JP6450529B2 - ディフューザ・ストラット・フェアリング - Google Patents

Description

本発明は一般的には、ガス・タービンの排気ディフューザ用のディフューザ・ストラット（diffuser strut）に関する。さらに具体的には、本発明は、ディフューザ・ストラットを少なくとも部分的に包囲するディフューザ・ストラット・フェアリング（diffuser strut fairing）に関する。

ガス・タービンは、工業及び発電業務において広く用いられている。典型的なガス・タービンは、圧縮機区画と、圧縮機区画の下流の燃焼器と、燃焼器の下流のタービン区画とを含んでいる。周囲空気のような作動流体が圧縮機区画に流入して、ここで圧縮された後に燃焼器に流入する。圧縮された作動流体は燃料と混合されて燃焼器の内部で燃やされて、高温、高圧、及び高速を有する燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは燃焼器から流出して急速に膨張しながらタービン区画を通過し、シャフトを回転させて仕事を生成する。次いで、燃焼ガスはタービン区画から、タービン区画の下流に配置された排気ディフューザを通って排出される。

排気ディフューザは典型的には、内側シェルと、該内側シェルから半径方向に隔設されて、ディフューザを通した排気流路を形成する外側シェルとを含んでいる。１又は複数の全体的に翼型形状のディフューザ・ストラットが排気流路の内部で内側シェルと外側シェルとの間に延在しており、外側シェルに対する構造的支持、及び／又はシャフトを支持する後方軸受けに対する構造的支持を提供している。排気ディフューザの空気力学的性能は、ガス・タービンの全体的な出力及び熱消費率の重要な構成要素である。

燃焼ガスが排気流路を通ってディフューザ・ストラットを横断して流れるのに伴って、ガス・タービンの全体的な空気力学的性能は影響を受ける。結果として、ディフューザ・ストラット設計は典型的には、通常時及びピーク時の電力需要でのガス・タービン効率を改善するために、ガス・タービンの基底負荷運転又は全速／全負荷運転について最適化されている。しかしながら、ガス・タービンは部分負荷条件で動作する場合もあり、この条件ではタービンを出て排気ディフューザに入る燃焼ガスの渦が増大する。増大した渦は、ディフューザ・ストラットの吸込側からの流れ剥離のきっかけとなり、これにより部分負荷運転時のガス・タービンの空気力学的性能に影響し、全体的なガス・タービン効率に影響を有する。従って、基底負荷運転及び／又は全速／全負荷運転以外でのガス・タービンの運転時にディフューザ・ストラットを横断する流れ剥離を減少させる改善されたディフューザ・ストラット設計が提供されれば当技術分野において有用である。

発明の観点及び利点が以下の記載に述べられており、記載から明らかである場合もあり、又は発明の実施を通じて習得される場合もある。

本発明の一実施形態は、ディフューザ・ストラット・フェアリングである。このディフューザ・ストラット・フェアリングは、最上部分、最下部分、圧力側部分、吸込側部分、内面及び外面を有している。圧力側部分及び吸込側部分は、最上部分と最下部分との間に延在している。この排気ディフューザ・ストラット・フェアリングはさらに、圧力側部分と吸込側部分との間に少なくとも部分的に画定された流れマニホルドと、吸込側部分に沿って配設された複数の開口とを含んでいる。複数の開口は、流れマニホルドと流体連通している。

本発明のもう一つの実施形態は、排気ディフューザである。この排気ディフューザは、内側シェルからから半径方向に離隔された外側シェルと、両シェルの間に画定された排気流路とを含んでいる。ディフューザ・ストラットが、流路の内部で内側シェルと外側シェルとの間に延在している。ディフューザ・ストラットは、圧力側、吸込側及び前縁を含んでいる。この排気ディフューザはさらに、ディフューザ・ストラットの前縁の周囲に延在する排気ディフューザ・ストラット・フェアリングを含んでいる。ディフューザ・ストラット・フェアリングは、ディフューザ・ストラットの吸込側の一部を横断して延在する吸込側部分を有している。流れマニホルドが、ディフューザ・ストラット・フェアリングによって少なくとも部分的に画定されている。複数の開口が、排気ディフューザ・ストラット・フェアリングの吸込側部分に沿って配設されている。複数の開口は、流れマニホルドと流体連通している。

