JP6477173B2 - 表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法 - Google Patents

表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法に関する。
酸化亜鉛は亜鉛華とも称され、紫外線遮蔽性能を有するため、化粧料原料等に広く使用されている。だが、酸化亜鉛は、経時的に亜鉛イオンが溶出してしまうため、化粧料に配合すると乳化系を壊すことがある他、酸化亜鉛の表面触媒活性により他成分が変性されるという課題を有していた。そこで、亜鉛溶出の低減や触媒活性の抑制、分散性の向上等を目的として、酸化亜鉛に対し、シリカやチタニア、金属石鹸等の無機物質による無機処理(例えば、特許文献1、2参照)や、シリコーン、脂肪酸等の有機物質による有機処理(例えば、特許文献3参照)が行われている。
特開2008−94917号公報 特開2003−41147号公報 特開平7−267894号公報
上述のとおり亜鉛溶出の低減や触媒活性の抑制、分散性の向上等を目的として、酸化亜鉛の無機処理や有機処理が行われている。だが、従来の処理では、亜鉛溶出の抑制が不充分であり、しかも酸化亜鉛表面が均一に処理されていないため、これらの点で改善の余地があった。また、従来の酸化亜鉛を含む分散体は、溶媒や分散剤等の組み合わせによって経時変化により粘度上昇が生じることがあり、化粧料に配合するとエステル油等との馴染みが良好にならず、化粧料が固くなりやすいという課題もあった。そのため、有機溶媒、特にエステル系溶媒に安定で、かつ亜鉛溶出が充分に抑制された酸化亜鉛やその分散体が求められていた。
また、強いクレンジングをしなくてよい、環境負荷が少ない等という観点から、シリコーンを含まない化粧料が市場で要望されており、化粧料用材料(化粧料原料とも称す)としてもシリコーンを含まないもの、すなわちノンシリコーン材料が求められていた。
本発明は、上記現状に鑑み、亜鉛溶出が充分に抑制され、かつ有機溶媒との馴染みが良好な表面被覆酸化亜鉛粒子を容易に与えることができる製造方法を提供することを目的とする。また、この製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子、並びに、これを含み、経時的に安定した酸化亜鉛粒子分散体及び化粧料を提供することも目的とする。
本発明者らは、亜鉛溶出の少ない酸化亜鉛について種々検討するうち、酸化亜鉛の表面の一部又は全部が脂肪酸塩で被覆された粒子であれば亜鉛溶出が充分に抑制されることに着目し、このような表面被覆酸化亜鉛粒子を得るために、酸化亜鉛及び脂肪酸塩を含み、かつ酸化亜鉛濃度が所定範囲にあるスラリーを85℃以上で熟成する工程を行うと、亜鉛溶出が著しく抑制されることを見いだした。通常、酸化亜鉛を水スラリーとしそのスラリーを50℃以上の高温にすると粒子が凝集しやすくなることが知られており、その状態で粒子に表面処理を施すと、凝集粒子に対して表面処理することとなり、処理が不均一になりやすかった。また、温度が80℃を超えると、液面蒸発水量が多いために反応槽液面近くにスラリーが乾燥した粗大凝集物が生じやすくなり、製品に粗粒子が混入したり、均一な処理をしにくくなったりすることも知られている。だが、このような従来の技術常識に反して、本発明者らは熟成工程の温度を85℃以上とし、かつ熟成工程に供するスラリーの酸化亜鉛濃度を所定範囲に設定すると、亜鉛溶出が著しく抑制された酸化亜鉛粒子が得られることを見いだした。この酸化亜鉛粒子は、脂肪酸塩で均一に表面被覆されているため、有機溶媒との馴染みも良好であり、有機溶媒中で均一かつ安定して分散した状態になることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、酸化亜鉛及び脂肪酸塩を含有し、かつ該酸化亜鉛の濃度が110g/L以下であるスラリーを作製するスラリー作製工程と、該スラリーを85℃以上で熟成する熟成工程とを含む表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法である。
上記脂肪酸塩は、金属塩及び/又はアミン塩であることが好ましい。これにより、亜鉛溶出がより少なく、かつ有機溶媒との馴染みがより良好な表面被覆酸化亜鉛粒子を得ることができる。
本発明はまた、上記製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子でもある。
本発明は更に、上記表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤を含む酸化亜鉛粒子分散体でもある。この分散体は、経時的に粘度が上昇することなく、有機溶媒中で表面被覆酸化亜鉛粒子が均一かつ安定して分散した状態であるため、表面被覆酸化亜鉛粒子に由来する物性(例えば、紫外線遮蔽性能等)を安定して発揮することができる。
