JP6474131B2 - ベクトル合成型移相器およびベクトル合成型移相器の制御方法 - Google Patents
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Description
準ミリ波帯やミリ波帯の電波は指向性が強く、従来移動通信で使われている数GHz以下の無線信号のように回折した電波を利用した通信ができない。また、伝搬の際の減衰が大きいという課題がある。そこで、アンテナの指向性を高め、かつビームフォーミング技術を用いて無線通信装置のアンテナの放射パターンを制御し、メインビームを直接対象となるユーザや装置へ向けるよう制御する方法が検討されている。
無線通信装置の送信機から出力する電波の放射パターンを制御する方法の一つとして、複数のアンテナを並べたアレーアンテナを用いて、各々のアンテナ素子から送出される信号の位相を制御することによって放射パターンを変化させる方法が挙げられる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、移相量の設定誤差を減らした高精度なベクトル合成型移相器およびベクトル合成型移相器の制御方法を提供することを目的とする。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態におけるベクトル合成型移相器について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態におけるベクトル合成型移相器の構成を示すブロック図である。
また、2つのトランジスタMn1およびMn2がカスコード接続され、トランジスタMn1のソース端子にトランジスタMn3のドレイン端子が接続され、トランジスタMn3およびトランジスタMn2のソース端子が接地されている。
また、4つのトランジスタM11、M21、M31、M41のドレイン端子が負荷の一方および出力端子に接続され、負荷の他方がドレイン電圧源に接続される。
このベクトル合成型移相器では、トランジスタM12、M22、M32、M42のゲート端子へ、直列キャパシタC1、C2、C3、C4を介して0度、180度、90度、270度の位相差をもつ所望信号が入力される。
また、トランジスタM11およびM23のゲート端子、トランジスタM21およびM13のゲート端子、トランジスタM31およびM43のゲート端子、トランジスタM41およびM33のゲート端子それぞれに対して、0から360度の範囲の所望の通過位相値を得るために、合成するベクトルを選択するための制御電圧Vc1i(第1の制御電圧)、/Vc1i(第2の制御電圧)、Vc1q(第3の制御電圧)、/Vc1q(第4の制御電圧)が入力される。例えば、制御電圧Vc1i、/Vc1i、Vc1q、/Vc1qが入力され、0度、180度、90度、270度のうち2つのベクトル信号が選択され、0から360度の範囲の所望の通過位相値を得るために、選択されたベクトル信号が合成される(図9参照)。
また、トランジスタM12およびM22のゲート端子、トランジスタM32およびM42のゲート端子それぞれに対して、出力信号の振幅を調整するための制御電圧Vc2i(第5の制御電圧)、Vc2q(第6の制御電圧)が入力される。例えば、制御電圧Vc2i、Vc2qが入力され、0度、180度、90度、270度のうちの選択された2つのベクトル信号の振幅が調整され、合成されたベクトル信号の振幅が調整される。
本実施形態におけるベクトル合成型移相器はベクトルの組合せを切り替える際、抑圧したいベクトル信号が増幅されるカスコード増幅器の通過利得を大きく減衰させることで高精度な位相設定を実現する。
図7(a)は、図5で示した従来のベクトル合成型移相器における通過させたい信号(D)の通過利得と抑圧したい信号(U)の通過利得をシミュレーションした結果である。
一方、図7(b)は、本実施形態におけるベクトル合成型移相器における通過させたい信号の通過利得と抑圧したい信号の通過利得をシミュレーションした結果である。
図7(b)に示すように、本実施形態におけるベクトル合成型移相器は10GHzにおいてD/U比で55dBを得ている。従来のベクトル合成型移相器のD/U比は、図7(a)に示すように、10GHzにおいて47dBであり、本実施形態におけるベクトル合成型移相器では8dB改善していることが分かる。
