JP6450218B2 - エステル交換油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エステル交換油の製造方法に関する。
触媒を用いた油脂の化学エステル交換プロセスは、「油脂の加熱→真空脱水→触媒投入」の順序で進行する。触媒投入によって、触媒であるアルカリ性物質と油脂が反応することで、化学エステル交換反応が進行すると共に、副生物のセッケン(脂肪酸のアルカリ金属塩)が生成する。そして、化学エステル交換反応が終了した時点では、油脂中に50000ppm前後のセッケン分が含まれている。
これまで、前記セッケン分を除去するために、化学エステル交換反応後の油脂に対して「水洗→静置→水相及び乳化相除去」との工程を実施していたが、水洗によって生じた乳化層と共に油脂の一部が失われ製品の歩留りが低下してしまう上に、セッケンをより多く除去しようとして水層及び乳化層を除去した後に再び水を添加すると、水層と油層の間で乳化状態となり、ひとたび乳化が起こると油脂の損失は莫大なものになるという問題があった(特許文献1)。一方、水洗で使用する水量を抑制すると、セッケンを十分に除去できず、白土処理等の吸着処理における吸着材の使用量が増えて油脂に吸着材特有の好ましくない風味が移行し油脂の風味が悪くなったり、吸着処理後の濾過による吸着材分離効率が落ちて、油脂の歩留りが悪くなったりするという問題がある。
特開昭51−61510号公報
本発明の目的は、エステル交換後の油脂中に含まれているセッケン分を安価で効率的に且つ歩留り良く除去して、脱臭処理に供する前のエステル交換油を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、動植物油脂をアルカリ性物質によりエステル交換反応させた後、中性水をシャワーリングのように水滴状で油脂に添加すると、中性水の表面積の総和が大きいことから、セッケンとの接触面積の総和も比例して大きくなり、また、水滴は適度な液滴径となることから、水滴はセッケンを抱いたまま油脂中を沈降していき、混合液の大部分が油層と水層とに分かれ、乳化層がほとんど生じないため、これまでのように油脂の歩留りを落とすことなく、セッケンを除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、動植物油脂を、アルカリ性物質を用いたエステル交換反応に付する第一工程、
前記エステル交換反応後に得られた油脂に、前記動植物油脂100重量部に対して10〜200重量部の液滴状の中性水を添加することで、前記油脂中で水滴を沈降させ、第一水層及び第一油層を含む液を得る第二工程、
第二工程で得られた液から第一水層を除去して、残留セッケン分が350〜1200ppmのエステル交換油を得る第三工程
を含む、脱臭処理に供するためのエステル交換油の製造方法に関する。
好ましくは、脱臭処理前に脱色処理を行い且つ脱色処理時に使用する吸着材が白土である。
本発明に従えば、エステル交換後の油脂中に含まれているセッケン分を安価で効率的に且つ歩留り良く除去して、脱臭処理に供する前のエステル交換油を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のエステル交換油の製造方法は、以下の通りである。まず、アルカリ性物質を触媒として動植物油脂をエステル交換反応させた後、前記油脂と特定量の中性水とを特定の方法で接触させ、セッケン分を界面に吸着した水滴を油脂中で沈降させることで、油脂中のセッケン分の含有量を特定量以下にすることを特徴とする。
<第一工程:エステル交換反応>
前記エステル交換反応では、アルカリ性物質を触媒として動植物油脂をエステル交換反応させる。具体的には、例えば「油脂の加熱→脱水→触媒投入」の順で常法に従うことができるが、これに限定されない。この反応工程内における触媒投入時に、触媒であるアルカリ性物質と動植物油脂が反応することで、化学エステル交換反応が進行すると共に、副生物のセッケンが生成する。ここでセッケンとは、エステル交換反応に供せられる動植物油脂中に含まれるトリグリセライド、ジグリセライド、又はモノグリセライド由来の脂肪酸とアルカリ性物質が反応して得られる脂肪酸アルカリ金属塩のことである。
