JP6467184B2 - ねじの製造方法およびねじ - Google Patents

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Description

本発明は、ねじの製造方法およびねじに関する。
特許文献1に、通常の使用者は取り外しができないが、メーカや修理工場では取り外すことができる取り外し防止ねじが示されている。
特許文献1において、このねじの頭部に設けられた係合凹部は、ドライバビットで締め付けることはできるが、緩めることができない構造とされている。さらに、ねじの頭部の周縁部に1以上の凹部が設けられ、この凹部に専用工具を接触させることにより、ねじを緩めることができる。
特開2001−295826号公報
特許文献1には、ねじを緩めるために使う凹部(溝部)を形成する加工方法は記載されていない。取り外し防止用ではない一般的なねじを形成してから溝部を切削加工し、取り外し防止用のねじを製造することは生産効率の観点から現実的ではない。そこで、本発明者は、剪断加工や圧造加工によりねじを製造することを検討した。ところが、ねじを緩めるために使う溝部と締め付け用に使う係合凹部とを剪断加工しようとすると、一般的なねじの製造方法に比べてバリが生じやすくなり、生産効率が低下してしまいやすい。
そこで本発明は、効率よくかつ精度よく製造できる、通常の使用者には取り外しができないねじの製造方法およびねじを提供することを目的とする。
本発明にかかるねじの製造方法は、
前端にねじ部が設けられた軸部と、
前記軸部の後端に設けられて前記軸部より大径の頭部と、
締め付け工具が締め付け側に回転するときに係合し、かつ、反締め付け側に回転するときに係合しない、前記頭部の後面に設けられた係合凹部と、を有し、
前記頭部の外周面には、後方から見て前記頭部の径方向に互いに対向しない位置に設けられて前後方向に延びる3つ以上の奇数個の溝部を有し、
前記溝部の前端に、後方から見て、径方向外側に膨らんで張り出した張り出し部が設けられている、ねじの製造方法であって、
円柱状のワークを用意する工程と、
前記軸部と同じ径を有する軸凹部を有する第一金型と、前記第一金型に対して接近可能で、前記軸部の径より大径で前記第一金型に向かって拡径する予備加工凹部を有する第二金型とを用意する工程と、
前記ワークの一端を前記第一金型の前記軸凹部で保持し、前記ワークの他端を前記第二金型の予備加工凹部に接触させながら前記第二金型を前記第一金型に対して接近させて前記ワークを塑性変形させて、軸部と、前記軸部より大径の膨出部を備えた第一中間素材を得る工程と、
前記第一金型に対して接近可能で、前記係合凹部および前記溝部の形状を転写可能な仕上げ加工凹部を備えた第三金型を用意し、
前記第一中間素材の前記膨出部を前記第三金型の前記仕上げ加工凹部で押圧しながら、前記第三金型を前記第一金型に対して近づけて前記第一中間素材を塑性変形させ、前記仕上げ加工凹部で前記係合凹部および前記溝部の形状を転写する際に塑性流動させた肉で前記張り出し部を形成して、前記係合凹部、前記溝部および前記張り出し部を備えた頭部と、軸部とを備えた第二中間素材を得る工程と、
前記第二中間素材の前記軸部にねじ部を形成して前記ねじを得る工程と、を有し、
前記第一中間素材を得る工程において、前記膨出部のうち、前記第一金型に近い部位の径が前記第二金型に近い部位の径よりも大きくなるように加工する、ねじの製造方法。
本発明のねじの製造方法によれば、圧造により加工するので、切削加工に比べて低コストであり大量生産に適している。また、第一中間素材を形成する工程において、第一金型に近い部位の径が大きくなるように第一中間素材を形成している。このため、第二中間素材を形成する工程において、係合凹部の形状を転写する際に、肉が下方かつ側方に向かって塑性流動し、係合凹部の深い部位に十分に肉が回り込む。これにより、高い形状精度で係合凹部を加工することができる。このとき、溝部の下部に回り込んだ肉により、張り出し部が形成される。
また、本発明のねじは、
前端にねじ部が設けられた軸部と、
前記軸部の後端に設けられて前記軸部より大径の頭部と、
締め付け工具が締め付け側に回転するときに係合し、かつ、反締め付け側に回転するときに係合しない、前記頭部の後面に設けられた係合凹部と、を有する、ねじであって、
前記頭部の外周側面には、後方から見て前記頭部の径方向に互いに対向しない位置に設けられ前後方向に延びる3つ以上の奇数個の溝部を有し、
