以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像処理装置の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態では、連続した直線や曲線を用いて描画された元画像に基づき、例えばサイズが縦20ドット×横20ドットの絵文字画像を生成する。このとき、元画像に対して描画部分を誇張する誇張処理を施し、その後、当該元画像を縦20ドット×横20ドットに縮小して、所望の絵文字画像を生成する。絵文字画像のサイズへの縮小処理を、元画像の描画部分を誇張した後に行うので、元画像における必要な線が欠けるのが防がれ、見易い絵文字画像を得ることができる。
図1は、本発明の各実施形態の利用形態の例を示す。パーソナルコンピュータ(PC)10、MFP(Multi Function Printer)20およびタブレット端末21は、絵文字画像の元となる元画像を作成し、作成された元画像から絵文字画像を生成する装置の例である。なお、MFP20は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、FAX機能、通信機能など複数の機能を1台の筐体で実現したものである。一方、携帯電話端末40およびPC41は、PC10、MFP20およびタブレット端末21などで生成された絵文字画像を用いた文書作成などを行う装置の例である。
例えば、PC10、MFP20およびタブレット端末21などで生成された絵文字画像は、インターネットなどによるネットワーク30を介して携帯電話端末40やPC41に送信される。携帯電話端末40やPC41は、ネットワーク30を介して送信された絵文字画像を受信して保存し、文書作成の際に用いる。例えば、携帯電話端末40やPC41は、保存した絵文字画像を電子メールの文書中に挿入して、当該電子メールを送信する。
絵文字画像の生成方法について、概略的に説明する。例えば、ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2をマーカペンなどを用いて紙などに描画した原稿1を用意し、この原稿1を、PC10に接続したスキャナ装置11に読み取らせる。なお、絵文字画像化するための絵柄2の内容は、特に限定されない。例えば、絵、図案、文字、記号などを絵柄2として用いることができる。
PC10は、本発明の実施形態による絵文字画像生成を行う画像処理プログラムが搭載され、スキャナ装置11で原稿1を読み取った原稿画像がこのPC10に入力される。PC10は、画像処理プログラムにより、入力された原稿画像から絵柄2による描画部分を含む所定領域を絵文字画像の元となる元画像として抽出し、この元画像に対して誇張処理を施して元の描画部分を誇張した画像を生成し、この画像を絵文字画像のサイズに縮小して絵文字画像を生成する。
絵文字画像の元となる絵柄2は、紙などに描画されるのに限られない。例えば、PC10に接続されたペンタブレット12などのポインティングデバイスを用いて絵柄2を描画し、元画像を電子データとして直接的に作成してもよい。例えは、ユーザは、PC10において描画ソフトウェアを起動させ、絵柄2をペンタブレット12を用いて描画する。描画ソフトウェアは、ペンタブレット12による描画に応じて絵柄2による描画部分を含む元画像を生成する。PC10は、この元画像に基づき画像処理プログラムにより絵文字画像を生成する。同様にして、表示デバイスとタブレットとが一体的に形成され、内部にコンピュータと同等の機能を有するタブレット端末21を用いて絵文字画像を生成することもできる。
絵文字画像は、MFP20を用いて生成することもできる。MFP20には、本発明の実施形態による絵文字画像生成を行う画像処理プログラムを予め搭載しておく。例えば、ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2が描画された原稿1を、MFP20にスキャナ機能を用いて読み取らせる。MFP20は、画像処理プログラムにより、原稿1がスキャナ機能により読み取られた原稿画像に対して上述と同様にして元画像の抽出、誇張処理および縮小処理を施して絵文字画像を生成する。
また、絵文字画像化の処理は、絵文字画像化する元の画像が入力される場所とは異なる場所で行ってもよい。図1の例において、例えばネットワーク30に接続されるサーバ42に対して、本発明の実施形態による画像処理プログラムを搭載しておく。PC10、MFP20およびタブレット端末21は、絵柄2による描画部分を含む画像のデータが入力されると、入力された画像データをそのまま、あるいは圧縮符号化して、ネットワーク30を介してサーバ42に向けて送信する。
サーバ42は、ネットワーク30を介して送信された画像データを受信し、受信された画像データにおける絵柄2による描画部分を含む所定領域を抽出して元画像データとし、この元画像データに対して上述した誇張処理および縮小処理を施して、例えば縦20ドット×横20ドットの絵文字画像による絵文字画像データを得る。この絵文字画像データは、ネットワーク30を介して携帯電話端末40やPC41に対して送信される。PC10やMFP20、タブレット端末21などに画像処理プログラムを搭載すること無く、ユーザが描画した絵柄2に基づく絵文字画像を得ることができる。
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。本第1の実施形態では、ユーザが描画した絵柄2に基づき、静止画像としての絵文字画像を生成する。図2は、本第1の実施形態による画像処理装置100の一例の機能を示す機能ブロック図である。画像処理装置100は、整形処理部110、正規化/誇張処理部111、トリミング処理部112および縮小処理部113を含む。
整形処理部110は、入力された元画像が正方形でない場合に、当該画像の上下または左右に余白を追加して、元画像を含む正方形の画像を作成する。正規化/誇張処理部111は、整形処理部110で整形された画像に対してドット数を正規化する正規化処理を施した後、誇張処理を施し、絵柄2による描画部分が誇張された画像を作成する。誇張処理は、例えば、描画部分を構成する線の幅を太くする処理である。誇張処理の詳細については、後述する。
トリミング処理部112は、正規化/誇張処理部111で作成された画像から必要部分を切り出す。必要部分は、例えば、画像に含まれる余白部分を取り除いた最小の正方形部分である。トリミング処理部112は、画像から切り出された必要部分の画像に対して拡大または縮小処理を施し、予め定められたサイズの画像を作成する。縮小処理部113は、トリミング処理部112で作成された画像に対して縮小処理を施し、例えば縦20ドット×横20ドットの絵文字画像を生成する。
図3は、本第1の実施形態による絵文字画像の生成方法を示す一例のフローチャートである。なお、ここでは、図1に示したPC10およびスキャナ装置11を用いて絵文字画像を生成するものとする。この場合、画像処理装置100を構成する各部は、PC10に搭載される画像処理プログラムのモジュールとして、PC10の主記憶上に展開される。
図3のフローチャートの実行に先立って、ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2を紙にマーカペンなどを用いて描画した原稿1を用意する。そして、原稿1をスキャナ装置11に読み取らせた原稿画像をPC10に入力する。PC10では、原稿画像データから絵柄2による描画部分を含む所定領域を抽出し、元画像とする。
