JP6461657B2 - 無機質系発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は無機質系発泡体の製造方法に関し、詳しくは、断熱性、不燃性などを有し、軽量で機械的強度も十分な無機質系発泡体の製造方法に関するものである。
合成樹脂を発泡させた発泡体は、軽量で断熱性に優れ、各種装置や建物などの断熱材、その他に広く用いられている。特にこのような発泡体のうち、塩化ビニル樹脂発泡体は、耐薬品性、機械的強度などの点においても優れており、広く一般的に用いられている。
しかし、この塩化ビニル樹脂は、難燃性ではあるものの不燃性ではない。また、熱に対して比較的弱く、高温の雰囲気下においては体積収縮が大きいという欠点がある。
そこで、この点を改善するべく、耐熱性に優れ、熱せられても体積収縮を小さく抑えることのできる無機物質を混合して発泡させた無機質系発泡体(以下、単に発泡体ともいう。)が開発されている。
例えば、炭酸カルシウム、タルクなどの無機物質充填材を基材とし、これに塩化ビニル樹脂、発泡剤、有機溶剤を添加後、ニーダーで混練し、得られた混練物を加圧した金型内で加温、冷却した後、除圧することにより発泡させたものが知られている。この方法によれば、無機物質充填材を高い比率で含有する発泡体を得ることが可能である。
しかし、このような発泡体は、燃焼時の総発熱量、最大発熱速度は小さいものの、高温の雰囲気下で発生する収縮、亀裂が顕著で、建築基準法第2条第9号に示される不燃材料及び準不燃材料としての性能評価試験であるコーンカロリーメーターによる発熱性試験に合格するものではなかった。
一方、合成樹脂の難燃剤として水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物が知られており、合成樹脂発泡体に金属水酸化物を配合して無機質系発泡体とすることにより難燃性を付与できることが知られている。しかし、該無機質系発泡体に金属水酸化物を多量に配合すると、発泡性が低下し、低見掛け密度の発泡体を得ること自体が困難となる。また、燃焼時に、水酸化アルミニウムの脱水反応の影響で、発泡体の収縮や亀裂の程度が大きくなる問題がある。このようなものは前記の発熱性試験における性能評価試験に合格するものとはならない。
これらの課題を解決するために、本出願人は、金属水酸化物10〜30重量部を配合し、さらに無機繊維ウィスカー所定量添加する無機質系発泡体の製造方法を提案した(特許文献1)。
この製造方法によって、燃焼時の総発熱量、最大発熱速度が小さく、かつ収縮及び表面の亀裂を抑制することのできる不燃性の改良された無機質系発泡体を得ることができるようになった。
特開2007−39644
しかし、特許文献1に記載の方法により得られた無機質系発泡体に比べ、更に優れた不燃性を有する発泡体が望まれている。具体的には、実際に火災が起きた場合であっても、不燃性がより安定的に発現する無機質系発泡体が望まれている。そのためには、無機質系発泡体中の金属水酸化物の配合量をさらに増やす方法が考えられる。しかし、金属水酸化物の配合量を増やしすぎると、具体的には、特許文献1の配合を前提として水酸化アルミニウムの配合量を30重量部超にすると、所望される低見掛け密度まで発泡させることが困難になり、さらに得られた発泡体が、燃焼試験時に著しく収縮してしまうという問題や、亀裂が発生してしまうという問題が生じた。
本発明は、金属水酸化物を多量に配合しても、安定して低見掛け密度の発泡体を得ることができ、かつ安定的に不燃性を発現する発泡体を得ることができる、無機質系発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下に示す無機質系発泡体の製造方法が提供される。
[1](a)塩化ビニル樹脂5〜25重量部、(b)水酸化アルミニウム30〜50重量部、(c)水酸化カルシウム20重量部以上、(d)硫酸カルシウムウィスカー6〜15重量部、(e)三酸化二アンチモン0.5〜3重量部、及び(f)その他の無機質充填材0〜15重量部(ただし、(a)〜(f)の総和が100重量部である。)と、熱分解型発泡剤と、芳香族炭化水素系溶剤とを混練し、該混練物を加圧した金型内で加温、冷却した後、除圧することにより発泡させる、無機質系発泡体の製造方法。
本発明の無機質系発泡体の製造法によれば、金属水酸化物として水酸化アルミニウムと水酸化カルシウムを併用し、無機繊維ウィスカーとして硫酸カルシウムウィスカーを用いることにより、多量の金属水酸化物を配合しても安定して低見掛け密度の発泡体を得ることができ、さらに硫酸カルシウムウィスカーを特定量配合することにより、金属水酸化物の配合量を多くしても、燃焼試験時の発泡体の体積収縮、亀裂の発生が防止、抑制され、不燃性に優れ且つ低見掛け密度の無機質系発泡体を得ることができる。
