JP6472243B2 - ゴルフボール用樹脂組成物およびゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボール用樹脂組成物およびこのゴルフボール用樹脂組成物を用いたゴルフボールに関する。
ゴルフボールのカバーや中間層などを構成する樹脂成分として、アイオノマー樹脂やポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂が使用されている。アイオノマー樹脂は、高剛性であり、ゴルフボールの構成部材として使用すると、飛距離の大きいゴルフボールが得られる。そのため、アイオノマー樹脂は、ゴルフボールを構成する中間層やカバーの材料として広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、ゴルフボールの構成部材に、樹脂成分に加えて、有機短繊維、金属、粘土鉱物などの充填材を配合してゴルフボールの性能を改善することが提案されている。例えば、特許文献3には、コアと前記コアを取り巻く外層部を有するゴルフボールであって、前記外層部が樹脂マトリックス中にカチオン処理された層状珪酸塩を含有する樹脂組成物からなるゴルフボールが記載されている(特許文献3(請求項1)参照)。特許文献4には、コア、このコアを包むバリア層、および、このバリア層を包むカバーを具備するゴルフボールにおいて、上記バリア層は上記カバーより小さな水蒸気透過率を有し、上記バリア層は、合成ゴム、天然ゴム、ポリオレフィン、スチレンポリマー、または単一サイト触媒ポリマーからなるバインダ中に、マイクロ粒子を分散させた熱可塑性または熱硬化性配合物からなるゴルフボールが記載されている(特許文献4(請求項1,4,5)参照)。
特開2011−087958号公報 特開2013−208505号公報 特開2006−043447号公報 特開2005−46613号公報
前記充填材を配合した構成部材を備えたゴルフボールは、反発性が高くなるが、打球感が低下するという問題がある。すなわち、ゴルフボールの構成部材の剛性を高めて、反発性を高めると、打球感が低下する。そのため、従来のゴルフボール用樹脂組成物では、打球感と反発性とを両立することが困難であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ゴルフボールに優れた打球感と反発性とを付与するゴルフボール用材料、および、これを用いたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)炭素質フィラーとを混合してなり、前記(A)熱可塑性樹脂が、(a1)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物、および/または、(a2)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物を含有し、前記(B)炭素質フィラーが、表面に極性官能基を有し、平均短径0.1μm〜100μm、平均長径0.2μm〜300μm、平均アスペクト比2.0〜1000であることを特徴とする。
本発明によれば、優れた打球感と反発性とを有するゴルフボールが得られる。
アイオノマー樹脂と炭素質フィラーとの混合状態を示す図である。 本発明の一実施態様に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。 曲げ角度と曲げ剛性との関係を示す図である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)炭素質フィラーとを混合することにより得られるゴルフボール用樹脂組成物である。そして、前記(A)熱可塑性樹脂が、(a1)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物、および/または、(a2)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物を含有し、前記(B)炭素質フィラーが、表面に極性官能基を有し、平均短径0.1μm〜100μm、平均長径0.2μm〜300μm、平均アスペクト比2.0〜1000、平均厚さが0.3nm〜50nmである。
前記(B)炭素質フィラーを配合することにより、ゴルフボール樹脂組成物の柔軟性を維持したまま、反発性を向上できる理由は以下のように考えられる。図1は、アイオノマー樹脂と炭素質フィラーとの混合状態を示す図である。図1に示すように、アイオノマー樹脂は、近接する分子鎖のカルボキシ基が金属イオン(図1ではMgイオン)により架橋されている。このアイオノマー樹脂に、極性官能基(図1ではカルボキシ基)を有する炭素質フィラーを配合すると、炭素質フィラーの極性官能基と、アイオノマー樹脂の分子中のカルボキシ基とが、金属イオンを介したイオン結合を形成する。これにより、複数の分子鎖が炭素質フィラーによって架橋されることとなり、ゴルフボール樹脂組成物の反発性が向上する。なお、図1ではイオン結合の態様を記載したが、炭素フィラーが有する極性官能基の種類によって、共有結合や水素結合なども形成し得る。
また、前記(B)炭素フィラーの形状は平板状であるため、構成部材を形成する際に、構成部材の円周方向に沿うように配向しやすい。すなわち、構成部材の半径方向には、炭素フィラーと樹脂との積層構造が形成される。そのため、半径方向への圧縮に対しては、炭素フィラー間に存在する樹脂が容易に変形するため、柔軟性が維持される。
[(A)熱可塑性樹脂]
前記(a1)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物(以下、「(a1)二元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。)、および/または、(a2)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物(以下、「(a2)三元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。)は、共重合体が有するカルボキシ基を金属イオンにより中和したアイオノマー樹脂である。
前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙げられ、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜8個α,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸またはマレイン酸のアルキルエステルがより好ましく、特にアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。エステルを構成するアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステルなどが挙げられる。