絵柄2を描画する紙は、特に限定しないが、例えば、図4に例示されるように、大きさが予め定められた描画領域3を示す枠4が印刷された専用の用紙5を用いると、スキャナ装置11で原稿1を読み取った原稿画像から元画像を抽出する処理が容易となり、好ましい。なお、元画像のサイズは、スキャナ装置11が原稿1を読み取る際の解像度に依存する。一例として、スキャナ装置11の原稿1の読み取り時の解像度が100dpi(dot per inch)、用紙5のサイズがA4サイズ、枠4のサイズが縦5インチ×横6インチである場合、元画像のサイズは、縦500ドット×横600ドットとなる。
また、描画領域3は、背景色を予め定められた色としておくと、正規化/誇張処理部111による誇張処理や、トリミング処理部112によるトリミング処理などが容易となり、好ましい。一般的には、マーカペンなどを用いて描画を行う場合、描画を行った部分の色が濃くなる(輝度値が下がる)ため、背景色は、例えば白色や、輝度値が所定値よりも高い淡い色とする。
図3のフローチャートにおいて、ステップS10で、画像処理装置100に対して元画像が入力され、次のステップS11で、画像処理装置100の全体を制御するCPU(図示しない)などにより、設定情報が読み込まれる。設定情報は、正規化/誇張処理部111で行われる誇張処理の回数を示す値が含まれる。誇張処理の回数は、例えば0回〜30回の範囲から選択されるものとする。
画像処理装置100に入力された元画像は、整形処理部110に供給される。ステップS12で、整形処理部110は、供給された元画像に対して余白を付加して縦横のドット数の比が1:1である正方形の画像とする整形処理を行う。
図5を用いて、整形処理部110における整形処理について説明する。図5(a)は、元画像の例を示す。このように、元画像は、正方形ではない場合がある。整形処理部110は、正方形ではない元画像に対して、図5(b)に例示されるように、上下のそれぞれ、または、左右のそれぞれに等しい幅の余白を付加し、正方形の画像を作成する(図5(c))。
次のステップS13で、正規化/誇張処理部111は、ステップS12で作成された正方形の画像に対して正規化処理を施し、その後、誇張処理を施し、画像に含まれる描画部分を誇張する。
正規化処理について、概略的に説明する。正規化処理は、画像の解像度(縦横のドット数)を予め定められた値に変換する処理である。後述するように、正規化/誇張処理部111では、画像に対して、注目画素の画素値を注目画素周辺の画素の画素値で置き換えることにより、当該画像に含まれる描画部分の線の幅を太くする誇張処理を施す。ここで、例えばスキャナ装置11で原稿1を読み取る場合に、原稿1上で同じ太さの線の線幅に含まれるドット数は、読み取りの際の解像度が高いほど多くなる。したがって、誇張処理の効果は、原稿1の読み取り時の解像度が低いほど、顕著に表れることになる。
そのため、ステップS13において、誇張処理を行う前に、誇張処理の対象の画像に対して、画像の解像度を予め定められた解像度に変換する解像度変換処理を行い、正規化を行う。誇張処理は、このように解像度が正規化された画像に対して施される。
誇張処理について、詳細に説明する。正規化/誇張処理部111で行われる誇張処理は、描画された線の線幅を太くする処理である。描画された線の線幅を誇張処理により太くすることで、誇張処理前に比べて描画部分が膨張する。これにより、描画部分が誇張される。
誇張処理は、背景色が白色乃至淡色の場合、注目画素および注目画素の周囲の8画素による9画素の画素値のうち、最も低い画素値を注目画素の画素値とする処理である。例えば、2値画像の場合は、注目画素および注目画素の周囲の8画素による9画素に1つでも黒(画素値=0)の画素があった場合、当該注目画素を黒にする。また、グレースケール画像の場合は、注目画素および注目画素の周囲の8画素による9画素の輝度値(画素値)のうち、最も低い輝度値を注目画素の輝度値とする。
図6および図7を用いて、グレースケール画像の場合の誇張処理について、より具体的に説明する。なお、図6および図7において、縦5マス×横5マスの各マスは画素(ドット)を表し、画素はビット深度が8ビットであり輝度が256階調で表現されるものとする。また、背景色は輝度値=255の白であるものとする。
図6(a)は、誇張処理前の画像の例を示す。この例では、右上から左下にかけて、幅が1乃至2画素の黒い線が描画されていることが分かる。この画像に対して、上述したようにして誇張処理を施す。
図7は、誇張処理の具体的な例を示す。なお、図7の各図において、注目画素は、マス目に斜線を付して示す。図7(a)は、上および左からそれぞれ2画素目の画素が注目画素となっており、注目画素の輝度値=190である。図7(a)の左側に例示されるように、注目画素および注目画素の周囲8画素の輝度値のうち、「10」が最も低い輝度値である。そのため、図7(a)の右側に例示されるように、注目画素が輝度値=10とされる。
次に、図7(b)の左側に例示されるように、前回の注目画素の右隣の画素を新たな注目画素として、同様の処理を行う。この場合、注目画素および注目画素の周囲8画素の輝度値のうち、「0」が最も低い輝度値である。そのため、図7(b)の右側に例示されるように、注目画素が輝度値=0とされる。さらに、図7(c)の左側に例示されるように、前回の注目画素の右隣の画素を新たな注目画素として、同様の処理を行う。この場合、注目画素および注目画素の周囲8画素の輝度値のうち、「0」が最も低い輝度値である。そのため、図7(c)の右側に例示されるように、注目画素が輝度値=0とされる。
図7(d)および図7(e)の例でも、同様にして誇張処理が行われる。図7(d)の例では、注目画素の輝度値が「10」とされ、図7(e)の例では、注目画素の輝度値が「10」とされる。
図6(b)は、図6(a)に例示される画像の全ての画素を順次注目画素として誇張処理を行った結果の例を示す。なお、この場合、縦5画素×横5画素の領域外は、全て輝度値が「255」の背景色であるものと見做して誇張処理を行っている。図6(b)に例示されるように、誇張処理の結果が、画像の右上から左下にかけた幅が3乃至4画素の黒い線となって現れており、図6(a)の誇張処理前の状態に対して、黒い線の線幅が太くなり、画像の描画部分が膨張していることが分かる。
なお、カラー画像の場合は、画像をR(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の各色の要素毎に誇張処理を施して、最後に各要素の画像を合成する。図8のフローチャートを用いて、カラー画像の場合の誇張処理の例について説明する。先ず、ステップS20で、対象とする画像を、R、GおよびBの各色の要素による画像に分解する。
次のステップS21で、R、G、B各色要素の画像を、それぞれグレースケール化する。すなわち、ステップS20で形成されたR、G、B各色要素の画像の画素値を、輝度値に変換する。そして、次のステップS22で、グレースケール化したR、G、B各色要素の画像に対して、図6および図7を用いて説明したようにして、誇張処理を施す。
なお、カラー画像の場合、ある色、例えば色Rの線は、色Rの画素値が最大値で、他の色G、色Bの画素値が「0」となっている。一方、背景色が白色、すなわちR、G、B各色の画素値が全て最大値の場合、色Rの画素値は、色Rの線の部分以外においても全て最大値となる。したがって、R、G、B各色のうち何れか1の色要素の線の線幅を太くする処理は、対象色以外の各色要素画像において上述の誇張処理を施すことと同義である。
