JP6457840B2 - 内燃機関用制御装置及びそれを用いた制御方法 - Google Patents

内燃機関用制御装置及びそれを用いた制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関用制御装置及びそれを用いた制御方法に係り、特にバッテリーレスシステム向け内燃機関に好適な内燃機関用制御装置及びそれを用いた制御方法に関する。
軽量化や保守の容易性のために、バッテリを搭載しない、いわゆるバッテリレス内燃機関が、キックスタート方式の二輪車両やリコイルスタート方式の芝刈り機等で広く使用されている。またバッテリを搭載していても、バッテリが機能喪失してバッテリを使用できない場合に備えて、リコイルスタート方式のスタータを備えた内燃機関が船外機等に使用されている。本発明においては、これらバッテリ機能がないまたは喪失した状態でも運転可能な機械の制御装置を、以後バッテリレス制御装置と称す。
バッテリレス制御装置を備えるエンジン始動システムの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のエンジン始動システムでは、キックスタータによりエンジンが始動される。ジェネレータが発生する電圧が所定値以上になると、ECMが起動し、一般負荷用リレーに信号を出力して一般負荷に対する電力供給を遮断する。エンジン回転数が第1設定値になったらインジェクタやイグニッションコイルを作動させる。エンジン回転数が第2設定値に達しかつ第1設定値になってから所定時間経過したら、一般負荷に対する電力供給の遮断を解除している。
バッテリレス内燃機関の制御装置の他の例が、特許文献2に記載されている。この公報に記載の電源装置では、始動性能と負荷作動時における電源電圧の安定性とを同時に確保するために、交流ジェネレータで発電された電力を、レギュレータを介して電源ラインに供給している。その際、第1、第2のコンデンサを並列に接続し、第2のコンデンサにスイッチを介在させている。スイッチをオンオフして第1のコンデンサへの充電後に、第2のコンデンサを充電している。
特開2007−192170号公報 特開2005−344651号公報
例えば自動2輪車に用いられるバッテリレスの内燃機関では、キックスタート方式を採用しているので、搭乗者のキックにより内燃機関(エンジン)のクランク軸が回動し、このクランク軸に直接または連結手段を介して設けられたフライホイール等に取り付けたジェネレータが発電する。ジェネレータで発生した電力は、レギュレータを介して接続されたコンデンサに供給され、以後のエンジンの回転において燃料噴射システムの電力源として使用される。
ところで、バッテリレスのエンジンでは、エンジンの確実な始動を達成するため、最初のキックで発生する電力が小さくても始動するように、コンデンサの容量を小さくなっている。コンデンサの容量を小さくすることにより、制御装置が有するマイコンの作動電源に必要な電力を、1回のキック動作でコンデンサに蓄えることを可能にしている。
始動性の確保からコンデンサ容量を小さくしたので、エンジンの停止時には、エンジン制御装置(ECU)の電源がすぐに喪失される。そのため、ECUが有するマイコンが停止し、エンジン停止時に必要なエンジン停止前処理ができなくなる恐れがある。近年使用されている汎用のエンジンにおいては、エンジンの急激な停止でも不揮発性メモリであるEEPROMへ停止までの運転時間やモータの停止位置の記録等の処理をマイコンがしており、ECUの電源が喪失するとこれらの処理が不可能となる。
上記特許文献1に記載のエンジン始動システムでは、エンジンの回転数に応じてジェネレータで発生した電力の一般負荷への供給を切り替えてエンジンの始動性を向上させている。しかし、エンジンの停止時、特に急停止時におけるECMが備えるマイコンの動作確保については考慮されていない。
上記特許文献2には、ジェネレータで発生した電力を2個の並列接続したコンデンサに供給しており、これらのコンデンサに蓄電された電力は、負荷にも供給されている。ここで、電源装置が有するマイコンは、エンジン停止時に停止処理をするのが一般的であるが、エンジンの急停止(エンスト)時等には、急激に電力が喪失される。その際、DC負荷等へも電力が供給されているので、マイコンには、停止処理動作を継続するための電力が必ずしも供給されない。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、バッテリレスの内燃機関用制御装置において、エンジンの始動性を高めつつ、エンジンの異常停止時においてもマイコンによる停止処理動作を確実に実行できるようにすることにある。
上記目的を達成する本発明の特徴は、内燃機関のクランク軸の端部側に直接または動力伝達装置を介して取り付けたACジェネレータが発生した電力により、内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関用制御装置において、内燃機関の動作制御用のマイコンと、このマイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと、前記ACジェネレータで発生した電力を整流および平滑化する内蔵レギュレータとを備え、前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に、小容量の第1のコンデンサと、複数の切換手段にそれぞれ直列接続され、前記第1のコンデンサより容量が大である複数の第2のコンデンサが並列接続されていることにある。
そしてこの特徴において、前記第2のコンデンサを切り換える切換手段はMOSFETであり、このMOSFETの駆動を前記マイコンが制御するのがよく、前記マイコンが複数の前記切換手段に指令するタイミングは、切換手段ごとに異なっており、前記内燃機関の回転速度が上昇するにつれて順次切り換えられ、前記切換手段の切り換え間隔が所定時間以下の場合には所定時間に達するまで切り換えないことが望ましい。また、前記複数の第2のコンデンサを、前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に配置する代わりに、前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に配置してもよい。
