以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、運転支援装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、運転支援装置100は、自動車等の自車両(車両)Vに搭載される。運転支援装置100は、自動運転による自車両Vの運転中において、当該自動運転から手動運転への運転の切替えを切替完了地点で完了させる。運転支援装置100は、ドライバ状態取得部1、自車両データ取得部2、交通規制情報取得部3、ナビゲーションシステム4、刺激付与デバイス5、車両制御ECU[Electronic Control Unit]10、及び、運転切替ECU20を備えている。
ドライバ状態取得部1は、自車両Vの運転者の状態を取得する機器である。ドライバ状態取得部1は、取得した運転者の状態を運転切替ECU20に送信する。ドライバ状態取得部1は、生理計測デバイス、シートポジションセンサ、シート圧力センサ、ドライバモニタカメラ、HMI[Human Machine Interface]、及び、システム継続利用時間カウンタを含んでいる。
生理計測デバイスは、運転者の生理データを運転者の状態として検出する。具体的には、生理計測デバイスは、心拍数、血圧、体温、脳波、呼吸状況、皮膚電気活動を、運転者の状態として検出する。シートポジションセンサは、運転席のシートポジションを運転者の状態として検出する。シート圧力センサは、運転席のシート圧力を運転者の状態として検出する。
ドライバモニタカメラは、運転者の表情、眼球運動、閉眼時間及び瞳孔径変化を、運転者の状態として検出する。HMIは、運転者に選択(例えば、ランダム課題)を要求する表示又は音声を出力し、運転者の当該選択にかかる反応時間である選択反応時間を、運転者の状態として検出する。HMIは、音声を出力し、当該音声に対する運転者の応答音声を認識することにより、対話に対する反応である対話反応を運転者の状態として検出する。システム継続利用時間カウンタは、運転者が自動運転を利用している継続時間であるシステム継続利用時間を、運転者の状態として検出する。
自車両データ取得部2は、自車両Vの走行状態である自車両データを検出する機器である。自車両データ取得部2は、検出した自車両データを運転切替ECU20に送信する。自車両データ取得部2は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、自車両Vの速度(車速)を自車両データとして検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両Vの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。
加速度センサは、自車両Vの加速度を自車両データとして検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両Vの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両Vの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。ヨーレートセンサは、自車両Vの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を自車両データとして検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。
交通規制情報取得部3は、自車両Vの周辺の交通規制に関する交通規制情報を外部から取得する機器である。交通規制情報取得部3は、取得した交通規制情報を運転切替ECU20に送信する。交通規制情報取得部3は、路車間通信システム及び車車間通信システムの少なくとも何れかを含む。路車間通信システムは、路側との間で通信を行うシステムである。車車間通信システムは、自車両V周辺の他車両との間で通信を行うシステムである。
ナビゲーションシステム4は、自車両Vの運転者によって設定された目的地まで、自車両Vの運転者に対して案内を行う装置である。ナビゲーションシステム4は、GPS[Global Positioning System]4a、地図データベース4b、自車両位置取得部4c及びルート設定部4dを含む。GPS4aは、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、自車両Vの位置(例えば自車両Vの緯度及び経度)を測定する。
地図データベース4bは、地図情報を備えたデータベースである。地図データベース4bは、例えば、自車両Vに搭載されたHDD[Hard disk drive]内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報が含まれる。自車両位置取得部4cは、GPS4aからの出力及び地図データベース4bの地図情報から、地図情報上の自車両Vの位置に関する位置情報を取得する。ルート設定部4dは、自車両Vの位置情報と地図データベース4bの地図情報とに基づいて、目的地に至るまでに自車両Vが走行する目標ルートを設定する。目標ルートは、複数車線の区間において好適な車線を特定したものであってもよい。
また、ナビゲーションシステム4は、ディスプレイの表示及びスピーカの音声出力により運転者に対して目標ルートの報知を行う。ナビゲーションシステム4は、自車両Vの位置情報及び目標ルートの情報を、車両制御ECU10及び運転切替ECU20へ送信する。なお、ナビゲーションシステム4は、自車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