次のステップS23では、ステップS22で誇張処理を施されたR、G、B各色要素の画像を、元の色でカラー化する。すなわち、グレースケール化されて誇張処理されたR、G、B各色要素の画像の輝度値を、R、G、B各色の画素値に変換する。そして、次のステップS24で、カラー化されたR、G、B各色要素の画像を合成する。これにより、カラー画像に対する誇張処理が行われる。
なお、カラー画像に対して上述のようにして誇張処理を行った場合、誇張処理前の色の境界部分において、この境界の両側の何方の色とも異なる色が発生してしまうことがある。すなわち、上述の誇張処理においては、R、G、B各色の色要素の画像において、より小さい値の画素値が優先される。そのため、境界部分において、例えば黒色など、元の境界の両側における色よりも暗い色が発生する可能性がある。しかしながら、本第1の実施形態では、後述するように、画像に対して誇張処理後に縮小処理が施されるため、この点は無視することができる。
また、この誇張処理は、ステップS11で読み込まれた設定情報に含まれる誇張処理の回数だけ繰り返して実行される。すなわち、図9に例示されるように、誇張処理前の元画像302に対して1回目の誇張処理を施して、誇張された画像303aを得る。この画像303aに対して2回目の誇張処理を施して、画像303aより描画の線幅が太く誇張された画像303bを得る。画像303c、303dおよび303eは、同様にして直前に誇張処理された画像に対して3回目、4回目、5回目の誇張処理を施して得られた画像の例である。誇張処理回数が増えるに連れ、描画部分の線幅が太くなっていくのが分かる。
説明は図3のフローチャートに戻り、ステップS13の誇張処理が設定情報に含まれる処理回数だけ終了したら、処理はステップS14に移行する。ステップS14で、トリミング処理部112は、ステップS13で得られた誇張された画像に対するトリミング処理を行う。これにより、当該画像から描画部分が切り出される。
図10を用いて、トリミング処理部112で行われるトリミング処理について説明する。図10(a)は、トリミング処理前の画像304の例を示す。トリミング処理部112は、この画像304における描画部分を抽出するマスク画像305を生成する(図10(b)参照)。マスク画像305は、画像304における各画素の画素値を閾値判定して2値化することで生成する。トリミング処理部112は、画像304から、マスク画像305が含まれる最小の矩形を切り出す。図10(c)は、画像304から描画部分を切り出した画像306の例を示す。
なお、ここでは、トリミング処理部112が、画像304からマスク画像305が含まれる最小の矩形を切り出して、トリミングされた画像306を得るように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、画像304から、マスク画像305が含まれる最小の矩形に対して多少の余白領域を付加した領域を切り出すことで、トリミングされた画像306としてもよい。
説明は図3のフローチャートに戻り、ステップS14のトリミング処理が終了したら、次のステップS15で、トリミング処理部112により、トリミングされた画像306の縦横比が1:1とされる。このステップS15では、上述のステップS12と同様に、トリミングされた画像306に対して、上下のそれぞれ、または、左右のそれぞれに等しい幅の余白を付加し、正方形の画像を作成する。
次のステップS16で、ステップS15で縦横比が1:1とされた画像に対して縮小処理部113が縮小処理を施し、縮小処理前の画像に対して十分サイズが小さい縮小画像を生成する。生成された縮小画像は、絵文字画像として画像処理装置100から出力される。なお、縮小処理部113による縮小処理は、バイリニア法やバイキュービック法といった、一般的な画像補間方法を用いて行うことができる。
縮小処理について、より具体的に説明する。既に述べたように、絵文字画像は、例えば携帯電話端末40やPC41において、電子メールの文書などに挿入されて用いられる。そのため、絵文字画像のサイズを、電子メール文書で一般的に用いられるフォントサイズと揃えると、文書が読み易くなり、好ましい。一例として、例えば携帯電話端末40において、電子メール文書で用いられる標準のフォントサイズが縦20ドット×横20ドットである場合、絵文字画像のサイズも、フォントサイズに揃えて縦20ドット×横20ドットとすることが考えられる。なお、携帯電話端末40の画面解像度は、例えば320ドット×240ドット乃至960ドット×480ドット程度が一般的であると考えられる。
図11を用いて説明する。図11(a)は、トリミング処理部112で解像度が正規化された画像307の例を示す。ここでは、画像307は、サイズが縦400ドット×横400ドットであるとする。縮小処理部113は、この画像307に対して縮小処理を施して、図11(b)に例示されるような、画像307に対して十分サイズの小さな、例えば縦20ドット×横20ドットのサイズの縮小画像308を生成する。
上述したように、縮小画像308のサイズは、携帯電話端末40において電子メール文書などで用いられる標準のフォントサイズに対応するサイズが選択される。すなわち、縮小画像308のサイズは、縦20ドット×横20ドットに限られず、縦16ドット×横16ドット、縦32ドット×横32ドットなど、当該縮小画像308による絵文字画像の用途や、当該絵文字画像の送信先の仕様などに応じて決められる。また、縮小処理部113は、複数のサイズでそれぞれ縮小画像308を生成してもよい。
なお、図3のステップS13における誇張処理の回数は、予め、ステップS12〜ステップS16の処理を1または複数種類の元画像に対して実行して決めておくとよい。このとき、ステップS13における誇張処理の回数が0回の場合、1回の場合、2回の場合、…といったように、順次変更していって、それぞれ縮小画像308を生成する。そして、見た目に最適と判断した縮小画像308を生成した際の誇張処理回数を、設定情報に予め含めておく。
図12を用いて、誇張処理回数の決め方について概略的に説明する。図12において、縮小画像308aは、図3のステップS13において誇張処理を行っていない場合の、縮小処理部113における縮小処理結果の例、縮小画像308b〜308iは、それぞれ、ステップS13において誇張処理を1回〜8回行った場合の、縮小処理部113における縮小処理結果の例を示す。なお、縮小画像308a〜308iは、図5(a)に示した画像を元画像として生成されている。
誇張処理の回数が増えるに連れ、強い誇張となり、少ない回数では弱い誇張となる。誇張が無い場合や誇張が弱すぎる場合、元画像における描画部分の主要な線が掠れてしまったり、一部の色が消滅してしまっており、縮小画像において元画像の形状が崩れてしまっている(例えば縮小画像308a〜308c)。一方、誇張が強すぎる場合、元画像における描画部分の線が太くなり過ぎ、縮小画像において色潰れなどが発生し、元画像の形状が崩れてしまっている(例えば縮小画像308h、308i)。
ユーザや画像処理装置100(画像処理プログラム)の提供者は、異なる誇張処理回数で生成した縮小画像308a〜308iを見て、最適と思われる縮小画像を選択する。そして、選択された縮小画像を生成する際の誇張処理回数を、設定情報に含める。この例では、縮小画像308eが、最適に誇張されていると判断され、当該縮小画像308eの誇張処理の回数(4回)を、ステップS11で読み込まれる設定情報に対して含める。