上記分散剤は、ポリヒドロキシステアリン酸を含むことが好ましい。これにより、表面被覆酸化亜鉛粒子をより均一に分散することが可能になる。
上記酸化亜鉛粒子分散体は、化粧料原料に用いられることが好ましい。これにより、紫外線遮蔽性能等に優れた化粧料を与えることができる。
本発明はそして、上記酸化亜鉛粒子分散体を含む化粧料でもある。
本発明の表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法により、亜鉛溶出が充分に抑制され、かつ有機溶媒との馴染みが良好な表面被覆酸化亜鉛粒子を容易に与えることができる。この製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛の表面の一部又は全部が脂肪酸塩で被覆された粒子であるが、有機溶媒、特にエステル系溶媒との馴染みが良好であるため、経時的に安定した分散体を与えることができる。このような表面被覆酸化亜鉛粒子及び酸化亜鉛粒子分散体は、特に化粧料原料に有用である他、近年、使用感が良いとされるノンシリコーン材料としても有用である。
図1は、実施例又は比較例で得た各試料粉体をオレイン酸のアルコール溶液に添加して得た分散体の経時粘度変化を示すグラフである。 図2は、実施例1又は2で得た表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤を含む分散体の経時粘度変化を示すグラフである。
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
〔表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法〕
本発明の製造方法は、スラリー作製工程と熟成工程とを含むが、通常の粒子の表面処理等で行われる他の工程を1又は2以上更に含んでもよい。また、必要に応じて各工程をそれぞれ2回以上行ってもよい。
(i)スラリー作製工程
スラリー作製工程は、酸化亜鉛及び脂肪酸塩を含有し、かつ該酸化亜鉛の濃度が110g/L以下であるスラリーを作製する工程である。作製方法は特に限定されず、各原料が均一に混合された状態になるように、撹拌することが好ましい。各原料の添加混合順序も特に限定されず、スラリー作製時の温度も特に限定されないが、例えば、作業面からは、5〜35℃でスラリーの作製を行うことが好ましい。
上記スラリーは、酸化亜鉛、脂肪酸塩及び分散媒を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでもよい。他の成分については後述する。
各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記酸化亜鉛は特に限定されないが、例えば、平均一次粒子径が1〜300nmの粒子であることが好ましい。これにより、紫外線遮蔽性や可視光透明性を高めることができるため、得られる表面被覆酸化亜鉛粒子が化粧料原料用途により適したものとなる。平均一次粒子径は、より好ましくは5〜200nm、更に好ましくは10〜100nm、特に好ましくは15〜50nmである。なお、粒子形状は特に限定されない。
本明細書中、平均粒子径は、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて撮影した画像に対角線を引き、その線上に乗る粒子100個それぞれの最大内接円の直径を算術平均したものを意味する。
なお、スラリー中の酸化亜鉛の平均一次粒子径を計測する場合は、スラリーをろ過、水洗後、定温乾燥機(アズワン社製、SONW−450)を用いて105℃、2時間で乾燥して得られた粒子を使用する。
上記スラリー中の酸化亜鉛の濃度は、110g/L以下である。酸化亜鉛の濃度がこの範囲にあるスラリーを所定温度での熟成工程に供することで、亜鉛溶出が充分に抑制され、かつ有機溶媒との馴染みが良好な表面被覆酸化亜鉛粒子が得られる。好ましくは100g/L以下、より好ましくは90g/L以下、更に好ましくは80g/L以下である。また、酸化亜鉛の濃度の下限は特に限定されないが、例えば被覆効率の向上や生産コスト等の観点から、30g/L以上であることが好ましい。より好ましくは40g/L以上、更に好ましくは50g/L以上である。
本明細書中、酸化亜鉛の濃度とは、スラリーに含まれる分散媒1Lに対する、酸化亜鉛の含有量(g)を意味する。
上記脂肪酸塩は特に限定されないが、例えば、炭素数8〜30の脂肪酸(モノカルボン酸)の塩であることが好ましい。当該脂肪酸の炭素数の下限は10以上であることがより好ましく、更に好ましくは14以上であり、これによって、得られる表面被覆酸化亜鉛粒子の肌への刺激性がより低減され、化粧料原料用途により有用なものとなる。また、スラリーへの溶解又は分散性を考慮すると、炭素数の上限は24以下であることがより好ましく、更に好ましくは20以下である。
