JP6477365B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
この従来技術では、冷却液の流路を備えた金属板を冷却部材とし、一対の絶縁基板により挟んで接合して基体を形成し、絶縁基板に半導体素子を実装した構造としている。
この従来技術では、基体の上下面の熱膨張係数を均衡させることができ、これにより、冷却装置となる金属板の反りを低減し、絶縁基板の割れを防止することができる。
しかしながら、半導体素子および電極は、それぞれ、冷却部材に独立して設けられており、上記サージ電圧の保護のためには、別途、保護回路を必要としていた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、半導体素子がスイッチングした際に生じるサージ電圧を低減可能な半導体装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明の半導体装置は、第2面に接続された導電性部材を備え、高電位側端子部と低電位側端子部とは、第1面と導電性部材とに、それぞれ選択的に接続されていることを特徴とする。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における半導体装置A(図1、図2参照)を適用した電力変換装置の構成を説明する。
この電力変換装置は、例えば、図3に示す回転電機Mを駆動する駆動システムのインバータとして用いている。
また、パワーモジュールPMは、上アーム側のスイッチングを行う半導体素子21〜23と、下アーム側のスイッチングを行う半導体素子24〜26とを備えている。そして、各半導体素子21〜26は、制御回路40から配線28を介して得られる信号により、各半導体素子21〜26を開閉し、回転電機Mにおいて所望の回転力を得るための三相交流電力を生成する。
平滑コンデンサ30は、直流電源10とパワーモジュールPMとを接続する高電位側の給電母線11と低電位側の給電母線12とに接続され、スイッチング動作による電圧の変動を抑制する。
図1に示すように、半導体素子20は、その表裏面のうちの一方である第1面20aを高電位側端子部50に接合して高電位側端子部50上に配置されている。この高電位側端子部50は、図外において高電位側の給電母線11に接続されている。また、半導体素子20と高電位側端子部50とは、はんだなどを用いて金属接合されている。なお、この接合は、金属接合に限定されず、単に接触による接合や、導電性を有した接着剤を用いた接合としてもよい。
なお、半導体素子20と低電位側端子部60との接続は、はんだなどによる金属接合により行っている。また、この接合は、金属接合に限定されず、バスバーなどの配線柱材料や、ボンディングワイヤによる接続としてもよい。
冷却部材70は、アルミニウムなどの金属製であり、外表面のうち最も面積が広い主面71(第1面)と、この主面71とは反対側の面である反対主面72(第2面)とを備えている。
さらに、冷却部材70は、内部に冷却媒体(冷却水、冷却オイル、冷却風など)を循環させる複数の冷却路73を有する。
なお、このような複数の冷却フィン74を備えた構造としては、多穴管(マイクロチャネル)とよばれる金属の押出加工により製作されるものや、コルゲートフィンとよばれるろう付けにより製作されるものがある。
そして、高電位側端子部50と絶縁性部材75とは、はんだなどにより金属接合され、同様に、絶縁性部材75と冷却部材70の主面71も、金属接合されている。
この延長部81と反対主面72との接続では、延長部81において反対主面72を向いた面81aと絶縁性部材76とをはんだなどにより金属接合するとともに、絶縁性部材76と反対主面72とをはんだなどにより金属接合して接続している。
次に、実施の形態1の作用を説明する。
回転電機Mの駆動時には、半導体素子20をスイッチング作動させ、また、このとき冷却部材70の冷却路73に冷却媒体を循環させる。
冷却部材70は、外表面のうちで表面積が最も広い主面71および反対主面72において、高電位側端子部50および導電性部材80と熱交換を行うとともに放熱を行い、また、冷却路73の冷却媒体と熱交換を行う。
したがって、冷却部材70は、発熱部位である高電位側端子部50および半導体素子20を効率的に冷却することができる。
これらの浮遊容量C2,C3と、冷却部材70の抵抗R1とが、半導体素子20に対して並列に存在するため、これらは、図1に示すように、半導体素子20に対して並列にスナバ回路100として機能する。
これにより、半導体装置Aのスイッチング時に発生するサージ電圧を低減することができる。
同様に、導電性部材80の延長部81の面81aと冷却部材70の反対主面72との間には、絶縁性部材76を介在させているため、絶縁性部材76が誘導体として作用し、絶縁性部材76を介在させないものよりも浮遊容量C3を大きくすることができる。