なお、上述では、誇張処理の回数を予め設定情報に含めて、ステップS11にて読み込むように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、誇張処理の回数は、元画像から絵文字画像を作成する際に、ユーザが画像処理装置100に対して入力するようにできる。
このように、本第1の実施形態では、元画像に対して、描画部分の誇張処理を施してから縮小処理を行っている。そのため、元画像の描画部分における主要な線が掠れてしまったり、必要な色が消滅してしまったりすることが防がれ、全体として描画部分の形状を保ち見易い絵文字画像を生成することができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
また、上述では、ユーザによる手書きの原稿1をスキャナ装置11で読み取った原稿画像から元画像を抽出する際の用紙5に、描画領域3を示す枠4が印刷されている例を示したが、これはこの例に限定されない。図13は、本第1の実施形態の第1の変形例による用紙5’の例を示す。なお、図13において、上述の図4と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本第1の実施形態の第1の変形例による用紙5’は、描画領域3に描画された絵柄2から作成した絵文字画像を送信する送信先のアドレスを記入するアドレス入力領域6をさらに設ける。アドレス入力領域6には、例えば、当該絵文字画像の送信先である携帯電話端末40やPC41の電子メールアドレスがユーザによる手書きで書き込まれる。PC10は、この電子メールアドレスが書き込まれた原稿1をスキャナ装置11で読み取って得られた原稿画像から、描画領域3の画像と、アドレス入力領域6の画像とを抽出する。描画領域3の画像は、元画像として処理され、上述したようにして絵文字画像が生成される。
PC10は、アドレス入力領域6の画像に対してOCR(Optical Character Recognition)処理を施し、文字情報を抽出する。そして、抽出された文字情報からなる文字列が電子メールアドレスを表しているか否かを判定する。例えば、文字列の先頭および末尾以外の部分に記号「@(アットマーク)」が含まれている場合に、当該文字列が電子メールアドレスであると判定することが考えられる。PC10は、描画領域3の画像を処理した絵文字画像を、アドレス入力領域6から抽出した電子メールアドレスを送信先として送信する。
この第1の変形例によれば、絵文字画像の送信先となる電子メールアドレスを、一々キー入力する必要が無い。そのため、この第1の変形例は、PC10のみならず、キーボードなど専用の文字入力手段を持たないMFP20などを用いて絵文字画像を生成する場合にも、用いて好適である。
(第1の実施形態の第2の変形例)
図14は、本第1の実施形態の第2の変形例による用紙5”の例を示す。なお、図14において、上述の図13と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本第1の実施形態の第2の変形例による用紙5”は、上述した第1の変形例の用紙5’に対して、付加情報を入力する付加情報入力領域7をさらに設ける。付加情報入力領域7は、例えば描画領域3に描画された絵柄2に関する付加情報がユーザによる手書きで書き込まれる。付加情報は、例えば描画領域3に描画された絵柄2のタイトルが考えられる。付加情報は、絵柄2のタイトルに限られず、例えば描画領域3に描画を行ったユーザの名前などでもよいし、絵柄2と直接的な関連性の無い情報でもよい。
PC10は、この付加情報が書き込まれた原稿1をスキャナ装置11で読み取って得られた原稿画像から、描画領域3の画像と、アドレス入力領域6の画像と、付加情報入力領域7の画像とを抽出する。描画領域3の画像は、元画像として処理される。また、アドレス入力領域6の画像は、上述したようにOCR処理されて、当該描画領域3の画像を処理した絵文字画像を送信する送信先の電子メールアドレスが抽出される。さらに、付加情報入力領域7の画像は、同様にOCR処理されて文字情報が抽出され、抽出された文字情報からなる文字列が付加情報としてメモリなどに一時的に保持される。
PC10は、描画領域3の画像を処理した絵文字画像を、アドレス入力領域6から抽出した電子メールアドレスを送信先として送信する。このとき、PC10は、絵文字画像に対して、付加情報入力領域7から抽出された付加情報を付加して、当該送信先に送信する。
この第2の変形例によれば、絵文字画像に関する付加情報を、一々キー入力することなく、当該絵文字画像と共に送信先に送信することができる。そのため、この第2の変形例は、PC10のみならず、キーボードなど専用の文字入力手段を持たないMFP20などを用いて絵文字画像を生成する場合にも、用いて好適である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、絵文字画像を静止画像として生成した。これに対して、本第2の実施形態では、絵文字画像を動画像として生成する。このとき、動画像は、1枚の元画像から生成する。例えば、本第2の実施形態で生成される動画像は、回転、移動および拡大/縮小、ならびに、これらの組み合わせからなる。
図15は、本第2の実施形態による画像処理装置200の一例の機能を示す機能ブロック図である。なお、図15において、上述した図2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。画像処理装置200は、整形処理部110と、第1記憶部210と、回転処理部211と、正規化/誇張処理部111と、トリミング処理部112と、縮小処理部212と、移動処理部213と、第2記憶部214と、動画像生成部215とを有する。
図15において、第1記憶部210は、整形処理部110で元画像の縦横比が1:1に整形された画像を格納する。回転処理部211は、第1記憶部210から整形された画像を読み出して、読み出した画像を指定された角度だけ回転させる。正規化/誇張処理部111は、この回転処理部211で生成された回転画像に対して、第1の実施形態で説明したようにして、解像度の正規化を施した後、誇張処理を施すことになる。
トリミング処理部112は、回転処理部210で回転され、正規化/誇張処理部111で誇張処理された画像から必要部分を切り出すと共に、切り出した画像の縦横比を1:1に整形する。縮小処理部212は、トリミング処理部112で作成された画像に対して、当該画像を指定されたサイズに縮小する縮小処理を施す。移動処理部213は、縮小処理部212で縮小された画像に対して、指定された方向および移動量で移動させる移動処理を施す。移動処理部213から出力された画像は、第2記憶部214に格納される。
画像処理装置200において、回転処理部211、正規化/誇張処理部111、トリミング処理部112、縮小処理部212および移動処理部213による各処理は、第1記憶部210から読み出した画像に対して、指定された回数だけ繰り返される。また、第2記憶部214には、各繰り返しにより生成された画像が蓄積的に記憶される。指定された回数の処理が終了すると、動画像生成部215は、第2記憶部215から処理毎の画像を読み出して時系列で並べて、動画像による絵文字画像を生成する。
