JP6451146B2 - 主軸装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主軸装置に関し、より詳細には、工作機械主軸、高速モータ、遠心分離機、或いはターボ冷凍機などの高速回転する回転機械の主軸装置に関する。
工作機械主軸の高速化は著しく発展しており、主軸の高速化を可能にするための潤滑方法として、オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑が採用されている。また、他の潤滑方法として、環境保護の観点から、潤滑油を外部に排出しないグリース潤滑も改めて見直されており、高速回転で耐焼付き性に優れた軽量のセラミック転動体(例えば、窒化けい素など)を使用した転がり軸受と共に採用されている。
また、高速回転主軸における駆動方法としては、歯車駆動やベルト駆動、或いは、カップリングによる直結駆動よりも、主軸内にモータを内蔵した、所謂、モータビルトイン主軸が大勢を占めている。
このような構成の高速主軸では、主軸を支持する転がり軸受からの発熱以外にも、内蔵するモータ(ステータ及びロータ)からの発熱も大きい。工作機械主軸の場合、主軸の温度上昇が高いと、熱変形が生じ加工精度が低下する。このため、主軸の温度上昇を抑制するように、主軸外筒であるハウジングに外部から冷却油を流す手段が用いられている。熱膨張による主軸の変形は、固定側となる前側軸受を原点として、軸方向に発生するので、固定側である前側軸受及びモータのステータの外周部を冷却することが多い。
例えば、前側軸受からの発熱を抑制する従来の冷却装置100としては、図10に示すように、主軸101の前側を支持する一対の前側軸受102,103が内嵌するフロントハウジング104の外周面に円周方向溝105を設ける。そして、フロントハウジング104の外周面と他のハウジング106の内周面との間に、冷却媒体を循環させて前側軸受102,103を冷却している。
また、特許文献1には、前側軸受と後側軸受との間に配置した内輪間座に冷却媒体通路を設け、ポンプなどから圧送される冷却媒体によって内輪間座を冷却するようにした工作機械におけるスピンドル冷却装置が開示されている。
一方、自由側軸受となる後側軸受は、前側軸受と比較して、サイズが若干小さい軸受(例えば、軸受内径寸法で、固定側軸受よりφ10〜φ30mm前後小さいサイズ)が使用されることが多い。このため、軸受のdmn値が小さくなって、その分、温度上昇が少なくなる。また、後側軸受は、自由側であること、及び、主軸後部の熱変形は加工精度に及ぼす影響度が前側軸受に比べて小さいこと(例えば、仮に、回転軸が非回転部品に対して軸方向に相対膨張しても主軸後側は後方にスライド移動して、刃物が装着される主軸前側の変位には現れ難い)などの理由により、後側軸受には、構造が複雑となる冷却構造を付加しないことが多い。
実開平4−133555号公報
ところで、最近の高速主軸は、使用する軸受のdmn値が100万以上、或いは、150万を超える、更には200万以上のタイプが増加しており、これに伴って後側軸受のdmn値も増加し、発熱が大きくなっている。後側軸受の発熱が大きいと、軸受の内部温度の上昇により、潤滑油粘度が低下し、転がり接触部などでの油膜形成不良による焼付きが発生する虞がある。
このため、図11に示す冷却装置110では、周辺構造を簡素化しつつ、後側軸受を冷却することが考えられる。この場合、主軸101の後側を支持する一対の自由側軸受112,113が内嵌するスリーブ114をリアハウジング115に内嵌し、このリアハウジング115の外周面に円周方向溝116を設ける。そして、リアハウジング115の外周面と他のハウジング117の内周面との間に冷却媒体を循環させて、自由側軸受112,113を冷却する。