本発明のエステル交換油の製造に用いる動植物油脂は特に制限されるものではないが、植物油の例として、サフラワー油、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、綿実油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、亜麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生油、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ油、コーン油などを例示することができ、動物油としては、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、羊脂、牛脚脂などを例示でき、更にそれらの水素添加油やエステル交換油、分別油、さらにはそれらの混合油などを用いても良い。
上記エステル交換反応において、動植物油脂中のモノグリセライド、ジグリセライド、又はトリグリセライドとアルカリ性物質を反応させる際に、水分はエステル交換反応を阻害するため、動植物油脂中の水分含有量は少ないほど良い。そこで、触媒を投入する前に、動植物油脂を脱水工程に付して、動植物油脂中の水分含有量を、0.1重量%以下まで減少させておくことが好ましく、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。ここで、動植物油脂を脱水するには、加熱真空脱水や窒素バブリングなどを行なえばよい。
動植物油脂を脱水する前に動植物油脂を加熱する際には、その加熱温度は特に限定されないが、例えば、60〜110℃程度の温度に加熱すればよい。
本発明のエステル交換油の製造に用いるアルカリ性物質としては、エステル交換能を有している物質であれば何を使用しても良く、アルカリ金属やその化合物が例示でき、具体的にはカリウムナトリウム合金、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示できる。低温での活性が高いことからはカリウムナトリウム合金が好ましく、経済性や扱い易さからはナトリウムメチラートが好ましい。
前記アルカリ性物質の添加量は、前記動植物油脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部が好ましく、0.1〜0.3重量部がより好ましい。0.05重量部より少ないと、動植物油脂のエステル交換反応速度が遅い、もしくは反応が進行しない場合がある。一方、0.5重量部より多いと、油脂中のモノグリセライド、ジグリセライド、又はトリグリセライドとアルカリ性物質が反応することで生成するセッケンの量が多くなり、得られるエステル交換油の収率が低下するため、好ましくない場合がある。
動植物油脂とアルカリ性物質との反応における時間および温度は特に限定されず、常法に従うことができるが、例えば0.03〜3時間、50〜120℃程度であって、好ましくは外気等から水分が混入しない条件がよく、例えば真空下で反応させたり、反応容器のヘッドスペースに窒素を充填した状態で反応させたりすればよい。
<第二工程:エステル交換反応後の油脂と水との接触>
前記エステル交換反応後の油脂に、液滴状の中性水を添加して、油脂内で水滴を沈降させる。これにより、油脂に含まれるセッケンを水層に移行させ、油脂中に含まれるセッケン量を低減する。
ここで、中性水とは、わずかにアルカリ性を示す水、及び、わずかに酸性を示すが、セッケンと反応して脂肪酸に変化させる程度の酸性ではない水も含む。具体的には、pH5〜9の範囲の水を好適に用い得る。
前記液滴状の中性水を油脂に添加するには、エステル交換反応後の油脂と中性水との接触表面積の総和が大きく且つ乳化が生じにくいように液滴状の中性水を油脂に添加する方法が好ましい。接触表面積の総和が小さいと、洗浄効率の悪い場合がある。また、乳化が起こると、油脂の歩留りを低下させる場合がある。中性水の水滴径が大きいほど、大半の水滴はセッケンを抱いたまま、比重の差に従って沈降していく。これにより、セッケンを十分に除去できると共に、乳化を生じにくくすることができる。
接触表面積の総和と水滴径とのバランスを適度な範囲にするために、具体的には、油層中における水滴径が1〜5mm程度になるように、中性水の液滴を油脂に添加することが好ましく、さらには、中性水の添加の勢いが強すぎないように添加することがより好ましい。水滴径が1mmより小さいと、水滴が油脂中に浮遊し続けて沈降しにくい場合があり、また、油層中の油脂全体に接触させるためには中性水の添加の勢いが強くなるので乳化が生じやすくなる場合がある。5mmより大きいと接触表面積の総和が小さくなり、セッケンの除去が不十分になる場合がある。
