以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.記録・再生システムについて
2.BDフォーマットについて
3.各装置の構成について
4.各装置の動作について
5.変形例
<<1.記録・再生システムについて>>
図1は、本技術の一実施形態に係る記録・再生システムの構成例を示す図である。
図1の記録・再生システムは、記録装置1、再生装置2、および表示装置3から構成される。再生装置2と表示装置3はHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)規格などの所定の規格のケーブル4を介して接続される。再生装置2と表示装置3が無線による通信を介して接続されるようにしてもよい。
記録装置1はコンテンツをディスク11に記録し、再生装置2はディスク11に記録されたコンテンツを再生する。記録装置1から再生装置2に対するコンテンツの提供はディスク11を用いて行われる。ディスク11は、例えばBD-ROM(Blu-ray(登録商標) Disc Read-Only)フォーマットでコンテンツが記録された光ディスクである。
ディスク11に対するコンテンツの記録がBD-R,-REなどの他のBDフォーマットで行われるようにしてもよい。また、記録装置1から再生装置2に対するコンテンツの提供が、フラッシュメモリを搭載したメモリカードなどの、光ディスク以外のリムーバブルメディアを用いて行われるようにしてもよい。
ディスク11がBD-ROMのディスクである場合、記録装置1はコンテンツのオーサーが使う装置となる。ここでは、記録装置1によってコンテンツが記録されたディスクが再生装置2に提供されるものとして説明するが、実際には、記録装置1によりコンテンツが記録されたマスター盤に基づいて複製されたディスクが再生装置2に提供されることになる。
記録装置1は、標準の輝度のディスプレイで表示可能なダイナミックレンジ(輝度範囲)のビデオであるSDR(Standard Dynamic Range)ビデオを含むコンテンツを生成する。標準の輝度のディスプレイの最大輝度は例えば100cd/m2(=100nit)である。また、記録装置1は、適宜、SDRビデオより広いダイナミックレンジを有するビデオであるHDR(High Dynamic Range)ビデオを含むコンテンツを生成する。
例えば、SDRビデオは、マスターとなるビデオのダイナミックレンジを圧縮することによって生成される。HDRビデオは、SDRビデオより広いダイナミックレンジを有するように、マスターとなるビデオのダイナミックレンジを調整するなどして生成される。HDRビデオの最大輝度は、例えば1000nitといったように標準の輝度より高い。
本技術を適用したBDフォーマットにおいては、HDRビデオを生成するためのHDR技術として、1つのMandatory HDR技術と複数のOption HDR技術が採用される。
Mandatory HDR技術は、BDフォーマットにおいて、HDR技術を採用する場合に必須となるHDR技術である。一方、Option HDR技術は、必須ではなく選択的に採用可能なHDR技術である。それぞれのHDR技術は、HDRビデオを生成するための信号処理が異なる。
以下、Mandatory HDR技術と、2つのOption HDR技術であるOption A HDR技術およびOption B HDR技術を用いる場合について説明する。Mandatory HDR技術を用いて生成されたHDRビデオはMandatory HDRビデオとなる。
また、Option A HDR技術を用いて生成されたHDRビデオはOption A HDRビデオとなり、Option B HDR技術を用いて生成されたHDRビデオはOption B HDRビデオとなる。Option A HDRビデオとOption B HDRビデオを区別する必要がない場合、適宜、まとめてOption HDRビデオという。
Mandatory HDRビデオは、Mandatory HDRビデオの再生機能を有するプレーヤでなければ再生することができず、Mandatory HDRビデオの表示機能を有するディスプレイでなければ表示することができない。
同様に、Option A HDRビデオは、Option A HDRビデオの再生機能を有するプレーヤでなければ再生することができず、Option A HDRビデオの表示機能を有するディスプレイでなければ表示することができない。Option B HDRビデオは、Option B HDRビデオの再生機能を有するプレーヤでなければ再生することができず、Option B HDRビデオの表示機能を有するディスプレイでなければ表示することができない。
再生装置2は、HDRビデオが記録されたディスク11の再生時、記録されているHDRビデオの種類、自身が再生可能なHDRビデオの種類、表示装置3が有するディスプレイが表示可能なHDRビデオの種類等を認識し、適切な処理を行う。
図2は、プレーヤ、ディスプレイ、BDの種類を示す図である。
HDR対応プレーヤは、HDRビデオの再生機能を搭載したプレーヤである。HDR対応プレーヤには、Mandatory HDR対応プレーヤ、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤ、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤ、およびMandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤがある。
Mandatory HDR対応プレーヤは、HDRビデオとしてはMandatory HDRビデオの再生のみに対応したプレーヤである。Mandatory/Option A HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオの再生とOption A HDRビデオの再生に対応したプレーヤである。Mandatory/Option B HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオの再生とOption B HDRビデオの再生に対応したプレーヤである。Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤは、全ての種類のHDRビデオの再生に対応したプレーヤである。
なお、HDRビデオの再生機能を搭載しないHDR非対応のプレーヤであっても、SDRビデオの再生機能は有している。
HDR対応ディスプレイは、HDRビデオの表示機能を搭載したディスプレイである。HDR対応ディスプレイには、Mandatory HDR対応ディスプレイ、Mandatory/Option A HDR対応ディスプレイ、Mandatory/Option B HDR対応ディスプレイ、およびMandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイがある。
Mandatory HDR対応ディスプレイは、HDRビデオとしてはMandatory HDRビデオの表示のみに対応したディスプレイである。Mandatory/Option A HDR対応ディスプレイは、Mandatory HDRビデオの表示とOption A HDRビデオの表示に対応したディスプレイである。Mandatory/Option B HDR対応ディスプレイは、Mandatory HDRビデオの表示とOption B HDRビデオの表示に対応したディスプレイである。Mandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイは、全ての種類のHDRビデオの表示に対応したディスプレイである。
なお、ディスプレイの表示性能についてはBDフォーマットでは規定しない。Mandatory HDRビデオの表示に対応しないで、Option HDRビデオの表示にのみ対応するディスプレイも考えられる。
HDRディスクは、HDRビデオを記録したBDである。HDRディスクには、Mandatory HDRディスク、Mandatory/Option A HDRディスク、Mandatory/Option B HDRディスク、およびMandatory/Option A/Option B HDRディスクがある。
Mandatory HDRディスクは、HDRビデオとしてはMandatory HDRビデオのみを記録したディスクである。Mandatory/Option A HDRディスクは、Mandatory HDRビデオとOption A HDRビデオを記録したディスクである。Mandatory/Option B HDRディスクは、Mandatory HDRビデオとOption B HDRビデオを記録したディスクである。Mandatory/Option A/Option B HDRディスクは、全ての種類のHDRビデオを記録したディスクである。
HDRディスクには、HDRビデオとともにSDRビデオが記録されることもある。
図3は、Mandatory HDR対応プレーヤが再生し、ディスプレイに表示させるHDRビデオの種類を示す図である。
図3においては、ディスクがMandatory/Option A/Option B HDRディスクである場合、およびディスプレイがMandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイである場合の図示を省略している。図4、図5においても同様である。
挿入されたBDがMandatory HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイには、Mandatory HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。プレーヤが、BDに記録されているOption A HDRビデオの再生に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。プレーヤが、BDに記録されているOption B HDRビデオの再生に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