本発明はまた、ガス・タービンを含んでいる。このガス・タービンは、圧縮機区画と、圧縮機区画の下流に配設された燃焼区画と、燃焼区画の下流に配設されたタービン区画と、タービン区画の下流に配設された排気ディフューザとを含んでいる。排気ディフューザは、内側シェルから半径方向に離隔された外側シェルと、両シェルの間に画定された排気流路とを含んでいる。排気ディフューザはさらに、流路の内部で内側シェルと外側シェルとの間に延在するディフューザ・ストラットを含んでいる。ディフューザ・ストラットは、圧力側、吸込側及び前縁を含んでいる。排気ディフューザはさらに、ディフューザ・ストラットの前縁の周囲に延在する排気ディフューザ・ストラット・フェアリングを含んでいる。ディフューザ・ストラット・フェアリングは、ディフューザ・ストラットの吸込側の一部を横断して延在する吸込側部分を含んでいる。排気ディフューザはさらに、ディフューザ・ストラット・フェアリングによって少なくとも部分的に画定された流れマニホルドを含んでいる。複数の開口が、排気ディフューザ・ストラット・フェアリングの吸込側部分に沿って配設されている。複数の開口は、流れマニホルドと流体連通している。

当業者は、本明細書を検討すればかかる実施形態の特徴及び観点その他をさらに十分に認められよう。

本発明の最良の態様を含めた本発明の完全で且つ実施可能な当業者に対する開示が、添付図面の参照を含めて本明細書の残部にさらに具体的に記述される。
本発明の様々な実施形態を組み入れ得る公知のガス・タービンの一例の側断面図である。 本発明の様々な実施形態を組み入れ得る図１に示すような排気ディフューザの一例の単純化された下流断面図である。 本発明の様々な実施形態による図２に示すような切断線３−３に沿って見たディフューザ・ストラットの一例の上断面図である。 本発明の少なくとも一つの実施形態による図３に示すような排気ディフューザの隣り合った二つのディフューザ・ストラット及び内側シェルの一部の遠近図である。 本発明の少なくとも一つの実施形態によるディフューザ・ストラット・フェアリングを含む図４に示すようなディフューザ・ストラットの一つの上断面図である。 本発明の一実施形態による図４及び図５に示すようなディフューザ・ストラット・フェアリングの背面遠近図である。 本発明の少なくとも一つの実施形態による図４、図５及び図６に示すようなディフューザ・ストラット・フェアリングの前面遠近図である。 本発明の一実施形態による図４に示すような排気ディフューザの一部及びディフューザ・ストラット・フェアリングの一部の側断面図である。

以下、本発明の各実施形態を詳細に参照し、これらの実施形態の１又は複数の実例を添付図面に示す。詳細な説明は、数値指示及び文字指示を用いて図面の各特徴を参照する。図面及び記載における類似した又は同様の指示は、本発明の類似した又は同様の部材を参照するために用いられている。本書で用いられる「第一」、「第二」及び「第三」との用語は、一つの構成要素を他の構成要素と識別するために互換的に用いられており、個々の構成要素の位置又は重要性を意味するものではない。また、「上流」及び「下流」との用語は、流体の経路での流体の流れに関して相対的な方向を指す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向を指し、「下流」は流体が流れていく方向を指す。また、「半径方向」との用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対的方向を指し、「軸方向」との用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行な相対的方向を指す。

各々の例は、発明の制限のためではなく発明の説明のために掲げられている。実際に、本発明の範囲又は要旨から逸脱することなく本発明に改変及び変形を施し得ることは当業者には明らかとなろう。例えば、一実施形態の一部として図示され又は記載される各特徴を他の実施形態に対して用いて、さらに他の実施形態を得てもよい。このように、本発明は、特許請求の範囲及び均等構成の範囲内にあるような改変及び変形を網羅するものとする。本発明の実施形態の各例は、例示の目的で工業用ガス・タービンに組み入れられている排気ディフューザの文脈で一般的に記載されるが、当業者は、本発明の各実施形態が、特許請求の範囲に特に記載のない限り任意のターボ機械に組み入れられている任意の排気ディフューザに適用可能であり、工業用ガス・タービンに限定されないことを容易に認められよう。