以下、本発明の無機質系発泡体の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、(a)塩化ビニル樹脂、(b)水酸化アルミニウム、(c)水酸化カルシウム、(d)硫酸カルシウムウィスカー、(e)三酸化二アンチモン、及び(f)その他の無機質充填材と、熱分解型発泡剤と、芳香族炭化水素系溶剤とを混練し、該混練物を加圧した金型内で加温、冷却した後、除圧して発泡させることにより無機質系発泡体が製造される。
本発明において用いられる(a)塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルを単量体を主成分として50重量%以上含有する重合体であればよく、一般の塩化ビニル系樹脂を広く用いることができる。また、その性状も特に限定されることはなく、乳化重合法によるペーストレジン、懸濁重合法によるサスペンションレジン、塊重合法による塊重合レジンのいずれも使用することができる。但し、発泡体の製造上、粒子径が小さいペーストレジンが好ましい。
該塩化ビニル樹脂は1000〜5000の平均重合度を有するものが好ましく、2000〜4000の平均重合度を有するものがさらに好ましい。平均重合度がこの範囲内であることにより、より安定して低見掛け密度の発泡体を得ることができようになる。これら塩化ビニル樹脂は単一の樹脂の使用に限らず、異なる重合度の樹脂を2種以上混合して使用することもできる。
該塩化ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K 6720−2(1999年)に基づいて測定されたものである。具体的には常温で乾燥した塩化ビニル樹脂約0.2gを50mlメスフラスコに秤量し、これに約40mlのニトロベンゼンを加えて100℃に加熱した。試料が完全に溶解したことを確認した後、メスフラスコを冷却して、新たにニトロベンゼンを加えて温度30℃、全量50mlに調整し、この溶液を試験液とし、自動粘度計(ウッベローデ型粘度計)で試験液の落下秒数を測定する一方で同様の方法によりニトロベンゼンの落下秒数を測定し、同JISに従って比粘度を求める。その比粘度の測定を3回行ない、その平均値を求める。続いて、比粘度の平均値を使用し、同JISに記載の式(1)及び式(2)より塩化ビニル樹脂の平均重合度が算出される。
該塩化ビニル樹脂の配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、5〜25重量部である。該配合量が少なすぎると、無機質系発泡体を製造することができなくなるおそれがある。一方、該配合量が多すぎると、不燃性が低下するおそれがある。かかる観点から、該配合量の下限は、10重量部が好ましく、より好ましくは15重量部である。また、該配合量の上限は、23重量部であることが好ましく、より好ましくは20重量部である。
本発明においては、不燃性を付与するための金属水酸化物として、(b)水酸化アルミニウムと(c)水酸化カルシウムが用いられる。
水酸化アルミニウムや水酸化カルシウムは、脱水温度が発泡体製造時に脱水が開始するほど低くなく、また発泡体の燃焼が相当進行した後に脱水が開始するほど高くもないので好ましいものである。すなわち、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムは、発泡体が200〜400℃に加熱されたときに脱水分解し、そのときの吸熱によって発泡体燃焼時の発熱量を小さくして発泡体の温度上昇を抑制することができる。
水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムの粒径は、一般に小さいほど燃焼特性に対する効果が大きくなる傾向にあり、100メッシュパスが好ましく、200メッシュパスが更に好ましく、300メッシュパスが特に好ましい。粒径が大きすぎると、燃焼時の試験体の収縮が大きくなり、不燃材料としての性能評価試験であるコーンカロリーメータによる発熱性試験の基準を満たすことが困難となる。
なお、前記メッシュとは、篩における1インチあたりの目数を意味する。
(b)水酸化アルミニウムの配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、30〜50重量部である。水酸化アルミニウム単独では、30重量部超になると低密度の発泡体を得ることが難しくなるのに対し、水酸化カルシウムと組合わせると、配合量が30重量部以上であっても、50重量部以下であれば、低見掛け密度の発泡体を得ることができる。不燃性向上の観点から、該配合量の下限は、35重量部以上であることが好ましい。一方、発泡体製造の容易さからは、該配合量の上限は45重量部であることが好ましい。