図4は、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤが再生し、ディスプレイに表示させるHDRビデオの種類を示す図である。
挿入されたBDがMandatory HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイには、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option B HDR対応ディスプレイであるときには、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイが、BDに記録されているOption A HDRビデオの表示に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
一方、挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option A HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオとOption A HDRビデオのうちのいずれかを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption A HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。プレーヤが、BDに記録されているOption B HDRビデオの再生に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option A HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
図5は、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤが再生し、ディスプレイに表示させるHDRビデオの種類を示す図である。
挿入されたBDがMandatory HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイには、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。プレーヤが、BDに記録されているOption A HDRビデオの再生に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option A HDR対応ディスプレイであるときには、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイが、BDに記録されているOption B HDRビデオの表示に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
一方、挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option B HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオとOption B HDRビデオのうちのいずれかを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption B HDRビデオが表示される。
図6は、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤが再生し、ディスプレイに表示させるHDRビデオの種類を示す図である。
挿入されたBDがMandatory HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがいずれの種類のディスプレイであっても、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option B HDR対応ディスプレイであるときには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイが、BDに記録されているOption A HDRビデオの表示に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
一方、挿入されたBDがMandatory/Option A HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option A HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオとOption A HDRビデオのうちのいずれかを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption A HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option A HDR対応ディスプレイであるときには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイが、BDに記録されているOption B HDRビデオの表示に対応していないためである。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
一方、挿入されたBDがMandatory/Option B HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option B HDR対応ディスプレイまたはMandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤは、Mandatory HDRビデオとOption B HDRビデオのうちのいずれかを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption B HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A/Option B HDRディスクである場合、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory HDR対応ディスプレイであるときには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオを再生する。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオが表示される。
一方、挿入されたBDがMandatory/Option A/Option B HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option A HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオまたはOption A HDRビデオを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption A HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A/Option B HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option B HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはMandatory HDRビデオまたはOption B HDRビデオを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオまたはOption B HDRビデオが表示される。
挿入されたBDがMandatory/Option A/Option B HDRディスクである場合において、HDRビデオの出力先となるディスプレイがMandatory/Option A/Option B HDR対応ディスプレイであるとき、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤはいずれかの種類のHDRビデオを再生する。いずれのHDRビデオを再生するのかは、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤの設定などに従って決定される。ディスプレイには、Mandatory/Option A/Option B HDR対応プレーヤから出力されたデータに基づいてMandatory HDRビデオ、Option B HDRビデオ、またはOption B HDRビデオが表示される。
このように、BDプレーヤである再生装置2においては、ディスク11に記録されているHDRビデオのうち、再生装置2自身が再生可能であり、かつ、出力先となるディスプレイが表示可能な種類のHDRビデオが再生される。再生対象となるHDRビデオは、ディスク11に記録されている情報などに基づいて決定される。
<ビデオの記録形態>
上述したように、HDR対応プレーヤは、出力先となるディスプレイがHDRビデオの表示に対応したディスプレイでなければ、HDRビデオを再生することができない。この場合、HDRビデオの代わりに用いる、同じ内容のSDRビデオが用意されていれば、HDR対応プレーヤは、SDRビデオを再生し、SDRビデオをディスプレイに表示させることができる。
コンテンツの提供側は、HDRビデオを提供する場合、互換性確保のためには、同じ内容のSDRビデオを用意し、提供する必要がある。
また、HDR対応プレーヤは、出力先となるディスプレイがHDRビデオの表示に対応したディスプレイである場合、SDRビデオを再生するよりも、HDRビデオを再生した方が、より画質の良い映像を提供することができる。
コンテンツの提供側は、SDRビデオを提供する場合、同じ内容のHDRビデオを用意し、提供した方が好ましい。