図16は、本第2の実施形態による絵文字画像の生成方法を示す一例のフローチャートである。なお、ここでは、図1に示したPC10およびスキャナ装置11を用いて絵文字画像を生成するものとする。この場合、画像処理装置200を構成する各部は、PC10に搭載される画像処理プログラムのモジュールとして、PC10の主記憶上に展開される。
図16のフローチャートの実行に先立って、ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2を紙にマーカペンなどを用いて描画した原稿1を用意する。そして、原稿1をスキャナ装置11に読み取らせた原稿画像をPC10に入力する。PC10では、原稿画像データから絵柄2による描画部分を含む所定領域を抽出し、元画像とする。
図16のフローチャートにおいて、ステップS30で、画像処理装置200に対して元画像が入力される。入力された元画像は、整形処理部110に供給される。次のステップS31で、例えばこの画像処理装置200の全体を制御するCPU(図示しない)により、設定情報が読み込まれる。
図17は、設定情報の例を示す。図17(a)は、設定情報の一例のフォーマットを示す。設定情報の第1行目には、動画像を構成する画像の枚数(単位:枚)と、動画像における1枚の画像の表示時間(単位:1/100秒)とが示される。
設定情報の第2行目は、動画像を構成する画像毎に設定される情報が示される。この例では、画像毎に設定される情報として、誇張回数、回転角度(単位:度)、大きさ、x方向の移動量(単位:ドット)、y方向の移動量(単位:ドット)が示されている。これらのうち、誇張回数は、例えば0回〜30回の範囲から選択される。大きさは、例えば正方形で1ドット×1ドット〜30ドット×30ドットの範囲から選択される。また、回転角は、例えば元画像のx方向に対する角度とする。x方向の移動量およびy方向の移動量は、移動処理が1回も施されていない初期位置の画像に対するものであるとする。この設定情報の第2行目の情報が、動画像を構成する画像の枚数分、記述される。
図17(b)は、設定情報が格納される設定情報ファイルの内容の例を示す。このように、各項目が「,(カンマ)」で区切られ、各行が改行文字(図示しない)で区切られて、設定情報がファイルに格納される。図17(b)の例では、第1行目に、動画像が4枚の画像で構成され、1枚の画像の表示時間が0.5秒であることが記述される。第2行目以降は、動画像を構成する各画像の設定情報が記述される。例えば、第2行目は、動画像を構成する1枚目の画像について、誇張回数が7回、回転角度が5度、大きさが縦20ドット×横20ドット、x方向およびy方向への移動は無しであることが示される。第3行目〜第5行目も同様にして、画像毎に設定情報が記述される。
図16のフローチャートにおいて、ステップS31で設定情報が読み込まれると、処理が次のステップS32に移行される。ステップS32では、整形処理部110において、供給された元画像の上下、または、左右のそれぞれに等しい幅の余白を付加して、元画像を、縦横比が1:1の正方形の画像に整形する。整形処理部110で整形された画像は、第1記憶部210に格納される。
次のステップS33で、回転処理部211は、第1記憶部210から画像を読み出す。なお、このステップS33から後述するステップS41までのループ処理において、第1記憶部210から読み出した同一の画像に対して各ループによる処理が施される。その際に、各ループにおいて、処理対象の画像に対して、設定情報(図17(b)参照)の第2行目からループ毎に順次、各行の設定情報が適用される。
次のステップS34で、回転処理部211は、第1記憶部210から読み出した画像に対して、設定情報の回転角の項目に示される角度だけ回転させる回転処理を施す。回転の中心は、例えば画像の中央部とする。一例として、図18(a)に示される画像に対して、−15度(反時計回りに15度)の回転処理を施し、図18(b)に示される回転された画像を得る。画像の回転処理は、周知の回転行列を用いて実現することができる。
次のステップS35で、正規化/誇張処理部111は、上述した図3のステップS13と同様にして、ステップS34で作成された画像の解像度を正規化し、その後、設定情報の誇張回数の項目に示される回数だけ誇張処理を施す。次のステップS36で、トリミング処理部112は、上述した図3のステップS14と同様にして、ステップS35で誇張された画像に対するトリミング処理を行い、当該誇張画像から描画部分を含む最小の矩形を切り出す。この最小の矩形に対して多少の余白領域を付加して切り出してもよい。そして、次のステップS37で、トリミング処理部112により、トリミングされた画像の縦横比が1:1にされ、正方形の画像が作成される。
次に、ステップS38で、縮小処理部212が、トリミング処理部112から出力された画像に対して、設定情報に含まれる画像の大きさを示す情報に従い縮小処理を施す。この設定情報において、画像の大きさを示す情報を行毎、すなわち、動画を構成する画像毎に異なる値とすることで、絵文字画像における絵柄2が拡大または縮小する動画を作成することができる。
図19を用いて、拡大/縮小に関する動画について説明する。一例として、4枚の画像で動画像が構成され、最終的に出力される絵文字画像のサイズが縦20ドット×横20ドットであるものとする。また、設定情報において、画像の大きさとして、動画像を構成する画像の1枚目〜4枚目に対してそれぞれ「5」、「10」、「15」および「20」が設定されているものとする。
この場合、1回目のループでは、画像310のサイズが縦5ドット×横5ドットに縮小される。縦5ドット×横5ドットに縮小された画像が縦20ドット×横20ドットの枠内の所定位置に配置されて、縮小画像311aが生成される。縮小した画像の配置位置は、予め指定された位置としてもよいし、設定情報に当該配置位置を示す情報を加えてもよい。
2回目以降のループにおいても、同様にして処理がなされる。すなわち、2回目のループでは、画像310が縦10ドット×横10ドットに縮小され、縦20ドット×横20ドットの枠内の所定位置に配置され、縮小画像311bが生成される。3回目および4回目のループでも、画像310が縦15ドット×横15ドット、ならびに、縦20ドット×横20ドットに縮小され、縦20ドット×横20ドットの枠内の所定位置にそれぞれ配置され、縮小画像311cおよび311dが生成される。
生成された縮小画像311a〜311dを、縮小画像311a、311b、311c、311dの順に表示することで、絵文字画像における絵柄2が徐々に拡大していく様子を表現することができる。同様に、縮小画像311d、311c、311b、311aの順に表示することで、絵文字画像における絵柄2が徐々に縮小していく様子を表現することができる。
なお、画像310を、最終的に出力される絵文字画像に対して指定されているサイズよりも大きいサイズに縮小することも可能である。この場合、縮小後の画像を、絵文字画像に対して指定されているサイズで切り出す処理を行う。
ステップS38での縮小処理が終了すると、処理はステップS39に移行される。ステップS39では、移動処理部213が、縮小画像に対して設定情報に含まれるx方向の移動量およびy方向の移動量に従い移動処理を施す。なお、移動は、縮小画像の左上隅の点を原点として行うものとする。この設定情報において、x方向の移動量を示す情報と、y方向の移動量を示す情報とのうち少なくとも一方を行毎、すなわち、動画を構成する画像毎に異なる値とすることで、絵文字画像における絵柄2が移動する動画を作成することができる。
