実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる画像表示装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、本実施の形態1にかかる画像表示装置100の構成を示す側面図である。
画像表示装置100は、PC(Personal Computer)のモニター、PDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル端末、ゲーム機、テレビジョン受像機、カーナビゲーション装置、車載モニター、タブレット端末などである。図1に示すように、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100は、画像が表示される側で且つ外光が当たる側から順に第1のパネルとしての保護板50と、第2のパネルとしての表示パネル11とが積層され、保護板50と表示パネル11とは粘着部材30を介して貼り合わされているものとして説明する。本発明の実施の形態1では、表示パネル11は液晶表示装置として説明するが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置でもよい。本発明の実施の形態1の表示パネル11は液晶表示装置であるので、表示パネル11は、液晶基板10と偏光部材20とを備えている。液晶基板10は、画像を表示する表示面10aを有する。保護板50は、表示パネル11で表示された画像が視認できるように透光性を有し、視認性及び意匠性の観点から周辺領域を遮光するための印刷層40を備えている。印刷層40の形状は、図1に示すように、閉ループ状であり、開口及び開口端部42を有している。
図2に示すように、液晶基板10の一方の面である画像を表示する表示面10aと他方の面とに、偏光部材20が貼り付けられている。偏光部材20は、例えば、フィルム形状に形成され、液晶基板10に貼り付け可能な偏光フィルムである。偏光部材20は、液晶基板10に接着剤を用いて貼り付ける偏光板であってもよい。偏光部材20の表面には、適宜、ハードコート層、アンチグレア層などが設けられていてもよい。
ここで、図2に示すように、保護板50は、表面50aと裏面50bとを有している。保護板50の裏面50bは、粘着部材30と接着する面である。そして、図2に示すように、粘着部材30の保護板50と接着する面は、第1の接着面30bである。粘着部材30の表示パネル11と接着する面は、第2の接着面30aである。表示パネル11の粘着部材30と接着する面は、表示パネル11の表面11aである。画像表示装置100には、バックライトユニット、フレキシブル配線、表示パネル11を固定する粘着テープ、ネジなども用いられている。
表示パネル11の表面11aと第2の接着面30aは、図面上は同じ位置を示しているが、表示パネル11の表面11aは表示パネル11の外周で囲まれた面全体であって、偏光部材20の外周で囲まれた面全体を示し、第2の接着面30aは、粘着部材30が表示パネル11の表面11aに接している部分を示している。保護板50の裏面50bと第1の接着面30bも同様に、図面上は同じ位置を示しているが、保護板50の裏面50bは保護板50の外周で囲まれた面全体を示し、第1の接着面30bは、粘着部材30が保護板50の裏面50b又は印刷層40に接している部分を示している。
粘着部材30は、透光性を有する。粘着部材30は、画像の表示品質が低下することを抑制するものである。表示パネル11と保護板50との間に空気層が存在すると、液晶基板10の表示面10aに向かう外光が、保護板50の裏面50b、液晶基板10の表示面10aなどで反射し、コントラストが低下する。これにより、表示品質が低下してしまうので、表示パネル11と保護板50との間に空気層を粘着部材30で埋め、表示パネル11と保護板50とを粘着部材30を介して貼り合わせる。
粘着部材30は、保護板50の裏面50bに形成される。粘着部材30が形成される層は1層に限らず、複数の層で形成されていてもよいが、本発明の実施の形態1では1層である。粘着部材30の屈折率は、保護板50の屈折率とほぼ同等である。粘着部材30の材料については、後述する本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を説明したあとに説明する。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の粘着部材30は、断面視したときに、第1の接着面30bの端点における側面30cと第1の接着面30bとが成す第1の角、及び第2の接着面30aの端点における側面30cと第2の接着面30aとが成す第2の角のいずれの角度も、90度以下である。図2において、側面30cは直線で図示されているが、実際は曲線であり、側面30cは曲面である。側面30cと曲面とすることで、側面30cが平面で形成されている場合に比べて、保護板50及び表示パネル11が粘着部材30から引き剥がされる方向に粘着部材30に応力がかかったときの粘着部材30内の応力分布を、分散させることができる。したがって、粘着部材30内に亀裂が入るのを抑制することができる。
保護板50は、可視光をほとんど吸収しない透明な板である。保護板50は、イオン交換法、風冷強化法などを用いて強度が向上したガラス板、合わせガラス、樹脂板などである。樹脂板とは、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などで構成される板である。その他にも、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などを積層したものから構成される板であってもよい。
保護板50の裏面50bは、表示パネル11と対向する面である。保護板50の形状は、ここでは矩形状であるが、多角形状、円弧が含まれる形状などであってもよい。また、表示パネル11も、保護板50の形状と同様に、ここでは矩形状であるが、多角形状、円弧が含まれる形状などであってもよい。すなわち、液晶基板20及び偏光部材20の形状も、保護板50の形状と同様に、ここでは矩形状であるが、多角形状、円弧が含まれる形状などであってもよい。
保護板の表面50aは、液晶基板10に表示した画像を視認する側の面である。表面50aには、視認性を向上するためのアンチグレア処理、アンチリフレクション処理、キズ防止のためにハードコート処理などが、必要に応じて施されていてもよい。本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の保護板50は、粘着部材30を介して、表示パネル11と重なるように設けられる。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の保護板50の裏面50bには、印刷層40が形成されているが、印刷層40が形成されていない保護板50を用いてもよい。印刷層40の有無に、特に制限は無い。保護板50の裏面50bは、表面50aの反対側の面である。印刷層40は、装飾用(加飾用)の層である。なお、印刷層40は、装飾用(加飾用)に限定されず、他の用途の層であってもよい。
印刷層40の形状は、図1に示したように、閉ループ状であり、開口及び開口端部42とを有している。印刷層40は、可視領域の波長の光をほとんど遮蔽する材質で構成される。印刷層40は、色材の顔料が含まれた塗料を用いて構成される。具体的には、例えば、カーボンブラックを配合したアクリル樹脂などで構成される。印刷層40の色は、例えば黒であるが、遮光性を有する色であればよく、黒以外の色であってもよい。印刷層40は、表示パネル11の表示領域、すなわち液晶基板10の表示領域に合わせて形成される。なお、意匠性の観点から、印刷層40のサイズは、表示パネル11の画像を表示する液晶基板10の内部に設けられた素子の端部と印刷層40の開口端部42との位置の差が、出来るだけ小さくなるサイズが好ましい。