さらに、複数の第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に配置する代わりに、前記第1のコンデンサより容量が大である1個の第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間または前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に接続し、前記第2のコンデンサにFETを直列接続し、前記マイコンは、前記内燃機関の回転速度が予め定めた回転速度域に達したら、前記FETをPWM駆動して前記第2のコンデンサを電気的な切断状態から接続状態へ切り換えて充電するようにしてもよい。
さらにまた、1個の第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に配置する代わりに、前記マイコン電源用電圧レギュレータ前記マイコン間に配置し、前記マイコンは前記FETをPWM駆動して前記第2のコンデンサを電気的な切断状態から接続状態へ切り換えて充電するようにしてもよい。
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、内燃機関に取り付けたACジェネレータが発生した電力により内燃機関の制御装置が内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関の制御方法において、前記内燃機関の制御装置は、マイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと前記ACジェネレータの出力が入力される内蔵レギュレータとの間に第1のコンデンサを有しており、さらに前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間または前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に設けられ、電源ラインに並列接続され、この第1のコンデンサより容量が大の複数の第2のコンデンサを、前記内燃機関の回転速度が複数の予め定めた回転速度に達したら、前記切換手段を用いて電気的な切断状態から接続状態へ順次切換えることにある。
そしてこの特徴において、前記複数の第2のコンデンサは、電気的な接続状態が同時には切換えられず、かつ前記切換手段の切り換え間隔が所定時間以下の場合には所定時間に達するまで切り換えないのがよく、前記複数の第2のコンデンサは、内燃機関の始動時には電気的に切断されており、一旦接続されたら前記内燃機関の制御装置がリセットするまで電気的な接続状態を保持することが望ましい。
またこの特徴において、前記複数の第2のコンデンサの代わりに前記第1のコンデンサより容量が大である1個の第2のコンデンサを、前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間または前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に接続し、前記第2のコンデンサのPWM充電回数もしくはPWM充電時間が予め定めた値に達したら充電完了とみなして、その後は内燃機関の制御装置がリセットされるまで電気的な接続状態を保持するのが望ましい。
本発明によれば、エンジンに付設したジェネレータで発生する電力を、レギュレータを介して常時接続の容量の小さい第1のコンデンサと、始動時には切り離されており所定の回転速度以上で充電開始されかつエンジン制御装置のリセット時まで接続状態が保持される第2のコンデンサをマイコン駆動電源としているので、バッテリレスの内燃機関用制御装置において、エンジンの始動性を高めつつ、エンジンの異常停止時においてもマイコンによる停止処理動作を確実に実行できる。
本発明に係る内燃機関用制御装置の一実施例の模式図である。 図1に示す制御装置の制御フローチャートである。 図1に示す制御装置を用いてエンジンを始動したときに発生する電圧を説明する図である。 図3の詳細を示す図である 図1に示す制御装置を用いてエンジンを正常停止するときに発生する電圧を説明する図である。 図1に示す制御装置を用いてエンジンを異常停止させるときに発生する電圧を説明する図である。 図5A,5Bの詳細を示す図である。 本発明に係る内燃機関用制御装置の他の実施例の模式図である。 図7に示す制御装置を用いてエンジンを始動するときに発生する電圧を説明する図である。 図7に示す制御装置を用いてエンジンを正常停止させるときに発生する電圧を説明する図である。 図7に示す制御装置を用いてエンジンを異常停止させるときに発生する電圧を説明する図である。 本発明に係る内燃機関用制御装置のさらに他の実施例の模式図である。 本発明に係る内燃機関用制御装置のさらに他の実施例の模式図である。 図10A、Bに示した実施例におけるコンデンサの充電タイミングを説明する図である。
以下本発明に係る内燃機関用制御装置のいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。なお、以下の説明においては、125ccクラスの自動2輪車が備えるバッテリレスの内燃機関をキックスタートおよび停止する場合を例にとり説明するが、本発明は自動2輪車用の内燃機関に限るものではなく、芝刈り機や船外機の内燃機関にも適用できる。また、船外機の場合、バッテリを有するのが一般的であるが、何らかの事情でバッテリ機能が喪失した場合にもバッテリレス内燃機関と同様な状態になるので、この場合も本発明においてはバッテリレス内燃機関と呼ぶ。
図1は、バッテリレス内燃機関が備える制御装置(ECU)の一実施例の模式図である。内燃機関200では、シリンダとシリンダ内を往復動するピストンとの間に、図示しない燃料噴射装置から燃料が噴射され、この噴射された燃料に点火プラグ210が点火することにより、シリンダに接続されたコンロッドに連結されたクランク軸が220回動する。クランク軸220の一端側には、フライホイールマグネト230が取り付けられており、回転脈動を低減する。フライホイールの内周面には、永久磁石が4〜12極、N極とS極が交互に配列されており、この永久磁石とフライホイールマグネトの内周側に配置したステータコイルとで、ACジェネレータが構成される。なお、本実施例では、ACジェネレータ240の極数は4極である。