刺激付与デバイス5は、運転切替ECU20からの制御信号に基づいて、運転者に対する刺激の付与を実行する機器である。刺激付与デバイス5は、音発生部、光発生部、振動発生部及びインテリア可動部の少なくとも何れかを含む。音発生部は、音声及びブザー音の少なくとも何れか等の音を刺激として運転者に付与する。音発生部は、例えばHMIのスピーカにより構成される。光発生部は、光を刺激として運転者に付与する。光発生部は、例えばHMIの表示部により構成される。振動発生部は、振動を刺激として運転者に付与する。振動発生部は、例えば運転席に内蔵された振動モータにより構成される。
インテリア可動部は、アームレスト、シートポジション、ステアリング、及びペダルの少なくとも何れか(以下、「インテリア」という)を可動させることにより、刺激を運転者へ付与する。換言すると、インテリア可動部は、インテリアの可動を刺激として運転者に付与する。インテリア可動部は、インテリアの位置を調整するアクチュエータにより構成される。
車両制御ECU10及び運転切替ECU20は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。車両制御ECU10及び運転切替ECU20では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。車両制御ECU10及び運転切替ECU20は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
車両制御ECU10は、走行制御部11を有している。走行制御部11は、例えば、ナビゲーションシステム4からの目標ルート及び自車両Vの位置情報、及び、周辺監視センサ(不図示)からの周辺情報に基づいて、自車両Vの進路を生成する。進路は、目標ルートに沿う走行車線を自車両Vが進む軌跡である。走行制御部11は、生成した進路に応じた走行計画を生成する。走行制御部11は、生成する走行計画を、自車両Vの進路を自車両Vに固定された座標系での目標位置pと各目標点での車速vとの二つの要素からなる組、すなわち配位座標(p、v)を複数持つものとして出力する。それぞれの目標位置pは、少なくとも自車両Vに固定された座標系でのx座標、y座標の位置もしくはそれと等価な情報を有する。なお、走行計画は、自車両Vの挙動を記すものであれば特に限定されるものではない。
走行制御部11は、生成した走行計画に基づいて自車両Vを自動運転させる。走行制御部11は、走行計画に応じた制御信号を、アクチュエータに出力する。アクチュエータは、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。
運転切替ECU20は、到達猶予時間算出部21、運転集中度推定部22、刺激制御部23及び運転切替部24を有している。到達猶予時間算出部21は、自車両Vが切替完了地点に到達するまでの猶予時間である到達猶予時間を算出する。切替完了地点は、自動運転から手動運転への運転の切替えを完了させる目標ルート上の地点である。換言すると、切替完了地点は、自動運転から手動運転への運転の受渡しを完了させる地点である。つまり、切替完了地点は、車両制御ECU10による自動運転の支援を終了させる地点である。例えば切替完了地点としては、高速道路の出口地点、悪天候による交通規制の開始地点、事故による交通規制の開始地点が挙げられる。
到達猶予時間算出部21は、ナビゲーションシステム4のルート設定部4dで設定された目標ルート、地図データベース4bの地図情報、及び交通規制情報取得部3で取得された交通規制情報から、目標ルート上において切替完了地点の有無を判定する。到達猶予時間算出部21は、切替完了地点が存在する場合、この切替完了地点と自車両データ取得部2で取得した自車両データとナビゲーションシステム4で取得した自車両Vの位置情報とに基づいて、到達猶予時間を算出する。
運転集中度推定部22は、到達猶予時間算出部21で算出された到達猶予時間が予め設定された所定時間以下となったとき、ドライバ状態取得部1で取得した運転者の状態に基づいて、該運転者の運転集中度を推定する。所定時間は、自動運転から手動運転への運転の切替え(受渡し)を開始してから完了するまでに使える時間である。つまり、所定時間内には、当該運転の切替えを完了させなくてはならない。所定時間は、固定の値であってもよいし、変動する値であってもよい。運転集中度は、運転者が自車両Vの運転に集中している度合を示す指標である。運転集中度は、緊張度、覚醒度、眠気度、運転操作適応度、疲労度、脇見度、集中力及び感情度の少なくとも何れか含んでいる。運転集中度は、緊張度、覚醒度、眠気度、運転操作適応度、疲労度、脇見度、集中力及び感情度(以下、これらのそれぞれについて「パラメータ」という)の少なくとも何れかを統合した値とされている。例えば運転集中度推定部22は、各パラメータに当該パラメータに応じた重み付けを行った数列の総和を、運転集中度として推定する。これに代えてもしくは加えて、例えば運転集中度推定部22は、各パラメータに当該パラメータに応じた係数(正又は負の値を含む)を乗算した数列の総和を、運転集中度として推定する。
緊張度は、運転者の緊張の度合いを示す指標である。緊張度は、運転者の心理面に関連する運転集中度である。覚醒度は、運転者の覚醒の度合いを示す指標である。覚醒度は、運転者の心理面に関連する運転集中度である。眠気度は、運転者の眠気の度合を示す指標である。眠気度は、運転者の心理面に関連する運転集中度である。運転操作適応度は、自車両Vの運転操作に対する適応の度合を示す指標である。運転操作適応度は、運転者の操作面(身体面)に関連する運転集中度である。