印刷層40は、意匠性、遮光性などの点で所望の性能を満足していればよく、その形成方法は、本発明の実施の形態1では特に限定されるものではない。印刷層40は、例えば、スクリーン印刷法を用いて樹脂を塗布して形成される。印刷層40の厚みは、遮光すべき光源の強度などにより変化する。印刷層40の厚みは、一般的には、3から70マイクロメートル程度である。印刷層40の色が黒色系以外の場合、遮光性を十分に得るために、印刷層40の塗布膜の厚みは、10から70マイクロメートル程度とされる。印刷層40の色が黒色系の場合、印刷層40の塗布膜の厚みは、一般的に、3から40マイクロメートル程度とされる。また、印刷層40は、意匠性、遮光性などの点から、膜が積層されることにより、所望の厚みを有していてもよい。なお、膜が積層されることで、異物が存在した場合のピンホールの発生など、意匠性に関わる問題を抑制し、高い歩留で安定して印刷層40を作製することができる。
次に、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法について説明する。まず、液晶基板10の表示面10aに偏光部材20が貼り付けられた表示パネル11、及び裏面50bに印刷層40が形成された保護板50を用意する。以下では、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法が備える接着工程であって、用意した表示パネル11と保護板50とを粘着部材30を介して貼り合わせるための接着工程について、詳しく説明する。
本発明の実施の形態1では、粘着部材30の材料として、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化型粘着樹脂を使用する。この材料を、以下では粘着部剤300と呼ぶ。言い換えれば、粘着部剤300の樹脂硬化物が粘着部材30である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を示す工程フロー図であり、用意した表示パネル11と保護板50とを粘着部材30を介して貼り合わせる工程を示す工程フロー図である。本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100は、図3に示すステップS1からステップS6の工程を備えている。
まず、図3を用いて、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を簡単に説明する。図3のステップS1において、保護板50の裏面50bに粘着部剤300を印刷する。次に、ステップS2において、印刷した粘着部剤300の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行い、ステップS3において、仮硬化された粘着部剤300の表面と表示パネル11の表面11aとを接触させ、表示パネル11を揺動させる。そして、ステップS4において、粘着部剤300を表示パネル11に押し付け、ステップS5において、保護板50と表示パネル11とを僅かに引き離す。最後に、ステップS6において、粘着部剤300を本硬化させる。粘着部剤300は、本硬化後に粘着部材30となる。そして、保護板50と表示パネル11とが粘着部材30を介して貼り合わされる。
次に、図3に示されたステップS1からステップS6の詳細をそれぞれ説明する。ステップS1は第1の工程であって、保護板50の表示パネル11と対向する面であって、保護板50の裏面50b上に、粘着部剤300を面状に印刷する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を説明する図であって、第1の工程を説明する図である。図4に示すように、粘着部剤300は、保護板50の表示パネル11と対向する面であって、保護板50の裏面50bに面状に印刷される。粘着部材300の表面であって、このあと表示パネル11と接着する面は、第2の接着面300aとして示されている。粘着部材30の保護板50と接着している面は、第1の接着面300bである。第1の接着面300bは、粘着部剤300が本硬化後に粘着部材30となったとき、第1の接着面30bとなる面である。第2の接着面300aは、粘着部剤300が本硬化後に粘着部材30となったとき、第2の接着面30aとなる面である。
さらに図4には、第1の接着面300bの外周が周縁部301として、保護板50の外周が外周部501として示されている。また、粘着部剤300の第1の接着面300bの端点における側面と第1の接着面300bとが成す第1の角であって、粘着部剤300内の角を、角30Aとして示している。角30Aは、粘着部剤300の保護板50との接着面と、粘着部剤300の側面とが成す角である。
ここで、粘着部剤300は、スリットコート法により、面状に、約200マイクロメートルの厚みで概ね均一に印刷した。粘着部剤300の印刷方法及び厚みは、特に限定されるものではない。粘着部剤300を面状に印刷できる印刷方法としては、他にはスクリーン印刷法がある。印刷方法及び厚みは、その他の構成部材に合わせて、適宜、変更できるものである。
次に、ステップS2は第2の工程であって、ステップS1で印刷された粘着部剤300の周縁部301の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う。粘着部剤300の表面であって、このあと表示パネル11と接着する第2の接着面300a側から、0.3ジュール/平方センチメートルの積算光量になるように紫外線光を照射して、30%以上80%以下の硬化度で仮硬化させている。仮硬化の硬化度は、粘着部剤300の仮硬化後の硬さは材料によって異なるため、粘着部材に使用される材料によって適宜決めるものである。また、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50と表示パネル11のサイズなどによっても変わるものである。ここでは、50%以上80%以下の硬化度とした。本発明の実施の形態1では、保護板50及び表示パネル11のサイズは、対角が約12インチのものを想定している。
ステップS2を経た粘着部剤300は、半硬化状態になっており、粘着部剤300の周縁部301の位置が変化するような流動性は有していない。そして、本発明の実施の形態1では、粘着部剤300に、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化型粘着樹脂を使用したため、粘着部剤300の第2の接着面300aは、酸素により硬化阻害を受けて硬化されていない。したがって、最表面の数マイクロメートル程度は硬化されていない状態である。
粘着部剤300は、保護板50の裏面50bに形成されている印刷層40の開口を覆うように形成されている。すなわち、粘着部剤300の周縁部301は、閉ループ状に形成されている印刷層40に接している。粘着部剤300の端部の断面形状は、粘着部剤300の周縁部301が、保護板50の外周部501に最も近くなっている。そして、粘着部剤300の周縁部301から粘着部剤300の第2の接着面300aとの間で、粘着部剤300の中央に向かう方向に傾斜している。したがって、粘着部剤300は、粘着部剤300の第1の接着面300bから第2の接着面300a近づくにつれて、上面視したときの大きさが小さくなっている。