前記溝部の前端に、後方から見て、径方向外側に膨らんで張り出した張り出し部が設けられ、上記のいずれかの製造方法により製造される。
本発明のねじによれば、市販の締め付け工具を用いて容易に締め付け作業を行うことができ、また、専用の工具を用いて緩めることができる。これにより、締結されたねじを、市販の締め付け工具で不用意に緩められることを防止できる。また、ねじに溝部が形成されていても、締結時に締め付け工具と係合凹部とを十分に接触させることができ、適切な締付けトルクでねじを締結することができる。
本発明によれば、効率よくかつ精度よく製造できる、通常の使用者には取り外しができないねじの製造方法およびねじを提供することができる。
本実施形態に係るねじを示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるI−I断面図である。 ねじを緩める締結解除工具を示す図であって、(a)はねじとの係合側から視た正面図、(b)は斜視図である。 ねじの製造方法を説明する図であって、(a)はワークの側面図、(b)は本実施形態における第一中間素材の側面図、(c)は比較例における第一中間素材の側面図である。 本実施形態に係るねじの製造方法を説明する図であって、(a)は第一中間素材形成工程を説明する側断面図、(b)は第二中間素材形成工程を説明する側断面図である。 第三金型の形状を説明する第三金型の斜視図である。 比較例に係るねじの製造方法を説明する図であって、(a)は第一中間素材形成工程を説明する側断面図、(b)は第二中間素材形成工程を説明する側断面図である。 本実施形態および比較例のそれぞれのねじの製造方法の概略を説明する説明図である。 変形例に係るねじを示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるII−II断面図である。
以下、本発明に係るねじの製造方法およびねじの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るねじ11を示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるI−I断面図である。図2は、ねじ11を緩める締結解除工具31を示す図であって、(a)はねじ11との係合側から視た正面図、(b)は斜視図である。
図1の(a)および(b)に示すように、本実施形態に係るねじの製造方法によって製造されるねじ11は、頭部12と軸部13とを有している。以降の説明において、便宜上、軸部13側をねじ11の前方、頭部12側をねじ11の後方と呼ぶ。
ねじ11は、前端に軸部13を有しており、頭部12は、軸部13の後端に設けられている。軸部13には、おねじからなるねじ部14が設けられており、被締結物側に設けられためねじに対して螺合可能とされている。
図示したねじ11は、図1の(a)に示したように、後方から見て時計回り方向が締め付け方向Aとされ、反時計回り方向が反締め付け方向Bとされている。ねじ11は、締め付け方向Aへ回転されることで被締結物を締結し、反締め付け方向Bへ回転されることで被締結物から外される。
頭部12は、軸部13よりも大径の平面視円形状に形成されている。頭部12の軸部13と反対側の後面には、平面視十字形状の係合凹部21が形成されている。係合凹部21には、十字ドライバビットなどのように周囲に複数(本例では4つ)の突起を有する市販の締め付け工具(図示略)が嵌合可能とされている。
係合凹部21は、その内周部が、頭部12の後方へ向かって次第に広がる形状に形成されている。この係合凹部21の内周面は、4つの係合段部23により不連続な面とされている。隣り合う係合段部23の間は傾斜面24によって連続している。傾斜面24は、係合段部23から反締め付け方向B側に向かって、滑らかに径方向の中央側に盛り上がる連続面として形成されている。
また、ねじ11の頭部12は、その外周面に、前後方向に延びる溝部25を有している。本例では、溝部25が3つ形成されている。溝部25の形成数は、3つに限らず、3つ以上の奇数個であれば5つ以上であっても良い。これらの溝部25は、頭部12の後方から見て頭部12の径方向に互いに対向しない位置に設けられている。本例では、溝部25は、周方向に沿って等間隔に形成されている。これらの溝部25は、頭部12の後方から見て中心側へ円弧状に凹む形状に形成されている。溝部25は、上下方向に対して、上側が径方向内側に位置し、下側が径方向外側へ位置するように傾いていることが好ましい。後述する製造工程において、溝部形成凸部74の摩耗を抑制するためである。