なお、ステータコイルは周方向に複数配置されており、その中のいくつかがマイコン170やインジェクタ271、点火用コンデンサ昇圧回路272に電力を供給する。残りのステータコイルは、燃料ポンプやオイルポンプ、ヘッドライト等の一般負荷260に、レギュレータ250を介して接続されている。マイコン130は、詳細を後述するエンジン始動時のイニシャライズ処理及びエンジン停止時の終了処理に用いられる。
ECU100のマイコン130の駆動部は、ACジェネレータ240で発生した電力を整流および平滑化する内蔵レギュレータ110と、内蔵レギュレータ110の出力を一時的に蓄電するコンデンサ(C)140と、コンデンサ(C)140から供給される電力の電圧を、マイコン130の規定電圧に変換する5Vレギュレータ120とを備える。コンデンサ(C)140と5Vレギュレータ120間に、ECU100が直接駆動する燃料噴射装置271や、点火用コンデンサ昇圧回路272等が接続されている。点火用コンデンサ昇圧回路にはコンデンサ等を介してイグニションコイル273が接続されている。イグニッションコイル273は、点火プラグ274の印加電圧を発生する。
なお、ECU100には、回転速度検出のためにフライホイールマグネト230に設けたパルス信号検出手段241からの信号が入力されており、これらの信号はマイコン130にて信号処理される。また、マイコン130には、エンジン駆動のためにエンジン200や車体各部に設けた各種センサの信号275も入力される。
ここで本発明の特徴として、コンデンサ(C)140と5Vレギュレータ120との間に、複数の第2のコンデンサ(C〜C)161〜163を、MOSFET151〜153を介して並列に接続している。MOSFET151〜153は、マイコン130に接続されており、その動作閾値がそれぞれ個別にマイコン130に定義されており、その定義に則りマイコン130に操作される。
ところで、エンジン200の保守・管理のために、エンジン200の稼働記録を常時記録することが望ましいが、この記録に用いるEEPROMには、書き込み回数の制限があるので、実用的にはエンジンの停止への移行が確定した時のみに終了処理として、EEPROMにエンジンの運転履歴や故障履歴情報を書き込む。エンジン停止状態移行確定判定時を起点に処理が実施されるという特性上、従来のバッテリレス内燃機関では、コンデンサ容量が小さいため、終了処理を完了する前にマイコンが停止してしまう。そこで、本実施例では上記第2コンデンサ(C〜C)161〜163に充電した電力をこれらの処理に使用できるようにしている。
エンジン始動において、クランキング開始後電源が立ち上がり次第、マイコン130のイニシャライズが開始される。イニシャライズが完了次第、点火・噴射等のエンジン制御が可能となる。エンジンの始動性を向上させるには、電源電圧を早期に立ち上げ、マイコンの起動をより早いタイミングとし、より早い時点から点火・噴射を実行することが肝要である。そこで、第1のコンデンサ(C)の容量を小さくして、エンジン200の始動時にACジェネレータ240で発生するわずかな電力でマイコン130の電源電圧を早期に確保し、イニシャライズ処理を完遂可能としている。
また、ECU100の直接駆動負荷271,272の電源ともなっている内蔵レギュレータ110では、発熱が懸念される。そこで、内蔵レギュレータ110の発熱をできるだけ抑制するために、ACジェネレータ240の巻線の巻数を多くして、エンジン200の低回転速度域から高回転速度に達するまで、出力がほぼフラットとなるような特性が得られるように、ACジェネレータ240の特性を設定している。その一方、エンジン200の始動時から低回転速度域の間および高回転速度域では、以下の理由で電力の余裕がなくなっている。
エンジン200の始動時から低回転速度域では、ACジェネレータ240の発電量自体が少ない上に、始動時はインジェクタの噴射時間が長く電力消費量が多い。また、平滑用コンデンサをチャージする必要等もある。一方、高回転速度域では、点火用コンデンサに充電するために動作するDC−DCコンバータやインジェクタの負荷が増大するため、電力消費量自体が多い。
エンジン200の中回転速度域では、燃料噴射装置が必要とする電力量はACジェネレータが発生する電力量よりも少ないので、電力余剰が発生する。そこで、この余剰電力で複数の第2のコンデンサ(C〜C)161〜163を充電する。その際、段階的に複数のコンデンサ(C〜C)161〜163に充電させているので、各コンデンサ(C〜C)161〜163の充電にさかれる電力量は少なくて済み、コンデンサ(C〜C)161〜163への充電時の一時的な電圧降下量を低減でき、安定した電圧をマイコン130に供給できる。
次に、図1に示した本発明に係るECU100の動作を、図2を用いて説明する。図2はエンジン始動時のECUの動作の概要を示すフローチャートである。キックスタートによりクランク軸220が回転すると、クランク軸220の軸端に取り付けたフライホイールに形成したACジェネレータが発電し、内蔵レギュレータ110を経由して第1のコンデンサ(C)140の蓄電が開始される。点火プラグによる燃料への点火が成功裏に進行すると、エンジン200は回転速度を高めていく。
クランク軸220の回転速度が予め定めた第1設定値Nに達したら(ステップS210)、複数の第2のコンデンサの中の1個のコンデンサ(C)161との接続を実施する(MOSFET151をON状態にする)(ステップS220)。ここで、設定回転速度Nは、ECU直接駆動負荷271、272にACジェネレータ240が電力を供給しても余剰電力が発生し始める回転速度とする、のが望ましい。
エンジン200の回転速度の上昇が続き、予め定めた第2設定値Nに達したら(ステップS230)、第2のコンデンサ中の他の1個のコンデンサ(C)162との接続を実施する(MOSFET152をON状態にする)。コンデンサ(C)162の充電が開始される(ステップS240)。さらに回転速度が上昇して予め定めた第3設定値Nに達したら(ステップS240)、第2のコンデンサ中の残りの1個のコンデンサ(C)163との接続許可を実施し、コンデンサ(C)163の充電が開始される(ステップS260)。
ここで、設定回転速度Nは、エンジンの回転速度が高回転速度域に達し余剰電力が発生しなくなる回転速度よりも十分低い回転速度とするのが良い。設定回転速度Nは、設定回転速度NとNの間の適宜な値とし、コンデンサ(C)161とコンデンサ(C)162またはコンデンサ(C)162とコンデンサ(C)163の2個のコンデンサが実質的に同時に切換えられることがないように、十分な間隔を与えることが望ましい。