よって、両絶縁性部材75,76を備えないものと比較して、スナバ回路100によるサージ電圧の低減効果をさらに高めることができる。
したがって、冷却部材70の主面71と反対主面72とのいずれか一方のみに部品を接合したものと比較して、半導体装置Aの駆動時における主面71と反対主面72との熱膨張・収縮の差を小さくし、冷却部材70の反りを低減することができる。
加えて、冷却部材70の主面71と反対主面72とには、同材質の絶縁性部材75,76を接合させているため、高電位側端子部50と導電性部材80とを、両面71,72に直接接合したものと比較して、両面71,72の熱膨張、収縮差を抑えることができる。しかも、絶縁性部材75,76は、両面71,72に、それぞれ金属接合しているため、両面71,72の熱膨張、収縮差をさらに抑えることができる。
以下に、実施の形態1の半導体装置の効果を列挙する。
1)実施の形態1の半導体装置は、
半導体素子20と、
半導体素子20と接続された高電位側端子部50と、
半導体素子20と接続された低電位側端子部60と、
少なくとも外表面の表裏となる第1面としての主面71および第2面としての反対主面72に冷却機能を有する冷却部材70と、
を備えた半導体装置であって、
反対主面72に接続された導電性部材80を備え、
高電位側端子部50と低電位側端子部60とは、主面71と導電性部材80とに、それぞれ選択的に接続されていることを特徴とする。
したがって、冷却部材70に接続された両端子部50,60の一方(高電位側端子部50)と、冷却部材70に接続された導電性部材80との間に生じる浮遊容量が、半導体素子20と並列のスナバコンデンサとして作用する。これにより、半導体素子20のスイッチング時に発生するサージ電圧を低減することができる。
特に、本実施の形態1では、導電性部材80は、低電位側端子部60を、低電位側の給電母線12に接続する既存のバスバーの一部を延長加工して形成したため、新たな部品の追加が不要であり、コスト的に有利である。
すなわち、実施の形態1では、導電性部材80は、これに接続された高電位側端子部50と低電位側端子部60とのいずれかと直流電源10側とを接続する接続部材により形成したことを特徴とする。
冷却部材70は、導電性材料から成り、
冷却部材70の主面71と、これに接続された高電位側端子部50との間に、絶縁性部材75が介在され、
冷却部材70の反対主面72と、これに接続された導電性部材80との間に、絶縁性部材76が介在されていることを特徴とする。
したがって、絶縁性部材75,76が誘電体として作用して浮遊容量値を大きくし、冷却部材70の抵抗成分である抵抗R1がスナバ抵抗として作用することにより、半導体装置Aのスイッチング時に発生するサージ電圧をさらに低減することができる。
絶縁性部材75,76と冷却部材70の主面71および反対主面72とが金属接合されていることを特徴とする。
このように、冷却部材70の主面71と反対主面72とに、絶縁性部材75,76が金属接合されるため、主面71と反対主面72との熱膨張差および熱収縮差を抑え、冷却部材70の反りを低減することができる。
冷却部材70の内部に冷却媒体の流路である冷却路73を備え、
冷却部材70の主面71および反対主面72は、冷却フィン74によって形成されていることを特徴とする。
したがって、冷却部材70の放熱性能を向上できる。
また、主面71と反対主面72とにおいて、絶縁性部材75,76と接合したときに、単に平面同士をはんだにより金属接合した場合と比較して、安定した金属接合が得られ、接触面積の均一化を図ることができる。これにより、スナバコンデンサとしての容量の安定化を図ることができるとともに、熱膨張差を抑えて、冷却部材70の反りを一層抑制可能となる。
次に、他の実施の形態の半導体装置について説明する。
なお、他の実施の形態は、実施の形態1の変形例であるため、実施の形態1と共通する構成には実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点のみ説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の変形例であり、実施の形態1において示した絶縁性部材75,76を省略した例である。
すなわち、図4に示すように、冷却部材270の主面71には、高電位側端子部50が直接接合されている。また、この接合は、はんだなどによる金属接合とされている。
なお、冷却部材270は、冷却路73を設けていない例を図示しているが、実施の形態1と同様に冷却路73を設けてもよい。
なお、実施の形態2では、絶縁性部材75,76を設けていないため、実施の形態1と比べると、スナバ回路の抵抗として作用する冷却部材270の抵抗値が低くなる。
2-1)実施の形態2の半導体装置は、
冷却部材270の主面71と、これに接続された高電位側端子部50とが金属接合され、
冷却部材270の反対主面72と導電性部材80とが金属接合されていることを特徴とする。