図20を用いて、移動処理の例について、より具体的に説明する。移動量は、x方向およびy方向の移動量がそれぞれ「−5」に設定されているものとする。移動処理部213は、例えば、最初のループ時における移動前の縮小画像、すなわち、1度も移動処理を施していない状態の縮小画像312aを、メモリなどに保持する。移動処理は、例えば、メモリに保持されたこの縮小画像312aを読み出し、読み出した縮小画像312aの各画素を、x方向の移動量およびy方向の移動量に従いドット単位で移動させることで行う。
図20(a)の例では、縮小画像312aの各画素が、縮小画像312aの左上隅の点を原点として、x方向に「−5」(左に5ドット)、y方向に「−5」(上に5ドット)、それぞれ移動される。このとき、移動によって元の縮小画像312aの範囲外になってしまった画素は、捨てられる。このようにして、縮小画像312aがx方向に−5ドット(左に5ドット)、y方向に−5ドット(上に5ドット)、それぞれ移動された縮小画像312bが得られる。
ステップS39で縮小画像に対する移動処理が施されると、処理がステップS40に移行され、移動処理が施された縮小画像が第2記憶部214に格納される。
次のステップS41で、設定情報の、動画像を構成する画像の枚数分の処理が終了したか否かが判定される。若し、終了していないと判定された場合は、処理がステップS33に戻され、第1記憶部210に格納されている正規化元画像を読み出し、読み出した正規化元画像に対する処理を実行する。
一方、ステップS41で、動画像を構成する画像の枚数分の処理が終了したと判定されたら、処理がステップS42に移行される。ステップS42では、動画像生成部215による動画生成処理が行われる。より具体的には、動画像生成部215は、第2記憶部214に格納される複数の縮小画像を読み出す。そして、読み出した複数の縮小画像を、設定情報に含まれる1枚の画像の表示時間に従って時系列で並べて連結し、1の動画像ファイルを生成する。
このような、複数の画像を連結して動画像を構成する動画像ファイルのフォーマットの一つとして、GIF(Graphics Interchange Format)がある。GIFにおいては、1のファイルに対し、所定のヘッダ情報に続けて、延滞時間(表示時間)の情報を含む画像制御情報と、表示される画像の本体である画像データとの組を複数組、格納することで、動画像表示を可能としている。また、ヘッダ情報に対して、拡張情報として動画のループ回数を示す情報を付加することができる。
動画像生成部215で生成された動画像は、動画像による絵文字画像として、画像処理装置200から出力される。
図21を用いて、上述した図16のフローチャートによる動画像による絵文字画像生成処理を要約して示す。図21(a)は、縦20ドット×横20ドットの動画絵文字画像を生成する場合において、設定情報に対し、回転角度が−15度、誇張回数が5回、大きさが縦16ドット×横16ドット、x方向に3、y方向に8の移動量が設定された場合の例である。また、図21(b)は、同様に縦20ドット×横20ドットの動画絵文字画像を生成する場合において、設定情報に対し、回転角度が15度、誇張回数が8回、大きさが縦20ドット×横20ドット、x方向に−5、y方向に−5の移動量が設定された場合の例である。
図21(a)の例において、図16のステップS30で、絵文字画像化したい絵柄2が描画された元画像313が入力され、ステップS31で当該元画像313に対応する設定情報が読み込まれる。次のステップS32で、整形処理部110で元画像313の縦横比が1:1に整形された画像314aが作成される。元画像313の縦横比を1:1とすることで、ステップS34の回転処理の際に、描画部分が欠落するのを防ぐことができる。この画像314aが第1記憶部210に格納される。
次に、回転処理部211は、第1記憶部210から画像314aを読み出して(ステップS33)、設定情報に従い、画像314aに対して−10度の回転処理(時計回り)を施し、画像314bを生成する。次のステップS35で、この画像314bに対して解像度の正規化を施し、1回の誇張処理における誇張の度合を一定にした後、設定情報に従った誇張回数(5回)にて誇張処理を施して、画像314cを生成する。
誇張処理が行われると、次に、ステップS36で、トリミング処理部112において画像314cに基づきマスク画像314dが生成される。そして、マスク画像314dにより、画像314cから絵文字画像化したい絵柄2による描画部分を含む画像が切り出される。ステップS37で、トリミング処理部112は、切り出した画像に対して縦横比を1:1にする整形処理を施し、正方形の画像314eを得る。
次に、縮小処理部212において、設定情報に従い、画像314eが縦16ドット×横16ドットのサイズに縮小され(ステップS38)、縮小された画像が縦20ドット×横20ドットの枠内に配置されて縮小画像314fが得られる。さらに、移動処理部213により、縮小画像314fに対して設定情報に従いx方向に3ドット、y方向に8ドットの移動処理が施され(ステップS39)、移動画像314gが得られる。
図21(b)の例の処理も、上述の図21(a)の場合と略同様である。図16のステップS30で元画像315が入力され、ステップS31で当該元画像313に対応する設定情報が読み込まれる。次のステップS32で元画像315の縦横比が1:1に整形された画像316aが作成され、この画像316aが第1記憶部210に格納される。回転処理部211は、ステップS33で第1記憶部210から読み出した画像316aに対して、設定情報に従い、15度の回転処理(反時計回り)を施し、画像316bを生成する。次のステップS35で、この画像316bに対して解像度の正規化を施してから設定情報に従った誇張回数(8回)にて誇張処理を施して、画像316cを生成する。
誇張処理が行われると、次に、ステップS36で、トリミング処理部112において画像316cに基づき生成したマスク画像316dにより、画像314cから絵文字画像化したい絵柄2による描画部分を含む画像が切り出される。そして、トリミング処理部112は、切り出した画像の縦横比を1:1にする整形処理を施し、正方形の画像316eを得る。
次に、縮小処理部212において、設定情報に従い、画像316eが縦20ドット×横20ドットのサイズに縮小され(ステップS38)、縮小画像316fが得られる。さらに、移動処理部213により、縮小画像316fに対して設定情報に従いx方向に−5ドット、y方向に−5ドットの移動処理が施され(ステップS39)、画像316gが得られる。
なお、本第2の実施形態において、複数の処理を組み合わせることで、1の元画像から様々な動画像を生成することが可能である。例えば、移動処理において、設定情報中の動画像を構成する画像毎のx方向およびy方向の移動量を適当に設定することで、縮小画像中の描画部分の、上下移動、左右移動および斜め移動、ならびに、これらを組み合わせた移動(ジグザグ移動など)が可能となる。また、回転処理において、設定情報中の回転角を適当に設定することで、縮小画像中の描画部分の時計回りおよび反時計回りの何れも設定可能である。さらに、設定情報中の画像の大きさを適当に設定することで、縮小画像中の描画部分の拡大および縮小が可能である。さらにまた、これら移動処理、回転処理、拡大縮小処理を組み合わせることで、1の元画像からさらに複雑な動きも容易に実現可能である。