BDにおける、互換性のあるHDRビデオとSDRビデオの記録形態には、例えば以下の3つの形態がある。HDRビデオと互換性のあるSDRビデオは、HDRビデオの代わりに再生に用いることが可能なSDRビデオを意味する。また、SDRビデオと互換性のあるHDRビデオは、SDRビデオの代わりに再生に用いることが可能なHDRビデオを意味する。
図7は、HDRビデオとSDRビデオの第1の記録形態を示す図である。
図7のディスク11には、SDRビデオとHDRビデオが記録されている。ディスク11に記録されているSDRビデオとHDRビデオは、同じ内容の、互換性のあるビデオである。
例えば、HDRビデオの再生が指示された場合において、出力先となるディスプレイがHDRビデオの表示に非対応のディスプレイであるとき、HDRビデオの代わりにSDRビデオが再生される。また、SDRビデオの再生が指示された場合において、出力先となるディスプレイがHDRビデオの表示に対応したディスプレイであるとき、SDRビデオの代わりにHDRビデオが再生される。
図7のSDRビデオの符号化ストリームは、複数のオーディオストリームとともに、PlayList1が参照するClip1のAVストリームに含まれる。また、HDRビデオの符号化ストリームは、同じ複数のオーディオストリームとともに、PlayList2が参照するClip1のAVストリームに含まれる。BDフォーマットにおけるPlayListとClipについては後述する。
このように、HDRビデオとSDRビデオの記録形態として、それぞれの符号化ストリームを異なるAVストリームに含め、1枚のBDに記録する形態がある。
図8は、HDRビデオとSDRビデオの第2の記録形態を示す図である。
図8のディスク11には、同じ内容の、互換性のあるSDRビデオとHDRビデオが記録されている。SDRビデオの符号化ストリームとHDRビデオの符号化ストリームは、複数のオーディオストリームとともに、PlayList1が参照するClip1のAVストリームに含まれる。
このように、HDRビデオとSDRビデオの記録形態として、それぞれの符号化ストリームを同じAVストリームに含め、1枚のBDに記録する形態がある。
図9は、HDRビデオとSDRビデオの第3の記録形態を示す図である。
図9には、ディスク11Aとディスク11Bの2枚のBDが示されている。ディスク11AにはSDRビデオが記録されている。SDRビデオの符号化ストリームは、複数のオーディオストリームとともに、ディスク11Aに記録されているPlayList1が参照するClip1のAVストリームに含まれる。
一方、ディスク11BにはHDRビデオが記録されている。ディスク11Aに記録されているSDRビデオとディスク11Bに記録されているHDRビデオは、同じ内容の、互換性があるビデオである。HDRビデオの符号化ストリームは、同じ複数のオーディオストリームとともに、ディスク11Bに記録されているPlayList1が参照するClip1のAVストリームに含まれる。
ユーザは、HDR対応プレーヤに接続されたディスプレイがHDRビデオの表示に非対応のディスプレイである場合、ディスク11Aを使ってコンテンツを視聴することになる。また、ユーザは、HDR対応プレーヤに接続されたディスプレイがHDRビデオの表示に対応したディスプレイである場合、ディスク11Bを使ってコンテンツを視聴することになる。
このように、HDRビデオとSDRビデオの記録形態として、それぞれの符号化ストリームを異なるBDに記録する形態がある。例えば、HDRビデオの符号化ストリームを記録したBDとSDRビデオの符号化ストリームを記録したBDは2枚セットで販売される。
視聴環境に応じて再生するビデオを切り替える再生装置2の処理については後述する。
<<2.BDフォーマットについて>>
ここで、BD-ROMフォーマットについて説明する。
<データの管理構造>
図10は、BD-ROMフォーマットにおけるAVストリームの管理構造の例を示す図である。
AVストリームの管理は、PlayListとClipの2つのレイヤを用いて行われる。AVストリームは、ディスク11だけでなく、再生装置2のローカルストレージに記録されることもある。
1つのAVストリームと、それに付随する情報であるClip Informationのペアが1つのオブジェクトとして管理される。AVストリームとClip InformationのペアをClipという。
AVストリームは時間軸上に展開され、各Clipのアクセスポイントは、主に、タイムスタンプでPlayListにおいて指定される。Clip Informationは、AVストリーム中のデコードを開始すべきアドレスを見つけるためなどに使用される。
PlayListはAVストリームの再生区間の集まりである。AVストリーム中の1つの再生区間はPlayItemと呼ばれる。PlayItemは、時間軸上の再生区間のIN点とOUT点のペアで表される。図10に示すように、PlayListは1つまたは複数のPlayItemにより構成される。
図10の左から1番目のPlayListは2つのPlayItemから構成され、その2つのPlayItemにより、左側のClipに含まれるAVストリームの前半部分と後半部分がそれぞれ参照される。
左から2番目のPlayListは1つのPlayItemから構成され、それにより、右側のClipに含まれるAVストリーム全体が参照される。
左から3番目のPlayListは2つのPlayItemから構成され、その2つのPlayItemにより、左側のClipに含まれるAVストリームのある部分と、右側のClipに含まれるAVストリームのある部分がそれぞれ参照される。
例えば、左から1番目のPlayListに含まれる左側のPlayItemが再生対象としてディスクナビゲーションプログラムにより指定された場合、そのPlayItemが参照する、左側のClipに含まれるAVストリームの前半部分の再生が行われる。
PlayListの中で、1つ以上のPlayItemの並びによって作られる再生パスをメインパス(Main Path)という。また、PlayListの中で、Main Pathに並行して、1つ以上のSubPlayItemの並びによって作られる再生パスをサブパス(Sub Path)という。
図11は、Main PathとSub Pathの構造を示す図である。
PlayListは、1つのMain Pathと1つ以上のSub Pathを持つ。図11のPlayListは、3つのPlayItemの並びにより作られる1つのMain Pathと3つのSub Pathを有する。
Main Pathを構成するPlayItemには、先頭から順番にそれぞれIDが設定される。Sub Pathにも、先頭から順番にSubpath_id=0、Subpath_id=1、およびSubpath_id=2のIDが設定される。
図11の例においては、Subpath_id=0のSub Pathには1つのSubPlayItemが含まれ、Subpath_id=1のSub Pathには2つのSubPlayItemが含まれる。また、Subpath_id=2のSub Pathには1つのSubPlayItemが含まれる。
1つのPlayItemが参照するAVストリームには、少なくともビデオストリーム(メイン画像データ)が含まれる。AVストリームには、AVストリームに含まれるビデオストリームと同じタイミングで(同期して)再生されるオーディオストリームが1つ以上含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
AVストリームには、AVストリームに含まれるビデオストリームと同期して再生されるビットマップの字幕データ(PG(Presentation Graphic))のストリームが1つ以上含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
AVストリームには、AVストリームファイルに含まれるビデオストリームと同期して再生されるIG(Interactive Graphic)のストリームが1つ以上含まれてもよいし、含まれなくてもよい。IGのストリームは、ユーザにより操作されるボタンなどのグラフィックを表示させるために用いられる。
1つのPlayItemが参照するAVストリームには、ビデオストリームと、それと同期して再生されるオーディオストリーム、PGストリーム、およびIGストリームが多重化される。
また、1つのSubPlayItemは、PlayItemが参照するAVストリームとは異なるストリームの、ビデオストリーム、オーディオストリーム、PGストリームなどを参照する。
このように、AVストリームの再生はPlayListとClip Informationを用いて行われる。また、AVストリームの再生には、後述するIndex tableなどの情報も用いられる。コンテンツとしてのAVストリームの再生を管理するために用いられる再生管理情報である、Index table、PlayList、Clip Informationを、適宜、Data Base情報という。
<ディレクトリ構造>
図12は、ディスク11に記録されるファイルの管理構造の例を示す図である。
ディスク11に記録される各ファイルはディレクトリ構造により階層的に管理される。ディスク11上には1つのrootディレクトリが作成される。
rootディレクトリの下にはBDMVディレクトリが置かれる。
BDMVディレクトリの下には、「Index.bdmv」の名前が設定されたファイルであるIndex tableファイルと、「MovieObject.bdmv」の名前が設定されたファイルであるMovieObjectファイルが格納される。Index tableファイルにはIndex tableが記述される。
BDMVディレクトリの下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ等が設けられる。