上記脂肪酸塩を構成する脂肪酸として具体的には、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;等が挙げられ、これらは、置換基(例えば、ヒドロキシル基、カルボニル基、エポキシ基等)を更に有していてもよい。中でも、飽和脂肪酸が好ましい。
上記脂肪酸塩は、金属塩及び/又はアミン塩であることが好ましい。これにより、亜鉛溶出がより少なく、かつ有機溶媒との馴染みがより良好な表面被覆酸化亜鉛粒子を得ることができる。中でも、金属塩が好ましい。
上記金属塩を構成する金属は特に限定されないが、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表第1族金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族金属の他、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、周期表第1族金属が好ましい。より好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウムである。すなわち上記金属塩(脂肪酸金属塩)は、ナトリウム塩、カリウム塩及び/又はリチウム塩であることが好適である。
上記アミン塩を構成するアミンは特に限定されず、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれを使用してもよい。また、1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリアミンであってもよい。具体的には、例えば、アルキルアミン等が挙げられる。
上記脂肪酸塩の含有量は、スラリー中の酸化亜鉛100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましい。この範囲に設定することで、酸化亜鉛表面を脂肪酸塩でより均一に被覆することが可能になる。より好ましくは5重量部以上である。また、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。
上記分散媒としては特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒又はこれらの混合物等が挙げられる。有機溶媒としては、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価の水溶性アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の2価以上の水溶性アルコール;等が挙げられる。分散媒として好ましくは水であり、より好ましくはイオン交換水である。
上記他の成分としては特に限定されず、例えば、分散剤等が挙げられる。他の成分の含有量は特に限定されないが、例えば、スラリー100重量%中、10重量%以下とすることが好ましい。
(ii)熟成工程
熟成工程は、スラリー作製工程で得たスラリーを85℃以上で熟成する工程である。酸化亜鉛濃度が所定範囲にあるスラリーの熟成温度を85℃以上とすることで、亜鉛溶出が充分に抑制され、かつ有機溶媒との馴染みが良好な表面被覆酸化亜鉛粒子を得ることができる。熟成温度は、好ましくは87℃以上、より好ましくは90℃以上である。熟成温度の上限は特に限定されないが、例えば設備等の都合上、200℃以下とすることが好ましい。より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
上記熟成工程において、熟成時間は特に限定されないが、1分以上とすることが好ましい。より好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上である。熟成時間の上限は特に限定されないが、例えば、製造効率向上の観点からは、10時間以下とすることが好ましい。より好ましくは5時間以下、更に好ましくは2時間以下である。
本明細書中、熟成温度とは、熟成時の最高温度を意味する。また、熟成時間とは、熟成時の最高温度(熟成温度)の保持時間を意味し、最高温度に達するまでの昇温時間は含まない。昇温時間は特に限定されないが、できるだけ短くすることが好適である。
以上の工程を経ることにより、表面被覆酸化亜鉛粒子を得ることができるが、必要に応じて、以下の工程を行ってもよい。
(iii)中和工程
上記熟成工程後、必要に応じてスラリー(熟成スラリーとも称す)を中和してもよい。中和工程では、熟成スラリーのpHを7〜10に調整することが好ましく、より好ましくは7〜8、更に好ましくは7〜7.5である。
上記中和工程では、中和剤として塩化亜鉛等の亜鉛塩を用いることが好ましい。これにより、亜鉛溶出がより充分に抑制された表面被覆酸化亜鉛粒子が得られる。また、pH調整剤として、通常一般に使用される酸やアルカリを用いてもよい。