中性水を添加する際は、油脂を撹拌しながら一気に中性水を接触させると、特開昭51−61510号公報に記載のように、水層と油層の間で大量の乳化層が発生し、油脂の歩留りを低下させる。従って、乳化層の発生をできるだけ抑制するために、油脂と中性水との接触は穏やかであることが好ましい。前述した水滴径の大きさに関わらず、中性水を添加する際の勢いが強すぎると乳化が起こり易くなる場合があり、勢いが弱すぎると中性水の添加に時間がかかり、生産効率が低下する場合がある。また、油脂に中性水を添加する際、油脂の流動性は低い方が好ましく、油脂は流動させないことが更に好ましい。油脂の流動性は、例えば撹拌速度を変えることで調整すれば良い。
中性水を油脂の上部から添加する場合は、例えばシャワーリングによって中性水を液滴状にして添加する方法などを例示することができる。シャワーリングは、ノズル径の変更や水圧の調節などで水滴径をコントロールし易く、エステル交換反応後の油脂と中性水との接触表面積の総和を大きくするのに好適である。また、油層の表面に対して広範囲に均一に中性水を添加することも容易である。さらに、添加する水滴が小粒径であっても、油層表面で水滴同士が合一し易く、適度な粒径になって沈降し易い。
前記エステル交換反応後の油脂に接触させる中性水の添加量は、原料である動植物油脂100重量部に対して10〜200重量部が好ましく、30〜170重量部がより好ましく、50〜150重量部が更に好ましく、50〜120重量部が特に好ましい。10重量部より少ないと、中性水とセッケンが接触する表面積の総和が少ないために、エステル交換反応後の油脂中からセッケンを十分に除去できない場合がある。200重量部より多いと、処理しなければならない廃水量が増加するため、経済的に好ましくない場合がある。
この工程により、第一水層及び第一油層を含む液が得られる。また、この工程によると、従来の水洗工程と比較して、乳化層の発生をはるかに抑えることができる。しかし、わずかに乳化層が発生することもあり、その場合には、この工程により、第一水層、乳化層及び第一油層からなる液が得られる。乳化層は、第一水層と第一油層との間に形成される。
<第三工程:第一水層の除去>
この工程では、第二工程で得られた液から第一水層を除去する。また、上述したように、第二工程で得られた液において乳化層が発生している場合には、第二工程で得られた液から第一水層及び乳化層を除去する。この場合、乳化層は第一水層と共に除去すればよい。
第二工程で得られた液は、タンク等の容器中で、比重の差に従って、下方から、第一水層、生じている場合には乳化層、及び、第一油層に分離している。従って、容器の下部から、第一水層、及び、生じている場合には乳化層を排出することにより、第二工程で得られた液から第一水層及び乳化層を除去することが出来る。
なお、第一水層、乳化層、及び第一油層は、第一水層及び乳化層の除去の前に予め十分に分離させておくことが好ましい。各層の分離が十分でないとセッケンと乳化物の除去効率が低下したり、油脂の歩留りが低下する場合がある。前記各層を十分に分離するには、例えば、添加した中性水の沈降後に、容器中で一定時間静置したり、遠心分離すれば良い。
こうして水層を除去して得られたエステル交換油は、この時点で含まれるセッケン分が350〜1200ppm(好ましくは350〜1000ppm)と非常に少なくなる。しかし、高温脱臭時のえぐみの発生を防ぐためには、この後、該エステル交換油は、よりセッケン分を減らす為に、脱臭前に脱色処理及び/又は酸性物質との接触処理を行い、脱臭前のセッケン分を15ppm以下、より好ましくは10ppmとすることが好ましい。
前記脱色処理は常法に従って行えばよい。
前記酸性物質との接触処理とは、第三工程で第一水層と、生じている場合には乳化層とを除去した後の第一油層に酸性物質を混合し、撹拌することである。これにより、第一油層に残留しているセッケンを脂肪酸に変化させることでセッケンを分解することができる。ここで、撹拌とは油層と酸性物質を乱流状態にすることを表す。乱流状態を作り上げるには、例えばタンクの中で撹拌翼を回転させたり、スタティックミキサーを通せばよい。
