JP6462587B2 - 近赤外線消光団 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な近赤外蛍光化合物、その製造方法、及び当該化合物を用いた蛍光プローブに関る。
生命現象の解明を目指す上で、生体内でリアルタイムかつ高感度に様々な事象を観測することは極めて重要であり、その中で近年、生体内での観察に適した波長領域である650から900nmの近赤外光領域を用いた近赤外蛍光イメージング法に注目が集まっている。これは、装置の簡便性が高く、また、放射性物質を使用しないため安全性が高いからと考えられる。そのため、近赤外蛍光イメージングに用いる近赤外蛍光プローブの開発は活発に研究されている。
しかしながら、可視光領域の蛍光プローブと比べて近赤外光領域における蛍光プローブの開発は依然として不十分である。これは、近赤外蛍光領域における有用な蛍光制御原理の不足による。蛍光制御原理の一つとして汎用されるFRETは、近赤外光領域においても有効な蛍光制御法であり、これを利用した近赤外蛍光プローブは多数開発されている。特に、FRETのacceptorとして無蛍光性の消光団を利用した場合はS/Nを高くできることから、有用なプローブの開発へと繋がる。
しかしながら、FRETを制御機構とした場合においても、有用な近赤外光領域の消光団がないため、FRET型のプローブ開発にも制限がある。従って、近赤外光領域における消光団を開発し、それを利用して様々な近赤外蛍光プローブを開発することは、生命科学の発展において非常に有用である。
可視光領域に吸収蛍光波長を有するローダミンは、3、6位の窒素原子にフェニル基及びその誘導体を結合することによりローダミンの蛍光が消失し、長波長化することが知られている(特許文献1)。このような無蛍光性のキサンテン型化合物は消光団として汎用されている。しかしながら、その吸収波長は700nm後半まで達しない。そのため、一般的な近赤外蛍光団であるCy7やCy7.5、ICGといった蛍光団の消光団としては適していなかった。
このように近赤外光領域における蛍光プローブの母核構造として使用できる近赤外線消光団は未だ開発されていない。
国際公開WO 00/64988
本発明は、新規な近赤外消光団を提供することにある。より具体的には、ローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した新規な化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブを提供することが本発明の課題である。
本発明者らは、ローダミンの3、6位の窒素原子にフェニル基及びその誘導体を結合したローダミン骨格を有する化合物においてキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換することで、更なる長波長化を行い、一般的な近赤外光蛍光団を消光可能な消光団の開発を目指して検討を行った。その結果、長波長化したまま無蛍光性化することができるものの、水中で徐々に吸収が減少することが観察された。そこで、この問題を解決すべく検討を行ったところ、キサンテン環9位に結合したベンゼン環の特定の位置に置換基を導入することにより、化合物の水中での安定性を向上させることができ、近赤外光領域の消光団として十分な吸収波長を有していることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下に関するものである。
[1]下記一般式(I):
Figure 0006462587
(式中、
、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又は炭素数1〜6個のアルコキシ基を示し;
3aは、ベンゼン環上に存在する1価の置換基を示し;
3bは、存在する場合はリンカーを介して蛍光色素と結合することができる置換基を示し;
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
、R、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示し;
12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示し;
14a及びR15aは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
14b及びR15bは、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基を示し;
X及びYは、それぞれ独立に−C(R16)(R17)−、−C(R18)(R19)−C(R20)(R21)−、又は−C(R22)=C(R23)−(式中、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示す)を示し;
Zは、珪素原子、ゲルマニウム原子、炭素原子又はスズ原子を示し;
m1及びm2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、m1+m2は4以下であり:
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、n1+n2は4以下であり;
s1及びs2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、但し、s1+s2は3以下である。)
で表される化合物又はその塩。
[2]m2及びn2は、それぞれ独立に、1以上である、[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]s2が1以上である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4]下記の一般式(I)で表される化合物(式中、R〜R15b、X、Y、Z、m1、m2、n1、n2、s1及びs2は、上記で定義した通りである)を製造する方法であって、
Figure 0006462587
下記の工程:
(a)下記の一般式(II)で表される化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を酸性条件下で亜硝酸ナトリウム及びヨウ化カリウムと反応させて下記の一般式(III)で表される化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程;
Figure 0006462587

を含む、該製造方法。
[5]前記工程(a)に続いて、
(b−1)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAPの存在下で、下記の一般式(IVa)(式中、R、R、R14a、X及びm1は、一般式(I)で定義した通りである)、及び一般式(IVb)(式中、R10、R11、R15a、Y及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(V)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程
Figure 0006462587
(c)上記の一般式(V)の化合物を、塩化スルホン酸と反応させることにより、下記一般式(VI)で表される化合物(式中、R〜R14a、R15a、m1、m2、n1及びn2は、一般式(I)で定義した通りであり、R14b、R15bはスルホン基である。)を得る工程;
Figure 0006462587
(d)一般式(VI)の化合物を保護試薬と反応させて、下記一般式(VIa)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a及びR15a、m1、m2、n1及びn2は、一般式(I)で定義した通りであり、(R14b’−L)及び(R15b’−L)は、夫々、R14b及びR15bが保護基Lにより保護された基を示す);
Figure 0006462587
(e−1)上記一般式(VIa)の化合物を、下記一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、前記保護基Lを脱離し、及び、式(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して、一般式(I)で表される化合物(但し、m2及びn2は1以上であり、R14b、R15bはスルホン基である)を得る工程;
Figure 0006462587
を含む、[4]に記載の製造方法。
[6]前記工程(a)に続いて、
(b−2)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAP等のパラジウム触媒の存在下で、下記の一般式(IVc)(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りであり、Uは、R14b又はR14bに変換可能な置換基を示す)、及び一般式(IVd)(式中R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、Vは、R15b又はR15bに変換可能な置換基を示す)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(Va)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、U及びVは、夫々、一般式(IVc)及び(IVd)で定義した通りである)を得る工程;
Figure 0006462587
(e−2)上記一般式(Va)の化合物を、下記一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、式(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して、一般式(I)で表される化合物(但し、m2及びn2は1以上である)を得る工程(ここで、U及びVが、夫々、R14bに変換可能な置換基及びR15bに変換可能な置換基である場合には、(e−2)の工程の前、当該工程中又は当該工程の後において、U及びVを、夫々、R14b及びR15bに変換する工程を含んでもよい);
Figure 0006462587
を含む、[4]に記載の製造方法。
[7]前記工程(a)に続いて、
(b−1)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAP等のパラジウム触媒の存在下で、下記の一般式(IVa)(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りである)、及び一般式(IVb)(式中R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(V)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程
Figure 0006462587
(e−3)一般式(V)の化合物を、一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して一般式(I)で表される化合物(但し、n1及びn2は0である)を得る工程;
Figure 0006462587