また、溝部25の前端には、張り出し部26が設けられている。この張り出し部26は、板状に形成されており、頭部12の後方から見て、径方向外側に膨らんで張り出した形状に形成されている。
上記のねじ11では、頭部12の係合凹部21に挿し込んだ締め付け工具を締め付け方向Aへ回転させると、締め付け工具の突起が各係合段部23に係合する。これにより、ねじ11は、締め付け工具によって締め付け方向Aへ回転される。
また、頭部12の係合凹部21に挿し込んだ締め付け工具を反締め付け方向Bへ回転させると、締め付け工具の突起が各傾斜面24を摺動する。これにより、内周部が頭部12の後方へ向かって次第に広がる形状の係合凹部21において、締め付け工具が傾斜面24に押されて頭部12の後方側へ押し出される。このように、被締結物を締結していたねじ11を係合凹部21に挿し込んで反締め付け方向Bへ回転させても、締め付け工具は頭部12の係合段部23に係合しない。つまり、ねじ11は、締め付け工具によって反締め付け方向Bへ回転されず、締結状態が維持される。
図2の(a)および(b)に示す専用の締結解除工具31によって、被締結物を締結していたねじ11を緩めることができる。締結解除工具31は、棒状に形成されており、先端側にねじ係合部32を有し、後端側に把持部33を有している。
ねじ係合部32は、ねじ11の頭部12を収容可能な収容凹部35を有している。収容凹部35は、先端に開口を有している。この収容凹部35には、その開口側における内縁に、頭部12の溝部25と同数である3つの係合突起部36を有している。これらの係合突起部36は、溝部25と同様に、周方向に等間隔に配置されている。係合突起部36は、先端側から見て中心側へ円弧状に突出する形状に形成されている。
締結解除工具31の把持部33は、後端側から見て正六角形状に形成されており、電動ドライバの六角形のビットや六角形のハンドドライバが係合可能とされている。
この締結解除工具31を用いて被締結物を締結していたねじ11を緩める手順を説明する。まず、ねじ11の頭部12に締結解除工具31のねじ係合部32をあてがい、収容凹部35内に頭部12を収容させ、頭部12の溝部25に係合突起部36を係合させる。そして、ねじ11の頭部12に係合させた締結解除工具31の把持部33に市販の工具を係合させて反締め付け方向Bへ捻る。これにより、ねじ11は、締結解除工具31とともに反締め付け方向Bへ回転され、よって、被締結物を締結していたねじ11が緩められる。
上記のねじ11によれば、市販の締め付け工具を用いて容易に締め付け作業を行うことができ、また、専用の工具である締結解除工具31を用いてしか緩めることができない。
次に、本実施形態に係るねじの製造方法について、各工程毎に説明する。
図3は、ねじ11の製造方法を説明する図であって、(a)はワーク41の側面図、(b)は本実施形態における第一中間素材41Aの側面図、(c)は比較例における第一中間素材41Cの側面図である。図4は、本実施形態に係るねじ11の製造方法を説明する図であって、(a)は第一中間素材形成工程を説明する側断面図、(b)は第二中間素材形成工程を説明する側断面図である。図5は、第三金型71の形状を説明する第三金型71の斜視図である。
(ワーク準備工程)
ねじ11となるワーク41を用意する。このワーク41は、金属材料からなるもので、図3の(a)に示すように、軸部13と同じ径を有する所定長さの円柱状に形成したものである。
(予備加工用金型準備工程)
図4の(a)に示すように、第一金型51と、第二金型61とを用意する。
第一金型51は、上方側が開口した軸凹部52を有している。この軸凹部52は、穴部53に中子54を挿し込むことで形成されている。中子54は上下方向に移動可能に設けられている。軸凹部52は、軸部13と同じ径を有しており、この軸凹部52にワーク41が挿し込まれる。ワーク41は、一端が軸凹部52に挿し込まれることで、他端が上方の第二金型61側へ突出された状態で第一金型51に保持される。
第二金型61は、第一金型51に対して接近可能とされている。第二金型61は、下方側が開口した予備加工凹部62を有している。この予備加工凹部62は、穴部63に中子64を挿し込むことで形成されている。予備加工凹部62は、軸部13の径より大径で第一金型51に向かって拡径されている。
