JP6450988B2 - 非加熱食品用保存剤の使用及び非加熱食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グルコースオキシダーゼを利用した非加熱食品用保存剤及び非加熱食品の製造方法に関し、特に、非加熱食品の菌数制御を目的とした安全な食品の製造に使用される非加熱食品用保存剤及び非加熱食品の製造方法に関する。
生食用野菜や果実などの青果類の不可食部を除去し、可食部を千切り状や角切り状にカットして袋や容器に収容した状態で販売するカット野菜やカット果物(これらをまとめてカット青果物ともいう)が、近年、食品産業の中で急成長している。
しかしながら、カット青果物は、製造工程の過程で鮮度が低下すると共に、切断された後の切り口等から細胞液が漏出し、これを栄養源として細菌やカビなどの微生物が増殖しやすく、品質劣化を招きやすい。特に、カット青果物による食中毒は、主として調理・加工時における大腸菌やサルモネラなどのグラム陰性菌による二次汚染が原因と考えられる。そのため、微生物学的な安全性の担保、すなわち、食中毒を起こさないようにする対策が重要である。また、生食用のカット野菜やカット果物は加工段階で加熱殺菌ができないため、通常は殺菌剤等で化学的に殺菌を行うが、殺菌剤が残存しないように細心の注意を払う必要がある。
そのような状況の中、加工食品の殺菌や制菌にグルコースオキシダーゼを利用する技術が提案されている。グルコースオキシダーゼはカビを培養して製造される二量体のタンパク質で、補酵素としてサブユニットあたり1個のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を含んでおり、グルコースを分解してほぼ定量的にグルコノデルタラクトンと過酸化水素を生成する。生成されたグルコノデルタラクトンは非酵素的にゆっくり加水分解されグルコン酸に変換される一方、過酸化水素は抗菌性を発揮することが知られている。また、過酸化水素の抗菌性は殺菌作用であるが、「新・食品殺菌工学」(平成10年 光琳書院、p.259)によると、「広い範囲の微生物に対して殺菌作用を示す。例えば耐熱性芽胞菌、バチルス・ズブチルスの場合、3%の過酸化水素で、100%死滅率は、25℃、150分」と記載されている。
グルコースオキシダーゼによる食品の保存に関する技術としては、例えば、グルコースオキシダーゼを食品に作用させてからカタラーゼを作用させて加熱殺菌処理直後に残存する耐熱性菌を抑制する加工食品の製造方法(特許文献1及び特許文献2)、哺乳動物の生乳にグルコースオキシダーゼを添加して殺菌した後、乳酸菌等を添加して発酵させる抗体含有発酵食品の製造方法(特許文献3)、グルコース及びグルコースオキシダーゼを含有し、グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応で副生する酸素により細菌の増殖を抑制する食品用除菌静菌剤(特許文献4)などがあり、グルコースオキシダーゼが細菌、耐熱性芽胞菌、大腸菌群などに抗菌作用のある事が示されている。
特開2006−149384号公報 特開2006−149385号公報 特開2007−53930号公報 特開2007−68406号公報
グルコースオキシダーゼはグルコースを酸化してグルコノデルタラクトンと過酸化水素を産生するが、グルコースオキシダーゼを食品に使用したとき、発生した過酸化水素が食品中に残存することは食品の安全性の観点から好ましくない。この過酸化水素を除く為には、カタラーゼで分解することが一般的に知られており、カタラーゼの濃度によっては、過酸化水素は残存しなくなって好都合であるが、反面、過酸化水素による制菌効果は減殺されてしまうことが懸念される。
実際のところ、制菌の目的でカット野菜やカット果物を、一定濃度のグルコースオキシダーゼを添加した溶液(洗浄液)に浸漬しても、グルコースオキシダーゼの産生した過酸化水素は、野菜表面やカット面から溶出したカタラーゼで分解を受ける。
また、市販のグルコースオキシダーゼ製剤中にもカタラーゼが含まれており、そのようなグルコースオキシダーゼ製剤を用いた場合、グルコースオキシダーゼの制菌効果はカタラーゼの影響を受けて弱くなる可能性が考えられる。
カット野菜やカット果物など、加熱処理ができない食品原材料は非加熱のまま、すなわち、カタラーゼが含まれたままで取り扱われる。