を含む、[4]に記載の製造方法。
[8]プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素又は低酸素環境などを検出可能な蛍光プローブであって、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物の残基を含む蛍光プローブ。
[9]蛍光標識試薬であって、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物の残基を含む蛍光標識試薬である。
[10][1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物の残基を、存在する場合はリンカーを介して、蛍光色素と結合させた構造を有する化合物を含む蛍光プローブ。
本発明の化合物は、水中環境下で無蛍光性であり、650〜900nmまでの領域で吸収波長を有し、更に、水中において安定性を有する。従って、本発明の化合物は近赤外線消光団として有用であることから、近赤外蛍光イメージング法に応用することが可能である。
2−Me−Si−QSY21(比較化合物1)の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル 2−Me−SOH−Si−QSY21(比較化合物2)の吸収スペクトル 2−Me−SOH−Si−QSY21(比較化合物2)の吸収スペクトルの経時変化 本発明の化合物1の吸収スペクトルの経時変化 本発明の化合物2の吸収スペクトルの経時変化 化合物1(右)と化合物4(左)のPBS(1%DMSO)中での吸収スペクトル 本発明のMMPプローブのTCN緩衝液の酵素反応前後(MMP-14)での吸収スペクトルと蛍光スペクトル 本発明のMMPプローブのTCNB緩衝液の酵素反応前後(MMP-9)での吸収スペクトルと蛍光スペクトル 本発明のMMPプローブ(1μM)又はコントロールによるHT−1080細胞のDIC及び蛍光像の測定結果 本発明のMMPプローブ又はコントロールを尾静注により投与したHT−1080腫瘍保持ヌードマウスの蛍光像の測定結果 本発明のMMPプローブ(n=5)又はコントロール(n=5)を腫瘍組織に静注したときの、組織におけるMMPプローブ又はコントロールの蛍光強度の経時変化(左図)及び蛍光強度比の経時変化(右図)
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基など)のアルキル部分は、特に言及しない場合には例えば炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個、さらに好ましくは炭素数1〜3個程度の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
本明細書において「ハロゲン原子」という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよく、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
本明細書において「アリール基」という場合は、単環性又は多環性の芳香族基を意味するが、アリール基は環構成原子としてヘテロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、又はイオウ原子など)を1個又は2個以上有していてもよい。2個以上のヘテロ原子を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。アリール基として、好ましくはフェニル基を用いることができる。
本明細書において、ある官能基について「置換基を有していてもよい」と定義されている場合には、置換基の種類、置換位置、及び置換基の個数は特に限定されず、2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。これらの置換基にはさらに置換基が存在していてもよい。このような例として、例えば、ハロゲン化アルキル基、ジアルキルアミノ基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の1つの実施態様は、下記の一般式(I)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006462587
式(I)において、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又は炭素数1〜6個のアルコキシ基を示す。R及びRがアルキル基を示す場合には、該アルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよい。R、Rとしては、好ましくは、メチル基、メトキシ基、イソプロピル基、ブチル基である。また、RとRは、同じであっても異なっていてもよい。
本発明においては、キサンテン環9位に結合したベンゼン環のオルト位の両方(即ち、ベンゼン環の2位及び6位)に置換基を有することが重要である。当該ベンゼン環のオルト位の両方に置換基を有さない化合物においては、近赤外光領域の消光団として十分な吸収波長を有しているものの、水中で徐々に吸収が減少することが確認された。理論に拘束されることを意図するものではないが、これは、キサンテン環9位への水分子の求核付加反応が起こっていることによるものと考えられ、ベンゼン環のオルト位の両方に置換基を導入することで、キサンテン環9位への求核攻撃を抑え、化合物の水中での安定性を向上させることが可能となる。
3aが示す一価の置換基の種類は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルケニル基、炭素数1〜6個のアルキニル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、水酸基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、又はアミノ基からなる群から選ばれることが好ましい。これらの一価の置換基はさらに任意の置換基を1個又は2個以上有していてもよい。例えば、R3aが示すアルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR3aが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はアミノアルキル基などであってもよい。また、例えばR3aが示すアミノ基には1個又は2個のアルキル基が存在していてもよく、R3aが示すアミノ基はモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であってもよい。さらに、R3aが示すアルコキシ基が置換基を有する場合としては、例えば、カルボキシ置換アルコキシ基又はアルコキシカルボニル置換アルコキシ基などが挙げられ、より具体的には4−カルボキシブトキシ基又は4−アセトキシメチルオキシカルボニルブトキシ基などを挙げることができる。
式(I)において、s1は、0〜3の整数である。s1が2以上の場合は、R3aは同一であっても異なっていてもよい。但し、s1+s2は3以下である。
式(I)において、R3bは、存在する場合はリンカーを介して蛍光団と結合することができる置換基を示す。また、s2は、0〜3の整数である。s2が2以上の場合は、R3bは同一であっても異なっていてもよい。但し、s1+s2は3以下である。
後述するとおり、一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素、低酸素環境など(以下、これらを「測定対象物」と呼ぶ場合がある)を特異的に測定するための蛍光プローブの母核構造、又は生体成分の蛍光標識のための蛍光標識試薬の母核構造としても極めて有用である。従って、本発明の一つの側面において、一般式(I)において、s2は1以上であり、存在する場合はリンカーを介して蛍光団と結合することができる置換基を少なくとも1つ有することが好ましい。このような置換基としては、好ましくは、水酸基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、イソチオシアネート基、又はアミノ基から選択される。一般式(I)の化合物がこのような置換基を少なくとも1つ有していれば、本発明の化合物に蛍光団を容易に導入することができる。なお、存在する場合はリンカーを介して蛍光団と結合することができる置換基のベンゼン環上の置換位置はいずれの位置でもよい。
一般式(I)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R、R、R又はRがアルキル基を示す場合には、該アルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR、R、R及びRが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R及びRがともに水素原子である場合、又はR及びRがともに塩素原子又はフッ素原子である場合がより好ましい。
また、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R及びRがともに水素原子である場合、又はR及びRがともに塩素原子又はフッ素原子である場合がより好ましい。
、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す。R、R、R10及びR11がアルキル基の場合は、当該アルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基はRについて説明したものと同様である。例えば、R、R、R10及びR11がいずれも水素原子であることが好ましいが、R、R、R10及びR11のうちのいずれか1個以上が水素原子であり、残りが炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基、又は塩素原子などのハロゲン原子であることも好ましい。
一般式(I)において、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示すが、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1〜3個のアルキル基であることが好ましく、R12及びR13がともにメチル基であることがより好ましい。R12及びR13が示すアルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR12又はR13が示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。R12又はR13がアリール基を示す場合には、アリール基は単環の芳香族基又は縮合芳香族基のいずれであってもよく、アリール環は1個又は2個以上の環構成ヘテロ原子(例えば窒素原子、イオウ原子、又は酸素原子など)を含んでいてもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。アリール環上には1個又は2個以上の置換基が存在していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよい。