しかしながら、図11に示す構造では、冷却部は、発熱部(軸受112,113)から径方向に離れた位置に配置されており、また、すきま嵌めで嵌合するスリーブ114とリアハウジング115との間の熱伝達効率が低いため、冷却効率が低いという問題がある。したがって、リアハウジングは冷却されるが、スリーブが効率良く冷却されず、リアハウジングとスリーブとの間の隙間が小さくなってスライド不良が発生する虞がある。このため、前側軸受(固定側軸受)と後側軸受(自由側軸受)間で熱膨張による突っ張り荷重が発生し、軸受に過大荷重が負荷されて軸受が損傷する可能性がある。或いは、予圧抜けが発生して異音や異常振動が発生する要因となる。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、後側軸受からの発熱による温度上昇を高効率で抑制して、後側軸受の寿命延長、即ち、主軸装置の寿命延長を図ると共に、加工精度を向上させることができる主軸装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) ハウジングと、
該ハウジングに対して相対回転自在な回転軸と、
内輪が前記回転軸の一端側に外嵌され、外輪が前記ハウジングに固定される固定側軸受と、
前記回転軸の他端側で前記ハウジング内に配置され、前記回転軸の軸方向に移動可能なスリーブと、
内輪が前記回転軸の他端側に外嵌され、外輪が前記スリーブに内嵌される自由側軸受と、
を有する主軸装置であって、
互いに対向する前記スリーブの外周面と前記ハウジングの内周面との間には、冷却媒体が流動可能な冷却路が形成され、
前記冷却路は、前記スリーブの軸方向一端側から他端側までの間で、該スリーブの外周面に形成された一条の螺旋状の螺旋溝であり、
前記ハウジングは、前記螺旋溝の一端部に連通して前記冷却媒体が供給される供給口と、前記螺旋溝の他端部に連通して前記冷却路を流動した前記冷却媒体が排出される排出口とを備えることを特徴とする主軸装置。
(2) 前記冷却路の前記軸方向両側には、前記スリーブの外周面と前記ハウジングの内周面との間を液密に封止する環状の弾性部材が配設されることを特徴とする(1)に記載の主軸装置。
(3) 前記スリーブの前記ハウジングの内周面に対面する外周面の両端縁部、又は前記ハウジングの内周面の両端縁部には、面取り部が形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の主軸装置。
(4) 前記螺旋溝の側壁面は、前記軸方向と直交する方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の主軸装置。
本発明の主軸装置によれば、互いに対向するスリーブの外周面とハウジングの内周面との間には、冷却媒体が流動可能な冷却路が形成される。冷却路は、スリーブの外周面に形成され、スリーブの軸方向一端側から他端側までの間で、スリーブの外周面に形成された一条の螺旋状の螺旋溝を有し、ハウジングは、螺旋溝の一端部に連通して冷却媒体が供給される供給口と、螺旋溝の他端部と連通して冷却路を流動した冷却媒体が排出される排出口とを備えるようにしている。これにより、軸受が内嵌されるスリーブを直接冷却可能となり、自由側軸受を高効率で冷却できる。また、軸受の内部温度が下がることで、回転中の転がり接触部や保持器案内面などでの粘度低下による潤滑油膜切れが生じ難くなり、潤滑不良による寿命低下や軸受の焼付きが防止される。そして、ハウジングとスリーブとの両部材を同時に冷却するので、両部材の半径方向収縮量が均一となり、スライド部の隙間(ハウジングとスリーブとの隙間)が詰まらず、隙間不足によるスライド不具合の発生を防止することができる。更に、螺旋溝内における冷却媒体の流れがスムーズとなり、スリーブ全体を均一に冷却でき、冷却による変形歪が生じない。その結果、内嵌する軸受の歪も発生せず、主軸の回転精度が高い精度で維持され、主軸の加工精度が良好となる。
本発明の主軸装置の全体構成を示す断面図である。 図1に示す自由側軸受近傍の拡大断面図である。 螺旋溝を説明するための、軸受スリーブの外周面を示す図2に対応する部分断面図である。 図2のA方向から見た軸受スリーブの外周面を示す部分断面図である。 螺旋溝の断面図である。 各種変形例の螺旋溝の断面図である。 外周面両端縁部に面取り部が形成された軸受スリーブの部分断面図である。 螺旋溝の肩部に面取り部が形成された軸受スリーブの部分断面図である。 自由側軸受の冷却構造の違いによる温度上昇を比較して示すグラフである。 従来の固定側軸受の構造を示す断面図である。 従来の自由側軸受の構造を示す断面図である。