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。前記(a2)三元系アイオノマー樹脂としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂を構成する二元共重合体、および、(a2)三元系アイオノマー樹脂を構成する三元共重合体は、共重合体中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、4質量%以上が好ましく、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、4質量%以上であれば二元系アイオノマー樹脂がより高反発となり、30質量%以下であれば二元系アイオノマー樹脂の柔軟性が向上する。
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、および/または、(a2)三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、および、(a2)三元系アイオノマー樹脂は、Na、Mg2+、Ca2+、および、Zn2+よりなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンにより中和されていることが好ましい。
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、および、(a2)三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、15モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、100モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。一方、中和度が100モル%以下であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好になる(成形性が良い)。なお、前記二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。
アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×共重合体中の中和されているカルボキシル基のモル数/共重合体中のカルボキシル基の総モル数
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、および、(a2)三元系アイオノマー樹脂は、予め中和されたアイオノマー樹脂を用いてもよいし、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、および/または、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体と、後述する(E)金属化合物とを混合して用いてもよい。また、(a1)二元系アイオノマー樹脂および(a2)三元系アイオノマー樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(a1)二元系アイオノマー樹脂としては、ハイミラン(登録商標)1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM7311(Mg)、AM7329(Zn)(三井・デュポンポリケミカル社製);サーリン(登録商標)8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)(デュポン社製);アイオテック(登録商標)8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。
前記(a2)三元系アイオノマー樹脂としては、ハイミランAM7327(Zn)、1855(Zn)、1856(Na)、AM7331(Na)(三井・デュポンポリケミカル社製);サーリン6320(Mg)、8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)(デュポン社製);アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。
前記二元共重合体としては、ニュクレル(登録商標)N1050H、N2050H、N1110H、N0200H(三井・デュポンポリケミカル社製);プリマコール(登録商標)5980I(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。前記三元共重合体としては、ニュクレルAN4318、AN4319(三井・デュポンポリケミカル社製)、プリマコールAT310、AT320(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。前記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記(A)熱可塑性樹脂は、前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、(a2)三元系アイオノマー樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。この場合、前記(A)熱可塑性樹脂中の(a1)二元系アイオノマー樹脂、および/または、(a2)三元系アイオノマー樹脂の合計含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。前記(A)熱可塑性樹脂として、前記(a1)二元系アイオノマー樹脂、および/または、(a2)三元系アイオノマー樹脂のみを含有することも好ましい。
前記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリジエン、熱可塑性ポリエーテルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
[(B)炭素質フィラー]
前記(B)炭素質フィラーの材料としては、天然グラファイト、人工グラファイト、炭素繊維、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、グラファイトが好ましく、特にグラフェン、グラファイト薄片が好ましい。なお、グラフェンとは、グラファイトの一原子層からなるシートである。
前記(B)炭素質フィラーは、その表面に極性官能基を有する。前記極性官能基としては、カルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、チオール基(−SH)、スルホン基(−SOH)、ホスホン基(−PO(OH))などが挙げられる。
前記(B)炭素質フィラーの単位質量当たりの極性官能基量は、0.3mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.5mmol/g以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上であり、5.0mmol/g以下が好ましく、より好ましくは3.0mmol/g以下、さらに好ましくは2.5mmol/g以下である。極性官能基量が0.3mmol/g以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、5.0mmol/g以下であればゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となる。なお、(B)炭素質フィラーの極性官能基量は、滴定あるいはX線光電子分光分析により測定できる。