(c)水酸化カルシウムの配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、20重量部以上である。該配合量が少なすぎると、(b)水酸化アルミニウムの配合量増大効果が小さくなるおそれがある。一方、その上限は、好ましくは40重量部、更に好ましくは30重量部である。水酸化アルミニウムに水酸化カルシウムを組合わせると、水酸化アルミニウムの配合量が増大することに加え、水酸化カルシウムも20重量部以上配合することができるので、金属水酸化物を全体として50重量部以上配合することができる。
本発明においては、無機繊維ウィスカーとして(d)硫酸カルシウムウィスカーが配合される。無機繊維ウィスカーは発泡体中に均一に分散するため、発泡体中には無機繊維ウィスカーの三次元的網目構造が形成され、燃焼時においても発泡体の形状が保持され表面の亀裂の発生を防ぐことができる。無機繊維ウィスカーの中でも、硫酸カルシウムウィスカーは、燃焼時の収縮防止、亀裂抑制効果に優れることに加え、さらに前記(b)水酸化アルミニウムや(c)水酸化カルシウムの配合量を多くしても、硫酸マグネシウムウィスカー等の他の無機繊維ウィスカーでは得ることができない、低見掛け密度の無機質系発泡体を得ることができる。
硫酸カルシウムウィスカーの配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、6〜15重量部、好ましくは7〜14重量部である。該配合量が少なすぎると、所望される収縮防止効果、亀裂抑制効果、低見掛け密度化効果が得られないおそれがある。一方、該配合量が多すぎると、低見掛け密度の発泡体が得られなくなったり、独立気泡率が低下したりするおそれがある。
本発明においては、硫酸カルシウムウィスカーの平均繊維径は5μm以下であることが好ましく、3μm以下がより好ましい。該平均繊維径の下限は通常は0.1μmである。繊維径が5μm以下のものは、一次粒子のアスペクト比が大きくなるため無機繊維ウィスカーの三次元的絡み合いによる発泡体形状の保持効果が大きくなり、発熱性試験における燃焼時においても発泡体の形状が保持され表面の亀裂の発生を効果的に防ぐことができる。
また、硫酸カルシウムウィスカーの平均繊維長は200μm以下であることが好ましく、100μm以下がより好ましい。該平均繊維長の下限は通常は1μmである。該平均繊維長が200μm以下であると、得られる発泡体は独立気泡率の高いものにすることができると共に収縮による高密度化を防いで、化学発泡剤の量に見合う高い発泡効率が達成できる。
尚、該「平均繊維長」は1000倍の電子顕微鏡写真をもとに、50本のウィスカーの繊維長を測定し、その測定値の算術平均値をいう。また、該「平均繊維径」は無機繊維ウィスカー100本の繊維径の算術均値をいう。なお、繊維径とは、繊維横断面形状が円形である場合は、その直径をいい、繊維横断面形状が非円形である場合は、その断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。
本発明においては、難燃剤として(e)三酸化二アンチモンが用いられる。三酸化二アンチモンは、燃焼時に発泡体表面に強固な炭化被膜を形成し、発泡体への着火と燃焼の継続を抑制する効果を発現するものである。
三酸化二アンチモンの配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、0.5〜3重量部である。該配合量が多すぎると、発泡体燃焼時の難燃剤自体の重量減少から体積収縮を起し易くなる。それとともに、低見掛け密度の発泡体を製造しにくくなる。一方、該配合量が少なすぎると、燃焼時の着火や燃焼の継続を抑制する効果が発現しないおそれがある。
本発明においては、前記無機化合物とは異なる、(f)その他の無機質充填材が配合される。該無機充填材としては、チタン、鉄、亜鉛等の炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、酸化物、もしくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げられ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、石膏、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ガラスフレーク、水和アルミニウム、水和石膏、シリカ、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。また、無機充填材として、水酸化マグネシウム等の水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウム以外のその他の金属水酸化物を配合してもよい。