以下、本発明の主軸装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の主軸装置の全体構成について説明する。
主軸装置10は、ハウジング11と、一端(図中左側)に不図示の工具が取り付けられ、ハウジング11に対して相対回転自在な回転軸12と、回転軸12の前端側(図中左側)に配設された一対の固定側軸受(本実施形態では、アンギュラ玉軸受)13,13と、回転軸12の後端側(図中右側)に配設された一対の自由側軸受(本実施形態では、アンギュラ玉軸受)14,14と、ハウジング11に内挿されて軸方向にスライド移動可能なスリーブ15と、を備える。
ハウジング11は、略円筒形状のハウジング本体31と、ハウジング本体31の前端側に嵌合固定されるフロントハウジング32と、ハウジング本体31の後端側に嵌合固定されるリアハウジング33とを有している。フロントハウジング32の前端には、前蓋34が締結固定され、リアハウジング33の後端には、後蓋36が締結固定されている。
ハウジング本体31の内周面31aに内嵌するスリーブ29には、ビルトインモータ37のステータ38が固定されている。また、回転軸12の軸方向中間部には、ステータ38と対向してロータ39が固定されており、ステータ38が発生する回転磁界によって回転力が与えられて回転軸12を回転駆動する。スリーブ29の外周面には、円環状の複数の溝29aが形成されており、ハウジング本体31に内嵌することで内周面31aとの間に冷却路28が形成される。
固定側軸受13,13は、外輪18,18がフロントハウジング32に内嵌され、内輪19,19が回転軸12に外嵌されて、回転軸12の前端側を回転自在に支承する。固定側軸受13,13の外輪18,18は、外輪間座20を介してフロントハウジング32の段部32aと前蓋34とによって狭持されてフロントハウジング32に対して軸方向に位置決めされる。内輪19,19は、内輪間座21を介して回転軸12の前側段部12aと、回転軸12に螺合するナット22とによって狭持されて回転軸12に対して軸方向に位置決めされる。フロントハウジング32の外周面には、円環状の複数の溝32bが形成されており、ハウジング本体31に内嵌することでハウジング本体31の内周面31bとの間に冷却路30が形成される。
リアハウジング33の内周面33aには、軸方向に移動可能な略円筒形状の軸受スリーブ16が嵌合している。また、軸受スリーブ16の工具取り付け側とは反対側の端面には、軸受スリーブ16の外周面から径方向外方に延出する外輪押え17が不図示のネジによって取り付けられている。なお、軸受スリーブ16と外輪押え17は、スリーブ15を構成する。
リアハウジング33には、その工具取り付け側とは反対側の端面(図中右側面)に開口する複数のばね室55が形成されており、軸受スリーブ16から径方向外方に延出する外輪押え17のフランジ部分の工具取り付け側端面と対向する。コイルスプリング56は、ばね室55に収容されて外輪押え17のフランジ部分とばね室55との間に介装される。コイルスプリング56は、スリーブ15に軸方向(図中右方向)の弾性力を付与し、これにより固定側軸受13,13及び自由側軸受14,14に定圧予圧を付与している。
自由側軸受14,14は、外輪23,23が軸受スリーブ16に内嵌され、内輪24,24が回転軸12に外嵌されて、回転軸12の後端側を回転自在に支承する。自由側軸受14,14の外輪23,23は、外輪間座25を介して軸受スリーブ16の段部16aと外輪押え17の円環状凸部17aとによって狭持されて軸受スリーブ16に対して軸方向に位置決めされる。内輪24,24は、内輪間座26を介して回転軸12の後側段部12bと、回転軸12に螺合するナット27とによって狭持されて回転軸12に対して軸方向に位置決めされる。
図2及び図3に示すように、軸受スリーブ16の外周面16bには、軸受スリーブ16の軸方向一端側から他端側までの間で、一条の螺旋状の螺旋溝41が設けられている。螺旋溝41は、軸受スリーブ16をリアハウジング33の内周面33aに嵌合することで、互いに対向する軸受スリーブ16の外周面とリアハウジング33の内周面33aとの間に冷却路40が形成される。この冷却路40には、冷却油等の冷却媒体が流動する。