図面を参照すると、各図全体を通じて同一の番号は同じ要素を示しており、図１は、本発明の様々な実施形態を組み入れ得る公知のガス・タービン１０の一例を示している。図示のように、ガス・タービン１０は一般的には、圧縮機区画１２を含んでいる。圧縮機区画１２は、圧縮機１４を含んでいる。圧縮機は、ガス・タービン１０の上流端に配設された入口１６を含んでいる。ガス・タービン１０はさらに、圧縮機区画１２の下流に配設された１又は複数の燃焼器２０を有する燃焼区画１８を含んでいる。ガス・タービンはさらに、燃焼区画１８の下流に位置するタービン区画２２を含んでいる。シャフト２４が、ガス・タービン１０を通して全体的に軸方向に延在している。タービン区画２２は一般的には、シャフト２４の軸方向中心線３０に沿ってタービン区画２２の内部に配置された静止ノズル２６とタービン動翼２８とから成る交互段を含んでいる。外側ケーシング３２が、静止ノズル２６及びタービン動翼２８の交互段を円周方向に包囲している。排気ディフューザ３４が、タービン区画２２の下流に配置されている。

動作時には、周囲空気３６又は他の作動流体が圧縮機１４の入口１６に引き入れられて累進的に圧縮され、圧縮された空気３８を燃焼区画１８に与える。圧縮された空気３８は燃焼区画１８に流入して燃料と混合されて可燃性混合物を形成し、この混合物が各々の燃焼器２０の内部に画定された燃焼室４０において燃やされて、これにより熱ガス４２を生成し、熱ガス４２は燃焼室４０からタービン区画２２に流入する。熱ガス４２はタービン区画２２の静止ノズル２６及びタービン動翼２８の交互段を流れるにつれて急激に膨張する。

熱エネルギ及び／又は運動エネルギが熱ガス４２からタービン動翼２８の各々の段へ伝達されて、これによりシャフト２４を回転させ、機械的な仕事を生成する。熱ガス４２はタービン区画２２を出て排気ディフューザ３４を通り、排気ディフューザ３４の内部に配設された複数の全体的に翼型形状のディフューザ・ストラット４４を横断して流れる。部分負荷運転時のようなガス・タービンの様々な動作状態時には、タービン区画２２から排気ディフューザ３４に流入する熱ガス４２は、回転するタービン動翼２８に起因する高レベルの渦を有している。タービン区画２２から出る熱ガス４２が渦を生成する結果として、熱ガス４２の排気ディフューザ・ストラットからの流れ剥離が生じてガス・タービン１０の空気力学的性能を低下させ、これによりエンジンの全体的な出力及び熱消費率に影響する。

図２は、本発明に用いられ得る排気ディフューザ３４の一例の単純化された下流断面図を示す。図示のように、排気ディフューザ３４は一般的には、内側シェル４６と、外側シェル４８とを含んでいる。内側シェル４６は、排気ディフューザ３４の軸方向中心線５０に沿って全体的に軸方向に延在している。内側シェル４６は全体的に円環形状であり、回転する構成要素を少なくとも部分的に包囲し得る。例えば、内側シェル４６は、シャフト２４の一部を包囲し又は収容し得る。

図２に示すように、外側シェル４８は、内側シェル４６から半径方向に離隔されている。特定的な実施形態では、内側シェル４６は、軸方向中心線５０に関して外側シェル４８の内部に同心状に且つ同軸方向に整列している。排気流路５２が内側シェル４６と外側シェル４８との間に全体的に画定される。幾つかの実施形態では、外側シェル４８は、外側ケーシング５６から半径方向に離隔された内側ケーシング５４による二重壁構造を有し得る。圧縮作動流体プレナム５８が、外側ケーシング５６の内部の間に画定され得る。例えば、圧縮作動流体プレナム５８は、内側ケーシング５４と外側ケーシング５６との間に少なくとも部分的に画定されていてよい。他の実施形態では、圧縮作動流体プレナム５８は、内側ケーシング５４の内部に画定されていてもよい。本開示は、特許請求の範囲に記載されたものを除き、内側シェル４６、外側シェル４８、及び／又は内側若しくは外側ケーシング５４、５６の如何なる特定のサイズ、形状、材料又は他の物理的特性にも限定されない。

図２に示すように、ディフューザ・ストラット４４の各々が内側シェル４６と外側シェル４８との間に画定された流路５２の内部で両シェル４６、４８の間に延在している。ディフューザ・ストラット４４は、内側シェル４６の周りに円周方向に隔設されている。ディフューザ・ストラット４４は、内側シェル４６を外側シェル４８に対して全体的に正しく配向させる。加えて、ディフューザ・ストラット４４は、内側シェル４６と外側シェル４８との間に構造的支持を提供することができる。図１に示すように、ディフューザ・ストラット４４は、ガス・タービン１０のタービン区画２２から流れてくる熱ガス４２の流れの方向６０に対して配置されている。