すなわち、粘着部剤300の厚みは、保護板50の外周部501に近づくにつれて薄くなっている。そして、角30Aの角度が、90度以下になっている。粘着部剤300の断面形状が上述したような形状となるのは、スリットコート法などの印刷方法により面状に粘着部材を塗布した場合に、保護板50又は印刷層40と粘着部剤300とが成す接触角、すなわち、保護板50と印刷層40対する粘着部剤300の濡れ易さに応じて、保護板50に接する粘着部剤300は濡れ拡がるが、保護板50に接しない粘着部剤300は、表面張力によって塗布された領域の中央に向かって引き寄せられるためである。なお、本発明の実施の形態1では、保護板50及び印刷層40の粘着部剤300を塗布する面に、オゾン処理、プラズマ処理などの一般的に濡れ性改善処理として知られている処理は実施していない。
次に、ステップS3は第3の工程であって、保護板50の裏面50bに印刷し仮硬化させた粘着部剤300の第2の接着面300aを、表示パネル11の表面11aに接触させ、表示パネル11を揺動させる。まず、表示パネル11に貼り付けられた偏光部材20の表面には、保護フィルムが貼られていることが多いので、この保護フィルムを剥がす。次に、約100パスカルの真空中で、粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとを位置合わせし、接触させる。そして、この接触させた状態で、表示パネル11を、表示パネル11の長辺方向と短辺方向に、接触させた位置をゼロとして、プラスマイナス0.5ミリメートル、すなわち、1ミリメートル幅で表示パネル11の長辺及び短辺の平面方向であって水平方向に揺動させる。
図5は、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を説明する図であって、第3の工程を説明する図である。図5は、第3の工程を経た画像表示装置を示している。図5には、粘着部剤300の第2の接着面300aの端点における側面と第2の接着面300aとが成す第2の角であって、粘着部剤300内の角を、角30Bとして示している。角30Bは、粘着部剤300の表示パネル11との接着面と、粘着部剤300の側面とが成す角である。粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとを接触させた状態で表示パネル11を揺動させることで、第2の接着面300aの端点における側面と第2の接着面300aとが成す第2の角である角30Bの角度を、90度以下に形成することができる。
粘着部材300の第2の接着面300aは、ステップS2が終了したとき、酸素により硬化阻害を受けて硬化されていない状態であった。これを表示パネル11の表面11aに接触させ、表示パネル11を水平方向に揺動させると、第2の接着面300aの面積は広くなる。すなわち、粘着部剤300のうち、酸素により硬化阻害を受けて硬化されていない状態であった最表面の数マイクロメートル程度が面積を広げていく。そして、粘着部剤300のうち、その最表面に近い部分であって柔らかい部分は、最表面が面積を広げたのに対してある程度追従してくるが、第1の接着面300bの面積は変わらないので、角30Bの角度を90度以下に形成することができる。
粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとの位置合わせは、粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとを接触させる前に実施されており、接触し始めた状態では位置合わせは終了している。また、粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとを接触させる距離については、特に制限するものではなく、適宜、調整するものである。接触させる前には、粘着部剤300の厚みに分布が生じる事、粘着部剤300の硬化度によって粘着部剤300の硬さが異なることを考慮して、粘着部剤300の印刷厚みの約5%から20%の範囲が好ましいと考えられる。また、揺動させる幅については、粘着部剤300の周縁部301から粘着部剤300の第2の接着面300aとの間で傾斜している幅より小さい揺動幅とすることが好ましいが、特に制限するものではない。
次に、ステップS4は第5の工程であって、約1メガパスカルの圧力で粘着部剤300を表示パネル11に押し付ける。ステップS4は、ステップS3に引き続いて行われるため、約100パスカルの真空下で行われる。ステップS4は、粘着部剤300が所望の厚みになるように、保護板50と表示パネル11との間に入ってしまった気泡を抜くために、又は保護板50及び表示パネル11の歪みを修正するために、行うものである。押し付ける時間の変更、押し付け中に圧力を変化させることもあるが、押し付け時間、押し付けの圧力値及び圧力値を変化させる条件に特に制限は無い。使用する装置の性能、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50と表示パネル11のサイズなどに合わせて、適宜決めるものである。ただし、粘着部剤300の断面形状が変わるほどの圧力は加えない。
ステップS3及びステップS4における真空度も、使用する装置の性能、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50及び表示パネル11のサイズなどに合わせて、適宜決めることができる。本発明の実施の形態1で使用した真空貼り合せ装置には、粘着部剤300の第2の接着面300aと表示パネル11の表面11aとの隙間をマイクロメートル単位で調整する機構が設けられていた。また、表示パネル11と保護板50は、それぞれ上下のステージに真空吸着により固定されていたが、貼り合わせる保護板50及び表示パネル11のサイズ、材質などによっては静電気により固定してもよい。
上下のステージの一方、又は両方は、平面方向であって水平方向の全方位にマイクロメートル単位で可動する機構を有している。したがって、本発明の実施の形態1におけるステップS3では、保護板50の裏面50bに印刷し仮硬化させた粘着部剤300の第2の接着面300aを、表示パネル11の表面11aに接触させ、表示パネル11を揺動させたが、保護板50を揺動させてもよいし、保護板50及び表示パネル11の両方を揺動させてもよい。この揺動によって、第2の接着面300aの面積が広がり、角30Bの角度が90度以下となればよい。
次に、ステップS5は第6の工程であって、保護板50と表示パネル11とを僅かに引き離す。これにより、角30A及び角30Bの角度を確実に90度以下にすることができる。この引き離す距離は、特に限定されるものではないが、粘着部剤300内に亀裂が入ること、粘着部剤300が保護板50又は表示パネル11から剥離してしまうことは避けるものでなければならない。
次に、ステップS6は第4の工程であって、粘着部剤300を本硬化させる。図6は、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法を説明する図であって、第4の工程を説明する図である。本発明の実施の形態1では、保護板50側から3ジュール/平方センチメートルの積算光量になるように、紫外線光60を照射して硬化させる。その後、さらに粘着部剤300の側面から紫外線光60を3ジュール/平方センチメートル照射して、印刷層40により遮光されていた部分の硬化も行う。
なお、粘着部剤30の側面からの紫外線光60照射については、ステップS2における仮硬化の硬化度が高い場合、保護板50側からの紫外線60の照射時に印刷層40があっても硬化するタイプの粘着部剤300を用いた場合などは、実施しないこともある。また、粘着部剤300の側面から紫外線光60を照射し、その後に保護板50側からの紫外線60の照射する順序に入れ替えてもよい。
以上により、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100が製造される。そして、以上に説明した方法で製造された本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の角30A及び角30Bの角度は、10度から60度の範囲であった。