これにより、抑圧したいベクトルの信号の漏えい成分を低減し、設定したい移相量に誤差を減らすことができる。すなわち、本実施形態のベクトル合成型移相器によれば、無線周波数帯域におけるベクトル合成型移相器において抑圧したいベクトルの信号の漏えい成分を低減することにより、移相量の設定誤差を減らした高精度なベクトル合成型移相器およびベクトル合成型移相器の制御方法を提供することができる。
以下、第2実施形態におけるベクトル合成型移相器について、図面を用いて説明する。
図2は、本発明の第2実施形態におけるベクトル合成型移相器の構成を示すブロック図である。
本実施形態のベクトル合成型移相器は、トランジスタM12とM22およびM32とM42のゲート端子の間にそれぞれトランジスタM14、M34のドレインおよびソース端子を接続している。このトランジスタM14、M34のゲート端子はある固定電圧Vfix(第7の制御電圧)に接続される。
ここで、Vfix≒Vc2i(或いはVc2q)の場合、トランジスタM14、M34のドレイン―ソース間抵抗値は大きくなり、入力信号から見て高インピーダンスとなり、信号はあまり減衰せずに出力される。一方Vfix>Vc2i(或いはVc2q)の場合、トランジスタM14、M34のドレイン―ソース間抵抗値は小さくなり、0度と180度の入力信号および90度と270度の入力信号がそれぞれ接続された状態になり、逆位相であるため打ち消し合うため、信号が減衰されて出力される。
また、図6で示した従来のベクトル合成型移相器も同様にトランジスタM1、M2のゲート電圧で通過利得を制御しており、周波数が高くなるとゲート電圧を0Vにしてもゲート―ドレイン間容量の影響で大きく減衰できずに通過してしまうという課題がある。
よって、従来のベクトル合成型移相器では、図4に示すように、特に0°、90°、180°、270°といった1つの経路のみを通過させて得られる位相の値において、他の1経路からの漏えいの影響により位相設定ができない場合がある。
図8(a)は図5で示した従来のベクトル合成型移相器の回路における0度のベクトル信号の通過利得と制御電圧Vc2iに対する変化をシミュレーションした結果である。入力は図5中のI+として入力し、出力は図中の出力から理想DCブロックを介して計算した結果である。
一方、図8(b)は図2で示した本実施形態のベクトル合成型移相器における0度のベクトル信号の通過利得と制御電圧Vc2iに対する変化をシミュレーションした結果である。Vfixは1Vとし、周波数は10GHzとした。
通過時(Vc2i=1.0V)、減衰時(Vc2i=0V)をON/OFF比として比較すると、従来のベクトル合成型移相器は図8(a)に示すように35dBであるのに対し、本実施形態のベクトル合成型移相器は図8(b)に示すように43dBと、8dB改善していることが分かる。
これにより、抑圧したいベクトルの信号の漏えい成分を低減し、設定したい移相量に誤差を減らすことができる。すなわち、本実施形態のベクトル合成型移相器によれば、無線周波数帯域におけるベクトル合成型移相器において抑圧したいベクトルの信号の漏えい成分を低減することにより、移相量の設定誤差を減らした高精度なベクトル合成型移相器およびベクトル合成型移相器の制御方法を提供することができる。
以下、第3実施形態におけるベクトル合成型移相器について説明する。
これにより、電圧Vfixの値が、
(Vc2i,Vc2qの最小値)<Vth<Vfix<(Vc2i,Vc2qの最大値)+Vth
との式で表される関係となるようにすることが容易となり、電圧Vfixを固定電圧にすることができる。
一方、Vthから最大ドレイン電圧(0.18um CMOSプロセスなどでは1.8V程度)の範囲では相互コンダクタンスgmの値が上昇し、ゲート端子から入力した信号をドレイン電流として取り出すことができる。
本実施形態におけるベクトル合成型移相器においては、Vc2i,Vc2qはトランジスタM14、M34のドレインおよびソース電圧としても印加される。トランジスタM14、M34においてはドレイン―ソース間電位が同じであるため、直流としてのドレイン電流は流れないが、トランジスタM14、M34のゲート電圧である制御電圧Vfixとの制御電圧Vc2i,Vc2qの相対的な値の変化により、ドレイン―ソース間抵抗を変化させることで可変抵抗の機能をもたせることができる。
例えば、第1実施形態から第2実施形態において負荷を介してドレイン電源に接続したが、これは抵抗、インダクタの他、トランジスタで構成しても良い。また、電圧源ではなく定電流源で構成しても良い。
また、第1実施形態から第3実施形態において、トランジスタMは、NMOSトランジスタとしたが、これに限定されない。例えば、トランジスタMは、PMOSトランジスタでもよい。