前記酸性物質は、セッケンと反応した際に、セッケンからアルカリ金属を奪い脂肪酸に変化させることが可能な酸性物質であれば特に限定はない。例えばクエン酸やリンゴ酸、乳酸などの有機酸や、塩酸、硫酸などの無機酸が例示できるが、食用であることを考えると、有機酸が好ましい。
前記酸性物質を第一油層に添加する場合、水溶液の状態で添加することが好ましい。その理由は、酸性物質を固体状で添加すると、油脂中のセッケンとの反応が効率的に進まないし、酸性物質を気体状で添加すると、油脂中からすぐに抜けてしまい、同じく反応が効率的に進まないからである。
酸性物質を水溶液の状態で添加する場合は、酸性物質の水溶液と第一油層との混合・撹拌終了後、油層と水層とを十分に分離させた後に水層を除去する。これにより、セッケンと酸性物質との反応により生じた脂肪酸を水層と共に除去することができる。また、この工程では、極めて少量ではあるが、わずかに乳化層が発生する場合があり、その場合には、水層、乳化層及び油層からなる液が得られる。乳化層は、水層と油層との間に形成されるため、乳化層が発生している場合には、乳化層は水層と共に除去すればよい。
油層と水層を分離させるには、例えば撹拌終了後に一定時間静置したり、遠心分離すればよい。油層中の水分を除去する別の方法として、真空や加熱脱水等が挙げられるが、多くの水分を蒸発させるために多くの熱量が必要となり、除去するために多くの時間もかかること、油脂の酸化安定性や風味が損なわれる場合があることから好ましくない。
さらに、油層中の残留酸性物質は、水層を除去した後に除去すれば良い。添加した酸性物質の融点が油脂の温度より低い場合は、水層を除去した後、真空脱水を行うと油層中に酸性物質が結晶として析出することがあるので、例えばフィルターに油層を通過させるなどの方法で酸性物質を除去することが可能である。また、酸性物質を析出させずに除去する方法としては、水層を除去した後、更に遠心分離を行い得られた水層を除去することにより水層に溶解した状態で酸性物質を除去する方法や、油脂と酸性物質との比重の差を利用して遠心分離後に油脂の下層に得られる酸性物質を除去する方法も可能である。この方法の場合、水層を除去した後水を再添加してから遠心分離しても良い。また、添加した酸性物質が塩酸などの沸点の低い酸である場合は、酸性物質は揮発するため、油層を蒸留する際に除去することが可能である。
<第四工程:脱臭処理>
この工程では、第一油層を脱臭工程に付して、エステル交換油である食用油脂を得る。前記脱臭は、例えば第一油層を水蒸気蒸留装置に移送し、第一油層を加熱しながら、400Pa以下の減圧下、第一油層100重量部に対して0.5〜10重量部/hrで水蒸気を吹き込むことでできる。
また、前記水蒸気蒸留による脱臭温度は、180〜260℃が好ましく、190〜250℃がより好ましく、200〜240℃が更に好ましく、210〜240℃が特に好ましい。180℃より低いと、エステル交換油中に含まれる遊離脂肪酸を除去できず酸価が高くなったり、得られる油脂がえぐみのような異味を残す場合がある。260℃より高いと、油脂中の酸化安定物質の減少や、良好な風味成分まで除去してしまう場合がある。前記酸価は、0.1以下が好ましく、0.07以下がより好ましく、0.05以下が更に好ましい。酸価が0.07以下であれば、エステル交換油の脱臭が十分であるといえる。なお、実際の製造においては、酸価の下限値は0.02が限界である。
前記水蒸気蒸留による脱臭時間は、20〜60分間が好ましく、30〜50分間がより好ましく、40〜50分間が更に好ましい。20分間より短いと、エステル交換油中に含まれる遊離脂肪酸を除去できず得られる油脂の酸価が高くなったり、えぐみのような異味を残す場合がある。60分間より長いと、油脂中の酸化安定物質の減少や、良好な風味成分まで除去してしまう場合がある。
脱臭としては、薄膜蒸溜法も使えるが、その場合の脱臭温度や脱臭時間は、常法に準拠して適宜行えばよい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<油層中のセッケン量の測定方法>
油層中のセッケン量は社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.6.2−1996セッケンに記載された方法に従い測定した。
<酸価>
社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の基準油脂分析試験法「2.3.1−1996酸価」に準拠して酸価を測定した。
(実施例1)脱臭処理に供するエステル交換油1の作製