14a及びR15aは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R14a及びR15aが示すアルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR14及びR15が示すアルキル基は、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はアミノアルキル基などであってもよい。
14b及びR15bは、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基を示す。
一般式(I)において、m1及びm2は、それぞれ独立に、0〜4の整数である。但し、m1+m2は4以下である。m1が2以上の場合は、R14aは同一であっても異なっていてもよい。また、m2が2以上の場合は、R14bは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)において、n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜4の整数である。但し、n1+n2は4以下である。n1が2以上の場合は、R15aは同一であっても異なっていてもよい。また、n2が2以上の場合は、R15bは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)の化合物において、R14b、R15bとして、アルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基を導入すると、一般式(I)の化合物の水溶性を高めることができ、当該化合物を水溶性蛍光プローブとして使用することができるため好ましい。従って、本発明の1つの好ましい実施形態においては、m2及びn2は、それぞれ独立に、1以上である、一般式(I)で表される化合物又はその塩である。
また、本発明のより好ましい実施形態においては、m2及びn2は1以上の整数であり、R14b及びR15bの少なくとも1つの組み合わせがアルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基である。
一般式(I)において、X及びYは、それぞれ独立に−C(R16)(R17)−、−C(R18)(R19)−C(R20)(R21)−、又は−C(R22)=C(R23)−を示す。ここで、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示す。R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22又はR23がアルキル基の場合は、当該アルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基はRについて説明したものと同様である。
一般式(I)において、Zは、珪素原子、ゲルマニウム原子、炭素原子又はスズ原子を示す。Zは、珪素原子又はゲルマニウム原子であることが好ましく、珪素原子であることが特に好ましい。
前述の通り、本発明は、ローダミン骨格のキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子等に置換し、更に、キサンテン環9位に結合したベンゼン環のオルト位の両方に置換基を導入した点に大きな特徴があり、従来技術からは着想し得なかったものである。即ち、理論に拘束されることを意図するものではないが、キサンテン環部位の10位が酸素原子であるローダミン化合物においては、キサンテン環のLUMOエネルギーレベル(最低空軌道)が比較的高いためキサンテン環は比較的安定であるが、キサンテン環10位の酸素原子を珪素原子に置換すると、キサンテン環のLUMOエネルギーレベルは酸素原子を含むローダミンのキサンテン環のLUMOエネルギーレベルより低くなり、LUMO係数の高いキサンテン環9位が、より求核攻撃を受けやすくなり、水分子による求核付加反応を受けキサンテン環の共役が切断され易くなる。このように、本発明は、ローダミン骨格のキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子等に置換することにより生じた問題を、キサンテン環9位に結合したベンゼン環の分子構造を制御することにより解決し得たものである。
一般式(I)で表される化合物は4級アンモニウム塩を形成するように適宜の対イオンXを有していてもよい。対イオンとしては、例えばハロゲンイオン、シアンイオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。一般式(I)で表される化合物は4級窒素カチオンと分子内に存在する酸性基(例えばカルボキシル基やスルホ基)などと分子内対イオンを形成していてもよい。また、一般式(I)で表される化合物は塩の形態で存在することもできる。塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができ、酸付加塩としては塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩や、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。これらのほか、グリシンなどのアミノ酸との塩を形成する場合もある。一般式(I)で表される化合物又はその塩は水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
一般式(I)で表される化合物は、置換基の種類により、1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1個又は2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体や2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体などの立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物の合成方法
本発明の一般式(I)の化合物は、例えば以下の方法により合成することができる。ここで、一般式(I)においてm2及びn2が1以上である化合物は合成スキーム1により、m2及びn2が0である化合物(化合物(Ia)ともいう)は合成スキーム2により、合成することができる。なお、以下の合成法においては、一般式(I)のRとR10、RとR11、XとY、R14aとR15a、R14aとR15b、m1とn1は同一である。
合成スキーム1
Figure 0006462587
Figure 0006462587
(1)工程(a)
一般式(II)の化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を、塩酸等の酸性水溶液と有機溶媒の混合溶媒に溶解し、0℃程度に冷却し、そこへ、1〜2当量のNaNO水溶液を滴下し、所定時間撹拌後、1〜10当量のヨウ化カリウムの水溶液を添加して反応させることにより、一般式(III)の化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を合成することができる。
(2)工程(b−1)
一般式(III)の化合物をトルエン等の有機溶媒に溶解し、一般式(IVa)の化合物(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りである)を1〜2当量及びCsCOを添加した後、アルゴン雰囲気下で、BINAP及び酢酸パラジウムを添加し、100℃程度の温度で所定時間反応させることにより、一般式(V)の化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びm2は、一般式(I)で定義した通りである)を合成することができる。
なお、一般式(VIa)の化合物とともに、一般式(IVb)の化合物(式中、R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)を加えて反応させる、もしくは、(IVa)と反応後、中間体を粗精製し、再度(IVb)と同条件で反応させることで、一般式(I)のRとR10、RとR11、XとY、R14aとR15a、R14aとR15b、m1とn1が同一でない化合物を合成することもできる。
Figure 0006462587
(3)工程(c)
一般式(V)の化合物をクロロホルム等の有機溶媒に溶解し、氷浴上で0℃程度に冷却した後、塩化スルホン酸と反応させることにより一般式(VI)の化合物(式中、R〜R15b、m1、m2、n1及びn2は、一般式(I)で定義した通りである)を合成することができる。
(4)工程(d)
一般式(V)の化合物をイソプロパノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、スルホン酸基などのイオン性基を保護する試薬(例えば、オルト蟻酸トリイソプロピル等)を1〜10当量添加し、60〜80℃で所定時間反応させることにより、一般式(VIa)の化合物を合成することができる。
(5)工程(e−1)
一般式(VII)の化合物(式中、R〜R、s1及びs2は、一般式(I)で定義したとおりであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である。保護基としては、例えば、t−ブチル基、オキサゾリン基が挙げられる)の2〜10当量を脱水THFなどの有機溶媒に溶解し、アルゴン雰囲気下で、2〜10当量のsec−ブチルリチウムTHF溶液を添加、その後一般式(VIa)の化合物のTHF溶液を添加し、所定時間加熱還流した後、室温に戻して塩酸溶液等を加え、更に所定時間加熱還流することにより、一般式(I)の化合物(但し、m2及びn2は1以上であり、R14b、R15bはスルホン基である)を合成することができる。
ここで、R3bの保護基Mが存在する場合には、塩酸溶液等を加え、加熱還流することにより、保護基Mを脱離する。
合成スキーム2
工程(a)は合成スキーム1と同じである。
Figure 0006462587
工程(b−2)
一般式(III)の化合物をトルエン等の有機溶媒に溶解し、一般式(IVc)の化合物(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りであり、Uは、R14b又はR14bに変換可能な置換基を示す)1〜2当量及び一般式(IVd)の化合物(式中R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、Vは、R15b又はR15bに変換可能な置換基を示す)1〜2当量及びCsCOを添加した後、アルゴン雰囲気下で、BINAP及び酢酸パラジウムを添加し、100℃程度の温度で所定時間反応させることにより、一般式(Va)の化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、U及びVは、夫々、一般式(IVc)及び(IVd)で定義した通りである)を合成することができる。
ここで、U、VのR14b又はR15bに変換可能な置換基としては、例えば、カルボニル基、ハロゲン基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基が挙げられる。