上記手順において、複数の第2のコンデンサ(C〜C)161〜163を切り換える場合には、切換え間隔が短くならないよう予め定めた時間経過後でなければ、切換えを実行しない。これは切り替え時間が短すぎると、第2のコンデンサ(C〜C)161〜163への充電が不十分となる事態の発生を防止するためである。
以上が、複数の第2のコンデンサ(C〜C)161〜163を設けて充電処理をする原理の説明であるが、次に具体的なエンジン200の始動例を図3及び図4に、エンジン200の停止例を図5及び図6にそれぞれ示すシミュレーション結果を用いて説明する。その際、本発明の第1のコンデンサCに対応するコンデンサのみをマイコン電源部が有する場合を、従来のECUの例として比較例で示す。
図3に、エンジン200の始動時における、内蔵レギュレータ110から出力されるECU100の電源電圧と、5Vレギュレータ120から出力されるマイコン130の電源電圧の時間変化を示す。図3(a)は、本実施例によるものであり、図3(b)は比較例に係る時間変化である。時間tでペダルをキックしてキッキングが開始されると、一点鎖線301で示したECU100の電源電圧が上昇し始め、最終的には、14V程度まで電圧上昇する。一方実線302で示したマイコン電源電圧は、シリンダ1が往復した1クランク開始時間t前後から、上昇し始める。そして、2回目のクランキング開始時間tに達するまでに、マイコン130が稼働可能な閾値電圧Vthを超える。マイコン130が稼働可能になったので、時間tisにイニシャル処理を開始し、第2クランキング開始時間tよりも前の時間tieにイニシャル処理を終える。したがって、エンジンの点火動作(初爆)を2クランキング開始時t近辺まで早めることが可能になる。
これに対し、第1のコンデンサC0に比べて大容量のコンデンサを接続した比較例では、第1、第2回目のクランキング開始時間t、tまでにマイコン130を駆動可能な電圧Vthに達していない。そして、第2クランキング開始時間tから第3クランキング開始時間tの間でようやく閾値電圧Vthに達し、イニシャライズ処理を開始できる。イニシャライズ処理のために処理時間Pinを要するため、イニシャライズ処理の終了時間は第3クランキング開始時間tよりも後の時間になる。すなわち、この比較例では、3クランキングした後でしか、イニシャライズを完了できず、エンジン200の初爆は最短でも第4クランキング目以降となる。通常のバッテリレスでキックスタータを始動装置とした自動二輪車では、第3クランキング開始時tくらいまでに初爆が生じないと、エンジン200の始動は困難である。
エンジン200の始動時のECUの詳細を、図4を用いて説明する。図4(a)は図3(a)と同様に本実施例のECU100各部の電圧の時間変化であり、図4(b)は図3(b)と同様のコンデンサ配置とした比較例におけるECU100の各部の電圧の時間変化である。曲線400は、ACジェネレータ240で発生した電圧を内蔵レギュレータで全波整流した後の電圧波形であり、図1の矢印Aで示した点での電圧波形である。一点鎖線401で示した電圧波形は、図1の矢印Bで示した点での電圧波形である。また、実線402で示した電圧波形は、図1の矢印Cで示した5Vレギュレータ120の出力側における電圧波形であり、マイコン130の駆動電圧である。本実施例のACジェネレータ240は4極であるから、全波整流値の4山が1クランキングに対応する。
本実施例では、後述する比較例に比べて第1コンデンサ(C)140の容量を小さくして第1コンデンサ(C)140の充電時間を極力短縮しているので、第1クランキング開始時t前後にマイコン電源電圧402がマイコン駆動可能電圧閾値Vthに達している。この時、第1のコンデンサの容量(C)140が小さいので、平滑化作用が小さく、電圧リップルがマイコン電圧曲線402およびECU電源電圧401の双方で、大きくなっている。
一方、容量の大きな第1のコンデンサだけを設けた比較例では、一点鎖線411で示したECU100の電源電圧曲線および実線412で示したマイコン130の駆動電圧のいずれもが、リップルがほぼない滑らかな電圧上昇曲線となっている。これは、第1のコンデンサの容量が大きいので、平滑化作用が大きくなるからである。その反面、第1のコンデンサの蓄電時間が長くなり、マイコン130の駆動電圧曲線412がマイコン130の駆動可能電圧閾値Vthに達する時間およびECUの電源電圧曲線411が14Vに達する時間は、第2クランク開始時tよりは後になっている。したがって、本実施例によれば、比較例に比べてエンジン100の初爆を早めることができ、エンジンスタート確率を高めることができる。
なお比較例において、第1のコンデンサの容量を本実施例のように小さくした場合には、エンジンの始動時には本実施例と同様の効果が得られるが、第2のコンデンサを備えないので、停止処理時の電源不足を生じる。これについては、後述する。
次に上記実施例のECU100を有するエンジン200を停止させる場合について、図5A,5B及び図6を用いて説明する。図5Aは、正常停止処理の場合であり、図5Bはエンスト等の異常停止処理の場合である。
図5A(a)では、実線500がエンジン200の回転速度の変化を示している。また、図5A(b)は、本実施例のECU100を用いた場合のECU電源電圧変化を一点鎖線501で、マイコン130の駆動電圧変化を実線502で示している。図5A(c)は比較例のECUを用いた場合であり、一点鎖線511でECU電源電圧の変化を、実線512でマイコン駆動電圧の変化を示している。
運転停止の場合には、エンジン200を停止するために、時間tk0にエンジン停止手段をオンする。エンジン停止手段がオンされると、ECU200はエンジン200を停止させる。ECU100によるエンジン200の停止制御により、エンジン200の回転速度が低下し、エンジン停止状態移行確定回転速度に達したtk1に、ECU100は、正常運転停止処理の実行を開始(ts1)する。エンジン200は時間tk2に停止する。
すなわち、正常運転停止の場合には、ECU100はエンジン停止状態移行確定判定時tk1に、今回の運転情報を不揮発性メモリ(EEPROM)に記憶する停止処理を開始する(tk1=ts1)。停止処理には停止処理時間Pを要し、停止処理終了時間ts2で終了する。このとき、マイコン130の電源電圧が閾値電圧Vthにまで低下する時間tは、停止処理終了時間ts2よりも後であるので、EEPROMへの書き込み完了までマイコン130の電源が確保されており、正常に書き込みが完了する。