(第一中間素材形成工程)
第一金型51の軸凹部52にワーク41を挿し込み、ワーク41を第一金型51に保持させる。この状態で、上方に突出されているワーク41の他端を第二金型61の予備加工凹部62に接触させながら第二金型61を第一金型51に対して接近させる。このようにすると、図4の(a)に示すように、ワーク41は、その他端が第二金型61によって押し潰され、予備加工凹部62の内形に倣って外方へ膨出するように塑性変形される。これにより、図3の(b)に示すように、ワーク41の他端には、軸部13より大径の膨出部42が形成される。つまり、この第一中間素材形成工程によって、軸部13と、この軸部13より大径の膨出部42とを備えた第一中間素材41Aが得られる。
図3の(b)に示したように、この第一中間素材41Aを得る第一中間素材形成工程において、膨出部42のうち、第一金型51に近い部位の径が第二金型61に近い部位の径よりも大きくなるように加工する。つまり、図において、膨出部42の下半分の径方向の大きさが、膨出部42の上半分の径方向の大きさより大きくなるように、加工する。
(仕上げ加工用金型準備工程)
次に、図4の(b)に示すように、第三金型71を用意する。第三金型71は、ねじ11の頭部12を仕上げ加工するための金型であり、第一金型51に対して接近可能とされている。
図5に示すように、第三金型71は、第一金型51側に、仕上げ加工凹部72を有している。この仕上げ加工凹部72は、ねじ11の頭部12の係合凹部21および溝部25の形状を転写可能な凹部である。この仕上げ加工凹部72には、係合凹部21を形成する係合凹部形成凸部73および溝部25を形成する溝部形成凸部74を有している。
(第二中間素材形成工程)
第一中間素材41Aの膨出部42を第三金型71の仕上げ加工凹部72で押圧しながら、第三金型71を第一金型51に対して近づける。これにより、図4の(b)に示すように、第一中間素材41Aの膨出部42を塑性変形させ、係合凹部形成凸部73および溝部形成凸部74で係合凹部21および溝部25を形成する。そして、第三金型71の仕上げ加工凹部72の形状を第一中間素材41Aに転写する際に、塑性流動させた肉で頭部12の張り出し部26を形成する。つまり、この第二中間素材形成工程によって、係合凹部21、溝部25および張り出し部26を備えた頭部12と、軸部13とを備えた第二中間素材41Bが得られる。
(ねじ部形成工程)
中子54を上方へ移動させて第一金型51の軸凹部52から第二中間素材41Bの軸部13を押し出し、第二中間素材41Bの軸部13にねじ部14を形成する。これにより、軸部13にねじ部14が形成されたねじ11が得られる。
(効果)
以上の本実施形態に係る製造方法によれば、圧造により加工するので、切削加工に比べて低コストであり大量生産に適している。
また、第一中間素材形成工程において、第一金型51に近い部位の径が大きくなるように第一中間素材41Aを形成している。このため、第二中間素材41Bを形成する第二中間素材形成工程において、係合凹部21の形状を転写する際に、肉が下方かつ側方に向かって塑性流動し、係合凹部21の深い部位に十分に肉が回り込む。これにより、高い形状精度で係合凹部21を加工することができる。このとき、溝部25の下部に回り込んだ肉により、張り出し部26が形成される。また、この張り出し部26の張り出し量は、頭部12の後方から見て、頭部12の外径線(頭部12の仮想外接円)から径方向外側にはみ出ない程度とされている。
ここで、本発明に至る経緯について説明する。
本発明者らは、上述した製造方法を見出す前に、圧造加工により、軸部13と、係合凹部21を備えた頭部12とを備えた中間素材を作製してから、この中間素材に溝部25を剪断加工により加工することを考えた。しかし、溝部25を剪断加工しようとすると、剪断加工により除去した肉が溝部25の前端側に集まり、この肉が径方向外側に大きくはみ出てバリが生じてしまうことがあった。そして、このバリ取り加工のために生産効率が低下してしまい、好ましくないと考えた。
そこで、バリが生じないように、係合凹部21を加工する際に同時に溝部25を圧造加工することを考えた。この製造方法を以下に、比較例として説明する。
図6を用いて、比較例に係るねじの製造方法について説明する。