疲労度は、運転者の疲労の度合を示す指標である。疲労度は、運転者の操作面に関連する運転集中度である。脇見度は、運転者の脇見の頻度を示す指標である。脇見度は、運転者の認知面に関する運転集中度である。集中力は、運転者における物事に注意を集中させる能力を示す指標である。集中力は、運転者の心理面に関する運転集中度である。感情度は、運転者の感情の高まりを示す指標である。感情度は、運転者の心理面に関連する運転集中度である。本実施形態の運転集中度推定部22は、具体的には以下のとおり、運転者の状態に基づき運転集中度を推定する。
運転集中度推定部22は、運転者の心拍数に基づいて、LF/HFによる交換・副交感神経優位を判断し、その判断結果に基づいて緊張度を推定する。LF(Low Frequency)とは、心拍変動の中間周波数成分(例えば0.05〜0.20Hz)であり、HF(Hi Frequency)とは、心拍変動の高周波数成分(0.20〜0.35Hz)である。HF成分は呼吸によって生ずる副交感神経活動によって影響を受け、LF成分は交感神経及び副交感神経活動によって影響を受ける。LF/HFは、交感神経機能の指標として用いられる。運転集中度推定部22は、運転者の血圧に基づいて覚醒度を推定する。覚醒度が低下するほど、当該低下に応じて血圧が上昇する。運転集中度推定部22は、運転者の体温に基づいて眠気度を推定する。眠気度が高いほど、体温が低下する。運転集中度推定部22は、運転席のシートポジションに基づいて、現在の体姿勢から運転姿勢への遷移時間を推定し、当該遷移時間に基づいて運転操作適応度を推定する。運転集中度推定部22は、運転席のシート圧力に基づいて運転席の座面圧力を推定し、当該座面圧力に基づいて疲労度を推定する。
運転集中度推定部22は、運転者の表情に基づいて画像の主観判定を行い、当該主観判定結果に基づいて眠気度を推定する。運転集中度推定部22は、眼球運動の低周波成分含有率が眠気と相関を有することから、運転者の眼球運動に基づいて眠気度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の眼球運動に基づいて視線分散及び停留時間を算出し、当該視線分散及び当該停留時間に基づいて脇見度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の閉眼時間に基づいて一定時間における運転者の閉眼時間割合を求め、当該閉眼時間割合に基づいて眠気度を推定する。
運転集中度推定部22は、運転者の脳波に基づいてα波及びΘ波の含有率を算出し、当該含有率に基づいて覚醒度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の脳波に基づいて眼球停留関連電位を算出し、当該眼球停留関連電位に基づいて脇見度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の呼吸状況に基づいて一過性深呼吸等の眠気時の不規則性を判断し、その判断結果に基づいて眠気度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の皮膚電気活動に基づいて精神性発汗部位における一過性反応を判定し、その判定結果に基づいて覚醒度を推定する。運転集中度推定部22は、運転者の瞳孔径変化に基づいて覚醒度を推定する。覚醒度が高いほど、瞳孔径(瞳孔面積)が縮小する。
運転集中度推定部22は、運転者の選択反応時間に基づいて集中力を推定する。選択反応時間が大きいほど、集中力は低い傾向を有する。運転集中度推定部22は、システム継続利用時間に基づいて集中力を推定する。システム継続利用時間が長いほど、集中度は低い傾向を有する。運転集中度推定部22は、運転者の対話反応に基づいて韻律的特徴による推定を行い、覚醒度及び感情度を推定する。運転集中度推定部22による運転集中度の推定方法は、上記の方法に限定されるものではない。運転集中度推定部22は、公知の手法を用いて運転集中度を推定することができる。
刺激制御部23は、運転集中度推定部22で推定された運転集中度に応じた刺激を、刺激付与デバイス5から運転者に付与させる。刺激制御部23は、運転集中度に応じた制御信号を刺激付与デバイス5に送信する。刺激制御部23は、運転集中度が予め設定された閾値以下か否かを判定する。閾値は、運転者に弱い刺激を付与するか又は強い刺激を付与するかを適切に判定するために、予め設定された値である。閾値は、固定の値であってもよいし、変動する値であってもよい。
刺激制御部23は、刺激制御部23は、運転集中度が閾値以下の場合、刺激の強度として高強度を選択し、高強度の刺激(強い刺激)を運転者に付与させ、運転集中度が閾値よりも大きい場合、高強度よりも弱い通常強度を刺激の強度として選択し、通常強度の刺激(弱い刺激)を運転者に付与させる。なお、刺激の強さが強いほど運転者に与えるストレスは大きい(換言すると、刺激の強さが弱いほど、運転者に与えるストレスは小さい)。
強い刺激(高強度の刺激)とは、刺激付与デバイス5の音発生部で音を発生させる場合、基準よりも大きい音量と、基準よりも高い音の高さ(周波数)と、基準よりも短い鳴動間隔と、の少なくとも何れかを有する音である。強い刺激とは、刺激付与デバイス5の光発生部で光を発生させる場合、基準よりも高い輝度と、基準よりも短い点滅間隔と、の少なくとも何れかを有する光である。強い刺激とは、刺激付与デバイス5の振動発生部で振動を発生させる場合、基準よりも大きい強さ(振幅)と、基準よりも高い周波数と、基準よりも短い動作間隔と、の少なくとも何れかを有する振動である。強い刺激とは、刺激付与デバイス5のインテリア可動部でインテリアを可動させる場合、基準よりも短い遷移時間でのインテリアの可動である。