該無機充填材の配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、0〜15重量部である(但し、0重量部を含む。)。
本発明に使用される熱分解型発泡剤としては、いわゆる化学発泡剤が使用され、有機系発泡剤であるアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒトラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等、無機系発泡剤である重炭酸ソーダ、塩化アンモニウム等が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または2種以上を組合わせて使用することもできる。使用される発泡剤は前記のものから選択され、特に限定するものでないが、所望される見掛け密度が得られ易いなどから、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルが好適に用いられる。なお、該熱分解型発泡剤には、必要に応じて尿素系の発泡助剤などを組合わせて使用することもできる。
該熱分解型発泡剤の配合量は、所望される見掛け密度、使用される発泡剤の種類、有機溶剤の種類やそれらの量により異なるが、通常、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、特に好ましくは20〜50重量部である。熱分解型発泡剤の配合量が少なすぎると見掛け密度の大きなものしか得られず、発泡剤の配合量が多すぎると発泡時にセル膜が破壊され連泡化を招き独立気泡率が低下する虞がある。
本発明において使用される芳香族炭化水素系溶剤としては、この種の無機系発泡体の製造に一般的に使用されているものを広く使用することができる。該芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が例示される。これらの溶剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。該芳香族炭化水素の配合量は、前記(a)〜(f)の総和を100重量部として、30〜100重量部、好ましくは40〜80重量部である。
その他に塩化ビニル樹脂の分解劣化を防止する目的で、二塩基性亜リン酸塩、二塩基性ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの安定剤、また、酸化チタン等の顔料、アルキルスルホン酸塩などの帯電防止剤等を必要に応じて適宜使用することができる。
次に、本発明の無機系発泡体の製造方法の一例を説明する。
先ず、ニーダー内で、前記塩化ビニル樹脂、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムウィスカー、三酸化二アンチモン、及びその他の無機質充填、熱分解型発泡剤と、必要に応じて安定剤などの添加剤を前記した割合で混合し、所要量の芳香族炭化水素系溶剤を数回に分けて添加しながら混練する。この際、塩化ビニル樹脂のゲル化、発泡剤の分解が起こらず、かつ効率の良い混練が進むように、ニーダー内の混練物の温度は、0〜60℃の範囲内にて行うことが好ましい。
次に得られた混練物を金型内に隙間なく充填し、油圧駆動型加熱プレス機で加圧、密閉する。この際のプレス圧は、130kgf/cm以上が選定される。次いでプレス下において金型を100〜170℃に加熱し、5〜40分間その状態に保持し、塩化ビニル樹脂のゲル化、発泡剤の分解を促進させる。
これによって、塩化ビニル樹脂は溶剤に溶解し、無機繊維ウィスカー、金属水酸化物、無機質充填材などの各微粒子は周囲を塩化ビニル樹脂で包み込まれる。それと共に、金型内部は高温・高圧状態となっているため、発泡剤の分解ガスはゲル化した塩化ビニル樹脂及び無機繊維ウィスカー、金属水酸化物、無機質充填材などの中に均一に拡散された状態となる。
反応が十分に行なわれた後、金型を水などの冷却媒体を用いて0〜80℃まで冷却し、その後、プレス機の圧力を開放して金型から生成物を取り出す。
この時点で、生成物は、目的の見掛け密度の1.43〜1.67倍の発泡体(目的の発泡倍率の60〜70%)となる(一次発泡)。
次いで、生成物を常圧下において、再びオーブンなどの温風循環装置内で90〜120℃に加熱し、目標とする見掛け密度まで膨張させる(二次発泡)。
目標の見掛け密度まで膨張させた後、再び室温まで温度を下げ、形状を安定させるために養生を行なう。