工程(e−2)
一般式(VII)の化合物(式中、R〜R、s1及びs2は、一般式(I)で定義したとおりであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である。保護基としては、例えば、t−ブチル基、オキサゾリン基が挙げられる)を2〜10当量脱水THFなどの有機溶媒に溶解し、アルゴン雰囲気下で、2〜10当量のsec−ブチルリチウムを添加後、一般式(Va)の化合物のTHF溶液を添加し所定時間加熱還流した後、室温に戻して塩酸溶液等を加え、更に所定時間加熱還流することにより、一般式(I)の化合物(但し、m2及びn2は1以上である)を合成することができる。
ここで、R3bの保護基Mが存在する場合には、工程(e−1)に記載した方法と同様にして保護基Mを脱離する。
また、U及びVが、夫々、R14bに変換可能な置換基及びR15bに変換可能な置換基である場合には、(e−2)の工程の前、当該工程中又は当該工程の後において、U及びVを、夫々、R14b及びR15bに変換する工程を含んでもよい。R14b及びR15bに変換するには、例えば、エステル保護基の加水分解反応などがある。
合成スキーム3
工程(a)〜(b)は合成スキーム1と同じである。
Figure 0006462587
工程(e−3)
一般式(VII)の化合物を2〜10当量、脱水THFなどの有機溶媒に溶解し、アルゴン雰囲気下で、2〜10当量のsec−ブチルリチウムTHF溶液を添加し、その後一般式(V)の化合物のTHF溶液を添加し、所定時間加熱還流した後、室温に戻して塩酸溶液等を加え、更に所定時間加熱還流することにより、一般式(Ia)の化合物を合成することができる。
ここで、R3bの保護基Mが存在する場合には、工程(e−1)に記載した方法と同様にして保護基Mを脱離する。
一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、消光団骨格として極めて有用である。従って、一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、好ましくはリンカーを介して、蛍光色素と結合させることにより、プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素など(以下、これらを「測定対象物」と呼ぶ場合がある)を特異的に測定するための蛍光プローブの母核構造として使用することができる。また、一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、好ましくはリンカーを介して、蛍光色素と結合させることにより、生体成分の蛍光標識のための蛍光標識試薬の母核構造として使用することができる。このような蛍光プローブは、酵素反応などによって蛍光色素と消光団の結合が切断され活性な蛍光色素が形成され、この蛍光色素による蛍光を測定することにより様々な酵素反応等の検出が可能となる。
例えば、プロトン、金属イオン、活性酸素種、又は酵素などを検出可能な蛍光プローブを製造するにあたり、一般式(I)で表される化合物の残基を利用することが可能である。また、生体成分の蛍光標識のための蛍光標識試薬を製造するにあたり、一般式(I)で表される化合物の残基を利用することができる。
従って、本発明の一つの実施態様は、プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素又は低酸素環境などを検出可能な蛍光プローブであって、一般式(I)で表される化合物の残基を含む蛍光プローブである。
また、本発明のもう一つ別の実施態様は、蛍光標識試薬であって、一般式(I)で表される化合物の残基を含む蛍光標識試薬である。
本明細書において「残基」の用語は、一般式(I)で表される化合物から1個又は2個以上の水素原子を除いた残りの化学構造を意味している。
本発明のもう一つ別の側面は、一般式(I)で表される化合物の残基を、存在する場合はリンカーを介して、蛍光色素と結合させた構造を有する化合物を含む蛍光プローブである。
また、本発明のもう一つ別の側面は、一般式(I)で表される化合物の残基を、存在する場合はリンカーを介して、蛍光色素と結合させた構造を有する化合物を含む蛍光標識試薬である。
本発明においては、蛍光色素として、従来公知の近赤外蛍光色素を使用することができる。このような近赤外蛍光色素としては、例えば、Cy7(GE Healthcare)、Cy7.5、ICG、Dy730、DY750、DY780(Dyomics GmbH)、 Alexa fluor 680、Alexa fluor 700、Alexa fluor 750、Alexa fluor 790(life technology)などが挙げられる。
リンカーは、一般式(I)で表される化合物が近赤外蛍光色素に対して消光団として作用することができるように選択されるが、この性質を有している限り、リンカーの種類は特に限定されることはない。リンカーは炭素原子のみからなるリンカーであってもよいが、窒素原子、イオウ原子、又は酸素原子などのヘテロ原子を1個又は2個以上含むリンカーでもよい。リンカーは直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるものであってもよい。例えば、リンカーの連結原子数は1から9個程度であり、1から6個程度であることが好ましい。本明細書において、リンカーの連結原子数とは、リンカーの一方の末端の原子から他方の末端の原子に至る最短経路に含まれる原子個数を意味する。リンカーは1又は2個以上の置換基を有していてもよい。
一般式(I)の化合物がリンカーを介して近赤外蛍光色素と結合する場合は、R3bの少なくとも1つは、水酸基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基又はアミノ基から選択される置換基であることが好ましい。このとき、一般式(I)の化合物とリンカーとの結合様式は特に限定されるものではないが、例えばアミド結合、エステル結合、スルホアミド結合などが挙げられる。
3bの少なくとも1つがこのような置換基であれば、本発明の化合物に蛍光団を容易に導入することができる。
リンカーの一例として、例えば、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、ペプチドリンカー、DNAリンカー、RNAリンカー等のリンカーを挙げることができる。
本発明の蛍光プローブの測定対象物として、金属イオンとしては、ナトリウムイオンやリチウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンなどを挙げることができる。活性酸素種としては、一酸化窒素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、スーパーオキシド、パーオキシナイトライト、又は次亜塩素酸などを挙げることができる。また、酵素としては、カテプシン、エラスターゼ、MMPなどを挙げることができる。また、本発明の蛍光標識試薬の測定対象物としては、GSHやシステインなどの生体成分を挙げることができる。もっとも、測定対象物はこれらに限定されることはない。
本発明の蛍光プローブの使用方法は特に限定されないが、例えば、単離精製した酵素、および細胞溶解液中に含まれる観察対象酵素の活性測定や、生細胞内での酵素活性の測定、長波長という光学特性を活かした生体組織中でのがんバイオマーカーとなる酵素の活性測定等が挙げられる。
また、本発明の一般式(I)で表される化合物を含む蛍光プローブは、活性酸素種、例えば、HOCl、ONOO、O 、ヒドロキシラジカルの測定に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[比較例1]
以下の合成スキーム3により、比較化合物1を合成した。
合成スキーム4
Figure 0006462587
(1)I−Si−キサントンの合成
Figure 0006462587
NH−Si−キサントン(228mg、0.85mmol)を2NHCl水溶液4mLとアセトニトリル4mLに溶解し、氷浴上で0℃に冷却した。そこに、水1mLに溶解させたNaNO(140mg、1.70mmol)を撹拌しながら滴下した。30分間撹拌後、水2mLに溶解させたKI(2.82g、8.50mmol)を激しく撹拌しながら滴下した。1時間撹拌後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、CHClを用いて化合物を抽出し、有機層の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)にて精製し、I−Si−キサントン(72mg、収率17%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.51 (s, 6H), 7.92 (dd, J = 8.10 Hz, J = 1.50 Hz, 2H), 7.98 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 8.09 (d, J = 8.10 Hz, 2H). 13C NMR (300MHz, DMSO): δ -1.65, 101.8, 131.8, 131.4, 139.5, 139.5, 140.9, 141.8, 187.0.
(2)インドリン−Si−キサントンの合成
Figure 0006462587
I−Si−キサントン(60mg、0.12mmol)を50mLシュレンク管に入れ、トルエン10mLに溶解させた。そこに、インドリン(28mg、0.24mmol)とCsCO(78mg、0.24mmol)を添加し、脱気後、アルゴン置換した。アルゴン雰囲気下で、BINAP(7.4mg、0.01mmol)とPd(OAC)(2.6mg、0.01mmol)を添加し、100℃で一晩撹拌した。濾過後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/ヘキサン=8/2)にて精製し、インドリン−Si−キサントン(31mg、収率54%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.52 (s, 6H), 3.20 (t, J = 8.10 Hz, 4H), 4.10 (t, J = 8.10 Hz, 4H), 6.86 (t, J = 7.50 Hz, 2H), 7.16 (t, J = 7.50 Hz, 2H), 7.23 (d, J = 7.20 Hz, 2H), 7.31-7.37 (m, 4H), 7.42 (d, J = 3.0 Hz, 2H), 8.47 (d, J = 9.00 HZ, 2H); 13C NMR (300MHz, DMSO):δ -1.20, 28.1, 51.8, 109.6, 117.6, 119.1, 120.3, 125.4, 127.2, 131.5, 132.1, 133.0, 140.4, 145.4, 146.3; HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 473.2049; found, 473.2007 (−4.2 mmu).