図4に図2のA方向から見た軸受スリーブの外周面の部分断面図を示す。図4に示すように、螺旋溝41の溝始端である一端部41Aと、螺旋溝41の溝終端である他端部41Bとは、軸受スリーブ16の円周方向に180°異なる位相で配置されている。つまり、軸受スリーブ16上の螺旋溝41の一端部41Aを正面視した場合に、螺旋溝41の他端部41Bは、軸受スリーブ16の軸線Axと重なって配置される。
また、リアハウジング33には、螺旋溝41の一端部に連通して冷却媒体が供給される供給口51と、螺旋溝41の他端部に連通して冷却路を流動した冷却媒体が排出される排出口52とが形成されている。
したがって、冷却路40内に冷却媒体を供給する供給路57の供給口51は、最もビルトインモータ37側に位置する螺旋溝41の一端部41Aに向けて開口するように形成され、冷却媒体を排出する排出路58の排出口52は、ビルトインモータ37から最も離間する螺旋溝41の他端部41Bに向けて開口し、供給口51と180°異なる位相で形成されている。
上記した軸受スリーブ16の螺旋溝41の加工は、まず、スリーブ軸方向のいずれか一方の端部近傍から、エンドミル工具をスリーブ半径方向に切り込みを入れて溝を掘る。その後、切り込みを維持しつつ螺旋状にエンドミル工具を送り、螺旋溝を加工する。そして、スリーブ軸方向のいずれか他方の端部近傍に到達すると、送りを停止し、エンドミル工具を引き上げることで溝が出来上がる。
一般的に、円筒形状部材への螺旋溝の加工は、これまでは非常に困難であり加工精度を高めにくく。加工コストも嵩む不利があった。しかし、近年では多軸加工機や複合加工機が広く使用されるようになり、本構成の螺旋溝41が容易にかつ高精度でしかも低コストで加工が可能になっている。これにより、例えば供給口51と排出口52との円周方向の位相誤差を小さくでき、均一な冷却が可能となる。
そして、不図示のポンプから圧送される冷却媒体は、供給口51から供給されて冷却路40内を流動して、冷却路40の周囲を冷却した後、排出口52から排出される。冷却媒体をビルトインモータ37に近い螺旋溝41の一端部41Aから供給することにより、発生熱量の大きな、即ち、温度が高くなり易い部分を、より低温の冷却媒体で冷却することができ、高効率で冷却が可能となる。また、供給口51と排出口52とを円周方向に180°位相を異ならせて配置することで、冷却路40がシンメトリック配置となり、自由側軸受部をより均一に冷却することができる。なお、供給口51と排出口52との位相差は、周辺部品の配置に応じて任意に変更することができ、例えば、同位相であってもよい。
また、軸受スリーブ16の外周面16bには、冷却路40より軸方向外側に一対の環状凹溝44が形成されている。環状凹溝44には、弾性部材であるOリング45が装着されて、リアハウジング33の内周面33aと軸受スリーブ16との嵌合部を封止している。Oリング45のつぶし代は0.1mm〜2.0mmの範囲にすることが好ましく、軸受スリーブ16の摺動不具合をより解消しやすくするには、0.2mm〜0.5mmの範囲にすることが望ましい。また、軸受スリーブ16とリアハウジング33との嵌め合い隙間は、直径寸法の差、即ち、リアハウジング33の内径−軸受スリーブ16の外径で示される寸法を、5μm〜100μmの範囲にすることが好ましく、隙間不足や軸受スリーブ16の傾きにより摺動不具合を解消しやすくするには、15μm〜50μmの範囲にすることが望ましい。
Oリング45の材料としては、一般的なニトリルゴムやアクリルゴムなどに加え、モータビルトインスピンドルの発熱に対応した耐熱性のあるシリコンゴムや各種エラストマー、或いは、冷却媒体に対応した耐膨潤性・耐油性のあるフッ素ゴムなどが、必要に応じて選定される。なお、本実施形態における軸受スリーブ16とリアハウジング33とのスライド量は、加工荷重による変形やスピンドルの熱的な軸方向の膨張を逃げる程度の変位であるので、±0.5mm以下、多くとも±1mm以下である。したがって、可動シリンダ部に装着されるピストンリングに見られるような大きく、且つ、早いストロークによる摺動摩耗によるシール性低下の問題は小さく、経年変化(熱や初期のしめしろ嵌合)による耐クリープ特性に優れた材料を選定するのが望ましい。