粘着部剤300、すなわち粘着部材30の材料は、例えば、紫外線硬化性の粘着樹脂であり、1種類の紫外線硬化性樹脂に限らず、複数種類の紫外線硬化性樹脂を用いてもよいが、本発明の実施の形態1では1種類の紫外線硬化性樹脂を用いている。粘着部剤300は、熱硬化型の粘着樹脂を用いることも可能である。また、熱硬化と紫外線硬化を併用する粘着剤であってもよいが、熱硬化型を併用する場合は、材料の保管方法や製造時の取り扱いに制限が生じるため、一般的には紫外線硬化型が多く使用される。さらに、液状樹脂を塗布した後に形状を維持する程度に硬化あるいはチクソ性を付与するなど材料特性を調整して保持させる場合もある。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法においては、粘着部材30が形成される層を1層として、粘着部剤300に1種類の材料を用いた。しかしながらこれに限ることはなく、粘着部材30が形成される層を2層以上の複数層として、粘着部剤300に2種類以上の材料を用いてもよい。
また、ステップS2において仮硬化する際に、外気に露出している最表面が硬化しない材料、すなわち仮硬化する際に表面が硬化阻害を受ける材料を用いた。しかしながら、これに限ることはない。仮硬化する際に表面が硬化阻害を受けない材料であっても、粘着部剤には弾性があるため、ステップS3における揺動によって接着面の面積を広げることができるからである。
なお、粘着部剤300は、例えば、本発明の実施の形態1では、粘着部材30の温度25度、周波数1ヘルツの条件で測定した貯蔵弾性率は、0.1から1メガパスカル台であった。表示パネル11と貼り合せる際においては、表示ムラの原因になることから、表示パネル11の熱による変形などにより発生する応力を緩和するために、粘着部材30には高い柔軟性も必要である。また、粘着部材30の柔軟性が低いと、偏光部材20の界面で粘着し難くなり、気泡として視認される問題が発生する場合もある。このような問題を解決するには、表示パネル11のサイズ、種類、その他の構成部材などによって適した柔軟性があるため、粘着部剤300の弾性率などは適宜、調整するものである。
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の効果について説明する。まず、ステップS3における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置101を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、70度の高温条件下で保護板50と表示パネル11との間を引き剥がすように、錘を吊るして加重する試験を行った。錘は、100グラム/平方センチメートルになるように調整した。
その結果、揺動を行った画像表示装置100には、24時間試験後も保護板50と表示パネル11との間に気泡の発生は見られず、保護板50と粘着部材30との間及び表示パネル11と粘着部材30との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置101は、表示パネル11と粘着部材との間の境界で剥離が生じていた。
揺動を行っていない画像表示装置101は、画像表示装置100の角30Bがある位置に相当する位置にある角が鈍角であった。したがって、この鈍角であった端部に保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす応力が集中し、表示パネル11と粘着部材30との間の境界で剥離が生じていたと考えられる。揺動を行っていない画像表示装置101の粘着部材にかかる保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす力の応力力線を描くと、鈍角となっている端部に応力力線は集中し、かつその方向は、粘着部材の内側を向く。これにより、鈍角であった端部に保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす応力が集中すると考えられる。
一方、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100は、角30A及び角30Bの角度が、両方ともに90度以下になっている。したがって、端部が直角又は鋭角となっているので、保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす応力が端部に集中するのを低減でき、表示パネル11と粘着部材30との間、保護板50と粘着部材30との間の境界で剥離が生じるのを低減できていたと考えられる。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の粘着部材30にかかる保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす力の応力力線を描くと、第1の接着面30bと第2の接着面30aが同じ面積のとき、第1の接着面30bと第2の接着面30aに応力力線が集中する箇所はない。第1の接着面30bと第2の接着面30aとの面積が異なるとき、面積の小さい方の接着面がある端部に応力力線は集中する。しかしながら、その応力力線の方向は、粘着部材の外側を向く。これにより、保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす応力が端部に集中するのを低減でき、表示パネル11と粘着部材30との間の境界で剥離が生じるのを低減できていたと考えられる。ここで、第1の接着面30bの面積と第2の接着面30aの面積は、同じであることが最も好ましいことが分かる。
本発明の実施の形態1では、製造方法のステップS3における揺動の方向を水平方向としたが、上下の垂直方向であってもよい。水平方向の場合と同様に、接触させた位置をゼロとして、表示パネル11を垂直方向にプラスマイナス0.05ミリメートル、すなわち0.1ミリメートルの幅で上下に揺動させてもよい。酸素により硬化阻害を受けて硬化されていない状態であった第2の接着面300aは、表示パネル11が上向きに動いたとき、押しつぶされるような形となり、面積を広くする。そして、下向きに動いたとき、角30Bの角度を90度以下に形成することができる。このとき、表示パネル11を揺動させたが、保護板50を揺動させてもよいし、保護板50及び表示パネル11の両方を揺動させてもよい。この揺動によって、第2の接着面300aの面積が広がり、角30Bの角度が90度以下となればよい。
ステップS3における揺動の方向を上下の垂直方向として製造した画像表示装置102に対して、錘により加重する同様の試験を行った。その結果、画像表示装置100と同様に、気泡の発生、位置ずれなどの問題は確認されなかった。また、ステップS3における揺動の方向を水平及び垂直の両方向とした画像表示装置103を製造し、錘により加重する同様の試験を行った。その結果、こちらも画像表示装置100と同様に、気泡の発生、位置ずれなどの問題は確認されなかった。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100では、第1のパネルを保護板50とし、第2のパネルを表示パネル11とした。しかしながら、第1のパネルは保護板50であって、第2のパネルをタッチパネルとしてもよい。タッチパネルとは、ベース基板上にタッチされた指示体を感知する電極などで形成されたタッチセンサーを有し、保護膜などで封止されたものである。ここで、タッチされた指示体を感知する方法に特に制限はなく、抵抗膜方式であっても、静電容量方式であってもよい。さらに、第1のパネルをタッチパネルとし、第2のパネルを表示パネル11としてもよい。第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとしたとき、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100はさらに、第3のパネルとして表示パネル11も備えている。