なおエンジン200の回転速度が低下しても、エンジン停止手段によるエンジン停止でなく、回転速度がエンジン停止状態移行確定回転速度を切るまでに至らないような場合において、エンジン200の回転速度が回復すれば停止処理は実行されず、EEPROMへの書き込みも行われない。これにより、EEPROMの記憶領域への不必要な書き込みを回避する。
一方、第2のコンデンサを有しない比較例においても、エンジン停止手段がオンされると、本実施例と同様のタイミングで停止処理を開始する。しかしながら、第2のコンデンサを有しないため、マイコンの電源電圧は、停止処理を継続するのに必要な時間Pが経過する前に閾値電圧Vth以下になる。すなわち、閾値電圧Vth以下となる時間tは、停止処理が完了するであろう時間ts2よりも前であるので、EEPROMへの書き込み完了以前にマイコンの電源が消失し、異常書き込みとなる。
図5B(a)の実線500が、異常停止時のエンジン200の回転速度の変化である。図5B(b)では、本実施例のECU100を用いた場合のECU電源電圧変化を一点鎖線501で、マイコン130の駆動電圧変化を実線502で示している。図5B(c)は比較例のECUを用いた場合であり、一点鎖線511でECU電源電圧の変化を、実線512でマイコン駆動電圧の変化を示している。
エンスト等のトラブルによりエンジン200が急停止する異常停止の場合には、図5B(a)の実線で示すように、急激にエンジン200が停止する。一方、ECU100のマイコン130は図5B(a)の一点鎖線で示すように、tedだけ時間遅れでエンジン200の停止を検出し、異常停止処理を開始する。これは、急激なエンスト等によりパルサ信号が急に途絶え、マイコン130が回転速度を更新できず、エンスト判定時間tedだけエンジン停止前の回転速度を保持するためである。
ECU100がエンストを判定すると、エンジン200は回転速度を0とする。この回転速度は、エンジン停止状態移行確定判定を通常実施する回転速度を下回っているので、ECU100はエンジン200の回転速度を0とした時点で、エンジンの稼働情報や停止原因等を記録する異常終了処理を開始(te1)する。
異常停止処理には、時間Pを要するが、エンジン200が停止しても第2のコンデンサ(C1〜C3)161〜163からマイコン130に給電されるので、マイコン130には時間tまで閾値電圧Vth以上の電力が供給される。時間tは異常停止処理時間Pが経過する異常停止処理終了時間te2よりも後であるから、エンジン200の異常停止時でも、EEPROMへの書き込み処理の完了までマイコン130の電源が確保されており、正常に書き込みが終了する。
これに対して、第2のコンデンサを有しない比較例では、エンジン100の異常停止後急速にマイコンへの供給電源が喪失する。そのため、本実施例と同様にエンジン停止後遅れ時間tedに異常停止処理を開始しても、マイコン電源電圧が閾値電圧Vthになる時間tは異常停止処理を完了するのに必要な時間Pが経過する時間te2よりも早く、EEPROMへの書き込みが完了する前に電源が喪失するので、正常な書き込みができない。
以上図5A(b)、図5B(b)に示すように、本実施例においては、複数の第2のコンデンサ(C1〜C3)161〜163に蓄電しているので、エンジン100の速度低下および停止後でも、ECU直接駆動負荷170およびマイコン130への供給電圧502は、長時間にわたりマイコン駆動可能閾値電圧Vthを超えており、エンジン200の停止tk2後である正常停止処理および異常停止処理のいずれにおいても処理時間P、Pを確保でき、マイコン130による停止処理が可能になっている。逆に言えば、複数の第2のコンデンサ(C1〜C3)161〜163の容量を、異常停止処理と正常停止処理にかかわらず、停止処理ができる電源容量になるように設定している。
一方、図5A(c)、図5B(c)に示す第1のコンデンサのみを有する比較例のECUにおいては、エンジンの始動性を高めるために第1のコンデンサの容量を、本実施例と同程度の容量に設定している。この場合、エンジン停止状態移行確定判定時tk1に停止処理を開始して、EEPROMに今回の運転の稼働情報を記録し始める。しかし、第1のコンデンサからだけの給電では電力量が不足しており、停止処理を完了できる処理時間PまたはP経過までに、マイコン130の駆動電源電圧512とECU電源電圧の双方が早期に低下する。マイコン130の駆動電源電圧512に至っては、停止処理の完了前に駆動可能閾値電圧Vth以下となる。これにより停止処理は失敗で終わり、最悪の場合、データの破損という事態を生じる。
この不具合を解消するためには、第1のコンデンサの容量を本実施例の場合とは異なり、大容量にしてエンジンの正常運転中に第1のコンデンサを充電して異常停止時に第1のコンデンサから給電するようにすればよい。しかしその場合、上述したようにエンジンの始動特性が劣化する。また、他の解消方法として、エンジン停止状態移行確定回転速度判定時のエンジン回転速度よりも高速のエンジンの回転速度において、停止処理をすれば正常停止処理をエンジン停止前に実行可能である。しかしながら、エンジン停止状態移行確定回転速度判定時よりも高速時点で停止処理を開始すると、実際はエンジンを停止させない場合にもEEPROMに書き込むことになり、上書きにより無駄な書き込みをすることになる。また、エンスト等の異常停止にはやはり対応できない。
エンジン停止時であってエンジン停止状態移行確定回転速度判定後におけるECU100各部の電圧波形を、図6に詳細に示す。図6(a)は、本実施例のECU100を用いた場合の電圧波形であり、実線600で示した曲線は、図1の矢印A位置における内蔵レギュレータ110内の全波整流後の電圧波形である。一点鎖線601は、図1の矢印B位置におけるECU電源電圧の波形であり、実線602は、図1の矢印C位置におけるマイコン電源電圧の波形である。
ACジェネレータは4極であるので、全波整流波形600において、4山がクランク軸220の1回転に相当する。ECU100が停止処理を完了する時間ts2よりも前に、ACジェネレータ240の発生電圧がマイコン駆動可能閾値電圧Vthよりも低下している。しかし、マイコン電源電圧602は、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサからの宮殿により、停止処理終了ts2よりも後の時間ts3まで、マイコン駆動可能閾値電圧Vthを確保している。