前記(B)炭素質フィラーの平均短径は、0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、100μm以下、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。(B)炭素質フィラーの平均短径が0.1μm以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、100μm以下であればゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、かつ、柔軟性が良好となる。
前記(B)炭素質フィラーの平均長径は、0.2μm以上、より好ましくは3.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、300μm以下、より好ましくは280μm以下、さらに好ましくは250μm以下である。(B)炭素質フィラーの平均長径が0.2μm以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、300μm以下であればゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、かつ、柔軟性が良好となる。
前記(B)炭素質フィラーの平均アスペクト比は、2.0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10以上であり、1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは600以下である。前記(B)炭素質フィラーの平均アスペクト比が2.0以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、1000以下であればゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、かつ、柔軟性が良好となる。なお、平均アスペクト比とは、フィラーの平均長径と平均短径との比(平均長径/平均短径)である。
前記(B)炭素質フィラーの平均厚さは、0.3nm以上、より好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは1.0nm以上であり、50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。(B)炭素質フィラーの平均厚さが0.3nm以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、50nm以下であればゴルフボール用樹脂組成物の柔軟性が良好となる。
前記短径、長径、厚さは、粒子に外接する直方体の辺長で与えられるものである。すなわち、粒子に外接する直方体を考えたとき、最も長い軸を有する長軸を長径(長さ)、最も短い軸を有する短軸を厚さ(高さ)とし、この直方体の幅を短径(幅)とする。
前記(B)フィラーの配合量は、前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは25質量部以下である。前記(B)炭素質フィラーの配合量が、1質量部以上であればゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性がより向上し、30質量部以下であればゴルフボール用樹脂組成物の柔軟性が良好となる。
[(C)両性界面活性剤]
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、上記(A)成分と(B)成分に加えて、(C)両性界面活性剤を含有してもよい。(C)両性界面活性剤は、(a1)二元系アイオノマー樹脂および/または(a2)三元系アイオノマー樹脂のイオン会合体に取り込まれ、イオン会合体を微分散化してエチレン鎖の結晶化を阻害したり、イオン会合体による主鎖の拘束を弱めたりすると考えられる。これらの作用により、本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、分子鎖の運動性が高くなり、柔軟性を維持したまま反発性が高くなる。
前記(C)両性界面活性剤は、分子内にカチオン性部位とアニオン性部位とを含有し、水にとけて表面張力を低下させる作用を有するものであれば特に限定されない。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン型、アミドベタイン型、イミダゾリウムベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型などのベタイン型両性界面活性剤;アミドアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩;アルキルアミンオキシド;β−アラニン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤;スルホベタイン型両性界面活性剤;ホスホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。(C)両性界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤の具体例としては、ジメチルラウリルベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン(オレイルベタイン)、ジメチルオレイルベタイン、ジメチルステアリルベタイン、ステアリルジヒドロキシメチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジヒドロキシメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ミリスチルジヒドロキシメチルベタイン、ベヘニルジヒドロキシメチルベタイン、パルミチルジヒドロキシエチルベタイン、オレイルジヒドロキシメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドアルキルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシアルキルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドアルキルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドジアルキルヒドロキシアルキルスルホベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、N−アルキル−β−イミノジプロピオン酸塩、アルキルジアミノアルキルグリシン、アルキルポリアミノアルキルグリシン、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、N,N−ジメチルオクチルアミンオキサイド、N,N-ジメチルラウリルアミンオキサイド、N,N-ジメチルステアリルアミンオキサイドなどを挙げることができる。