その後、生成物を徐々に加熱し、有機溶剤を揮散させて取り除けば、無機質系発泡体が得られる。
前記した本発明に係る製造方法により得られた無機質系発泡体は、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を主体とした気泡壁を有する独立気泡によって形成されているため、軽量性、断熱性、吸音性を有し、かつ機械的強度、寸法安定性、不燃性をも備えたものとなる。また、本発明に係る製造方法により得られた無機質系発泡体は、無機繊維ウィスカーが所定量添加、分散されているため、発泡体中には硫酸カルシウムウィスカーの三次元的な網目状構造が形成され、燃焼時においても、発泡体の形状が保持され、表面の亀裂の発生を防ぐことが可能な発泡体となる。
また、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムを用いた本発明に係る製造方法により得られた無機質系発泡体は、該発泡体が200〜400℃に加熱されたときに、金属水酸化物が脱水分解し、そのときの吸熱によって発泡体燃焼時の発熱量を小さくし、発泡体の温度上昇を抑制することが可能となり、更に不燃性に優れたものとなる。
また、本発明の無機質系発泡体は三酸化二アンチモンを含有しており、燃焼時に発泡体表面に強固な炭化被膜が形成されるので、発泡体への着火と燃焼の継続の抑制効果を発現し難燃性能に優れるものである。この難燃性能をより高いものとする上で、発泡体の見掛け密度は40kg/m〜100kg/mであることが好ましく、また、発泡体1cm当りの塩化ビニル樹脂の含有量が0.05gを超えないように塩化ビニル樹脂を配合することが好ましい。また、発泡体の厚みは少なくとも10mm以上であることが好ましく、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上である。一方、該厚みの上限は、概ね100mmであり、好ましくは80mm、より好ましくは60mm、更に好ましくは50mmである。
本発明に係る製造方法により得られた無機質系発泡体は、建築基準法第2条第9号に示される不燃材料としての性能評価試験であるコーンカロリーメータによる発熱性試験に合格するものであり、建築用断熱材としてはもちろん、耐震スリット材、ファイヤーストップ材、建築物の壁・床・屋根・ダクトなどの建築部材、車両用内装材、各種装置の構成材などとして、好適に使用することができるものである。
実施例、比較例で用いた原料を次に示す。
[原料]
(1)塩化ビニル樹脂:
塩化ビニル樹脂(株式会社カネカ製、品名:PSL−31、重合度:1600)
(2)金属水酸化物:
水酸化アルミニウム(350メッシュパス)
水酸化カルシウム (400メッシュパス)
(3)無機繊維ウィスカー:
硫酸カルシウムウィスカー (東新化成株式会社製、平均繊維径:1μm、平均繊維長:50μm)
硫酸マグネシウムウィスカー(宇部マテリアルズ株式会社製、品名:モスハイジ、平均繊維径:0.5μm、平均繊維長:20μm)
(4)三酸化二アンチモン(株式会社鈴裕化学製、品名:AT3)
(5)無機充填材:
珪酸カルシウム(400メッシュパス)
(6)熱分解型発泡剤:
アゾビスイソブチロニトリル(大塚化学株式会社製、品名:AIBN)
(7)芳香族炭化水素系溶剤
トルエン
実施例1〜3、比較例1、2
まず、前記した原料を表1に示した配合量となるように配合し、混練して混練物とした。
混練は、トルエンを除いた全原料をニーダーに投入し、15分間混練した後、トルエンを4回に分けて添加し、トルエン1回分を投入する毎に15分間混練し、合計60分間混練を行った。また、混練時は、混練物温度が50℃になるよう調整した。
次に得られた混練物を120mm×120mm、深さ25mmの金型に隙間なく充填し、上部に蓋をして、加圧プレス機で150kgf/cmの圧力にて加圧した。その後、金型を150℃まで昇温、20分間保持して混練物中の塩化ビニル樹脂のゲル化、発泡剤の分解を行い、次いで速やかに50℃まで冷却、30分間保持した後に、圧力を開放して板状の無機質系発泡体を得た。
続いて、得られた発泡体を80℃のオーブン中に2時間収容することによって二次発泡させた。その後、20℃の部屋で12時間放置して冷却(養生)した後、再び80℃のオーブン中で24時間放置し、残存するトルエンを揮散させた。その後、20℃の部屋で12時間放置して冷却(養生)してから発泡体の物性について測定を行なった。測定結果を表1に示す。
Figure 0006461657
実施例1〜3においては、金属水酸化物の配合量を従来より多くしても、低見掛け密度の無機質系発泡体を得ることができた。得られた発泡体は、収縮、亀裂の発生がないものであり、不燃性に優れ、総発熱量の小さいものであった。
比較例1
