以下、添付図面を参照して、本願の開示する流量調整弁および水栓の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る流量調整弁を備えた水栓の断面図である。なお、図1および後述する図2以降の図は、いずれも模式図である。
図1に示すように、水栓1は、単水栓であり、本体部10と、流量調整弁20と、吐水部100と、ハンドル200とを備える。水栓1は、使用者によってハンドル200が回転操作されると、流量調整弁20が動作し、それによって止水したり、吐水させたり、さらには吐水させる水の流量を調整したりする。なお、ここで「水」は、水道水などの常温水のみならず、温水や湯、浄水など種々の液体を含む意味で用いる。
本体部10は、一次側流路11と、弁収容部12と、二次側流路13とを備える。一次側流路11は、図示しない水道管などの水源に接続され、水源から供給される水を流通させる。
弁収容部12は、一次側流路11と二次側流路13との間に設けられ、流量調整弁20を収容する。詳しくは、流量調整弁20は、筒状部材16に収納されており、弁収容部12は、筒状部材16に収納された状態の流量調整弁20を収容している。上記した構成とすることによって、たとえば、弁収容部12や二次側流路13などを塑性加工などで成形して内側の曲面の形状が個々で僅かに異なる場合であっても、曲面の形状に関わらずシール性能を担保することが可能となる。
そして、弁収容部12と筒状部材16との間には、Oリングなどのシール部材14が適宜位置に設けられ、弁収容部12における漏水を防止している。なお、上記では、流量調整弁20を筒状部材16に収納するようにしたが、これに限られず、シール性能が確保できる場合は、筒状部材16を取り除いて、流量調整弁20を弁収容部12に直接収容する構成としてもよい。
二次側流路13は、流量調整弁20から流出された水を流通させる。吐水部100は、円筒状の管であり、二次側流路13に接続部材15を介して接続される。したがって、水源から供給された水は、流量調整弁20が開弁されている場合、一次側流路11、流量調整弁20および二次側流路13を通って吐水部100から吐水される(図1の矢印B参照)。
流量調整弁20は、ケース部30と、ケース部30に回転可能に挿嵌される弁体40とを備える。かかるケース部30および弁体40の構成については、後述する。
ハンドル200は、流量調整弁20における弁体40の軸部41に接続される。したがって、ハンドル200は、使用者によって回転操作されると、流量調整弁20の弁体40を回転軸A回りに回転させる。なお、図1に示すハンドル200の形状や吐水部100の形状などは、例示であって限定されるものではない。
次いで、流量調整弁20について図2以降を参照して説明する。図2は、図1に示す流量調整弁20を弁収容部12から取り出した状態で示す左側面図であり、図3は、流量調整弁20の分解斜視図である。なお、図2および図3では、弁体40が止水位置にある状態を示している。
図2に示すように、流量調整弁20において、弁体40は、軸部41がケース部30の上端から露出するようにしてケース部30に挿嵌される。詳しく説明すると、図3に示すように、流量調整弁20のケース部30および弁体40は、円筒状に形成される。
ケース部30の図3における下端側には、弁体40を挿入可能な挿入孔31が設けられる。また、ケース部30の図3における上端側には、挿入孔31から挿入した弁体40の軸部41を貫通させる貫通孔32が設けられる。
挿入孔31の孔径は、ケース部30の筒壁33の内径と同一または略同一となるように設定される。また、挿入孔31の孔径および筒壁33の内径は、弁体40の筒壁42の外径よりも大きくなるように設定される。
貫通孔32の孔径は、挿入孔31よりも小さく、かつ、弁体40の筒壁42が通らないような値に設定される。さらに、貫通孔32の孔径は、弁体40の軸部41の外径よりも大きくなるように設定される。
そして、弁体40をケース部30に挿嵌することで、流量調整弁20が組み立てられる。具体的には、軸部41側を先頭にして弁体40をケース部30の挿入孔31から挿入し、続いて軸部41を貫通孔32に貫通させることで、弁体40をケース部30に挿嵌する。また、挿入孔31および貫通孔32の孔径、筒壁33の内径を上記のように設定したことから、弁体40はケース部30に対して回転軸A回りに回転可能に挿嵌される。