(C)前記両性界面活性剤の配合量は、(a1)二元系アイオノマー樹脂および(a2)三元系アイオノマー樹脂の合計100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、90質量部以下が好ましく、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。(C)両性界面活性剤の配合量が前記範囲内であれば、界面活性剤分子がアイオノマー樹脂のイオン会合体に取り込まれやすくなり、分子鎖の運動性が高くなり、柔軟性を維持したまま反発性が高くなるからである。
[(D)脂肪酸]
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、さらに(D)脂肪酸を含有してもよい。(D)脂肪酸を含有することにより、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が向上し、薄い層の形成が容易となる。前記(D)脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、あるいは、不飽和脂肪酸のいずれも使用できる。また、前記(D)脂肪酸は、直鎖脂肪酸、分岐鎖を有する脂肪酸のいずれであってもよい。前記(D)脂肪酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(D)脂肪酸の炭素数は、4以上が好ましく、より好ましくは12以上、さらに好ましくは16以上であり、30以下が好ましく、より好ましくは28以下、さらに好ましくは26以下である。
前記飽和脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸などが挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸などが挙げられる。
前記(D)脂肪酸の配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上であり、150質量部以下が好ましく、より好ましくは120質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。(D)脂肪酸の配合量が60質量部以上であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性がより向上し、120質量以下であれば脂肪酸のブリードアウトを抑制できる。
前記(D)脂肪酸は、脂肪酸の塩を使用してもよい。脂肪酸塩のカチオン成分としては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、および、有機陽イオンを挙げることができる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの二価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
[(E)金属化合物]
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、さらに(E)金属化合物を含有してもよい。(E)金属化合物を含有することにより、(a1)二元系アイオノマー樹脂、(a2)三元系アイオノマー樹脂の中和度を一層高めることができ、ゴルフボール用樹脂組成物の反発性がより向上する。
前記(E)金属化合物としては、カルボキシル基を中和することができるものであれば、特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。
また、前記(E)金属化合物として、塩基性脂肪酸金属塩を使用することもできる。塩基性脂肪酸金属塩としては、塩基性ラウリン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸カルシウム、塩基性ラウリン酸亜鉛、塩基性ミリスチン酸マグネシウム、塩基性ミリスチン酸カルシウム、塩基性ミリスチン酸亜鉛、塩基性パルミチン酸マグネシウム、塩基性パルミチン酸カルシウム、塩基性パルミチン酸亜鉛、塩基性オレイン酸マグネシウム、塩基性オレイン酸カルシウム、塩基性オレイン酸亜鉛、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ステアリン酸カルシウム、塩基性ステアリン酸亜鉛、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸カルシウム、塩基性ベヘニン酸亜鉛などが挙げられる。
(E)金属化合物の配合量は、(a1)二元系アイオノマー樹脂、(a2)三元系アイオノマー樹脂の中和度や後述する当量比に応じて適宜調整すればよい。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(a1)成分、(a2)成分、(C)成分および(D)成分が有するカルボキシ基に対するゴルフボール用樹脂組成物中の金属イオンおよび(C)成分のアミノ基の当量比((金属イオンの当量+アミノ基の当量)/カルボキシ基の当量))が、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.65以上、さらに好ましくは0.8以上であり、2.0以下が好ましく、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.4以下である。前記当量比が0.5以上であればゴルフボール用樹脂組成物の反発性がより向上し、2.0以下であればゴルフボール用樹脂組成物の柔軟性が良好となる。
なお、前記カルボキシ基の当量は、(a1)成分、(a2)成分、(C)成分および(D)成分が有するカルボキシ基の総モル数である。前記金属イオンの当量は、(a1)成分、(a2)成分、(D)成分および(E)金属化合物が有する金属イオンのモル数とその金属イオンの価数との積の合計である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、さらに、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などの添加剤を含有することができる。前記重量調整剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。
[物性]