パーム分別油(ヨウ素価:60、融点17℃)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度400Paの条件下で加熱真空脱水を行い、前記油脂中の水分を0.0085重量%に調整した。その後、油脂100重量部に対しナトリウムメチラートを0.15重量部添加し、真空状態のまま20分間撹拌した。撹拌を停止し、真空を開放した後、原料であるパーム分別油100重量部に対し100重量部の中性水(pH7.6(以下、全て同じpH))を、油層の上からシャワーリングしながら注いで該油脂と水とを接触させて、油脂内で水滴を沈降させた。この時、油層は撹拌していない。また、乳化はほとんど生じなかった。そのまま40分間静置して油層、乳化層、水層を十分に分離させた後に、フラスコ下部から水層と乳化層とを排出し、脱臭処理に供するエステル交換油1を98重量部得た。該エステル交換油1にはセッケンが500ppm含まれており、油脂の歩留りは98.0重量%と良好であった。
(実施例2)脱臭処理に供するエステル交換油2の作製
パーム分別油(ヨウ素価:52、融点33℃)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度1000Paの条件下で脱水を行い、油脂中の水分を0.025重量%に調整した。その後、前記油脂100重量部に対しナトリウムメチラートを0.25重量部添加し、真空状態のまま30分間撹拌した。撹拌を停止し真空を開放した後、140重量部の中性水を油層の上からシャワーリングしながら注いで、該油脂と水とを接触させて、油脂内で水滴を沈降させた。この時、油層は撹拌していない。また、乳化はほとんど生じなかった。
そのまま40分間静置して油層、乳化層、水層を十分に分離させた後に、フラスコ下部から水層と乳化層とを排出させ、97.2重量部の脱臭処理に供するエステル交換油2を得た。該エステル交換油2にはセッケンが450ppm含まれており、油脂の歩留りは97.2重量%と良好であった。
(実施例3)脱臭処理に供するエステル交換油3の作製
豚脂(融点37℃)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度670Paの条件下で脱水を行い、油脂中の水分を0.015重量%に調整した。その後、前記油脂100重量部に対し0.18重量部のナトリウムメチラートを添加し、真空状態のまま25分間撹拌した。撹拌を停止し真空を開放した後、80重量部の中性水を油層の上からシャワーリングしながら注いで、該油脂と水とを接触させて、油脂内で水滴を沈降させた。この時、油層は撹拌していない。また、乳化はほとんど生じなかった。そのまま40分間静置して油層、乳化層、水層を十分に分離させた後に、フラスコ下部から水層と乳化層とを排出し、97.8重量部の脱臭処理に供するエステル交換油3を得た。該エステル交換油3にはセッケンが750ppm含まれており、油脂の歩留りは97.7重量%と良好であった。
(比較例1) 脱臭処理に供するエステル交換油4の作製
大豆油100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度1000Paの条件下で脱水を行い、油脂中の水分を0.017重量%に調整した。その後、0.20重量%のナトリウムメチラートを添加し、真空状態のまま20分間撹拌し、真空を開放し、99.8重量部の脱臭処理に供するエステル交換油4を得た。該エステル交換油にはセッケンが48000ppmと多量に含まれており、油脂の歩留りは95.0重量%であった。
(比較例2)特開昭51−61510号公報記載の方法に準拠で脱臭処理に供するエステル交換油5の作製
大豆油100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度400Paの条件下で脱水を行い、油脂中の水分を0.0074重量%に調整した。その後、0.15重量%のナトリウムメチラートを添加し、真空状態のまま20分間撹拌した。真空を開放した後、撹拌速度150rpmで油層を撹拌しながら100重量部の水を油層の上からシャワーリングして注いだ。この時、激しく乳化が生じ、油脂内で水滴が速やかに沈降するものではなかった。そのまま90分間静置して油層、乳化層、水層を極力分離させた後に、フラスコ下部から水層と乳化層とを排出し、88.7重量部の脱臭処理に供するエステル交換油5を得た。該エステル交換油にはセッケンが1600ppm含まれておりセッケンはある程度除去できたが、油脂の歩留りは88.6重量%と低かった。