なお、中和反応を充分に行うために、中和剤投入後にスラリーを熟成してもよい。この後熟成工程の温度や時間は特に限定されない。
(iv)洗浄工程
また必要に応じて熟成スラリー(更に中和工程や後熟成工程等の他の工程を経て得られたものも含む)を洗浄してもよい。洗浄方法は特に限定されないが、例えば、熟成スラリーをろ過後、ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となるまで、水及び/又は有機溶媒で洗浄することが好ましい。
(v)粉砕工程
上記熟成工程後(更に他の工程を行った後でもよい)、湿式粉砕や乾式粉砕を行うことで、粒子を微細化することが好ましい。中でも乾式粉砕を行うことが好適である。乾式粉砕では、高速回転粉砕機や、圧縮、摩擦、せん断の作用によるエッジランナー等を使用することができる。高速回転粉砕機としては、例えば、アトマイザーが挙げられる。
〔表面被覆酸化亜鉛粒子〕
本発明の製造方法により得られる表面被覆酸化亜鉛粒子は、亜鉛溶出が少なく、かつ有機溶媒との馴染みが良好であるため、有機溶媒中で安定的に分散した状態となる。それゆえ、分散体の状態で保存又は使用されることの多い用途に特に適したものとなる。中でも、化粧料原料に特に好適に用いられる。
上記表面被覆酸化亜鉛粒子の粒子形状は特に限定されず、例えば、針状、棒状、板状、球状等が挙げられる。また、平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。これにより、紫外線遮蔽性や可視光透明性を高めることができるため、化粧料原料用途により適したものとなる。より好ましくは5〜80nm、更に好ましくは10〜50nmである。
〔酸化亜鉛粒子分散体〕
本発明の酸化亜鉛粒子分散体(単に「分散体」とも称す)は、本発明の製造方法により得られる表面被覆酸化亜鉛粒子と、有機溶媒と、分散剤とを含む。上述したとおり、表面被覆酸化亜鉛粒子は有機溶媒との馴染みが良好であるため、本発明の分散体は、有機溶媒中で表面被覆酸化亜鉛粒子が均一かつ安定して分散した状態となる。それゆえ、経時で粘度が上昇することがなく、また仮に保存又は使用中に沈降が発生した場合でも、簡単な撹拌で粒子を容易に再分散することができるため、化粧料用途等の種々の用途に有用である。
なお、各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記分散体中、表面被覆酸化亜鉛粒子の含有量は、例えば、表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤の総量100重量%に対し、10〜80重量%であることが好ましい。これにより、表面被覆酸化亜鉛粒子に由来する性能をより充分に発揮でき、かつ該粒子がより均一かつ安定して分散した状態となる。より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは50〜60重量%である。
上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸トリイソデシル等のエステル油;アルコール;水添ポリイソブテン等の流動パラフィン;デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン油;等が挙げられる。中でも、上記表面被覆酸化亜鉛粒子はエステル油との馴染みが特に良好であるため、エステル油を用いることが好ましい。
上記分散体中、有機溶媒の含有量は、例えば、表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤の総量100重量%に対し、10〜80重量%であることが好ましい。より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは35〜49重量%である。
上記分散剤は特に限定されず、通常の分散体で使用される化合物を用いればよいが、特に好ましくはポリヒドロキシステアリン酸である。
上記分散体中、分散剤の含有量は、例えば、表面被覆酸化亜鉛粒子100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましい。これにより、表面被覆酸化亜鉛粒子を有機溶媒により均一に分散させることができる。より好ましくは0.1〜8重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。
上記分散体は、必要に応じて他の成分を1種又は2種以上更に含んでもよい。
上記分散体の製造方法は特に限定されず、各原料を混合して撹拌する通常の手法で製造することができるが、例えば、ビーズミル、ボールミル、高圧ホモジナイザー、撹拌式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル等の装置を用いて製造することが好ましい。これらの装置は、分散度合いや生産効率性等の観点から適宜選択すればよい。