そのため、カット野菜やカット果物など、カタラーゼを溶出する食品に対して、前記グルコースオキシダーゼ製剤を含有する溶液を作用させる場合に、食品から漏出するカタラーゼやグルコースオキシダーゼ製剤に含まれるカタラーゼによって、制菌に寄与すべき過酸化水素が微生物に作用する前に分解されてしまうため、カット青果物に対して制菌効果が十分に発揮されない場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、グルコースオキシダーゼを含有する食品用保存剤において、カタラーゼを溶出する非加熱食品に対してグルコースオキシダーゼを作用させた場合であっても十分な制菌効果を発揮し、かつ、非加熱食品に過酸化水素がまったく又はほとんど残存しない技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、カタラーゼを溶出する非加熱食品をグルコースオキシダーゼ製剤溶液に浸漬処理する際、溶液中のカタラーゼ活性と、浸漬処理に使用する製剤中のグルコースオキシダーゼとカタラーゼの活性比を管理することで、食中毒菌に対する制菌効果が大幅に高まることを見出し、本発明を完成させた。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、グルコースオキシダーゼとカタラーゼを含有する非加熱食品用保存剤であって、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.2(U/U)以上であることを特徴とする、非加熱食品用保存剤を提供するものである。
また、本発明は、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.2(U/U)以上である非加熱食品用保存剤を含む洗浄液を調製する工程と、該洗浄液中のカタラーゼ活性を0.2U/ml以下に制御しつつ、非加熱食品を該洗浄液で処理する工程と、を有する、非加熱食品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、カタラーゼを溶出する非加熱食品を非加熱食品用保存剤を含有する洗浄液で処理する際、洗浄液中のカタラーゼ活性を0.2 U/ml以下に制御することにより、グルコースオキシダーゼが十分な制菌効果を発揮するため、非加熱食品の保存安定性、特に食中毒に対する安全性を高めることができる。また、グルコースオキシダーゼから産生された過酸化水素は、洗浄処理後の脱水工程でその大部分が除去され、更に非加熱食品から徐々に侵出するカタラーゼで分解されることにより、保存性及び安全性が高い非加熱食品を得ることができる。
大腸菌に対するグルコースオキシダーゼの抗菌力に及ぼすカタラーゼの影響を示す図である。 大腸菌に対する制菌効果を検証した結果を示す図である。 サルモネラ菌に対する制菌効果を検証した結果を示す図である。 バチルス・セレウス菌に対する制菌効果を検証した結果を示す図である。 白菜漬けに対する制菌効果を検証した結果を示す図である。
まず、本実施形態に係る非加熱食品用保存剤について説明する。
本実施形態に係る非加熱食品用保存剤は、グルコースオキシダーゼと、カタラーゼとを含有し、これらの活性比、即ちグルコースオキシダーゼ/カタラーゼ(U/U)が少なくとも1.2(U/U)以上であり、1.2から5.0の範囲内であることが好ましく。1.2から4.0の範囲内であることが更に好ましい。
本実施形態において、グルコースオキシダーゼ活性の定義は、1Uの本酵素が、30℃、pH5.8の条件下で1分間に1μmolのブドウ糖を酸化する能力をいう。また、カタラーゼ活性の定義は、1Uの本酵素が、30℃の条件下で1分間に1μmolの過酸化水素を分解する能力をいう。
グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性との活性比を上記の範囲内にすることで、微生物に対する制菌効果を発揮することができる。
本実施形態において、「制菌」とは、生菌を抑制する行為のすべてを意味する。具体的には、静菌、抗菌、除菌、殺菌等の行為を意味するものとする。
本実施形態における制菌効果の対象となる微生物は、サルモネラ菌、病原性大腸菌、セレウス菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、リステリア菌、ウェルシュ菌などの食中毒菌、また病原性はないが衛生指標である大腸菌群、非病原性大腸菌、一般細菌であるバチルス属細菌、乳酸菌など、真菌類であるカビ、酵母を挙げることができる。
本実施形態において「非加熱食品」とは、加熱してない植物原材料、すなわちカタラーゼなどの酵素活性が普遍的に含まれている植物原材料を非加熱のまま用いた食品および食品原材料を指す。
非加熱食品の例としては、例えば、カット野菜やカット果物などのカット青果物のほか、食品原材料としての豆類、米、麦、トウモロコシなどの穀類、ぬか漬け、浅漬けなどの漬物、各種サラダ、ネギ、みつば、パセリなどのトッピング用生野菜、大根おろし、ニンジンペースト、ゴマペーストなどの野菜、種子加工品等を挙げることができる。