(d)硫酸カルシウムウィスカーの代わりに、硫酸マグネシウムウィスカーを用いた例である。水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムの配合量を実施例と同じにすると、発泡性が低下し、低見掛け密度の発泡体を得ることができなかった。また、得られた発泡体は、燃焼試験では、見掛け密度が高いため、着火してしまい総発熱量が高くなってしまった。
比較例2
(d)硫酸カルシウムウィスカーの配合量を少なくした例である。発泡性は向上し、低見掛け密度の発泡体は得られたが、硫酸カルシウムウィスカーの配合量が少なすぎるため、燃焼試験時に収縮が大きく、着火してしまい、総発熱量が高くなってしまった。
表中の各種物性は次の通りに測定し、評価した。
*熱伝導率
熱伝導率は、発泡体から縦200mm×横200mm×厚み30mmに試験片を切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定した。
*見掛け密度
発泡体から縦200mm×横200mm×厚み30mmに試験片を切り出し、その体積と重量を測定して算出した。
*総発熱量と最大発熱速度
発熱性試験をISO 5660 part 1に準拠したコーンカロリーメーター(株式会社 東洋精機製作所コーンカロリーメーターC3)を用いて行い、着火開始から10分後と20分後の各総発熱量及びその間の各最大発熱速度を測定した。
尚、この試験における試験体は、発泡体から99mm×99mm×30mm角のサイズに切り出したものを80℃で3日間オーブン中にて養生し、その後23℃で24時間以上放置したものを使用した。
コーンカロリーメーターにおける不燃の基準は以下のとおりである(括弧内は準不燃基準)。
(1)加熱開始後20分間(10分間)の総発熱量が8MJ/m以下であること。
(2)加熱開始後20分間(10分間)、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないこと。
(3)加熱開始後20分間(10分間)、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
*体積収縮
前記のコーンカロリーメーターによる発熱性試験に当っては、試験体は、側面と裏面をアルミニウム箔で包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維を充填してから、試験体ホルダーに押し込んだ。前記押さえ枠は、試験片の上面(99mm×99mm面の内の上に向けた側の面(輻射熱暴露面))の端部の一部を枠体により覆った。具体的には、その枠体は、試験体の上面を形成する99mm角の正方形の各辺からそれぞれ2.5mm内側に入った箇所まで覆った。その結果、試験に際しては、試験体の上面は、94mm角の正方形の部分が輻射熱暴露部となった。ここで言う収縮は、前記のコーンカロリーメーターによる発熱性試験後(準不燃の評価については加熱開始10分後、不燃の評価については加熱開始20分後)に、枠体を設置したまま枠体の全周囲の各位置において真上から試験体を観察し、下記の基準により評価した。
○:試験体裏面に位置するアルミニウム箔が認められない。
×:試験体の収縮の結果、枠体と試験体との間に隙間が生じ、その隙間を通して試験体裏面に位置するアルミニウム箔が観測される。
*亀裂の発生
前記のコーンカロリーメーターによる発熱性試験後(準不燃の評価については加熱開始10分後、不燃の評価については加熱開始20分後)の試験体を観察して下記の基準により評価した。
○:試験体の表面から裏面にまで達する亀裂又は穴が認められない。
×:試験体の表面から裏面にまで達する亀裂又は穴が認められる。
*着火状況
着火状況に関し、下記の基準により評価した。
○:発熱性試験中に試験体に着火が観測された。
×:発熱性試験中に試験体に着火が観測されなかった。
なお、不燃の基準には関係ないが、発熱性試験中において、試験体に着火が見られると総発熱量及び最大瞬間発熱速度が大きくなる傾向が見られた。


Claims (1)

  1. (a)塩化ビニル樹脂5〜25重量部、(b)水酸化アルミニウム30〜50重量部、(c)水酸化カルシウム20重量部以上、(d)硫酸カルシウムウィスカー6〜15重量部、(e)三酸化二アンチモン0.5〜3重量部、及び(f)その他の無機質充填材0〜15重量部(ただし、(a)〜(f)の総和が100重量部である。)と、熱分解型発泡剤と、芳香族炭化水素系溶剤とを混練し、該混練物を加圧した金型内で加温、冷却した後、除圧することにより発泡させることを特徴とする無機質系発泡体の製造方法。
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