〔化粧料〕
本発明の分散体は、有機溶媒中で表面被覆酸化亜鉛粒子が均一かつ安定して分散した状態のものであるため、種々の用途に用いることができる。中でも、化粧料原料として特に有用である。適用される化粧料は特に限定されず、例えば、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等が挙げられる。このように本発明の分散体を含む化粧料もまた、本発明の1つである。
なお、本発明の分散体はシリコーンを必須としないため、使用感に優れた化粧料を与える材料として近年注目されているノンシリコーン材料として使用することもできる。
上記化粧料は、必要に応じ、本発明の分散体に加えて他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の成分は特に限定されないが、例えば、化粧料分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分が挙げられる。具体的には、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「重量%(質量%)」を意味するものとする。
実施例1
酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30、平均粒子径35nm)の80g/Lの水スラリーを作製した。
次いで、水スラリーに、ステアリン酸ナトリウム(日本カラー工業株式会社製、KS−3)を、酸化亜鉛重量に対して10%になるよう加えて、90℃まで加温し、90℃到達後2時間熟成させた。
添加したステアリン酸ナトリウムと同モル量の塩化亜鉛の水溶液を、スラリーに30分かけて添加し、pH7.0〜7.5まで中和し、その後1時間熟成させた。
ろ過、ろ液の伝導度が100μS/cm以下まで水洗を行い、得られたケーキを85℃にて16時間乾燥させた後、アトマイザーで粉砕し、本発明の表面被覆酸化亜鉛粒子(1)を得た。
実施例2
90℃到達後の熟成時間を10分としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表面被覆酸化亜鉛粒子(2)を得た。
比較例1
水スラリー作製時の酸化亜鉛濃度を140g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較品(C1)を得た。
比較例2
水スラリーにステアリン酸ナトリウムを添加した後の熟成温度を80℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較品(C2)を得た。
比較例3
高速攪拌機に、酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30、平均粒子径35nm)及び酸化亜鉛に対して5%となるようメチルハイドジェンポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、KF−9901)を加え、10分間攪拌した。
得られた処理粉体を乾燥機中120℃で16時間加熱した。
加熱後の粉体をジェットミルを使用して粉砕し、比較品(C3)を得た。
1、亜鉛溶出抑制効果
亜鉛溶出抑制効果を評価するため、実施例で得た表面被覆酸化亜鉛粒子又は比較例で得た比較品のそれぞれ(試料粉体)をオレイン酸のアルコール溶液に添加し、この分散体(試験液)の粘度を経時的に測定した。亜鉛が経時で溶出すると溶液の粘度が上昇するため、その粘度上昇の程度により、添加した酸化亜鉛による亜鉛溶出抑制効果を評価することができる。以下に試験方法の詳細を示す。結果を図1に示す。図1には、参考のため、試料粉体を含まない場合(ブランク)も併記した。
<試験方法>
(1)オレイン酸をイソプロピルアルコール中に20重量%となるように加え、試験液を作製する。
(2)その溶液をサンプル管に取り、試験液に対し10重量%の試料粉体を加え、サンプル管を振とうさせ、試験液と粉体とを混合する。
(3)混合直後の試験液の粘度をB型粘度計(ローターNo.3、12rpm、1分間後)で測定する。その後、サンプル管を室温(25℃)下にて静置し、経時で粘度を測定する。
図1より、以下のことを確認した。
実施例1と比較例1とは、熟成工程に供したスラリーの酸化亜鉛濃度のみが異なり、実施例1と比較例2とは、熟成温度のみが異なる。また、実施例2は、実施例1と熟成時間のみを異ならせた例である。このような相違の下、得られた各酸化亜鉛を含む分散体の経時的な粘度変化を比較すると、図1より、比較例1、2で得た各比較品を用いた場合には、経時で試験液の粘度が大幅に上昇したのに対し、実施例1、2で得た各表面被覆酸化亜鉛粒子を用いた場合には、粘度は殆ど上昇していない。このことから、酸化亜鉛濃度が所定範囲にあるスラリーを所定温度での熟成工程に供することによって初めて、亜鉛溶出抑制効果に著しく優れる表面被覆酸化亜鉛粒子が得られることが分かった。