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)が、500kgf/cm(49.0MPa)以上が好ましく、より好ましくは600kgf/cm(58.8MPa)以上、さらに好ましくは800kgf/cm(78.5MPa)以上であり、10,000kgf/cm(980.7MPa)以下が好ましく、より好ましくは8,000kgf/cm(784.5MPa)以下、さらに好ましくは6,000kgf/cm(588.4MPa)以下である。前記M3−12が、500kgf/cm以上であれば、打撃時のボール変形が小さくなり、打撃のエネルギーを効率よくボールの加速に変換できるため、ゴルフボールが高反発となる。また、前記M3−12が、10,000kgf/cm以下であれば、柔軟性が良好となり、打撃時の衝撃を抑制でき、打球感が良好なゴルフボールが得られる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性(M24−30)が、450kgf/cm(44.1MPa)以上が好ましく、より好ましくは500kgf/cm(49.0MPa)以上、さらに好ましくは750kgf/cm(73.6MPa)以上であり、8000kgf/cm(784.5MPa)以下が好ましく、より好ましくは5000kgf/cm(490.4MPa)以下、さらに好ましくは3000kgf/cm(294.2MPa)以下である。前記M24−30が、250kgf/cm以上であれば、打撃時のボール変形が小さく、打撃のエネルギーを効率よくボールの加速に変換できるため、ゴルフボールが高反発となる。また、前記M24−30が、8000kgf/cm以下であれば、柔軟性が良好となり、打球時の衝撃を抑制でき、打球感が良好なゴルフボールが得られる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、曲げ角度24°〜30°以下の曲げ剛性(M24−30)に対する曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性(M3−12)の比(M3−12/M24−30)は、0.80以上が好ましく、より好ましくは0.90以上、さらに好ましくは1.00以上であり、2.00以下が好ましく、より好ましくは1.70以下、さらに好ましくは1.50以下である。前記比(M3−12/M24−30)が、上記範囲内であれば、打撃によりゴルフボールが変形する際、前記ゴルフボール用樹脂組成物から形成された構成部材の曲げ剛性の変化が小さくなる。よって、打撃のエネルギーをより効率良くボールの加速に変換できる。
なお、前記比(M3−12/M24−30)を前記範囲内に制御することでゴルフボールの反発性が向上する理由は以下のように考えられる。一般に、樹脂材料は、曲げ角度が大きくなるほど、曲げ剛性が低下する傾向がある。つまり、曲げ角度3°〜12°の変形(ゴルフボールを打撃したときの初期変形量)における曲げ剛性と、曲げ角度24°〜30°の変形(ゴルフボールが大きく歪んだときの変形量)における曲げ剛性との比(M3−12/M24−30)が大きくなる傾向がある。特に、フィラーを配合した樹脂材料では、この傾向が顕著になる(ペイン効果)。そのため、従来の樹脂材料では、打撃開始直後には大きな曲げ剛性を有するものの、打撃途中においてゴルフボールが大きく歪んだ状態では曲げ剛性が小さくなってしまう。これに対して、前記比(M3−12/M24−30)が上記範囲内であれば、打撃開始から終了まで大きな曲げ剛性を維持できることとなり、ゴルフボールの反発性を向上させることができる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物は、スラブ硬度が、ショアD硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは65以下である。スラブ硬度が、前記範囲内であれば、ゴルフボールの打球感がより良好となる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.3g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.5g/10min以上、さらに好ましくは1.0g/10min以上であり、20g/10min以下が好ましく、より好ましくは15g/10min以下、さらに好ましくは10g/10min以下である。メルトフローレイトが0.3g/10min以上であれば流動性が良好となり、薄い層の成形が可能となり、20g/10min以下であれば得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性、スラブ硬度、メルトフローレイトは、各成分の種類、配合比や、前記当量比などを調整することで制御できる。
[製法]
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、例えば、(A)熱可塑性樹脂、(B)炭素質フィラー、および必要に応じて(C)両性界面活性剤、(D)脂肪酸、(E)金属化合物並びにその他の添加剤などを、溶融混合することにより得られる。溶融混合は、ニーダー、押出機(一軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機など)を使用することができる。
(A)熱可塑性樹脂および(B)炭素質フィラーを混合する際の材料温度は、150℃以上が好ましく、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上である、220℃以下が好ましい。混合時の材料温度を180℃以上とすることで、(A)熱可塑性樹脂への(B)炭素質フィラーの混練が容易となる。
各原料の混合手順は特に限定されないが、(B)炭素質フィラー以外の成分を材料温度200℃以上で混合した後、この混合物に(B)炭素質フィラーを材料温度200℃未満で混合することが好ましい。(B)炭素質フィラー以外の成分については、200℃以上の温度で混合することで、より混練が容易となる。一方、(B)炭素フィラーは、材料温度を高くし過ぎると表面官能基が脱離する傾向があるため、混合時の材料温度を200℃未満(好ましくは190℃以下)とすることが好ましい。
[ゴルフボール]
本発明のゴルフボールは、前記ゴルフボール用樹脂組成物から形成された構成部材を有する。ゴルフボールの構造は、特に限定されず、例えば、単層コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆する一以上の中間層と、前記中間層を被覆するカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボール、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボールなど)などが挙げられる。
前記ゴルフボール用樹脂組成物から形成される部材としては、コア、中間層、カバーのいずれでもよいが、中間層が好ましい。なお、前記ゴルフボールは、前記ゴルフボール用樹脂組成物から成形された構成部材以外の部分は、従来公知の材料を用いることができる。
