、前記第1の補償されたチャネルに従って第1の音響を生成するように構成された第1のスピーカと、
    前記クロストークキャンセルプロセッサに結合された第2のスピーカであって、前記第2の補償されたチャネルに従って第2の音響を生成するように構成された第2のスピーカとをさらに含む
    請求項12に記載のシステム。
  14. 前記クロストークキャンセルプロセッサは、
    第1のバンド内チャネルの反転したものを生成するように構成された第1のインバータと、
    前記第1のインバータに結合された第1の対側推定器であって、前記第1のバンド内チャネルによって寄与される前記第1の対側音響成分を推定し、前記第1のバンド内チャネルの反転したものに従って、前記第1の対側音響成分の反転したものに対応する前記第1のクロストークキャンセル成分を生成するように構成された第1の対側推定器と、
    前記第2のバンド内チャネルの反転したものを生成するように構成された第2のインバータと、
    前記第2のインバータに結合された第2の対側推定器であって、前記第2のバンド内チャネルによって寄与される前記第2の対側音響成分を推定し、前記第2のバンド内チャネルの反転したものに従って、前記第2の対側音響成分の反転したものに対応する前記第2のクロストークキャンセル成分を生成するように構成された第2の対側推定器とを含む
    請求項12に記載のシステム。
  15. プログラムコードを記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記プログラムコードが含む命令は、プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、
    第1の入力チャネル及び第2の入力チャネルを含む入力オーディオ信号を受信し、
    前記第1の入力チャネルを、各々が周波数バンドのグループからの1つの周波数バンドに対応する第1のサブバンド成分に分割し、
    前記第2の入力チャネルを、各々が周波数バンドの前記グループからの1つの周波数バンドに対応する第2のサブバンド成分に分割し、
    前記周波数バンドの各々について、対応する第1のサブバンド成分と対応する第2のサブバンド成分の間の相関部分を生成し、
    前記周波数バンドの各々について、前記対応する第1のサブバンド成分と前記対応する第2のサブバンド成分の間の非相関部分を生成し、
    前記周波数バンドの各々について、前記非相関部分に対して前記相関部分を増幅して、拡張空間成分及び拡張非空間成分を取得し、
    前記周波数バンドの各々について、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の和を取得することにより、拡張された第1のサブバンド成分を生成し、
    前記周波数バンドの各々について、前記拡張空間成分と前記拡張非空間成分の間の差を取得することにより、拡張された第2のサブバンド成分を生成し、
    前記周波数バンドの各々の生成された前記拡張された第1のサブバンド成分を合成することにより、第1の空間拡張チャネルを生成し、
    前記周波数バンドの各々の生成された前記拡張された第2のサブバンド成分を合成することにより、第2の空間拡張チャネルを生成することを生じさせる
    非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  16. 周波数バンドの第1のサブバンド成分と第2のサブバンド成分の間の相関部分は、前記周波数バンドの非空間情報を含み、前記周波数バンドの前記第1のサブバンド成分と前記第2のサブバンド成分の間の非相関部分は、前記周波数バンドの空間情報を含む
    請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  17. 前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、さらに、
    前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の相関部分を生成し、
    前記第1の入力チャネルと前記第2の入力チャネルの間の前記相関部分に基づいてクロストーク補償信号を生成し、
    前記クロストーク補償信号を前記第1の空間拡張チャネルに加算して第1の予め補償されたチャネルを生成し、
    前記クロストーク補償信号を前記第2の空間拡張チャネルに加算して第2の予め補償されたチャネルを生成することを生じさせる
    請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  18. 前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、前記クロストーク補償信号を生成することを生じさせる前記命令は、前記プロセッサが、さらに、
    前記クロストーク補償信号を生成して、後続のクロストークキャンセルの周波数応答において推定されるスペクトルの欠陥を除去することを生じさせる
    請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  19. 前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、さらに、