図4は、図1に示す流量調整弁20のIV−IV線断面図である。なお、図4では、図2および図3と同様、弁体40が止水位置にある状態を示している。
図3および図4に示すように、ケース部30にはさらに、筒壁33における周方向の所定位置に水流入用の流入口34および水流出用の流出口35が設けられる。具体的には、流入口34および流出口35は、筒壁33において部分的に対向するような位置に設けられる 。
流入口34は、筒壁33において一次側流路11と面する部位に2個設けられる。図3に示すように、2個の流入口34はいずれも、筒壁33の上端付近から下端付近に亘って形成されるとともに、側面視において略矩形状に形成される。
2個の流入口34の間には、筒壁33の一部たる支柱33aが設けられる。この支柱33aにより、流入口34を筒壁33の上端付近から下端付近に亘って形成した場合であっても、ケース部30の強度を確保することができる。なお、支柱33aは必ずしも必要なものではなく、支柱33aを省略することによって流路の断面積を増加させ、流量を確保するようにしてもよい。また、上記では、流入口34を2個形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、求められる強度や流量に応じて1個あるいは3個以上形成するようにしてもよい。
流出口35は、筒壁33において二次側流路13と面する部位に1個設けられ、側面視において略矩形状に形成される。なお、流出口35の個数は、1個に限定されるものではなく、2個以上であってもよい。
また、流出口35には、シール部材36(図2にのみ示す)が取り付けられる。シール部材36は、中央に開口36aを備え、図示しない固定部材によって流出口35に固定されて取り付けられる。
これにより、弁体40と流出口35との間の水密性を確保でき、後述する止水時において水が流出口35から漏れ出ることを防止することができる。なお、吐水時において、水は、流出口35からシール部材36の開口36aを介して流出するが、理解の便宜のため、以下では、流出口35から流出するものとして説明する。
次いで、弁体40について説明する。図3および図4に示すように、弁体40は、円筒状であり、筒壁42によって囲まれる内部空間43(図4参照)が形成される。また、弁体40の筒壁42の上端側には、軸部41が一体的に形成される(図3参照)。
弁体40の筒壁42には、閉塞面44と、通水部45とが設けられる。閉塞面44は、図2や図4に示すように、弁体40が止水位置にある場合に流出口35を閉塞する位置に形成される。これにより、弁体40が止水位置にある場合、水は流出口35から流出されない(図4参照)。
通水部45は、図2や図4に示すように、筒壁42の周方向に沿って複数個形成される開口である。かかる通水部45の詳細については、後述する。なお、通水部45は、図2では見えず、また図3では1個のみ見えた状態である。
そして、止水位置にある弁体40(図4参照)を、使用者がハンドル200を介して回転操作すると、複数の通水部45は、回転軸A回りに回転し、ケース部30の流入口34および流出口35に面することとなる。図5は、弁体40が止水位置から回転軸A回りに90度を超えて回転した状態の流量調整弁20を示す断面図である。
図5に示すように、流量調整弁20における複数の通水部45が流入口34および流出口35の両方に面すると、流入口34と内部空間43とが通水部45によって連通されるとともに、内部空間43と流出口35とが通水部45によって連通される。
これにより、一次側流路11から供給された水は、流入口34から通水部45、内部空間43、通水部45を介して流出口35へ流れ、二次側流路13へ流出する(矢印B1参照)。
ところで、従来の流量調整弁においては、弁体が止水位置から回転操作されて水の流出量が最大となるまでの最大流量角度は、約90度に設定されていた。しかしながら、上記したように、最大流量角度が90度である場合、90度の回転で最大流量となってしまうので、微細な流量調整を行いにくいという問題があった。