弱い刺激(通常の刺激)とは、刺激付与デバイス5の音発生部で音を発生させる場合、基準以下の小さい音量と、基準以下の低い音の高さと、基準以上の長い鳴動間隔と、の少なくとも何れかを有する音である。弱い刺激とは、刺激付与デバイス5の光発生部で光を発生させる場合、基準以下の低い輝度と、基準以上の長い点滅間隔と、の少なくとも何れかを有する光である。弱い刺激とは、刺激付与デバイス5の振動発生部で振動を発生させる場合、基準以下の小さい強さと、基準以下の低い周波数と、基準以上の長い動作間隔と、の少なくとも何れかを有する振動である。弱い刺激とは、刺激付与デバイス5のインテリア可動部でインテリアを可動させる場合、基準以上の長い遷移時間でのインテリアの可動である。
なお、刺激制御部23は、自車両Vの位置情報に基づいて切替完了地点に到達したか否かを判定し、自車両Vが切替完了地点に到達した場合、付与している刺激を停止させる。つまり、刺激制御部23による刺激の付与は、自動運転から手動運転への運転の切替えを開始してから完了するまでの間(到達猶予時間≦所定時間のときから到達猶予時間=0となるまでの間)、付与される。
運転切替部24は、車両制御ECU10を制御し、自車両Vの運転を自動運転から手動運転へ切り替える。運転切替部24は、到達猶予時間算出部21で算出された到達猶予時間が所定時間以下となったとき、自動運転から手動運転への運転の切替えを開始させる。そして、運転切替部24は、自車両Vが切替完了地点に到達したとき、自動運転から手動運転の切替えを完了させる。
自動運転とは、例えば走行計画を用いて自車両Vの走行を制御する状態である。つまり、自動運転は、例えば、運転者が運転操作を行うことなく、運転者の介入が行われない状態で車両制御ECU10の制御のみで自車両Vの走行が実現している状態である。手動運転とは、運転者の運転操作の操作量を自車両Vの走行に反映させた状態である。つまり、手動運転は、車両制御ECU10の介入がない状態で運転者の運転操作の操作量が自車両Vの走行に反映されている状態である。
運転切替部24は、車両制御ECU10を制御し、自動運転から手動運転への運転の切替えの開始から終了までの間の遷移期間中に協調運転を実行させる。協調運転とは、例えば走行計画及び操作量に基づいて運転操作と協調して自車両Vを走行させる運転状態である。つまり、協調運転は、運転者と車両制御ECU10の両方が自車両Vの走行に関係可能な状態であり、車両制御ECU10の介入が可能な状態で少なくとも運転者の運転操作の操作量に基づいて自車両Vの走行が実現している状態である。
次に、運転支援装置100で実行される処理について、図2及び図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
図2は、図1の運転切替ECU20の運転集中度推定処理を示すフローチャートである。図2に示すように、運転支援装置100は、自動運転による自車両Vの運転中において、運転切替ECU20において以下の運転集中度推定処理を実行する。
ナビゲーションシステム4のルート設定部4dで設定された目標ルートを取得する(S1)。ナビゲーションシステム4の地図データベース4bに記憶された地図情報を取得する(S2)。交通規制情報取得部3で取得された交通規制情報を取得する(S3)。なお、上記S1〜上記S3の各処理は順不同である。
到達猶予時間算出部21により、目標ルート、地図情報及び交通規制情報に基づいて、目標ルート上の切替完了地点の有無を判定する(S4)。上記S4でNOの場合、上記S1に移行する。上記S4でYESの場合、自車両データ取得部2で取得された自車両データを自車両データ取得部2から受信して取得すると共に、ナビゲーションシステム4の自車両位置取得部4cで取得された自車両Vの位置情報をナビゲーションシステム4から受信して取得する(S5)。到達猶予時間算出部21により、切替完了地点、自車両データ及び位置情報に基づいて、到達猶予時間を算出する(S6)。
到達猶予時間が所定時間以下か否かを判定する(S7)。上記S7でNOの場合、上記S1に移行する。上記S7でYESの場合、ドライバ状態取得部1で取得された運転者の状態を、ドライバ状態取得部1から受信して取得する(S8)。そして、運転集中度推定部22により、ドライバ状態に基づいて運転集中度を推定する(S9)。
図3は、図1の運転切替ECU20の刺激付与処理を示すフローチャートである。図3に示すように、運転支援装置100は、運転集中度推定部22により運転集中度が推定された場合、運転切替ECU20において以下の刺激付与処理を実行する。
刺激制御部23により、運転集中度が閾値以下か否かを判定する(S11)。上記S11でYESの場合、刺激制御部23により、刺激の強度として「高強度」を選択する(S12)。上記S11でNOの場合、刺激の強度として「通常強度」を選択する(S13)。刺激制御部23により、刺激付与デバイス5を制御し、選択した刺激の強度で運転者に対して刺激を付与させる(S14)。自車両Vが切替完了地点に到達したか否かを判定する(S15)。例えば上記S15では、到達猶予時間算出部21により現在の到達猶予時間を算出し、当該到達猶予時間が0となった場合に切替完了地点に到達したと判定する。上記S15でNOの場合、上記S14に移行し、引き続き刺激を付与させる。上記S15でYESの場合、刺激制御部23により、付与している刺激を停止させる(S16)。
以上、本実施形態の運転支援装置100では、運転者の運転集中度が閾値以下の場合、閾値よりも大きい場合よりも強い刺激を運転者に付与する。これにより、切替完了地点までには、当該運転者の状態を適正な運転操作が可能な状態(すなわち、手動運転に適している状態)へ確実に復帰させることができる。換言すると、自動運転から手動運転への運転の受渡しが確実に行えるように、運転者の状態に合った刺激を当該運転者に与えて、受渡完了時には確実に、運転操作が行える状態にすることができる。よって、自動運転から手動運転への運転の切替えの際に、スムーズな運転を継続することが可能となる。