本実施形態の非加熱食品用保存剤は、さらに、グルコースを含有することができる。グルコースオキシダーゼはグルコースと反応して過酸化水素を産生するため、制菌効果を発揮するにはグルコースの存在は必須である。但し、処理対象物である非加熱食品からグルコースが供給される場合はそのグルコースとグルコースオキシダーゼが反応するため、かかる場合は本実施形態の非加熱食品用保存剤においてグルコースは必須ではない。一方、処理対象物である非加熱食品からグルコースが供給されない場合又はグルコースが不足する場合は、本実施形態の非加熱食品用保存剤にグルコースを含有させることが好ましい。
グルコース濃度や含有量は非加熱食品の種類や供給濃度等に応じて適宜設定することができるが、グルコースを添加する場合は、例えば、0.1〜2.0%とすることが好ましい。
本実施形態の非加熱食品用保存剤は、さらに、添加物として、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1ラウリル硫酸塩、大根、菜の花などのアブラナ科植物エキスからなる群から選択された1種または2種以上を含有することが好ましい。
上記添加物を含有することにより、微生物はグルコースオキシダーゼ由来の過酸化水による制菌処理とは異なるメカニズムにより損傷を受け、制菌効果を相乗的に高めることができる。
上記添加物の濃度や含有量は適宜設定することができるが、例えば、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムは0.1〜1.0%、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1ラウリル硫酸塩は50〜500ppm、アブラナ科植物エキスは5〜50%とすることが好ましい。
次に、本実施形態に係る非加熱食品の製造方法について説明する。
本実施形態に係る非加熱食品の製造方法は、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.2〜5.0 (U/U)の範囲内である非加熱食品用保存剤を含む洗浄液を調製する工程と、該洗浄液中のカタラーゼ活性を0.2U/ml以下に制御しつつ、非加熱食品を該洗浄液で処理する工程と、を有する。
非加熱食品を処理する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、噴霧、塗布等、一般に用いられる手段で非加熱食品用保存剤を非加熱食品に接触させればよいが、非加熱食品全体に洗浄液が行き渡るようにする観点からは、浸漬処理であることが好ましい。
処理時間は、対照とする非加熱食品の種類や処理方法によって適宜設定することができるが、例えば、浸漬処理を行う場合は、1〜1200分であることが好ましく、5〜120分であることがより好ましく、10〜30分であることがさらに好ましい。洗浄液のpHは4〜9であることが好ましく、5〜8であることがさらに好ましい。洗浄液の処理温度は、5〜45℃の酵素反応が進行する温度帯の範囲が好ましい。
洗浄液中のカタラーゼ活性を、0.2U/ml以下に制御する方法は特に限定されないが、例えば、非加熱食品の浸漬開始時に洗浄液の一部を所定量の過酸化水素水と混合し、一定時間後に所定量のヨウ化カリウムを加えた際にヨウ素の生成が起こることを目視で確認することにより調整できる。
本実施形態に係る非加熱食品の製造方法は、さらに、グルコースを添加する工程を有していてもよい。グルコース添加の要否は上述した非加熱食品用保存剤における説明と同様である。
本実施形態に係る非加熱食品の製造方法は、さらに、添加物として、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1ラウリル硫酸塩、大根、キャベツなどのアブラナ科植物エキスからなる群から選択された1種または2種以上を添加する工程を有することが好ましい。
上記添加物を含有することにより、微生物はグルコースオキシダーゼ由来の過酸化水による制菌処理とは異なるメカニズムにより損傷を受けるため、制菌効果を相乗的に高めることができる。
上記添加物の濃度や含有量については、上述した非加熱食品用保存剤における説明と同様である。
洗浄処理後の非加熱食品は、その後脱水工程に付される。脱水方法は特に限定されず、従来公知の脱水方法を利用することができる。この脱水工程により、非加熱食品に付着していた過酸化水素の大部分が除去され、更に非加熱食品自身から徐々に侵出するカタラーゼにより分解される。
本実施形態に係る非加熱食品の製造方法により得られた非加熱食品は、制菌効果の発揮によって保存安定性が高まり、無処理の非加熱食品と比較して長時間にわたり食中毒菌や腐敗菌による品質低下を防止することができる。また、過酸化水素の残存もなく、安全性も高いものとなる。