したがって、冷却部材270に接続された高電位側端子部50と、冷却部材70に接続された導電性部材80との間に生じる浮遊容量C1がスナバコンデンサとして作用するスナバ回路200が得られる。これにより、半導体素子20のスイッチング時に発生するサージ電圧を低減することができる。
実施の形態3は、実施の形態1の変形例であり、図5に示すように、導電性部材380の形状を実施の形態1と異ならせた例である。
すなわち、実施の形態3では、導電性部材380の厚さおよび冷却部材70との接触面積に基づいて、高電位側端子部50に生じる応力と、導電性部材380に生じる応力との差を抑えるようにしている。
そこで、導電性部材380の板厚を、高電位側端子部50の板厚よりも厚い形状に形成した。
半導体装置の駆動時に、高電位側端子部50と導電性部材380の延長部381とが、同様の熱影響を受けた場合に、両者のうち熱膨張係数が小さい側の厚さを厚くしたことにより、両者に生じる応力差を抑えることができる。
これにより、冷却部材70の主面71と反対主面72に作用する力の均等化を図り、反りの発生を、抑えることができる。
3-1)実施の形態3の半導体装置は、
主面71に接続された高電位側端子部50と反対主面72に接続された導電性部材380の延長部381との、厚さ寸法値と、各面71,72との接触面積値との少なくとも一方は、高電位側端子部50と導電性部材380の延長部381との熱膨脹係数に応じ、熱膨張係数が大きい方の各値が、熱膨張係数の小さい方の各値よりも小さな値に設定されていることを特徴とする。
したがって、冷却部材70の両面71,72に接合された高電位側端子部50と延長部381との応力差を抑え、冷却部材70の両面71,72の熱膨張差を抑えて冷却部材70の反りを抑えることができる。
さらに、実施の形態3では、上述の形状(厚さ)の設定を、導電性部材380の延長部381により行った。この延長部381は、実質的な電力供給を行う部位ではないため、電力供給を行う高電位側端子部50よりも、形状や接触面積の設定自由度が高い。
実施の形態4は、実施の形態1の変形例であり、図6に示すように、導電性部材80の延長部81と絶縁性部材76との間に、抵抗体400を介在させた例である。
この抵抗体としては、冷却部材70および導電性部材80よりも抵抗値の高い金属や導電性樹脂などを用いる。
4-1)実施の形態4の半導体装置は、
導電性部材80と冷却部材70の反対主面72とは、抵抗領域としての抵抗体400を介して接することを特徴とする。
したがって、抵抗体400がスナバ抵抗R2として作用するため、半導体装置のスイッチング動作時に発生するサージ電圧をさらに低減することができる。
実施の形態5は、実施の形態1の変形例であり、図7に示すように、冷却部材570に、2組の半導体素子521,522、高電位側端子部551,552、低電位側端子部561,562、導電性部材581,582を設けた例である。
さらに、半導体素子521,522において、高電位側端子部551,552の接合面とは反対側の面に、それぞれ低電位側端子部561,562が接合されている。また、各低電位側端子部561,562に接続された導電性部材581,582が、実施の形態1あるいは実施の形態2と同様にして、冷却部材570の図7では図示を省略した反対主面に、直接あるいは絶縁性部材を介して接合されている。
なお、図7では、1つの冷却部材570に半導体素子521,522などを2組設けた例を示したが、3以上の複数組設けてもよい。
5-1)実施の形態5の半導体装置は、
冷却部材570に、半導体素子521,522およびこれに接続された高電位側端子部551,552、低電位側端子部561,562、導電性部材581,582が、複数組設けられていることを特徴とする。
したがって、浮遊容量によりスナバコンデンサを形成する複数の半導体装置をコンパクトに設置することができる。
冷却部材570の内部に冷却媒体の流路である冷却路(図7では図示省略、図1参照)を備え、
冷却部材570の主面571および反対主面(図7では図示省略)は、冷却フィン74によって形成されていることを特徴とする。
したがって、各高電位側端子部551,552および各導電性部材581,582と、主面571および反対主面との接触面積の均一化を図ることにより、抵抗成分の均一化を図ることができる。これにより、複数の半導体素子521,522のスイッチング時に発生するサージ電圧の低減効果を等しく得ることができる。
実施の形態6は、実施の形態2の変形例であり、図4に示した冷却部材270を、絶縁性部材(例えば、Si3N4、SiCなど)により形成した例である。
よって、冷却部材270は、全体を絶縁性部材により形成してもよいが、少なくとも、高電位側端子部50に接続される主面71および導電性部材80に接続される反対主面72が絶縁性部材により形成されていれば、所望の効果を得ることができる。
6-1)実施の形態6の半導体装置は、