図22(a)は、動画像による絵文字画像の動きを設定する設定入力領域350の一例を示す。この設定入力領域350は、例えば、図22(b)に例示されるように、用紙5に対して予め印刷されて提示される。この例では、設定入力領域350は、動きを設定するための複数のチェックボックス351〜355が設けられる。
ユーザは、マーカペンなどを用いてチェックボックス351〜355をチェックすることで、各種設定を行う。PC10は、スキャナ装置11で設定入力領域350を含む原稿1を読み取った原稿画像から、当該設定入力領域350の画像を抽出し、マーカペンなどでチェックされた位置を検出する。そして、検出された位置に対応する設定項目に応じて、設定情報を生成する。
チェックボックス351は、絵文字画像を動かさない旨を設定する。このチェックボックス351がチェックされた場合、例えば、第1の実施形態による画像処理装置100による絵文字画像生成が行われる。設定情報の表示時間を無限大とし、動画像を構成する画像の枚数を1枚と設定してもよい。チェックボックス352a〜352dは、それぞれ、上方向、下方向、右方向および左方向への動作を設定する。チェックボックス353aおよび353bは、それぞれ時計回りおよび反時計回りの回転動作を設定する。チェックボックス354aおよび354bは、それぞれ拡大および縮小動作を設定する。また、チェックボックス355は、予め定められた小さな動きを設定する。これらチェックボックス351〜355は、例えば、互いに動作が矛盾しない複数の項目を同時に設定することができる。
なお、ここでは、設定入力領域350が用紙5に印刷されるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、設定入力領域350を、画像処理装置200が構成されるPC10やMFP20などの機器における表示手段に表示される設定入力画面として提示することも可能である。ユーザは、PC10やMFP20の表示手段に表示される設定入力画面に従い、マウスなどのポインティングデバイスや、タッチパネル、各種キーなどを操作することでチェックボックス351〜355をチェックする。PC10やMFP20は、チェックされた内容に基づき設定情報を生成する。
(第2の実施形態における回転処理)
次に、動画像作成における回転処理に際する、本第2の実施形態に特有の、幾つかの処理について説明する。第1の処理は、処理全体の中での回転処理の手順に関するものである。本第2の実施形態では、上述した図16のフローチャートに示されるように、回転処理部211による回転処理を、縮小処理部212による縮小処理の前に実行している。そのため、回転処理による画像の滲みや崩れを抑制できる。
図23を用いて説明する。以下では、例えば縦400ドット×横400ドット程度の元画像317から、当該元画像317に描画される絵柄2が反時計回りに15度回転された、縦20ドット×横20ドットの縮小画像を生成する場合について説明する。
図23(a)は、画像を縮小した後に回転する例を示す。元画像317に対して誇張処理、トリミング処理、正規化処理などを施した後、画像補間を用いて縮小して画像318aを生成する。この画像318aに対して回転処理を施し、絵柄2が回転された画像318bを得る。なお、画像318b’は、画像318bを見易いように拡大したものである。元画像317を縮小して解像度を低くした後に回転処理を加えているので、画像318bは、元画像317に対して大きく滲んだようになってしまっている。
一方、図23(b)は、画像を回転させた後に縮小する例を示す。元画像317を回転させて画像319aを得る。その後、画像319aに対して誇張処理、トリミング処理、正規化処理などを施した後、画像補間を用いて縮小して画像319bを生成する。なお、画像319b’は、画像319bを見易いように拡大したものである。この場合には、解像度が十分高い状態で回転処理を施し、その後、誇張処理などを経て縮小処理を行っている。そのため、画像319bは、上述した縮小処理を施した後に回転処理を施した画像318bと比べて、滲みなどが少なく、非常に見易いものとなっている。
第2の処理は、回転角度に応じた誇張処理の強度の調整である。本第2の実施形態では、回転処理部211で回転処理を行った場合、正規化/誇張処理部111における誇張処理の度合を、回転角に応じて変えるようにする。
図24を用いて説明する。図24(a)に例示される元画像320に対して指定された回転角で回転処理を施し、回転処理された画像に対して所定回数の誇張処理を施した後、縮小処理を施して、例えば縦20ドット×横20ドットの縮小画像を得るものとする。元画像320の解像度は、例えば縦400ドット×横400ドット程度とする。
図24(b)は、元画像320に対して、回転角が0度、15度、30度、45度、60度、75度および90度の場合に、それぞれ回転処理および誇張処理を行い、さらに縮小処理を施した場合の例を示す。なお、ここでは、回転処理を施さない場合の最適の誇張処理回数が7回であるものとし、図24(b)において、誇張処理回数が7回の場合の例と、9回の場合の例とが示されている。
図24(b)の例から分かるように、回転角が15度、30度、60度および75度では、回転角が0度の縮小画像と比べて斜め方向の線に荒れが目立つ。一方、回転角が90度の縮小画像は、回転角が0度の縮小画像と見え方に違いが認められない。また、回転角が45度の縮小画像についても、回転角が0度の縮小画像に対して見え方に大きな違いが認められない。
一方、図24(b)における誇張処理回数が9回の例では、回転角が15度、30度、60度および75度の縮小画像について、誇張処理回数が7回の場合に比べて、見え方が改善されていることが分かる。図24(c)は、回転角が15度の場合の、誇張処理回数が7回の縮小画像321aと、誇張処理回数が9回の縮小画像321bとを拡大して示す。これに対して、回転角が45度の縮小画像は、誇張処理回数を9回に増やすことで、線が太くなり過ぎ、却って見難くなっているのが分かる。
この例の場合、回転角が0度、45度および90度の場合には、誇張処理回数を7回のままとする。また、回転角が15度、30度、60度および75度の場合には、誇張処理回数を9回に増やし、回転角が0度、45度および90度の場合に対して誇張の度合を強める。このように、回転角に応じて誇張処理回数を変えて、誇張の度合を変えることで、縮小画像が回転する動画像において回転中に縮小画像の見え方が大きく変わることが防がれる。
このように、本第2の実施形態によれば、元画像に対して回転処理を行ってから誇張処理を行い、その後、縮小処理を行うことで、動画像による絵文字画像を生成している。そのため、再生した際により見易い動画像による絵文字画像を生成することができる。また、本第2の実施形態によれば、様々な動きの動画像を1枚の元画像から容易に作成することができる。
(PCの構成)
図25は、上述した第1の実施形態による画像処理装置100と、第2の実施形態による画像処理装置200とに共通して適用可能なPC10の一例の構成を示す。
図25において、バス401に対してCPU410、RAM411、ROM412、表示制御部413および通信I/F(インターフェイス)414が接続される。また、バス400に対して、HDD(ハードディスクドライブ)415、ドライブ装置416および入力I/F417が接続される。なお、図15に示した画像処理装置200における第1記憶部210および第2記憶部214は、RAM411やHDD415を適用することができる。