また比較例3は酸化亜鉛に従来の有機処理を行った例であるが、比較例1、2と同じく経時で試験液の粘度が大幅に上昇した。それゆえ、本発明の製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子は、従来の有機処理を行った酸化亜鉛に対しても、亜鉛溶出抑制効果が優れることが分かった。
2、有機溶媒との馴染み評価
有機溶媒との馴染みを評価するため、実施例で得た表面被覆酸化亜鉛粒子又は比較例で得た比較品のそれぞれ(試料)の吸油量を測定した。吸油量の数値が小さいほど、測定油(有機溶媒)との馴染みが良好であることを意味する。以下に試験方法の詳細を示す。結果を表1に示す。
<試験方法>
(1)試料約0.5gを薬包紙に精秤する。
(2)ガラス板の中央、10cmのスリガラス部分に試料を乗せる。
(3)ミクロビュレットに測定油を入れ、0.2mLを試料に滴加し、金ベラで練る。
(4)その後、測定油を1〜2滴ずつ加え、滴加の都度、全体を金ベラで練る。
(5)全体が初めて硬いパテ状の塊になったときを終点とする。
(6)次式によって吸油量を算出する。
吸油量(ml/100g)= V(mL)÷ 試料重量(g)× 100
式中、Vは、滴加した測定油の量(mL)を表す。
Figure 0006477173
用いた測定油の詳細を以下に示す。
ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製、エキセパールIPM
水添ポリイソブテン:日油株式会社製、パールリーム3
イソノナン酸トリイソデシル:日清オイリオグループ株式会社製、サラコス913
表1より、以下のことを確認した。
各試料の吸油量を比較すると、実施例1、2で得た各表面被覆酸化亜鉛粒子は、比較例1〜3で得た各比較品に比較して、各測定油に対する吸油量が大幅に低減されている(表1)。したがって、本発明の製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子は、有機溶媒との馴染みが非常に良好であることが分かった。
3、分散体の安定性評価
分散体の安定性を評価するため、実施例1又は2で得た表面被覆酸化亜鉛粒子(試験粉体)と、有機溶媒と、分散剤とを含む分散体の経時粘度変化を観察した。以下に試験方法の詳細を示す。結果を図2に示す。
<試験方法>
(1)140mlのマヨネーズ瓶に、試験粉体50g、ポリヒドロキシステアリン酸4g、パルミチン酸エチルヘキシル46g、φ0.5mmジルコニア(ZrO)ビーズ100gを投入する。
(2)内蓋でしっかり封をし、ペイントシェーカーで1時間分散させた後、ビーズを分離し、酸化亜鉛の有機溶媒分散体を得る。
(3)この分散体をサンプル管にとり、40℃の乾燥機中で保管し、経時の粘度変化(B型粘度計:ローターNo.M3、60rpm、1分)を観察する。
図2より、以下のことを確認した。
実施例1、2で得た表面被覆酸化亜鉛粒子は、いずれも本発明の製造方法で得たものであるが、図2より、これらのいずれかを含む分散体は、経時的な粘度上昇が殆ど生じなかったことが分かる。したがって、本発明の製造方法で得られる表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤を含む酸化亜鉛分散体は、経時的に安定したものであることが分かった。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛及び脂肪酸塩を含有し、かつ該酸化亜鉛の濃度が110g/L以下であるスラリーを作製するスラリー作製工程と、
    該スラリーを85℃以上で熟成する熟成工程とを含む
    ことを特徴とする表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法。
  2. 前記脂肪酸塩は、金属塩及び/又はアミン塩である
    ことを特徴とする請求項1に記載の表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の表面被覆酸化亜鉛粒子の製造方法で得られた表面被覆酸化亜鉛粒子、有機溶媒及び分散剤とを混合する工程を含む
    ことを特徴とする酸化亜鉛粒子分散体の製造方法
  4. 前記分散剤は、ポリヒドロキシステアリン酸を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の酸化亜鉛粒子分散体の製造方法
  5. 前記酸化亜鉛粒子分散体は、化粧料原料に用いられる
    ことを特徴とする請求項又はに記載の酸化亜鉛粒子分散体の製造方法
  6. 請求項のいずれかに記載の酸化亜鉛粒子分散体の製造方法で得られた酸化亜鉛粒子分散体を原料に用いる
    ことを特徴とする化粧料の製造方法
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