図２に示すように、各々のディフューザ・ストラット４４は一般的には、内側シェル４６に接続された根元部６２と、該根元部６０から半径方向に離隔された先端部６４とを含んでいる。先端部６４は、外側シェル４８及び／又は内側ケーシング５４に接続され得る。本発明の文脈では、「ディフューザ・ストラット」との用語は、内側シェル４６と外側シェル４８及び／又は内側ケーシング５４との間に延在する任意の構造又は支持部材を含んでいる。

図３は、本発明の様々な実施形態による図２に示すような切断線３−３に沿って見たディフューザ・ストラット４４の一つの一例の断面を示す。図３に示すように、ディフューザ・ストラット４４は、全体的に翼型形状であってよい。例えば、ディフューザ・ストラット４４は、前縁６６と、熱ガス４２の流れの方向６０に関して前縁６６の下流に位置する後縁６８と、圧力側７０と、圧力側７０の反対側に位置する吸込側７２とを含んでいる。当業者には、圧力側７０及び吸込側７２は、タービン区画２２を出る熱ガス４２の流れの方向６０に依存してディフューザ・ストラット４４の両面の何れの面に対応していてもよいことが明らかであろう。特定的な実施形態では、ディフューザ・ストラット４４の翼型形状は、ディフューザ・ストラット４４を少なくとも部分的に包囲する外皮又はフェアリング（不図示）によって少なくとも部分的に画定され得る。

図４は、本発明の少なくとも一つの実施形態による隣り合った二つのディフューザ・ストラット４４、及び内側シェル４６の一部の遠近図を掲げる。特定的な実施形態では、図４に示すように、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００が各々の排気ストラット４４の周囲に少なくとも部分的に延在している。ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、既存の排気ディフューザに改造として盛り込まれてもよいし、新たなディフューザ・ストラット設計に組み入れられてもよい。ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、最上部分１０２と、最下部分１０４と、圧力側部分１０６と、吸込側部分１０８とを含んでいる。圧力側部分１０６及び吸込側部分１０８は、最上部分と最下部分との間に延在している。

図５は、特定的な実施形態による図４に示すようなディフューザ・ストラット・フェアリング１００を含むディフューザ・ストラット４４の一つの上断面図を掲げる。図４及び図５に示すように、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、ディフューザ・ストラット４４の前縁の周囲に延在している。特定的な実施形態では、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、圧力側７０から吸込側７２までディフューザ・ストラット４４の前縁６６の周囲に延在している。図示のように、圧力側部分１０６及び吸込側部分１０８は交わって、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の最上部分１０２と最下部分１０４との間に延在する前縁部分１１０を形成している。特定的な実施形態では、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の前縁部分１１０は、ディフューザ・ストラット４４の前縁６６と実質的に整列している。

図５に示すように、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、内面１１２と外面１１４とを含んでいる。内面１１２及び外面は、ディフューザ・ストラット・フェアリングの圧力側部分１０６と、吸込側部分１０８と、最上部分１０２と、最下部分１０４との間に延在している。圧力側部分１０６は、ディフューザ・ストラット４４の圧力側７０の一部を少なくとも部分的に横断して延在していてよい。吸込側部分１０８は、ディフューザ・ストラット４４の吸込側７２を少なくとも部分的に横断して延在している。圧力側部分１０６は、ディフューザ・ストラット４４の圧力側７０に直に隣接して位置し得る。吸込側部分１０８は、ディフューザ・ストラット４４の吸込側７２に直に隣接して位置し得る。特定的な実施形態では、圧力側部分１０６は、鑞付け又は溶接等によってディフューザ・ストラット４４の圧力側７０に機械的に取り付けられる。特定的な実施形態では、吸込側部分１０８は、鑞付け又は溶接等によってディフューザ・ストラット４４の吸込側７２に機械的に取り付けられる。

特定的な実施形態では、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、流れマニホルド１１６を少なくとも部分的に画定している。流れマニホルド１１６は、圧力側部分１０６、前縁部分１１０又は吸込側部分１０８の少なくとも一つによって少なくとも部分的に画定される。流れマニホルドは、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００とディフューザ・ストラット４４との間に少なくとも部分的に画定され得る。例えば、流れマニホルド１１６は、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の内面１１２とディフューザ・ストラット４４の一部との間に少なくとも部分的に画定され得る。