さらに、第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとして画像表示装置104を製造した。また、第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとして、ステップS3における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置105を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、70度の高温条件下で保護板50とタッチパネルとの間を引き剥がすように、錘を吊るして加重する試験を行った。錘は、100グラム/平方センチメートルになるように調整した。
その結果、揺動を行った画像表示装置104には、24時間試験後も保護板50とタッチパネルとの間に気泡の発生は見られず、保護板50と粘着部材30との間及びタッチパネルと粘着部材30との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置105は、タッチパネルと粘着部材との間の境界で剥離が生じていた。
さらに、第1のパネルをタッチパネル、第2のパネルを表示パネル11として画像表示装置106を製造した。また、第1のパネルをタッチパネル、第2のパネルを表示パネル11として、ステップS3における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置107を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、上述した方法と同様に錘を吊るして加重する試験を行った。
その結果、揺動を行った画像表示装置106には、24時間試験後もタッチパネルと表示パネル11との間に気泡の発生は見られず、タッチパネルと粘着部材30との間及び表示パネル11と粘着部材30との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置107は、表示パネル11と粘着部材との間の境界で剥離が生じていた。
以上のように、本発明の実施の形態1では、簡便な製造方法により良好な歩留で、第1のパネルと粘着部材との間、及び第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるのを低減することができる画像表示装置を提供できる。
本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100の製造方法においては、第1のパネルに粘着部剤300を面状に印刷し、仮硬化させた粘着部剤300と第2のパネルとを接触させていたが、第2のパネルに粘着部剤300を面状に印刷し、仮硬化させた粘着部剤300と第1のパネルを接触させてもよい。すなわち、製法方法においては、第1のパネルと第2のパネルが入れ替わってもよい。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。本発明の実施の形態2は、本発明の実施の形態1とは、画像表示装置の表示パネルが枠部材を備えていることと、画像表示装置の粘着部材の形成方法が異なる。
図7は、本実施の形態2にかかる画像表示装置200の構成を示す分解斜視図である。図8は、本実施の形態2にかかる画像表示装置200の構成を示す側面図である。図7に示すように、本発明の実施の形態2かかる画像表示装置200は、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置100に加えて、枠部材70を備えている。本発明の実施の形態2かかる画像表示装置200は、本発明の実施の形態1とは、粘着部材の形成方法が異なるので、本発明の実施の形態2かかる画像表示装置200においては、粘着部材330として示している。そして、図8に示すように、粘着部材330は、第1の粘着部材310と第2の粘着部材320とを合わせたものである。本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200は、第1のパネルとして保護板50と、保護板50と粘着部材330を介して貼り合わされる第2のパネルとして表示パネル11とを備えたものである。
枠部材70は、表示パネル11の画像を視認する側に、開口を有している。開口のサイズは、表示パネル11に貼り付けられた偏光部材20より小さく、開口端部72で囲まれているエリアのことである。枠部材70は、表示パネル11の周辺部を覆っている。枠部材70は、例えば、ステンレス、亜鉛合金などの板を用いて、型抜き加工、プレス加工などによって製作される。枠部材70は、その他に、樹脂製であってもよい。なお、枠部材70の材料、作製方法などは、本発明の実施の形態2では特に限定しない。
枠部材70は、表示パネル11と近接して設置される。すなわち、偏光部材20と枠部材70の開口端部72は近接して設置される。枠部材70は、約0.1ミリメートルから1.0ミリメートルの厚みであり、加工精度のバラツキ及び加工後の変形などにより、開口端部72が偏光部材20に接触して、液晶基板10を変形させることがある。このため、表示ムラなどの表示品質を低下させる問題を引き起こすことがある。一般的には、開口端部72を含む枠部材70が、偏光部材20に接触しないように設計され、開口端部72と偏光部材20との間は隙間が設けられている。
本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200は、枠部材70の厚みと、開口端部72と偏光部材20との隙間とを合わせると、0.55ミリメートルである。なお、強度の向上、液状及び半硬化状態の粘着部剤の漏れ出しを防止する目的で、枠部材70には突起や溝などを設けている場合があるが、特に限定するものではない。
次に、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法について説明する。まず、液晶基板10の表示面10aに偏光部材20が貼り付けられた表示パネル11に枠部材70が設けられたものを用意する。さらに、裏面50bに印刷層40が形成された保護板50を用意する。以下では、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法が工程であって、用意した表示パネル11と保護板50とを粘着部材330を介して貼り合わせる工程について、詳しく説明する。
本発明の実施の形態2でも、粘着部剤31及び粘着部剤32の材料として、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化型粘着樹脂を使用する。図9は、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法を示す工程フロー図であり、用意した表示パネル11と保護板50とを粘着部材330を介して貼り合わせる工程の工程フロー図である。本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200は、図9に示すステップS11からステップS16の工程を備えている。