(3)2−Me−Si−QSY21(比較化合物1)の合成
Figure 0006462587
インドリン−Si−キサントン(44mg、0.09mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、アルゴン置換し、80℃で加熱還流した。その中に、1Mo−トリルマグネシウムブロミドのTHF溶液1mL(1mmol)を添加し、80℃で3時間加熱還流した。その後、室温に戻し、2NHCl溶液を加え、15分撹拌した。CHClで溶出後、溶媒を除去し、HPLCにて精製し、2−Me−Si−QSY21(15mg、収率30%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3CN):δ 0.65 (s, 6H), 2.16 (s, 3H), 3.26 (t, J = 8.10 Hz, 4H), 4.32 (t, J = 8.10 Hz, 4H), 7.12-7.49 (m, 16H), 7.57(d, J = 8.10 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 2.40 Hz, 2H); 13C NMR (300MHz, CDCl3):δ -1.5, -1.1, 19.5, 28.2. 53.1, 114.5, 117.2, 124.0, 125.6, 126.4, 127.8, 128.9, 129.2, 130.4, 130.5, 135.5, 135.7, 138.1, 141.7, 142.0, 148.8, 149.5; HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 547.2570; found, 547.2536 (−3.4 mmu).
(4)2−Me−Si−QSY21の吸収蛍光プロファイル
1Mの比較化合物1についてPBS、メタノール、DMFおよびクロロホルムの溶液(共溶媒としてそれぞれ0.1%のDMSOを含有)について、吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(励起波長760nm)を測定した。その結果を図1に示す。また、比較化合物1について得られた光物理特性を表1に示す。
Figure 0006462587
* For determination of the quantum efficiency of the fluorescence (φfl), ICG in DMSO (φfl = 0.13) was used as a fluorescence standard.
2−Me−Si−QSY21の吸収スペクトルは850nmまで到達し、近赤外光領域消光団に適した波長領域に吸収スペクトルを有していた。また、水中および有機溶媒中共に蛍光量子収率は低く、0.001以下であった。
[比較例2]
比較化合物1にスルホン基を導入した化合物(比較化合物2)を以下の合成スキームによる合成した。
合成スキーム5
Figure 0006462587
(1)SOH−インドリン−Si−キサントンの合成
Figure 0006462587
インドリン−Si−キサントン(400mg、0.93mmol)を10mLのCHClに溶解し、氷浴上で0℃に冷却した。そこにClSOH(259mg、204μL、2.23mmol)を撹拌しながら滴下した。TLCにて反応の進行を確認後、水を加え、有機溶媒のみを減圧留去し、水槽をHPLCにて精製し、SOH−インドリン−Si−キサントン(465mg、収率74%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO):δ 0.54 (s, 6H), 3.22 (t, J = 9.00 Hz, 4H), 4.15 (t, J= 9.00 Hz, 4H), 7.29 (d, J = 8.70 Hz, 2H), 7.45 (dd, J = 2.40, 8.70 Hz, 2H), 7.49 (s, 2H), 7.63-7.66 (m, 4H), 8.37 (d, 8.70 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3):δ -1.44, 27.1, 51.7, 108.1, 117.5, 119.5, 122.9, 125.1, 130.8, 131.8, 132.1, 140.1, 140.5, 144.9, 145.7, 183.6; HRMS (ESI): Calcd for [M−H], 630.0951; found, 630.0991 (+4.0 mmu).
(2)SOiPr−インドリン−Si−キサントンの合成
Figure 0006462587
SOH−インドリン−Si−キサントン(100mg、0.16mmol)を10mLi−プロパノールに溶解し、オルト蟻酸トリイソプロピル2mLを添加後、55℃で4時間撹拌した。目的物が析出後、濾過し、ヘキサンで洗浄してSOiPr−インドリン−Si−キサントン(80mg、収率71%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.54 (s, 6H), 1.31 (d, J = 6.00 Hz, 12H), 3.27 (t, J = 8.70 Hz, 4H), 4.22 (t, J = 8.70 Hz, 4H), 4.76 (sep, J = 6.00 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 1.50, 8.10 Hz, 2H), 7.41-7.46 (m, 4H), 7.69 (s, 2H), 7.70 (dd, J = 2.40, 7.80 Hz, 2H), 8.50 (d, J = 8.10 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3):δ -1.30, 22.9, 27.4, 52.4, 108.0, 119.2, 130.8, 124.6, 127.4, 128.8, 131.7, 132.7, 134.8, 140.5, 145.1, 150.1, 184.9; HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 717.2124; found, 717.2169 (+4.5 mmu).
(3)2−Me−SOH−Si−QSY21(比較化合物2)の合成
Figure 0006462587
SOiPr−インドリン−Si−キサントン(13mg、0.02mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、アルゴン置換し、80℃で加熱還流した。1Mのo−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液1mL(1mmol)を添加し、80°Cで3時間加熱還流した。その後、室温に戻し、2NHCl溶液を加え、100℃で3時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻した後、HPLCにて精製し、2−Me−SOH−Si−QSY21(4mg、収率32%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO):δ 0.67 (s, 3H), 0.70 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 3.25 (t, J = 7.50 Hz, 4H), 4.41 (t, J = 7.50 Hz, 4H), 7.15 (d, J = 9.10 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 7.50 Hz, 1H), 7.45-7.59 (m, 11H), 7.82 (d, J = 2.10 Hz, 2H); HRMS (ESI-): Calcd for [M-2H]-, 705.1549; found, 705.1586 (+3.7 mmu).
(4)2−Me−SOH−Si−QSY21の水中での吸収蛍光プロファイル
1Mの比較化合物2のPBS溶液(共溶媒として0.1%のDMSOを含有)について、吸収スペクトルを測定した。その結果を図2に示す。図2より、スルホン基の導入により吸収波長に変化は見られず、近赤外光領域の消光団として十分な吸収波長を有していることが分かる。
しかしながら、比較化合物2の吸収スペクトルの経時変化を観察したところ、図3に示すように、水中では徐々に吸収の減少が観察され、水中での不安定性が示唆された。ここで、400nm以上の波長に消光団の吸収の減少に伴う新たな吸収の増大が観察されなかったことから、キサンテン環9位への水分子の求核付加反応が起こっていると考えられる。
[実施例1及び2]
SOiPr−インドリン−Si−キサントンから、以下の合成スキームにより本発明の化合物1及び2を合成した。
合成スキーム6
Figure 0006462587
(1)2,6−diMe−SOHインドリン−Si−QSY21(化合物1)の合成
Figure 0006462587
アルゴン置換下、2−ブロモ−m−キシレン(28mg、0.15mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、−78℃に冷却した。その後、撹拌しながら1Msec−BuLiTHF溶液を150μL添加した。30分撹拌後、SOiPr−インドリン−Si−キサントン(11mg、0.015mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、添加した。添加後室温に戻し、60℃に加熱し、2時間撹拌した。撹拌後、2NHCl溶液を加え、2時間加熱還流を行い、有機溶媒を減圧留去した後に、HPLCにて精製し、2,6−diMe−SOHインドリン−Si−QSY21(5mg、収率46%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO):δ 0.70 (s, 6H), 2.05 (s, 6H), 3.33 (br, 4H), 4.43 (t, 6.60 Hz, 4H), 7.27-7.43 (m, 7H), 7.62 (d, J = 8.70 Hz, 2H), 7.75-7.84 (m, 6H); HRMS (ESI): Calcd for [M−2H], 719.1706; found, 709.1702 (−0.4 mmu).