Claims (4)
- nを1から4の整数として、トランジスタMn1、トランジスタMn2、トランジスタMn3 、トランジスタM 14 、トランジスタM 34 を有し、
前記トランジスタMn1およびMn2がカスコード接続され、前記トランジスタMn1のソース端子に前記トランジスタMn3のドレイン端子が接続され、前記トランジスタMn3および前記トランジスタMn2のソース端子が接地され、
前記トランジスタM11、M21、M31、M41のドレイン端子が負荷の一方および出力端子に接続され、前記負荷の他方がドレイン電圧源に接続され、
前記トランジスタM 14 のドレインおよびソース端子が前記トランジスタM 12 およびM 22 の各ゲート端子の間に接続され、
前記トランジスタM 34 のドレインおよびソース端子が前記トランジスタM 32 およびM 42 の各ゲート端子の間に接続されるベクトル合成型移相器であって、
前記トランジスタM12、M22、M32、M42のゲート端子それぞれに対して、直列キャパシタC1、C2、C3、C4を介して0度、180度、90度、270度の位相差をもつ所望信号が入力され、
前記トランジスタM11およびM23のゲート端子、前記トランジスタM21およびM13のゲート端子、前記トランジスタM31およびM43のゲート端子、前記トランジスタM41およびM33のゲート端子それぞれに対して、合成するベクトルを選択するための第1の制御電圧、前記第1の制御電圧と反転した第2の制御電圧、第3の制御電圧、前記第3の制御電圧と反転した第4の制御電圧が入力され、
前記トランジスタM12およびM22のゲート端子、前記トランジスタM32およびM42のゲート端子それぞれに対して、出力信号の振幅を調整するための第5の制御電圧、第6の制御電圧が入力され、
前記トランジスタM 14 およびM 34 のゲート端子それぞれに対して、固定電圧である第7の制御電圧が入力されるベクトル合成型移相器。 - 前記トランジスタM12、M22、M32、M42、M14、M34のゲート長は、前記トランジスタM12、M22、M32、M42、M14、M34のしきい値電圧が同じとなるゲート長である請求項1に記載のベクトル合成型移相器。
- nを1から4の整数として、トランジスタMn1、トランジスタMn2、トランジスタMn3 、トランジスタM14 、トランジスタM34を有し、
前記トランジスタMn1およびMn2がカスコード接続され、前記トランジスタMn1のソース端子に前記トランジスタMn3のドレイン端子が接続され、前記トランジスタMn3および前記トランジスタMn2のソース端子が接地され、
前記トランジスタM11、M21、M31、M41のドレイン端子が負荷の一方および出力端子に接続され、前記負荷の他方がドレイン電圧源に接続され、
前記トランジスタM 14 のドレインおよびソース端子が前記トランジスタM 12 およびM 22 の各ゲート端子の間に接続され、
前記トランジスタM 34 のドレインおよびソース端子が前記トランジスタM 32 およびM 42 の各ゲート端子の間に接続されるベクトル合成型移相器の制御方法であって、
前記トランジスタM12、M22、M32、M42のゲート端子それぞれに対して、直列キャパシタC1、C2、C3、C4を介して0度、180度、90度、270度の位相差をもつ所望信号を入力し、
前記トランジスタM11およびM23のゲート端子、前記トランジスタM21およびM13のゲート端子、前記トランジスタM31およびM43のゲート端子、前記トランジスタM41およびM33のゲート端子それぞれに対して、合成するベクトルを選択するための第1の制御電圧、前記第1の制御電圧と反転した第2の制御電圧、第3の制御電圧、前記第3の制御電圧と反転した第4の制御電圧を入力し、
前記トランジスタM12およびM22のゲート端子、前記トランジスタM32およびM42のゲート端子それぞれに対して、出力信号の振幅を調整するための第5の制御電圧、第6の制御電圧を入力し、
前記トランジスタM14およびM34のゲート端子それぞれに対して、固定電圧である第7の制御電圧を入力するベクトル合成型移相器の制御方法。 - 前記トランジスタM12、M22、M32、M42、M14、M34のゲート長は、前記トランジスタM12、M22、M32、M42、M14、M34のしきい値電圧が同じとなるゲート長である請求項3に記載のベクトル合成型移相器の制御方法。
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