図1に示すように、主軸装置10が、固定側軸受13,13を冷却する冷却路30、ビルトインモータ37のステータ38を冷却する冷却路28、及び自由側軸受14,14を冷却する冷却路40の複数の冷却路を備える場合、自由側軸受14,14の最適な冷却としては、冷却装置(図示せず)も他の冷却路28,30とは別系統で設け、冷却路40用に独立させて配設することが好ましい。これにより、冷却媒体の温度調整が、他の冷却路28,30の状況に影響されることなく行うことができる。
しかし、実用上困難な場合には、冷却装置は独立させず、冷却路40を独立させるだけでもよい。この場合、冷却路40への供給側配管のどこかに絞りを設け、冷却媒体の供給量を制御することで、最適な冷却条件を調整することができる。
なお、1経路冷却構成とした場合には、先に発熱量が大きい傾向があるステータ38を冷却する冷却路28に冷却媒体を通過させた後、自由側軸受14,14を冷却する冷却路40に循環させるような経路構成とすれば、主軸装置10全体の温度をより効率的に下げられる。また、自由側軸受14,14の温度をより効率的に冷却したい場合には、上記と逆の経路構成として、より低温の冷却媒体を冷却路40に先に循環させればよく、必要に応じて選択することができる。
以上説明したように、本実施形態の主軸装置10によれば、軸受スリーブ16の外周面16bとリアハウジング33の内周面33aとの間には、冷却媒体が流動可能な冷却路40が形成される。冷却路40は、軸受スリーブ16の外周面16bに形成され、軸受スリーブ16の軸方向一端側から他端側までの間で、軸受スリーブ16の外周面に形成された一条の螺旋状の螺旋溝41を備えるようにした。このため、自由側軸受14,14が内嵌する軸受スリーブ16を直接冷却可能となり、自由側軸受14,14を効率的に冷却できる。
また、冷却路40に螺旋溝41を用いることにより、冷却媒体が、螺旋溝に沿って排出側へ向かう一方向にスムーズに流れ、熱冷却効率が向上する。軸受スリーブ16は、螺旋溝41の一端部に連通する供給口51から冷却媒体が供給され、螺旋溝41の他端部に連通する排出口52から冷却路40を流動した冷却媒体が排出される構造となっている。つまり、冷却媒体の供給と排出の経路が、螺旋溝41内に直接的に連通しているので、螺旋溝41の一端部から他端部までの溝全体に冷却媒体が滞ることなく流動する。その結果、効率良く熱交換することができる。例えば、螺旋溝41の両端側に、冷却媒体の供給経路や排出経路をとなる円周環状溝を形成する場合に対して、軸受スリーブ16の軸方向の省スペース化が図れる。
また、上記円周環状溝のスペース分に、更なる螺旋溝が形成できるため、冷却経路や冷却熱伝達面積を大きく、即ち、溝長を長くでき、冷却効率を高められる。なお、組立上のリアハウジング33と軸受スリーブ16との間の円周位相ずれに関しては、回転中にリアハウジング33と軸受スリーブ16との回り止めする既設のキー部材によって解消可能であり、新規に回り止め部材を追加する必要もない。
上記構成により、自由側軸受14,14の内部温度が下がり、回転中の転がり接触部や保持器案内面などでの粘度低下による潤滑油膜切れが生じ難く、潤滑不良による寿命低下や自由側軸受14,14の焼付きが防止される。
また、リアハウジング33と軸受スリーブ16との両部材を同時に冷却するので、両部材の半径方向収縮量が均一となり、スライド部の隙間(リアハウジング33と軸受スリーブ16との隙間)が詰まらず、隙間不足によるスライド不具合の発生を防止することができる。更に、螺旋溝41の溝内における冷却媒体の流れがスムーズとなり、軸受スリーブ16全体を均一に冷却することで、冷却による変形歪が生じない。その結果、内嵌する自由側軸受14,14の歪も発生せず、回転軸12の回転精度が高い精度で維持され、主軸装置10の加工精度が良好となる。