本実施形態に係る非加熱食品用保存剤及び非加熱食品の製造方法は、非加熱食品以外の食品にも適用することができる。また、非加熱食品と加熱食品とを混合して、上述した方法で処理した場合であっても、制菌処理され、かつ、安全性の高い食品を製造することもできる。例えば、生野菜などの非加熱食品と、茹で野菜などの加熱食品とを混合した状態で本発明に係る非加熱食品用保存剤で処理しても、本発明の所望の効果を発揮することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
1.大腸菌に対する制菌効果
(1)制菌効果の検討
本発明に係る非加熱食品用保存剤の制菌効果を検討するため、グルコースオキシダーゼとカタラーゼの活性比を変化させて、大腸菌の増殖に及ぼすグルコースオキシダーゼとカタラーゼの活性比、カタラーゼ濃度の影響を検討した。
すなわち、グルコースオキシダーゼ(GO)とカタラーゼ(Cat)の活性比を、4、2、1.6、1.2、0.8に調製した非加熱食品用保存剤溶液(洗浄液)を標準寒天培地に各濃度添加し、標準寒天培地に大腸菌(JCM20135)を接種し25℃、2日間培養して大腸菌の生育の有無を観察した。結果を図1に示す。
図1において、縦軸はグルコースオキシダーゼの濃度(U/ml)、横軸はカタラーゼの濃度(U/ml)を示す。また、直線は濃度調整された各非加熱食品用保存剤の活性比(GO/Cat=4、GO/Cat=2、GO/Cat=1.6、GO/Cat=1.2、GO/Cat=0.8)を示す。そして、破線で示した領域(図中、「増殖抑制」と表記した領域)が、大腸菌の増殖が抑制された領域である。
この図から分かるように、カタラーゼ濃度が0.2U/ml以上の条件において、グルコースオキシダーゼを多量に添加しても、添加量に関係なく大腸菌の増殖は抑制されなかった。また、カタラーゼ濃度が0.1U/ml以下の条件において、グルコースオキシダーゼとカタラーゼの活性比(U/U)が1.2以上で大腸菌の増殖は抑制された。さらに、カタラーゼ濃度が0.1〜0.2U/mlにおいて、大腸菌の増殖を抑制するのに必要なグルコースオキシダーゼの濃度は対数曲線的に増加した。
以上の結果から、制菌効果を発揮するためには、洗浄液中のカタラーゼ活性は0.2U/ml以下(Cat≦0.2)に制御される必要があることが明らかとなった。そして、このような洗浄液中の条件下では、非加熱食品用保存剤のグルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比を1.2以上(GO/Cat≧1.2)に調整する必要があることが判明した。前記活性比の上限値は図1に示す「増殖抑制」と記載された領域内であれば特に限定されないが、本実施形態に係る非加熱食品用保存剤を調製する際、カタラーゼを失活等により除去する処理を行う。このとき、同時にグルコースオキシダーゼ活性も一部失われるため、活性比の上限値はさほど大きな値にはならず、実際には4〜5となり、その程度の活性比であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
(2)添加物の検討
大腸菌に対する非加熱食品用保存剤の制菌力をさらに高めるためのスクリーニングを行った。スクリーニングにあたり、大腸菌(JCM20135)の懸濁液(10cfu/ml)を調製し、千切りしたカットレタス40gを懸濁液に4時間浸漬後液切りした。
一方、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、比較例を含め、下記の洗浄液250mlを調製した。
a)水
b)非加熱食品用保存剤(GO)0.05%+グルコース0.5%+水(残量)
c)酢酸ナトリウム0.5%(pH6.0)+水(残量)
d)酢酸ナトリウム0.5%+非加熱食品用保存剤(GO)0.05%+グルコース0.5%(pH6.0)+水(残量)
e)酢酸カルシウム0.5%(pH6.0)+水(残量)
f)酢酸カルシウム0.5%+非加熱食品用保存剤(GO)0.05%+グルコース0.5%(pH6.0)+水(残量)
上記a〜fに生大根エキス20%添加した溶液
大腸菌懸濁液に浸漬したカットレタス40gを、各洗浄液に30分浸漬した後、遠心脱水し、15℃で1日放置した後にカットレタスの菌数を測定した(なお、初発菌数は5×10cfu/gであった)。なお、菌数の測定は、ESコリマーク寒天培地にて35℃で1日培養することにより実施した。
結果を図2に示す。実験の結果、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、生大根エキスにグルコースオキシダーゼの大腸菌に対する制菌効果を高める効果(併用効果)がある事を見出した。
2.サルモネラ菌に対する制菌効果