仮に流量調整弁20の弁体40を、90度を超えて回転させたとしても、図5に示すように、閉塞面44が流入口34側へ移動して流入口34を塞いでしまい、水が矢印B2で示すように閉塞面44に遮られて内部空間43へ流入せず、水の流出量は減少する。このため、弁体40の回転に応じた水の流出量を確保しにくい。なお、図5では、流入口34を塞いでいる閉塞面44を二点鎖線で囲んで示した。
そこで、実施形態に係る流量調整弁20では、弁体40に、回転に応じて流入口34と面している場合にのみ流入口34から内部空間43へ通水させる流入補助通水部50(図3参照)を備えることとした。図5では、流入補助通水部50によって流入口34から内部空間43へ通水される水の流れを、破線矢印B3で示した。
このように、流入補助通水部50を備えることで、弁体40の回転に対応した水の流出量を確保しつつ、微細な流量調整を行うことができる。以下、流量調整弁20についてさらに詳しく説明する。
流量調整弁20の詳しい説明に入る前に、弁体40の最大流量角度について図6を参照して説明する。図6は、流量調整弁20における最大流量角度を説明する図である。弁体40はハンドル200に接続されており、ハンドル200の回転操作によって回転することから、図6では、理解の便宜のため、ハンドル200を用いて弁体40の最大流量角度について説明することとする。なお、図6は、図1に示す水栓1を上面視した場合の図である。
図6においては、ハンドル200(弁体40)の止水位置を符号P0で示し、水の流量が最大となる位置を符号P4で示した。上記した止水位置P0から水の流量が最大となる位置P4までの回転角度範囲が、最大流量角度αである。なお、図6に示す位置P1,P2,P3については後述する。
最大流量角度αは、止水位置P0から回転軸A回りに90度を超える任意の値に設定可能である。具体的には、たとえば、最大流量角度αは、好ましくは90度よりも大きく、かつ、360度未満に設定され、より好ましくは150度に設定される。
最大流量角度αをたとえば150度にすることで、弁体40を開弁方向へ回転させた場合の単位回転角度当たりの流量の増加率が減少するため、微細な流量調整を行うことができる。さらに、微細な流量調整を行うことで、節水の効果も期待することができる。
なお、上記した最大流量角度αの設定は、たとえば、ケース部30やハンドル200に設けられるストッパ機構(図示せず)を用いて行われるが、これに限定されるものではなく、用途に応じて適宜に設計変更可能である。
また、弁体40の止水位置と回転方向(流量の増大方向)についても、適宜に設計変更することで、弁体40の開弁方向を、回転軸Aに対して時計回り方向または反時計回り方向に設定でき、よって水栓1の右勝手設置、左勝手設置に容易に対応することができる。また、上記では、ハンドル200を水平面で回転動作させるようにしたが、これに限られず、たとえば水栓1を取付け部(図示せず)に対して90度回転させて取り付け、ハンドル200を垂直面で回転動作させるようにしてもよい。
次いで、流入補助通水部50について図7Aを参照しつつ説明する。図7Aは、ケース部30および弁体40を流出口35を中心にして展開した展開図である。なお、図7Aは、図4と同様、弁体40が止水位置にある状態を示している。
図7Aに示すように、流入補助通水部50は、第1の流入補助通水部50aと、第2の流入補助通水部50bとを備える。ここで、第1、第2の流入補助通水部50a,50bおよび通水部45は、図7Aに示すように、一点鎖線で示す閉塞面44の中心Cに対して周方向に対称となるように設けられる。
なお、第2の流入補助通水部50bは、後述するように、弁体40の端縁の全周に亘って設けられるが、そのような構成も、閉塞面44の中心Cに対して周方向に対称な構成に含まれる。
これにより、流量調整弁20は、弁体40を回転軸Aに対して時計回り方向D1(図4参照)へ回転させた場合であっても、反時計回り方向D2(図4参照)へ回転させた場合であっても、止水や流量調整を同じように行うことができる。すなわち、弁体40の開弁方向を、弁体40の回転軸Aに対して時計回り方向D1、および、反時計回り方向D2のいずれにも設定することが可能になり、流量調整弁20の汎用性を向上させることができる。
以下では、周方向に対称に形成された第1、第2の流入補助通水部50a,50bおよび通水部45のうち、いずれか一方側について説明することとし、かかる説明は他方側にも妥当する。また、以下では、弁体40の開弁方向を時計回り方向D1とした場合を例にとって説明する。