また、スライド部は、常時冷却油が循環しているので、摩擦係数も小さく、よりスライド性が向上される効果もある。スライド部に、ボールガイド(ボールブッシュ)等を配置させ、転がり作用によってスライド性を良くする方法もあるが、剛性低下により、振動の発生や、スピンドルの固有振動数の低下などの不具合が生じる。一方、剛性を上げるために、予圧すきま(即ち、ハウジング内径、ボール、スリーブ外径間のラジアルすきま)を大きくすると、かえって逆に、滑りによるスライドよりもスライド性が悪くなるという問題が生じる。
また、重切削加工中などに発生することがあるびびり振動などにより、リアハウジング33と軸受スリーブ16間に初期のフレッチング摩耗粉が発生した場合でも、冷却媒体が微摩耗粉を外部に運び去ってくれるので、摩耗粉が助剤となって更にフレッチングが進行してしまうのを抑制することができる。
更に、冷却路40の軸方向両側には、軸受スリーブ16の外周面16bとリアハウジング33の内周面33aとの間を液密に封止するOリング45が配設されるため、冷却媒体のリークが防止されると共に、Oリング45の弾性により主軸装置10における減衰特性が向上して、特に難削材の加工特性に影響を与える動剛性向上にも寄与する。また、スライド部を流れる冷却媒体のダンパー効果による減衰作用も加わる。
なお、上記実施形態においては、螺旋溝41は、図5に示すように、底面41aと側壁面41bとによって矩形の断面形状に形成されている。この矩形断面形状の螺旋溝41の溝幅B及び深さTの大きさは、適宜選択可能である。
B>Tとすると、螺旋溝41の半径方向深さが浅いので、軸受スリーブ16の径方向厚みが確保され、スリーブ剛性を大きくすることができる。このような形状は、スリーブの加工精度向上を重視する場合や、主軸の剛性を向上する場合などに適用される。また、B<Tとすると、螺旋溝41の半径方向深さが深いので、螺旋溝41が軸受の近くに形成され、軸受近傍をより高効率で冷却することができる。その結果、主軸の冷却効率を向上することができる。このような形状は、主軸の冷却特性向上を重視する場合に適用される。B=Tとすると、上記の効果をバランスよく両立させることができる。
また、螺旋溝41の断面形状は、矩形以外にも図6(a)〜(c)に示すような各種形状が可能である。例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、螺旋溝41の側壁面41bは、軸方向と直交する方向、即ち、半径方向に対して傾斜して形成されてもよい。
具体的に、図6(a)に示す軸受スリーブ16の螺旋溝41は、溝幅Bが螺旋溝41の底面41aから軸受スリーブ16の外周面16bに向かって次第に大きくなる台形溝となっている。即ち、台形状の螺旋溝41では、螺旋溝41の断面形状は、底面41aと側壁面41bのなす角度が鈍角(θ)であるので、リアハウジング33の内周面33aとの干渉がなく、スライド性が向上する。また、図6(b)に示す軸受スリーブ16の螺旋溝41は、溝幅Bが螺旋溝41の底面41aから軸受スリーブ16の外周面16bに向かって次第に小さくなる、所謂、アリ溝となっている。即ち、アリ溝の螺旋溝41では、螺旋溝41の断面形状は、底面41aと側壁面41bのなす角度が鋭角(θ)であるので、発熱源である自由側軸受14,14に近い部分の表面積が大きく、自由側軸受14,14の熱を効率的に冷却媒体に伝達することができ、冷却性能が向上する。
また、図6(c)に示す軸受スリーブ16の螺旋溝41は、曲率半径Rの断面半円形であるので、丸形状のバイトで加工することができ、加工する際にバイトの摩滅が少なく、加工性を向上することができる。
また、軸受スリーブ16のリアハウジング33の内周面33aと対面する外周面16bの両端縁部には、図7に示すように、面取り部43が形成されてもよい。面取り部43の外周面16bに対する角度θは、3°〜45°、より好ましくは、3°〜30°とするのがよい。これにより、軸受スリーブ16がリアハウジング33内で傾いても、リアハウジング33の内周面33aとの干渉が防止され、スライド性が確保される。