前記1(2)と同様の要領で、大腸菌に代えてサルモネラ菌(Salmonella sp.)を用い、グルコースオキシダーゼの制菌効果を高めるためのスクリーニングを行ったところ、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、生大根エキスにグルコースオキシダーゼの大腸菌に対する制菌力を高める効果(併用効果)のある事を見出した。結果を図3に示す。
3.バチルス・セレウス菌に対する制菌効果
グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、比較例を含め、下記の洗浄液250mlを調製し、これらにバチルス・セレウス(Bacillus cereus)の栄養細胞を10cfu/mlとなるように懸濁し、生菌数の変化を経時的に追った。
a)非加熱食品用保存剤(GO)200ppm+グルコース0.5%+水(残量)
b)酢酸ナトリウム 0.5%+水(残量)
c)グリセリン脂肪酸エステル(ラウリン酸モノグリセリド)300ppm+水(残量)
d)ビタミンB1ラウリル硫酸塩300ppm+水(残量)
e)a)とb)の併用(1:1)
f)a)とc)の併用(1:1)
g)a)とd)の併用(1:1)
結果を図4に示す。非加熱食品用保存剤にグリセリン脂肪酸エステル(ラウリン酸モノグリセリド)を併用したとき、非加熱食品用保存剤にビタミンB1ラウリル硫酸塩を併用したときに特に強い殺菌効果を示した。
4.カットキャベツの保存試験
以下の要領で、カットキャベツの保存試験を実施した。まず、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、比較例を含め、下記の洗浄液1000mlを調製した。
a)次亜塩素酸ナトリウム200ppm
b)非加熱食品用保存剤(GO)500ppm+グルコース0.5%+水(残量)
c)酢酸カルシウム0.5%(pH6.0)+水(残量)
d)酢酸カルシウム0.5%(pH6.0)+非加熱食品用保存剤(GO)500ppm+グルコース0.5%+水(残量)
e)酢酸カルシウム0.5%(pH6.0)+非加熱食品用保存剤(GO)500ppm+グルコース0.5%+千切り大根10%上乗せ+水(残量)
次に、キャベツの外皮を取り除き、1/4に切り、芯を切り落とした。野菜用中性洗剤A−2000(サラヤ社製)の0.1%溶液に5分間浸漬した後、液切りして千切りした。そのカットキャベツ200gを上記の洗浄液に15分間浸漬した。浸漬中の溶液中カットキャベツ由来のカタラーゼ活性は0.04U/mlだった。浸漬処理後、遠心脱水機で洗浄液を切り、ポリ袋に充填して10℃で3日間保存し、経時的に生菌数を測定した。
食品中の過酸化水素の残存量は次の方法により行った。まず、4−アミノアンチピリン11mg、2,4−ジクロロフェノール 36mg、ホースラディッシュ由来ペルオキシダーゼ(MP Biomedicals社製)5mgを0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)100mlに完全に溶解させて発色試薬を調製した。次に、25、50、100ppmの過酸化水素水0.02mlを発色試薬3mlに加え30℃で1分間反応させた後、505nmの吸光度を測定し、過酸化水素濃度と吸光度値の関係を求めて検量線を作成した(直線関係にある)。そして、試料0.02mlを発色試薬3mlに加え30℃で1分間反応させた後、505nmの吸光度を測定し、予め作成しておいた検量線より試料中の過酸化水素濃度を求めた。この方法によれば、検出限界約1ppmまで求めることができる。なお、過酸化水素の発生速度、過酸化水素の分解速度を測定することにより、グルコースオキシダーゼ活性、カタラーゼ活性も上記の方法で求めることができる。
結果を表1に示す。なお、ポリ袋に充填した時点において、洗浄液b)で処理した試験区のキャベツ中の過酸化水素は検出限界以下(1ppm以下)であった。
5.大豆の除菌試験
グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、比較例を含め、下記の洗浄液を各150ml調製した。
a)無添加対照
b)非加熱食品用保存剤(GO)200ppm+グルコース0.5%+水(残量)
c)ラウリン酸モノグリセリド(FGA−450M、永和物産製)300ppm+水(残量)
d)非加熱食品用保存剤(GO)200ppm+ラウリン酸モノグリセリド(FGA−450M、永和物産製)300ppm+グルコース0.5%+水(残量)
これらの洗浄液に乾燥大豆を50gずつ浸漬し、30℃にて保存した。最初の段階で、a)〜d)の各々に、大豆が撹拌される状態で30ml/分の量の空気を内径5mmのビニルパイプを使って、60分間通気した。18時間浸漬後、洗浄液の一般生菌数およびバチルス・セレウス(Bacillus cereus)の生菌数を測定した。結果を表2に示す。なお、浸漬開始時において洗浄液中の大豆由来のカタラーゼ活性は0.05U/mlであった。