まず、図9を用いて、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法を簡単に説明する。図9のステップS11において、保護板50の裏面50bに粘着部剤31を印刷し、表示パネル11の表面11aに粘着部剤32を印刷する。次に、ステップS12において、印刷した粘着部剤31及び粘着部剤32の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行い、ステップS13において、仮硬化された粘着部剤31の表面と粘着部剤32の表面とを接触させ、表示パネル11を揺動させる。そして、ステップS14において、粘着部剤31及び粘着部剤32を表示パネル11に押し付け、ステップS15において、保護板50と表示パネル11とを僅かに引き離す。最後に、ステップS16において、粘着部剤31及び粘着部剤32を本硬化させる。
次に、図9に示されたステップS11からステップS16の詳細をそれぞれ説明する。ステップS11は第7の工程であって、保護板50の表示パネル11と対向する面であって保護板50の裏面50b上に粘着部剤31を面状に印刷し、表示パネル11の保護板50と対向する面であって表示パネル11の表面11a上に粘着部剤32を面状に印刷する。図10は、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法を説明する図であって、第7の工程を説明する図である。図10(a)は、保護板50の裏面50b上に粘着部剤31を面状に印刷した図である。図10(b)は、表示パネル11の表面11a上に粘着部剤32を面状に印刷した図である。粘着部剤31は本硬化後に第1の粘着部材310となり、粘着部剤32は本硬化後に第2の粘着部材320となり、粘着部材330を形成する。
図10(a)に示すように、粘着部剤31は、保護板50の表示パネル11と対向する面であって、保護板50の裏面50b上に面状に印刷される。粘着部剤31の保護板50と接着している面は、第1の接着面31bである。粘着部剤31の表面31aは、このあと粘着部剤32と接着される。図10(b)に示すように、粘着部剤32は、表示パネル11の保護板50と対向する面であって、表示パネル11の表面11a上に面状に印刷される。粘着部剤32の表示パネル11と接着している面は、第2の接着面32bである。粘着部剤32の表面32aは、このあと粘着部剤31と接着される。第1の接着面31bは、粘着部剤31が本硬化後に第1の粘着部材31となったとき、第1の接着面310bとなる面である。第2の接着面32bは、粘着部剤32が本硬化後に第2の粘着部材320となったとき、第2の接着面320bとなる面である。
さらに図10(a)には、第1の接着面31bの外周が周縁部311として示されている。また、粘着部剤31の第1の接着面31bの端点における側面と第1の接着面31bとが成す第1の角であって、粘着部剤31内の角を、角31Aとして示している。角31Aは、粘着部剤31の保護板50との接着面と、粘着部剤31の側面とが成す角である。図10(b)には、第2の接着面32bの外周が周縁部321として示されている。また、粘着部剤32の第2の接着面32bの端点における側面と第2の接着面32bとが成す第2の角であって、粘着部剤32内の角を、角32Bとして示している。角32Bは、粘着部剤32の表示パネル11との接着面と、粘着部剤32の側面とが成す角である。
ここで、粘着部剤31及び粘着部剤32は、スリットコート法により、面状に印刷した。粘着部剤31及び粘着部剤32の印刷方法は、特に限定されるものではない。粘着部剤31及び粘着部剤32を面状に印刷できる印刷方法としては、他にはスクリーン印刷法がある。印刷方法及び厚みは、その他の構成部材に合わせて、適宜、変更できるものである。
粘着部剤31は、保護板50の裏面50b上に、約120マイクロメートルの厚みで概ね均一に形成した。粘着部剤32は、表示パネル11の表面11a上に、約580マイクロメートルの厚みで概ね均一に形成した。粘着部剤31及び粘着部剤32の厚みは、特に限定されるものではなく、その他の構成部材に合わせて適宜、調整できる。
次に、ステップS12は第8の工程であって、ステップS11で印刷された粘着部剤31の周縁部311及び粘着部剤32の周縁部321の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う。粘着部剤31の仮硬化は、粘着部剤31の表面31a側から、0.3ジュール/平方センチメートルの積算光量になるように紫外線光を照射する。粘着部剤32の仮硬化は、粘着部剤32の表面32a側から、0.3ジュール/平方センチメートルの積算光量になるように紫外線光を照射する。これにより、30%以上80%以下の硬化度で仮硬化させている。
仮硬化の硬化度は、粘着部剤31の仮硬化後の硬さは材料によって異なるため、粘着部材に使用される材料によって適宜決めるものである。また、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50と表示パネル11のサイズなどによっても変わるものである。ここでは、50%以上80%以下の硬化度とした。本発明の実施の形態2では、保護板50及び表示パネル11のサイズは、対角が約12インチのものを想定している。
ステップS12を経た粘着部剤31及び粘着部剤32は、半硬化状態になっており、粘着部剤31の周縁部311及び粘着部剤32の周縁部321の位置が変化するような流動性は有していない。そして、本発明の実施の形態2では、粘着部剤31及び粘着部剤32に、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化型粘着樹脂を使用したため、粘着部剤31の表面31a及び粘着部剤32の表面32aは、酸素により硬化阻害を受けて硬化されていない。したがって、最表面の数マイクロメートル程度は硬化されていない状態である。
粘着部剤31は、保護板50の裏面50bに形成されている印刷層40の開口を覆うように形成されている。すなわち、粘着部剤31の周縁部311は、閉ループ状に形成されている印刷層40に接している。粘着部剤31の端部の断面形状は、粘着部剤31の周縁部311が、保護板50の外周部501に最も近くなっている。そして、粘着部剤31の周縁部311から粘着部剤31の表面31aとの間で、粘着部剤31の中央に向かう方向に傾斜している。したがって、粘着部剤31は、粘着部剤31の第1の接着面31bから表面31a近づくにつれて、上面視したときの大きさが小さくなっている。
すなわち、粘着部剤31の厚みは、保護板50の外周部501に近づくにつれて薄くなっている。そして、角31Aの角度が、90度以下になっている。粘着部剤31の断面形状が上述したような形状となるのは、スリットコート法などの印刷方法により面状に粘着部材を塗布した場合に、保護板50又は印刷層40と粘着部剤31とが成す接触角、すなわち、保護板50と印刷層40対する粘着部剤31の濡れ易さに応じて、保護板50に接する粘着部剤31は濡れ拡がるが、保護板50に接しない粘着部剤31は、表面張力によって塗布された領域の中央に向かって引き寄せられるためである。なお、本発明の実施の形態2では、保護板50及び印刷層40の粘着部剤31を塗布する面に、オゾン処理、プラズマ処理などの一般的に濡れ性改善処理として知られている処理は実施していない。
粘着部剤32は、枠部材70の開口端部72と概ね同じ形状で、かつ同じか僅かに大きいサイズで形成されており、本発明の実施の形態2では僅かに大きいサイズで形成している。粘着部剤32は、枠部材70の厚みと開口端部72と偏光部材20との隙間を合わせた0.55ミリメートルと、開口端部72で規定される枠部材70の開口部で求められる容積を超えるように、サイズと厚みが調整されるものである。容積を超えない場合には、隙間が生じてしまい、気泡の発生、剥離などの不良として視認されてしまうためである。なお、実際には、粘着部剤31には硬化時に収縮が発生するため、印刷時点よりは僅かに薄くなるが、膜厚ばらつきの範囲内であるため、大きな問題とはならない。