運転支援装置100では、運転者の運転集中度が閾値よりも大きい場合、閾値以下の場合よりも弱い刺激を運転者に付与する。これにより、最悪の運転者の状態を想定して常に強い刺激を付与する通常の運転支援装置に比べて、刺激付与によって運転者に与えるストレスを低減することができる。
運転支援装置100では、運転の切替開始から終了までの所定時間を満足できるように、運転者の状態に応じて、刺激の強弱を選択することができる。運転支援装置100では、運転集中度が高く運転への復帰が容易な場合には、弱い(ストレスの小さい)刺激を用いることができる。運転支援装置100では、運転集中度が低く、運転への復帰に時間を要する場合には、強い刺激を用いることができる。運転支援装置100は、自動運転を終了しなくてはならない状況において、当該終了する位置が決定している場合、運転者の状態に応じて、適切な刺激の強さを選択することができる。
図4(a)は、図1の運転切替ECU20の変形例における刺激付与処理を示すフローチャートである。図4(b)は、刺激強度マップM0の一例を示す図である。
図4(b)に示すように、変形例に係る運転切替ECU20は、刺激強度マップM0を予め有している。刺激強度マップM0は、運転集中度に対する、与える刺激の強さ(刺激の強度)の関係を示す。刺激強度マップM0では、運転集中度が小さいほど、刺激の強度が強くなるように設定されている。図示する刺激強度マップM0において、運転集中度及び刺激の強度は、取り得る最大値を100としたときの指標値として表されている。運転集中度の値が大きいほど、運転に集中していることを意味する。刺激の強度の値が大きいほど、刺激が強いことを意味する。
刺激強度マップM0において運転集中度及び刺激の強度は、線形の関係を有している(図中の実線参照)。なお、運転集中度及び刺激の強度は、非線形の関係を有していてもよい(図中の破線参照)。図4(a)に示すように、変形例に係る運転切替ECU20では、運転集中度推定部22により運転集中度が推定された場合、以下の刺激付与処理を実行する。
刺激制御部23により、刺激強度マップM0を参照し、運転集中度から刺激の強度を選択する(S11A)。上記S11Aでは、運転集中度が小さいほど強い刺激を選択する。換言すると、運転集中度が大きいほど弱い刺激を選択する。刺激制御部23により、刺激付与デバイス5を制御し、選択した刺激の強度で運転者に対して刺激を付与させる(S12A)。自車両Vが切替完了地点に到達したか否かを判定する(S13A)。例えば上記S13Aでは、到達猶予時間算出部21により現在の到達猶予時間を算出し、当該到達猶予時間が0となった場合に切替完了地点に到達したと判定する。上記S13AでNOの場合、上記S12Aに移行し、引き続き刺激を付与させる。上記S13AでYESの場合、刺激制御部23により、付与している刺激を停止させる(S14A)。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明し、重複する内容の説明は省略する。
刺激制御部23は、運転集中度が閾値よりも大きい場合、第1の強さの刺激を刺激付与デバイス5から運転者に付与させる。刺激制御部23は、到達猶予時間が予め設定された基準時間以上で且つ運転集中度が閾値以下の場合、第1の強さよりも強い第2の強さの刺激を刺激付与デバイス5から運転者に付与させる。刺激制御部23は、到達猶予時間が基準時間よりも短く且つ運転集中度が閾値以下の場合、第1及び第2の強さよりも強い第3の強さの刺激を刺激付与デバイス5から運転者に付与させる。第1〜第3の強さは、予め設定されて記憶されている。
図5は、第2実施形態に係る運転支援装置における刺激強度マップMの一例を示す図である。運転切替ECU20は、図5に示す刺激強度マップMを予め有している。刺激強度マップMは、運転集中度及び到達猶予時間に対する、与える刺激の強さの関係を示す。刺激強度マップMでは、運転集中度が閾値よりも大きい場合、運転者の状態が良いとして、到達猶予時間によらずに第1の強さが設定されている。
刺激強度マップMでは、運転集中度が閾値以下の場合且つ到達猶予時間が基準時間以上の場合に、運転者の状態が悪く且つ到達猶予が長いとして、第2の強さが設定されている。基準時間は、運転者に対して第2の強さの刺激を付与するか又は第3の強さの刺激を付与するかを適切に判定するために、予め設定された値である。基準時間は、所定時間よりも短い値である。基準時間は、固定の値であってもよいし、変動する値であってもよい。
刺激強度マップMでは、運転集中度が閾値以下の場合且つ到達猶予時間が基準時間未満の場合に、運転者の状態が悪く且つ到達猶予が少ないとして、第3の強さが設定されている。刺激制御部23は、到達猶予時間算出部21で算出された到達猶予時間と、運転集中度推定部22で推定された運転集中度と、に基づき、刺激強度マップMを参照して、刺激の強度を選択する。
次に、本実施形態の運転支援装置で実行される処理について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
図6は、第2実施形態に係る運転切替ECU20の刺激付与処理を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態の運転支援装置は、運転集中度推定部22により運転集中度が推定された場合、運転切替ECU20において、第1実施形態の刺激付与処理(図3参照)に代えて以下の刺激付与処理を実行する。