図６は、本発明の一実施形態による図４及び図５に示すようなディフューザ・ストラット・フェアリングの背面遠近図を掲げる。一実施形態では、図６に示すように、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００は、天面板１１８と底面板１２０とを含んでいる。天面板１１８は、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の最上部分１０２に全体的に近接して配設されている。底面板１２０は、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の最下部分１０４に全体的に近接して配設されている。特定的な実施形態では、天面板１１８及び／又は底面板１２０は、流れマニホルド１１６を少なくとも部分的に画定している。例えば、一実施形態では、天面板１１８及び／又は底面板１２０は、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の内面１１２とディフューザ・ストラット４４との間に延在して、流れマニホルド１１６を少なくとも部分的に画定している。他の実施形態では、天面板１１８及び／又は底面板１２０は、内面１１２に沿って圧力側部分１０６と吸込側部分１０８との間に延在して、流れマニホルド１１６を少なくとも部分的に画定する。天面板１１８又は底面板１２０の少なくとも一方が、流れマニホルド１１６の内部への流体連通を可能にする流路１２２を含み得る。

図７は、本発明の少なくとも一つの実施形態による図４、図５及び図６に示すようなディフューザ・ストラット・フェアリング１００の前面遠近図を掲げる。特定的な実施形態では、図５、図６及び図７に示すように、複数の開口１２４が、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の吸込側部分１０８に沿って配設されている。特定的な実施形態では、複数の開口１２４の少なくとも幾つかは、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の前縁１１０の近傍に且つ／又は隣接して配設されている。図５に示すように、開口１２４は、流れマニホルド１１６と流体連通している。動作時には、圧縮された空気又は蒸気のような圧縮された作動流体１２６が、流れマニホルド１１６から開口１２４を通ってディフューザ・ストラット４４の吸込側１０８に沿って運ばれる。

開口１２４の少なくとも幾つかは、部分負荷運転時のようなガス・タービン１０の様々な運転モード時に、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の吸込側部分１０８を横断して且つ／又はディフューザ・ストラット４４の吸込側７２の少なくとも一部を横断して熱ガス４２の境界層を与え且つ／又は再度賦活する（re-energize）ように構成され得る。例えば、図７に示すように、複数の開口１２４の少なくとも幾つかが、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の吸込側部分１０８を全体的に軸方向に横断して延在し得る。圧縮された作動流体１２６は、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００の吸込側部分１０８及び／又はディフューザ・ストラット４４の吸込側７２を横断して流速を増大させる。結果として、ディフューザ・ストラット４４の吸込側１０８からの熱ガス４２の流れ剥離が遅延し且つ／又は防がれて、これによりガス・タービン１０の全体的な性能を強化し、またガス・タービン１０の熱消費率を低下させる。

図７に示すように、複数の開口１２４の少なくとも幾つかは、排気ディフューザ３４の軸方向中心線５０に対して実質的に平行に延在する平面に関して且つ／又は流路５２を流れる流れの方向６０に関して角度１２８を成して設定され得る。角度１２８は、圧縮された作動流体１２６の流れをディフューザ・ストラット・フェアリング１００の最上部分１０２若しくはディフューザ・ストラット４４の先端６４（図２）へ向けて導くように、又は圧縮された作動流体１２６の流れをディフューザ・ストラット・フェアリング１００の最下部分及び／若しくはディフューザ・ストラット４４の根元６２（図２）へ向けて導くように、鋭角又は鈍角の何れであってもよい。

図８は、内側ケーシング５４の一部、外側ケーシング５６の一部、圧縮作動流体プレナム５８の一部及びディフューザ・ストラット・フェアリング１００の一部を含む排気ディフューザ３４の一部の側断面図を掲げる。図４及び図８に示すように、ディフューザ・ストラット・フェアリング１００はさらに、流れマニホルド１１６への流体連通を提供する流体導管又は結合１３０を含み得る。一実施形態では、流体導管は、圧縮作動流体プレナム５８と流体連通し得る。他の実施形態では、流体導管１３０は、１又は複数の流体結合を通して外部の圧縮作動流体供給（不図示）に結合されていてもよい。

動作時、特にガス・タービンの部分負荷運転時には、圧縮された作動流体１２６が流れマニホルド１１６の内部に噴射される。圧縮された作動流体１２６は、開口１２４を通ってディフューザ・ストラット・フェアリング１００の吸込側部分１０８に沿って運ばれる。圧縮された作動流体１２６は、ディフューザ・ストラット４４を横断して流れる熱ガス４２に関して相対的に高速に、吸込側部分１０８の外面１１４及びディフューザ・ストラット４４の吸込側７２を横断して流れる。圧縮された作動流体１２６は、ディフューザ・ストラット４４の吸込側１０８からの流れ剥離を遅延させ、これによりガス・タービン１０の全体的な出力を増大させ、且つ／又はガス・タービン１０の熱消費率を低下させる。これにより排気ストラット４４の無剥離動作領域を増大させて、特に部分負荷運転条件又は基底負荷に満たない運転条件でのガス・タービン１０の全体的な性能を強化する。