PLAYLISTディレクトリには、PlayListを記述したPlayListファイルが格納される。各PlayListファイルには、5桁の数字と拡張子「.mpls」を組み合わせた名前が設定される。図12に示す3つのPlayListファイルには「00000.mpls」、「00001.mpls」、「00002.mpls」のファイル名が設定されている。
CLIPINFディレクトリにはClip Informationファイルが格納される。各Clip Informationファイルには、5桁の数字と拡張子「.clpi」を組み合わせた名前が設定される。図12の3つのClip Informationファイルには、それぞれ、「01000.clpi」、「02000.clpi」、「03000.clpi」のファイル名が設定されている。
STREAMディレクトリにはAVストリームファイルが格納される。各AVストリームファイルには、5桁の数字と拡張子「.m2ts」を組み合わせた名前が設定される。図12の3つのAVストリームファイルには、それぞれ、「01000.m2ts」、「02000.m2ts」、「03000.m2ts」のファイル名が設定されている。
同じ5桁の数字がファイル名に設定されているClip InformationファイルとAVストリームファイルが1つのClipを構成するファイルとなる。「01000.m2ts」のAVストリームファイルの再生時には「01000.clpi」のClip Informationファイルが用いられ、「02000.m2ts」のAVストリームファイルの再生時には「02000.clpi」のClip Informationファイルが用いられる。
<PlayListのシンタクスの例>
ここで、HDRビデオの再生に用いられる情報を記述したPlayListのシンタクスについて説明する。上述したように、PlayListは、PlayItem等からなる1つの再生シーケンスを定義する情報である。1枚のディスクに複数のPlayListが用意されることもある。複数のPlayListが用意されている場合、ユーザによる操作などに応じて、再生に用いるPlayListが決定される。
図13は、PlayListのシンタクスを示す図である。
PlayListを記述したファイルは、図12のPLAYLISTディレクトリに格納される、拡張子「.mpls」が設定されるファイルである。
AppInfoPlayList()には、再生制限などの、PlayListの再生コントロールに関するパラメータが格納される。
PlayList()には、Main PathやSub Pathに関するパラメータが格納される。
PlayListMark()には、PlayListのマーク情報、すなわち、チャプタジャンプなどを指令するユーザオペレーションまたはコマンドなどにおけるジャンプ先(ジャンプポイント)であるマークに関する情報が格納される。
図14は、図13のAppInfoPlayList()のシンタクスの例を示す図である。
図14のAppInfoPlayList()には、HDRビデオの再生に用いられる情報として、HDR_flag、option_A_HDR_flag、option_B_HDR_flag、およびHDR_compatible_typeが記述される。
図15は、各情報の値の意味を示す図である。
HDR_flagは、BD(当該HDR_flagを記述したPlayListが記録されたディスクと同じディスク)にMandatory HDRビデオが含まれるか否かを示す1ビットのフラグである。
HDR_flagが0bであることは、Mandatory HDRビデオが含まれないことを表し、1bであることは、Mandatory HDRビデオが含まれることを表す。
option_A_HDR_flagは、BD(当該option_A_HDR_flagを記述したPlayListが記録されたディスクと同じディスク)にOption A HDRビデオが含まれるか否かを示す1ビットのフラグである。
option_A_HDR_flagが0bであることは、Option A HDRビデオが含まれないことを表し、1bであることは、option_A_HDRビデオが含まれることを表す。
option_B_HDR_flagは、BD(当該option_B_HDR_flagを記述したPlayListが記録されたディスクと同じディスク)にOption B HDRビデオが含まれるか否かを示す1ビットのフラグである。
option_B_HDR_flagが0bであることは、Option B HDRビデオが含まれないことを表し、1bであることは、Option B HDRビデオが含まれることを表す。
HDR_flag、option_A_HDR_flag、option_B_HDR_flagを用いることにより、コンテンツのオーサーは、いずれの種類のHDRビデオがBD内に記録されているのかを指定することが可能になる。
HDR_compatible_typeは、HDRビデオと互換性のあるSDRビデオの提供形態、またはSDRビデオと互換性のあるHDRビデオの提供形態を示す2ビットの情報である。
HDR_compatible_typeが00bであることは、互換性のあるビデオが用意されていないことを表す。
HDR_compatible_typeが01bであることは、互換性のあるビデオの符号化ストリームが、当該PlayListが示すClip(当該HDR_compatible_typeを記述したPlayListが定義する再生シーケンスによって再生されるClipのAVストリーム)に含まれることを示す。
HDR_compatible_typeが10bであることは、互換性のあるビデオの符号化ストリームが、別のPlayListが示すClipに用意されていることを示す。HDR_compatible_typeの値の01bと10bは、互換性のあるHDRビデオとSDRビデオが同じディスクに用意されていることを表すことになる。
HDR_compatible_typeが11bであることは、互換性のあるビデオの符号化ストリームが、別のディスクに用意されていることを示す。
HDR_compatible_typeを用いることにより、コンテンツのオーサーは、互換性のあるビデオの提供形態を指定することが可能になる。
図16は、HDR_flagとHDR_compatible_typeの値の第1の具体例を示す図である。
HDRビデオとSDRビデオの記録形態が図7の形態である場合、SDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームを参照するPlayList1のHDR_flagには0が設定され、HDR_compatible_typeには10bが設定される。
PlayList1のHDR_flagが0であることは、PlayList1が参照するAVストリームにHDRビデオの符号化ストリームが含まれないことを示す。PlayList1のHDR_compatible_typeが10bであることは、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオと互換性のあるHDRビデオが、別のPlayListであるPlayList2が参照するAVストリームに用意されていることを示す。
また、HDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームを参照するPlayList2のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには10bが設定される。
PlayList2のHDR_flagが1であることは、PlayList2が参照するAVストリームにHDRビデオの符号化ストリームが含まれることを示す。また、PlayList2のHDR_compatible_typeが10bであることは、PlayList2が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオと互換性のあるSDRビデオが、別のPlayListであるPlayList1が参照するAVストリームに用意されていることを示す。
図17は、HDR_flagとHDR_compatible_typeの値の第2の具体例を示す図である。
HDRビデオとSDRビデオの記録形態が図8の形態である場合、SDRビデオの符号化ストリームとHDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームを参照するPlayList1のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには01bが設定される。
PlayList1のHDR_flagが1であることは、PlayList1が参照するAVストリームにHDRビデオの符号化ストリームが含まれることを示す。PlayList1のHDR_compatible_typeが01bであることは、互換性のあるSDRビデオとHDRビデオが、同じPlayListであるPlayList1が参照するAVストリームに用意されていることを示す。
図18は、HDR_flagとHDR_compatible_typeの値の第3の具体例を示す図である。
HDRビデオとSDRビデオの記録形態が図9の形態である場合、ディスク11Aに記録されたPlayList1のHDR_flagには0が設定され、HDR_compatible_typeには11bが設定される。また、ディスク11Bに記録されたPlayList1のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには11bが設定される。
ディスク11Aに記録されたPlayList1のHDR_flagが0であることは、PlayList1が参照するAVストリームにHDRビデオの符号化ストリームが含まれないことを示す。PlayList1のHDR_compatible_typeが11bであることは、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオと互換性のあるHDRビデオが、別のディスクであるディスク11Bに用意されていることを示す。