冷却部材270の少なくとも主面71および反対主面72は、絶縁性部材により形成されていることを特徴とする。
したがって、冷却部材270それ自体が誘電体として作用するため、浮遊容量C1を大きくし、半導体装置のスイッチング作動時に発生するサージ電圧を、さらに低減することができる。
例えば、主面(第1面)に低電位側端子部を接合し、反対主面(第2面)に高電位側端子部に接続された導電性部材を接合してもよい。
また、実施の形態では、冷却部材に、高電位側端子部と低電位側端子部との一方を直接接続するとともに、もう一方を導電性部材を介して接続した例を示したが、この接続においては、面同士を当接させた接合によるものに限定されない。要は、冷却部材の両面を、それぞれ、高電位側端子部と低電位側端子部とに接続し、両者の間に、半導体素子と並列に浮遊容量によりスナバコンデンサが形成されればよい。したがって、その接続は、ボンディングワイヤを介在させるなど面を重ねた接合に限定されない。
また、実施の形態では、冷却部材として、内部に冷却路を有し、冷却フィンを間隔を空けて積層したものを示したが、これに限定されない。例えば、内部に冷却媒体を循環させること無く、放熱により冷却するものを用いてもよい。また、冷却フィンを有すること無く、内部の冷却媒体との熱交換により冷却するものや、単に外表面から放熱するものなどを用いてもよい。
50 高電位側端子部
60 低電位側端子部
70 冷却部材
71 主面(第1面)
72 反対主面(第2面)
73 冷却路
74 冷却フィン
75 絶縁性部材
76 絶縁性部材
80 導電性部材
270 冷却部材
380 導電性部材
400 抵抗体(抵抗領域)
521 半導体素子
522 半導体素子
551 高電位側端子部
552 高電位側端子部
561 低電位側端子部
562 低電位側端子部
570 冷却部材
571 主面
581 導電性部材
582 導電性部材
Claims (9)
- 半導体素子と、
前記半導体素子と接続された高電位側端子部と、
前記半導体素子と接続された低電位側端子部と、
少なくとも外表面の表裏となる第1面および第2面に冷却機能を有する冷却部材と、
を備えた半導体装置であって、
前記第2面に接続された導電性部材を備え、
前記高電位側端子部と前記低電位側端子部とは、前記第1面と前記導電性部材とに、それぞれ選択的に接続されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置において、
前記冷却部材は、導電性材料から成り、
前記冷却部材の前記第1面と、これに接続された前記高電位側端子部または前記低電位側端子部との間に、絶縁性部材が介在され、
前記冷却部材の前記第2面と、これに接続された前記導電性部材との間に、絶縁性部材が介在されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
前記絶縁性部材と前記冷却部材の前記第1面および前記第2面とが金属接合されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置において、
前記冷却部材の前記第1面と、これに接続された前記高電位側端子部または前記低電位側端子部とが金属接合され、
前記冷却部材の前記第2面と前記導電性部材とが金属接合されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項4に記載の半導体装置において、
前記冷却部材の少なくとも前記第1面および前記第2面は、絶縁性部材により形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記冷却部材の内部に冷却媒体の流路を備え、
前記冷却部材の前記第1面および前記第2面は、冷却フィンによって形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置において、
両端子部のうち前記第1面に接続されたものと前記導電性部材との、厚さ寸法値と前記冷却部材の各面との接触面積値との少なくとも一方の値は、両端子部のうち前記第1面に接続されたものと前記導電性部材との熱膨張係数が大きい方の前記少なくとも一方の値が、両端子部のうち前記第1面に接続されたものと前記導電性部材との前記熱膨張係数の小さい方の前記少なくとも一方の値よりも小さな値に設定されている
ことを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記導電性部材と前記冷却部材の前記第2面とは、抵抗領域を介して接することを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記冷却部材に、前記半導体素子およびこれに接続された前記高電位側端子部、前記低電位側端子部、前記導電性部材が、複数組設けられていることを特徴とする半導体装置。
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