    前記第1の予め補償されたチャネルを、バンド内周波数に対応する第1のバンド内チャネルとバンド外周波数に対応する第1のバンド外チャネルとに分割し、
    前記第2の予め補償されたチャネルを、前記バンド内周波数に対応する第2のバンド内チャネルと前記バンド外周波数に対応する第2のバンド外チャネルとに分割し、
    第1のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第1のバンド内チャネルによって寄与される第1の対側音響成分を補償し、
    第2のクロストークキャンセル成分を生成して、前記第2のバンド内チャネルによって寄与される第2の対側音響成分を補償し、
    前記第1のバンド内チャネルと、前記第2のクロストークキャンセル成分と、前記第1のバンド外チャネルとを合成して、第1の補償されたチャネルを生成し、
    前記第2のバンド内チャネルと、前記第1のクロストークキャンセル成分と、前記第2のバンド外チャネルとを合成して、第2の補償されたチャネルを生成することを生じさせる
    請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  20. 前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、前記第1のクロストークキャンセル成分を生成することを生じさせる前記命令は、前記プロセッサが、さらに、
    前記第1のバンド内チャネルによって寄与される前記第1の対側音響成分を推定し、
    前記推定された第1の対側音響成分の反転したものを含む前記第1のクロストークキャンセル成分を生成することを生じさせ、
    前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサが、前記第2のクロストークキャンセル成分を生成することを生じさせる前記命令は、前記プロセッサが、さらに、
    前記第2のバンド内チャネルによって寄与される前記第2の対側音響成分を推定し、
    前記推定された第2の対側音響成分の反転したものから、前記第2のクロストークキャンセル成分を生成することを生じさせる
    請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
  21. 第1のスピーカ及び第2のスピーカによって出力されるオーディオ信号のクロストークキャンセルのための方法であって、
    前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカに関するスピーカパラメータを決定するステップであって、前記スピーカパラメータは前記第1のスピーカと前記第2のスピーカの間の聴取角度を含むステップと、
    前記オーディオ信号を受信するステップと、
    入力オーディオ信号の複数の周波数バンド向けに補償信号を生成するステップであって、前記補償信号は、前記入力オーディオ信号に適用されたクロストークキャンセルから各周波数バンドにおいて推定されるスペクトルの欠陥を除去するものであり、前記クロストークキャンセル及び前記補償信号は、前記スピーカパラメータに基づいて決定されるステップと、
    前記補償信号を前記入力オーディオ信号に加算することにより、前記クロストークキャンセルのための前記入力オーディオ信号を予め補償して、予め補償された信号を生成するステップと、
    前記スピーカパラメータに基づき、前記予め補償された信号に対して前記クロストークキャンセルを実行して、クロストークキャンセルされたオーディオ信号を生成するステップと、を含み、
    前記スピーカパラメータに基づき、前記予め補償された信号に対して前記クロストークキャンセルを実行して、前記クロストークキャンセルされたオーディオ信号を生成するステップは、
    前記予め補償された信号の第1の予め補償されたチャネルを、バンド内周波数に対応する第1のバンド内チャネルとバンド外周波数に対応する第1のバンド外チャネルとに分割するステップと、
    前記予め補償された信号の第2の予め補償されたチャネルを、前記バンド内周波数に対応する第2のバンド内チャネルと前記バンド外周波数に対応する第2のバンド外チャネルとに分割するステップと、
    前記第1のバンド内チャネルによって寄与される第1の対側音響成分を推定するステップと、
    前記第2のバンド内チャネルによって寄与される第2の対側音響成分を推定するステップと、
    前記推定された第1の対側音響成分に基づいて第1のクロストークキャンセル成分を生成するステップと、
    前記推定された第2の対側音響成分に基づいて第2のクロストークキャンセル成分を生成するステップと、
    前記第1のバンド内チャネルと、前記第2のクロストークキャンセル成分と、前記第1のバンド外チャネルとを合成して、第1の補償されたチャネルを生成するステップと、
    前記第2のバンド内チャネルと、前記第1のクロストークキャンセル成分と、前記第2のバンド外チャネルとを合成して、第2の補償されたチャネルを生成するステップとをさらに含む、方法。
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