図6(b)は、比較例におけるECU各部の電圧波形である。この比較例では図5の場合と同様に、ECUが第1のコンデンサのみを有し、その第1のコンデンサの容量を本実施例の第1のコンデンサと同程度としている。実線600は、内蔵レギュレータ110の全波整流後の電圧波形であり、一点鎖線611はECU電源電圧、実線612はマイコン電源電圧をそれぞれ示している。
第1のコンデンサの容量が小さいので、ECU電源電圧およびマイコン電源電圧のいずれでも、リップルが大きくなっている。また、エンジン200の回転速度が低下すると、第1のコンデンサからの給電だけではACジェネレータの発電量の低下をカバーできず、時間tmsにおいてマイコン電源電圧は、マイコン駆動可能閾値電圧まで低下する。図から明らかなように、時間tmsは、ECU100が正常停止処理を完了する時間ts2よりも前であり、ECUによる停止処理は失敗に終わり、最悪の場合データの破損となる。
以上説明したように、本実施例によれば、ECUが比較的小容量の第1のコンデンサと、この第1のコンデンサに並列接続される充電開始電圧(エンジン回転速度)が第1のコンデンサよりも高い複数の第2のコンデンサとを有しているので、エンジン始動時は第1のコンデンサに充電するだけでよく、始動性を高めることができる。また第2のコンデンサへの充電完了後のエンジン停止時には第2のコンデンサから給電できるので、ACジェネレータからの給電が停止した後でも、マイコンによる停止処理を確実に実行できる。
また、エンジン停止状態移行確定回転速度判定に基づいて停止処理を実行するかしないか決定していた従来方法に対して、本実施例によればエンジン停止状態移行確定回転速度判定に基づいて停止処理をするだけでなく、停止後においても停止処理が可能になっている。したがって、エンジン停止を基準として停止処理をすることも可能である。
なお、キルオン後にエンジンがどれくらい回転を維持できるかは、クランク軸系のイナーシャ等で定まる回転を保持しようとする力と、エンジン各部の摩擦やシリンダ内の圧縮損失等で定まるブレーキ力で決定される。そのため、確実にかつ最も簡便に停止処理ができる構成のためには、高地仕様ではブレーキ力が少ないので、エンジン停止状態移行確定回転速度判定に基づいて停止処理をする方式を採用するのであれば、複数の第2のコンデンサの容量や個数を減らすことも可能である。
次に本発明に係るECUの他の実施例を、図7ないし図9を用いて説明する。図7は、他の実施例の模式図であり、図8はエンジン始動時の特性を、図9はエンジン停止時の特性を示すグラフである。本実施例は、上記図1に示した実施例とはマイコン130駆動用の5Vレギュレータ位置が相違している。すなわち、複数の第2のコンデンサ(C〜C)161〜163は、5Vレギュレータ130の出力側に設けられている。
図8は図3に対応する図であり、図8(a)は、本実施例におけるエンジン始動時のECU110aの電源電圧変化801とマイコン電源電圧変化802を示すグラフである。図8(b)は、本実施例の第2のコンデンサ接続位置に本実施例と同等の合計容量のコンデンサを直結した比較例の場合である。
図8(a)に示すように、実線802で示したマイコン電源電圧は、第1クランキングと第2クランキングの間でマイコン駆動可能閾値電圧Vthに達し、イニシャライズ処理を開始する。そして第2クランキング開始時間tに達する前に、イニシャライズ処理を完了できる。つまり、第2クランキング開始時tにエンジン200の初爆が可能になるので、1回のキッキングでエンジン200を始動できる。なお、一点鎖線801は、ECU100aの電源電圧変化であり、Pinはイニシャライズ処理に要する時間である。
一方、図8(b)に示す比較例では、ECUの電源電圧は一点鎖線811で示されるように、本実施例とほぼ同じ変化を示すが、実線812で示したマイコン電源電圧は、大容量の上記直結コンデンサを充電するために、マイコン駆動可能閾値電圧Vthに達する時間が遅れる。その結果、ECUのイニシャライズ処理開始時間tisが遅れ、イニシャライズ処理終了時間tieが第2クランキング開始時間tを超えてしまい、初爆は第4クランキング開始時tまで期待できず、始動に失敗する恐れが生じる。
図9A、図9Bは、図5A、図5Bに対応する図であり、図9Aは正常終了時の図であり、図9Bは異常終了時の図である。図9A(a)、図9B(a)はエンジン200の回転速度変化(実線900)を示す図であり、図9A(b)、図9B(b)は本実施例に係るECU100aの電源電圧の変化(一点鎖線901)およびマイコン電源電圧(実線902)の変化を示す図である。図9A(c)、図9B(c)は比較例の場合であり、第1のコンデンサのみを有し、エンジンの始動性を高めるため、第1のコンデンサの容量を本実施例と同程度とした従来型である。
図9A(b)、図9B(b)に示すように、図5A、図5Bに示した実施例とはECU100aの電源電圧変化が相違している。すなわち、ECU100aは図5A、図5Bの実施例と比較して早期に電源が喪失されるが、マイコン電源電圧902は、第2のコンデンサからの給電により、正常停止状態でも、異常停止状態でも、停止処理を完了するまでマイコン駆動可能閾値電圧Vth以上となっている。特に、エンスト等を判定する異常停止処理では、エンジン停止時間tk2以降の時間te1にエンストを判定し、それから異常停止処理時間Pだけマイコン130が稼働できる必要がある。本実施例ではマイコンの稼働停止時間(マイコン電源電圧がVthになる時間)tmsが、停止処理終了時間te2よりも後であるから、異常停止であっても確実に停止処理を実行できる。
比較例では、一点鎖線911で示したECUの電源電圧は、本実施例の電源電圧901とほぼ同様な変化を示し、早期にECUの電源電圧が喪失される。一方、実線912で示したマイコン電源電圧は、エンジンの停止後まで確保されてはいるが、停止処理を終える時間ts2までは確保されていないので、停止処理のEEPROMへの書き込みが不完全となり、失敗に終わる。