前記コアには、公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を用いることができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記基材ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩が好ましく、アクリル酸の金属塩またはメタクリル酸の金属塩がより好ましい。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部以下が好ましい。前記共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を使用する場合、金属化合物(例えば、酸化マグネシウム)を配合することが好ましい。架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、有機硫黄化合物を含有してもよい。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類、チオフェノール類、チオナフトール類を好適に使用することができる。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記コア用ゴム組成物は、さらにカルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。カルボン酸および/またはその塩としては、炭素数が1〜30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸(安息香酸など)のいずれも使用できる。カルボン酸および/またはその塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下である。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、有機硫黄化合物に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウムなどの重量調整剤、老化防止剤、色粉などを適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間と2段階加熱することが好ましい。
中間層材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂;スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ゴム組成物の硬化物などが挙げられる。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、加圧成形する方法、または、中間層用組成物を直接球体上に射出成形して球体を包み込む方法などを挙げることができる。
中間層用組成物を球体上に射出成形して中間層を成形する場合、成形用上下金型としては、半球状キャビティを有しているものを使用することが好ましい。射出成形による中間層の成形は、ホールドピンを突き出し、被覆球体を投入してホールドさせた後、加熱溶融された中間層用組成物を注入して、冷却することにより中間層を成形することができる。
圧縮成形法により中間層を成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。中間層用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いて中間層を成形する方法としては、例えば、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して中間層に成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する中間層を成形できる。
なお、成形温度とは、型締めから型開きの間に、下型の凹部の表面が到達する最高温度を意味する。また組成物の流動開始温度は、島津製作所の「フローテスター CFT−500」を用いて、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を、プランジャー面積:1cm、DIE LENGTH:1mm、DIE DIA:1mm、荷重:588.399N、開始温度:30℃、昇温速度:3℃/分の条件で測定することができる。
前記中間層の厚みは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.4mm以下、さらに好ましくは2.3mm以下である。複数の中間層の場合は、複数の中間層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
カバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレンなどが挙げられ、ポリウレタン、アイオノマー樹脂が好ましい。
前記カバー材料の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポンポリケミカル(株)から商品名「ハイミラン(Himilan)(登録商標)」で市販されている」アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーまたは商品名「プリマロイ」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
カバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する態様、あるいは、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する態様(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)を挙げることができる。カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、マークを形成することもできる。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。
カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
カバーが成形されたゴルフボールは、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールの縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.8mm以上であり、5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を5.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
図2は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、この球状コア2の外側に配設された中間層3と、この中間層3の外側に配設されたカバー4とを有する。前記カバー4の表面には、多数のディンプル41が形成されている。このカバー4の表面のうち、ディンプル41以外の部分は、ランド42である。そして、前記中間層3が前記ゴルフボール用樹脂組成物から形成されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)スラブ硬度(ショアD硬度)
ゴルフボール用樹脂組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)フィラー形状