(2)2,6−diOMe−SOHインドリン−Si−QSY21(化合物2)の合成
Figure 0006462587
アルゴン置換下、2,6−ジメトキシブロモベンゼン(32.6mg、0.15mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、−78℃に冷却した。その後、撹拌しながら1Msec−BuLiTHF溶液を150μL添加した。30分撹拌後、SOiPr−インドリン−Si−キサントン(14mg、0.02mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、添加した。添加後室温に戻し、60℃に加熱し、2時間撹拌した。撹拌後、2NHCl溶液を加え、2時間加熱還流を行い、有機溶媒を減圧留去した後に、HPLCで精製し、2,6−diOMe−SOHインドリン−Si−QSY21(6mg、収率41%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO):δ 0.66 (s, 6H), 3.24 (t, J = 7.50 Hz, 4H), 3.66 (s, 6H), 4.39 (t, J = 7.50 Hz, 4H), 6.93 (d, J = 8.70 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 9.60 Hz, 2H), 7.43 (dd, J = 2.10, 9.60 Hz, 2H), 7.49-7.61 (m, 7H), 7.78 (d, J = 2.10 Hz, 2H); HRMS (ESI-): Calcd for [M−2H], 751.1604; found, 751.1567 (−3.7 mmu).
(3)化合物1及び2の吸収プロファイル
化合物1及び2のPBS溶液(共溶媒として0.1%のDMSOを含有)について、吸収スペクトルの経時変化を測定した。その結果を図4a及び図4bに示す。
図4で示すように、化合物1及び2は共に水中での吸収の減少は観察されなかった。この結果より、キサンテン環9位に結合したベンゼン環のオルト位に置換基を導入することで、キサンテン環9位への求核攻撃を抑え、化合物の水中での安定が向上したと考えられる。
[実施例3]
SOH−インドリン−Si−キサントンから以下の合成スキームにより化合物3を合成した。
合成スキーム7
Figure 0006462587
a) 2-(4-bromo-3,5-dimethoxyphenyl)-4,4-dimethyl-4,5-dihydrooxazole, sec-BuLi, THF, 60 °C, ii) 2N HClaq, acetone, reflux, 2 days, y. 60%
2,6−diOMe−SOHインドリン−Si−QSY21 COOH(化合物3)の合成
アルゴン置換下、2−(4−ブロモ−3,5−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール(65mg、0.21mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、−78℃に冷却した。その後、撹拌しながら1Msec−BuLiTHF溶液を210μL添加した。30分撹拌後、SOiPr−インドリン−Si−キサントン(30mg、0.042 mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、添加した。添加後室温に戻し、60℃に加熱し、2時間撹拌した。撹拌後、6NHCl溶液を加え、2時間加熱還流を行い、有機溶媒を減圧留去した後に、HPLCで精製し、化合物3(2,6−diOMe−SOHインドリン−Si−QSY21 COOH)(20mg、0.025mmol、収率60%)を得た。
[実施例4]
以下の合成スキームにより本発明の化合物4を合成した。
Figure 0006462587
合成スキーム8
Figure 0006462587
(1)テトラヒドロキノリン―Si―キサントンの合成
Figure 0006462587
I−Si―キサントン(245mg、0.50mmol)を50mLシュレンク管に入れ、トルエン10〜20mLに溶解させた。そこに、テトラヒドロキノリン(1.33g、2.00mmol)とCsCO(3.25g、2.00mmol)を添加し、脱気後、アルゴン置換した。アルゴン雰囲気下で、BINAP(62mg、0.05mmol)とPd(OAc)(22mg、0.05mmol)を添加し、100℃で一晩撹拌した。溶液を室温に戻した後に水を加え、CHClで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで脱水後、溶媒を除去した。その後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/ヘキサン=1/1)にて精製し、テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(150mg、収率60%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.43 (s, 6H), 2.06 (qt, J = 6.0 Hz, 4H), 2.82 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 3.74 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 6.87 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.04 (dt, J = 1.5, 8.7 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.34 (dd, J = 3.0, 9.0 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 8.39 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ-1.43, 23.6, 27.4, 49.1, 118.7, 120.9, 121.8, 123.6, 126.3, 128.4, 129.3, 131.3, 134.1, 140.2, 142.1, 150.4, 185.3; HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 501.2362; found, 501.2412 (+5.0 mmu).
(2)SOH―テトラヒドロキノリン―Si―キサントンの合成
Figure 0006462587
テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(50mg、0.10mmol)を10mLのCHClに溶解し、氷浴上にて0℃に冷却した。そこにClSOH(182μL)を滴下し、溶液を2時間、0℃で撹拌した。その後、水を加えて反応を止めた後に、減圧留去によってCHClを除き、残った水溶液をHPLCにて精製し、SOH―テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(78mg、quant)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO): δ0.46 (s, 6H), 1.97 (q, J = 6.0 Hz, 4H), 2.76 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 3.74 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 7.03 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.38-7.42 (m, 4H), 7.55 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 8.21 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, DMSO): δ-1.6, 23.1, 26.9, 38.7, 38.9, 39.2, 39.5, 39.8, 40.1, 40.3, 48.8, 117.2, 121.5, 123.7, 123.8, 126.7, 127.4, 130.5, 133.2, 140.3, 141.7, 149.9, 183.8; HRMS (ESI-): Calcd for [M-H]-, 658.1264; found, 658.1243 (-2.1 mmu).
(3)SOiPr―テトラヒドロキノリン―Si―キサントンの合成
Figure 0006462587
SOH―テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(66mg、0.10mmol)を3.0mLのCHClと1.0mLのDMFの混合液に溶解させた後に、アルゴン雰囲気下、0℃に冷却した。その溶液に、塩化オキサリル(85μL、0.50mmol)を添加し、その溶液を2時間撹拌した。その後、溶媒を減圧留去し、残渣をアルゴン雰囲気下CHClに溶解させた。そこに15mLのピリジンと5.0mLのi−プロパノールを加え、混合液を室温で2時間撹拌した。その後、溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/酢酸エチル=1/1)にて精製し、SOiPr―テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(26mg、収率35%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.48 (s, 6H), 1.31 (d, J = 6.6 Hz, 12H), 2.14 (tt, J = 6.0 Hz, 4H), 2.93 (t, J = 6.00 Hz, 4H), 3.80 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 4.75 (sep, J = 6.0 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.42-7.50 (m, 6H), 7.62 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 8.47 (d, J = 7.8 Hz, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ-1.47, 22.2, 22.9, 27.5, 50.4, 115.4, 125.3, 125.4, 126.3, 126.5, 127.5, 129.3, 131.8, 136.8, 140.8, 147.5, 149.4, 185.5; HRMS (ESI+): Calcd for [M+Na]+, 767.2257; found, 767.2210 (-4.7 mmu).