粘着部剤32の端部の断面形状は、粘着部剤32の周縁部321から粘着部剤32の表面32aとの間で、粘着部剤32の中央に向かう方向に傾斜している。したがって、粘着部剤32は、粘着部剤32の第2の接着面32bから表面32a近づくにつれて、上面視したときの大きさが小さくなっている。
そして、角32Bの角度が、90度以下になっている。粘着部剤32の断面形状が上述したような形状となるのは、スリットコート法などの印刷方法により面状に粘着部材を塗布した場合に、表示パネル11の表面11aと粘着部剤32とが成す接触角、すなわち、表示パネル11の表面11aに対する粘着部剤32の濡れ易さに応じて、表示パネル11の表面11aに接する粘着部剤31は濡れ拡がるが、表示パネル11の表面11aに接しない粘着部剤32は、表面張力によって塗布された領域の中央に向かって引き寄せられるためである。
また、粘着部剤32は、粘着部剤31より小さなサイズで形成されている。枠部材70と粘着部剤31及び粘着部剤32の間に隙間が生じて、気泡、剥がれなどの不良として視認されてしまうことを防止するためである。
次に、ステップS13は第9の工程であって、仮硬化させた粘着部剤31の表面31aと、仮硬化させた粘着部剤32の表面32aとを接触させる。約100パスカルの真空中で、粘粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとの位置合わせし、接触させる。そしてさらに、この接触させた状態で、表示パネル11を、表示パネル11の長辺方向と短辺方向に、接触させた位置をゼロとして、プラスマイナス1ミリメートル、すなわち、2ミリメートル幅で表示パネル11の長辺及び短辺の平面方向であって水平方向に揺動させる。これにより、粘着部剤31と粘着部剤32は確実に接着し、粘着部剤33となる。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法を説明する図であって、第9の工程を説明する図である。図11は、第9の工程を経た画像表示装置を示している。図11には、粘着部剤31と粘着部剤32とが確実に接着した粘着部剤33が示されている。粘着部剤31は、ステップ12における仮硬化において、周縁部311の位置を決められ、角31Aの角度を90度以下にすることができていた。さらに、粘着部剤32も、ステップ12における仮硬化において、周縁部321の位置を決められ、角32Bの角度を90度以下にすることができていた。
したがって、粘着部剤33は、断面視したときに、第1の接着面31bの端点における側面と第1の接着面31bとが成す第1の角、及び第2の接着面32bの端点における側面と第2の接着面32bとが成す第2の角のいずれの角度も、90度以下になっている。
粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとの位置合わせは、粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとを接触させる前に実施されており、接触し始めた状態では位置合わせは終了している。また、粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとを接触させる距離については、特に制限するものではなく、適宜、調整するものである。接触させる前には、粘着部剤31及び粘着部剤32の厚みに分布が生じる事、粘着部剤31及び粘着部剤32の硬化度によって粘着部剤31及び粘着部剤32の硬さが異なることを考慮して、粘着部剤31及び粘着部剤32の印刷厚みの約5%から20%の範囲から算出することが好ましいと考えられる。また、接触後に揺動させる幅については、粘着部剤31の周縁部311から粘着部剤31の表面31aとの間で傾斜している幅、又は粘着部剤32の周縁部321から粘着部剤32の表面32aとの間で傾斜している幅より小さい揺動幅とすることが好ましいが、特に制限するものではない。
次に、ステップS14は第11の工程であって、約1メガパスカルの圧力で粘着部材33を表示パネル11に押し付ける。ステップS14は、ステップS13に引き続いて行われるため、約100パスカルの真空下で行われる。ステップS14は、粘着部剤33が所望の厚みになるように、保護板50と表示パネル11との間に入ってしまった気泡を抜くために、又は保護板50及び表示パネル11の歪みを修正するために、行うものである。押し付ける時間の変更、押し付け中に圧力を変化させることもあるが、押し付け時間、押し付けの圧力値及び圧力値を変化させる条件に特に制限は無い。使用する装置の性能、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50と表示パネル11のサイズなどに合わせて、適宜決めるものである。ただし、粘着部剤33の断面形状が変わるほどの圧力は加えない。
ステップS13及びステップS14における真空度も、使用する装置の性能、処理時間の制限、貼り合わせる保護板50及び表示パネル11のサイズなどに合わせて、適宜決めることができる。本発明の実施の形態2で使用した真空貼り合せ装置には、粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとの隙間をマイクロメートル単位で調整する機構が設けられていた。また、表示パネル11と保護板50は、それぞれ上下のステージに真空吸着により固定されていたが、貼り合わせる保護板50及び表示パネル11のサイズ、材質などによっては静電気により固定してもよい。
上下のステージの一方、又は両方は、平面方向であって水平方向の全方位にマイクロメートル単位で可動する機構を有している。したがって、本発明の実施の形態2におけるステップS13では、粘着部剤31の表面31aと粘着部剤32の表面32aとを接触させ、表示パネル11を揺動させたが、保護板50を揺動させてもよいし、保護板50及び表示パネル11の両方を揺動させてもよい。この揺動によって、粘着部剤31と粘着部剤32とが確実に接着すればよい。
次に、ステップS15は第12の工程であって、保護板50と表示パネル11とを僅かに引き離す。これにより、角31A及び角32Bの角度を確実に90度以下にすることができる。この引き離す距離は、特に限定されるものではないが、粘着部剤33内に亀裂が入ること、粘着部剤30が保護板50又は表示パネル11から剥離してしまうことは避けるものでなければならない。
次に、ステップS16は第10の工程であって、粘着部剤33を本硬化させる。すなわち、粘着部剤31及び粘着部剤32を本硬化する。これにより、粘着部剤31は第1の粘着部材310となり、粘着部剤32は第2の粘着部材320となって、粘着部剤33は粘着部材330となれる。図12は、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法を説明する図であって、第10の工程を説明する図である。本発明の実施の形態2では、保護板50側から3ジュール/平方センチメートルの積算光量になるように、紫外線光60を照射して硬化させる。その後、さらに粘着部剤33の側面から紫外線光60を3ジュール/平方センチメートル照射して、印刷層40により遮光されていた部分の硬化も行う。
なお、粘着部剤33の側面からの紫外線光60照射については、ステップS12における仮硬化の硬化度が高い場合、保護板50側からの紫外線60の照射時に印刷層40があっても硬化するタイプの粘着部剤31を用いた場合などは、実施しないこともある。また、沿粘着部材30の側面から紫外線光60を照射し、その後に保護板50側からの紫外線60の照射する順序に入れ替えてもよい。
以上により、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200が製造される。そして、以上に説明した方法で製造された本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の角31A及び角32Bの角度は、10度から60度の範囲であった。