一方、ディスク11Bに記録されたPlayList1のHDR_flagが1であることは、PlayList1が参照するAVストリームにHDRビデオの符号化ストリームが含まれることを示す。また、PlayList1のHDR_compatible_typeが11bであることは、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオと互換性のあるSDRビデオが、別のディスクであるディスク11Aに用意されていることを示す。
HDR_flagとHDR_compatible_typeのセットを、AppInfoPlayList()ではなく、ExtensionData()などの、PlayListの他の領域に記述することも可能である。また、PlayListではなく、Index tableやClip Informationなどの他のData Base情報に記述することも可能である。
<<3.各装置の構成について>>
ここで、各装置の構成について説明する。
<記録装置1の構成>
図19は、記録装置1の構成例を示すブロック図である。
記録装置1は、コントローラ21、符号化処理部22、およびディスクドライブ23から構成される。マスターとなるビデオが符号化処理部22に入力される。
コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などより構成される。コントローラ21は、所定のプログラムを実行し、記録装置1の全体の動作を制御する。
コントローラ21においては、所定のプログラムが実行されることによってData Base情報生成部21Aが実現される。Data Base情報生成部21Aは、Index table、PlayList、Clip InformationなどのData Base情報を生成し、ディスクドライブ23に出力する。
符号化処理部22は、マスターのビデオに基づいて、各種のHDRビデオ、SDRビデオのストリームを生成し、多重化することによって、Clipを構成するAVストリームを生成する。AVストリームには、ビデオと同期して再生されるオーディオのストリームなども含まれる。符号化処理部22は、生成したAVストリームをディスクドライブ23に出力する。
ディスクドライブ23は、コントローラ21から供給されたData Base情報の各ファイルと、符号化処理部22から供給されたAVストリームのファイルを図12のディレクトリ構造に従ってディスク11に記録する。
図20は、図19の符号化処理部22の構成例を示すブロック図である。
符号化処理部22は、Mandatory HDRエンコーダ31、Option A HDRエンコーダ32、Option B HDRエンコーダ33、SDRエンコーダ34、および多重化部35から構成される。記録装置1に入力されたマスターのビデオは、Mandatory HDRエンコーダ31、Option A HDRエンコーダ32、Option B HDRエンコーダ33、SDRエンコーダ34にそれぞれ供給される。
Mandatory HDRエンコーダ31は、BDフォーマットのMandatory HDR技術を用いた信号処理をマスターのビデオに施し、Mandatory HDRビデオを生成する。Mandatory HDRエンコーダ31は、Mandatory HDRビデオをHEVC(High Efficiency Video Coding)などの所定の符号化方式で符号化し、符号化することによって得られたMandatory HDRビデオストリームを多重化部35に出力する。
Option A HDRエンコーダ32は、BDフォーマットのOption A HDR技術を用いた信号処理をマスターのビデオに施し、Option A HDRビデオを生成する。Option A HDRエンコーダ32は、Option A HDRビデオを所定の符号化方式で符号化し、符号化することによって得られたOption A HDRビデオストリームを多重化部35に出力する。
Option B HDRエンコーダ33は、BDフォーマットのOption B HDR技術を用いた信号処理をマスターのビデオに施し、Option B HDRビデオを生成する。Option B HDRエンコーダ33は、Option B HDRビデオを所定の符号化方式で符号化し、符号化することによって得られたOption B HDRビデオストリームを多重化部35に出力する。
SDRエンコーダ34は、マスターのビデオのダイナミックレンジを圧縮し、SDRビデオを生成する。SDRエンコーダ34は、SDRビデオを所定の符号化方式で符号化し、符号化することによって得られたSDRビデオストリームを多重化部35に出力する。
各エンコーダの動作が、コントローラ21により制御される。すなわち、Mandatory HDRエンコーダ31による処理は、いずれかの種類のHDRディスクを生成する場合に行われる。また、Option A HDRエンコーダ32による処理は、Mandatory/Option A HDRディスク、またはMandatory/Option A/Option B HDRディスクを生成する場合に行われる。Option B HDRエンコーダ33による処理は、Mandatory/Option B HDRディスク、またはMandatory/Option A/Option B HDRディスクを生成する場合に行われる。SDRエンコーダ34による処理は、SDRビデオを記録したSDRディスクや、SDRビデオとHDRビデオを記録したHDRディスクを生成する場合に行われる。
多重化部35は、各エンコーダから供給されたビデオストリームをオーディオストリームなどとともに多重化し、AVストリームを生成する。多重化部35は、生成したAVストリームをディスクドライブ23に出力する。
<再生装置2の構成>
図21は、再生装置2の構成例を示すブロック図である。
再生装置2は、コントローラ51、ディスクドライブ52、メモリ53、ローカルストレージ54、ネットワークインタフェース55、復号処理部56、操作入力部57、および通信部58から構成される。
コントローラ51は、CPU、ROM、RAMなどより構成される。コントローラ51は、所定のプログラムを実行し、再生装置2の全体の動作を制御する。
コントローラ51においては、所定のプログラムが実行されることによってData Base情報解析部51Aが実現される。Data Base情報解析部51Aは、Index table、PlayList、Clip InformationなどのData Base情報を解析する。
ディスクドライブ52は、ディスク11からデータを読み出して取得し、取得したデータを、コントローラ51、メモリ53、または復号処理部56に出力する。例えば、ディスクドライブ52は、Data Base情報をコントローラ51に出力し、AVストリームを復号処理部56に出力する。
メモリ53は、コントローラ51が各種の処理を実行する上において必要なデータなどを記憶する。メモリ53には、PSR(Player Status Register)であるレジスタ53Aが形成される。
レジスタ53Aには、BDプレーヤである再生装置2が有する機能や現在の再生装置2の設定を表す各種の情報が記憶される。例えば、再生装置2の再生性能を表す情報、表示装置3が有するディスプレイの表示性能を表す情報がレジスタ53Aに記憶される。
再生装置2の再生性能を表す情報により、再生装置2自身が再生可能なHDRビデオの種類が特定される。また、表示装置3が有するディスプレイの再生性能を表す情報により、ディスプレイに表示させることが可能なHDRビデオの種類が特定される。レジスタ53Aに記憶された情報は、ディスク11を再生するときに参照される。
ローカルストレージ54は例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成される。ローカルストレージ54には、サーバからダウンロードされたストリームなどが記録される。
ネットワークインタフェース55は、インターネットなどのネットワークを介してサーバと通信を行い、サーバからダウンロードしたデータをローカルストレージ54に供給する。
復号処理部56は、ディスクドライブ52から供給されたAVストリームに多重化されているHDRビデオまたはSDRビデオを復号し、復号して得られたビデオデータを通信部58に出力する。
操作入力部57は、ボタン、キー、タッチパネルなどの入力デバイスや、所定のリモートコマンダから送信される赤外線などの信号を受信する受信部により構成される。操作入力部57はユーザの操作を検出し、検出した操作の内容を表す信号をコントローラ51に供給する。
通信部58は、ケーブル4を介して表示装置3との間で通信を行う。例えば、通信部58は、表示装置3が有するディスプレイの表示性能に関する情報を取得し、コントローラ51に出力する。また、通信部58は、復号処理部56から供給されたビデオデータを表示装置3に出力する。
図22は、図21の復号処理部56の構成例を示すブロック図である。
復号処理部56は、分離部71、Mandatory HDRデコーダ72、Option A HDRデコーダ73、Option B HDRデコーダ74、およびSDRデコーダ75から構成される。Mandatory HDRデコーダ72、Option A HDRデコーダ73、およびOption B HDRデコーダ74を有する再生装置2は、Mandatory/Option A/Option B HDR対応Playerである。ディスクドライブ52により読み出されたAVストリームは分離部71に入力される。
分離部71は、コントローラ51による制御に従って、再生するビデオストリームをAVストリームから分離し、各デコーダに出力する。分離部71は、Mandatory HDRビデオを再生する場合、Mandatory HDRビデオストリームを分離し、Mandatory HDRデコーダ72に出力する。また、分離部71は、Option A HDRビデオを再生する場合、Option A HDRビデオストリームを分離し、Option A HDRデコーダ73に出力する。分離部71は、Option B HDRビデオを再生する場合、Option B HDRビデオストリームを分離し、Option B HDRデコーダ74に出力する。分離部71は、SDRビデオを再生する場合、SDRビデオストリームを分離し、SDRデコーダ75に出力する。