本実施例においても、図1に示した第1の実施例と同様に、エンジンの始動性の向上とエンジン停止時の停止処理時間の確保とを両立できる。さらに本実施例においては、第2のコンデンサをマイコン電源に直接接続したので、ECU直接駆動負荷や図示しないセンサ系の5Vレギュレータ系統への給電が不要となり、どんな運転状態でも確実にマイコン電源を確保できる。ただし、コンデンサへの給電切換え時に、マイコンへの電源ラインが一時的に電圧降下する恐れがあるので、その対策が必要となる場合がある。
図10A、図10B、図11を用いて、本発明のさらに他の実施例を説明する。図10Aは図1に、図10Bは図7に対応する図である。すなわち、図10Aと図10Bとは、第2のコンデンサ165及びMOSFET155の接続位置が相違するのみで、その他は同じである。図11は、各実施例におけるコンデンサの充電タイミングを説明する図である。
これまでの各実施例では第2のコンデンサを複数個設け、各第2のコンデンサに接続されたMOSFETの充電開始回転速度を変えていた。図10A及び図10Bのいずれに記載の実施例でも、第2のコンデンサ165は1個のみであり、第2のコンデンサ165の容量を第1のコンデンサ140の容量に比べて十分大にしている。それとともに、所定エンジン回転速度域に達したら、MOSFET155をPWM駆動して、第2のコンデンサ165を充電している。これにより、複数の第2のコンデンサを有する場合と同様の効果を得ている。なお第2のコンデンサ165の容量は、上記複数の第2のコンデンサ(C~C)161〜163の合計容量程度とすれば、図1や図7に示した実施例と同様の作動を期待できる。
図1に示した実施例では、図11(a)に示すように、エンジンの回転速度Nに応じて場合分けを設定していた。上述したように、エンジン始動時等の低速運転時には、ACジェネレータ240で発生する電力量は少量であるから、エンジンの点火動作やイニシャル処理が優先されて、電力はそれらに使用される。この場合、ACジェネレータ240の発生電力に余裕がなく、第1のコンデンサ140に充電するのが精いっぱいである。
高速運転時には、エンジンの点火動作が頻繁となり、この場合もACジェネレータ140の発生電力に余裕がないので、第2のコンデンサには充電しない。一方、中速域ではACジェネレータの発生電力に余裕があるので、第2のコンデンサに充電してリップルの抑制や停止処理時の電源として活用する。
例えば、エンジン回転速度NがN以下では、低速域として第2のコンデンサへの充電はしない。さらに、エンジン回転速度NがN以上でも第2のコンデンサは充電しない。低速域(N以下)および高速域(N以上)を除いた中速域を複数段階(N,N)に分割し、ラインLで示す分割したタイミングの時だけ、第2のコンデンサを充電する。
これに対して図10A及び図10Bに示した実施例では、図11(b)に示すように、エンジン200の回転速度の高速域への遷移点Nと低速域への遷移点Nの間で、1個のMOSFET155を、所定のデューティ比でPWM駆動して、第2のコンデンサ165を少しずつ充電している。PWM充電回数が予め定めた回数に達したら、充電完了とみなして、その後はエンジンの回転速度によらず、MOSFET155のON状態を継続する。これにより、1個のコンデンサしか有していなくても、複数の第2のコンデンサを有する場合と同様の作用・効果が得られる。なお、充電完了の判定には、PWM充電回数のほかに、エンジンの回転速度が中速域にいた積算時間を用いてもよい。
以上本発明の各実施例によれば、バッテリレスの内燃機関のECUが、内蔵レギュレータに直接接続される従来の第1のコンデンサのほかに、エンジンの複数の回転速度に応じて充電を開始する第2のコンデンサを第1のコンデンサに並列に接続して設けているので、エンジンの始動性を高めながら、エンジンの異常停止にも対応できる。したがって、バッテリレスエンジンの使用条件を拡大できる。
なお上記実施例では、複数の第2のコンデンサを有する場合には、3個の場合を示しているが、第2のコンデンサの数は3個に限るものではない。ただし、第2のコンデンサの数を増せば費用が増大し制御が複雑になるので、経済的に許す範囲で多くするのが望ましい。
上記実施例ではクランク軸の端部にフライホイールを設け、そのフライホイールにACジェネレータを設けているが、ACジェネレータは、クランク軸から動力伝達装置を介して動力を得るようにしてもよい。
100、100a…ECU(内燃機関用制御装置)、110…内蔵レギュレータ、120…5Vレギュレータ、130…マイコン、140…コンデンサC0、151~153…MOSFET、161~163…コンデンサ、200…内燃機関(エンジン)、210…点火プラグ、220…クランク軸、230…フライホイールマグネト、240…ACジェネレータ、241…パルス信号(回転信号)、250…内蔵レギュレータ、260…一般負荷、271…インジェクタ(ECU直接駆動負荷)、272…点火用コンデンサ昇圧回路(ECU直接駆動負荷)、273…イグニッションコイル、274…点火プラグ、275…センサ入力、301、401、501、601、801,901…本発明に係るECU電源電圧、302、402、502、602、802、902…本発明に係るマイコン電源電圧、311、411、511、611、811、911…比較例に係るECU電源電圧、312、412、512、612、812、912…比較例に係るマイコン電源電圧、400…全波整流電圧、500…回転速度、600…全波整流電圧、900…回転速度、N〜N…回転速度、t…起動時、t、t、…t…、t…(i回目の)クランキング開始時間、tis…イニシャライズ開始時間、tie…イニシャライズ終了時間、Pin…イニシャライズ期間、Vth…マイコン作動閾値電圧、tk0…キルスイッチ入力時間、tk1…エンジン停止状態移行確定回転速度判定時間、tk2…エンジン停止時間、ts1…正常終了処理開始時間、ts2…正常終了処理終了時間、ts3…本発明に係るマイコン停止時間、tms…比較例に係るマイコン停止時間、P…正常終了処理期間、te1…異常終了処理開始時間、te2…異常終了処理終了時間、P…異常終了処理期間、τ〜τ…MOSFETのON時間、τ…MOSFETの切換上限時間。

Claims (11)

  1. 内燃機関のクランク軸の端部側に直接または動力伝達装置を介して取り付けたACジェネレータが発生した電力により、内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関用制御装置において、