粘着部剤31及び粘着部剤32は、本発明の実施の形態2では、どちらもラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化型粘着樹脂とした。しかしながら、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法においては、粘着部剤31又は粘着部剤32が、ステップS31において仮硬化する際に、外気に露出している最表面が硬化しない材料であればよい。すなわち、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の製造方法においては、粘着部剤31又は粘着部剤32にステップS31において仮硬化する際に、外気に露出している最表面が硬化する材料が用いられていてもよい。
以下に、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200の効果について説明する。まず、ステップS13における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置201を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、70度の高温条件下で保護板50と表示パネル11との間を引き剥がすように、錘を吊るして加重する試験を行った。錘は、100グラム/平方センチメートルになるように調整した。
その結果、揺動を行った画像表示装置200には、24時間試験後も保護板50と表示パネル11との間に気泡の発生は見られず、保護板50と粘着部材30との間及び表示パネル11と粘着部材330との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置201は、粘着部材内であって、第1の粘着部材と第2の粘着部材の境界で剥離が生じていた。表示パネル11と粘着部材との間の境界で剥離が生じていた。
本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200は、角31A及び角32Bの角度が、両方ともに90度以下になっている。したがって、端部が直角又は鋭角となっているので、保護板50と表示パネル11との間を引き剥がす応力が端部に集中するのを低減でき、表示パネル11と粘着部材330との間、保護板50と粘着部材330との境界で剥離が生じるのを低減できている。そしてそれに加えて、ステップS13において揺動をさせたことにより、粘着部剤31と粘着部剤32とを確実に接着することができ、第1の粘着部材310と第2の粘着部材320の境界で剥離が生じるのを防げたのである。
本発明の実施の形態1では、ステップS13における揺動の方向を水平方向としたが、上下の垂直方向であってもよい。水平方向の場合と同様に、接触させた位置をゼロとして、表示パネル11を垂直方向にプラスマイナス0.05ミリメートル、すなわち0.1ミリメートルの幅で上下に揺動させてもよい。これにより、粘着部剤31と粘着部剤32とを確実に接着することができる。このとき、表示パネル11を揺動させたが、保護板50を揺動させてもよいし、保護板50及び表示パネル11の両方を揺動させてもよい。この揺動によって、粘着部剤31と粘着部剤32とを確実に接着することができればよい。
ステップS13における揺動の方向を上下の垂直方向として製造した画像表示装置202に対して、錘により加重する同様の試験を行った。その結果、画像表示装置200と同様に、気泡の発生、位置ずれなどの問題は確認されなかった。また、ステップS13における揺動の方向を水平及び垂直の両方向とした画像表示装置203を製造し、錘により加重する同様の試験を行った。その結果、こちらも画像表示装置200と同様に、気泡の発生、位置ずれなどの問題は確認されなかった。
本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200では、画像が表示される側で且つ外光が当たる側から順に積層された第1のパネルと第2のパネルを、第1のパネルを保護板50とし、第2のパネルを表示パネル11とした。しかしながら、第1のパネルは保護板50であって、第2のパネルをタッチパネルとしてもよい。タッチパネルとは、ベース基板上にタッチされた指示体を感知する電極などで形成されたタッチセンサーを有し、保護膜などで封止されたものである。ここで、タッチされた指示体を感知する方法に特に制限はなく、抵抗膜方式であっても、静電容量方式であってもよい。さらに、第1のパネルをタッチパネルとし、第2のパネルを表示パネル11としてもよい。第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとしたとき、本発明の実施の形態2にかかる画像表示装置200はさらに、第3のパネルとして表示パネル11も備えている。
さらに、第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとして画像表示装置204を製造した。また、第1のパネルを保護板50、第2のパネルをタッチパネルとして、ステップS13における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置205を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、70度の高温条件下で保護板50とタッチパネルとの間を引き剥がすように、錘を吊るして加重する試験を行った。錘は、100グラム/平方センチメートルになるように調整した。
その結果、揺動を行った画像表示装置204には、24時間試験後も保護板50とタッチパネルとの間に気泡の発生は見られず、保護板50と粘着部材330との間及びタッチパネルと粘着部材330との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置205は、粘着部材内であって、第1の粘着部材と第2の粘着部材の境界で剥離が生じていた。
さらに、第1のパネルをタッチパネル、第2のパネルを表示パネル11として画像表示装置206を製造した。また、第1のパネルをタッチパネル、第2のパネルを表示パネル11として、ステップS13における揺動をさせていないが、他は同じ条件で画像表示装置207を製造した。揺動有無の異なる画像表示装置について、上述した方法と同様に錘を吊るして加重する試験を行った。
その結果、揺動を行った画像表示装置206には、24時間試験後もタッチパネルと表示パネル11との間に気泡の発生は見られず、タッチパネルと粘着部材330との間及び表示パネル11と粘着部材330との間での剥離も見られなかった。一方、揺動を行っていない画像表示装置207は、粘着部材内であって、第1の粘着部材と第2の粘着部材の境界で剥離が生じていた。
以上のように、本発明の実施の形態2では、簡便な製造方法により良好な歩留で、第1のパネルと粘着部材との間、及び第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるのを低減することができる画像表示装置を提供できる。
なお、本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせること、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。各実施の形態において例示された各構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるものであり、本発明はそれらの例示に限定されるものではない。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。