Mandatory HDRデコーダ72は、分離部71から供給されたMandatory HDRビデオストリームを復号し、復号して得られたMandatory HDRビデオのデータを出力する。
Option A HDRデコーダ73は、分離部71から供給されたOption A HDRビデオストリームを復号し、復号して得られたOption A HDRビデオのデータを出力する。
Option B HDRデコーダ74は、分離部71から供給されたOption B HDRビデオストリームを復号し、復号して得られたOption B HDRビデオのデータを出力する。
SDRデコーダ75は、分離部71から供給されたSDRビデオストリームを復号し、復号して得られたSDRビデオのデータを出力する。
<表示装置3の構成>
図23は、表示装置3の構成例を示すブロック図である。
表示装置3は、コントローラ101、通信部102、信号処理部103、およびディスプレイ104から構成される。コントローラ101はメモリ101Aを有する。
コントローラ101は、CPU、ROM、RAMなどより構成される。コントローラ101は、所定のプログラムを実行し、表示装置3の全体の動作を制御する。
例えば、コントローラ101は、ディスプレイ104の表示性能を表す情報をメモリ101Aに記憶させて管理する。コントローラ101は、再生装置2との認証時、メモリ101Aに記憶させている情報を通信部102に出力し、EDIDを用いて再生装置2に送信させる。EDIDに基づいて、ディスプレイ104の表示性能が再生装置2により特定される。
通信部102は、ケーブル4を介して再生装置2との間で通信を行う。通信部102は、再生装置2から送信されてきたビデオデータを受信し、信号処理部103に出力する。また、通信部102は、コントローラ101から供給された情報を再生装置2に送信する。
信号処理部103は、通信部102から供給されたビデオデータの処理を行い、映像をディスプレイ104に表示させる。
<<4.各装置の動作について>>
ここで、以上のような構成を有する各装置の動作について説明する。
<記録装置の処理>
はじめに、図24のフローチャートを参照して、記録装置1の記録処理について説明する。図24の処理は、例えばマスターとなるビデオデータが入力されたときに開始される。
ステップS1において、符号化処理部22は、HDRビデオを設定に従って符号化する。すなわち、記録装置1のユーザであるコンテンツのオーサーによりMandatory HDRディスクを生成することが設定されている場合、Mandatory HDRエンコーダ31は符号化を行い、Mandatory HDRビデオストリームを生成する。また、例えば、Mandatory/Option A HDRディスクを生成することが設定されている場合、Mandatory HDRエンコーダ31とOption A HDRエンコーダ32はそれぞれ符号化を行い、Mandatory HDRビデオストリームとOption A HDRビデオストリームを生成する。符号化処理部22は、適宜、SDRビデオストリームを生成する。生成されたビデオストリームは多重化され、AVストリームが生成される。
ステップS2において、コントローラ21のData Base情報生成部21Aは、図15の各情報を含むPlayListなどのData Base情報を生成する。
ステップS3において、ディスクドライブ23は、それぞれのData Base情報のファイルと、AVストリームのファイルをディスク11に記録する。その後、処理は終了される。
<再生装置の処理>
次に、図25のフローチャートを参照して、ディスプレイの表示性能を表す情報を取得する再生装置2の処理について説明する。
図25の処理は、例えば、再生装置2と表示装置3がケーブル4を介して接続され、電源がオンになったときに開始される。
ステップS11において、通信部58は、表示装置3と通信を行い、ディスプレイ104の表示性能を表す情報を含むEDIDを取得する。通信部58は、ディスプレイ104の表示性能を表す情報をコントローラ51に出力する。
ステップS12において、コントローラ51は、通信部58から供給された情報に基づいてディスプレイ104の表示性能を認識し、表示性能を表す情報をレジスタ53Aに設定する。その後、処理は終了される。
次に、図26のフローチャートを参照して、HDRビデオを再生する再生装置2の処理について説明する。図26の処理は、図25の処理が行われた後に行われる。
ステップS21において、コントローラ51は、ディスクドライブ52を制御し、Data Base情報をディスク11から読み出させる。コントローラ51のData Base情報解析部51Aは、ディスクドライブ52により読み出されたData Base情報を取得する。
ステップS22において、Data Base情報解析部51Aは、取得したData Base情報に含まれるPlayListを解析し、HDR_flag、option_A_HDR_flag、option_B_HDR_flag、およびHDR_compatible_typeの各情報を参照する。
ステップS23において、コントローラ51は、レジスタ53Aに記憶されているディスプレイ104の表示性能を表す情報を参照する。
ステップS24において、コントローラ51は、ユーザによる操作などに従って、再生対象とするビデオを選択する。例えば、コントローラ51は、メニュー画面に対するユーザの操作に応じて、再生に用いるPlayListを選択し、そのPlayListが参照するClipに含まれるHDRビデオまたはSDRビデオを再生対象として選択する。
ステップS25において、コントローラ51は、再生対象として選択したビデオの種類、ディスプレイ104の表示性能、HDR_compatible_typeの値に応じたメッセージをディスプレイ104に表示させる。ここでは、再生対象として選択したビデオではなく、互換性のあるビデオを再生した方が適している場合に、互換性のあるビデオの提供形態を通知するメッセージが表示される。
例えば、コントローラ51は、再生対象のビデオがHDRビデオであり、ディスプレイ104がHDRビデオの表示に非対応である場合、HDR_compatible_typeの値に基づいて、互換性のあるSDRビデオの提供形態を通知するメッセージを表示させる。
また、コントローラ51は、再生対象のビデオがSDRビデオであり、ディスプレイ104がHDRビデオの表示に対応している場合、HDR_compatible_typeの値に基づいて、互換性のあるHDRビデオの提供形態を通知するメッセージを表示させる。
なお、互換性のあるビデオの提供形態をメッセージによって通知するのではなく、音声を出力することによって通知したり、再生装置2の筐体に設けられるLEDを発光させることによって通知したりすることも可能である。
ステップS26において、コントローラ51は、ディスクドライブ52を制御し、再生対象のビデオを含むAVストリームをディスク11から読み出させる。再生対象のビデオは、適宜、ステップS24で選択されたビデオから、それと互換性のあるビデオに変更される。ディスクドライブ52により取得されたAVストリームは復号処理部56に供給される。
ステップS27において、復号処理部56は、ディスクドライブ52から供給されたAVストリームに多重化されているビデオストリームを復号し、復号して得られたHDRビデオのデータ、またはSDRビデオのデータを通信部58に出力する。
ステップS28において、通信部58は、復号処理部56から供給されたビデオのデータを表示装置3に出力する。通信部58から出力されたデータを受信した表示装置3においては、受信したデータに対して信号処理が施され、HDRビデオまたはSDRビデオがディスプレイ104に表示される。ステップS26乃至S28の処理は、コンテンツの再生が終わるまで続けられる。
<メッセージの具体例>
・メッセージの第1の具体例
図27は、図26の処理によって表示されるメッセージの第1の具体例を示す図である。
図27に示すHDRビデオとSDRビデオの記録形態は、図7に示す形態と同じである。再生装置2に挿入されたディスク11には、PlayList1が参照するAVストリームと、PlayList2が参照するAVストリームが記録される。PlayList1が参照するAVストリームにはSDRビデオの符号化ストリームが含まれ、PlayList2が参照するAVストリームにはHDRビデオの符号化ストリームが含まれる。
図16を参照して説明したように、PlayList1のHDR_flagには0が設定され、HDR_compatible_typeには10bが設定される。また、PlayList2のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには10bが設定される。表示装置3が有するディスプレイ104はHDRビデオ非対応のディスプレイであるものとする。
この状態において、例えばメニュー画面に対する操作により、太枠で囲んで示すように、PlayList2が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオが再生対象として選択されたものとする(ステップS24)。再生対象として選択されたHDRビデオは、図27のディスプレイ104には表示させることができないビデオである。
この場合、ディスプレイ104には、メニュー画面からSDRビデオを選択することで、互換性のあるSDRビデオの視聴が可能になることを通知するメッセージ#1が表示される(ステップS25)。
ユーザは、互換性のあるSDRビデオが、ディスク11に記録する形で提供されていることを確認することができる。
ユーザがメニュー画面を表示させ、SDRビデオを再生対象として選択した場合、PlayList1が参照するAVストリームがディスク11から読み出される(ステップS26)。また、読み出されたAVストリームに含まれるSDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してSDRビデオのデータが出力される(ステップS27,S28)。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてSDRビデオが表示される。ユーザは、HDRビデオの視聴はできないものの、それと互換性のあるSDRビデオを視聴することができる。