また、図8に示すように、軸受スリーブ16の両端縁部の面取り部43に加えて、螺旋溝41の側壁の頂部(肩部)に面取り部46を形成すれば、リアハウジング33の内周面33aとの干渉が更に防止されて、スライド性が維持される。螺旋溝41の肩部の面取り角度θは、3°〜45°、より好ましくは、3〜30°である。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、螺旋溝の軸方向溝幅は、同一であってもよく、異なった幅であってもよい。螺旋状の軸方向ピッチも任意に設定することができる。なお、本構成では、モータ側を冷却媒体の供給側、主軸端部側を冷却媒体の排出側としたが、これに限らない。
また、上記実施形態では、固定側軸受と自由側軸受間に定圧予圧により予圧が付与された主軸装置について説明したが、これに限定されず、固定側軸受と自由側軸受にそれぞれ定位置予圧された主軸装置にも適用することができ、同様の効果が得られる。このため、自由側軸受としては、アンギュラ玉軸受に限定されず、円筒ころ軸受などの他の転がり軸受が適用されてもよい。
ここで、軸受スリーブ16の外周面に冷却路を設けた本発明の冷却構造と、受スリーブにもリアハウジングにも冷却路を設けない冷却なしの構造とを用いて、軸受スリーブ内径からハウジング外径までの温度上昇値を比較した。図9は、冷却構造の違いによる軸受スリーブ内径からハウジング外径までの温度上昇値を比較したグラフである。
図9から明らかなように、各冷却構造による温度上昇は、軸受スリーブ16の外周面に冷却路40を設けた本発明の冷却構造の温度上昇値が最も小さく、主軸装置10を高効率で冷却していることが分かる。また、ハウジング内径(スリーブ内嵌部)と軸受スリーブの温度上昇値の差もさくなっており、熱膨張差によるスライド部の嵌め合い隙間の減少を小さくでき、良好な摺動特性が維持できる。
また、軸受スリーブの温度も約1℃低いので、軸受温度も低くなり潤滑剤の基油粘度が維持でき、転がり接触部の油膜形成も良好となる。グリース潤滑の場合、基油の増ちょう剤からの分離(離油)もしにくくなり、軸受外部へのグリース流出も少なくなり、グリース寿命の延長化も図れる。
10 主軸装置
11 ハウジング
12 回転軸
13 固定側軸受
14 自由側軸受
16 軸受スリーブ(スリーブ)
16b スリーブの外周面
18,23 外輪
19,24 内輪
28,30,40 冷却路
31 ハウジング本体
32 フロントハウジング
33 リアハウジング(ハウジング)
33a ハウジングの内周面
41 螺旋溝
41A 螺旋溝の一端部
41B 螺旋溝の他端部
43 面取り部
45 Oリング(弾性部材)
51 供給口
52 排出口

Claims (4)

  1. ハウジングと、
    該ハウジングに対して相対回転自在な回転軸と、
    内輪が前記回転軸の一端側に外嵌され、外輪が前記ハウジングに固定される固定側軸受と、
    前記回転軸の他端側で前記ハウジング内に配置され、前記回転軸の軸方向に移動可能なスリーブと、
    内輪が前記回転軸の他端側に外嵌され、外輪が前記スリーブに内嵌される自由側軸受と、
    を有する主軸装置であって、
    互いに対向する前記スリーブの外周面と前記ハウジングの内周面との間には、冷却媒体が流動可能な冷却路が形成され、
    前記冷却路は、前記スリーブの軸方向一端側から他端側までの間で、該スリーブの外周面に形成された一条の螺旋状の螺旋溝であり、
    前記ハウジングは、前記螺旋溝の一端部に連通して前記冷却媒体が供給される供給口と、前記螺旋溝の他端部に連通して前記冷却路を流動した前記冷却媒体が排出される排出口とを備えることを特徴とする主軸装置。
  2. 前記冷却路の前記軸方向両側には、前記スリーブの外周面と前記ハウジングの内周面との間を液密に封止する環状の弾性部材が配設されることを特徴とする請求項1に記載の主軸装置。
  3. 前記スリーブの前記ハウジングの内周面と対面する外周面の両端縁部、又は前記ハウジングの内周面の両端縁部には、面取り部が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の主軸装置。
  4. 前記螺旋溝の側壁面は、前記軸方向と直交する方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の主軸装置。
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