自車両データを自車両データ取得部2から受信して取得すると共に、自車両Vの位置情報をナビゲーションシステム4から受信して取得する(S20)。到達猶予時間算出部21により、切替完了地点、自車両データ及び位置情報に基づいて、到達猶予時間を算出する(S21)。
刺激制御部23により、刺激強度マップMを取得し、この刺激強度マップMを参照して到達猶予時間及び運転集中度から刺激の強度を選択する。すなわち、刺激制御部23により、運転集中度が閾値以下か否かを判定する(S22)。上記S22でNOの場合、刺激制御部23により、刺激の強度として「第1の強さ」を選択する(S23)。上記S22でYESの場合、到達猶予時間が基準時間以上であるか否かを判定する(S24)。上記S24でYESの場合、刺激制御部23により、刺激の強度として「第2の強さ」を選択する(S25)。上記S24でNOの場合、刺激制御部23により、刺激の強度として「第3の強さ」を選択する(S26)。
刺激制御部23により、刺激付与デバイス5を制御し、選択した刺激の強度で運転者に対して刺激を付与させる(S27)。自車両Vが切替完了地点に到達したか否かを判定する(S28)。例えば上記S28では、到達猶予時間算出部21により現在の到達猶予時間を算出し、当該到達猶予時間が0となった場合に切替完了地点に到達したと判定する。上記S28でNOの場合、上記S20に移行する。上記S28でYESの場合、刺激制御部23により、付与している刺激を停止させる(S29)。
以上、本実施形態の運転支援装置においても、自動運転から手動運転への運転の切替えの際にスムーズな運転を継続することが可能となるという作用効果が奏される。また、本実施形態の運転支援装置では、運転者の状態と到達猶予時間とに対応した刺激を運転者に付与することができ、切替完了地点までには、運転者の状態を適正な運転操作が可能な状態へ一層確実に復帰させることが可能となる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明する。
図7は、運転支援装置200の構成を示すブロック図である。図8(a)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第1例を説明する図である。図8(b)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第2例を説明する図である。図8(c)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第3例を説明する図である。図8(d)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第4例を説明する図である。図8(e)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第5例を説明する図である。図8(f)は、運転支援装置200で付与される刺激パターンの第6例を説明する図である。図7に示すように、本実施形態の運転支援装置200が第1実施形態と異なる点は、運転切替ECU20が復帰時間推定部31をさらに有する点である。
復帰時間推定部31は、運転集中度に基づいて、手動運転に適している状態(以下、「適正状態」という)に運転者の心理面の状態を復帰させるまでに要される心理面復帰時間、運転者の認知面の状態を適正状態に復帰させるまでに要される認知面復帰時間、運転者の操作面の状態を適正状態に復帰させるまでに要される操作面復帰時間の各時間を推定する。心理面は精神の状態に係る観点であり、認知面は周囲への認知に係る観点であり、操作面は運転者の運転操作に係る観点である。
復帰時間推定部31は、運転集中度に含まれる各パラメータのうち、心理面に関連する運転集中度である、緊張度、覚醒度、眠気度、集中力及び感情度の少なくとも何れかを抽出する。抽出した当該パラメータそれぞれについて、刺激を付与することで運転集中度が一定値以上になるまでに要される時間である復帰時間を算出する。一定値は、運転者の状態が適正状態か否かを適切に判定するために、パラメータ毎に予め設定された値である。各パラメータの復帰時間に対して当該パラメータに応じた重み付けを行った数列の総和を、心理面復帰時間として推定する。これに代えてもしくは加えて、例えば復帰時間推定部31は、各パラメータの復帰時間に当該パラメータに応じた係数(正又は負の値を含む)を乗算した数列の総和を、心理面復帰時間として推定する。ここでの心理面復帰時間は、幅を有する時間域とされており、最小心理面復帰時間Amin〜最大心理面復帰時間Amaxとされている。
復帰時間推定部31は、運転集中度に含まれる各パラメータのうち、認知面に関連する運転集中度である脇見度を抽出する。この脇見度の復帰時間を、認知面復帰時間として推定する。ここでの認知面復帰時間は、幅を有する時間域とされており、最小認知面復帰時間Bmin〜最大認知面復帰時間Bmaxとされている。
復帰時間推定部31は、運転集中度に含まれる各パラメータのうち、操作面に関連する運転集中度である運転操作適応度及び疲労度の少なくとも何れかを抽出する。これら運転操作適応度及び疲労度の各復帰時間に対して当該運転操作適応度及び当該疲労度それぞれに応じた重み付けを行った数列の総和を、操作面復帰時間として推定する。これに代えてもしくは加えて、例えば復帰時間推定部31は、運転操作適応度及び疲労度の各復帰時間に当該運転操作適応度及び当該疲労度それぞれに応じた係数(正又は負の値を含む)を乗算した数列の総和を、操作面復帰時間として推定する。ここでの認知面復帰時間は、幅を有する時間域とされており、最小操作面復帰時間Cmin〜最大操作面復帰時間Cmaxとされている。