・メッセージの第2の具体例
図28は、図26の処理によって表示されるメッセージの第2の具体例を示す図である。
図28の例は、表示装置3が有するディスプレイ104がHDRビデオ対応のディスプレイである点を除いて図27に示すものと同じである。再生装置2に挿入されたディスク11には、PlayList1が参照するAVストリームと、PlayList2が参照するAVストリームが記録される。PlayList1が参照するAVストリームにはSDRビデオの符号化ストリームが含まれ、PlayList2が参照するAVストリームにはHDRビデオの符号化ストリームが含まれる。
この状態において、例えばメニュー画面に対する操作により、太枠で囲んで示すように、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオが再生対象として選択されたものとする。この場合、ディスプレイ104には、メニュー画面からHDRビデオを選択することで、互換性のあるHDRビデオの視聴が可能になることを通知するメッセージ#2が表示される。
ユーザは、互換性のあるHDRビデオが、ディスク11に記録する形で提供されていることを確認することができる。
ユーザがメニュー画面を表示させ、HDRビデオを再生対象として選択した場合、PlayList2が参照するAVストリームがディスク11から読み出される。また、読み出されたAVストリームに含まれるHDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してHDRビデオのデータが出力される。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてHDRビデオが表示される。ユーザは、図28の環境で視聴可能な、より画質の良いビデオを視聴することができる。
・メッセージの第3の具体例
図29は、図26の処理によって表示されるメッセージの第3の具体例を示す図である。
図29に示すHDRビデオとSDRビデオの記録形態は、図8に示す形態と同じである。再生装置2に挿入されたディスク11には、PlayList1が参照するAVストリームが記録される。PlayList1が参照するAVストリームには、HDRビデオの符号化ストリームとSDRビデオの符号化ストリームが含まれる。
図17を参照して説明したように、PlayList1のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには01bが設定される。表示装置3が有するディスプレイ104はHDRビデオ非対応のディスプレイであるものとする。
この状態において、例えばメニュー画面に対する操作により、太枠で囲んで示すように、HDRビデオが再生対象として選択されたものとする。再生対象として選択されたHDRビデオは、図29のディスプレイ104には表示させることができないビデオである。
この場合、ディスプレイ104には、出力先のディスプレイ104がHDRビデオの表示に対応していないため、互換性のあるSDRビデオの再生を開始することを通知するメッセージ#3が表示される。
ユーザは、互換性のあるSDRビデオのストリームが、ディスク11に記録する形で提供されていることを確認することができる。
例えばユーザがSDRビデオの再生を指示した場合、PlayList1が参照するAVストリームがディスク11から読み出される。また、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してSDRビデオのデータが出力される。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてSDRビデオが表示される。ユーザは、HDRビデオの視聴はできないものの、それと互換性のあるSDRビデオを視聴することができる。
・メッセージの第4の具体例
図30は、図26の処理によって表示されるメッセージの第4の具体例を示す図である。
図30の例は、表示装置3が有するディスプレイ104がHDRビデオ対応のディスプレイである点を除いて図29に示すものと同じである。再生装置2に挿入されたディスク11には、PlayList1が参照するAVストリームが記録される。PlayList1が参照するAVストリームには、HDRビデオの符号化ストリームとSDRビデオの符号化ストリームが含まれる。
この状態において、例えばメニュー画面に対する操作により、太枠で囲んで示すように、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオが再生対象として選択されたものとする。この場合、ディスプレイ104には、出力先のディスプレイ104がHDRビデオの表示に対応しているため、互換性のあるHDRビデオを再生することを通知するメッセージ#4が表示される。
ユーザは、互換性のあるHDRビデオのストリームが、ディスク11に記録する形で提供されていることを確認することができる。
例えばユーザがHDRビデオの再生を指示した場合、PlayList1が参照するAVストリームがディスク11から読み出される。また、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してHDRビデオのデータが出力される。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてHDRビデオが表示される。ユーザは、図30の環境で視聴可能な、より画質の良いビデオを視聴することができる。
・メッセージの第5の具体例
図31は、図26の処理によって表示されるメッセージの第5の具体例を示す図である。
図31に示すHDRビデオとSDRビデオの記録形態は、図9に示す形態と同じである。ディスク11Aには、SDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームが記録される。また、ディスク11Bには、HDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームが記録される。
図18を参照して説明したように、ディスク11Aに記録されるPlayList1のHDR_flagには0が設定され、HDR_compatible_typeには11bが設定される。また、ディスク11Bに記録されるPlayList1のHDR_flagには1が設定され、HDR_compatible_typeには11bが設定される。表示装置3が有するディスプレイ104はHDRビデオ非対応のディスプレイであるものとする。
この状態において、例えばユーザがディスク11Bを再生装置2に挿入し、太枠で囲んで示すように、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオを再生対象として選択したものとする。再生対象として選択されたHDRビデオは、図31のディスプレイ104には表示させることができないビデオである。
この場合、ディスプレイ104には、ディスク11Bとセットになっているディスク11Aに替えることで、互換性のあるSDRビデオの視聴が可能になることを通知するメッセージ#5が表示される。
ユーザは、互換性のあるSDRビデオが、ディスク11Bとセットのディスクであるディスク11Aに記録する形で提供されていることを確認することができる。
ユーザが、ディスク11Bに代えてディスク11Aを挿入し、SDRビデオを再生対象として選択した場合、PlayList1が参照するAVストリームがディスク11Aから読み出される。また、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してSDRビデオのデータが出力される。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてSDRビデオが表示される。ユーザは、HDRビデオの視聴はできないものの、それと互換性のあるSDRビデオを視聴することができる。
・メッセージの第6の具体例
図32は、図26の処理によって表示されるメッセージの第6の具体例を示す図である。
図32の例は、表示装置3が有するディスプレイ104がHDRビデオ対応のディスプレイである点を除いて図31に示すものと同じである。ディスク11Aには、SDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームが記録される。また、ディスク11Bには、HDRビデオの符号化ストリームを含むAVストリームが記録される。
この状態において、例えばユーザがディスク11Aを再生装置2に挿入し、太枠で囲んで示すように、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるSDRビデオを再生対象として選択したものとする。この場合、ディスプレイ104には、ディスク11Aとセットになっているディスク11Bに替えることで、互換性のあるHDRビデオの視聴が可能になることを通知するメッセージ#6が表示される。
ユーザは、互換性のあるHDRビデオが、ディスク11Aとセットのディスクであるディスク11Bに記録する形で提供されていることを確認することができる。
ユーザが、ディスク11Aに代えてディスク11Bを挿入し、HDRビデオを再生対象として選択した場合、PlayList1が参照するAVストリームがディスク11Bから読み出される。また、PlayList1が参照するAVストリームに含まれるHDRビデオストリームが再生されることによって、再生装置2から表示装置3に対してHDRビデオのデータが出力される。
表示装置3のディスプレイ104には、再生装置2から供給されたデータに基づいてHDRビデオが表示される。ユーザは、図32の環境で視聴可能な、より画質の良いビデオを視聴することができる。
<5.変形例>