第1の流入補助通水部50aは、図7Aにおいて弁体40の筒壁42の上端側に設けられる開口である。第1の流入補助通水部50aは、側面視において矩形状に形成される。具体的には、第1の流入補助通水部50aは、弁体40の周方向(図7Aで紙面左右方向)が長手方向、回転軸方向(図7Aで紙面上下方向)が短手方向となる矩形状に形成される。
ここで、ケース部30の流入口34および流出口35の回転軸方向の長さについて説明する。回転軸方向において、流入口34の長さL1は、流出口35の長さL2よりも長くなるように形成される(L1>L2)。
これにより、筒壁42の回転軸方向における端部において、弁体40を回転させた場合に、流出口35と面せずにケース部30の筒壁33と面する一方、流入口34には面するような部位を設けることができる。
かかる部位に、第1の流入補助通水部50aを形成することで、第1の流入補助通水部50aは、弁体40の回転に応じて流入口34と面している場合にのみ流入口34から内部空間43へ通水させることができる。なお、第1の流入補助通水部50aが、弁体40の筒壁42において設けられる周方向の範囲については後述する。
続いて、第2の流入補助通水部50bについて説明する。ここで、まず弁体40の回転軸方向の長さについて説明すると、弁体40の回転軸方向において流量調整弁20に面している部位の長さL3は、流入口34の長さL1よりも短くなるように形成される(L3<L1)。
これにより、回転軸方向における弁体40の端縁と流入口34の端縁との間に間隙が形成され、かかる間隙を第2の流入補助通水部50bとする。これにより、第2の流入補助通水部50bは、流入口34から内部空間43へ通水させることができる。
このように、流入口34および弁体40の回転軸方向の長さL1,L3を上記のように設定する簡易な構成で、第2の流入補助通水部50bを設けることができる。なお、図7Aに示す例では、第2の流入補助通水部50bが弁体40の下端側に設けられるようにしたが、これに限られず、弁体40の上端側に設けるようにしてもよい。
次いで、通水部45について説明する。図4および図7Aに示すように、通水部45は、複数個あり、具体的には、2個の第1の通水部45aと、2個の第2の通水部45bとを備える。
第1の通水部45aは、閉塞面44に隣接し、かつ、弁体40が回転された場合に流入口34および流出口35に面することが可能な位置に設けられる。また、第1の通水部45aは、側面視において矩形状に形成される。具体的には、第1の通水部45aは、弁体40の周方向が長手方向、回転軸方向が短手方向となる矩形状に形成される。なお、以下では、弁体40の筒壁42において第1の通水部45aが形成される周方向の区間を「第1の区間E1」ということとする。
第2の通水部45bは、第1の通水部45aに対し、閉塞面44とは反対側に設けられる。言い換えると、第2の通水部45bは、第1の通水部45aに対し、弁体40の開弁側に所定間隔だけ離間されて設けられる。第2の通水部45bは、第1の通水部45aと同様、弁体40が回転された場合に流入口34および流出口35に面することが可能な位置に設けられる。
また、第2の通水部45bは、側面視において略矩形状に形成される。具体的には、第2の通水部45bは、弁体40の周方向が長手方向、回転軸方向が短手方向となる矩形状に形成される。また、第2の通水部45bの短手方向の長さは、第1の通水部45aの短手方向の長さに比べて大きくなるように設定される。
また、第2の通水部45bは、中央付近において幅が回転軸方向側へ拡がる拡幅部45b1を備える。なお、拡幅部45b1は、たとえば弁体40が止水位置から回転軸A回りに120度回転されたときに、流出口35と面するような位置に設けられる。このように、第2の通水部45bの開口面積は、第1の通水部45aの開口面積よりも大きくなるように設定される。
上記のように第2の通水部45bの開口面積が比較的大きい場合であっても、第2の通水部45bと第1の通水部45aとの間を所定間隔だけ離間させることで、弁体40の強度を確保することができる。
上記のように構成された2個の第2の通水部45bは、弁体40の回転軸方向に並んで設けられる。ここで、弁体40の筒壁42において、第1の区間E1よりも開弁側に位置し、第2の通水部45bが形成される周方向の区間を「第2の区間E2」ということとする。