例えば、運転切替ECU20は、運転集中度のパラメータ毎に、そのパラメータの大きさと、与える刺激の種類及び強さと、復帰時間と、の相関が示された復帰時間マップを有している。復帰時間推定部31は、現在の各パラメータの大きさと、与える刺激の種類及び強さとから、復帰時間マップを参照して各パラメータの復帰時間を算出する。復帰時間推定部31による心理面復帰時間、認知面復帰時間及び操作面復帰時間の推定方法は、上記の方法に限定されるものではない。復帰時間推定部31は、公知の手法を用いて、心理面復帰時間、認知面復帰時間及び操作面復帰時間を推定してもよい。心理面復帰時間、認知面復帰時間及び操作面復帰時間は、時間域ではなく、1つの値(幅を有さない値)であってもよい。
刺激制御部23は、心理面復帰時間の最大値と認知面復帰時間の最大値と操作面復帰時間の最大値との合計時間を算出する。刺激制御部23は、当該合計時間が所定時間以下の場合、運転者の心理面の状態を適正状態に復帰させる心理面復帰刺激、運転者の認知面の状態を適正状態に復帰させる認知面復帰刺激、及び、運転者の操作面の状態を適正状態に復帰させる操作面復帰刺激を、この順で刺激付与デバイス5から運転者に付与させる。刺激制御部23は、当該合計時間が所定時間以下の場合、心理面復帰刺激、認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の順に刺激を付与する標準パターンを、刺激パターンとして選択する。刺激制御部23は、選択した標準パターンで刺激を付与させる。当該合計時間は、最大値の合計でなくともよく、例えば、最小値の合計であってもよいし、中間値の合計であってもよい。心理面復帰時間、認知面復帰時間及び操作面復帰時間が1つの値の場合、これらの総和が当該合計時間である。
例えば、心理面復帰刺激は、刺激付与デバイス5の音発生部から付与される音である。音発生部は、心理面復帰刺激を付与する心理面復帰刺激付与部を構成する。例えば、認知面復帰刺激は、刺激付与デバイス5の光発生から付与される光、及び、振動発生部から付与される振動である。光発生部及び振動発生部は、認知面復帰刺激を付与する認知面復帰刺激付与部を構成する。例えば、操作面復帰刺激は、刺激付与デバイス5のインテリア可動部から付与されるインテリアの可動である。インテリア可動部は、操作面復帰刺激を付与する操作面復帰刺激付与部を構成する。
刺激制御部23は、当該合計時間が所定時間以下の場合、図8(a)に示すように、心理面復帰刺激の付与の直後に連続して認知面復帰刺激を付与させ、認知面復帰刺激の直後に連続して操作面復帰刺激を付与させる「標準パターン」を選択する。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は、心理面復帰時間以上とされる。認知面復帰刺激の付与時間は、認知面復帰時間以上とされる。操作面復帰刺激の付与時間は、操作面復帰時間以上とされる。
刺激制御部23は、当該合計時間が所定時間よりも大きい場合、刺激を付与する総時間(刺激付与総時間)が所定時間となるように、心理面復帰刺激と認知面復帰刺激と操作面復帰刺激とのうちの少なくとも何れかを重複させて、刺激付与総時間が所定時間となるように重複付与させる最適化パターンを、最適化パターンとして選択する。刺激制御部23は、選択した最適化パターンで刺激を付与させる。
刺激制御部23は、当該合計時間が所定時間よりも大きい場合、例えば心理面復帰時間、認知面復帰時間及び操作面復帰時間それぞれの長さに応じて、以下に例示する「最適化パターン」を選択する。
例えば刺激制御部23は、図8(b)に示すように、心理面復帰刺激の付与の直後に連続して認知面復帰刺激付与させ、認知面復帰刺激の付与中に操作面復帰刺激を付与させる「最適化パターン」を選択する。図示する例では、認知面復帰刺激の付与時間の後半と操作面復帰刺激の付与時間の前半とが重畳している。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は心理面復帰時間とされ、認知面復帰刺激の付与時間は認知面復帰時間とされ、操作面復帰刺激の付与時間は操作面復帰時間とされる。
例えば刺激制御部23は、図8(c)に示すように、心理面復帰刺激の付与の直後に連続して認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激を付与させる「最適化パターン」を選択する。図示する例では、認知面復帰刺激の全付与時間と操作面復帰刺激の全付与時間とが重畳している。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は心理面復帰時間とされ、認知面復帰刺激の付与時間は認知面復帰時間とされ、操作面復帰刺激の付与時間は操作面復帰時間とされる。
例えば刺激制御部23は、図8(d)に示すように、心理面復帰刺激の付与中に認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激を付与させる「最適化パターン」を選択する。図示する例では、認知面復帰刺激の全付与時間と操作面復帰刺激の全付与時間とが重畳している。心理面復帰刺激の付与期間における後半の一部と認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の付与期間における前半の一部とが重畳している。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は心理面復帰時間とされ、認知面復帰刺激の付与時間は認知面復帰時間とされ、操作面復帰刺激の付与時間は操作面復帰時間とされる。