なお、上記実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
図6は、比較例に係るねじの製造方法を説明する図であって、(a)は第一中間素材形成工程を説明する側断面図、(b)は第二中間素材形成工程を説明する側断面図である。
(ワーク準備工程、予備加工用金型準備工程)
ねじ11となるワーク41を用意し、図6(a)に示すように、第一金型51と、第二金型81とを用意する。
第二金型81は、第一金型51に対して接近可能とされている。第二金型81は、下方側が開口した予備加工凹部82を有している。この予備加工凹部82は、穴部83に中子84を挿し込むことで形成されている。予備加工凹部82は、軸部13の径より大径で第一金型51に向かって拡径されている。
(第一中間素材形成工程)
第一金型51の軸凹部52にワーク41を挿し込み、ワーク41を第一金型51に保持させる。この状態で、上方に突出されているワーク41の他端を第二金型81の予備加工凹部82に接触させながら第二金型81を第一金型51に対して接近させる。このようにすると、図6の(a)に示すように、ワーク41は、その他端が第二金型81によって押し潰され、予備加工凹部82の内形に倣って外方へ膨出するように塑性変形される。
これにより、図3(c)に示すように、ワーク41の他端には、軸部13より大径の大径部45が形成される。つまり、この第一中間素材形成工程によって、軸部13と、この軸部13より大径の大径部45とを備えた第一中間素材41Cが得られる。この第一中間素材41Cを得る第一中間素材形成工程において、大径部45が第一金型51から遠い側に設けられるように加工する。
(仕上げ加工用金型準備工程、第二中間素材形成工程)
図6の(b)に示すように、ねじ11の頭部12を仕上げ加工するための第三金型71を用意する。第一中間素材41Cの大径部45を第三金型71の仕上げ加工凹部72で押圧しながら、第三金型71を第一金型51に対して近づける。これにより、第一中間素材41Cの大径部45を塑性変形させ、係合凹部形成凸部73および溝部形成凸部74で係合凹部21および溝部25を形成する。このように第三金型71の仕上げ加工凹部72の形状を第一中間素材41Cに転写する際に、塑性流動させた肉で頭部12の張り出し部26を形成し、係合凹部21、溝部25および張り出し部26を備えた頭部12と、軸部13とを備えた第二中間素材41Dを得る。
(ねじ部形成工程)
中子54を上方へ移動させて第一金型51の軸凹部52から第二中間素材41Dの軸部13を押し出し、第二中間素材41Dの軸部13にねじ部14を形成する。これにより、軸部13にねじ部14が形成されたねじ11が得られる。
このような比較例に係る製造方法においては、第一中間素材形成工程において、大径部45が第一金型51から遠い側に設けられるように第一中間素材41Cを形成している(図7の(b)における工程1参照)。このため、第二中間素材41Dを形成する第二中間素材形成工程において、係合凹部21の形状を転写する際に、係合凹部21の深い部位に肉が回りきらず、係合凹部21の形状精度が低下してしまうことがある(図7の(b)における工程2〜4参照)。また、溝部25の下部に回り込む肉が少なく、十分に張り出し部26が形成されないことがある(図7の(b)における工程4の拡大図参照)。また、溝部25の上下の縁部にダレが生じるため、ペンチやスパナなどの両側から挟み込む市販の工具によって把持して緩め易くなってしまう。
これに対して、上述した本実施形態に係る製造方法によれば、第一中間素材形成工程において、第一金型51に近い部位の径が大きくなるように第一中間素材41Aを形成している(図7の(a)における工程1参照)。このため、第二中間素材41Bを形成する第二中間素材形成工程において、係合凹部21の形状を転写する際に、肉が下方かつ側方に向かって塑性流動し、係合凹部21の深い部位に十分に肉が回り込む(図7の(a)における工程2〜4参照)。これにより、高い形状精度で係合凹部21を加工することができる。このとき、溝部25の下部に回り込んだ肉により、張り出し部26が形成される(図7の(a)における工程4の拡大図参照)。
このような理由により、本発明に係るねじの製造方法によれば、効率よくかつ精度よく、通常の使用者には取り外しができないねじを製造することができる。