上記したように、第2の区間E2に形成された第2の通水部45bの開口面積は、第1の区間E1に形成された第1の通水部45aの開口面積よりも大きい。かかる開口面積は、各通水部45a,45bにおいて水が流れる通水面積に相当する。このため、第2の区間E2の第2の通水部45bは、弁体40が開弁方向(ここでは時計回り方向D1)へ回転する場合の流出口35に面する通水面積の単位角度当たりの増加率が、第1の区間E1の第1の通水部45aの増加率より大きくなる。
流量調整弁20の流出量は、上記した流出口35に面する各通水部45a,45bの通水面積に応じて変化する。したがって、各通水部45a,45bを上記のように構成することで、弁体40を開弁方向へ回転させるときの流出量の増加率を、流出口35に第1の通水部45aが面している場合と第2の通水部45bが面している場合とで異ならせることができる。
これにより、たとえば、流出口35に第1の通水部45aが面している場合の流出量の増加率を抑える一方、流出口35に第2の通水部45bが面している場合の流出量の増加率を大きくすることが可能となり、よってより一層微細な流量調整を行うことができる。
ここで、第1の流入補助通水部50aが、弁体40の筒壁42において設けられる周方向の範囲について説明する。第1の流入補助通水部50aは、第1の区間E1を少なくとも含む位置に形成される。詳しくは、第1の流入補助通水部50aは、第1の区間E1に加え、長手方向における一端が閉塞面44の上端に位置する一方、他端が第2の通水部45bの上端側に位置する区間に亘って形成される。
これにより、水が第1の流入補助通水部50aから弁体40の内部空間43へ流入し、流入量を十分に確保することができるが、これについては後述する。
次いで、流量調整弁20における流量調整について図7A〜図7Eを参照して説明する。図7Bは、弁体40が止水位置から回転軸A回りに20度回転された状態を示す展開図である。図7Cは、弁体40が止水位置から回転軸A回りに95度回転された状態、図7Dは120度回転された状態、図7Eは150度回転された状態を示す展開図である。
なお、図7B〜図7Dでは、理解の便宜のため、通水部45および流入補助通水部50において、流入口34と面して通水される部分をドットで示し、流出口35と面して通水される部分を斜線で示した。また、ここでは、回転角度を具体的な数値を挙げて説明するが、各数値はあくまでも例示であって限定されるものではない。
図7Aに示すように、弁体40が止水位置にあるときは、流入口34には第1、第2の通水部45a,45bが面しているが、閉塞面44が流出口35を塞いでいるため、水は流出されない。そして、図7Bに示すように、弁体40が止水位置から開弁方向(時計回り方向D1)へ20度回転されると、流出口35には第1の通水部45aが部分的に面するようになり、吐水が開始される。なお、図6においては、弁体40が止水位置から20度回転されるハンドル200の位置をP1で示している。
そして、弁体40が20度を超えて開弁方向へ回転されると、流出口35に面している第1の通水部45aの通水面積が増加し、それに伴って流量も増加する。なお、ここで、通水面積や流量が増加するとしたが、必ずしも増加する必要はなく、たとえば弁体40が開弁方向へ回転された場合に、通水面積や流量が維持されるものであってもよい。また、以下で用いる「増加」なる表現も同様に、通水面積や流量が維持されるものを含む意味で用いる。
さらに、図7Cに示すように、弁体40が開弁方向へ回転されて止水位置から90度を超えて95度まで回転される(図6の位置P2参照)。このとき、流出口35には第2の通水部45bが部分的に面するようになる。これにより、通水部45において、弁体40が開弁方向へ回転する場合の流出口35と面する通水面積の増加率が大きくなり、それに伴って流出量も大きく増加していくこととなる。
また、弁体40が止水位置から90度を超えて回転されると、弁体40の閉塞面44が流入口34側へ移動して流入口34を塞いでしまう。しかしながら、弁体40には第1、第2の流入補助通水部50a,50bが形成されることから、水は流入口34から各流入補助通水部50a,50bを介して弁体40の内部空間43へ流入することとなる。これにより、流入量を十分に確保することができる。