フィラーの個数平均短径、個数平均長径、個数平均厚さは、走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、XL30ESEM)を用いて、50個以上の粒子について短径、長径、厚さを測定し、これらの平均値を求めた。
(3)曲げ剛性(kgf/cm
ゴルフボール用樹脂組成物を用いて、熱プレス成形(190℃、10分間)により、厚み約2mm、幅20mm、長さ100mmのテストピースを作製した。このテストピースを、温度23±2℃、相対湿度50±5%で、14日間保存した。作製したテストピースについて、オルゼン剛性度試験機(東洋精機製作所製)を用いて所定の曲げ角度における荷重目盛を測定し、横軸に曲げ角度(°)、縦軸に荷重目盛の読みをプロットし、その一次近似曲線の傾きを求めた。測定条件は、温度23±2℃、相対湿度50±5%、曲げ速度60°/min、支点間距離50mmとした。曲げ剛性は、前記傾きの値に8.7078を乗じ、試験片の厚み(cm)の三乗で除することで算出した。
なお、曲げ角度3°〜12°の曲げ剛性は曲げ角度3°、6°、9°および12°における荷重目盛、曲げ角度24°〜30°の曲げ剛性は曲げ角度24°、27°および30℃における荷重目盛を測定した。
(4)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
(5)反発係数
ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。
(6)打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、ドライバーを用いた実打テストを行って、各人の打撃時のフィーリングを下記基準で評価させた。10人の評価のうち、最も多い評価をそのゴルフボールの打球感とした。
評価基準
優:衝撃が少なくてフィーリングが良い。
良:普通。
劣:衝撃が大きくてフィーリングが悪い。
[ゴルフボールの作製]
(1)球状コアの作製
表1に示す配合のコア用ゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより、直径39.8mmの球状コアを得た。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(シス結合含有率:95質量%)」
アクリル酸亜鉛:シグマアルドリッチ社製
ジクミルパーオキサイド:東京化成工業社製
チオナフトール:東京化成工業社製
(2)中間層の作製
表2、3に示した配合となるように、(A)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分をニーダーに入れて、220℃、15分間混練した。その後、(B)成分またはその他のフィラー成分を投入し、さらに180℃、10分間混練してゴルフボール用樹脂組成物を調製し、押出機を用いてペレット化した。得られたゴルフボール用樹脂組成物のペレットをハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。前記球状コアを、得られた2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形により、厚み1mmの中間層を成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間15分の条件で行った。
表2、表3で用いた材料は下記のとおりである。
二元共重合体1:エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸の含有率:15質量%、MFR(190℃×2.16kg荷重):60g/10min、曲げ剛性:81MPa)
二元共重合体2:エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸の含有率:20質量%、MFR(190℃×2.16kg荷重):60g/10min)
三元共重合体1:エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチル共重合体(メタクリル酸含有率:8質量%)
Rap dGO:ニシナマテリアル社製、酸化グラフェン(平均短径:2μm、平均長径:20μm、平均アスペクト比:10、平均厚さ:5nm、官能基種類:カルボキシ基、ヒドロキシ基、官能基量:1.2mmol/g)
iGurafen(登録商標)−Σ:アイテック社製、表面処理グラフェン(平均短径:10μm、平均長径:100μm、平均アスペクト比:10、平均厚さ:10nm、官能基種類:3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基、官能基量:0.1mmol/g)
カルボキシ基含有グラフェン:East High Tech Limited社製(平均短径:20μm、平均長径:200μm、平均アスペクト比:10、平均厚さ:1nm、官能基種類:カルボキシ基、官能基量:1.1mmol/g)
ヒドロキシ基含有グラフェン:East High Tech Limited社製(平均短径:1μm、平均長径:5μm、平均アスペクト比:5、平均厚さ:1nm、官能基種類:ヒドロキシ基、官能基量:2.3mmol/g)
アミノ基含有グラフェン:East High Tech Limited社製(平均短径:1μm、平均長径:5μm、平均アスペクト比:5、平均厚さ:1nm、官能基種類:アミノ基、官能基量:2.4mmol/g)
iGurafen:アイテック社製、グラフェン(平均短径:10μm、平均長径:100μm、平均アスペクト比:10、平均厚さ:10nm)
アルミニウム粉末:シグマアルドリッチジャパン社製(平均粒径110μm)
中性アルミナ粉末:和光純薬工業社製(粒径32〜63μm)
シリカ粉末:日産化学工業社製、スノーテックOXS(粒径4〜6nm)
スルホン酸修飾フラーレン:公知の方法に従って製造(フラーレン1分子当り、スルホン基4〜5個で修飾したもの)
グラファイト粉末:伊藤黒鉛工業社製、SG−BH8(平均短径8μm、平均長径15μm、平均アスペクト比1.9)
オレイルベタイン:ルーブリゾール社製、「Chembetaine OL」(オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン)の精製品(水分と塩分を除去)
オレイン酸:東京化成工業社製
水酸化マグネシウム:和光純薬工業社製
水酸化ナトリウム:和光純薬工業製
酸化亜鉛:シグマアルドリッチ社製
水酸化カルシウム:東京化成工業社製
(3)カバーの作製
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社製、エラストラン(登録商標) XNY85A)100質量部に、酸化チタン(石原産業社製、A220)4質量部を加えて、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物をそれぞれ調製した。カバー用組成物の押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