(比較例3) 脱臭処理に供するエステル交換油6の作製
大豆油100重量部をセパラブルフラスコに入れ、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度1000Paでの脱水を行い、油脂中の水分を0.018重量%に調整した。その後、0.2重量%のナトリウムメチラートを添加し、真空状態のまま20分間撹拌した。真空を開放した後、20rpmで油層を撹拌しながら8重量部の水を油層の上からシャワーリングして注いだ。この時、乳化はほとんど生じていなかった。そのまま40分間静置して油層、乳化層、水層を十分に分離させた後にフラスコ下部から水層と乳化層とを排出し、98.9重量部の脱臭処理に供するエステル交換油6を得た。該エステル交換油にはセッケンが21000ppm含まれておりセッケン残存量が多く、油脂の歩留りは96.8重量%であった。
Figure 0006450218
(参考例1)エステル交換油1の酸性物質との接触処理および脱臭
実施例1で得られた脱臭処理に供する98重量部のエステル交換油1に対し、300重量部の水に0.017重量部のクエン酸を溶解させたクエン酸水溶液を添加し、150rpm、80℃、常圧の条件下で60分間撹拌し、その後静置した。静置開始より35分後には90%の水分が水層に沈降していた。このとき、乳化は生じていなかった。静置開始より45分後にフラスコ下部から水層を排出した後、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度400Paの条件下で加熱真空脱水を行い油脂中の水分を0.01重量%に調整し、ろ紙(Advantec定性ろ紙No1)を通過させて析出したクエン酸を除去し、セッケン濃度0ppmのエステル交換油を97.5重量部得た。
クエン酸で処理した後のエステル交換油全量97.5重量部を水蒸気蒸留装置に仕込み、210℃、真空度270Pa、水蒸気吹き込み量2重量%部/hr、45分間の条件で脱臭処理し、96.5重量部のエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油の酸価は0.03であり、好ましい風味が感じられ、異味・異臭がなく、エステル交換油の風味として好ましいものであった。また、吸着材不使用であるため、吸着材/エステル交換油(重量比、%)の値は0であった。それらを含めた評価結果は、表2にまとめた。
(参考例2)エステル交換油2の酸性物質との接触処理、白土処理及び脱臭
実施例2で得られた97.2重量部のエステル交換油2に対し、200重量部の水に0.0085重量部のクエン酸を溶解させたクエン酸水溶液を添加し、150rpm、80℃、常圧の条件下で60分間撹拌し、その後静置した。静置開始より40分後には90%の水分が沈殿しており、静置開始より50分後に沈降した水層を除去した。このとき、乳化は生じていなかった。その後、100℃、真空度400Paの条件下で加熱真空脱水により油脂中の水分を0.01重量%に調整し、ろ紙(Advantec定性ろ紙No1)を通過させて析出したクエン酸を除去し、セッケン濃度35ppmの油層を96.2重量部得た。
クエン酸で処理した後の油層全量96.2重量部をセパラブルフラスコに入れ、0.38重量部の活性白土を添加した後、90℃、150rpm、真空度1330Paの条件下で20分間撹拌し、混合物全体の水分量を1重量%に調整した後、白土を分離してセッケン濃度0ppmのエステル交換油を95.8重量部得た。
該白土処理した後に更に白土を分離した後のエステル交換油全量を水蒸気蒸留装置に仕込み、230℃、真空度270Pa、エステル交換油100重量部に対して水蒸気吹き込み量2重量部/hr、45分間の条件下で脱臭処理し、94.7重量部のエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油の酸価は0.04であり、好ましい風味が感じられ、異味・異臭がなく、エステル交換油の風味として好ましいものであった。また、分離した白土には油脂が0.4重量部付着しており廃吸着材/エステル交換油(重量比、%)の値は0.82であった。それらを含めた評価結果は、表2にまとめた。
(参考例3) エステル交換油3の酸性物質との接触処理および脱臭