例えば刺激制御部23は、図8(e)に示すように、心理面復帰刺激の付与中に認知面復帰刺激を付与させ、認知面復帰刺激の付与中に操作面復帰刺激を付与させる「最適化パターン」を選択する。図示する例では、心理面復帰刺激の付与時間における後半の一部と認知面復帰刺激の付与時間における前半の一部とが重畳している。認知面復帰刺激の付与時間における後半の一部と操作面復帰刺激の付与時間における前半の一部とが重畳している。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は心理面復帰時間とされ、認知面復帰刺激の付与時間は認知面復帰時間とされ、操作面復帰刺激の付与時間は操作面復帰時間とされる。
例えば刺激制御部23は、図8(f)に示すように、心理面復帰刺激の付与中に操作面復帰刺激を付与させ、操作面復帰刺激の付与中に認知面復帰刺激を付与させる「最適化パターン」を選択する。図示する例では、心理面復帰刺激の付与時間における後半の一部と操作面復帰刺激の付与時間における前半の一部とが重畳している。操作面復帰刺激の付与時間における後半の一部と認知面復帰刺激の付与時間における前半の一部とが重畳している。このとき、心理面復帰刺激の付与開始は到達猶予時間が所定時間のときである。認知面復帰刺激及び操作面復帰刺激の付与終了は自車両Vが切替完了地点に到達するときである。つまり、刺激を付与する総時間は、所定時間を満足する。心理面復帰刺激の付与時間は心理面復帰時間とされ、認知面復帰刺激の付与時間は認知面復帰時間とされ、操作面復帰刺激の付与時間は操作面復帰時間とされる。
次に、運転支援装置200で実行される処理について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
図9は、運転切替ECU20の刺激付与処理を示すフローチャートである。図9に示すように、運転支援装置200は、運転集中度推定部22により運転集中度が推定された場合、運転切替ECU20において、第1実施形態の刺激付与処理(図3参照)に代えて以下の刺激付与処理を実行する。
復帰時間推定部31により、運転集中度推定部22で推定された運転集中度から、最小心理面復帰時間Amin〜最大心理面復帰時間Amax、最小認知面復帰時間Bmin〜最大認知面復帰時間Bmax、及び、最小操作面復帰時間Cmin〜最大操作面復帰時間Cmaxを推定する(S31)。
刺激制御部23により、最大心理面復帰時間Amaxと最大認知面復帰時間Bmaxと最大操作面復帰時間Cmaxとの合計時間が、所定時間以下か否かを判定する(S32)。上記S32でYESの場合、刺激制御部23により、刺激パターンとして「標準パターン」を選択する(S33)。上記S32でNOの場合、刺激制御部23により、刺激パターンとして「最適化パターン」を選択する(S34)。
刺激制御部23により、運転集中度が閾値以下か否かを判定する(S35)。上記S35でYESの場合、刺激制御部23により、刺激の強度として「高強度」を選択する(S36)。上記S35でNOの場合、刺激の強度として「通常強度」を選択する(S37)。
刺激制御部23により、刺激付与デバイス5を制御し、選択した刺激の強度且つ選択した刺激のパターンで、運転者に対して刺激を付与させる(S38)。自車両Vが切替完了地点に到達したか否かを判定する(S39)。例えば上記S39では、到達猶予時間算出部21により現在の到達猶予時間を算出し、当該到達猶予時間が0となった場合に切替完了地点に到達したと判定する。上記S39でNOの場合、上記S38に移行し、引き続き刺激を付与させる。上記S39でYESの場合、刺激制御部23により、付与している刺激を停止させる(S40)。
以上、運転支援装置200においても、自動運転から手動運転への運転の切替えの際にスムーズな運転を継続することが可能となるという作用効果が奏される。また、運転支援装置200では、切替完了地点までに運転者の状態を適正状態へ確実に復帰させる上で、運転者の詳細な状態に沿った効果的な刺激パターンで刺激を運転者に付与することができる。
運転支援装置200は、自動運転を終了しなくてはならない状況において、当該終了する位置が決定している場合、運転者の状態に応じて、適切な刺激の強さだけでなく適切な刺激パターンをも選択することができる。運転者の状態によっては、切替完了地点までに、自動運転から手動運転へ運転の切替えを適切に完了できない可能性がある。運転支援装置200では、このような状況を想定し、所定時間内で運転者が適性状態ヘの復帰に必要なパターンを推定し、運転の切替えを実行することができる。
なお、本実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、運転者に付与する刺激の強さについて、運転集中度が閾値よりも大きい場合に第1の強さとし、到達猶予時間が予め設定された基準時間以上で且つ運転集中度が閾値以下の場合に第2の強さとし、到達猶予時間が基準時間よりも短く且つ運転集中度が閾値以下の場合に第3の強さとしてもよい。また、上記第1実施形態の変形例と同様に、運転者に付与する刺激の強さについて、運転集中度が小さいほど強い刺激としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。上記実施形態において、車両制御ECU10及び運転切替ECU20は一体で構成されていてもよい。車両制御ECU10及び運転切替ECU20の各機能の一部、すなわち、走行制御部11、到達猶予時間算出部21、運転集中度推定部22、刺激制御部23、運転切替部24及び復帰時間推定部31の一部は、自車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行されてもよい。上記において、刺激付与デバイス5及び刺激制御部23が刺激付与部を構成する。