CPU410は、ROM412やHDD415に記憶されるプログラムに従い、RAM411をワークメモリとして用いて、このコンピュータにおける動作を制御する。表示制御部413は、CPU410により生成された表示制御信号を、表示装置420が表示可能な信号に変換して出力する。
HDD415は、CPU410が実行するためのプログラム、プログラムによって用いられるデータなどが格納される。ドライブ装置416は、脱着可能な記録媒体421が装填可能とされ、当該記録媒体421に対するデータの読み書きを行うことができる。ドライブ装置416が対応可能な記録媒体421としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスクといったディスク記録媒体や、読み書き可能で不揮発性の半導体メモリが考えられる。
入力I/F417は、外部からのデータの入力を行う。例えば、入力I/F417は、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)といった所定のインターフェイスを有し、このインターフェイスにより、タブレット424やスキャナ装置425といった外部の機器からのデータ入力を行う。また、入力I/F417に対して、キーボード422やマウス423といった入力デバイスが接続される。ユーザは、例えば表示装置420に対する表示に応じてこれら入力デバイスを操作することで、このコンピュータに対して指示を出すことができる。
通信I/F414は、所定のプロトコルを用いて外部の通信ネットワークと通信を行う。
画像処理装置100や画像処理装置200をPC10上で実現するための画像処理プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、例えばCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリといった不揮発性メモリといったコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
また、当該画像処理プログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該画像処理プログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、当該画像処理プログラムを、ROMなどに予め組み込んで提供するように構成してもよい。
当該画像処理プログラムは、例えば第1の実施形態の場合、上述した各部(整形処理部110、正規化/誇張処理部111、トリミング処理部112、縮小処理部113)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU410が上述の記憶媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することにより、上述の各部が主記憶装置(RAM411)上にロードされ、整形処理部110、正規化/誇張処理部111、トリミング処理部112、縮小処理部113が主記憶装置上に生成されるようになっている。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態では、携帯電話端末との間で第1の通信を行い、当該携帯電話端末に対して絵文字画像を送信するための送信先アドレスを取得する。そして、取得したこの送信先アドレスに従い第2の通信を行い、絵文字画像を当該携帯電話端末に対して送信する。
ここで、第1の通信は、送信先アドレスの取得側が予め通信相手固有の情報を持っていなくとも可能な通信であるものとする。おサイフケータイ(登録商標)などに採用される、非接触型の近接無線通信方式を第1の通信方式として適用することができる。この通信方式では、無線通信を行うためのアンテナの電磁誘導によりICチップに電力を供給することで、非接触での無線通信を行っている。この近接無線通信方式によれば、当該通信方式に対応するICチップを埋め込んだ携帯電話端末を、専用のリーダ・ライタに非接触で近接させることにより、ICチップとリーダ・ライタとの間で自動的に通信が開始される。
図26は、この非接触の近接無線通信方式を利用した絵文字画像作成システムの構成の例を示す。図26(a)は、MFP61を用い、絵文字画像化したい絵柄2が書き込まれた原稿63に基づき絵文字画像を生成し、ユーザの携帯電話端末60に送信する場合の例である。ここで、携帯電話端末60には、非接触の近接無線通信方式に対応するICチップ(図示しない)が埋め込まれており、MFP61は、当該通信方式による通信を行うリーダ・ライタ62が接続されているものとする。また、MFP61は、第1の実施形態または第2の実施形態による絵文字画像生成機能を有していると共に、電子メールアドレスで指定された送信先にデータを送信する機能を有するものとする。
ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2を用紙に書き込んで、原稿63を作成する。そして、ユーザは、この原稿63をMFP61に、スキャナ機能を用いて読み取らせる。MFP61は、原稿63を読み取った原稿画像から絵文字画像化したい絵柄2による描画部分を含む元画像を抽出し、抽出した元画像に基づき、上述の第1の実施形態や第2の実施形態と同様にして、例えば縦20ドット×横20ドットの絵文字画像を生成する。
ユーザは、また、生成した絵文字画像の送信先である携帯電話端末60を、MFP61に接続されるリーダ・ライタ62に近接させる。これにより、携帯電話端末60内のICチップと、リーダ・ライタ62との間で無線通信が開始される。この通信により、MFP61は、携帯電話端末60の電子メールアドレスを取得することが可能である。MFP61は、この通信で取得した電子メールアドレスを送信先として、原稿63から読み取った原稿画像に基づき生成した絵文字画像を送信する。
図26(b)は、PC64を用い、絵文字画像化したい絵柄2をペンタブレット65などのポインティングデバイスにより描画して、絵文字画像の元画像をPC64に直接的に取り込むようにした場合の例である。PC64は、リーダ・ライタ62が接続されると共に、第1の実施形態または第2の実施形態による絵文字画像生成機能を有する。また、PC64は、電子メールアドレスで指定された送信先にデータを送信する機能を有するものとする。
ユーザは、絵文字画像化したい絵柄2をペンタブレット65を用いて描画する。PC64は、ペンタブレット65による描画に従い、当該絵柄2による描画部分を含む元画像を生成し、この元画像に基づき、上述の第1の実施形態や第2の実施形態と同様にして、例えば縦20ドット×横20ドットの絵文字画像を生成する。
ユーザは、また、生成した絵文字画像の送信先である携帯電話端末60を、PC64に接続されるリーダ・ライタ62に近接させる。これにより、携帯電話端末60内のICチップと、リーダ・ライタ62との間で無線通信が開始される。この通信により、PC64は、携帯電話端末60の電子メールアドレスを取得することが可能である。PC64は、この通信で取得した電子メールアドレスを送信先として、ペンタブレット65を用いて描画した絵柄2に基づき生成した絵文字画像を送信する。
このように、本第3の実施形態によれば、ユーザは、マーカペンやペンタブレット65を用いて絵文字画像化したい絵柄2を描画してMFP61やPC64に入力すると共に、絵文字画像の送信先である携帯電話端末60をリーダ・ライタ62にかざすだけで、自分で作成した絵文字画像を携帯電話端末60にて利用することができるようになる。