ここで、第一中間素材41Aの膨出部42の高さおよび直径の違いによる塑性流動の挙動について調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0006467184
表1の実施例に示したように、膨出部42の下半分の直径(第一金型に近い部位の径)が上半分の直径(第二金型に近い部位の径)よりも大きくなるように第一中間素材41が加工されていると、所望の形状精度を有する係合凹部21が得られた。
また、表1の比較例に示したように、第一中間素材41を、膨出部42の下半分の直径(第一金型に近い部位の径)が上半分の直径(第二金型に近い部位の径)よりも小さいように加工してしまうと、頭部の下側に肉が回りきらないでダレてしまう。
なお、上述した実施形態とは異なり、溝部を剪断加工により形成する場合は、張り出し部が頭部12の外接円よりもはみ出るように大きく形成されてしまい、はみ出した部位がバリになる。このバリを除去するためにバリ取り加工を施す必要が生じる。このように、溝部を剪断加工により形成しようとすると、バリ取り加工が必要になるので、溝部を剪断加工により形成することは好ましくない。上述した本実施形態によれば、溝部を形成した後にバリ取り加工をしなくてもよいので好ましい。
完成品であるねじ11の頭部12と第二中間素材41Bの頭部12と第一中間素材41Aの膨出部42の体積は、加工の前後で変化しないので、完成品のねじ11の頭部12の大きさを定め、第一中間素材41Aの膨出部42の直径を定めれば第一中間素材41Aの膨出部42の高さもおのずから定まる。
このとき、第一中間素材41Aの頭部12の高さが、完成品であるねじ11の頭部12の高さに対して大きすぎると、図4の(b)に示した第二中間素材形成工程において、塑性変形する肉の量が多くなり過ぎ、肉が回らずに係合凹部21の形状精度が悪くなってしまうおそれがある。
そのため、表1の実施例のように、(第一中間素材41Aの膨出部42の直径/第一中間素材41Aの膨出部42の高さ)の比率を1以上とし、かつ、(第一中間素材41Aの膨出部42の高さ/ねじ11の頭部12の高さ)の比率を1.8未満とすることが好ましい。
表1の例では、完成品であるねじ11の頭部12が、溝部25の仮想的な内接円の直径が5.8mm、高さが2.6mmとなるように、第一中間素材41Aの膨出部42の寸法を実施例および比較例に示す寸法に設定した。なお、溝部25の仮想的な内接円の直径と、溝部形成凸部74の仮想的な内接円の寸法は同一である。
表1の実施例に示したように、(第一中間素材41Aの膨出部42の高さ/ねじ11の頭部12の高さ)の比率が1.8未満の1.5なので、塑性変形する肉量が適量であり、安定して所望の形状精度を有する係合凹部21が得られた。
このような考察から、比較例のように、第一中間素材を膨出部42の上半分の直径が下半分の直径よりも小さく、膨出部42の高さがねじ11の頭部12の高さの1.8倍以上に加工してしまうと、塑性変形する肉の量が大きくなりすぎ、所望の形状精度の溝部25や係合凹部21が得られないと考えられる。
なお、上記実施形態では、十字ドライバビットが係合する係合凹部21を頭部12に形成した場合を例示して説明したが、係合凹部21の形状はこの形状に限らない。
次に、他の形状の係合凹部を備えた変形例に係るねじについて説明する。
図8は、変形例に係るねじ11Aを示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるII−II断面図である。
図8に示すように、このねじ11Aは、その頭部12に、平面視六角形状の係合凹部91を有している。この係合凹部91は、市販の六角レンチからなる締め付け工具(図示略)が嵌合可能とされている。係合凹部91には、その内周部に、6つの係合段部93が形成されている。各係合段部93の間には、反締め付け方向Bへ向かって次第に頭部12の上方へ傾斜する傾斜面94を有している。
上記のねじ11Aでは、頭部12の係合凹部91に六角レンチからなる締め付け工具を挿し込むことで、締め付け工具が係合凹部91に嵌合する。この状態で、締め付け工具を締め付け方向Aへ回転させると、ねじ11Aは、締め付け工具によって締め付け方向Aへ回転される。また、頭部12の係合凹部91に挿し込んだ締め付け工具を反締め付け方向Bへ回転させると、締め付け工具が傾斜面94により押し上げられ、頭部12の上方へ押し出される。このように、被締結物を締結していたねじ11Aの係合凹部91に締め付け工具を挿し込んで反締め付け方向Bへ回転させても、締め付け工具は頭部12の係合部92に係合しない。つまり、ねじ11Aは、締め付け工具によって反締め付け方向Bへ回転されず、締結状態が維持される。