この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。

１０：ガス・タービン
１２：圧縮機区画
１４：圧縮機
１６：圧縮機入口
１８：燃焼区画
２０：燃焼器
２２：タービン区画
２４：シャフト
２６：静止ノズル
２８：タービン動翼
３０：中心線
３２：ケーシング
３４：排ガス・ディフューザ
３６：周囲空気
３８：圧縮された空気
４０：燃焼室
４２：熱ガス
４４：ストラット
４６：内側シェル
４８：外側シェル
５０：軸方向中心線
５２：排気流路
５４：内側ケーシング
５６：外側ケーシング
５８：圧縮作動流体プレナム
６０：熱ガスの流れ方向
６２：根元部
６４：先端部
６６：前縁
６８：後縁
７０：圧力側
７２：吸込側
１００：ディフューザ・ストラット・フェアリング
１０２：最上部分
１０４：最下部分
１０６：圧力側部分
１０８：吸込側部分
１１０：前縁部分
１１２：内面
１１４：外面
１１６：流れマニホルド
１１８：天面板
１２０：底面板
１２２：流路
１２４：開口
１２６：圧縮された作動流体
１２８：角度
１３０：流体導管

Claims (6)

1. 排気ディフューザ（３４）であって、
   外側シェル（４８）と内側シェル（４６）と間に画定される流路（５２）と、
   前記流路の内部で内側シェルと外側シェルとの間に延在するディフューザ・ストラット（４４）であって、圧力側（７０）、吸込側（７２）及び前縁（６６）を有するディフューザ・ストラットと、
   前記ディフューザ・ストラットの前縁の周囲に延在するディフューザ・ストラット・フェアリング（１００）であって、ディフューザ・ストラットの吸込側に接続した吸込側部分（１０８）と、ディフューザ・ストラットの圧力側に接続した圧力側部分（１０６）と、外側シェルに近接したディフューザ・ストラット・フェアリングの端部に位置する天面板（１１８）であってディフューザ・ストラット・フェアリングの内面から延在してディフューザ・ストラットの圧力側、吸込側及び前縁に接続する天面板と、内側シェルに近接したディフューザ・ストラット・フェアリングの端部に位置する底面板（１２０）であってディフューザ・ストラット・フェアリングの内面から延在してディフューザ・ストラットの圧力側、吸込側及び前縁に接続する底面板とを有するディフューザ・ストラット・フェアリングと
   を備えており、前記ディフューザ・ストラット・フェアリング、天面板及び底面板がそれらの間に流れマニホルド（１１６）を確定し、かつ前記ディフューザ・ストラット・フェアリングが、ディフューザ・ストラット・フェアリングの圧力側部分及び吸込側部分の少なくとも一方に沿って配設された複数の開口（１２４）を確定しており、
   当該排気ディフューザが、前記流路（５２）を通る流れの方向に関して前記ディフューザ・ストラットの前縁（６６）の上流側に位置する流体導管（１３０）をさらに備え、該流体導管（１３０）は、前記天面板（１１８）に接続し且つ該天面板（１１８）を貫通して前記流れマニホルド（１１６）内と流体連通して該流れマニホルド（１１６）へ流体を導入する、排気ディフューザ。
2. 前記複数の開口が、ディフューザ・ストラット・フェアリングの圧力側部分に沿って配設されている、請求項１に記載の排気ディフューザ。
3. 前記複数の開口が、ディフューザ・ストラット・フェアリングの吸込側部分に沿って配設されている、請求項１に記載の排気ディフューザ。
4. 複数の開口の１以上が、前記流路を流れる流れの方向に関して角度をなして配置されている
   、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の排気ディフューザ。
5. 複数の開口の少なくとも幾つかが、ディフューザ・ストラットの吸込側の少なくとも一部を横断して、流れマニホルドからの圧縮作動流体の境界層を提供するように構成されている、請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載の排気ディフューザ。
6. 圧縮機区画と、
   該圧縮機区画の下流に配設された燃焼区画と、
   該燃焼区画の下流に配設されたタービン区画と、
   該タービン区画の下流に配設された請求項１乃至請求項５のいずれか１項に記載の排気ディフューザと
   を備えるガス・タービン。