(4)2,6−diMe−SOHテトラヒドロキノリン―Si―QSY21(化合物4)の合成
Figure 0006462587
アルゴン置換下、2−ブロモーm―キシレン(28mg、0.15mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、−78Cに冷却した。その後、撹拌しながら1Msec−BuLiTHF溶液(150μL、0.15mmol)を添加した。30分撹拌後、SOiPr―テトラヒドロキノリン―Si―キサントン(11mg、0.02mmol)を脱水THF2.0mLに溶解させ、添加した。添加後室温に戻し、2時間撹拌した。撹拌後、2NHCl溶液を加え反応を止めた後に、さらに15分間撹拌した。その後、CHClにて抽出後、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧留去した。残渣を2NHClとアセトニトリルの混合液に溶解し、溶液をアルゴン雰囲気下で加熱還流した。溶液を室温に戻した後に、その溶液をHPLCにて精製し、2,6−diMe−SOHテトラヒドロキノリン―Si―QSY21(6mg、収率54%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO): δδ0.58 (s, 6H), 1.98 (br, 10H), 2.76 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 4.01 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 7.04 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 7.24 (dd, J = 2.4, 9.3 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.36-7.47 (m, 5H), 7.53 (s, 2H), 7.81 (d, J = 2.1 Hz, 2H); HRMS (ESI-): Calcd for [M-2H]-, 747.2019; found, 747.2051 (+3.2 mmu). HPCL analysis; eluent, a 20-min linear gradient, from 1% to 100% solvent B; flow rate, 1.0 ml/min; detection wavelength, 650 nm.
2,6−diMe−SOHインドリン―Si―QSY21(化合物1)と2,6−diMe−SOHテトラヒドロキノリン―Si―QSY21(化合物4)のPBS(1%DMSO)中での吸収スペクトルを図5に示す。化合物1の極大吸収波長は763nmであり、化合物4の極大吸収波長は732nmであった。
[実施例5]
MMPプローブの調製
化合物3を用いて、生体内での血中滞留性が6時間程度は確認されているPEG11をC末端に結合させたプローブを合成し、動物個体への応用を検討した(Zhu, L., et al, Theranostics, 2011, 1, 18-27)。また、本プローブにおいてはN末端側に蛍光団(Dy720)を結合させた。リンカーは広範なMMPにより認識されると考えられている配列であるPLGVRGを使用した。また、コントロールとして同時にD体のアミノ酸を用いたプローブを合成した。
MMPプローブの構造と合成スキームを以下に示す。
MMPプローブ(Si−QSY780)の構造
Figure 0006462587
合成スキーム9
Figure 0006462587
a) Ac2O, pyridine, crude; b) TFA, CH2Cl2, crude.
(1)N−(35−アミノ−3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサペンタトリアコンチル)アセトアミドの合成
tert−ブチル(35−アミノ−3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサペンタトリアコンチル)カルバメート(1g、1.56mmol)を無水酢酸2mL、ピリジン2mLの混合溶媒に溶解させ、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、トリフルオロ酢酸2mLを添加し、4時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、N−(35−アミノ−3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサペンタトリアコンチル)アセトアミド(1.2g、quant)を得た。HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 587.3755; found, 687.3708 (-4.7 mmu).
合成スキーム10
Figure 0006462587

a) DY730-SE, DIEA, DMF, crude; b) TFA, triethylsilane, H2O, crude ; c) SulfoSiQSY780-SE, DIEA, DMF, y.7% (in 3steps); d) 3, HATU, DIEA, DMF, y.51%.
(2)MMPプローブの合成
DY730−SE(20mg)とペプチドリンカー(20mg)をDMF2mLに溶解させ、そこにDIEAを3滴滴下後、4時間室温で撹拌した。それを減圧留去後、TFA2mL、トリエチルシラン10μL、水10μLの混合溶媒に溶解させ、2時間室温で撹拌した。それを減圧留去後、HPLCで粗精製を行った。目的物の分画を凍結乾燥し、得られた固体をDMF1mLに溶解させ、sulfoSiQSY0−SE(5.2mg)を添加し、DIEA3滴滴下後、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、HPLCで精製し、中間体(5mg、収率7%)LRMS (ESI+): 1120 [M]2+を得た。これをDMF2mLに溶解させ、N−(35−アミノ−3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサペンタトリアコンチル)アセトアミド(15mg、)を添加し、HATU(38mg)添加後、室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、HPLCで精製し、MMPプローブ(3.2mg、収率51%)を得た。LRMS (ESI+): 1404 [M]2+
合成スキーム11
Figure 0006462587

a) DY730-SE, DIEA, DMF, crude; b) TFA, triethylsilane, H2O, crude; c) SulfoSiQSY780-SE, DIEA, DMF, y.7% (3steps); d) PEG11, HATU, DIEA, DMF, y.87%.
(3)コントロールMMPプローブの合成
DY730−SE(20mg)とコントロールペプチドリンカー(20mg)をDMF2mLに溶解させ、そこにDIEAを3滴滴下後、4時間室温で撹拌した。それを減圧留去後、TFA2mL、トリエチルシラン10μL、水10μLの混合溶媒に溶解させ、2時間室温で撹拌した。それを減圧留去後、HPLCで粗精製を行った。目的物の分画を凍結乾燥し、得られた固体をDMF1mLに溶解させ、sulfoSiQSY0-SE(5.2 mg, )を添加し、DIEA3滴滴下後、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、HPLCで精製し、中間体(5.2 mg、収率7%)を得た。LRMS (ESI+): 995 [M]2+これをDMF2mLに溶解させ、N−(35−アミノ−3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサペンタトリアコンチル)アセトアミド(15mg)を添加し、HATU(38mg)添加後、室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、HPLCで精製し、コントロールMMPプローブ(5.4mg、収率87%)を得た。
LRMS (ESI+): 853 [M+H]3+.
[実施例6]
(1)MMPプローブを用いた酵素反応の観察
MMPプローブ(Si−QSY780)がMMPによって切断されることをin vitroで確認した。
MMPプローブのTCN緩衝液及びTCNB緩衝液(いずれも共溶媒として0.1%DMSOを含有、プローブの最終濃度:1μM)について、酵素反応前後での吸収及び蛍光スペクトルを図5(MMP−14)及び図7(MMP−9)に示す(各図において左側の図は吸収スペクトルを右側の図は蛍光スペクトルを示す)。酵素反応は、MMP−14(MT1−MMP)触媒ドメイン(5μg)(図6)または、MMP−9触媒ドメイン(5μg)(図7)を添加し、2日間培養して行った。励起波長は720nmである。
図6及び図7で、酵素反応後に蛍光強度が増大しており、MMPによりプローブが切断されたことが示される。
(2)MMPプローブを用いた培養細胞系でのイメージング
MMPプローブ(Si−QSY780)を用いて、以下のプロトコルにより培養細胞でのイメージングを行った。
プロトコル
・HT−1080細胞を5×10細胞/mLで8チャンバーに撒き、2日間培養
・PBSで洗浄後、HBSSに置換
・プローブを1μMになるように添加
・6時間培養
・撮像(IX71(オリンパス))
MMPプローブ(1μM)又はコントロール(いずれも共溶媒として0.1%DMSOを含有するHBSS溶液)によるHT−1080細胞のDIC及び蛍光像を図8に示す。
図8で示されるように、細胞外液、および細胞内での蛍光上昇が観察され、コントロールとの有意差は認められた。
(3)MMPプローブを用いた皮下腫瘍モデルマウスでのイメージング
本発明の蛍光プローブがin vivoイメージングに応用可能であることを示すために、合成したMMPプローブ(Si−QSY780)を用いてin vivoでのMMP活性の検出を行った。モデルとしてはHT−1080細胞を左下肢に皮下注射して作製した皮下腫瘍モデルマウスでの検討を以下のプロトコルに基づき行った。
プロトコル
・HT−1080細胞をBALBnu/nuマウス(雌6週齢)の皮下に1000000細胞/100μL打ち込み、腫瘍を作製
・麻酔下でプローブ100μMを100μL尾静注により投与
・各時間で撮像
図9は、MMPプローブ(100μM)又はコントロール(いずれも共溶媒として0.1%DMSOを含有する100μLのPBS溶液)を尾静注により投与したHT−1080腫瘍保持ヌードマウスの蛍光像を示す。
また、図10は、MMPプローブ(n=5)又はコントロール(n=5)を腫瘍組織に静注したときの、組織におけるMMPプローブ又はコントロールの蛍光強度の経時変化(左図)及びMMPプローブ又はコントロールの蛍光強度比(Tumor/Muscle)の経時変化(右図)を示す。
皮下腫瘍モデルマウスに静注することで、腫瘍近傍のMMP活性を検出可能であった。特に、腫瘍と正常組織との接触部位での蛍光強度が高くなっている。これは、これまでにMMPsenseを用いてMMPを検出した場合にも同様の現象が観察されることが知られており、がんの浸潤、転移に関係があるMMPの活性ががんと血管の接触部位で上昇していると考えられている。
プローブとコントロールでの有意差はあり、2時間以内にはMMP活性が確認できるようになっている。コントロールの蛍光が上昇しているのは、腫瘍部位だけでなく全身の蛍光値が上昇しているため、長時間滞留しているプローブが非特異的に切断されるなどして蛍光が上昇していると考えられる。