実施例3で得られた97.8重量部のエステル交換油3に対し、400重量部の水に0.05重量部のリンゴ酸を溶解させたリンゴ酸水溶液を添加し、150rpm、90℃、常圧で40分間撹拌し、その後静置した。静置開始より30分後には90%の水分が沈降し油層、水層が十分に分離したので、そのまま水層を除去した。このとき、乳化は生じていなかった。その後、100℃、真空度400Paの条件下で加熱真空脱水により油脂中の水分を0.01重量%に調整し、ろ紙(Advantec定性ろ紙No1)を通過させ析出したリンゴ酸を除去し、セッケン濃度0ppmのエステル交換油を97.3重量部得た。
リンゴ酸で処理した後の油層全量97.3重量部を水蒸気蒸留装置に仕込み、220℃、真空度270Pa、水蒸気吹き込み量3重量部/hr、40分間の脱臭条件で処理し、96.5重量部のエステル交換油を得た。得られたエステル交換油3の酸価は0.03であり、好ましい風味が感じられ、異味・異臭がなく、エステル交換油の風味として好ましいものであった。また、吸着材不使用であるため、廃吸着材/エステル交換油(重量比、%)の値は0であった。それらを含めた評価結果は、表2にまとめた。
(参考例4) エステル交換油4の酸性物質との接触処理および脱臭
比較例1で得られた脱臭処理に供するエステル交換油99.8重量部に対し、80重量部の水に1.22重量部のリンゴ酸を溶解させたリンゴ酸水溶液を添加し、150rpm、90℃、常圧の条件下で40分間撹拌し、その後静置した。静置開始より40分後には90%の水分が水層に沈降したので、そのままフラスコ下部から水層を排出した後、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら、100℃、真空度400Paの条件下で加熱真空脱水を行い油脂中の水分を0.01重量%に調整した。続いてろ紙(Advantec定性ろ紙No1)を通過させて析出したリンゴ酸を除去し、セッケン濃度0ppmのエステル交換油を96.8重量部得た。
リンゴ酸処理後のエステル交換油全量を水蒸気蒸留装置に仕込み、250℃、真空度270Pa、水蒸気吹き込み量2重量部/hr、45分間の条件で脱臭処理し、96.0重量部のエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂の酸価は0.18と高く、風味はえぐみのような異味がはっきり感じられるものであった。また、吸着材不使用であるため、廃吸着材/エステル交換油(重量比、%)の値は0であった。それらを含めた評価結果は、表2にまとめた。
(参考例5) エステル交換油6の脱色および脱臭
比較例3で得られた脱臭処理に供するエステル交換油6を98.9重量部セパラブルフラスコに入れ、15重量部の活性白土を添加した後、90℃、150rpm、真空度1330Paの条件下で40分間撹拌しながら真空状態にすることで、混合物全体の水分量を0.01重量%に調整し、白土を分離してセッケン濃度8ppmのエステル交換油を59.8重量部得た。
該エステル交換油全量を水蒸気蒸留装置に仕込み、250℃、真空度270Pa、水蒸気吹き込み量2重量部/hr、60分間の条件で脱臭処理し、57.9重量部のエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂の酸価は0.08であり、風味は異味・異臭がはっきり感じられるものであった。また、廃吸着材/エステル交換油(重量比、%)の値は39.1と高く、廃棄物処理すべき廃吸着材が多く生じた。それらを含めた評価結果は、表2にまとめた。
Figure 0006450218

Claims (2)

  1. 動植物油脂を、アルカリ性物質を用いたエステル交換反応に付する第一工程、
    前記エステル交換反応後に得られた油脂に、前記動植物油脂100重量部に対して10〜200重量部の液滴状の中性水を添加することで、前記油脂中で水滴を沈降させ、第一水層及び第一油層を含む液を得る第二工程、
    第二工程で得た液から第一水層を除去して、残留セッケン分が350〜1200ppmのエステル交換油を得る第三工程
    を含む、脱臭処理に供するためのエステル交換油の製造方法。
  2. 脱臭処理前に脱色処理を行い且つ脱色処理時に使用する吸着材が白土であることを特徴とする請求項1に記載のエステル交換油の製造方法。
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