・Data Base情報の例
互換性のあるビデオがネットワークを介して提供されるようにしてもよい。この場合、HDR_compatible_typeには、そのことを表す値が設定される。例えば、HDR_compatible_typeが、互換性のあるビデオがネットワークを介して提供されることを表す場合、Data Base情報には、互換性のあるビデオの配信を行うサーバのURL等の情報が記述される。
再生装置2は、URLに基づいてサーバにアクセスし、互換性のあるビデオを受信して再生に用いることになる。
・他の構成例
以上においては、再生装置2がMandatory/Option A/Option B HDR対応Playerである場合について主に説明したが、他の再生性能を有する場合においても図26の処理と同様の処理が行われる。
図33は、Mandatory HDR対応Playerである再生装置2に設けられる復号処理部56の構成例を示すブロック図である。
図33に示す構成は、Option A HDRデコーダ73とOption B HDRデコーダ74が設けられていない点を除いて、図22に示す構成と同じ構成である。
図34は、Mandatory/Option A HDR対応Playerである再生装置2に設けられる復号処理部56の構成例を示すブロック図である。
図34に示す構成は、Option B HDRデコーダ74が設けられていない点を除いて、図22に示す構成と同じ構成である。
図35は、Mandatory/Option B HDR対応Playerである再生装置2に設けられる復号処理部56の構成例を示すブロック図である。
図35に示す構成は、Option A HDRデコーダ73が設けられていない点を除いて、図22に示す構成と同じ構成である。
・コンピュータの構成例
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
図36は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
CPU501、ROM502、RAM503は、バス504により相互に接続されている。
バス504には、さらに、入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507が接続される。また、入出力インタフェース505には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部508、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部509、リムーバブルメディア511を駆動するドライブ510が接続される。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを入出力インタフェース505及びバス504を介してRAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
CPU501が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア511に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部508にインストールされる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
・構成の組み合わせ例
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)
標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を解析する制御部と、
前記種別情報により表される形態で提供された前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを取得する取得部と、
取得された前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを再生する再生部と
を備える再生装置。
(2)
出力先となるディスプレイを有する表示装置と通信を行い、前記ディスプレイの表示性能を表す情報を取得する通信部をさらに備える
前記(1)に記載の再生装置。
(3)
前記制御部は、前記HDRビデオの再生前において、前記ディスプレイが前記HDRビデオの表示に対応していないとき、互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を提示し、
前記取得部は、前記種別情報により表される形態で提供された前記SDRビデオの符号化データを取得する
前記(2)に記載の再生装置。
(4)
前記制御部は、前記SDRビデオの再生前において、前記ディスプレイが前記HDRビデオの表示に対応しているとき、互換性のある前記HDRビデオの提供の形態を提示し、
前記取得部は、前記種別情報により表される形態で提供された前記HDRビデオの符号化データを取得する
前記(2)または(3)に記載の再生装置。
(5)
前記制御部は、前記再生装置に挿入された記録媒体から取得した前記再生管理情報を解析し、
前記取得部は、前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを前記記録媒体から取得する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の再生装置。
(6)
前記種別情報は、互換性のある前記HDRビデオの符号化データと前記SDRビデオの符号化データが、同じ前記記録媒体に記録されているか、異なる前記記録媒体に記録されているかを表す
前記(5)に記載の再生装置。
(7)
前記種別情報は、互換性のある前記HDRビデオの符号化データと前記SDRビデオの符号化データが、前記記録媒体に記録された同じストリームに含まれるか、異なるストリームに含まれるかを表す
前記(5)または(6)に記載の再生装置。
(8)
前記記録媒体は、Blu-ray Discであり、
前記種別情報は、前記再生管理情報としてのIndex table、PlayList、またはClip Informationに記述される
前記(5)乃至(7)のいずれかに記載の再生装置。
(9)
標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を解析し、
前記種別情報により表される形態で提供された前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを取得し、
取得した前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを再生する
ステップを含む再生方法。
(10)
標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を解析し、
前記種別情報により表される形態で提供された前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを取得し、
取得した前記HDRビデオの符号化データまたは前記SDRビデオの符号化データを再生する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(11)
マスターとなるビデオに基づいて、標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオの符号化データと、前記SDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの符号化データを生成するビデオ生成部と、
前記SDRビデオと互換性のある前記HDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を生成する再生管理情報生成部と
を備える情報処理装置。
(12)
マスターとなるビデオに基づいて、標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオの符号化データと、前記SDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの符号化データを生成し、
前記SDRビデオと互換性のある前記HDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を生成する
ステップを含む情報処理方法。
(13)
マスターとなるビデオに基づいて、標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオの符号化データと、前記SDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの符号化データを生成し、
前記SDRビデオと互換性のある前記HDRビデオの提供の形態、または前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報を生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(14)
マスターとなるビデオに基づいて生成された、標準の輝度範囲のビデオであるSDRビデオの符号化データと、前記SDRビデオと互換性のある前記標準の輝度範囲より輝度範囲の広いビデオであるHDRビデオの符号化データとのうちの少なくともいずれかが記録され、
前記SDRビデオの符号化データが記録されている場合における、前記SDRビデオと互換性のある前記HDRビデオの提供の形態を表す種別情報が記述された再生管理情報と、前記HDRビデオの符号化データが記録されている場合における、前記HDRビデオと互換性のある前記SDRビデオの提供の形態を表す前記種別情報が記述された前記再生管理情報とのうちのいずれかが記録された
記録媒体。
(15)
前記記録媒体は、Blu-ray Discであり、
前記種別情報は、前記再生管理情報としてのIndex table、PlayList、またはClip Informationに記述される
前記(14)に記載の記録媒体。