続いて、図7Dに示すように、弁体40がさらに開弁方向へ回転されて止水位置から120度まで回転される(図6の位置P3参照)。このとき、流出口35には第2の通水部45bの拡幅部45b1が部分的に面するようになる。これにより、通水部45において、弁体40が開弁方向へ回転する場合の流出口35と面する通水面積の増加率が一層大きくなり、それに伴って流出量もより大きく増加する。
次いで、図7Eに示すように、弁体40がさらに開弁方向へ回転されて止水位置から150度まで回転される(図6の位置P4参照)。このとき、弁体40は最大流量角度となり、流出口35には第2の通水部45bの拡幅部45b1が全面的に面するようになる。これにより、通水部45において、弁体40が開弁方向へ回転する場合の流出口35と面する通水面積の増加率がより一層大きくなり、それに伴って流出量もより一層大きく増加しつつ最大流量に到達する。
図7Eに示すように、第2の区間E2の第2の通水部45bが流出口35に面するようになると、第1の区間E1の第1の通水部45aが流入口34に面することとなる。このとき、流入口34側の通水面積が流出口35側の通水面積に比べて小さくなり、流入量が確保できないおそれがある。しかしながら、上記したように、第1の流入補助通水部50aは、第1の区間E1を少なくとも含む位置に形成されることから、水が第1の流入補助通水部50aを介して弁体40の内部空間43へ流入し、よって流入量を十分に確保することができる。
上記したように、たとえば、弁体40が止水位置から90度付近までの低開度にある場合、流出口35に第1の通水部45aが面するようにして、流出量の増加率を抑える。また、弁体40が90度から120度までの中開度にある場合、流出口35に第2の通水部45bが面し、弁体40が120度から150度までの高開度にある場合、流出口35に拡幅部45b1が面するようにし、流出量の増加率を段階的に大きくする。これにより、使用者はより一層微細な流量調整を行うことができる。
上述してきたように、実施形態に係る流量調整弁20は、ケース部30と、弁体40とを備える。ケース部30は、円筒状に形成されるとともに、筒壁33における周方向の所定位置に設けられた流入口34および流出口35を有する。弁体40は、円筒状に形成され、ケース部30に回転可能に嵌挿される。
また、弁体40は、通水部45と、流入補助通水部50とを備える。通水部45は、回転に応じて流入口34および流出口35に面している場合に流入口34から内部空間43を介して流出口35へ通水させる。流入補助通水部50は、回転に応じて流入口34と面している場合にのみ流入口34から内部空間43へ通水させる。これにより、弁体40の回転に対応した水の流出量を確保しつつ、微細な流量調整を行うことができる。
また、実施形態に係る水栓1によれば、流量調整弁20を備えることで、弁体40の回転に対応した水の流出量を確保しつつ、微細な流量調整を行うことができる。
なお、上記した実施形態においては、第1、第2の通水部45a,45bの個数をそれぞれ2個としたが、これらの数は例示であって限定されるものではなく、1個あるいは3個以上であってもよい。
また、上記では、第1、第2の通水部45a,45bの形状を側面視において矩形状としたが、これは例示であって限定されるものではない。すなわち、たとえば、第1、第2の通水部45a,45bを1個の通水部とし、かかる通水部を、階段状やテーパ状など開弁方向に向けて通水面積が増加するような形状に形成するようにしてもよい。さらには、通水部の個数を開弁方向に進むにつれて増加させるように構成してもよい。
また、上記では、流量調整弁20を備える水栓1を単水栓としたが、これに限定されるものではなく、たとえば湯水混合水栓であってもよい。湯水混合水栓の場合、給水用ハンドルおよび給湯用ハンドルの両方を備え、それぞれのハンドルに流量調整弁20が取り付けられる。そして、給水用ハンドルに取り付けられた流量調整弁20で流量が調整された水と、給湯用ハンドルに取り付けられた流量調整弁20で流量が調整された湯とが混合され、吐水部から吐水されるように構成してもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。