これらの結果から、実際に本発明の化合物は動物個体におけるイメージングに応用可能であることが示された。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I):

    Figure 0006462587
    (式中、
    、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又は炭素数1〜6個のアルコキシ基を示し;
    3aは、ベンゼン環上に存在する1価の置換基を示し;
    3bは、存在する場合はリンカーを介して蛍光色素と結合することができる置換基を示し;
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
    、R、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示し;
    12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示し;
    14a及びR15aは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
    14b及びR15bは、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基を示し;
    X及びYは、それぞれ独立に−C(R16)(R17)−、−C(R18)(R19)−C(R20)(R21)−、又は−C(R22)=C(R23)−(式中、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示す)を示し;
    Zは、珪素原子、ゲルマニウム原子、炭素原子又はスズ原子を示し;
    m1及びm2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、m1+m2は4以下であり:
    n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、n1+n2は4以下であり;
    s1及びs2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、但し、s1+s2は3以下である。)
    で表される化合物又はその塩。
  2. m2及びn2は、それぞれ独立に、1以上である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. s2が1以上である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. 下記の一般式(I)
    Figure 0006462587
    (式中、
    、R は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又は炭素数1〜6個のアルコキシ基を示し;
    3a は、ベンゼン環上に存在する1価の置換基を示し;
    3b は、存在する場合はリンカーを介して蛍光色素と結合することができる置換基を示し;
    、R 、R 及びR は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
    、R 、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示し;
    12 及びR 13 は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示し;
    14a 及びR 15a は、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
    14b 及びR 15b は、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、スルホン基、リン酸基又はカルボキシル基を示し;
    X及びYは、それぞれ独立に−C(R 16 )(R 17 )−、−C(R 18 )(R 19 )−C(R 20 )(R 21 )−、又は−C(R 22 )=C(R 23 )−(式中、R 16 、R 17 、R 18 、R 19 、R 20 、R 21 、R 22 、及びR 23 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基、水酸基又はハロゲン原子を示す)を示し;
    Zは、珪素原子、ゲルマニウム原子、炭素原子又はスズ原子を示し;
    m1及びm2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、m1+m2は4以下であり:
    n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、但し、n1+n2は4以下であり;
    s1及びs2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、但し、s1+s2は3以下である。)
    で表される化合物を製造する方法であって、
    下記の工程:
    (a)下記の一般式(II)で表される化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を酸性条件下で亜硝酸ナトリウム及びヨウ化カリウムと反応させて下記の一般式(III)で表される化合物(式中、R〜R、R12及びR13は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程;
    Figure 0006462587
    を含む、該製造方法。
  5. 前記工程(a)に続いて、
    (b−1)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAPの存在下で、下記の一般式(IVa)(式中、R、R、R14a、X及びm1は、一般式(I)で定義した通りである)、及び一般式(IVb)(式中、R10、R11、R15a、Y及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(V)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程
    Figure 0006462587
    (c)上記の一般式(V)の化合物を、塩化スルホン酸と反応させることにより、下記一般式(VI)で表される化合物(式中、R〜R14a、R15a、m1、m2、n1及びn2は、一般式(I)で定義した通りであり、R14b、R15bはスルホン基である。)を得る工程;
    Figure 0006462587
    (d)一般式(VI)の化合物を保護試薬と反応させて、下記一般式(VIa)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a及びR15a、m1、m2、n1及びn2は、一般式(I)で定義した通りであり、(R14b’−L)及び(R15b’−L)は、夫々、R14b及びR15bが保護基Lにより保護された基を示す)を得る工程
    Figure 0006462587
    (e−1)上記一般式(VIa)の化合物を、下記一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、前記保護基Lを脱離し、及び、式(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して、一般式(I)で表される化合物(但し、m2及びn2は1以上であり、R14b、R15bはスルホン基である)を得る工程;
    Figure 0006462587
    を含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記工程(a)に続いて、
    (b−2)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAP等のパラジウム触媒の存在下で、下記の一般式(IVc)(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りであり、Uは、R14b又はR14bに変換可能な置換基を示す)、及び一般式(IVd)(式中R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、Vは、R15b又はR15bに変換可能な置換基を示す)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(Va)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りであり、U及びVは、夫々、一般式(IVc)及び(IVd)で定義した通りである)を得る工程;
    Figure 0006462587
    (e−2)上記一般式(Va)の化合物を、下記一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、式(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して、一般式(I)で表される化合物(但し、m2及びn2は1以上である)を得る工程(ここで、U及びVが、夫々、R14bに変換可能な置換基及びR15bに変換可能な置換基である場合には、(e−2)の工程の前、当該工程中又は当該工程の後において、U及びVを、夫々、R14b及びR15bに変換する工程を含んでもよい);
    Figure 0006462587
    を含む、請求項4に記載の製造方法。
  7. 前記工程(a)に続いて、
    (b−1)前記一般式(III)の化合物を、酢酸パラジウム及びBINAP等のパラジウム触媒の存在下で、下記の一般式(IVa)(式中、R、R、R14a及びm1は、一般式(I)で定義した通りである)、及び一般式(IVb)(式中R10、R11、R15a及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)で表される化合物と反応させて、下記の一般式(V)で表される化合物(式中、R〜R13、R14a、R15a、m1及びn1は、一般式(I)で定義した通りである)を得る工程
    Figure 0006462587
    (e−3)一般式(V)の化合物を、一般式(VII)で表される化合物(式中、R〜R3b、s1及びs2は、一般式(I)で定義した通りであり、Mは、存在する場合はR3bの保護基である)と反応させ、その後、(VII)においてMが存在する場合には保護基Mを脱離して一般式(I)で表される化合物(但し、n1及びn2は0である)を得る工程;
    Figure 0006462587
    を含む、請求項4に記載の製造方法。
  8. プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素又は低酸素環境を検出可能な蛍光プローブであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物とR 3b の置換基、及び存在する場合はリンカーを介して結合した蛍光色素を含む蛍光プローブ。
  9. 求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物とR 3b の置換基、及び存在する場合はリンカーを介して結合した蛍光色素を含む蛍光標識試薬。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物とR 3b の置換基、及び存在する場合はリンカーを介して、蛍光色素と結合させた構造を有する化合物を含む蛍光プローブ。
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