カバー成形時には、ホールドピンを突き出し、中間層が形成された球体を投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に260℃に加熱したカバー用組成物を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。
ゴルフボールの評価結果を表2、3に示した。また、ゴルフボールNo.1、2について、曲げ角度と曲げ剛性との関係を図3に示した。ゴルフボールNo.1、8〜24は、中間層が、(a1)二元系アイオノマー樹脂または(a2)三元系アイオノマー樹脂と、(B)炭素質フィラーとを含有する樹脂組成物から形成されている場合である。これらのゴルフボールは、フィラーを含まない樹脂組成物を用いたゴルフボールNo.25に比べて反発性が向上しており、かつ打球感にも優れている。ゴルフボールNo.2〜7は、中間層が、他のフィラーを含有する樹脂組成物から形成されている場合である。これらのゴルフボールは、ゴルフボールNo.25に比べて反発性の向上効果が小さく、また、打球感が劣る。
1:ゴルフボール、2:球状コア、3:中間層、4:カバー、41:ディンプル、42:ランド、10:アイオノマー樹脂、11:炭素質フィラー

Claims (14)

  1. (A)熱可塑性樹脂と、(B)炭素質フィラーとを混合してなるゴルフボール用樹脂組成物であって、
    前記(A)熱可塑性樹脂が、(a1)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物、および/または、(a2)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物を含有し、
    前記(B)炭素質フィラーが、グラフェンおよび/またはグラファイト薄片であり、
    前記(B)炭素質フィラーが、表面に極性官能基を有し、平均短径0.1μm〜100μm、平均長径0.2μm〜300μm、平均アスペクト比2.0〜1000、平均厚さが0.3nm〜50nmであることを特徴とするゴルフボール用樹脂組成物。
  2. 前記(B)炭素質フィラーの単位質量当たりの極性官能基量は、0.3mmol/g〜5.0mmol/gである請求項1に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  3. 前記(B)炭素質フィラーがその表面に有する極性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、スルホン基、および、ホスホン基よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  4. 前記(B)炭素質フィラーの添加量が、前記(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部〜30質量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  5. 前記(A)熱可塑性樹脂と前記(B)炭素質フィラーとを、材料温度200℃未満で混練したものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  6. 前記(a1)二元共重合体の金属イオン中和物、および、(a2)三元共重合体の金属イオン中和物が、Na、Mg2+、Ca2+、および、Zn2+よりなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンにより中和されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  7. 前記(a1)二元共重合体の金属イオン中和物を構成する二元共重合体、および、(a2)三元共重合体の金属イオン中和物を構成する三元共重合体は、共重合体中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、4質量%〜50質量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  8. 前記(a1)二元共重合体の金属イオン中和物、および、(a2)三元共重合体の金属イオン中和物の中和度が、15%〜100%である請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  9. スラブ硬度が、ショアD硬度で40〜75であり、
    曲げ角度3°〜12°における曲げ剛性(M3−12)が500kgf/cm〜10,000kgf/cm
    曲げ角度3°〜12°における曲げ剛性(M3−12)と曲げ角度24°〜30°における曲げ剛性(M24−30)との比(M3−12/M24−30)が0.80〜2.0である請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  10. 前記ゴルフボール用樹脂組成物は、前記(A)熱可塑性樹脂および前記(B)炭素質フィラーに加えて、(C)両性界面活性剤および/または(D)脂肪酸を混合してなるものである請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  11. 前記(C)両性界面活性剤が、ベタイン型両性界面活性剤、アミドアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸塩型両性界面活性剤、アルキルアミンオキシド型両性界面活性剤、β−アラニン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、および、ホスホベタイン型両性界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項10に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  12. 前記(D)脂肪酸が、ヘプタン酸、オクタン酸、ドデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、オクタコサン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、および、イコサン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項9または10に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物から形成された構成部材を有することを特徴とするゴルフボール。
  14. コアと、前記コアを被覆する少なくとも一層の中間層と、前記中間層を被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記中間層の少なくとも一層が、請求項1〜12のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。
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