また、このねじ11Aも、その頭部12の周囲に形成された複数の溝部25を有しているので、締結解除工具31を用いて緩めることができる。締結解除工具31を用いてねじ11Aを緩める場合も、まず、ねじ11Aの頭部12に、締結解除工具31のねじ係合部32をあてがい、収容凹部35内に頭部12を収容させ、頭部12の溝部25に係合突起部36を係合させる。そして、ねじ11Aの頭部12に係合させた締結解除工具31の把持部33に市販の工具を係合させて反締め付け方向Bへ捻る。これにより、ねじ11Aは、締結解除工具31とともに反締め付け方向Bへ回転され、よって、被締結物を締結していたねじ11Aが緩められる。
また、上記実施形態では、頭部12に3つの溝部25を形成した場合を例示したが、溝部25の形成数は3つに限らず、5つや7つでも良い。なお、溝部25が3つや5つの場合は、溝部25の形成が容易である。
11:ねじ、12:頭部、13:軸部、14:ねじ部、21:係合凹部、25:溝部、26:張り出し部、41:ワーク、41A:第一中間素材、41B:第二中間素材、51:第一金型、52:軸凹部、61:第二金型、62:予備加工凹部、71:第三金型、72:加工凹部

Claims (3)

  1. 前端にねじ部が設けられた軸部と、
    前記軸部の後端に設けられて前記軸部より大径の頭部と、
    締め付け工具が締め付け側に回転するときに係合し、かつ、反締め付け側に回転するときに係合しない、前記頭部の後面に設けられた係合凹部と、を有し、
    前記頭部の外周面には、後方から見て前記頭部の径方向に互いに対向しない位置に設けられて前後方向に延びる3つ以上の奇数個の溝部を有し、
    前記溝部の前端に、後方から見て、径方向外側に膨らんで張り出した張り出し部が設けられている、ねじの製造方法であって、
    円柱状のワークを用意する工程と、
    前記軸部と同じ径を有する軸凹部を有する第一金型と、前記第一金型に対して接近可能で、前記軸部の径より大径で前記第一金型に向かって拡径する予備加工凹部を有する第二金型とを用意する工程と、
    前記ワークの一端を前記第一金型の前記軸凹部で保持し、前記ワークの他端を前記第二金型の予備加工凹部に接触させながら前記第二金型を前記第一金型に対して接近させて前記ワークを塑性変形させて、軸部と、前記軸部より大径の膨出部を備えた第一中間素材を得る工程と、
    前記第一金型に対して接近可能で、前記係合凹部および前記溝部の形状を転写可能な仕上げ加工凹部を備えた第三金型を用意し、
    前記第一中間素材の前記膨出部を前記第三金型の前記仕上げ加工凹部で押圧しながら、前記第三金型を前記第一金型に対して近づけて前記第一中間素材を塑性変形させ、前記仕上げ加工凹部で前記係合凹部および前記溝部の形状を転写する際に塑性流動させた肉で前記張り出し部を形成して、前記係合凹部、前記溝部および前記張り出し部を備えた頭部と、軸部とを備えた第二中間素材を得る工程と、
    前記第二中間素材の前記軸部にねじ部を形成して前記ねじを得る工程と、を有し、
    前記第一中間素材を得る工程において、前記膨出部のうち、前記第一金型に近い部位の径が前記第二金型に近い部位の径よりも大きくなるように加工する、ねじの製造方法。
  2. (第一中間素材の膨出部の直径/第一中間素材の膨出部の高さ)の比率が1以上であり、かつ、(第一中間素材の膨出部の高さ/ねじの頭部の高さ)の比率が1.8未満である、請求項1に記載のねじの製造方法。
  3. 前端にねじ部が設けられた軸部と、
    前記軸部の後端に設けられて前記軸部より大径の頭部と、
    締め付け工具が締め付け側に回転するときに係合し、かつ、反締め付け側に回転するときに係合しない、前記頭部の後面に設けられた係合凹部と、を有する、ねじであって、
    前記頭部の外周側面には、後方から見て前記頭部の径方向に互いに対向しない位置に設けられ前後方向に延びる3つ以上の奇数個の溝部を有し、
    前記溝部の前端に、後方から見て、径方向外側に膨らんで張り出した張り出し部が設けられている、請求項1または2に記載の製造方法により製造されるねじ。
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