    内燃機関の動作制御用のマイコンと、このマイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと、前記ACジェネレータで発生した電力を整流および平滑化する内蔵レギュレータとを備え、前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に、小容量の第1のコンデンサと、複数の切換手段にそれぞれ直列接続され、前記第1のコンデンサより容量が大である複数の第2のコンデンサが並列接続されていることを特徴とする内燃機関用制御装置。
  2. 前記第2のコンデンサを切り換える切換手段はMOSFETであり、このMOSFETの駆動を前記マイコンが制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用制御装置。
  3. 前記マイコンが複数の前記切換手段に指令するタイミングは、切換手段ごとに異なっており、前記内燃機関の回転速度が上昇するにつれて順次切り換えられ、前記切換手段の切り換え間隔が所定時間以下の場合には所定時間に達するまで切り換えないことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用制御装置。
  4. 内燃機関に取り付けたACジェネレータが発生した電力により内燃機関の制御装置が内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関の制御方法において、
    前記内燃機関の制御装置は、マイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと前記ACジェネレータの出力が入力される内蔵レギュレータとの間に第1のコンデンサを有しており、
    前記内燃機関の制御装置は、前記第1のコンデンサに切換手段を介して並列接続され、
    この第1のコンデンサより容量が大の複数の第2のコンデンサを、前記内燃機関の回転速度が複数の予め定めた回転速度に達したら、前記切換手段を用いて電気的な切断状態から接続状態へ順次切換えることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  5. 前記複数の第2のコンデンサは、電気的な接続状態が同時には切換えられず、かつ前記切換手段の切り換え間隔が所定時間以下の場合には所定時間に達するまで切り換えないことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御方法。
  6. 前記複数の第2のコンデンサは、内燃機関の始動時には電気的に切断されており、一旦接続されたら前記内燃機関の制御装置がリセットするまで電気的な接続状態を保持することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御方法。
  7. 内燃機関のクランク軸の端部側に直接または動力伝達装置を介して取り付けたACジェネレータが発生した電力により、内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関用制御装置において、
    内燃機関の動作制御用のマイコンと、このマイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと、前記ACジェネレータで発生した電力を整流および平滑化する内蔵レギュレータとを備え、前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に小容量の第1のコンデンサを、前記第1のコンデンサより容量が大である1個の第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に有し、前記第2のコンデンサにFETを直列接続し、
    前記マイコンは前記FETをPWM駆動することを特徴とする内燃機関用制御装置。
  8. 内燃機関に取り付けたACジェネレータが発生した電力により内燃機関を制御するバッテリレスの内燃機関の制御方法において、
    前記内燃機関の制御装置は、マイコンに電源電力を給電するマイコン電源用電圧レギュレータと、前記ACジェネレータの出力が入力される内蔵レギュレータと、前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記ACジェネレータとの間に配置された第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサより大容量で1個だけ接続された第2のコンデンサと、この第2のコンデンサに直列接続されたFETとを有し、前記マイコンは、前記内燃機関の回転速度が予め定めた回転速度域に達したら、前記FETをPWM駆動して前記第2のコンデンサを電気的な切断状態から接続状態へ切り換えて充電することを特徴とする内燃機関の制御方法。
  9. 複数の第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に配置する代わりに、前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用制御装置。
  10. 1個の前記第2のコンデンサを前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間に配置する代わりに、前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に1個の前記第2のコンデンサを配置したことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関用制御装置。
  11. 前記第2のコンデンサは前記内蔵レギュレータと前記マイコン電源用電圧レギュレータ間または前記マイコン電源用電圧レギュレータと前記マイコン間に接続されており、前記第2のコンデンサのPWM充電回数もしくはPWM充電時間が予め定めた値に達したら充電完了とみなして、その後は内燃機関の制御装置がリセットされるまで電気的な接続状態を保持することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の制御方法。
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