6.シロップ漬けカット果実の保存試験
グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、比較例を含め、以下4群のシロップ溶液(配合:水84.2%、砂糖15%、ブドウ糖0.5%、クエン酸0.3%)を各150ml調製した。
a)無添加対照
b)非加熱食品用保存剤(GO)50ppm
c)酢酸カルシウム0.1%
d)非加熱食品用保存剤(GO)50ppm+酢酸カルシウム0.1%
これら薬剤含有シロップ液に皮をむいて取り出したグレープフルーツ果肉を50gずつ浸漬した。15℃にて保存を行い、試験開始から30日間、経時的にシロップ溶液の一般生菌数の測定を行った。結果を表3に示す。なお、グレープフルーツ果肉を混合した直後のシロップ溶液のカタラーゼ活性は0.01U/mlだった。また、試験区b)及びd)は試験開始(初発)から30日後(D+30)において、大腸菌は陰性であった。
7.大根おろしの保存試験
グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.59である非加熱食品用保存剤を調製した。そして、調製した大根おろしに10cfu/gの大腸菌(JCM20135)を接種し、下記の組成からなる複合製剤a)、b)をそれぞれ0.5%添加して、10℃で10日間保存し、経時的に目視観察、官能評価、大腸菌数の測定を行った。なお、保存開始時における大根おろしのカタラーゼ活性は0.12U/mlであった。
a)非加熱食品用保存剤2%+グルコース48%+酢酸カルシウム50%
b)非加熱食品用保存剤2%+ラクトース28%+酢酸ナトリウム70%
c)無添加
10日後に目視観察、官能評価したところ、a)、b)いずれの試験区も、色、風味とも食用適であり、大腸菌は陰性であった。また、上述した過酸化水素の測定方法に従って過酸化水素を測定したところ、過酸化水素はいずれも検出限界以下(1ppm以下)だった。一方、c)の無添加区は4日目で変色し、大腸菌は陽性であった。
8.白菜浅漬けの保存試験
白菜2kgに、食塩を最終濃度2%になるように加えた後、白菜重量と等量の水を加え一晩下漬けした。下漬け後、グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が2.85である非加熱食品用保存剤を調製し、さらに下記の白菜浅漬け用の注入液を調製した。
a)水500ml(無添加対照区)
b)水500ml+非加熱食品用保存剤(GO)0.1g+グルコース2g+酢酸Ca2g(試験区)
下漬けした白菜500gに対し、上記の注入液500mlを加え、15℃にて8日間保存し、生菌数を経時的に測定した。なお、15℃保存開始時における注入液のカタラーゼ活性は0.15U/mlであった。
結果を図5に示す。無添加対照区が保存開始2日後に注入液が白濁し、4日後には生菌数が10cfu/gに達していた。また、無添加対照区は保存1日後から大腸菌が陽性であった。一方、試験区は6日後でも、白濁を起こさず大腸菌も陰性であった。

Claims (6)

  1. グルコースオキシダーゼとカタラーゼを含有し
    グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.2(U/U)以上である非加熱食品用保存剤を、
    カタラーゼ活性が0.2U/ml以下に制御された溶液中で使用する、非加熱食品用保存剤の使用。
  2. 前記非加熱食品用保存剤が、さらに、グルコースを含有する、請求項1に記載の非加熱食品用保存剤の使用。
  3. 前記非加熱食品用保存剤が、さらに、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1ラウリル硫酸塩、アブラナ科植物エキスからなる群から選択された1種または2種以上を含有する、請求項1又は2に記載の非加熱食品用保存剤の使用。
  4. グルコースオキシダーゼ活性とカタラーゼ活性の活性比が1.2(U/U)以上である非加熱食品用保存剤を含む洗浄液を調製する工程と、
    該洗浄液中のカタラーゼ活性を0.2U/ml以下に制御しつつ、非加熱食品を該洗浄液で処理する工程と、
    を有する、非加熱食品の製造方法。
  5. さらに、グルコースを前記洗浄液に添加する工程を含む、請求項4に記載の非加熱食品の製造方法。
  6. さらに、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1ラウリル硫酸塩、アブラナ科植物エキスからなる群から選択された1種または2種以上を前記洗浄液に添加する工程を含む、請求項4又は5に記載の非加熱食品の製造方法。
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